インクジェットプリンタ
【課題】中継タンクを備えたインクジェットプリンタにおいて、該中継タンクの構成に改良を加えることによって中継タンクのまわりに必要な配管スペースを小さくして、これにより、インクジェットプリンタ全体の小型化を図る。
【解決手段】可撓性を有する樹脂フィルムを袋状に形成して、封止部材52aによって開口側を封止することで、サブタンク52を構成する。該封止部材52aには、導入管部52c及び供給管部52dが一体形成されている。これにより、供給管路51及びフレキシブル管路53に繋がる導入管部52c及び供給管部52dを、サブタンク52の一側に並べて設けることになるため、該サブタンク52周辺に必要な配管スペースを小さくすることができ、インクジェットプリンタAの小型化を図れる。
【解決手段】可撓性を有する樹脂フィルムを袋状に形成して、封止部材52aによって開口側を封止することで、サブタンク52を構成する。該封止部材52aには、導入管部52c及び供給管部52dが一体形成されている。これにより、供給管路51及びフレキシブル管路53に繋がる導入管部52c及び供給管部52dを、サブタンク52の一側に並べて設けることになるため、該サブタンク52周辺に必要な配管スペースを小さくすることができ、インクジェットプリンタAの小型化を図れる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリントヘッドとインクカートリッジとを接続するインク供給経路上に中継タンクの設けられたインクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、インクジェットプリンタとして可撓性のフィルムを袋体に形成してなる中継タンクを備えたものが知られている。このようなインクジェットプリンタとしては、例えば特許文献1に開示されるように、インクカートリッジからインクを一旦、中継タンクに汲み上げて、該中継タンクを介してプリントヘッドにインクを供給する分離インク供給方式が採用されている。このような構成にすることで、インクの造膜性等の特性に関係なく、プリントヘッドに確実にインクを供給できるばかりでなく、比較的サイズの大きなインクカートリッジのレイアウトが自由になり、装置の小型化を図れるとともに、プリント中でもインクカートリッジの交換が可能になる。
【0003】
また、上記中継タンクを可撓性を有する袋状のフィルムによって構成し、その内部にインクカートリッジからのインクを一時的に貯留することで、該インクカートリッジ内で加圧されたインクが中継タンク内に供給され圧力変動が生じても、その変動を中継タンクの変形によって吸収することができ、これにより、プリントヘッドに直接、圧力変動が伝わるのを防止できるようになっている。
【0004】
ここで、上記中継タンクにおいて、その下側にはインクカートリッジからインクを導入するための導入管が繋がっている一方、側方にはプリントヘッドにインクを供給するための供給管が繋がっている。
【特許文献1】特開平10−109426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のような中継タンクを備えた分離インク供給方式のインクジェットプリンタにおいて、カラー印刷を行うためには、複数の色のインクカートリッジだけでなく、それぞれの色に対応する中継タンクも複数、必要になる。そうすると、インクカートリッジと中継タンクとを繋ぐ配管及び該中継タンクとプリントヘッドとを繋ぐ配管の数もその分増えるため、該中継タンクの周りに多くの配管スペースが必要になり、インクジェットプリンタ全体の小型化を阻害する可能性がある。
【0006】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、上述のような中継タンクを備えたインクジェットプリンタにおいて、該中継タンクの構成に改良を加えることによって中継タンクのまわりに必要な配管スペースを小さくして、これにより、インクジェットプリンタ全体の小型化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明では、中継タンクに繋がる導入管及び供給管を該中継タンクの一側に並べて設けることで、配管の取り回しのためのスペースをできるだけ小さくした。
【0008】
具体的には、請求項1の発明では、インクの貯留されたインクカートリッジと、プリント媒体に対してインクを吐出して印刷を行うプリントヘッドと、を接続するインク供給経路上に、可撓性を有するフィルムを袋体に形成してなる中継タンクが設けられたインクジェットプリンタを対象とする。
【0009】
そして、上記中継タンクには、上記インクカートリッジからインクを導入するための導入管と、上記プリントヘッドにインクを供給するための供給管と、が該中継タンクの一側に並んで設けられているものとする。
【0010】
上記の構成により、中継タンクに繋がる導入管及び供給管は、該中継タンクの一側に並んで設けられるため、中継タンクの異なる側にそれぞれ導入管及び供給管を接続する従来構成に比べて、配管の取り回しのためのスペースを低減することができ、これにより、インクジェットプリンタ全体の小型化を図れる。すなわち、中継タンクの異なる側にそれぞれ導入管及び供給管を接続する従来構成では、配管の取り回しのためのスペースがそれぞれの側で必要になるため、その分、中継タンクを配置するために広いスペースが必要になるが、上述のように、タンクの一側に並べて接続することで、該一側にのみ配管の取り回しスペースを設ければよく、これにより、中継タンク周りの省スペース化が図れる。
【0011】
ここで、上述のように、中継タンクの一側に導入管及び供給管が並んで接続されているものでは、2つの管同士が近接しているため、中継タンク内にインクが所定量溜まることなく、導入管から供給管へインクがショートカットして流れる可能性がある。そうすると、上記中継タンクはインクカートリッジ側のインクの圧力変動を吸収する圧力ダンパとしての機能が損なわれて、該圧力変動を直接、プリントヘッドに伝達することになる。なお、特に、上記中継タンクが小型のものほど、該タンクを構成する袋体の剛性が高くなって膨らみにくくなるため、圧力ダンパとして機能しにくくなる。
【0012】
そのため、上記中継タンクは、導入されたインクを上記導入管及び供給管の接続された上記一側とは対向する側に向かって流すことによりタンクの膨張を促進する膨張促進手段を備えているのが好ましい(請求項2の発明)。こうすれば、インクがタンク内をショートカットして流れて、導入管から供給管へ直接、流れ出てしまうのを防止できるため、中継タンク内全体にインクを流して該インクによってタンクを確実に膨張させることができる。
【0013】
そして、上記膨張促進手段は、上記中継タンク内において、上記一側における上記導入管と供給管との間の位置からタンク内方に向かって延びる突出部であるのが好ましい(請求項3の発明)。
【0014】
これにより、中継タンクの内部に導入管を介して流入するインクは、突出部によってタンク内に形成された流通路を導入管及び供給管の接続された一側とは対向する側に向かって流れた後、供給管の開口まで達することになり、該中継タンクの内部全体にインクが行き渡ることになる。そうすれば、中継タンク内をインクがショートカットして流れるのを確実に防止することができ、インクカートリッジ側の圧力変動がプリントヘッドに直接、伝わるのを確実に防止することができる。
【0015】
また、上記膨張促進手段は、上記中継タンク内において、上記導入管または供給管のいずれか一方の開口に連通し且つタンク内方に向かって延びる管状突出部であってもよい(請求項4の発明)。
【0016】
こうすれば、インクは、中継タンク内に開口する管状突出部の先端からタンク内部へ流れ込むか若しくは中継タンク内部から管状突出部を介してタンク外部へ流れることになるため、中継タンク内全体にインクが行き渡るようなインクの流れを作ることができ、インクが中継タンク内をショートカットして流れるのを確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明のインクジェットプリンタによると、中継タンクの一側に導入管及び供給管を並べて接続するようにしたため、配管の取り回しのためのスペースを小さくすることができ、インクジェットプリンタ全体の小型化を図れる。
【0018】
しかも、上述の構成において、インクによる中継タンクの膨張を促進するための膨張促進手段を設けたため、該中継タンクの膨らみ不足によってタンク内でインクがショートカットして流れるのを確実に防止することができ、これにより、中継タンクの圧力ダンパとしての機能を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0020】
−全体構成−
図1〜図6は、本発明の実施形態に係るインクジェットプリンタAを示す。このプリンタAは、写真プリントシステムに用いられるものであって、例えば、画像データ及びオーダ情報を取得して必要な補正処理等を行う受付ブロック(図示省略)から通信ケーブルを介して伝送される画像データを、該オーダ情報に基づいてプリントペーパP(プリント媒体)に印刷を行うように構成されている。
【0021】
上記図1〜図6に示すように、上記プリンタAは、ロール状のプリントペーパPを収容するために装置下部に設けられたペーパ収容部1と、該ペーパ収容部1から引き出されたプリントペーパPに対して画像データの記録印刷を行うように装置上部に設けられたプリント部2と、装置の側方(図3において左右両側)に位置し、該プリント部2に供給されるインクを貯留しておくためのインク貯留部3,3とを備えている。また、上記プリンタAの上部で、上記プリント部2の搬送方向下流側には、該プリントペーパPの裏面に整理番号等を印字するための裏面印字ユニット4、及び印刷されたプリントペーパPを排出するための排出ローラ46、及び排出されたプリントペーパPを受け止めるためのトレイ5が配設されている。なお、上記図6にのみ示すが、上記プリンタAは、上記トレイ5以外をカバー6によって覆われている。
【0022】
上記ペーパ収容部1は、プリント部2のほぼ真下に位置していて、図5に示すように、ロール状に巻かれた長尺のプリントペーパPを、巻芯ローラ21により保持した状態で収容するように構成されている。ここで、このペーパ収容部1は、プリンタA全体を覆う上記カバー6の一部をなすとともに側方に開閉可能に構成された扉部材12によって塞がれており、この扉部材12を開放状態にすることで、上記マガジン11に保持されたプリントペーパPの取り替え作業が行えるようになっている。なお、この実施形態では、上記マガジン収容部1に収容されるプリントペーパPの種類は1種類のみだが、これに限らず、2種類以上のプリントペーパPを収容できるように構成してもよい。
【0023】
上記プリント部2は、プリントペーパPに対してインクを吐出して画像を形成する(つまり印刷を行う)プリントヘッドHを備えている。このプリントヘッドHは、主走査方向に延びるガイド21に沿って移動可能に構成されているとともに、副走査方向に並ぶ2つのヘッドユニット38,38を有しており、これらのヘッドユニット38,38に設けられているノズル(図示省略)からインクを吐出することで、プリントペーパPに対して所定の画像や文字等を印刷できるようになっている。
【0024】
上記インク貯留部3,3は、それぞれ、プリンタAの左右両側に配置された箱状のカートリッジケース61,61を備えていて、該ケース61,61内には、互いに色相の異なるインクが封入された7つのインクカートリッジ62,62,…が着脱可能に収容されている(本実施形態では、図3に示すように、ペーパ排出側から見て左側に3つ、右側に4つのインクカートリッジが収容されている)。したがって、これらのインクカートリッジ62,62,…を上記カートリッジケース61,61から着脱することにより、使用中又は使用済みのものを新しいものに交換できるようになっている。なお、これらのインクカートリッジ62,62,…には、各々、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、レッド(R)、バイオレット(V)及びクリア(CL:透明)の各インクが封入されている。
【0025】
また、上記プリンタAの排出側から見て左側で、上記インク貯留部3とプリント部2との間の高さ位置には、インクカートリッジ62,62,…から供給されるインクを一時的に貯留するためのサブタンク52,52,…が設けられている。そして、これらのサブタンク52,52,…は、上記プリント部2のプリントヘッドHに繋がっていて、該プリントヘッドHのノズルからインクを吐出する際の負圧によってサブタンク52,52,…内のインクがプリントヘッドHへ供給されるようになっている。
【0026】
−ペーパ搬送機構−
図6に示すように、上記プリンタAには、上記ペーパ収容部1からプリントペーパPを引き出して所定の搬送経路に沿って搬送するペーパ搬送機構が設けられている。このペーパ搬送機構は、上記搬送経路を構成すべく、ペーパ収容部1から順に、供給ユニットU1、プリントユニットU2、カッターユニットU3、及び排出ユニットU4を備えており、該プリントユニットU2の搬送経路上に位置するプリントペーパPに対して画像データの印刷が行われるようになっている。なお、本実施形態では、上記マガジン収容部1からプリントペーパPを供給する以外にも、手差しトレイ81から所定サイズのプリントペーパを供給できるように構成された手差し供給ユニットU5も備えているが、以下の実施形態では、主に上記マガジン収容部1からプリントペーパPを供給する場合について説明する。
【0027】
そして、上記ペーパ搬送機構は、ロール状のプリントペーパPへの印刷時には、ペーパ収容部1にセットされたプリントペーパPを、供給ユニットU1によってペーパ収容部1から引き出してプリント部2に位置するプリントユニットU2に搬送供給し、それから、その供給されたプリントペーパPをプリントユニットU2によって搬送しながらプリントヘッドHにより画像データの印刷を行い、その後、印刷されたプリントペーパPをカッターユニットU3に搬送して該カッターユニットU3で所定のプリントサイズに切断した後、排出ユニットU4によってペーパPのカールを取り除いてトレイ5に送り出す。尚、以下の説明において、上記印刷時においてプリントペーパPが搬送されるときの搬送上流側及び下流側を、それぞれ、単に上流側及び下流側ともいう。
【0028】
具体的に説明すると、上記供給ユニットU1は、ペーパ収容部1内にプリントペーパPをロール状に巻いて収容するための巻芯ローラ21と、該巻芯ローラ21から引き出されたプリントペーパPの幅方向の位置決めを行うためのガイドローラ22と、上記ペーパ収容部1の気密性を保つために該ペーパ収容部1とプリント部2との間のプリントペーパーP搬送用の開口を塞ぐように配設される閉塞ローラ23と、プリントペーパPを搬送するように図示しない電動モータによって回転駆動される搬送駆動ローラ24と、該搬送駆動ローラ24に対向配置される圧着ローラ25,25とを備えている。なお、本実施形態では、上記ガイドローラ22を設けているが、この代わりにガイドを設けるようにしてもよい。
【0029】
すなわち、上記供給ユニットU1は、搬送駆動ローラ24を回転駆動させることによってプリントペーパPをペーパ収容部1から引き出してプリント部2側へ搬送するように構成されている。なお、上記閉塞ローラ23は、例えばスポンジ材からなるもので、上記ペーパ収容部1内の気密性を確保するための封止部材としての役割を有しており、この閉塞ローラ23を設けることで、該ペーパ収容部1内にプリントペーパPの乾燥による表面割れを防止するための加湿装置13を設置した場合に、該加湿装置13によってマガジン収容部1内が効率良く加湿されるようになっている。
【0030】
上記搬送駆動ローラ24は、図示しない電動モータによって、プリントペーパPをマガジン収容部1から引き出してプリント部2側へ搬送する正方向の回転と、該プリントペーパPをマガジン収容部1内へ戻す逆方向の回転とが切換可能なように構成されている。これにより、上記搬送駆動ローラ24よりも搬送方向下流側のカッターユニットU3でペーパPの印刷済みの部分を所定サイズに切断した後、長尺のプリントペーパPを上流側に戻してペーパの先頭から印刷を行う場合や、長尺プリントペーパPではなく手差しユニットU5からペーパを供給する場合などにおいて、長尺のプリントペーパPをペーパ収容部1内に戻せるようになっている。
【0031】
上記プリントユニットU2は、図1及び図2に示すように、上記プリントヘッドHを主走査方向X(プリントペーパPの搬送方向(副走査方向Y)と垂直な方向)に案内するガイドレール30と、2つのプーリに巻き掛けられ且つプリントヘッドHを該ガイドレール28に沿って往復移動させるための駆動ベルト31と、該プーリを回転駆動させる電動モータ32と、プリントヘッドHにより印刷を行うことが可能な位置に吸着保持するペーパ保持部D(図3参照)と、このペーパ保持部Dの下流側に配設された圧着型のプリント搬送ローラ33とを備えている。ここで、上記主走査方向Xは、プリントペーパPの幅方向に相当し、副走査方向Yは、プリントペーパPの長手方向に相当する。
【0032】
上記ペーパ保持部Dは、図2及び図6に示すように、表面(上面)に開口する吸引用孔34aを有するガイドプレート34と、上記供給ユニットU1により該ガイドプレート34上に供給されたプリントペーパPを、上記吸引用孔34aを介して吸引することでガイドプレート34の表面上に吸着保持させる吸引手段としてのファン35とを備えている。上記ガイドプレート34は、板状の部材からなり、該ガイドプレート34の裏面(下面)側には、該ガイドプレート34と共に空間を形成する筐体36が配設され、この空間内に上記ファン35が配設されている。そして、上記吸引用孔34aは、ガイドプレート34の厚み方向に貫通して上記空間と連通しており、ファン35の作動により吸引用孔34aを介してガイドプレート34の表面側に負圧が生じ、このことでプリントペーパPがガイドプレート34の表面上に吸着保持されることになる。
【0033】
また、上記ガイドプレート34には、印刷時にインクの増粘を防止するためにプリントヘッドHのノズル(図示省略)から吐出される少量のインクを受け止めるフラッシング部37と、印刷していない場合のプリントヘッドHの待機位置に設けられて、インクの増粘防止のために該プリントヘッドHのノズルからインクを吸引するように構成されたキャップ部(図示省略)と、が設けられている。
【0034】
上記フラッシング部37は、ガイドプレート34に形成された開口部37aと、該ガイドプレート34の下側に、該開口部に連通するような空間を形成する筐体(図示省略)と、を備えており、該筐体はプリンタAの排出側下部に設けられた廃液タンク7に連通しているとともに、筐体内部の空気を上記ファン35によって吸引できるように構成されている。また、上記開口部37aには、インクを吸収可能なスポンジ状のインク吸収材37bが配設されていて、このインク吸収材37bに染み込んだインクも、上記空間内に溜まるようになっている。これにより、上記フラッシング部37の開口部37aに向かって吐出されるインクは筐体内に吸い込まれて、廃液タンク7へと導かれることになる。
【0035】
なお、上記キャップ部については、特に図示しないが、内部を負圧にされた空間を有していて、該空間内に上記プリントヘッドHのノズルから微量のインクを吸い出すように構成されている。これにより、該ノズルでインクが増粘して、吐出しにくくなるのを防止することができる。ここで、上記キャップ部の空間は、後述するインク供給系の空気加圧部56としてのポンプを利用することで、内部が負圧になるようになっている。
【0036】
上記ガイドプレート34には、さらに、略矩形状の縁取り孔34bがペーパーPの幅方向に所定の間隔をあけて複数形成されている。具体的には、この縁取り孔34bは、ペーパーPをガイドプレート21上に載置したときに、該ペーパPの幅方向両端で該縁取り孔34bの一部が露出するような位置に形成されていて、用紙サイズ(例えば、A4,B5等)に応じて複数設けられている。
【0037】
このようにすれば、ペーパーPに対して縁無しプリントを行うときに、プリントヘッドHからペーパーPの幅方向の端縁に吐出したインクの一部がペーパーPからはみ出したとしても、そのはみ出したインクは縁取り孔34bから排出されることとなり、ガイドプレート34表面にインクが付着してプレート34表面が汚れるのを防止することができる。
【0038】
上記プリントヘッドHは、図4に示すように、その底面(ガイドプレート34と対向する面)に、多数のインク吐出ノズルが設けられたヘッドユニット38,38,…が副走査方向に2段に並んで配設されている(ヘッドユニット38は2段である必要はなく、1段や3段以上であってもよい)。
【0039】
上記各ヘッドユニット38は全て同一構成であり、各々、主走査方向Xに配設された上記各色のインクを吐出する7つのノズルアレイから構成されている。各ノズルアレイには、インク吐出ノズルが副走査方向Yに列状に配設されている。これにより、各ヘッドユニット38は、単体でカラー画像を形成可能な構成とされている。そして、ペーパ搬送の各ステップ毎に、プリントヘッドHが主走査方向Xに走査され、このとき、主走査方向Xの各位置で、各ヘッドユニット38は、各色の所定のインク吐出ノズルからインクを同時に吐出する。ここで、本実施形態におけるインク吐出ノズルは、インクの充填された圧力室内の容積をピエゾ素子によって変動させることでインクを吐出する一般的なピエゾ方式のものである。
【0040】
上記カッターユニットU3は、回転刃41を備えていて、該回転刃41を回転させながらプリントペーパPの搬送方向所定位置で幅方向に移動させることで、該プリントペーパPを所定のサイズに切断するように構成されている。また、上記カッターユニットU3は、上記回転刃4の搬送下流側に位置し、切断後のペーパーPを送り出すための切断後搬送ローラ42を備えている。この切断後搬送ローラ42の回転によりペーパーPは搬送下流側の裏面印字ユニット4に搬送される。
【0041】
また、上記カッターユニットU3の下方には、切断後のペーパーPの切り屑を回収するためのカッター屑回収箱70が配設されている。このカッター屑回収箱70は、ペーパーPの排出方向(図6では右方向)に沿ってスライド自在で且つ装置本体から離脱自在に構成され、ユーザーがカッター屑を容易に廃棄できるようになっている。
【0042】
また、上記カッター屑回収箱70の手前側(図6では右側)には取っ手71が取り付けられている。そして、カッター屑回収箱70の手前側は、透明なプラスチック材料で形成され、切り屑の収容状態が目視確認できるようになっている。
【0043】
上記排出ユニットU4は、プリントペーパPの裏面に整理番号等を印字するための裏面印字ユニット4よりも下流側に設けられていて、プリントペーパPを搬送するとともに、該プリントペーパPのカールをとる複数の圧着型排出ローラ46,46,…からなるデカール部45を有している。このデカール部45は、プリントペーパPに付いたカールとは反対側に該ペーパPが曲げられて凸となるように圧着ローラ46,46,…及びガイド47,48を配置したもので、これにより、該プリントペーパPのカールをとることができ、トレイ5上にほとんどカールのないペーパPを排出することができる。
【0044】
なお、上述のとおり、プリンタAには、ロール状に巻かれたペーパーPとは別に、ユーザーが手差しでペーパーPを供給するための手差し供給ユニットU5が設けられていて、この手差し供給ユニットU5は、装置上部の搬送方向上流側に設けられるトレイ81と、その搬送方向下流側に位置する搬送ローラ82とを備えていて、該搬送ローラ82の回転により手差しトレイ81上のペーパーPが手差しガイド83に沿って搬送駆動ローラ24と一対の圧着ローラ25,25との間に挟み込まれるように搬送される。
【0045】
ここで、上記手差しトレイ81から搬送されたペーパーPにはカールが付いていないため、このペーパーPを上記排出ユニットU4のデカール部45に送ると、カールが付いてしまうこととなる。そこで、ペーパーPが手差しトレイ81から供給されたものであるかペーパー収容部1から供給されたものであるかを判定する図示しない判定手段を設け、判定結果に基づいて、ペーパPの搬送経路を切り替えるように制御するのが好ましい。例えば、手差しトレイ81から供給されたペーパーPに対しては、デカール部45を通過させずに排出トレイ5に排出するように制御すればよい。
【0046】
−インク供給系−
図7に示すように、上記プリンタAのインク供給系は、プリンタAの左右両側に位置するインク貯留部3のインクカートリッジ62内のインクを電磁弁50及び供給管路51を介してサブタンク52に供給し、このサブタンク52のインクをフレキシブル管路53を介してプリントヘッドHに送り出すように構成されている。具体的には、上記インクカートリッジ62からサブタンク52までは、後述の空気加圧部56によって供給される加圧空気により送り出される一方、該サブタンク52からプリントヘッドHまでは、該プリントヘッドHのノズルからインクを吐出した場合にピエゾ素子によって該ノズルの圧力室(図示省略)内に生じる負圧により流れることになる(インクを吐出するまでは、インクが規定量だけ充填されて膨張したサブタンク52内の圧力によってノズルに対する供給圧が所定の圧力に維持されてプリントヘッドHに供給されている)。なお、上記サブタンク52は、上記プリントヘッドHに対して適切な圧力でインクが供給されるように、該プリントヘッドHに対して所定の高さ位置に取り付けられている。
【0047】
上述のようにインク供給系を構成することで、インクカートリッジ62のインクは一旦サブタンク52内に貯留されて、該サブタンク52からプリントヘッドHに供給されることになるため、印刷を中断することなくインクカートリッジ62を交換できる。しかも、上記サブタンク52は、圧力ダンパとしての役割も果たすため、上記インクカートリッジ62で生じたインクの圧力変動が上記プリントヘッドHに直接、伝わるのを防止することができ、該プリントヘッドHに過大な圧力が作用してインク漏れ等が生じるのを防止することができる。尚、上記図7では1つのインク供給系だけが示されているが、実際には、色相が互いに異なる7種類のインクに対応して7つのインク供給系が形成されている。
【0048】
上記インクカートリッジ62は、柔軟な素材を用いて袋状に形成されたインクタンク62Tを樹脂製のケースに格納して構成されている。このインクカートリッジ62は、上記ケース内部に対して空気供給路55を介して加圧空気を供給する空気加圧部56と、該ケース内部に供給される空気圧を調節する調圧弁57とを更に備えている。このような構成において、上記ケース内部を所定の圧力にすることで、上記インクタンク62Tから所定量のインクを供給管路51内に供給することができる。
【0049】
上記サブタンク52も樹脂シート等の可撓性を有する柔軟な素材を用いて袋状(袋体)に形成されたもので、詳しくは後述するように、その内部空間が2つのタンク室52b,52b(中継タンク)に区切られており、2つのタンクが一体に繋がった構成になっている。そして、該タンク室52b,52bには、それぞれ、上記供給管路51及びフレキシブル管路53に連結される導入管部52c(導入管)及び供給管部52d(供給管)が設けられていて、これにより、2つのタンク室52b,52bにはそれぞれ色相の異なるインクを一時貯留できるようになっている。
【0050】
上記サブタンク52は、インクジェットプリンタAの搬出側から見て左側に設けられた概略箱状の収納部54内に立設されていて(図7では1つのサブタンク52を配置するための収納部を模式的に示す)、上記サブタンク52近傍(本実施形態ではサブタンク52の側面上方)には、該サブタンク52の2つのタンク室52b,52bの厚み方向の変形量に応じて検出信号を出力するサブタンクセンサS,Sが配設されている。
【0051】
ここで、上記収納部54は、上記サブタンク52の一方の面を、上下方向に延びて下端部で該収納部54にサブタンク52の厚み方向に揺動可能に支持された2枚の板部材54a,54aによって支えるように構成されている。この板部材54a,54aは、上記サブタンク52のタンク室52b,52bの腹部分(最も厚み方向に膨張する部分)に対応するように配置されている。また、上記収納部54のタンク長手方向の両壁部には、上記サブタンク52を収納した状態で、該サブタンク52のタンク室52b,52bに連通するように設けられた導入管部52c及び供給管部52dの突出部分を避けるように切り欠きが形成されている。
【0052】
上記サブタンクセンサS,Sは、上記サブタンク52のタンク室52b,52bの腹部分(最も厚み方向に膨張する部分)に対応して配置された上記板部材54a,54aの上部に接触するように配設されていて、該タンク室52b,52bの膨張若しくは収縮に伴ってサブタンク52の側面がタンクの厚み方向に変位した場合に、この変位に応じた上記板部材54a,54aの傾動を検出するようになっている。
【0053】
具体的には、上記サブタンク52のタンク室52b,52b内のインク残量が所定量(例えば9ml)以下になると、上記タンクセンサS,Sは板部材と非接触状態になるように配設されている。そのため、この場合には、インク残量が適切な量(上記規定量、例えば10ml)になるように、上記電磁弁50を作動させて開状態にし、サブタンク52のタンク室52b,52b内にインクを供給する。一方、上記サブタンク52のタンク室52b,52b内に適切な量のインクが充填されている場合には、上記タンクセンサS,Sが板部材に接触するように構成されているため、その場合には、上記電磁弁50を作動させて閉状態にし、サブタンク52のタンク室52b,52bへのインクの供給を停止する。
【0054】
なお、インク貯留部3には、該インク貯留部3にインクカートリッジ62が存在するか否かを判別する着脱センサ58が設けられている。
【0055】
−サブタンク−
以下で、上記サブタンク52の構造について詳細に説明する。
【0056】
上記サブタンク52は、上述のとおり、樹脂シート等の柔軟な素材を用いて袋状に形成されたもので、内部に充填されるインクの液量によって厚み方向に膨張・収縮を繰り返すように構成されている。具体的には、上記サブタンク52は、例えば2枚の樹脂シートの上辺及び下辺をそれぞれ溶着して筒状に形成した後、その内部空間を2つに区切るように筒軸方向の略中央部分を溶着して、筒軸方向両端の開口部内に2つの管部52c,52dが一体形成された樹脂製の封止部材52a,52aを位置付けてシートに溶着することにより得られるもので、1つのサブタンク52に2つのタンク室52b,52bが形成されている(図7参照)。
【0057】
そして、上述のような封止部材52a,52aを設けることで、それぞれのタンク室52b,52bに対して、色相の異なるインクを一時的に貯留したりプリントヘッドHに対して供給したりすることができるため、従来のサブタンクに比べて取付スペースを小さくすることができる。しかも、2色分のインクタンクを1回の作業で取り付けることができるため、1色分のサブタンクをそれぞれ取り付ける場合に比べて取付作業を軽減することができる。
【0058】
また、上記タンク室52b,52bへのインクの流入出口としての導入管部52c及び供給管部52dを上記封止部材52aに一体形成することで、該2つの管部52c,52dはタンク室52bに対して一方側に並んで設けられることになり、それらの管部52c,52dにそれぞれ繋がる供給管路51及びフレキシブル管路53の配管の取り回しを一方にまとめることができるため、サブタンク52の配置のためのスペースを省スペース化することができる。これにより、装置全体の小型化を図れる。
【0059】
しかしながら、上述のように、サブタンク52の内部を区切って2つのタンク室52b,52bを形成すると、1つのタンク室を形成する場合に比べて樹脂シートの厚み方向の最大変形量が小さくなって、インクを供給しても十分に膨らまなくなる可能性がある。
【0060】
そうすると、例えば、インク供給系内の空気を無くすために一旦、タンク室52b,52b内を真空状態にしてからインクを供給する装置初期動作時において、真空状態のタンク室52b,52b内へインクカートリッジ62,62からインクを供給しても、供給されるインクによってサブタンク52は十分に膨らまず、その状態でプリントが開始されると、インクはそのままプリントヘッドH側へ流れることになるため、サブタンク52は圧力ダンパとして機能することなくプリントヘッドH側にインクの圧力変動が直接、伝わって、インク漏れ等の不具合を生じる可能性がある。
【0061】
また、初期起動時だけでなく、印刷中などの運転状態にある場合でも、上記サブタンク52はインクの流入及び流出によって膨張・収縮を繰り返しているため、該サブタンク52がインクによって十分に膨張しなければ、タンク室52b,52b内全体にインクが行きわたらずに該タンク室52bの出入り口付近のみで移動することになり、圧力ダンパとしての機能を失い、過大なインク供給圧をプリントヘッドH側に伝えることになってしまう。
【0062】
そこで、本発明の特徴部分として、図8に示すように、上記タンク室52b,52b内に板状の突出部52eを設けて、該タンク室52b,52b内全体をインクが流れるような流路(図中の矢印)を形成した。なお、上記図8には片方のタンク室52bのみを示す。
【0063】
具体的には、上記タンク室52bを封止する上記封止部材52aにおいて、導入管部52c及び供給管部52dの中間位置からタンク室52b内方に延びるような板状の突出部52eを一体形成した。そして、この突出部52eは、上記タンク室52b内を、上記封止部材52aによって封止されている側とは反対側(タンク室奥側)に流通路が形成されるような位置まで延びている。
【0064】
これにより、上記封止部材52aの導入管部52cを介してタンク室52b内に流入したインクは、上記突出部52eによってタンク室52bの奥側まで案内されて、該奥側から封止部材52aによる封止側へ折り返して供給管部52dからプリントヘッドH側へ流れることになる。したがって、流入したインクはタンク室52b内でショートカットして供給管部52d側へ流れることなく上記タンク室52b内全体に行きわたって、サブタンク52を十分に膨張させることができ、圧力ダンパとしての機能を確保することができる。
【0065】
また、上述のような構成にすることで、上記タンク室52b内全体に導入管部52cを介して流入したインクを流すことができるため、該タンク室52b内に古いインクが淀むのを防止することができる。
【0066】
なお、上記突出部52eは棒状であってもよいし、封止部材52aとは別部材であってもよい。また、図9に示すように、管状に形成された管状突出部52fをインク流入側の導入管部52cの開口に連通するように設けてもよい。このような管状の突出部52fを設けるようにすれば、より確実にインクをタンク室52bの奥側まで送り込むことができるため、流入したインクが該タンク室52b内でショートカットして供給管部52dに流れるのを防止して、サブタンク52をより確実に膨らますことができる。
【0067】
ここで、タンク室が1つしかないサブタンク52’において、上述のように該サブタンク52’の一側にのみ導入管部52c及び供給管部52dを並べて設けた場合、該管部52c,52dの設けられていない他側は、剛性の弱いシートのみによって構成されることになるため、容易にめくれたり曲がったりして、インクの充填によるサブタンク52’の膨張が妨げられる可能性がある。
【0068】
そこで、上記図10に示すように、サブタンク52’を収納するための収納部54の壁面に両面テープや接着剤などによる接着領域91を設けて、この接着領域91に上記サブタンク52’の管部52c,52dの設けられていない他側を接着固定すればよい。こうすることで、該サブタンク52’の他側がめくれたり曲がったりするのを確実に防止することができる。なお、上記接着領域91を両面テープによって構成する場合には、上記サブタンク52’の形状を考慮して、厚さ約2mmの両面テープを用いるのが好ましい。
【0069】
また、図11に示すように、上記収納部54に、サブタンク52’の厚み方向に膨出する膨出壁部92を設けるとともに、該膨出壁部92に上下方向に延びるスリット穴93を形成して、該スリット穴93に上記サブタンク52’の他側を差し込むようにしてもよい。こうすれば、上記サブタンク52’の他側はスリット穴93内で保持されるため、該他側がめくれたり曲がったりするのをより確実に防止することができる。
【0070】
さらに、図12に示すように、上記収納部54の壁面上に、2枚の板部材を備えたクリップ94を設けて、該クリップ94の2枚の板部材間に上記サブタンク52’の他側を挟み込むようにしてもよい。
【0071】
以上より、本実施形態によれば、インクカートリッジ62,62,…とプリントヘッドHとの間のインク供給路上に設けられるサブタンク52,52,…において、タンク室52b,52bに連通する導入管部52c及び供給管部52dを一側に並べて設けるようにしたため、該導入管部52c及び供給管部52dに繋がる供給管路51及びフレキシブル管路53の配管スペースを小さくすることができ、プリンタAの小型化を図れる。
【0072】
また、上記サブタンク52,52,…内部に形成されるタンク室52b内に、流入したインクが該タンク室52bの奥側まで流れてプリントヘッドH側に供給されるような流路を形成する板状の突出部52eを設けたため、該タンク室52b内全体にインクが行きわたって、サブタンク52,52,…を十分に膨張させることができる。すなわち、上述のような構成にすることで、インクカートリッジ62,62,…から供給されるインクは上記サブタンク52内に一旦、貯留されて該サブタンク52を十分に膨張させるため、該サブタンク52は圧力ダンパとして機能することになり、これにより、インクカートリッジ62,62,…側のインクの供給圧がプリントヘッドH側に直接、伝わるのを防止することができ、インク供給圧の変動によるノズルでのインク漏れを防止することができる。
【0073】
(その他の実施形態)
本発明の構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、それ以外の種々の構成を包含するものである。すなわち、上記実施形態では、サブタンク52の一部を溶着して2つのタンク室52b,52bを区画形成するようにしているが、この限りではなく、サブタンク52内に1つのタンク室のみを形成するようにしてもよいし、3つ以上のタンク室を形成するようにしてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、タンク室52bの奥側までインクを流すように突出部52e,52fを設けているが、この限りではなく、例えば、上記突出部52e,52fの突出長さをインクが少なくともタンク室52bの中央部分を流れるような長さにしてもよい。すなわち、上記突出部52e,52fは、その先端部がタンク室52bの中央部分よりもタンク室奥側に位置付けられるような長さであればよい。これは、上述のとおり、タンクセンサSがタンク室52bの最も膨張する部分に取り付けられるため、該センサSを正常に作動させるためには、タンク室52bの少なくとも中央部分が十分に膨らむ必要があるからである。
【0075】
さらに、上記実施形態では、管状に形成された管状突出部52fをインク流入側の導入管部52cの開口に連通するように設けているが、これに限らず、インク流出側の供給管部52dの開口に連通するように設けてもよい。こうすれば、タンク室52bの奥側からインクをプリントヘッドH側へ供給できるため、これにより、タンク室52b内でインクを澱ませることなく該タンク室52b内全体にインクを行き渡らせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
以上説明したように、本発明におけるインクジェットプリンタは、インクカートリッジとプリントヘッドとの間のインク供給経路上に設けられるサブタンクにおいて、その一側に導入管部52c及び供給管部52dを並べて設けることによってプリンタの小型化を図れるから、例えば、複数のサブタンクを備えたカラー印刷用のインクジェットプリンタに特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施形態に係るインクジェットプリンタを示す斜視図である。
【図2】インクジェットプリンタの上面図である。
【図3】インクジェットプリンタの正面図である。
【図4】インクジェットプリンタの左側面図である。
【図5】インクジェットプリンタの背面図である。
【図6】プリントペーパの搬送経路を示す模式図である。
【図7】インク供給系の模式図である。
【図8】タンク室内に突出部の設けられたサブタンクの厚み方向略中央位置での断面図である。
【図9】タンク室内に管状突出部の設けられたサブタンクの厚み方向略中央位置での断面図である。
【図10】収納部の壁面上に設けられた接着領域にサブタンクを接着固定する様子を示す斜視図である。
【図11】収納部の膨出壁部に設けられたスリット穴にサブタンクの他側を挿入する様子を示す斜視図である。
【図12】収納部の壁面上に設けられたクリップによってサブタンクの他側を挟持する様子を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0078】
A インクジェットプリンタ
P プリントペーパ(プリント媒体)
H プリントヘッド
50 電磁弁
51 供給管路(インク供給経路)
52 サブタンク(中継タンク)
52a 封止部材
52b タンク室
52c 導入管部(導入管)
52d 供給管部(供給管)
52e 突出部
52f 突出部(管状突出部)
53 フレキシブル管路(インク供給経路)
62 インクカートリッジ
62T インクタンク
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリントヘッドとインクカートリッジとを接続するインク供給経路上に中継タンクの設けられたインクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、インクジェットプリンタとして可撓性のフィルムを袋体に形成してなる中継タンクを備えたものが知られている。このようなインクジェットプリンタとしては、例えば特許文献1に開示されるように、インクカートリッジからインクを一旦、中継タンクに汲み上げて、該中継タンクを介してプリントヘッドにインクを供給する分離インク供給方式が採用されている。このような構成にすることで、インクの造膜性等の特性に関係なく、プリントヘッドに確実にインクを供給できるばかりでなく、比較的サイズの大きなインクカートリッジのレイアウトが自由になり、装置の小型化を図れるとともに、プリント中でもインクカートリッジの交換が可能になる。
【0003】
また、上記中継タンクを可撓性を有する袋状のフィルムによって構成し、その内部にインクカートリッジからのインクを一時的に貯留することで、該インクカートリッジ内で加圧されたインクが中継タンク内に供給され圧力変動が生じても、その変動を中継タンクの変形によって吸収することができ、これにより、プリントヘッドに直接、圧力変動が伝わるのを防止できるようになっている。
【0004】
ここで、上記中継タンクにおいて、その下側にはインクカートリッジからインクを導入するための導入管が繋がっている一方、側方にはプリントヘッドにインクを供給するための供給管が繋がっている。
【特許文献1】特開平10−109426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のような中継タンクを備えた分離インク供給方式のインクジェットプリンタにおいて、カラー印刷を行うためには、複数の色のインクカートリッジだけでなく、それぞれの色に対応する中継タンクも複数、必要になる。そうすると、インクカートリッジと中継タンクとを繋ぐ配管及び該中継タンクとプリントヘッドとを繋ぐ配管の数もその分増えるため、該中継タンクの周りに多くの配管スペースが必要になり、インクジェットプリンタ全体の小型化を阻害する可能性がある。
【0006】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、上述のような中継タンクを備えたインクジェットプリンタにおいて、該中継タンクの構成に改良を加えることによって中継タンクのまわりに必要な配管スペースを小さくして、これにより、インクジェットプリンタ全体の小型化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明では、中継タンクに繋がる導入管及び供給管を該中継タンクの一側に並べて設けることで、配管の取り回しのためのスペースをできるだけ小さくした。
【0008】
具体的には、請求項1の発明では、インクの貯留されたインクカートリッジと、プリント媒体に対してインクを吐出して印刷を行うプリントヘッドと、を接続するインク供給経路上に、可撓性を有するフィルムを袋体に形成してなる中継タンクが設けられたインクジェットプリンタを対象とする。
【0009】
そして、上記中継タンクには、上記インクカートリッジからインクを導入するための導入管と、上記プリントヘッドにインクを供給するための供給管と、が該中継タンクの一側に並んで設けられているものとする。
【0010】
上記の構成により、中継タンクに繋がる導入管及び供給管は、該中継タンクの一側に並んで設けられるため、中継タンクの異なる側にそれぞれ導入管及び供給管を接続する従来構成に比べて、配管の取り回しのためのスペースを低減することができ、これにより、インクジェットプリンタ全体の小型化を図れる。すなわち、中継タンクの異なる側にそれぞれ導入管及び供給管を接続する従来構成では、配管の取り回しのためのスペースがそれぞれの側で必要になるため、その分、中継タンクを配置するために広いスペースが必要になるが、上述のように、タンクの一側に並べて接続することで、該一側にのみ配管の取り回しスペースを設ければよく、これにより、中継タンク周りの省スペース化が図れる。
【0011】
ここで、上述のように、中継タンクの一側に導入管及び供給管が並んで接続されているものでは、2つの管同士が近接しているため、中継タンク内にインクが所定量溜まることなく、導入管から供給管へインクがショートカットして流れる可能性がある。そうすると、上記中継タンクはインクカートリッジ側のインクの圧力変動を吸収する圧力ダンパとしての機能が損なわれて、該圧力変動を直接、プリントヘッドに伝達することになる。なお、特に、上記中継タンクが小型のものほど、該タンクを構成する袋体の剛性が高くなって膨らみにくくなるため、圧力ダンパとして機能しにくくなる。
【0012】
そのため、上記中継タンクは、導入されたインクを上記導入管及び供給管の接続された上記一側とは対向する側に向かって流すことによりタンクの膨張を促進する膨張促進手段を備えているのが好ましい(請求項2の発明)。こうすれば、インクがタンク内をショートカットして流れて、導入管から供給管へ直接、流れ出てしまうのを防止できるため、中継タンク内全体にインクを流して該インクによってタンクを確実に膨張させることができる。
【0013】
そして、上記膨張促進手段は、上記中継タンク内において、上記一側における上記導入管と供給管との間の位置からタンク内方に向かって延びる突出部であるのが好ましい(請求項3の発明)。
【0014】
これにより、中継タンクの内部に導入管を介して流入するインクは、突出部によってタンク内に形成された流通路を導入管及び供給管の接続された一側とは対向する側に向かって流れた後、供給管の開口まで達することになり、該中継タンクの内部全体にインクが行き渡ることになる。そうすれば、中継タンク内をインクがショートカットして流れるのを確実に防止することができ、インクカートリッジ側の圧力変動がプリントヘッドに直接、伝わるのを確実に防止することができる。
【0015】
また、上記膨張促進手段は、上記中継タンク内において、上記導入管または供給管のいずれか一方の開口に連通し且つタンク内方に向かって延びる管状突出部であってもよい(請求項4の発明)。
【0016】
こうすれば、インクは、中継タンク内に開口する管状突出部の先端からタンク内部へ流れ込むか若しくは中継タンク内部から管状突出部を介してタンク外部へ流れることになるため、中継タンク内全体にインクが行き渡るようなインクの流れを作ることができ、インクが中継タンク内をショートカットして流れるのを確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明のインクジェットプリンタによると、中継タンクの一側に導入管及び供給管を並べて接続するようにしたため、配管の取り回しのためのスペースを小さくすることができ、インクジェットプリンタ全体の小型化を図れる。
【0018】
しかも、上述の構成において、インクによる中継タンクの膨張を促進するための膨張促進手段を設けたため、該中継タンクの膨らみ不足によってタンク内でインクがショートカットして流れるのを確実に防止することができ、これにより、中継タンクの圧力ダンパとしての機能を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0020】
−全体構成−
図1〜図6は、本発明の実施形態に係るインクジェットプリンタAを示す。このプリンタAは、写真プリントシステムに用いられるものであって、例えば、画像データ及びオーダ情報を取得して必要な補正処理等を行う受付ブロック(図示省略)から通信ケーブルを介して伝送される画像データを、該オーダ情報に基づいてプリントペーパP(プリント媒体)に印刷を行うように構成されている。
【0021】
上記図1〜図6に示すように、上記プリンタAは、ロール状のプリントペーパPを収容するために装置下部に設けられたペーパ収容部1と、該ペーパ収容部1から引き出されたプリントペーパPに対して画像データの記録印刷を行うように装置上部に設けられたプリント部2と、装置の側方(図3において左右両側)に位置し、該プリント部2に供給されるインクを貯留しておくためのインク貯留部3,3とを備えている。また、上記プリンタAの上部で、上記プリント部2の搬送方向下流側には、該プリントペーパPの裏面に整理番号等を印字するための裏面印字ユニット4、及び印刷されたプリントペーパPを排出するための排出ローラ46、及び排出されたプリントペーパPを受け止めるためのトレイ5が配設されている。なお、上記図6にのみ示すが、上記プリンタAは、上記トレイ5以外をカバー6によって覆われている。
【0022】
上記ペーパ収容部1は、プリント部2のほぼ真下に位置していて、図5に示すように、ロール状に巻かれた長尺のプリントペーパPを、巻芯ローラ21により保持した状態で収容するように構成されている。ここで、このペーパ収容部1は、プリンタA全体を覆う上記カバー6の一部をなすとともに側方に開閉可能に構成された扉部材12によって塞がれており、この扉部材12を開放状態にすることで、上記マガジン11に保持されたプリントペーパPの取り替え作業が行えるようになっている。なお、この実施形態では、上記マガジン収容部1に収容されるプリントペーパPの種類は1種類のみだが、これに限らず、2種類以上のプリントペーパPを収容できるように構成してもよい。
【0023】
上記プリント部2は、プリントペーパPに対してインクを吐出して画像を形成する(つまり印刷を行う)プリントヘッドHを備えている。このプリントヘッドHは、主走査方向に延びるガイド21に沿って移動可能に構成されているとともに、副走査方向に並ぶ2つのヘッドユニット38,38を有しており、これらのヘッドユニット38,38に設けられているノズル(図示省略)からインクを吐出することで、プリントペーパPに対して所定の画像や文字等を印刷できるようになっている。
【0024】
上記インク貯留部3,3は、それぞれ、プリンタAの左右両側に配置された箱状のカートリッジケース61,61を備えていて、該ケース61,61内には、互いに色相の異なるインクが封入された7つのインクカートリッジ62,62,…が着脱可能に収容されている(本実施形態では、図3に示すように、ペーパ排出側から見て左側に3つ、右側に4つのインクカートリッジが収容されている)。したがって、これらのインクカートリッジ62,62,…を上記カートリッジケース61,61から着脱することにより、使用中又は使用済みのものを新しいものに交換できるようになっている。なお、これらのインクカートリッジ62,62,…には、各々、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、レッド(R)、バイオレット(V)及びクリア(CL:透明)の各インクが封入されている。
【0025】
また、上記プリンタAの排出側から見て左側で、上記インク貯留部3とプリント部2との間の高さ位置には、インクカートリッジ62,62,…から供給されるインクを一時的に貯留するためのサブタンク52,52,…が設けられている。そして、これらのサブタンク52,52,…は、上記プリント部2のプリントヘッドHに繋がっていて、該プリントヘッドHのノズルからインクを吐出する際の負圧によってサブタンク52,52,…内のインクがプリントヘッドHへ供給されるようになっている。
【0026】
−ペーパ搬送機構−
図6に示すように、上記プリンタAには、上記ペーパ収容部1からプリントペーパPを引き出して所定の搬送経路に沿って搬送するペーパ搬送機構が設けられている。このペーパ搬送機構は、上記搬送経路を構成すべく、ペーパ収容部1から順に、供給ユニットU1、プリントユニットU2、カッターユニットU3、及び排出ユニットU4を備えており、該プリントユニットU2の搬送経路上に位置するプリントペーパPに対して画像データの印刷が行われるようになっている。なお、本実施形態では、上記マガジン収容部1からプリントペーパPを供給する以外にも、手差しトレイ81から所定サイズのプリントペーパを供給できるように構成された手差し供給ユニットU5も備えているが、以下の実施形態では、主に上記マガジン収容部1からプリントペーパPを供給する場合について説明する。
【0027】
そして、上記ペーパ搬送機構は、ロール状のプリントペーパPへの印刷時には、ペーパ収容部1にセットされたプリントペーパPを、供給ユニットU1によってペーパ収容部1から引き出してプリント部2に位置するプリントユニットU2に搬送供給し、それから、その供給されたプリントペーパPをプリントユニットU2によって搬送しながらプリントヘッドHにより画像データの印刷を行い、その後、印刷されたプリントペーパPをカッターユニットU3に搬送して該カッターユニットU3で所定のプリントサイズに切断した後、排出ユニットU4によってペーパPのカールを取り除いてトレイ5に送り出す。尚、以下の説明において、上記印刷時においてプリントペーパPが搬送されるときの搬送上流側及び下流側を、それぞれ、単に上流側及び下流側ともいう。
【0028】
具体的に説明すると、上記供給ユニットU1は、ペーパ収容部1内にプリントペーパPをロール状に巻いて収容するための巻芯ローラ21と、該巻芯ローラ21から引き出されたプリントペーパPの幅方向の位置決めを行うためのガイドローラ22と、上記ペーパ収容部1の気密性を保つために該ペーパ収容部1とプリント部2との間のプリントペーパーP搬送用の開口を塞ぐように配設される閉塞ローラ23と、プリントペーパPを搬送するように図示しない電動モータによって回転駆動される搬送駆動ローラ24と、該搬送駆動ローラ24に対向配置される圧着ローラ25,25とを備えている。なお、本実施形態では、上記ガイドローラ22を設けているが、この代わりにガイドを設けるようにしてもよい。
【0029】
すなわち、上記供給ユニットU1は、搬送駆動ローラ24を回転駆動させることによってプリントペーパPをペーパ収容部1から引き出してプリント部2側へ搬送するように構成されている。なお、上記閉塞ローラ23は、例えばスポンジ材からなるもので、上記ペーパ収容部1内の気密性を確保するための封止部材としての役割を有しており、この閉塞ローラ23を設けることで、該ペーパ収容部1内にプリントペーパPの乾燥による表面割れを防止するための加湿装置13を設置した場合に、該加湿装置13によってマガジン収容部1内が効率良く加湿されるようになっている。
【0030】
上記搬送駆動ローラ24は、図示しない電動モータによって、プリントペーパPをマガジン収容部1から引き出してプリント部2側へ搬送する正方向の回転と、該プリントペーパPをマガジン収容部1内へ戻す逆方向の回転とが切換可能なように構成されている。これにより、上記搬送駆動ローラ24よりも搬送方向下流側のカッターユニットU3でペーパPの印刷済みの部分を所定サイズに切断した後、長尺のプリントペーパPを上流側に戻してペーパの先頭から印刷を行う場合や、長尺プリントペーパPではなく手差しユニットU5からペーパを供給する場合などにおいて、長尺のプリントペーパPをペーパ収容部1内に戻せるようになっている。
【0031】
上記プリントユニットU2は、図1及び図2に示すように、上記プリントヘッドHを主走査方向X(プリントペーパPの搬送方向(副走査方向Y)と垂直な方向)に案内するガイドレール30と、2つのプーリに巻き掛けられ且つプリントヘッドHを該ガイドレール28に沿って往復移動させるための駆動ベルト31と、該プーリを回転駆動させる電動モータ32と、プリントヘッドHにより印刷を行うことが可能な位置に吸着保持するペーパ保持部D(図3参照)と、このペーパ保持部Dの下流側に配設された圧着型のプリント搬送ローラ33とを備えている。ここで、上記主走査方向Xは、プリントペーパPの幅方向に相当し、副走査方向Yは、プリントペーパPの長手方向に相当する。
【0032】
上記ペーパ保持部Dは、図2及び図6に示すように、表面(上面)に開口する吸引用孔34aを有するガイドプレート34と、上記供給ユニットU1により該ガイドプレート34上に供給されたプリントペーパPを、上記吸引用孔34aを介して吸引することでガイドプレート34の表面上に吸着保持させる吸引手段としてのファン35とを備えている。上記ガイドプレート34は、板状の部材からなり、該ガイドプレート34の裏面(下面)側には、該ガイドプレート34と共に空間を形成する筐体36が配設され、この空間内に上記ファン35が配設されている。そして、上記吸引用孔34aは、ガイドプレート34の厚み方向に貫通して上記空間と連通しており、ファン35の作動により吸引用孔34aを介してガイドプレート34の表面側に負圧が生じ、このことでプリントペーパPがガイドプレート34の表面上に吸着保持されることになる。
【0033】
また、上記ガイドプレート34には、印刷時にインクの増粘を防止するためにプリントヘッドHのノズル(図示省略)から吐出される少量のインクを受け止めるフラッシング部37と、印刷していない場合のプリントヘッドHの待機位置に設けられて、インクの増粘防止のために該プリントヘッドHのノズルからインクを吸引するように構成されたキャップ部(図示省略)と、が設けられている。
【0034】
上記フラッシング部37は、ガイドプレート34に形成された開口部37aと、該ガイドプレート34の下側に、該開口部に連通するような空間を形成する筐体(図示省略)と、を備えており、該筐体はプリンタAの排出側下部に設けられた廃液タンク7に連通しているとともに、筐体内部の空気を上記ファン35によって吸引できるように構成されている。また、上記開口部37aには、インクを吸収可能なスポンジ状のインク吸収材37bが配設されていて、このインク吸収材37bに染み込んだインクも、上記空間内に溜まるようになっている。これにより、上記フラッシング部37の開口部37aに向かって吐出されるインクは筐体内に吸い込まれて、廃液タンク7へと導かれることになる。
【0035】
なお、上記キャップ部については、特に図示しないが、内部を負圧にされた空間を有していて、該空間内に上記プリントヘッドHのノズルから微量のインクを吸い出すように構成されている。これにより、該ノズルでインクが増粘して、吐出しにくくなるのを防止することができる。ここで、上記キャップ部の空間は、後述するインク供給系の空気加圧部56としてのポンプを利用することで、内部が負圧になるようになっている。
【0036】
上記ガイドプレート34には、さらに、略矩形状の縁取り孔34bがペーパーPの幅方向に所定の間隔をあけて複数形成されている。具体的には、この縁取り孔34bは、ペーパーPをガイドプレート21上に載置したときに、該ペーパPの幅方向両端で該縁取り孔34bの一部が露出するような位置に形成されていて、用紙サイズ(例えば、A4,B5等)に応じて複数設けられている。
【0037】
このようにすれば、ペーパーPに対して縁無しプリントを行うときに、プリントヘッドHからペーパーPの幅方向の端縁に吐出したインクの一部がペーパーPからはみ出したとしても、そのはみ出したインクは縁取り孔34bから排出されることとなり、ガイドプレート34表面にインクが付着してプレート34表面が汚れるのを防止することができる。
【0038】
上記プリントヘッドHは、図4に示すように、その底面(ガイドプレート34と対向する面)に、多数のインク吐出ノズルが設けられたヘッドユニット38,38,…が副走査方向に2段に並んで配設されている(ヘッドユニット38は2段である必要はなく、1段や3段以上であってもよい)。
【0039】
上記各ヘッドユニット38は全て同一構成であり、各々、主走査方向Xに配設された上記各色のインクを吐出する7つのノズルアレイから構成されている。各ノズルアレイには、インク吐出ノズルが副走査方向Yに列状に配設されている。これにより、各ヘッドユニット38は、単体でカラー画像を形成可能な構成とされている。そして、ペーパ搬送の各ステップ毎に、プリントヘッドHが主走査方向Xに走査され、このとき、主走査方向Xの各位置で、各ヘッドユニット38は、各色の所定のインク吐出ノズルからインクを同時に吐出する。ここで、本実施形態におけるインク吐出ノズルは、インクの充填された圧力室内の容積をピエゾ素子によって変動させることでインクを吐出する一般的なピエゾ方式のものである。
【0040】
上記カッターユニットU3は、回転刃41を備えていて、該回転刃41を回転させながらプリントペーパPの搬送方向所定位置で幅方向に移動させることで、該プリントペーパPを所定のサイズに切断するように構成されている。また、上記カッターユニットU3は、上記回転刃4の搬送下流側に位置し、切断後のペーパーPを送り出すための切断後搬送ローラ42を備えている。この切断後搬送ローラ42の回転によりペーパーPは搬送下流側の裏面印字ユニット4に搬送される。
【0041】
また、上記カッターユニットU3の下方には、切断後のペーパーPの切り屑を回収するためのカッター屑回収箱70が配設されている。このカッター屑回収箱70は、ペーパーPの排出方向(図6では右方向)に沿ってスライド自在で且つ装置本体から離脱自在に構成され、ユーザーがカッター屑を容易に廃棄できるようになっている。
【0042】
また、上記カッター屑回収箱70の手前側(図6では右側)には取っ手71が取り付けられている。そして、カッター屑回収箱70の手前側は、透明なプラスチック材料で形成され、切り屑の収容状態が目視確認できるようになっている。
【0043】
上記排出ユニットU4は、プリントペーパPの裏面に整理番号等を印字するための裏面印字ユニット4よりも下流側に設けられていて、プリントペーパPを搬送するとともに、該プリントペーパPのカールをとる複数の圧着型排出ローラ46,46,…からなるデカール部45を有している。このデカール部45は、プリントペーパPに付いたカールとは反対側に該ペーパPが曲げられて凸となるように圧着ローラ46,46,…及びガイド47,48を配置したもので、これにより、該プリントペーパPのカールをとることができ、トレイ5上にほとんどカールのないペーパPを排出することができる。
【0044】
なお、上述のとおり、プリンタAには、ロール状に巻かれたペーパーPとは別に、ユーザーが手差しでペーパーPを供給するための手差し供給ユニットU5が設けられていて、この手差し供給ユニットU5は、装置上部の搬送方向上流側に設けられるトレイ81と、その搬送方向下流側に位置する搬送ローラ82とを備えていて、該搬送ローラ82の回転により手差しトレイ81上のペーパーPが手差しガイド83に沿って搬送駆動ローラ24と一対の圧着ローラ25,25との間に挟み込まれるように搬送される。
【0045】
ここで、上記手差しトレイ81から搬送されたペーパーPにはカールが付いていないため、このペーパーPを上記排出ユニットU4のデカール部45に送ると、カールが付いてしまうこととなる。そこで、ペーパーPが手差しトレイ81から供給されたものであるかペーパー収容部1から供給されたものであるかを判定する図示しない判定手段を設け、判定結果に基づいて、ペーパPの搬送経路を切り替えるように制御するのが好ましい。例えば、手差しトレイ81から供給されたペーパーPに対しては、デカール部45を通過させずに排出トレイ5に排出するように制御すればよい。
【0046】
−インク供給系−
図7に示すように、上記プリンタAのインク供給系は、プリンタAの左右両側に位置するインク貯留部3のインクカートリッジ62内のインクを電磁弁50及び供給管路51を介してサブタンク52に供給し、このサブタンク52のインクをフレキシブル管路53を介してプリントヘッドHに送り出すように構成されている。具体的には、上記インクカートリッジ62からサブタンク52までは、後述の空気加圧部56によって供給される加圧空気により送り出される一方、該サブタンク52からプリントヘッドHまでは、該プリントヘッドHのノズルからインクを吐出した場合にピエゾ素子によって該ノズルの圧力室(図示省略)内に生じる負圧により流れることになる(インクを吐出するまでは、インクが規定量だけ充填されて膨張したサブタンク52内の圧力によってノズルに対する供給圧が所定の圧力に維持されてプリントヘッドHに供給されている)。なお、上記サブタンク52は、上記プリントヘッドHに対して適切な圧力でインクが供給されるように、該プリントヘッドHに対して所定の高さ位置に取り付けられている。
【0047】
上述のようにインク供給系を構成することで、インクカートリッジ62のインクは一旦サブタンク52内に貯留されて、該サブタンク52からプリントヘッドHに供給されることになるため、印刷を中断することなくインクカートリッジ62を交換できる。しかも、上記サブタンク52は、圧力ダンパとしての役割も果たすため、上記インクカートリッジ62で生じたインクの圧力変動が上記プリントヘッドHに直接、伝わるのを防止することができ、該プリントヘッドHに過大な圧力が作用してインク漏れ等が生じるのを防止することができる。尚、上記図7では1つのインク供給系だけが示されているが、実際には、色相が互いに異なる7種類のインクに対応して7つのインク供給系が形成されている。
【0048】
上記インクカートリッジ62は、柔軟な素材を用いて袋状に形成されたインクタンク62Tを樹脂製のケースに格納して構成されている。このインクカートリッジ62は、上記ケース内部に対して空気供給路55を介して加圧空気を供給する空気加圧部56と、該ケース内部に供給される空気圧を調節する調圧弁57とを更に備えている。このような構成において、上記ケース内部を所定の圧力にすることで、上記インクタンク62Tから所定量のインクを供給管路51内に供給することができる。
【0049】
上記サブタンク52も樹脂シート等の可撓性を有する柔軟な素材を用いて袋状(袋体)に形成されたもので、詳しくは後述するように、その内部空間が2つのタンク室52b,52b(中継タンク)に区切られており、2つのタンクが一体に繋がった構成になっている。そして、該タンク室52b,52bには、それぞれ、上記供給管路51及びフレキシブル管路53に連結される導入管部52c(導入管)及び供給管部52d(供給管)が設けられていて、これにより、2つのタンク室52b,52bにはそれぞれ色相の異なるインクを一時貯留できるようになっている。
【0050】
上記サブタンク52は、インクジェットプリンタAの搬出側から見て左側に設けられた概略箱状の収納部54内に立設されていて(図7では1つのサブタンク52を配置するための収納部を模式的に示す)、上記サブタンク52近傍(本実施形態ではサブタンク52の側面上方)には、該サブタンク52の2つのタンク室52b,52bの厚み方向の変形量に応じて検出信号を出力するサブタンクセンサS,Sが配設されている。
【0051】
ここで、上記収納部54は、上記サブタンク52の一方の面を、上下方向に延びて下端部で該収納部54にサブタンク52の厚み方向に揺動可能に支持された2枚の板部材54a,54aによって支えるように構成されている。この板部材54a,54aは、上記サブタンク52のタンク室52b,52bの腹部分(最も厚み方向に膨張する部分)に対応するように配置されている。また、上記収納部54のタンク長手方向の両壁部には、上記サブタンク52を収納した状態で、該サブタンク52のタンク室52b,52bに連通するように設けられた導入管部52c及び供給管部52dの突出部分を避けるように切り欠きが形成されている。
【0052】
上記サブタンクセンサS,Sは、上記サブタンク52のタンク室52b,52bの腹部分(最も厚み方向に膨張する部分)に対応して配置された上記板部材54a,54aの上部に接触するように配設されていて、該タンク室52b,52bの膨張若しくは収縮に伴ってサブタンク52の側面がタンクの厚み方向に変位した場合に、この変位に応じた上記板部材54a,54aの傾動を検出するようになっている。
【0053】
具体的には、上記サブタンク52のタンク室52b,52b内のインク残量が所定量(例えば9ml)以下になると、上記タンクセンサS,Sは板部材と非接触状態になるように配設されている。そのため、この場合には、インク残量が適切な量(上記規定量、例えば10ml)になるように、上記電磁弁50を作動させて開状態にし、サブタンク52のタンク室52b,52b内にインクを供給する。一方、上記サブタンク52のタンク室52b,52b内に適切な量のインクが充填されている場合には、上記タンクセンサS,Sが板部材に接触するように構成されているため、その場合には、上記電磁弁50を作動させて閉状態にし、サブタンク52のタンク室52b,52bへのインクの供給を停止する。
【0054】
なお、インク貯留部3には、該インク貯留部3にインクカートリッジ62が存在するか否かを判別する着脱センサ58が設けられている。
【0055】
−サブタンク−
以下で、上記サブタンク52の構造について詳細に説明する。
【0056】
上記サブタンク52は、上述のとおり、樹脂シート等の柔軟な素材を用いて袋状に形成されたもので、内部に充填されるインクの液量によって厚み方向に膨張・収縮を繰り返すように構成されている。具体的には、上記サブタンク52は、例えば2枚の樹脂シートの上辺及び下辺をそれぞれ溶着して筒状に形成した後、その内部空間を2つに区切るように筒軸方向の略中央部分を溶着して、筒軸方向両端の開口部内に2つの管部52c,52dが一体形成された樹脂製の封止部材52a,52aを位置付けてシートに溶着することにより得られるもので、1つのサブタンク52に2つのタンク室52b,52bが形成されている(図7参照)。
【0057】
そして、上述のような封止部材52a,52aを設けることで、それぞれのタンク室52b,52bに対して、色相の異なるインクを一時的に貯留したりプリントヘッドHに対して供給したりすることができるため、従来のサブタンクに比べて取付スペースを小さくすることができる。しかも、2色分のインクタンクを1回の作業で取り付けることができるため、1色分のサブタンクをそれぞれ取り付ける場合に比べて取付作業を軽減することができる。
【0058】
また、上記タンク室52b,52bへのインクの流入出口としての導入管部52c及び供給管部52dを上記封止部材52aに一体形成することで、該2つの管部52c,52dはタンク室52bに対して一方側に並んで設けられることになり、それらの管部52c,52dにそれぞれ繋がる供給管路51及びフレキシブル管路53の配管の取り回しを一方にまとめることができるため、サブタンク52の配置のためのスペースを省スペース化することができる。これにより、装置全体の小型化を図れる。
【0059】
しかしながら、上述のように、サブタンク52の内部を区切って2つのタンク室52b,52bを形成すると、1つのタンク室を形成する場合に比べて樹脂シートの厚み方向の最大変形量が小さくなって、インクを供給しても十分に膨らまなくなる可能性がある。
【0060】
そうすると、例えば、インク供給系内の空気を無くすために一旦、タンク室52b,52b内を真空状態にしてからインクを供給する装置初期動作時において、真空状態のタンク室52b,52b内へインクカートリッジ62,62からインクを供給しても、供給されるインクによってサブタンク52は十分に膨らまず、その状態でプリントが開始されると、インクはそのままプリントヘッドH側へ流れることになるため、サブタンク52は圧力ダンパとして機能することなくプリントヘッドH側にインクの圧力変動が直接、伝わって、インク漏れ等の不具合を生じる可能性がある。
【0061】
また、初期起動時だけでなく、印刷中などの運転状態にある場合でも、上記サブタンク52はインクの流入及び流出によって膨張・収縮を繰り返しているため、該サブタンク52がインクによって十分に膨張しなければ、タンク室52b,52b内全体にインクが行きわたらずに該タンク室52bの出入り口付近のみで移動することになり、圧力ダンパとしての機能を失い、過大なインク供給圧をプリントヘッドH側に伝えることになってしまう。
【0062】
そこで、本発明の特徴部分として、図8に示すように、上記タンク室52b,52b内に板状の突出部52eを設けて、該タンク室52b,52b内全体をインクが流れるような流路(図中の矢印)を形成した。なお、上記図8には片方のタンク室52bのみを示す。
【0063】
具体的には、上記タンク室52bを封止する上記封止部材52aにおいて、導入管部52c及び供給管部52dの中間位置からタンク室52b内方に延びるような板状の突出部52eを一体形成した。そして、この突出部52eは、上記タンク室52b内を、上記封止部材52aによって封止されている側とは反対側(タンク室奥側)に流通路が形成されるような位置まで延びている。
【0064】
これにより、上記封止部材52aの導入管部52cを介してタンク室52b内に流入したインクは、上記突出部52eによってタンク室52bの奥側まで案内されて、該奥側から封止部材52aによる封止側へ折り返して供給管部52dからプリントヘッドH側へ流れることになる。したがって、流入したインクはタンク室52b内でショートカットして供給管部52d側へ流れることなく上記タンク室52b内全体に行きわたって、サブタンク52を十分に膨張させることができ、圧力ダンパとしての機能を確保することができる。
【0065】
また、上述のような構成にすることで、上記タンク室52b内全体に導入管部52cを介して流入したインクを流すことができるため、該タンク室52b内に古いインクが淀むのを防止することができる。
【0066】
なお、上記突出部52eは棒状であってもよいし、封止部材52aとは別部材であってもよい。また、図9に示すように、管状に形成された管状突出部52fをインク流入側の導入管部52cの開口に連通するように設けてもよい。このような管状の突出部52fを設けるようにすれば、より確実にインクをタンク室52bの奥側まで送り込むことができるため、流入したインクが該タンク室52b内でショートカットして供給管部52dに流れるのを防止して、サブタンク52をより確実に膨らますことができる。
【0067】
ここで、タンク室が1つしかないサブタンク52’において、上述のように該サブタンク52’の一側にのみ導入管部52c及び供給管部52dを並べて設けた場合、該管部52c,52dの設けられていない他側は、剛性の弱いシートのみによって構成されることになるため、容易にめくれたり曲がったりして、インクの充填によるサブタンク52’の膨張が妨げられる可能性がある。
【0068】
そこで、上記図10に示すように、サブタンク52’を収納するための収納部54の壁面に両面テープや接着剤などによる接着領域91を設けて、この接着領域91に上記サブタンク52’の管部52c,52dの設けられていない他側を接着固定すればよい。こうすることで、該サブタンク52’の他側がめくれたり曲がったりするのを確実に防止することができる。なお、上記接着領域91を両面テープによって構成する場合には、上記サブタンク52’の形状を考慮して、厚さ約2mmの両面テープを用いるのが好ましい。
【0069】
また、図11に示すように、上記収納部54に、サブタンク52’の厚み方向に膨出する膨出壁部92を設けるとともに、該膨出壁部92に上下方向に延びるスリット穴93を形成して、該スリット穴93に上記サブタンク52’の他側を差し込むようにしてもよい。こうすれば、上記サブタンク52’の他側はスリット穴93内で保持されるため、該他側がめくれたり曲がったりするのをより確実に防止することができる。
【0070】
さらに、図12に示すように、上記収納部54の壁面上に、2枚の板部材を備えたクリップ94を設けて、該クリップ94の2枚の板部材間に上記サブタンク52’の他側を挟み込むようにしてもよい。
【0071】
以上より、本実施形態によれば、インクカートリッジ62,62,…とプリントヘッドHとの間のインク供給路上に設けられるサブタンク52,52,…において、タンク室52b,52bに連通する導入管部52c及び供給管部52dを一側に並べて設けるようにしたため、該導入管部52c及び供給管部52dに繋がる供給管路51及びフレキシブル管路53の配管スペースを小さくすることができ、プリンタAの小型化を図れる。
【0072】
また、上記サブタンク52,52,…内部に形成されるタンク室52b内に、流入したインクが該タンク室52bの奥側まで流れてプリントヘッドH側に供給されるような流路を形成する板状の突出部52eを設けたため、該タンク室52b内全体にインクが行きわたって、サブタンク52,52,…を十分に膨張させることができる。すなわち、上述のような構成にすることで、インクカートリッジ62,62,…から供給されるインクは上記サブタンク52内に一旦、貯留されて該サブタンク52を十分に膨張させるため、該サブタンク52は圧力ダンパとして機能することになり、これにより、インクカートリッジ62,62,…側のインクの供給圧がプリントヘッドH側に直接、伝わるのを防止することができ、インク供給圧の変動によるノズルでのインク漏れを防止することができる。
【0073】
(その他の実施形態)
本発明の構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、それ以外の種々の構成を包含するものである。すなわち、上記実施形態では、サブタンク52の一部を溶着して2つのタンク室52b,52bを区画形成するようにしているが、この限りではなく、サブタンク52内に1つのタンク室のみを形成するようにしてもよいし、3つ以上のタンク室を形成するようにしてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、タンク室52bの奥側までインクを流すように突出部52e,52fを設けているが、この限りではなく、例えば、上記突出部52e,52fの突出長さをインクが少なくともタンク室52bの中央部分を流れるような長さにしてもよい。すなわち、上記突出部52e,52fは、その先端部がタンク室52bの中央部分よりもタンク室奥側に位置付けられるような長さであればよい。これは、上述のとおり、タンクセンサSがタンク室52bの最も膨張する部分に取り付けられるため、該センサSを正常に作動させるためには、タンク室52bの少なくとも中央部分が十分に膨らむ必要があるからである。
【0075】
さらに、上記実施形態では、管状に形成された管状突出部52fをインク流入側の導入管部52cの開口に連通するように設けているが、これに限らず、インク流出側の供給管部52dの開口に連通するように設けてもよい。こうすれば、タンク室52bの奥側からインクをプリントヘッドH側へ供給できるため、これにより、タンク室52b内でインクを澱ませることなく該タンク室52b内全体にインクを行き渡らせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
以上説明したように、本発明におけるインクジェットプリンタは、インクカートリッジとプリントヘッドとの間のインク供給経路上に設けられるサブタンクにおいて、その一側に導入管部52c及び供給管部52dを並べて設けることによってプリンタの小型化を図れるから、例えば、複数のサブタンクを備えたカラー印刷用のインクジェットプリンタに特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施形態に係るインクジェットプリンタを示す斜視図である。
【図2】インクジェットプリンタの上面図である。
【図3】インクジェットプリンタの正面図である。
【図4】インクジェットプリンタの左側面図である。
【図5】インクジェットプリンタの背面図である。
【図6】プリントペーパの搬送経路を示す模式図である。
【図7】インク供給系の模式図である。
【図8】タンク室内に突出部の設けられたサブタンクの厚み方向略中央位置での断面図である。
【図9】タンク室内に管状突出部の設けられたサブタンクの厚み方向略中央位置での断面図である。
【図10】収納部の壁面上に設けられた接着領域にサブタンクを接着固定する様子を示す斜視図である。
【図11】収納部の膨出壁部に設けられたスリット穴にサブタンクの他側を挿入する様子を示す斜視図である。
【図12】収納部の壁面上に設けられたクリップによってサブタンクの他側を挟持する様子を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0078】
A インクジェットプリンタ
P プリントペーパ(プリント媒体)
H プリントヘッド
50 電磁弁
51 供給管路(インク供給経路)
52 サブタンク(中継タンク)
52a 封止部材
52b タンク室
52c 導入管部(導入管)
52d 供給管部(供給管)
52e 突出部
52f 突出部(管状突出部)
53 フレキシブル管路(インク供給経路)
62 インクカートリッジ
62T インクタンク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクの貯留されたインクカートリッジと、プリント媒体に対してインクを吐出して印刷を行うプリントヘッドと、を接続するインク供給経路上に、可撓性を有するフィルムを袋体に形成してなる中継タンクが設けられたインクジェットプリンタであって、
上記中継タンクには、上記インクカートリッジからインクを導入するための導入管と、上記プリントヘッドにインクを供給するための供給管と、が該中継タンクの一側に並んで設けられていることを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項2】
請求項1において、
上記中継タンクは、導入されたインクを上記導入管及び供給管の接続された上記一側とは対向する側に向かって流すことによりタンクの膨張を促進する膨張促進手段を備えていることを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項3】
請求項2において、
上記膨張促進手段は、上記中継タンク内において、上記一側における上記導入管と供給管との間の位置からタンク内方に向かって延びる突出部であることを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項4】
請求項2において、
上記膨張促進手段は、上記中継タンク内において、上記導入管または供給管のいずれか一方の開口に連通し且つタンク内方に向かって延びる管状突出部であることを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項1】
インクの貯留されたインクカートリッジと、プリント媒体に対してインクを吐出して印刷を行うプリントヘッドと、を接続するインク供給経路上に、可撓性を有するフィルムを袋体に形成してなる中継タンクが設けられたインクジェットプリンタであって、
上記中継タンクには、上記インクカートリッジからインクを導入するための導入管と、上記プリントヘッドにインクを供給するための供給管と、が該中継タンクの一側に並んで設けられていることを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項2】
請求項1において、
上記中継タンクは、導入されたインクを上記導入管及び供給管の接続された上記一側とは対向する側に向かって流すことによりタンクの膨張を促進する膨張促進手段を備えていることを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項3】
請求項2において、
上記膨張促進手段は、上記中継タンク内において、上記一側における上記導入管と供給管との間の位置からタンク内方に向かって延びる突出部であることを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項4】
請求項2において、
上記膨張促進手段は、上記中継タンク内において、上記導入管または供給管のいずれか一方の開口に連通し且つタンク内方に向かって延びる管状突出部であることを特徴とするインクジェットプリンタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−268766(P2007−268766A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−95171(P2006−95171)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】
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