説明

インク、インクカートリッジ、およびインクジェット記録方法

【課題】 新規なインク、新規なインクカ−トリッジ及び新規なインクジェット記録方法を提供する。
【解決手段】 インクは、有機顔料C.I. PY74、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、および少なくともポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩とポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩のいずれかを含む。インクは、分散剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテルを用い、添加剤として少なくともポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩とポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩のいずれかを用いる場合がある。また、分散剤として少なくともポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩とポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩のいずれかを用い、添加剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテルを用いる場合がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクに関する。また、本発明は、このインクを収容するインクカートリッジに関する。また、本発明は、このインクを用いるインクジェット記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方法は、記録時の騒音の発生が少なく、また、カラー化対応が容易で高解像度の記録画像が高速で得られるという利点を有している。インクジエツト記録方法では、インクとして各種の水溶性染料を水または水と有機溶剤との混合液に溶解させたものが使用されている。
【0003】
しかしながら、水溶性染料を用いた場合には、これらの水溶性染料は本来耐光性が劣るため、記録画像の耐光性が問題となる場合が多い。また、インクが水溶性であるために、記録画像の耐水性が問題となる場合が多い。すなわち、記録画像に雨、汗あるいは飲食用の水がかかったりした場合記録画像がにじんだり、消失したりすることがある。
【0004】
そこで、上記、耐光性,耐水性の問題を解決するために顔料インクの提案がされている。顔料インク実用化のため、分散安定性を検討した結果が報告されている(例えば、特許文献1、特許文献2、および特許文献3参照。)。また、ペン先やオリフィス先端でのインクの固化防止を検討した結果が報告されている(例えば、特許文献4および特許文献5参照。)。さらに、顔料インクを使用したインクジエツト記録方法について検討した結果が報告されている(例えば、特許文献6参照。)。
【特許文献1】特開昭61−235478号公報
【特許文献2】特開昭61−246271号公報
【特許文献3】特開昭62−116678号公報
【特許文献4】特開昭56−41261号公報
【特許文献5】特開昭62−101672号公報
【特許文献6】特開昭56−147859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の顔料インクを、熱エネルギーの作用によりインクの吐出を行う方式のインクジェット装置に適用した場合、インクの吐出安定性に著しい障害を与えるという不都合があった。
【0006】
また、従来の顔料インクの中には、比較的短時間での吐出性に優れるものの、記録ヘッドの駆動条件を変えたり、長時間に亘って連続吐出を行なった場合に吐出が不安定になり、ついには吐出しなくなるという問題がある。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、新規なインクを提供することを目的とする。
また、本発明は、このインクを収容する新規なインクカートリッジを提供することを目的とする。
また、本発明は、このインクを用いる新規なインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明のインクは、有機顔料(化4)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、および少なくともポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩とポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩のいずれかを含むことを特徴とする。
【0009】
【化4】

【0010】
本発明のインクカートリッジは、インクを収容するインクカートリッジにおいて、前記インクが、有機顔料(化5)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、および少なくともポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩とポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩のいずれかを含むことを特徴とする。
【0011】
【化5】

【0012】
本発明のインクジェット記録方法は、インクを、熱エネルギーにより飛翔させて記録媒体表面に付着させるインクジェット記録方法において、前記インクが、有機顔料(化6)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、および少なくともポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩とポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩のいずれかを含むことを特徴とする。
【0013】
【化6】

【発明の効果】
【0014】
本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
本発明は、有機顔料(化4)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、および少なくともポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩とポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩のいずれかを含むので、新規なインクを提供することができる。
【0015】
本発明は、インクを収容するインクカートリッジにおいて、前記インクが、有機顔料(化5)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、および少なくともポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩とポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩のいずれかを含むので、新規なインクカートリッジを提供することができる。
【0016】
本発明は、インクを、熱エネルギーにより飛翔させて記録媒体表面に付着させるインクジェット記録方法において、前記インクが、有機顔料(化6)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、および少なくともポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩とポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩のいずれかを含むので、新規なインクジェット記録方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、インク、インクカートリッジ、およびインクジェット記録方法にかかる発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0018】
最初に、本発明のインクについて説明する。本発明のインクは、有機顔料、分散剤、および添加剤を含むものである。
【0019】
有機顔料は、以下の化学式(化7)で示される、有機顔料C.I. PY74である。
【0020】
【化7】

【0021】
インク中の有機顔料C.I. PY74の含有量は、インク全質量に対して0.1〜15質量%の範囲にあることが好ましい。また、1〜10質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
【0022】
分散剤および添加剤について説明する。
本発明では、分散剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテルを用い、添加剤として少なくともポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩とポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩のいずれかを用いる場合がある。また、本発明では、分散剤として少なくともポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩とポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩のいずれかを用い、添加剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテルを用いる場合がある。
【0023】
まず、分散剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテルを用い、添加剤として少なくともポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩とポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩のいずれかを用いる場合について説明する。
【0024】
分散剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテルRO(CO)nHを用いる。アルキル基Rの炭素数は12〜18の範囲にあることが好ましい。EO付加モル数nは7〜12の範囲にあることが好ましい。分散剤の量は、有機顔料に対して15〜40質量%の範囲にあることが好ましい。
【0025】
添加剤としては、少なくともポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩RO(CO)n-SOMとポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩RO(CO)n-CHCOOMのいずれかを用いる。EO付加モル数nは2〜4.5の範囲にあることが好ましい。
【0026】
Mはアルカリ金属、アンモニウムまたは有機アンモニウムを表わす。アルカリ金属としては、例えば、Li、Na、K、Rb、Cs等が挙げられる。有機アンモニウムとしては、例えば、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリヒドロキシメチルアミン、ジヒドロキシメチルアミン、モノヒドロキシメチルアミン、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、N−メチルモノエタノールアンモニウム、N−メチルジエタノールアンモニウム、モノプロパノールアンモニウム、ジプロパノールアンモニウム、トリプロパノールアンモニウム等が挙げられる。これらのアンモニウムはそれぞれに相当する有機アミンから誘導される。
【0027】
添加剤の量は、インク全質量に対して0.5〜3.5質量%の範囲にあることが好ましい。
【0028】
つぎに、分散剤として少なくともポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩とポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩のいずれかを用い、添加剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテルを用いる場合について説明する。
【0029】
分散剤としては、少なくともポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩RO(CO)n-SOMとポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩RO(CO)n-CHCOOMのいずれかを用いる。
【0030】
アルキル基Rの炭素数およびEO付加モル数nの好ましい範囲は、上述の添加剤として、少なくともポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩RO(CO)n-SOMとポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩RO(CO)n-CHCOOMのいずれかを用いる場合における、アルキル基Rの炭素数およびEO付加モル数nの好ましい範囲とそれぞれ同様である。
【0031】
Mは、上述の添加剤として、少なくともポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩RO(CO)n-SOMとポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩RO(CO)n-CHCOOMのいずれかを用いる場合における、Mと同様である。
【0032】
添加剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテルRO(CO)nHを用いる。
アルキル基Rの炭素数およびEO付加モル数nの好ましい範囲は、上述の分散剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテルRO(CO)nHを用いる場合における、アルキル基Rの炭素数およびEO付加モル数nの好ましい範囲とそれぞれ同様である。
【0033】
添加剤の量は、インク全質量に対して0.1〜2.5質量%の範囲にあることが好ましい。
【0034】
本発明のインクは、上述の成分の他に、必要に応じて所望の物性値を持つインクとするために、界面活性剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、酸化防止剤等を添加してもよい。
【0035】
つぎに、本発明のインクの媒体について説明する。本発明のインクは、上述した有機顔料、分散剤、および添加剤を含有してなるが、これらは通常は水性媒体に溶解乃至分散されている。
【0036】
水性媒体としては、例えば、水、あるいは水と水溶性有機溶媒との混合溶媒が挙げられるが、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒を使用することが好ましい。水溶性有機溶媒としては、インクの乾燥防止効果を有するものが特に好ましい。
【0037】
水溶性有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むポリオール類;ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の低級アルキルエーテルアセテート;グリセリン;エチレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(またはエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等の多価アルコール;N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。上記のような水溶性有機溶媒は、単独でもあるいは混合物としても使用することができる。また、水としてはイオン交換水を用いることが望ましい。
【0038】
本発明のインク中に含有される水溶性有機溶媒の量は特に限定されないが、インク全質量に対して3〜50質量%の範囲にあることが好ましい。
【0039】
また、インクに含有される水の量は、インク全質量に対して50〜95質量%の範囲にあることが好ましい。
【0040】
つぎに、本発明のインクの作製方法について説明する。本発明のインクの作製方法としては、例えば、分散剤が所定量入った水性媒体に、所定量の有機顔料を添加し、十分撹拌後、分散機を用いて分散を行い、遠心分離等で粗大粒子を除いた後、添加剤、溶媒等を加えて撹拌混合および濾過を行えばよい。
【0041】
分散機は、任意の市販のものを使用することができる。例えば、コロイドミル、フロージェットミル、スラッシャーミル、ハイスピードディスパーザー、ボールミル、アトライター、サンドミル、サンドグラインダー、ウルトラファインミル、アイガーモーターミル、ダイノーミル、パールミル、アジテータミル、コボルミル、3本ロール、2本ロール、エクストリューダー、ニーダー、アルティマイザー、マイクロフルイダイザー、ラボラトリーホモジナイザー、超音波ホモジナイザー等があり、これらを単独で用いても、組み合せて用いてもよい。あるいは、所定の溶媒を混合後、分散剤を所定量添加した後、有機顔料を添加して、分散機を用いて分散させてもよい。
【0042】
本発明のインクをインクジェット記録用に用いる場合には、インクは、インクジェットヘッドから吐出可能である特性を有することが好ましい。インクジェットヘッドからの吐出性という観点からは、インクの特性としては、例えば、その粘度が1〜15cPs、表面張力が25dyn/cm以上とすることが好ましく、特には粘度が1〜5cPs、表面張力が25〜50dyn/cmとすることがさらに好ましい。
【0043】
上述したような本発明のインクは、長時間の使用でも常に安定した吐出を行うことができるという大きな効果を有している。
【0044】
このように、本発明によれば、インク吐出性能を向上させることが可能である。かかる効果を得られる理由は明らかでないが、例えば、上記インクをインクジェット記録方法によってインクを飛翔させるような記録装置において、ヘッド液室内でのインクの乾燥性、顔料のヒーターへの吸着、コゲーション等の発生が顕著な場合、吐出が不安定になることが多い。しかしながら、本発明のインク構成にすることで、添加剤の吸湿性によるインクの乾燥性向上、また、界面活性剤としての効果としてヒーターの保護作用により、吐出安定性が向上すると考えられる。
【0045】
つぎに、本発明のインクカートリッジについて説明する。
【0046】
図1は、本発明のインクカートリッジを使用するインクジェットプリンタ装置(以下、「プリンタ装置」と記す。)1を示すものである。プリンタ装置1は、所定の方向に走行する記録紙Pに対してインク等を吐出して画像や文字を印刷する、いわゆる高速吐出が可能なライン型のプリンタ装置である。
【0047】
このプリンタ装置1は、インクジェットプリンタヘッドカートリッジ(以下、「ヘッドカートリッジ」と記す。)3を装着している。ヘッドカートリッジ3は、カートリッジ本体21を有し、このカートリッジ本体21にインクカートリッジ5(後述する。)が装着されている。ヘッドカートリッジ3は、プリンタ本体4の上面側から、すなわち図1中矢印A方向から装着される。
【0048】
ヘッドカートリッジ3は、インクを微細に粒子化して吐出し、記録紙P等といった対象物の主面に液滴状態にしたインクを吹き付け画像や文字等を記録する吐出手段を備えている。ヘッドカートリッジ3は、記録紙Pの印刷幅に合わせて、記録紙Pの幅方向、すなわち図1中矢印W方向にインク吐出口(ノズル)が略直線状に並設され、各ノズルよりインクが吐出される。
【0049】
図2に示すように、インク供給源となりインク2を収容する液体カートリッジであるインクカートリッジ5y,5m,5c,5kが、ヘッドカートリッジ3に対して、着脱可能に装着されている。すなわち、イエローのインクカートリッジ5y、マゼンタのインクカートリッジ5m、シアンのインクカートリッジ5c、およびブラックのインクカートリッジ5kである。
【0050】
インクカートリッジ5は、図3に示すように、カートリッジ容器11を有している。カートリッジ容器11には、インク2を収容するインク収容部12と、インク収容部12からヘッドカートリッジ3のカートリッジ本体21にインク2を供給するインク供給部13と、外部よりインク収容部12内に空気を取り込む外部連通孔14と、外部連通孔14より取り込まれた空気をインク収容部12内に導入する空気導入路15と、外部連通孔14と空気導入路15との間でインク2を一時的に貯留する貯留部16とが設けられている。
【0051】
インクカートリッジは、上述のようにインクごとにばらばらに分離するものに限定されない。このほか、複数のインク収容部が一体となっているものなど、一般に用いられているあらゆる種類のインクカートリッジを採用することができる。
【0052】
つぎに、本発明のインクジェット記録方法について説明する。
図4は、本発明のインクジェット記録方法に用いる、ヘッドカートリッジ3を模式的に示したものである。インクカートリッジ5に収容されているインク2は、インク供給部13を通じて、接続部26に供給される。インク2は、接続部26を構成するインク溜め部31、フィルタ33、弁機構34、およびインク供給口51を通じて、インク吐出ヘッド27のインク流路52に供給される。さらにインク2は、インク流路52から、ノズル55aに供給される。
【0053】
インク吐出ヘッド27には、ヘッドチップ53が配置され、ヘッドチップ53には、ノズル55aが各色について、記録紙Pの幅方向、すなわち図4中矢印W方向に略直線状をなすように並設されている。
【0054】
ヘッドチップ53は、図5Aに示すように、ベースとなる基板54と、複数のノズル55aが形成されたノズルシート55と、基板54とノズルシート55との間をノズル55a毎に区画するフィルム56と、インク流路52を通して供給されたインク2を加圧するインク液室57と、インク液室57に供給されたインク2を加熱する発熱抵抗体58とを有し、ノズル55aよりインク液滴を吐出する吐出手段である。
【0055】
発熱抵抗体58は、インク液室57に臨む基板54上に配置されると共に、この基板54の制御回路と電気的に接続されている。ノズル55aは、ノズルシート55に円形状に開口された微小孔であり、発熱抵抗体58と対向するように配置される。
【0056】
このヘッドチップ53では、基板54の制御回路が発熱抵抗体58を制御し、発熱抵抗体58に対して、パルス電流を供給する。これにより、発熱抵抗体58が急速に加熱される。その結果、発熱抵抗体58表面に接するインク2が急速に加熱され、インク2の温度は通常の沸点を超えて上昇し、約330℃の自発核生成温度に達する。この発熱抵抗体58による加熱は、短時間の加熱のため,インク液室57内の温度勾配は極めて急なものとなり、発熱抵抗体58の表面のインク2が一斉に沸騰状態となり、いわゆる膜沸騰状態となる。その後、沸騰で発生した気泡の内部では、活発な沸騰が続き、図5Bに示すように、インク気泡bが成長していく。
【0057】
そして、図5Cに示すように、インク液室57内のインク2は、インク気泡bの成長の勢いでノズル55aから飛び出し、インク気泡bはその膨張に伴い気化熱が大量に奪われ、外気より気圧の下がった気泡が急速に収縮する。ノズル55aより飛び出したインク2は、その慣性とインク気泡bの収縮によってノズル55aより外に伸びた尾が切れ、インク液滴iがノズル55aより吐出される。
【0058】
そして、インク液室57には、元のメニスカス(ノズル55aの液面)に戻ろうとするノズル55aの毛細管力によってノズル55aより吐出された量と同量のインク2が、インク流路52から供給され、一方、インク気泡bは、この新鮮なインク2の流入により、さらに収縮し、やがて消滅する。
【0059】
なお、上述したヘッドチップ53は、発熱抵抗体58によってインク2を加熱しながら吐出させる電気熱変換方式を採用しているが、このような方式に限定されず、例えば圧電素子等の電気機械変換素子によってインク2の液滴を電気機械的に吐出させる電気機械変換方式を採用したものであってもよい。
【0060】
以上のことから、本発明を実施するための最良の形態によれば、有機顔料(化7)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、および少なくともポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩とポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩のいずれかを含むので、新規なインクを提供することができる。
【0061】
また、本発明を実施するための最良の形態によれば、インクを収容するインクカートリッジにおいて、前記インクが、有機顔料(化7)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、および少なくともポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩とポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩のいずれかを含むので、新規なインクカートリッジを提供することができる。
【0062】
また、本発明を実施するための最良の形態によれば、インクを、熱エネルギーにより飛翔させて記録媒体表面に付着させるインクジェット記録方法において、前記インクが、有機顔料(化7)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、および少なくともポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩とポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩のいずれかを含むので、新規なインクジェット記録方法を提供することができる。
【0063】
なお、本発明は上述の発明を実施するための最良の形態に限らず本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【実施例】
【0064】
つぎに、本発明にかかる実施例について具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではないことはもちろんである。なお、以下の記載で、「%」とあるものは質量基準である。
【0065】
最初に、分散剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテルを用い、添加剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩を用いた場合の実施例を説明する。
【0066】
まず、分散剤の種類を変え、以下のような分散液を準備した。
【0067】
(分散液1)
以下の成分を混合し、ペイントシェーカー(メディアは、ジルコニア1mm径、メディア充填率70%)で分散し、遠心分離機にて粗粒分を除去し分散液とした。
有機顔料C.I. PY74(化8) 15%
【0068】
【化8】

【0069】
分散剤ホ゜リオキシエチレンアルキルエーテル(コニオン275-70、新日本理化製、
炭素数:12、EO付加モル数:7) 3.0%
イオン交換水(100-(有機顔料+分散剤))%
【0070】
以下、分散剤を変更し、同様に分散液の作製を行った。
【0071】
(分散液2)
ホ゜リオキシエチレンアルキルエーテル(コニオン275-100、新日本理化製、
炭素数:12、EO付加モル数:10) 2.25%
(分散液3)
ホ゜リオキシエチレンアルキルエーテル(コニオン275-100、新日本理化製、
炭素数:12、EO付加モル数:10) 3.0%
(分散液4)
ホ゜リオキシエチレンアルキルエーテル(コニオン275-100、新日本理化製、
炭素数:12、EO付加モル数:10) 6.0%
(分散液5)
ホ゜リオキシエチレンアルキルエーテル(コニオン275-120、新日本理化製、
炭素数:12、EO付加モル数:12) 3.75%
(分散液6)
ホ゜リオキシエチレンアルキルエーテル(コニオンU5010、新日本理化製、
炭素数:18、EO付加モル数:10) 3.0%
(分散液7)
ホ゜リオキシエチレンアルキルエーテル(コニオン67-300R、新日本理化製、
炭素数:18、EO付加モル数:30) 3%
(分散液8)
ホ゜リオキシエチレンアルキルエーテル(コニオンB65-250、新日本理化製、
炭素数:22、EO付加モル数:25) 3%
(分散液9)
ホ゜リオキシエチレンアルキルエーテル(コニオンN-60、新日本理化製、
炭素数:10、EO付加モル数:6) 2.25%
【0072】
つぎに、本実施例に用いたインク組成を記す。
以下の成分を混合撹拌後、再び遠心分離機にて粗粒分を除去し本発明のインクとした。
<インク組成>
分散液1〜9 33,3%
1,5ペンタンジオール 15%
添加剤 任意*1
イオン交換水 (100-(分散液+1,5ペンタンジオール+添加剤))%
【0073】
*1の添加剤は、以下に挙げる添加剤を表1に示すような配合比で添加した。
<添加剤>
ホ゜リオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(EF、日本油脂製、炭素数:12、EO付加モル数:3)
ホ゜リオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(シノリンSPE1200、新日本理化製、
炭素数:12、EO付加モル数:2)
ホ゜リオキシエチレンアルキルエーテル酢酸ナトリウム(エヌシ゛ェコーフ゜9NS50、新日本理化製、
炭素数:18、EO付加モル数:5)
アルキル硫酸ナトリウム(SF、日本油脂製、炭素数:12)
【0074】
これらのインクについて、以下のテストを実施した。
吐出安定性は、すべてのインクを、記録ヘッド内のインクに熱エネルギーを与えて液滴を発生させ吐出を行なうオンデマンドタイプの吐出オリフィス径16ミクロンの試作マルチヘッドを使用した。連続吐出特性は、駆動周波数10kHz、駆動電圧を11Vで試験を行った。
【0075】
その際の特性の良否の判断は、液滴の吐出速度を観察測定することで行った。吐出速度は、ドライバの駆動信号の遅延を操作し、モニター上のインク滴画像を移動させ、移動距離と、それに要した遅延時間とから吐出速度を算出した。
【0076】
試験結果の良否は、連続吐出試験において、初期の吐出速度と50分後の吐出速度で判断した。初期10m/s以上かつ50分後10m/s以上の場合を○とし、初期8m/s以上かつ50分後8m/s以上の場合を△とし、初期8m/s未満の場合を×とした。
【0077】
表1に吐出試験結果を記す。
【0078】
【表1】

【0079】
表1からわかるように、以下の分散剤と添加剤の組み合せの場合、結果が○または△であり良好であった。
【0080】
すなわち、ポリオキシエチレンアルキルエーテルRO(CO)nH(アルキル基Rの炭素数は12、nは7)を分散剤とし、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩RO(CO)n-SONa(アルキル基Rの炭素数は12、nは2〜3)を添加剤とした場合である。
【0081】
また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルRO(CO)nH(アルキル基Rの炭素数は12、nは10)を分散剤とし、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩RO(CO)n-SONa(アルキル基Rの炭素数は12、nは2〜3)を添加剤とした場合である。
【0082】
また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルRO(CO)nH(アルキル基Rの炭素数は12、nは12)を分散剤とし、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩RO(CO)n-SONa(アルキル基Rの炭素数は12、nは2〜3)を添加剤とした場合である。
【0083】
また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルRO(CO)nH(アルキル基Rの炭素数は18、nは10)を分散剤とし、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩RO(CO)n-SONa(アルキル基Rの炭素数は12、nは2〜3)を添加剤とした場合である。
【0084】
つぎに、分散剤として少なくともポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩とポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩のいずれかを用い、添加剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテルを用いた場合の実施例を説明する。
【0085】
まず、分散剤の種類を変え、以下のような分散液を準備した。ここで、以下に記載した分散剤以外は、上述の実施例と同様である。
(分散液1)
ホ゜リオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(EF、日本油脂製、
炭素数:12、EO付加モル数:3) 3.0%
(分散液2)
ホ゜リオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(シノリンSPE-1200、新日本理化製、
炭素数:12、EO付加モル数:2) 3.0%
(分散液3)
ホ゜リオキシエチレンアルキルエーテル酢酸ナトリウム(エヌシ゛ェコーフ゜2P45-S、新日本理化製、
炭素数:12、EO付加モル数:4.5) 3.0%
(分散液4)
ホ゜リオキシエチレンオレイルエーテル酢酸ナトリウム(エヌシ゛ェコーフ゜9NS50、新日本理化製、
炭素数:18、EO付加モル数:5) 3.0%
(分散液5)
アルキル硫酸ナトリウム(SF、日本油脂製、炭素数:12) 3.0%
【0086】
つぎに、インクを作製した。上記の分散液および以下の添加剤を除き、インク組成は上述の実施例と同様である。添加剤は、表2に示すような配合比で添加した。インクの作製方法は上述の実施例と同様である。
【0087】
<添加剤>
ホ゜リオキシエチレンアルキルエーテル(コニオン275-70、新日本理化製、炭素数:12、EO付加モル数:7)
ホ゜リオキシエチレンアルキルエーテル(コニオン275-100、新日本理化製、炭素数:12、EO付加モル数:10)
ホ゜リオキシエチレンアルキルエーテル(コニオン275-120、新日本理化製、炭素数:12、EO付加モル数:12)
ホ゜リオキシエチレンアルキルエーテル(コニオンU5010、新日本理化製、炭素数:18、EO付加モル数:10)
ホ゜リオキシエチレンアルキルエーテル(コニオン67-300R、新日本理化製、炭素数:18、EO付加モル数:30)
ホ゜リオキシエチレンアルキルエーテル(コニオンB65-250、新日本理化製、炭素数:22、EO付加モル数:25)
ホ゜リオキシエチレンアルキルエーテル(コニオンN-60、新日本理化製、炭素数:10、EO付加モル数:6)
【0088】
インクの吐出安定性についての、試験方法および評価方法は、上述の実施例と同様である。
【0089】
表2に吐出試験結果を記す。
【0090】
【表2】

【0091】
表2からわかるように、以下の分散剤と添加剤の組み合せの場合、結果が○または△であり良好であった。
【0092】
すなわち、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩RO(CO)n-SONa(アルキル基Rの炭素数は12、nは2〜3)、およびポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩RO(CO)n-CHCOONa(アルキル基Rの炭素数は12、nは4.5)を分散剤とし、ポリオキシエチレンアルキルエーテルRO(CO)nH(アルキル基Rの炭素数は12、nは7)を添加剤とした場合である。
【0093】
また、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩RO(CO)n-SONa(アルキル基Rの炭素数は12、nは2〜3)、およびポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩RO(CO)n-CHCOONa(アルキル基Rの炭素数は12、nは4.5)を分散剤とし、ポリオキシエチレンアルキルエーテルRO(CO)nH(アルキル基Rの炭素数は12、nは10)を添加剤とした場合である。
【0094】
また、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩RO(CO)n-SONa(アルキル基Rの炭素数は12、nは2〜3)、およびポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩RO(CO)n-CHCOONa(アルキル基Rの炭素数は12、nは4.5)を分散剤とし、ポリオキシエチレンアルキルエーテルRO(CO)nH(アルキル基Rの炭素数は12、nは12)を添加剤とした場合である。
【0095】
また、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩RO(CO)n-SONa(アルキル基Rの炭素数は12、nは2〜3)、およびポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩RO(CO)n-CHCOONa(アルキル基Rの炭素数は12、nは4.5)を分散剤とし、ポリオキシエチレンアルキルエーテルRO(CO)nH(アルキル基Rの炭素数は18、nは10)を添加剤とした場合である。
【0096】
以上のことから、本実施例によれば、長時間吐出させても常に安定した吐出が可能なインク、またこのインクを収容したインクカートリッジ、またこのインクを使用したインクジェット記録方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明によるインクを収容するインクカートリッジの一例と、このインクカートリッジを備えたプリンタ装置の構成を示す概略斜視図である。
【図2】本発明によるインクを収容するインクカートリッジの一例を示す概略斜視図である。
【図3】本発明によるインクカートリッジの一例の構成を示す概略断面図である。
【図4】本発明によるインクジェット記録方法の説明に供する模式図である。
【図5】図5A〜図5Cは、それぞれ、本発明によるインクジェット記録方法の一例の原理を示す模式図である。
【符号の説明】
【0098】
1・・・プリンタ装置、2・・・インク、3・・・ヘッドカートリッジ、4・・・プリンタ本体、5・・・インクカートリッジ、5y,5m,5c,5k・・・インクカートリッジ、11・・・カートリッジ容器、12・・・インク収容部、13・・・インク供給部、14・・・外部連通孔、15・・・空気導入路、16・・・貯留部、21・・・カートリッジ本体、26・・・接続部、27・・・インク吐出ヘッド、31・・・インク溜め部、33・・・フィルタ、34・・・弁機構、51・・・インク供給口、52・・・インク流路、53・・・ヘッドチップ、54・・・基板、55・・・ノズルシート、55a・・・ノズル、56・・・フィルム、57・・・インク液室、58・・・発熱抵抗体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機顔料(化1)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、および少なくともポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩とポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩のいずれかを含むインク。
【化1】

【請求項2】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、RO(CO)nH(アルキル基Rの炭素数は12〜18、nは7〜12)であり、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩は、RO(CO)n-SOM(アルキル基Rの炭素数は12、nは2〜3、Mはアルカリ金属、アンモニウム、または有機アンモニウム)であり、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩は、RO(CO)n-CHCOOM(アルキル基Rの炭素数は12、nは4.5、Mはアルカリ金属、アンモニウム、または有機アンモニウム)である請求項1記載のインク。
【請求項3】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルRO(CO)nH(アルキル基Rの炭素数は12〜18、nは7〜12)は、分散剤であり、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩RO(CO)n-SOM(アルキル基Rの炭素数は12、nは2〜3、Mはアルカリ金属、アンモニウム、または有機アンモニウム)は、添加剤である請求項1記載のインク。
【請求項4】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルRO(CO)nH(アルキル基Rの炭素数は12、nは7)は、分散剤であり、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩RO(CO)n-SONa(アルキル基Rの炭素数は12、nは2〜3)は、添加剤である請求項1記載のインク。
【請求項5】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルRO(CO)nH(アルキル基Rの炭素数は12、nは10)は、分散剤であり、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩RO(CO)n-SONa(アルキル基Rの炭素数は12、nは2〜3)は、添加剤である請求項1記載のインク。
【請求項6】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルRO(CO)nH(アルキル基Rの炭素数は12、nは12)は、分散剤であり、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩RO(CO)n-SONa(アルキル基Rの炭素数は12、nは2〜3)は、添加剤である請求項1記載のインク。
【請求項7】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルRO(CO)nH(アルキル基Rの炭素数は18、nは10)は、分散剤であり、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩RO(CO)n-SONa(アルキル基Rの炭素数は12、nは2〜3)は、添加剤である請求項1記載のインク。
【請求項8】
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩RO(CO)n-SOM(アルキル基Rの炭素数は12、nは2〜3、Mはアルカリ金属、アンモニウム、または有機アンモニウム)、およびポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩RO(CO)n-CHCOOM(アルキル基Rの炭素数は12、nは4.5、Mはアルカリ金属、アンモニウム、または有機アンモニウム)は、分散剤であり、
ポリオキシエチレンアルキルエーテルRO(CO)nH(アルキル基Rの炭素数は12〜18、nは7〜12)は、添加剤である請求項1記載のインク。
【請求項9】
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩RO(CO)n-SONa(アルキル基Rの炭素数は12、nは2〜3)、およびポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩RO(CO)n-CHCOONa(アルキル基Rの炭素数は12、nは4.5)は、分散剤であり、
ポリオキシエチレンアルキルエーテルRO(CO)nH(アルキル基Rの炭素数は12、nは7)は、添加剤である請求項1記載のインク。
【請求項10】
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩RO(CO)n-SONa(アルキル基Rの炭素数は12、nは2〜3)、およびポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩RO(CO)n-CHCOONa(アルキル基Rの炭素数は12、nは4.5)は、分散剤であり、
ポリオキシエチレンアルキルエーテルRO(CO)nH(アルキル基Rの炭素数は12、nは10)は、添加剤である請求項1記載のインク。
【請求項11】
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩RO(CO)n-SONa(アルキル基Rの炭素数は12、nは2〜3)、およびポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩RO(CO)n-CHCOONa(アルキル基Rの炭素数は12、nは4.5)は、分散剤であり、
ポリオキシエチレンアルキルエーテルRO(CO)nH(アルキル基Rの炭素数は12、nは12)は、添加剤である請求項1記載のインク。
【請求項12】
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩RO(CO)n-SONa(アルキル基Rの炭素数は12、nは2〜3)、およびポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩RO(CO)n-CHCOONa(アルキル基Rの炭素数は12、nは4.5)は、分散剤であり、
ポリオキシエチレンアルキルエーテルRO(CO)nH(アルキル基Rの炭素数は18、nは10)は、添加剤である請求項1記載のインク。
【請求項13】
インクを収容するインクカートリッジにおいて、
前記インクは、有機顔料(化2)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、および少なくともポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩とポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩のいずれかを含むことを特徴とするインクカートリッジ。
【化2】

【請求項14】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、RO(CO)nH(アルキル基Rの炭素数は12〜18、nは7〜12)であり、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩は、RO(CO)n-SOM(アルキル基Rの炭素数は12、nは2〜3、Mはアルカリ金属、アンモニウム、または有機アンモニウム)であり、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩は、RO(CO)n-CHCOOM(アルキル基Rの炭素数は12、nは4.5、Mはアルカリ金属、アンモニウム、または有機アンモニウム)であることを特徴とする請求項13記載のインクカートリッジ。
【請求項15】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルRO(CO)nH(アルキル基Rの炭素数は12〜18、nは7〜12)は、分散剤であり、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩RO(CO)n-SOM(アルキル基Rの炭素数は12、nは2〜3、Mはアルカリ金属、アンモニウム、または有機アンモニウム)は、添加剤であることを特徴とする請求項13記載のインクカートリッジ。
【請求項16】
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩RO(CO)n-SOM(アルキル基Rの炭素数は12、nは2〜3、Mはアルカリ金属、アンモニウム、または有機アンモニウム)、およびポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩RO(CO)n-CHCOOM(アルキル基Rの炭素数は12、nは4.5、Mはアルカリ金属、アンモニウム、または有機アンモニウム)は、分散剤であり、
ポリオキシエチレンアルキルエーテルRO(CO)nH(アルキル基Rの炭素数は12〜18、nは7〜12)は、添加剤であることを特徴とする請求項13記載のインクカートリッジ。
【請求項17】
インクを、熱エネルギーにより飛翔させて記録媒体表面に付着させるインクジェット記録方法において、
前記インクは、有機顔料(化3)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、および少なくともポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩とポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩のいずれかを含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
【化3】

【請求項18】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、RO(CO)nH(アルキル基Rの炭素数は12〜18、nは7〜12)であり、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩は、RO(CO)n-SOM(アルキル基Rの炭素数は12、nは2〜3、Mはアルカリ金属、アンモニウム、または有機アンモニウム)であり、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩は、RO(CO)n-CHCOOM(アルキル基Rの炭素数は12、nは4.5、Mはアルカリ金属、アンモニウム、または有機アンモニウム)であることを特徴とする請求項17記載のインクジェット記録方法。
【請求項19】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルRO(CO)nH(アルキル基Rの炭素数は12〜18、nは7〜12)は、分散剤であり、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩RO(CO)n-SOM(アルキル基Rの炭素数は12、nは2〜3、Mはアルカリ金属、アンモニウム、または有機アンモニウム)は、添加剤であることを特徴とする請求項17記載のインクジェット記録方法。
【請求項20】
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩RO(CO)n-SOM(アルキル基Rの炭素数は12、nは2〜3、Mはアルカリ金属、アンモニウム、または有機アンモニウム)、およびポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩RO(CO)n-CHCOOM(アルキル基Rの炭素数は12、nは4.5、Mはアルカリ金属、アンモニウム、または有機アンモニウム)は、分散剤であり、
ポリオキシエチレンアルキルエーテルRO(CO)nH(アルキル基Rの炭素数は12〜18、nは7〜12)は、添加剤であることを特徴とする請求項17記載のインクジェット記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−160797(P2006−160797A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−350237(P2004−350237)
【出願日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】