説明

インクジェットイメージング可能な平板印刷部材並びにその製造法及びイメージング法

インクジェットプリンタを用いてプレート表面上に化学剤若しくは遮蔽剤を画像を形成するように適用することによって、平板印刷プレートをイメージングする。幾つかの実施形態では、化学剤は親和性の変化を引き起こし、それによって平板印刷を容易にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2004年12月12日付けの米国仮出願第60/617,695号に優先権を主張するものであり、参照することで、その全ての開示内容を本明細書に取り入れることとする。
【0002】
本願は、概して平板印刷に関し、より詳細には、インクジェットイメージングに適する平板印刷部材に関する。
【背景技術】
【0003】
オフセット平板印刷では、印刷可能な画像は、インク受容性(親油性)及びインク拒絶性(疎油性)の表面領域から成るパターンとして印刷部材上に存在する。これらの領域に適用されたなら、インクは、相当の再現性を有する画像パターンとして記録媒体へと効果的に転写される。乾式印刷システムでは、十分に疎インク性であるインク反発領域を有する印刷部材が利用され、それによって直にインクを適用することができる。湿式平板印刷システムでは、非画像領域は親水性であり、必要なインク反発性は、インク付与前にプレートに湿潤流体をまず適用することによってもたらされる。当該湿潤流体は、インクが非画像領域に付着するのを防止するが、画像領域の親油性特性には影響しない。印刷部材に均一に適用されたインクは、画像パターンとしてのみ記録媒体へと転写される。典型的に、印刷部材は、ブランケット胴と呼ばれる弾性の中間体表面にまず接触させられ、次いで、それが、紙あるいは他の記録媒体へと画像を適用する。典型的な枚葉印刷システムでは、記録媒体は、圧胴に固定され、そしてブランケット胴と接触するようになる。
【0004】
平板印刷用プレートは、露光や化学現像を伴う在来の手動技術から、コンピュータ制御を伴う自動処理に至るまで、種々の方法にて製造することができる。Computer-to-plateシステムでは、1つ又は複数のレーザ又はレーザ以外のソースにて生成された電磁放射線パルスを利用することで、感光プレートブランクの所定の位置を物理的あるいは化学的に変化させることができ(システムに応じて、在来の光現像の直後若しくは後に用いることができる);インクジェット装置を用いることで、プレートブランク上にインク反発部又はインク受容部を選択的に配置することができ;又は、スパーク放出装置の電極をプレートブランクに接触させるか又は近くに配置し電気スパークを起こすことによって、印刷表面の特定領域の特性を変化させて「ドット」(集合的に所望の画像を形成する)をもたらすことができる。従来の印刷技術の特徴であるところの厄介な写真現像、プレート取り付け、及びプレート記録を回避するために、専門家達は、デジタル様式にて画像パターンを格納し且つ当該パターンを直にプレート上に押しつける代替の電子機器を開発した。
【0005】
インクジェット印刷による印刷プレートのデジタルイメージングは、現在広く検討されている。例えば、米国特許第6,526,886号及び第6,691,618号を参照されたい。例えば、618号特許は、pH上昇剤を用いた、アルカリ可溶性高分子コーティングを有する平板印刷プレートのイメージング法を開示している。しかしながら、これらのプレートを現像するためにはアルカリ溶液を用いる必要があり、環境上及び安全上の問題が課される。単に水によって現像することができるか、又は現像ステップを要しないような、インクジェットイメージング可能な平板印刷プレートが好ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、水により現像可能であるか、又は現像ステップを全く要しない、インクジェットイメージング可能な平板印刷部材に関する。一般に、本発明による印刷部材は、基材、任意選択の中間層、及びその上の反応性トップ層を含んで成り、前記トップ層は、インクジェットイメージング流体(トップ層と反応してトップ層の少なくとも1つの特性、例えば親油性及び/又は溶解性を変更するか、又は光反応を防止するために放射線からトップ層を遮蔽する)を吸収することができる。任意選択の中間層は、親水性又は親油性とし得、摩耗耐性を改善すべく架橋させ得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、第1の態様では、本発明は、第1の平板印刷親和性を有する水溶性トップ層と、好ましくは類似の親和性を有する任意選択の架橋された中間層と、その下にある基材とを有して成る平板印刷部材を提供する共に、該印刷部材をイメージングする方法も提供する。前記トップ層は、イメージング流体に対し化学的な反応性を示す。イメージング流体をトップ層に適用すると、トップ層の少なくとも一部は相変化し、水溶性状態から、反対の平板印刷親和性を有する水不溶性状態へと変化する。例えば、一実施形態では、平板印刷部材は、水溶性、親水性のトップ層と、任意選択の架橋された親水性中間層と、その下の基材とを有して成る。イメージング流体をトップ層に適用すると、トップ層の少なくとも一部は、水溶性、親水性の状態から、水不溶性、親油性の状態へと変化する。
【0008】
平板印刷画像をもたらすために、画像パターンにてイメージング流体が印刷部材のトップ層上に施される。イメージング流体は、トップ層と化学的に反応し、水溶性状態から、反対の平板印刷親和性を有する水不溶性状態へと変化する。次いで、画像形成された印刷部材を、水性流体等の溶媒に当て、トップ層の非画像(即ち、水溶性)部分を溶解させる。最後に、トップ層の溶解性部分を除去し、インク付与の準備の整った印刷部材上に画像化された平板印刷パターンを残す。
【0009】
一実施形態では、トップ層は、水溶性高分子を含有する。適切な水溶性高分子としては、限定はしないが、ポリビニルホスホン酸、アミン成分を含むポリビニルアルコール、並びにアミン成分、カルボン酸成分、スルホン酸成分及びホスホン酸成分のうち少なくとも1つを含む他の高分子が挙げられる。
【0010】
エステル化剤を含有するイメージング流体は、水溶性高分子トップ層を不溶化させ親油化させることができる。あるいはまた、トップ層は、アルキル化剤を含有するイメージング流体によって不溶化され親油化され得る。イメージング流体のための適切な組成物としては、限定しないが、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルスルホニウムヒドロキシド、トリメチルスルホキソニウムヒドロキシド、1,3-(ビストリプロピルアンモニウム)キシレンヒドロキシド、及び第4級アンモニウム塩を含む高分子が挙げられる。
【0011】
第2の態様では、本発明は、水分散性トップ層、トップ層とは反対の平板印刷親和性を有する架橋された中間層、及びその下の基材を有して成る平板印刷部材を提供すると共に、かかる印刷部材をイメージングする方法も提供する。トップ層は、適切なイメージング流体と反応すると、架橋し、水不溶性となる。例えば、一実施形態では、トップ層は水分散性、親油性であり、架橋された中間層は親水性である。
【0012】
平板印刷画像をもたらすために、画像パターンにてイメージング流体が印刷部材のトップ層上に施される。イメージング流体は、トップ層と化学的に反応して、当該層を架橋させ不溶化させる。次いで、画像化された印刷部材を水性流体に当て、トップ層の非画像(即ち、水分散性)部分を溶解させる。最後に、トップ層の水分散性部分を除去し、インク付与の準備の整った印刷部材上に画像化された平板印刷パターンを残す。
【0013】
一実施形態では、水分散性トップ層は、例えば、エポキシ樹脂分散物コーティングとし得る。イメージング流体のための適切な組成物としては、エポキシド官能成分に対し化学的に反応性を示す種々の架橋剤が挙げられる。好ましい架橋剤としては、限定はしないが、多官能アミン及びテトラカルボン酸が挙げられる。
【0014】
幾つかの実施形態では、トップ層は親水性であり、中間層及び/又は基材は親油性である。例えば、トップ層は、オキサゾリンに対し反応性を示す表面グラフトされた親水性ポリウレタン分散物;多官能アミンに対し反応性を示すポリアクリル酸コポリマー分散物;又はグルタルアルデヒドにより架橋された親水性シェルを備えるコア/シェルラテックスとし得るか、又はそれらを含み得る。これらのシステムは、親油性ポリウレタン、アクリル、スチレン−アクリル、フェノキシ樹脂等の典型的な親油性高分子上にコーティングすることができる。幾つかの態様では、親水性トップコートと親油性アンダーコートとの間に中間接着層を用いるのが有利である。
【0015】
従って、第3の態様では、本発明は、感熱性トップ層、架橋された親水性中間層、及びその下の基材を有して成る平板印刷部材を提供すると共に、かかる印刷部材をイメージングする方法も提供する。トップ層は、適切なイメージング流体と反応すると架橋可能となる少なくとも1つの成分を含有する。幾つかの実施形態では、トップ層は親油性であり、基材は親水性であるが、他の実施形態では、トップ層が親水性であり、基材が親油性である。
【0016】
平板印刷画像をもたらすために、画像パターンにてイメージング流体が印刷部材のトップ層上に施される。次いで、画像化されたプレートを加熱し、イメージング流体を増感された(sensitized)トップ層と反応させて、架橋された画像領域を形成させる。次いで、画像化された印刷部材を水性流体等の溶媒に当て、トップ層の非画像(即ち、未架橋)部分を除去することによって、印刷部材上にインク付与の準備の整った画像化された平板印刷パターンを残す。
【0017】
トップ層を形成するために適切な架橋可能な成分としては、限定はしないが、多官能アクリルモノマー、オリゴマー、マクロマー、及びそれらの組み合わせが挙げられる。これらの化合物自体は水溶性ではないものの、これらの成分はその下の親水性中間層に強く接着しないため、水をトップ層に適用するとトップ層と中間層との間の弱い接着を崩壊させ、それによってトップ層の非画像領域が除去されるものと考えられる。一方、架橋された画像領域と中間層との間の接着は十分に強く、現像ステップにおける水によっても画像領域は除去されない。
【0018】
イメージング流体のための適切な組成物としては、例えば、多官能アミンなどの種々の架橋剤が挙げられる。
【0019】
従って、第4の態様では、本発明は、感光性トップ層、任意選択の架橋された中間層、及びその下の基材を有して成る平板印刷部材を提供すると共に、かかる印刷部材をイメージングする方法も提供する。トップ層は、光重合可能な成分と、2成分光重合開始システムの第1成分とを含有する。2成分光重合開始システムの第2成分を含有するイメージング流体と反応し且つ化学放射線に当てると、トップ層は、光重合し、架橋するようになる。幾つかの実施形態では、トップ層は親油性であり、基材(又は中間層)は親水性であるが、他の実施形態では、トップ層が親水性であり、基材(又は中間層)が親油性である。
【0020】
平板印刷画像をもたらすために、画像パターンにてイメージング流体が印刷部材のトップ層上に施される。次いで、画像化されたプレートを化学放射線に当て、イメージング流体を感光性トップ層と反応させ、架橋された画像領域を形成させる。次いで、画像化された印刷部材を水性流体等の溶媒に当て、トップ層の非画像(即ち、未架橋)部分を除去し、印刷部材上にインク付与の準備の整った画像化された平板印刷パターンを残す。
【0021】
トップ層を形成するのに適する光重合可能な成分としては、限定はしないが、多官能アクリルモノマー、オリゴマー、マクロマー、及びそれらの組み合わせが挙げられる。トップ層及びイメージング流体の調製に用い得る適切な2成分光重合開始システムは、ヘキサアリールビイミダゾールダイマーと、共触媒としてのフリーラジカル生成電子供与体である。これらの化合物は水に溶解しないものの、当該官能成分はその下の親水性中間層に弱くしか接着していないため、水をトップ層に適用すると、トップ層とその下の層との間の弱い接着が破壊され、トップ層の非画像部分が除去されるものと考えられる。一方、光重合及び架橋の起こった画像領域と、その下の層との間の接着は十分に強く、現像ステップにおける水によっても画像部分は除去されない。
【0022】
第5の態様では、本発明は、溶解性トップ層、任意選択の中間層、及びその下の基材を有して成る印刷部材を提供すると共に、かかる印刷部材をイメージングする方法も提供する。光反応剤を含有するトップ層は、化学放射線に曝されると架橋し、水不溶性となる。光反応阻害剤及び遮蔽剤のうち少なくとも一方を含有するイメージング流体をトップ層に適用し、光反応剤の反応性を低下若しくは完全に阻害させることができ、それによって画像領域が架橋するのを防止することができる。幾つかの実施形態では、トップ層は親油性であり、基材(又は中間層)は親水性であるが、他の実施形態では、トップ層は親水性であり、基材(又は中間層)は親油性である。
【0023】
平板印刷画像をもたらすために、画像パターンにてイメージング流体が印刷部材のトップ層上に施される。次いで、画像化されたプレートを化学放射線に曝し、非画像領域において架橋を引き起こし、これらの領域を水不溶性とすることができる。一方、噴射される流体は画像領域を光から遮断し且つ/又はトップ層の画像部分内において反応してその光反応性を低下させるため、画像領域では架橋が起こらず、水溶性画像がトップ層内に形成される。次いで、画像化された印刷部材を水性流体等の溶媒に当て、画像部分を除去して、印刷部材上にインク付与の準備の整った画像化された平板印刷パターンを残すことができる。
【0024】
トップ層に存在する光反応剤は、光架橋剤又は光重合開始剤とし得る。適切な光架橋剤としては、種々のビスアジドが挙げられる。ビスアジドによって架橋し得る水溶性高分子としては、限定はしないが、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドンのコポリマー、アクリルアミド−ジアセトンアクリルアミドコポリマー、ポリアクリルアミド、アクリルアミドコポリマー、ゼラチン、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0025】
代替的な光架橋剤は、芳香族ジアゾニウム塩と縮合剤との縮合生成物である。適切な芳香族ジアゾニウム塩としては、限定はしないが、4-ジアゾジフェニルアミンサルフェート、3-メトキシ-4-ジアゾジフェニルアミンサルフェート、4-フェノキシジアゾベンゼン亜鉛クロリド複塩、及び2,5-ジメトキシ-4-トルイルメルカプトジアゾベンゼン亜鉛クロリド複塩が挙げられる。芳香族ジアゾニウム塩含有化合物により架橋され得る水溶性高分子としては、限定はしないが、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロプロピルプロピルセルロース、ポリアクリル酸又はポリメタクリル酸、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドンコポリマー、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミドコポリマー、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0026】
適切な光重合開始剤としては、水溶性のものが挙げられる。例としては、限定はしないが、シュウ酸アンモニウムセリウム(ceric ammonium oxalate)、シュウ酸アンモニウムマンガン、並びに光還元性染料及びそれらの共触媒が挙げられる。他の有用な光反応剤は、スチルバゾリウム成分を含むポリビニルアルコールである。
【0027】
イメージング流体は、抗酸化剤のような光反応阻害剤を含有することができる。適切な抗酸化剤としては、限定はしないが、ヒドロキノン、4-メトキシフェノール、2,6-ジ-(t-ブチル)-4-メチルフェノール、2,2'-メチレンビス-(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、チオジプロピオン酸のジエステル、及びトリアリールホスファイトが挙げられる。あるいはまた、イメージング流体は、画像領域が化学放射線に曝されるのを防止する遮蔽剤を含有することができる。適切な遮蔽剤としては、感光性トップ層の光応答波長にて吸光を示す種々染料及び顔料が挙げられる。例としては、限定はしないが、Acid Yellow 25(C.I. 18835)、Acid Yellow 29(C.I. 18900)、Acridine Yellow G(C.I. 46025)、Basic Yellow 2(C.I. 41000)、Acid Black 2(C.I. 50420)及びカーボンブラックやイエロー顔料の水性分散物が挙げられる。遮蔽剤及び光反応阻害剤の両方を含むイメージング流体もまた、本発明に従って用いることができる。
【0028】
従って、第6の態様では、本発明は、架橋された親水性トップ層、及びその下の基材を有して成る平板印刷部材を提供すると共に、かかる印刷部材をイメージングする方法も提供する。平板印刷画像をもたらすために、親油化イメージング流体を画像パターンにて親水性トップ層上に施し、トップ層の画像領域を親水性状態から親油性状態へと変化させる。イメージング後、現像ステップなしに、直に画像形成されたプレートをプレスに用いる。
【0029】
親水性トップ層を調製するのに適する材料としては、アミン成分、カルボン酸成分、スルホン酸成分及びホスホン酸成分のうち少なくとも1つを有するホモポリマー及びコポリマーが挙げられる。PVOH-ZrOHを含有するポリセラミック層もまた用いることができる。これらの物質を親油化させ得るイメージング流体は、種々のエステル化剤及びアルキル化剤を含み、その例としては、限定はしないが、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルスルホニウムヒドロキシド、トリメチルスルホキソニウムヒドロキシド、1,3-(ビストリプロピルアンモニウム)キシレンヒドロキシド、及び第4級アンモニウム塩を含む高分子が挙げられる。
【0030】
ここで用いるとき、用語「プレート」又は「部材」は、インク及び/又は水性流体に対し異なる親和性を示す領域によって画定される画像を記録し得る、任意の種類の印刷部材若しくは表面を指すことに留意されたい。適切な構成としては、印刷機のプレートシリンダ上に載置された従来の平坦若しくは湾曲した平板印刷プレートを挙げることができるが、シームレスのシリンダ(例えば、プレートシリンダの回転表面)、循環ベルト、又は他の構成も含まれ得る。
【0031】
さらに、印刷に関して用いるとき、用語「親水性」とは、インクが付着するのを防止する流体に対する表面親和性をいう。当該流体としては、従来のインクシステムのための水、水性及び非水性湿潤液、及び単一流体インクシステムの非インク相が挙げられる。こうして、本明細書による親水性表面は、油性物質と比較して、これらの物質に対し選択的な親和性を示す。
【0032】
ここで用いるとき、用語「湿潤溶液」は、本発明の方法において、画像化された印刷部材の水溶性部分を洗浄若しくは除去するのに用いられる用鋭気を意味し、それは、水、少なくとも90%の水と10%以下の有機溶媒とアルコール、界面活性剤及びグリコールのような添加剤との組み合わせ、並びに緩衝処理されているか又は塩を含有する中性若しくは中性付近の水溶液とし得る。ここで用いるとき、用語「湿潤溶液」には、約10より高いpHを有するアルカリ水溶液、約3.5よりも低いpHを有する酸性水溶液、少なくとも90重量%の水を含有していない有機溶媒は含まれない。
【0033】
ここで用いるとき、用語「水溶性」は、物質が、1%より高い水溶液を形成し得るか、又はアルコールなどの水混和性溶媒と水との混合物(水が50%より高い)を形成し得ることを表す。
【0034】
当業者であれば、本発明の一実施形態及び態様の特徴が他の実施形態及び態様に適用し得ることは理解されよう。本発明の上述の及び他の特徴並びに利点は、以下の詳細な説明並びに図面から当業者には理解されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
先の説明は、以下の、本発明の詳細な説明を添付の図面と共に考慮することで、より容易に理解されよう。
1. イメージング装置
本発明の印刷部材と共に用いるのに適するイメージング装置は、少なくともインクジェットプリンタを備える。本発明による印刷部材の精確なイメージングをもたらすため、インクジェットプリンタの用紙ハンドリング又は基材ハンドリングサブシステムは、短く直線状の用紙経路を有すべきである。印刷プレートは、一般に、市販のインクジェットプリンタにおいて通常用いられる用紙若しくは媒体よりも堅く重い。プリンタ構成が、イメージングプリントヘッドに達する前又は後に印刷プレートを曲げることを要する場合、プリンタを通る印刷プレートの動きは、該プリンタにおいて用いられるよう設計された媒体ほど精確でない場合がある。EPSON STYLUS COLOR 3000(カリフォルニア州ロングビーチのエプソンアメリカ社から入手可能)などのプリンタは、適切な、短く、直線状の用紙経路を有している。好ましくは、用紙供給機構の入口にプラテンを配置する。プラテンは、供給機構によってプリンタ内部にプレートが引き込まれる際にプレートを支持する基準ガイドレールを有することができ、それによって、イメージングプリントヘッド下におけるプレートの精確な輸送をもたらすことができる。
【0036】
イメージング装置はまた、画像形成されたプレートのオフプレス現像が予定される実施形態のために、現像プロセッサを備えることができる。例えば、米国特許第6,691,618号には、適切な現像プロセッサが記載されている。現像プロセスには、加熱空気ドライヤ、予熱オーブン、現像ステーション、洗浄ステーション、及び後処理オーブンをはじめとする一連のステーションを通して、画像形成されたプレートを運ぶことが包含される。このオフプレス現像ステップ後、プレートはプレスにて用いることができるようになる。
【0037】
他の実施形態では、画像形成されたプレートは、オンプレスにて現像することができる。これらの実施形態では、印刷部材のイメージング後、従来の潜像の現像は必要とされない。その代わり、第1に、プレートをオーブン内で加熱して画像を乾燥させ、イメージング流体との反応を完了させる。第2に、プレートを、在来のオフセット平板印刷用プレスのプレートシリンダ上に配置する。第3に、プレートシリンダを回転させ且つプレスの処理流体(即ち、プレスインク及び湿潤溶液)をプレートに適用するようにしてプレスを操作することによって、潜像を現像する。こうしてプレートは、通常操作のプレスにより用紙又は他の媒体上に画像を印刷するのに用いることができるようになる。
2. インクジェット印刷工程
インクジェット印刷は、インクジェットプリンタとプレートとを物理的に接触させることなく、プレート表面上に直に非常に小さいインク流体滴を発射して成る。インクジェットプリンタは、印刷すべき画像(詳細には、プレートがポジ型かネガ型かに応じて、画像領域又は背景領域)に対応した電子データを格納しており、プレート上に画像を形成するようにインク滴を射出するための機構を制御する。印刷は、プレートを横切るようにプリントヘッドを移動させて、又はその逆の態様にて実施される。
【0038】
インク滴の噴射を制御するために市販のインクジェットプリンタが利用するメカニズムは一般に2つである。コンティニュアスインクジェット印刷では、プリントヘッドは、ノズルを介してインクの連続流を起こす。この流れは、全く同一の小滴へと分解され、選択的に帯電される。プリンタの構成に応じて、帯電した小滴又は未帯電の小滴のどちらかが、受容媒体に向けて偏向され誘導される。偏向されなかった小滴は回収され再利用される。コンティニュアスインクジェットプリンタは、複雑なハードウェアを必要とするものの、有利な点として高速印刷を実現する。
【0039】
ドロップオンデマンドインクジェットプリンタでは、必要な時にのみ、プリントヘッドのオリフィスを介してインク小滴が生成され射出される。幾つかのドロップオンデマンドシステムは、インク滴を射出するのに必要な圧力を生成するために熱的なプロセスを利用する。これらのサーマルジェット(又はバブルジェット)プリンタは、熱を利用して、インク流体の揮発成分の蒸気バブルを生成する。これらのバブルが圧力を高め気化する際に、一度に1つずつプリントヘッドの外部へとインク小滴が噴射される。他のドロップオンデマンドシステムは、インク滴を射出するのにピエゾ圧電アクチュエータを利用する。これらのプリンタでは、コンピュータ信号によって、ピエゾ圧電物質の変形を引き起こす電位がピエゾ圧電物質に印加される。ピエゾ圧電素子が変形し、そしてその元の形状へと戻る際に、インク滴が射出される。ドロップオンデマンドインクジェットプリンタは比較的遅い印刷速度を有するものの、それらは、小さい滴サイズ並びに高度に制御されたインク滴配置を実現する。
【0040】
本発明によるイメージング工程は、上述の任意の適切なインクジェットプリンタ並びに技術を用いて実行することができる。耐久性及び高解像度の観点から、市販のドロップオンデマンドモデルが好ましい。
3. 平板印刷部材
本発明による代表的な印刷部材は、基材、任意選択の中間層、及びトップ層を備える。図1Aは、本発明によるネガ型の印刷部材100の一実施形態を示しており、それは、基材102、架橋された親水性中間層104、及びインクジェットイメージング流体108に対して化学的反応性を示す水溶性親水性トップ層106を備える(図7A−7D参照)。図1Bは、中間層104を有していない印刷部材100の変更形態150を示している。図2は、本発明によるネガ型の印刷部材200の他の実施形態を示しており、それは、基材202、架橋された親水性中間層204、及びインクジェットイメージング流体208に対して化学的反応性を示す水分散性親油性トップ層206を備える(図8A−8D参照)。図3は、本発明によるネガ型の印刷部材300の第3の実施形態を示しており、それは、基材302、架橋された親水性中間層304、及びインクジェットイメージング流体308に対して化学的反応性を示す感熱性親油性トップ層306を備える(図9A−9D参照)。図4は、本発明によるネガ型の印刷部材400の第4の実施形態を示しており、それは、基材402、架橋された親水性中間層404、及びインクジェットイメージング流体408に対して化学的反応性を示す感光性親油性トップ層406を備える(図10A−10D参照)。図5は、本発明によるネガ型の印刷部材500の第5の態様を示しており、それは、基材502、及びインクジェットイメージング流体508に対して化学的反応性を示す架橋された親水性トップ層506を備える(図11A−11D参照)。図6は、本発明によるポジ型の印刷部材600の実施形態を示しており、それは、基材602、親油性中間層604、任意選択の接着層、及び感光性であり且つインクジェットイメージング流体608に対し化学的反応性を示す水溶性親水性トップ層606を備える(図12A−12D参照)。これらの層及びそれらの機能の各々について、以下に詳細に説明することとする。
a. 基材102、202、302、402、502、602
基材は、寸法的に安定な機械的支持を印刷部材にもたらす。基材は、強く、安定であるべきであり、好ましくは、薄く、柔軟である。基材の1つ又は複数の表面は、親水性又は親油性のどちらかとし得る。適切な基材材料としては、限定はしないが、金属、高分子、及び紙が挙げられる。
【0041】
本発明による基材に用いるのに適する金属としては、限定はしないが、アルミニウム、亜鉛、鉄、クロム、及びそれらの合金が挙げられ、それらは、表面に他の金属(例えば、銅)がめっきされていてもよい。金属基材は、約50μm〜約500μm以上の厚さを有することができ、約100μm〜約300μmの厚さが好ましい。
【0042】
金属基材の1つ又は複数の表面は、陽極処理することができる。陽極処理によって、金属表面の硬さや耐擦過性が高められ、基材の機械的強度が改善される。陽極層はまた、基材内部への熱の散逸を抑制することができ、印刷部材のイメージング効率を改善することもできる。陽極処理されたアルミニウム基材は、未変性のベース層と、その上の、陽極処理された多孔質酸化アルミニウムコーティングとから構成される。陽極処理されたアルミニウム表面は親水性であるが、さらなる処理なしには、酸化物コーティングは、さらなる化学反応に起因して濡れ性を失うであろう。それ故、陽極処理された基材は、典型的に、プレート表面の親水性を安定化させるシリケート溶液又は他の適切な試薬(例えば、ホスフェート試薬)に曝される。シリケート処理の場合では、表面は、一定の寸法及び形状を有する分子(最も重要なものとして水分子)に対して高い親和性を示す分子篩い特性を呈する。
【0043】
好ましい基材は、約0.5μm〜約3μmの厚さの陽極層を有する、低度に砂目立て(graining)され、陽極処理されたアルミニウムプレートである(例えば、マサチューセッツ州サウスハドレーのPrecision Lithograining Corp.から入手可能)。砂目立ては、ワイヤブラシ、粒子スラリー、又は化学的若しくは電気分解手段によるなどの、当分野で既知の方法によって達成することができる。
【0044】
本発明による基材に用いるのに適する高分子としては、限定はしないが、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタラート及びポリエチレンナフタラート)、ポリカーボネート、ポリウレタン、アクリル高分子、ポリアミド高分子、フェノール系高分子、ポリする本、ポリスチレン、及び酢酸セルロースが挙げられる。好ましい高分子基材は、MYLAR及びMELINEX(デラウェア州ウィルミントンのE.I. duPont de Nemours Co.から入手可能)などのポリエチレンテレフタラートである。
【0045】
高分子基材は、遷移層でコーティングすることで、基材の機械的強度や耐久性を改善することができ且つ/又は基材表面の親水性若しくは親油性を変更することができる。親水性遷移層は、表面に酸素官能基を有する多孔質材料を含む。例えば、シリカ粒子のような親水性充填剤の添加もまた、遷移層の親水性を高める。本発明による親水性遷移層に適する材料の例としては、Bekaert Specialty Films, LLC(カリフォルニア州サンディエゴ)により供給されるハードコート材料が挙げられる。遷移層に関する他の適切な調合物や適用法は、例えば、米国特許第5,339,737号に開示されており、参照することでその内容の全てを本書に取り入れることとする。
【0046】
高分子基材は、具体的印刷部材用途に応じて、約50μm〜約500μm以上の厚さを有し得る。ロール状の印刷部材に関しては、約200μmの厚さが好ましい。遷移層を備える印刷部材に関しては、約50μm〜約100μmの厚さを有する高分子基材が好ましい。
【0047】
基材として、広範な紙を利用することができる。典型的に、紙は、高分子処理剤を染みこませることにより、寸法安定性、耐擦過性、及び湿式平板印刷時の強度を改善することができる。
【0048】
実施形態100〜600の何れも金属、紙、高分子又は他の基材材料を用いて製造することができることを理解されたい。
【0049】
現像を要しない発明の実施形態(例えば、図5)では、接着を促進するために同様の親和性を有する基材とイメージング層(即ち、トップ層)を設けることが一般に好ましい。現像を要し且つトップ層と基材との間に中間層を備えない発明の実施形態(例えば、図1B)では、基材とトップ層(イメージング流体との反応に付される)は、インク及び/又はインクが付着しないようにする液体に関して反対の親和性を一般に有する。一方、現像を要し且つ中間層を備える実施形態(例えば、図1A、2、3、4及び6)では、基材とトップ層(イメージング流体との反応に付される)は、反対の平板印刷親和性を有さない。その代わり、後述するように、中間層が、反応したトップ層と反対の平板印刷親和性を有するように設計されている。しかし、接着を促進し且つ性能低下なしに中間層へのダメージに対応させるべく、同様の親和性を有する基材と中間層を設けることが一般に好ましい。詳細には、中間層は水溶液に溶解せず、イメージング工程において除去されないとしても、印刷製造工程において擦られたり損傷したりする場合がある。同様の親和性を有する基材は、中間層が損傷した領域において、中間層と同様にインクを受容したり拒絶したりするため、印刷品質を維持し且つ印刷部材の印刷寿命が長くなる。
b. 中間層104、204、304、404、504、604
中間層は、基材上にコーティングされる。高分子基材を用いる実施形態では、中間層は、上述の遷移層とし得る。中間層は、インク及びインクが付着しないようにする液体のうち少なくとも一方に関して、イメージング流体と反応した後のトップ層のそれとは反対の親和性を有する限り、親水性又は親油性のどちらともし得る。それは、基材及びトップ層によく接着すべきであり、また、印刷時の湿潤溶液又はインクの繰り返し適用に対して実質的な劣化若しくは溶解を起こすことなく耐えなければならない。中間層は、幾つかの実施形態では任意選択のものである。
【0050】
親水性中間層を製造するのに適する材料としては、限定はしないが、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、及びセルロース材料が挙げられる。ポリビニルアルコールが好ましい。アミン、カルボン酸、スルホン酸、及び/又はホスホン酸成分を有するホモポリマー及びコポリマーもまた用いることができる。具体例としては、アミノ官能基を有するビニルアルコール、ビニルホスホン酸、アクリルアミド、メチロールアクリルアミド、メチロールメタクリルアミド、アクリレート酸(acrylate acid)、メタクリレート酸(methacrylate acid)、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、及び無水マレイン酸/ビニルメチルエーテルコポリマーが挙げられる。PVOH-ZrOHを含有するポリセラミック層(例えば、米国特許第6,182,569号及び第6,186,067号参照)もまた用いることができる。
【0051】
耐久性及び耐擦過性を高めるために、親水性ポリマーコーティングは架橋されることが好ましい。ホルムアルデヒド、グリオキサール、ポリイソシアネート、メラミン型架橋剤、炭酸ジルコニルアンモニウム、チタネート架橋剤、加水分解されたテトラアルキルオルトシリケート、及びジエポキシド架橋剤のような架橋剤を添加することで、高分子中の特定の官能基を架橋させることができる。例えば、ジエポキシド架橋剤は、アミノ基及びカルボン酸基を効果的に架橋することができる。ポリビニルアルコールは、米国特許第3,971,660号記載の手順に従って加水分解されたテトラエトキシシランによって、米国特許第6,490,975号記載のように炭酸ジルコニルアンモニウムによって、又は有機スルホン酸などの触媒と共にメラミンによって、架橋させ得る。
【0052】
架橋反応のメカニズムは重要ではない。例えば、ラジカル開始架橋又は酸化架橋のどちらも用いることができる。
【0053】
親油性中間層を備える発明の実施形態(例えば、図6)では、親油性コーティングに用いられる材料は、その下にある基材に対し、またその表面に適用されることになる親水性コーティングに対し、良好な接着性を実現すべきである。それらの親油性は、プレス上に配置される際、画像化領域が速やかにインクを受容できるようでなければならない。印刷数千回オーダーの寿命(run length)が好ましい。よって親油性材料は、適切な耐久性、耐擦過性、並びにインクとの非反応性を有するべきである。
【0054】
本発明による親油性中間層には、多くのホモポリマー及びコポリマーを用いることができる。それらとしては、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリスチレン、スチレンのコポリマー、アクリル、アセテートとエチレンのコポリマー、ポリアクリル、アクリルコポリマー、ポリビニルアセテート、フェノール及びクレゾールホルムアルデヒド樹脂、セルロースエーテル及びエステル、ポリビニルアセタール、ジアゾ樹脂、及び合成ゴムが挙げられる。それらは、溶剤溶液から適用したり、又は水性樹脂分散物の状態で用い、水から適用したりすることができる。水性樹脂分散物から形成された中間層を熱処理することで、分散樹脂粒子を凝集させることができ、それらの耐久性を高めることができる。また、ブランケット露光した又はしていない市販のサブトラクティブコーティング(subtractive coating)(例えば、マサチューセッツ州サウスハドレーのPrecision Lithograining製のサブトラクティブプレートNSSH)を親油性コーティングに用いることができる。
【0055】
中間層内に含有させ得る他の成分は、着色剤、可塑剤、界面活性剤、架橋剤、及び開始剤を含有するモノマーである。後の2者を添加することで、耐久性を高めることができ、また熱あるいは光により活性化することができる。
c. トップ層106、206、306、406、506、606
トップ層はイメージング流体を受容する。幾つかの実施形態では、それは、適切なインクジェットイメージング流体に対し透過性を示し且つそれと化学反応性を示すような材料から構成したり、又はそのような材料の混合物から構成することができる。これらの実施形態では、トップ層は、イメージング流体に応答して、限定はしないが、溶解性及び/又は親油性をはじめとする特性変化を経て、印刷部材上に画像をもたらす。他の実施形態では、トップ層は、光反応が起こるのに必要な波長を吸収するように遮蔽剤が適用された領域を除いて、化学放射線に曝されると架橋及び/又は不溶化されるような感光性層である。この層に用いられる材料は、その下にある層(即ち、中間層や基材)に対し良好な接着性を呈すべきである。
【0056】
トップ層を形成する材料は、従来のコーティング装置や手順を利用する任意の適切な方法にて中間層(又は、中間層が任意選択である実施形態では、基材)に適用することができる。乾燥すると、トップ層は、一般に、少なくとも0.1μmの厚さであり、10μm程度の厚さとし得る。従って、本発明のネガ型の実施形態では、トップ層は、流体適用時に所望の画像をもたらす程度に十分厚く且つ実質的に連続的であるが、イメージング後の非画像領域の除去が困難となるほど厚くはない。同様に、本発明のポジ型の実施形態では、トップ層は、イメージング後の画像化領域の除去が困難となるほど厚くはない。
【0057】
イメージング流体と反応し得る成分とは別に、トップ層はまた、用途に応じて適切な種々の添加剤を含有することができる。例えば、印刷部材を加熱してトップ層とイメージング流体との化学反応を開始若しくは遂行させることが好ましい実施形態では、赤外線吸収剤を含有させることができる。適切な赤外線吸収剤としては、波長700〜1500nmの放射線を効果的に吸収し得る赤外光吸収染料又は顔料が挙げられる。当該染料又は顔料は、750〜1200nmの間の波長に最大吸光度を有することが好ましい。種々の赤外光吸収染料又は顔料が、米国特許第5,858,604号、第5,922,502号、第6,022,668号、第5,705,309号、第6,017,677号及び第5,677,106号に記載されている。有用な赤外光吸収染料の例としては、スクアリリウム、クロコネート、シアニン(ポリメチン含む)、フタロシアニン(ナフタロシアニン含む)、メロシアニン、カルコゲノピリロアリーリデン(chalcogenopyryloarylidene)、オキシインドリジン、キノイド、ピリリウム、及び金属ジチオレン染料が挙げられる。シアニン及びフタロシアニン染料は、好ましい赤外光吸収染料である。有用な赤外光吸収顔料の例としては、ブラック顔料、金属粉末顔料、フタロシアニン顔料、及びカーボンブラックが挙げられる。カーボンブラックは、好ましい赤外光吸収顔料である。染料混合物、顔料混合物、両方の混合物もまた用いることができる。赤外光吸収染料又は顔料は、トップ層の0.01〜30重量%レベルにて、より好ましくはトップ層の0.1〜20重量%にて、最も好ましくはトップ層の0.5〜10重量%にてトップ層中に添加される。
【0058】
トップ層はまた、ノニオン性及び/又は両性の界面活性剤を含むことができる。ノニオン性界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレアート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどが挙げられる。両性界面活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシンの塩酸塩、2-アルキル-N-カルボキシエチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、N-テトラデシル-N,N-ベタインなどが挙げられる。
【0059】
プレートの色を調整するために、染料を少量添加することができる。これらの染料の具体例としては、Oil Yellow 101、Oil Yellow 103、Oil Pink 312、Oil Green BG、Oil Blue BOS、Oil Blue 603、Oil Black BY、Oil Black BS、Oil Black T-505(全て、アイオワ州デスモインのChemical Industries, Co.により市販)、Methyl Violet(C.I. 42535)、Ethyl Violet、Rhodamine B(C.I. 145170B)、Malachite Green(C.I. 42000)、Methylene Blue(C.I. 52015)などが挙げられる。
【0060】
また、必要であれば、可塑剤を添加することで、トップ層に柔軟性を付与することができる。適切な可塑剤の例としては、ブチルフタリル、ポリエチレングリコール、トリブチルシトレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、トリクレシルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、テトラヒドロフルフリルオレアート、アクリル酸又はメタクリル酸のオリゴマー若しくはポリマーなどが挙げられる。
【0061】
トップ層の詳細な実施形態は後に説明する。
d.インクジェットイメージング流体108、208、308、408、508、608
インクジェットイメージング流体は、トップ層と反応し得るか、トップ層における反応を阻害し得る、少なくとも1つの化合物をその組成物中に含有する。幾つかの実施形態では、イメージング流体とトップ層との間の反応は、開始及び/又は完了するのに熱及び/又は光を必要とする。
【0062】
当該化合物(群)は、20重量%以上もの高い濃度にてイメージング流体中に存在させ得るが、5重量%未満であることが好ましい。また、必要ではないが、インクジェットプリントヘッドのノズルを通過し得るように、当該化合物は、均一系溶液又は安定なコロイド分散物の状態であることが好ましい。
【0063】
主な液体キャリアは、水、又は有機溶媒、又はそれらの組み合わせとし得る。液体キャリアの選択は、具体的インクジェットプリンタに左右される。用いられるインクジェット技術(即ち、ピエゾ、サーマル、バブルジェット又はコンティニュアスインクジェット)に応じて、水性ベース及び溶媒ベースの両流体を本発明に用いることができる。
【0064】
水は水性イメージング流体にとって好ましい媒体であるが、水性組成物は、1つ又は複数の混和性共溶媒、例えば多価アルコールを含むことができる。これらの共溶媒は、高沸点の湿潤溶媒であり、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、エトキシル化グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、及びトリメチロールプロパンである。1つ又は複数の高沸点の湿潤溶媒を添加する目的は、待機時に、イメージング流体が乾燥(インクジェットノズルの目詰まりを引き起こす)するのを防止するためである。他の高沸点溶媒を添加して、トップ層と反応するよう意図される化合物の溶解性を高めることができる。そのような溶媒としては、限定はしないが、メチルピロリドン、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、及びプロピレングリコールエチルエーテルアセテートが挙げられる。水性組成物中の水性キャリアー媒体の量は、30〜99.995重量%、好ましくは50〜95重量%とし得る。
【0065】
インクジェットイメージング流体のキャリアー媒体として用いることができる有機溶媒としては、限定はしないが、アルコール、ケトン、アセテートが挙げられる。
【0066】
インクジェット技術分野で既知のように、小滴の噴射速度、分離長さ(separation length)、小滴サイズ及び流れ安定性は、水性組成物の表面張力及び粘度によって大きく影響される。インクジェット印刷システムと共に用いるのに適するインクジェットイメージング流体は、20〜60dyne/cm、好ましくは30〜50dyne/cmの表面張力を有することができる。水性インクジェット流体の表面張力の制御は、少量の界面活性剤を添加することによって行うことができる。用いる界面活性剤の濃度は、単純な経験的実験を通して決定することができる。幾つかのアニオン性及びノニオン性界面活性剤がインクジェット分野で知られている。市販の界面活性剤としては、SURFYNOLシリーズ(例えば、SURFYNOL 104、SURFYNOL 45、SURFYNOL FS-80、SURFYNOL PSA-216)(ペンシルバニア州アレンタウンのAir Productsから入手可能);DYNOLシリーズ(例えば、DYNOL 604)(ペンシルバニア州アレンタウンのAir Productsから入手可能);TRITONシリーズ(例えば、TRITON X-100)(ペンシルバニア州フィラデルフィアのRohm and Haasから入手可能);ZONYLシリーズ(デラウェア州ウィルミントンのE.I. duPont de Nemours Co.から入手可能);FLUORADシリーズ(ミネソタ州セントポールのMinnesota Mining and Manufacturing Co.から入手可能);AEROSOLシリーズ(ニュージャージー州ウェインのAmerican Cyanamid Co.から入手可能);及び類似の化学品が挙げられる。流体の粘度は、室温にて20mPas以下が好ましく、例えば、1〜10mPas、好ましくは1〜5mPasが好ましい。
【0067】
インクジェットイメージング流体はさらに、他の成分を含むことができる。殺生物剤を添加することで、時間と共に流体中で発生する望ましくない微生物の成長を防止することができ、さもなければ流体の保存寿命が低下してしまう。適切な殺生物剤としては、限定はしないが、PROXEL GXL(英国マンチェスターのZeneca Specialtiesから入手可能)、sodium OMADINE(ニューヨーク州ニューヨークのOlin Mathieson Chemical Corp.から入手可能)、GIVGARD DXN(ニューヨーク州ニューヨークのGivaudan Corp.から入手可能)、1,2-ベンゾチアゾリン-3-オン、水酸化ナトリウム及びジプロピレングリコールの溶液、2-ピリジンチオール-1-オキシド、ナトリウム塩、DOWICIL(ミシガン州ミッドランドのDow Chemicalから入手可能)、シス-1-(3-クロロアリル)-3,5,7-トリアザ-1-アゾニアアダマンテンクロリド(cis-1-(3-chloroallyl)-3,5,7-triaza-1-azoniaadamantane chloride)、及び類似の化学品、又はそのような化学品の混合物が挙げられる。用いる場合、殺生物剤は、インクの0.1〜3重量%にて存在する。
【0068】
インクに任意選択的に存在させ得る他の添加剤としては、増粘剤、pH調節剤、緩衝剤、導電性向上剤、乾燥剤及び消泡剤が挙げられる。
【0069】
トップ層上に画像を噴射した後の画像のコントラストを高めるために、染料を添加することができる。多くの染料及び顔料がインクジェット技術に適していることが知られている。適切な染料は、キャリアー媒体中における相溶性(即ち、水性ベースか溶媒ベース)並びに反応性化合物との適合性(例えば、凝集しないこと)を基準として選択される。
【0070】
イメージング流体及びトップ層組成物の詳細な実施形態は、関連するイメージング技術と共に、後に詳しく説明する。
i.印刷部材100、150及びイメージング流体108
図1A記載の実施形態によれば、印刷部材100は、砂目立てされ、陽極処理され、且つ/又はシリケート処理されたアルミニウム基材102、任意選択の架橋された親水性中間層104、及び水溶性親水性トップ層106を備える。図1Bでは、印刷部材100の変更形態150は、基材102及び水溶性親水性トップ層106のみを備えている。水溶性親水性トップ層106は、インクジェットイメージング流体108と反応すると水不溶性、親油性となる。
【0071】
図7A−7Dは、印刷部材100の一実施形態をイメージングする手順を示している。図7Aに示すように、インクジェットプリンタ110を用いて、水溶性親水性トップ層106上に画像を形成するようにイメージング流体108の小滴を適用する。イメージング流体108はトップ層106を濡らし、浸透し、画像領域112を生成する。次いで、図7Bに示すように、画像化されたプレート100を、例えばオーブン内で加熱するか、又は赤外放射線源120に曝す。加熱された流体108は水溶性親水性トップ層106と反応して、水不溶性親油性の画像化領域124を形成する。次いで、画像化されたプレート100を、水溶性層106の非画像部分134a、134bを溶解させる湿潤溶液又は水128に曝すことにより現像して、下にある架橋された親水性層104(又は、図示しないが、変更形態150においては親水性アルミニウム基材102)の部分144a、144bを露出させる。図7Cは、湿潤溶液及び/又は水で処理した後の、画像化されたプレート100を示している。図7Dに示すように、湿潤溶液128は、画像化された親油性領域124(印刷インク138を受容する)によってはじかれる。
【0072】
本発明によるトップ層106を形成するのに適する水溶性高分子の例としては、アミン、カルボン酸、スルホン酸、及び/又はホスホン酸成分を含有する高分子が挙げられる。具体例としては、ポリビニルホスホン酸及びアミン成分を有するポリビニルアルコールが挙げられる。
【0073】
イメージング流体108に適する組成物は、親水性トップ106を親油化させ得る種々の不溶化剤を含むことができる。例えば、イメージング流体108は、1つ又は複数のエステル化剤を含有することができ、その例としては、限定はしないが、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルスルホニウムヒドロキシド、トリメチルスルホキソニウムヒドロキシド、1,3-(ビストリプロピルアンモニウム)キシレンヒドロキシドが挙げられる。
【0074】
あるいはまた、インクジェットイメージング流体108は、エステル化及び/又はアルキル化反応を促進する成分を含有し得る。好ましい例としては、第4級アンモニウム塩を含有する高分子が挙げられる。
【0075】
他の代替実施形態では、インクジェットイメージング流体108は、塩形成又はアミド化のための成分を含有し得、例えば、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、m-フェニレンジアミン、n-プロピルアミン、又はn-ブチルアミンがある。
ii.印刷部材200及びイメージング流体208
図2記載の実施形態によれば、印刷部材200は、砂目立てされ、陽極処理され、及び/又はシリケート処理されたアルミニウム基材202、架橋された親水性中間層204、及び水分散性親油性トップ層206を備える。水分散性トップ層206は、イメージング流体208と反応すると架橋され水不溶性となる。
【0076】
図8A−8Dは、印刷部材200の一実施形態をイメージングする手順を示す。図8Aに示すように、インクジェットプリンタ210を用いて、水分散性トップ層206上に画像を形成するようにイメージング流体208の小滴を適用する。イメージング流体208は、トップ層206を濡らし、浸透し、画像化領域212を生成する。次いで、図8Bに示すように、画像化領域212を、例えばオーブン内で加熱するか、又は赤外放射線源220に曝す。加熱された流体208は水分散性親油性トップ層206と反応して、不溶性領域224を形成する。次いで、画像化されたプレートを、水分散性親油性トップ層206の非画像部分234a、234bを溶解させる湿潤溶液又は水228に曝すことにより現像して、下にある架橋された親水性中間層204の部分244a、244bを露出させる。図8Cは、湿潤溶液及び/又は水で処理した後の、画像化されたプレート200を示している。図8Dに示すように、湿潤溶液228は、画像化された親油性領域224(印刷インク238を受容する)によってはじかれる。
【0077】
本発明による親油性トップ層206を形成するのに適する材料としては、多くの水性エポキシ樹脂分散物が挙げられる。市販品の例としては、限定はしないが、EPI-REZ 3510 W-60(低分子量ビスフェノールAエポキシ樹脂);EPI-REZ 3515 W-60(半固形ビスフェノールAエポキシ樹脂);EPI-REZ 3522 W-60(固形ビスフェノールAエポキシ樹脂);EPI-REZ 5003 W-55(平均官能基数3のエポキシ化されたビスフェノールAノボラック);EPI-REZ 5520 W-60(ウレタン変性ビスフェノールAエポキシ樹脂);EPI-REZ 6006 W-70(平均官能基数6の、エポキシ化されたo-クレシル酸ノボラック)(全て、テキサス州ヒューストンのShell Chemicalから入手可能)、並びにそれらの種々の組み合わせが挙げられる。
【0078】
エポキシ樹脂分散物トップ層中に含有させ得る他の成分としては、着色剤(例えば、染料及び/又は顔料)、可塑剤、グリコール、界面活性剤、水溶性親油性樹脂、他の水分散性樹脂、無機塩、及びアニオン性及び/又はカチオン性物質が挙げられる。
【0079】
エポキシ樹脂トップ層のコーティング重量は、約0.25〜約2.7g/m2、より好ましくは約0.4〜約1.3g/m2、最も好ましくは約0.55〜約0.85g/m2である。
【0080】
特定の添加剤成分は、トップ層を不溶化させる架橋反応にさほど影響を及ぼすことなく、水現像ステップにおいて、画像化されたトップ層の非画像領域の除去を促進する。これは、予期しない、望ましい結果である。そのような添加剤は、水溶性又は水分散性であり、エポキシ樹脂マイクロ粒子の再分散を促進することによって現像を改善するさせるものと考えられる。詳細には、それらの存在は、水がコーティング中に浸透し、エポキシ樹脂粒子が再分散するのを支援することができる。エポキシ樹脂粒子よりも速い速度にて添加剤が再分散する場合、正味の効果はより速い現像である。
【0081】
エポキシ樹脂トップ層の現像を速めるのが見出された添加剤としては、ポリビニルアセテート水性分散物であるVinac XX-210(ペンシルバニア州アレンタウンのAir Productsから入手可能);ポリビニルメチルエーテルであるLUTANOL M-40(独国ルートヴィヒスハーフェンのBASF製);プロピレングリコール;エチレングリコール;セチルトリメチルアンモニウムブロミド;テトラメチルアンモニウムクロリド;塩化ナトリウム;水溶性銅フタロシアニン染料であるIRGASPERSE B-W(ミズーリ州セントルイスのCiba Specialties製);トリフェニルメタン染料であるVICTORIA BLUE BO;カーボンブラック水性分散物であるBONJET CW-1(韓国のOrient Chemical製);フタロシアニン顔料の水性分散物であるUNISPERSE BLUE(ミズーリ州セントルイスのCiba Specialties製);Acid Green 25(C.I. 61570)、Acid Blue 92(C.I. 13390)、Acid Red 183(C.I. 18800)、Acid Yellow 25(C.I. 18835)、BASACID Blue NB 755(独国ルートヴィヒスハーフェンのBASF製)などの酸性染料;それらの種々の組み合わせが挙げられる。
【0082】
添加剤を添加することで、そうしなければ上手く現像できないような、より厚いコーティングを用いることが可能となる。また、何ら添加剤を含有しないトップ層は、オーブンエージング後に現像することが困難でもある。IRGASPERSE BLUE B-Wなどの好ましい添加剤をトップ層に添加することによって、現像に与えるオーブンエージングの有害な効果が排除される。
【0083】
EPI-REZ 3510 W-60及びEPI-REZ 3515 W-60などの幾つかのエポキシ樹脂分散物は粘着性のあるコーティングをもたらすことが見出され、それは、粘着性のあるコーティングをもたらさない他のエポキシ分散物と組み合わせることによって減じることができる。添加剤はまた、粘着性を減じるためにコーティング中に含有させることができる。この目的に関しては、VINAC XX-210が有用であることが見出されている。
【0084】
インクジェットイメージング流体208に適する組成物としては、エポキシド官能成分に化学的反応性を示す種々の架橋剤が挙げられる。好ましい架橋剤としては、限定はしないが、多官能アミン及びテトラカルボン酸が挙げられる。
【0085】
本発明によるイメージング流体208を調製するのに適する多官能アミンとしては、限定はしないが、ポリエチレンイミン;トリメチロールプロパンとプロピレンオキシドとの反応、それに次ぐ末端ヒドロキシ基のアミノ化により形成されるトリアミンであるFEFFAMINE T 403(オーストラリア国ビクトリアのHuntsman, West Footscrayから入手可能);ペンタエチレンヘキサミン、及び関連する材料が挙げられる。イメージング中退中の多官能アミンの濃度は、約0.5重量%〜10重量%、好ましくは約1重量%〜3重量%である。
【0086】
架橋反応を促進し且つ/又は完了させるべく、画像化されたプレート200を加熱することができる。好ましい加熱温度は、約90℃〜約150℃、より好ましくは約110℃〜約120℃である。画像化されたプレート200は、約15秒〜5分の間、好ましくは約1分〜約2分の間、加熱することができる。加熱ステップは、従来のオーブン内で、又は赤外線への露出によるなどの他の加熱法により実施することができる。
【0087】
イメージング及び任意選択の加熱処理の後、トップ層206は、WEBRILワイプ(ウィスコンシン州ニーナのKimberly Clark製)で擦ることによって現像することができる。WEBRILワイプは、水で濡らしたり、インクで処理したり、又はその両方を施すことができる。水とインクの両方を含むWEBRILワイプは、他の2つのWEBRILワイプよりも著しく速く画像化プレートを現像することを見出した。水とインクの組み合わせは、現像を改善するのに相乗効果のあることが見出された。
iii.印刷部材300及びイメージング流体308
図3記載の実施形態によれば、印刷部材300は、砂目立てされ、陽極処理され、且つ/又はシリケート処理されたアルミニウム基材302、架橋された親水性中間層304、及び水不溶性架橋性成分を含有する感熱性親油性トップ層306を備える。加熱し且つイメージング流体308と反応すると、トップ層306の画像化領域が架橋する。
【0088】
トップ層306は水不溶性であるが、印刷部材300は単に水によって現像され得ることが見出された。特定の理論やメカニズムに囚われるわけではないが、親油性トップ層306と親水性中間層304との接着が十分に弱く、プレート300が水に曝されると、水分子がトップ層306と中間層304との弱い接着を破壊するためトップ層306は容易に除去されるものと考えられる。また、イメージング後、トップ層306の画像化領域(即ち、架橋の行った領域)は中間層304と十分によく接着し、それによって、画像化領域は水のみによっては除去されないものと考えられる。
【0089】
図9A−9Dは、印刷部材300の一実施形態をイメージングする手順を示している。図9Aに示すように、インクジェットプリンタ310を用いて、感熱性親油性トップ層306上に画像を形成するようにイメージング流体308の小滴を適用する。イメージング流体308は、トップ層306を濡らし、浸透し、画像化領域312を生成する。次いで、図9Bに示すように、画像化されたプレート300を、例えばオーブン内で加熱するか、又は赤外放射線源320に曝す。加熱された流体308は感熱性トップ層306と反応して、架橋された画像領域324(非画像領域である未架橋領域334a、334bよりも中間層304に著しく強い接着性を示す)を形成する。図9Cは、水又は湿潤溶液328(トップ層306の非画像部分334a、334bと下にある架橋された親水性層304との間の柔い接着を破壊する)を用いて、オンプレス又はオフプレスの何れかにおいて画像化されたプレートを現像することを示している。図9Dに示すように、湿潤溶液328は、画像化された親油性領域324(印刷インク338を受容する)によってはじかれる。
【0090】
本発明によるトップ層306を形成するのに適する材料は、多官能アクリルモノマー、オリゴマー、マクロマー、それらの組み合わせのような架橋性成分を含む。これらの化合物の溶液は、有機溶剤(例えば、アセトン)中で調製することができ、中間層304にコーティングすることによってトップ層306を形成することができる。
【0091】
トップ層306はまた、高分子バインダを含むことができる。適切な高分子バインダとしては、限定はしないが、ポリスチレン、(メタ)アクリルポリマー及びコポリマー(例えば、ポリブチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ブチルメタクレート/メチルメタクリレートコポリマー)、ポリビニルアセテート、ポリビニルクロリド、スチレン/アクリロニトリルコポリマー、ニトロセルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、塩化ビニル/酢酸ビニルコポリマー、部分的に加水分解されたポリビニルアセテート、部分的にアセトアルデヒドと縮合反応しているポリビニルアルコール、ブタジエン/アクリロニトリルコポリマー、及びポリウレタンバインダが挙げられる。米国特許第5,849,462号に記載の、相当数のカルボン酸官能基を有する(メタ)アクリルポリマー、相当数のフェノール記を有するポリマー、及び(メタ)アクリレート基及びカルボキシレート塩基を有するポリマーもまた、有用な水性アルカリ可溶高分子である。
【0092】
インクジェットイメージング流体308に適する組成物は、種々の架橋剤を含み、その例としては、限定はしないが、多官能アミンが挙げられる。
iv.印刷部材400及びイメージング流体408
図4記載の実施形態によれば、印刷部材400は、砂目立てされ、陽極処理され、且つ/又はシリケート処理された基材402、架橋された親水性中間層404、及び水不溶性光重合性成分を含有する親油性トップ層406を備える。加熱し且つイメージング流体408と反応すると、トップ層406の画像領域は架橋される。
【0093】
トップ層406は水不溶性であるが、印刷部材400は単に水によって現像され得ることが見出された。特定の理論やメカニズムに囚われるわけではないが、親油性トップ層406と親水性中間層404との接着が十分に弱く、プレート400が水に曝されると、水分子がトップ層406と中間層404との弱い接着を破壊するためトップ層406は容易に除去されるものと考えられる。また、イメージング後、トップ層406の画像化領域(即ち、架橋の行った領域)は中間層404と十分によく接着し、それによって、画像化領域は水のみによっては除去されないものと考えられる。
【0094】
トップ層106として適切なシステムは、エマルジョンの可塑剤(エマルジョンを合着(coalesce)させ/不溶化させ且つ/又は架橋させ得る)を利用することができる。有用な可塑剤としては、アルキル(例えば、ブチル、ヘキシル、オクチル等)フタレート、セバシン酸エステル、アジピン酸エステル等、又はテトラヒドロフルフラルホスフェートなどのホスフェートが挙げられる。これらは、親油性高分子エマルジョン(例えば、ポリビニルアセテート、ポリウレタン、ポリアクリレート/ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリスチレン−アクリレートコポリマー等)を合着させる。これらの高分子は、トリアジン、ジアゾニウム、ジアゾ−スルホネート、ビス−アミドアゾール、オキサゾリン等によって熱的に架橋し得る(エマルジョン状態で、又は適切な浸透剤(例えば、上述の可塑剤、又はプロピレンカーボネート、又は他の低蒸気圧溶剤)を用いる場合はフィルム状にて)。
【0095】
適切な親水性システムとしては、例えば、ポリビニルアルコール又はポリビニルピロリドンが挙げられ、それらは、グリオキサール、グルタルアルデヒド、オキサゾリン、チタネート、ジルコネート、ボレート、スタンネート(stannate)、ホスホタングステート、ホスホモリブデートなどにより架橋することができる。
【0096】
図10A−10Dは、印刷部材400の一実施形態をイメージングする手順を示している。図10Aに示すように、インクジェットプリンタ410を用いて、感光性親油性トップ層406上に画像を形成するようにイメージング流体408の小滴を適用する。イメージング流体408は、トップ層406を濡らし、浸透し、画像化領域412を生成する。次いで、図10Bに示すように、画像化領域412を、化学放射線のような光源420に曝す。放射時、イメージング流体408は感光性トップ層406と反応して、架橋された画像領域424(非画像領域である未架橋領域444a、444bよりも中間層404に著しく強い接着性を示す)を形成する。図10Cは、水又は湿潤溶液428(トップ層406の非画像部分434a、434bと下にある架橋された親水性層404との間の弱い接着を破壊する)を用いて、オンプレス又はオフプレスの何れかにおいて画像化されたプレートを現像することを示している。図10Dに示すように、湿潤溶液428は、画像化された親油性領域424(印刷インク438を受容する)によってはじかれる。
【0097】
本発明によるトップ層106を形成するのに適する材料は、光重合性成分、2成分光重合開始システムの第1成分、及び任意選択のバインダを含む。光重合性成分の例としては、限定はしないが、多官能アクリルモノマー、オリゴマー、マクロマー、それらの組み合わせが挙げられる。親水性成分としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロプロピルプロピルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドンコポリマー、ポリアクリルアミドコポリマー、ゼラチン、及びそれらの混合物、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸若しくはメタクリル酸、及びそれらの混合物が挙げられる。芳香族ジアゾニウム塩を低濃度で添加することで、接着性を高めることができる。シリカ、アルミナ、クレイ、及び二酸化チタンなどの無機顔料を添加することで、親水性を高めることができる。親油性成分としては、アクリレート、メタクリレート、及びポリエステル、ポリウレタン、ポリエポキシド、ビスフェノールA樹脂、及びフェノキシ樹脂のビニル化合物が挙げられる。
【0098】
適切な高分子バインダとしては、限定はしないが、ポリスチレン、(メタ)アクリルポリマー及びコポリマー(例えば、ポリブチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ブチルメタクレート/メチルメタクリレートコポリマー)、ポリビニルアセテート、ポリビニルクロリド、スチレン/アクリロニトリルコポリマー、ニトロセルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、塩化ビニル/酢酸ビニルコポリマー、部分的に加水分解されたポリビニルアセテート、部分的にアセトアルデヒドと縮合反応しているポリビニルアルコール、ブタジエン/アクリロニトリルコポリマー、及びポリウレタンバインダが挙げられる。米国特許第5,849,462号に記載の、相当数のカルボン酸官能基を有する(メタ)アクリルポリマー、相当数のフェノール記を有するポリマー、及び(メタ)アクリレート基及びカルボキシレート塩基を有するポリマーもまた、有用な水性アルカリ可溶高分子である。
【0099】
光重合開始剤は、化学放射光から適用されるエネルギーの影響下で、ラジカルを生成するような化合物である。幾つかの光重合開始剤は、2つの異なる成分を必要とする。かかる2成分光重合開始システムの例は、米国特許第3,615,567号及び第3,479,185号に記載されており、参照することでその内容の全てを本書に取り入れることとする。これらの特許では、第1成分としてヘキサアリールビイミダゾールが、協力剤として作用する第2成分としてフリーラジカル生成電子供与剤が記載されている。適切なフリーラジカル生成電子供与剤としては、例えば、メチレンクロリド、p-アミノフェニルケトン、及びN-フェニルグリシンが挙げられる。好ましい2成分光重合開始システムは、単一の共有結合により互いに結合された2つのロフィンラジカルから成る2,4,5-トリフェニルイミダゾリルダイマーと、共触媒としてのN-フェニルグリシンとを有する。
【0100】
インクジェットイメージング流体408に適する組成物は、2成分光重合開始システムの第2成分を含有する噴射可能な流体を含み、それは、露光時に印刷部材400のトップ層406中の2成分光重合開始システムの第1成分と容易に反応してトップ層406の架橋及び重合を開始させる。
v.印刷部材500及びイメージング流体508
図5記載の実施形態によれば、印刷部材500は、砂目立てされ、陽極処理され、且つ/又はシリケート処理された基材502と、架橋された親水性トップ層506を備える。トップ層506は、イメージング流体508と反応すると親油性となる。印刷部材500は、現像ステップなしに、直にプレスにおいて用いることができる。
【0101】
図11A−11Cは、印刷部材500の一実施形態をイメージングする手順を示している。図11Aに示すように、インクジェットプリンタ510を用いて、親油性トップ層506上に画像を形成するようにイメージング流体508の小滴を適用する。イメージング流体508は、トップ層506を濡らし、浸透し、画像化領域512を生成する。次いで、図11Bに示すように、画像化プレート500を、例えばオーブン内で加熱するか、又は赤外放射線源520に曝す。加熱された流体508は架橋されたトップ層506と反応して、架橋された層506の画像領域512を親水性状態から親油性状態へと変化させる。現像ステップは必要とはならない。イメージング後、画像化されたプレート500をそのままプレス上に配置することができる。図11Cは、プレス上で用いる際の、画像化プレート500上でのインク及び湿潤溶液の親和性を示している。図11Cに示すように、湿潤溶液528は、画像化された親油性領域524(印刷インク538を受容する)によってはじかれる。
【0102】
トップ層506を調製するのに適する材料としては、アミノ、カルボン酸、スルホン酸、及び/又はホスホン酸成分を含むホモポリマー及びコポリマーが挙げられる。具体例としては、アミノ官能基を有するビニルアルコールのホモポリマー及びコポリマー、ビニルホスホン酸、アクリルアミド、メチロールアクリルアミド、メチロールメタクリルアミド、アクリレート酸、メタクリレート酸、ヒドロキシエチルアクリレートヒドロキシエチルメタクリレート、及び無水マレイン酸/ビニルメチルエーテルコポリマーが挙げられる。PVOH-ZrOHを含有するポリセラミック層(米国特許第6,182,569号、第6,182,570号、及び第6,186,067号参照)もまた用いることができる。
【0103】
耐久性及び耐擦過性を高めるために、親水性トップ層506は架橋されることが好ましい。ホルムアルデヒド、グリオキサール、ポリイソシアネート、メラミン型架橋剤、炭酸ジルコニルアンモニウム、チタネート架橋剤、加水分解されたテトラアルキルオルトシリケート、及びジエポキシド架橋剤のような架橋剤を添加することで、高分子中の特定の官能基を架橋させることができる。トップ層506を調製するのに用い得る他の架橋法としては、限定はしないが、ラジカル開始架橋及び酸化架橋が挙げられる。しかしながら、架橋法は、高分子の親水性をさほど変化させないようなものとすべきである。
【0104】
インクジェットイメージング流体508の適切な組成物は、種々の親油化剤を含む。例えば、イメージング流体508は1つ又は複数のエステル化剤を含有することができ、その例としては、限定はしないが、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルスルホニウムヒドロキシド、トリメチルスルホキソニウムヒドロキシド、1,3-(ビストリプロピルアンモニウム)キシレンヒドロキシドが挙げられる。あるいはまた、インクジェットイメージング流体508は、エステル化及び/又はアルキル化反応を促進する成分を含有し得る。好ましい例としては、第4級アンモニウム塩を含有する高分子が挙げられる。
vi.印刷部材600及びイメージング流体608
図6記載の実施形態によれば、印刷部材600は、砂目立てされ、陽極処理され、且つ/又はシリケート処理されたアルミニウム基材602、親油性中間層604、及び水溶性感光性トップ層606を備える。ジアゾ樹脂を含む薄い接着層607を、中間層604とトップ層606との間に用いることができる。トップ層606は、一般に、化学放射線に曝されると架橋し水不溶性となる。しかしながら、イメージング流体608を吸収したトップ層606領域では、光反応が阻害され、ほとんど変化が起こらない。
【0105】
図12A−12Dは、印刷部材600の一実施形態をイメージングする手順を示している。図12Aに示すように、インクジェットプリンタ610を用いて、感光性トップ層606上に画像を形成するようにイメージング流体608の小滴を適用する。イメージング流体608は、感光性トップ層606を濡らし、浸透し、画像化領域612を生成する。次いで、図12Bに示すように、画像化されたプレート600を、紫外光のような化学放射線620にブランケット露光させる。紫外光は、非画像領域644a、644bにおいて架橋を引き起こし、これらの領域を水不溶性とする。噴射流体608は画像領域612の架橋を阻害し、それによって画像領域612は水溶性のままである。図12Cは、湿潤溶液又は水によって現像された画像化されたプレート600を示している。現像剤が画像領域612を溶解させ、下にある親油性層604が露出する。図12Dに示すように、湿潤溶液628は、非画像領域である親水性領域644a、644bに付着し、一方、画像化された親油性領域624が印刷インク638を受容する。
トップ層606は、親水性、水溶性、感光性の材料から構成される。架橋性トップ層606を調製するのに適する材料は、水溶性高分子及び光架橋剤を含む。
【0106】
ビスアジドのような適切な水溶性光架橋剤は特に有用である。かかるビスアジドの例は4,4'-ジアジドスチルベン-2,2'-二ナトリウムスルホネートである。用い得る他の水溶性ビスアジドとしては、限定はしないが、4,4'-ジアジドベンザルアセトン-2,2'-ジスルホネート二ナトリウム塩(米国特許第4,191,571号に記載)、1,3-ビス(4'-アジド-2'-スルホベンジリデン)ブタノン二ナトリウム塩、2,6-ビス(4'-アジド-2'-スルホベンジリデン)シクロヘキサノン二ナトリウム塩、2,6-ビス(4'-アジド-2'-スルホベンジリデン)-4-メチルシクロヘキサノン二ナトリウム塩、2,5-ビス(4'-アジド-2'-スルホベンジリデン)シクロペンタノン二ナトリウム塩、4,4'-ジアドシナミリデンアセトン-2,2'-二ナトリウムスルホネート(4,4'-diazidocinnamylideneacetone-2,2'-disodium sulfonate)、2,6-ビス(4'-アジド-2'-スルホシナミリデン)シクロヘキサノン二ナトリウム塩、2,5-ビス(4'-アジド-2'-スルホシナミリデン)シクロペンタノン二ナトリウム塩がある。二ナトリウムスルホネート化合物の各々に関して、ナトリウム原子は、水素、アンモニウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、アルミニウムなどの他の原子や原子群により置換することができる。
【0107】
ビスアジドは、約2重量%〜約40重量%にて、より好ましくは約4重量%〜約25重量%にて、最も好ましくは約5重量%〜約10重量%にて、トップ層606中に存在する。
【0108】
ビスアジドによって架橋するようになる水溶性高分子は、トップ層606を調製するのに適した材料である。例としては、限定はしないが、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドンコポリマー、アクリルアミド−ジアセトンアクリルアミドコポリマー、ポリアクリルアミド、アクリルアミドコポリマー、ゼラチン、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0109】
ビスアジドによって架橋される又はされない水溶性高分子もまた、トップ層606の約40重量%以下の量にて含有させ得る。かかる材料を用いることで、コーティング品質及び接着性を改善することができる。それらとしては、ポリビニルアルコール、セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸若しくはメタクリル酸、及びそれらの混合物が挙げられる。芳香族ジアゾニウム塩を低濃度でトップ層606に添加することで、接着性を改善することができる。シリカ、アルミナ、クレー、及び二酸化チタンなどの無機顔料を添加することで、トップ層606の親水性を高めることができる。
【0110】
光架橋によって水溶性高分子を不溶化させ得る他の種類の化合物は、芳香族ジアゾニウム塩を含有する化合物である。それらは、芳香族ジアゾニウム塩化合物と縮合剤との縮合によって調製することができる。ホルムアルデヒドは好ましい縮合剤である。本発明に従って用い得る他の縮合剤としては、種々のビス(アルコキシメチル)ジフェニルエーテルが挙げられる。好ましいジアゾニウム塩含有化合物は、4-ジアゾジフェニルアミンサルフェート、3-メトキシ-4-ジアゾジフェニルアミンサルフェート、4-フェノキシジアゾベンゼン亜鉛クロリド復塩、及び2,5-ジメトキシ-4-トルイルメルカプトジアゾベンゼン亜鉛クロリド複塩である。芳香族ジアゾニウム塩の好ましい対アニオンとしては、クロリド、サルフェート、及びそれらの混合物、クロリド、リン酸二水素、亜鉛クロリド、サルフェート及びホスフェートの混合物、及びメチルスルホネートが挙げられる。
【0111】
ジアゾニウム塩含有化合物は、好ましくは、約5重量%〜約50重量%にて、より好ましくは約10重量%〜約40重量%にて、最も好ましくは約15重量%〜約20重量%にて、トップ層606中に存在する。ジアゾニウム塩含有化合物を自己架橋させることで、親水性高分子を関与させることなく、トップ層606の不溶化を起こすことができる。従って、たいていの水溶性高分子を本発明によるトップ層606に用いることができる。それらとしては、限定はしないが、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロプロピルプロピルセルロース、ポリアクリル酸又はポリメタクリル酸、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドンコポリマー、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミドコポリマー、ゼラチン、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0112】
トップ層606に適する親油性材料としては、アクリレート、メタクリレート、及びポリエステルのビニル化合物、ポリウレタン、ポリエポキシド、ビスフェノールA樹脂、及びフェノキシ樹脂が挙げられる。
【0113】
あるいはまた、トップ層606は、水溶性モノマーと光重合開始剤との混合物を含むことができる。本発明によるトップ層606を調製するのに適する水溶性モノマーの例としては、限定はしないが、アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N'-メチレンビスアクリルアミド、N,N'-エチレンビスアクリルアミド、ジアクリルアミド、オメガアクリルアミドカプロン酸(omega acrylamidocaproic acid)、ピペラジンジアクリルアミド、アクリリルピロリドン、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0114】
これらの水溶性モノマーと共に用い得る水溶性光開始剤としては、限定はしないが、シュウ酸セリウムアンモニウム、シュウ酸マンガンアンモニウム、及びメチレンブルー、エオシンイエロー、エリスロシン及びローズベンガルなどの光還元性染料が挙げられる。これらの光還元性染料は、共触媒を要する。トリメチルアミン、トリエタノールアミンなどの第3級アミンを用いることができる。好ましい光重合開始剤は、共触媒としてのトリエタノールアミンと一緒になった2-ヒドロキシ-3-(3,4-ジメチル-9-オキソ-9H-チオキサンテン-2-イルオキシ)-N,N,N-トリメチル-1-プロパンアミニウムクロリドである。
【0115】
他の代替形態として、トップ層606は、光架橋基を含有するポリビニルアルコールによって調製することができる。低モル濃度(1モルパーセント未満)にてスチルバゾリウムを含有するポリビニルアルコールから誘導された感光性の高い高分子の合成並びに特性については、J. of Poly. Sci.: Ply. Letters Ed., 18:613 (1980)に記載されている。かかる材料は、Toyo Gosei(日本国市川市)及びEsprix Technologies(仏国サラソタ)から市販されている。それらは、水で希釈してコーティングすることのできる、粘性のある水溶液として販売されている。それらは、安定であり、露光によって効果的に架橋される。それらの吸光度ピークは、342〜380nmにある。芳香族ジアゾニウム塩含有化合物などの添加剤を添加することで接着性を高めることができる。
【0116】
ポジ型プレート600の親油性中間層604と親水性トップ層606との間に芳香族ジアゾニウム塩含有化合物の薄層を任意選択的に用いることによって、接着性を著しく高め得ることを見出した。この目的のためには、先述のジアゾニウム塩含有化合物が好ましい。溶剤可溶性のジアゾ樹脂もまた用いることができる。それらの対アニオンとしては、限定はしないが、トルエンスルホネート、テトラフルオロボレート、及びヘキサフルオロホスフェートが挙げられる。ジアゾニウム塩含有化合物は、希釈溶液から親油性層604上にコーティングされ、界面活性剤添加剤を有することができる。
【0117】
インクジェット印刷によりイメージングされた感光性プレートに望まれる特徴は、該プレートが、周囲光に曝されても影響を受けないことである。こうして、室内光から遮蔽することなく、プレートをイメージングできる。この特徴は、感光性トップ層606内に、感光性トップ層606の応答波長を吸収する着色剤を含有させることによって、本発明のポジ型プレート600において達成することができる。染料濃度は、室内光に曝されても影響を受けないコーティングを実現できる程度に高くある必要があり、且つトップ層606がより強い放射線にブランケット露光される際に光反応が起こる程度に低くある必要がある。この目的のために適切な染料及び顔料としては、限定はしないが、Acid Yellow 25(C.I. 18835)、Acid Yellow 29(C.I. 18900)、Acridine Yellow G(C.I. 46025)、Basic Yellow 2(C.I. 41000)、及びカーボンブラック及びイエロー顔料の水性分散物が挙げられる。
【0118】
印刷部材600をイメージングするのに適するイメージング流体608は、光反応を阻害する化学剤を含む。例えば、抗酸化剤を用いることで、光反応を阻害することができる。本発明によるイメージング流体608に用いるのに適する抗酸化剤としては、限定はしないが、4-メトキシフェノール、2,6-ジ-(t-ブチル)-4-メチルフェノール、2,2'-メチレンビス-(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、チオジプロピオン酸のジエステル、第3級ホスファイト、及び英国特許第1,453,681号記載のニトロソダイマー阻害システムが挙げられる。
【0119】
あるいはまた、イメージング流体608として遮蔽剤を用いることができる。例は、感光性トップ層606の応答波長を吸収する染料又は顔料である。それらとしては、限定はしないが、Acid Yellow 25(C.I. 18835)、Acid Yellow 29(C.I. 18900)、Acridine Yellow G(C.I. 46025)、Basic Yellow 2(C.I. 41000)、及びカーボンブラック及びイエロー顔料の水性分散物が挙げられる。
【0120】
イメージング流体608はまた、上述の2種の活性剤を組み合わせて調製することもできる。
【0121】
ポジ型印刷プレート上に画像を形成するように遮蔽剤を適用することを伴うイメージング法は既に開示されているが(例えば、米国特許第6,245,486号参照)、現在のポジ型プレートは、典型的に、紫外光に曝されると可溶性となる親油性トップ層を有する。遮蔽剤をトップ層上に画像を形成するように適用することで、画像領域の可溶化を防止することができる。ネガ型印刷プレートと同様に、現在のポジ型印刷プレートは、下にある親水性層を露出させて画像化された平板印刷パターンを生成するのに非画像領域を除去することが必要である。
【0122】
対照的に、印刷部材600の構成では、画像領域のみ除去することを要するイメージング法を可能とする。典型的に、画像化された平板印刷プレートの画像は、プレート表面積の約20〜30%であるため、トップ層606の少ない部分のみを除去すればよい。従って、本発明では、現像機内に蓄積されるコーティングは少なく、現像機はより長持ちする。従って、印刷部材600は、以前に得られなかった利点をもたらすものである。
【0123】
上述の技術が、改善された平板印刷並びに優れたプレート構成の基礎をもたらすことが分かろう。本明細書で用いた用語や表現は、説明のために用いたものであり、限定の意はなく、また、当該用語や表現には、示した特徴の等価物やそれらの部分を除外する意はない。その代わり、特許請求する本発明の範囲内にて、種々の改良を成し得ることが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1A】基材、架橋された中間層、及び水溶性トップ層を備える、本発明によるネガ型印刷部材の一実施形態の拡大断面図
【図1B】基材及び水溶性トップ層を備える、本発明によるネガ型印刷部材の一実施形態の拡大断面図
【図2】基材、架橋された中間層、及び水分散性親油性トップ層を備える、本発明によるネガ型印刷部材の一実施形態の拡大断面図
【図3】基材、架橋された中間層、及び感熱性トップ層を備える、本発明によるネガ型印刷部材の一実施形態の拡大断面図
【図4】基材、架橋された中間層、及び感光性トップ層を備える、本発明によるネガ型印刷部材の一実施形態の拡大断面図
【図5】基材及び架橋されたトップ層を備える、本発明によるネガ型印刷部材の一実施形態の拡大断面図
【図6】基材、中間層、任意選択の接着層、及び水分散性感光性トップ層を備える、本発明によるポジ型印刷部材の一実施形態の拡大断面図
【図7】図7A−7Dは、本発明によるイメージングメカニズムを図示する、図1記載のネガ型印刷部材の拡大断面図
【図8】図8A−8Dは、本発明によるイメージングメカニズムを図示する、図2記載のネガ型印刷部材の拡大断面図
【図9】図9A−9Dは、本発明によるイメージングメカニズムを図示する、図3記載のネガ型印刷部材の拡大断面図
【図10】図10A−10Dは、本発明によるイメージングメカニズムを図示する、図4記載のネガ型印刷部材の拡大断面図
【図11】図11A−11Cは、本発明によるイメージングメカニズムを図示する、図5記載のネガ型印刷部材の拡大断面図
【図12】図12A−12Dは、本発明によるイメージングメカニズムを図示する、図6記載のポジ型印刷部材の拡大断面図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の平板印刷親和性を有する可溶性トップ層と、その下にある、同様に第1の平板印刷親和性を有する層とを含んで成る平板印刷部材であって、前記トップ層が、イメージング流体に応答して、前記第1の平板印刷親和性とは反対の第2の平板印刷親和性を有する不溶性状態へと相変化する、印刷部材。
【請求項2】
前記トップ層が、前記相変化前に水溶性且つ親水性であり、前記相変化後に水不溶性且つ親油性である、請求項1に記載の印刷部材。
【請求項3】
前記トップ層が、前記相変化前に水溶性且つ親油性であり、前記相変化後に水不溶性且つ親水性である、請求項1に記載の印刷部材。
【請求項4】
前記トップ層が、ポリビニルホスホン酸、アミノ成分を含むポリビニルアルコール、並びにカルボン酸成分、スルホン酸成分、ホスホン酸成分のうち少なくとも1つを含む高分子から成る群から選択される高分子を含む、請求項1に記載の印刷部材。
【請求項5】
印刷部材が応答する前記イメージング流体が、エステル化剤を含む、請求項1に記載の印刷部材。
【請求項6】
前記エステル化剤が、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルスルホニウムヒドロキシド、トリメチルスルホキソニウムヒドロキシド、及び1,3-(ビストリプロピルアンモニウム)キシレンヒドロキシドから成る群から選択される化合物を含む、請求項5に記載の印刷部材。
【請求項7】
印刷部材が応答する前記イメージング流体が、アルキル化剤を含む、請求項1に記載の印刷部材。
【請求項8】
印刷部材が応答する前記イメージング流体が、第4級アンモニウム塩を含む高分子を含む、請求項1に記載の印刷部材。
【請求項9】
前記トップ層と前記下にある層との間に配置された、架橋された親水性中間層をさらに含む、請求項1に記載の印刷部材。
【請求項10】
平板印刷用のシステムであって:
(a)可溶性トップ層とその下にある層とを含んで成る印刷部材であって、前記トップ層が第1の平板印刷親和性を有し、前記下にある層も同じく第1の平板印刷親和性を有する、印刷部材、及び
(b)イメージング流体
を含み;前記トップ層が、前記イメージング流体に応答して、前記第1の平板印刷親和性とは反対の第2の平板印刷親和性を有する不溶性状態へと相変化する、システム。
【請求項11】
前記トップ層が、前記相変化前に水溶性且つ親水性であり、前記相変化後に水不溶性且つ親油性である、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記トップ層が、前記相変化前に水溶性且つ親油性であり、前記相変化後に水不溶性且つ親水性である、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記トップ層が、ポリビニルホスホン酸、アミノ成分を含むポリビニルアルコール、並びにカルボン酸成分、スルホン酸成分、ホスホン酸成分のうち少なくとも1つを含む高分子から成る群から選択される高分子を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記イメージング流体が、エステル化剤を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記エステル化剤が、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルスルホニウムヒドロキシド、トリメチルスルホキソニウムヒドロキシド、及び1,3-(ビストリプロピルアンモニウム)キシレンヒドロキシドから成る群から選択される化合物を含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記イメージング流体が、アルキル化剤を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
前記イメージング流体が、第4級アンモニウム塩を含む高分子を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項18】
前記印刷部材が、前記トップ層と前記下にある層との間に配置された、架橋された親水性中間層をさらに含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項19】
平板印刷部材をイメージングする方法であって:
(a)第1の平板印刷親和性を有する可溶性トップ層と、その下にある、同じく第1の平板印刷親和性を有する層とを含んで成る印刷部材を設けるステップであって、前記トップ層が、イメージング流体に応答して、前記第1の平板印刷親和性とは反対の第2の平板印刷親和性を有する不溶性状態へと相変化する、ステップ;
(b)イメージング流体を画像パターンにて供給するステップであって、前記イメージング流体が、前記トップ層と化学的に反応して前記相変化を引き起こす、ステップ;
(c)前記印刷部材を溶剤に当てるステップであって、前記溶剤が、前記トップ層の可溶性部分を溶解させる、ステップ;及び
(d)前記トップ層の前記可溶性部分を除去するステップであって、それによって前記印刷部材上に画像化された平板印刷パターンが生成される、ステップ、
を包含する、方法。
【請求項20】
前記トップ層が、前記相変化前に水溶性且つ親水性であり、前記相変化後に水不溶性且つ親油性であり、前記溶剤が、水性流体を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記トップ層が、前記相変化前に水溶性且つ親油性であり、前記相変化後に水不溶性且つ親水性であり、前記溶剤が、水性流体を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記トップ層が、ポリビニルホスホン酸、アミノ成分を含むポリビニルアルコール、並びにカルボン酸成分、スルホン酸成分、ホスホン酸成分のうち少なくとも1つを含む高分子から成る群から選択される高分子を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記イメージング流体が、エステル化剤を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記エステル化剤が、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルスルホニウムヒドロキシド、トリメチルスルホキソニウムヒドロキシド、及び1,3-(ビストリプロピルアンモニウム)キシレンヒドロキシドから成る群から選択される化合物を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記イメージング流体が、アルキル化剤を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記イメージング流体が、第4級アンモニウム塩を含む高分子を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
前記印刷部材が、前記トップ層と前記下にある層との間に配置された、架橋された親水性中間層をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
ステップ(b)と(c)の間に、前記印刷部材を加熱するステップをさらに包含する、請求項19に記載の方法。
【請求項29】
第1の平板印刷親和性を有する分散性トップ層と、その下にある、前記第1の平板印刷親和性をとは反対の第2の平板印刷親和性を有する層とを含んで成る平板印刷部材であって、前記トップ層が、イメージング流体に応答して、分散性状態から不溶性状態へと相変化する、印刷部材。
【請求項30】
前記トップ層が水分散性且つ親油性であり、イメージング流体に応答して、水不溶性状態へと相変化する、請求項29に記載の印刷部材。
【請求項31】
前記トップ層が水分散性且つ親水性であり、イメージング流体に応答して、水不溶性状態へと相変化する、請求項29に記載の印刷部材。
【請求項32】
前記トップ層が、水分散性高分子を含む、請求項29に記載の印刷部材。
【請求項33】
前記水分散性高分子が、エポキシ樹脂である、請求項32に記載の印刷部材。
【請求項34】
前記イメージング流体が、多官能アミンを含む、請求項29に記載の印刷部材。
【請求項35】
前記イメージング流体が、テトラカルボン酸を含む、請求項29に記載の印刷部材。
【請求項36】
前記印刷部材が、前記トップ層と前記下にある層との間に配置された、架橋された親水性中間層をさらに含む、請求項29に記載の印刷部材。
【請求項37】
前記中間層が、PVOH-ZrOHを含む、請求項36に記載の印刷部材。
【請求項38】
平板印刷用のシステムであって:
(a)水分散性トップ層と、その下にある層とを含んで成る印刷部材であって、前記トップ層が第1の平板印刷親和性を有し、前記下にある層が前記第1の平板印刷親和性とは反対の第2の平板印刷親和性を有する、印刷部材、及び
(b)イメージング流体
を含み;前記トップ層が、前記イメージング流体に応答して分散性状態から不溶性状態へと相変化する、システム。
【請求項39】
前記トップ層が水分散性且つ親油性であり、イメージング流体に応答して、水不溶性状態へと相変化する、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
前記トップ層が水分散性且つ親水性であり、イメージング流体に応答して、水不溶性状態へと相変化する、請求項38に記載のシステム。
【請求項41】
前記トップ層が、水分散性高分子を含む、請求項38に記載のシステム。
【請求項42】
前記水分散性高分子が、エポキシ樹脂である、請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
前記イメージング流体が、多官能アミンを含む、請求項38に記載のシステム。
【請求項44】
前記イメージング流体が、テトラカルボン酸を含む、請求項38に記載のシステム。
【請求項45】
前記印刷部材が、前記トップ層と前記下にある層との間に配置された、架橋された親水性中間層をさらに含む、請求項38に記載のシステム。
【請求項46】
前記中間層が、PVOH-ZrOHを含む、請求項45に記載のシステム。
【請求項47】
平板印刷部材をイメージングする方法であって:
(a)第1の平板印刷親和性を有する水分散性トップ層と、その下にある、前記第1の平板印刷親和性とは反対の第2の平板印刷親和性を有する層とを含んで成る印刷部材を設けるステップであって、前記トップ層が、イメージング流体に応答して分散性状態から不溶性状態へと相変化する、ステップ;
(b)イメージング流体を画像パターンにて供給するステップであって、前記イメージング流体が、前記トップ層と化学反応して前記相変化を引き起こす、ステップ;
(c)前記印刷部材を溶剤に当てるステップであって、前記溶剤が、前記トップ層の分散性部分を溶解させる、ステップ;及び
(d)前記トップ層の分散性部分を除去するステップであって、それによって前記印刷部材上に画像化された平板印刷パターンが生成される、ステップ、
を包含する、方法。
【請求項48】
前記溶剤が、水性流体を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記トップ層が水分散性且つ親油性であり、イメージング流体に応答して、水不溶性状態へと相変化する、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記トップ層が水分散性且つ親水性であり、イメージング流体に応答して、水不溶性状態へと相変化する、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記トップ層が、水分散性高分子を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項52】
前記水分散性高分子が、エポキシ樹脂である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記イメージング流体が、多官能アミンを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項54】
前記イメージング流体が、テトラカルボン酸を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項55】
前記印刷部材が、前記トップ層と前記下にある層との間に配置された、架橋された親水性中間層をさらに含む、請求項47に記載の方法。
【請求項56】
前記中間層が、PVOH-ZrOHを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
第1の平板印刷親和性を有する感熱性トップ層と、その下にある、前記第1の平板印刷親和性とは反対の第2の平板印刷親和性を有する層とを含んで成る印刷部材であって、前記トップ層が、イメージング流体に曝されると、加熱によって架橋性となる材料を含む、印刷部材。
【請求項58】
前記第1の平板印刷親和性が親水性であり、前記第2の平板印刷親和性が親油性である、請求項57に記載の印刷部材。
【請求項59】
前記第1の平板印刷親和性が親油性であり、前記第2の平板印刷親和性が親水性である、請求項57に記載の印刷部材。
【請求項60】
前記トップ層が、少なくとも1つの架橋性成分を含む、請求項57に記載の印刷部材。
【請求項61】
前記架橋性成分が、多官能アクリルモノマー、多官能アクリルオリゴマー、多官能アクリルマクロマー、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項60に記載の印刷部材。
【請求項62】
平板印刷用のシステムであって:
(a)第1の平板印刷親和性を有する感熱性トップ層と、その下にある、前記第1の平板印刷親和性とは反対の第2の平板印刷親和性を有する層とを含んで成る印刷部材であって、前記トップ層が、イメージング流体に曝されると、加熱によって架橋性となる材料を含む、印刷部材、及び
(b)イメージング流体
を含み;前記トップ層が、加熱されると、前記イメージング流体に応答して架橋する、システム。
【請求項63】
前記第1の平板印刷親和性が親水性であり、前記第2の平板印刷親和性が親油性である、請求項62に記載のシステム。
【請求項64】
前記第1の平板印刷親和性が親油性であり、前記第2の平板印刷親和性が親水性である、請求項62に記載のシステム。
【請求項65】
前記トップ層が、少なくとも1つの架橋性成分を含む、請求項62に記載のシステム。
【請求項66】
前記架橋性成分が、多官能アクリルモノマー、多官能アクリルオリゴマー、多官能アクリルマクロマー、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項65に記載のシステム。
【請求項67】
前記イメージング流体が、多官能アミンを含む、請求項62に記載のシステム。
【請求項68】
平板印刷部材をイメージングする方法であって:
(a)第1の平板印刷親和性を有する感熱性トップ層と、その下にある、前記第1の平板印刷親和性とは反対の第2の平板印刷親和性を有する層とを含んで成る印刷部材を設けるステップであって、前記トップ層が、イメージング流体に曝されると、加熱によって架橋性となる材料を含む、ステップ;
(b)イメージング流体を画像パターンにて供給するステップであって、前記イメージング流体が、前記トップ層と化学反応して架橋を促進する、ステップ;
(c)前記印刷部材を溶剤に当てるステップであって、前記溶剤が、前記トップ層の未架橋の非画像部分を破壊する、ステップ;及び
(d)前記トップ層の前記非画像部分を除去するステップであって、それによって前記印刷部材上に画像化された平板印刷パターンが生成される、ステップ、
を包含する、方法。
【請求項69】
前記溶剤が、水性流体を含む、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記第1の平板印刷親和性が親水性であり、前記第2の平板印刷親和性が親油性である、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
前記第1の平板印刷親和性が親油性であり、前記第2の平板印刷親和性が親水性である、請求項68に記載の方法。
【請求項72】
前記トップ層が、少なくとも1つの架橋性成分を含む、請求項68に記載の方法。
【請求項73】
前記架橋性成分が、多官能アクリルモノマー、多官能アクリルオリゴマー、多官能アクリルマクロマー、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記イメージング流体が、多官能アミンを含む、請求項68に記載の方法。
【請求項75】
第1の平板印刷親和性を有する感光性トップ層と、その下にある、前記第1の平板印刷親和性とは反対の第2の平板印刷親和性を有する層とを含んで成る印刷部材であって、前記トップ層が、イメージング流体に曝されると、化学放射線への露出によって架橋性となる材料を含む、印刷部材。
【請求項76】
前記第1の平板印刷親和性が親水性であり、前記第2の平板印刷親和性が親油性である、請求項75に記載の印刷部材。
【請求項77】
前記第1の平板印刷親和性が親油性であり、前記第2の平板印刷親和性が親水性である、請求項75に記載の印刷部材。
【請求項78】
前記トップ層が、少なくとも1つの架橋性成分を含む、請求項75に記載の印刷部材。
【請求項79】
前記架橋性成分が、多官能アクリルモノマー、多官能アクリルオリゴマー、多官能アクリルマクロマー、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項78に記載の印刷部材。
【請求項80】
前記トップ層が、少なくとも1つの光重合性成分と、2成分光重合開始システムの第1成分とを含む、請求項75に記載の印刷部材。
【請求項81】
前記イメージング流体が、2成分光重合開始システムの第2成分を含む、請求項80に記載の印刷部材。
【請求項82】
平板印刷用のシステムであって:
(a)第1の平板印刷親和性を有する感光性トップ層と、その下にある、前記第1の平板印刷親和性とは反対の第2の平板印刷親和性を有する層とを含んで成る印刷部材、及び
(b)イメージング流体
を含み;前記トップ層が、前記イメージング流体に曝されると、化学放射線への露出によって架橋性となる、システム。
【請求項83】
前記第1の平板印刷親和性が親水性であり、前記第2の平板印刷親和性が親油性である、請求項82に記載のシステム。
【請求項84】
前記第1の平板印刷親和性が親油性であり、前記第2の平板印刷親和性が親水性である、請求項82に記載のシステム。
【請求項85】
前記トップ層が、少なくとも1つの架橋性成分を含む、請求項82に記載のシステム。
【請求項86】
前記架橋性成分が、多官能アクリルモノマー、多官能アクリルオリゴマー、多官能アクリルマクロマー、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項85に記載のシステム。
【請求項87】
前記イメージング流体が、多官能アミンを含む、請求項82に記載のシステム。
【請求項88】
前記トップ層が、少なくとも1つの光重合性成分と、2成分光重合開始システムの第1成分とを含む、請求項82に記載のシステム。
【請求項89】
前記イメージング流体が、2成分光重合開始システムの第2成分を含む、請求項88に記載のシステム。
【請求項90】
平板印刷部材をイメージングする方法であって:
(a)第1の平板印刷親和性を有する感光性トップ層と、その下にある、前記第1の平板印刷親和性とは反対の第2の平板印刷親和性を有する層とを含んで成る印刷部材を設けるステップであって、前記トップ層が、イメージング流体に曝されると、化学放射線への露出によって架橋性となる材料を含む、ステップ;
(b)イメージング流体を画像パターンにて供給するステップ;
(c)前記印刷部材を化学放射線に露出させるステップであって、それによってイメージング流体を受容した前記トップ層の部分が架橋する、ステップ;
(d)前記印刷部材を溶剤に当てるステップであって、前記溶剤が、前記トップ層の未架橋の非画像部分を破壊する、ステップ;及び
(e)前記トップ層の前記非画像部分を除去するステップであって、それによって前記印刷部材上に画像化された平板印刷パターンが生成される、ステップ
を包含する、方法。
【請求項91】
前記溶剤が、水性流体を含む、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記第1の平板印刷親和性が親水性であり、前記第2の平板印刷親和性が親油性である、請求項90に記載の方法。
【請求項93】
前記第1の平板印刷親和性が親油性であり、前記第2の平板印刷親和性が親水性である、請求項90に記載の方法。
【請求項94】
前記トップ層が、少なくとも1つの架橋性成分を含む、請求項90に記載の方法。
【請求項95】
前記架橋性成分が、多官能アクリルモノマー、多官能アクリルオリゴマー、多官能アクリルマクロマー、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記イメージング流体が、多官能アミンを含む、請求項90に記載の方法。
【請求項97】
前記トップ層が、少なくとも1つの光重合性成分と、2成分光重合開始システムの第1成分とを含む、請求項90に記載の方法。
【請求項98】
前記イメージング流体が、2成分光重合開始システムの第2成分を含む、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
阻害し得る光反応剤を含む可溶性親水性トップ層と、その下にある親油性層とを含んで成る、平板印刷部材。
【請求項100】
前記トップ層が、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドンのコポリマー、アクリルアミド−ジアセトンアクリルアミドコポリマー、ポリアクリルアミド、アクリルアミドのコポリマー、ゼラチン、及びそれらの混合物から成る群から選択される水溶性高分子をさらに含む、請求項99に記載の印刷部材。
【請求項101】
前記トップ層が、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロプロピルプロピルセルロース、ポリアクリル酸若しくはポリメタクリル酸、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドンのコポリマー、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミドのコポリマー、ゼラチン、及びそれらの混合物から成る群から選択される水溶性高分子をさらに含む、請求項99に記載のシステム。
【請求項102】
前記トップ層が、スチルバゾリウム成分を含むポリビニルアルコールを含む、請求項99に記載の印刷部材。
【請求項103】
前記トップ層が、水溶性光重合開始剤と、水溶性重合性モノマーとを含む、請求項99に記載の印刷部材。
【請求項104】
前記水溶性モノマーが、アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N'-メチレンビスアクリルアミド、N,N'-エチレンビスアクリルアミド、ジアクリルアミド、オメゴアクリルアミドカプロン酸(omego acrylamidocaproic acid)、ピペラジンジアクリルアミド、アクリリルピロリドン、及びそれらの混合物から成る群から選択される、請求項103に記載の印刷部材。
【請求項105】
前記水溶性光重合開始剤が、シュウ酸アンモニウムセリウム及びシュウ酸アンモニウムマンガンから成る群から選択される、請求項103に記載の印刷部材。
【請求項106】
前記水溶性光重合開始剤が、第1成分及び第2成分を含む、請求項103に記載の印刷部材。
【請求項107】
前記第1成分が、光還元性染料を含む、請求項106に記載の印刷部材。
【請求項108】
前記光還元性染料が、メチレンブルー、エオシンイエロー、エリスロシン、及びローズベンガルから成る群から選択される、請求項107に記載の印刷部材。
【請求項109】
前記第2成分が、触媒化合物を含む、請求項106に記載の印刷部材。
【請求項110】
前記触媒化合物が、第3級アミンを含む、請求項109に記載の印刷部材。
【請求項111】
前記第1成分が2-ヒドロキシ-3-(3,4-ジメチル-9-オキソ-9H-チオキサンテン-2-イルオキシ)-N,N,N-トリメチル-1-プロパンアミニウムクロリドであり、前記第2成分がトリエタノールアミンである、請求項106に記載の印刷部材。
【請求項112】
前記トップ層と前記下にある層との間に配置された接着層をさらに含む、請求項99に記載の印刷部材。
【請求項113】
前記接着層が、ジアゾ樹脂を含む、請求項112に記載のシステム。
【請求項114】
平板印刷用のシステムであって:
(a)光反応剤を含む可溶性で親水性の第1の層と、その下にある親油性の第2の層とを含んで成る印刷部材、及び
(b)光反応阻害剤を含むイメージング流体
を含む、システム。
【請求項115】
前記光反応が光架橋を含み、前記光反応剤が光架橋剤を含む、請求項114に記載のシステム。
【請求項116】
前記光架橋剤が、4,4'-ジアジドスチルベン-2,2'-二ナトリウムスルホネート、4,4'-ジアジドベンザルアセトン-2,2'-ジスルホネート二ナトリウム塩、1,3-ビス(4'-アジド-2'-スルホベンジリデン)ブタノン二ナトリウム塩、2,6-ビス(4'-アジド-2'-スルホベンジリデン)シクロヘキサノン二ナトリウム塩、2,6-ビス(4'-アジド-2'-スルホベンジリデン)-4-メチルシクロヘキサノン二ナトリウム塩、2,5-ビス(4'-アジド-2'-スルホベンジリデン)シクロペンタノン二ナトリウム塩、4,4'-ジアドシナミリデンアセトン-2,2'-二ナトリウムスルホネート(4,4'-diazidocinnamylideneacetone-2,2'-disodium sulfonate)、2,6-ビス(4'-アジド-2'-スルホシナミリデン)シクロヘキサノン二ナトリウム塩、2,5-ビス(4'-アジド-2'-スルホシナミリデン)シクロペンタノン二ナトリウム塩から成る群から選択される水溶性ビスアジドを含む、請求項115に記載のシステム。
【請求項117】
前記第1の層が、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドンのコポリマー、アクリルアミド−ジアセトンアクリルアミドコポリマー、ポリアクリルアミド、アクリルアミドのコポリマー、ゼラチン、及びそれらの混合物から成る群から選択される水溶性高分子をさらに含む、請求項114に記載のシステム。
【請求項118】
前記光架橋剤が、芳香族ジアゾニウム塩と縮合剤との縮合生成物を含む、請求項115に記載のシステム。
【請求項119】
前記芳香族ジアゾニウム塩が、4-ジアゾジフェニルアミンサルフェート、3-メトキシ-4-ジアゾジフェニルアミンサルフェート、4-フェノキシジアゾベンゼン亜鉛クロリド複塩、及び2,5-ジメトキシ-4-トルイルメルカプトジアゾベンゼン亜鉛クロリド複塩から成る群から選択される、請求項118に記載のシステム。
【請求項120】
前記縮合剤が、ホルムアルデヒドを含む、請求項118に記載のシステム。
【請求項121】
前記縮合剤が、ビス(アルコキシメチル)ジフェニルエーテルを含む、請求項118に記載のシステム。
【請求項122】
前記第1の層が、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロプロピルプロピルセルロース、ポリアクリル酸若しくはポリメタクリル酸、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドンのコポリマー、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミドのコポリマー、ゼラチン、及びそれらの混合物から成る群から選択される水溶性高分子をさらに含む、請求項118に記載のシステム。
【請求項123】
前記第1の層が、スチルバゾリウム成分を含むポリビニルアルコールを含む、請求項114に記載のシステム。
【請求項124】
光反応が光重合を含み、前記トップ層が、水溶性光重合開始剤と水溶性重合性モノマーとを含む、請求項114に記載のシステム。
【請求項125】
前記水溶性モノマーが、アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N'-メチレンビスアクリルアミド、N,N'-エチレンビスアクリルアミド、ジアクリルアミド、オメゴアクリルアミドカプロン酸(omego acrylamidocaproic acid)、ピペラジンジアクリルアミド、アクリリルピロリドン、及びそれらの混合物から成る群から選択される、請求項124に記載のシステム。
【請求項126】
前記水溶性光重合開始剤が、シュウ酸アンモニウムセリウム及びシュウ酸アンモニウムマンガンから成る群から選択される、請求項124に記載のシステム。
【請求項127】
前記水溶性光重合開始剤が、第1成分及び第2成分を含む、請求項124に記載のシステム。
【請求項128】
前記第1成分が、光還元性染料を含む、請求項127に記載のシステム。
【請求項129】
前記光還元性染料が、メチレンブルー、エオシンイエロー、エリスロシン、及びローズベンガルから成る群から選択される、請求項128に記載のシステム。
【請求項130】
前記第2成分が、触媒化合物を含む、請求項127に記載のシステム。
【請求項131】
前記触媒化合物が、第3級アミンを含む、請求項130に記載のシステム。
【請求項132】
前記第1成分が2-ヒドロキシ-3-(3,4-ジメチル-9-オキソ-9H-チオキサンテン-2-イルオキシ)-N,N,N-トリメチル-1-プロパンアミニウムクロリドであり、前記第2成分がトリエタノールアミンである、請求項128に記載のシステム。
【請求項133】
前記印刷部材が、前記第1及び第2の層の間に配置された接着層をさらに含む、請求項114に記載のシステム。
【請求項134】
前記接着層が、ジアゾ樹脂を含む、請求項133に記載のシステム。
【請求項135】
前記光反応阻害剤が、抗酸化剤を含む、請求項114に記載のシステム。
【請求項136】
前記抗酸化剤が、ヒドロキノン、4-メトキシフェノール、2,6-ジ-(t-ブチル)-4-メチルフェノール、2,2'-メチレンビス-(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、チオジプロピオン酸のジエステル、及びトリアリールホスファイトから成る群から選択される、請求項135に記載のシステム。
【請求項137】
前記光反応阻害剤が、ニトロソダイマー阻害システムを含む、請求項114に記載のシステム。
【請求項138】
前記光反応阻害剤が、遮蔽剤を含む、請求項114に記載のシステム。
【請求項139】
前記遮蔽剤が、Acid Yellow 25、Acid Yellow 29、Acridine Yellow G、Basic Yellow 2、及びAcid Black 2から成る群から選択される、請求項138に記載のシステム。
【請求項140】
前記遮蔽剤が、カーボンブラック及びイエロー顔料の水性分散物を含む、請求項138に記載のシステム。
【請求項141】
平板印刷部材をイメージングする方法であって:
(a)第1の平板印刷親和性を有し且つ光反応剤を含む可溶性トップ層と、その下にある、前記第1の平板印刷親和性とは反対の第2の平板印刷親和性を有する層とを含んで成る印刷部材を設けるステップであって、前記光反応剤の反応性が、イメージング流体に応答して低下する、ステップ;
(b)イメージング流体を画像パターンにて供給するステップであって、前記イメージング流体が、前記トップ層と化学反応して、その中の前記光反応剤の反応性を阻害する、ステップ;
(c)前記印刷部材をエネルギー源に露出して、前記イメージング流体が供給されなかった領域において光反応を開始させるステップであって、前記光反応によって、前記領域が水溶性状態から水不溶性状態へと変化する、ステップ;
(d)前記水溶性トップ層の画像化部分を溶解させるステップ;及び
(e)前記トップ層の前記画像部分を除去するステップであって、それによって前記印刷部材上に画像化された平板印刷パターンが生成される、ステップ、
を包含する、方法。
【請求項142】
前記第1の平板印刷親和性が親水性であり、前記第2の平板印刷親和性が親油性である、請求項141に記載の方法。
【請求項143】
前記第1の平板印刷親和性が親油性であり、前記第2の平板印刷親和性が親水性である、請求項141に記載の方法。
【請求項144】
前記光反応が光架橋を含み、前記光反応剤が光架橋剤を含む、請求項141に記載の方法。
【請求項145】
前記光架橋剤が、4,4'-ジアジドスチルベン-2,2'-二ナトリウムスルホネート、4,4'-ジアジドベンザルアセトン-2,2'-ジスルホネート二ナトリウム塩、1,3-ビス(4'-アジド-2'-スルホベンジリデン)ブタノン二ナトリウム塩、2,6-ビス(4'-アジド-2'-スルホベンジリデン)シクロヘキサノン二ナトリウム塩、2,6-ビス(4'-アジド-2'-スルホベンジリデン)-4-メチルシクロヘキサノン二ナトリウム塩、2,5-ビス(4'-アジド-2'-スルホベンジリデン)シクロペンタノン二ナトリウム塩、4,4'-ジアドシナミリデンアセトン-2,2'-二ナトリウムスルホネート(4,4'-diazidocinnamylideneacetone-2,2'-disodium sulfonate)、2,6-ビス(4'-アジド-2'-スルホシナミリデン)シクロヘキサノン二ナトリウム塩、2,5-ビス(4'-アジド-2'-スルホシナミリデン)シクロペンタノン二ナトリウム塩から成る群から選択される水溶性ビスアジドを含む、請求項144に記載の方法。
【請求項146】
前記トップ層が、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドンのコポリマー、アクリルアミド−ジアセトンアクリルアミドコポリマー、ポリアクリルアミド、アクリルアミドのコポリマー、ゼラチン、及びそれらの混合物から成る群から選択される水溶性高分子をさらに含む、請求項145に記載の方法。
【請求項147】
前記光架橋剤が、芳香族ジアゾニウム塩と縮合剤との縮合生成物を含む、請求項144に記載の方法。
【請求項148】
前記芳香族ジアゾニウム塩が、4-ジアゾジフェニルアミンサルフェート、3-メトキシ-4-ジアゾジフェニルアミンサルフェート、4-フェノキシジアゾベンゼン亜鉛クロリド複塩、及び2,5-ジメトキシ-4-トルイルメルカプトジアゾベンゼン亜鉛クロリド複塩から成る群から選択される、請求項147に記載の方法。
【請求項149】
前記縮合剤が、ホルムアルデヒドを含む、請求項147に記載の方法。
【請求項150】
前記縮合剤が、ビス(アルコキシメチル)ジフェニルエーテルを含む、請求項147に記載の方法。
【請求項151】
前記トップ層が、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロプロピルプロピルセルロース、ポリアクリル酸若しくはポリメタクリル酸、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドンのコポリマー、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミドのコポリマー、ゼラチン、及びそれらの混合物から成る群から選択される水溶性高分子をさらに含む、請求項141に記載の方法。
【請求項152】
前記トップ層が、スチルバゾリウム成分を含むポリビニルアルコールを含む、請求項141に記載の方法。
【請求項153】
光反応が光重合を含み、前記トップ層が、水溶性光重合開始剤と水溶性重合性モノマーとを含む、請求項141に記載の方法。
【請求項154】
前記水溶性モノマーが、アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N'-メチレンビスアクリルアミド、N,N'-エチレンビスアクリルアミド、ジアクリルアミド、オメゴアクリルアミドカプロン酸(omego acrylamidocaproic acid)、ピペラジンジアクリルアミド、アクリリルピロリドン、及びそれらの混合物から成る群から選択される、請求項153に記載の方法。
【請求項155】
前記水溶性光重合開始剤が、シュウ酸アンモニウムセリウム及びシュウ酸アンモニウムマンガンから成る群から選択される、請求項153に記載の方法。
【請求項156】
前記水溶性光重合開始剤が、第1成分及び第2成分を含む、請求項153に記載の方法。
【請求項157】
前記第1成分が、光還元性染料を含む、請求項156に記載の方法。
【請求項158】
前記光還元性染料が、メチレンブルー、エオシンイエロー、エリスロシン、及びローズベンガルから成る群から選択される、請求項156に記載の方法。
【請求項159】
前記第2成分が、触媒化合物を含む、請求項156に記載の方法。
【請求項160】
前記触媒化合物が、第3級アミンを含む、請求項159に記載の方法。
【請求項161】
前記第1成分が2-ヒドロキシ-3-(3,4-ジメチル-9-オキソ-9H-チオキサンテン-2-イルオキシ)-N,N,N-トリメチル-1-プロパンアミニウムクロリドであり、前記第2成分がトリエタノールアミンである、請求項156に記載の方法。
【請求項162】
前記印刷部材が、前記トップ層と前記下にある層との間に配置された接着層をさらに含む、請求項157に記載の方法。
【請求項163】
前記接着層が、ジアゾ樹脂を含む、請求項162に記載の方法。
【請求項164】
前記イメージング流体が、抗酸化剤を含む、請求項141に記載の方法。
【請求項165】
前記抗酸化剤が、ヒドロキノン、4-メトキシフェノール、2,6-ジ-(t-ブチル)-4-メチルフェノール、2,2'-メチレンビス-(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、チオジプロピオン酸のジエステル、及びトリアリールホスファイトから成る群から選択される、請求項164に記載の方法。
【請求項166】
前記イメージング流体が、ニトロソダイマー阻害システムを含む、請求項141に記載の方法。
【請求項167】
前記イメージング流体が、遮蔽剤を含む、請求項141に記載の方法。
【請求項168】
前記遮蔽剤が、Acid Yellow 25、Acid Yellow 29、Acridine Yellow G、Basic Yellow 2、及びAcid Black 2から成る群から選択される、請求項167に記載の方法。
【請求項169】
前記遮蔽剤が、カーボンブラック及びイエロー顔料の水性分散物を含む、請求項167に記載の方法。
【請求項170】
露出した表面を有する親水性層を含んで成る平板印刷部材であって、前記層の少なくとも前記表面が、イメージング流体に応答して親水性状態から親油性状態へと相変化する材料を含む、印刷部材。
【請求項171】
前記トップ層が、架橋された親水性高分子を含む、請求項170に記載の印刷部材。
【請求項172】
前記親水性高分子が、ポリビニルホスホン酸、アミン成分を含むポリビニルアルコール、並びにカルボン酸成分、スルホン酸成分及びホスホン酸成分のうち少なくとも1つを含む高分子から成る群から選択される、請求項171に記載の印刷部材。
【請求項173】
前記イメージング流体が、エステル化剤を含む、請求項170に記載の印刷部材。
【請求項174】
前記エステル化剤が、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルスルホニウムヒドロキシド、トリメチルスルホキソニウムヒドロキシド、及び1,3-(ビストリプロピルアンモニウム)キシレンヒドロキシドから成る群から選択される化合物を含む、請求項173に記載の印刷部材。
【請求項175】
前記イメージング流体が、アルキル化剤を含む、請求項170に記載の印刷部材。
【請求項176】
前記イメージング流体が、第4級アンモニウム塩を含む高分子を含む、請求項170に記載の印刷部材。
【請求項177】
前記親水性層の下に親水性基材をさらに含む、請求項170に記載の印刷部材。
【請求項178】
平板印刷用のシステムであって:
(c)露出した表面を有する親水性層を含んで成る印刷部材、及び
(d)イメージング流体
を含み;前記層の少なくとも前記表面が、イメージング流体に応答して親水性状態から親油性状態へと相変化する、システム。
【請求項179】
前記トップ層が、架橋された親水性高分子を含む、請求項178に記載のシステム。
【請求項180】
前記親水性高分子が、ポリビニルホスホン酸、アミン成分を含むポリビニルアルコール、並びにカルボン酸成分、スルホン酸成分及びホスホン酸成分のうち少なくとも1つを含む高分子から成る群から選択される、請求項179に記載のシステム。
【請求項181】
前記イメージング流体が、エステル化剤を含む、請求項178に記載のシステム。
【請求項182】
前記エステル化剤が、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルスルホニウムヒドロキシド、トリメチルスルホキソニウムヒドロキシド、及び1,3-(ビストリプロピルアンモニウム)キシレンヒドロキシドから成る群から選択される化合物を含む、請求項181に記載のシステム。
【請求項183】
前記イメージング流体が、アルキル化剤を含む、請求項178に記載のシステム。
【請求項184】
前記イメージング流体が、第4級アンモニウム塩を含む高分子を含む、請求項178に記載のシステム。
【請求項185】
前記印刷部材が、前記親水性層の下に親水性基材をさらに含む、請求項178に記載のシステム。
【請求項186】
平板印刷部材をイメージングする方法であって:
(a)露出した表面を有する親水性層を含んで成る印刷部材を設けるステップであって、前記層の少なくとも前記表面が、イメージング流体に応答して親水性状態から親油性状態へと相変化する、ステップ;及び
(b)イメージング流体を画像パターンにて供給するステップであって、前記イメージング流体が、前記層の少なくとも前記表面と化学反応して前記相変化を引き起こし、それによって前記印刷部材上に画像化された平板印刷パターンが生成される、ステップ
を包含する、方法。
【請求項187】
前記トップ層が、架橋された親水性高分子を含む、請求項186に記載の方法。
【請求項188】
前記親水性高分子が、ポリビニルホスホン酸、アミン成分を含むポリビニルアルコール、並びにカルボン酸成分、スルホン酸成分及びホスホン酸成分のうち少なくとも1つを含む高分子から成る群から選択される、請求項187に記載の方法。
【請求項189】
前記イメージング流体が、エステル化剤を含む、請求項186に記載の方法。
【請求項190】
前記エステル化剤が、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルスルホニウムヒドロキシド、トリメチルスルホキソニウムヒドロキシド、及び1,3-(ビストリプロピルアンモニウム)キシレンヒドロキシドから成る群から選択される化合物を含む、請求項189に記載の方法。
【請求項191】
前記イメージング流体が、アルキル化剤を含む、請求項186に記載の方法。
【請求項192】
前記イメージング流体が、第4級アンモニウム塩を含む高分子を含む、請求項186に記載の方法。
【請求項193】
前記印刷部材が、前記親水性層の下に親水性基材をさらに含む、請求項186に記載の方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図7C】
image rotate

【図7D】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図8C】
image rotate

【図8D】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図9C】
image rotate

【図9D】
image rotate

【図10A】
image rotate

【図10B】
image rotate

【図10C】
image rotate

【図10D】
image rotate

【図11A】
image rotate

【図11B】
image rotate

【図11C】
image rotate

【図12A】
image rotate

【図12B】
image rotate

【図12C】
image rotate

【図12D】
image rotate


【公表番号】特表2008−515687(P2008−515687A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536755(P2007−536755)
【出願日】平成17年10月12日(2005.10.12)
【国際出願番号】PCT/US2005/036243
【国際公開番号】WO2006/044267
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(502395907)プレステク,インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】