説明

インクジェットプリンタ

【課題】ノズルにかかる圧力を適正値に保ちながらインクを循環させることのできる新たなインク経路を提供する。
【解決手段】記録ヘッド12は、ノズルから液体であるインクを吐出する。インク循環部2は、記録ヘッド12を経由してインクを循環させる循環経路を構成している。補充部4は、循環経路から分岐しているインク補充経路19より当該循環経路へインクを補充する。この補充部14は、大気圧を受けているインクを収容しているインクカートリッジ5からインク補充経路19を介して当該循環経路へインクを補充する。そして、インクを循環させない待機時、及びインクを循環させる循環時において記録ヘッド12のノズルにかかる圧力を、記録ヘッド12のノズル面とインクカートリッジ5との水頭差27によって制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタには、経路内でインクを循環させながらインクジェットヘッドのノズルからインクを吐出して、記録媒体に画像記録を行うものがある。
例えば、特許文献1には、インク循環経路を有しているインクジェットプリンタが開示されている。この循環経路は、インクジェットヘッドと、当該ヘッドより重力方向上方に配置された上方容器と、当該ヘッドより重力方向下方に配置された下方容器と、下方容器のインクを上方容器に送るポンプと、これらを接続するチューブと、によって構成されている。このプリンタでは、インクの循環中における上方容器と下方容器との液面を一定に保ち、ヘッドのノズル面と上方容器及び下方容器各々のインク液面との高低差によって、当該ヘッドのノズルにかかる圧力を適正な範囲に保っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2002−533247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したように、特許文献1のインクジェットプリンタでは、上方容器と下方容器との2つの容器の高さ関係を調整することでノズルに適正な圧力をかけている。しかしながら、このような容器のプリンタ装置筐体内での配置には物理的な制約がある場合が多いため、上記の高さ関係を調整することは困難であり、調整できたとしてもインク循環経路全体が大型化してしまう。
【0005】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、ノズルにかかる圧力を適正値に保ちながらインクを循環させることのできる新たなインク経路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様のひとつであるインクジェットプリンタは、ノズルから液体であるインクを吐出する記録ヘッドと、該記録ヘッドを経由して該インクを循環させる循環経路を構成しているインク循環部と、該循環経路から分岐している補充経路より該循環経路へ該インクを補充する補充部と、を有しており、該補充部は、大気圧を受けている該インクを収容しているインク収容器から該補充経路を介して該循環経路へ該インクを補充し、該記録ヘッドのノズルにおける該インクの非吐出時の圧力を、該記録ヘッドのノズル面と該インク収容器内のインク液面との水頭差によって制御する、というものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ノズルにかかる圧力を適正値に保ちながらインクを循環させることのできる新たなインク経路をインクジェットプリンタに提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態に係るインクジェットプリンタ1のインク経路の構成を概略的に示した図である。
【図2】待機時とインク循環時とにおける、インクジェットプリンタ1のインク経路上の各場所での圧力の第1の例を図解した図である。
【図3】待機時とインク循環時とにおける、インクジェットプリンタ1のインク経路上の各場所での圧力の第2の例を図解した図である。
【図4】第1の実施形態に係るインクジェットプリンタ1におけるインクカートリッジ5の下降動作を説明する図である。
【図5】インクカートリッジ5の下降前と下降後のインクジェットプリンタ1のインク経路上の各場所での圧力を図解した図である。
【図6】第2の実施形態に係るインクジェットプリンタ1のインク経路の構成を概略的に示した図である。
【図7】第3の実施形態に係るインクジェットプリンタ1のインク経路の構成を概略的に示した図である。
【図8】待機時とインク循環時とにおける、インクジェットプリンタ1のインク経路上の各場所での圧力の第3の例を図解した図である。
【図9】待機時とインク循環時とにおける、インクジェットプリンタ1のインク経路上の各場所での圧力の第4の例を図解した図である。
【図10】第3の実施形態に係るインクジェットプリンタ1におけるインクカートリッジ5の上昇動作を説明する図である。
【図11】インクカートリッジ5の上昇前と上昇後のインクジェットプリンタ1のインク経路上の各場所での圧力を図解した図である。
【図12】第4の実施形態に係るインクジェットプリンタ1のインク経路の構成を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
なお、これより説明するいずれの実施形態に係るインクジェットプリンタにおいても、例えば、シアン(C)、ブラック(K)、マゼンダ(M)、及びイエロー(Y)の4種類の色のインクを用いて記録媒体に画像記録を行う。従って、インク経路もインク色毎に同様のものを備えているが、以下の説明においては、代表的に1色のインクに係るインク経路のみの構成を説明するものとする。
【0010】
また、インクジェットプリンタは、記録媒体を供給する供給部、供給された記録媒体を搬送する搬送部、画像形成後の記録媒体を搬出する排出部、記録ヘッドのクリーニングを行うクリーニング部、インク吐出制御等の装置全体を制御する装置制御部等を備えている。これより説明するいずれの実施形態に係るインクジェットプリンタにおいても、このような、インクジェットプリンタが通常備えている構成要素を備えている。但し、インクジェットプリンタの構成を表した後述の各図面では、これらの構成要素についての描画を省略している。
【0011】
〔第1の実施形態〕
まず図1について説明する。図1は、本実施形態に係るインクジェットプリンタ1のインク経路の構成を概略的に示したものである。
【0012】
このインクジェットプリンタ1のインク経路は、液体であるインクを循環させるインク循環部2と、インク循環部2にインクを補給するための補充部4とを備えており、この両者が接続部17において接続されて構成されている。
【0013】
まず、インク循環部2について説明する。
インク循環部2は、ヘッド部8、ポンプ9、ポンプ9の流出側とヘッド部8の流入側とを接続する第1のインク経路13、及び、ポンプ9の流入側とヘッド部8の流出側とを接続する第2のインク経路14を備えて構成されている。
【0014】
なお、図1に示した破線矢印は、インク循環部2においてインクを循環させるときのインクが流れる方向を示している。すなわち、インク循環部2では、ポンプ9によって送液されたインクが第1のインク経路13を介してヘッド部8に供給される。そして、ヘッド部8で使用(吐出)されなかったインクが、第2のインク経路14を介してポンプ9へ帰還する。つまり、インク循環部2では、ポンプ9と、第1のインク経路13と、ヘッド部8と、第2のインク経路14とにより、ヘッド部8の記録ヘッド12を経由する循環経路が構成されており、ヘッド部8に対して密閉された経路内でインクを循環させている。
【0015】
次に、インク循環部2の個々の構成について説明する。
ヘッド部8は記録ヘッド12を有しており、外部から入力された画像信号に基づいて記録ヘッド12のノズルから液体であるインクを吐出することで記録媒体に対して画像を記録する。なお、本実施形態では、ヘッド部8は、記録ヘッド12を複数備えてラインヘッドを構成している。もちろん、ヘッド部8は、ラインタイプ(ラインヘッド)の構成に限定されるものではなく、シリアルタイプ(シリアルヘッド)の構成であってもよい。
【0016】
ポンプ9は、ヘッド部8にインクを送液すると共に、ヘッド部8の記録ヘッド12で吐出されなかったインクを帰還させてインク循環部2の循環経路でインクを循環させるためのものである。従って、ポンプ9の送液能力は、第1のインク経路13を経てヘッド部8に供給するインク量が記録ヘッド12のノズルから吐出されるインク量を上回るように設定されている。また、このポンプ9は、インク循環中は、常に駆動されている。
【0017】
なお、ポンプ9によってインクを循環させる際、その揚水圧が脈動変化すると、インク循環部2を流れるインクの流量と、ヘッド部8(より具体的には記録ヘッド12のノズル)にかかる圧力とが脈動変化する。このため、ヘッド部8にかかる圧力を安定させるために、脈動が少ない、又は無脈動のポンプを使用することが望ましい。また、上記に加えてインクは、温度によって粘性が変化することが知られている。このため、インクの粘性の変化に起因するヘッド部8(記録ヘッド12のノズル)にかかる圧力変化を生じさせないポンプ(定圧ポンプ)を使用することがさらに望ましい。
【0018】
第1のインク経路13には、フィルタ11とインク分配器15とが途中に備えられている。
フィルタ11は、ヘッド部8に供給されるインクに含まれる異物を除去して、ノズルの目詰まり等に起因する画像形成の不良を防止するために設けられている。なお、フィルタ11は、後述のインク補充経路19に備えるようにしてもよく、あるいは、後述の分岐後経路29に設けられてもよい。
【0019】
インク分配器15は、ヘッド部8に備えられている複数の記録ヘッド12の各々の流入口と接続されており、ポンプ9から送られてきたインクを記録ヘッド12の各々に略均等に分配する。
【0020】
このように、第1のインク経路13では、ポンプ9から供給されたインクが、フィルタ11によって異物が除去された後に、インク分配器15によってヘッド部8の複数の記録ヘッド12に供給される。なお、複数の記録ヘッド12を用いない場合などでは、インク分配器15を設けなくてもよい。
【0021】
第2のインク経路14には、インク回収器16と温度調整部18とが途中に備えられている。
インク回収器16は、ヘッド部8の複数の記録ヘッド12の流出口と接続されており、ポンプ9から送られてきたインクのうちで記録ヘッド12のノズルから吐出されなかったものをまとめて回収する。
【0022】
温度調整部18は、インク循環部2を流れるインクの温度を適正な範囲となるように調整する。このために、インク循環部2には、インクの温度を検出する不図示の温度検出部が備えられている。この温度検出部が検出したインクの温度が適正な範囲より低い場合には、温度調整部18がインクを加熱し、この温度検出部が検出したインクの温度が適正な範囲より高い場合には、温度調整部18がインクを冷却する。なお、温度調整部18を、第2のインク経路14に備える代わりに、第1のインク経路13の途中に備えるようにしてもよい。
【0023】
また、第2のインク経路14には、補充部4と接続するための接続部17が設けられている。詳細は後述するが、ヘッド部8からインクが吐出されたことでインク循環部2内のインクが減少すると、減少分のインクが、補充部4から接続部17を介して補充される。
【0024】
なお、以下の説明では、第2のインク経路14のうち、ヘッド部8の流出口から接続部17までのインクの経路を分岐前経路21と称し、接続部17からポンプ9の流入口までインクの経路を分岐後経路29と称することとする。
【0025】
このように、第2のインク経路14では、ヘッド部8で吐出されなかったインクをインク回収器16が回収し、回収したインクの温度を温度調整部18で適正な温度に調整してポンプ9へと帰還させる。また、第2のインク経路14では、インク循環部2内のインクが減少すると、減少分のインクが補充部4から補充される。なお、複数の記録ヘッド12を用いない場合などでは、インク回収器16を設けなくてもよい。
【0026】
次に、補充部4について説明する。補充部4は、ヘッド部8からの吐出によって減少した分のインクを、インク循環部2で構成されている循環経路へ、前述の接続部17において当該循環経路から分岐しているインク補充経路19より補充する。
【0027】
補充部4は、インクが充填されているインクカートリッジ5、インクカートリッジ5を着脱可能に保持するホルダ60、及び、ホルダ60とインク循環部2とを接続するインク補充経路19を備えている。
【0028】
インクカートリッジ5はインクを収容しているインク収容器であるが、本実施形態のインクカートリッジ5は、収容されているインクが大気圧を受けるような構成を有している。このような構成を有するインクカートリッジ5には、例えば、液体であるインクが充填されている袋体のもの、あるいは、ホルダ60に装着されると容器内部が大気開放される構造を有するものなどがある。本実施形態では、このようなものをインクカートリッジ5として使用する。
【0029】
ホルダ60は、記録ヘッド12よりも重力方向下方に配置されている。このホルダ60には、インクカートリッジ5の供給口6と接続するためのジョイント部7が設けられている。ジョイント部7は、インク補充経路19を介して第2のインク経路14上の接続部17と接続されている。ジョイント部7とインクカートリッジ5の供給口6とが接続されると、インクカートリッジ5内のインクが、インク補充経路19を介して第2のインク経路14のインクと連通する。なお、前述したように、インク補充経路19は、インク循環部2の循環経路における記録ヘッド12とポンプ9の流入側との間に配置されている接続部17において循環経路から分岐している。
【0030】
記録ヘッド12がインクの吐出を行うと、インク循環部2の循環経路内のインクの量が減って循環経路内の圧力が減圧される。換言すれば、インク循環部2は、密閉された循環経路となっているため記録ヘッド12からインクが吐出されると、吐出されたインク量だけ循環経路内の圧力が減圧される。すると、大気圧を受けているインクが、その減少分だけインクカートリッジ5から押し出されてインク補充経路19を通りインク循環部2に補充される。そして、循環経路内の圧力が所定の圧力になると、インクカートリッジ5からインクが補充されなくなる。
【0031】
このように形成されたインクジェットプリンタ1のインク経路において、待機時、すなわちポンプ9を動作させていないときには、循環経路をインクが流れない。
この待機時において、記録ヘッド12には、記録ヘッド12のノズル面の位置61とインクカートリッジ5の位置25との高低差(水頭差)27によって生じる水頭差圧が与えられる。以下の説明では、この水頭差圧を「第1の圧力」と称することとする。
【0032】
第1の圧力の値は、待機時において記録ヘッド12からインクが吐出する(重力方向に垂れ落ちる)ことがないようにするために、記録ヘッド12のノズル内に形成させたメニスカスを破壊しないような範囲の圧力、つまり、所定範囲の負圧にする必要がある。この圧力(負圧)の範囲はインクの物性により決まるものである。本実施形態では、第1の圧力がこのような値の範囲内となるように、インクカートリッジ5を水頭差27の分だけ記録ヘッド12よりも重力方向の下方の位置に配置している。
【0033】
次に、この状態でポンプ9を駆動してインクの循環を開始させると、第1のインク経路13及び分岐前経路21はポンプ9によって加圧される。このとき、記録ヘッド12には第1の圧力とは異なる第2の圧力が与えられるようになる。この第2の圧力の値は、インク循環時において記録ヘッド12からインク吐出に適した範囲の圧力にする必要がある。つまり、第2の圧力は、所定範囲の負圧にする必要がある。なお、本実施形態の記録ヘッド12は、第1の圧力、及び第2の圧力が0〜−2[KPa]の範囲内にある時、待機時における記録ヘッド12のノズル内に形成させたメニスカスが破壊されず、またインク循環時おける記録ヘッド12からインクが適正に吐出される。
【0034】
ここで図2及び図3について説明する。図2及び図3は、それぞれ、待機時とインク循環時とにおける、インクジェットプリンタ1のインク経路上の各場所での圧力の第1の例及び第2の例を図解したものである。なお、図2に示した第1の例と図3に示した第2の例とは、ポンプ9の揚水圧力が異なっている。すなわち、図3の第2の例では、インクの循環流量を増加させるために、揚水圧力が図2の第1の例よりも高いポンプ9を使用した場合における、インク経路上の各場所での圧力を表している。
【0035】
図2及び図3に示した直交軸において、横軸は、本実施形態に係るインクジェットプリンタ1のインク経路上の各場所を表している。この横軸は、より具体的には、第1のインク経路13、記録ヘッド12のノズル孔、分岐前経路21、接続部17、及び分岐後経路29の各場所を表している。また、縦軸は、その場所での圧力を表している。更に、図2及び図3の各々に示されている黒丸(●)印は待機時(インクが流れておらず循環していない状態)における圧力を表しており、バツ(×)印はインクの循環時における圧力を表している。
【0036】
まず、図2の第1の例において待機時は、インクが循環していないためインク経路上のいずれの場所においても高低差(水頭差)27によって生じる第1の圧力がかかる。この第1の圧力は、前述した適正な圧力範囲内となるように設定されている。つまり、待機時においては、記録ヘッド12のノズル孔には、適正な圧力(負圧)がかかっている。
【0037】
また、図2の第1の例においてインク循環時は、ポンプ9の駆動によってポンプ9の流出側に接続されている第1のインク経路13にかかる圧力は正圧方向に上昇する。すると、これに伴い、記録ヘッド12のノズル孔にかかる圧力は第1の圧力から第2の圧力へと正圧方向に上昇し、また、分岐前経路21における圧力も正圧方向に上昇する。但し、インクカートリッジ5の接続部17における圧力は、水頭差27によって生じる第1の圧力のまま変化しない。一方、ポンプ9の流入側に接続されている分岐後経路29内での圧力は負圧側に大きくなる。ここで、記録ヘッド12のノズル孔にかかる圧力は第1の圧力から第2の圧力へと正圧方向に上昇するが、この第2の圧力は、図2の場合では、前述した適正な圧力範囲内になっている。そのため、記録ヘッド12から適正にインクを吐出することができる。
【0038】
一方、図3の第2の例は、インク循環時に図2に示した第1の例よりインクの循環流量を増加させている。つまり、図3の第2の例は、揚水圧力が図2の第1の例よりも高いポンプ9を使用している。この場合、待機時は、図2と同様にインク経路上のいずれの場所においても高低差(水頭差)27によって生じる第1の圧力がかかる。つまり、待機時においては、記録ヘッド12のノズル孔には、適正な圧力(負圧)がかかっている。
【0039】
インク循環時は、図2の場合と比較し、接続部17を除く上述の各場所における圧力の待機時からの変化量が大きくなる。換言すれば、図2の場合と比較し、第1のインク経路13、ノズル孔、分岐前経路21における圧力はより正圧側に大きくなり、分岐後経路29における圧力はより負圧側に大きくなる。その結果、記録ヘッド12のノズル孔にかかる圧力、すなわち第2の圧力が、適正圧力範囲内から逸脱し、負圧でなくなってしまう場合がある。この第2の圧力が負圧でなくなると、記録ヘッド12から適正にインクを吐出することができなくなったり、意図せずにノズル孔からインクが垂れ落ちてしまうことになる。
【0040】
そこで、このような場合は、図4に図解するように、インクの循環動作を開始させるときに、不図示のインクカートリッジ昇降機構によってインクカートリッジ5を重力方向下方に下降させる。つまり、この下降操作によって、インクカートリッジ5を位置25から位置26に変更する。すると、記録ヘッド12のノズル面とインクカートリッジ5との水頭差が水頭差27から水頭差28に変化する。この時のインクジェットプリンタ1のインク経路上の各場所での圧力を図5に示す。なお、図5において▲印は、インクカートリッジ5を下降させる前における圧力を表しており、△印は、インクカートリッジ5を下降させた後における圧力を表している。
【0041】
前述したようにインクカートリッジ5を重力方向下方に下降する前では、図5に示すように、記録ヘッド12のノズル孔にかかる圧力(下降前の第2の圧力)が、適正圧力範囲内から逸脱している。そこで、インクカートリッジ5を位置25から位置26に下降させると、インクカートリッジ5を下降させた分だけ接続部17にかかる圧力が負圧側に大きくなる(移動する)。これに伴い、第1の経路13にかかる圧力、記録ヘッド12のノズルにかかる圧力、分岐前経路21にかかる圧力、分岐後経路29にかかる圧力も負圧側に遷移する。これによってインクカートリッジ5を下降する前では、記録ヘッド12のノズルにかかる圧力(下降前の第2の圧力)が正圧であったが、インクカートリッジ5を下降させることによって記録ヘッド12のノズルにかかる圧力(下降後の第2の圧力)を適正圧力範囲である適正な圧力(負圧)にすることができる。従って、記録ヘッド12から適正にインクを吐出することができる。インクの循環動作を終了し、待機状態に戻す場合は、インクカートリッジ5をインクカートリッジ昇降機構によって位置26から位置25に上昇させる(図4)。これによって、インク経路上のいずれの場所においても高低差(水頭差)27によって生じる第1の圧力(下降前の第1の圧力)がかかる。この第1の圧力は、前述した適正な圧力範囲内となるように設定されている。つまり、待機時においては、記録ヘッド12のノズル孔には、適正な圧力(負圧)がかかっている。
【0042】
なお、インクカートリッジ5は、記録ヘッド12のノズルにかかる圧力が適正圧力範囲となるように予め定められた値(高さ)だけ下降させる。また、前述したように、記録ヘッド12がインクの吐出を行うと、インク循環部2の循環経路内のインクの量が減って循環経路内の圧力が減圧される。一方、記録ヘッド12のノズル孔にかかる圧力が負圧側に余りに大きいと、以降の記録ヘッド12のインク吐出動作に支障を生じることがある。従って、インクカートリッジ5の位置に変更することによって生じる水頭差は、インクの吐出による上記の減圧が生じても、記録ヘッド12のノズル孔にかかる圧力が適正圧力範囲を逸脱しないように設定するとよい。
【0043】
以上のように、本実施形態では、待機時及びインク循環時における記録ヘッド12のノズルにかかる圧力を、記録ヘッド12のノズル面とインクカートリッジ5との水頭差によって制御する。このようにすることで、記録ヘッド12のノズルにかかる圧力を適正値に保ちながら、インクを循環させることのできるインク経路を備えたインクジェットプリンタ1を提供することができる。
【0044】
なお、上述した実施形態においては、インクカートリッジ5を重力方向下方に下降させて圧力の調整を行うようにしていた。この代わりに、インクカートリッジ5の位置を固定し、記録ヘッド12を重力方向上方に上昇させて圧力の調整を行うようにしてもよい。
【0045】
〔第2の実施形態〕
次に図6について説明する。図6は、本実施形態に係るインクジェットプリンタ1のインク経路の構成を概略的に示したものである。
【0046】
図6に示した構成要素において、図1に示した第1の実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付している。これらの構成要素については詳細な説明を省略する。
この図6に示した構成は、インクの循環経路における第1のインク経路13上のフィルタ11とインク分配器15との間に、バッファ22が備えられている点のみにおいて、図1に示した第1の実施形態に係る構成と異なっている。
【0047】
バッファ22は、内部にインクを溜めるインク溜め部と空気を溜める空気溜め部とを有し、循環経路内での圧力の過渡変動を空気溜め部が吸収する。このバッファ22を備えると、循環経路でインクを循環させるポンプ9として無脈動ポンプを使用しなくても、インク循環部2を流れるインクの流量と記録ヘッド12のノズルにかかる圧力との脈動変化を、バッファ22で吸収することが可能になる。
【0048】
この図6のインク経路における待機時及びインク循環時の動作は、第1の実施形態におけるものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
なお、図6の構成において、フィルタ11をバッファ22内部に備えるようにして、ポンプ9から排出されたインクから異物を除去したものを、バッファ22内部で溜めるようにしてもよい。
【0049】
〔第3の実施形態〕
次に図7について説明する。図7は、本実施形態に係るインクジェットプリンタ1のインク経路の構成を概略的に示したものである。
【0050】
図7に示した構成要素において、図1に示した第1の実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付している。
この図7に示した構成は、補充部4と接続するための接続部31が第1のインク経路13に設けられている点において、図1に示した、補充部4と接続するための接続部17が第2のインク経路14に設けられている第1の実施形態に係る構成と異なっている。
【0051】
図7に示した本実施形態に係るインクジェットプリンタ1のインク経路は、液体であるインクを循環させるインク循環部2と、インク循環部2にインクを補給するための補充部4とを備えており、この両者が接続部31において接続されて構成されている。
【0052】
なお、図7に示した破線矢印は、インク循環部2においてインクを循環させるときのインクが流れる方向を示している。すなわち、インク循環部2では、ポンプ9によって送液されたインクが第1のインク経路13を介してヘッド部8に供給される。そして、ヘッド部8で使用(吐出)されなかったインクが、第2のインク経路14を介してポンプ9へ帰還する。つまり、インク循環部2では、ポンプ9と、第1のインク経路13と、ヘッド部8と、第2のインク経路14とにより、ヘッド部8の記録ヘッド12を経由する循環経路が構成されており、ヘッド部8に対して密閉された経路内でインクを循環させている。
【0053】
次に、インク循環部2の個々の構成について説明する。但し、これらの構成のうち、図1に示した第1の実施形態と同一の符号を付した、第1の実施形態と同一の構成要素については、詳細な説明を省略する。
【0054】
前述したように、第1のインク経路13には、補充部4と接続するための接続部31が設けられている。詳細は後述するが、ヘッド部8からインクが吐出されたことでインク循環部2内のインクが減少すると、減少分のインクが、補充部4から接続部17を介して補充される。
【0055】
なお、以下の説明では、第1のインク経路13のうち、ポンプ9の流出口から接続部31までのインクの経路を分岐前経路30と称し、接続部31からヘッド部8の流入口までインクの経路を分岐後経路32と称することとする。従って、本実施形態に係るインクジェットプリンタ1では、フィルタ11は分岐後経路32に備えられている。なお、フィルタ11をインク補充経路19に設けてもよい。
【0056】
次に、補充部4について説明する。本実施形態では、補充部4は、ヘッド部8からの吐出によって減少した分のインクを、インク循環部2で構成されている循環経路へ、前述の接続部31において当該循環経路から分岐しているインク補充経路19より補充する。なお、この補充部4は、第1の実施形態と同様に、インクが充填されているインクカートリッジ5、インクカートリッジ5を着脱可能に保持するホルダ60、及び、ホルダ60とインク循環部2とを接続するインク補充経路19を備えている。
【0057】
インクカートリッジ5はインクを収容しているインク収容器であるが、本実施形態のインクカートリッジ5も、第1の実施形態におけるものと同様に、収容されているインクが大気圧を受けるような構成を有している。
【0058】
ホルダ60は、第1の実施形態におけるものと同様に、記録ヘッド12よりも重力方向下方に配置されている。このホルダ60には、インクカートリッジ5の供給口6と接続するためのジョイント部7が設けられている。ジョイント部7は、本実施形態では、インク補充経路19を介して第1のインク経路13上の接続部31と接続されている。ジョイント部7とインクカートリッジ5の供給口6とが接続されると、インクカートリッジ5内のインクが、インク補充経路19を介して第1のインク経路13のインクと連通する。なお、前述したように、インク補充経路19は、インク循環部2の循環経路におけるポンプ9の流出口と記録ヘッド12との間に配置されている接続部31において循環経路から分岐している。
【0059】
記録ヘッド12が吐出を行うと、インク循環部2の循環経路内のインクの量が減って循環経路内の圧力が減圧される。すると、大気圧を受けているインクが、その減少分だけインクカートリッジ5から押し出されてインク補充経路19を通りインク循環部2に補充される。そして、循環経路内の圧力が所定の圧力になると、インクカートリッジ5からインクが補充されなくなる。
【0060】
このように形成されたインクジェットプリンタ1のインク経路において、待機時、すなわちポンプ9を動作させていないときには、循環経路をインクが流れない。
この待機時において、記録ヘッド12には、記録ヘッド12のノズル面の位置61とインクカートリッジ5の位置33との水頭差35によって生じるインクの水頭差圧が与えられる。本実施形態の説明においても、この水頭差圧を「第1の圧力」と称することとする。
【0061】
第1の圧力の値は、待機時において記録ヘッド12からインクが吐出する(重力方向に垂れ落ちる)ことがないようにするために、記録ヘッド12のノズル内にインク液面により形成させたメニスカスを破壊しないような圧力の範囲内にする必要がある。この圧力の範囲はインクの物性により決まるものである。本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、第1の圧力が適正圧力範囲として0〜−2[KPa]の範囲内となるようにインクカートリッジ5を水頭差35の分だけ記録ヘッド12よりも重力方向の下方の位置に配置している。
【0062】
次に、この状態でポンプ9を駆動してインクの循環を開始させると、第1のインク経路13及び分岐前経路21はポンプ9によって加圧される。このとき、記録ヘッド12には第1の圧力とは異なる第2の圧力が与えられるようになる。この第2の圧力の値は、インク循環時において記録ヘッド12からインク吐出に適した範囲の圧力にする必要がある。なお、本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、第1の圧力、第2の圧力が0〜−2[KPa]の範囲内にある時、待機時における記録ヘッド12のノズル内に形成させたメニスカスが破壊されず、またインク循環時おける記録ヘッド12からインクが適正に吐出される。
【0063】
ここで図8及び図9について説明する。図8及び図9は、それぞれ、待機時とインク循環時とにおける、インクジェットプリンタ1のインク経路上の各場所での圧力の第3の例及び第4の例を図解したものである。なお、図8に示した第3の例と図9に示した第4の例とは、ポンプ9の揚水圧力が異なっている。すなわち、図9の第4の例では、インクの循環流量を増加させるために、揚水圧力が図8の第3の例よりも高いポンプ9を使用した場合における、インク経路上の各場所での圧力を表している。
【0064】
図8及び図9に示した直交軸において、横軸は、本実施形態に係るインクジェットプリンタ1のインク経路上の各場所を表している。この横軸は、より具体的には、分岐前経路30、接続部17、分岐後経路32、記録ヘッド12のノズル孔、及び第2のインク経路14の各場所を表している。また、縦軸は、その場所での圧力を表している。更に、図8及び図9の各々に示されている黒丸(●)印は待機時(インクが流れておらず循環していない状態)における圧力を表しており、バツ(×)印はインクの循環時における圧力を表している。
【0065】
まず、図8の第3の例において待機時は、インクが循環していないためインク経路上のいずれの場所においても高低差(水頭差)35によって生じる第1の圧力がかかる。この第1の圧力は、前述した適正な圧力範囲内となるように設定されている。つまり、待機時においては、記録ヘッド12のノズル孔には、適正な圧力(負圧)がかかっている。
【0066】
また、図8の第3の例においてインク循環時は、ポンプ9の駆動によってポンプ9の流出側に接続されている分岐前経路30内での圧力は正圧方向に上昇する。但し、インクカートリッジ5の接続部17における圧力は、水頭差35によって生じる第1の圧力のまま変化しない。一方、ポンプ9の流入側に接続されている第2のインク経路14内での圧力は負圧側に大きくなる。すると、これに伴い、記録ヘッド12のノズル孔にかかる圧力は第1の圧力から第2の圧力へと負圧方向に大きくなり、また、分岐後経路32における圧力も負圧方向に大きくなる。ここで、記録ヘッド12のノズル孔にかかる圧力は第1の圧力から第2の圧力へと正圧方向に上昇するが、この第2の圧力は、図8の場合では、前述した適正な圧力範囲内になっている。そのため、記録ヘッド12から適正にインクを吐出することができる。
【0067】
一方、図9の第4の例は、インク循環時に図8に示した第3の例よりインクの循環流量を増加させている。つまり、図9の第4の例は、揚水圧力が図8の第3の例よりも高いポンプ9を使用している。この場合、待機時は、図8と同様にインク経路上のいずれの場所においても高低差(水頭差)35によって生じる第1の圧力がかかる。つまり、待機時においては、記録ヘッド12のノズル孔には、適正な圧力(負圧)がかかっている。
【0068】
インク循環時は、図8の場合と比較し、接続部31を除く上述の各場所における圧力の待機時からの変化量が大きくなる。換言すれば、図8の場合と比較し、分岐前経路30にかかる圧力はより正圧側に大きくなり、分岐後経路29、ノズル孔、第2の経路14にかかる圧力はより負圧側に大きくなる。その結果、記録ヘッド12のノズル孔にかかる圧力、すなわち第2の圧力が、適正圧力範囲内から逸脱し、より負圧側に大きくなっている。これにより、記録ヘッド12から適正にインクを吐出することができなったり、意図せずにノズル孔からインクが垂れ落ちたりしてしまうことになる。
【0069】
そこで、このような場合は、図10に図解するように、インクの循環動作を開始させるときに、不図示のインクカートリッジ昇降機構によってインクカートリッジ5を重力方向上方に上昇させる。つまり、この上昇操作によって、インクカートリッジ5を位置33から位置34に変更する。すると、水頭差35が水頭差36に変化する。この時の、インクジェットプリンタ1のインク経路上の各場所での圧力を図11に示す。なお、図11において▲印は、インクカートリッジ5を上昇させる前における圧力を表しており、△印は、インクカートリッジ5を上昇させた後における圧力を表している。
【0070】
前述したようにインクカートリッジ5を重力方向に上昇する前では、図11に示すように、記録ヘッド12のノズル孔にかかる圧力(上昇前の第2の圧力)が、適正圧力範囲内から逸脱している。そこで、インクカートリッジ5を位置33から位置34に上昇させると、インクカートリッジ5を上昇させた分だけ接続部31にかかる圧力が正圧側に大きくなる(移動する)。これに伴い、分岐前経路30にかかる圧力、記録ヘッド12のノズルにかかる圧力、分岐後経路32にかかる圧力、第2の経路14にかかる圧力も正圧側に遷移する。これによってインクカートリッジ5を上昇する前では、記録ヘッド12のノズルにかかる圧力(上昇前の第2の圧力)が負圧側に適正値より大きくなっていたが、インクカートリッジ5を上昇させることによって記録ヘッド12のノズルにかかる圧力(上昇後の第2の圧力)を適正圧力範囲である適正な圧力(負圧)にすることができる。従って、記録ヘッド12から適正にインクを吐出することができる。インクの循環動作を終了し、待機状態に戻す場合は、インクカートリッジ5をインクカートリッジ昇降機構によって位置34から位置33に下降させる(図10)。これによって、インク経路上のいずれの場所においても高低差(水頭差)35によって生じる第1の圧力(上昇前の第1の圧力)がかかる。この第1の圧力は、前述した適正な圧力範囲内となるように設定されている。つまり、待機時においては、記録ヘッド12のノズル孔には、適正な圧力(負圧)がかかっている。
【0071】
なお、インクカートリッジ5は、記録ヘッド12のノズルにかかる圧力が適正圧力範囲となるように予め定められた値(高さ)だけ上昇させる。また、前述したように、記録ヘッド12がインクの吐出を行うと、インク循環部2の循環経路内のインクの量が減って循環経路内の圧力が減圧される。一方、記録ヘッド12のノズル孔にかかる圧力が負圧側に余りに大きいと、以降の記録ヘッド12のインク吐出動作に支障を生じることがある。従って、インクカートリッジ5の位置に変更することによって生じる水頭差は、インクの吐出による上記の減圧が生じても、記録ヘッド12のノズル孔にかかる圧力が適正圧力範囲を逸脱しないように設定するとよい。
【0072】
以上のように、本実施形態においても、待機時とインク循環時との記録ヘッド12のノズルにかかる圧力を、記録ヘッド12のノズル面とインクカートリッジ5との水頭差によって制御する。このようにすることで、記録ヘッド12のノズルにかかる圧力を適正値に保ちながら、インクを循環させることのできるインク経路を備えたインクジェットプリンタ1を提供することができる。
【0073】
なお、上述した実施形態においては、インクカートリッジ5を重力方向上方に上昇させて圧力の調整を行うようにしていた。この代わりに、インクカートリッジ5の位置を固定し、記録ヘッド12を重力方向下方に下降させて圧力の調整を行うようにしてもよい。
【0074】
〔第4の実施形態〕
次に図12について説明する。図12は、本実施形態に係るインクジェットプリンタ1のインク経路の構成を概略的に示したものである。
【0075】
図12に示した構成要素において、図7に示した第3の実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付している。これらの構成要素については詳細な説明を省略する。
この図12に示した構成は、インクの循環経路における第2のインク経路14上の温度調整部18とポンプ9との間に、バッファ23が備えられている点のみにおいて、図7に示した第3の実施形態に係る構成と異なっている。
【0076】
バッファ23は、図6に示した第2の実施形態におけるバッファ22と同様のものであり、内部にインクを溜めるインク溜め部と空気を溜める空気溜め部とを有し、循環経路内での圧力の過渡変動を空気溜め部が吸収する。このバッファ23を備えると、循環経路でインクを循環させるポンプ9として無脈動ポンプを使用しなくても、インク循環部2を流れるインクの流量と記録ヘッド12のノズルにかかる圧力との脈動変化を、バッファ23で吸収することが可能になる。
【0077】
この図12のインク経路における待機時及びインク循環時の動作は、第3の実施形態におけるものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
以上までに説明したいずれの実施形態に係るインクジェットプリンタ1においても、待機時及びインク循環時において記録ヘッド12のノズルにかかる圧力を、記録ヘッド12のノズル面のとインクカートリッジ5との水頭差によって制御する。このようにすることで、記録ヘッド12のノズルにかかる圧力を適正値に保ちながら、インクを循環させることができる。
【0078】
なお、本発明は、これまでに説明した実施の形態に限定されるものではなく、実施段階では、その要旨を変更しない範囲で種々変形することが可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 インクジェットプリンタ
2 インク循環部
4 補充部
5 インクカートリッジ
6 供給口
7 ジョイント部
8 ヘッド部
9 ポンプ
11 フィルタ
12 記録ヘッド
13 第1のインク経路
14 第2のインク経路
15 インク分配器
16 インク回収器
17、31 接続部
18 温度調整部
19 インク補充経路
21、30 分岐前経路
22、23 バッファ
25、26、33、34 インクカートリッジ5の位置
27、28、35、36 水頭差
29、32 分岐後経路
60 ホルダ
61 記録ヘッドのノズル面の位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルから液体であるインクを吐出する記録ヘッドと、
該記録ヘッドを経由して該インクを循環させる循環経路を構成しているインク循環部と、
該循環経路から分岐している補充経路より該循環経路へ該インクを補充する補充部と、
を有しており、
該補充部は、大気圧を受けている該インクを収容しているインク収容器から該補充経路を介して該循環経路へ該インクを補充し、
該記録ヘッドのノズルにおける該インクの非吐出時の圧力を、該記録ヘッドのノズル面と該インク収容器内のインク液面との水頭差によって制御する、
ことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項2】
該循環経路で該インクを循環させる無脈動のポンプを更に有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
該循環経路で該インクを循環させるポンプと、
該循環経路上に備えられ、内部に該インクを溜めることで該循環経路内での該インクの圧力の過渡変動を吸収するバッファと、
を更に有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
該補充経路が、該循環経路における該記録ヘッドと該ポンプの流入口との間で該循環経路から分岐している、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項5】
該補充経路が、該循環経路における該ポンプの流出口と該記録ヘッドとの間で該循環経路から分岐している、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のインクジェットプリンタ。

【図1】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図12】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−81591(P2012−81591A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227004(P2010−227004)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】