説明

インクジェット用インク、カラーフィルタおよびその製造方法、ならびにそれを用いる液晶ディスプレイおよび画像表示デバイス

【課題】本発明は、各種溶媒に対する耐薬品性、および耐熱性に優れたカラーフィルタを製造することができるインクジェット用インク、このようなインクジェット用インクにより得られるカラーフィルタ、カラーフィルタの製造方法、ならびに画像表示デバイスを提供することを目的とする。
【解決手段】少なくとも1種の一般式(1)で表される染料、溶媒および重合性モノマーを含有するインクジェット用インク。
【化1】


(一般式(1)中、Pは重合性基を表す。Lは、2価の連結基または単なる結合手を表す。Dyeは、一般式(2)、一般式(3−a)、一般式(3−b)、一般式(3−c)、一般式(3−d)、一般式(3−e)、一般式(3−f)、一般式(4)、一般式(5)、一般式(6)または一般式(7)のいずれかで表される染料の可能な位置からn個の水素原子を除いた色素残基を表す。nは、1〜8の整数を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット用インク、カラーフィルタおよびその製造方法、ならびにそれを用いる液晶ディスプレイおよび画像表示デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータ、特に大画面液晶テレビの発達に伴い、液晶ディスプレイ(LCD)、とりわけカラー液晶ディスプレイの需要が増加する傾向にある。一方で、カラー液晶ディスプレイが高価であることから、コストダウンの要求が高まっている。特にコスト的に比重の高いカラーフィルタに対するコストダウンの要求が高い。このようなカラーフィルタは、通常、赤(R)、緑(G)、および青(B)の3原色の着色パターンを備える。このカラーフィルタを備える液晶ディスプレイにおいては、R、G、およびBのそれぞれの画素に対応する電極をON、OFFさせることで液晶がシャッタとして作動し、R、G、およびBのそれぞれの画素を光が通過してカラー表示が行われる。
【0003】
近年、このカラーフィルタの製造方法として、インクジェット法で着色インクを吹き付けして着色層(色画素)を形成する方法が提案されている(特許文献1)。インクジェット法は、非常に微細なノズルからインク液滴を記録部材に直接吐出、付着させて、文字や画像を得る記録方式である。インクジェット法は、インクジェットヘッドを順次移動させることにより、大面積のカラーフィルタを高生産性で製造でき、低騒音で操作性がよいという利点をもつ。
【0004】
また、インクジェット用のインクとしては、主に、顔料を含むインクが提案されていた。しかし、顔料を使用した場合は、顔料粒子による散乱のためコントラストの低下や、ヘイズの増加といった問題が生じていた。そこで、顔料の代わりに染料を用いる技術が提案されている(特許文献2)。染料を使用したインクの場合、カラーフィルタのコントラストやヘイズなど光学特性の向上が期待される。また、概して吐出安定性も高く、インク粘度の増加などに伴うノズル目詰まりがあった場合でも、ワイピングやパージにより容易にインク吐出状態が回復することが期待される。
【0005】
このような染料を含むインクジェット用インクを用いたカラーフィルタの製造方法としては、まず基板であるガラスの洗浄を行い、次に基板上に各色の着色層の隔壁となるブラックマトリックスを形成する。次に、基板上に形成されたブラックマトリックスの隔壁により区画された凹部に液滴として各色のインクを付与して着色層(色画素)を形成する。その後、ITOなどの透明電極、配向膜などの各種構成部材を順次積層させる。このようにカラーフィルタの製造方法は非常に多工程にわたっている。そのため、基板上への各種材料の塗布や洗浄などの工程で、基板上に形成された色画素は、各工程で使用される酸やアルカリなどの各種溶媒と接触する。その際、色画素から染料などが溶出し、色画素の色相変化が起こるなどの問題があった。
このような課題を解決する一つの方法として、色画素形成後、オーバーコート層を作製する方法が提案されているが、必ずしも実用上満足いくものではなかった。また、オーバーコート層を作製する場合、製造工程の増加に伴い、製造手順が煩雑になり生産性が低下するともに、コスト面の点でも問題を抱えていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−146215号公報
【特許文献2】特開平6−75375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、良好な色相を呈し、耐熱性に優れた色画素を形成することができ、特に、各種溶媒に対する耐薬品性に優れたカラーフィルタを製造することができるインクジェット用インク、このようなインクジェット用インクにより得られる光学特性、耐光性や耐熱性などの特性に優れたカラーフィルタ、およびこのような特性を持つカラーフィルタを安定して、コストアップを招くことなく製造することができるカラーフィルタの製造方法、ならびに高輝度バックライトに対応できる、高コントラスト、高彩度の液晶ディスプレイおよび画像表示デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、各色インクジェット用インクに重合性基を導入した染料を用いることにより、カラーフィルタの製造工程を増加させることなく、各色のカラーフィルタの各種溶媒に対する耐性(耐薬品性)を付与でき、あわせてカラーフィルタの耐熱性も向上することを見出した。
【0009】
つまり、本発明者らは、上記課題が下記の<1>〜<18>の構成により解決されることを見出した。
【0010】
<1> 少なくとも1種の一般式(1)で表される染料、溶媒および重合性モノマーを含有するインクジェット用インク。
【0011】
【化1】

【0012】
(一般式(1)中、Pは重合性基を表す。Lは、2価の連結基または単なる結合手を表す。Dyeは、下記一般式(2)、一般式(3−a)、一般式(3−b)、一般式(3−c)、一般式(3−d)、一般式(3−e)、一般式(3−f)、一般式(4)、一般式(5)または一般式(6)のいずれかで表される染料からn個の水素原子を除いた色素残基を表す。nは、1〜8の整数を表す。)
【0013】
【化2】

【0014】
(一般式(2)中、R〜Rは、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。w、x、y、およびzは、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。ただし、w,x、y、およびzの総和(w+x+y+z)は0ではない。Z〜Zは、それぞれ独立に、炭素原子、窒素原子から選ばれる原子群で、結合している2個の炭素原子と共に構成される5員環または6員環を形成する原子群を表す。Mは金属原子、または金属酸化物を表す。)
【0015】
【化3】

【0016】
(一般式(3−a)中、R30は水素原子または置換基を表す。R31は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、またはカルバモイル基を表す。X30は、−OM基、または−N(R32)(R33)を表し、Mは、水素原子、アルキル基、または、電荷を中和する為に必要な金属原子若しくは有機塩基対を表し、R32およびR33は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、またはカルバモイル基を表す。A30は、アリール基、または芳香族ヘテロ環基を表す。)
【0017】
【化4】

【0018】
(一般式(3−b)中、R34は水素原子または置換基を表す。R35は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、またはカルバモイル基を表す。Z30およびZ31は、それぞれ独立に、−C(R36)=または−N=を表し、R36は水素原子または置換基を表す。A31は、アリール基または芳香族ヘテロ環基を表す。)
【0019】
【化5】

【0020】
(一般式(3−c)中、R37、R38、R39およびR40は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、またはアリールスルホニル基を表す。Z32、Z33およびZ34は、それぞれ独立に、−C(R41)=または−N=を表す。R41は、水素原子または置換基を表す。A32は、アリール基または芳香族ヘテロ環基を表す。)
【0021】
【化6】

【0022】
(一般式(3−d)中、R42は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。R43およびR44は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。A33は、アリール基または芳香族ヘテロ環基を表す。)
【0023】
【化7】

【0024】
(一般式(3−e)中、R45、R46、およびR47は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。aおよびbは、それぞれ独立に0〜4の整数を表す。)
【0025】
【化8】

【0026】
(一般式(3−f)中、R48およびR49は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。R50は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、またはアリール基を表す。R51は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、またはアリールスルホニル基を表す。Z35、Z36、Z37、およびZ38は、それぞれ独立に、−C(R52)=または−N=を表し、R52は水素原子または置換基を表す。)
【0027】
【化9】

【0028】
(一般式(4)中、R11〜R16はそれぞれ独立に、水素原子、または置換基を表す。R17は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。)
【0029】
【化10】

【0030】
(一般式(5)中、R11〜R16はそれぞれ独立に、水素原子、または置換基を表す。R17は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。Maは、金属原子または金属化合物を表す。Xは、Maの電荷を中和する為に必要な基を表し、Xは、Maに結合可能な基を表す。XとXは、互いに結合して5員、6員、または7員の環を形成していてもよい。)
【0031】
【化11】

【0032】
(一般式(6)中、R21〜R26は、それぞれ独立に、水素原子、または置換基を表す。R27は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。XおよびYは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、水酸基、アルキルチオ基、アリールチオ基、またはヘテロ環チオ基を表す。)
【0033】
【化12】


(一般式(7)中、ZaおよびZbは、それぞれ独立に、−N=または−C(R)=を表す。R〜RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。RとR、RとR、RとR、RとR、および/またはRとRとが互いに結合して、それぞれ独立に、5員環、6員環、または7員環を形成してもよい。)
【0034】
<2> 前記一般式(1)中のPが、エポキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、およびメタクリロイルアミド基からなる群から選択されるいずれかである<1>に記載のインクジェット用インク。
<3> 界面活性剤をさらに含有する<1>または<2>に記載のインクジェット用インク。
<4> 吐出時における粘度が2〜30mPa・sである<1>〜<3>のいずれかに記載のインクジェット用インク。
<5> 25℃における表面張力が20〜40mN/mである<1>〜<4>のいずれかに記載のインクジェット用インク。
<6> 基板上に形成された隔壁により区画された凹部にインクジェット法により<1>〜<5>のいずれかに記載のインクジェット用インクの液滴を付与してカラーフィルタの色画素を形成する画素形成工程を有するカラーフィルタの製造方法。
<7> 前記画素形成工程は、前記インクジェット法により液滴として前記凹部に前記インクを付与する描画工程と、前記凹部に付与された前記インクを硬化させて前記色画素を形成する硬化工程とを有する<6>に記載のカラーフィルタの製造方法。
<8> 前記硬化工程は、前記インクに含まれる溶剤を除去してインク残部とした後に、前記インク残部に活性エネルギー線を照射する照射工程および/または前記インク残部を加熱する加熱工程とを備え、前記照射工程および/または前記加熱工程により前記インク残部を重合して前記色画素を形成する<7>に記載のカラーフィルタの製造方法。
<9> <6>〜<8>のいずれかに記載のカラーフィルタの製造方法により製造されるカラーフィルタ。
<10> <1>〜<5>のいずれかに記載のインクジェット用インクを用いて形成された色画素を備えるカラーフィルタ。
<11> <9>または<10>に記載のカラーフィルタを備える液晶ディスプレイ。
<12> <9>または<10>に記載のカラーフィルタを備える画像表示デバイス。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、良好な色相を呈し、耐熱性に優れた色画素を形成することができ、特に、各種溶媒に対する耐薬品性に優れたカラーフィルタを製造することができるインクジェット用インク、このようなインクジェット用インクにより得られる光学特性、耐光性や耐熱性などの特性に優れたカラーフィルタ、およびこのような特性を持つカラーフィルタを安定して、コストアップを招くことなく製造することができるカラーフィルタの製造方法、ならびに高輝度バックライトに対応できる、高コントラスト、高彩度の液晶ディスプレイおよび画像表示デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明のカラーフィルタの製造方法の一実施形態における製造工程を示すフローチャートである。
【図2】(a)〜(f)は、それぞれ本発明のカラーフィルタの製造方法における基板からカラーフィルタに至る製造工程順に示す基板およびカラーフィルタの模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明に係るインクジェット用インク、このインクジェットインクを用いたカラーフィルタおよびその製造方法、ならびにそれを用いる液晶ディスプレイおよび画像表示デバイスについて詳細に説明する。
【0038】
<インクジェット用インクおよびその製造方法>
まず、本発明のインクジェット用インク、その構成成分およびその製造方法について詳細に説明する。
本発明のインクジェット用インクは、少なくとも1種の一般式(1)で表される染料、溶媒および重合性モノマーを含有する。該染料は、少なくとも一つの重合性基を有する染料である。
【0039】
【化13】

【0040】
一般式(1)中、Pは重合性基を表す。重合性基としては、熱または活性エネルギー線の照射により重合が進行し、高分子量体を形成する官能基であれば特に制限は無く、例えば、ラジカル重合性基、カチオン重合性基、アニオン重合性基などが挙げられる。なかでも、重合反応性および材料の入手し易さなどの観点から、ラジカル重合性基またはカチオン重合性基が好ましく、さらに好ましくは高極性環状エーテル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アリル基、アクリロイルアミド基、メタクリロイルアミド基、であり、特にエポキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、スチリル基が好ましい。
【0041】
一般式(1)中、Lは2価の連結基または単なる結合手を表す。連結基としては、特に限定はされず、一般式(1)で表される染料の物質特性の観点、および合成上の観点より適宜最適な基が選択される。具体的に、アルキレン基(炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましい。例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基などが挙げられる。)、−O−、−S−、アリーレン基(フェニレン基など)、−CO−、−NH−、−SO−、−COO−、−CONH−、−C≡C−、−N=N−、−CONR−(Rはアルキル基を表す)またはこれらを組み合わせた基(例えば、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基などが挙げられる。)が挙げられる。なかでも、−O−、アルキレン基、−CONH−、−COO−、アリーレン基、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基、またはこれらを組み合わせた基が好ましく挙げられる。Lが単なる結合手の場合、一般式(1)のPがDyeと直接結合することをさす。
【0042】
一般式(1)中、nは、1〜8の整数を表し、好ましくは1〜6であり、より好ましくは1〜4である。上記範囲内であれば、合成工程の煩雑さと各種溶媒に対する耐溶媒性の両立が可能である。
【0043】
一般式(1)中、Dyeは色素残基を表し、具体的には、下記一般式(2)、一般式(3−a)、一般式(3−b)、一般式(3−c)、一般式(3−d)、一般式(3−e)、一般式(3−f)、一般式(4)、一般式(5)、一般式(6)または一般式(7)のいずれかで表される染料の任意の可能な位置からn個の水素原子を除いた色素残基を表す。色素残基とは、染料を示す構造式中の任意の位置から水素原子がn個引き抜かれ、他の化合物に結合可能な構造の基をいう。
【0044】
<一般式(2)>
一般式(1)で表される染料として、一般式(1)中のDyeが下記一般式(2)で表される構造式の染料から任意の水素原子がn個外れた色素残基である染料が挙げられる。該染料では、例えば、一般式(2)中のR〜Rから水素原子が取り除かれる。一般式(2)中のR〜Rのうちの少なくとも一つに、一般式(1)中の−(L−P)基が結合していることが好ましい。
【0045】
【化14】

【0046】
一般式(2)および後述する一般式(2−1)の各基の説明において「置換基」は、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24の、直鎖、分岐鎖、または環状のアルキル基で、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ドデシル、ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−ノルボルニル、1−アダマンチル)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜18のアルケニル基で、例えば、ビニル、アリル、3−ブテン−1−イル)、アリール基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリール基で、例えば、フェニル、ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環基で、例えば、チオフェン環、ピリジン環、フラン環、ピリミジン環、ベンゾトリアゾール環、ピラゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、オキサゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、より具体的には、2−チエニル、4−ピリジル、2−フリル、2−ピリミジニル、1−ピリジル、2−ベンゾチアゾリル、1−イミダゾリル、1−ピラゾリル、ベンゾトリアゾール−1−イル)、シリル基(好ましくは炭素数3〜38、より好ましくは炭素数3〜18のシリル基で、例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリブチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、t−ヘキシルジメチルシリル)、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアルコキシ基で、例えば、メトキシ、エトキシ、1−ブトキシ、2−ブトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、ドデシルオキシ、シクロアルキルオキシ基で、例えば、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ、1−ナフトキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環オキシ基で、例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のシリルオキシ基で、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ、ジフェニルメチルシリルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアシルオキシ基で、例えば、アセトキシ、ピバロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、ドデカノイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニルオキシ基で、例えば、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、シクロアルキルオキシカルボニルオキシ基で、例えば、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数7〜32、より好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニルオキシ基で、例えば、フェノキシカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のカルバモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N−ブチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ、N−エチル−N−フェニルカルバモイルオキシ)、スルファモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のスルファモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジエチルスルファモイルオキシ、N−プロピルスルファモイルオキシ)、アルキルスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数1〜38、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルスルホニルオキシ基で、例えば、メチルスルホニルオキシ、ヘキサデシルスルホニルオキシ、シクロヘキシルスルホニルオキシ)、
【0047】
アリールスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数6〜32、より好ましくは炭素数6〜24のアリールスルホニルオキシ基で、例えば、フェニルスルホニルオキシ)、アシル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアシル基で、例えば、ホルミル、アセチル、ピバロイル、ベンゾイル、テトラデカノイル、シクロヘキサノイル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニル基で、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、オクタデシルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルシクロヘキシルオキシカルボニル、下記構造式(i)で表される基)、
【0048】
【化15】

【0049】
アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜32、より好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のカルバモイル基で、例えば、カルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、N−エチル−N−オクチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル、N−プロピルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N−メチル−N−フェニルカルバモイル、N,N−ジシクロへキシルカルバモイル)、アミノ基(好ましくは炭素数32以下、より好ましくは炭素数24以下のアミノ基で、例えば、アミノ、メチルアミノ、N,N−ジブチルアミノ、テトラデシルアミノ、2−エチルへキシルアミノ、シクロヘキシルアミノ)、アニリノ基(好ましくは炭素数6〜32、より好ましくは炭素数6〜24のアニリノ基で、例えば、アニリノ、N−メチルアニリノ)、ヘテロ環アミノ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環アミノ基で、例えば、4−ピリジルアミノ)、カルボンアミド基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のカルボンアミド基で、例えば、アセトアミド、ベンズアミド、テトラデカンアミド、ピバロイルアミド、シクロヘキサンアミド)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のウレイド基で、例えば、ウレイド、N,N−ジメチルウレイド、N−フェニルウレイド)、イミド基(好ましくは炭素数36以下、より好ましくは炭素数24以下のイミド基で、例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニルアミノ基で、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、オクタデシルオキシカルボニルアミノ、シクロヘキシルオキシカルボニルアミノ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜32、より好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニルアミノ基で、例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、スルホンアミド基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のスルホンアミド基で、例えば、メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、ヘキサデカンスルホンアミド、シクロヘキサンスルホンアミド)、スルファモイルアミノ基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のスルファモイルアミノ基で、例えば、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ、N−エチル−N−ドデシルスルファモイルアミノ)、アゾ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のアゾ基で、例えば、フェニルアゾ、3−ピラゾリルアゾ)、
【0050】
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルチオ基で、例えば、メチルチオ、エチルチオ、オクチルチオ、シクロヘキシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリールチオ基で、例えば、フェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環チオ基で、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2−ピリジルチオ、1−フェニルテトラゾリルチオ)、アルキルスルフィニル基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルスルフィニル基で、例えば、ドデカンスルフィニル)、アリールスルフィニル基(好ましくは炭素数6〜32、より好ましくは炭素数6〜24のアリールスルフィニル基で、例えば、フェニルスルフィニル)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルスルホニル基で、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、ブチルスルホニル、イソプロピルスルホニル、2−エチルヘキシルスルホニル、ヘキサデシルスルホニル、オクチルスルホニル、シクロヘキシルスルホニル)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリールスルホニル基で、例えば、フェニルスルホニル、1−ナフチルスルホニル)、スルファモイル基(好ましくは炭素数32以下、より好ましくは炭素数24以下のスルファモイル基で、例えば、スルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−エチル−N−ドデシルスルファモイル、N−エチル−N−フェニルスルファモイル、N−シクロヘキシルスルファモイル)、スルホ基、ホスホニル基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のホスホニル基で、例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)、ホスフィノイルアミノ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のホスフィノイルアミノ基で、例えば、ジエトキシホスフィノイルアミノ、ジオクチルオキシホスフィノイルアミノ)、またはこれらを組み合わせた基が挙げられる。
【0051】
これらの置換基は、さらに該置換基で置換されていてもよく、2以上の置換基で置換されている場合は、それら置換基は同一でも異なっていてもよい。
【0052】
なお、後述する一般式(3−a)〜一般式(7)における「置換基」の定義も、上記した一般式(2)の「置換基」と同じ定義であり、好ましい態様も同じである。
【0053】
一般式(2)中、R〜Rは、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。R〜Rで表される各基は、上記で説明した置換基を有していてもよく、2以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一でも異なっていてもよい。R〜Rは、好ましくはアルキル基、またはアリール基である。R〜Rで表される各基は、上記で説明した置換基で列挙された各基と同義であり、好ましい態様も同様である。
【0054】
一般式(2)中のR〜Rの具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。なかでも、好ましくはa−8、a−20、a−23、a−25、a−26、a−27、b−1、b−2、b−8、b−9、b−13、b−20、b−21、b−25、b−26である。
【0055】
【化16】

【0056】
【化17】

【0057】
【化18】

【0058】
一般式(2)中、w、x、y、およびzは、それぞれ独立に0〜4の整数を表す。w、x、y、およびzの総和(w+x+y+z)は0ではなく、好ましくは4、3、または2であり、さらに好ましくは3または4である。
【0059】
一般式(2)中、Z〜Zは、それぞれ独立に、炭素原子または窒素原子から選ばれる原子群で、結合している2個の炭素原子と共に構成される5員環または6員環を形成する原子群を表す。5員環または6員環は、芳香族または非芳香族のどちらでもよい。結合している2個の炭素原子と共に構成される5員環または6員環としては、例えば、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環などが挙げられ、好ましくはベンゼン環、またはピリジン環である。形成される5員環または6員環には、さらにベンゼン環などの環が縮合していてもよい。形成される5員環または6員環は、上記で説明した置換基を有していてもよく、2以上の置換基を有する場合は、それらの置換基は同一でも異なっていてもよい。
【0060】
一般式(2)中のMは、金属原子、または金属酸化物を表す。該金属原子としては、Al,Zn,Mg,Si,Sn,Rh,Pt,Pd,Mo,Mn,Pb,Cu,Ni,Co,およびFeなどが挙げられる。該金属酸化物としては、TiO,VOなどが挙げられる。金属水酸化物としては、AlOHなどが挙げられる。好ましくは、Cu,Ni,Co,Znである。
【0061】
上述の一般式(2)で表される染料のうち、好ましくは下記一般式(2−1)で表される染料である。つまり、下記一般式(2−1)で表される構造式の染料から任意の水素原子がn個外れた色素残基が好ましく挙げられる。一般式(2−1)の場合、例えば、R〜Rから水素原子が取り除かれる。一般式(2−1)中のR〜Rのうちの少なくとも一つに、一般式(1)中の−(L−P)基が結合していることが好ましい。
【0062】
【化19】

【0063】
一般式(2−1)中、R、R、R、R、w、x、y、x、およびMは、上述の一般式(2)中のそれらの定義と同一である。
【0064】
一般式(2−1)中、R〜Rは、それぞれ独立に置換基を表す。該置換基の定義は、上記で説明した置換基の定義と同一である。R〜Rで表される置換基が、更に置換可能な基である場合には、上記の置換基で説明した基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
【0065】
一般式(2−1)中、m、n、p、およびqは、それぞれ独立に0〜4の整数を表す。ただし、mとwとの和(m+w)、nとxとの和(n+x)、pとyとの和(p+y)、qとzとの和(q+z)が、それぞれ4以下である。
【0066】
一般式(2−1)で表される構造式は、好ましくはRがアルキル基またはアリール基で、MがCu,Co,Zn,またはV=Oで、m、n、p、qがすべて0である。より好ましくは、Rがアルキル基またはアリール基で、MがCu,Co,Zn,またはV=Oで、w、x、y、zのうち2つが1で、他の2つは0で、m、n、p、qがすべて0である。さらに好ましくは、Rがアルキル基またはアリール基で、MがCu,Co,Zn,またはV=Oで、w、x、y、zのうち3つ以上が1で、他の1つは0で、m、n、p、qがすべて0である。最も好ましくは、Rがアルキル基またはアリール基で、MがCuで、w、x、y、zのうち3つ以上が1で、他の1つは0で、m、n、p、qがすべて0である。
【0067】
以下に一般式(2−1)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0068】
【化20】

【0069】
上述した一般式(2)で表される染料および一般式(2−1)で表される染料は、特開2006−047497号の段落番号[0060]〜[0066]、または特開2006−047752号の段落番号[0055]〜[0065]に記載の方法を参照して合成することができる。
【0070】
上記一般式(2)および(2-1)で表される構造をDye部分に有する、一般式(1)で表わされる化合物の例としては、特開2006−047752号に記載のC−25、C−36を挙げることが出来る。
【0071】
<一般式(3−a)〜一般式(3−f)>
一般式(1)で表される染料として、一般式(1)中のDyeが下記一般式(3−a)〜一般式(3−f)で表される構造式の染料のいずれか1つから任意の水素原子がn個外れた色素残基である染料が挙げられる。一般式(3−a)〜一般式(3−f)で表される染料(アゾ系染料、アゾメチン系染料、メチン系染料、キノフタロン系染料など)は、可視光部の最大吸収波長が400〜500nm、好ましくは420〜480nmであり、イエロー色調用のインクとして好適である。なお、一般式(3−a)〜一般式(3−f)で表される染料の互変異性体も好適に使用される。
【0072】
<一般式(3−a)>
以下に、一般式(3−a)で表される染料について、各基の説明を述べる。一般式(3−a)で表される染料では、例えば、R30、A30、R31、R32またはR33から水素原子が取り除かれる。一般式(3−a)中のR30、A30、R31、R32、およびR33のうちの少なくとも一つに、一般式(1)中の−(L−P)基が結合していることが好ましい。
【0073】
【化21】

【0074】
一般式(3−a)中、R30は水素原子、または置換基を表す。R30で表される置換基は、上記の一般式(2)の「置換基」と同じ定義であり、好ましい態様も同じである。
【0075】
一般式(3−a)中、R31は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、またはカルバモイル基を表す。なかでも、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基が好ましく、アリール基、ヘテロ環基がより好ましく、特に、含窒素へテロ環基、電子求引性基が置換したアリール基が好ましい。電子求引性基としては、ハメットの置換基定数σpが0.20以上のものが好ましく、例えば、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、スルファモイル基、ハロゲン化アルキル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、ハロゲン原子などが挙げられる。ハメットの置換基定数については、例えば、J. A. Dean編、「Lange's Handbook of Chemistry 」第12版、1979年(Mc Graw-Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しく述べられている。なお、本発明において各置換基をハメットの置換基定数σp値により限定したり、説明したりするが、これは上記に成書で見出せる文献既知の値が有る置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合に、その範囲内に含まれるであろう置換基をも含むものである。R31で表される各基は、上記R30で表される置換基に列挙された各基と同義である。R31で表される各基は、さらに上記のR30で表される置換基で置換されていてもよく、2以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一でも異なっていてもよい。
【0076】
一般式(3−a)中、X30は、−OM基、または−N(R32)(R33)を表す。Mは、水素原子、アルキル基、または、電荷を中和する為に必要な金属原子若しくは有機塩基対を表し、R32およびR33は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、またはカルバモイル基を表す。Mで表される金属原子としては、金属カチオン種、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、鉄、亜鉛などが挙げられる。また、Mで表される有機塩基対としては、有機カチオン種、例えば、4級アンモニウム、グアニジニウムカチオン、トリアルキルアンモニウムなどが挙げられる。R32およびR33で表される各基は、上記R30で表される置換基に列挙された各基と同義であり、その好ましい態様も同様である。一般式(3−a)中、X30はヒドロキシル基、または無置換のアミノ基が好ましく、中でも無置換のアミノ基が好ましい。
【0077】
一般式(3−a)中、A30は、アリール基、または芳香族ヘテロ環基を表す。中でも、5員または6員の含窒素へテロ環基、もしくは電子求引性基が置換したアリール基が好ましい。好ましい電子求引性基は、ハメットの置換基定数σpが0.20以上のものが挙げられる。A30で表されるアリール基は、上記R30で表される置換基に列挙されたアリール基と同義であり、好ましい態様も同様である。A30で表される芳香族へテロ環基は、上記R30で表される置換基に列挙されたヘテロ環基のうち芳香族性のものを意味する。A30で表される各基は、さらに上記のR30で表される置換基で置換されていてもよく、2以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一でも異なっていてもよい。
【0078】
<一般式(3−b)>
以下に、一般式(3−b)で表される染料について、各基の説明を述べる。一般式(3−b)で表される染料では、例えば、R34、A31、R35、またはR36から水素原子が取り除かれる。一般式(3−b)中のR34、A31、R35、およびR36のうちの少なくとも一つに、一般式(1)中の−(L−P)基が結合していることが好ましい。
【0079】
【化22】

【0080】
一般式(3−b)中、R34は水素原子または置換基を表す。R34で表される置換基は、上記一般式(3−a)中のR30で表される置換基と同義であり、その好ましい態様も同様である。
なお、後述する一般式(3−b)〜一般式(3−j)中の各基の説明において「置換基」も、一般式(3−a)中のR30で表される置換基と同義である。これらの置換基は、さらに該置換基で置換されていてもよく、2以上の置換基で置換されている場合は、それら置換基は同一でも異なっていてもよい。
また、後述する一般式(3−b)〜一般式(3−j)中で説明される各基(例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基など)は、一般式(3−a)中のR30で表される置換基に列挙された各基と同義であり、好ましい態様も同じである。また、これらの各基は、さらに上記「置換基」で置換されていてもよく、2以上の置換基で置換されている場合は、それら置換基は同一でも異なっていてもよい。
【0081】
一般式(3−b)中、R35は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、またはカルバモイル基を表し、水素原子が好ましい。
【0082】
一般式(3−b)中、Z30およびZ31は、それぞれ独立に、−C(R36)=または−N=を表し、R36は水素原子または置換基を表す。
【0083】
一般式(3−b)中、A31は、アリール基または芳香族ヘテロ環基を表す。A31で表される各基は、上記一般式(3−a)中のA30で表される各基と同義であり、好ましい態様も同じである。
【0084】
<一般式(3−c)>
以下に、一般式(3−c)で表される染料について、各基の説明を述べる。一般式(3−c)で表される染料では、例えば、R37、R38、R39、R40、R41、またはA32から水素原子が取り除かれる。一般式(3−c)中のR37、R38、R39、R40、R41、およびA32のうちの少なくとも一つに、一般式(1)中の−(L−P)基が結合していることが好ましい。
【0085】
【化23】

【0086】
一般式(3−c)中、R37、R38、R39およびR40は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、またはアリールスルホニル基を表し、中でもアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基が好ましく、特にアルキル基、アリール基、アシル基が好ましい。
【0087】
一般式(3−c)中、Z32、Z33、およびZ34は、それぞれ独立に、−C(R41)=または−N=を表し、中でもZ32、Z33、Z34のうちの少なくとも1つが−N=であることが好ましい。R41は、水素原子または置換基を表す。
【0088】
一般式(3−c)中、A32は、アリール基または芳香族ヘテロ環基を表す。A32で表される各基は、上記一般式(3−a)中のA30で表される各基と同義であり、好ましい態様も同じである。
【0089】
<一般式(3−d)>
以下に、一般式(3−d)で表される染料について、各基の説明を述べる。一般式(3−d)で表される染料では、例えば、OH基、R42、R43、R44、またはA33から水素原子が取り除かれる。一般式(3−d)中のOH基、R42、R43、R44、またはA33のうちの少なくとも一つに、一般式(1)中の−(L−P)基が結合していることが好ましい。
【0090】
【化24】

【0091】
一般式(3−d)中、R42は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し、中でもアルキル基、アリール基、またはヘテロ環基が好ましい。
【0092】
一般式(3−d)中、R43およびR44は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表し、中でもR43は電子求引性の置換基であることが好ましい。
【0093】
一般式(3−d)中、A33は、アリール基または芳香族ヘテロ環基を表す。A33で表される各基は、上記一般式(3−a)中のA30で表される各基と同義であり、好ましい態様も同じである。
【0094】
<一般式(3−e)>
以下に、一般式(3−e)で表される染料について、各基の説明を述べる。一般式(3−e)で表される染料では、例えば、OH基、R45、R46、またはR47から水素原子が取り除かれる。一般式(3−e)中のOH基、R45、R46、およびR47のうちの少なくとも一つに、一般式(1)中の−(L−P)基が結合していることが好ましい。
【0095】
【化25】

【0096】
一般式(3−e)中、R45、R46、およびR47は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。
【0097】
一般式(3−e)中、aおよびbは、それぞれ独立に0〜4の整数を表す。
【0098】
<一般式(3−f)>
以下に、一般式(3−f)で表される染料について、各基の説明を述べる。一般式(3−f)で表される染料では、例えば、R48、R49、R50、またはR51から水素原子が取り除かれる。一般式(3−f)中のOH基、R48、R49、R50、またはR51のうちの少なくとも一つに、一般式(1)中の−(L−P)基が結合していることが好ましい。
【0099】
【化26】

【0100】
一般式(3−f)中、R48およびR49は、それぞれ独立に、水素原子、または置換基を表す。
【0101】
一般式(3−f)中、R50は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、またはアリール基を表し、中でも水素原子が好ましい。
【0102】
一般式(3−f)中、R51は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、またはアリールスルホニル基を表し、中でも水素原子が好ましい。
【0103】
一般式(3−f)中、Z35、Z36、Z37、およびZ38は、それぞれ独立に、−C(R52)=または−N=を表し、R52は水素原子または置換基を表す。
【0104】
一般式(3−a)〜一般式(3−f)におけるR3052で表される各置換基は、さらに上記一般式(3−a)のR30で表される置換基で置換されていてもよく、2以上の置換基で置換されている場合、それらの置換基は同一でも異なっていてもよい。
【0105】
一般式(3−a)〜一般式(3−f)の中で、好ましくは、一般式(3−a)〜一般式(3−d)中のA30〜A33が、それぞれ独立に、以下一般式(イ)〜一般式(ホ)である染料、一般式(3−e)で表される染料、および一般式(3−f)で表される染料である。
【0106】
【化27】

【0107】
一般式(イ)中、R53およびR54は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、またはアシル基を表す。
【0108】
【化28】

【0109】
一般式(ロ)および一般式(ハ)中、R55は、水素原子または置換基を表す。
【0110】
一般式(ロ)および一般式(ハ)中、R56は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、またはアリールスルホニル基を表す。
【0111】
一般式(ロ)および一般式(ハ)中、Z39は、−C(R57)=または−N=を表し、R57は、水素原子または置換基を表す。
【0112】
【化29】

【0113】
一般式(ニ)および一般式(ホ)中、R58は水素原子または置換基を表す。
【0114】
一般式(ニ)および一般式(ホ)中、X31は、酸素原子または硫黄原子を表す。
【0115】
一般式(イ)〜一般式(ホ)における*は、一般式(3−a)〜一般式(3−d)における窒素原子と結合する位置を表す。
【0116】
一般式(イ)〜一般式(ホ)において説明した各基は、さらに上記一般式(3−a)のR30で表される置換基で置換されていてもよく、2以上の置換基で置換されている場合、それらの置換基は同一でも異なっていてもよい。
【0117】
さらに好ましくは、一般式(3−c)中のA32が一般式(ロ)〜一般式(ホ)で表される染料、一般式(3−d)中のA33が一般式(イ)で表される染料、一般式(3−e)中のR45が水素原子で、R46が水素原子または置換基で、R47がアルコキシカルボニル基またはカルバモイル基で表される染料、一般式(3−f)中のR50が水素原子で、R51が水素原子またはアルキル基で、Z35およびZ36のいずれか一方が−N=で、他方が−C(R52)で、Z37およびZ38のいずれか一方が−N=で、他方が−C(R52)で、R52が水素原子または置換基で表される染料が挙げられる。
【0118】
さらに好ましくは、一般式(3−c)中のZ33が−C(R41)=で、R41が水素原子または置換基で、Z32およびZ34の少なくとも一方は−N=で、A32が一般式(ロ)〜一般式(ホ)のいずれかで表される染料、一般式(3−d)中のR42がアルキル基またはアリール基で、R43がシアノ基で、R44がアルキル基またはアリール基で、A33が一般式(イ)で表される染料、一般式(3−e)中のR45が水素原子で、R46がアルキル基で、aが0または1で表される染料、一般式(3−f)中のR50が水素原子で、R51が水素原子またはアルキル基で、Z35およびZ36のいずれか一方は−N=で、他方は−C(R52)=で、Z37およびZ38のいずれか一方は−N=で、他方は−C(R52)=で、R52は水素原子または置換基で、R48およびR49は、それぞれ独立に、3級アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基で表される染料が挙げられる。
【0119】
さらに好ましくは、下記一般式(3−g)〜一般式(3−j)が挙げられる。
【0120】
【化30】

【0121】
一般式(3−g)中、R60、R61、R62、およびR63は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。ただし、R60とR61とが同時に水素原子であることはなく、R62とR63とが同時に水素原子であることはない。一般式(3−g)中、R64は、水素原子、シアノ基、アルコキシカルボニル基、またはカルバモイル基を表す。R65は、水素原子または置換基を表す。一般式(3−g)中、R67は、水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。一般式(3−g)中、R68は、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、またはアリールスルホニル基を表す。一般式(3−g)中、R69は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、またはアリールスルホニル基を表す。R60、R61、R62、R63、R64、R67、R68、およびR69で表される各置換基は、さらに上記一般式(3−a)のR30で表される置換基で置換されていてもよく、2以上の置換基で置換されている場合、それらの置換基は同一でも異なっていてもよい。一般式(3−g)で表される染料では、例えば、R60〜R69から水素原子が取り除かれる。一般式(3−g)中のR60〜R69のうちの少なくとも一つに、一般式(1)中の−(L−P)基が結合していることが好ましい。
【0122】
【化31】

【0123】
一般式(3−h)中、R70、R71、R72、R73、R74、およびR75は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。ただし、R70とR71とが同時に水素原子であることはなく、R72とR73とが同時に水素原子であることはなく、さらに、R74とR75とが同時に水素原子であることはない。R76は、水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。R77は、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、またはアリールスルホニル基を表す。R78は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、またはアリールスルホニル基を表す。R70〜R78で表される各置換基は、さらに上記一般式(3−a)のR30で表される置換基で置換されていてもよく、2以上の置換基で置換されている場合、それらの置換基は同一でも異なっていてもよい。一般式(3−h)で表される染料では、例えば、R70〜R78から水素原子が取り除かれる。一般式(3−h)中のR70〜R78のうちの少なくとも一つに、一般式(1)中の−(L−P)基が結合していることが好ましい。
【0124】
【化32】

【0125】
一般式(3−i)および一般式(3−j)中、R79およびR80は、それぞれ独立に、三級アルキル基を表す。R81およびR82は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。R83は水素原子、またはアルキル基を表す。R79、R80、R81、R82、およびR83で表される各置換基は、さらに上記一般式(3−a)のR30で表される置換基で置換されていてもよく、2以上の置換基で置換されている場合、それらの置換基は同一でも異なっていてもよい。一般式(3−i)および一般式(3−j)で表される染料では、例えば、R79〜R83から水素原子が取り除かれる。一般式(3−i)および一般式(3−j)中のR79〜R83のうちの少なくとも一つに、一般式(1)中の−(L−P)基が結合していることが好ましい。
【0126】
一般式(3−a)〜一般式(3−f)で表される染料の具体例を以下に示すが、本発明はこれらによって限定されない。
【0127】
【化33】

【0128】
【化34】

【0129】
【化35】

【0130】
【化36】

【0131】
【化37】

【0132】
【化38】

【0133】
上記一般式(3−a)および(3−b)で表される染料は、特開平6−301179号の段落番号[0104]〜[0117]に記載の方法を参照して合成することができる。上記一般式(3−c)で表される染料は、特開2007−31616号の段落番号[0050]〜[0069]、および特開2007−39478号の段落番号[0049]〜[0063] に記載の方法を参照して合成することができる。上記一般式(3−d)で表される染料は、特開2006−124634号の段落番号[0175]〜[0199]に記載の方法を参照して合成することができる。上記一般式(3−e)で表される染料は、特開平6−9891号の段落番号[0015]〜[0034]に記載の方法を参照して合成することができる。上記一般式(3−f)で表される染料は、特開2005−250420号の段落番号[0071]〜[0077]に記載の方法を参照して合成することができる。
【0134】
上記一般式(3−a)から(3−f)で表される構造をDye部分に有する、一般式(1)で表わされる化合物の例としては、特開2005−281329号に記載の例示化合物a−1〜h−8、同2007−138051号に記載の例示化合物A−1〜C−22、同2007−139906号に記載の例示化合物(1)〜(107)、同2007−147784号に記載の例示化合物(1)〜(48)、特願2009−076521号に記載の例示化合物(1)〜(66)、特開2006−58701号に記載の例示化合物md−5、me−5、mx−3、mx−4、ye−3、特開2007−31616号記載の例示化合物44、46、特開2007−41050号記載の例示化合物62、64、特開2008−083416号に記載の例示化合物Ya−23、Yb−20〜22、特開2005−250420号に記載のY65〜68、70〜72などを挙げることが出来る。これらの化合物例の合成方法については、上記に挙げた特開2005−281329号、同2007−138051号、同2007−139906号、同2007−147784号、特願2009−076521号に記載された方法を挙げることができる。
【0135】
<一般式(4)>
一般式(1)で表される染料として、一般式(1)中のDyeが下記一般式(4)で表される構造式の染料から任意の水素原子がn個外れた色素残基である染料が挙げられる。一般式(4)中のR11〜R17のうちの少なくとも一つに、一般式(1)中の−(L−P)基が結合していることが好ましい。
【0136】
【化39】

【0137】
一般式(4)中のR11〜R16はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。R11〜R16における置換基としては、上記した一般式(2)の「置換基」と同じ定義であり、好ましい態様も同じである。
【0138】
上記のR11〜R16の置換基が更に置換可能な基である場合には、R11〜R16で説明した置換基を有していてもよく、2個以上の置換基を有している場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0139】
一般式(4)中のR11とR12、R12とR13、R14とR15、および/またはR15とR16とは各々独立に互いに結合して5員、6員、または7員の飽和環、または不飽和環を形成していてもよい。形成される5員、6員、および7員の環が、更に置換可能な基である場合には、上記R11〜R16で説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0140】
一般式(4)中のR17は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し、R17のハロゲン原子、アルキル基、アリール基、およびヘテロ環基は、上記R11〜R16で説明したハロゲン原子、アルキル基、アリール基、およびヘテロ環基と同義であり、その好ましい範囲も同様である。R17のアルキル基、アリール基、およびヘテロ環基が、更に置換可能な基である場合には、上記R11〜R16で説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0141】
一般式(4)において好ましくは、R11、およびR16は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シリル基、ヒドロキシ基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、アニリノ基、ヘテロ環アミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはホスフィノイルアミノ基で表され、R12およびR15は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基で表され、R13およびR14は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シリル基、ヒドロキシ基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アニリノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、またはホスフィノイルアミノ基で表され、R17は水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基で表される。
【0142】
より好ましくは、上記一般式(4)において、R11、およびR16は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ヘテロ環アミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはホスフィノイルアミノ基で表され、R12およびR15は、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基で表され、R13およびR14は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基で表され、R17は水素原子、またはアルキル基で表される。
【0143】
特に好ましくは、一般式(4)において、R11およびR16は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アミノ基、ヘテロ環アミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはホスフィノイルアミノ基で表され、一般式(4)において、R12およびR15は、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、またはアリールスルホニル基で表され、R13およびR14は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基で表され、R17は水素原子で表される。
【0144】
<一般式(5)>
一般式(1)で表される染料として、一般式(1)中のDyeが下記一般式(5)で表される構造式の染料から任意の水素原子がn個外れた色素残基である染料が挙げられる。一般式(5)中のR11〜R17のうちの少なくとも一つに、一般式(1)中の−(L−P)基が結合していることが好ましい。なお、一般式(5)で表される染料は、一般式(4)で表される染料(ジピロメテン系化合物)と、金属原子又は金属化合物とから得られるジピロメテン系金属錯体化合物に該当する。
【0145】
【化40】

【0146】
一般式(5)中のR11〜R17は、一般式(4)中のR11〜R17と同義であり、好ましい態様も同様である。
【0147】
一般式(5)中のMaは、金属原子又は金属化合物を表す。金属原子又は金属化合物としては、錯体を形成可能な金属原子又は金属化合物であればいずれであってもよく、2価の金属原子、2価の金属酸化物、2価の金属水酸化物、又は2価の金属塩化物が含まれる。例えば、Zn、Mg、Si、Sn、Rh、Pt、Pd、Mo、Mn、Pb、Cu、Ni、Co、Fe等の他に、AlCl、InCl、FeCl、TiCl2、SnCl、SiCl、GeClなどの金属塩化物、TiO、VO等の金属酸化物、Si(OH)等の金属水酸化物も含まれる。
これらの中でも、錯体の安定性、分光特性、耐熱、耐光性、および製造適性等の観点から、Fe、Zn、Co、V=O、又はCuが好ましく、Znが最も好ましい。
【0148】
一般式(5)中のXは、金属原子Maに結合可能な基であればいずれであってもよく、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール)等、更に「金属キレート」[1]坂口武一・上野景平著(1995年 南江堂)、同[2](1996年)、同[3](1997年)等、に記載の化合物が挙げられる。
【0149】
一般式(5)におけるXは、Maの電荷を中和する為に必要な基を表し、例えば、ハロゲン原子、水酸基、カルボン酸基、燐酸基、スルホン酸基等が挙げられる。
【0150】
一般式(5)におけるXとXとが互いに結合して、Maとともに5員、6員、又は7員の環を形成してもよい。形成される5員、6員、および7員の環は、飽和環であっても不飽和環であってもよい。また、5員、6員、および7員の環は、炭素原子のみで構成されていてもよく、窒素原子、酸素原子、又は/および硫黄原子から選ばれる原子を少なくとも1個有するヘテロ環を形成していてもよい。
【0151】
<一般式(5−1)>
一般式(5)で表される染料の他の実施態様として、一般式(5−1)で表される染料が挙げられる。つまり、一般式(5−1)中のR12〜R19のうちの少なくとも一つに、一般式(1)中の−(L−P)基が結合していることが好ましい。
【0152】
【化41】

【0153】
(一般式(5−1)中、R12〜R15は、各々独立に、水素原子、又は置換基を表す。R17は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。Maは、金属原子又は金属化合物を表す。Xは、NR(Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基を表す。)、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表し、Xは、NRa(Raは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基を表す。)、酸素原子、又は硫黄原子を表し、Yは、NRc(Rcは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基を表す。)、窒素原子、又は炭素原子を表し、Yは、窒素原子、又は炭素原子を表す。R18およびR19は、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、又はヘテロ環アミノ基を表す。R18とYは、互いに結合して5員、6員、又は7員の環を形成していてもよく、R19とYは、互いに結合して5員、6員、又は7員の環を形成していてもよい。XはMaと結合可能な基を表し、aは0、1、又は2を表す。)
【0154】
一般式(5−1)中のR12〜R15、およびR17は、それぞれ一般式(5)中のR12〜R15、およびR17と同義であり、好ましい態様も同様である。
一般式(5−1)中のMaは、金属原子又は金属化合物を表し、一般式(5)において説明した、金属原子又は金属化合物と同義であり、その好ましい範囲も同様である。
【0155】
一般式(5−1)中、R18およびR19は、各々独立にアルキル基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基で、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、ドデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−アダマンチル)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは炭素数2〜12のアルケニル基で、例えば、ビニル、アリル、3−ブテン−1−イル)、アリール基(好ましくは炭素数6〜36、より好ましくは炭素数6〜18のアリール基で、例えば、フェニル、ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環基で、例えば、2−チエニル、4−ピリジル、2−フリル、2−ピリミジニル、1−ピリジル、2−ベンゾチアゾリル、1−イミダゾリル、1−ピラゾリル、ベンゾトリアゾール−1−イル)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは炭素数1〜18のアルコキシ基で、例えば、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ドデシルオキシ、シクロヘキシルオキシ)、アリールオキシ(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは炭素数1〜18のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ、ナフチルオキシ)、アルキルアミノ基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは炭素数1〜18のアルキルアミノ基で、例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ブチルアミノ、ヘキシルアミノ、2−エチルヘキシルアミノ、イソプロピルアミノ、t−ブチルアミノ、t−オクチルアミノ、シクロヘキシルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N,N−ジプロピルアミノ、N,N−ジブチルアミノ、N−メチル−N−エチルアミノ)、アリールアミノ(好ましくは炭素数6〜36、より好ましくは炭素数6〜18のアリールアミノ基で、例えば、フェニルアミノ、ナフチルアミノ、N,N−ジフェニルアミノ、N−エチル−N−フェニルアミノ)、又はヘテロ環アミノ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環アミノ基で、例えば、2−アミノピロール、3−アミノピラゾール、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン)を表す。
【0156】
一般式(5−1)中、R18およびR19のアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、又はヘテロ環アミノ基が、更に置換可能な基である場合には、上記一般式(4)のR11〜R16で説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0157】
一般式(5−1)中、Xは、NR、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表し、Xは、NRa、酸素原子、又は硫黄原子を表す。RとRaは、各々独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基で、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、ドデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−アダマンチル)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは炭素数2〜12のアルケニル基で、例えば、ビニル、アリル、3−ブテン−1−イル)、アリール基(好ましくは炭素数6〜36、より好ましくは炭素数6〜18のアリール基で、例えば、フェニル、ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環基で、例えば、2−チエニル、4−ピリジル、2−フリル、2−ピリミジニル、1−ピリジル、2−ベンゾチアゾリル、1−イミダゾリル、1−ピラゾリル、ベンゾトリアゾール−1−イル)、アシル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数2〜18のアシル基で、例えば、アセチル、ピバロイル、2−エチルヘキシル、ベンゾイル、シクロヘキサノイル)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜18のアルキルスルホニル基で、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、イソプロピルスルホニル、シクロヘキシルスルホニル)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは炭素数6〜18のアリールスルホニル基で、例えば、フェニルスルホニル、ナフチルスルホニル)を表す。
上記RとRaのアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基は、更に、上記一般式(4)のR11〜R16の置換基で説明した基で置換されていてもよく、複数の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0158】
一般式(5−1)中、Yは、NRc、窒素原子、又は炭素原子を表し、Yは、窒素原子、又は炭素原子を表す。Rcは、上記XのRと同義である。
【0159】
一般式(5−1)中、R18とYとが互いに結合して、R18、Y、および炭素原子と共に5員環(例えば、シクロペンタン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、テトラヒドロチオフェン、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン)、6員環(例えば、シクロヘキサン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、ペンタメチレンスルフィド、ジチアン、ベンゼン、ピペリジン、ピペラジン、ピリダジン、キノリン、キナゾリン)、又は7員環(例えば、シクロヘプタン、ヘキサメチレンイミン)を形成してもよい。
【0160】
一般式(5−1)中、R19とYとが互いに結合して、R19、Y、および炭素原子と共に5員、6員、又は7員の環を形成していてもよい。形成される5員、6員、および7員の環は、上記のR18とYおよび炭素原子で形成される環から、1個の結合が二重結合に変化した環が挙げられる。
【0161】
一般式(5−1)中、R18とY、およびR19とYが結合して形成される5員、6員、および7員の環が、更に置換可能な環である場合には、上記一般式(4)のR11〜R16の置換基で説明した基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0162】
一般式(5−1)中、XはMaと結合可能な基を表し、前記一般式(5)におけるXと同様な基が挙げられる。
aは0、1、又は2を表す。
【0163】
一般式(5−1)で表される化合物の好ましい態様としては、R12〜R15、R17、およびMaはそれぞれ、一般式(4)で表される染料の説明で記載した好ましい態様であり、XはNR(Rは水素原子、アルキル基)、窒素原子、又は酸素原子であり、XはNRa(Raは水素原子、アルキル基、ヘテロ環基)、又は酸素原子であり、YはNRc(Rcは水素原子、又はアルキル基)、窒素原子、又は炭素原子であり、Yは窒素原子、又は炭素原子であり、Xは酸素原子を介して結合する基であり、R18およびR19は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、若しくはアルキルアミノ基であり、又はR18とYとが互いに結合して5員若しくは6員環を形成し、又はR19とYとが互いに結合して5員若しくは6員環を形成し、aは0又は1を表す。
【0164】
一般式(5−1)で表される化合物の更に好ましい態様としては、R12〜R15、R17、Maはそれぞれ、一般式(4)で表される染料の説明で記載した特に好ましい態様であり、XおよびXは、酸素原子であり、YはNHであり、Yは窒素原子であり、Xは酸素原子を介して結合する基であり、R18およびR19は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、若しくはアルキルアミノ基であり、又はR18とYとが互いに結合して5員若しくは6員環を形成し、又はR19とZとが互いに結合して5員若しくは6員環を形成し、aは0又は1を表す。
【0165】
<一般式(5−2)>
一般式(5)で表される染料の他の実施態様として、一般式(5−2)で表される染料が挙げられる。つまり、一般式(5−2)中のR11〜R17のうちの少なくとも一つに、一般式(1)中の−(L−P)基が結合していることが好ましい。
【0166】
【化42】

【0167】
一般式(5−2)中のR11〜R17は、それぞれ一般式(5)中のR11〜R17と同義であり、好ましい態様も同様である。
一般式(5−2)中のMaは、金属原子又は金属化合物を表し、一般式(5)において説明した、金属原子又は金属化合物と同義であり、その好ましい範囲も同様である。
【0168】
次に、一般式(5)、一般式(5−1)および一般式(5−2)で表される染料の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるわけではない。
【0169】
【化43】

【0170】
【化44】

【0171】
【化45】

【0172】
一般式(5)、一般式(5−1)または一般式(5−2)で表される染料は、米国特許第4,774,339号、同−5,433,896号、特開2001−240761号、同2002−155052号、特許第3614586号、Aust.J.Chem,1965,11,1835−1845、J.H.Boger et al,Heteroatom Chemistry,Vol.1,No.5,389(1990)等に記載の方法で合成することができる。
【0173】
上記一般式(5)、(5−1)で表される構造をDye部分に有する、一般式(1)で表わされる化合物の例としては、特開2008−292970号に記載の例示化合物III−12を挙げることが出来る。
【0174】
<一般式(6)>
一般式(1)で表される染料として、一般式(1)中のDyeが下記一般式(6)で表される構造式の染料から任意の水素原子がn個外れた色素残基である、染料が挙げられる。該染料では、例えば、一般式(6)中のR21〜R27から水素原子が取り除かれる。一般式(6)中のR21〜R27のうちの少なくとも一つに、一般式(1)中の−(L−P)基が結合していることが好ましい。
【0175】
【化46】

【0176】
一般式(6)中、のR21〜R26はそれぞれ独立に、水素原子、または置換基を表す。R21〜R26で表される置換基は、上記した一般式(2)の「置換基」と同じ定義であり、好ましい態様も同じである。
【0177】
21〜R26の置換基が更に置換可能な基である場合には、R21〜R26で説明した置換基を有していてもよく、2個以上の置換基を有している場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0178】
21とR22、R22とR23、R24とR25、または/およびR25とR26とが各々独立に互いに結合して5員、6員、または7員の飽和環、または不飽和環を形成していてもよい。形成される5員、6員、および7員の環が、更に置換可能な基である場合には、上記R21〜R26で説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0179】
一般式(6)中のR27は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し、上記R21〜R26の置換基で説明したハロゲン原子、アルキル基、アリール基、およびヘテロ環基と同じ基を表し、その好ましい範囲も同様である。
27のアルキル基、アリール基、およびヘテロ環基が、更に置換可能な基である場合には、上記R21〜R26の置換基で説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0180】
一般式(6)中のXおよびYは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、水酸基、アルキルチオ基、アリールチオ基、またはヘテロ環チオ基を表す。これらのハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、水酸基、アルキルチオ基、アリールチオ基、およびヘテロ環チオ基の好ましい範囲は、上記R21〜R26で述べたのと同様である。
【0181】
一般式(6)中のXおよびYが置換可能な基である場合には、上記R21〜R26の置換基で説明した基で置換されていても良く、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0182】
一般式(6)中において好ましくは、R21およびR26は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シリル基、ヒドロキシル基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、アニリノ基、ヘテロ環アミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはホスフィノイルアミノ基を表し、R22およびR25はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基、または上記構造式(i)で表される基を表し、R23およびR24は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シリル基、ヒドロキシル基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アニリノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、またはホスフィノイルアミノ基を表し、R27は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し、X、およびYは、フッ素原子、アルコキシ基、アリールオキシ基を表す。
【0183】
より好ましくは、一般式(6)において、R21およびR26は各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ヘテロ環アミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはホスフィノイルアミノ基を表し、R22およびR25は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基、または前記構造式(i)で表される基を表し、R23およびR24はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表し、R27は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し、XおよびYは、フッ素原子、アルコキシ基、アリールオキシ基を表す。
【0184】
特に好ましくは、一般式(6)中、R21およびR26の少なくとも一つは、アミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、またはイミド基を表し、R21およびR26の他の一つは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ヘテロ環アミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはホスフィノイルアミノ基を表し、R22およびR25の少なくとも一つは、シアノ基、または上記構造式で表される基を表し、R22およびR25の他の一つは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基、または上記構造式(i)で表される基を表し、R27は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し、XおよびYは、フッ素原子、アルコキシ基、アリールオキシ基を表す。
【0185】
最も好ましくは、一般式(6)中、R21およびR26の少なくとも一つは、アミノ基を表し、R21およびR26の他の一つは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ヘテロ環アミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはホスフィノイルアミノ基を表し、R22およびR25の少なくとも一つは、シアノ基、または上記構造式で表される基で表され、R22、およびR25の他の一つは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基、または上記構造式(i)で表される基を表し、R27は、メチル基または水素原子を表し、XおよびYは、フッ素原子を表す。
【0186】
一般式(6)中、R21とR22、R22とR23、R24とR25、または/およびR25とR26とが、それぞれ独立に、互いに結合して、置換基を有しない5員、6員、または7員の飽和環、または不飽和環を形成する場合、置換基を有しない5員、6員、または7員の飽和環、または不飽和環としては、例えば、ピロール環、フラン環、チオフェン環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピロリジン環、ピペリジン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環が挙げられ、好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環が挙げられる。
また、置換基を有する場合、該置換基としては、例えば、上記R21〜R26で説明した置換基が挙げられ、好ましい置換基もR21〜R26と同様である。
なお、一般式(6)で表される染料は、互変異性体であってもよい。
【0187】
次に、具体例を以下に示すが、本発明はこれらの限定されるわけではない。
【0188】
【化47】

【0189】
【化48】

【0190】
【化49】

【0191】
【化50】

【0192】
一般式(6)で表される染料は、米国特許第4,774,339号、同−5,433,896号、特開2001−240761号、同2002−155052号、特許第3614586号、Aust.J.Chem,1965,11,1835−1845、J.H.Boger et al,Heteroatom Chemistry,Vol.1,No.5,389(1990)等に記載の方法で合成することができる。
【0193】
<一般式(7)>
一般式(1)で表される染料として、一般式(1)中のDyeが下記一般式(7)で表される構造式の染料から任意の水素原子がn個外れた色素残基である、染料が挙げられる。一般式(7)中のR〜Rのうちの少なくとも一つに、一般式(1)中の−(L−P)基が結合していることが好ましい。
【0194】
【化51】

【0195】
一般式(7)中、R〜RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。R〜RおよびRで表される置換基は、上記した一般式(2)の「置換基」と同じ定義であり、好ましい態様も同じである。
なお、各基は、それぞれさらに上述した置換基で置換されていてもよく、2以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一でも異なっていてもよい。
【0196】
一般式(7)中、Rは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルバモイルアミノ基、アニリノ基が好ましく、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基がより好ましい。さらに好ましくは、アルキル基であり、最も好ましくは、三級アルキル基である。
【0197】
一般式(7)中、R〜Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルホンアミド基が好ましく、水素原子、ハロゲン原子、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基がより好ましい。
【0198】
一般式(7)中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し、好ましくはアルキル基である。また、RおよびRで表される各基は、上述した置換基で置換されていてもよく、2以上の置換基で置換されている場合、それらの置換基は同一でも異なっていてもよい。
【0199】
一般式(7)中、RとR、RとR、RとR、RとR、および/またはRとRとは互いに結合して、それぞれ独立に、5員環、6員環、または7員環を形成してもよい。5員環、6員環、または7員環としては、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、ジヒドロピロール、テトラヒドロピリジンなどが挙げられる。該各環は、上述した置換基で置換されていてもよく、2以上の置換基で置換されている場合、それらの置換基は同一でも異なっていてもよい。
【0200】
一般式(7)中、ZaおよびZbは、それぞれ独立に、=N−または=C(R)−を表し、Rは水素原子または置換基を表す。Rで表される好ましい置換基は、アルキル基、アルケニル基、アリール基、またはヘテロ環基である。Rで表される置換基は、上述した置換基で置換されていてもよく、2以上の置換基で置換されている場合、それらの置換基は同一でも異なっていてもよい。
【0201】
一般式(7)中、Zaが=N−で、Zbが=C(R)−であることが好ましく、更に好ましくは、Zaが=N−で、Zbが=C(R)−で、Rがアルキル基、アリール基、またはヘテロ環基である。
【0202】
一般式(7)で表される染料のうち、下記一般式(7−1)で表される染料が好ましい。
【0203】
【化52】

【0204】
一般式(7−1)中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、または置換基を表す。R〜Rで表される置換基は、上記一般式(7)中のR〜RおよびRで表される置換基と同義であり、好ましい態様も同様である。
【0205】
一般式(7−1)中、Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。また、Rで表される各基は、さらに上述した置換基で置換されていてもよく、2以上の置換基で置換されている場合、それらの置換基は同一でも異なっていてもよい
【0206】
一般式(7−1)中、R〜R14は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。R〜R14で表される置換基は、上述した置換基で置換されていてもよく、2以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一でも異なっていてもよい。
【0207】
一般式(7−1)中、ZaおよびZbは、それぞれ独立に、=N−または=C(R)−を表し、Rは水素原子または置換基を表す。Rで表される好ましい置換基は、アルキル基、アルケニル基、アリール基、またはヘテロ環基である。Rで表される置換基は、上述した置換基で置換されていてもよく、2以上の置換基で置換されている場合、それらの置換基は同一でも異なっていてもよい。
【0208】
一般式(7−1)中、RとR、RとR、RとR、および/またはRとR14とは互いに結合して、それぞれ独立に、5員環、6員環、または7員環を形成してもよい。5員環、6員環、または7員環としては、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、ジヒドロピロール、テトラヒドロピリジンなどが挙げられる。該各環は、上述した置換基で置換されていてもよく、2以上の置換基で置換されている場合、それらの置換基は同一でも異なっていてもよい。
【0209】
次に、一般式(7)及び一般式(7−1)で表わされる化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるわけではない。
【化53】

【0210】
【化54】

【0211】
【化55】

【0212】
【化56】

【0213】
【化57】

【0214】
【化58】


【0215】
【化59】

【0216】
【化60】

【0217】
【化61】

【0218】
一般式(7)で表される染料のうち、下記一般式(7−2)で表される染料がさらに好ましい。
【0219】
【化62】

【0220】
一般式(7−2)中、R〜R、R、R〜R14は、上記一般式(6−1)中のR〜R、R、R〜R14とそれぞれ同義であり、これらの好ましい態様もそれぞれ同様である。
【0221】
一般式(7−2)中、R15は、水素原子または置換基を表す。R15で表される好ましい置換基は、アルキル基、アルケニル基、アリール基、またはヘテロ環基である。R15で表される置換基は、上述した置換基で置換されていてもよく、2以上の置換基で置換されている場合、それらの置換基は同一でも異なっていてもよい。
【0222】
一般式(7−2)で表される染料の好ましい範囲は、以下の通りである。一般式(6−2)中のRが、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、カルバモイルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、スルホ基、ホスホニル基、またはホスフィノイルアミノ基であり、R、RおよびRが、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、アニリノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、スルファモイルアミノ基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、スルホ基、ホスホニル基、またはホスフィノイルアミノ基であり、Rがアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはヘテロ環基であり、R〜R14が、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、またはアルコキシ基であり、R15が、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、またはヘテロ環基である化合物が好ましい。
【0223】
さらに、一般式(7−2)中のRが、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、またはアリールスルホニル基であり、R、RおよびRが、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボンアミド基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アルキルチオ基、またはアリールチオ基であり、Rがアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはヘテロ環基であり、R〜R14が、それぞれ独立に、水素原子、またはアルキル基であり、R15が、アルキル基、アルケニル基、アリール基、またはヘテロ環基である化合物がより好ましい。
【0224】
またさらに、一般式(7−2)中のRがアルキル基であり、R、RおよびRが、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、カルボンアミド基、ウレイド基、またはアルコキシカルボニルアミノ基であり、Rがアルキル基であり、R〜R14が、それぞれ独立に、水素原子、またはアルキル基であり、R15がアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはヘテロ環基である化合物がより好ましい。
【0225】
またさらに、一般式(7−2)中のRが三級アルキル基(好ましくは炭素数4〜16、より好ましくは炭素数4〜8の三級アルキル基である。例えば、t−ブチル、t−アミル、t−オクチル、1−アダマンチル、エチルシクロヘキシル)であり、R、RおよびRが、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子が挙げられ、好ましくはフッ素原子または塩素原子である。)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8のアルキル基である。例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシル)、またはアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8のアルコキシ基である。例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ)であり、Rがアルキル基(好ましくは炭素数1〜18、より好ましくは炭素数1〜12のアルキル基である。例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、オクチル、2−エチルヘキシル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル)であり、RおよびR10がアルキル基(好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、最も好ましくはメチル)であり、R11〜R13が水素原子であり、R14がアルキル基(好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、最も好ましくはメチル)であり、R15がアルキル基、アリール基、またはヘテロ環基である化合物が最も好ましい。
【0226】
以下に、上記一般式(7)で表される染料の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0227】
【化63】

【0228】
上記一般式(7)で表される染料は、特開2005-189802号公報の段落番号[0058]〜[0068]に記載の方法を参照して合成することができる。
【0229】
一般式(1)で表させる染料の合成方法としては、特開2005−189802号中の例示化合物M−69、及びM−70の他、特願2009−082531号に記載の1−1〜6−13までの例示化合物を挙げることが出来、その合成法も特願2009−082531号に記載の方法を挙げることが出来る。
また、その他、公知の方法を用いることができる。例えば、染料の一部の官能基(例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基など)と反応可能な官能基を有する重合性モノマーを該染料と反応させる方法、重合性基前駆体を有する化合物を予め染料の一部に導入し、塩基などの処理により二重結合を導入し、重合性を付与する方法が挙げられ、各反応は公知の一般的な化学反応によって実施する事ができる。染料の骨格設計の自由度を付与する考え方から、染料の一部の官能基と反応可能な官能基を有する重合性モノマーを該染料と反応させる方法が好ましい。また、一般式(1)で表させる染料は市販品を用いてもよい。
【0230】
本発明のインクジェット用インク中の一般式(1)で表される染料の含有量は、1〜30質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましい。1質量%未満の場合、カラーフィルタとして必要な光学濃度を達成するために、膜厚が厚くなる。そのためブラックマトリクスも厚くする必要があり、ブラックマトリクス形成が困難になるので好ましくない。30質量%を超える場合、インク粘度が高くなり吐出が困難になる、また溶媒へ溶解しにくくなるので好ましくない。
【0231】
本発明のインクジェット用インクには一般式(1)で表される染料以外の他の染料を含んでいてもよい。他の染料の種類としては、特に限定されないが、上述した一般式(2)〜一般式(7)で表される染料などが挙げられる。本発明のインクジェット用インク中の一般式(1)で表される染料以外の他の染料の含有量は、特に制限されず、1〜20質量%が好ましく、3〜15質量%がより好ましい。
【0232】
<溶媒>
本発明のインクジェット用インクは、溶媒を含有することが好ましい。溶媒としては、各成分の溶解性や後述する溶媒の沸点を満足すれば基本的に特に限定されないが、特に後述するバインダーの溶解性、塗布性、安全性を考慮して選ばれることが好ましい。溶媒の具体例としては、水や、エステル類、例えば、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、アルキルエステル類、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチルなど;3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチルなどの3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類、例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチルなど;2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピルなどの2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類、例えば、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチルなど;ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチルなど;エーテル類、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなど;ケトン類、例えば、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノンなど;芳香族炭化水素類、例えば、キシレンなど;ジシクロヘキシルメチルアミンなどの有機溶剤などが好適に挙げられる。これらは1種または2種以上を併用して使用しても構わない。
【0233】
本発明のインクジェット用インク中の該溶媒の含有量は、インク全量に対して、30〜90質量%が好ましく、50〜90質量%がさらに好ましい。30質量%以上であると1画素内に打滴されるインク量が保たれ、画素内でのインクの濡れ広がりが良好である。また、90質量%以下であると、インク中の機能膜(例えば画素など)を形成するための溶媒以外の成分量を所定量以上に保つことができる。これより、カラーフィルタを形成する場合には、1画素当たりのインク必要量が多くなり過ぎることがなく、例えば隔壁で区画された凹部にインクジェット法でインクを付与する場合に、凹部からのインク溢れや隣の画素との混色の発生を抑制することができる。
【0234】
本発明のインクジェット用インクは、ノズルに対するインクの吐出性および基板に対する濡れ性の点で、上述した溶媒のうち、沸点の高い溶媒を含有していることが好ましい。沸点の低い溶媒は、インクジェットヘッド上でもすばやく蒸発するため、ヘッド上でのインクの粘度上昇や固形分の析出等を容易に引き起こし、吐出性の悪化を伴う場合が多い。また、インクが基板面に着弾し、基板面上を濡れ拡がる場合も、濡れ拡がりの縁の部分において溶媒が蒸発することでインクの粘度上昇が起こり、ピニング(PINNING)という現象により、濡れ拡がりが抑えられる場合がある。
【0235】
本発明で用いられる溶媒の沸点は、130〜280℃であることが好ましい。130℃より低いと、面内の画素の形状の均一性の点で好ましくない場合がある。280℃より高いと、プリベークによる溶媒除去の点で好ましくない場合がある。なお、溶媒の沸点は、圧力1atmのもとでの沸点を意味し、化合物辞典(Chapman & Hall 社)などの物性値表により知ることができる。これらは1種または2種以上を併用してもよい。
【0236】
なお、上述のインクジェット用インクが後述する重合性モノマーなどを含まない場合、インクに含まれる溶媒を除去して得られるインク残部(色画素)の厚みが薄くなるため、混色などの防止目的で基板上に形成された隔壁の高さを低くすることができ、コスト・生産性の面から好ましい。
【0237】
<重合性モノマー>
本発明のインクジェット用インクは、重合性モノマーを含んでいてもよい。重合性モノマーの添加により、インク液滴と基板との密着性が向上する。併せて、上述した染料のインク中での分散均一性の向上や、耐候性・耐熱性などの堅牢性の向上が期待できる。この重合性モノマーとしては、特に制限は無いが、各種置換基のバリエーションが多く、入手が容易な点で、(メタ)アクリル系モノマー、エポキシ系モノマー、およびオキセタニル系モノマーから選択される1種以上を含有することが好ましい。
【0238】
重合性モノマーとしては、重合性基を2つ以上有するモノマー(以下、「2官能以上のモノマー」ともいう)が好ましい。重合性モノマーとしては、活性エネルギー線および/または熱により重合反応可能であれば特に限定されるものではないが、膜の強度や耐溶剤性などの点から、重合性基を3つ以上有するモノマー(以下、「3官能以上のモノマー」ともいう)がより好ましい。
【0239】
上述した重合性基の種類としては、特に制限はないが、上記の通り、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、エポキシ基、オキセタニル基が特に好ましい。重合性モノマーの具体例としては、特開2001−350012号公報の段落番号[0061]〜[0065]に記載のエポキシ基含有モノマー、特開2002−371216号公報の段落番号[0016]に記載のアクリレートモノマーおよびメタクリレートモノマー、特開2001−220526号公報、特開2001−310937号公報、特開2003−341217号公報の段落番号[0021]〜[0084]および特開2004−91556号公報の段落番号[0022]〜[0058]などに記載のオキセタニル基含有モノマー、並びに、シーエムシー出版「反応性モノマーの市場展望」に記載のモノマーなどが挙げられる。
【0240】
また、(メタ)アクリル系モノマーであるアクリレートモノマーおよびメタクリレートモノマーとしては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、などの単官能のアクリレートやメタアクリレートや、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレートなどのアクリレートまたはメタクリレートや、グリセリンやトリメチロールエタンなどの多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化して得られるトリメチロールプロパンPO(プロピレンオキサイド)変性トリ(メタ)アクリレートやトリメチロールプロパンEO(エチレンオキサイド)変性トリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、特公昭48−41708号、特公昭50−6034号、特開昭51−37193号の各公報に記載のウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号の各公報に記載のポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類などの多官能のアクリレートやメタアクリレート、およびこれらの混合物を挙げることができる。またさらに、日本接着協会誌Vol.20、No.7、300〜308頁に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものが挙げられる。単官能モノマー、2官能モノマー、3官能以上の多官能モノマー、オリゴマーを適宜組み合わせて粘度を調整することが好ましい。単官能モノマーや2官能モノマーを併用すると、インクの粘度が低下し、ノズル詰まりを防止できる効果が得られる。膜の強度を補ったり、基板との密着を付与するために、25℃での粘度が700mPa・s以上の高粘度の多官能モノマーやウレタンアクリレートなどの高極性モノマー、オリゴマーなどを少量併用しても構わない。
【0241】
上述した重合性モノマーの含有量は、インクジェット用インクの固形分中の30〜80量%が好ましく、40〜80質量%がより好ましく。モノマーの使用量が上記範囲内であれば、画素部の重合が十分となるため、画素部の膜強度の不足に起因する傷の発生が起こりにくくなる。さらには、透明導電膜を付与する際にクラックやレチキュレーションが発生しにくくなったり、配向膜を設ける際の耐溶剤性が向上したり、電圧保持率を低下させない等の効果が得られる。ここで、配合割合を特定するためのインクジェット用インクの固形分とは、溶剤を除く全ての成分を含み、液状の重合性モノマーなども固形分に含まれる。
【0242】
<バインダー樹脂>
本発明のインクジェット用インクには、粘度の調整やインク硬度の調整などの目的で、バインダー樹脂を入れてもよい。バインダー樹脂としては、それ自体は重合反応性のない樹脂のみから構成されるような単に乾燥固化するバインダー樹脂を用いてもよい。しかしながら、塗工膜に十分な強度、耐久性、密着性を付与するためには、インクジェット法により基板上に画素のパターンを形成後、該画素を重合反応により硬化させることのできるバインダー樹脂を用いるのが好ましく、例えば、可視光線、紫外線、電子線等により重合硬化させることができる光硬化性のバインダー樹脂や、加熱により重合硬化させることができる熱硬化性のバインダー樹脂のような、重合硬化可能なバインダー樹脂を用いることができる。
【0243】
<重合開始剤>
本発明のインクジェット用インクは、重合性モノマーおよびバインダー樹脂の重合反応を促進する目的で、重合開始剤を併用してもよい。重合開始剤は、インクジェット用インクに用いる重合性モノマーおよびバインダーの種類、重合経路にあわせて選択することができる。重合開始剤としては、例えば、特許出願2007−303656号明細書の段落番号[0086]〜[0117]に記載される重合開始剤を用いてもよい。
【0244】
重合開始剤の含有量は、インクジェット用インク中の全固形分に対して、0.01〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜30質量%である。含有量が上述の範囲内であると、より良好な感度と強固な硬化部を形成することができる。また、上記、酸を発生させる化合物は1種または2種以上を混合して使用することができる。
【0245】
<硬化剤>
エポキシ系モノマー(エポキシ基含有モノマー)、熱硬化性バインダー樹脂には、通常、硬化剤を組み合わせて配合することができる。硬化剤としては、エポキシ樹脂技術協会発行の「総説エポキシ樹脂基礎編I」2003年11月19日発行、第3章に記載の硬化剤、促進剤を好適に用いることができ、例えば、多価カルボン酸無水物または多価カルボン酸を用いることができる。
【0246】
<界面活性剤>
本発明のインクジェット用インクには、さらに界面活性剤を用いてもよい。界面活性剤の例として、特開平7−216276号公報の段落番号[0021]や、特開2003−337424号公報、特開平11−133600号公報に開示されている界面活性剤が、好適なものとして挙げられる。界面活性剤の含有量は、インクジェット用インク全量に対して5質量%以下が好ましい。
【0247】
その他の添加剤としては、特開2000−310706号公報の段落番号[0058]〜[0071]に記載のその他の添加剤が挙げられる。
【0248】
本発明に係るインクジェット用インクの各成分の含有量としては、一般式(1)で表される染料の含有量は1〜30質量%が好ましく、溶媒の含有量は30〜90質量%が好ましく、重合性モノマーの含有量は5〜50質量%が好ましく、7〜30質量%がより好ましく、界面活性剤の含有量が0.1〜5質量%が好ましい。
【0249】
<インクジェット用インクの製造方法>
本発明のインクジェット用インクの製造には、公知のインクジェット用インクの製造方法を適用することが可能である。例えば、溶媒中に一般式(1)で表される染料を溶解した後、インクジェット用インクに必要な各成分(例えば重合性モノマーや他の染料など)を溶解させてインクジェット用インクを調製することができる。
【0250】
<インクジェット用インクの物性値>
本発明のインクジェット用インクの物性値としては、インクジェットヘッドで吐出可能な範囲であれば特に限定されないが、吐出時における粘度は安定吐出観点から、2〜30mPa・sであることが好ましく、2〜20mPa・sがより好ましく。また、装置で吐出する際には、インクジェットインクの温度を20〜80℃の範囲でほぼ一定温度に保持することが好ましい。装置の温度を高温に設定すると、インクの粘度が低下し、より高粘度のインクを吐出可能となるが、温度が高くなることにより、熱によるインクの変性や熱重合反応がヘッド内で発生したり、インクを吐出するノズル表面で溶剤が蒸発しやすくなり、ノズル詰まりが起こりやすくなるため、装置の温度は20〜80℃の範囲が好ましい。
【0251】
なお、粘度は、25℃にインクジェット用インクを保持した状態で、一般に用いられるE型粘度計(例えば、東機産業(株)製E型粘度計(RE−80L)を用いることにより測定される値である。
【0252】
また、インクジェット用インクの25℃の表面張力(静的表面張力)としては、非浸透性の基板に対する濡れ性を向上、吐出安定性の点で、20〜40mN/mが好ましく、20〜35mN/mがより好ましい。また、装置で吐出する際には、インクジェット用インクの温度を20〜80℃の範囲で略一定温度に保持することが好ましく、そのときの表面張力を20〜40mN/mとすることが好ましい。インクジェット用インクの温度を所定精度で一定に保持するためには、インク温度検出手段と、インク加熱または冷却手段と、検出されたインク温度に応じて加熱または冷却を制御する制御手段とを備えていることが好ましい。あるいは、インク温度に応じてインクを吐出させる手段への印加エネルギーを制御することにより、インク物性変化に対する影響を軽減する手段を有することも好適である。
【0253】
上述の表面張力は、一般的に用いられる表面張力計(例えば、協和界面科学(株)製、表面張力計FACE SURFACE TENSIOMETER CBVB−A3など)を用いて、ウィルヘルミー法で液温25℃、60%RHにて測定される値である。
【0254】
また、インクジェット用インクが基板着弾後に濡れ拡がる形状を適正に保つためには、基板に着弾後のインクジェット用インクの液物性を所定に保持することが好ましい。このためには、基板および/または基板の近傍を所定温度範囲内に保持することが好ましい。あるいは、基板を支持する台の熱容量を大きくするなどにより、温度変化の影響を低減することも有効である。
【0255】
<カラーフィルタおよびその製造方法>
次に、図面に示す好適実施形態を参照して、本発明のインクジェット用インクを用いたカラーフィルタおよびその製造方法について詳細に説明する。
本発明のカラーフィルタは、本発明のインクジェット用インクを用いてインクジェット法により形成された色画素を備えることを特徴とするものであり、すなわち、本発明のインクジェット用インクを用いてインクジェット法により製造されたことを特徴とするものである。また、本発明のカラーフィルタの製造方法は、基板上に形成された隔壁により囲まれた凹部に、本発明のインクジェット用インクをインクジェット法により付与して画素を形成する工程(以下、「画素形成工程」という)を有することを特徴とする。好ましくは、画素形成工程は、基板上の隔壁により区画された凹部にインクジェット法により液滴としてインクを付与する描画工程と、さらに、描画された少なくとも1色の画素(凹部内のインク)を活性エネルギー線の照射により硬化して色画素を形成する照射工程や、所望の色相の画素(凹部内のインク)の全てを形成した後に熱により硬化して色画素を形成する加熱工程を含む硬化工程を有し、必要に応じてベーク処理などの他の工程を設けて構成することができる。
【0256】
図1は、本発明のカラーフィルタの製造方法の一実施形態における製造工程を示すフローチャートであり、図2(a)〜(f)は、本発明のカラーフィルタの製造方法における基板からカラーフィルタに至る製造工程順に示す基板およびカラーフィルタの模式的断面図である。
図1および図2(a)〜(f)に示すように、本発明のカラーフィルタ10の製造方法は、基板12にブラックマトリックス(BM)となる隔壁(バンク)14を形成する隔壁形成工程S102(図2(b)参照)と、隔壁14に撥液性(撥インク性)を付与する撥液処理工程S104と、隣接する隔壁14間の凹部16に、本発明のインクジェット用インク18をインクジェット法により付与して色画素20を形成する画素形成工程S106(図2(c)〜(e)参照)と、形成された色画素20を保護する保護膜22を形成してカラーフィルタ10を製造する保護膜形成工程S108(図2(f)参照)とを有する。
【0257】
また、画素形成工程S106は、上述したように、隔壁14間の凹部16にインク18をインクジェット法により液滴として吐出して付与する描画工程S110(図2(c)参照)と、凹部16に付与されたインク18を乾燥させてインク18内の溶剤を除去してインク残部18aとする予備処理工程S112(図2(d)参照)と、基板12上の凹部16内のインク残部18aに活性エネルギー線を照射する照射工程および/またはインク残部18aを加熱する加熱工程によりインク残部18aを重合して硬化させ、色画素20を形成する硬化工程S114(図2(e)参照)とを有する。
なお、隔壁14は、画素形成工程S106の前の隔壁形成工程S102において、予め基板12上に形成されたものであり、隔壁14の隔壁形成工程S102およびその形成方法の詳細については後述し、まず始めに、画素形成工程S106について説明する。
【0258】
<画素形成工程>
図2(c)〜(e)に示すように、画素形成工程S106では、描画工程S110において、隔壁(色離隔壁)14間の凹部16に、本発明のインクジェット用インク18の液滴をインクジェット法で付与して、硬化工程S114で付与されたインク18を硬化して画素20を形成する。この画素20は、カラーフィルタ10を構成する赤色(R)、緑色(G)、青色(B)などの色画素となるものである。本発明で使用されるインクジェット法および描画工程S110の詳細については後述する。本発明のインクジェット用インクを用いることにより、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の色画素を有するカラーフィルタ10を製造することができる。なお、カラーフィルタの基板12としては、特に限定されず、ガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板を用いることができる。
【0259】
描画工程S110において用いられるインクジェット方式としては、特に限定されず、帯電したインクジェットインクを連続的に噴射し電場によって制御する方法、圧電素子を用いて間欠的にインクジェットインクを噴射する方法、インクジェットインクを加熱してその発泡を利用して間欠的に噴射する方法等の、各種の方法を採用できる。
使用されるインクジェットヘッドとしては、コンティニュアス型やオンデマンド型のピエゾ方式、サーマル方式、ソリッド方式、静電吸引方式等の種々の方式のインクジェットヘッド(吐出ヘッド)を用いることができ、オンデマンド型の種々の方式のインクジェットヘッドを用いることが好ましく、特に、オンデマンド型のピエゾ方式のインクジェットヘッドを用いることが好ましい。また、インクジェットヘッドの吐出部(ノズル)は、単列配置に限定されず、複数列としても千鳥格子状に配置としてもよい。
さらに、ヘッドは、インクの温度が管理できるように温調機能を持つものが好ましい。射出時の粘度は、5〜25mPa・sとなるように射出温度を設定し、粘度の変動幅が±5%以内になるようにインク温度を制御することが好ましい。また、駆動周波数としては、1〜500kHzで稼動することが好ましい。ノズルの形状は、必ずしも円形である必要はなく、楕円形、矩形等の形状に制限されるものではない。ノズル径は、10〜100μmの範囲であることが好ましい。なお、ノズルの開口部自身は必ずしも真円とは限らないが、その場合、ノズル径は該開口部の面積と同等の円で表したときの径とする。
【0260】
本発明のインクジェット用インクを用いて製造するカラーフィルタとしては、単色のカラーフィルタのみならず、イエロー(Y)とマゼンタ(M)とでなる赤色(R)の色画素、イエロー(Y)とシアン(C)とでなる緑色(G)の色画素、マゼンタ(M)とシアン(C)とでなる青色(B)の色画素を有する3色のカラーフィルタや、さらに、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の色画素を有する4〜6色の色画素を有するカラーフィルタなどが挙げられる。
【0261】
一般式(1)で表される染料は、Dyeの構造により種々の色のインクジェット用インクに用いることができる。例えば、青色(B)のインクジェット用インクとして、Dyeが一般式(4)、一般式(5)、一般式(6)または一般式(7)から水素原子を除いた色素残基である一般式(1)で表される染料を含むインクジェット用インクが好適に用いられる。
赤色(R)のインクジェット用インクとして、Dyeが一般式(3−a)〜一般式(3−f)のいずれかから水素原子を除いた色素残基である、一般式(1)で表される染料を含むインクジェット用インクが好適に用いられる。
緑色(G)のインクジェット用インクとして、Dyeが一般式(3−a)〜一般式(3−f)のいずれかから水素原子を除いた色素残基である一般式(1)で表される染料、および/またはDyeが一般式(2)から水素原子を除いた色素残基である一般式(1)で表される染料を含むインクジェット用インクが好適に用いられる。
【0262】
マゼンタ(M)とこれ以外の他色の色画素を有するカラーフィルタを形成するためのそれぞれの着色用インクとしては、公知のものを使用することができる。例えば、マゼンタ色調インクの場合は、カップリング成分(以降、カプラー成分と呼ぶ)として、フェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラジンのようなヘテロ環類、開鎖型活性メチレン化合物類などを有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカプラー成分として開鎖型活性メチレン化合物類などを有するアゾメチン染料;アントラピリドン染料(例えばUS2004/0239739A1明細書記載のTable 1中のNo.20の化合物や、国際公開第04/104108号パンフレット記載の化合物(13)など)などを含んだインクを挙げることができる。
【0263】
イエロー色調用インクとしては、例えば、カプラー成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロンやピリドン等のような複素環類、開鎖型活性メチレン化合物類、などを有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えば、カプラー成分として開鎖型活性メチレン化合物類などを有するアゾメチン染料;例えば、ベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;例えば、ナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料などがあり、これ以外の染料種としてはキノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料などを含んだインクを挙げることができる。
【0264】
シアン色調用染料としては、例えば、カプラー成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類などを有するアリールまたはヘテリルアゾ染料;例えば、カプラー成分としてフェノール類、ナフトール類、ピロロトリアゾールのような複素環類などを有するアゾメチン染料;シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料などのようなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料などのようなカルボニウム染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染料;インジゴ・チオインジゴ染料などを含んだインクを挙げることができる。
【0265】
カラーフィルタパターンの形状については、特に限定はなく、ブラックマトリックス形状として一般的なストライプ状であっても、格子状であっても、さらにはデルタ配列状であってもよい。
【0266】
本発明においては、図2(c)に示すように、描画工程S110において基板12上の凹部16にインク18の液滴を付与してインク18の層を形成した後、図2(d)に示すように、予備処理工程S112でインク18内に含まれる有機溶剤を乾燥して除去してインク残部18aとした後に、図2(e)に示すように、このインク残部18aに活性エネルギー線を照射する照射工程(以下、第1の硬化工程ともいう)および/またはインク残部を加熱する加熱工程(以下、第2の硬化工程ともいう)からなる硬化工程S114によりインク残部18aを重合して画素20を形成してもよい。また、インク残部の熱重合が開始する温度をT℃としたときに、予備処理工程S112において、T℃未満の温度で予備加熱(以下、予備加熱工程ともいう)を行ってインク18内に含まれる有機溶剤を強制的に乾燥させて除去してインク残部18aとした後に、インク残部18aに活性エネルギー線を照射する照射工程および/またはインク残部18aをT℃以上の温度で加熱する加熱工程によりインク残部18aを重合して硬化させて、画素20を形成してもよい。
【0267】
<第1の硬化工程>
描画工程S110で形成された少なくとも1色の画素形成のための凹部16内のインク残部(以下、未硬化画素インクという)18aに活性エネルギー線を照射して硬化する工程(第1の硬化工程)を設けることができる。第1の硬化工程では、赤色(R)、緑色(G)、および青色(B)を含む各色のインクを硬化させることにより、硬化した画素20を形成することができる。硬化は、1色の未硬化画素インク18aを形成するごとに行ってもよいし、複数色または全色の未硬化画素インク18aを形成した後に行うようにしてもよい。
【0268】
第1の硬化工程において、1色または複数色毎に凹部16内のインク、すなわち未硬化画素インク18aを硬化させる場合、硬化させる順序は、特に制限的ではなく、どのような順序でも良い。
また、R,G,Bなどのインクの硬化は、インクの持つ感光波長に対応する波長領域の活性エネルギー線を発するエネルギー源を用いて重合硬化を促進する露光処理を施すことにより行うことができる。
【0269】
エネルギー源としては、例えば、400〜200nmの紫外線、遠紫外線、g線、h線、i線、KrFエキシマレーザ光、ArFエキシマレーザ光、電子線、X線、分子線、またはイオンビームなど、既述の重合開始剤が感応するものを適宜選択して用いることができる。具体的には、250〜450nm、好ましくは365±20nmの波長領域に属する活性光線を発する光源、例えば、LD、LED(発光ダイオード)、蛍光灯、低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、キセノンランプ、ケミカルランプなどを用いて好適に行うことができる。好ましい光源には、LED、高圧水銀灯、メタルハライドランプが挙げられる。
【0270】
活性エネルギー線の照射時間としては、モノマーと重合開始剤との組合せに応じて適宜設定することができるが、例えば、1〜30秒とすることができる。
【0271】
<第2の硬化工程>
本発明のカラーフィルタの製造方法においては、赤色(R)、緑色(G)、および青色(B)など所望の色相の未硬化画素インク18aを、熱により硬化する工程(第2の硬化工程)を設けることができる。上記のように、第1の硬化工程を設けると共に第2の硬化工程を設けることによって、カラーフィルタ10の製造効率と表示特性とを両立させことができる。また、第2の硬化工程のみで硬化させてもよい。
【0272】
本第2の硬化工程では、隔壁および所望の色相からなる未硬化画素インクを形成し、第1の硬化工程を行った後に、さらに加熱処理(いわゆるベーク処理)を行って、熱による硬化を施すことができる。すなわち、隔壁および光照射により光重合した画素が形成されている基板を、電気炉、乾燥器などに入れて加熱する、あるいは赤外線ランプを照射して加熱することができる。
【0273】
このときの加熱温度および加熱時間は、インクジェット用インクの組成や画素の厚みに依存するが、一般に充分な耐溶剤性、耐アルカリ性、および紫外線吸光度を確保する観点から、約120℃〜約250℃で約10分〜約120分間加熱することが好ましい。
【0274】
また、本発明のインクジェット用インクを用いたカラーフィルタの製造方法では、活性エネルギー線の露光および/または熱処理による画素形成用凹部(未硬化画素)内のインクの重合を行う前に、予備処理工程S112として、予備加熱工程を設けても良い。予備加熱工程における加熱温度は特に制限は無いが、未硬化画素インクの熱重合が開始する温度をT℃とした場合に、T℃未満であり、未硬化画素インクの重合が起きない温度が好ましく、50〜100℃がより好ましく、60〜90℃がさらに好ましい。本予備加熱工程を入れることで、インクジェット法により付与されたインク中の有機溶剤の蒸発が促進され、カラーフィルタを効率的に作製することができる上に、インク残部の粘度が熱により低下するため、より高い流動性が得られ、高い平坦性の画素を有するカラーフィルタを得ることが可能になる。
【0275】
上記予備加熱工程は、本発明のごときインク残部が流動性を有するインクであれば、画素内が熱によって重合するインクのみならず、光によって重合するインクにおいても有効である。光によって重合するインクの場合、上述のインクが熱重合を開始する温度Tは、熱によって光重合開始剤などが分解して重合反応が開始する温度または、モノマー自体が熱によって分解し、重合反応が開始する温度を意味する。予備加熱工程の時間は特に制限が無いが、1〜5分間行うことが好ましい。
【0276】
温度Tは、以下のようにして求めることができる。インクを加熱し、加熱によりインクの重合が開始し、インクのゲル化などが観察される温度をTとする。より具体的には、加熱前のインク粘度に対して、加熱後のインク粘度の上昇が5mPa・s以上の場合の加熱温度をTとする。
【0277】
本発明のインクを用いたカラーフィルタの製造方法においては、描画工程S110から予備加熱工程(S112)および第1の硬化工程と第2の硬化工程とからなる硬化工程(S114)までの画素形成工程S106を、24時間以内で行う事が好ましく、12時間以内で行う事がより好ましく、6時間以内に行う事がさらに好ましい。描画工程S110から、最終の硬化工程(第2の硬化工程)S114までの画素の形成を24時間以内で行うことにより、画素の面状を向上させることができる。
なお、本発明のカラーフィルタの製造方法においては、画素形成工程S106、すなわち描画工程S110から予備加熱工程(S112)、第1の硬化工程および第2の硬化工程(S114)までを、1色毎に行っても良いし、複数色毎に行っても良いし、または描画工程S110で全色について描画を行い、予備加熱工程(S112)による予備加熱、硬化工程S114による硬化を全色について行っても良い。また、画素形成工程S106を1色または複数色毎に行う場合、形成する画素の色の順序は、特に制限的ではなく、どのような色の順序でも良い。
【0278】
<隔壁形成工程>
本発明のカラーフィルタの製造方法では、上述した画素形成工程S106において、図2(c)〜(e)に示すように、基板12上に形成された隔壁14により囲まれた凹部16に、インクジェット法により本発明のインクジェット用インク18の液滴を付与して画素20が形成される。
この隔壁14は、特に制限的ではなく、公知の隔壁を用いることができ、どの様なものでもよいが、カラーフィルタを作製する場合は、ブラックマトリクスの機能を持った遮光性を有する隔壁であることが好ましい。
そのため、図1に示す例では、隔壁形成工程S102において、図2(b)に示すように、図2(a)に示す基板12上に、このようなブラックマトリクスの機能を持つ遮光性のある隔壁14を形成する。
【0279】
なお、この隔壁14は、公知のカラーフィルタ用ブラックマトリクスと同様の素材を用い、同様の公知の方法により作製することができる。例えば、特開2007−193090号公報の段落番号[0108]〜[0126]や、特開2005−3861号公報の段落番号[0021]〜[0074]や、特開2004−240039号公報の段落番号[0012]〜[0021]に記載のブラックマトリクス(いわゆる樹脂ブラックマトリックス)や、特開2006−17980号公報の段落番号[0015]〜[0020]や、特開2006−10875号公報の段落番号[0009]〜[0044]に記載のインクジェット用ブラックマトリクスなどが挙げられる。また、隔壁14は、ブラックマトリクス機能と隔壁機能とを別々に持つ層からなる2層構造であっても良い。例えば、特開2004−361491号公報の段落番号[0054]〜[0057]や、特開2004−295039号公報の段落番号[0067]〜[0069]や、特開2006−86128号公報の段落番号[0068]〜[0069]、[0103]、[0109]〜[0110]に記載の金属遮光膜とその上に形成された樹脂製、好ましくは、撥液性の樹脂製の隔壁(バンク)層とからなる2層構造であっても良い。
本発明法では、上述した公知の作製方法の中でも、コスト削減の観点から感光性樹脂転写材料を用いることが好ましい。感光性樹脂転写材料は、仮支持体上に少なくとも遮光性を有する樹脂層を設けたものであり、基板に圧着して、遮光性を有する樹脂層を基板に転写することができる。
【0280】
感光性樹脂転写材料は、特開平5−72724号公報に記載されている感光性樹脂転写材料、すなわち一体型となったフイルムを用いて形成することが好ましい。該一体型フイルムの構成の例としては、仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/感光性樹脂層(本発明において「感光性樹脂層」とは光照射により硬化しうる樹脂をいい、それが遮光性を有するときには「遮光性を有する樹脂層」ともいい、目的の色に着色されているときには「着色樹脂層」ともいう。)/保護フイルムを、この順に積層した構成が挙げられる。感光性樹脂転写材料を構成する仮支持体、熱可塑性樹脂層、中間層、保護フィルムや、転写材料の作製方法については、特開2005−3861号公報の段落番号[0023]〜[0066]や特開2007−193090号公報の段落番号[0108]〜[0126]に記載のものが好適なものとして挙げられる。
【0281】
また、このような隔壁14は、インクジェット用インクの混色を防ぐために、撥インク処理を施してもよい。
このため、図1に示す例では、隔壁形成工程S102の後、撥液処理工程S104において、図2(b)に示す基板12上の隔壁14に、撥液処理、すなわち撥インク処理を施す。
なお、このような撥インク処理としては、例えば、特開2007−187884号公報の段落番号[0086]〜[0087]に記載された撥インク処理方法、具体的には、(1)撥インク性物質を隔壁に練りこむ方法(例えば、特開2005−36160号公報参照)、(2)撥インク層を新たに設ける方法(例えば、特開平5−241011号公報参照)、(3)プラズマ処理により撥インク性を付与する方法(例えば、特開2002−62420号公報参照)、(4)隔壁の壁上面に撥インク材料を塗布する方法(例えば、特開平10−123500号公報参照)、などが挙げられ、特に(3)基板上に形成された隔壁にプラズマによる撥インク化処理を施す方法が好ましい。
【0282】
これらの他、本発明法に適用可能な撥インク処理方法として、特開2004−361491号公報の段落番号[0058]に記載された撥インク処理方法(例えば、特開平9−203803号公報、特開平9−230129号公報および特開平9−230127号公報参照)や、特開2006−86128号公報の段落番号[0074]〜[0075]、[0111]〜[0118]、[0130]に記載された撥インク処理方法などを挙げることができる。
なお、上述した例では、基板12上の隔壁14に撥インク処理を施しているが、本発明はこれに限定されず、同時に基板12上の凹部16内に親インク処理を施しても良い。
なお、隔壁14が撥インク性を備えている場合には、撥液処理工程S104は不要であるが、その場合においても、基板12上の凹部16内に親インク処理を施しても良い。
【0283】
図2(e)に示すように、基板12上に隔壁14および画素20を形成して、カラーフィルタ10を作製した後には、耐性向上の目的で、図2(f)に示すように、画素20および隔壁の14の全面を覆うように保護層としてオーバーコート層22を形成することができる。オーバーコート層22は、R,G,Bなどの画素20および隔壁14を保護すると共に表面を平坦にすることができる。但し、工程数が増える点からは設けないことが好ましい。オーバーコート層22は、樹脂(OC剤)を用いて構成することができ、樹脂(OC剤)としては、アクリル系樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物、ポリイミド樹脂組成物などが挙げられる。中でも、可視光領域での透明性で優れており、インクジェット用インクの樹脂成分が通常アクリル系樹脂を主成分としており、密着性に優れることから、アクリル系樹脂組成物が望ましい。オーバーコート層の例として、特開2003−287618号公報の段落番号[0018]〜[0028]に記載のものや、オーバーコート剤の市販品として、JSR社製のオプトマーSS6699Gが挙げられる。
【0284】
本発明のカラーフィルタは、さらに透明導電膜として、酸化インジウムスズ(ITO)層を有していてもよい。ITO層の形成方法としては、例えば、インライン低温スパッタ法や、インライン高温スパッタ法、バッチ式低温スパッタ法、バッチ式高温スパッタ法、真空蒸着法、およびプラズマCVD法などが挙げられ、特にカラーフィルタに対するダメージを少なくするため、低温スパッタ法が好ましく用いられる。
【0285】
本発明のカラーフィルタは、例えば、液晶ディスプレイ、テレビ、パーソナルコンピュータ、液晶プロジェクタ、ゲーム機、携帯電話などの携帯端末、デジタルカメラ、カーナビなどの画像表示、特にカラー画像表示の用途に特に制限なく好適に適用できる。
また、本発明のカラーフィルタは、電子ペーパや有機EL素子デバイスなどの画像表示デバイス、特にカラー画像表示デバイスにも適用可能である。
【0286】
以上、本発明のインクジェット用インク、カラーフィルタおよびその製造方法、ならびにそれを用いる液晶ディスプレイおよび画像表示デバイスついて、種々の実施形態や実施例を挙げて詳細に説明したが、本発明は、上記実施例や実施形態には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんのことである。
【実施例】
【0287】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、機器、操作等は本発明の範囲から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特に断りのない限り「%」および「部」は、「質量%」および「質量部」を表し、分子量とは重量平均分子量のことを示す。
【0288】
(隔壁形成用の濃色組成物の調製)
濃色組成物K1は、まず表1に記載の量のK顔料分散物1、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150rpmで10分間攪拌し、さらに攪拌しながら、表1に記載の量のメチルエチルケトン、バインダー2、ハイドロキノンモノメチルエーテル、DPHA液、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ビスジエトキシカルボニルメチル)アミノ−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジン、界面活性剤1をはかり取り、温度25℃(±2℃)でこの順に添加して、温度40℃(±2℃)で150rpmで30分間攪拌することによって得られた。なお、表1に記載の量は質量部であり、詳しくは以下の組成となっている。
【0289】
<K顔料分散物1>
・カーボンブラック(デグッサ社製 Nipex35) 13.1%
・分散剤(下記化合物1) 0.65%
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比
のランダム共重合物、分子量3.7万) 6.72%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 79.53%
【0290】
【化64】

【0291】
<バインダー2>
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=78/22モル比
のランダム共重合物、分子量3.8万) 27%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 73%
【0292】
<DPHA液>
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(重合禁止剤MEHQ 500ppm含有、日本化薬(株)製、商品名:KAYARAD
DPHA) 76%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 24%
【0293】
<界面活性剤1>
・下記構造物1 30%
・メチルエチルケトン 70%
【0294】
【化65】

【0295】
【表1】

【0296】
(隔壁の形成)
無アルカリガラス基板を、UV洗浄装置で洗浄後、洗浄剤を用いてブラシ洗浄し、更に超純水で超音波洗浄した。基板を120℃3分熱処理して表面状態を安定化させた。
基板を冷却し23℃に温調後、スリット状ノズルを有すガラス基板用コーター(エフ・エー・エス・アジア社製、商品名:MH−1600)にて、上述のように調製した濃色組成物K1を塗布した。引き続きVCD(真空乾燥装置、東京応化工業社製)で30秒間、溶媒の一部を乾燥して塗布層の流動性を無くした後、120℃3分間プリベークして膜厚2.3μmの濃色組成物層K1を得た。
超高圧水銀灯を有すプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング株式会社製)で、基板とマスク(画像パターンを有す石英露光マスク)を垂直に立てた状態で、露光マスク面と濃色感光層K1の間の距離を200μmに設定し、窒素雰囲気下、露光量300mJ/cmで隔壁幅20μm、スペース幅100μmにパターン露光した。
【0297】
次に、純水をシャワーノズルにて噴霧して、濃色組成物層K1の表面を均一に湿らせた後、KOH系現像液(ノニオン界面活性剤含有、商品名:CDK−1、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製を100倍希釈したもの)を23℃80秒、フラットノズル圧力0.04MPaでシャワー現像しパターニング画像を得た。引き続き、超純水を、超高圧洗浄ノズルにて9.8MPaの圧力で噴射して残渣除去を行い、大気下にて露光量2500mJ/cmにて基板の濃色組成物層K1が形成された面側からポスト露光を行って、オーブンにて240℃で50分加熱し、膜厚2.0μm、光学濃度4.0、100μm幅の開口部を有するストライプ状の隔壁を得た。
【0298】
(撥インク化プラズマ処理)
隔壁を形成した基板に、カソードカップリング方式平行平板型プラズマ処理装置を用いて、以下の条件にて撥インク化プラズマ処理を行った。
使用ガス :CF
ガス流量 :80sccm
圧力 :40Pa
RFパワー:50W
処理時間 :30sec
【0299】
<特定染料I−20Mの合成>
以下の化合物I−20(2.0g)をN,N−ジメチルアセトアミド50mLに溶解させた。さらに、ジターシャリーペンチルハイドロキノン4mg、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド0.2g(和光純薬製)、グリシジルメタクリレート0.60g(東京化成製)を添加し、窒素気流下、80℃、2時間反応させた。反応終了後、テトラヒドロフラン/蒸留水で抽出を行い、テトラヒドロフラン層を抽出、シリカゲルカラムで精製した。その後、真空乾燥を行い、特定染料I−20Mを得た。
【0300】
【化66】

【0301】
【化67】

【0302】
<他の染料の合成>
特定染料I−20Mと同様の合成方法により、化合物d−4、化合物c−20、化合物A−13、化合物M−30、化合物I−22、および化合物IIIa―3を原料にして、特定染料d−4M、特定染料c−20M,特定染料A−13M、特定染料M−30M、特定染料I−22M、および特定染料IIIa−3Mを合成した。なお、化合物d−4は、上述の一般式(3−d)で表される例示構造の化合物に該当する。化合物c−20は、上述の一般式(3−c)で表される例示構造の化合物に該当する。化合物A−13は、上述の一般式(2)で表される例示構造の化合物に該当する。化合物M−30、化合物I−22、および化合物IIIa―3は、それぞれ以下に示す化合物である。
【0303】
【化68】

【0304】
【化69】

【0305】
【化70】

【0306】
【化71】

【0307】
【化72】

【0308】
【化73】

【0309】
【化74】

【0310】
【化75】

【0311】
【化76】

【0312】
<赤色(R)用インク>の調製法
下記の成分を混合し、1時間撹拌した。その後、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過して赤色用インク液(R実施例1〜3、R比較例1〜R比較例2、および実施例R−1〜R−6、比較例RC−1〜RC−4)を調製した。
【0313】
用いた素材の詳細を以下に示す。
<有機溶剤>
・シクロヘキサノン(和光純薬社製)
・ベンジルアルコール(和光純薬製)
・ジエチレングリコールモノメチルエーテル(和光純薬製)
<重合性モノマー>
・DPCA−60(日本化薬社製(KAYARAD DPCA−60))
:カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
・DPHA(日本化薬社製(KAYARAD DPHA)
:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
・AD−TMP(新中村化学社製(NKエステルAD−TMP)
:ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート
<界面活性剤>
・KF−353(信越シリコーン社製):ポリエーテル変性シリコーンオイル
・F781−F(大日本インキ化学工業製(メガファックF781F))
<特定染料:一般式(1)で表される染料>
・M−1M
・Y−1M
・Y−2M
・Y−3M
<一般染料:一般式(1)以外の染料>
・M−1(上記化合物I−20に該当)
・Y−1(例示化合物d−4に該当)
・Y−2
・Y−3
【0314】
R用特定染料
【化77】

【0315】
R用一般染料
【化78】


【0316】
【化79】

【0317】
【化80】

【0318】
【表2】

【0319】
【表3】

【0320】
<緑色(G)用インク>の調製法
下記の成分を混合し、1時間撹拌した。その後、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過して緑色用インク液(G実施例1〜3、G比較例1〜2、および実施例G−1〜G−6、比較例GC−1〜GC−4)を調製した。
【0321】
用いた素材の詳細を以下に示す。有機溶剤、モノマー、界面活性剤は、上記赤色(R)用インクの調製に使用した各材料と同じ材料を使用した。
<有機溶剤>
・DCHMA:ジシクロヘキシルメチルアミン
<特定染料>
・C−1M(例示化合物A−13Mに該当)
・Y−4M(例示化合物c−20Mに該当)
・Y−5M(特開2005−250420記載例示化合物Y−67に該当)
・Y−6M
<一般染料>
・C−1(例示化合物A−13に該当)
・Y−4(例示化合物c−20に該当)
・Y−5
・Y−6
【0322】
G用特定染料
【化81】

【0323】
G用一般染料
【化82】

【0324】
【化83】

【0325】
【化84】

【0326】
【表4】

【0327】
【表5】

【0328】
<青色(B)用インク>の調製法
下記の成分を混合し、1時間撹拌した。その後、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過して青色用インク液(B実施例1〜3、B比較例1〜2、および実施例B−1〜B−6、比較例BC−1〜BC−4)を調製した。
【0329】
用いた素材の詳細を以下に示す。有機溶剤、モノマー、界面活性剤は、上記赤色(R)用インクの調製に使用した各材料と同じ材料を使用した。
<特定染料>
・C−3M
・M−2M(例示化合物M−30Mに該当)
・M−3M(例示化合物I−22Mに該当)
・M−4M(例示化合物IIIa−3Mに該当)
・M−5M
<一般染料>
・C−2
・C−3
・M−2(例示化合物M−30に該当)
・M−3(例示化合物I−22に該当)
・M−4(例示化合物IIIa−3に該当)
・M−5
【0330】
B用特定染料
【化85】

【0331】
B用一般染料
【化86】

【0332】
【化87】

【0333】
【化88】

【0334】
【表6】

【0335】
【表7】

【0336】
(粘度、表面張力の測定)
得られたインクを25℃に調温したまま、東機産業(株)製E型粘度計(RE−80L)を用いて以下の条件で測定した。
(測定条件)
・使用ロータ:1° 34’×R24
・測定時間 :2分間
・測定温度 :25℃
【0337】
得られたインクを25℃に調温したまま、協和界面科学(株)製表面張力計(FACE SURFACE TENSIOMETER CBVB−A3)を用いて測定した。
【0338】
<インクジェット方式による画素部の形成>
次に上述のR実施例1、G実施例1、B実施例1に記載のインクを用いて、上記で得られた基板の隔壁で区分された領域内(凸部で囲まれた凹部)に、Dimatix社製インクジェットヘッド(SE−128、ヘッド温度28℃)により所望の濃度になるまでインクの吐出を行い、100℃ホットプレートで2分乾燥させた。さらに220℃オーブン中で30分ベークすることで隔壁、画素ともに完全に硬化させ、R、G、Bのパターンからなるカラーフィルタを作製した。なお、他のR実施例2〜3、G実施例2〜3、B実施例2〜4のそれぞれのインクについても、同様の方法により、それらインクを用いてカラーフィルタを作製した。
【0339】
<耐薬品性評価方法>
上述の各色インクをガラス基板上に上記インクジェット法あるいはスピンコート法によってベタ膜を形成して、カラーフィルタ形成と同じようにプリベーク(予備加熱)(温度100℃、2分)、ポストベーク(後加熱)(温度220℃、30分)を行い、膜厚2um(μm)を形成した。
この各色インクがコートされたガラス基板を、評価を行う薬品(2−ブタノン、エタノール、5%硫酸水溶液、5%水酸化ナトリウム水溶液)中に20分間浸し、その前後の色相を測定した。色相の測定は、UV−560(日本分光社製)を用い、評価前後ΔEab<5を後述評価結果一覧の○の定義とした。ΔEabが5以上15未満を△と、ΔEabが15以上を×とした。結果を以下の表8,9に示す。なお、ΔEabは、CIE1976(L*,a*,b*)空間表色系による以下の色差公式から求められる値である(日本色彩学会編 新編色彩科学ハンドブック(昭和60年)p.266)。
ΔEab={(ΔL)2+(Δa)2+(Δb)21/2
【0340】
<耐熱性評価方法>
上述の各色インクをガラス基板上に上記インクジェット法あるいはスピンコート法によってベタ膜を形成して、カラーフィルタ形成と同じようにプリベーク(予備加熱)(温度100℃、2分)、ポストベーク(後加熱)(温度220℃、30分)を行い、膜厚2um(μm)を形成した。
この各色インクがコートされたガラス基板を、230℃に加熱したオーブン内に入れ、1時間放置した後、色相を測定した。色相の測定は、UV−560(日本分光社製)を用い、評価前後のΔEab<5を後述評価結果一覧の○の定義とした。ΔEabが5以上15未満を△と、ΔEabが15以上を×とした。結果を以下の表8および表9に示す。
【0341】
【表8】

【0342】
【表9】

【0343】
上記結果に示すように本願に係るインクジェットインクを用いて作製した着色膜は、各種溶媒に対して優れた耐性、および耐熱性を示すことがわかった。
例えば、重合性基を持つ特定染料d−4Mを使用したR実施例1と、重合性基を持たない染料d−4(一般式(A)で表される化合物)を使用したR比較例1とでは、使用した染料の種類のみが異なり、両者を比較すると、R実施例1においてより優れた耐熱性および耐薬品性を示すことがわかった。その他の場合、例えば、染料のみが異なるR実施例2とR比較例2を比較した場合でも、R実施例2でより優れた効果が得られていることがわかった。
【符号の説明】
【0344】
10 カラーフィルタ
12 基板
14 隔壁
16 凹部
18 インク
18a 未硬化画素インク
20 画素
22 保護膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の一般式(1)で表される染料、溶媒および重合性モノマーを含有するインクジェット用インク。
【化1】


(一般式(1)中、Pは重合性基を表す。Lは、2価の連結基または単なる結合手を表す。Dyeは、一般式(2)、一般式(3−a)、一般式(3−b)、一般式(3−c)、一般式(3−d)、一般式(3−e)、一般式(3−f)、一般式(4)、一般式(5)、一般式(6)または一般式(7)のいずれかで表される染料からn個の水素原子を除いた色素残基を表す。nは、1〜8の整数を表す。)
【化2】


(一般式(2)中、R〜Rは、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。w、x、y、およびzは、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。ただし、w,x、y、およびzの総和(w+x+y+z)は0ではない。Z〜Zは、それぞれ独立に、炭素原子、窒素原子から選ばれる原子群で、結合している2個の炭素原子と共に構成される5員環または6員環を形成する原子群を表す。Mは金属原子、または金属酸化物を表す。)
【化3】


(一般式(3−a)中、R30は水素原子または置換基を表す。R31は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、またはカルバモイル基を表す。X30は、−OM基、または−N(R32)(R33)を表し、Mは、水素原子、アルキル基、または、電荷を中和する為に必要な金属原子若しくは有機塩基対を表し、R32およびR33は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、またはカルバモイル基を表す。A30は、アリール基、または芳香族ヘテロ環基を表す。)
【化4】


(一般式(3−b)中、R34は水素原子または置換基を表す。R35は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、またはカルバモイル基を表す。Z30およびZ31は、それぞれ独立に、−C(R36)=または−N=を表し、R36は水素原子または置換基を表す。A31は、アリール基または芳香族ヘテロ環基を表す。)
【化5】


(一般式(3−c)中、R37、R38、R39およびR40は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、またはアリールスルホニル基を表す。Z32、Z33およびZ34は、それぞれ独立に、−C(R41)=または−N=を表す。R41は、水素原子または置換基を表す。A32は、アリール基または芳香族ヘテロ環基を表す。)
【化6】


(一般式(3−d)中、R42は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。R43およびR44は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。A33は、アリール基または芳香族ヘテロ環基を表す。)
【化7】


(一般式(3−e)中、R45、R46、およびR47は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。aおよびbは、それぞれ独立に0〜4の整数を表す。)
【化8】


(一般式(3−f)中、R48およびR49は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。R50は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、またはアリール基を表す。R51は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、またはアリールスルホニル基を表す。Z35、Z36、Z37、およびZ38は、それぞれ独立に、−C(R52)=または−N=を表し、R52は水素原子または置換基を表す。)
【化9】


(一般式(4)中、R11〜R16はそれぞれ独立に、水素原子、または置換基を表す。R17は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。)
【化10】


(一般式(5)中、R11〜R16はそれぞれ独立に、水素原子、または置換基を表す。R17は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。Maは、金属原子または金属化合物を表す。Xは、Maの電荷を中和する為に必要な基を表し、Xは、Maに結合可能な基を表す。XとXは、互いに結合して5員、6員、または7員の環を形成していてもよい。)
【化11】


(一般式(6)中、R21〜R26は、それぞれ独立に、水素原子、または置換基を表す。R27は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。XおよびYは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、水酸基、アルキルチオ基、アリールチオ基、またはヘテロ環チオ基を表す。)
【化12】


(一般式(7)中、ZaおよびZbは、それぞれ独立に、−N=または−C(R)=を表す。R〜RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。RとR、RとR、RとR、RとR、および/またはRとRとが互いに結合して、それぞれ独立に、5員環、6員環、または7員環を形成してもよい。)
【請求項2】
前記一般式(1)中のPが、エポキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、およびメタクリロイルアミド基からなる群から選択されるいずれかである請求項1に記載のインクジェット用インク。
【請求項3】
界面活性剤をさらに含有する請求項1または2に記載のインクジェット用インク。
【請求項4】
25℃における粘度が2〜30mPa・sである請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット用インク。
【請求項5】
25℃における表面張力が20〜40mN/mである請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット用インク。
【請求項6】
基板上に形成された隔壁により区画された凹部にインクジェット法により請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット用インクの液滴を付与してカラーフィルタの色画素を形成する画素形成工程を有するカラーフィルタの製造方法。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット用インクを用いてインクジェット法により製造されるカラーフィルタ。
【請求項8】
請求項7に記載のカラーフィルタを備える液晶ディスプレイ。
【請求項9】
請求項7に記載のカラーフィルタを備える画像表示デバイス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2010−37545(P2010−37545A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−154380(P2009−154380)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】