説明

インクジェットヘッド

【課題】放熱した熱によって密閉空間が温められにくくする。
【解決手段】インクジェットヘッド100は、流路ユニット140と、流路ユニット140に立設された2つのヒートシンク150と、ヒートシンク150の上方において固定されたヘッドカバー110とを有しており、これらによって囲まれた空間が密閉空間となっている。密閉空間内には、流路ユニット140の上面に固定されたアクチュエータユニット120と電気的に接続されたFPC162が配設されている。FPC162には、ドライバIC160が実装されている。ヒートシンク150は、外面151が内面152よりも放熱性が高くなっており、内面152がドライバIC160と対向するとともにドライバIC160と熱的に結合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体にインクを吐出するインクジェットヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、インクを吐出するヘッド本体と、ヘッド本体を制御するヘッド制御部と、インク飛沫からヘッド制御部などを保護する上部及び下部カバーとを含むインクジェットヘッドについて記載されている。このインクジェットヘッドにおいて、ヘッド本体は、ノズルに至る個別インク流路を複数有する流路ユニットと、個別インク流路の容積を変化させるアクチュエータユニットとを含んでいる。ヘッド制御部は、メイン基板、メイン基板と電気的に接続され且つメイン基板を挟むように配置されたサブ基板、及び、表面にヒートシンクが設けられサブ基板のメイン基板と対向する面に固定されたドライバICを含んでいる。サブ基板及びドライバICは、一端がアクチュエータユニットに電気的に接続されたFPC(Flexible Printed Circuit)と電気的に接続されている。そして、FPCは、メイン基板からサブ基板を介して出力された信号をドライバICに伝達し、ドライバICから出力された駆動信号をアクチュエータユニットに伝達する。駆動信号が供給されたアクチュエータユニットは個別インク流路の一部の容積を変化させ、個別インク流路内のインクに圧力を付与する。こうして、ノズルからインクが吐出され、所望の画像が用紙に形成される。
【0003】
【特許文献1】特開2005−169839号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に記載のインクジェットヘッドにおいては、ヒートシンクが上部カバーによって覆われているので、ドライバIC及びヒートシンクが発熱した熱がカバー内にこもることになる。この結果、上部及び下部カバーによって囲まれたヘッド内の空間が高温・高湿状態となる。一方、FPCのコネクタや電子部品との接合部分では、FPCの配設状態や接合状態によって外部応力が加わっている。カバー内の環状条件(温度、湿度など)により、このようなFPCのコネクタや接合部分では、ウィスカの発生・成長が起こる。特に、接合部材として鉛を含まない錫系の材料を用いると、この傾向が顕著に現れる。また、FPCは、アクチュエータユニットの高密度化に伴い、配線密度が高く端子間距離の短い狭ピッチなものになっており、ウィスカによって電気的短絡を生じる虞がある。ウィスカの抑制方法として、金コート、銀添加などがあるが、いずれもコストが高い。しかも、ヘッド本体内のインク温度が上昇するので、インク吐出特性にばらつきが生じる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、放熱した熱によって密閉空間が温められにくくするインクジェットヘッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のインクジェットヘッドは、インク吐出面に形成されたインク吐出口に至るインク流路を内部に有する流路ユニットと、前記流路ユニットの一平面に固定され、前記インク流路内のインクに吐出エネルギーを付与するアクチュエータユニットと、前記アクチュエータユニットに接続された配線及び前記配線を介して前記アクチュエータユニットにインクを吐出するための駆動信号を供給するドライバICを有する配線部材と、前記流路ユニットの長手方向に沿って延在し、前記一平面から突出するようにして固定された2つの板材と、前記2つの板材の前記流路ユニットとは反対側の端部に固定され、前記2つの板材及び前記流路ユニットの前記一平面とで、前記アクチュエータユニット及び前記ドライバICを取り囲みつつ内部に密閉空間を形成するカバー部材とを備えている。そして、前記配線部材が、前記アクチュエータユニットから前記板材に沿って配設され、且つ、前記ドライバICが前記板材の内面と対向し熱的に結合されており、前記板材の外面が、前記内面よりも放熱性が高い。
【0007】
これによると、発熱したドライバICから内面に伝わった熱を内面から外面に向かう方向に板材から放熱することができる。そのため、内面から密閉空間に放熱されにくくなる。したがって、密閉空間が高温・高湿状態になりにくくなり、配線部材とアクチュエータユニットとの接続部においてウィスカ成長を抑制することができる。さらに、インク流路内のインク温度の上昇を抑制することができ、インク吐出が安定する。
【0008】
本発明において、前記板材の前記外面には、前記内面から前記外面に向かう方向に突出した1以上の凸部を有していることが好ましい。これにより、板材の外面側の表面積が内面よりも大きくなる。そのため、板材の内面に伝わった熱を外面に向かう方向に板材から放熱することができる。したがって、発熱したドライバICから内面に伝わった熱が、内面から密閉空間に放熱されにくくなる。
【0009】
また、本発明において、前記板材が、チタン、マグネシウム、アルミニウムのいずれか、又はそれぞれの合金からなり、前記板材の外面には、前記板材の多孔質皮膜が形成されていることが好ましい。これにより、板材の外面に多孔質皮膜が形成されていることで、実質的に表面積が拡大する。そのため、板材の外面側の熱の放熱特性が内面より向上し、板材の内面に伝わった熱を外面に向かう方向に板材から放熱することができる。したがって、発熱したドライバICから内面に伝わった熱が、内面から密閉空間に放熱されにくくなる。
【0010】
また、このとき、前記板材が、アルミニウム又はアルミニウムを含む合金からなり、前記板材の前記外面には、黒色の陽極酸化多孔質皮膜が形成されていてもよい。これによると、板材の外面に黒色の陽極酸化多孔質皮膜が形成されているため、黒体輻射の効果も加わって板材の内面に伝わった熱を内面から外面に向かう方向に板材から放熱することができる。しかも、板材の外面が腐食しにくくなる。
【0011】
また、本発明において、前記板材の前記内面には、前記ドライバICと対向する領域に前記内面を露出する貫通孔を有する断熱層が形成されており、前記ドライバICが前記貫通孔を介して前記板材と熱的に結合されていることが好ましい。これにより、板材の内面に断熱層が形成されていることで、内面のドライバICと対向する領域から板材に伝わった熱が、内面のドライバICと対向しない領域から放熱しても密閉空間が温められにくくなる。
【0012】
また、このとき、前記断熱層の厚みが、前記断熱層の厚み方向に関する前記ドライバICの高さ以下であってもよい。これにより、ドライバICを除く配線部材と断熱層とが接触していても、ドライバICと内面とが確実に熱的に結合される。
【0013】
また、このとき、前記断熱層が、絶縁材料からなっていてもよい。これにより、配線部材とヒートシンクとの間には、絶縁材料からなる断熱層が存在するので、配線部材がヒートシンクと接触して配線間が短絡するのを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
図1は、本発明の第1実施形態によるインクジェットヘッド100の概略斜視図である。インクジェットヘッド100は平面視において一方向に長尺な形状を有している。なお、本実施形態において主走査方向とはインクジェットヘッド100の平面視において長尺な方向であり、副走査方向とは平面視において主走査方向に垂直な方向である。そして、下方向とはインクジェットヘッド100から吐出されるインクの吐出方向であり、上方向とは下方向と逆の方向である。
【0016】
インクジェットヘッド100は、下面(インク吐出面)にノズル(インク吐出口)8が形成された流路ユニット140と、流路ユニット140にインクを供給するインクリザーバ130とを有している。さらに、カバー部材としてのヘッドカバー110が、インクリザーバ130上に配設されており、その内部空間にはインクジェットヘッド100を制御する電気回路が収容されている。なお、インクリザーバ130及び流路ユニット140のいずれも平面視において長方形形状を有しており、その長辺が主走査方向に平行となっている。
【0017】
インクリザーバ130は、図2に示すように、3枚のプレート材の積層体で、流路ユニット140側の下リザーバ133、リザーバベース132及び上リザーバ131と順に積層されて構成されている。このうち、リザーバベース132には、下リザーバ133のインク溜めに連通する貫通孔(後述:インク流路136)が形成されている。また、上リザーバ131上には、電気回路としての制御基板170が積層されている。
【0018】
ヘッドカバー110は、下方向に開口した略箱形形状を有している。ヘッドカバー110は、リザーバベース132上の上リザーバ131等の部品を覆うようにリザーバベース132上に設置されている。ヘッドカバー110の上面にはインク供給弁111が設けられており、インク供給弁111を通じてインクリザーバ130の内部に形成されたインク流路135(後述する)にインクが供給される。
【0019】
ヘッドカバー110の側面には開口110aが形成されている。開口110aは、ヘッドカバー110の上下方向に沿って側面の下端から側面の中央近傍に亘って、ヘッドカバー110の側面が欠けている部分である。開口110aは長方形形状を有しており、その長辺は主走査方向に平行である。また、開口110aの短辺は上下方向に平行である。インクジェットヘッド100の側面において、ヘッドカバー110の内部にはヒートシンク(板材)150(後述する)が設けられている。本実施形態においては、ヒートシンク150に形成された平坦突出部150aが開口110aを介してヘッドカバー110から露出している。なお、インクジェットヘッド100は、ヘッドカバー110、ヒートシンク150、リザーバベース132及び流路ユニット140で囲まれた空間が密閉空間となるように、各部材間の隙間がシール部材(図示せず)によって埋められている。
【0020】
インクジェットヘッド100は、インクジェットプリンタ等のインクジェット方式を用いるあらゆる文字・画像記録装置に適用される。例えば、インクジェットヘッド100がインクジェットプリンタに適用される場合には、インクジェットヘッド100の平面視において長手方向が主走査方向に、短手方向が副走査方向にそれぞれ沿うように配置される。そして、流路ユニット140の下面に形成されたノズル8に対向する位置に用紙が搬送されると、ノズル8からインクが吐出され、用紙に文字、画像が形成される。インクジェットヘッド100に使用されるインクは、例えばインクジェットプリンタに設けられたインクカートリッジから、インク供給弁111に接続されたインクチューブを介して供給される。
【0021】
図2は、ヘッドカバー110及びヒートシンク150が取り外された状態におけるインクジェットヘッド100の斜視図である。図3は、図1に示すIII−III線に沿った断面図である。図4は、ヒートシンク150の側面図である。図5は、ヒートシンク150の外面に形成された多孔質皮膜の部分断面斜視図である。図2に示すように、インクリザーバ130の上面にはインク供給口131bが形成されている。インク供給口131bはヘッドカバー110の上面に設けられたインク供給弁111に連通している。
【0022】
上リザーバ131の上方にある制御基板170は、主走査方向について長尺な長方形形状を有している。副走査方向について制御基板170の長さと上リザーバ131の長さとはほぼ同じである。制御基板170の上面には各種のIC(Integrated Circuit)チップやコンデンサ等の電子部品が固定されており、多数の配線が施されている。制御基板170には、これらの電子部品や配線によって各種のプロセッサや記憶装置が構築されている。制御基板170上に構築された記憶装置には、インクジェットヘッド100を制御するためのプログラムを示すデータや一時的な作業用のデータが記憶されている。制御基板170上に構築されたプロセッサは、これらのデータに基づいてインクジェットヘッド100の動作を制御する。
【0023】
制御基板170の上面には、4つのコネクタ170aが固定されている。コネクタ170aは、制御基板170上に構築された各種のプロセッサや記憶装置と電気的に接続されている。4つのコネクタ170aは、主走査方向に関して千鳥状に2列に配置されている。
【0024】
各コネクタ170aの側面には、FPC162の一端が接続されている。FPC162は可撓性のシート状の部材であり、内部に複数の配線162aが形成されている。また、FPC162上には、ドライバIC160が実装されており、配線162aと電気的に接続されている。FPC162は、図2及び図3に示すように、ドライバIC160がインクリザーバ130の側方であってヒートシンク150の平坦突出部150aと対向する位置に配置されるようにコネクタ170aからインクリザーバ130の側面に沿って下方へと向かい、下リザーバ133の側面に形成された開口133aに通されている。そして、FPC162の他端が、流路ユニット140の上面(一平面)に固定されたアクチュエータユニット120に電気的に接続されている。
【0025】
ドライバIC160は、後述のようにアクチュエータユニット120を駆動するICチップである。ドライバIC160は、図2に示すように、主走査方向について長尺で副走査方向について扁平な形状を有している。図3に示すように、ドライバIC160は、ヒートシンク150と対向する位置において、上リザーバ131の側面に設けられた弾性部材161によってFPC162とともにヒートシンク150に対して付勢されている。
【0026】
ヒートシンク150は、流路ユニット140の副走査方向に関する両端において、その上面から突出するようにそれぞれ立設されている。これら2枚のヒートシンクはアルミニウム金属からなり、図4に示すように、主走査方向に長手方向を有した略長方形形状を有している。ヒートシンク150には、平坦突出部150a、突起部150b及び突出部150cが形成されている。平坦突出部150aは、ヒートシンク150の上リザーバ131の側面と対向する部分に形成されており、開口110aから突出している。平坦突出部150aの開口110aから突出している部分、すなわち先端は平坦であって主走査方向に長尺な長方形形状となっている。この平坦突出部150aは、例えば、金属製の平板にプレス加工が施されることによって形成される。このように、ヒートシンク150に平坦突出部150aが形成されていることで、ヒートシンク150の表面積が広くなり剛性が高められている。
【0027】
突起部150bは、ヒートシンク150の下端から下方へと突出しており、主走査方向に沿って5つ形成されている。流路ユニット140の上面の幅は、インクリザーバ130の下面の幅よりも大きい。そして、インクリザーバ130は流路ユニット140の副走査方向について中央に配置されている。したがって、流路ユニット140の副走査方向について両端の近傍には、インクリザーバ130の下面と対向していない領域が存在する。この領域には、5つの凹部141が形成されている。これら凹部141は、5つの突起部150bと対応する位置に形成されている。また、凹部141は、ヒートシンク150の突起部150bとちょうど嵌まり合うような大きさ及び形状に形成されている。これら凹部141に突起部150bが嵌め込まれることで、ヒートシンク150が流路ユニット140から立設されている。突出部150cは、ヒートシンク150の上端から上方へと突出して形成されており、主走査方向に長手方向を有する略長方形形状となっている。また、突出部150cは、図3に示すように、ヘッドカバー110の側面内側に当接して、ヘッドカバー110を固定している。
【0028】
ヒートシンク150の外面151には、図3に示すように、例えば希硫酸を電解液にした公知の陽極酸化処理により形成された多孔質皮膜153が形成されている。多孔質皮膜153は、図5に示すように、ヒートシンク150の外面151との境界近傍に形成されたバリヤー層153aと、微細穴153bが略中心に形成された複数の略六角柱状のセル153cとから構成されている。このように、多孔質皮膜153に複数の微細穴153bが形成されていることで、実質的にヒートシンク150の外面側の表面積が内面152よりも大きくなる。そのため、ヒートシンク150の外面側の放熱特性が内面152よりも向上し、ヒートシンク150に伝わった熱が、内面152から外面151に向かいヒートシンク150から放熱される。また、多孔質皮膜153は、黒色に着色されている。つまり、セル153cに微細穴153bが形成されていることで、多孔質皮膜153を形成後、染料にヒートシンク150を浸漬することで、微細穴153bに染料が充填され多孔質皮膜153を黒色に着色することができる。あるいは、微細穴153bの中に顔料を封じ込めるようにしてもよい。また、他の色への着色を含めて、金属塩浴を用いた電解着色を施してもよい。これにより、黒体輻射の効果も加わってヒートシンク150の内面152に伝わった熱を内面152から外面151に向かう方向にヒートシンク150から確実に放熱することができる。しかも、染料が微細穴153bを塞いでいるので、微細穴153bから汚染物質や腐食物質を吸収するのを塞ぐことができ、ヒートシンク150の耐食性、耐候性、耐汚染性が向上する。さらに、多孔質皮膜153は、素地(すなわち、アルミ金属)よりも高硬度であるため、ヒートシンク150の強度が向上する。
【0029】
本実施形態においては、アルミニウム金属からなるヒートシンク150を採用したが、その材質は、例えば、チタン金属、マグネシウム金属のいずれか、又はそれぞれの合金からなるものであってもよいし、アルミニウム合金であってもよい。これらの場合においても、多孔質皮膜153と同等な多孔質皮膜をヒートシンクに形成することができるため、同様な効果を得ることができる。
【0030】
また、ヒートシンク150のFPC162と対向する内面152には、ドライバIC162と対向する領域に内面152を露出する貫通孔154が形成された断熱層155が形成されている。そして、断熱層155の貫通孔154を介してドライバIC160が、内面152と放熱シート156を介して内面152に密着している。すなわち、ヒートシンク150とドライバIC160とが熱的に結合されている。このようにドライバIC160が内面152と密着することで、ドライバIC160から発生する熱が、内面152を通じてヒートシンク150に移動する。
【0031】
断熱層155は、ゴムシートからなり絶縁性を有している。図3に示すように、FPC162とヒートシンク150との間に絶縁性を有する断熱層155が存在するので、FPC162とヒートシンク150とが接触して配線162a間が短絡するのを防ぐことができる。本実施形態において、断熱層155はゴムシートからなるが、例えば、スポンジシート、ポリイミド樹脂からなるシート、塗料であってもよい。なお、スポンジシートの場合、その内部に複数の空気層を有しているので、断熱性がより向上する。
【0032】
また、断熱層155の厚みが、断熱層155の厚み方向(本実施形態においては副走査方向)に関するドライバIC160の高さ以下となっている。これにより、FPC162と断熱層155とが接触していても、ドライバIC160と内面152とを熱的に結合させることができる。そのため、ドライバIC160の熱が内面152に伝わりやすくなり、ドライバIC162を効果的に冷却することができる。仮に、断熱層の厚みが、ドライバIC160の高さよりも厚い場合、FPC162と断熱層とが接触したときにドライバIC160と内面152と間の距離が離れてしまう。そのため、ドライバIC162の熱が内面152に伝わりにくくなる。
【0033】
図6は、主走査方向及び上下方向の両方向に沿った断面を示すインクリザーバ130の縦断面図である。上リザーバ131の内部には、インク流路135が形成されている。また、上リザーバ131の上面には、インク流路135の一方の開口であるインク供給口131bが形成されており、上リザーバ131の下面にはインク流路135の他方の開口であるインク通過口131eが形成されている。インク供給口131bは、上リザーバ131の主走査方向について一端の近傍に形成されている。インク通過口131eは、上リザーバ131の主走査方向及び副走査方向の両方向について中央近傍に形成されている。
【0034】
インク流路135において、その一端から他端までの経路は以下のように形成されている。インク流路135は、まず、インク供給口131bから下方向に向かっている。そして、上リザーバ131の下面近傍において、上リザーバ131の下面に沿って延在する延在領域135aに連通している。一方で上リザーバ131の下面の一部は、可撓性のフィルム131dからなる。フィルム131dの上面は、延在領域135aの下壁面の一部を構成している。また、フィルム131dの下面は、リザーバベース132と所定の間隙を介して対向しており、この間隙に対応して変位可能に配置されている。そのため、このフィルム131dが振動することによって、インク流路135内に充填されたインクに発生する圧力波による衝撃が吸収される。
【0035】
延在領域135aは、延在領域135bと連通している。延在領域135bは、延在領域135aの上方に形成されており、延在領域135aの延在面に平行に延在している。延在領域135aと延在領域135bとはフィルタ131cによって区画されており、フィルタ131cに形成された複数の微細孔を通じて互いに連通している。
【0036】
インク流路135は、主走査方向について延在領域135bの両端のうち、上リザーバ131の中央に近い方の一端から上方向に上リザーバ131の上面近傍まで向かう。そして、上リザーバ131の上面近傍において主走査方向について上リザーバ131の中央へと折れ曲がり、上リザーバ131の上面に沿って上リザーバ131の中央へと向かう。上リザーバ131の中央近傍へと達すると、下方へと折れ曲がって上リザーバ131の下面へと向かい、上リザーバ131の下面においてインク通過口131eと連通している。
【0037】
リザーバベース132の内部には、インク流路136が形成されている。リザーバベース132の上面にはインク流路136の一方の開口が形成されており、インク通過口131eと連通している。リザーバベース132の下面にはインク流路136の他方の開口であるインク通過口132aが形成されている。インク流路136は、インク通過口131eからインク通過口132aに向かって下方向に延在している。
【0038】
下リザーバ133の内部には、インク流路137が形成されている。下リザーバ133の上面にはインク流路137の一方の開口が形成されており、下面には他方の開口である複数のインク通過口133aが形成されている。インク通過口133aは流路ユニット140に対向しており、流路ユニット140の上面に形成されたインク供給口140a(後述する)と連通している。
【0039】
インク流路137は以下の3つの部分からなる。第1の部分は、下リザーバ133の上下方向について中央近傍に、主走査方向に沿って延在している部分である。第2の部分は、第1の部分から上方へとインク通過口132aまで延在している部分である。第3の部分は、第1の部分から下方へとインク通過口133aのそれぞれまで延在している部分である。第2の部分は、平面視においてインク流路136と重なる位置に形成されている。第3の部分は、平面視においてインク通過口133aのそれぞれと重なる位置に形成されている。
【0040】
このようにインクリザーバ130に形成されたインク流路135〜137を通じて、インク供給口131bから供給されたインクが流路ユニット140に流入する。流路ユニット140に到達するまでにインク流路135の半ばに設けられたフィルタ131cをインクが通過する。その際にインク内の不純物がフィルタ131cによって濾過される。
【0041】
続いて、流路ユニット140及びアクチュエータユニット120について説明する。図7(a)は流路ユニット140の平面図である。図7(a)に示すように、流路ユニット140の上面には、アクチュエータユニット120が固定されている。アクチュエータユニット120の形状は台形であり、その1対の平行対向辺が主走査方向に平行になるように配置されている。また、アクチュエータユニット120は、主走査方向に千鳥状に4つ配列されている。4つのアクチュエータユニットにおいて、流路ユニット140上で隣接する斜辺同士は、副走査方向について部分的にオーバーラップしている。
【0042】
流路ユニット140の内部には、インク流路の一部であるマニホールド流路5が形成されている。流路ユニット140の上面には複数のインク供給口140aが形成されており、マニホールド流路5の一端は各インク供給口140aに連通している。インク供給口140aは、流路ユニット140の長手方向に沿って5個ずつ、合計10個形成されている。インク供給口140aは、4つのアクチュエータユニット120が配置された領域を避ける位置に形成されている。
【0043】
図7(b)は、図7(a)のVIIB−VIIB線に沿った断面図である。なお、図7(b)の断面図には流路ユニット140やアクチュエータユニット120だけでなく、インクリザーバ130やヒートシンク150も描かれている。図7(b)に示すように、インク供給口140aは、下リザーバ133に形成されたインク通過口133aに連通している。マニホールド流路5には、インク供給口140aを通じてインクリザーバ130からインクが供給される。
【0044】
図7(b)に示すように、下リザーバ133と流路ユニット140とは、インク供給口140aとインク通過口133aとが連通している位置近傍を除いて離隔している。アクチュエータユニット120は、下リザーバ133と流路ユニット140との間に形成された空間に配置されており、下リザーバ133の下面と対向している。そして、アクチュエータユニット120の上面にFPC162が貼り付けられている。なお、FPC162と下リザーバ133も離隔している。
【0045】
図8は、図7(a)の一点鎖線で囲まれた領域の拡大平面図である。なお、説明の都合上、図8にはアクチュエータユニット120が二点鎖線で示されている。また、本来破線で示されるべき流路ユニット140の内部や下面に形成されているアパーチャ12やノズル8などが実線で示されている。
【0046】
流路ユニット140内に形成されたマニホールド流路5からは、複数本の副マニホールド流路5aが分岐している。これらの副マニホールド流路5aは、流路ユニット140の内部であって、各アクチュエータユニット120に対向する領域に互いに隣接して延在している。
【0047】
流路ユニット140は、複数の圧力室10がマトリクス状に形成されている圧力室群9を有している。圧力室10は、角部にアールが施されたほぼ菱形の平面形状を有する中空の領域である。圧力室10は、流路ユニット140の上面に開口するように形成されている。これらの圧力室10は、流路ユニット140の上面におけるアクチュエータユニット120に対向する領域のほぼ全面に亘って配列されている。したがって、これらの圧力室10によって形成された各圧力室群9は、アクチュエータユニット120とほぼ同一の大きさ及び形状の領域を占有している。また、各圧力室10の開口は、流路ユニット140の上面にアクチュエータユニット120が接着されることで閉塞されている。
【0048】
本実施形態では、等間隔に流路ユニット140の長手方向に並ぶ圧力室10の列が、短手方向に互いに平行に16列配列されている。各圧力室列に含まれる圧力室10の数は、アクチュエータユニット120の外形形状に対応して、その長辺側から短辺側に向かって次第に少なくなるように配置されている。ノズル8も、これと同様の配置がされている。
【0049】
アクチュエータユニット120の上面において、各圧力室10に対向する位置には、後述のような個別電極35がそれぞれ形成されている。個別電極35は、圧力室10より一回り小さく、圧力室10とほぼ相似な形状を有しており、アクチュエータユニット120の上面における圧力室10と対向する領域内に収まるように配置されている。
【0050】
流路ユニット140には多数のノズル8が形成されている。これらのノズル8は、流路ユニット140の下面における副マニホールド流路5aと対向する領域を避ける位置に配置されている。また、これらのノズル8は、流路ユニット140の下面におけるアクチュエータユニット120と対向する領域内に形成されている。そして、それぞれの領域内のノズル8は、流路ユニット140の長手方向に沿って等間隔に配列されている。
【0051】
なお、これらのノズル8は、流路ユニット140の長手方向に平行な仮想直線上に、この仮想直線と垂直な方向から各ノズル8の形成位置を射影した射影点が、印字の解像度に対応した間隔で等間隔に途切れずに並ぶような位置に形成されている。これによって、インクジェットヘッド100は、流路ユニット140におけるノズル8が形成された領域の長手方向についてのほぼ全領域に亘って、印字の解像度に対応した間隔で途切れずに印字できるようになっている。
【0052】
流路ユニット140の内部には、多数のアパーチャ(しぼり)12が形成されている。これらのアパーチャ12は、圧力室群9と対向する領域内に配置されている。本実施形態のアパーチャ12は、水平面に平行な一方向に沿って延在している。
【0053】
流路ユニット140の内部には、各アパーチャ12、圧力室10及びノズル8を互いに連通させるような連通孔が形成されている。これらの連通孔は、互いに連通し、個別インク流路32を構成している(図9参照)。各個別インク流路32は、副マニホールド流路5aと連通している。マニホールド流路5に供給されたインクは副マニホールド流路5aを通じて各個別インク流路32へと供給され、ノズル8から吐出される。
【0054】
流路ユニット140及びアクチュエータユニット120の断面構造について説明する。図9は、図8のIX―IX線に沿った縦断面図である。
【0055】
流路ユニット140は、複数のプレートが積層された積層構造を有している。これらのプレートは、流路ユニット140の上面から順に、キャビティプレート22、ベースプレート23、アパーチャプレート24、サプライプレート25、マニホールドプレート26、27、28、カバープレート29及びノズル8プレート30である。これらのプレートには多数の連通孔が形成されている。各プレートは、これらの連通孔が互いに連通して個別インク流路32及び副マニホールド流路5aを構成するように、位置合わせして積層されている。図9に示すように、圧力室10は流路ユニット140の上面に、副マニホールド流路5aは内側中央部に、ノズル8は下面にと、個別インク流路32を構成する各部分が異なる位置に互いに近接して配設され、圧力室10を介して副マニホールド流路5aとノズル8とが連通孔により連通される構成を有している。
【0056】
各プレートに形成された連通孔について説明する。これらの連通孔には、次のようなものがある。第1に、キャビティプレート22に形成された圧力室10である。第2に、圧力室10の一端から副マニホールド流路5aへと連通する流路を構成する連通孔Aである。連通孔Aは、ベースプレート23(圧力室10の入り口)からサプライプレート25(副マニホールド流路5aの出口)までの各プレートに形成されている。なお、連通孔Aには、アパーチャプレート24に形成されたアパーチャ12が含まれている。
【0057】
第3に、圧力室10の他端からノズル8へと連通する流路を構成する連通孔Bである。連通孔Bは、ベースプレート23(圧力室10の出口)からカバープレート29までの各プレートに形成されている。第4に、ノズル8プレート30に形成されたノズル8である。第5に、副マニホールド流路5aを構成する連通孔Cである。連通孔Cは、マニホールドプレート26〜28に形成されている。
【0058】
このような連通孔が相互に連通し、副マニホールド流路5aからのインクの流入口(副マニホールド流路5aの出口)からノズル8に至る個別インク流路32を構成している。副マニホールド流路5aに供給されたインクは、以下の経路でノズル8へと流れる。まず、副マニホールド流路5aから上方向に向かって、アパーチャ12の一端部に至る。次に、アパーチャ12の延在方向に沿って水平に進み、アパーチャ12の他端部に至る。そこから上方に向かって、圧力室10の一端部に至る。さらに、圧力室10の延在方向に沿って水平に進み、圧力室10の他端部に至る。そこから3枚のプレートを経由して斜め下方に向かい、さらに直下のノズル8へと進む。
【0059】
図10は、図9の一点鎖線で囲まれた領域の拡大図である。アクチュエータユニット120は、図10に示すように、4つの圧電層41、42、43、44が積層された積層構造を有している。これらの圧電層41〜44はそれぞれ15μm程度の厚みを有している。アクチュエータユニット120全体の厚みは60μm程度である。圧電層41〜44のいずれの層も複数の圧力室10を跨ぐように延在している(図8参照)。これらの圧電層41〜44は、強誘電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系のセラミックス材料からなる。
【0060】
アクチュエータユニット120は、Ag−Pd系などの金属材料からなる個別電極35及び共通電極34を有している。個別電極35は、上述のようにアクチュエータユニット120の上面における圧力室10と対向する位置に配置されている。個別電極35の一端は、圧力室10と対向する領域外に引き出されてランド36が形成されている。このランド36は、例えばガラスフリットを含む金からなり、厚みが15μm程度で凸状に形成されている。また、ランド36は、FPC162の複数の配線162aとそれぞれ電気的に接続されている。
【0061】
インクジェットヘッド100が、例えばプリンタに設置される場合には、制御基板170上に構築された制御部は、プリンタが有する主制御部と電気的に接続される。制御基板170上の制御部は、プリンタの主制御部の指示に従ってインク吐出に対応する電圧パルスを供給するようドライバIC160に指示する。ドライバIC160はその指示に従って、FPC162を通じてインク吐出に対応する電圧パルスを個別電極35に供給する。
【0062】
共通電極34は、圧電層41と圧電層42との間の領域に面方向のほぼ全面に亘って介在している。すなわち、共通電極34は、アクチュエータユニット120に対向する領域内のすべての圧力室10に跨るように延在している。共通電極34の厚さは2μm程度である。共通電極34は図示しない領域において接地され、グランド電位に保持されている。
【0063】
これら複数の個別電極35及び共通電極34は、最上層の圧電層41のみを挟むように配置されている。圧電層における個別電極35と共通電極34とに挟まれた領域は活性部と呼称される。本実施形態のアクチュエータユニット120においては、最上層の圧電層41のみ活性部を含んでおり、その他の圧電層42〜44は活性部を含んでいない。すなわち、このアクチュエータユニット120はいわゆるユニモルフタイプの構成を有している。
【0064】
そして、個別電極35に選択的に所定の電圧パルスが供給されることにより、この個別電極35に対応する圧力室10の容積が変化し、圧力室内のインクに圧力が加えられる。これによって、個別インク流路32を通じて、対応するノズル8からインクが吐出される。こうして、所望の画像が用紙に形成される。
【0065】
以上のような第1実施形態によるインクジェットヘッド100によると、ヒートシンク150の内面152に伝わったドライバIC160の熱を内面152から外面151に向かう方向にヒートシンク150から放熱することができる。そのため、発熱したドライバIC160ら内面152に伝わった熱が、内面152から密閉空間に放熱されにくくなる。その結果、密閉空間が高温・高湿状態になりにくくなり、FPC162とアクチュエータユニット140との電気的な接続箇所においてウィスカ成長を抑制することができる。さらに、インクリザーバ130及び流路ユニット140内のインク流路内のインク温度の上昇を抑制することができる。そのため、インクの粘度が安定しインク吐出も安定する。
【0066】
また、ヒートシンク150の内面152に断熱層155が形成されていることで、内面152のドライバIC160と対向する領域からヒートシンク150に伝わった熱が内面152のドライバIC160と対向しない領域から放熱しても、そこには断熱層155が存在するので、ヘッドカバー110等によって囲まれた密閉空間がより温められにくくなる。
【0067】
続いて、本発明に第2実施形態について以下に説明する。図11は、ヒートシンク250近傍の部分拡大断面図である。本実施形態のインクジェットヘッドは、ヒートシンク250の構成が第1実施形態のヒートシンク150と異なるだけで、それ以外は第1実施形態と同様である。なお、第1実施形態と同様なものに関しては、同符号で示し説明を省略する。
【0068】
ヒートシンク250は、図11に示すように、平坦突出部150aと同様な平坦突出部250aが形成されている。ヒートシンク250は、平坦突出部250aの外面251から副走査方向に突出した複数の凸部257を有している。凸部257は、平坦突出部上において主走査方向に延在している。このように、ヒートシンク250の外面251に複数の凸部257が形成されていることで、ヒートシンク250の外面251の表面積が内面252よりも大きくなる。そのため、ヒートシンク250の外面側の放熱特性が内面252よりも向上し、ヒートシンク250の内面252に伝わった熱が、内面252から外面251に向かう方向にヒートシンク250から放熱される。
【0069】
また、ヒートシンク250は、アルミニウム金属から形成されており、外面251には、第1実施形態と同様に、多孔質皮膜253が形成されている。これにより、ヒートシンク250の外面側の表面積が内面252よりもさらに大きくなる。そのため、内面252に伝わった熱が、内面252から外面251に向かう方向にヒートシンク250から放熱される。このように、ヒートシンク250の外面側が、内面252よりもさらに放熱特性が向上することで、第1実施形態と同様に、ヒートシンク250に伝わったドライバIC160の熱が密閉空間に放熱されにくくなって、密閉空間が温められにくくなる。
【0070】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、第1実施形態におけるヒートシンク150の外面151に形成された多孔質皮膜153は、黒色に着色されているが、特に着色されていなくてもよし、他の色に着色されていてもよい。また、第2実施形態におけるヒートシンク250には、多孔質皮膜253が形成されていなくてもよい。この場合においても、ヒートシンク250の外面側の放熱特性が内面252よりも向上しているので、内面252に伝わった熱が外面251から放熱される。また、ヒートシンク250には、凸部257が1つだけ形成されていてもよい。また、ヒートシンクは外面が内面よりも放熱性が高ければよい。つまり、単に外面の表面を内面よりも粗くするだけでもよい。この場合、内面を鏡面に仕上げ、外面の表面を特に仕上げなくてもよい。また、ヒートシンク150,250に断熱層155が設けられていなくてもよい。また、ドライバIC160と内面152,252とを放熱シート156以外のもの(例えば、接着剤など)で熱的に結合させていてもよい。あるいは、ドライバIC160と内面152,252とを当接させているだけでもよい。また、上述した各実施形態におけるインクジェットヘッドは、ラインタイプのインクジェットヘッドであるが、シリアルタイプのインクジェットヘッドでも適用可能である。すなわち、シリアルタイプのインクジェットプリンタであっても、上述のような効果を有することが可能である。加えて、シリアルタイプの場合、インクジェットヘッドが移動しながらインクを吐出するので、ヒートシンク150,250の外面側が効果的に冷やされてドライバIC160の冷却効果が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1実施形態によるインクジェットヘッドの概略斜視図である。
【図2】図1に示されたインクジェットヘッドの内部の構成を示す斜視図である。
【図3】図1に示すIII−III線に沿った断面図である。
【図4】ヒートシンクの側面図である。
【図5】ヒートシンクの外面に形成された多孔質皮膜の部分断面斜視図である。
【図6】インクリザーバの縦断面図である。
【図7】(a)は流路ユニットの平面図であり、(b)は(a)のVIIB−VIIB線に沿った断面図である。
【図8】図7(a)の一点鎖線で囲まれた領域の拡大平面図である。
【図9】図8のIX―IX線に沿った縦断面図である。
【図10】図9の一点鎖線で囲まれた領域の拡大図である。
【図11】本発明の第2実施形態によるインクジェットヘッドに設けられたヒートシンク近傍の部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0072】
8 ノズル
100 インクジェットヘッド
110 ヘッドカバー
120 アクチュエータユニット
140 流路ユニット
150,250 ヒートシンク(板材)
151,251 外面
152,252 内面
153,253 多孔質皮膜
155 断熱層
156 貫通孔
160 ドライバIC
162 FPC(配線部材)
162a 配線
257 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク吐出面に形成されたインク吐出口に至るインク流路を内部に有する流路ユニットと、
前記流路ユニットの一平面に固定され、前記インク流路内のインクに吐出エネルギーを付与するアクチュエータユニットと、
前記アクチュエータユニットに接続された配線及び前記配線を介して前記アクチュエータユニットにインクを吐出するための駆動信号を供給するドライバICを有する配線部材と、
前記流路ユニットの長手方向に沿って延在し、前記一平面から突出するようにして固定された2つの板材と、
前記2つの板材の前記流路ユニットとは反対側の端部に固定され、前記2つの板材及び前記流路ユニットの前記一平面とで、前記アクチュエータユニット及び前記ドライバICを取り囲みつつ内部に密閉空間を形成するカバー部材とを備えており、
前記配線部材が、前記アクチュエータユニットから前記板材に沿って配設され、且つ、前記ドライバICが前記板材の内面と対向し熱的に結合されており、
前記板材の外面が、前記内面よりも放熱性が高いことを特徴とするインクジェットヘッド。
【請求項2】
前記板材の前記外面には、前記内面から前記外面に向かう方向に突出した1以上の凸部を有していることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド。
【請求項3】
前記板材が、チタン、マグネシウム、アルミニウムのいずれか、又はそれぞれの合金からなり、
前記板材の外面には、前記板材の多孔質皮膜が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェットヘッド。
【請求項4】
前記板材が、アルミニウム又はアルミニウムを含む合金からなり、
前記板材の前記外面には、黒色の陽極酸化多孔質皮膜が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のインクジェットヘッド。
【請求項5】
前記板材の前記内面には、前記ドライバICと対向する領域に前記内面を露出する貫通孔を有する断熱層が形成されており、
前記ドライバICが前記貫通孔を介して前記板材と熱的に結合されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
【請求項6】
前記断熱層の厚みが、前記断熱層の厚み方向に関する前記ドライバICの高さ以下であることを特徴とする請求項5に記載のインクジェットヘッド。
【請求項7】
前記断熱層が、絶縁材料からなることを特徴とする請求項5又は6に記載のインクジェットヘッド。










【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−268850(P2007−268850A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−97266(P2006−97266)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】