説明

インクジェットヘッドのキャップおよびキャップ装置

【課題】 インクジェットヘッドのノズルを封止するキャップ部がシート部材から剥がれ難いキャップを実現する。
【解決手段】 インクジェットプリンタのインクジェットヘッド2のノズル2bを封止するキャップ15であり、シート部材20と、キャップ部21と、脱落防止部23と、連結部32を有する。キャップ部21はシート部材20の一方の面に設けられており、脱落防止部23はシート部材20の他方の面に設けられている。キャップ部21と脱落防止部23は、シート部材20を貫通する連結部32で連結されている。キャップ部21は、連結部32と脱落防止部23によって、シート部材20の反対側の面から支持されており、シート部材20から剥がれ落ち難くなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタに搭載されているインクジェットヘッドのキャップおよびキャップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタに搭載されているインクジェットヘッドは、インクを吐出するノズルを備えている。そのノズルは大気に露出しているため、長期間に亘ってノズルからインクを吐出しないと、ノズルに存在するインクが乾燥してノズルが詰まってしまう虞がある。通常のインクジェットヘッドでは、インク吐出面にノズルが形成されている。そこで、インクジェットプリンタには、インク吐出面に密着してインク吐出面を大気から遮断するためのキャップが設けられている。キャップでインク吐出面を覆うことによって、ノズルに存在するインクが乾燥するのを防止する。
【0003】
インクジェットヘッド用のキャップの一例が、特許文献1に記載されている。同公報に記載の技術では、シート部材の表面にインク吐出面に密着可能なキャップ部を設けることによってキャップを構成する。このキャップは、インク吐出面に密着する位置と、インク吐出面から離れた位置との間で移動可能とされている。
【特許文献1】特開2001−253080号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のキャップは、シート部材からキャップ部が脱落する虞がある。特に、キャップが複数のプーリに架け渡されたベルトやワイヤ等によって、インク吐出面に密着する位置とインク吐出面から離れた位置との間を移動するように構成されている場合には、キャップの移動方向がプーリにより変更されることが多く、その際にキャップが屈曲するために、キャップ部がシート部材から剥がれ落ちやすい。
【0005】
本発明の目的は、シート部材からキャップ部が脱落しづらいように改良されたインクジェットヘッド用のキャップおよびキャップ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
本発明のキャップは、シート部材と、キャップ部と、脱落防止部と、連結部を有する。キャップ部はシート部材の一方の面に設けられており、脱落防止部はシート部材の他方の面に設けられている。キャップ部と脱落防止部は、シート部材を貫通する連結部で連結されている。
【0007】
キャップ部は、連結部と脱落防止部によって、シート部材の反対側の面から支持されており、シート部材から剥がれ落ち難くなっている。
【0008】
また、キャップ部は枠状であり、キャップ部に対応する前記脱落防止部も枠状に形成されており、脱落防止部はシート部材の他方の面に突出して設けられ、その表面に平坦面が形成されている。
【0009】
また、本発明のキャップ装置は、本発明のキャップを前記インク吐出面に密着させる力を付与する付勢手段とを有し、キャップの平坦面を付勢手段により付勢することによりキャップ部とインク吐出面を密着させてもよい。
【0010】
本発明のキャップ装置は、複数のプーリに架け渡されたベルト又はワイヤを利用して、インク吐出面を封止する封止位置とインク吐出面から離れた退避位置の間を移動させる機構に組込んで用いるときに特に有用である。
【0011】
複数のプーリに掛け渡されたベルト又はワイヤを利用してキャップ移動させる場合は、プーリによってキャップが屈曲するときに、キャップ部がシート部材から脱落しやすい。本発明のキャップは、キャップ部がシート部材を挟んだ反対側から脱落防止部によって支持されているために、キャップ部がシート部材から脱落してしまうことを防止できる。
【0012】
本発明のキャップ装置は、さらに封止位置に停止したシート部材の一方の面に直交する方向から見て、退避位置と封止位置の少なくとも一部が重なる位置に配置されていてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、以下に説明する実施例を図面を参照しながら読むことによってよりよく理解されよう。以下の実施例は、発明の具体例を例示するものであって、発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0014】
本発明を実施する最適な実施例について説明する。本実施例は、ライン式のカラーインクジェットプリンタに本発明を適用した一例である。本発明は、他の形式のインクジェットプリンタにも適用することができる。図1に示すように、インクジェットプリンタ1は、合計8本のライン式インクジェットヘッド2を備えている。2本のインクジェットヘッド2Kはブラック色のインクを吐出し、2本のインクジェットヘッド2Mはマゼンタ色のインクを吐出し、2本のインクジェットヘッド2Cはシアン色のインクを吐出し、2本のインクジェットヘッド2Yはイエロー色のインクを吐出する。インクジェットプリンタ1は、用紙を図1の左方向に搬送する搬送ユニット3をも備えている。8本のインクジェットヘッド2は、用紙の搬送方向である図1の左右方向に並べて配設されている。
【0015】
各々のインクジェットヘッド2の下面には、インク吐出面2aが形成されている。図5に示すように、インクジェットヘッド2のインク吐出面2aには、多数の孔2bが形成されており、それぞれの孔2bがインクを吐出するノズルとなっている。ノズル2b群は、それぞれが台形をなす4個のグループで構成されており、インク吐出面2aの中心領域に形成されている。インク吐出面2aの周辺領域には、ノズル2bが形成されていない。
【0016】
図1において、インクジェットヘッド2の右側に給紙トレイ(図示省略)が存在し、左側に排紙トレイ(図示省略)が存在している。搬送ユニット3は、用紙を給紙トレイから取出し、インクジェットヘッド2の下方を通過させ、排紙トレイに送り出す。インクジェットヘッド2の下方を通過する用紙に、インクジェットヘッド2からインクが吐出されることによって、用紙にプリントが行われる。
【0017】
同色のインクを吐出する2本のインクジェットヘッド2K,2M,2C,2Yは、用紙の搬送方向に互いに隣接して配列されている。各々のインクジェットヘッド2は、図1の紙面垂直方向に長く、用紙巾の約半分の長さを備えている。同色のインクを吐出する2本のインクジェットヘッドは、図1の紙面垂直方向にずれた位置に配置されており、図3に示されているように、用紙の垂直方向から見ると、同色の2本のインクジェットヘッド2の端部同士が重なって配置されている。そのため、同色のインクを吐出する2本のインクジェットヘッド2の両方を用いて用紙に印刷を行うことによって、インクジェットヘッド2の下方を通過する用紙の全巾に亘って一度に印刷することができる。同色のインクを吐出する2本のインクジェットヘッド2の間に、印刷の空白を生じさせることがない。
【0018】
図1に示すように、搬送ユニット3は、本体フレーム10に回転可能に支持されている2つのローラ11,12と、ローラ11,12の間に架け渡されている無端状の搬送ベルト13と、搬送ベルト13を下方から受け止めるベルト受けユニット14を備えている。ベルト受けユニット14は、ローラ11,12の間で、搬送ベルト13が下方に撓むのを防止する。搬送ベルト13は、ベルト受けユニット14によって、水平に移動する。搬送ユニット3は、用紙を搬送するだけでなく、インクジェットヘッド2のインク吐出面2aを覆うキャップ15と、それを移動させる機構も備えている。
【0019】
駆動ローラ11はモータ(図示省略)に連結されており、モータの駆動力が駆動ローラ11に伝達され、駆動ローラ11が回転駆動される。すると、搬送ベルト13が駆動ローラ11と従動ローラ12の間で移動し、搬送ベルト13上に載置された用紙が図1の右から左へ搬送される。尚、図1,図2に示すように、従動ローラ12の図1における右側には、搬送ベルト13及び用紙が従動ローラ12の回転に伴って搬送されるようにガイドする、正面視略半円形のガイド部材16が設けられている。
【0020】
図1、図6に示すように、ベルト受けユニット14は、本体フレーム10に固定的に設けられた基台17と、複数の圧縮バネ18を介して基台17に支持されたベルト受け部材19を有する。搬送ベルト13は、ベルト受け部材19の上面をスライドする。ベルト受けユニット14は、搬送ベルト13を下方から支持するとともに、詳しくは後記するように、キャップ15をインクジェットヘッド2へ装着したときに、圧縮バネ18の付勢力によって搬送ベルト13を介してキャップ15をインクジェットヘッド2のインク吐出面2aに押し付ける。
【0021】
キャップ15は、インクジェットヘッド2のノズル2bに存在するインクの乾燥を防止したり、パージ処理の際にノズル2bから吐出されるインクを回収したりするために、インクジェットヘッド2のインク吐出面2aに密着するように用いられる。図3〜図6に示すように、キャップ15は、シート部材20と、シート部材20の一方の面に設けられており、8本のインクジェットヘッド2の夫々のインク吐出面2aに密着可能な8つのキャップ部21を有する。その他に、シート部材20の他方の面に設けられている脱落防止部23と、シート部材20を貫通してキャップ部21と脱落防止部23を連結する連結部32を備えている。
【0022】
図1、図3、図4に示すように、シート部材20は、ポリイミドやポリエステル等の柔軟性を有し且つ伸び率の小さい材料により、平面視略矩形のシート状に形成されている。シート部材20の一方の面には、8つのキャップ部21が、8つのインクジェットヘッド2に対応する位置に配置されている。
【0023】
図3〜図6に示すように、キャップ部21は、底部21aとリップ部21bとを備えている。底部21aは、シート部材20によって形成されており、インクジェットヘッド2のインク吐出面2aのノズル2b群の分布範囲よりもやや大きな矩形の平面形状を有している。リップ部21bは、底部21aの周囲を枠状に取囲んでおり、シート部材20から盛り上がっている。リップ部21bは、ノズル2b群が形成されていないインク吐出面2aの周辺領域に対応する形状とサイズを有する。リップ部21bは、容易に弾性変形するとともに密封性を有するゴムで成形された矩形の枠であり、シート部材20に密着している。シート部材20は、柔軟性を有し伸び率の小さい材料で形成されている。それに対して、リップ部21bは、容易に弾性変形するゴムで成形されている。それぞれに好ましい異種の材料で形成されている。
【0024】
インクジェットヘッド2のインク吐出面2aにキャップ部21が押付けられときに、底部21aとその周囲のリップ部21bが弾性変形しながらインク吐出面2aに密着するため、インク吐出面2aは大気から確実に封止される。
【0025】
図4と図6に示すように、シート部材20の他方側の面に、脱落防止部23が形成されている。脱落防止部23は、矩形枠状のキャップ部21にほぼ対応する形状と位置に設けられている。各々キャップ部21に対応する脱落防止部同士が連続しており、一つの連続した共通脱落防止部23とされている。即ち、合計8個分の脱落防止部が一体的に連結されている。
【0026】
図6に示すように、シート部材20の一方の面に形成されているリップ部21bと、他方の面に形成されている脱落防止部23は、シート部材20を貫通する連結部32によって連結されている。シート部材20には、平面視したときにリップ部21bと重なる領域に複数の穴20a(図5、図6参照)が形成されており、連結部32はその穴20aを貫通してキャップ部21と脱落防止部23を連結している。尚、図5において、穴20aは本来ならば点線で表されるところであるが、図示の明瞭化のために実線で描かれている。
【0027】
リップ部21bと脱落防止部23と連結部32は射出成形により一体成形されている。図9に示すように、複数の穴20aが形成されたシート部材20を、リップ部21bを形成するキャビティを持つ上型52と、脱落防止部23を形成するキャビティを持つ下型54の間に挟みこんだ状態で射出成形することによって、リップ部21bと脱落防止部23と連結部32が一体に射出成形されている。リップ部21bは、シート部材20を挟んで反対側に位置している脱落防止部23に連結されているために、シート部材20から容易なことでは脱落しない。
【0028】
シート部材20の裏面(脱落防止部23側の面)では、8個のキャップ部21のための脱落防止部23が一体的に連結されているために、その表面が平坦化されている。後記する図8の封止位置と図1の退避位置との間でキャップ15を移動させる際には、図2に示すように、脱落防止部23がガイド部材16に接触した状態でキャップ15が屈曲しながら移動する。脱落防止部23が一体化されてその表面が平坦化されているために、キャップ15をガイド部材16に沿ってスムーズに移動させることができる。
【0029】
図3、図4に示すように、シート部材20の図3の左右方向(用紙の搬送方向)両端部には、金属製の細い線状の1対のシート保持部材22が設けられている。シート保持部材22は、シート部材20の左右方向両端部を支持している。図1に示すように、搬送装置3は、ベルト25を備えている。ベルト25は、用紙搬送ベルト13の図1において紙面手前側と紙面奥側にそれぞれ設けられている。図3と図6に示すように、シート保持部材22の一方の端部は、連結部材24を介して、図1の紙面手前側のベルト25に連結されており、シート保持部材22の他方の端部は、連結部材24を介して、図1の紙面奥側のベルト25に連結されている。各々のベルト25は、本体フレーム10の左側部分に設けられた4つのプーリ26,27,28,29及び従動ローラ12の右側に設けられた正面視半円形のガイド部材16の外周部に架け渡されている。プーリ26に連結されたモータ(図示省略)によってプーリ26が回転駆動されたときに、両サイドのベルト25が回転し、それに伴って、キャップ15が移動する。キャップ15は、搬送ベルト13の外側を移動する。
【0030】
キャップ15は、キャップ部21がインクジェットヘッド2のインク吐出面2aに対向してインク吐出面2aを封止可能な封止位置(図8参照)と、キャップ部21が下方(インクジェットヘッド2と反対側)に向いておりインク吐出面2aを封止不可能な退避位置(図1参照、キャップ15はプーリ28とガイド部材16の間にある)との間を、ベルト25によって移動する。キャップ15が図1の退避位置にあるとき、用紙搬送ベルト13はインクジェットヘッド2のインク吐出面2aに直接に向かい合う。用紙搬送ベルト13で送られる用紙にインクジェットヘッド2からインクを吐出することができる。尚、図8では、キャップ15の位置をわかりやすくするために、インクジェットヘッド2を省略して搬送ユニット3のみを示している。
【0031】
搬送ユニット3の本体フレーム10は、図7に示すように、図示しない揺動機構によって、駆動ローラ11の回転軸11aを中心に鉛直面内で揺動可能に構成されている。さらに、搬送ユニット3の本体フレーム10は、図示しない昇降機構によって、インクジェットヘッド2に対して上下に昇降可能に構成されている。
【0032】
キャップ15によりインク吐出面2aを封止する場合には、まず、揺動機構によって、本体フレーム10を回転軸11aを中心に図1の時計回りの方向に回転させて、搬送ユニット3を図7の位置に揺動させる。この状態で、プーリ26を回転させることにより、図7に示すように、ベルト25を介してキャップ15を搬送ベルト13の外側で移動させ、搬送ベルト13の上側に位置させる。図7は、キャップ15が、図1の退避位置から図8の封止位置に向けて移動する途中の状態を示しており、キャップ15が矢印a方向にさらに移動することによって、図8の封止位置に至る。キャップ15は、図1の退避位置から図8の封止位置に向けて移動する間に、ガイド部材16の外周部に沿って屈曲する。キャップ15が、図8の封止位置に移動すると、揺動機構により、本体フレーム10を回転軸11aを中心にして図1の反時計方向に回転させ、搬送ユニット3を図8の位置に移動させる。図8の位置では、キャップ部21がインクジェットヘッド2に対向する。さらに、図示しない昇降機構により、本体フレーム10をインクジェットヘッド2に対して上方へ移動させることにより、ベルト受けユニット14の圧縮バネ18の付勢力により、搬送ベルト13の上側に位置するキャップ15のキャップ部21がインクジェットヘッド2に押し付けられ、インク吐出面2aがキャップ部21により封止される。図6に、インク吐出面2aがキャップ15のキャップ部21によって封止される様子がよく示されている。
【0033】
キャップ15は、キャップ部21が上側に向いた(インクジェットヘッド2に対向した)封止位置(図8参照)と、キャップ部21がインクジェットヘッド2と反対側に向いた退避位置(図1参照)との間で移動する際に、ガイド部材16の外周部に案内されながら従動ローラ12の外側を通過する。このとき、キャップ15の移動方向が水平方向から垂直方向に変更されるため、キャップ15が必然的に屈曲する。このとき、例えば、キャップ部21のリップ部21bがシート部材20に対して接着剤等により接着されているだけであると、キャップ15が屈曲したときにリップ部21bがシート部材20から剥がれて脱落する虞が十分にある。また、キャップ部21がインクジェットヘッド2のインク吐出面2aに対して着脱される際にもリップ部21bが脱落しやすい。
【0034】
本実施形態のキャップ15は、図4、図6に示すように、キャップ部21(リップ部21b)がシート部材20を挟んでキャップ部21と反対側の面に位置する脱落防止部23に連結されているために、キャップ部21がシート部材20から脱落するのを防止することができる。シート部材20とキャップ部21を別の部材で形成することができる。シート部材20は、プーリ26の回転によって移動するため、プーリ26とガイド部材16の間で張力がかかった状態を維持する必要があり、伸びにくい材質で形成する必要がある。それに対してリップ部21bは容易に弾性変形する柔軟な部材で形成する必要がある。シート部材20とキャップ部21をそれぞれに適した異種の材料で形成することがきる。異種の材料で形成したシート部材20とキャップ部21が剥がれないように維持することができる。
【0035】
次に、前記実施例に種々の変更を加えた変更例について説明する。但し、前記実施例と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0036】
(1)キャップ部や脱落防止部の形状は前記実施例のものに限られるものではない。例えば、図10に示すように、キャップ部31が、シート部材20に重ねられた底部31aと、底部31aの周囲を囲うリップ部31bとを有し、底部31aとリップ部31bが合成樹脂により一体成形されていてもよい。キャップ部31をこのような構成とすると、キャップ部31のインク吐出面2aに対する密着性が向上する。また、この場合、前記実施例と同様に、リップ部31bと脱落防止部23が一体成形されていてもよいが、底部31aと脱落防止部23が一体成形されていてもよい。この場合も、表面側のキャップ部31と裏面側の脱落防止部23は、シート部材20を貫通する連結部32で連結され、キャップ部31の脱落が防止される。
【0037】
脱落防止部は、リップ部21b、31bの裏側に対応する流域外にはみ出ていてもよく、シート部材20の裏面のほぼ全面に亘って形成されていてもよい。この場合には、キャップの裏面がさらに平坦になり、キャップがよりスムーズに移動できるようになる。
【0038】
(2)キャップの移動手段は、実施例のベルト25に限られない。例えば、複数のプーリに架け渡されたワイヤなどの線状体を介して、封止位置と退避位置との間を移動可能するものであってもよい。また、封止位置と退避位置とが同じ水平面内に位置しており、キャップがその水平面内において封止位置と退避位置の間を移動可能に構成されていてもよい。
【0039】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施例のインクジェットプリンタの要部正面図を示しており、キャップが退避位置にある状態を示している。
【図2】従動ローラの近傍の拡大図である。
【図3】キャップの表面とキャップを移動させる機構の一部を示す図である。
【図4】キャップの裏面を示す図である。
【図5】図3のキャップの一つのキャップ部と一つのインクジェットヘッドのインク吐出面の拡大図である。
【図6】図5のVI-VI線断面に相当する図を示しており、インクジェットヘッドに向けてキャップを押し上げる機構の一部を示している。
【図7】実施例のインクジェットプリンタの要部正面図を示しており、キャップが退避位置から封止位置へ移動している状態を示している。
【図8】搬送ユニットの正面図を示しており、キャップが封止位置にある状態を示している。
【図9】キャップ部と脱落防止部と連結部を一体に射出成形する過程を示す図である。
【図10】別の実施例のキャップの断面図である。
【符号の説明】
【0041】
2 インクジェットヘッド
2a インク吐出面
2b ノズル
15 キャップ
16 ガイド部材
17 基台
18 圧縮バネ
19 ベルト受け部材19
20 シート部材
20a 孔
21 キャップ部
21a 底部
21b リップ部
23 脱落防止部
32 連結部
26,27,28,29 プーリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出するインクジェットヘッドのノズルを封止するためのキャップであって、
シート部材と、
前記シート部材の一方の面に設けられ、前記ノズルが形成されているインク吐出面に密着可能な枠状のキャップ部と、
前記シート部材の他方の面に突出して設けられている脱落防止部と、
前記シート部材を貫通し、前記キャップ部と前記脱落防止部を連結している連結部と、
前記脱落防止部は、前記シート部材の他方の面において前記枠状のキャップ部に対応する位置に連続した枠状に設けられ、
前記脱落防止部の表面に平坦面が形成されていることを特徴とするインクジェットヘッドのキャップ。
【請求項2】
請求項1に記載のキャップと、
前記キャップを前記インク吐出面に密着させる力を付与する付勢手段とを有し、
前記平坦面を前記付勢手段により付勢することにより前記キャップ部と前記インク吐出面を密着させることを特徴とするインクジェットヘッドのキャップ装置。
【請求項3】
前記シート部材が複数のプーリに架け渡されたベルト又はワイヤに連結されており、
前記ベルト又は前記ワイヤによって、前記キャップ部がインク吐出面を封止する封止位置と、インク吐出面から離れた退避位置との間を移動可能となっていることを特徴とする請求項2に記載のインクジェットヘッドのキャップ装置。
【請求項4】
前記封止位置に停止した前記シート部材の一方の面に直交する方向から見て、前記退避位置と前記封止位置の少なくとも一部が重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項3に記載のインクジェットヘッドのキャップ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−23523(P2010−23523A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−251735(P2009−251735)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【分割の表示】特願2005−58528(P2005−58528)の分割
【原出願日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】