説明

インキ組成物

【課題】外部より色調や量を視認できる透明な容器に充填して光に晒しても変色しにくい、耐光性に優れたインキ組成物、特に耐光性に優れた筆記具用水性インキ組成物を提供する。
【解決手段】水と赤色キサンテン染料、さらにキサンテン染料と電気的引力で結びつくスルホン基を含有しベンゼン環とピラゾール環からなる共鳴物質、例えば1−(2−スルホフェニル)−3−メチル−4,5−ジヒドロキシピラゾールなどから少なくともなるインキ組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部より色や量が視認できる透明な容器に充填して光に晒しても変色しにくい、耐光性に優れた筆記具用水性インキ組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、筆記具のインキタンクを透明性又は半透明の材質にて形成し、インキ残量やインキ色を視認可能としたものが知られている。しかし、一般に染料は顔料に比べて耐光性が弱いので、染料インキを透明性の容器に充填して太陽光などの光に長時間晒すと、染料が変化して不溶化したり、分解などにより発色性が低下してインキの色が変化してしまい、筆跡の色調が初期と大きく異なってしまう問題があった。
特に、赤色キサンテン染料は、光で褪色し易いので、この染料を、単独もしくは混色して使用したインキを透明性の容器に充填して太陽光などの光に晒されると所望の色調が得られないという問題があった。
耐光性を向上させる手段として、インキ中に紫外線吸収剤やラジカル捕捉剤を添加することが知られている。例えば、ベンゾフェノン系、サリチル酸系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤やラジカル捕捉剤をインキ中に添加する方法がある。(特許文献1及び2)。
【特許文献1】特開昭62−106971号公報
【特許文献2】特開平09−279080号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この赤色キサンテン染料を使用したインキの変色は、上述の従来公知の紫外線吸収剤やラジカル捕捉剤を添加しても解決できなかった。
本発明は、鮮やかな赤色系インキ組成物を透明性の容器に充填して光に晒してもその色調が維持できるような、耐光性のある水性インキ組成物を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、水と、赤色キサンテン染料と、下記一般式(数1)で示される化合物とから少なくともなるインキ組成物を要旨とする。
【数1】

【発明の効果】
【0005】
キサンテン染料は、分子内に陽イオン性の炭素をもつキサンテン構造を有する染料である。上記一般式(数1)にて示される化合物は、ベンゼン環とピラゾール環からなる共鳴物質である。また、スルホン基が付いた陰イオン性物質であるため、キサンテン染料と電気的引力で結びつく。そのため、キサンテン染料が光に晒されて吸収した光エネルギーは、共鳴しているベンゼン環からピラゾール環に伝わり、更にピラゾール環に隣り合わせに付いている2つの水酸基またはアミノ基の共鳴振動エネルギーとなって吸収されてしまうものと推察され、キサンテン染料が光に晒されても分解しなくなるので褪色しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下詳細に説明する。
水は水性インキ組成物の主液媒体である。
【0007】
赤色キサンテン染料は各種公知の染料が使用可能である。
例を挙げると、C.I.アシッドレッド50、同51、同52、同87、同91、同92、同93、同94、同95、同98などの酸性染料、C.I.ベーシックレッド1などの塩基性染料があり、1種もしくは2種以上を混合して使用できる。
【0008】
上記一般式(数1)に示される物質としては、1−(2−スルホフェニル)−3−メチル−4,5−ジヒドロキシピラゾール、1−(2−スルホフェニル)−3−メチル−4−ヒドロキシ−5−アミノピラゾール、1−(2−スルホフェニル)−3−メチル−4−アミノ−5−ヒドロキシピラゾール、1−(2−スルホフェニル)−3−メチル−4,5−ジアミノピラゾール、1−(3−スルホフェニル)−3−メチル−4,5−ジヒドロキシピラゾール、1−(3−スルホフェニル)−3−メチル−4−ヒドロキシ−5−アミノピラゾール、1−(3−スルホフェニル)−3−メチル−4−アミノ−5−ヒドロキシピラゾール、1−(3−スルホフェニル)−3−メチル−4,5−ジアミノピラゾール、1−(4−スルホフェニル)−3−メチル−4,5−ジヒドロキシピラゾール、1−(4−スルホフェニル)−3−メチル−4−ヒドロキシ−5−アミノピラゾール、1−(4−スルホフェニル)−3−メチル−4−アミノ−5−ヒドロキシピラゾール、1−(4−スルホフェニル)−3−メチル−4,5−ジアミノピラゾール、1−(5−スルホフェニル)−3−メチル−4,5−ジヒドロキシピラゾール、1−(5−スルホフェニル)−3−メチル−4−ヒドロキシ−5−アミノピラゾール、1−(5−スルホフェニル)−3−メチル−4−アミノ−5−ヒドロキシピラゾール、1−(5−スルホフェニル)−3−メチル−4,5−ジアミノピラゾール、1−(6−スルホフェニル)−3−メチル−4,5−ジヒドロキシピラゾール、1−(6−スルホフェニル)−3−メチル−4−ヒドロキシ−5−アミノピラゾール、1−(6−スルホフェニル)−3−メチル−4−アミノ−5−ヒドロキシピラゾール、1−(6−スルホフェニル)−3−メチル−4,5−ジアミノピラゾール、1−(2−スルホフェニル)−3−エチル−4,5−ジヒドロキシピラゾール、1−(2−スルホフェニル)−3−エチル−4−ヒドロキシ−5−アミノピラゾール、1−(2−スルホフェニル)−3−エチル−4−アミノ−5−ヒドロキシピラゾール、1−(2−スルホフェニル)−3−エチル−4,5−ジアミノピラゾール、1−(3−スルホフェニル)−3−エチル−4,5−ジヒドロキシピラゾール、1−(3−スルホフェニル)−3−エチル−4−ヒドロキシ−5−アミノピラゾール、1−(3−スルホフェニル)−3−エチル−4−アミノ−5−ヒドロキシピラゾール、1−(3−スルホフェニル)−3−エチル−4,5−ジアミノピラゾール、1−(4−スルホフェニル)−3−エチル−4,5−ジヒドロキシピラゾール、1−(4−スルホフェニル)−3−エチル−4−ヒドロキシ−5−アミノピラゾール、1−(4−スルホフェニル)−3−エチル−4−アミノ−5−ヒドロキシピラゾール、1−(4−スルホフェニル)−3−エチル−4,5−ジアミノピラゾール、1−(5−スルホフェニル)−3−エチル−4,5−ジヒドロキシピラゾール1−(5−スルホフェニル)−3−エチル−4−ヒドロキシ−5−アミノピラゾール、1−(5−スルホフェニル)−3−エチル−4−アミノ−5−ヒドロキシピラゾール、1−(5−スルホフェニル)−3−エチル−4,5−ジアミノピラゾール、1−(6−スルホフェニル)−3−エチル−4,5−ジヒドロキシピラゾール、1−(6−スルホフェニル)−3−エチル−4−ヒドロキシ−5−アミノピラゾール、1−(6−スルホフェニル)−3−エチル−4−アミノ−5−ヒドロキシピラゾール、1−(6−スルホフェニル)−3−エチル−4,5−ジアミノピラゾール、1−(2−スルホフェニル)−3−カルボキシ−4,5−ジヒドロキシピラゾール、1−(2−スルホフェニル)−3−カルボキシ−4−ヒドロキシ−5−アミノピラゾール、1−(2−スルホフェニル)−3−カルボキシ−4−アミノ−5−ヒドロキシピラゾール、1−(2−スルホフェニル)−3−カルボキシ−4,5−ジアミノピラゾール、1−(3−スルホフェニル)−3−カルボキシ−4,5−ジヒドロキシピラゾール、1−(3−スルホフェニル)−3−カルボキシ−4−ヒドロキシ−5−アミノピラゾール、1−(3−スルホフェニル)−3−カルボキシ−4−アミノ−5−ヒドロキシピラゾール、1−(3−スルホフェニル)−3−カルボキシ−4,5−ジアミノピラゾール、1−(4−スルホフェニル)−3−カルボキシ−4,5−ジヒドロキシピラゾール、1−(4−スルホフェニル)−3−カルボキシ−4−ヒドロキシ−5−アミノピラゾール、1−(4−スルホフェニル)−3−カルボキシ−4−アミノ−5−ヒドロキシピラゾール、1−(4−スルホフェニル)−3−カルボキシ−4,5−ジアミノピラゾール、1−(5−スルホフェニル)−3−カルボキシ−4,5−ジヒドロキシピラゾール、1−(5−スルホフェニル)−3−カルボキシ−4−ヒドロキシ−5−アミノピラゾール、1−(5−スルホフェニル)−3−カルボキシ−4−アミノ−5−ヒドロキシピラゾール、1−(5−スルホフェニル)−3−カルボキシ−4,5−ジアミノピラゾール、1−(6−スルホフェニル)−3−カルボキシ−4,5−ジヒドロキシピラゾール、1−(6−スルホフェニル)−3−カルボキシ−4−ヒドロキシ−5−アミノピラゾール、1−(6−スルホフェニル)−3−カルボキシ−4−アミノ−5−ヒドロキシピラゾール、1−(6−スルホフェニル)−3−カルボキシ−4,5−ジアミノピラゾール及びそれらのリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩がある。これらは1種もしくは2種以上併用できる。
【0009】
赤色系インキ組成物の補色の着色剤としては、主に黄色染料があるが、少量ならば従来公知の染料が使用できる。
黄色染料の例を挙げると、C.I.ダイレクトエロー4、同26、同44、同50、C.I.アシッドエロー1、同7、同17、同19、同23、同25、同29、同38、同42、同49、同61、同72、同78、同110、同127、同135、同141、同142、C.I.フードエロー3、C.I.フードレッド14等があり、他の染料の例を挙げると、C.I.ダイレクトブラック17、同19、同22、同32、同38、同51、同71、ダイレクトレッド1、同4、同23、同31、同37、同39、同75、同80、同81、同83、同225、同226、同227、C.I.ダイレクトブルー1、同15、同41、同71、同86、同87、同106、同108、同199)などの直接染料や、C.I.アシッドブラック1、同2、同24、同26、同31、同52、同107、同109、同110、同119、同154、C.I.アシッドレッド8、同9、同14、同18、同26、同27、同35、同37、同57、同82、同83、同111、同129、同131、同138、同186、同249、同254、同265、同276、C.I.アシッドバイオレット15、同17、同49、C.I.アシッドブルー1、同7、同9、同15、同22、同23、同25、同40、同41、同43、同62、同78、同83、同90、同93、同100、同103、同104、同112、同113、同158、C.I.アシッドグリーン3、同9、同16、同25、同27、C.I.アシッドオレンジ56、C.I.アシッドブルー74、C.I.アシッドグリーン5などの酸性用染料が挙げられる。
【0010】
低温時での水性組成物の凍結防止、染料の可溶化剤、顔料の分散媒等、種々の品質を担う液媒体として、従来公知の水溶性有機溶媒が使用できる。具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、チオジエチレングリコール、グリセリン等のグリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
【0011】
着色剤を定着させるためなどで各種樹脂を併用することもできる。例えば、セラック、スチレン−マレイン酸共重合体及びその塩、スチレン−アクリル酸共重合体及びその塩、α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体及びその塩、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、尿素樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルキルエーテル、クマロン−インデン樹脂、ロジン系樹脂やその水素添加物、ケトン樹脂、ポリアクリル酸ポリメタクリル酸共重合物などが挙げられる。
【0012】
水性組成物としての適切な流動特性を得るために水溶性高分子化合物を用いることができる。例えば、アラビアガム、トラガカントガム、グァーガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、カラギーナン、ゼラチン、カゼイン、キサンテンガム、デキストラン、ウェランガム、ラムザンガム、アルカガム、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ヒドロキシプロピル化グァーガム、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンオキサイド、酢酸ビニルとポリビニルピロリドンの共重合体、アクリル樹脂塩、アクリル酸とアルキルメタクリレートの共重合体又はそれらの塩がある。
【0013】
黴の発生を防止するために、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、安息香酸ナトリウム、モルホリン、モルホリン誘導体などの防腐防黴剤を適宜加えることもできる。
【0014】
水性組成物のpHを調整するために、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、アミノメチルプロパンジオールなどの塩基性物質や、硫酸などの酸性物質を添加してもよい。
【0015】
染料等の溶解促進や顔料等の分散安定性向上のために界面活性剤を配合しても良い。非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン2〜30モル付加オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(2〜35)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(2〜20)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(1〜20)アルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(6〜18)ベヘニルエーテル、ポリオキシエチレン(5〜25)2−デシルペンタデシルエーテル、ポリオキシエチレン(3〜30)2−デシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレン(8〜16)2−オクチルデシルエーテル等のエーテル型活性剤、ポリオキシエチレン(4〜60)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(3〜14)脂肪酸モノエステル、ポリオキシエチレン(6〜30)脂肪酸ジエステル、ポリオキシエチレン(5〜20)ソルビタン脂肪酸エステル等のエステル型活性剤、ポリオキシエチレン(2〜30)グリセリルモノイソステアレート、ポリオキシエチレン(10〜60)グリセリルトリイソステアレート、ポリオキシエチレン(7〜50)硬化ヒマシ油モノイソステアレート、ポリオキシエチレン(12〜60)硬化ヒマシ油トリイソステアレート等のエーテルエステル型活性剤等のエチレンオキシド付加型界面活性剤、デカグリセリルテトラオレート、ヘキサグリセリルトリイソステアレート、ジグリセリルジイソステアレート、グリセリルモノオレエート等のグリセリン脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エステル型界面活性剤が挙げられる。
また、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩などのアルキルアンモニウム塩、ポリオキシエチレン(5〜20)付加アンモニウム塩、アミドアミンなどのカチオン系界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、椰子油脂肪酸アミドプロピルベタインなどの酢酸ベタイン型やアルキルヒドロキシエチルイミダゾリンなどのイミダゾリン型の両性界面活性剤、表面張力調整や消泡のためにポリエーテル変性シリコーンオイルなどのシリコン系界面活性剤やパーフルオロアルキルエーテルなどのフッ素系界面活性剤等を、さらに乾燥抑制のために尿素やソルビット、キシリット等の糖アルコールを、防錆のためにベンゾトリアゾール、エチレンジアミン四酢酸などを、さらに各種の香料などを用いることもできる。
【0016】
水性組成物の製造方法としては従来知られている種々の方法が採用できる。例えば、ボールミル、ビーズミル、ロールミル、ヘンシェルミキサー、プロペラ撹拌機、ホモジナイザー、ニーダー等の装置を使用して作ることが出来る。濾過や遠心分離を行い粗大粒子や気体を除いても良い。製造時に加熱や冷却や加圧や減圧や不活性ガス置換をしても良い。動力は電気でも加圧空気でも良い。これらはそれぞれ単独で使用しても良いし、組み合わせて使用しても良い。
【0017】
水性組成物を収容する容器は、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂、シリコン樹脂等のインキの残量を確認できる透明又は半透明な高分子化合物が使用できる。容器の内部は中空でも繊維束やスポンジなどの吸蔵体を入れても良い。水性組成物が容器の内壁に付着することを抑制するためなど、必要に応じて容器内面にシリコン樹脂やフッ素樹脂などを塗布することもできる。後端開口する容器の場合には逆流防止体を配置してもよい。逆流防止体としては不揮発性液体をゲル化したものやスポンジ状のものなど各種公知のものが使用でき、不揮発性液体をゲル化した逆流防止体にさらにプラスチック製のフロートを浸漬するなどしてもよい。
【0018】
筆記具の形態はボールペン、繊維芯、筆ペン、万年筆など、従来公知のものが使用できる。
【0019】
ボールペンの場合は、ボールを回転自在に抱持するボールホルダーの材質には金属や合成樹脂が使用できる。金属としては洋白、真鍮、ステンレス等が、また合成樹脂としてはポリアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、芳香族ナイロン樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアクリレート樹脂等が用いられる。
ボールペンのボールは、基材としてタングステンカーバイド等からなるいわゆる超硬合金、ステンレス、セラミックス、ルビーなど、ボールホルダーより硬い材料が好適に選択され、更に酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素から選ばれる1種もしくは2種以上を少なくとも表面に有するものである。
ボールの直径は0.1mmから2.0mm程度までがよく使用されているがこれに限定するものではない。またペン先の密閉性を高めるために、ボールホルダー内にコイルスプリング等の弾性体を配置しても良い。
【0020】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。各実施例中単に「部」とあるのは「重量部」を表す。
【0021】
実施例1
水 93.0部
C.I.アシッドレッド87(赤色染料) 5.0部
1−(3−スルホフェニル)−3−メチル−4−アミノ−5−ヒドロキシピラゾール
2.0部
上記成分を混合して、攪拌機で2時間攪拌した後、1マイクロメートルフィルターで濾過して赤色水性染料インキ組成物を得た。
【0022】
実施例2
水 70.5部
C.I.アシッドレッド92(赤色染料) 5.0部
1−(3−スルホフェニル)−3−メチル−4−アミノ−5−ヒドロキシピラゾール
2.0部
グリセリン 10.0部
エチレングリコール 10.0部
キサンタンガム(水溶性高分子化合物、ケルザン、三晶(株)製) 0.3部
1.2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(防黴剤) 0.2部
ベンゾトリアゾール(防錆剤) 1.0部
トリエタノールアミン(pH調整剤) 1.0部
上記成分を混合して、攪拌機で2時間攪拌した後、1マイクロメートルフィルターで濾過して赤色水性染料インキ組成物を得た。
【0023】
実施例3
水 70.5部
C.I.アシッドレッド87(赤色染料) 2.5部
C.I.アシッドイエロー23(黄色染料) 2.5部
1−(3−スルホフェニル)−3−メチル−4,5−ジアミノピラゾール
1.0部
グリセリン 10.0部
エチレングリコール 10.0部
ポリアクリル酸(水溶性高分子化合物、ジュンロンPW−110、日本純薬(株)製)
0.3部
1.2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(防黴剤) 0.2部
ベンゾトリアゾール(防錆剤) 1.0部
トリエタノールアミン(pH調整剤) 2.0部
上記成分を混合して、攪拌機で2時間攪拌した後、1マイクロメートルフィルターで濾過して橙色水性染料インキ組成物を得た。
【0024】
実施例4
水 72.3部
C.I.アシッドレッド87(赤色染料) 5.0部
1−(3−スルホフェニル)−3−メチル−4−ヒドロキシ−5−アミノピラゾール
0.5部
グリセリン 10.0部
エチレングリコール 10.0部
1.2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(防黴剤) 0.2部
ベンゾトリアゾール(防錆剤) 1.0部
トリエタノールアミン(pH調整剤) 1.0部
上記成分を混合して、攪拌機で2時間攪拌した後、1マイクロメートルフィルターで濾過して赤色水性染料インキ組成物を得た。
【0025】
実施例5
水 70.8部
C.I.アシッドレッド92(赤色染料) 5.0部
1−(3−スルホフェニル)−3−メチル−4,5−ジヒドロキシピラゾール
2.0部
グリセリン 10.0部
エチレングリコール 10.0部
1.2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(防黴剤) 0.2部
ベンゾトリアゾール(防錆剤) 1.0部
トリエタノールアミン(pH調整剤) 1.0部
上記成分を混合して、攪拌機で2時間攪拌した後、1マイクロメートルフィルターで濾過して赤色水性染料インキ組成物を得た。
【0026】
実施例6
水 68.5部
C.I.アシッドレッド87(赤色染料) 2.5部
C.I.アシッドイエロー23(黄色染料) 2.5部
1−(3−スルホフェニル)−3−メチル−4,5−ジアミノピラゾールNa塩
3.0部
グリセリン 10.0部
エチレングリコール 10.0部
キサンタンガム(水溶性高分子化合物、ケルザン、三晶(株)製) 0.3部
1.2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(防黴剤) 0.2部
ベンゾトリアゾール(防錆剤) 1.0部
トリエタノールアミン(pH調整剤) 2.0部
上記成分を混合して、攪拌機で2時間攪拌した後、1マイクロメートルフィルターで濾過して橙色水性染料インキ組成物を得た。
【0027】
実施例7
水 68.5部
C.I.アシッドレッド87(赤色染料) 5.0部
1−(3−スルホフェニル)−3−メチル−4,5−ジヒドロキシピラゾールNa塩
4.0部
グリセリン 10.0部
エチレングリコール 10.0部
ポリアクリル酸(水溶性高分子化合物、ジュンロンPW−110、日本純薬(株)製)
0.3部
1.2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(防黴剤) 0.2部
ベンゾトリアゾール(防錆剤) 1.0部
トリエタノールアミン(pH調整剤) 1.0部
上記成分を混合して、攪拌機で2時間攪拌した後、1マイクロメートルフィルターで濾過して赤色水性染料インキ組成物を得た。
【0028】
実施例8
水 70.8部
C.I.アシッドレッド92(赤色染料) 5.0部
1−(3−スルホフェニル)−3−エチル−4,5−ジアミノピラゾール
2.0部
グリセリン 10.0部
エチレングリコール 10.0部
1.2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(防黴剤) 0.2部
ベンゾトリアゾール(防錆剤) 1.0部
トリエタノールアミン(pH調整剤) 1.0部
上記成分を混合して、攪拌機で2時間攪拌した後、1マイクロメートルフィルターで濾過して赤色水性染料インキ組成物を得た。
【0029】
実施例9
水 69.8部
C.I.アシッドレッド87(赤色染料) 2.5部
C.I.アシッドイエロー23(黄色染料) 2.5部
1−(3−スルホフェニル)−3−エチル−4,5−ジヒドロキシピラゾール
2.0部
グリセリン 10.0部
エチレングリコール 10.0部
1.2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(防黴剤) 0.2部
ベンゾトリアゾール(防錆剤) 1.0部
トリエタノールアミン(pH調整剤) 2.0部
上記成分を混合して、攪拌機で2時間攪拌した後、1マイクロメートルフィルターで濾過して橙色水性染料インキ組成物を得た。
【0030】
実施例10
水 70.8部
C.I.アシッドレッド87(赤色染料) 5.0部
1−(3−スルホフェニル)−3−カルボキシ−4,5−ジアミノピラゾール
2.0部
グリセリン 10.0部
エチレングリコール 10.0部
1.2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(防黴剤) 0.2部
ベンゾトリアゾール(防錆剤) 1.0部
トリエタノールアミン(pH調整剤) 1.0部
上記成分を混合して、攪拌機で2時間攪拌した後、1マイクロメートルフィルターで濾過して赤色水性染料インキ組成物を得た。
【0031】
実施例11
水 70.8部
C.I.アシッドレッド92(赤色染料) 5.0部
1−(3−スルホフェニル)−3−カルボキシ−4,5−ジヒドロキシピラゾール
2.0部
グリセリン 10.0部
エチレングリコール 10.0部
1.2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(防黴剤) 0.2部
ベンゾトリアゾール(防錆剤) 1.0部
トリエタノールアミン(pH調整剤) 1.0部
上記成分を混合して、攪拌機で2時間攪拌した後、1マイクロメートルフィルターで濾過して赤色水性染料インキ組成物を得た。
【0032】
比較例1
水 95.0部
C.I.アシッドレッド87(赤色染料) 5.0部
上記成分を混合して、攪拌機で2時間攪拌した後、1マイクロメートルフィルターで濾過して赤色水性染料インキ組成物を得た。
【0033】
比較例2
水 72.5部
C.I.アシッドレッド87(赤色染料) 5.0部
グリセリン 10.0部
エチレングリコール 10.0部
キサンタンガム(水溶性高分子化合物、ケルザン、三晶(株)製) 0.3部
1.2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(防黴剤) 0.2部
ベンゾトリアゾール(防錆剤) 1.0部
トリエタノールアミン(pH調整剤) 1.0部
上記成分を混合して、攪拌機で2時間攪拌した後、1マイクロメートルフィルターで濾過して赤色水性染料インキ組成物を得た。
【0034】
比較例3
水 70.8部
C.I.アシッドレッド87(赤色染料) 5.0部
2−ヒドロキシ−4−メトキシ−スルフォベンゾフェノンナトリウム(紫外線吸収剤)
2.0部
グリセリン 10.0部
エチレングリコール 10.0部
1.2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(防黴剤) 0.2部
ベンゾトリアゾール(防錆剤) 1.0部
トリエタノールアミン(pH調整剤) 1.0部
上記成分を混合して、攪拌機で2時間攪拌した後、1マイクロメートルフィルターで濾過して赤色水性染料インキ組成物を得た。
【0035】
比較例4
水 70.8部
C.I.アシッドレッド87(赤色染料) 5.0部
2−(2’−ヒドロキシ−3’−tブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(紫外線吸収剤) 2.0部
グリセリン 10.0部
エチレングリコール 10.0部
1.2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(防黴剤) 0.2部
ベンゾトリアゾール(防錆剤) 1.0部
トリエタノールアミン(pH調整剤) 1.0部
上記成分を混合して、攪拌機で2時間攪拌した後、1マイクロメートルフィルターで濾過して赤色水性染料インキ組成物を得た。
【0036】
サンプル作製
実施例1〜11と比較例1〜4のインキを、外径4mm、内径3.0mmの透明なポリプロピレン製パイプ(ぺんてる(株)製、K105部品)に充填長さが100mmになるように、各2本ずつ充填した。
2本ともパイプの両端を熱溶着して密封し、そのうちの1本はアルミ箔で全体を覆って遮光してサンプルAとし、もう1本はそのままにしてサンプルBとした。
【0037】
サンプルBを耐光試験機(キセノンウェザーメータWEL−25AX、スガ試験機(株)製)を使用して、試料面放射照度320W/m(波長範囲 300−700nm)の条件で、ブルースケール3級褪色(JIS L 0841準拠)するまで露光して、サンプルCとした。サンプルAは室内にそのまま放置した。
【0038】
インキ色調比較
サンプルAとサンプルCからインキを取り出し、線径3ミルのバーコータで上質紙(JIS P 3201準拠)に均一に塗布して色片を作る。
乾燥後、同一のインキ同士で、サンプルAとサンプルCの色片の色度L*、a*、b*と色差ΔE*を、カラーコンピュータ(SM−5、スガ試験機(株)製)で求めた。ΔE*の値が小さいほど、変色が少ない。(色度、色差ともJIS Z 8723準拠)
インキ色調比較を表1、2に示す。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
以上のように、本発明のインキは、鮮やかな赤系インキでありながら、外部より色調や残量を視認できる透明な容器に充填して光に晒しても変色しにくい、耐光性に優れたものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と、赤色キサンテン染料と、下記一般式(数1)で示される化合物とから少なくともなるインキ組成物。
【数1】


【公開番号】特開2009−209173(P2009−209173A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−50577(P2008−50577)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(000005511)ぺんてる株式会社 (899)
【Fターム(参考)】