説明

インキ用アンカーコート剤

【課題】耐ブロッキング性、インキ密着性に優れたインキ用アンカーコート剤の提供。
【解決手段】トルエン不溶分率60〜99重量%であることを特徴とする共重合体ラテックス組成物からなるインキ用アンカーコート剤。上記共重合体としては、(α)ガラス転移温度が−90〜10℃の範囲にある共重合体(イ)からなるコア層及びガラス転移温度が50〜180℃の範囲にある共重合体(ロ)からなるシェル層を有するものが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共重合体ラテックス組成物からなるインキ用アンカーコート剤に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線硬化型インキ(UVインキ)は無溶剤型であることから、従来の溶剤インキに替わり金属・樹脂フィルム・ラミネート加工紙・表面塗工紙等の印刷に盛んに用いられている(例えば、非特許文献1、2)。
【0003】
しかし、樹脂の硬化反応を用いて定着させることから基材との密着性が問題となる場合が多い。また、樹脂表面上に印刷した場合には樹脂中の可塑剤の移行によりインキの剥奪が発生する。さらに、紙のような多孔性の基材の場合には浸透により印刷にじみが発生する場合もある。
【0004】
これらの問題点の解決にあたっては、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体からなるアンカーコート剤を用いる方法(例えば特許文献1)、アクリル系樹脂からなるアンカーコート剤を用いる方法(例えば特許文献2)、ウレタン系アンカーコート剤を用いる方法(例えば特許文献3、4)が提案されている。
【0005】
しかしながら、操業上の面で未解決の問題もある。例えば、アンカーコート剤をコーティングした後に一端ロール状に巻き上げて保存する場合、乾燥後の余熱によって基材の裏面とアンカーコート剤が接着しブロッキングするトラブルが発生することが知られている。
【特許文献1】特開平8−164968号公報
【特許文献2】特開平9−137137号公報
【特許文献3】特開2002−154300号公報
【特許文献4】特開2004−238403号公報
【非特許文献1】社団法人日本印刷学会編「印刷工学便覧」、p621、p960、1983年5月1日発行、技報堂出版株式会社
【非特許文献2】松本和雄著「特殊印刷」、p80、昭和58年7月7日発行、株式会社印刷出版研究所
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は耐ブロッキング性、インキ密着性を有するインキ用アンカーコート剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、耐ブロッキング性、インキ密着性に優れるインキ用アンカーコート剤を得るべく、ラテックス共重合体組成、ラテックス粒子の異相構造などの面から検討を行った。この結果、特定の組成、トルエン不溶分率、異相構造等を選択することで、上記の目的とする性能を与えることを見いだし、本発明をなすにいたった。
【0008】
すなわち、本発明は以下に示すものである。
(1)トルエン不溶分率60〜99重量%であることを特徴とする共重合体ラテックス組成物からなるインキ用アンカーコート剤。
(2)シアン化ビニル系単量体を5〜30重量%含む混合単量体を共重合して得られることを特徴とする上記(1)記載のインキ用アンカーコート剤。
(3)(α)ガラス転移温度(Tg)が−90〜10℃の範囲にある共重合体(イ)からなるコア層及び(β)ガラス転移温度(Tg)が50〜180℃の範囲にある共重合体(ロ)からなるシェル層を有することを特徴とする上記(1)、(2)記載のインキ用アンカーコート剤。
(4)(α)ガラス転移温度(Tg)が−90〜10℃の範囲にある共重合体(イ)からなるコア層、(β)ガラス転移温度(Tg)が50〜180℃の範囲にある共重合体(ロ)からなる中間層及び(γ)ガラス転移温度(Tg)が20〜100℃の範囲にあり、共重合体(ロ)のガラス転移温度(Tg)との差が4℃以上であるガラス転移温度(Tg)を有する共重合体(ハ)からなるシェル層を有することを特徴とする上記(1)、(2)記載のインキ用アンカーコート剤。
(5)(i)コア層を形成する共重合体(イ)を含むラテックスの存在下で、(ii)単量体を乳化共重合させて共重合体(ロ)からなるシェル層を形成することを特徴とする上記(3)に記載のインキ用アンカーコート剤の製造方法。
(6)(i)コア層を形成する共重合体(イ)からなるラテックスの存在下で、(ii)単量体を乳化共重合させて共重合体(ロ)からなる中間層を形成し、次いで、(iii)単量体を乳化共重合させて共重合体(ハ)からなるシェル層を形成することを特徴とする上記(4)に記載のインキ用アンカーコート剤の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明は高度の耐ブロッキング性、インキ密着性を有すると同時に無溶剤の水性のアンカーコート剤を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明は乳化重合によって製造される共重合体ラテックスからなる。ここで、ラテックスとは合成樹脂の水分散体の総称であり、乳化重合により、あるいは乳化分散工程により製造したエマルジョン等である。
【0011】
またアンカーコート剤とは印刷支持体(基材)となる紙、樹脂フィルム、ラミネート加工紙、金属加工紙、金属フィルム等に印刷インキを転写する際に、基材の表面にあらかじめアンカーコート加工を行う薬剤を指す。これにより、基材表面にはインキが転写、浸透しにくい場合であっても良好な定着性、印字再現性を発揮する薬剤をいう。
【0012】
本発明に用いられる共重合可能な単量体としては、共役ジエン系単量体、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体の他、樹脂の変成を目的として、エチレン系不飽和カルボン酸単量体、(メタ)アクリルアミド系単量体、カルボン酸ビニルエステル系単量体、アミノ基含有エチレン性単量体類、ハロゲン化ビニル、スルホン酸基やリン酸基含有単量体、ラジカル重合性の二重結合を2個以上有しているビニル系単量体、重合後に架橋構造を与える官能基を有しているビニル系単量体、重合後に架橋構造を与えるシランカップリング剤などを挙げることができる。これらは単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
【0013】
共役ジエン系単量体としては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,3ペンタジエン、クロロプレン、2−クロロ−1,3ブタジエン、シクロブタジエンなどを挙げることができ、これらを単独で、又は2種以上組み合わせて使用できる。これらの中でも1,3ブタジエンが好適に使用できる。
【0014】
エチレン系不飽和カルボン酸単量体としては、例えばアクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸、ブテントリカルボン酸、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノメチルなどを挙げることができ、これらを単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でもアクリル酸が好適に使用できる。
【0015】
芳香族ビニル系単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン,o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、エチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、ビニルキシレン、ブロモスチレン、ビニルベンジルクロリド、p−t−ブチルスチレン、クロロスチレン、アルキルスチレン、などを挙げることができ、これらを単独で、又は2種以上組み合わせて使用できる。これらの中でもスチレンが好適に使用できる。
【0016】
シアン化ビニル系単量体としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリルなどを挙げることができ、これらを単独に、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0017】
本発明のアンカーコート剤にはシアン化ビニル系単量体を用いることが好ましい。シアン化ビニル系単量体の好ましい使用量はジエン系共重合体ラテックスの全体単量体組成量の5〜30重量%の範囲である。5重量%以上の場合は耐ブロッキング性が良好である。
【0018】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、例えばメチル(メタ)アクリレ−ト、エチル(メタ)アクリレ−ト、プロピル(メタ)アクリレ−ト、n−ブチル(メタ)アクリレ−ト、t−ブチル(メタ)アクリレ−ト、イソブチル(メタ)アクリレ−ト、n−アミル(メタ)アクリレ−ト、イソアミルヘキシル(メタ)アクリレ−ト、オクチル(メタ)アクリレ−ト、ノニル(メタ)アクリレ−ト、デシル(メタ)アクリレ−ト、ドデシル(メタ)アクリレ−ト、オクタデシル(メタ)アクリレ−ト、シクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、フェニル(メタ)アクリレ−ト、ベンジル(メタ)アクリレ−ト、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、プロピレングリコ−ル(メタ)アクリレ−ト、ジエチレングリコ−ルエトキシアクリレ−ト、メトキシポリエチレングリコ−ル(メタ)アクリレ−ト、ステアリル(メタ)アクリレ−ト、フェノキシポリエチレングリコ−ル(メタ)アクリレ−ト、フェノキシエチル(メタ)アクリレ−ト、イソボルニル(メタ)アクリレ−トなどを挙げることができ、これらを単独に、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0019】
(メタ)アクリルアミド系単量体としては、例えば(メタ)アクリルアミド、N−メチロ−ル(メタ)アクリルアミドやN−メチル(メタ)アクリルアミドなどのN−モノアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのN,Nジアルキル(メタ)アクリルアミド、グリシジルメタアクリルアミド、N−アルコキシ(メタ)アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などをあげることができ、これらを単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0020】
他の単量体としては、例えばアミノエチル(メタ)アクリレ−トやジメチルアミノエチル(メタ)アクリレ−ト及び2−ビニルピリジンなどのアミノ基含有エチレン性単量体、酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類、塩化ビニルや塩化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル、スチレンスルホン酸塩や2−(メタ)アクリロイルオキシエチルスルホン酸及び(メタ)アリルスルホン酸塩などのスルホン酸基含有単量体、燐酸エチレン(メタ)アクリレ−トや燐酸プロピレン(メタ)アクリレ−ト及び2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェ−トなどの燐酸基含有単量体などを挙げることができ、これらを単独に、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0021】
ラジカル重合性の二重結合を2個以上有しているビニル系単量体は例えば、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ポリオキシエチレンジ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、 トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1−3−ブチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,4−ブチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,5−ペンタジオ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ネオペンチルグリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,6−ヘキサンジオ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ジエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、トリエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、テトラエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ポリエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ポリプロピレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルトリ(メタ)アクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパントリ(メタ)アクリレ−ト、テトラメチロ−ルメタンテトラ(メタ)アクリレ−ト、アリル(メタ)アクリレ−ト2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
【0022】
重合中、重合後に架橋構造を与える官能基を有しているビニル系単量体としては例えば、エポキシ 基含有モノマー、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、メチロール基含有モノマー、例えばN−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジメチロール(メタ)アクリルアミド、アルコキシメチル基含有モノマー、例えばN−メトキシメチルアクリルアミド 、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルア ミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミド等、ヒドロ キシル基含有モノマー等が挙げられる。
【0023】
重合後に架橋構造を与えるシランカップリング剤としてはビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、トリス−2−メトキシエトキシビニルシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
【0024】
本願発明の共重合体ラテックス組成物は水性媒体中で単量体、連鎖移動剤などを乳化剤、ラジカル重合開始剤、及び必要に応じてその他の添加剤成分を用いて重合する従来公知の乳化重合方法によって得られる。
【0025】
連鎖移動剤としては、例えばα−メチルスチレンダイマ−などの核置換α−メチルスチレンの二量体、n−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン,n−ラウリルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン及びt−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン類、テトラメチルチウラムジスルフィド及びテトラエチルチウラムジスルフィドなどのジスルフィド類、2−エチルヘキシルチオグリコレ−ト、タ−ピノ−レンなどの公知の全てのものを単独、又は2種以上組み合わせて用いることができる。連鎖移動剤の使用量は通常0.01〜3重量%が好適である。
【0026】
乳化剤としては、例えば脂肪族石鹸、ロジン酸石鹸、アルキルスルホン酸塩、ジアルキルアリ−ルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩及びポリオキシエチレンアルキルアリ−ル硫酸塩などのアニオン性乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルエ−テル、ポリオキシエチレンアルキルアリ−ルエ−テル及びポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマ−などのノニオン性乳化剤など公知のものを単独、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。又これらの他に親水基と親油基を有する界面活性剤の化学構造式の中にエチレン性二重結合を導入した反応性乳化剤も好適に使用でき、更に、ベタイン型などの両性乳化剤及びポリビニルアルコ−ル、カルボキシメチルセルロ−ス、メチルセルロ−ス、ポリビニルピロリドンなどの水溶性高分子の保護コロイド乳化剤なども必要に応じて用いることができる。乳化剤の使用量は通常0.01〜1重量%が好適である。
【0027】
ラジカル重合開始剤は、熱又は還元性物質の存在下ラジカル分解して単量体の付加重合を開始させるものであり、無機系開始剤及び有機系開始剤のいずれも使用できる。このようなものとしては、例えば水溶性及び油溶性のペルオキソ二硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物などで、具体的にはペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、2,2−アゾビスブチロニトリル、クメンハイドロパ−オキサイドを挙げることができ、又他に、POLYMER HANDBOOK(3rd.edition)、J.Brandrup及びE.H.Immergut著、John Willy&Sons刊(1989)に記載されている化合物も用いることができる。又、酸性亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸やその塩、エリソルビン酸やその塩、ロンガリットなどの還元剤を重合開始剤に組み合わせて用いる、いわゆるレドックス重合法を採用することもできる。この重合開始剤の使用量は全単量体の重量に基づき、通常0.1〜5.0重量%使用する。
【0028】
本発明の共重合体ラテックス組成物を重合する際、重合中及び重合後に、必要に応じて各種調整剤を添加することができる。例えば、pH調整剤として水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムなどを添加することができる。又、エチレンジアミン四酢酸ナトリウムなどの各種キレ−ト剤なども重合調整剤として添加することができる。
【0029】
本発明の共重合体ラテックス組成物の製造における単量体混合物の重合系への添加は一括添加法、連続的にあるいは断続的に添加する方法、これらの方法を組み合わせた方法(例えば、単量体混合物の一部添加した後に重合の進行に従って連続的もしくは断続的に添加する方法)などいずれでも良い。
【0030】
又、重合にあたってシ−ド重合方法もとることができる。シ−ド用ラテックスの組成は共重合体ラテックスの組成と同じであっても異なってもよく、シ−ド用ラテックスも同一反応容器で製造したもの、異なる他の反応容器で製造したものを用いてもよい。
【0031】
共重合体のガラス転移温度(Tg)は、用いるそれぞれの単量体について一般に示されているその単独重合体のTgと単量体の配合割合から概略推定することができる。例えば約100℃のガラス転移温度(Tg)の重合体を与えるスチレン、メチルメタクリレ−ト、及びアクリルニトリルなどの単量体を高比率で配合した共重合体は高いガラス転移温度(Tg)のものが得られ、例えば約−80℃のガラス転移温度(Tg)の重合体を与えるブタジエンや約−50℃のガラス転移温度(Tg)の重合体を与えるn−ブチルアクリレ−ト及び2−エチルヘキシルアクリレ−トなどの単量体を高い比率で配合した共重合体は低いガラス転移温度(Tg)のものが得られる。
【0032】
本発明においては、トルエン不溶分率が60〜99重量%であることが耐ブロッキング性、インキ密着性の点から必須である。より好ましくは75〜99重量%である。トルエン不溶分率の調整には主として、前述した連鎖移動剤の使用、粒子径または重合温度によって行う。連鎖移動剤の増加によって共重合体の分子量が低下して、トルエン不溶分率は低下する。また共役ジエン系単量体を用いた場合には共重合体の粒子径を増加することにより、あるいは重合温度を低下することによって、共役ジエン系単量体の未反応二重結合に起因する架橋密度を低下させることができ、こうしたことによりトルエン不溶分率を低下する。一方、重合転化率を90重量%以上にすることによって、共役ジエン系単量体の未反応二重結合同士の反応が促進され、架橋密度を上昇することができ、こうしたことによりトルエン不溶分率は上昇する。
【0033】
特定のトルエン不溶分率の選択によって耐ブロッキング性、インキ密着性の良好なアンカーコート剤が得られる原理は明らかでない。一般にトルエン不溶分率の低下によって、共重合体の低分子量成分が増加する。この低分子量成分がアンカーコート剤の表面に析出しUVインクの硬化反応を阻害するとも考えられる。
【0034】
本発明における共重合体ラテックス組成物は均一構造でも二層構造(コア層及びシェル層)、又は三層構造(コア層、中間層、シェル層)でも用いることができる。
【0035】
二層構造ラテックスは、例えばコア層の共重合体(イ)の存在下でシェル層の共重合体(ロ)を生成する単量体混合物を乳化共重合させることによって得られる。コア層における共重合体(イ)のガラス転移温度(Tg)は−90〜10℃であり−90℃以上の場合はインキ密着性が良好である。生成するシェル層の共重合体(ロ)のガラス転移温度(Tg)は50〜180℃の範囲である。シェル層における共重合体(ロ)のガラス転移温度(Tg)が50℃以上の場合、インキ密着性が良好である。
【0036】
三層構造ラテックスは、例えば共重合体(イ)の存在下で中間層の共重合体(ロ)、シェル層の共重合体(ハ)を生成する単量体混合物を、順次共重合させることによって得られる。コア層における共重合体(イ)のガラス転移温度(Tg)は−90〜10℃であり−90℃以上の場合はインキ密着性が良好である。生成する中間層の共重合体(ロ)のガラス転移温度(Tg)は50〜180℃の範囲である。中間層における共重合体(ロ)のガラス転移温度(Tg)が50℃以上の場合、インキ密着性が良好である。生成するシェル層の共重合体(ハ)のガラス転移温度(Tg)は20〜100℃の範囲である。シェル層における共重合体(ハ)のガラス転移温度(Tg)が20℃以上の場合、インキ密着性が良好である。
【0037】
三層構造の場合、各共重合体はガラス転移温度(Tg)によって区別され、共重合体(ロ)成分のガラス転移温度(Tg)と共重合体(ハ)成分のガラス転移温度(Tg)の差が4℃以上である場合に耐ブロッキング性、インキ密着性が特に良好となる。
【0038】
共重合体(イ)〜(ハ)のガラス転移温度(Tg)は、用いるそれぞれの単量体について一般に示されているその単独重合体のTgと単量体の配合割合から概略推定することができる。例えば約100℃のガラス転移温度(Tg)の重合体を与えるスチレン、メチルメタクリレ−ト、及びアクリルニトリルなどの単量体を高比率で配合した共重合体は高いガラス転移温度(Tg)のものが得られ、例えば約−80℃のガラス転移温度(Tg)の重合体を与えるブタジエンや約−50℃のガラス転移温度(Tg)の重合体を与えるn−ブチルアクリレ−ト及び2−エチルヘキシルアクリレ−トなどの単量体を高い比率で配合した共重合体は低いガラス転移温度(Tg)のものが得られる。
【0039】
本発明の二層構造ラテックスを構成する共重合体(イ)、(ハ)の重量割合(重量%)はそれぞれ、20〜60:40〜80{但し、(イ)+(ハ)=100}の範囲が耐ブロッキング性、インキ密着性のバランス面で好ましい。
【0040】
本発明の三層構造ラテックスを構成する共重合体(イ)〜(ハ)の重量割合(重量%)はそれぞれ、20〜60:10〜70:10〜70{但し、(イ)+(ロ)+(ハ)=100}の範囲が耐ブロッキング性、インキ密着性のバランス面で好ましい。
【0041】
本発明のアンカーコート剤には、顔料等を必要に応じて配合することができる。顔料としては特に制約はなく、無機及び有機の顔料が使用できる。例えば、マグネシウム、亜鉛、バリウム、チタン、アルミニウム、アンチモン、鉛などの各種金属酸化物、水酸化物、硫化物、炭酸塩、硫酸塩又は珪酸塩化合物やポリスチレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルなどの個体高分子微粉末などが挙げられる。具体的には、炭酸カルシウム、カオリン(クレ−)、タルク、雲母、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、シリカ、合成ゼオライト、バライト粉、アルミナホワイト、サチンホワイトなどである。配合する顔料の割合は常態防湿性が顕著に損なわれない程度に配合することが好ましく、ラテックス100重量部(固形分)に対して100重量部以下が一般的である。
【0042】
これに加えて更に必要に応じて、メチルセルロ−ス、ヒドロキエチルセルロ−ス、カルボキシメチルセルロ−スなどのセルロ−ス誘導体、デキストリン、酸化処理澱粉、架橋澱粉、エステル澱粉、グラフトコポリマ−澱粉などの澱粉誘導体、ポリビニルアルコ−ル、ポリ(メタ)アクリル酸塩、ポリビニルピロリドンなどの各種水溶性高分子、並びに公知の消泡剤、濡れ剤、レベリング剤、成膜助剤、可塑剤、顔料分散剤、着色剤、耐水化剤、潤滑剤、防腐剤、防滑剤、撥水剤、離型剤、ブロッキング防止剤、ワックスエマルジョン、架橋剤(例えば水溶性エポキシ化合物など)、水溶性金属塩及び各種溶剤なども加えることができる。
【実施例】
【0043】
次に、本発明について、実施例に基づいて説明する。なお、実施例及び比較例における塗布量、部数、混合割合などは全て固形分基準で示した。また「%」及び「部」は全て重量基準である。
【0044】
共重合体ラテックスのガラス転移温度(Tg)、接着剤の性能は以下の方法で作成、測定した。
(1)ガラス転移温度(Tg/℃)
共重合体ラテックスをガラス板上に流延し、90℃、30分で加熱乾燥して皮膜を形成させる。次いで得られた皮膜をTg測定容器に入れ、蓋をし、示差走査熱量計(セイコ−電子社製)にセットして昇温速度10℃/分で測定した。
(2)トルエン不溶分率(重量%)
共重合体ラテックスを130℃で30分間乾燥させて皮膜を形成させる。次いで得られた皮膜0.5gを25℃のトルエン30g中に浸漬し、3時間しんとう後、300メッシュのステンレスメッシュでろ過する。このときのメッシュに残った未溶解物を乾燥し、その重量を0.5gで除してトルエン不溶分率とする。
(3)粒子径(nm)
日機装株式会社製、MICROTRAC粒度分布計(型式:9230UPA)を用いて数平均粒子径を測定した。
(4)重合転化率(重量%)
得られた反応物を1g計量し、130℃で1時間乾燥し乾燥固形分重量(g)を測定する。この値から1g中の単量体以外の不揮発性の成分(乳化剤、開始剤等)の重量を引いて単量体の転化固形重量を得る。さらに、1g中の単量体の理論添加量で除して、これに100を乗じて重合添加率(重量%)を算出する。
(5)基材の調整
コート紙(EPSON製、レーザープリンタ用紙LPCCTA4、103g/m)、PET製フィルム(EPSON製、レーザープリンタ専用OHPシート、140g/m)、アルミニウム版(厚さ0.1mm)をA4版サイズに調整し基材とした。
(6)アンカーコート層の作成
本発明のアンカーコート剤を基材に塗工液を約4g/m(固形分)の塗工量になるようワイヤ−バ−にて塗布し、熱風乾燥機で110℃、120秒の条件で乾燥してアンカーコート層を作成した。
(7)耐ブロッキング性
アンカーコート層の面と裏面を重ねて、45℃、湿度65%で0.04kg/cmで加圧し、24時間静置し、次いで重ね合わせた部分をゆっくりと引き離し、付着の程度を観察する。
【0045】
○:抵抗なく引き離すことができる。
△:少し抵抗があるが、引き離すことができる。
×:抵抗が大きく、紙が破れることがある。
【0046】
(8)インキ密着性
プラスチック印刷用UVインキ(東洋インキ製、FDOニュー、赤色)によってアンカーコート層上に全面印刷し、紫外線ランプ(入江商会製、EF160、6W)で硬化させ、セロハン粘着テープ(ニチバン株式会社製セロテープ(登録商標)、18mm、)を印刷面に貼り、これを剥がして印刷面を観察する。
○:インキのはがれなし。
△:ピックが見られる。
×:セロハン粘着テープ全面に転移。
【0047】
[製造例1]
(均一ラテックスの重合)
攪拌装置と温度調節用ジャケットを備えた耐圧反応容器に、窒素置換の後、イオン交換水72重量部、約20nmの平均粒子径を有するシ−ド粒子の水分散体(スチレン・メタクリル酸メチル・アクリル酸共重合体、Tg102℃)0.45重量部(固形分)、ラウリル硫酸ナトリウム0.3重量部(固形分)を入れ、攪拌数280rpmで攪拌しつつ内温を80℃に昇温し、真空脱気により酸素を除去したスチレン60重量部、ブタジエン28重量部、アクリロニトリル10重量部、アクリル酸2重量部、t−ドデシルメルカプタン0.6重量部及びα−メチルスチレンダイマ−0.05重量部からなる単量体混合物を1時間かけて添加した。単量体混合物を添加し始めるとほぼ同時に、水21重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.3重量部(固形分)、水酸化ナトリウム0.1重量部、ペルオキソ二硫酸カリ0.7重量部の混合物を1時間かけて、単量体混合物が添加を終了するまで連続して添加した。
【0048】
重合終了後も反応系の温度を80℃で約1時間維持した。この時点で重合転化率を測定したところ98重量%であった。この後、水酸化ナトリウムを加えて反応系のpHを約8.0に調整した。次いで、スチ−ムストリッピングで残留単量体を除去し、冷却し、80メッシュの濾布で濾過して、得られた共重合体ラテックスの固形分(130℃、乾燥法)を48重量%に調整した。粒子径は121nmで、トルエン不溶分は86重量%であった。
【0049】
[製造例2]
(二層構造ラテックスの重合)
(1段目/コア層共重合体(イ)の重合)
攪拌装置と温度調節用ジャケットを備えた耐圧反応容器に、窒素置換の後、イオン交換水72重量部、約20nmの平均粒子径を有するシ−ド粒子の水分散体(スチレン・メタクリル酸メチル・アクリル酸共重合体、Tg102℃)0.45重量部(固形分)、ラウリル硫酸ナトリウム0.3重量部(固形分)を入れ、内温を80℃に昇温し、真空脱気により酸素を除去したスチレン25重量部、ブタジエン25重量部、t−ドデシルメルカプタン0.05重量部及びα−メチルスチレンダイマ−0.05重量部からなる単量体混合物を2時間かけて添加した。単量体混合物を添加し始めるとほぼ同時に、水21重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.3重量部(固形分)、水酸化ナトリウム0.1重量部、ペルオキソ二硫酸カリ0.7重量部の混合物を4時間かけて、2段目の単量体混合物が添加を終了するまで連続して添加した。
【0050】
(2段目/シェル層共重合体(ロ)の重合)
1段目の単量体混合物の添加が終了した時から1時間後スチレン38重量部、アクリロニトリル10重量部、アクリル酸2重量部、t−ドデシルメルカプタン0.5重量部からなる単量体混合物を1時間かけて反応容器に追添し重合した。
【0051】
重合終了後も反応系の温度を80℃で約1時間維持した。この時点で重合転化率を測定したところ98重量%であった。この後、水酸化ナトリウムを加えて反応系のpHを約8.0に調整した。次いで、スチ−ムストリッピングで残留単量体を除去し、冷却し、80メッシュの濾布で濾過して、得られた二層構造共重合体ラテックスの固形分(130℃、乾燥法)を48重量%に調整した。粒子径は118nmで、トルエン不溶分は98重量%であった。
【0052】
[製造例3]
(三層構造ラテックスの重合)
(1段目/コア層共重合体(イ)の重合)
攪拌装置と温度調節用ジャケットを備えた耐圧反応容器に、窒素置換の後、イオン交換水72重量部、約20nmの平均粒子径を有するシ−ド粒子の水分散体(スチレン・メタクリル酸メチル・アクリル酸共重合体、Tg102℃)0.45重量部(固形分)、ラウリル硫酸ナトリウム0.3重量部(固形分)を入れ、内温を80℃に昇温し、真空脱気により酸素を除去したスチレン25重量部、ブタジエン25重量部、t−ドデシルメルカプタン0.05重量部及びα−メチルスチレンダイマ−0.05重量部からなる単量体混合物を2時間かけて添加した。単量体混合物を添加し始めるとほぼ同時に、水21重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.3重量部(固形分)、水酸化ナトリウム0.1重量部、ペルオキソ二硫酸カリ0.7重量部の混合物を6時間かけて、3段目の単量体混合物が添加を終了するまで連続して添加した。
(2段目/中間層共重合体(ロ)の重合)
1段目の単量体混合物の添加が終了した時から1時間後スチレン20重量部、アクリロニトリル10重量部、t−ドデシルメルカプタン0.3重量部からなる単量体混合物を1時間かけて反応容器に追添し、重合した。
(3段目/シェル層共重合体(ハ)の重合)
2段目の単量体混合物の添加が終了した時から1時間後スチレン10重量部、2−エチルヘキシルアクリレ−ト8重量部、アクリル酸2重量部、t−ドデシルメルカプタン0.2重量部からなる単量体混合物を1時間かけて反応容器に追添し、重合した。
重合終了後も反応系の温度を80℃で約1時間維持した。この時点で重合転化率を測定したところ98重量%であった。この後、水酸化ナトリウムを加えて反応系のpHを約8.0に調整した。次いで、スチ−ムストリッピングで残留単量体を除去し、冷却し、80メッシュの濾布で濾過して、得られた異層構造共重合体ラテックス[I]の固形分(130℃、乾燥法)を48重量%に調整した。粒子径は120nmで、トルエン不溶分は99重量%であった。
【0053】
[実施例]
表1〜5に示す配合割合の単量体、連鎖移動剤を用いて前記均一ラテックスの重合方法を示す製造例1、二層構造ラテックスの重合方法を示す製造例2、及び三層構造ラテックスの重合方法を示す製造例3と同様な重合方法で均一ラテックスA1〜H1、二層構造ラテックスA2〜S2、三層構造ラテックスA3〜X3、及び比較例の各ラテックスa1、b1、a2、a3の共重合体ラテックスを作成した(ただし、表5におけるa2の最終三段目(シェル層)の各事項は、最終二段目(シェル層)の事項と読み替える、すなわち、a2は中間層のない2層構造の例である)。得られた共重合体のガラス転移温度、粒子径、トルエン不溶分率、耐ブロッキング性、インキ密着性を測定した。測定した結果を表6〜8に示す。以下、実施例、比較例の物性測定結果に基づき、本発明の効果を説明する。
【0054】
[実施例1〜50と比較例1〜4]
表6〜8の結果から、トルエン不溶分率が60重量%以上である場合に耐ブロッキング性、インキ密着性が顕著に良好である。
[実施例1〜4、6〜7、9〜12、14〜15、17〜40、44〜46、48〜50と実施例5、8、13、16、41〜43、47]
表6〜8の結果から、アクリロニトリルが5〜30重量部の場合に耐ブロッキング性が顕著に良好である。
【0055】
[実施例9〜12、14〜15、17〜18、21〜22と実施例1〜8、19〜20]
表6〜8の結果から、コア層のガラス転移温度(Tg)が−90〜10℃の範囲、シェル層のガラス転移温度(Tg)が50〜180℃の範囲にある場合に耐ブロッキング性、インキ密着性が顕著に良好である。
【0056】
[実施例28〜33、36〜37、39〜40と実施例1〜8、34〜35、38、41]
表6〜8の結果から、コア層のガラス転移温度(Tg)が−90〜10℃の範囲、中間層のガラス転移温度(Tg)が50〜180℃、シェル層のガラス転移温度(Tg)が20〜100℃の範囲にあって、中間層とシェル層のガラス転移温度(Tg)の差が4℃以上の場合に耐ブロッキング性、インキ密着性が顕著に良好である。
【0057】
[実施例9、24〜26と実施例23、27]
表6〜8の結果から、コア層、シェル層の重量割合(重量%)がそれぞれ、20〜60:40〜80(但し、合計100重量部)の場合に耐ブロッキング性、インキ密着性が顕著に良好である。
【0058】
[実施例28、44〜45、48と実施例42〜43、46〜47、49〜50]
表6〜8の結果から、コア層、中間層、シェル層の重量割合(重量%)がそれぞれ、20〜60:10〜70:10〜70(但し、合計100重量部)の場合に耐ブロッキング性、インキ密着性が顕著に良好である。
【0059】
以上の実施例及び比較例で示される結果から明らかなように、本発明のアンカーコート剤は耐ブロッキング性、インキ密着性に極めて有意な性能を有する。
【0060】
【表1】

【0061】
【表2】

【0062】
【表3】

【0063】
【表4】

【0064】
【表5】

【0065】
【表6】

【0066】
【表7】

【0067】
【表8】

【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の共重合体ラテックス組成物からなるインキ用アンカーコート剤は各種印刷用紙、印刷用フィルム、印刷用金属シートの分野で利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トルエン不溶分率60〜99重量%であることを特徴とする共重合体ラテックス組成物からなるインキ用アンカーコート剤。
【請求項2】
シアン化ビニル系単量体を5〜30重量%含む混合単量体を共重合して得られることを特徴とする請求項1記載のインキ用アンカーコート剤。
【請求項3】
(α)ガラス転移温度(Tg)が−90〜10℃の範囲にある共重合体(イ)からなるコア層及び(β)ガラス転移温度(Tg)が50〜180℃の範囲にある共重合体(ロ)からなるシェル層を有することを特徴とする請求項1、2記載のインキ用アンカーコート剤。
【請求項4】
(α)ガラス転移温度(Tg)が−90〜10℃の範囲にある共重合体(イ)からなるコア層、(β)ガラス転移温度(Tg)が50〜180℃の範囲にある共重合体(ロ)からなる中間層及び(γ)ガラス転移温度(Tg)が20〜100℃の範囲にあり、共重合体(ロ)のガラス転移温度(Tg)との差が4℃以上であるガラス転移温度(Tg)を有する共重合体(ハ)からなるシェル層を有することを特徴とする請求項1、2記載のインキ用アンカーコート剤。
【請求項5】
(i)コア層を形成する共重合体(イ)を含むラテックスの存在下で、(ii)単量体を乳化共重合させて共重合体(ロ)からなるシェル層を形成することを特徴とする請求項3に記載のインキ用アンカーコート剤の製造方法。
【請求項6】
(i)コア層を形成する共重合体(イ)からなるラテックスの存在下で、(ii)単量体を乳化共重合させて共重合体(ロ)からなる中間層を形成し、次いで、(iii)単量体を乳化共重合させて共重合体(ハ)からなるシェル層を形成することを特徴とする請求項4に記載のインキ用アンカーコート剤の製造方法。

【公開番号】特開2007−100034(P2007−100034A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−295184(P2005−295184)
【出願日】平成17年10月7日(2005.10.7)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】