説明

インクジェット用インク組成物

【課題】吐出安定性に優れ、かつUV照射による乾燥性に優れ、高速印刷可能なインクジェット用インク組成物を提供する。
【解決手段】表面処理顔料と、水と、1,2−アルカンジオールと、紫外線硬化性樹脂エマルジョンと、を含むインクジェット用インク組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット用インク組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
水系顔料インクは、インク中に揮発成分を含まず安全性や環境問題の観点から優れているが、上質紙や普通紙に印字した場合に滲みが発生し易く、また、印刷本紙に印字した場合に乾燥が不十分で高速印刷が困難である、という問題がある。
具体的には、水系インクを、記録媒体に印字した場合に、水系インク中の水が記録媒体へ吸収されるため、記録紙の繊維が膨潤し記録媒体の印刷面の全面が変形するカール現象や、記録媒体が波打ち変形するコックリング現象が見られる。
【0003】
水系紫外線硬化型インクの例としては、例えば、特許文献1(特開2007−182513)は、色材と、水と、活性エネルギー線反応性化合物と、特定式で表される化合物と、を含有するインクを開示している。
【0004】
【特許文献1】特開2007−182513号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来提案されている水系紫外線硬化型インクについても、上質紙や普通紙に対して浸透し易いため、上記カールないしコックリングの問題が依然としてあり、高い印字濃度を得ることが困難である、という問題がある。さらに、ヘッドの目詰まり等の吐出安定性についての問題もある。
また、依然として、UV照射による硬化性(定着性)が十分でない、という問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、(1)表面処理顔料と、水と、1,2−アルカンジオールと、紫外線硬化性樹脂エマルジョンと、を含むインクジェット用インク組成物;
(2)前記紫外線硬化性樹脂エマルジョンは、光ラジカル重合性のポリウレタンアクリレートのエマルジョンである、前記(1)記載のインクジェット用インク組成物;
(3)前記1,2−アルカンジオールは、1,2−ヘキサンジオールである、前記(1)又は(2)に記載のインクジェット用インク組成物;
(4)前記(1)〜(3)の何れかに記載のインクジェット用インク組成物を印刷メディアに印刷後紫外線を照射して印刷物を得るインクジェット印刷方法;
(5)前記(1)〜(3)の何れかに記載のインクジェット用インク組成物を印刷メディアに印刷後紫外線を照射して得た印刷物;
(6)前記印刷メディアが吸収性メディアである前記(5)記載の印刷物;を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、吐出安定性に優れ、かつUV照射による乾燥性に優れ、高速印刷可能なインクジェット用インク組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、本発明の実施の形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。
【0009】
本発明のインクジェット用インク組成物は、表面処理顔料と、水と、1,2−アルカンジオールと、紫外線硬化性樹脂エマルジョンと、を含む。
【0010】
前記表面処理顔料は、顔料の表面にカルボキシル基およびその塩が直接結合するような表面処理により、分散剤なしに水に分散および/または溶解が可能とされたものである。具体的には、真空プラズマなどの物理的処理や次亜塩素酸ナトリウムやオゾン等の酸化剤を用いた化学的処理により、官能基または官能基を含んだ分子を顔料の表面にグラフトさせることによって得ることができる。一つの顔料粒子にグラフトされる官能基は単一でも複数種であってもよい。グラフトされる官能基の種類およびその程度は、インク中での分散安定性、色濃度、およびインクジェットヘッド前面での乾燥性等を考慮しながら適宜決定されてよい。
【0011】
前記顔料としては、インクジェット用水性顔料インクに通常用いられているものは特に制限無く用いることができ、例えば、アゾ顔料(例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等を含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック等の有機顔料;カーボンブラック(例えば、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等)、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等の無機顔料;シリカ、炭酸カルシウム、タルク等の体質顔料等を用いることができる。具体的には、例えば、C.I.ピグメントイエロー74、93、109、110、128、138、150、151、154、155、180、185;C.I.ピグメントレッド122、202、209;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.ピグメントブルー15:3、15:4、60;C.I.ピグメントグリーン7(フタロシアニングリーン)、10(グリーンゴールド)、36、37;C.I.ピグメントブラウン3、5、25、26;C.I.ピグメントオレンジ1、2、5、7、13、14、15、16、34、36、38等が挙げられる。
【0012】
前記顔料は、顔料粒子表面に親水性基を化学反応を利用して導入した自己分散型の表面処理顔料を水に分散させて得られる顔料分散液としてインクに添加されることが好ましい。
【0013】
前記水(主溶媒としての水)としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。
【0014】
前記紫外線硬化性樹脂エマルジョンは、光ラジカル重合性のポリウレタンアクリレートのエマルジョンであることが好ましい。
「光ラジカル重合性」とは、紫外線を照射することで、光重合開始剤が活性なラジカルを生成し、紫外線硬化性樹脂をアタックすることで反応が進行することを意味する。反応は一般的に下記のように表される。
【化1】

【0015】
前記インクジェット用インク組成物の使用例としては、インク組成物を記録媒体上に着弾させた後、紫外線を照射することによって記録を行う。こうすることで、紫外線硬化樹脂エマルジョンを含有していない水系インクと比べて、乾燥が速く、十分な印刷特性が瞬時に得られることから、高速印刷が可能となる。また一般的な紫外線硬化型インク組成物には、紫外線硬化型モノマーが用いられているが、紫外線硬化型モノマーは印刷本紙、上質紙、普通紙といった吸収性のあるメディアに対しては浸透してしまい、印字後、紫外線照射しても紙内部に未反応物が残存してしまう。紫外線硬化型モノマーは皮膚刺激性があり、未反応のままメディア中に残存した場合、印刷物の取り扱いにおいて安全性に問題が生じる。それに対し、モノマーよりも分子量の大きいオリゴマー、ポリマーであれば紙表面に紫外線硬化化合物を残すことができ、印字後、紫外線照射することで未反応物のない印字物を得ることができると考えられる。さらに紫外線硬化樹脂を水中にエマルジョン化することでより安全性の高いインク組成物が得られる。
【0016】
前記ポリウレタンアクリレートは、ウレタン系モノマーとアクリレート系モノマーとの共重合体である。
前記ポリウレタンアクリレートは、一般的にポリイソシアネート成分とポリオール成分と水酸基含有(メタ)アクリレート化合物とのウレタン化反応にて合成される。
【0017】
前記ポリイソシアネートとしては、例えば、メチレンジフェニルジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートの水素化物、ヘキサメチレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネートの多量体、ジアニシジンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリイソシアネートフェニルチオホスフェート、リジンジイソシアネートメチルエステル、リジントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、イソプロピリデンビス−4−シクロヘキシルイソシアネート、トリレンジイソシアネートの2量体、メチルシクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。
【0018】
前記ポリオールとしては、例えば、脂肪族又は脂環式ジヒドロキシ、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、オリゴエチレングリコール、チオジグリコール、1,2−プロピレンオキシドから調整されるジグリコール又はポリグリコール、プロピレングリコール、ジブチレングリコール、トリブチレングリコール、及びテトラブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジ−、トリ−及びテトラへキシレンエーテルグリコール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、3−メチル1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセロール、並びに以上の化合物と、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドとの反応生成物、又は芳香族ジオール、例えばp−キシレングリコール等が挙げられる。
【0019】
前記水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシブチルフタレート等が挙げられる。
【0020】
前記紫外線硬化性樹脂エマルジョンは、前記ポリウレタンアクリレートを水中にエマルジョン化したものであり、自己乳化型エマルジョンである。市販品として、荒川化学社製のビームセットEM−90、ビームセットEM−92等がある。
【0021】
本発明のインク組成物は、光重合開始剤を含む。
前記光重合開始剤の例としては、Irgacure 2959、754、500、127、184、369、379、1700、1800、1850、1870、819、Darocur 1173、TPO、(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)の商品名で入手可能な光ラジカル重合開始剤が挙げられる。特に水系タイプのIrgacure2959、754、500が好ましく用いられる。
【0022】
前記インク組成物は、浸透性溶剤として、1,2−アルカンジオールに加えて、アセチレングリコール、グリコールエーテル、等を含んでいてもよい。1,2−アルカンジオールを用いることにより印刷本紙に印字したときに、他の浸透性溶剤を用いたときよりも印字物の凝集ムラを低減させることができる。特に1,2−ヘキサンジオールにおいてかかる効果は顕著である。
【0023】
前記アセチレングリコールとして市販されている市販品を利用することも可能であり、具体例としては、サーフィノール104、82、465、485、104PG50及びTG(いずれも商品名、Air Products and Chemicals. Inc.より入手可能)、並びにオルフィンSTG及びオルフィンE1010(以上商品名、日信化学社製)、が挙げられる。
【0024】
前記グリコールエーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等が挙げられる。
【0025】
前記1,2−アルカンジオールとしては、例えば、1,2−ペンタンジオール、及び1,2−ヘキサンジオールなどが挙げられる。これらの他に1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール等の直鎖炭化水素のジオール類を挙げることができ、これらから適宜選択して本発明のインク組成物に用いることができる。
【0026】
前記インク組成物は、さらに湿潤剤を含んでいてもよい。本発明に用いられる湿潤剤としては、この種のインク組成物に用いられるものは特に制限無く使用できる。特に、インク組成物に保水性と湿潤性を付与する観点から、沸点が180℃以上、好ましくは200℃以上の高沸点湿潤剤を用いることが好ましい。高沸点湿潤剤の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタメチレングリコール、トリメチレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、トリプロピレングリコール、分子量2000以下のポリエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、グリセリン、メソエリスリトール、ペンタエリスリトール等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。インク組成物に高沸点湿潤剤を添加することにより、開放状態(室温でインクが空気に触れている状態)で放置しても、流動性と再分散性とを長時間維持できるインクジェット用インクを得ることができる。さらに、このようなインク組成物は、インクジェットプリンタを用いての印字中もしくは印字中断後の再起動時に、インクジェットノズルの目詰まりが生じにくくなるため、インクジェットノズルからの高い吐出安定性を有するインク組成物が得られる。
【0027】
また前記湿潤剤として糖又は糖アルコールを用いることで、印字した時のカール及びコックリングの発生を低減させることができる。
前記糖としては、例えば、単糖類 、二糖類 、オリゴ糖(三糖類 及び四糖類 を含む)及び多糖類 が挙げられ、好ましくはグルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトース、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等が挙げられる。
前記糖アルコールとしては、例えば、トレイトール、エリスリトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、リキシトール、ソルビトール(グルシトール)、マンニトール、イジトール、グリトール、タリトール、ガラクチトール、アリトール、アルトリトール、マルチトール、イソマルチトール、ラクチトール、ツラニトール等が好適である。
【0028】
本発明のインク組成物は顔料と、水と、浸透性溶剤と、湿潤剤と、紫外線硬化性樹脂エマルジョンと、光重合開始剤と、を混合することによって得ることができる。一般的な紫外線硬化型インク組成物には、紫外線硬化型モノマーが用いられているが、紫外線硬化型モノマーは印刷本紙、上質紙、普通紙といった吸収性のあるメディアに対しては浸透してしまい、印字後、紫外線照射しても紙内部に未反応物が残存してしまう。紫外線硬化型モノマーは皮膚刺激性があり、未反応のままメディア中に残存した場合、印刷物の取り扱いにおいて安全性に問題が生じる。それに対し、モノマーよりも分子量の大きいオリゴマー、ポリマーであれば紙表面に紫外線硬化化合物を残すことができ、印字後、紫外線照射することで未反応物のない印字物を得ることができると考えられる。さらに紫外線硬化樹脂を水中にエマルジョン化することでより安全性の高いインク組成物が得られる。
【0029】
水系インクを、記録媒体に印字した場合に、水系インク中の水が記録媒体へ吸収されるため、記録紙の繊維が膨潤し記録媒体の印刷面の全面が変形するカール現象や、記録媒体が波打ち変形するコックリング現象が見られる。カール及びコックリングの発生メカニズムは十分解明されていないが、次のように推測される。水系インク中の水が記録紙に浸透すると、記録紙のセルロース繊維間の水素結合が切れる。次に乾燥により水が除去されると、切れた水素結合は再結合するが、その時、最初に結合していた場所と同じ場所で結合が生じればよいが、異なる場所で結合が生じた場合、セルロース繊維の伸縮が発生し、それにより、カール及びコックリングが発生すると考えられる。これに対してインク組成物中に前記糖又は糖アルコールを含有させると、前記糖又は糖アルコールの水酸基がセルロースと結合しやすく、水がセルロース繊維と接触する量を低減させることができるのでカール及びコックリングを低減させることができると考える。
【実施例】
【0030】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0031】
表1に示す配合にて、インク組成物を調製した。
【0032】
【表1】

【0033】
上記のようにして調製した実施例1及び参考例のインク組成物を、プリンターPXV630を用いて、印字モードを普通紙、色補正なしにして、文字とベタのパターンを印字した。
また、上記のようにして調製した実施例1、実施例2、比較例1、比較例2のインク組成物を、プリンターPXV630を用いて、印字モードを普通紙、色補正なしにして、メディアとしてOKトップコート+127.9g/m2を用い、文字とベタのパターンを印字した。
印字後UV照射(アイグラフィックス社製UV照射機ECS−151U)し、印字表面を指で擦り、膜の硬化性を評価した。
【0034】
評価基準は以下のとおりとした。
○:文字部、ベタ部共に擦れ跡なし
△:ベタ部は擦れ跡あるが、文字部は擦れ跡なし
×:文字部、ベタ部共に擦れ跡あり
その結果を表2、表3に示す。
【0035】
【表2】

【0036】
【表3】

【0037】
表2に示すように、参考例では、光重合開始剤ありのインク組成物で硬化したときと同等以上のUV積算照射量を照射しても、べとつきが見られたことから、実施例1のインク組成物はUV照射により硬化したことが確認された。
【0038】
表3に示すように、実施例1、2のインク組成物は、硬化が可能であり定着性及び吐出安定性に優れるのに対して、比較例1、2のインク組成物は吐出不良により硬化実験はできなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面処理顔料と、水と、1,2−アルカンジオールと、紫外線硬化性樹脂エマルジョンと、を含むインクジェット用インク組成物。
【請求項2】
前記紫外線硬化性樹脂エマルジョンは、光ラジカル重合性のポリウレタンアクリレートのエマルジョンである、請求項1記載のインクジェット用インク組成物。
【請求項3】
前記1,2−アルカンジオールは、1,2−ヘキサンジオールである、請求項1又は2に記載のインクジェット用インク組成物。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載のインクジェット用インク組成物を印刷メディアに印刷後紫外線を照射して印刷物を得るインクジェット印刷方法。
【請求項5】
請求項1〜3の何れかに記載のインクジェット用インク組成物を印刷メディアに印刷後紫外線を照射して得た印刷物。
【請求項6】
前記印刷メディアが吸収性メディアである請求項5記載の印刷物。

【公開番号】特開2009−227797(P2009−227797A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−74056(P2008−74056)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】