説明

インクジェット印刷装置及び方法

【課題】用紙に過不足なく適切に透明液を付与して印刷することができるインクジェット印刷装置及び方法を提供する。
【解決手段】用紙の白地部に透明液を付与して、用紙全体の水分量の均一化を図る。この場合において、用紙の紙種・紙厚、裏面印刷の有無、印刷速度、印刷画像等の情報に基づいて、用紙の白地部に付与する透明液の付与量を決定する。これにより、過不足なく適切に透明液を付与することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェット印刷装置及び方法に係り、特に白地部に透明液を付与して印刷するインクジェット印刷装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水性インク(水を溶媒に含むインク)を用いて汎用の印刷用紙にインクジェット方式で印刷すると、インクを付与した箇所が溶媒(主として水)によって変形(カール、コックリング等)し、印刷物の品位が損なわれるという問題がある。また、品位に影響を与えないような微小な変形であっても、用紙を吸着して搬送するような系(たとえば、用紙をドラム搬送する系やベルト搬送する系)では、用紙の先頭から吸着してゆくと、用紙の変形が蓄積し、後端部で皺になるという問題がある。
【0003】
特許文献1、2では、用紙の白地部(非画像部)に透明液を付与することにより、用紙全体の水分量を均一化し、用紙の局所的な変形をなくすことが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−58308号公報
【特許文献2】特開2008−290286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2の技術は、印刷画像から白地部を求め、求めた白地部に単純に透明液を付与する構成であるため、本来、透明液を付与する必要がない場合であっても、透明液が付与されてしまうため、コスト高になるという欠点がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、用紙に過不足なく適切に透明液を付与して印刷することができるインクジェット印刷装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、前記目的を達成するために、用紙を搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送される用紙に有色インクの液滴を打滴して画像を描画するインクジェットヘッドと、前記搬送手段によって搬送される用紙の白地部に透明液を付与する透明液付与手段と、前記用紙に前記画像を印刷する際に必要な所定の印刷情報に基づいて、前記用紙に付与する前記透明液の付与量を決定する透明液付与量決定手段と、前記透明液付与量決定手段で決定された付与量で前記用紙の白地部に前記透明液が付与されるように前記透明液付与手段を制御する透明液付与制御手段と、を備えたことを特徴とするインクジェット印刷装置を提供する。
【0008】
本発明によれば、印刷する際に必要な所定の印刷情報に基づいて、用紙の白地部に付与する透明液(ほぼ透明なものを含む)の付与量が決定される。これにより、過不足なく適切に用紙に透明液を付与することができる。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記目的を達成するために、前記印刷情報が、前記用紙の情報であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット印刷装置を提供する。
【0010】
本発明によれば、使用する用紙の情報に基づいて、用紙の白地部に付与する透明液の付与量が決定される。透明液を付与したとき用紙の変形の程度は、用紙によって異なるので、使用する用紙に応じて、透明液の付与量を決定することにより、適切に透明液を付与することができる。
【0011】
請求項3に係る発明は、前記目的を達成するために、前記用紙の情報が、紙種の情報、紙厚の情報のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット印刷装置を提供する。
【0012】
本発明によれば、使用する用紙の紙種、紙厚の情報に基づいて、用紙の白地部に付与する透明液の付与量が決定される。透明液を付与したときの用紙の変形の程度は、用紙の種類(塗工層の有無など)によって異なるので、使用する紙種に応じて、透明液の付与量を決定することにより、適切に透明液を付与することができる。また、同じ種類の用紙であっても、紙厚によって変形の程度が異なるので、使用する用紙の紙厚に応じて、透明液の付与量を決定することにより、適切に透明液を付与することができる。
【0013】
請求項4に係る発明は、前記目的を達成するために、前記印刷情報が、前記用紙に対する裏面印刷の有無の情報であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット印刷装置を提供する。
【0014】
本発明によれば、裏面への印刷の有無の情報に基づいて、用紙の白地部に付与する透明液の付与量が決定される。品位に影響を与えないような微小な変形であっても、用紙を吸着して搬送するような系(たとえば、用紙をドラム搬送する系やベルト搬送する系)では、用紙の先頭から吸着してゆくと、変形が蓄積し、用紙の後端部で皺が発生する。したがって、裏面印刷が有る場合は、透明液の付与量を多くし、用紙の局所的な歪みを除去する。これにより、適切に透明液を付与することができる。
【0015】
請求項5に係る発明は、前記目的を達成するために、前記印刷情報が、前記用紙に対する印刷速度の情報であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット印刷装置を提供する。
【0016】
本発明によれば、印刷速度(印刷時における用紙の搬送速度)の情報に基づいて、用紙の白地部に付与する透明液の付与量が決定される。通常、用紙はインクが付与された後、乾燥に供される。印刷速度が速いと、乾燥までの時間が早くなり、溶媒の浸透が進まないうちに乾燥に供することができる。すなわち、変形が進まないうちに溶媒を乾燥させることができる。したがって、印刷速度が速い場合は、透明液の付与量を少なくする。これにより、適切に透明液を付与することができる。
【0017】
請求項6に係る発明は、前記目的を達成するために、前記印刷情報が、前記用紙に印刷する画像の情報であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット印刷装置を提供する。
【0018】
本発明によれば、用紙に印刷する画像の情報に基づいて、用紙の白地部に付与する透明液の付与量が決定される。用紙の局所的な変形は、インクが付与された部分と付与されていない部分の差によって引き起こされる。そして、どの部分にインクが付与されるかは画像によって定まる。したがって、画像に応じて、透明液の付与量を決定することにより、適切に透明液を付与することができる。
【0019】
請求項7に係る発明は、前記目的を達成するために、前記透明液付与量決定手段は、前記用紙の印刷領域を複数の領域に分割し、各領域に付与するインク量を領域インク量として前記用紙に印刷する画像の情報から算出し、得られた前記領域インク量の情報に基づいて、前記各領域に付与する前記透明液の付与量を決定することを特徴とする請求項6に記載のインクジェット印刷装置を提供する。
【0020】
本発明によれば、用紙の印刷領域が複数の領域に分割され、分割された各領域へのインクの付与量の情報に基づいて、各領域に付与する透明液の付与量が決定される。これにより、適切に透明液を付与することができる。
【0021】
請求項8に係る発明は、前記目的を達成するために、前記透明液付与量決定手段は、前記各領域の領域インク量と閾値とを比較し、前記領域インク量が前記閾値以上の領域に付与する前記透明液の付与量を0とすることを特徴とする請求項7に記載のインクジェット印刷装置を提供する。
【0022】
本発明によれば、領域インク量が閾値を下回る領域にのみ透明液が付与される。これにより、各領域に適切に透明液を付与することができる。
【0023】
請求項9に係る発明は、前記目的を達成するために、前記閾値が、前記領域インク量の最大値に応じて設定されることを特徴とする請求項8に記載のインクジェット印刷装置を提供する。
【0024】
本発明によれば、領域インク量の最大値に応じて閾値が切り替えられる。これにより、各領域に適切に透明液を付与することができる。
【0025】
請求項10に係る発明は、前記目的を達成するために、前記印刷情報が、前記用紙の情報、前記用紙に対する裏面印刷の有無の情報、前記用紙に対する印刷速度の情報、前記用紙に印刷する画像の情報のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット印刷装置を提供する。
【0026】
本発明によれば、用紙の情報、用紙に対する裏面印刷の有無の情報、用紙に対する印刷速度の情報、用紙に印刷する画像の情報のうちの少なくとも1つに基づいて、用紙の白地部に付与する透明液の付与量が決定される。すなわち、複数の条件に基づいて、透明液の付与量が決定される。これにより、より適切に透明液を付与することができる。
【0027】
請求項11に係る発明は、前記目的を達成するために、前記透明液と前記インクは、それぞれ少なくとも水及び有機溶媒を成分として含み、前記透明液中の有機溶媒の溶解性パラメータをSP1、前記インク中の有機溶媒の溶解性パラメータをSP2としたとき、SP1>SP2となることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のインクジェット印刷装置を提供する。
【0028】
本発明によれば、少なくとも水と有機溶媒を含むインクで画像が描画されるとともに、少なくとも水と有機溶媒を含む透明液が白地部に付与される。そして、用紙の白地部に付与する透明液には、インク中に含まれる有機溶媒よりも極性の高い有機溶媒(すなわち、溶解性パラメータ(SP)の高い有機溶媒)を含む透明液が用いられる。これにより、より少ない量で用紙を伸ばすことができる。
【0029】
請求項12に係る発明は、前記目的を達成するために、前記透明液の表面張力をγ1、前記インクの表面張力をγ2としたとき、γ1<γ2となることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のインクジェット印刷装置を提供する。
【0030】
本発明によれば、インクの表面張力よりも表面張力が低い透明液を用いて、用紙の白地部に透明液が付与される。これにより、インクより速く用紙に浸透させることができ、結果として、より少ない量で用紙を伸ばすことができる。
【0031】
請求項13に係る発明は、前記目的を達成するために、前記透明液の粘度をη1、前記インクの粘度をη2としたとき、η1<η2となることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のインクジェット印刷装置を提供する。
【0032】
本発明によれば、インクの粘度よりも低い粘度の透明液を用いて、用紙の白地部に透明液が付与される。これにより、インクより速く用紙に浸透させることができ、結果として、より少ない量で用紙を伸ばすことができる。
【0033】
請求項14に係る発明は、前記目的を達成するために、搬送手段によって搬送される用紙にインクジェットヘッドで有色インクの液滴を打滴して画像を描画するとともに、前記用紙の白地部に透明液付与手段で透明液を付与して、画像を印刷するインクジェット印刷方法において、前記用紙に前記画像を印刷する際に必要な所定の印刷情報に基づいて、前記用紙に付与する前記透明液の付与量を決定することを特徴とするインクジェット印刷方法。
【0034】
本発明によれば、印刷する際に必要な所定の印刷情報に基づいて、用紙の白地部に付与する透明液(ほぼ透明なものを含む)の付与量が決定される。これにより、過不足なく適切に用紙に透明液を付与することができる。
【0035】
請求項15に係る発明は、前記目的を達成するために、前記印刷情報が、前記用紙の情報、前記用紙に対する裏面印刷の有無の情報、前記用紙に対する印刷速度の情報、前記用紙に印刷する画像の情報のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項14に記載のインクジェット印刷方法を提供する。
【0036】
本発明によれば、用紙の情報、用紙に対する裏面印刷の有無の情報、用紙に対する印刷速度の情報、用紙に印刷する画像の情報のうちの少なくとも1つに基づいて、用紙の白地部に付与する透明液の付与量が決定される。これにより、より適切に透明液を付与することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、用紙に過不足なく適切に透明液を付与して印刷することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】インクジェット印刷装置の全体構成を示す概略図
【図2】インクジェット印刷装置の制御系の概略構成を示すブロック図
【図3】用紙の紙厚・紙種と透明液の付与量との関係を示す表
【図4】裏面印刷の有無と透明液の付与量との関係を示す表
【図5】印刷速度と透明液の付与量との関係を示す表
【図6】第4の実施の形態の透明液付与方法の概念図
【図7】領域インク量の最大値(Vmax)と閾値との関係を示す表
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付図面に従って本発明に係るインクジェット印刷装置及び方法の好ましい実施の形態について詳説する。
【0040】
《全体構成》
図1は、本発明が適用されたインクジェット印刷装置の全体構成を示す概略図である。
【0041】
同図に示すインクジェット印刷装置10は、枚葉の用紙Pに水性インク(水を溶媒に含むインク)を用いてインクジェット方式で印刷する印刷装置であり、用紙Pを給紙する給紙部20と、用紙Pの印刷面に所定の処理液を付与する処理液付与部30と、用紙Pの印刷面にシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、クロ(K)の各色のインク滴をインクジェットヘッドで打滴して、カラー画像を描画する画像記録部40と、用紙Pに打滴されたインク滴を乾燥させるインク乾燥部50と、用紙Pに記録された画像を定着させる定着部60と、用紙Pを回収する回収部70を備えて構成されている。
【0042】
処理液付与部30、画像記録部40、インク乾燥部50、定着部60の各部には、それぞれ用紙Pの搬送手段として、搬送ドラム31、41、51、61が備えられている。用紙Pは、この搬送ドラム31、41、51、61によって、処理液付与部30、画像記録部40、インク乾燥部50、定着部60の各部を搬送される。
【0043】
各搬送ドラム31、41、51、61は、用紙幅に対応して形成されており、図示しないモータに駆動されて回転する(図1において、反時計回りに回転)。各搬送ドラム31、41、51、61の周面には、グリッパGが備えられており、用紙Pは、このグリッパGに先端部を把持されて搬送される。本例では、各搬送ドラム31、41、51、61の周面2箇所(180°間隔)にグリッパGが備えられており、1回転で2枚の用紙を搬送できるように構成されている。
【0044】
また、各搬送ドラム31、41、51、61の周面には、多数の吸着穴が形成されており、用紙Pは、この吸着穴から裏面を真空吸着されて、各搬送ドラム31、41、51、61の外周面上に保持される。なお、本例では、用紙Pを真空吸着して、各搬送ドラム31、41、51、61の外周面上に吸着保持する構成としているが、用紙Pを静電吸着して、各搬送ドラム31、41、51、61の外周面上に吸着保持する構成とすることもできる。
【0045】
処理液付与部30と画像記録部40の間、画像記録部40とインク乾燥部50の間、インク乾燥部50と定着部60の間には、それぞれ渡し胴80、90、100が配置されている。用紙Pは、この渡し胴80、90、100によって、各部の間を搬送される。
【0046】
各渡し胴80、90、100は、枠体で構成された渡し胴本体81、91、101と、その渡し胴本体81、91、101に備えられたグリッパGとで構成されている。渡し胴本体81、91、101は、用紙幅に対応して形成されており、図示しないモータに駆動されて回転する(図1において、時計回りに回転)。これにより、グリッパGが同一円周上を回転する。用紙Pは、このグリッパGに先端部を把持されて搬送される。なお、本例では、一対のグリッパGが回転軸を挟んで対称位置に配置されており、1回転で2枚の用紙を搬送できるように構成されている。
【0047】
各渡し胴80、90、100の下部には、用紙Pの搬送経路に沿って円弧状のガイド板83、93、103が配設されている。渡し胴80、90、100によって搬送される用紙Pは、このガイド板83、93、103に裏面(印刷面の反対側の面)をガイドされながら搬送される。
【0048】
また、各渡し胴80、90、100の内部には、ガイド板83、93、103に向けて熱風を吹き出すドライヤ84、94、104が配置されている。各渡し胴80、90、100によって搬送される用紙Pは、その搬送過程でドライヤ84、94、104から吹き出された熱風が印刷面に吹き当てられる。
【0049】
給紙部20から給紙された用紙Pは、処理液付与部30の搬送ドラム31に受け渡され、処理液付与部30の搬送ドラム31から渡し胴80を介して画像記録部40の搬送ドラム41に受け渡される。そして、画像記録部40の搬送ドラム41から渡し胴90を介してインク乾燥部50の搬送ドラム51に受け渡され、インク乾燥部50の搬送ドラム51から渡し胴100を介して定着部60の搬送ドラム61に受け渡される。そして、定着部60の搬送ドラム61から回収部70へと受け渡される。この一連の搬送過程で用紙Pは、所要の処理が施されて、印刷面に画像が形成される。
【0050】
なお、用紙Pは、搬送ドラム31、41、51、61には、印刷面が外側に向くようにして搬送され、渡し胴80、90、100には、印刷面が内側に向くようにして搬送される。
【0051】
以下、本実施の形態のインクジェット印刷装置10の各部の構成について詳説する。
【0052】
<給紙部>
給紙部20は、給紙装置21と、給紙トレイ22と、渡し胴23とを備えており、枚葉の用紙Pを処理液付与部30に1枚ずつ連続的に給紙する。
【0053】
給紙装置21は、図示しないマガジンにスタックされた用紙Pを上側から順に1枚ずつ給紙トレイ22に給紙する。
【0054】
給紙トレイ22は、給紙装置21から給紙された用紙Pを渡し胴23に向けて送り出す。
【0055】
渡し胴23は、給紙トレイ22から送り出された用紙Pを受け取り、所定の搬送経路に沿って搬送して、処理液付与部30の搬送ドラム31に受け渡す。
【0056】
<処理液付与部>
処理液付与部30は、用紙Pの印刷面に所定の処理液を付与する。この処理液付与部30は、用紙Pを搬送する搬送ドラム(以下、「処理液付与ドラム」という。)31と、処理液付与ドラム31によって搬送される用紙Pの印刷面に所定の処理液を付与する処理液付与装置32を備えて構成されている。
【0057】
処理液付与ドラム31は、給紙部20の渡し胴23から用紙Pを受け取り(グリッパGで用紙Pの先端を把持して受け取る。)、回転して用紙Pを搬送する。
【0058】
処理液付与装置32は、処理液付与ドラム31によって搬送される用紙Pの印刷面にインク中の色材を凝集させる機能を有する処理液を付与する。本実施の形態のインクジェット印刷装置10では、処理液をローラ塗布する塗布装置で構成され、周面に処理液が付与された塗布ローラを用紙Pの表面に押圧当接させて、用紙Pの印刷面に処理液を付与(塗布)する。処理液付与装置32は、この他、たとえばインクジェットヘッドやスプレー等で構成することもできる。インクジェット方式の場合には、インクの打滴箇所及びその周辺のみに選択的に付与することができるという利点がある。このような処理液を事前に付与してインクを打滴することにより、着弾干渉を抑止でき、高品位な印刷を行うことができる。
【0059】
以上のように構成された処理液付与部30によれば、用紙Pは処理液付与ドラム31によって所定の搬送経路を搬送される。そして、その搬送過程で処理液付与装置32から印刷面に処理液が付与される。
【0060】
印刷面に処理液が付与された用紙Pは、その後、所定位置で処理液付与ドラム31から渡し胴80に受け渡される。そして、渡し胴80によって所定の搬送経路を搬送されて、画像記録部40の搬送ドラム41に受け渡される。
【0061】
ここで、上記のように、渡し胴80には、その内部にドライヤ84が設置されており、ガイド板83に向けて熱風が吹き出されている。用紙Pは、この渡し胴80によって処理液付与部30から画像記録部40に搬送される過程で印刷面に熱風が吹き当てられて、印刷面に付与された処理液が乾燥される(処理液中の溶媒成分が蒸発除去される。)。
【0062】
<画像記録部>
画像記録部40は、用紙Pの印刷面にC、M、Y、Kの各色のインク滴を打滴して、用紙Pの印刷面にカラー画像を描画する。この画像記録部40は、用紙Pを搬送する搬送ドラム(以下、「画像記録ドラム」という。)41と、画像記録ドラム41によって搬送される用紙Pの印刷面を押圧して、用紙Pの裏面を画像記録ドラム41の周面に密着させる用紙押さえローラ42と、用紙押さえローラ42を通過した用紙Pの浮きを検出する用紙浮き検出センサ43と、用紙PにC、M、Y、Kの各色のインク滴を吐出するインクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kと、用紙Pに透明液の液滴を吐出する透明液吐出ヘッド45とを備えて構成されている。
【0063】
画像記録ドラム41は、渡し胴80から用紙Pを受け取り、回転して用紙Pを搬送する。
【0064】
用紙押さえローラ42は、画像記録ドラム41の用紙受取位置(渡し胴80から用紙Pを受け取る位置)の近傍に設置されており、図示しない押圧機構によって押圧力が付与されて、画像記録ドラム41の周面に押圧当接されている。渡し胴80から画像記録ドラム41に受け渡された用紙Pは、この用紙押さえローラ42を通過することによりニップされ、裏面が画像記録ドラム41の外周面に密着される。
【0065】
用紙浮き検出センサ43は、用紙押さえローラ42を通過した用紙Pの浮き(画像記録ドラム41の外周面からの一定以上の浮き)を検出する。この用紙浮き検出センサ43は、たとえば、レーザ投光器とレーザ受光器とで構成される。レーザ投光器は、画像記録ドラム41の一端から他端に向けて画像記録ドラム41の軸と平行なレーザ光を画像記録ドラム41の外周面から所定高さの位置に投光する。レーザ受光器は、画像記録ドラム41を挟んでレーザ投光器と対向して配置され、レーザ投光器から投光されたレーザ光を受光する。用紙押さえローラ42を通過した用紙Pに一定以上の浮きが生じていると、レーザ投光器から投光されたレーザ光が用紙Pに遮られ、レーザ受光器で受光されなくなる。用紙浮き検出センサ43は、このレーザ受光器でのレーザ光の受光の有無を検出して、用紙Pの浮きを検出する。
【0066】
4台のインクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kは、用紙浮き検出センサ43の後段に配されており、用紙Pの搬送経路に沿って一定の間隔で配置されている。このインクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kは、用紙幅に対応したラインヘッドで構成されており、そのノズル面に形成されたノズル列から、画像記録ドラム41に向けて対応する色のインク滴を吐出する。
【0067】
透明液吐出ヘッド45は、インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kの後段に配置されており、画像が描画された用紙Pの白地部(インクが打滴されていない領域)に所定の透明液(ほぼ透明な液体)を打滴する。この透明液吐出ヘッド45は、インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kと同様に、用紙幅に対応したラインヘッドで構成されており、そのノズル面に形成されたノズル列から、画像記録ドラム41に向けて透明液の液滴を吐出する。
【0068】
以上のように構成された画像記録部40によれば、用紙Pは画像記録ドラム41によって所定の搬送経路を搬送される。渡し胴80から画像記録ドラム41に受け渡された用紙Pは、まず、用紙押さえローラ42でニップされて、画像記録ドラム41の外周面に密着される。次いで、用紙浮き検出センサ43によって、浮きの有無が検出され、その後、各インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44KからC、M、Y、Kの各色のインク滴が印刷面に打滴されて、印刷面にカラー画像が描画される。画像が描画された用紙Pは、その後、透明液吐出ヘッド45によって白地部に透明液が付与されたのち、所定位置で渡し胴90に受け渡される。
【0069】
ここで、本例のインクジェット印刷装置10では、各色ともにインク中に熱可塑性樹脂が分散された水性インクが使用される。
【0070】
なお、このような水性インクを用いた場合であっても、本例のインクジェット印刷装置10では、あらかじめ用紙Pに所定の処理液(インク中の色材を凝集させる機能を有する処理液)を付与して、インクを打滴しているので、着弾干渉を抑止でき、高品位な印刷を行うことができる。
【0071】
また、白地部に透明液を打滴することにより、用紙全体の水分量を均一化でき、用紙の局所的な変形をなくすことができる。なお、この用紙Pの白地部に付与する透明液の付与方法については、後に詳述する。
【0072】
渡し胴90に受け渡された用紙Pは、渡し胴90によって所定の搬送経路を搬送されて、インク乾燥部50の搬送ドラム51に受け渡される。なお、上記のように、渡し胴90には、その内部にドライヤ94が設置されており、ガイド板93に向けて熱風が吹き出されている。インクの乾燥処理は、後段のインク乾燥部50で行われるが、用紙Pは、この渡し胴90による搬送時にも乾燥処理が施される。
【0073】
<インク乾燥部>
インク乾燥部50は、画像記録後の用紙Pに残存する液体成分を乾燥させる。このインク乾燥部50は、用紙Pを搬送する搬送ドラム(以下、「インク乾燥ドラム」という。)51と、インク乾燥ドラム51によって搬送される用紙Pに対して乾燥処理を施すインク乾燥装置52とを備えて構成されている。
【0074】
インク乾燥ドラム51は、渡し胴90から用紙Pを受け取り、回転して用紙Pを搬送する。
【0075】
インク乾燥装置52は、たとえば、ドライヤで構成され、インク乾燥ドラム51によって搬送される用紙Pに向けて熱風(たとえば、80℃)を吹き付けることにより、インクを乾燥させる(用紙上に存在する液体成分を蒸発させる。)。
【0076】
以上のように構成されたインク乾燥部50によれば、用紙Pはインク乾燥ドラム51によって搬送される。そして、その搬送過程で印刷面にインク乾燥装置52から熱風が吹き付けられて、印刷面に付与されたインクが乾燥される。
【0077】
インク乾燥装置52を通過した用紙Pは、その後、所定位置でインク乾燥ドラム51から渡し胴100に受け渡される。そして、渡し胴100によって所定の搬送経路を搬送されて、定着部60の搬送ドラム61に受け渡される。
【0078】
なお、上記のように、渡し胴100には、その内部にドライヤ104が設置されており、ガイド板103に向けて熱風が吹き出されている。したがって、用紙Pは、この渡し胴100での搬送時にも乾燥処理が施される。
【0079】
<定着部>
定着部60は、用紙Pを加熱加圧して、印刷面に画像記録された画像を定着させる。この定着部60は、用紙Pを搬送する搬送ドラム(以下、「定着ドラム」という。)61と、定着ドラム61によって搬送される用紙Pに加熱加圧処理を施すヒートローラ62、63と、印刷後の用紙Pの温度、湿度等を検出するとともに、印刷された画像を撮像するインラインセンサ64とを備えて構成されている。
【0080】
定着ドラム61は、渡し胴100から用紙Pを受け取り、回転して用紙Pを搬送する。
【0081】
ヒートローラ62、63は、用紙Pの印刷面に付与されたインクを加熱加圧することにより、インク中に分散された熱可塑性樹脂を溶着して、インクを皮膜化させる。また、これと同時に用紙Pに生じたコックリング、カール等の変形を矯正する。各ヒートローラ62、63は、定着ドラム61とほぼ同じ幅で形成されており、内蔵するヒータによって所定温度に加熱される。また、各ヒートローラ62、63は、図示しない加圧手段によって、定着ドラム61の周面に所定の押圧力で押圧当接される。用紙Pは、このヒートローラ62、63を通過することにより、ヒートローラ62、63によって加熱加圧される。
【0082】
インラインセンサ64は、温度計、湿度計、CCDラインセンサ等を備え、定着ドラム61によって搬送される用紙Pの温度、湿度等を検出するとともに、用紙Pに印刷された画像を撮像する。このインラインセンサ64の検出結果に基づいて、装置の異常やヘッドの吐出不良等がチェックされる。
【0083】
以上のように構成された定着部60によれば、用紙Pは定着ドラム61によって搬送され、その搬送過程で印刷面にヒートローラ62、63が押圧当接されて、加熱加圧される。これにより、インク中に分散された熱可塑性樹脂が溶着されて、インクが皮膜化される。また、これと同時に用紙Pに生じた変形が矯正される。
【0084】
定着処理が施された用紙Pは、この後、所定位置で定着ドラム61から回収部70へと受け渡される。
【0085】
<回収部>
回収部70は、一連の印刷処理が行われた用紙Pをスタッカ71に積み重ねて回収する。この回収部70は、用紙Pを回収するスタッカ71と、定着部60で定着処理された用紙Pを定着ドラム61から受け取り、所定の搬送経路を搬送して、スタッカ71に排紙する排紙コンベア72とを備えて構成されている。
【0086】
定着部60で定着処理された用紙Pは、定着ドラム61から排紙コンベア72に受け渡され、その排紙コンベア72によってスタッカ71まで搬送されて、スタッカ71内に回収される。
【0087】
《制御系》
図2は、本実施の形態のインクジェット印刷装置10の制御系の概略構成を示すブロック図である。
【0088】
同図に示すように、インクジェット印刷装置10は、システムコントローラ200、通信部201、画像メモリ202、搬送制御部203、給紙制御部204、処理液付与制御部205、画像記録制御部206、インク乾燥制御部207、定着制御部208、回収制御部209、操作部210、表示部211等を備えている。
【0089】
システムコントローラ200は、インクジェット印刷装置10の各部を統括制御する制御手段として機能するとともに、各種演算処理を行う演算手段として機能する。このシステムコントローラ200は、CPU、ROM、RAM等を備えており、所定の制御プログラムに従って動作する。ROMには、このシステムコントローラ200が、実行する制御プログラムや制御に必要な各種データが格納されている。
【0090】
通信部201は、所要の通信インターフェースを備え、その通信インターフェースと接続されたホストコンピュータとの間でデータの送受信を行う。
【0091】
画像メモリ202は、画像データを含む各種データの一時記憶手段として機能し、システムコントローラ200を通じてデータの読み書きが行われる。通信部201を介してホストコンピュータから取り込まれた画像データは、この画像メモリ202に格納される。
【0092】
搬送制御部203は、処理液付与部30、画像記録部40、インク乾燥部50、定着部60の各部における用紙Pの搬送手段である搬送ドラム31、41、51、61と、渡し胴80、90、100の駆動を制御する。
【0093】
すなわち、各搬送ドラム31、41、51、61を駆動するモータの駆動を制御するとともに、各搬送ドラム31、41、51、61に備えられた、グリッパGの開閉を制御する。
【0094】
同様に各渡し胴80、90、100を駆動するモータの駆動を制御するとともに、各渡し胴80、90、100に備えられた、グリッパGの開閉を制御する。
【0095】
また、各搬送ドラム31、41、51、61には、用紙Pを周面に吸着保持する機構が備えられているので、その吸着保持機構の駆動を制御する(本実施の形態では、用紙Pを真空吸着するので、負圧発生手段としての真空ポンプの駆動を制御する。)。
【0096】
また、各渡し胴80、90、100には、ドライヤ84、94、104が備えられているので、その駆動(加熱量と送風量)を制御する。
【0097】
この搬送ドラム31、41、51、61と、渡し胴80、90、100の駆動は、システムコントローラ200からの指令に応じて制御される。
【0098】
給紙制御部204は、システムコントローラ200からの指令に応じて給紙部20を構成する各部(給紙装置21、渡し胴23等)の駆動を制御する。
【0099】
処理液付与制御部205は、システムコントローラ200からの指令に応じて処理液付与部30を構成する各部(処理液付与装置32等)の駆動を制御する。
【0100】
画像記録制御部206は、システムコントローラ200からの指令に応じて画像記録部40を構成する各部(用紙押さえローラ42、インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44K、透明液吐出ヘッド45等)の駆動を制御する。
【0101】
インク乾燥制御部207は、システムコントローラ200からの指令に応じてインク乾燥部50を構成する各部(インク乾燥装置52等)の駆動を制御する。
【0102】
定着制御部208は、システムコントローラ200からの指令に応じて定着部60を構成する各部(ヒートローラ62、63、インラインセンサ64等)の駆動を制御する。
【0103】
回収制御部209は、システムコントローラ200からの指令に応じて回収部70を構成する各部(排紙コンベア72等)の駆動を制御する。
【0104】
操作部210は、所要の操作手段(たとえば、操作ボタンやキーボード、タッチパネル等)を備えており、その操作手段から入力された操作情報をシステムコントローラ200に出力する。システムコントローラ200は、この操作部210から入力された操作情報に応じて各種処理を実行する。
【0105】
表示部211は、所要の表示装置(たとえば、LCDパネル等)を備えており、システムコントローラ200からの指令に応じて所要の情報を表示装置に表示させる。
【0106】
上記のように、用紙に記録する画像データは、ホストコンピュータから通信部201を介してインクジェット印刷装置10に取り込まれ、画像メモリ202に格納される。システムコントローラ200は、この画像メモリ202に格納された画像データに所要の信号処理を施してドットデータを生成し、生成したドットデータに従って画像記録部40の各インクジェットヘッドの駆動を制御することにより、その画像データが表す画像を用紙に記録する。
【0107】
ドットデータは、一般に画像データに対して色変換処理、ハーフトーン処理を行って生成される。色変換処理は、sRGBなどで表現された画像データ(たとえば、RGB8ビットの画像データ)をインクジェット印刷装置10で使用するインクの各色のインク量データに変換する処理である(本例では、C、M、Y、Kの各色のインク量データに変換する。)。ハーフトーン処理は、色変換処理により生成された各色のインク量データに対して誤差拡散等の処理で各色のドットデータに変換する処理である。
【0108】
システムコントローラ200は、画像データに対して色変換処理、ハーフトーン処理を行って各色のドットデータを生成する。そして、生成した各色のドットデータに従って、対応するインクジェットヘッドの駆動を制御することにより、画像データが表す画像を用紙に記録する。
【0109】
《印刷動作》
次に、上記のインクジェット印刷装置10による印刷動作について説明する。
【0110】
システムコントローラ200から給紙装置21に給紙指令が出力されると、給紙装置21から給紙トレイ22に用紙Pが給紙される。給紙トレイ22に給紙された用紙Pは、渡し胴23を介して処理液付与部30の処理液付与ドラム31に受け渡される。
【0111】
処理液付与ドラム31に受け渡された用紙Pは、処理液付与ドラム31によって所定の搬送経路を搬送され、その搬送過程で処理液付与装置32を通過して、印刷面に処理液が付与される。
【0112】
処理液が付与された用紙Pは、処理液付与ドラム31から渡し胴80に受け渡され、渡し胴80によって所定の搬送経路を搬送されて、画像記録部40の画像記録ドラム41に受け渡される。そして、その渡し胴80による搬送過程で渡し胴80の内部に設置されたドライヤ84から印刷面に熱気が吹き付けられ、印刷面に付与された処理液が乾燥される。
【0113】
渡し胴80から画像記録ドラム41に受け渡された用紙Pは、まず、用紙押さえローラ42を通過することにより、用紙押さえローラ42にニップされて、画像記録ドラム41の外周面に密着される。その後、各インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kを通過して、各インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44KからCMYKの各色のインク滴が打滴され、印刷面にカラー画像が描画される。画像が描画された用紙Pは、その後、白地部に透明液が付与されて、用紙全体の水分量が均一化されたのち、画像記録ドラム41から渡し胴90に受け渡される。
【0114】
渡し胴90に受け渡された用紙Pは、その渡し胴90によって所定の搬送経路を搬送されて、インク乾燥部50のインク乾燥ドラム51に受け渡される。そして、その搬送過程で渡し胴90の内部に設置されたドライヤ94から印刷面に熱気が吹き付けられて、印刷面に付与されたインクが乾燥される。
【0115】
インク乾燥ドラム51に受け渡された用紙Pは、インク乾燥ドラム51によって所定の搬送経路を搬送され、その搬送過程でインク乾燥装置52から熱風が印刷面に吹き付けられて、印刷面に残存する液体成分が乾燥される。
【0116】
乾燥処理された用紙Pは、インク乾燥ドラム51から渡し胴100に受け渡され、所定の搬送経路を搬送されて、定着部60の定着ドラム61に受け渡される。そして、その渡し胴100による搬送過程で渡し胴100の内部に設置されたドライヤ104から印刷面に熱気が吹き付けられ、印刷面に付与されたインクが、さらに乾燥される。
【0117】
定着ドラム61に受け渡された用紙Pは、定着ドラム61によって所定の搬送経路を搬送され、その搬送過程でヒートローラ62、63に加熱加圧されて、印刷面に画像記録された画像が定着される。その後、用紙Pは、定着ドラム61から回収部70の排紙コンベア72に受け渡され、排紙コンベア72によってスタッカ71まで搬送されて、スタッカ71内に排紙される。
【0118】
以上のように、本実施の形態のインクジェット印刷装置10では、用紙Pをドラム搬送し、その搬送過程で用紙Pに対し、処理液の付与、処理液の乾燥、インク滴の打滴、透明液の打滴、乾燥、定着の各処理を施して、用紙Pに所定の画像を記録する。
【0119】
《透明液の付与方法の詳細》
上記のように、本実施の形態のインクジェット印刷装置10では、画像記録部40において、用紙Pの白地部に透明液を打滴することにより、用紙Pの水分量を均一化し、用紙Pの局所的な変形を防止している。
【0120】
ところで、インクを付与したときに生じる用紙Pの変形は、印刷条件によって異なり、同じ条件で透明液を付与すると、必要以上に付与してしまう場合がある。また、用紙の変形は印刷品位の低下を招くが、それ以上に裏面印刷時には、用紙を正常に搬送できなくなるという問題がある。
【0121】
そこで、本実施の形態のインクジェット印刷装置10では、印刷条件によって透明液の付与量を調整し、適切に透明液を付与する。
【0122】
以下、印刷条件に応じた透明液の付与方法について説明する。
【0123】
<第1の実施の形態>
インクを付与したときに生じる用紙の変形は、使用する用紙によって異なる。たとえば、厚い用紙は、薄い用紙よりも変形が生じにくい。また、塗工層のあるコート紙は、塗工層のない普通紙よりも溶媒の浸透が遅く、変形があまり進まないうちにインク乾燥部50で溶媒を乾燥させることができる。したがって、このような用紙の情報を利用することにより、用紙に適切に透明液を付与することができる。
【0124】
図3は、用紙の紙厚・紙種と透明液の付与量との関係を示す表である。
【0125】
上記のように、厚い用紙は、薄い用紙よりも変形が生じにくい。したがって、厚い用紙は、薄い用紙よりも付与する透明液の量を少なくすることができる。実験によると、紙厚が150gsmを超えると、実質的に用紙の変形は生じないことが確認された。そこで、図3の表に示すように、紙厚が150gsm以上の場合は、紙種に関わらず、透明液の付与量を0とする(付与しない)。
【0126】
また、上記のように、塗工層のあるコート紙は、用紙への溶媒の浸透が遅く、用紙の変形があまり進まないうちにインク乾燥部50で溶媒を乾燥させることができる。したがって、塗工層のあるコート紙は、塗工層の無い普通紙よりも付与する透明液の量を少なくする。具体的には、図3の表に示すように、紙厚が150gsm未満の場合において、普通紙を1とすると、コート紙は0.5とする。なお、ここでの数値1とは、本実施の形態のインクジェット印刷装置10における最大打滴時の水分量である。
【0127】
図3に示した表の情報は、たとえば、ルックアップテーブル(LUT)として、システムコントローラ200に備えられたROMに格納される。ユーザは、操作部210から、用紙の情報を入力する。システムコントローラ200は、ROMに格納されたLUTを参照し、入力された情報に基づいて、用紙の白地部に打滴する透明液の付与量を決定する。
【0128】
なお、用紙の情報は、ユーザが手動で入力するのではなく、たとえば、用紙束にバーコード等で用紙の情報を付しておき、これを自動的に読み取って、必要な情報を取得するようにしてもよい。
【0129】
このように、用紙の情報に基づいて、用紙の白地部に付与する透明液の付与量を決定することにより、無駄なく適切に透明液を付与することができる。
【0130】
なお、上記の例では、用紙の紙種、紙厚の両方の情報に基づいて、付与量を決定しているが、いずれか一方の情報にのみ基づいて、付与量を決定することもできる。また、上記の紙種、紙厚以外の情報を利用して、付与量を決定することもできる。
【0131】
<第2の実施の形態>
用紙の変形は、印刷品位の低下を引き起こすが、印刷品位に影響を与えないような微小な変形であっても、本実施の形態のインクジェット印刷装置10のように、用紙を吸着して搬送する装置では、用紙の先頭から吸着してゆくと、用紙の変形が蓄積し、後端部で皺になるという問題がある。
【0132】
したがって、裏面印刷がある場合は、透明液の付与量を多くし、紙の局所的な歪みを除去するようにする。一方、裏面印刷がない場合(片面印刷のみの場合と、両面印刷する場合の裏面印刷時)は、透明液の量を少なくする。
【0133】
図4は、裏面印刷の有無と透明液の付与量との関係を示す表である。同表に示すように、裏面印刷がある場合を1、裏面印刷がない場合を0.3とする。なお、ここでの数値1とは、上記同様に本実施の形態のインクジェット印刷装置10における最大打滴時の水分量である。
【0134】
図4に示した表の情報は、たとえば、ルックアップテーブル(LUT)として、システムコントローラ200に備えられたROMに格納される。ユーザは、操作部210から、裏面印刷の有無の情報を入力する(裏面印刷の有無が自動的に設定される場合は、それに従う。)。システムコントローラ200は、ROMに格納されたLUTを参照し、入力された情報に基づいて、用紙の白地部に打滴する透明液の付与量を決定する。
【0135】
このように、裏面印刷の有無の情報に基づいて、用紙の白地部に付与する透明液の付与量を決定することにより、無駄なく適切に透明液を付与することができる。
【0136】
<第3の実施の形態>
印刷速度が速いと、インク打滴後にインク乾燥部50まで搬送される時間Tが短くなる。そして、インク乾燥部50まで搬送される時間Tが短くなると、溶媒の用紙への浸透が少なくなり、用紙の変形があまり進行しないうちにインク乾燥部50で溶媒を乾燥させることができる。したがって、印刷速度が速い場合は、付与する透明液の量を少なくすることができる。
【0137】
一方、印刷速度が遅いと、インク打滴後にインク乾燥部50まで搬送される時間Tが長くなる。この場合、溶媒が用紙に浸透してしまってから乾燥をすることになるので、溶媒を乾燥させても変形が残ってしまう。したがって、透明液の付与量を多くし、紙の局所的な歪みを除去するようにする。
【0138】
図5は、印刷速度と透明液の付与量との関係を示す表である。同表に示すように、低速印刷時を1、高速印刷時を0.3とする。なお、ここでの数値1とは、上記同様に本実施の形態のインクジェット印刷装置10における最大打滴時の水分量である。
【0139】
図5に示した表の情報は、たとえば、ルックアップテーブル(LUT)として、システムコントローラ200に備えられたROMに格納される。ユーザは、操作部210から、印刷速度の情報(高速/低速)の情報を入力する(印刷速度が自動的に設定される場合は、それに従う。)。システムコントローラ200は、ROMに格納されたLUTを参照し、入力された情報に基づいて、用紙の白地部に打滴する透明液の付与量を決定する。
【0140】
このように、印刷速度の情報(=インク乾燥部で乾燥されるまでの時間T)に基づいて、用紙の白地部に付与する透明液の付与量を決定することにより、無駄なく適切に透明液を付与することができる。
【0141】
なお、本例では、印刷速度を低速と高速の2段階に分け、それぞれについて透明液の付与量を設定しているが、印刷速度を更に詳細に区分し、それぞれについて透明液の付与量を設定することにより、より適切に透明液を付与することができる。また、付与する量については、実験結果等に基づいて決定することが好ましい。
【0142】
<第4の実施の形態>
用紙の局所的な変形は、インクが付与された部分と付与されていない部分との差(インク付与のローカリティ)によって引き起こされる。したがって、この差を無くすように透明液を付与することにより、より適切に透明液を付与することができる。そして、該当する領域にインクがどの程度付与されるかは、印刷する画像によって決まる。そこで、画像に本例では、印刷する画像の情報に基づいて、透明液の付与量を決定する。具体的には、以下のように決定する。
【0143】
用紙の印刷領域を複数の領域に分割(たとえば、1区画:50mm×50mmとして、複数の領域に分割)し、各領域に付与するインク量の総和を「領域インク量」として領域ごとに算出する。そして、求めた各領域の領域インク量と閾値とを比較し、領域インク量が閾値より小さい領域にのみ透明液を付与する。この際、閾値との差分に相当する分の透明液を付与する。
【0144】
図6は、第4の実施の形態の透明液付与方法の概念図である。同図に示すように、領域ごとに領域インク量と閾値とを比較し、領域インク量が閾値より小さい領域は、その閾値との差分(図中斜線部)に相当する分の透明液を付与する。
【0145】
このように、透明液を付与することにより、インクが付与された部分と付与されていない部分と水分量の差をなくすことができ、用紙全体の水分量を均一化することができる。
【0146】
なお、本例では、領域インク量が閾値より小さい領域に付与する透明液の付与量を閾値との差分としているが、必ずしも差分とする必要はない。
【0147】
また、領域インク量と比較する閾値は、種々の観点から定めることができるが、領域インク量の最大値(Vmax)に基づいて設定することが好ましい。すなわち、領域インク量のうちの最大値(Vmax)に従って可変させる構成が好ましい。図7は、領域インク量の最大値(Vmax)に応じて閾値を可変させる場合の領域インク量の最大値(Vmax)と閾値との関係を示す表である。同図に示す例では、領域インク量のうちの最大値(Vmax)が、Vmax≦0.4のとき、閾値を0としている。すなわち、領域インク量のうちの最大値(Vmax)が、Vmax≦0.4のときは、透明液を付与しない設定としている。また、領域インク量のうちの最大値(Vmax)が、0.4<Vmax≦0.6のとき、閾値を0.25としている。すなわち、領域インク量が0.25以下の領域についてのみ透明液を付与する設定としている。また、領域インク量のうちの最大値(Vmax)が、0.6<Vmax≦0.8のとき、閾値を0.35としている。すなわち、領域インク量が0.35以下の領域についてのみ透明液を付与する設定としている。また、領域インク量のうちの最大値(Vmax)が、0.8<Vmax≦1.0のとき、閾値を0.45としている。すなわち、領域インク量が0.45以下の領域についてのみ透明液を付与する設定としている。
【0148】
なお、ここでの各数値は、本実施の形態のインクジェット印刷装置10における最大打滴を該当領域全体に付与したときのインク量である。
【0149】
このように、領域インク量のうちの最大値(Vmax)に応じて閾値を可変させることにより、より適切に透明液を付与することできる。
【0150】
システムコントローラ200は、画像データからドットデータを生成する過程で生成されるインク量データに基づいて、各領域の領域インク量を算出する。そして、得られた各領域の領域インク量から最大値(Vmax)を求めて閾値を決定する(閾値を可変させる場合)。そして、決定した閾値と各領域の領域インク量とを比較し、各領域への透明液の付与量を設定する。
【0151】
なお、領域インク量の最大値(Vmax)と閾値との関係は、たとえば、ルックアップテーブル(LUT)として、システムコントローラ200に備えられたROMに格納される。システムコントローラ200は、このLUTを参照して、閾値を決定する。
【0152】
なお、上記の例では、画像データ(RGBのデータ)を色変換処理して得たインク量データに基づいて、各領域の領域インク量を算出する構成としているが、各領域の領域インク量は画像データ(RGBのデータ)や、ドットデータ(CMYKのドットデータ)から求めるようにしてもよい。
【0153】
<他の実施の形態>
上述した第1〜第4の実施の形態では、各方法((1)用紙の情報に基づいて白地部に付与する透明液の付与量を決定する方法、(2)裏面印刷の有無の情報に基づいて白地部に付与する透明液の付与量を決定する方法、(3)印刷速度の情報に基づいて白地部に付与する透明液の付与量を決定する方法、(4)印刷する画像の情報に基づいて白地部に付与する透明液の付与量を決定する方法)を単独で用いる場合について説明したが、各方法は適宜組み合わせて使用することができる。たとえば、用紙の情報と裏面印刷の有無の情報とに基づいて付与量を決定することもできるし、用紙の情報と裏面印刷の有無の情報と印刷速度の情報とに基づいて、付与量を決定することもできる。これにより、さらに適切に透明液の付与量を設定することができる。
【0154】
この場合、たとえば、入力する情報と、それに対応した付与量との関係を定めたルックアップテーブルを作成し、システムコントローラ200に備えられたROMに格納しておく。ユーザは、操作部210から必要な情報を入力する(必要な情報が自動的に設定される場合は、それに従う。)。システムコントローラ200は、ROMに格納されたLUTを参照し、入力された情報に基づいて、用紙の白地部に打滴する透明液の付与量を決定する。
【0155】
<使用する透明液について>
透明液の成分としては、(1)水、およびインク中の高沸点有機溶媒より極性の高い(すなわち、溶解性パラメーター(SP値)の高い)高沸点有機溶媒を用いることが好ましい。これにより、より少ない量を付与するだけで用紙を伸ばすことができる。
【0156】
また、(2)透明液の表面張力は、インクの表面張力より小さく、(3)透明液の粘度は、インクの粘度より低いことが好ましい。これにより、インクより速く用紙に浸透することができ、結果として、より少ない量で用紙を伸ばすことができる。また、透明液吐出ヘッドの解像度は、インクジェットヘッドより低くてもよい。
【0157】
また、透明液は、可視光領域外の光を吸収する物質を少量含んでいることが好ましい。これにより、たとえば、定着部60に備えられたインラインセンサ64によって、透明液の付与が、正常か否かを検出することができる。
【0158】
<透明液の付与手段について>
上記実施の形態では、画像記録部40に備えられた透明液吐出ヘッド45によって用紙Pに透明液を付与する構成としているが、用紙Pに透明液を付与する手段は、これに限定されるものではない。白地部に所望の付与量で透明液を付与することができるものであれば、他の手段を用いて付与するようにしてもよい。
【0159】
また、上記実施の形態では、インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kの後段に透明液の付与手段(透明液吐出ヘッド45)を配置する構成としているが、その設置箇所は、これに限定されるものではない。たとえば、インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kの前段に配置してもよい。
【0160】
また、上記実施の形態では、処理液と透明液とを別々に付与する構成としているが、処理液が透明液を兼ねる構成としてもよい。たとえば、処理液を吐出ヘッド(インクジェットと同様のヘッド)で付与する構成とし、白地部に上記各方法で処理液を付与する構成とすることもできる。
【0161】
<用紙の搬送手段について>
上記実施の形態では、用紙Pをドラムで搬送する場合を例に説明したが、用紙Pを搬送する手段は、これに限定されるものではない。特に、ベルトで搬送する場合には、ドラムと同様に裏面を吸着して搬送することになるので、本発明が有効に作用する。
【符号の説明】
【0162】
P…用紙、10…インクジェット印刷機、20…給紙部、21…給紙装置、22…給紙トレイ、23…渡し胴、30…処理液付与部、31…搬送ドラム(処理液付与ドラム)、32…処理液付与装置、40…画像記録部、41…搬送ドラム(画像記録ドラム)、42…用紙押さえローラ、43…用紙浮き検出センサ、44C、44M、44Y、44K…インクジェット、45…透明液吐出ヘッド、50…インク乾燥部、51…搬送ドラム(インク乾燥ドラム)、52…インク乾燥装置、60…定着部、61…搬送ドラム(定着ドラム)、62、63…ヒートローラ、64…インラインセンサ、70…回収部、71…スタッカ、72…排紙コンベア、80…渡し胴、81…渡し胴本体、83…ガイド板、84…ドライヤ、90…渡し胴、91…渡し胴本体、93…ガイド板、94…ドライヤ、100…渡し胴、101…渡し胴本体、103…ガイド板、104…ドライヤ、200…システムコントローラ、201…通信部、202…画像メモリ、203…搬送制御部、204…給紙制御部、205…処理液付与制御部、206…画像記録制御部、207…インク乾燥制御部、208…定着制御部、209…回収制御部、210…操作部、211…表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送される用紙に有色インクの液滴を打滴して画像を描画するインクジェットヘッドと、
前記搬送手段によって搬送される用紙の白地部に透明液を付与する透明液付与手段と、
前記用紙に前記画像を印刷する際に必要な所定の印刷情報に基づいて、前記用紙に付与する前記透明液の付与量を決定する透明液付与量決定手段と、
前記透明液付与量決定手段で決定された付与量で前記用紙の白地部に前記透明液が付与されるように前記透明液付与手段を制御する透明液付与制御手段と、
を備えたことを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項2】
前記印刷情報が、前記用紙の情報であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項3】
前記用紙の情報が、紙種の情報、紙厚の情報のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項4】
前記印刷情報が、前記用紙に対する裏面印刷の有無の情報であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項5】
前記印刷情報が、前記用紙に対する印刷速度の情報であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項6】
前記印刷情報が、前記用紙に印刷する画像の情報であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項7】
前記透明液付与量決定手段は、前記用紙の印刷領域を複数の領域に分割し、各領域に付与するインク量を領域インク量として前記用紙に印刷する画像の情報から算出し、得られた前記領域インク量の情報に基づいて、前記各領域に付与する前記透明液の付与量を決定することを特徴とする請求項6に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項8】
前記透明液付与量決定手段は、前記各領域の領域インク量と閾値とを比較し、前記領域インク量が前記閾値以上の領域に付与する前記透明液の付与量を0とすることを特徴とする請求項7に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項9】
前記閾値が、前記領域インク量の最大値に応じて設定されることを特徴とする請求項8に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項10】
前記印刷情報が、前記用紙の情報、前記用紙に対する裏面印刷の有無の情報、前記用紙に対する印刷速度の情報、前記用紙に印刷する画像の情報のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項11】
前記透明液と前記インクは、それぞれ少なくとも水及び有機溶媒を成分として含み、前記透明液中の有機溶媒の溶解性パラメータをSP1、前記インク中の有機溶媒の溶解性パラメータをSP2としたとき、SP1>SP2となることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項12】
前記透明液の表面張力をγ1、前記インクの表面張力をγ2としたとき、γ1<γ2となることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項13】
前記透明液の粘度をη1、前記インクの粘度をη2としたとき、η1<η2となることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項14】
搬送手段によって搬送される用紙にインクジェットヘッドで有色インクの液滴を打滴して画像を描画するとともに、前記用紙の白地部に透明液付与手段で透明液を付与して、画像を印刷するインクジェット印刷方法において、
前記用紙に前記画像を印刷する際に必要な所定の印刷情報に基づいて、前記用紙に付与する前記透明液の付与量を決定することを特徴とするインクジェット印刷方法。
【請求項15】
前記印刷情報が、前記用紙の情報、前記用紙に対する裏面印刷の有無の情報、前記用紙に対する印刷速度の情報、前記用紙に印刷する画像の情報のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項14に記載のインクジェット印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−161822(P2011−161822A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27954(P2010−27954)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】