説明

インクカートリッジ

【課題】インクカートリッジを大型化したり、インク貯留室内に貯留可能なインクの量が少なくなったりするのを極力抑えつつ、インク貯留室内のインクが少なくなったことを検知する。
【解決手段】右側の端部付近の支点41aにおいて支持台31に揺動可能に支持されたアーム部41の左側の端部付近には光遮断部42が設けられている。アーム部41は、光遮断部41と支点41aとの間の部分において分岐し下方に延びた分岐アーム部44を有しており、その先端にはフロート部43が設けられている。インク貯留室111内に十分にインクが残っているときには、光遮断部33は、光センサの発光部1014aから発せられた光を遮断している。インク貯留室111内のインクが少なくなると、光遮断部33は下方に移動し、発光部1014aから発せされた光を遮断しなくなり、受光部1014bがこの光を受け取る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットヘッドにインクを供給するインクカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタにインクを供給するインクカートリッジにおいて、インクカートリッジにおけるインクの残量が少なくなったことを検知することができるように構成されているものがある。例えば、特許文献1に記載のインクカートリッジにおいては、インクタンク(インク貯留室)の底部に延在方向の略中心部が支持台に揺動可能に支持されたレバーの両端部にそれぞれシャッター(光遮断部)及びフロートが配置されることによって構成されたシャッター機構が配設されており、インクタンクのインク量が多いときには、フロートが浮力によって上昇してレバーが揺動することにより、シャッターがインクタンクの凹部の底部近傍に位置して光センサの発光部から発せられる光を遮断し、インクタンクのインク量が少なくなるとフロートが下降してレバーが揺動することにより、シャッターが凹部の上部近傍に位置し、発光部から発せられた光を遮断しなくなる。このとき、光センサの受光部がこの光を受け、インクタンクのインクが少なくなったことを検知する。
【0003】
【特許文献1】特開2005−125738号公報(図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のインクカートリッジにおいては、支持台に支持されたレバーの両端にシャッター及びフロートがそれぞれ設けられた比較的大型のシャッター機構がインクタンク内に配設されることになるので、このようなシャッター機構を配設するためにインクカートリッジを大型にする必要がある。
【0005】
本発明の目的は、大型化することを極力抑えつつ、インクの残量が少なくなったことを検知することが可能なインクカートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のインクカートリッジは、インクが貯留されたインク貯留室と、そのインク貯留室内に設けられ支点を中心に揺動可能に支持された揺動部材とを備え、プリンタに装着されるときに前記インク貯留室に貯留されたインクをプリンタに供給するインクカートリッジであって、揺動部材は、光遮断性を有する光遮断部と、インク貯留室内で揺動可能に支持されたときに支点となる枢支部と、光遮断部と枢支部とを連結するアーム部と、アーム部の光遮断部と枢支部との間となる部分から分岐して突出する分岐アーム部と、分岐アーム部の突出先端に設けられ、単位体積当たりの質量がインクよりも小さいフロート部とを有し、フロート部がインク内に位置するときに生じる浮力により揺動部材が揺動しようとする方向の揺動を規制する揺動規制手段を備え、プリンタに装着されるときの装着姿勢にあるときに、揺動部材は、揺動可能な範囲内においてフロート部が常に光遮断部よりも下方に位置する。
【0007】
これによると、フロート部をアーム部の光遮断部と枢支部との間となる部分から分岐して突出する分岐アーム部の突出先端に設けているため、アーム部を枢支部から光遮断部と反対側にまで延ばす必要がなくアーム部を短くすることができる。したがって、揺動部材を小型化することができ、インクカートリッジを大型化することなくインク貯留室内に揺動部材を配設することができる。さらに、装着姿勢において常にフロート部が光遮断部よりも下方に位置しているため、インク貯留室内のインクが確実に少なくなった状態で、インク貯留室内のインクが少なくなったことを検知することができる。また、フロート部を分岐アーム部の先端に設けているため、装着姿勢において、フロート部を容易に光遮断部よりも下方に位置させることができる。
【0008】
また、本発明のインクカートリッジにおいては、揺動部材の全体が、インクよりも単位体積当たりの質量が小さくてもよい。これによると、インク残量が多いときに、揺動部材全体に十分な大きさの浮力を発生させることができるので、外部振動を受けた場合等に揺動部材が揺動してインク残量が少なくなったと誤検知する可能性を少なくすることができる。
【0009】
また、本発明のインクカートリッジにおいては、装着姿勢にあるときに、揺動部材が揺動可能な範囲内においてフロート部が常に枢支部よりも下方に位置していてもよい。これによると、フロート部が常に枢支部よりも下方に位置しているため、インク貯留室内のインクの液面がさらに低い位置にきたときに、インク貯留室内のインクが少なくなったことを検知することができる。
【0010】
また本発明のインクカートリッジにおいては、インク貯留室は、直方体状のケースの内部に形成されており、このケースは、装着姿勢にあるときの一の側壁に、下方側にインク出口を有するとともに、その上方には、インク貯留室に連通する内部空間を備えた光透過性を有する突出部が形成されており、揺動規制手段は、突出部の内部空間の上面により形成されていてもよい。これによると、ケースの一の側壁にインク出口と光遮断部が配置される内部空間が形成された突出部とを集中して設けることにより、プリンタにおいて必要な光センサやインク供給管を一面に集約して配置することができるのでプリンタを小型化することができる。また、突出部の上面が揺動規制手段として作用するので、別途揺動規制手段を設ける必要がなくインクカートリッジの構成が簡略化される。
【0011】
このとき、プリンタは、発光部と受光部とを有する光透過型の光センサを備えており、突出部は、プリンタに装着されるときに発光部と受光部とに挟まれる位置に設けられていてもよい。これによると、インクカートリッジがプリンタに取り付けられたときに、光センサの発光部と受光部とが突出部を挟むことになるため、発光部が発した光を受光部が受けるか否かによってインク貯留室内のインクが少なくなったことを容易に検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明における実施の形態に係るインクカートリッジの外観を示した斜視図である。図2は、図1の分解斜視図である。なお、図2では、後述する側壁160は透明であり、後述するインク貯留体100の内部は見えるようになっているが、その図示は省略している。
【0013】
図1、図2に示すように、インクカートリッジ1は、透光性のインクを貯留するインク貯留体100と、インク貯留体100の略全体を覆う外部ケース200と、外部ケース200に取り付けられ、インクカートリッジ1が搬送される際にインク貯留体100を保護するプロテクタ300とを備えている。なお、本実施の形態では、インク貯留体100、外部ケース200及びプロテクタ300は、ナイロン、ポリエチレンやポリプロピレンなどの樹脂材料から形成されている。
【0014】
外部ケース200は、インク貯留体100を上下(図2上下)から挟み込む2つのケース部材210、220で構成されており、第1ケース部材210は、インク貯留体100の図2下側を覆う部材であり、第2ケース部材220は、インク貯留体100の図2上側を覆う部材である。第1及び第2ケース部材210、220は、樹脂材料から構成されており、射出成形により製造される。
【0015】
第1ケース部材210には、インク供給部120及び大気導入部130を外部ケース200外部に露出するための2つのケース切欠部211、212が形成されている。ケース切欠部211、212は、略半円状に形成されており、図2右手前側のケース切欠部211がインク供給部120に対応した切欠であり、図2左奧側のケース切欠部212が大気導入部130に対応した切欠である。また、ケース切欠部211とケース切欠部212との間には、矩形状に切り欠かれたケース切欠部213が形成されており、これは、突出部140を挟み込む位置まで光センサ1014(図6参照)を挿入させるための切欠である。また、第1ケース部材210のケース切欠部211に連接する内側面には、インク供給部120と当接する当接溝211aが形成され、第1ケース部材210のケース切欠部212に連接される内側面には、大気導入部130と当接する当接溝212aが形成されている。この当接溝211a、212aを設けることで、インク貯留体100の第1ケース部材210への位置合わせが容易となる。
【0016】
また、第1ケース部材210には、ケース切欠部211〜213が形成された面からプロテクタ300方向(図2左手前方向)に突出する2つのケース突出部214a、214bが形成されている。ケース突出部214a、214bは、ケース切欠部211〜213を挟むように第1ケース部材210の両側(図2右手前側端部と図2左奧側端部)に形成されており、インク供給部120側(図2右手前側)がケース突出部214aであり、大気導入部130側(図2左奧側)がケース突出部214bである。また、ケース突出部214aは、第1ケース部材210の側壁と連接する部分から先端(プロテクタ300方向、図2左手前方向)に向かって、ケース切欠部211〜213方向(第1ケース部材210内側方向)に傾斜した傾斜面214a2を有している。インクカートリッジ1をプリンタ1000(図6参照)に装着する場合には、ケース突出部214aが下側となって装着される。よって、インクカートリッジ1が装着される場合に、傾斜面214a2がプリンタ1000の下部と当接すると、その傾斜によりインクカートリッジ1が所定の装着位置にスムーズに誘導される。
【0017】
さらに、ケース突出部214bには、ケース切欠部211〜213側となる内側面に、矩形状に切りかかれたケース突出切欠部214b1が形成されている。加えて、ケース突出部214bには、プリンタ1000に装着されたときに嵌合棒1016b1(図6参照)が嵌合されるケース嵌合溝214b2が形成されている。
【0018】
また、第1ケース部材210には、インク供給部120側(図2右手前側)の側壁近傍に第2ケース部材220方向に突起し、外部ケース200内に内封されるインク貯留体100の位置決めを行う棒部材215aと、大気導入部130側(図2左奧側)の側壁近傍に第2ケース部材220側(図2上方)に突起し、外部ケース200内に内封されるインク貯留体100の位置決めを行う棒部材215b、215cとが形成されている。この棒部材215a〜215cの3箇所により、インク貯留体100を位置決めするので、インク貯留体100の取り付け方向が間違って取り付けられることを防止できる。
【0019】
第2ケース部材220には、第1ケース部材210と同様に、3つのケース切欠部221〜223が形成されると共に、ケース切欠部221に連接される当接溝221a及びケース切欠部222に連接される当接溝222aが形成されている。また、ケース切欠部221〜223の両側には、ケース突出部224a、224bが形成され、そのケース突出部224aは、第2ケース部材220の側面と連接する部分から先端に向けて、ケース切欠部221〜223方向に傾斜する傾斜面224a2を有している。さらに、ケース突出部224bには、ケース突出切欠部214b1と同様の構成のケース突出切欠部224b1と、ケース突出部224bの先端から第2ケース部材220の側面にわたってケース嵌合溝224b2が形成されている。また、第2ケース部材220には、第1ケース部材210の棒部材215a〜215cが形成された位置に対応して第1ケース部材210側(図2下方)に突起し、棒部材215a〜215cと嵌合する孔を有する嵌合孔部(図示せず)が設けられている。
【0020】
次に、外部ケース200の外形状について説明する。第1及び第2ケース部材210、220は、長手方向A(図2右奧側と図2左手前側とを結ぶ方向、図2矢印A)と直交する方向の両側側面が凹状に形成され、第1及び第2ケース部材210、220の表面に対して段差が形成されている。この段差部分において、第1及び第2ケース部材210、220が溶着され、外部ケース200に対してインク貯留体110が固着される。段差部分は、インク供給部120側(図2右手前側)の段差部分が第1ケース溶着部216、226であり、大気導入部130側(図2左奧側)の段差部分が第2ケース溶着部217、227である。
【0021】
なお、以下の説明において、第1及び第2ケース部材210、220の長手方向Aは、インクカートリッジ1の長手方向、インク貯留体100の長手方向、外部ケース200の長手方向を意味するものとする。
【0022】
ここで、第2ケース部材220の第1及び第2ケース溶着部226、227について説明する。第1ケース溶着部226は、ケース突出部224aと同一平面上に連接されると共に、そのケース突出部224aの反対側に、第2ケース部材220の内側方向に凹状に形成された凹部226aと、インクカートリッジ1をプリンタ1000(図6参照)に装着したときに係合部材1017(図6参照)と係合する係合部226bとを有している。なお、凹部226aは、係合部材1017が揺動動作した場合の揺動範囲を確保するための領域である。ケース溶着部227は、第2ケース部材220の長手方向Aの略中間位置に凹状に形成された係止部227aを有し、その係止部227aは、プリンタ1000(図6参照)に装着された状態で、インクカートリッジ1を係止する部分である。
【0023】
なお、詳細な説明は省略するが、第1ケース部材210にも、第2ケース部材220の凹部226a、係合部226b及び係止部227aと同形状に形成された図示しない凹部及び係合部並びに係止部217aが形成されている。
【0024】
次に、図3〜図5を参照して、インク貯留体100について説明する。図3は、図2のインク貯留体100の側面図である。図4は、図3のインク貯留体100の左端部付近の、紙面垂直方向の略中央部における断面図である。図5は、揺動部材を模式的に示した図であり、(a)は本実施の形態の揺動部材32を示すもの、(b)はアーム部51がその途中部の支点51aを中心として揺動可能に支持されており、支点51aに対して互いに反対側にあるアーム部51の両端部付近にそれぞれ遮断部52及びフロート部53とが設けられた従来の構成の揺動部材50を示すものである。なお、図3に示したインク貯留体100の状態が、インクカートリッジ1をプリンタ1000(図6参照)に装着する姿勢(装着姿勢)である。すなわち、インク供給部120、大気導入部130及び突出部140が側面に位置し、インク供給部120が底部側に位置し、大気導入部130が天井側に位置する姿勢である。また、図3では、側板160の外縁を太線で示しているとともに、インクカートリッジ1をプリンタ1000に装着したときの発光部1014a及び受光部1014bの位置を一点鎖線により図示している。また、図4では、後述する揺動部材32の図示を省略している。
【0025】
図3、図4に示すように、インク貯留体100は、略直方体形状のケース110に後述するインク貯留室111、インク供給路116などが形成されたものである。また、ケース110の下面には下方に延びた1つの取り付け部110aが形成され、ケース110の上面には上方に延びた2つの取り付け部110b、110cが形成されており、取り付け部110a〜110cには、それぞれ、第1ケース部材210の棒部材512a〜512cに嵌合する貫通孔460a〜460cが形成されている。そして、貫通孔460a〜460cがそれぞれ棒部材512a〜512cに嵌合することにより、インク貯留体100は外部ケース200に位置合わせされて取り付けられる。
【0026】
ケース110の内部には、後述するインク供給路116、大気導入路117及び突出部140を除くほぼ全域にわたってインク貯留室111が形成されている。インク貯留室111内には、インク供給路116からプリンタ1000に供給される光透過性を有するインクが貯留されている。
【0027】
インク貯留室111の左側の側壁(一の側壁)161の上下方向に関する略中央部には、左方に突出した突出部140が形成されている。突出部140の内部にはインク貯留室111に連通する内部空間140aが形成されている。突出部140はインクカートリッジ1がプリンタ1000に装着されたときに、図3の紙面手前側及び奥側にそれぞれ配置された、後述する光センサ1014を構成する発光部1014a及び受光部1014bに挟まれる位置に形成されている。突出部140は光透過性を有しており、発光部1014aから発せられた光が後述する光遮断部42により遮断されないときに、受光部1014bに到達するように構成されている。
【0028】
インク貯留室111の内部には、図3に示すように、シャッター機構30が配置されている。シャッター機構30は、支持台31と揺動部材32とにより構成されている。揺動部材32は、インク貯留室111内のインクよりも比重の小さい樹脂材料で成型されており、単位体積当たりの質量がインク貯留室111内のインクよりも小さくなっている。支持台31は、インク貯留室111の底面からこの底面に垂直に延びており、以下に説明するように、揺動部材32を揺動可能に支持している。揺動部材32は、アーム部41、光遮断部42、フロート部43及び分岐アーム部44を備えている。アーム部41は、その右端部において突出形成された支点41a(枢支部)において支持台31に形成された軸受に揺動可能に支持されているとともに、支点41aから図3の左上方に向かって、突出部140付近まで延びている。光遮断部42は、アーム部41の左端部に設けられて(接続されて)、突出部140の内部空間140a内に位置している。そして、光遮断部42は、後述するように、内部空間140a内に位置しているときに、光センサ1014の発光部1014aから発せられ突出部140を透過する光を遮断する(つまり、光遮断部42は光遮断性を有する)。さらに、アーム部41の支点41aと光遮断部42との間の部分からは、分岐アーム部44が分岐して突出し、インク貯留室111の底部側に向けて突出している。フロート部43は、分岐アーム部44の突出先端部分に設けられており、揺動部材32の他の部分に比べて体積が十分に大きくなっている。フロート部43は、内部に空気が充填される空間を有する構成となっており、内部の空気を含めた単位体積当たりの質量が、揺動部材32の他の部分よりも小さくなっている。
【0029】
インク貯留室111内に十分にインクが残っている状態(揺動部材32全体がインク液中に位置する状態)では、揺動部材32全体に対して生じる浮力が重力に勝っているため、揺動部材32には、図3中において支点41aを中心とした時計回り方向のモーメントが作用し、アーム部41が光遮断部42とともに支点41aを中心として時計回り方向に揺動しようとする。しかしながら、このとき光遮断部42の上端が突出部140の内部空間140aの上面(揺動規制手段)に接触しており、アーム部41が時計回り方向に揺動するのが妨げられる(規制される)。つまり、インク貯留室111内のインクが所定の量よりも多いとき(インク貯留室111内のインクの液面が図3の実線の位置よりも上方にあるとき)には、光遮断部42は、内部空間140aの上面に接触した位置にある。このとき、発光部1014aから発せられた光は、光遮断部42によって遮断されている。このように、内部空間140aの上面によってアーム部41揺動が妨げられているので、インク貯留室111内のインクが一定量以上残っているときには、光遮断部42は確実に発光部1014aから発せられた光を遮断する。
【0030】
その後、インク貯留室111内のインクの量が減少していくと、光遮断部42とアーム部41が徐々にインク液面から露出していき、揺動部材42に生じる浮力は小さくなっていく。しかし、インク液中内のフロート部43の体積は、露出部分の体積に比べて十分に大きく、加えて、フロート部43は、露出部分に比べて単位体積あたりの質量が小さくなっている(単位体積あたりの浮力が露出部分よりも大きい)ため、揺動部材32全体に対して生じる浮力は依然として重力に勝っており、揺動部材32の位置は変わらない。その後、さらにインクの量が減少しフロート部43の一部がインク液中から露出した状態になると、揺動部材32に対して生じる浮力と重力がつりあった状態となる。(なお、本実施形態では、アーム部41、光遮断部42及び分岐アーム部44がインク液面から完全に露出しフロート部43の一部も露出したときに、揺動部材32に生じる重力と浮力がつり合うように、これら各要素の体積を設定している。)それ以降、フロート部43はインクの減少に伴ってインクの液面に追従して下方に移動する。これにより、揺動部材32は反時計回り方向に揺動する。これにより、光遮断部42が図3中で下方に移動し、一定量アーム部41が反時計回りに揺動した時点で、光遮断部42が発光部1014aから発せられた光を遮断しなくなり、この光は受光部1014bに到達する。これにより光センサ1014(図6参照)は、インク貯留室111内のインクの残量が少なくなったことを検知する。そして、図示しない表示手段によりインクカートリッジの交換を促す警告がなされる。
【0031】
さらに、インク貯留室111内のインクの量が少なくなると、アーム部41はさらに反時計回り方向に揺動する。ただし、アーム部41が反時計回り方向に揺動していくと、ある時点(図3の二点鎖線で示す位置)で光遮断部42の下端が、突出部140の内部空間140aの下面に接触する。これにより、アーム部41がこれ以上反時計回りに揺動するのが妨げられる。すなわち、アーム部41は、光遮断部42の上端が内部空間140aの上面に接触する位置と、光遮断部42の下端が内部空間140aの下面に接触する位置との間の範囲で揺動可能となっている。そして、アーム部41がこの範囲内で揺動するとき、支点41aが常に光遮断部42よりも下方に位置しており、フロート部43は常に光遮断部42、及び、支点41aよりも下方に位置している。これにより、フロート部43がインク貯留室111内のインクの液面が確実に低くなった時点、つまり、インク貯留室111内のインクが確実に少なくなった時点で光遮断部42が発光部1014aから発せられた光を遮断しなくなる。ただし、光遮断部42が発光部1014aから発せられた光を遮断しなくなる時点におけるフロート部43の高さ(インクの液面の高さ)は、後述するインク供給路116のインク出口116aの上端よりも高くなっている。これにより、インク供給路116からプリンタ1000にインクが供給できなくなる前に、インク貯留室111内のインクの残量が少なくなったことを確実に検知することができる。ここで、揺動部材32は全体として単位体積当たりの質量がインク貯留室111内のインクよりも小さくなっているので、揺動部材32はインクの液面に確実に追従して揺動する。
【0032】
ここで、図5(a)、(b)の揺動部材32、50の模式図において、本実施形態の揺動部材32と従来の揺動部材50とを比較した場合について説明する。光遮断部42,52の移動距離を等しくするために、支点41と光遮断部42との距離、及び、支点51と光遮断部52との距離を等しくしたとすると、図5(b)に示すようにフロート部53を支点51aに対して光遮断部52と反対側に設けるのに対して、図5(a)に示すように、フロート部43を支点41aと光遮断部42との間に設ける場合には、アーム部51のように、アーム部41を支点41aに対して光遮断部42の反対側に延ばす必要がなくアーム部41をアーム部51よりも短くすることができる。これにより、揺動部材32を小型化することができる。さらに、揺動部材32では、図5(a)に示すように、アーム部41から分岐した分岐アーム部44の先端にフロート部43が配置されているので、図5(b)に示す従来の場合よりもインク貯留室111内の液面が低い位置になったときにインクの残量が少なくなったことを検知することができる。
【0033】
図4に戻って、側壁161の突出部140の下方には、インク供給路116が形成され、側壁161の突出部140の上方には、大気導入路117が形成されている。図4の状態(装着状態)で、インク供給路116及び大気導入路117は水平方向に延在しており、インク供給路116の内部にはインク供給路116のインク出口116aを開閉可能なバルブ機構500が収納されており、大気導入路117の内部には大気導入路117の大気導入口117aを開閉可能な大気導入機構510が収納されている。そして、インク供給路116とバルブ機構500とによりインク供給部120が、大気導入路117と大気導入機構510とにより大気導入部130がそれぞれ構成されている。
【0034】
インク供給路116は、図4に示すように、バルブ機構500の一部が収納されるバルブ収納部800と連通孔421を介してバルブ収納部800と連通するとともに、連通孔423を介してインク貯留室111に連通したインク供給室801とにより構成されており、インク供給室801から連通孔421及びバルブ収納部800を経てインク出口116aに至る流路が全体として水平方向に延びている。インク供給路116においては、インク貯留室111内のインクは、連通孔423を介してインク供給室801内に流れ込み、さらに、連通孔421を介してバルブ収納部800に流れ込む。
【0035】
バルブ機構500についてより詳細に説明する。図4に示すように、バルブ機構500は、供給キャップ600と、供給ジョイント610と、供給バルブ620と、第1供給スプリング630と、供給スライダ640と、第2供給スプリング650と、弁座660と、逆止弁670と、カバー680とを備えている。
【0036】
供給キャップ600は、インク供給路116のインク出口116a付近に装着される。供給ジョイント610は、ゴム等の弾性を有する樹脂材料から構成され、プリンタ1000(図6参照)のインク抽出管1015(図6参照)が挿入される、水平方向に延びた貫通孔610aが略中央部に形成されているとともに、インク供給路116のインク出口116aの周縁部を塞いでいる。供給バルブ620は、インクカートリッジ1がプリンタ1000に装着されていないときには第2供給スプリング650に図中左方に押圧されて、図中左側の壁面が供給ジョイント610の図中右端部が当接しており、これにより、貫通孔610aは閉塞されている。一方、インクカートリッジ1がプリンタ1000に装着されると、供給ジョイント610は、後述するインク抽出管1015に押圧されることにより図中右方に移動し、供給バルブ620と供給バルブ620との間に隙間ができるため、インク供給路116(バルブ収納部800)とインク抽出管1015とが連通し、プリンタ1000へのインクの供給が可能となる。このようにして、インク供給路116のインク出口116aの開閉が行われる。
【0037】
第1供給スプリング630は第2供給スプリング650との間で供給スライダ640を挟んでいる。供給スライダ640は、供給バルブ620の右方を覆うと共にインク抽出管1015に押圧された供給バルブ620の移動方向(図4の左右方向)に動作可能となっている。第2供給スプリング650は、供給スライダ640内に収納され第1供給スプリング630と同材料で同形状に形成されており、供給スライダ640を左方に押圧している。弁座660は第2供給スプリング650に当接すると共に逆止弁670を支持している。逆止弁670は連通孔421付近に設けられており、連通孔421におけるインクの逆流を防いでいる。カバー680は弁座660との間で逆止弁670を覆っている。
【0038】
大気導入路117は水平方向に延びており、大気導入機構510の一部が収納される大樹導入機構収納部810、及び、大気導入機構収納部810とインク貯留室111とを連通させる連通孔434を有する。
【0039】
大気導入機構510についてより詳細に説明する。大気導入機構510は、図4に示すように、大気キャップ700と、大気ジョイント710と、大気バルブ720と、第1大気スプリング730と、大気スライダ740と、第2大気スプリング750とを備えている。
【0040】
大気キャップ700は、大気導入路117の大気導入口117aに装着される。大気ジョイント710は、ゴム等の弾性を有する樹脂材料から構成され、略中央部に水平方向に延びた貫通孔710aが形成されているとともに大気導入口117aの周縁部を塞いでいる。供給バルブ720は、インクカートリッジ1がプリンタ1000に装着されていないときには第2供給スプリング750に図中左方に押圧されて、図中左側の壁面が供給ジョイント710の図中右端部が当接しており、これにより、貫通孔710aは閉塞されている。一方、インクカートリッジ1がプリンタ1000に装着されると、大気バルブ720の左端からインク導入口117aの外側に突出した突出部720aが、後述する装着面1013(図6参照)に当接することにより押圧されて図中右方に移動し、大気ジョイント710と大気バルブ720との間に隙間ができるため、大気導入路117と後述する大気導入路1013bとが連通し、大気の導入が可能となる。このようにして、大気導入路117の大気導入口117aの開閉が行われる。
【0041】
第1大気スプリング730は第2大気スプリング750との間で大気スライダ740を挟んでいる。大気スライダ740は、大気バルブ720の右方を覆うと共に装着面1013の壁面に当接することによって押圧された大気バルブ720の移動方向(図4の左右方向)に動作可能となっている。第2大気スプリング750は、大気スライダ740内に収納され第1大気スプリング730と同材料で同形状に形成されており、大気スライダ740を左方に押圧している。
【0042】
次に、図6を参照して、インクカートリッジ1のプリンタ1000への装着方法について説明する。図6は、インクカートリッジ1をプリンタ1000へ装着する方法を示した図である。
【0043】
インクカートリッジ1をプリンタ1000に装着する方法について説明する前に、まず、プリンタ1000のインクカートリッジ1の装着部について説明する。
【0044】
図6(a)に示すように、プリンタ1000側の装着部1010は、インクカートリッジ1の装着部1010から略垂直方向(図6右方向)に突出し、外部ケース200の係止部217a、227bと係止する係止棒1011と、外部ケース200の第1ケース溶着部216、226を下方から支持すると共に、その第1ケース溶着部216、226の形状に応じて凹状に形成された支持部1012とを備えている。係止棒1011には、支持部1012側に突起し、係止部217a、227aと略同形状に形成された凸部1011aが形成されている。
【0045】
装着部1010のインクカートリッジ1の装着面1013には、光センサ1014が配設されている。光センサ1014は、略コ字状に形成されており、コ字状の開放された一方(図6の紙面手前側)の端部が光を発光する発光部1014aであり、他方(図6の紙面奥側)の端部が光を受け取る受光部1014bである。その発光部1014aと受光部1014bが、ケース切欠部213、223と突出部140により形成される貫通孔にそれぞれ挿通されるよう、装着面1013から突出するよう取り付けられている。なお、光センサ1014は、発光部1014aが発した光を受光部1014bが受け取った場合に、プリンタ1000に設けられた制御基板(図示せず)に信号を出力し、発光部1014aが発した光が遮断され、受光部1014bがこの光を受け取っていない場合には制御基板に信号を出力しない光透過型の光センサである。そして、制御基板にこの信号が出力されていないときには印刷が可能となっており、制御基板にこの信号が出力されたときには図示しない表示手段によりインクカートリッジを交換することを促す警告がなされる。
【0046】
また、装着面1013のインク供給部120に対応する側(図6(a)下側)には、インク抽出管1015が突出して設けられる一方、装着面1013の大気導入部130に対応する側(図6(a)上側)は、その装着面1013が平面に形成されている。インク抽出管1015には、インク流路1013aが連接されており、そのインク流路1013aを通り、プリンタ1000へインクが供給される。また、大気導入部130側の装着面1013には、大気導入路1013bが形成されており、その大気導入路1013bを通り、インク貯留室111内に大気が導入される。
【0047】
また、装着面1013の両側(図6(a)の係止棒1011と支持部1012との間における装着面1013の両側端部)には、外部ケース200のケース突出部214a、224a及びケース突出部214b、224bとが緩挿され、そのケース突出部214a、224a及びケース突出部214b、224bの外形状に対応した凹部1016a、1016bが形成されている。さらに、凹部1016bには、外部ケース200のケース嵌合溝214b2、224b2により形成される嵌合溝内に挿通して嵌合する嵌合棒1016b1が形成されている。インクカートリッジ1が装着される場合には、嵌合棒1016b1がケース嵌合溝214b2、224b2により形成される嵌合溝内に挿通される。すなわち、外部ケース200のケース突出部214a、224aにより形成されるケース突出部と、ケース突出部214b、224bにより形成されるケース突出部との形状が異なると共に、プリンタ1000の凹部1016a、1016bの形状がそれぞれ異なるので、インクカートリッジ1を上下反対に装着する場合には、嵌合棒1016b1が邪魔となってインクカートリッジ1が装着されない。よって、インクカートリッジ1の誤装着を防止できるので、インク供給部120及び大気導入部130の破損や、光センサ1014及びインク抽出管1015の破損を防止することができる。
【0048】
さらに、装着部1010には、支持部1012の先端側(図6(a)左側、インクカートリッジ1側の端部)に、外部ケース200の凹部216a、226aに入り込むと共に、係合部216b、226bと係合して回動する係合部材1017が備えられている。係合部材1017は、外部ケース200の係合部216b、226bと係合する係合端部1017aと、その係合端部1017aに連接され係合部材1017を軸支する軸支部1017bと、軸支部1017bと連接され外部ケース200の装着部1010に対向する面の反対側面を覆う被覆部1017cとを備えている。軸支部1017bには、係合部材1017の支軸の軸心から外周方向に突起した凸部1017dが形成されており、その凸部1017dが、プリンタ1000の装着部1010に形成された凹部1018に係合することで、係合部材1017が固定される。
【0049】
図6(a)に示すように、インクカートリッジ1(プロテクタ300が取り外された状態)をプリンタ1000に装着する場合には、インクカートリッジ1をインク供給部120が下方で大気導入部130が上方となるよう装着する。これは、インク供給部120が下方に位置しないと、インクカートリッジ1(インク貯留室111)内のインクを効率良く使用できないからである。
【0050】
また、インクカートリッジ1は、プリンタ1000に装着された状態で、下方から上方に向かって、インク供給部120、突出部140、大気導入部130の順番になっており、さらに、インク供給部120、突出部140及び大気導入部130が同じ端面に形成されている。よって、インク供給120、突出部140及び大気導入部130が同じ端面に集中して設けられているので、プリンタ1000側に必要となる光センサ1014、インク抽出管1015(インク流路1013a)、大気導入路1013bを一面に集約して設けることができる。従って、プリンタ1000を小型化することができる。
【0051】
インクカートリッジ1の装着は、外部ケース200のケース突出部214a、224a(第1ケース溶着部216、226)が支持部1012に当接するように挿入し、第1ケース溶着部216、226が支持部1012上をスライドするよう押圧することで行われる。すなわち、図6(a)に示すように、矢印E方向にインクカートリッジ1をスライドさせる。なお、上述したように、ケース突出部214a、224aには、傾斜面214a2、224a2が形成されているので、その傾斜面214a2、224a2によりインクカートリッジ1を支持部1012上にスムーズに挿入することができる。
【0052】
図6(b)に示すように、インクカートリッジ1が装着部1010方向(図6(b)左方)に押し込まれると、係止棒1011は、第2ケース溶着部217、227に押されて、支持部1012から離れる方向に弾性変形する。また、係合部材1017の係合端部1017aが外部ケース200の凹部216a、226aに入り込み、その後、係合部216b、226bと当接する。さらに、インクカートリッジ1を押し込むと、係合部材1017が上方へ回動する(図6(b)矢印F方向)。
【0053】
図6(c)に示すように、図6(b)の状態からさらにインクカートリッジ1を押し込むと(又は係合部材1017を使用者が図6(b)の矢印F方向に回動させると)、係止棒1011の凸部1011aが外部ケース200の係止部217a、227aに嵌り込み係合され、インクカートリッジ1を固定する。また、係合部材1017は、凸部1017dが凹部1018と係合し、係合部材1017によってもインクカートリッジ1が固定される。よって、インクカートリッジ1は、装着部1010に装着された状態で、印刷の振動などにより簡単に外れてしまうことが防止される。
【0054】
また、インクカートリッジ1は、係止棒1011と支持部1012とにより、上下方向の移動が規制されるので、インクカートリッジ1が斜めに挿入され、光センサ1014及びインク抽出管1015が破損することを防止することができる。
【0055】
また、インクカートリッジ1が装着部1010に装着されると、インク抽出管1015がインク供給部120内部に挿入され、前述したようにインクの供給が可能な状態となり、大気導入部130の大気バルブ720の突出部720aが装着面1013と当接して前述したように大気の導入が可能な状態となり、光センサ1014がケース切欠部213、223と突出部140とにより形成される貫通孔に挿通され、前述したようにインク残量を検出可能な状態となる。
【0056】
また、インクカートリッジ1が装着部1010に装着されると、光センサ1014が、ケース切欠部213、223と突出部140とにより形成された貫通孔に挿通されるので、光センサ1014の発光部1014a及び受光部1014bが外部ケース200内に位置することになる。よって、光センサ1014の破損を低減できると共に、埃や塵などが発光部1014a及び受光部1014bに付着して誤検出となることを低減することができる。
【0057】
以上に説明した実施の形態によると、フロート部43が、アーム部41の光遮断部42と支点41aとの間の部分から突出した分岐アーム部44の先端に設けられているため、アーム部41を支点41aに対して光遮断部42と反対側まで延ばす必要がなく、アーム部41を短くすることができる。したがって、揺動部材32を小型化することができ、インクカートリッジ1を大型化することなく揺動部材32を配設することができる。又は、揺動部材32を小型化することができるため、揺動部材32を配設することによりインク貯留室111内に貯留可能なインクの量が少なくなってしまうのを極力抑えることができる。
【0058】
また、アーム部41が揺動可能な範囲内にあるとき、常に、フロート部43が光遮断部42及び支点41aよりも下方に位置しているので、フロート部43が確実に低い位置に来たとき、つまり、インク貯留室111内のインクの残量が確実に少なくなったときに、インク貯留室111内のインクの残量が少なくなったことを検知することができる。ここで、分岐アーム部44の突出先端にフロート部43を設けることにより、フロート部43を容易に光遮断部42及び支点41aよりも下方に位置させることができる。なお、支点41aがフロート部43よりも下方に位置するように揺動部材32を構成することも可能であるが、支点41aをフロート部43よりも下方に位置させると、本実施の形態の場合と比較してアーム部41が長尺になってしまうため、フロート部43を支点41aよりも下方に位置させる方が好ましい。
【0059】
また、アーム部41、光遮断部42及びフロート部43からなる揺動部材32が全体としてインクよりも単位体積当たりの質量が小さくなっているため、揺動部材32全体がインク液中に位置するとき(インク残量が多いとき)に十分な大きさの浮力(重力に対して十分に大きい浮力)を発生させることができる。よって、外部振動を受けた場合等に揺動部材32が揺動してインク残量が少なくなったと誤検知する可能性を少なくすることができる。
【0060】
また、揺動部材32におけるフロート部43の体積比を大きくし、さらに、フロート部43の内部に空気が充填される空間を設けて、フロート部43の単位体積当たりの質量を揺動部材32の他の部分よりも小さくしたことにより、インクの液面が十分に下がりきったときに揺動部材32に生じる浮力と重力が釣り合うようにすることができる。よって、インクの残量が残り僅かになったときに揺動部材32を揺動させることができるので、インクの使い残しを少なくすることができる。
【0061】
また、インク貯留室111は、直方体状のケース110内に形成されており、インク供給流路116、待機導入路117及び突出部140が、ケース110の左側の側壁に集中して形成されているので、プリンタ1000において必要な光センサ1014及びインク抽出管1015を一面に集約して設けることができ、プリンタ1000を小型化することができる。
【0062】
次に、本発明に種々の変更を加えた変形例について説明する。
【0063】
本実施の形態では、光遮断部42の上端が突出部140の内部空間140aの上面に接触することによりアーム部41が一定以上時計回りに揺動するのが規制され、光遮断部42の下端が内部空間140aの下面に接触することによりアーム部41が一定以上反時計回りに揺動するのが規制されていたが、これには限られず、インク貯留室111の壁面にアーム部41がある一定量時計回り又は反時計回りに揺動したときにアーム部41に接触し、アーム部41がそれ以上揺動するのを妨げる突起が形成されているなど、アーム部41の揺動を規制するための手段が別途設けられていてもよい。
【0064】
また、本実施の形態では、揺動部材32が揺動する範囲内にあるときに、常に支点41aが光遮断部42よりも下方に位置するように配置したが、これには限られず、支点41aが常に光遮断部42よりも上方に位置していてもよい。あるいは、光遮断部42が最も上方にあるときの位置と光遮断部42が最も下方にあるときの位置との間の高さに支点41aが位置しており、光遮断部42が所定の位置よりも上方に位置するときには、支点41aが光遮断部42よりも下方に位置し、光遮断部が所定の位置よりも下方に位置するときには、支点41aが光遮断部42よりも上方に位置するように構成されていてもよい。
【0065】
また、本実施形態では、揺動部材32のアーム部41に支点41aを形成し、この支点41aを支持台31の軸受により支持する構成としたが、揺動部材32が支持台31に枢支されるものであればよく、支持台31に支点を形成し揺動部材32に軸受を形成する構成であってもよい。
【0066】
また、本実施の形態では、インク供給流路116がケース110の側面に設けられたインクカートリッジに本発明を適用した例について説明したが、これには限られず、例えばインク貯留室が形成されるケースの底面にインク供給流路116が形成されているようなインクカートリッジにも本発明を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施の形態に係るインクカートリッジの斜視図である。
【図2】図1の分解斜視図である。
【図3】図2のインク貯留体の側面図である。
【図4】図3の部分拡大図である。
【図5】(a)が図3の揺動部材を模式的に表した図であり、(b)が従来の構成の揺動部材を模式的に表した図である。
【図6】図1のインクカートリッジをプリンタに装着する方法を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
1 インクカートリッジ
32 揺動部材
41 アーム部
41a 支点
42 光遮断部
43 フロート部
44 分岐アーム部
110 ケース
111 インク貯留室
116 インク供給路
116a インク出口
140 突出部
1000 プリンタ
1014 光センサ
1014a 発光部
1014b 受光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクが貯留されたインク貯留室と、そのインク貯留室内に設けられ支点を中心に揺動可能に支持された揺動部材とを備え、プリンタに装着されるときに前記インク貯留室に貯留されたインクをプリンタに供給するインクカートリッジであって、
前記揺動部材は、
光遮断性を有する光遮断部と、
前記インク貯留室内で揺動可能に支持されたときに前記支点となる枢支部と、
前記光遮断部と前記枢支部とを連結するアーム部と、
前記アーム部の前記光遮断部と前記枢支部との間となる部分から分岐して突出する分岐アーム部と、
前記分岐アーム部の突出先端に設けられ、単位体積当たりの質量がインクよりも小さいフロート部とを有し、
前記フロート部がインク内に位置するときに生じる浮力により前記揺動部材が揺動しようとする方向の揺動を規制する揺動規制手段を備え、
前記プリンタに装着されるときの装着姿勢にあるときに、前記揺動部材は、揺動可能な範囲内においてフロート部が常に光遮断部よりも下方に位置することを特徴とするインクカートリッジ。
【請求項2】
前記揺動部材の全体が、インクよりも単位体積当たりの質量が小さいことを特徴とする請求項1に記載のインクカートリッジ。
【請求項3】
前記装着姿勢にあるときに、前記揺動部材が揺動可能な範囲内において前記フロート部が常に前記枢支部よりも下方に位置していることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクカートリッジ。
【請求項4】
前記インク貯留室は、直方体状のケースの内部に形成されており、このケースは、前記装着姿勢にあるときの一の側壁に、下方側にインク出口を有するとともに、その上方には、前記インク貯留室に連通する内部空間を備えた光透過性を有する突出部が形成されており、
前記揺動規制手段は、前記突出部の内部空間の上面により形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクカートリッジ。
【請求項5】
前記プリンタは、発光部と受光部とを有する光透過型の光センサを備えており、前記突出部は、前記プリンタに装着されるときに前記発光部と前記受光部とに挟まれる位置に設けられていることを特徴とする請求項4に記載のインクカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−261051(P2007−261051A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−88204(P2006−88204)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】