イメージング装置
【課題】呼吸同期のスキャンを実施する際に、撮影効率を向上することができる。
【解決手段】呼吸状態の被検体SUの撮影領域について、その呼吸状態に同期するようにスキャンを実施する際に、その被検体SUの呼吸状態を計測した計測結果に基づいて、その被検体SUが睡眠状態であるか否かを判定部132が判定する。そして、判定部132によって被検体SUが睡眠状態であると判定された際には、被検体SUを覚醒させる覚醒動作を、制御部30が実施する。
【解決手段】呼吸状態の被検体SUの撮影領域について、その呼吸状態に同期するようにスキャンを実施する際に、その被検体SUの呼吸状態を計測した計測結果に基づいて、その被検体SUが睡眠状態であるか否かを判定部132が判定する。そして、判定部132によって被検体SUが睡眠状態であると判定された際には、被検体SUを覚醒させる覚醒動作を、制御部30が実施する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージング装置に関し、特に、呼吸状態の被検体の撮影領域について、その呼吸状態に同期するようにスキャンを実施することによって、撮影領域についての画像を生成するイメージング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージング(MRI:Magnetic Resonance Imaging)装置などのイメージング装置は、被検体の撮影領域についてスキャンを実施することによって、その撮影領域についての画像を生成する。
【0003】
たとえば、磁気共鳴イメージング装置においては、静磁場が形成される撮像空間において被検体の撮影領域にRFパルスを送信することにより、その撮影領域におけるプロトンのスピンを核磁気共鳴(NMR:Nuclear Magnetic Resonance)現象によって励起させ、その励起されたスピンにより発生する磁気共鳴(MR)信号を受信する。その後、このスキャンにより得られた磁気共鳴信号を、ローデータ(Raw Data)として、その被検体の撮影領域についてのスライス画像を生成する。
【0004】
このようなイメージング装置においては、人体などの生体である被検体が呼吸することによって、その生成した画像に体動アーチファクトが生ずることを抑制するために、その被検体の呼吸状態に同期するように、スキャンを複数回実施し、そのスキャンにて得られたローデータに基づいて、画像を生成している(たとえば、特許文献1,特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2006−158762号公報
【特許文献2】特開2003−305019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、呼吸に同期してスキャンを複数回実施する際には、たとえば、ベローズ(bellows)を被検体の腹部に装着し、その腹部の動きを計測することによって、呼吸の波形を監視する。そして、その監視している呼吸の波形において、安定している波形位置でトリガー信号を生じさせることによって、スキャンを実施する。たとえば、その呼吸の波形における位相が、予め定めた閾値よりも大きくなった後に、再度、その閾値よりも小さくなった際に、上記のトリガーを生じさせて、上記のように、スキャンを実施する。
【0007】
しかしながら、上記のように複数回のスキャンを実施している際に、被検体が睡眠した場合には、その呼吸状態は、覚醒時よりも小さな振幅であって異なる波形として計測されるために、上記のようなトリガー信号を生じさせることができず、所定回数のスキャンを完了できない場合があった。このような場合には、オペレータがオペレータ室から被検体がいる撮影室へ入室し、その睡眠状態の被検体に声をかけるなどして、その被検体を覚醒させた後に、上記のスキャンを、改めて実施する。
【0008】
すなわち、呼吸同期のスキャンを実施する際には被検体の呼吸状態において呼吸の深さが一定であることが必要となるが、その被検体が睡眠した場合には、その呼吸の深さが変化しトリガー信号が生成されないために、呼吸に同期させてスキャンを実施できない場合があるため、撮影効率が低下する場合があった。
【0009】
したがって、本発明の目的は、呼吸同期のスキャンを実施する際に、撮影効率を向上することができるイメージング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明のイメージング装置は、呼吸状態の被検体の撮影領域について、前記呼吸状態に同期するようにスキャンを実施することによって、前記撮影領域についての画像を生成するイメージング装置であって、前記呼吸状態を計測した計測結果に基づいて、前記被検体が睡眠状態であるか否かを判定する判定部と、前記判定部によって前記被検体が睡眠状態であると判定された際に、前記被検体を覚醒させるように動作を実施する覚醒動作部とを有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、呼吸同期でのスキャンを実施する際に、撮影効率を向上することができるイメージング装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
<実施形態1>
本発明にかかる実施形態1について説明する。
【0013】
(装置構成)
図1は、本発明にかかる実施形態1において、磁気共鳴イメージング装置1の構成を示す構成図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の磁気共鳴イメージング装置1は、スキャン部2と、操作コンソール部3とを有する。
【0015】
スキャン部2について説明する。
【0016】
スキャン部2は、図1に示すように、静磁場マグネット部12と、勾配コイル部13と、RFコイル部14と、被検体移動部15と、照明部21aと、音声出力部21bと、RF駆動部22と、勾配駆動部23と、データ収集部24とを有している。スキャン部2は、静磁場が形成された撮像空間Bの内部において、被検体SUの撮影領域のスピンを励起するように被検体SUにRFパルスを送信すると共に、そのRFパルスが送信された被検体SUに勾配パルスを送信することによって、被検体SUにおいて発生する磁気共鳴信号を得るスキャンを実施する。本実施形態においては、スキャン部2は、呼吸状態の人体である被検体SUの撮影領域について、その呼吸状態に同期するようにスキャンを実施する。
【0017】
スキャン部2の各構成要素について、順次、説明する。
【0018】
静磁場マグネット部12は、たとえば、超伝導磁石(図示なし)により構成されており、被検体SUが収容される撮像空間Bに静磁場を形成する。ここでは、静磁場マグネット部12は、被検体移動部15に載置される被検体SUの体軸方向(z方向)に沿うように静磁場を形成する。なお、静磁場マグネット部12は、一対の永久磁石により構成されていてもよい。
【0019】
勾配コイル部13は、静磁場が形成された撮像空間Bに勾配磁場を形成し、磁気共鳴信号に空間位置情報を付加する。ここでは、勾配コイル部13は、静磁場方向に沿ったz方向と、x方向と、y方向との互いに直交する3軸方向に対応するように3系統からなる。これらは、撮像条件に応じて、周波数エンコード方向と位相エンコード方向とスライス選択方向として、それぞれに勾配パルスを送信することによって勾配磁場を形成する。具体的には、勾配コイル部13は、被検体SUのスライス選択方向に勾配磁場を印加し、RFコイル部14がRFパルスを送信することによって励起させる被検体SUのスライスを選択する。また、勾配コイル部13は、被検体SUの位相エンコード方向に勾配磁場を印加し、RFパルスにより励起されたスライスからの磁気共鳴信号を位相エンコードする。そして、勾配コイル部13は、被検体SUの周波数エンコード方向に勾配磁場を印加し、RFパルスにより励起されたスライスからの磁気共鳴信号を周波数エンコードする。
【0020】
RFコイル部14は、静磁場マグネット部12によって静磁場が形成される撮像空間B内において、電磁波であるRFパルスを被検体SUの撮影領域に送信して高周波磁場を形成し、被検体SUのイメージング領域におけるプロトンのスピンを励起する。そして、RFコイル部14は、その励起された被検体SUの撮影領域内のプロトンから発生する電磁波を磁気共鳴信号として受信する。本実施形態においては、RFコイル部14は、図1に示すように、第1RFコイル14aと、第2RFコイル14bとを有する。ここで、第1RFコイル14aは、たとえば、バードゲージ型のボディコイルであり、被検体SUの撮影領域を囲むように配置されており、RFパルスを送信する。一方、第2RFコイル14bは、たとえば、フェーズドアレイコイルであり、被検体SUの撮影領域の表面に沿って複数の表面コイルが配置されており、被検体SUにて生じた磁気共鳴信号を受信する。
【0021】
被検体移動部15は、クレードル部15aとクレードル移動部15bとを有しており、制御部30からの制御信号に基づいて、撮像空間Bの内部と外部との間において、クレードル部15aをクレードル移動部15bで移動させる。ここで、クレードル部15aは、被検体SUが載置される載置面を備えたテーブルであり、図1に示すように、クレードル移動部15bによって、水平方向xzと上下方向yとのそれぞれの方向に移動され、静磁場が形成される撮像空間Bに搬出入される。クレードル移動部15bは、クレードル部15aを撮像空間Bの内部と外部との間で移動する。クレードル移動部15bは、たとえば、ローラー式駆動機構を備えており、アクチュエータによりローラーを駆動させてクレードル部15aを水平方向xzに移動する。また、クレードル移動部15bは、たとえば、アーム式駆動機構を備えており、交差した2本のアーム間の角度を可変することにより、クレードル部15aを上下方向yに移動する。
【0022】
照明部21aは、撮像空間Bに設置されている照明系を含み、制御部30からの制御信号に基づいて、その照明系が撮像空間Bを照明する。たとえば、その照明系は、たとえば、アクリル樹脂からなる光ファイバーを含むように構成されており、被検体SUが撮像空間Bにおいて移動されるz方向に沿うように延在している。そして、照明系は、光源からの光が、その光ファイバーに伝達され、その伝達された光で撮像空間B内を照明する。
【0023】
音声出力部21bは、スピーカーを含むように構成されており、制御部30からの制御信号に基づいて、そのスピーカーから音声を出力する。本実施形態においては、図1に示すように、音声出力部21bにおいては、スピーカーが撮像空間Bに設置されており、その撮像空間Bに収容された被検体SUへ音声を出力することによって、被検体SUに情報を伝達する。
【0024】
RF駆動部22は、RFコイル部14を駆動させて撮像空間B内にRFパルスを送信することによって、高周波磁場を形成する。RF駆動部22は、制御部30からの制御信号に基づいて、ゲート変調器を用いてRF発振器からの信号を所定のタイミングおよび所定の包絡線の信号に変調した後に、そのゲート変調器により変調された信号を、RF電力増幅器によって増幅してRFコイル部14に出力し、RFパルスを送信させる。
【0025】
勾配駆動部23は、制御部30からの制御信号に基づいて、勾配パルスを勾配コイル部13に印加して駆動させ、静磁場が形成されている撮像空間B内に勾配磁場を発生させる。勾配駆動部23は、3系統の勾配コイル部13に対応して3系統の駆動回路(図示なし)を有する。
【0026】
データ収集部24は、制御部30からの制御信号に基づいて、RFコイル部14が受信する磁気共鳴信号を収集する。ここでは、データ収集部24は、RFコイル部14が受信する磁気共鳴信号をRF駆動部22のRF発振器の出力を参照信号として位相検波器が位相検波する。その後、A/D変換器を用いて、このアナログ信号である磁気共鳴信号をデジタル信号に変換して出力する。
【0027】
操作コンソール部3について説明する。
【0028】
操作コンソール部3は、図1に示すように、制御部30と、データ処理部31と、操作部32と、表示部33と、記憶部34とを有する。
【0029】
制御部30は、コンピュータと、コンピュータに所定のデータ処理を実行させるプログラムを記憶するメモリとを有しており、各部を制御する。ここでは、制御部30は、操作部32からの操作データが入力され、その操作部32から入力される操作データに基づいて、RF駆動部22と勾配駆動部23とデータ収集部24とのそれぞれに、制御信号を出力し、スキャンを実行させる。
【0030】
本実施形態においては、制御部30は、呼吸同期にて、このスキャンを実施させる。具体的には、被検体SUの腹部に装着されたベローズ(図示なし)から出力される呼吸信号に基づいて呼吸状態の位相を計測し、その呼吸による位相が、吸気によって予め定めた閾値よりも大きくなった後に、呼気によって、再度、その閾値よりも小さくなって安定した状態になった際に、トリガー信号を生じさせて、スキャンを実施させる。そして、この動作を繰り返して、複数回、スキャンを実施する。
【0031】
また、詳細については後述するが、制御部30は、このスキャンを実行させる際において、データ処理部31の判定部132(後述の図2)によって被検体SUが睡眠状態であると判定された場合には、その被検体SUを覚醒させるように、覚醒動作を実施する。ここでは、制御部30は、音声出力部21bが被検体SUに音声を出力するように、音声出力部21bを制御することによって、この覚醒動作を実施する。
【0032】
データ処理部31は、コンピュータと、そのコンピュータを用いて所定のデータ処理を実行するプログラムを記憶するメモリとによって構成されており、制御部30からの制御信号に基づいて、所定のデータ処理を実施する。本実施形態においては、データ処理部31は、図1に示すように、画像生成部131と、判定部132とを有しており、各部として機能する。
【0033】
ここで、画像生成部131は、被検体SUの撮影領域について実施されたスキャンによって得られた磁気共鳴信号を、ローデータとして、その被検体SUの撮影領域についての画像を再構成する。
【0034】
また、判定部132は、被検体SUの呼吸状態を計測した計測結果に基づいて、その被検体SUが睡眠状態であるか否かを判定する。ここでは、判定部132は、被検体SUの腹部に装着されたベローズ(図示なし)から出力される呼吸信号に基づいて呼吸状態の位相を計測し、その計測された位相のデータにおいて、その位相の絶対値が基準値を超えない時間が、予め定めた値に到達した場合には、その被検体SUが睡眠状態であると判定し、一方で、その時間が、その予め定めた値に到達しない場合には、睡眠状態でないと判定する。なお、判定部132は、制御部30がスキャンを実行させる際においてトリガー信号を生じない時間が、予め定めた値に到達した場合に、その被検体SUが睡眠状態であると判定するように、構成されていてもよい。
【0035】
操作部32は、キーボードやポインティングデバイスなどの操作デバイスにより構成されている。操作部32は、オペレータによって操作データが入力され、その操作データを制御部30に出力する。
【0036】
表示部33は、CRTなどの表示デバイスにより構成されており、制御部30からの制御信号に基づいて、表示画面に画像を表示する。たとえば、表示部33は、オペレータによって操作部32に操作データが入力される入力項目についての画像を表示画面に複数表示する。また、表示部33は、被検体SUからの磁気共鳴信号に基づいて生成される被検体SUの画像についてのデータをデータ処理部31から受け、表示画面にその画像を表示する。
【0037】
記憶部34は、メモリにより構成されており、各種データを記憶している。記憶部34は、その記憶されたデータが必要に応じて制御部30によってアクセスされる。本実施形態においては、記憶部34は、画像生成部131によって生成された画像を記憶する。
【0038】
(動作)
以下より、上記の本発明にかかる実施形態1の磁気共鳴イメージング装置1の動作について説明する。
【0039】
図2は、本発明にかかる実施形態1において、被検体SUの撮影領域を撮像する際の動作を示すフロー図である。
【0040】
図2に示すように、まず、被検体SUを載置する(S11)。
【0041】
ここでは、クレードル部15aの載置面に被検体を載置する。
【0042】
つぎに、図2に示すように、被検体SUの撮影領域を撮像空間Bへ搬入する(S21)。
【0043】
ここでは、クレードル移動部15bがクレードル部15aを移動させることによって、被検体SUの撮影領域を撮像空間Bに搬入する。
【0044】
つぎに、図2に示すように、被検体SUの撮影領域についてスキャンを実施する(S31)。
【0045】
ここでは、静磁場が形成された撮像空間B内において、被検体SUの撮影領域におけるスピンを励起するように被検体SUの撮影領域にRFパルスを送信すると共に、そのRFパルスが送信された被検体SUの撮影領域に勾配パルスを送信することによって、被検体SUにおいて発生する磁気共鳴信号を得るスキャンを実施する。
【0046】
本実施形態においては、呼吸同期にてスキャンを実施させる。
【0047】
図3は、本発明にかかる実施形態1において、覚醒状態の被検体SUを呼吸同期にてスキャンを実施する際のタイムチャート図である。図3において、(a)は、覚醒状態の被検体SUにおいて腹部に装着されたベローズ(図示なし)から出力される呼吸信号を示している。そして、(b)は、スキャンを実施するタイミングチャートであって、ONが実施をしていることを示しており、OFFが停止していることを示している。
【0048】
図3の(a)に示すように、覚醒状態の被検体SUの腹部に装着されたベローズ(図示なし)から出力される呼吸信号において、その位相が、予め定めた閾値THよりも大きくなった後に、再度、その閾値THよりも、その位相が小さくなった時点t0以後は、呼吸が吸気から呼気へ替わり、呼吸による体動が少ない期間が一定時間続いた状態になる。このため、図3の(b)に示すように、その時点t0から所定の遅延時間tdを経過後に、制御部30がトリガー信号を発生させて各部を制御することによって、スキャンを開始させ、その呼吸による体動が少ない期間の間、そのスキャンを継続する。このようにして、各スキャンの実施を呼吸に同期させる。
【0049】
しかし、前述したように、呼吸同期にてスキャンを実施する際において、被検体SUが覚醒状態から睡眠状態になった場合には、呼吸状態は、覚醒時よりも小さな振幅であって異なる波形として計測されるために、上記のようなトリガー信号を制御部30が出力せず、スキャンが実施されない。
【0050】
このため、本実施形態においては、被検体SUを覚醒させる覚醒動作を磁気共鳴イメージング装置1が実施する。
【0051】
図4は、本発明にかかる実施形態1において、睡眠状態になった被検体SUに対して覚醒動作を実施する際のタイムチャート図である。図4において、(a)は、覚醒状態から睡眠状態になった被検体SUにおいて腹部に装着されたベローズ(図示なし)から出力される呼吸信号を示している。そして、(b)は、覚醒動作を実施するタイミングチャートであって、ONが実施をしていることを示しており、OFFが停止していることを示している。
【0052】
被検体SUを覚醒させる覚醒動作を実施する際には、まず、この被検体SUの呼吸状態を計測した計測結果に基づいて、被検体SUが睡眠状態であるか否かを判定部132が判定する。
【0053】
具体的には、図4(a)に示すように、被検体SUの呼吸信号において、その位相が閾値THを超えるように推移している覚醒状態から、その位相が閾値THを超えない状態になった場合には、その閾値THを超えない時間taが、予め定めた時間tbに到達した場合に、その被検体SUが睡眠状態であると判定する。
【0054】
そして、被検体SUが睡眠状態であると判定した場合には、図4(b)に示すように、その睡眠状態の被検体SUを覚醒させる覚醒動作を、制御部30が実施する。
【0055】
本実施形態においては、呼吸信号において位相の絶対値が閾値THを超えない時間taが、予め定めた時間tbに到達し、睡眠状態であると判定された時点に、音声出力部21bが被検体SUに音声の出力を開始するように、制御部30が音声出力部21bを制御することによって、この覚醒動作を実施する。
【0056】
具体的には、覚醒動作として、「もう少しです。起きて下さい」のように、被検体SUを覚醒させる音声情報を、音声出力部21bに出力させることによって、睡眠状態の被検体SUを覚醒させる。
【0057】
そして、その被検体SUによって得られる呼吸信号が睡眠状態の場合から覚醒状態の場合になった場合に、被検体SUについてスキャンを再開し、スキャンを完了させる。
【0058】
一方で、呼吸信号において位相の絶対値が閾値THを超えない時間taが、予め定めた時間tbに到達していない場合においては、睡眠状態でなく覚醒状態であると判定し、上述したように、呼吸に同期させたスキャンを実施し、完了させる。
【0059】
つぎに、図2に示すように、被検体の撮影領域を撮像空間から搬出する(S41)。
【0060】
ここでは、クレードル移動部15bがクレードル部15aを移動させることによって、被検体SUの撮影領域を撮像空間Bから搬出する。このようにして、被検体SUの撮影領域についての撮像を完了させる。
【0061】
以上のように、呼吸状態の被検体SUの撮影領域について、その呼吸状態に同期するようにスキャンを実施することによって、その撮影領域についての画像を生成する際においては、本実施形態は、その被検体SUの呼吸状態を計測した計測結果に基づいて、その被検体SUが睡眠状態であるか否かを判定部132が判定する。そして、判定部132によって被検体SUが睡眠状態であると判定された際には、被検体SUを覚醒させる覚醒動作を、制御部30が実施する。ここでは、音声出力部21bが被検体SUに音声を出力するように、制御部30が音声出力部21bを制御することによって、この覚醒動作を実施する。
【0062】
このため、本実施形態は、オペレータがオペレータ室から被検体SUがいる撮影室へ入室し、その睡眠状態の被検体SUに声をかけるなどして、その被検体を覚醒させる動作が不要になる。また、再撮影を実施することを防止することができる。したがって、本実施形態は、呼吸同期のスキャンを実施する際に、撮影効率を向上することができる。
【0063】
<実施形態2>
以下より、本発明にかかる実施形態2について説明する。
【0064】
本実施形態は、覚醒動作の実施内容が、実施形態1と異なる。この点を除き、本実施形態は、実施形態1と同様である。このため、重複する個所については、説明を省略する。
【0065】
図5は、本発明にかかる実施形態2において、実施される覚醒動作を示す図であって、図1に示す撮像空間Bにおいてy方向を視線として観察される照明部21aを示している。この図5においては、(a)は、被検体SUが覚醒状態であると判定されている際に、照明部21aが動作する様子を示しており,(b)は、被検体SUが睡眠状態であると判定されている際に、照明部21aが動作する様子を示している。図5(a),図5(b)においては、ドットパターンを付して表示した部分が照明光を生じていることを示す。
【0066】
本実施形態においては、判定部132によって被検体SUが覚醒状態であると判定されている際には、図5(a)に示すように、照明部21aとして撮像空間Bにてz方向に延在する複数の光ファイバー群211a,211bから照明光を生じないように、制御部30が照明部21aを制御している。
【0067】
これに対して、実施形態1と同様にして、判定部132によって被検体SUが睡眠状態であると判定された際には、図5(b)に示すように、照明部21aが照明光を生じるように制御部30が照明部21aを制御することによって、その照明光を睡眠状態の被検体SUを照明して刺激を与え、覚醒させる。
【0068】
以上のように、本実施形態は、判定部132によって被検体SUが睡眠状態であると判定された際には、照明部21aが被検体SUに照明光を照明するように、制御部30が照明部21aを制御することによって、覚醒動作を実施する。
【0069】
このため、本実施形態は、実施形態1と同様に、オペレータが睡眠状態の被検体SUに声をかけるなどして、その被検体を覚醒させる動作が不要になると共に、再撮影を実施することを防止することができる。したがって、本実施形態は、呼吸同期のスキャンを実施する際に、撮影効率を向上することができる。
【0070】
<実施形態3>
以下より、本発明にかかる実施形態3について説明する。
【0071】
本実施形態は、覚醒動作の実施内容が、実施形態2と異なる。この点を除き、本実施形態は、実施形態1と同様である。このため、重複する個所については、説明を省略する。
【0072】
図6は、本発明にかかる実施形態3において、実施される覚醒動作を示す図であって、図1に示す撮像空間Bにおいてy方向を視線として観察される照明部21aを示している。この図6においては、矢印で示すように、(a)と(b)とが交互に動作することを示している。そして、この図6(a),図6(b)においては、ドットパターンを付して表示した部分が照明光を生じていることを示している。
【0073】
本実施形態においては、判定部132によって被検体SUが覚醒状態であると判定されている際には、前述の実施形態2において示したように(図5(a)を参照)、照明部21aが照明光を生じないように、制御部30が照明部21aを制御している。
【0074】
これに対して、実施形態1と同様にして、判定部132によって被検体SUが睡眠状態であると判定された際には、図6(a)と6(b)とに示すように、照明部21aが照明光を交互に生じるように制御部30が照明部21aを制御することによって、その照明光を点滅させ、その睡眠状態の被検体SUに刺激を与え、覚醒させる。
【0075】
以上のように、本実施形態は、判定部132によって被検体SUが睡眠状態であると判定された際には、照明部21aが被検体SUに照明光を点滅させて照明するように、制御部30が照明部21aを制御することによって、覚醒動作を実施する。
【0076】
このため、本実施形態は、実施形態1と同様に、オペレータが睡眠状態の被検体SUに声をかけるなどして、その被検体を覚醒させる動作が不要になると共に、再撮影を実施することを防止することができる。したがって、本実施形態は、呼吸同期のスキャンを実施する際に、撮影効率を向上することができる。
【0077】
<実施形態4>
以下より、本発明にかかる実施形態4について説明する。
【0078】
本実施形態は、覚醒動作の実施内容が、実施形態1と異なる。この点を除き、本実施形態は、実施形態1と同様である。このため、重複する個所については、説明を省略する。
【0079】
図7は、本発明にかかる実施形態4において、実施される覚醒動作を示す図であって、被検体移動部15を示している。この図7においては、(a)は、被検体SUが覚醒状態であると判定されている際に、被検体移動部15が動作する様子を示しており,(b)は、被検体SUが睡眠状態であると判定されている際に、被検体移動部15が動作する様子を示している。
【0080】
本実施形態においては、判定部132によって被検体SUが覚醒状態であると判定されている際には、図7(a)に示すように、被検体移動部15において、被検体SUが載置されたクレードル部15aをクレードル移動部15bが撮像空間Bにて停止させた状態を維持するように、制御部30が被検体移動部15を制御している。
【0081】
これに対して、実施形態1と同様にして、判定部132によって被検体SUが睡眠状態であると判定された際には、図7(b)にて矢印Aで示すように、被検体移動部15において、被検体SUが載置されたクレードル部15aをクレードル移動部15bが撮像空間Bにて移動させるように、制御部30が被検体移動部15を制御することによって、睡眠状態の被検体SUに刺激を与えて覚醒させる。つまり、被検体SUに振動を与えて覚醒させる。
【0082】
以上のように、本実施形態は、判定部132によって被検体SUが睡眠状態であると判定された際には、クレードル部15aを移動するようにクレードル移動部15bを制御部30が制御することによって、覚醒動作を実施する。
【0083】
このため、本実施形態は、実施形態1と同様に、オペレータが睡眠状態の被検体SUに声をかけるなどして、その被検体を覚醒させる動作が不要になると共に、再撮影を実施することを防止することができる。したがって、本実施形態は、呼吸同期のスキャンを実施する際に、撮影効率を向上することができる。
【0084】
<実施形態5>
以下より、本発明にかかる実施形態5について説明する。
【0085】
図8は、本発明にかかる実施形態5において、磁気共鳴イメージング装置1の構成の要部を示す構成図である。
【0086】
本実施形態は、図8に示すように、送風部21cを含む。また、この他に、本実施形態は、覚醒動作の実施内容が、実施形態1と異なる。この点を除き、本実施形態は、実施形態1と同様である。このため、重複する個所については、説明を省略する。
【0087】
送風部21cについて説明する。
【0088】
送風部21cは、送風ファンを含むように構成されており、制御部30からの制御信号に基づいて、その送風ファンを駆動し、送風動作を実施する。本実施形態においては、図8に示すように、送風部21cにおいては、撮像空間Bに設置されており、その撮像空間Bに収容された被検体SUへ送風する。
【0089】
覚醒動作について説明する。
【0090】
本実施形態において、実施形態1と同様にして、判定部132によって被検体SUが睡眠状態であると判定された際には、その被検体SUに送風部21cが送風するように、制御部30が送風部21cを制御することによって、睡眠状態の被検体SUに刺激を与えて覚醒させる。
【0091】
このため、本実施形態は、実施形態1と同様に、オペレータが睡眠状態の被検体SUに声をかけるなどして、その被検体を覚醒させる動作が不要になると共に、再撮影を実施することを防止することができる。したがって、本実施形態は、呼吸同期のスキャンを実施する際に、撮影効率を向上することができる。
【0092】
なお、上記の実施形態において、磁気共鳴イメージング装置1は、本発明のイメージング装置に相当する。また、上記の実施形態において、スキャン部2は、本発明のスキャン部に相当する。また、上記の実施形態において、クレードル部15aは、本発明のクレードル部に相当する。また、上記の実施形態において、クレードル移動部15bは、本発明のクレードル移動部に相当する。また、上記の実施形態において、照明部21aは、本発明の照明部に相当する。また、上記の実施形態において、音声出力部21bは、本発明の音声出力部に相当する。また、上記の実施形態において、送風部21cは、本発明の送風部に相当する。また、上記の実施形態において、制御部30は、本発明の覚醒動作部に相当する。また、上記の実施形態において、表示部33は、本発明の表示部に相当する。また、上記の実施形態において、判定部132は、本発明の判定部に相当する。
【0093】
また、本発明の実施に際しては、上記した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形例を採用することができる。
【0094】
たとえば、本実施形態においては、ベローズを被検体の腹部に装着し、その腹部の動きを計測することによって、呼吸状態を計測する場合について示したが、これに限定されない。たとえば、呼吸する被検体が呼気または吸気する空気圧に基づいて、呼吸状態を計測する場合においても、適用することができる。また、たとえば、横隔膜のナビゲータエコーに基づいて、呼吸状態を計測する場合においても、適用することができる。
【0095】
また、本実施形態においては、磁気共鳴イメージング装置について説明しているが、これに限定されない。たとえば、X線CT装置など、他のイメージング装置において適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】図1は、本発明にかかる実施形態1において、磁気共鳴イメージング装置1の構成を示す構成図である。
【図2】図2は、本発明にかかる実施形態1において、被検体SUの撮影領域を撮像する際の動作を示すフロー図である。
【図3】図3は、本発明にかかる実施形態1において、覚醒状態の被検体SUを呼吸同期にてスキャンを実施する際のタイムチャート図である。
【図4】図4は、本発明にかかる実施形態1において、睡眠状態の被検体SUに対して覚醒動作を実施する際のタイムチャート図である。
【図5】図5は、本発明にかかる実施形態2において、実施される覚醒動作を示す図である。
【図6】図6は、本発明にかかる実施形態3において、実施される覚醒動作を示す図である。
【図7】図7は、本発明にかかる実施形態4において、実施される覚醒動作を示す図である。
【図8】図8は、本発明にかかる実施形態5において、磁気共鳴イメージング装置1の構成の要部を示す構成図である。
【符号の説明】
【0097】
1:磁気共鳴イメージング装置(イメージング装置)、
2:スキャン部(スキャン部)、
3:操作コンソール部、
12:静磁場マグネット部、
13:勾配コイル部、
14:RFコイル部、
15:クレードル、
15a:クレードル部(クレードル部)、
15b:クレードル移動部(クレードル移動部)、
21a:照明部(照明部)、
21b:音声出力部(音声出力部)、
21c:送風部(送風部)、
22:RF駆動部、
23:勾配駆動部、
24:データ収集部、
30:制御部(覚醒動作部)、
32:操作部、
33:表示部(表示部)、
34:記憶部、
131:画像生成部、
132:判定部(判定部)
B:撮像空間
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージング装置に関し、特に、呼吸状態の被検体の撮影領域について、その呼吸状態に同期するようにスキャンを実施することによって、撮影領域についての画像を生成するイメージング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージング(MRI:Magnetic Resonance Imaging)装置などのイメージング装置は、被検体の撮影領域についてスキャンを実施することによって、その撮影領域についての画像を生成する。
【0003】
たとえば、磁気共鳴イメージング装置においては、静磁場が形成される撮像空間において被検体の撮影領域にRFパルスを送信することにより、その撮影領域におけるプロトンのスピンを核磁気共鳴(NMR:Nuclear Magnetic Resonance)現象によって励起させ、その励起されたスピンにより発生する磁気共鳴(MR)信号を受信する。その後、このスキャンにより得られた磁気共鳴信号を、ローデータ(Raw Data)として、その被検体の撮影領域についてのスライス画像を生成する。
【0004】
このようなイメージング装置においては、人体などの生体である被検体が呼吸することによって、その生成した画像に体動アーチファクトが生ずることを抑制するために、その被検体の呼吸状態に同期するように、スキャンを複数回実施し、そのスキャンにて得られたローデータに基づいて、画像を生成している(たとえば、特許文献1,特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2006−158762号公報
【特許文献2】特開2003−305019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、呼吸に同期してスキャンを複数回実施する際には、たとえば、ベローズ(bellows)を被検体の腹部に装着し、その腹部の動きを計測することによって、呼吸の波形を監視する。そして、その監視している呼吸の波形において、安定している波形位置でトリガー信号を生じさせることによって、スキャンを実施する。たとえば、その呼吸の波形における位相が、予め定めた閾値よりも大きくなった後に、再度、その閾値よりも小さくなった際に、上記のトリガーを生じさせて、上記のように、スキャンを実施する。
【0007】
しかしながら、上記のように複数回のスキャンを実施している際に、被検体が睡眠した場合には、その呼吸状態は、覚醒時よりも小さな振幅であって異なる波形として計測されるために、上記のようなトリガー信号を生じさせることができず、所定回数のスキャンを完了できない場合があった。このような場合には、オペレータがオペレータ室から被検体がいる撮影室へ入室し、その睡眠状態の被検体に声をかけるなどして、その被検体を覚醒させた後に、上記のスキャンを、改めて実施する。
【0008】
すなわち、呼吸同期のスキャンを実施する際には被検体の呼吸状態において呼吸の深さが一定であることが必要となるが、その被検体が睡眠した場合には、その呼吸の深さが変化しトリガー信号が生成されないために、呼吸に同期させてスキャンを実施できない場合があるため、撮影効率が低下する場合があった。
【0009】
したがって、本発明の目的は、呼吸同期のスキャンを実施する際に、撮影効率を向上することができるイメージング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明のイメージング装置は、呼吸状態の被検体の撮影領域について、前記呼吸状態に同期するようにスキャンを実施することによって、前記撮影領域についての画像を生成するイメージング装置であって、前記呼吸状態を計測した計測結果に基づいて、前記被検体が睡眠状態であるか否かを判定する判定部と、前記判定部によって前記被検体が睡眠状態であると判定された際に、前記被検体を覚醒させるように動作を実施する覚醒動作部とを有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、呼吸同期でのスキャンを実施する際に、撮影効率を向上することができるイメージング装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
<実施形態1>
本発明にかかる実施形態1について説明する。
【0013】
(装置構成)
図1は、本発明にかかる実施形態1において、磁気共鳴イメージング装置1の構成を示す構成図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の磁気共鳴イメージング装置1は、スキャン部2と、操作コンソール部3とを有する。
【0015】
スキャン部2について説明する。
【0016】
スキャン部2は、図1に示すように、静磁場マグネット部12と、勾配コイル部13と、RFコイル部14と、被検体移動部15と、照明部21aと、音声出力部21bと、RF駆動部22と、勾配駆動部23と、データ収集部24とを有している。スキャン部2は、静磁場が形成された撮像空間Bの内部において、被検体SUの撮影領域のスピンを励起するように被検体SUにRFパルスを送信すると共に、そのRFパルスが送信された被検体SUに勾配パルスを送信することによって、被検体SUにおいて発生する磁気共鳴信号を得るスキャンを実施する。本実施形態においては、スキャン部2は、呼吸状態の人体である被検体SUの撮影領域について、その呼吸状態に同期するようにスキャンを実施する。
【0017】
スキャン部2の各構成要素について、順次、説明する。
【0018】
静磁場マグネット部12は、たとえば、超伝導磁石(図示なし)により構成されており、被検体SUが収容される撮像空間Bに静磁場を形成する。ここでは、静磁場マグネット部12は、被検体移動部15に載置される被検体SUの体軸方向(z方向)に沿うように静磁場を形成する。なお、静磁場マグネット部12は、一対の永久磁石により構成されていてもよい。
【0019】
勾配コイル部13は、静磁場が形成された撮像空間Bに勾配磁場を形成し、磁気共鳴信号に空間位置情報を付加する。ここでは、勾配コイル部13は、静磁場方向に沿ったz方向と、x方向と、y方向との互いに直交する3軸方向に対応するように3系統からなる。これらは、撮像条件に応じて、周波数エンコード方向と位相エンコード方向とスライス選択方向として、それぞれに勾配パルスを送信することによって勾配磁場を形成する。具体的には、勾配コイル部13は、被検体SUのスライス選択方向に勾配磁場を印加し、RFコイル部14がRFパルスを送信することによって励起させる被検体SUのスライスを選択する。また、勾配コイル部13は、被検体SUの位相エンコード方向に勾配磁場を印加し、RFパルスにより励起されたスライスからの磁気共鳴信号を位相エンコードする。そして、勾配コイル部13は、被検体SUの周波数エンコード方向に勾配磁場を印加し、RFパルスにより励起されたスライスからの磁気共鳴信号を周波数エンコードする。
【0020】
RFコイル部14は、静磁場マグネット部12によって静磁場が形成される撮像空間B内において、電磁波であるRFパルスを被検体SUの撮影領域に送信して高周波磁場を形成し、被検体SUのイメージング領域におけるプロトンのスピンを励起する。そして、RFコイル部14は、その励起された被検体SUの撮影領域内のプロトンから発生する電磁波を磁気共鳴信号として受信する。本実施形態においては、RFコイル部14は、図1に示すように、第1RFコイル14aと、第2RFコイル14bとを有する。ここで、第1RFコイル14aは、たとえば、バードゲージ型のボディコイルであり、被検体SUの撮影領域を囲むように配置されており、RFパルスを送信する。一方、第2RFコイル14bは、たとえば、フェーズドアレイコイルであり、被検体SUの撮影領域の表面に沿って複数の表面コイルが配置されており、被検体SUにて生じた磁気共鳴信号を受信する。
【0021】
被検体移動部15は、クレードル部15aとクレードル移動部15bとを有しており、制御部30からの制御信号に基づいて、撮像空間Bの内部と外部との間において、クレードル部15aをクレードル移動部15bで移動させる。ここで、クレードル部15aは、被検体SUが載置される載置面を備えたテーブルであり、図1に示すように、クレードル移動部15bによって、水平方向xzと上下方向yとのそれぞれの方向に移動され、静磁場が形成される撮像空間Bに搬出入される。クレードル移動部15bは、クレードル部15aを撮像空間Bの内部と外部との間で移動する。クレードル移動部15bは、たとえば、ローラー式駆動機構を備えており、アクチュエータによりローラーを駆動させてクレードル部15aを水平方向xzに移動する。また、クレードル移動部15bは、たとえば、アーム式駆動機構を備えており、交差した2本のアーム間の角度を可変することにより、クレードル部15aを上下方向yに移動する。
【0022】
照明部21aは、撮像空間Bに設置されている照明系を含み、制御部30からの制御信号に基づいて、その照明系が撮像空間Bを照明する。たとえば、その照明系は、たとえば、アクリル樹脂からなる光ファイバーを含むように構成されており、被検体SUが撮像空間Bにおいて移動されるz方向に沿うように延在している。そして、照明系は、光源からの光が、その光ファイバーに伝達され、その伝達された光で撮像空間B内を照明する。
【0023】
音声出力部21bは、スピーカーを含むように構成されており、制御部30からの制御信号に基づいて、そのスピーカーから音声を出力する。本実施形態においては、図1に示すように、音声出力部21bにおいては、スピーカーが撮像空間Bに設置されており、その撮像空間Bに収容された被検体SUへ音声を出力することによって、被検体SUに情報を伝達する。
【0024】
RF駆動部22は、RFコイル部14を駆動させて撮像空間B内にRFパルスを送信することによって、高周波磁場を形成する。RF駆動部22は、制御部30からの制御信号に基づいて、ゲート変調器を用いてRF発振器からの信号を所定のタイミングおよび所定の包絡線の信号に変調した後に、そのゲート変調器により変調された信号を、RF電力増幅器によって増幅してRFコイル部14に出力し、RFパルスを送信させる。
【0025】
勾配駆動部23は、制御部30からの制御信号に基づいて、勾配パルスを勾配コイル部13に印加して駆動させ、静磁場が形成されている撮像空間B内に勾配磁場を発生させる。勾配駆動部23は、3系統の勾配コイル部13に対応して3系統の駆動回路(図示なし)を有する。
【0026】
データ収集部24は、制御部30からの制御信号に基づいて、RFコイル部14が受信する磁気共鳴信号を収集する。ここでは、データ収集部24は、RFコイル部14が受信する磁気共鳴信号をRF駆動部22のRF発振器の出力を参照信号として位相検波器が位相検波する。その後、A/D変換器を用いて、このアナログ信号である磁気共鳴信号をデジタル信号に変換して出力する。
【0027】
操作コンソール部3について説明する。
【0028】
操作コンソール部3は、図1に示すように、制御部30と、データ処理部31と、操作部32と、表示部33と、記憶部34とを有する。
【0029】
制御部30は、コンピュータと、コンピュータに所定のデータ処理を実行させるプログラムを記憶するメモリとを有しており、各部を制御する。ここでは、制御部30は、操作部32からの操作データが入力され、その操作部32から入力される操作データに基づいて、RF駆動部22と勾配駆動部23とデータ収集部24とのそれぞれに、制御信号を出力し、スキャンを実行させる。
【0030】
本実施形態においては、制御部30は、呼吸同期にて、このスキャンを実施させる。具体的には、被検体SUの腹部に装着されたベローズ(図示なし)から出力される呼吸信号に基づいて呼吸状態の位相を計測し、その呼吸による位相が、吸気によって予め定めた閾値よりも大きくなった後に、呼気によって、再度、その閾値よりも小さくなって安定した状態になった際に、トリガー信号を生じさせて、スキャンを実施させる。そして、この動作を繰り返して、複数回、スキャンを実施する。
【0031】
また、詳細については後述するが、制御部30は、このスキャンを実行させる際において、データ処理部31の判定部132(後述の図2)によって被検体SUが睡眠状態であると判定された場合には、その被検体SUを覚醒させるように、覚醒動作を実施する。ここでは、制御部30は、音声出力部21bが被検体SUに音声を出力するように、音声出力部21bを制御することによって、この覚醒動作を実施する。
【0032】
データ処理部31は、コンピュータと、そのコンピュータを用いて所定のデータ処理を実行するプログラムを記憶するメモリとによって構成されており、制御部30からの制御信号に基づいて、所定のデータ処理を実施する。本実施形態においては、データ処理部31は、図1に示すように、画像生成部131と、判定部132とを有しており、各部として機能する。
【0033】
ここで、画像生成部131は、被検体SUの撮影領域について実施されたスキャンによって得られた磁気共鳴信号を、ローデータとして、その被検体SUの撮影領域についての画像を再構成する。
【0034】
また、判定部132は、被検体SUの呼吸状態を計測した計測結果に基づいて、その被検体SUが睡眠状態であるか否かを判定する。ここでは、判定部132は、被検体SUの腹部に装着されたベローズ(図示なし)から出力される呼吸信号に基づいて呼吸状態の位相を計測し、その計測された位相のデータにおいて、その位相の絶対値が基準値を超えない時間が、予め定めた値に到達した場合には、その被検体SUが睡眠状態であると判定し、一方で、その時間が、その予め定めた値に到達しない場合には、睡眠状態でないと判定する。なお、判定部132は、制御部30がスキャンを実行させる際においてトリガー信号を生じない時間が、予め定めた値に到達した場合に、その被検体SUが睡眠状態であると判定するように、構成されていてもよい。
【0035】
操作部32は、キーボードやポインティングデバイスなどの操作デバイスにより構成されている。操作部32は、オペレータによって操作データが入力され、その操作データを制御部30に出力する。
【0036】
表示部33は、CRTなどの表示デバイスにより構成されており、制御部30からの制御信号に基づいて、表示画面に画像を表示する。たとえば、表示部33は、オペレータによって操作部32に操作データが入力される入力項目についての画像を表示画面に複数表示する。また、表示部33は、被検体SUからの磁気共鳴信号に基づいて生成される被検体SUの画像についてのデータをデータ処理部31から受け、表示画面にその画像を表示する。
【0037】
記憶部34は、メモリにより構成されており、各種データを記憶している。記憶部34は、その記憶されたデータが必要に応じて制御部30によってアクセスされる。本実施形態においては、記憶部34は、画像生成部131によって生成された画像を記憶する。
【0038】
(動作)
以下より、上記の本発明にかかる実施形態1の磁気共鳴イメージング装置1の動作について説明する。
【0039】
図2は、本発明にかかる実施形態1において、被検体SUの撮影領域を撮像する際の動作を示すフロー図である。
【0040】
図2に示すように、まず、被検体SUを載置する(S11)。
【0041】
ここでは、クレードル部15aの載置面に被検体を載置する。
【0042】
つぎに、図2に示すように、被検体SUの撮影領域を撮像空間Bへ搬入する(S21)。
【0043】
ここでは、クレードル移動部15bがクレードル部15aを移動させることによって、被検体SUの撮影領域を撮像空間Bに搬入する。
【0044】
つぎに、図2に示すように、被検体SUの撮影領域についてスキャンを実施する(S31)。
【0045】
ここでは、静磁場が形成された撮像空間B内において、被検体SUの撮影領域におけるスピンを励起するように被検体SUの撮影領域にRFパルスを送信すると共に、そのRFパルスが送信された被検体SUの撮影領域に勾配パルスを送信することによって、被検体SUにおいて発生する磁気共鳴信号を得るスキャンを実施する。
【0046】
本実施形態においては、呼吸同期にてスキャンを実施させる。
【0047】
図3は、本発明にかかる実施形態1において、覚醒状態の被検体SUを呼吸同期にてスキャンを実施する際のタイムチャート図である。図3において、(a)は、覚醒状態の被検体SUにおいて腹部に装着されたベローズ(図示なし)から出力される呼吸信号を示している。そして、(b)は、スキャンを実施するタイミングチャートであって、ONが実施をしていることを示しており、OFFが停止していることを示している。
【0048】
図3の(a)に示すように、覚醒状態の被検体SUの腹部に装着されたベローズ(図示なし)から出力される呼吸信号において、その位相が、予め定めた閾値THよりも大きくなった後に、再度、その閾値THよりも、その位相が小さくなった時点t0以後は、呼吸が吸気から呼気へ替わり、呼吸による体動が少ない期間が一定時間続いた状態になる。このため、図3の(b)に示すように、その時点t0から所定の遅延時間tdを経過後に、制御部30がトリガー信号を発生させて各部を制御することによって、スキャンを開始させ、その呼吸による体動が少ない期間の間、そのスキャンを継続する。このようにして、各スキャンの実施を呼吸に同期させる。
【0049】
しかし、前述したように、呼吸同期にてスキャンを実施する際において、被検体SUが覚醒状態から睡眠状態になった場合には、呼吸状態は、覚醒時よりも小さな振幅であって異なる波形として計測されるために、上記のようなトリガー信号を制御部30が出力せず、スキャンが実施されない。
【0050】
このため、本実施形態においては、被検体SUを覚醒させる覚醒動作を磁気共鳴イメージング装置1が実施する。
【0051】
図4は、本発明にかかる実施形態1において、睡眠状態になった被検体SUに対して覚醒動作を実施する際のタイムチャート図である。図4において、(a)は、覚醒状態から睡眠状態になった被検体SUにおいて腹部に装着されたベローズ(図示なし)から出力される呼吸信号を示している。そして、(b)は、覚醒動作を実施するタイミングチャートであって、ONが実施をしていることを示しており、OFFが停止していることを示している。
【0052】
被検体SUを覚醒させる覚醒動作を実施する際には、まず、この被検体SUの呼吸状態を計測した計測結果に基づいて、被検体SUが睡眠状態であるか否かを判定部132が判定する。
【0053】
具体的には、図4(a)に示すように、被検体SUの呼吸信号において、その位相が閾値THを超えるように推移している覚醒状態から、その位相が閾値THを超えない状態になった場合には、その閾値THを超えない時間taが、予め定めた時間tbに到達した場合に、その被検体SUが睡眠状態であると判定する。
【0054】
そして、被検体SUが睡眠状態であると判定した場合には、図4(b)に示すように、その睡眠状態の被検体SUを覚醒させる覚醒動作を、制御部30が実施する。
【0055】
本実施形態においては、呼吸信号において位相の絶対値が閾値THを超えない時間taが、予め定めた時間tbに到達し、睡眠状態であると判定された時点に、音声出力部21bが被検体SUに音声の出力を開始するように、制御部30が音声出力部21bを制御することによって、この覚醒動作を実施する。
【0056】
具体的には、覚醒動作として、「もう少しです。起きて下さい」のように、被検体SUを覚醒させる音声情報を、音声出力部21bに出力させることによって、睡眠状態の被検体SUを覚醒させる。
【0057】
そして、その被検体SUによって得られる呼吸信号が睡眠状態の場合から覚醒状態の場合になった場合に、被検体SUについてスキャンを再開し、スキャンを完了させる。
【0058】
一方で、呼吸信号において位相の絶対値が閾値THを超えない時間taが、予め定めた時間tbに到達していない場合においては、睡眠状態でなく覚醒状態であると判定し、上述したように、呼吸に同期させたスキャンを実施し、完了させる。
【0059】
つぎに、図2に示すように、被検体の撮影領域を撮像空間から搬出する(S41)。
【0060】
ここでは、クレードル移動部15bがクレードル部15aを移動させることによって、被検体SUの撮影領域を撮像空間Bから搬出する。このようにして、被検体SUの撮影領域についての撮像を完了させる。
【0061】
以上のように、呼吸状態の被検体SUの撮影領域について、その呼吸状態に同期するようにスキャンを実施することによって、その撮影領域についての画像を生成する際においては、本実施形態は、その被検体SUの呼吸状態を計測した計測結果に基づいて、その被検体SUが睡眠状態であるか否かを判定部132が判定する。そして、判定部132によって被検体SUが睡眠状態であると判定された際には、被検体SUを覚醒させる覚醒動作を、制御部30が実施する。ここでは、音声出力部21bが被検体SUに音声を出力するように、制御部30が音声出力部21bを制御することによって、この覚醒動作を実施する。
【0062】
このため、本実施形態は、オペレータがオペレータ室から被検体SUがいる撮影室へ入室し、その睡眠状態の被検体SUに声をかけるなどして、その被検体を覚醒させる動作が不要になる。また、再撮影を実施することを防止することができる。したがって、本実施形態は、呼吸同期のスキャンを実施する際に、撮影効率を向上することができる。
【0063】
<実施形態2>
以下より、本発明にかかる実施形態2について説明する。
【0064】
本実施形態は、覚醒動作の実施内容が、実施形態1と異なる。この点を除き、本実施形態は、実施形態1と同様である。このため、重複する個所については、説明を省略する。
【0065】
図5は、本発明にかかる実施形態2において、実施される覚醒動作を示す図であって、図1に示す撮像空間Bにおいてy方向を視線として観察される照明部21aを示している。この図5においては、(a)は、被検体SUが覚醒状態であると判定されている際に、照明部21aが動作する様子を示しており,(b)は、被検体SUが睡眠状態であると判定されている際に、照明部21aが動作する様子を示している。図5(a),図5(b)においては、ドットパターンを付して表示した部分が照明光を生じていることを示す。
【0066】
本実施形態においては、判定部132によって被検体SUが覚醒状態であると判定されている際には、図5(a)に示すように、照明部21aとして撮像空間Bにてz方向に延在する複数の光ファイバー群211a,211bから照明光を生じないように、制御部30が照明部21aを制御している。
【0067】
これに対して、実施形態1と同様にして、判定部132によって被検体SUが睡眠状態であると判定された際には、図5(b)に示すように、照明部21aが照明光を生じるように制御部30が照明部21aを制御することによって、その照明光を睡眠状態の被検体SUを照明して刺激を与え、覚醒させる。
【0068】
以上のように、本実施形態は、判定部132によって被検体SUが睡眠状態であると判定された際には、照明部21aが被検体SUに照明光を照明するように、制御部30が照明部21aを制御することによって、覚醒動作を実施する。
【0069】
このため、本実施形態は、実施形態1と同様に、オペレータが睡眠状態の被検体SUに声をかけるなどして、その被検体を覚醒させる動作が不要になると共に、再撮影を実施することを防止することができる。したがって、本実施形態は、呼吸同期のスキャンを実施する際に、撮影効率を向上することができる。
【0070】
<実施形態3>
以下より、本発明にかかる実施形態3について説明する。
【0071】
本実施形態は、覚醒動作の実施内容が、実施形態2と異なる。この点を除き、本実施形態は、実施形態1と同様である。このため、重複する個所については、説明を省略する。
【0072】
図6は、本発明にかかる実施形態3において、実施される覚醒動作を示す図であって、図1に示す撮像空間Bにおいてy方向を視線として観察される照明部21aを示している。この図6においては、矢印で示すように、(a)と(b)とが交互に動作することを示している。そして、この図6(a),図6(b)においては、ドットパターンを付して表示した部分が照明光を生じていることを示している。
【0073】
本実施形態においては、判定部132によって被検体SUが覚醒状態であると判定されている際には、前述の実施形態2において示したように(図5(a)を参照)、照明部21aが照明光を生じないように、制御部30が照明部21aを制御している。
【0074】
これに対して、実施形態1と同様にして、判定部132によって被検体SUが睡眠状態であると判定された際には、図6(a)と6(b)とに示すように、照明部21aが照明光を交互に生じるように制御部30が照明部21aを制御することによって、その照明光を点滅させ、その睡眠状態の被検体SUに刺激を与え、覚醒させる。
【0075】
以上のように、本実施形態は、判定部132によって被検体SUが睡眠状態であると判定された際には、照明部21aが被検体SUに照明光を点滅させて照明するように、制御部30が照明部21aを制御することによって、覚醒動作を実施する。
【0076】
このため、本実施形態は、実施形態1と同様に、オペレータが睡眠状態の被検体SUに声をかけるなどして、その被検体を覚醒させる動作が不要になると共に、再撮影を実施することを防止することができる。したがって、本実施形態は、呼吸同期のスキャンを実施する際に、撮影効率を向上することができる。
【0077】
<実施形態4>
以下より、本発明にかかる実施形態4について説明する。
【0078】
本実施形態は、覚醒動作の実施内容が、実施形態1と異なる。この点を除き、本実施形態は、実施形態1と同様である。このため、重複する個所については、説明を省略する。
【0079】
図7は、本発明にかかる実施形態4において、実施される覚醒動作を示す図であって、被検体移動部15を示している。この図7においては、(a)は、被検体SUが覚醒状態であると判定されている際に、被検体移動部15が動作する様子を示しており,(b)は、被検体SUが睡眠状態であると判定されている際に、被検体移動部15が動作する様子を示している。
【0080】
本実施形態においては、判定部132によって被検体SUが覚醒状態であると判定されている際には、図7(a)に示すように、被検体移動部15において、被検体SUが載置されたクレードル部15aをクレードル移動部15bが撮像空間Bにて停止させた状態を維持するように、制御部30が被検体移動部15を制御している。
【0081】
これに対して、実施形態1と同様にして、判定部132によって被検体SUが睡眠状態であると判定された際には、図7(b)にて矢印Aで示すように、被検体移動部15において、被検体SUが載置されたクレードル部15aをクレードル移動部15bが撮像空間Bにて移動させるように、制御部30が被検体移動部15を制御することによって、睡眠状態の被検体SUに刺激を与えて覚醒させる。つまり、被検体SUに振動を与えて覚醒させる。
【0082】
以上のように、本実施形態は、判定部132によって被検体SUが睡眠状態であると判定された際には、クレードル部15aを移動するようにクレードル移動部15bを制御部30が制御することによって、覚醒動作を実施する。
【0083】
このため、本実施形態は、実施形態1と同様に、オペレータが睡眠状態の被検体SUに声をかけるなどして、その被検体を覚醒させる動作が不要になると共に、再撮影を実施することを防止することができる。したがって、本実施形態は、呼吸同期のスキャンを実施する際に、撮影効率を向上することができる。
【0084】
<実施形態5>
以下より、本発明にかかる実施形態5について説明する。
【0085】
図8は、本発明にかかる実施形態5において、磁気共鳴イメージング装置1の構成の要部を示す構成図である。
【0086】
本実施形態は、図8に示すように、送風部21cを含む。また、この他に、本実施形態は、覚醒動作の実施内容が、実施形態1と異なる。この点を除き、本実施形態は、実施形態1と同様である。このため、重複する個所については、説明を省略する。
【0087】
送風部21cについて説明する。
【0088】
送風部21cは、送風ファンを含むように構成されており、制御部30からの制御信号に基づいて、その送風ファンを駆動し、送風動作を実施する。本実施形態においては、図8に示すように、送風部21cにおいては、撮像空間Bに設置されており、その撮像空間Bに収容された被検体SUへ送風する。
【0089】
覚醒動作について説明する。
【0090】
本実施形態において、実施形態1と同様にして、判定部132によって被検体SUが睡眠状態であると判定された際には、その被検体SUに送風部21cが送風するように、制御部30が送風部21cを制御することによって、睡眠状態の被検体SUに刺激を与えて覚醒させる。
【0091】
このため、本実施形態は、実施形態1と同様に、オペレータが睡眠状態の被検体SUに声をかけるなどして、その被検体を覚醒させる動作が不要になると共に、再撮影を実施することを防止することができる。したがって、本実施形態は、呼吸同期のスキャンを実施する際に、撮影効率を向上することができる。
【0092】
なお、上記の実施形態において、磁気共鳴イメージング装置1は、本発明のイメージング装置に相当する。また、上記の実施形態において、スキャン部2は、本発明のスキャン部に相当する。また、上記の実施形態において、クレードル部15aは、本発明のクレードル部に相当する。また、上記の実施形態において、クレードル移動部15bは、本発明のクレードル移動部に相当する。また、上記の実施形態において、照明部21aは、本発明の照明部に相当する。また、上記の実施形態において、音声出力部21bは、本発明の音声出力部に相当する。また、上記の実施形態において、送風部21cは、本発明の送風部に相当する。また、上記の実施形態において、制御部30は、本発明の覚醒動作部に相当する。また、上記の実施形態において、表示部33は、本発明の表示部に相当する。また、上記の実施形態において、判定部132は、本発明の判定部に相当する。
【0093】
また、本発明の実施に際しては、上記した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形例を採用することができる。
【0094】
たとえば、本実施形態においては、ベローズを被検体の腹部に装着し、その腹部の動きを計測することによって、呼吸状態を計測する場合について示したが、これに限定されない。たとえば、呼吸する被検体が呼気または吸気する空気圧に基づいて、呼吸状態を計測する場合においても、適用することができる。また、たとえば、横隔膜のナビゲータエコーに基づいて、呼吸状態を計測する場合においても、適用することができる。
【0095】
また、本実施形態においては、磁気共鳴イメージング装置について説明しているが、これに限定されない。たとえば、X線CT装置など、他のイメージング装置において適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】図1は、本発明にかかる実施形態1において、磁気共鳴イメージング装置1の構成を示す構成図である。
【図2】図2は、本発明にかかる実施形態1において、被検体SUの撮影領域を撮像する際の動作を示すフロー図である。
【図3】図3は、本発明にかかる実施形態1において、覚醒状態の被検体SUを呼吸同期にてスキャンを実施する際のタイムチャート図である。
【図4】図4は、本発明にかかる実施形態1において、睡眠状態の被検体SUに対して覚醒動作を実施する際のタイムチャート図である。
【図5】図5は、本発明にかかる実施形態2において、実施される覚醒動作を示す図である。
【図6】図6は、本発明にかかる実施形態3において、実施される覚醒動作を示す図である。
【図7】図7は、本発明にかかる実施形態4において、実施される覚醒動作を示す図である。
【図8】図8は、本発明にかかる実施形態5において、磁気共鳴イメージング装置1の構成の要部を示す構成図である。
【符号の説明】
【0097】
1:磁気共鳴イメージング装置(イメージング装置)、
2:スキャン部(スキャン部)、
3:操作コンソール部、
12:静磁場マグネット部、
13:勾配コイル部、
14:RFコイル部、
15:クレードル、
15a:クレードル部(クレードル部)、
15b:クレードル移動部(クレードル移動部)、
21a:照明部(照明部)、
21b:音声出力部(音声出力部)、
21c:送風部(送風部)、
22:RF駆動部、
23:勾配駆動部、
24:データ収集部、
30:制御部(覚醒動作部)、
32:操作部、
33:表示部(表示部)、
34:記憶部、
131:画像生成部、
132:判定部(判定部)
B:撮像空間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸状態の被検体の撮影領域について、前記呼吸状態に同期するようにスキャンを実施することによって、前記撮影領域についての画像を生成するイメージング装置であって、
前記呼吸状態を計測した計測結果に基づいて、前記被検体が睡眠状態であるか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって前記被検体が睡眠状態であると判定された際に、前記被検体を覚醒させるように覚醒動作を実施する覚醒動作部と
を有する
イメージング装置。
【請求項2】
前記被検体に音声を出力する音声出力部
を有し、
前記覚醒動作部は、前記音声出力部が前記被検体に前記音声を出力するように前記音声出力部を制御することによって、前記覚醒動作を実施する
請求項1に記載のイメージング装置。
【請求項3】
前記被検体に照明光を照射する照明部
を含み、
前記覚醒動作部は、前記照明部が前記被検体に前記照明光を照明するように前記照明部を制御することによって、前記覚醒動作を実施する
請求項1または2に記載のイメージング装置。
【請求項4】
前記覚醒動作部は、前記被検体に前記照明光を照明する際には、前記照明光を点滅させる
請求項3に記載のイメージング装置。
【請求項5】
前記被検体を支持するクレードル部と、
前記クレードル部によって支持された前記被検体を移動するクレードル移動部と
を有し、
前記覚醒動作部は、前記クレードル部を移動するように前記クレードル移動部を制御することによって、前記覚醒動作を実施する
請求項1から4のいずれかに記載のイメージング装置。
【請求項6】
前記被検体に送風する送風部
を有し、
前記覚醒動作部は、前記送風部が前記被検体に送風するように前記送風部を制御することによって、前記覚醒動作を実施する
請求項1から5のいずれかに記載のイメージング装置。
【請求項7】
前記スキャンを実施するスキャン部
を有し、
前記スキャン部は、静磁場空間において前記被検体の撮影領域にRFパルスを送信し、前記撮影領域において発生する磁気共鳴信号を受信することによって、前記スキャンを実施する
請求項1から6のいずれかに記載のイメージング装置。
【請求項8】
前記画像を表示する表示部
を有する
請求項1から7のいずれかに記載のイメージング装置。
【請求項1】
呼吸状態の被検体の撮影領域について、前記呼吸状態に同期するようにスキャンを実施することによって、前記撮影領域についての画像を生成するイメージング装置であって、
前記呼吸状態を計測した計測結果に基づいて、前記被検体が睡眠状態であるか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって前記被検体が睡眠状態であると判定された際に、前記被検体を覚醒させるように覚醒動作を実施する覚醒動作部と
を有する
イメージング装置。
【請求項2】
前記被検体に音声を出力する音声出力部
を有し、
前記覚醒動作部は、前記音声出力部が前記被検体に前記音声を出力するように前記音声出力部を制御することによって、前記覚醒動作を実施する
請求項1に記載のイメージング装置。
【請求項3】
前記被検体に照明光を照射する照明部
を含み、
前記覚醒動作部は、前記照明部が前記被検体に前記照明光を照明するように前記照明部を制御することによって、前記覚醒動作を実施する
請求項1または2に記載のイメージング装置。
【請求項4】
前記覚醒動作部は、前記被検体に前記照明光を照明する際には、前記照明光を点滅させる
請求項3に記載のイメージング装置。
【請求項5】
前記被検体を支持するクレードル部と、
前記クレードル部によって支持された前記被検体を移動するクレードル移動部と
を有し、
前記覚醒動作部は、前記クレードル部を移動するように前記クレードル移動部を制御することによって、前記覚醒動作を実施する
請求項1から4のいずれかに記載のイメージング装置。
【請求項6】
前記被検体に送風する送風部
を有し、
前記覚醒動作部は、前記送風部が前記被検体に送風するように前記送風部を制御することによって、前記覚醒動作を実施する
請求項1から5のいずれかに記載のイメージング装置。
【請求項7】
前記スキャンを実施するスキャン部
を有し、
前記スキャン部は、静磁場空間において前記被検体の撮影領域にRFパルスを送信し、前記撮影領域において発生する磁気共鳴信号を受信することによって、前記スキャンを実施する
請求項1から6のいずれかに記載のイメージング装置。
【請求項8】
前記画像を表示する表示部
を有する
請求項1から7のいずれかに記載のイメージング装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2008−93098(P2008−93098A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−276446(P2006−276446)
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】
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