説明

イヤ・バッド・イヤホンおよびイヤ・バッド・イヤホン用のクッション

【課題】フィードバック制御法をそのような用途に有効な音響構成に適用することによりフィード・フォワード方式のノイズ消去イヤ・バッド・イヤホンの限界を克服することができるイヤホンまたはイヤホン・クッションを提供することを目的とする。
【解決手段】スピーカおよびマイクロホンを含むハウジングとそのハウジングの外部に設けられたクッションとを有し、そのクッションが、第1音響伝達特性を有する第1領域および第2音響伝達特性を有する第2領域を有し、第2音響特性が、可聴音の伝達に対して第1音響特性よりも高いインピーダンスを有するイヤ・バッド・イヤホンが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イヤ・バッド・イヤホン(すなわち、直接耳道内にまたは耳道に近接して配置するようにされた音響変換器を有するイヤホン装置)およびそのようなイヤホン用のクッションに関する。また本発明は、ノイズ消去システムと共に、またはノイズ消去システムの一部として使用されるイヤ・バッド・イヤホンへの特定の用途も有する。
【背景技術】
【0002】
ノイズ消去ヘッドホンによって、その着用者は、バックグランドノイズの妨害作用のない音声を聴くことが可能になる。ノイズ消去ヘッドホンは、商業旅客航空機、および一般航空機において広く使用されており、現在ではさまざまな消費者向け音響用途において一般的に採用されている。
【0003】
ヘッドホンは、パッシブ方式であるかノイズ消去方式であるかにかかわらず、耳乗せ型または耳覆い型の構造のいずれかで設計することができる。前者の場合、ヘッドホンは耳の頂部に乗せられ、着用者との接触面は通常、柔軟な連続気泡発泡体である。後者の場合、イヤ・カップは耳を完全に覆い、人体とヘッドホンの間の接触面は通常、発泡体を基礎としたレザーレットのイヤ・パッドである。
【0004】
またノイズ消去ヘッドホンも、耳覆い型または耳乗せ型で構成される。しかしながら、耳覆い型のノイズ消去ヘッドホンは、イヤ・パッドによって完全に密閉することにより、アクティブ・ノイズ消去技術では低減が困難なより高周波の音から耳を遮音するため、全体的なノイズ抑制効果に優れる傾向がある。
【0005】
ヘッドホンは、パッシブ方式であってもノイズ消去方式であっても、通常は大型であり、頭の上または首の後ろのいずれかに着用することができるヘッドバンドを備えている。ヘッドホンは、頻繁に旅行する者にとっては特に扱いにくく、不快であり、かつスペースを要することがある。
【0006】
この個人の音声再生に対する1つの代替解決策は、イヤ・バッド・イヤホン(イヤ・バッド)である。イヤ・バッドは、直接耳道内にまたは耳道に近接して配置される1つまたは2つの小さな音響変換器を備えている。イヤ・バッドは、ハンズフリーの携帯電話キットならびにMP3プレイヤおよびDVDプレイヤなどの携帯オーディオ機器で広く使用されている。
【0007】
現在、市場に存在するノイズ消去方式のイヤ・バッド手法は少数である。これまで開発および商品化されてきた少数の製品は、フィード・フォワード方式のアクティブ・ノイズ消去方式を利用する傾向がある。
【0008】
フィード・フォワード方式のアクティブ・ノイズ消去システムは、制御応答の生成に基準信号を利用することから比較的簡単であり、この基準信号は、制御を必要とする信号とある程度の関連性を有している。
【0009】
イヤ・バッド手法の場合、基準信号の最適な選択は、耳に対するイヤ・バッド密閉部のすぐ外側の周囲ノイズの測定である。この基準信号は、マイクロホン変換器を介して得られ、ノイズ消去電子回路(フィルタ)によって処理されて、適切な制御応答が生成される。その回路は、基準測定位置と制御位置の間における音響システムの動的挙動を再現するように設計されている。すべての条件が同じであれば、制御応答をイヤ・バッドのスピーカを介して出力すると、耳道に侵入したノイズの消去が実現する。フィード・フォワードコントローラーは、それ自体の性能の基準を有していないという意味で「無能(dumb)」であり、外乱(ノイズ)および音響システムについての事前の知識に依存している。
【0010】
不都合にも、イヤ・バッドと共に使用するノイズ消去システムに対してフィード・フォワード制御を行う場合、基準信号は、実際にイヤ・バッドの密閉を突き抜けて耳道に侵入するノイズを十分に代表したものとなっていない。フィード・フォワード方式のアクティブ・ノイズ消去システムの最大性能は、基準信号と耳道を通り抜ける音声との間のコヒーレンスを計測することによって、数学的に計算することができる。このコヒーレンスは、イヤ・バッドによって耳道の周囲が緊密に密閉されていない場合、または耳道の音響特性が、制御フィルタを決定するために測定された音響特性と異なる場合には、特に1よりも著しく小さくなることがある。
【0011】
フィードバック制御方式では、制御点から下流に配置された誤差測定が利用される。その誤差は、所望の結果と測定結果との間の論理的な差異を表す。ただし、フィードバック制御方式の制御応答はそれ自体の出力に直接関連しているため、不安定状態の影響をはるかに受けやすい。これは特に、制御下のシステムが変動を受ける場合に当てはまる。アクティブ・ノイズ消去においては、不安定性は抑制されない耳鳴りとして現れる。そのような状態は、不快であると共に聴覚器官に損傷を与える可能性があるため問題となる。
【0012】
イヤ・バッド・イヤホンは、従来のヘッドセットとは極めて異なる音響環境を提供する。したがって、フィードバック式のノイズ消去制御システムと共に使用するためのイヤ・バッド・イヤホンを提供すると、不安定性および性能の問題が発生する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、フィードバック制御方式の適用をそのような適用に有効な音響構成で行うことにより、フィード・フォワード方式のノイズ消去イヤ・バッド・イヤホンの限界を克服することを可能にするイヤホンまたはイヤホン・クッションを提供することにある。
【0014】
代替として、またはそれに加えて、本発明の目的は、同様に安定でかつ頑健なイヤ・バッド内でアクティブ・ノイズ消去を可能にする効果的な手段を提供することにある。
【0015】
代替として、またはそれに加えて、本発明の目的は、改善されたイヤ・バッド・イヤホン、改善されたイヤ・バッド・イヤホン・クッション、もしくは改善されたイヤホン・ノイズ消去システムを提供すること、または少なくとも有用な代替物を公衆に提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
したがって、一局面において本発明は概して、スピーカおよびマイクロホンを内蔵するハウジングと、そのハウジングの外部に設けられるクッションとを有し、該クッションは第1音響伝達特性を有する第1領域と第2音響伝達特性を有する第2領域とを有し、当該第2音響特性が、可聴音の伝達について第1音響特性よりも高いインピーダンスを有するイヤ・バッド・イヤホンからなる。
【0017】
好ましくは、前記第1領域は耳道内面と接触するように設けられ、第2領域は第1領域と前記ハウジングの間に設けられる。
【0018】
好ましくは、前記スピーカは前記ハウジングによって支持され、前記マイクロホンは、前記ハウジングによって支持され、かつスピーカの前方に配置されて、ノイズ消去システムで使用するための信号を供給する。
【0019】
好ましくは、前記マイクロホンは、使用時に耳道の壁に近接して配置されるように、ハウジングの側部に接触または近接して設けられる。
【0020】
好ましくは、漏洩性音響通路がユーザの耳道と周囲の外部環境との間に設けられる。
【0021】
好ましくは、前記クッションは、その漏洩性音響通路を提供する。このクッションは連続気泡発泡材料を含んでいてもよい。
【0022】
さらなる態様において、本発明は、イヤ・バッド・イヤホン用のクッションを提供する。このクッションは、耳道内面と接触し、第1音響伝達特性を有する第1領域と、当該第1領域とイヤホンのハウジングとの間に配設され、第2音響伝達特性を有する第2領域とを有する。
【0023】
好ましくは、第2音響特性は、可聴音の伝達に対して第1音響特性よりも高いインピーダンスを有している。
【0024】
さらなる態様において、本発明は、発泡材料または繊維材料から選択されたシート材料を提供するステップと、その材料の所定の領域に当該所定の領域の音響インピーダンスを結果的に増大させる組成物を塗布するステップと、イヤ・バッド・イヤホンにフィットする寸法のクッションにその材料を形成するステップとを含む、イヤ・バッド・イヤホン用のクッションを形成する方法を提供する。
【0025】
さらなる態様において、本発明は、ハウジングと、そのハウジングに支持されて音響を生成するスピーカと、前記ハウジングによって支持され、前記スピーカの前方に配置されてノイズ消去システムで使用される信号を供給するマイクロホンとを含むイヤ・バッド・イヤホンを提供する。
【0026】
好ましくは、前記マイクロホンは、使用時に耳道の壁に近接して設けられるように、ハウジングの側部に接触または近接して設けられる。
【0027】
好ましくは、漏洩性音響通路はユーザの耳道と周囲の外部環境との間に設けられる。一実施形態においては、クッションが漏洩性音響通路を提供する。
【0028】
さらなる態様において、本発明は、スピーカおよびマイクロホンを有するイヤ・バッド・イヤホンと、マイクロホンからフィードバック信号を受け、スピーカに信号を供給して、使用時にノイズ抑制を実現するようにされたフィードバック・ノイズ消去回路とを含むイヤ・バッド・イヤホン・フィードバック・ノイズ消去システムを提供する。
【0029】
さらなる態様において、本発明は、スピーカおよびマイクロホンを含むハウジングと、当該ハウジングの外部に設けられたクッションとを有し、そのクッションは第1音響伝達特性を有する第1領域および第2音響伝達特性を有する第2領域を有し、前記第2音響特性が、可聴音の伝達に対して第1音響特性よりも高いインピーダンスを有しており、前記第1領域が耳道内面と接触するよう設けられ、第2領域が第1領域とハウジングの間に設けられるイヤ・バッド・イヤホンを提供する。
【0030】
さらなる態様において、本発明は、耳道内面と接触し、第1音響伝達特性を有する第1領域、ならびに第1領域とイヤホンのハウジングとの間に位置するよう設けられた、第2音響伝達特性を有する第2領域を有し、第2音響特性が、可聴音の伝達に対して第1音響特性よりも高いインピーダンスを有する、イヤ・バッド・イヤホン用のクッションを提供する。
【0031】
本発明のさらなる態様は、以下の説明により明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
上記のように、ユーザの耳と周囲の外部環境との間を完全に密閉するヘッドホンを用いることは、これがノイズ消去システムを使用しても抑制が困難な高周波音を遮音するため、ノイズ消去性能を改善するために使用されてきた手法の1つとなっている。
【0033】
しかしながら、イヤ・バッドと耳道内面との間を密閉した場合、2つの問題が生じることを本発明者は見出した。第1に、密閉すると、通常、耳道内の圧力が原因でユーザに不快感が発生することである。第2に、密閉すると、フィードバック制御を実施したときに安定性の問題につながる可能性があることである。フィードバック方式のノイズ消去システムを使用したイヤ・バッドの性能は、イヤ・バッドと耳道内面の間における密閉が音響的に「漏洩性」となり、漏洩性通路が耳道と周囲環境の間に設けられる場合に改善されることを本発明者は見出した。これは、特にイヤ・バッドが耳道内に挿入されたときに、そのような通路によって、好ましくはゲイン余裕を改善する高周波減衰と共に、音響システムの開ループ感度に対する制御が得られるからである。
【0034】
通常のイヤ・バッド・イヤホンには、イヤホン本体の周辺に張りつけられる発泡体のクッションが供給される。このクッションは、イヤホン本体をユーザの耳から離隔するものであり、耳の内側表面とイヤホン本体の間を快適にフィットさせるという主目的を有している。そのようなクッションは、イヤ・バッド・イヤホンと共に使用されるときには、「カバー(cover)」または「ブーツ(boots)」と呼ばれることもある。
【0035】
一般にこの発泡体は、ユーザにとって快適であり、イヤホン本体に備えられた駆動ユニットからの音声を概ね遮ることなく耳へと通過させる連続気泡発泡体である。
【0036】
この快適な連続気泡発泡体に伴う難点は、耳とイヤホン本体の間の漏洩通路が過度に大きくなり、性能低下の原因となることである。
【0037】
性能を改善する1つの方法は、漏洩通路を通じての音漏れを低減させることである。ただし、通常はこれによって、ユーザが体感する快適性も低減する。
【0038】
一実施形態において、本発明は2つの部分、すなわちノイズ消去コントローラとしてのノイズ消去装置、およびイヤ・バッド・イヤホン(1つまたは複数の「イヤ・バッド」を有する)を備えることができる。本発明は、それぞれがノイズ消去制御器に接続される1つまたは2つのイヤ・バッドを有するように構成することができる。またノイズ消去制御器は、携帯電話のハンズ・フリー・システムに見受けられるような音声信号を受け入れるように設計することもできる。
【0039】
ノイズ消去制御器は、様々な単体の部品を実装したプリント回路基板(PCB)または好ましくは集積回路(IC)を備え、それによって、イヤ・バッドに接続されたときに効果的なノイズ抑制を達成するよう設計された制御則(後でさらに説明する)を具現化する。
【0040】
イヤ・バッドは、2つの変換器、すなわちスピーカとマイクロホンとを備える。マイクロホンは、スピーカの前方にかつ可能な限り耳道に近接して配置される。
【0041】
本発明の実施形態においては、装置がノイズ消去電子機器に接続されたときに効果的かつ安定な性能を実現することができるよう協働する変換器、発泡体および密封材の特別の構成を提供する。
【0042】
別の実施形態において、本発明は、イヤ・バッド・イヤホン用のクッション、またはそのようなクッションを含むイヤ・バッド・イヤホンに関する。
【0043】
図1に示すように、本発明の一態様によるイヤ・バッド・イヤホン1は、ハウジング構造体3によって支持され、かつスピーカ(または類似の音響変換器)4の前方に配置されたマイクロホン(または類似の音響変換器)2を含む。一実施形態において、バッフル板5はハウジングの一部をなし、音がフィルタ処理されずにバッフル板の正面から背面に直接漏洩しないようにする。音は、クッション6(これもハウジングの一部となることができる)を介してのみ漏洩し得る。別の実施形態においては、スピーカの後方から周囲の外部環境への音響通路の制御を可能にするために、スピーカの背後に後部通気孔が設けられる。
【0044】
図1Aに、制御システムのさまざまな制御パラメータを示す。r(s)は基準信号(例えばオーディオ信号)、e(s)はマイクロホン2からの誤差信号、u(s)は電子制御器(関数C(s)で表す)から供給される信号、y(s)はプラントの出力(すなわちG(s)で表されるスピーカ4および音響通路)、w(s)は音響的外乱である。
【0045】
制御則は次式で与えられる。
【0046】
【数1】

【0047】
このように、ゲインが大きくなるにつれて誤差が小さくなる。したがって、より高いゲインを使用できるので、不安定性が発生する可能性があるより高い周波数部分を減衰させることで、望ましい。
【0048】
クッション6は発泡材料で形成されることが好ましいが、繊維材料などのその他の材料を使用することもできる。最も好ましい発泡体は、高密度な連続気泡発泡体であるが、セル発泡体、網状発泡体、メモリーフォームなどの他の発泡体を使用することもできる。クッションは、スピーカによって生成された音声が周囲条件(ambient conditions)に移動する漏洩性通路を提供する。これは望ましいことであるが、それは、この通路によって耳覆い型ヘッドホン上のイヤ・パッドの効果を模擬することができ、特に耳道内に挿入されたときに、好ましくはゲイン余裕を改善するための高周波数の減衰性と共に、音響システムの開ループ感度に対する制御が確保されることを本発明者が見出しているためである。
【0049】
図1から分かるように、クッションは、異なる音響伝達特性を有する2つの領域7および8を有している。一実施形態において、領域7は、実質的に妨害することなく音声を通過させる高密度な連続気泡発泡体を備える。またこの材料は、ユーザの耳道内面に対して快適となる「柔らかい」肌触りを有している。
【0050】
図示した実施形態では、領域8は領域7とハウジング3の間に設けられている。領域8は、音声の伝達を著しく妨げるという点で領域7とは異なる音響特性を有する。それでもスピーカからの音声は、領域8のうちのスピーカの前の部分を通過することができるが、領域8のうちのハウジングの縁部の周囲に位置する部分は、イヤ・バッドが耳道内に配置されたときに、矢印10で示すように使用中に圧縮される。この領域を圧縮することによって、音声がスピーカから周囲環境へ、ユーザの耳の外部に通過することが著しく阻止される。しかしながら、音響的に漏洩性を有する周囲環境への通路は、依然として確保される。
【0051】
領域8は、イヤ・バッド・ハウジングの周側部のみに設けてもよい。さらに、これらの領域は、図面に示すように明確に分離せずに、互いに融合させてもよい。
【0052】
別の実施形態においては、領域7がハウジング3に近接して設けられ、領域8が領域7の外部に設けられるように、領域7および8の位置を反転させてもよい。
【0053】
図1Bに別の実施形態を示す。ここで、図1を参照して説明した機能と同一または類似の機能は、同じ参照符号を有している。
【0054】
クッションは、図2および3に示すように、ハウジングから分離可能な構成要素として提供することもできる。これらの図において、クッションが、使用時にイヤ・バッド・ハウジングを内部に配置することができる内部空洞21への入口20を有しているのが分かる。
【0055】
好ましい実施形態において、クッションは、一方の側面が組成物で被覆された高密度な連続気泡発泡体のシートで形成される。その組成物は、乾燥すると前述の音響的減衰特性が増大する領域8を形成する塗料または類似の材料などのフロック剤(flocking agent)であることが好ましい。音響的減衰性が向上するのは、フロック剤によって発泡材料または繊維材料内の気泡構造の一部またはすべてが閉じる、または部分的に閉じることによるものである。
【0056】
次いでシート材料は、入口開口部20を有する上側部分22および下側部分23が形成されるように(好ましくは押し抜き加工によって)切断される。これらの2つの側部は接合部24において(例えば適切な接着剤を使用して)接合される。図1に示すようなクッションを設けるために、これらの側部は領域8を内側にして接合される。
【0057】
クッション6は、アクティブ方式によって消去されない高周波ノイズから着用者を保護する。独立気泡発泡体の未処理領域7によって、着用者固有の耳道内の形状により快適かつ確実にフィットする一方で、内側領域8によって、周囲環境へ音が伝達する際の減衰を制御することが可能となる。上述のとおり、例えばその他の種類の発泡体など、その他の材料を使用してもよく、前記領域の配置を交換してもよい。別の実施形態においては、音の伝達を妨げる領域を形成するために一方の側面をフロック剤で被覆することができる繊維材料または織布材料を提供することができる。別の実施形態においては、所望の音響性能の達成を可能にするために、異なる音響伝達特性を有する領域が形成されるように異なる密度で繊維材料または織布材料を製造することができる。
【0058】
好ましい実施形態においては、力係数の大きいスピーカ4が用いられる。このスピーカの動力学は、低周波の音のみを通過させるフィルタ膜で覆われた通気孔(上述のとおり)が唯一の出口である半密閉空洞に、このスピーカを密閉することによって制御することができる。
【0059】
好ましい実施形態において、マイクロホン2はエレクトレット・コンデンサ(ECM)型のものであり、20Hzから10kHzの帯域幅にわたり高S/N比で平坦な周波数応答を示す。
【0060】
コントローラが上記の制御則を実施することで、本発明の実施形態は1000Hzの帯域幅にわたり最大20dBピークのノイズ消去をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0061】
本発明を添付の図面を参照して、例示によって説明する。
【図1】フィードバック制御方式のノイズ消去方式のイヤ・バッド・イヤホンの模式的な断面図である。
【図1A】本発明に従い、イヤ・バッド・イヤホンを用いたフィードバック制御システムの一例のダイヤグラム図である。
【図1B】フィードバック制御方式のノイズ消去方式のイヤ・バッド・イヤホンの別の実施形態の断面図である。
【図2】イヤ・バッド・イヤホンのクッションを示す図である。
【図3】図2に示すクッションの模式的な断面図である。
【符号の説明】
【0062】
1 イヤ・バッド・イヤホン
2 マイクロホン
3 ハウジング構造
4 スピーカ
5 バッフル板
6 クッション
7 領域
8 領域
10 矢印
20 入口開口部
21 内部空洞
22 上側部
23 下側部
24 接合部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカおよびマイクロホンを含むハウジングと、前記ハウジングの外部に設けられるクッションとを有し、前記クッションは、第1音響伝達特性を有する第1領域および第2音響伝達特性を有する第2領域を有し、前記第2音響特性は、可聴音の伝達に対して前記第1音響特性よりも高いインピーダンスを有するイヤ・バッド・イヤホン。
【請求項2】
前記第1領域は、耳道内面と接触するように設けられ、前記第2領域が前記第1領域と前記ハウジングの間に設けられる、請求項1に記載のイヤ・バッド。
【請求項3】
前記スピーカは、前記ハウジングによって支持され、前記マイクロホンは、前記ハウジングによって支持され、かつ前記スピーカの前方に配置されてノイズ消去システムで使用するための信号を供給する、請求項1または請求項2に記載のイヤ・バッド。
【請求項4】
前記マイクロホンは、使用時に耳道の壁に近接して配置されるように、前記ハウジングの側部に接触または近接して設けられる、前記請求項のいずれか1項に記載のイヤ・バッド。
【請求項5】
洩性音響通路がユーザの耳道と周囲の外部環境との間に設けられる、前記請求項のいずれか1項に記載のイヤ・バッド。
【請求項6】
前記クッションは、前記漏洩性音響通路を備える、請求項5に記載のイヤ・バッド。
【請求項7】
前記クッションは、連続気泡発泡材料を含む、請求項6に記載のイヤ・バッド。
【請求項8】
前記発泡材料は、使用時にユーザの耳道と接触する、請求項7に記載のイヤ・バッド。
【請求項9】
前記第1領域は、実質的に前記イヤホンの前方領域を覆う、前記請求項のいずれか1項に記載のイヤ・バッド。
【請求項10】
前記第2領域は、前記イヤホンの前記前方領域を覆わない、前記請求項のいずれか1項に記載のイヤ・バッド。
【請求項11】
耳道内面と接触し、第1音響伝達特性を有する第1領域、ならびに前記第1領域と前記イヤホンのハウジングとの間に位置するよう設けられ、第2音響伝達特性を有する第2領域を有する、イヤ・バッド・イヤホン用のクッション。
【請求項12】
前記第2音響特性は、可聴音の伝達に対して前記第1音響特性よりも高いインピーダンスを有する、請求項11に記載のクッション。
【請求項13】
発泡材料または繊維材料から選択されたシート材料を提供するステップと、前記材料の所定の領域に、前記選択された領域の音響インピーダンスを結果的に増大させる組成物を塗布するステップと、イヤ・バッド・イヤホンにフィットする寸法のクッションに前記材料を形成するステップとを含む、イヤ・バッド・イヤホン用のクッションを形成する方法。
【請求項14】
ハウジングと、前記ハウジングによって支持されて音声を生成するスピーカと、前記ハウジングによって支持され、前記スピーカの前方に配置されてノイズ消去システムで使用する信号を供給するマイクロホンとを含むイヤ・バッド・イヤホン。
【請求項15】
前記マイクロホンは、使用時に前記耳道の壁に近接して設けられるように、前記ハウジングの側部に接触または近接して設けられる、請求項14に記載のイヤ・バッド。
【請求項16】
漏洩性音響通路がユーザの耳道と周囲の外部環境との間に設けられる、請求項14または請求項15に記載のイヤ・バッド。
【請求項17】
クッションが前記漏洩性音響通路を提供する、請求項16に記載のイヤ・バッド。
【請求項18】
前記クッションは、連続気泡発泡材料を含む、請求項17に記載のイヤ・バッド。
【請求項19】
前記発泡材料は、使用時にユーザの耳道と接触する、請求項7に記載のイヤ・バッド。
【請求項20】
スピーカおよびマイクロホンを有するイヤ・バッド・イヤホンと、前記マイクロホンからフィードバック信号を受け、前記スピーカに信号を供給して使用時にノイズ抑制を実現するようなされたフィードバック・ノイズ消去回路とを含むイヤ・バッド・イヤホン・フィードバック・ノイズ消去システム。
【請求項21】
スピーカおよびマイクロホンを含むハウジングと前記ハウジングの外部に設けられたクッションとを有し、前記クッションは、第1音響伝達特性を有する第1領域および第2音響伝達特性を有する第2領域を有し、前記第2音響特性は、可聴音の伝達に対して前記第1音響特性よりも高いインピーダンスを有し、前記第1領域が耳道内面と接触するよう設けられ、前記第2領域が前記第1領域と前記ハウジングの間に設けられるイヤ・バッド・イヤホン。
【請求項22】
耳道内面と接触する、第1音響伝達特性を有する第1領域、ならびに前記第1領域と前記イヤホンのハウジングとの間に位置するよう設けられた、第2音響伝達特性を有する第2領域を有し、前記第2音響特性が、可聴音の伝達に対して前記第1音響特性よりも高いインピーダンスを有する、イヤ・バッド・イヤホン用のクッション。
【請求項23】
図面に示した実施形態のいずれか1つを参照して本明細書で説明したイヤ・バッドまたは実質的にイヤ・バッド用のクッション。



【図1】
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【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−270964(P2006−270964A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−79487(P2006−79487)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(506096327)フィテック システムズ リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】PHITEK SYSTEMS LIMITED
【住所又は居所原語表記】c/o Bell Gully, Level 22, Verco Center, 48 Shortland Street, Auckland, NEW ZEALAND
【Fターム(参考)】