説明

イミド過カルボン酸の希釈方法

質量パーセントとして表される<7質量%の量のイミドアルカン過カルボン酸を含有する希釈溶液を、β-結晶形態の前記過酸の濃縮水性組成物から出発して得るための方法であって、前記濃縮組成物がα-結晶形態のイミドアルカン過カルボン酸から得られ、前記方法が以下の工程: I) イミドアルカン過カルボン酸(C)の濃縮水性組成物を2〜5のpHを有する水溶液(D)で、0.1:10〜10:0.2の質量部で表される(C):(D)比で、4℃〜30℃の作業温度において希釈する工程; II) I)で得られた希釈水性組成物に少なくとも5000s-1の剪断力を一定の動的粘度が得られるまで加える工程; III) II)で処理された希釈水性組成物を希釈して<7質量%のイミドアルカン過カルボン酸濃度を得る工程; IV) 任意に、組成物を最後にホモジナイズする工程を含んでいる、前記方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、“α-結晶”形態のイミドアルカン過カルボン酸から得られる、“β-結晶”形態のイミドアルカン過カルボン酸、特にε-フタルイミド過オキシヘキサン酸(PAP)の濃縮水性組成物を希釈するための方法に関する。
本発明の方法は、α-結晶形態のイミドアルカン過カルボン酸から直接得られる、β-結晶形態の同じ濃度のイミドアルカンカルボン酸を有する従来技術で既知の希釈水性組成物とほぼ同様の効力レベルを有する希釈組成物を生成させることである。
【0002】
わずかに水溶性である固体のペルオキシカルボン酸(過酸)、特にイミドアルカン過カルボン酸は、遊離した過酸化水素の非存在下でさえ、固体形態で液体組成物に導入することができるので、清浄剤組成物においてますます重要になってきた。このようにして、過酸と液体組成物のその他の成分との化学相互作用をかなり減少させる利点が得られ、許容できるレベルを超える範囲に含まれる点まで使用者に関するあらゆる積極的な作用が制限される。このようにして、消費者が特に好む噴霧計量装置(トリガー)によって清浄や消毒の適用に用いることができる安全で有効な液体組成物が得られる。更に、これらの水性液体組成物は、これらの分野が、穏やかな洗浄条件、例えば、低温、特に1O℃〜20℃や短い洗浄時間、特に15分未満が用いられることを可能にする非常に効率的な製品の使用を必要とするので、清浄と消毒の適用において増加している商業的興味に直面する。出願人の名義の国際特許出願第2004/007452号を参照のこと。前記特許出願には、α-結晶形態のイミドアルカン過カルボン酸から開始することによって直接得られるβ-結晶形態のイミドアルカン過カルボン酸の希釈水性組成物が記載されている。これらの希釈組成物は、工業用及び市販用の清浄と消毒の適用について、10℃〜30℃程度の作業温度でさえ、改善された漂白効力が示されている。更に、これらの組成物に含まれるイミドアルカン過カルボン酸は、β-結晶形態の同じ過酸から出発して得られる組成物と比較して溶解時間が短縮される。前記溶解時間は、非常に短く、即ち、以下に記載されるように、5分未満で99%を超えるイミドアルカン過カルボン酸が20℃の洗浄浴に溶解し、これらの製品の市場によって決められている操作要求を満たしている。
【0003】
用語“溶解時間”は、過酸のアリコートが、以下の方法に従って、標準清浄液に溶解する時間を意味する。組成物の計量された試料を、10oF(フランス硬度)の硬度を有し、漂白添加剤を含まない標準清浄剤ベース(IEC清浄剤B型、リン酸塩による - IEC発行60456)を含有する水で調製された溶液に撹拌しながら20℃の温度の恒温に維持しつつ導入し; 2液相の混合の瞬間から測定された試料がかかる時間をx軸上のグラフにプロットし、HPLCクロマトグラフィー分析によって求められる過酸ピーク面積をy軸にプロットし; 過酸の一定のアリコートの溶解に対応する時間を、得られたグラフから求め、無限の時間(理論上の濃度)の100%と同じグラフで漸近線的に得られた過酸の濃度を用いる。その方法の詳細な説明はε-フタルイミドペルオキシヘキサノン酸に関して実施例に示されている。
市販の清浄と消毒の適用に用いられる水性過酸組成物は、これらの有効成分が非常に効率的であるので、好ましくは低濃度の過酸を有する。
【0004】
上述のとおり、出願人の名義の国際特許出願第2004/007452号には、市販の適用に用いられる過酸の希釈水性組成物が開示されている。
これらの希釈組成物の欠点は、経済的な観点から、生産から販売までこれらの製品の輸送の費用を制限するために、工業規模に調製される非常に濃縮された組成物を運搬し、その後、販売の間際にそれらを希釈することが好ましいことである。
α-結晶形態のイミドアルカン過カルボン酸から開始して得られる、β-結晶形態のイミドアルカン過カルボン酸、特にε-フタルイミドペルオキシヘキサン酸(PAP)の濃縮組成物の調製が、出願人の名義のイタリア特許出願第MI 2004 A 000004号に記載され、この明細書の記載は本願明細書に全体で含まれるものとする。イミドアルカン過カルボン酸のこれらの濃縮水性組成物を得るための方法は、以下の段階:
・40℃〜65℃の温度で過剰量の水に分散したα形態のイミドアルカン過カルボン酸の結晶、好ましくは少なくとも2質量部の水/l質量部の過カルボン酸を非イオン性界面活性剤より選ばれた界面活性剤の存在下に粉砕する工程;
・任意に粘性付与添加剤の添加した液体分散液を30℃未満、好ましくは25℃未満の温度に冷却する工程
を含んでいる。
【0005】
前記の特許出願によれば、第一工程において、粉砕はコロイドミルにおいて又はローターとステータを備えた他のタイプのミルにおいて、任意に放射状流で行われる。このタイプの方法においては、質量パーセントとして、≧7%〜4O%の前記酸と0.001%〜0.9%の非イオン性界面活性剤より選ばれる界面活性剤を含み; 100%までの差が、水と清浄剤配合物のための他の任意の添加剤からなり; 濃縮組成物が、20s-1のせん断速度を加えることによって、25℃の温度で測定した2000mPa.s未満の限定した粘度を特徴とする分散液の形で水性液体組成物を得ることが可能である。前記組成物は、また、以下の特性: 2000mPa.s未満の限定した粘度; 40℃で7日間の老化促進の試験において物理的及び化学的安定性が高い; 前記イミドアルカン過カルボン酸の溶解時間が短縮して到達できる漂白と消毒の効力が最適であるの組合せを示している。
【0006】
前記の特許出願に記載される濃縮組成物から、市場が必要とし国際特許出願第2004/007452号に記載される希釈組成物を得るために、希釈方法は、国際特許第2004/007452号とほぼ同様の効力レベルを有する希釈組成物を得ることを可能にしなければならない。
出願人によって行われた試験は、イタリア特許出願第MI 2004 A 000004号に従って得られたイミドアルカン過カルボン酸の濃縮液体組成物を希釈することによって、国際特許出願第2004/007452号に従って得られた希釈組成物の最適効力とほぼ同様の効力レベルを有する希釈組成物を得ることは可能でないことを示した。特に、濃縮組成物を希釈した後に得られる希釈組成物の溶解時間は国際特許出願第2004/007452号に記載される希釈組成物よりなお40%長い。
【0007】
α-結晶形態のイミドアルカン過カルボン酸から得られた、β-結晶形態のイミドアルカン過カルボン酸の濃縮水性組成物を希釈して、効力が、特に溶解時間に関して、α形態から直接に得られるβ-結晶形態の同じイミドアルカン過カルボン酸の同じ濃度の希釈組成物とほぼ同様である前記過酸の希釈水性組成物を得る方法が求められている。
出願人は驚くべきことに、また、予想外に、この技術的問題を解決する上記濃縮溶液を希釈する方法を見いだした。
【0008】
本発明の1つの主題は、<7質量%の量のイミドアルカン過カルボン酸を含有する希釈水性組成物を、β-結晶形態の≧7質量%の量の前記過酸を含有する濃縮水性組成物から出発して得るための方法であって、前記濃縮組成物がα-結晶形態のイミドアルカン過カルボン酸から得られ、前記方法が以下の工程:
I) イミドアルカン過カルボン酸(C)の濃縮水性組成物を2〜5、好ましくは3〜4、より好ましくは3.2〜3.7のpHを有する水溶液(D)で、0.1:10〜10:0.2の質量部で表される(C):(D)比で、4℃〜50℃、好ましくは10℃〜25℃の作業温度において希釈する工程;
II) I)で得られた希釈水性組成物に少なくとも5000s-1の剪断力を一定の動的粘度が得られるまで加える工程;
III) II)で得られた水性組成物を水で希釈して<7質量%イミドアルカン過カルボン酸濃度を得る工程;
IV) 任意に、例えば、組成物を撹拌することによって、組成物を最後にホモジナイズする工程
を含んでいる、前記方法である。
本発明の希釈組成物に含まれるイミドアルカン過カルボン酸は下記式(I)を有する。
【0009】
【化1】

【0010】
[式中、Aは以下より選ばれた基である。
【0011】
【化2】

【0012】
(式中、nは、整数0、1又は2であり、
Rlは、以下の意味: 水素、塩素、臭素、C1-C20アルキル、C2-C20アルケニル、アリール又はアルキルアリールの1つであり、
R2は、水素、塩素、臭素又は以下: -SO3M, -CO2M、-CO3M又は-OSO3Mより選ばれた基であり、
Mは、水素、アルカリ金属、アンモニウム基又はアルカリ土類金属の等価物であり、
Xは、C1-C19アルキレン又はアリーレンである。)]
ε-フタルイミドペルオキシヘキサン酸は、好ましくはイミドアルカン過カルボン酸として用いられる。
【0013】
イミドアルカン過カルボン酸は、β-結晶形態にある。
本発明の方法によって得られる希釈組成物に含有されるイミドアルカン過カルボン酸は、20℃の温度の、下で定義される洗浄浴における溶解時間t99が5分未満である。
溶解時間t99は、希釈液体組成物の試料を10oF(フランス硬度)の硬度を有し、漂白添加剤を含まない標準清浄剤ベース(IEC清浄剤B型、リン酸塩による - IEC発行60456)を含有する水で調製された溶液に撹拌しながら20℃の温度の恒温に維持しつつ分散させることによって求められ; 2組成物の混合の瞬間から測定された試料がかかる時間をx軸上のグラフにプロットし、HPLCクロマトグラフィー分析によって求められる過酸ピーク面積をy軸にプロットし; 溶解した過酸の量が存在する過酸の99%に対応する時間t99を、このようにして得られたグラフから用いられる、無限の時間に同じグラフで漸近線的に得られた過酸濃度から求める。その方法の詳細な説明はε-フタルイミドペルオキシヘキサノン酸に関して実施例に示されている。
本明細書にβ形態と呼ばれるイミドアルカン過カルボン酸の結晶形は、前記化合物の結晶化によって直接得ることができるので、前記過酸の従来技術において既知の形態である。
イミドアルカン過カルボン酸は、従来技術において既知の方法によって得ることができる。例えば、欧州特許第325 289号、同第325 288号、同第490 409号、同第560 155号、同第556 769号、同第780 374号を参照のこと。
【0014】
工程I)に用いられる過酸の濃縮水性組成物に関しては、出願人の名義で特許出願第MI 2004 A 000004号に記載されているように、これらの過酸の対応するα形態から得られたβ形態のイミドアルカン過カルボン酸の濃縮組成物が本発明に用いられることが好ましい。上記を参照のこと。
工程I)において用いられる水溶液(D)は、緩衝液であってもよい。任意に、キレート化剤及び/又は金属イオン封鎖剤が組成物の全質量に対して0.005%〜5質量%の量で添加することができる。キレート化剤及び/又は封鎖剤としては、キノリン及びその塩、アルカリ金属ポリホスフェート、ピコリン酸及びジピコリン酸、モノホスホン酸又はポリホスホン酸、例えば、好ましくは1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)を挙げることができる。
非イオン性及び/又はアニオン界面活性剤もまた、工程I)において任意に添加することができる。質量パーセントとして表される前記界面活性剤の総濃度は、0.001%以上である。
【0015】
非イオン性界面活性剤の例として、“Nonionic surfactants”, Ed. M.J. Schick, Marcel Dekker 1967,pp 76-85 and 103-141の書籍を参照のこと。例としては、エトキシル化、ポリエトキシル化、プロポキシル化又はポリプロポキシル化非イオン性界面活性剤又は1以上のプロポキシ反復単位と1以上のエトキシ単位を含有する界面活性剤を挙げることができる。これらの界面活性剤の例は、商品名Triton(登録商標) X100(Dow)、Tergitol(登録商標) TMN100x(Dow)、Antarox(登録商標) 863(Rhodia)、Rhodasurf(登録商標) 870(Rhodia)、Genapol(登録商標) X08O(Clariant)、Genapol(登録商標) X020(Clariant)、Genapol(登録商標) X060(Clariant)、Genapol(登録商標) X040(Clariant)、Lutensol(登録商標) XL40(BASF)として商業的に知られている界面活性剤である。
好ましく用いられるアニオン界面活性剤は、少なくともC8飽和したアルキル鎖のスルホネート、特に鎖内にスルホン酸基を有する第二アルキルスルホネート、例えば、Clariant製のHostapur(登録商標) SASである。
【0016】
本発明の方法の工程II)において、剪断力が加えられる時間は、一般的には約5分〜約2時間の範囲にある。工程II)は、一般的には50℃以下、好ましくは35℃以下、より好ましくは25℃以下の温度で、一定の動的粘度が得られるまで行われ、処理が行われる温度で測定される。
工程II)は、例えば、コロイドミルにおいて、任意に処理配合物を再循環しつつ行うことができる。方法は、また、約50 000s-l以上、70 000〜100 000s-1程度の非常に高い剪断で行うことができ、その場合には短い処理時間を用いることが所望される。
出願人は、質量パーセントとして表される、存在する非イオン性界面活性剤やアニオン界面活性剤が0.01%以上、好ましくはO.03%以上である場合には、工程II)が、例えば、5000-30 000s-1程度のより低剪断で、短い処理時間を維持して行うこともできることがわかった。非イオン性及び/又はアニオン界面活性剤は、この相において任意に添加することができる。
【0017】
工程III)において、得られるイミドアルカン過カルボン酸の希釈組成物は、好ましくは0.1質量%の濃度を有する。
工程III)において、希釈は、組成物の全質量に対して質量パーセントとして表される少なくとも0.01%の懸濁剤濃度が得られるまで、0.1%〜5質量%、好ましくは0.5%〜3質量%の濃度を有する懸濁剤の水溶液で任意に行うことができる。
懸濁剤は、一般的には0.01%〜0.6%、好ましくはO.05%〜0.3%の希釈組成物の最終濃度を有するように添加される。好ましくは、キサンタンガムが用いられる。
懸濁剤は、希釈組成物の物理的安定性が改善されることが分かったので、本発明の方法において工程III)で用いられることが好ましい。
工程III)は、一般的には5℃〜35℃の温度で、好ましくは約20℃の温度で行われる。
【0018】
上述のとおり、本発明の方法によって得られた希釈組成物は、α-結晶形態の過酸から直接得られる、β-結晶形態の同じ含量の過酸を有する、従来技術において既知のイミドアルカン過カルボン酸の希釈水性組成物とほぼ同様の効力レベルを有する。
すでに述べたように、本発明の方法によって得られる、イミドアルカン過カルボン酸に基づく液体組成物は、工業用と家庭用双方のための清浄市場に固有の漂白と消毒の適用のために用いられる。本発明の組成物は、特に、処理に供された生地の特性を損なわずに、漂白するのに、特に、白色か又は色のついた、あらゆるタイプの生地からしみを除去するのに適している。更に、本発明の組成物は、イミドアルカン過カルボン酸の有効な賦形剤、従って、消毒製剤の都合のいい形態を構成し、清浄市場において、正確には漸進的に優勢な緩やかな洗浄条件に特に好まれ、前記洗浄は、常に、それ自体細菌の増殖を好み且つ衛生に有害である低温で短い洗浄時間で行われる。前記消毒溶液も、硬質面の洗浄と衛生化の分野での適用に有用である。本発明の方法によって得られるイミドアルカン過カルボン酸をベースにした希釈液体組成物は、消費者が特に好む噴霧計量手段(トリガー)によって適用することができる。
以下の実施例は、本発明の限定しない例示として示されるものである。
【実施例】
【0019】
PAP滴定量の定量
以下の方法に従って、ヨウ化カリウムと組成物中の過酸との反応から遊離するヨウ素のチオ硫酸ナトリウムによる滴定によってヨウ素還元滴定による分析を行う。正確に計量された量の500mgの組成物を、100mlの水に希釈し、次に、10mlの氷酢酸と30mlのl0%w/wヨウ化カリウム水溶液を添加する。白金電極と参照電極を備えたMettler(登録商標) DL 40電位差滴定装置を用いて、反応から生成されたヨウ素を既知の滴定量のチオ硫酸ナトリウム水溶液で滴定する。
【0020】
標準清浄剤ベースの水溶液における配合物のPAPの溶解速度の定量
溶解速度は、以下の方法によって求められる。
500mgの組成物の試料を、10oFの硬度を有する水で調製された1リットルの溶液に分散し、漂白添加剤を含まない1.70gの標準清浄剤ベース(IEC清浄剤B型、リン酸塩による - IEC発行60456)を撹拌し、20℃の温度の恒温に調節する。0.45ミクロンフィルタに注意深くろ過した液相の連続試料を用いる。2組成物の混合の瞬間から測定される、試料がかかる時間をx軸上のグラフにプロットする。分で表される、用いられた時間は以下の通り: 1,3,5,10、15、30、60、120であった。HPLC分析によって求めたPAPピーク面積を、グラフのy軸にプロットする。l00%として無限の時間(理論上の濃度)に漸近線的に得られたPAP濃度を用いることによって決定される、溶解したPAPの量が存在する過酸のそれぞれ80%(t80),90%(t90)、99%(t99)に対応する時間を、得られたグラフから求める。
【0021】
漂白試験
試験は、500mgの組成物を0.035%のエリクロムブラックで着色した1リットルの2%炭酸ナトリウム溶液に添加し、その混合物を20℃で5分間放置(撹拌せずに)することによって行われる。分散液が変色した場合には、試験は正である。
動的粘度の定量
TA Instruments(登録商標)モデルAR 500回転式粘度計を用いて、25℃の温度で、20s-1のせん断速度で、直径4cmの平行スピンドルを用いて粘度を求めた。
【0022】
比較例1
高溶解速度を有する5質量%のPAP含量を有する水性希釈液体組成物の製造
国際特許出願第2004/007452号、実施例5Bに従って調製された12.20kgのα形態の工業グレードPAP、0.20kgのキサンタンガム、0.66kgのHostapur(登録商標)SASアニオン界面活性剤、0.10kgの消泡剤DB100を、50℃の188.70kgの脱イオン水に分散し、シルバーソンマシンで5分間、次に、機械的パドル撹拌によって50℃で30分間、次に、室温で30分間処理する。得られた組成物は、5.0%の活性PAP滴定量を有する水性スラリである。
得られた組成物について、以下のパラメータ: 粘度、漂白試験、溶解時間T80、T90、T99を求めた。
水性組成物に行われた定量の結果を、表1に示す。
【0023】
比較例2
高溶解速度を有する20質量%のPAP含量を有する水性濃縮液体組成物の製造
以下の成分:
・HEDP(1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸) Sequion 10H60(60%水溶液−Bozzetto) 66.8g(最終濃度: 1.00質量%);
・水酸化ナトリウム(50質量%溶液) 14.4g;
・Genapol X020ポリエトキシル化(2-5 EO)非イオン性界面活性剤(Clariant) 2.0 g(最終濃度: 0.05質量%)
・2368.0gの水を含有する10リットルのジャケット付容器に順次添加し、液相を、毎分l2O回転数に設定されアンカー撹拌軸を備えた変速度モーターによって撹拌を保つ。
得られた溶液を加熱し、ジャケットに接続された水循環サーモスタットによって、45℃の一定温度に維持する。
【0024】
撹拌しながら、出願人の名義の国際出願第2004/007452号に従って調製されるα-結晶形態のPAPを956.0g(組成物の最終濃度: 20質量%)の合計量に少量の連続添加によって少なくとも60分間かけて送る。添加の間、塊を45℃の温度で撹拌を保ち、同時にコロイドミル又はシルバーソンミルで粉砕するために送る。PAPの添加の終わりの5分後、粉砕を停止し、撹拌を更に60分間続ける。
恒温浴の温度を20℃まで下げ、塊を冷却に必要とされる時間放置する。次に、2質量%のキサンタンガム(最終濃度: 0.3質量%)を含有する600.0gの溶液を添加する。生成物を、10分間穏やかに撹拌することによってホモジナイズする。
水性組成物に行った定量の結果を表1に示す。
【0025】
比較例2A
比較例2の20%濃縮水性組成物の5質量%のPAPへの希釈
前の実施例において調製した20%のPAP含量を有する1kgの水性液体組成物を5リットルのビーカーに移し、50.00gのHEDP; 10.80gの水酸化ナトリウム(50質量%の溶液); 2質量%のキサンタンガム(最終濃度: 0.1%)を含有する50.0gの溶液、2890.0gの水を撹拌(約500s-1の剪断)しながら添加する。
5%PAPを含有する4kgの希釈水性組成物を得る。
水性配合物に行われた定量の結果を表1に示す。
【0026】
実施例3
高剪断(界面活性剤を添加しない)による本発明の方法を用いた比較例2の20%濃縮水性組成物の5質量%のPAPへの希釈
比較例2において調製した、20%のPAP含量を有する1kgの水性濃縮液体組成物を、5リットルのビーカーに移し、50.00gのHEDP; 10.80gの水酸化ナトリウム(50質量%の溶液)、1890gの水を50 000s-1の剪断で操作するコロイドミルに添加する。処理の間の温度を20℃〜25℃に維持する。ミルにおいて30分間再循環を行い、その後、処理を完了する。次に、分散液をビーカーに移した後、2質量%のキサンタンガム(最終濃度: 0.2%)と800.0gの水を含有する250.0gの溶液を撹拌しながら添加する。希釈は、室温で行われる。
5%PAPを含有する4kgの希釈水性組成物を得る。
水性配合物に行われた定量の結果を表1に示す。
【0027】
実施例4
実施例3より低剪断を用いて、非イオン性界面活性剤を添加した本発明の方法を用いた、比較例2の20%濃縮水性組成物の5質量%のPAPへの希釈
比較例2において調製した、20%のPAP含量を有する1kgの水性濃縮液体組成物を、5リットルのビーカーに移し、50.00gのHEDP; 10.80gの水酸化ナトリウム(5O質量%の溶液); 2.0gのGenapol X020ポリエトキシル化(Z-5 EO)非イオン性界面活性剤(Clariant)(非イオン性界面活性剤の最終濃度0.06%)、1888gの水を、20 000s-1の剪断で操作するコロイドミルにおいて添加する。処理の間の温度を20℃〜25℃に維持する。ミルにおいて30分間再循環を行い、その後、処理は完了する。次に分散液をビーカーに移した後、2質量%のキサンタンガム(最終濃度: 0.2%)と800.0gの水を含有する250.0gの溶液を撹拌しながら添加する。この工程は、室温(20℃)で行われる。
5%PAPを含有する4kgの希釈水性組成物を得る。
実施例4の水性組成物に行われた定量の結果を表1に示す。
【0028】
実施例5
実施例3より低剪断を用いて、アニオン界面活性剤を添加した本発明の方法を用いた、比較例2の20%濃縮水性組成物の5質量%のPAPへの希釈
比較例2において調製した、20%のPAP含量を有する1kgの水性濃縮液体組成物を、5リットルのビーカーに移し、50.00gのHEDP; 10.80gの水酸化ナトリウム(5O質量%の溶液); 6.67 gのHostapur(登録商標) SASアニオン界面活性剤(Clariant)(アニオン界面活性剤の最終濃度: 0.06%)、1888gの水を、20 000s-1の剪断で操作するコロイドミルにおいて添加する。処理の間の温度を20℃〜25℃に維持する。ミルにおいて30分間再循環を行い、その後、処理は完了する。次に分散液をビーカーに移した後、2質量%のキサンタンガム(最終濃度: 0.2%)と800.0gの水を含有する250.0gの溶液を撹拌しながら添加する。この工程は、室温(20℃)で行われる。
5%PAPを含有する4kgの希釈水性組成物を得る。
実施例5の水性組成物に行われた定量の結果を表1に示す。
【0029】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
<7質量%の量のイミドアルカン過カルボン酸を含有する希釈水性組成物を、β-結晶形態の≧7質量%の量の前記過酸を含有する濃縮水性組成物から出発して得るための方法であって、前記濃縮組成物がα-結晶形態のイミドアルカン過カルボン酸から得られ、前記方法が以下の工程:
I) イミドアルカン過カルボン酸(C)の濃縮水性組成物を2〜5、好ましくは3〜4、より好ましくは3.2〜3.7のpHを有する水溶液(D)で、0.1:10〜10:0.2の質量部で表される(C):(D)比で、4℃〜50℃、好ましくは10℃〜25℃の作業温度において希釈する工程;
II) I)で得られた希釈水性組成物に少なくとも5000s-1の剪断力を一定の動的粘度が得られるまで加える工程;
III) II)で得られた希釈水性組成物を希釈して、<7質量%のイミドアルカン過カルボン酸濃度を得る工程;
IV) 任意に、組成物を最後にホモジナイズする工程
を含んでいる、前記方法。
【請求項2】
イミドアルカン過カルボン酸が下記式(I)を有する、請求項1記載の方法。
【化1】

[式中、Aは以下より選ばれた基である。
【化2】

(式中、nは、整数0、1又は2であり、
Rlは、以下の意味: 水素、塩素、臭素、C1-C20アルキル、C2-C20アルケニル、アリール又はアルキルアリールの1つであり、
R2は、水素、塩素、臭素又は以下: -SO3M, -CO2M、-CO3M又は-OSO3Mより選ばれた基であり、
Mは、水素、アルカリ金属、アンモニウム又はアルカリ土類金属の等価物であり、
Xは、C1-C19アルキレン又はアリーレンである。)]
【請求項3】
イミドアルカン過カルボン酸が、ε-フタルイミドペルオキシヘキサン酸である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
希釈組成物中に含まれるイミドアルカン過カルボン酸が、5分未満の20℃の温度の洗浄浴における溶解時間t99を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
工程I)において、非イオン性界面活性剤及び/又はアニオン界面活性剤を添加し、質量パーセントとして表される界面活性剤の総濃度が0.001%以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
工程II)において、50 000〜100 000s-lの剪断が用いられる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
工程II)において、5000-30 000s-lの剪断が、質量パーセントとして表される0.01%以上、好ましくはO.O3%以上の全量の非イオン性界面活性剤及び/又はアニオン界面活性剤の存在下に用いられる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
工程III)において、懸濁剤の水溶液によって希釈を行い、0.01%〜0.6%、好ましくは0.05%〜0.3%の懸濁剤の希釈組成物における最終濃度を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
懸濁剤がキサンタンガムである、請求項8記載の方法。
【請求項10】
工程III)が、5℃〜35℃の温度で行われる、請求項8又は9記載の方法。
【請求項11】
イミドアルカン過カルボン酸の質量パーセントとして表される<7%の量を含有する希釈水性組成物であって、β-結晶形態の≧7%の量の前記の酸を含有する濃縮水性組成物から得られる、前記希釈水性組成物。
【請求項12】
濃縮組成物が、α形態のイミドアルカン過カルボン酸から得られる、請求項11記載の希釈水性組成物。
【請求項13】
希釈組成物に含まれるイミドアルカン過カルボン酸が、5分未満の20℃の温度の洗浄浴における溶解時間t99を有する、請求項11又は12記載の希釈水性組成物。
【請求項14】
清浄用途における請求項11〜13のいずれか1項に記載の希釈水性組成物の使用。
【請求項15】
消毒用途における請求項11〜13のいずれか1項に記載の希釈水性組成物の使用。
【請求項16】
希釈水性組成物が、ディスパーザ(トリガー)によって適用される、請求項14又は15記載の希釈水性組成物の使用。
【請求項17】
約10℃〜30℃の温度で清浄用途に用いられる、請求項14〜16のいずれか1項に記載の希釈水性組成物の使用。

【公表番号】特表2007−529470(P2007−529470A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−503341(P2007−503341)
【出願日】平成17年3月15日(2005.3.15)
【国際出願番号】PCT/EP2005/051172
【国際公開番号】WO2005/090544
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(505015750)ソルヴェイ ソレクシス ソチエタ ペル アチオニ (4)
【Fターム(参考)】