説明

イムノアッセイに有用なフェノバルビタール誘導体

5-位のアルキル鎖から合成され、特に親水性を有し、末端に活性エステルを有するフェノバルビタール誘導体は、フェノバルビタールに特異的なRoche社のFPIA抗体(「フェノバルビタールに特異的な抗体」)に対して競合させた場合に、ONLINE TDM微粒子アッセイフォーマットでアッセイの所望の範囲に曲線を与えるアミノデキストランコンジュゲートの生成を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療薬のモニタリングの分野、特にフェノバルビタール誘導体、および患者のサンプル中のフェノバルビタールを測定するためにこうした誘導体を使用するアッセイ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明によって克服される問題は、微粒子の動的相互作用(KIMS)に基づく、同じクラスの薬剤(バルビツレート)の他の物質との交差反応性のない、治療薬フェノバルビタールに特異的な改良された非放射性の同種微粒子凝集イムノアッセイの開発である。
【0003】
フェノバルビタールに特異的な他の非放射性イムノアッセイは、種々の技術、例えば蛍光偏光イムノアッセイ(FPIA)(例えばKirkemo等、米国特許第4,614,823号);酵素介在型シグナルの生成を伴うイムノアッセイ(例えばBogulaski等、米国特許第4,279,992号(EIA);Flentge等、米国特許第4,543,412号(EIA);Carrico等、米国特許第4,255,566号(EIAのためのフラビン-フェノバルビタール誘導体);Greenquist、米国特許第4,363,874号(膜上でのEIA);Scholz等、Recent Dev. Ther. Drug Monit. Clin. Toxicol., 1992, 375-381(CEDIA));および化学発光イムノアッセイ(例えばAdamczyk等、Bioconjugate Chem., 2000, 11, 714-724(5-位のC6-OCONH-R誘導体))を使用してきたが、一方で他のより難易度の高い方法も使用されてきた。
【0004】
フェノバルビタールが交差反応性を有する、クラスとしてのバルビツレートのためのアッセイがある(Adamczyk等、米国特許第6,472,227号[sec-ブチルおよびシクロペンテニルバルビツレート誘導体を使用];Grote & Hu、米国特許第5,099,020号および第5,096,838号[5,5-ジアルキルバルビツレート誘導体を使用したFPIAであるが、明細書および請求の範囲にフェノバルビタール誘導体が包含されている])。
【0005】
バルビツレートクラスの微粒子凝集イムノアッセイもある(米国特許第5,618,926号)が、微粒子上に固定したセコバルビタール-BSAコンジュゲート(本発明の溶液フォーマットのフェノバルビタール類似体-アミノデキストランコンジュゲートに対抗して)を使用している。フェノバルビタールは、アッセイにおいて交差反応性を有する多くのものの1つである。
【0006】
Buechler(米国特許第5,414,085号)は、チオラクトン末端で終わる5-位からも合成される、「5-アリール」置換物質を含むバルビツレート化合物を記載しているが、その教示はセコバルビタール誘導体のためのものである。
【0007】
本発明の化合物と同様に、バルビツレート核のN1から、すなわち5位の炭素からでなく、1位の窒素からつながったフェノバルビタール誘導体は、米国特許第5,284,948号、米国特許第5,298,403号、ヨーロッパ特許第517327号、および米国特許第5,601,994号に見られる。下記のダイアグラムを参照のこと。最後に引用した特許にはまた、バルビツレートのための酵素イムノアッセイが記載されているが、アッセイにおける他のバルビツレートの交差反応性を示さずにフェノバルビタールおよびその誘導体のみを例示している。
【化1】

【0008】
米国特許第5,284,948号および米国特許第5,298,403号ではまた、上記のN1-誘導体化物質から形成された酵素標識フェノバルビタール誘導体と、別の段階で遠沈/ペレット化したビーズ上に固定された抗体との結合について議論されており、ヨーロッパ特許第517327号には膜上に固定された抗体を使用した酵素イムノアッセイが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,614,823号
【特許文献2】米国特許第4,279,992号
【特許文献3】米国特許第4,543,412号
【特許文献4】米国特許第4,255,566号
【特許文献5】米国特許第4,363,874号
【特許文献6】米国特許第6,472,227号
【特許文献7】米国特許第5,099,020号
【特許文献8】米国特許第5,096,838号
【特許文献9】米国特許第5,618,926号
【特許文献10】米国特許第5,414,085号
【特許文献11】米国特許第5,284,948号
【特許文献12】米国特許第5,298,403号
【特許文献13】ヨーロッパ特許第517327号
【特許文献14】米国特許第5,601,994号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Recent Dev. Ther. Drug Monit. Clin. Toxicol., 1992, 375-381
【非特許文献2】Bioconjugate Chem., 2000, 11, 714-724
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記の背景に対し、本発明は、先行技術に対する確かな非自明な利点および進歩を提供する。特に、本発明者等は、イムノアッセイに有用なフェノバルビタール誘導体における改良の必要性を認識した。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者等は、5-位のアルキル鎖から合成される、特に親水性を有し、末端に活性エステルを有するフェノバルビタール誘導体によって、フェノバルビタールに特異的なRoche社のFPIA(蛍光偏光イムノアッセイ)抗体(「フェノバルビタールに特異的な抗体」)に対して競合させた場合に、ONLINE TDM(Roche Diagnostics Operations, Inc.)微粒子アッセイフォーマットでアッセイの所望の範囲に曲線を与えるアミノデキストランコンジュゲートの生成が可能となることを見出した。
【0013】
本発明の一実施形態は、下記構造を有する化合物に関する。
【化2】

【0014】
[式中、nは4-6であり、mは1-4であり、Rは-NHCO-または-CONH-であり、Lは直鎖状または分岐鎖状に配列した2-18個の炭素原子および1-6個のヘテロ原子を含み、そして1個までの環状構造を有する連結基であり、Rに結合する最初の原子が炭素であることを条件とし、Zは脱離基または多糖である。]
本発明のもう一つの実施形態は、下記構造を有する化合物に関する。
【化3】

【0015】
[式中、nは4-6であり、Lは直鎖状または分岐鎖状に配列した2-18個の炭素原子および1-6個のヘテロ原子を含み、そして1個までの環状構造を有する連結基であり、-CONH-に結合する最初の原子が炭素であることを条件とし、Zは脱離基または多糖である。]
本発明のもう一つの実施形態は、下記構造を有するフェノバルビタール類似体である。
【化4】

【0016】
本発明のもう一つの実施形態は、下記構造を有するフェノバルビタール類似体である。
【化5】

【0017】
本発明のもう一つの実施形態は、下記構造を有するフェノバルビタール類似体である。
【化6】

【0018】
本発明のもう一つの実施形態は、下記構造を有するフェノバルビタール類似体コンジュゲートである。
【化7】

【0019】
[式中Rはアミノデキストランである。]
本発明のもう一つの実施形態は、下記構造を有するフェノバルビタール類似体コンジュゲートである。
【化8】

【0020】
[式中Rはアミノデキストランである。]
本発明のもう一つの実施形態は、下記構造を有するフェノバルビタール類似体コンジュゲートである。
【化9】

【0021】
[式中Rはアミノデキストランである。]
本発明のもう一つの実施形態は、フェノバルビタールに特異的な抗体を被覆した微粒子、測定を実施するための説明書、および下記式のフェノバルビタール類似体コンジュゲートをパッケージ化された組み合わせ(packaged combination)で含む、サンプル中のフェノバルビタールを測定するための試験キットである。
【化10】

【0022】
[式中Rはアミノデキストランである。]
本発明のもう一つの実施形態は、フェノバルビタールに特異的な抗体を被覆した微粒子、測定を実施するための説明書、および下記式のフェノバルビタール類似体コンジュゲートをパッケージ化された組み合わせで含む、サンプル中のフェノバルビタールを測定するための試験キットである。
【化11】

【0023】
[式中Rはアミノデキストランである。]
本発明のもう一つの実施形態は、フェノバルビタールに特異的な抗体を被覆した微粒子、測定を実施するための説明書、および下記式のフェノバルビタール類似体コンジュゲートをパッケージ化された組み合わせで含む、サンプル中のフェノバルビタールを測定するための試験キットである。
【化12】

【0024】
[式中Rはアミノデキストランである。]
本発明のもう一つの実施形態は、以下の段階を含む、サンプル中のフェノバルビタールの存在または量を測定するためのイムノアッセイ方法である:
フェノバルビタールを含むことが疑われるサンプルを、フェノバルビタールに特異的な抗体、およびフェノバルビタール類似体コンジュゲートと組み合わせる段階であって、抗体は微粒子に結合しており、サンプル中のフェノバルビタールとフェノバルビタール類似体コンジュゲートとは抗体に競合的に結合し、そしてフェノバルビタール類似体コンジュゲートの抗体結合微粒子への結合によって微粒子の凝集が阻害される;および
凝集阻害の程度(amount)をサンプル中のフェノバルビタールの存在または量の尺度として測定する段階であって、フェノバルビタール類似体コンジュゲートは下記の構造を有する。
【化13】

【0025】
[式中Rはアミノデキストランである。]
本発明のもう一つの実施形態は、以下の段階を含む、サンプル中のフェノバルビタールの存在または量を測定するためのイムノアッセイ方法である:
フェノバルビタールを含むことが疑われるサンプルを、フェノバルビタールに特異的な抗体、およびフェノバルビタール類似体コンジュゲートと組み合わせる段階であって、抗体は微粒子に結合しており、サンプル中のフェノバルビタールとフェノバルビタール類似体コンジュゲートとは抗体に競合的に結合し、そしてフェノバルビタール類似体コンジュゲートの抗体結合微粒子への結合によって微粒子の凝集が阻害される;および
凝集阻害の程度をサンプル中のフェノバルビタールの存在または量の尺度として測定する段階であって、フェノバルビタール類似体コンジュゲートは下記の構造を有する。
【化14】

【0026】
[式中Rはアミノデキストランである。]
本発明のもう一つの実施形態は、以下の段階を含む、サンプル中のフェノバルビタールの存在または量を測定するためのイムノアッセイ方法である:
フェノバルビタールを含むことが疑われるサンプルを、フェノバルビタールに特異的な抗体、およびフェノバルビタール類似体コンジュゲートと組み合わせる段階であって、抗体は微粒子に結合しており、サンプル中のフェノバルビタールとフェノバルビタール類似体コンジュゲートとは抗体に競合的に結合し、そしてフェノバルビタール類似体コンジュゲートの抗体結合微粒子への結合によって微粒子の凝集が阻害される;および
凝集阻害の程度をサンプル中のフェノバルビタールの存在または量の尺度として測定する段階であって、フェノバルビタール類似体コンジュゲートは下記の構造を有する。
【化15】

【0027】
[式中Rはアミノデキストランである。]
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明の実施形態の下記の詳細な記載は、添付した図面と合わせて読むと最もよく理解することができる。具体的な化合物は参照番号で示す。
【図1】4-(2-{2-[2-(2-{4-[4-(2,4,6-トリオキソ-5-フェニル-ヘキサヒドロ-ピリミジン-5-イル)-ブチルカルバモイル]-ブチリルアミノ}-エトキシ)-エトキシ]-エチルカルバモイル}-エチル)-安息香酸2,5-ジオキソ-ピロリジン-1-イルエステル(化合物(6))の合成を示す。
【図2】6-(2,4,6-トリオキソ-5-フェニル-ヘキサヒドロ-ピリミジン-5-イル)-ヘキサン酸2,5-ジオキソ-ピロリジン-1-イルエステル(化合物(12))の合成を示す。
【図3】3-(2-{2-[6-(2,4,6-トリオキソ-5-フェニル-ヘキサヒドロ-ピリミジン-5-イル)-ヘキサノイルアミノ]-アセチルアミノ}-アセチルアミノ)-プロピオン酸2,5-ジオキソ-ピロリジン-1-イルエステル(化合物(14))の合成を示す。
【図4】4-{[6-(2,4,6-トリオキソ-5-フェニル-ヘキサヒドロ-ピリミジン-5-イル)-ヘキサノイルアミノ]-メチル}-安息香酸2,5-ジオキソ-ピロリジン-1-イルエステル(化合物(17))の合成を示す。
【図5】N-[2-(2-{2-[6-(2,4,6-トリオキソ-5-フェニル-ヘキサヒドロ-ピリミジン-5-イル)-ヘキサノイルアミノ]-エトキシ}-エトキシ)-エチル]-テレフタルアミド酸2,5-ジオキソ-ピロリジン-1-イルエステル(化合物(20))の合成を示す。
【図6】N-{2-[2-(2-{4-[4-(2,4,6-トリオキソ-5-フェニル-ヘキサヒドロ-ピリミジン-5-イル)-ブチルカルバモイル]-ブチリルアミノ}-エトキシ)-エトキシ]-エチル}-テレフタルアミド酸2,5-ジオキソ-ピロリジン-1-イルエステル(化合物(21))の合成を示す。
【図7】アミノデキストランコンジュゲート(22)、(23)、(24)、(25)、および(26)の、それぞれ対応するNHSエステル(6)、(14)、(17)、(20)、および(21)からの合成を示す。
【図8】実施例21に従ってアミノデキストランコンジュゲート(22)、(23)、(24)、(25)、および(26)を使用して作成した標準曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下の実施例において、数字は図面中の対応する構造を示す。
【0030】
本発明の特定の化合物は式Aの構造を有する。
【化16】

【0031】
[式中、nは4-6であり、mは1-4であり、Rは-NHCO-または-CONH-であり、Lは直鎖状または分岐鎖状に配列した2-18個の炭素原子および1-6個のヘテロ原子を含み、そして1個までの環状構造を有する連結基であり、Rに結合する最初の原子が炭素であることを条件とし、Zは脱離基または多糖である。]
本発明の他の化合物は、式Bの構造を有する。
【化17】

【0032】
[式中、nは4-6であり、Lは直鎖状または分岐鎖状に配列した2-18個の炭素原子および1-6個のヘテロ原子を含み、1個までの環状構造を有する連結基であり、-CONH-に結合する最初の原子が炭素であることを条件とし、Zは脱離基または多糖である。]
中心核、および5-位からの(C2-C6)NH部分を有する既知の化合物、並びに、中心核、および5-位からの(C2またはC4)CO部分を有する既知の化合物がある。しかしながら、これらのいずれも、本発明の化合物、特に好ましい式Aの化合物6および21、および更に親水性リンカーを特徴とする式Bの化合物14における、末端の活性化された基も、基の配列も有さない。これらの化合物を使用して、対応する好ましいアミノデキストランコンジュゲート22および26、並びにコンジュゲート23(図7)を作製したが、このうち22が特に好ましい。化合物22-26は全て、Roche ONLINE TDM アッセイフォーマットにおいて非常に類似した標準曲線を与えたが、一般式Aの物質は一般的に、一般式Bのもの、特に物質20/25と比較して、陰性サンプルに対して偽陽性のバイアスが少ないことが判明した。20/25は、14/23と非常に類似した総体的物性(gross physical properties)を有することが期待されたが、陰性サンプルにおける明確なバイアスのために最も好ましくなく、予想外の結論を構成するものであった。更に、双方の一般式の物質を全体として考慮した場合、物質20/25はまた、双方が連結鎖全体で優位を占めるDADOO-フタレート部分構造を有する物質21/26に非常に類似した総体的物性を有することが期待されたが、物質20/25(最も好ましくないもの)は物質21/26(2番目に好ましいもの)と比較して、陰性サンプルにおけるバイアスがはっきりと大きいものであった。このことも、予想外の結果の一因となっていた。
【化18】


【0033】
本発明のこれらおよび他の特徴および利点は、特許請求の範囲と共に、以下の本発明の詳細な説明からより十分に理解されるであろう。特許請求の範囲は、その記載によって規定され、本明細書に示す特徴および利点の特定の議論によって規定されるものではないことを留意されたい。
【0034】
「好ましくは」、「一般に」、および「典型的には」等の用語が、本明細書において請求された本発明の範囲を限定するか、または請求された本発明の構造または機能にとって特定の特徴が決定的、本質的、あるいは重要でさえあることを意味するために使用されてはいないことを留意されたい。むしろ、これらの用語は、単に本発明の特定の実施形態において利用され得るか、もしくは利用され得ない選択肢または更なる特徴を強調することを意図するものである。
【0035】
本発明を記載し、規定する目的のために、用語「実質的に」は、本明細書において、任意の量的比較、値、測定、または他の表現に帰す特有の不確実性の程度を示すために使用することを留意されたい。用語「実質的に」はまた、問題となっている主題の基本的機能は変化せずに、記載された参考文献と量的な表現が異なり得る程度を示すために使用される。
【0036】
図1〜7に示す合成スキームは、フェノバルビタールのためのRoche ONLINE TDM イムノアッセイで使用するために評価した5種の標識の合成を示す。好ましい標識は化合物6、14、および21であり、好ましいアミノデキストランコンジュゲートは対応する化合物22、23、および26である。図8は、5種のアミノデキストランコンジュゲート全て(図7参照)を用いてRoche-Hitachi 917装置(Roche Diagnostics GmbH)で作成した標準曲線を示し、互いに密接な合致を示す。実施例22中の表は、種々のアミノデキストランコンジュゲートのそれぞれを使用し、それぞれの標準曲線を読み取って、陰性血清サンプル(すなわち実際にはフェノバルビタールを含有しないもの)中に見られるフェノバルビタールの見かけの濃度を示す。
【0037】
アミノデキストランコンジュゲートは本発明のフェノバルビタール誘導体から形成され、アミノデキストラン1分子あたり複数の薬剤部分を含む。これらのコンジュゲートは、緩衝液に溶解して、KIMS 微粒子凝集アッセイフォーマットにおいて、緩衝液中に懸濁した微粒子上に固定化したフェノバルビタールに特異的な抗体に結合する。アミノデキストランコンジュゲートは微粒子を架橋し、微粒子の凝集が特定の比率で生じる。凝集率はサンプルの光透過率の変化で測定する。遊離のフェノバルビタールはコンジュゲートの微粒子上抗体への結合と競合し、凝集が用量依存的に阻害され(凝集率が低下する)、遊離のフェノバルビタールの濃度に比例してサンプルの吸光度の上昇率が低下する。次いで、動的速度差のプロットを使用して血清サンプル中のフェノバルビタールレベルを測定する。最も好ましいコンジュゲート22の使用により、陰性サンプルで最もバイアスの少ないアッセイが得られた。
【0038】
微粒子フォーマットでの初期のイムノアッセイ(米国特許第5,618,926号)は、フェノバルビタールに特異的なものではなく、クラスとしてのバルビツレートの検出に関するものであり、フェノバルビタールは29%の交差反応性を有する。このフォーマットは、誘導体がBSAにコンジュゲートし、微粒子上に固定されたセコバルビタール誘導体であり、抗体が溶液中にあるものである。
【0039】
先行技術では、フェノバルビタール核の5-位から誘導体を合成しているが、一般に本発明の特徴である特定のリンカーまたは末端の活性化基を有さない。特に、親水性リンカーの使用が有利であることも、このような親水性リンカーのわずかな変化で大きな差異があることも教示されてはいない。例えば、特に基礎構造の-NHCO-(CH2)m-R-L-CO-Zと-CONH-L-CO-Zとの微妙な相違によって陰性サンプルの望ましくないバイアスが生じ得ることは、本発明者等が発見したことである。
【0040】
本発明のもう1つの態様は、フェノバルビタールの測定のための、本発明のコンジュゲートを使用するアッセイ方法を好都合に実施するために有用なキットに関する。本発明の汎用性を高めるために、本発明の方法において有用な試薬は、試薬の比率によって方法およびアッセイの実質的な最適化を提供するために、同じかまたは別個の容器で、液体または凍結乾燥形態でパッケージ化された組み合わせで提供することができる。試薬はそれぞれ別個の容器内にあってもよく、あるいは種々の試薬を、成分の交差反応性および安定性に応じて1個以上の容器内で組み合わせることもできる。
【0041】
本発明のキットは、フェノバルビタールに特異的な抗体、本発明に係るコンジュゲート、例えばアミノデキストランコンジュゲート(22)、(23)、(24)、(25)、または(26)、および任意の補助的な試薬を含む。試薬は液状のままであっても、凍結乾燥されていてもよい。本発明に係る微粒子凝集アッセイを実施するために、抗体は微粒子にコンジュゲートさせる。キットは更に、パッケージ化された組み合わせで、アッセイを実施する上で使用するための説明書または指示書、ならびに校正用および対照用の物質のセットを含むことができる。
【0042】
本発明のアッセイは、溶液中の微粒子の動的相互作用(KIMS)に基づく。フェノバルビタール抗体は微粒子に共有結合させ、薬剤誘導体は巨大分子、例えばアミノデキストランに連結させる。溶液中の微粒子の動的相互作用は薬剤-コンジュゲートの微粒子上抗体への結合によって誘導され、サンプル中のフェノバルビタールの存在によって阻害される。競合反応は、薬剤コンジュゲートおよび血清サンプル中のフェノバルビタール間で、微粒子上フェノバルビタール抗体への結合について生じる。その結果、微粒子の動的相互作用はサンプル中に存在する薬剤の量に間接的に比例する。
【0043】
本発明がより容易に理解され得るように、以下の実施例を参照するが、これらは本発明を説明することを意図するものであり、その範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0044】
以下の実施例において、数字は図面中の対応する構造を示す。
【0045】
他に記載しない限り、試薬はAldrich Chemical社から入手した。溶媒は全てJ.T. Baker社から入手し、他に記載しない限りA.C.S.グレードまたはHPLCグレード以上のものとした。トリエチルアミンはFluka Chemical社から入手した(Cat# 90340;puriss.;≧99.5%)。ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)、乾燥ジメチルスルホキシド(DMSO)および乾燥ジメチルホルムアミド(DMF)はAldrich Chemical社から入手した。無水の溶媒の全ての添加/回収および操作はシリンジ/針で行った。テトラヒドロフラン(THF)は、沸騰させ、アルゴン下でナトリウム/ベンゾフェノンから蒸留することによって乾燥させた。塩化メチレンは、沸騰させ、アルゴン下で水素化カルシウムから蒸留することによって乾燥させた。カラムクロマトグラフィーは、E.M. Science社のフラッシュグレードのシリカゲル(Cat. # 9385-9; シリカゲル60;230-400メッシュ ASTM)を使用し、窒素の陽圧下で実施した。薄層クロマトグラフィー(TLC)はE.M. Science社から入手したシリカゲルプレート(Cat. # 5715-7;厚さ0.025 cm)を使用して実施した。混合溶媒は体積/体積比率として表す(例えば10% MeOH-CHCl3は体積で10%のメタノールを含有するクロロホルムである)。HPLC分析は、ダイオードアレイ検出器および4個の(quaternary)ポンプで構成されたAgilent 1100 LC/MSシステムで実施した。LC分析は、Phenomenexガードモジュール(Phenomenex KJO-4282/C18 ODS 5μ)を有し、カラムからMS検出器へクロマトグラフィーストリームが流れるVydac 218TP54 カラム(RP-C18;300Å、5μ)で実施した。使用したMSDはES(+)モード(エレクトロスプレー;陽イオンモード)で行った。調製用RP-HPLCは、2個のSD1チタンヘッド 2000psi ポンプを用い、Varian Dynamax UV-C可変波長検出器を有するVarian Dynamax(Rainin)システム上で実施した。分離は、モジュラーVarian Dynamaxラジアル圧縮カラム(ガードモジュール(R00083221G;C18, 8μ)を備えたカラム I(R00083221C;Microsorb 60-8, C18, 250 x 21.4 mm);またはガードモジュール(R00083241G;C18, 8μ)を備えたカラムII(R00083241C;Microsorb 60-8, C18, 250 x 41.4 mm))上で実施した。1H-NMR スペクトルは、それぞれSun/Sparcステーションを備えたVarian Gemini 2000分光計(200 MHz)、またはVarian XL-400 分光計(400 MHz)で得た。
【0046】
実施例1. 化合物(1)の合成
101 mg(0.259 mmol)の化合物(1) [ a) Krausz, L.M.; Hitz, J.B.; Buckler, R.T. およびBurd, J.F. Therapeutic Drug Monitoring, 1980, 2, 261-272; b) Castro, A.; Chung, A.およびMonji, N. Research Communications in Chemical Pathology and Pharmacology, 1980, 28, 309-317.]を15 mLの乾燥THF中に溶解した76μL(0.55 mmol;2.1当量)のトリエチルアミンを含有する室温の攪拌溶液に、47 mg(0.41 mmol;1.6当量)の無水グルタル酸を添加した。室温で短時間攪拌した後、反応液をアルゴン下、還流しながら沸騰させた(90℃の油浴)。1時間後にRP-HPLCで分析すると、主生成物の単一ピークを有し、反応が完了したことが示された。反応液を減圧下でエバポレートして乾固させた(ロートバップ)。残渣を約2.5 mLの1:1 MeCN/水に再度溶解し、濾過し(0.45μ)、調製用RP-HPLC [カラムI]で以下のグラジエントで溶出させて精製した:0.1%TFA/水中に0.1%TFA/MeCNを5%(0分)→ 100%(20分)→ 100%(22分)→ 5%(27分);20mL/分。生成物を含有する画分を合わせ、MeCNを減圧下で除去し、水性の残渣を凍結し(ドライアイス/アセトン)、一晩凍結乾燥して化合物(2)を白色粉末固体として得た(99 mg、収率98%)。LC/MS:tR 約8.8分[0.1%TFA/水中に0.1%TFA/MeCNを5%(0分)→ 88%(17.5 分)];実測されたM+H 390.1。1H-NMR:合致。
【0047】
実施例2. 化合物(3)の合成
54.1 mg(0.139 mmol)の化合物(2)を4 mLの乾燥DMFに溶解したアルゴン下の攪拌溶液に、16.1 mg(0.140 mmol)のN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)および38.1 mg(0.199 mmol)の3-エチル-1-ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩(EDC.HCl)を添加し、溶液を室温で約3時間、アルゴン下で攪拌した。LC/MSにより、NHSエステルが部分的に生成したことが示された。更に32.3 mg(0.281 mmol;総添加量 = 0.421 mmol、3当量)のNHSおよび55.3 mg(0.288 mmol;総添加量 = 0.487 mmol、3.5当量)のEDC.HClを添加し、反応液を室温で一晩、アルゴン下で攪拌した。LC/MSにより、所望のNHSエステル(3)に本質的に完全に変換したことが示された。LC/MS:tR 約10.0分 [0.1%TFA/水中に0.1%TFA/MeCNを5%(0分)→ 88%(17.5分)];実測されたM+H 487.1。生成物の全混合液/溶液を、更に精製することなく、次の段階でそのまま使用した [実施例3参照]。
【0048】
実施例3. 化合物(4)の合成
81.2μL(約0.554 mmol;約4当量)[ピペットで]の2,2'-(エチレンジオキシ)-ジエチルアミン [Fluka 03739](DADOO)を 4 mLの乾燥THFおよび2 mLの乾燥DMFに溶解したアルゴン下の室温の溶液に、(3)を含有する全反応液/生成物混合液(約4 mL)(実施例2で得たもの;シリンジで小さな添加用漏斗に移した)を効率的に攪拌しながら20分間かけて滴下した。実施例2で使用したフラスコおよび添加用漏斗を4 mLの乾燥THFで洗い流し、洗液を約15分間かけて反応液に滴下した。約0.5時間後に反応液を分析すると、NHSエステル(3)の消失と、少量の2量体物質を含む所望の生成物(4)の生成が示された(tR 約8.25分)。反応液を減圧下でエバポレートしてTHFを除去し、次いで高真空下(高真空ロートバップ)でDMFを除去した。残渣を1:1 MeCN/水に再度溶解し、濾過し(0.45μ)、調製用RP-HPLCで以下のグラジエントで溶出して精製した:0.1%TFA/水中に0.1%TFA/MeCNを5%(0分)→ 100%(20分)→ 100%(22分)→ 5%(27分);40mL/分。生成物画分を減圧下でエバポレートしてMeCNを除去し、水性の残渣を凍結し(ドライアイス/アセトン)、一晩凍結乾燥して化合物(4)(モノ-TFA塩と認められる)を白色固体として得た(55 mg、2つの段階で収率60%)。LC/MS: tR 約8.26分 [0.1%TFA/水中に0.1%TFA/MeCNを5%(0分)→ 88%(17.5分)];実測されたM+H 520.2、M+Na 542.2。1H-NMR:合致。
【0049】
実施例4. 化合物(5)の合成
49.7 mg(0.078 mmol)の化合物(5)、および23.9 mg(0.082 mmol、1.05当量)の化合物(7) [実施例6参照]を2 mLの乾燥DMFに溶解したアルゴン下の室温の溶液に、43.8μLのジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を添加し、透明な溶液を速やかに攪拌した。約3時間後にLC/MSで分析して、生成物、および生成物の後に溶出する少量の副生成物の生成、および残存する出発物質が示された。更に5.0 mg(0.017 mmol;総添加量 = 0.099 mmol、1.27当量)の(7)を添加し、室温で攪拌を継続した。1時間後にLC/MSで分析すると、微量の出発物質が残存していることが示された。反応液を高真空下でエバポレートした(高真空ロートバップ)。残渣を1:1 MeCN/水に再度溶解し、濾過し (0.45μ)、調製用RP-HPLCで以下のグラジエントで溶出させて精製した:0.1%TFA/水中に0.1%TFA/MeCNを15%(0分)→ 60%(20分)→ 100%(22分)→ 15%(27分);20 mL/分。生成物画分を溜め、MeCNを減圧下で蒸発させ、水性の残渣を凍結し(ドライアイス/アセトン)、一晩凍結乾燥して化合物(5)を白色固体として得た(29.7 mg、収率55%)。LC/MS: tR 約10.1 分 [0.1%TFA/水中に0.1%TFA/MeCNを15%(0分)→ 60%(20分)→ 100%(25分)→ 15%(30分)];実測されたM+H 696.2、M+Na 718.2。1H-NMR:合致。
【0050】
実施例5. 化合物(6)の合成
20.4 mg(0.029 mmol)の化合物(5)を3 mLの乾燥DMFに溶解したアルゴン下の室温の攪拌溶液に、6.4 mg(0.056 mmol、1.9当量)のNHSおよび10.5 mg(0.055 mmol、1.9 当量)のEDC.HCl、続いて11.5μLのトリエチルアミンを添加し、反応液を室温で一晩攪拌した。LC/MSでの分析により、反応が完了していないことが示された。更に12.8 mg(0.111 mmol、3.8 当量)のNHSおよび20.7 mg(0.108 mmol、3.7当量)のEDC.HClを添加し、室温で一晩攪拌を継続した。LC/MSで再度分析して、今度は反応が完了したことが示された。反応液をエバポレートして乾固させ(高真空ロートバップ)、残渣を、予め充填したシリカゲルカラムクロマトグラフィー [長さ約10 mm x 内径約1 1/2 mmカラム]で10% MeOH-CH2Cl2で溶出させて直接精製した。生成物を含有する画分を合わせ、減圧下でエバポレートし、乾燥CH2Cl2と共に攪拌し、再度エバポレートし、このプロセスを数回繰り返した。残渣を高真空下で乾燥して化合物(6)を白色固体として得た(18.1 mg、収率79%)。LC/MS: tR 約10.55 分 [0.1%TFA/水中の0.1%TFA/MeCNを5%(0分)→ 88%(17.5分)];実測されたM+H 793.2、M+Na 815.2。1H-NMR:合致。
【0051】
実施例6. 化合物(7)の合成
3-(4-カルボキシフェニル)プロピオン酸(Lancaster Chemical社)および1当量のN-ヒドロキシスクシンイミド(Aldrich Chemical社)を乾燥THFに入れた室温の攪拌懸濁液を1当量のt-ブチルイソシアニド(Aldrich Chemical社)で処理して数日間反応させ、続いて生成物を単純に濾過して化合物(7)(微細な固体)を得、THFで洗浄し、真空下で乾燥した。
【0052】
実施例7. 化合物(21)の合成
17.9 mg(0.05 mmol)の化合物(19)[米国特許第6,811,998号の実施例52参照]を1 mLの乾燥DMFおよび4 mLの乾燥THFに溶解した激しく攪拌している室温の溶液に、26.0 mg(0.04 mmol)の化合物(4)を2 mLの乾燥DMFおよび5 mLの乾燥THFに溶解した、22μLのジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を含む溶液を滴下した(添加用漏斗を使用)。約2時間後にLC/MSで分析すると、生成物(21)が生成して反応が本質的に完了していることが示された。溶媒を反応液から除去し(ロートバップ、次いで高真空ロートバップ)、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー [アセトニトリル(MeCN)-THF (7:3)中に予め充填; MeCN-THF (7:3)、次いでMeCN-THF (3:7)で溶出]で精製した。生成物を含有する画分を回収し、合わせてエバポレートした。残渣を乾燥CH2Cl2で再溶解/攪拌して再度エバポレートし(1回繰り返した)、次いで高真空下で一晩乾燥してわずかに不純な化合物(21)を得た。この物質を1:1 MeCN/水に再度溶解し、濾過し(0.45μ)、調製用RP-HPLCで以下のグラジエントで溶出させて再度精製した:0.1%TFA/水中の0.1%TFA/MeCNを15%(0分)→ 100%(20分)→ 100%(23分)→ 15%(28分);20mL/分。生成物画分を速やかに凍結し(ドライアイス/アセトン)、MeCNを昇華させ(高真空ロートバップ、ドライアイス/アセトンコンデンサーインサート)、まだ凍結している残渣を一晩凍結乾燥して化合物(21)を得た(9.8 mg、全体で約30%)。LC/MS: tR 約9.64 分 [0.1%TFA/水中の0.1%TFA/MeCNを15%(0分)→ 100%(20分)];実測されたM+H 765.2、M+Na 787.2。1H-NMR:合致。
【0053】
実施例8. 化合物(9)の合成
攪拌棒を有する丸底フラスコに入れた鉱油中水素化ナトリウム60%分散液2.54 g(実際の物質1.524 g、0.0635 molに相当)(Aldrich Chemical社)を乾燥ヘキサンで洗浄し(3 x 10 mL)、その都度ピペットでヘキサンを除いた。洗浄した水素化ナトリウムを真空下で短時間乾燥し、次いでアルゴン下で30 mLの乾燥DMFに懸濁した。この攪拌懸濁液に、9.12 mL(10.0 g、0.0423 mol)のジエチル2-フェニルマロネート(Aldrich Chemical社)をシリンジで約15分間かけて、必要に応じて水浴で発熱反応を抑えながら添加し、反応液を10分間攪拌した。得られた混合液に8.42 mL(11.18 g、0.0635 mol)の6-ブロモヘキサンニトリル(Aldrich Chemical社)をシリンジで約5分間かけて滴下し、褐色となった反応液を一晩攪拌した。LC/MSで分析すると生成物(9)の形成が示された。反応を200 mLの100 mMリン酸カリウム(pH 7)で停止させ、CH2Cl2で抽出した。水相のpHを蒸留HClで再度約7に調整し、CH2Cl2で再度抽出した(x2)。有機相を合わせて100 mM リン酸カリウム(pH 7)、次いで飽和NaCl水溶液で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、エバポレートして粘性の油を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(20% EtOAc-ヘキサン中に予め充填し、同じ液で溶出)で精製し、2つの画分で粘性のある液体として生成物(9)を得た(総収量8.28 g、59%)。LC/MS: tR 約16.28分 [0.1%TFA/水中に0.1%TFA/MeCNを5%(0分)→ 88%(17.5分)];実測されたM+H 332.2、M+Na 354.2。1H-NMR:合致。
【0054】
実施例9. 化合物(10)の合成
マグネシウムメトキシドの溶液を、440 mg(18.1 mmol)の削り屑状マグネシウム(Aldrich Chemical社)を10 mLの無水メタノールに慎重に加熱し(反応開始)、アルゴン下で1時間慎重に沸騰させながら溶解して調製した。この溶液に905 mg(15.09 mmol)の尿素(Aldrich Chemical社)を添加し、70℃で予め乾燥し、約15分間沸騰を続けた。反応液を少し冷却し、この温かい溶液に2.0 g(6.035 mmol)の化合物(9)を添加した。反応液をLC/MSで追いながら約20時間沸騰させ、次いで室温まで冷却した。この不均質な混合液からメタノールを除去し(ロートバップ)、残渣を水で処理し、混合液を6N HClでpH 約3〜4に酸性化し、混合液からEtOAcで2回抽出した。有機相を合わせて2/3飽和NaCl、飽和NaClで洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、エバポレートし(ロートバップ)、高真空下で乾燥して粗生成物を半結晶性の粘性物質として得た。これを約10 mLの50%EtOAc-ヘキサンで粉砕した。得られた固体を濾取し、少量の50%EtOAc-ヘキサンで洗浄し、乾燥して第1の収穫物の639 mgの化合物(10)を得た。母液を濃縮乾固して残渣を50%EtOAc-ヘキサンで粉砕した。得られた固体を濾取し、少量の50%EtOAc-ヘキサンで洗浄し、乾燥して第2の収穫物の99 mgの化合物(10)を得た。総収量:738 mg、41%。LC/MS:tR 約10.93 分[0.1%TFA/水中の0.1%TFA/MeCNを5%(0分)→ 100%(20分)];実測されたM+H 300.1、M+Na 322.1。1H-NMR:合致。
【0055】
実施例10. 化合物(11)の合成
408 mg(1.363 mmol)の化合物(10)を6 mLの8N HClに入れた攪拌懸濁液を、アルゴン下、還流冷却器で一晩沸騰させた(120℃の油浴)。反応液を室温まで冷却した。白色固体を濾取し、水で完全に洗浄し、陰圧で風乾し、次いで高真空下で乾燥して高純度の白色固体として化合物(11)を得た(376 mg、87%)。LC/MS:tR 約9.94 分 [0.1%TFA/水中の0.1%TFA/MeCNを5%(0分)→ 100%(20分)];実測されたM-OH 301.1、M+H 319.1、M+Na 354.2。1H-NMR:合致。
【0056】
実施例11. 化合物(12)の合成
200 mg(0.63 mmol)の化合物(11)および80 mg(0.695 mmol)のN-ヒドロキシスクシンイミド(Aldrich Chemical社)を10 mLの乾燥CH2Cl2 に入れた半溶液(semi-solution)に、133 mg(0.695 mmol)のEDC.HCl(Sigma Chemical社)、続いて0.5 mLの乾燥 DMFを添加して、物質の溶解を補助した。室温で一晩アルゴン下で攪拌した後、透明な溶液のLC/MS分析により、反応が本質的に完了したことが示された。反応液をCH2Cl2(過剰量)で希釈し、有機相を、飽和NaClで希釈した0.1N HCl、半飽和NaCl、飽和NaClで順次洗浄し;乾燥し(Na2SO4)、エバポレートして(ロートバップ)、許容純度の329 mgのNHSエステル生成物(12)を得た。LC/MS: tR 約11.43 分 [0.1%TFA/水中に0.1%TFA/MeCNを5%(0分)→ 100%(20分)];実測されたM+H 416.1、M+Na 438.1。1H-NMR:合致、+DMFおよび微量の不純物(活性化反応の副生成物 [N-(ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルウレア])。この物質を更に精製することなく使用した。
【0057】
実施例12. 化合物(13)の合成
159 mgの粗化合物(12)[実施例11で得たもの]を5 mLの乾燥THFに溶解したアルゴン下の攪拌溶液に、100 mg(0.492 mmol)のグリシル-グリシル-β-アラニン(Gly-Gly-βAla)(Bachem Americas, Cat# H-3295)を合計5 mLの水に溶解した溶液を添加した。反応液は濁り、微細な固形沈殿物の出現した。pHを1N NaOHを約20分間かけて滴下してpH 約9〜10に調整した(反応液が透明になった)。LC/MS分析により、反応が完了したことが示された。溶媒(THF)を蒸発させ(ロートバップ)、水性の残渣を少量のMeCNで希釈し、濾過し、少量のMeCNおよび水で再度希釈して透明な溶液を維持し、調製用RP-HPLCを数回行って以下のグラジエントで溶出させて精製した:0.1%TFA/水中に0.1%TFA/MeCNを5%(0分)→ 100%(20分)→ 100%(22分)→ 5%(27分);40mL/分。主生成物の画分を合わせ、減圧下でエバポレートしてMeCNを除去し、水性の残渣を凍結し(ドライアイス/アセトン)、一晩凍結乾燥して化合物(13)を白色固体として得た(97 mg、2つの段階で収率61%)。LC/MS: tR 約8.37分[0.1%TFA/水中に0.1%TFA/MeCN を5%(0分)→ 88%(17.5分)];実測されたM+H 504.1、M+Na 526.1。1H-NMR:合致。
【0058】
実施例13. 化合物(14)の合成
50 mg(0.099 mmol)の化合物(13)および13 mg(0.109 mmol)のN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)(Aldrich Chemical社)を5 mLの乾燥CH2Cl2に溶解したアルゴン下の攪拌半溶液に、21 mg(0.109 mmol)のEDC.HCl(Sigma Chemical社)、続いて1 mLの乾燥DMFを添加した。室温で一晩攪拌した後、更に27 mgのNHSおよび30 mgのEDC.HClを添加し、更に一晩攪拌を継続した。LC/MS 分析により、少量の出発物質および不純物を含む生成物の形成が示された。反応液をEtOAcで希釈し、[0.1N HCl + 飽和NaCl (1:1)]、半飽和NaCl、飽和NaClで洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、エバポレートした(ロートバップ)。残渣を1:1 MeCN/水に再度溶解し、濾過し(0.45μ)、調製用RP-HPLCで以下のグラジエントで溶出して精製した:0.1%TFA/水中に0.1%TFA/MeCNを5%(0分)→ 100%(20分)→ 100%(22分)→ 5%(27分);40mL/分。生成物画分を速やかに凍結し(ドライアイス/アセトン)、MeCNを昇華させ(高真空ロートバップ、ドライアイス/アセトンコンデンサーインサート)、まだ凍結している残渣を一晩凍結乾燥して化合物(14)を得た(18 mg、合計約31%)。LC/MS: tR 約9.18分[0.1%TFA/水中に0.1%TFA/MeCNを5%(0分)→ 88%(17.5分)];実測されたM+H 601.2、M+Na 623.2。1H-NMR:合致。
【0059】
実施例14. 化合物(16)の合成
84 mgの粗化合物(12) [実施例11参照] を4 mLの乾燥THFに溶解したアルゴン下の攪拌溶液に、32 mg(0.212 mmol)の4-(アミノメチル)安息香酸(Aldrich Chemical社)、続いて2 mLの水を添加した。不均質な反応混合液のpHを、0.1N、次いで1N NaOHで約15分間かけて約9〜10に調整し、ほぼ透明な反応溶液を得た。0.5時間後、LC/MS分析により、反応が完了したことが示された。pHを1N HClで約4〜5に調整し、溶媒を除去し(ロートバップ、次いで高真空ロートバップ)、残渣を高真空下で乾燥した。この物質を1:1 MeCN/水に再度溶解し、濾過し(0.45μ)、調製用RP-HPLCで以下のグラジエントで溶出させて精製した:0.1%TFA/水中の0.1%TFA/MeCNを5%(0分)→ 100%(20分)→ 100%(22分)→ 5%(27分);20mL/分。生成物画分を合わせ、ほとんどのMeCNを蒸発させ(ロートバップ)、水性の残渣を凍結し(ドライアイス/アセトン)、一晩凍結乾燥して化合物(16)を得た(76mg、収率89%)。LC/MS:tR 約10.37分[0.1%TFA/水中の0.1%TFA/MeCNを5%(0分)→ 88%(17.5分)];実測されたM+H 452.1、M+Na 474.2。1H-NMR:合致。
【0060】
実施例15. 化合物(17)の合成
18 mg(0.04 mmol)の化合物(16)、および23 mg(0.199 mmol)のN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)(Aldrich Chemical社)を4 mLの乾燥CH2Cl2に溶解させたアルゴン下の攪拌半溶液に、23 mg(0.12 mmol)のEDC.HCl(Sigma Chemical社)を添加し、攪拌を一晩継続した。透明な反応液をEtOAcで希釈し、飽和NaClで希釈した0.1N HCl、半飽和NaCl、飽和NaClで順次洗浄し;乾燥し(Na2SO4)、エバポレートした(ロートバップ)。得られた物質を1:1 MeCN/水に再度溶解し、濾過し(0.45μ)、調製用RP-HPLCで以下のグラジエントで溶出して精製した:0.1%TFA/水中の0.1%TFA/MeCNを5%(0分)→ 100%(20分)→ 100%(22分)→ 5%(27分);20mL/分。生成物画分を合わせ、速やかに凍結し(ドライアイス/アセトン)、MeCNを昇華させ(高真空ロートバップ、ドライアイス/アセトンコンデンサーインサート)、まだ凍結している残渣を一晩凍結乾燥して化合物(17)を得た(16 mg、73%)。LC/MS: tR 約11.48分[0.1%TFA/水中の0.1%TFA/MeCNを5%(0分)→ 88%(17.5分)];実測されたM+H 549.2、2M+Na 1097.3。1H-NMR:合致。
【0061】
実施例16. 化合物(18)の合成
100 mg(0.314 mmol)の酸化合物(11)、40 mg(0.348 mmol)のNHS、および65 mg(0.339 mmol)のEDC.HClの混合物を5 mLの乾燥THFおよび5 mLの乾燥CH2Cl2に溶解した溶液を、室温で一晩、アルゴン下で攪拌した。LC/MS分析により、NHSエステル(12)へのかなりきれいな変換が示された。この溶液を全て滴下用漏斗に移し、93 mg(0.628 mmol)の2,2'-(エチレンジオキシ)-ジエチルアミン [Fluka 03739](DADOO)を10 mLの乾燥CH2Cl2に溶解した急速攪拌溶液に約15分間かけて添加した。最初は透明だった反応液は、微細な油滴が反応混合液中に分散して濁った。反応液(上清+油分のアリコート)のLC/MS分析により、反応が完了したことが示された。揮発性物質を蒸発させ(ロートバップ)、残渣をMeCN-水(1:1)に再度溶解し、トリフルオロ酢酸(TFA)でpH 約3〜4に酸性化し、濾過し(0.45μ)、RP-HPLCで以下のグラジエントで溶出させて精製した:0.1%TFA/水中に0.1%TFA/MeCNを5%(0分)→ 100%(20分)→ 100%(22分)→ 5%(27分);40mL/分。主生成物の画分を合わせ、ほとんどのMeCNを蒸発させ(ロートバップ)、水性の残渣を凍結し(ドライアイス/アセトン)、一晩凍結乾燥して、TFA塩と認められる化合物(18)を得た(120 mg、収率68%)。LC/MS:tR 約8.49分 [0.1%TFA/水中に0.1%TFA/MeCNを5%(0分)→ 88%(17.5分)];実測されたM+H 449.1。1H-NMR:合致。
【0062】
以下に示す少量の「2量体」化合物(15)も単離した(15.5 mg、6.6%)。LC/MS: tR 約11.07分[0.1%TFA/水中に0.1%TFA/MeCNを5%(0分)→ 88%(17.5分)];実測されたM+H 749.3、M+Na 771.3。1H-NMR:合致。
【化19】

【0063】
実施例17. 化合物(20)の合成
102 mg(約0.181 mmol)の化合物(18)を5 mLの乾燥THFに溶解した溶液を、98 mg(0.272 mmol)のテレフタル酸ジエステル化合物(19)および95 μL(約70 mg、約0.543 mmol)のジイソプロピルエチルアミンを5 mLの乾燥THFおよび5 mLの乾燥DMFに溶解したアルゴン下の急速攪拌溶液に約10分間かけて滴下した。滴下用漏斗を少量の乾燥THFで洗い流し、これを反応液に加えた。0.5時間後のLC/MS分析により、反応が完了したことが示された。反応液を蒸発乾固させ(ロートバップ、次いで高真空 ロートバップ)、高真空下で乾燥した。残渣を1:1 THF-MeCNに再度溶解し、不溶性物質を濾過し、濾液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1:1 THF-MeCN中に予め充填し、生成物の混合物をロードする前に同液で洗浄し、同液で溶出させた)で精製した。生成物を含有する画分を合わせ、エバポレートし(ロートバップ)、残渣を乾燥 CH2Cl2中に採り、再度エバポレートし(ロートバップ)(2回繰り返した)、高真空下で乾燥し、得られた固体を再度乾燥CH2Cl2中に採り、再度エバポレートし、次いで高真空下で一晩乾燥して白色フォーム/ガラス状の化合物(20)を得た(68 mg、54%)。LC/MS:tR 約10.87分 [0.1%TFA/水中に0.1%TFA/MeCNを5%(0分)→ 88%(17.5分)];実測されたM+H 694.2、M+Na 716.2。1H-NMR:合致。
【0064】
実施例18. アミノデキストランコンジュゲート(22)の調製
87.5 mgのアミノデキストラン(AMD;公称分子量 = 40,000、アミノデキストラン1モルあたりおよそ6個のアミノ基;米国特許第6,653,456号を参照のこと)を3.5 mLの乾燥DMSOに溶解(完全な溶解のために30分間攪拌した;濃度 = 25 mg/mL)した室温の溶液に、乾燥DMSOに溶解させた13.9 mgの化合物(6) [誘導体 : AMDの提示比 = 8 : 1] を添加し、反応液を蓋をしたアンバー容器中で室温で一晩攪拌した。反応混合液を透析用カセット(Pierce Biotechnology Inc., Rockford, IL;SLIDE-A-LYZER 透析用カセット;3,500 MWCO)に移し、DMSO-水に対し、DMSO量を減少させ、個々のDMSO濃度で数回交換しながら数日間かけて順次透析し、最後に水単独に対して数回交換して透析した。カセットから保持液(retentate)を取り出し、凍結し、凍結乾燥してAMDコンジュゲート(22)を不定形の固体として得、これを使用時まで-20℃で保存した。
【0065】
実施例19. アミノデキストランコンジュゲート(23)、(24)、(25)、および(26)の調製
これらは、実施例18に記載したものと類似の方法で、全て誘導体:AMDの提示比 = 8:1で調製した。同様の方法で透析し、最終コンジュゲートを先に記載したようにして凍結乾燥して、不定形の固体としてAMDコンジュゲート(23)、(24)、(25)、および(26)を得た。
【0066】
実施例20. フェノバルビタール抗体微粒子の調製
10%(w/v)のラテックス微粒子(カルボキシ基の数およそ0.21 mmol/gラテックス、微粒子の平均粒径0.2μm、Seradyne Inc., Indianapolis, IN)を、0.09%(w/v) アスコルビン酸ナトリウム塩を含む10 mMの2-モルホリノ-エタンスルホン酸(MES、pH 5.3)で1%(w/v)濃度まで希釈した。所望の体積の1%微粒子を量り、N-ヒドロキシスルホスクシンイミド(スルホ-NHS)の添加、続いてN-エチル-N'-(3-ジメチル-アミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩 (EDC・HCl)の添加によって微粒子を活性化した。スルホ-NHSおよびEDCはいずれも、微粒子の表面上に存在するカルボン酸塩1モルあたり各試薬10モルの比率で添加した。約1時間室温で攪拌した後、微粒子を洗浄し、濃縮し、中空のファイバーシステム内で、緩衝液を0.09%(w/v)のアスコルビン酸ナトリウム塩を含む50 mMの3-モルホリノプロパンスルホン酸(MOPS、pH 5.7)に交換して2%の濃度まで再度懸濁した。0.09%(w/v)のアスコルビン酸ナトリウム塩および10 g/LのBSAも含む50 mMのMOPS緩衝液(pH 5.7)にフェノバルビタールモノクローナル抗体(MAK<Pheba>M-29D4-IgG)を溶解した溶液を、再懸濁した微粒子に0.2 mg抗体/mLの微粒子溶液となるように添加した。酵素-ラテックス混合液を23-27℃で約1時間攪拌した。0.09%(w/v)のアスコルビン酸ナトリウム塩を含む50 mMのMOPS(pH 5.7)に90 mg/mLのBSAを溶解した溶液を、次いでラテックス混合液(1.125 mg BSA/mgラテックス)に添加した。23-27℃で0.5-1.5時間攪拌した後、HClでpH9に調整した2-(2-アミノ-エトキシ)エタノール(AEO)の11%(w/w)水溶液をラテックス混合液に添加した。40-45℃で一晩攪拌した後、微粒子を保存用緩衝液(50 mM MOPS、pH 7.4、0.1% (w/v) BSA、0.09% アジ化ナトリウム)で洗浄し、これに液交換して最終濃度1%のラテックス微粒子(w/v)とし、これを使用時まで2-8℃で保存した。
【0067】
実施例 21. HITACHI臨床化学分析装置を使用し、本発明のコンジュゲートおよび抗体を用いたONLINE Type-2 アッセイ(KIMS)および校正曲線の作成
アッセイは、Roche/Hitachi 917 臨床化学分析装置(Roche Diagnostics GmbH)を使用して37℃で実施した。反応混合液(283μL)は、3μLの以下に記載するキャリブレーターまたはサンプル、27.41g/LのPIPES 2ナトリウム塩、2.99g/LのPIPES遊離酸、14.612g/Lの塩化ナトリウム、0.49g/LのPLURONIC F-127、0.0124g/Lの抗-HAMA抗体(POLYMAK33;Roche Diagnostics GmbH)、0.90g/Lのアジ化ナトリウム、4.81g/Lのチオシアン酸カリウム、1.0g/Lのウシ血清アルブミン(BSA)、0.0001g/Lの遊離のフェノバルビタール、3.81g/LのMOPS ナトリウム塩、1.73g/LのMOPS、0.9%(w/v)のポリアクリル酸(PAA)、0.04%(w/v)の実施例20に記載した微粒子、および以下に示すフェノバルビタール-アミノデキストランコンジュゲートを含有していた。
【表1】

【0068】
校正曲線は、フェノバルビタールを0.0、5.0、10.0、20.0、40.0および60.0 mg/mLで含有する市販のRoche TDM Multi-calキャリブレーターセット(Roche PRECISET TDM Iキャリブレーター、Part# 03375790 190)を使用して作成した。
【0069】
アッセイは、分光光度法で波長600 nmで微粒子の凝集を追ってモニタリングした。それぞれのフェノバルビタール-アミノデキストランコンジュゲートを使用して得られた校正曲線を図8に示す。図8は、種々のコンジュゲートを使用して得られた曲線の形が非常に類似し、ほとんど重ね合わせることができることを示す。
【0070】
実施例 22. 陰性血清サンプルを使用したフェノバルビタール微粒子イムノアッセイ試験
フェノバルビタールを含まないことが既知である5種の陰性血清サンプルを、実施例21に記載したようにアッセイで試験した。サンプルは、分析装置のサンプルカップ中に置き、サンプルとして使用した。それぞれを、種々のフェノバルビタール-アミノデキストランコンジュゲート(22)、(23)、(24)、(25)、および(26)を使用して得られた校正曲線に対して2回ずつ試験した。得られた結果は以下の表に示す通りである。
【表2】

【0071】
所望の、もしくは理論上の結果は、観察されているフェノバルビタールの値が0となるべきであるため、この結果から、アッセイ試薬を使用したアッセイで正のバイアスがあるか否かが示された。アッセイで得られたフェノバルビタールの見かけの濃度から、コンジュゲート(22)が0または0に近い値を有しており、全体的に最良の結果を与えることが示され、(23)および(26)は許容されるものであったが、一方コンジュゲート(24)および(25)は望ましくないわずかにより高い値を与えた。特に、コンジュゲート(25)を使用して得られた結果は、これがコンジュゲート(26)で見られるものと構造が類似し、親水性のDADOO部分を有するため、予想外であった。
【0072】
本発明を詳細に、その特定の実施形態を参照して記載したため、特許請求の範囲で規定される本発明の範囲から逸脱することなく改変および変更が可能であることは明らかであろう。より具体的には、本発明のいくつかの態様が本明細書において好ましいもの、または特に有利なものとして特定されているが、本発明が必ずしもこれらの本発明の好ましい態様に限定されないことを考慮されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記構造を有する化合物。
【化1】

[式中、nは4-6であり、mは1-4であり、Rは-NHCO-または-CONH-であり、Lは直鎖状または分岐鎖状に配列した2-18個の炭素原子および1-6個のヘテロ原子を含み、1個までの環状構造を有する連結基であって、Rに結合する最初の原子が炭素であることを条件とし、Zは脱離基または多糖である。]
【請求項2】
下記構造を有する化合物。
【化2】

[式中、nは4-6であり、Lは直鎖状または分岐鎖状に配列した2-18個の炭素原子および1-6個のヘテロ原子を含み、1個までの環状構造を有する連結基であって、-CONH-に結合する最初の原子が炭素であることを条件とし、Zは脱離基または多糖である。]
【請求項3】
下記構造を有するフェノバルビタール類似体。
【化3】

【請求項4】
下記構造を有するフェノバルビタール類似体。
【化4】

【請求項5】
下記構造を有するフェノバルビタール類似体。
【化5】

【請求項6】
下記構造を有するフェノバルビタール類似体コンジュゲート。
【化6】

[式中Rはアミノデキストランである。]
【請求項7】
下記構造を有するフェノバルビタール類似体コンジュゲート。
【化7】

[式中Rはアミノデキストランである。]
【請求項8】
下記構造を有するフェノバルビタール類似体コンジュゲート。
【化8】

[式中Rはアミノデキストランである。]
【請求項9】
フェノバルビタールに特異的な抗体を被覆した微粒子、請求項6記載のフェノバルビタール類似体コンジュゲート、および測定を実施するための説明書をパッケージ化された組み合わせで含む、サンプル中のフェノバルビタールを測定するための試験キット。
【請求項10】
フェノバルビタールに特異的な抗体を被覆した微粒子、請求項7記載のフェノバルビタール類似体コンジュゲート、および測定を実施するための説明書をパッケージ化された組み合わせで含む、サンプル中のフェノバルビタールを測定するための試験キット。
【請求項11】
フェノバルビタールに特異的な抗体を被覆した微粒子、請求項8記載のフェノバルビタール類似体コンジュゲート、および測定を実施するための説明書をパッケージ化された組み合わせで含む、サンプル中のフェノバルビタールを測定するための試験キット。
【請求項12】
以下の段階を含む、サンプル中のフェノバルビタールの存在または量を測定するためのイムノアッセイ方法:
フェノバルビタールを含むことが疑われるサンプルを、フェノバルビタールに特異的な抗体、および請求項6記載のフェノバルビタール類似体コンジュゲートと組み合わせる段階であって、抗体は微粒子に結合しており、サンプル中のフェノバルビタールとフェノバルビタール類似体コンジュゲートとは抗体に競合的に結合し、そしてフェノバルビタール類似体コンジュゲートの抗体結合微粒子への結合によって微粒子の凝集が阻害される;および
凝集阻害の程度をサンプル中のフェノバルビタールの存在または量の尺度として測定する段階。
【請求項13】
以下の段階を含む、サンプル中のフェノバルビタールの存在または量を測定するためのイムノアッセイ方法:
フェノバルビタールを含むことが疑われるサンプルを、フェノバルビタールに特異的な抗体、および請求項7記載のフェノバルビタール類似体コンジュゲートと組み合わせる段階であって、抗体は微粒子に結合しており、サンプル中のフェノバルビタールとフェノバルビタール類似体コンジュゲートとは抗体に競合的に結合し、そしてフェノバルビタール類似体コンジュゲートの抗体結合微粒子への結合によって微粒子の凝集が阻害される;および
凝集阻害の程度をサンプル中のフェノバルビタールの存在または量の尺度として測定する段階。
【請求項14】
以下の段階を含む、サンプル中のフェノバルビタールの存在または量を測定するためのイムノアッセイ方法:
フェノバルビタールを含むことが疑われるサンプルを、フェノバルビタールに特異的な抗体、および請求項8記載のフェノバルビタール類似体コンジュゲートと組み合わる段階であって、抗体は微粒子に結合しており、サンプル中のフェノバルビタールとフェノバルビタール類似体コンジュゲートとは抗体に競合的に結合し、そしてフェノバルビタール類似体コンジュゲートの抗体結合微粒子への結合によって微粒子の凝集が阻害される;および
凝集阻害の程度をサンプル中のフェノバルビタールの存在または量の尺度として測定する段階。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−500615(P2011−500615A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−529288(P2010−529288)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際出願番号】PCT/EP2008/008750
【国際公開番号】WO2009/049884
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】