説明

インクジェット印刷装置

【課題】小滴速度から独立してインク滴サイズを調節可能であって、複雑な設計上の最適化の必要性を低減できる、段付きノズルのデザインを提供する。
【解決手段】インクを受けるよう構成されたプリントヘッドと、プリントヘッドに設けられた少なくとも1つの段付きノズルと、を備えたインクジェット印刷装置であって、当該少なくとも1つの段付きノズルが、射出されるインク滴のサイズを調節するよう設定された出口直径と、射出されるインク滴のサイズから独立して射出されるインク滴の速度を調節するよう設定された入口直径とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット用プリントヘッドにおける、インク滴サイズとインク滴速度との調節に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のインクジェットプリンタでは、プリントヘッドは小滴用の複数の開口またはノズルを備え、それらの開口またはノズルから印刷用流体またはインクがイメージ記録基体へ射出される。各ノズルには、そのノズルを通じてインクを射出するための対応のアクチュエータを設けることができる。インク滴のサイズ(または寸法)および小滴速度(またはスピード)は、印刷品質に影響しうる。たとえば、小滴のサイズおよび速度は、小滴の配置および付随小滴の形成に影響を及ぼすことがある。一定の直径の(円筒形の)ノズルを有するインクジェットプリンタでは、射出されるインク滴のサイズおよび速度の両方が、ノズル直径に依存する。たとえば、ノズル直径を大きくすると、射出されるインクの小滴サイズおよび小滴速度の両方が増大する。そのため、要求される小滴サイズと共に許容可能な小滴速度を得ようとして、複雑な設計上の最適化がなされている。
【0003】
当分野で知られているように、従来のテーパ状または円錐形のノズルを、円筒形ノズルの代わりに使用することができる。従来のテーパ状ノズルの出口直径、または、そのノズルからインク滴が出る箇所を用いて、小滴サイズを調節することが可能である。さらに、従来のテーパ状ノズルによって、小滴速度を増大でき、アライメント誤差を改善することができる。しかし、従来のテーパ状ノズルのデザインでは、小滴サイズおよび小滴速度の両方を独立して調節することはできない。
【0004】
一定直径の開口(円筒形ノズル)を有する液滴射出装置では、射出される小滴サイズおよび小滴速度の両方が、開口直径に依存する。開口直径は、小滴サイズの調節に利用される周知の要素である。小滴サイズと小滴速度とが密接に相関しているということは、要求される小滴サイズと同時に許容可能な小滴速度を実現するために、各射出部分のパラメータの多くが関わる複雑な設計上の最適化を実施しなければならないことを意味する。したがって、小滴サイズの調節と小滴速度の調節とを分離することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−247537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
小滴速度から独立してインク滴サイズを調節可能であって、複雑な設計上の最適化の必要性を低減できる、ノズルの設計が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、インクジェット印刷装置が提供される。その装置は、インクを受けるよう構成されたプリントヘッドと、少なくとも1つの段付きノズルとを備える。その少なくとも1つの段付きノズルは、射出されるインク滴のサイズを調節するよう設定された出口直径と、射出されるインク滴のサイズから独立して射出されるインク滴の速度を調節するよう設定された入口直径とを有する。
【0008】
本発明によれば、インクジェット印刷装置が提供される。その装置は、少なくとも1つの段付きノズルを備えたプリントヘッドを含む。その少なくとも1つの段付きノズルは、インク滴のサイズを調節するよう設定された出口直径を有し、その出口直径は約5μm〜約45μmの範囲内である。当該少なくとも1つの段付きノズルはさらに、インク滴のサイズから独立してインク滴の速度を調節するよう設定された入口直径を有し、その入口直径は約35μmより大きい。
【0009】
本発明によれば、プリントヘッドのノズル形成方法が提供される。その方法は、プリントヘッドであって、そのプリントヘッドからインク滴を射出するよう構成された少なくとも1つの段付きノズルを備えたプリントヘッドを設けること含む。さらに、当該少なくとも1つの段付きノズルの出口直径を設定してインク滴のサイズを規定することを含む。またさらに、当該少なくとも1つの段付きノズルの入口直径を設定して、インク滴のサイズから独立してインク滴の速度を規定することを含む。
【発明の効果】
【0010】
インク滴のサイズとインク滴の速度を独立して調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明によるインクジェットプリンタのインク供給システムの一例を示す図である。
【図2】本発明による段付きノズルを備えたプリントヘッドの一例を示す側面断面図である。
【図3A】円筒形ノズルから射出されたインク滴のサイズおよび速度を示すグラフである。
【図3B】本発明による段付きノズルから射出されたインク滴のサイズおよび速度を示すグラフである。
【図4A】円筒形ノズルから射出されたインク滴の速度を示すグラフである。
【図4B】本発明による段付きノズルから射出されたインク滴の速度を示すグラフである。
【図4C】本発明による段付きノズルから射出されたインク滴の速度を示すグラフである。
【図4D】本発明による段付きノズルから射出されたインク滴の速度を示すグラフである。
【図4E】本発明による段付きノズルから射出されたインク滴の速度を示すグラフである。
【図4F】本発明による段付きノズルから射出されたインク滴の速度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明によれば、ノズルの出口部の直径をノズルの入口部より小さくし、それらの直径寸法の間に所定の差を設けることにより、出口部の直径によって射出滴のサイズを規定することができ、入口部の直径によって小滴速度を規定することができる。
図1等に例示的に示す本発明の実施形態のシステムおよび方法は、インクがノズルまたは開口を通じてイメージ記録基体へ送出されるインクジェットプリンタであれば、当分野で知られているピエゾ式インクジェットシステムや固体インクシステムなどのいずれのインクジェットプリンタにも使用できると理解すべきである。インクは、プリントヘッドまたは類似の部品を通じて送出可能である。例示のシステムおよび方法では、ノズルの入口および出口に特徴的な寸法を有する段付きノズルを用いて、インク滴速度から独立してインク滴サイズを調節する。
【0013】
例示のシステムおよび方法では、少なくとも1つの段付きノズルを備えたプリントヘッドを用い、当該ノズルを通じてプリントヘッドからインクを送出可能である。段付きノズルは、より大きい直径を有する入口と、インク送出または射出方向に位置し比較してより小さい直径を有する出口とを備える。射出されるインクの小滴サイズと小滴速度とを独立して調節できるよう、段付きノズルの寸法を設計することが可能である。詳細には、段付きノズルは、対応の出口直径を有する出口と、対応の入口直径を有する入口とを備えることができる。出口直径を調節することで、射出されるインク滴のサイズを調節でき、入口直径を調節することで、射出される小滴の速度を調節できる。さらに、出口直径および入口直径によって、射出されるインクの小滴サイズおよび小滴速度をそれぞれ、互いから独立して調節できる。
【0014】
本発明によるシステムおよび方法による小滴サイズおよび小滴速度の独立調節によって、最適な小滴サイズ値および小滴速度値を実現しつつも、全体的設計空間において各射出部分の設計の最適化にまつわる複雑さを低減できる。たとえば、本発明による方法およびシステムでは、約35μmより大きい(または約35〜約50μmの)入口直径を用いることができ、それによって小滴速度を約3〜約15m/sの範囲内(または約11メートル/秒)に調節することが可能である。さらに、たとえば本発明による方法およびシステムでは、約25μmの出口直径を用いることができ、それによって小滴サイズを約5〜25ピコリットル(pL)(または約13pL)に調節することが可能である。インクジェットプリンタ、プリントヘッド、使用するインクの種類および性質、構成材料、およびその他の要因によっては、入口直径および出口直径を他の範囲内に設定することで、それぞれ小滴速度および小滴サイズを他の範囲に調節することも可能であると理解すべきである。
【0015】
図1に、インクジェットプリンタのインク供給システムの一例を示す。このシステムは、複数のインク移送チャネル(図1には図示せず)が設けられた本体105を有するプリントヘッド100を備えることが可能である。多くの実施形態では、複数のインク移送チャネルは円筒形であって互いに平行に配置されることができる。複数のインク移送チャネルは、インク源125からインクを受けることができ、それにより、複数のインク移送チャネルを通じて矢印120の方向にインクが供給される。インク源125からのインクは、インクジェットプリンタで使用可能なインクであれば、いずれのインクでもよい。たとえばインクは、約10センチポアズ(cP)の粘度を有することが可能であり、その他の範囲または数値のものでもよい。
【0016】
プリントヘッド100はさらに、本体105の端部に連結されたノズルプレート115を含むことが可能である。ノズルプレート115は、貫通した複数のノズル110を有することができる。複数ノズル110の各々が対応のインク移送チャネルと整列し連通できるよう、ノズルプレート115を本体105に連結することが可能である。それにより、インク移送チャネルからのインクは、インク源125から運ばれて複数ノズル110のうちの該当ノズルから射出されることができる。プリントヘッド100およびプリントヘッド100の各部品は、様々なサイズおよび機能性を有することが可能であると理解すべきである。たとえば、インクを他の種々の部品および方法によって受け、移送し、射出することができる。
【0017】
図2は、本発明によるプリントヘッド200の一例を示す側面断面図である。図2に示すインクジェットプリントヘッド200は一般化された略図であって、更なる部品の追加や既存の部品の削除または修正が可能であることは、当業者には明白であろう。
【0018】
図2に示すとおり、インクジェットプリントヘッド200は、静電的に駆動されるプリントヘッドであることが可能である。プリントヘッド200は、基板210と、基板210を貫通するインク通路220と、ノズルプレート230とを備えることができる。ノズルプレート230は、側壁236によって間隔が設けられた状態で基板210に対して取り付けられ、側壁236が、ノズルプレート230と基板210との間にインクキャビティ240を形成している。側壁236は、接着用金属238などによって基板210に結合されうる。ノズルプレート230は、対応の直径d1およびd2をそれぞれ有する入口252および出口254が設けられた段付きノズル250を含むことができる。基板210上には、静電駆動膜260が図示のとおりに形成されうる。
【0019】
プリントヘッドにおいて、膜260は、静電的に駆動されるダイヤフラムであることが可能であり、そのダイアフラムにおいては膜が電極262によって制御される。膜260は、表面マイクロ加工工程で通常使用されるようなポリシリコンなどの構造材料で構成されることができる。図示していないが、膜260の一部分にくぼみ(ディンプル:dimple)を設け、静電誘引力によって膜が電極側に引き下げられた時に(たとえば、膜と電極との間に電圧または電流が印加された時に)膜260を電極262から間隔を保つように機能させることもできる。膜260と基板210との間のアクチュエータ室264は、たとえば表面マイクロ加工などの通常の技術を用いて形成できる。電極262は、対向電極として機能し、通常は金属か、ポリシリコンなどのドープされた半導体薄膜から成る。
【0020】
ノズルプレート230は静電駆動膜260の上方に位置し、ノズルプレート230と膜260との間にインクキャビティ240が形成される。ノズルプレート230は、二酸化ケイ素234をシリコン層232で挟んだシリコン・オン・インシュレータ(SOI)ウェハ構造を含むことができる。各シリコン層の厚さは12.5μmであることが可能であり、ノズルプレート全体の厚さは約25μmである。
【0021】
ノズルプレート230内には、段付きノズル250が形成されている。流体が、流体リザーバ(たとえば図1のインク供給手段125)から、インク通路220を通ってインクキャビティ240に給送される。インクキャビティ240をチェック弁によって流体リザーバ125から分離して、流体リザーバからインクキャビティへの流体フローを制限することができる。膜260は初期状態では、印加電圧または電流によって引き下げられている。膜のたわみによってできたインクキャビティ240の空間に、流体が充填される。
【0022】
バイアス電圧または電荷が除去された時点で、膜260の撓みが解消され、インクキャビティ240内の圧力が上昇する。圧力が上昇するとともに、ノズルプレート230に形成されたノズル250から、流体が分離した流体滴として押し出される。一定の容積または一定の小滴サイズでの流体射出を実現するために、膜および導電体を構成する互いに平行なプレート導電体に一定のバイアス電圧を印加する電圧駆動モードにて、膜260を作動させることができる。
【0023】
ノズルプレート230についてさらに詳述すると、段付きノズル250は、入口(または入口側部分)252と出口(または出口側部分)254とを有する。様々な実施形態において、インクが入口252から流入し出口254から出て行くことが可能である。たとえばインクは、インクキャビティ240から入口252に入り、段付きノズル250内を押されて通過した後、単一または複数の小滴として次々と出口254から出て行くことができる。
【0024】
段付きノズル250では、出口254は、入口252よりも直径が小さい。入口252と出口254との直径差が十分に実質的であるかぎり、射出される小滴のサイズが出口直径によって規定され且つ小滴速度が入口直径によって規定される設計空間の範囲が存在する。さらに、所望の小滴サイズを得られる出口直径(プロットした場合に平均が所望の値となる直径)を選択したのち、所望の小滴速度を得られる入口直径を選択することによって、最適化を実現できる。2つの自由度(段付きノズルの入口直径および出口直径)を利用することによって、各射出部分の設計の最適化にまつわる複雑さを低減でき、所望の小滴サイズおよび小滴速度を有する装置を得ることが可能になる。この方法は、小滴サイズおよび小滴速度のどちらか一方しか選べない1つの自由度(ノズル直径)を利用した従来のデザイン選択方法とは対照的である。
【0025】
特定の実施形態では、入口252の直径d1は、約25μmから約60μmの範囲内であることが可能である。さらに、出口254の直径d2は、約10μmから約45μmの範囲内であることが可能である。ノズルプレート230の厚さは、約25μmであることが可能である。ただし、出口直径d2、入口直径d1、およびノズルプレート厚さはそれぞれ、他の数値範囲を有することができると理解すべきである。たとえば、出口直径d2、入口直径d1、およびノズルプレート厚さはそれぞれ、ノズルプレート230、プリントヘッド、プリンタ、構成材料、使用するインクの種類、およびその他の要因によって変動可能である。出口直径が25μmであって入口直径が35μmより大きい場合には、小滴速度は入口直径におおよそ比例して増大し、小滴サイズは入口直径とはほとんど無関係である。
【0026】
出口直径d2および入口直径d1の様々な数値および調節具合によって、段付きノズル250から送出されるインク滴の小滴サイズおよび小滴速度に影響を及ぼすことができる。さらに、出口直径d2および入口直径d1の様々な数値および調節具合によって、小滴サイズおよび小滴速度を互いに独立して調節することが可能である。
【0027】
図3Aおよび図3Bはそれぞれ、円筒形(段なし)ノズルおよび段付きノズルから射出された後のインク滴の容積および速度を示すグラフである。図3Aおよび図3Bに示す結果は、静電式インクジェットアクチュエータに200ボルトで長さ6μsの方形波を印加して得られたものである。射出滴は、市販の数値流体力学(CFD)コードFlow3Dを用いてモデル化した。それぞれ図3Aおよび図3Bに示す2つのテストケース(a)および(b)を実施した。テストケース(a)では直径25μmの円筒形ノズルを用い、テストケース(b)では直径40μmの入口および直径25μmの出口を有する段付きノズルを用いた。両テストケースにおいて、円筒ノズル長さは25μmであった。両テストケースに関する縦長の目盛りバーは、それぞれ円筒ノズルを通過した後の射出滴の速度を表す。
【0028】
テストケース(a)では、円筒形ノズルの通過後、射出滴の速度は3.5m/sであった。また、テストケース(a)の射出滴のサイズは8.2pLであった。テストケース(b)では、段付きノズルの通過後、射出滴の速度は11.8m/sであった。また、テストケース(b)の射出滴のサイズは13.2pLであった。このように、段付きノズル(テストケース(b))からは、テストケース(a)のノズルから射出された小滴に比べて、より大きくて速い小滴が射出された。以上のとおり、テストケース(a)および(b)は、小滴サイズおよび小滴速度の両方が、使用した段付きノズルの直径に依存する値であることを示す。
【0029】
図4A〜図4Fは、段付きノズルから射出されたインク滴の速度を表すグラフである。図4A〜図4Fに示す結果は、静電式インクジェットアクチュエータに200ボルトで長さ6μsの方形波を印加して得られたものである。射出滴は、市販のCFDコードFlow3Dを用いてモデル化した。それぞれ図4A〜図4Fに示す6つのテストケース(a)〜(f)を実施し、それらのすべてにおいて、図2に示す段付きノズルに類似し出口直径25μmを有する段付きノズルを使用した。テストケース(a)では入口直径25μmを使用し、テストケース(b)では入口直径30μmを使用し、テストケース(c)では入口直径35μmを使用し、テストケース(d)では入口直径40μmを使用し、テストケース(e)では入口直径45μmを使用し、テストケース(f)では入口直径50μmを使用した。すべてのテストケース(a)〜(f)において、段付きノズルの長さは25μmであった。全テストケースに関する縦長の目盛りバーは、それぞれの入口直径を有する段付きノズルを通過した後の射出滴の速度を表す。
【0030】
テストケース(a)〜(f)に示されるとおり、入口直径が大きくなるにつれて小滴速度が増大した。このように、テストケース(a)〜(f)は、各段付きノズルの入口直径が大きくなるにつれて射出滴の速度が増大したことを示した。
【0031】
ノズルプレート230の製造方法は、ノズルプレートがポリマーノズルプレートであるかシリコンノズルプレートであるかによると考えられる。ポリマーノズルプレート内のノズル(たとえば250)は通常、レーザアブレーションによって形成される。すなわち、フォトマスクを介してポリマー表面上に高強度レーザビームを集束させて、パルス状の工程によって所望の領域を蒸発させる。エッチング深さは、工程の回数および/またはレーザのパワーによって調節される。ノズルの段付きの縦断面形状を形成するには、2つの異なるマスクを用いてポリマーノズルプレートをエッチングする。その際に、2つのマスクを両方とも同じ側に用いてエッチングしてもよいし、あるいは、一方は表側から、他方は裏側からエッチングしてもよい。穴は通常、レーザアブレーションを実施した側がより幅広の若干のテーパ状になり、普通はその方向のテーパによって最良の射出性能が得られるので、それらの両エッチング工程をノズル入口側から実施することがおそらく好ましい。
【0032】
シリコンノズルプレート内のノズルは通常、深堀り反応性イオンエッチング(DRIE:deep reactive ion etching)によって形成される。すなわち、高エネルギプラズマを用いて、シリコン内に縦穴を選択的にエッチングする。しかし、シリコンの特定の結晶面のみに選択的に作用する異方性ウェットエッチングによってシリコンをエッチングすることも可能である。一定時間にわたってウェットエッチングすることによって、より大きなノズル入口を形成することができる。DRIEの代わりにウェットエッチングを用いることによって、傾斜した側壁を形成でき、それによって穴の中へフォトレジストが流れ下ることができ、次の工程のリソグラフィが可能になる(ノズルの出口部分)。これを達成するには、DRIEによる鉛直な側壁ではより困難な場合がある。すなわち、段部分を十分に被覆するにはかなり粘度の高いフォトレジストが必要になり、その結果、正確なノズルのパターニングがより難しくなる可能性がある。
【符号の説明】
【0033】
100 プリントヘッド、110 ノズル、115 ノズルプレート、210 基板、230 ノズルプレート、240 インクキャビティ、250 段付きノズル、252 入口、254 出口、260 静電駆動膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを受け入れるよう構成されたプリントヘッドと、
前記プリントヘッドに設けられた少なくとも1つの段付きノズルと、を備えるインクジェット印刷装置であって、
前記少なくとも1つの段付きノズルが、
射出されるインク滴のサイズを調節するよう設定された出口直径と、
前記射出されるインク滴の前記サイズから独立して前記射出されるインク滴の速度を調節するよう設定された入口直径とを有する、インクジェット印刷装置。
【請求項2】
前記入口直径が前記出口直径より大きく、前記入口直径は約25μmから約60μmの範囲内であり、前記出口直径は約10μmから約45μmの範囲内である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
基板と、
前記基板上に形成された静電駆動膜と、
前記基板に取り付けられることで前記基板との間にインクキャビティを形成しているノズルプレートと、を備えるインクジェットプリントヘッドであって、
前記ノズルプレート内に段付きノズルが形成されており、
前記段付きノズルが、
インク滴のサイズを調節するよう設定された出口直径と、
前記インク滴の前記サイズから独立して前記インク滴の速度を調節するよう設定され、約30μmから約50μmの範囲内である入口直径とを有する、
インクジェットプリントヘッド。
【請求項4】
プリントヘッドのノズル形成方法であって、
プリントヘッドであって、そのプリントヘッドからインク滴を射出するよう構成された少なくとも1つの段付きノズルを備えたプリントヘッドを設けることと、
前記少なくとも1つの段付きノズルの出口直径を設定して、射出されるインク滴のサイズを規定することと、
前記少なくとも1つのテーパ状ノズルの入口直径を設定して、前記射出されるインク滴の前記サイズから独立して前記射出されるインク滴の速度を規定することと、
を含むプリントヘッドのノズル形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【公開番号】特開2011−213115(P2011−213115A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65675(P2011−65675)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】