説明

インクジェット記録ヘッド及びインクジェット記録装置

【課題】圧電素子を駆動する駆動回路部材を小型化しても、駆動回路部材に信頼性の高い配線を行うことができるインクジェット記録ヘッド及びインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】インクジェット記録ヘッド1は、共通液室基板105の上面にダンパー106が配置されており、ダンパー106の上面にはダンパーフレーム107が配置されている。ダンパーフレーム107の上面には補強プレート4が配置されている。補強プレート4の上面には配線回路部材108を介して駆動回路部材109が配置されている。駆動回路部材109の上面には、インクを吐出する圧電素子110に接続する配線部材113の一端が圧着される。ここで補強プレート4は、ダンパーフレーム107に全体的に支持され、且つ、配線部材113の一端が駆動回路部材109に圧着されるときにかかる圧着力に耐えるように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録ヘッド及びインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、インクジェットプリンタ等のインクジェット記録装置は、圧電素子を用いてインク滴を用紙等の記録媒体に吐出するインクジェット記録ヘッドを備えているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなインクジェット記録ヘッドの一例を図5に示して説明する。図5のインクジェット記録ヘッド101は4列一体型であり、ヘッド本体120と、ハウジング130とを備えている。ヘッド本体120は、下から上に順に積層されたノズル基板102、液室基板103、液体供給基板104、共通液室基板105、ダンパー106、ダンパーフレーム107と、配線回路部材108、駆動回路部材109、圧電素子110を備えている。
【0004】
ノズル基板102には複数のノズル孔102aが形成されている。液室基板103は、ノズル基板102の上面に配置されている、この液室基板103には、複数の加圧液室103aが形成されている。各加圧液室103aは各ノズル孔102aと連通しており、その上壁は振動板111で形成されている。各加圧液室103aの一方の側壁103bにはインク供給口103cが形成されている。この側壁103bには、インク供給口103cと加圧液室103aとを連通する連通口(図示せず)が形成されている。また、液室基板103の中央部分には、各加圧液室103a,103a間に電極112が設置されている。この電極112には電極パッド112aが設けられている。
【0005】
液体供給基板104は、液室基板103の上面に配置されている。この液体供給基板104には、振動板111と対応する位置に凹部104aが形成されている。この凹部104aには圧電素子110が振動板111に載置した状態で配置されており、電極112に接続されている。また、液体供給基板104には、液室基板103のインク供給口103cと連通するようにしてインク供給口104cが形成されている。さらに液体供給基板104には、電極112、112と対応する位置に、配線部材113、113を通すための挿通穴104d、104dが形成されている。
【0006】
共通液室基板105は液体供給基板104の上面に配置されている。この共通液室基板105には、複数の貫通穴105cが形成されている。各貫通穴105cは、液体供給基板104の各インク供給口104cと連通している。また、共通液室基板105には、液体供給基板104の挿通穴104d、104dと対応する位置に、配線部材113、113を通すための挿通穴105d、105dが形成されている。
【0007】
ダンパー106は、共通液室基板105の上面に各貫通穴105cを塞いで配置されている。これにより共通液室基板105の内部には、複数の共通液室105aが形成されている。各共通液室105aはインクを蓄える部分である。一方、ダンパー106は、各共通液室105a内に蓄えられたインクの振動を緩和するものである。また、ダンパー106には、共通液室基板105の挿通穴105d、105dと対応する位置に、配線部材113、113を通すための挿通穴106d、106dが形成されており、また共通液室105aに連通してインクの供給口(図示せず)が形成されている。
【0008】
ダンパーフレーム107はダンパー106の上面に配置されている。このダンパーフレーム107には、各共通液室105aと対応する位置に貫通穴107cが形成されている。また、ダンパーフレーム107には、ダンパー106のインク供給口に連通してインク供給口(図示せず)が形成されている。このインク供給口は、外部のインクカートリッジの供給口(図示せず)に接続されている。
【0009】
配線回路部材108は、ダンパーフレーム107の上面の中央部分に各貫通穴107cを塞ぐようにして配置されている。これによりダンパーフレーム107の中央部分には、ダンパー106の可動空間107aが形成されている。この可動空間107aにより、ダンパー106の動きが阻害されないようになっている。
【0010】
駆動回路部材109は、配線回路部材108の上面に実装されている。この駆動回路部材109の両端側には電極パッド109aが設けられている。この電極パッド109aと、電極112に設けられた電極パッド112aとには配線部材113が圧着され、この配線部材113を介して駆動回路部材109と圧電素子110とが接続されている。
【0011】
ハウジング130は、ヘッド本体120を覆うようにしてダンパーフレーム107の両端側に接合されている。これによりダンパーフレーム107の両端側には、中央部分と同様にダンパー106の可動空間107aが形成されている。また、ハウジング130とヘッド本体120とによって形成された内部空間Sには、配線部材113、113を保護するために封止材200が充填されている。
【0012】
以上のように構成されているインクジェット記録ヘッド101は、インクカートリッジからダンパーフレーム107およびダンパー106のインク供給口を介して共通液室105aにインクが蓄えられる。そして、共通液室105aから液体供給基板104のインク供給口104c、液室基板103のインク供給口103cおよび連通口を介して各加圧液室103aにインクが満たされる。この状態で、インクを吐出させたいノズル孔102aに対応した圧電素子110に接続している電極112に対し、駆動回路部材109から電圧を印加する。すると、圧電素子110が変形して振動板111が加圧液室103a側に変形する。これにより加圧液室103a内の圧力が急激に上昇して加圧液室103aのインクが加圧され、ノズル孔102aからインク滴として用紙等の記録媒体に吐出される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、図5に示すように、製造コスト削減のために駆動回路部材109を小型化すると、配線回路部材108はダンパーフレーム107とダンパー106とを介して共通液室105a、105a間の隔壁105gのみで支持される場合が生じ、駆動回路部材109は不安定に支持された状態となる。
【0014】
このような状態で、図6に示すようにキャピラリー140を用いて駆動回路部材109の電極パッド109aに配線部材113の一端を圧着しようとすると、駆動回路部材109が傾いたり、あるいは変形してしまい十分に圧着できない。その結果、シェア強度が低くなり信頼性の高い配線が出来なくなる。
【0015】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、圧電素子を駆動する駆動回路部材を小型化しても、駆動回路部材に信頼性の高い配線を行うことができるインクジェット記録ヘッド及びインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者等は、鋭意研究の結果、前記課題を解決するために以下のようなインクジェット記録ヘッド及びインクジェット記録装置を採用した。
【0017】
本発明のインクジェット記録ヘッドは、
共通液室基板の上面に、当該共通液室基板の上面に形成された複数の貫通穴を塞いで当該共通液室基板内に複数の共通液室を形成するダンパーが配置され、このダンパーの上面に、各共通液室と対応する貫通穴を有するダンパーフレームが配置され、このダンパーフレームの上面に、当該ダンパーフレームの複数の貫通穴を塞いで当該ダンパーフレーム内に各ダンパーの可動空間を形成する補強プレートが配置され、この補強プレートの上面に配線回路部材を介して駆動回路部材が配置され、この駆動回路部材の上面に、インクを吐出する圧電素子に接続する配線部材の一端が圧着されるインクジェット記録ヘッドであって、
前記補強プレートは、前記ダンパーフレームに全体的に支持され、且つ、前記配線部材の一端が前記駆動回路部材に圧着されるときにかかる圧着力に耐えるように形成されていることを特徴とする。
【0018】
ここで、補強プレートを使用せずに配線回路部材にプリント回路基板を使用し、このプリント回路基板を補強プレートと同様にダンパーフレームに配置するとともに、ダンパーフレームに全体的に支持され、且つ、配線部材の一端が駆動回路部材に圧着されるときにかかる圧着力に耐えるように形成しても良い。
【0019】
また、本発明のインクジェット記録装置は、本発明のインクジェット記録ヘッドを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明のインクジェット記録ヘッドでは、ダンパーフレームの上面に配置される補強プレートやプリント回路基板をダンパーフレームに全体的に支持されるように形成した。このため、これらの部材の上面側に配置される圧電素子の駆動回路部材を小型化しても駆動回路部材はダンパーフレームに安定に支持される。したがって、駆動回路部材に配線部材の一端を圧着するときに駆動回路部材が傾いてしまうことがない。
【0021】
さらに、補強プレートやプリント回路基板は、配線部材の圧着時にかかる圧着力に耐えるように形成されているため、圧着時に補強プレートが変形することもない。したがって駆動回路部材に配線部材を十分に圧着でき、シェア強度の低下が抑えられる。よって、本発明のインクジェット記録ヘッドは、圧電素子の駆動回路部材を小型化しても駆動回路部材に信頼性の高い配線を行うことができる。また、本発明のインクジェット記録装置は、本発明のインクジェット記録ヘッドを具備することにより製造コストを抑えつつインクジェット吐出機能の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施の形態のインクジェット記録装置内の要部の構成を示す概略斜視図である。
【図2】同実施の形態のインクジェット記録ヘッドの断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態のインクジェット記録ヘッドの断面図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態のインクジェット記録ヘッドの断面図である。
【図5】従来のインクジェット記録ヘッドの断面図である。
【図6】図5の駆動回路部材に配線部材の一端を圧着するときの状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0023】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態のインクジェット記録装置10内の要部の構成を示す概略斜視図である。このインクジェット記録装置10には、装置本体11の内部に、印字機構部12等が収納されている。この印字機構部12は、走査方向に移動可能なキャリッジ13にインクカートリッジ14が搭載されており、インクカートリッジ14の下側に本発明のインクジェット記録ヘッドが搭載されている。
【0024】
図2はインクジェット記録ヘッド1の断面図である。このインクジェット記録ヘッド1において、図5で説明した従来のインクジェット記録ヘッド101と同じ部分には同じ符号を付し、異なる部分を中心にして説明する。
【0025】
本実施の形態のインクジェット記録ヘッド1は、ヘッド本体2と、ハウジング3とを備えている。ヘッド本体2は、ノズル基板102、液室基板103、液体供給基板104、共通液室基板105、ダンパー106、ダンパーフレーム107、配線回路部材108、駆動回路部材109、圧電素子110に加えて、補強プレート4を備えている。
【0026】
補強プレート4は、ダンパーフレーム107の上面に各貫通穴107cを塞ぐようにして配置されている。これにより、配線回路部材108は補強プレート4の上面の中央部分に配置されている。また、ハウジング3は、ヘッド本体2を覆うようにしてダンパーフレーム107の両端側に接合されており、ハウジング3とヘッド本体2とによって形成された内部空間Sには封止材200が充填されている。
【0027】
補強プレート4について詳しく説明すると、補強プレート4は、ダンパーフレーム107に全体的に支持されるように形成されている。これにより、ダンパーフレーム107には、ダンパー106の可動空間107aが複数形成されている。
【0028】
また、補強プレート4は、ダンパーフレーム107の挿通穴107d、107dと対応する位置に、配線部材113、113を通すための挿通穴4d、4dが形成されている。さらに、補強プレート4には、ダンパーフレーム107のインク供給口(図示せず)と連通するインク供給口が形成されている。このインク供給口は、上記のインクカートリッジ14の供給口(図示せず)に接続されている。
【0029】
以上のように本実施の形態のインクジェット記録ヘッド1は、ダンパーフレーム107に全体的に支持された補強プレート4の上面に配線回路部材108が配置され、この配線回路部材108の上面に駆動回路部材109が実装されている。つまり、駆動回路部材109は、従来と異なり補強プレート4によってダンパーフレーム107に全体的に支持された状態となる。このため、駆動回路部材109を小型化しても、駆動回路部材109はダンパーフレーム107に安定して支持されることになる。
【0030】
したがって、駆動回路部材109に配線部材113の一端を圧着するときには、駆動回路部材109が傾いてしまうことがない。さらに、補強プレート4は、配線部材113の圧着時にかかる圧着力に耐えるように形成されている。このため、圧着時に補強プレート4が変形することもない。
【0031】
したがって駆動回路部材109に配線部材113を十分に圧着でき、シェア強度の低下が抑えられる。よって、本実施の形態のインクジェット記録ヘッド1は、圧電素子110の駆動回路部材109を小型化しても駆動回路部材109に信頼性の高い配線を行うことができる。
【0032】
なお、このような補強プレート4に使用される材料としては、金属、ガラス、プラスチック等が挙げられる。また、インクジェット記録装置10(図1参照)は、このようなインクジェット記録ヘッド1を具備することにより製造コストを抑えつつインクジェット吐出機能の低下を抑えることができる。また、配線回路部材108には、フレキシブル配線基板を使用することにより、配線設計の自由度が増し、実装作業を簡素化することができる。
【0033】
(第2の実施の形態)
図3は、本発明の第2の実施の形態のインクジェット記録ヘッド51の断面図である。このインクジェット記録ヘッド51において、図5で説明した従来のインクジェット記録ヘッド101と同じ部分には同じ符号を付し、異なる部分を中心にして説明する。
【0034】
本実施の形態のインクジェット記録ヘッド51は、ヘッド本体52と、ハウジング53とを備えている。ヘッド本体52は、ノズル基板102、液室基板103、液体供給基板104、共通液室基板105、ダンパー106、ダンパーフレーム107、配線回路部材108、駆動回路部材109、圧電素子110に加えて、補強プレート54を備えている。
【0035】
この補強プレート54は、第1の実施の形態の補強プレート4に比べて幅が狭く設定されており、ダンパーフレーム107の上面の中央部分に各貫通穴107cを塞ぐようにして配置されている。これにより、ダンパーフレーム107内には、ダンパー106の可動空間107aが複数形成されている。
【0036】
ここで補強プレート54は、ダンパーフレーム107の上面の中央部分に配置されていても全体的に支持されるように形成されている。具体的には、中央部分の挿通穴107dと貫通穴107cとの間の部分107e、107e、双方の貫通穴107c,107cの間の部分107fの3箇所で補強プレート54は支持されている。したがって、駆動回路部材109は、第1の実施の形態と同様に補強プレート54によってダンパーフレーム107に全体的に支持された状態となる。
【0037】
したがって、駆動回路部材109を小型化しても、駆動回路部材109はダンパーフレーム107に安定して支持されるので、駆動回路部材109に配線部材113の一端を圧着するときには、駆動回路部材109が傾いてしまうことがない。
【0038】
さらに、補強プレート54は、第1の実施の形態の補強プレート4と同様に配線部材113の圧着時にかかる圧着力に耐えるように形成されている。このため、圧着時に補強プレート4が変形することもない。
【0039】
したがって、駆動回路部材109に配線部材113を十分に圧着することができ、シェア強度の低下が抑えられる。よって、本実施の形態のインクジェット記録ヘッド1は、圧電素子110の駆動回路部材109を小型化しても駆動回路部材109に信頼性の高い配線を行うことができる。また、インクジェット記録装置10(図1参照)は、このようなインクジェット記録ヘッド51を具備することにより製造コストを抑えつつインクジェット吐出機能の低下を抑えることができる。
【0040】
また、ハウジング53は、ヘッド本体52を覆うようにしてダンパーフレーム107の両端側に接合されている。このときに、ダンパーフレーム107の両側の貫通穴107c、107cは補強プレート54で塞がれていない。このため、ハウジング53の天井壁53aの内側には、天井壁53aおよび側壁53b、53bとでダンパー106の可動空間107aが形成されるように隔壁53c、53cが設けられている。したがって、ハウジング53の天井壁53aおよび隔壁53c、53cとヘッド本体52とで内部空間Sが形成され、この内部空間Sに封止材200が充填されることになる。よって、本実施の形態のインクジェット記録ヘッド51は、第1の実施の形態のインクジェット記録ヘッド1に比べて封止材200の使用量を減らすことができる。
【0041】
(第3の実施の形態)
図4は、本発明の第3の実施の形態のインクジェット記録ヘッド61の断面図である。このインクジェット記録ヘッド61において、図5で説明した従来のインクジェット記録ヘッド101と同じ部分、図3で説明した第2の実施の形態のインクジェット記録ヘッド51と同じ部分には同じ符号を付し、異なる部分を中心にして説明する。
【0042】
本実施の形態のインクジェット記録ヘッド61は、ヘッド本体62と、ハウジング53とを備えている。ヘッド本体62は、ノズル基板102、液室基板103、液体供給基板104、共通液室基板105、ダンパー106、ダンパーフレーム107、配線回路部材68、駆動回路部材109、圧電素子110を備えている。
【0043】
ここで、配線回路部材68にはプリント回路基板が使用されている。さらに、この配線回路部材68は、ダンパーフレーム107の上面の中央部分に各貫通穴107cを塞ぐようにして配置されている。これにより、ダンパーフレーム107内には、ダンパー106の可動空間107aが複数形成されている。
【0044】
さらに、この配線回路部材68はダンパーフレーム107の上面の中央部分に配置されていても全体的に支持されるように形成されている。具体的には、中央部分の挿通穴107dと貫通穴107cとの間の部分107e、107e、双方の貫通穴107c,107cの間の部分107fの3箇所で配線回路部材68は支持されている。したがって、駆動回路部材109は、この配線回路部材68によってダンパーフレーム107に全体的に支持された状態となる。
【0045】
したがって、駆動回路部材109を小型化しても、駆動回路部材109はダンパーフレーム107に安定して支持される。このため、駆動回路部材109に配線部材113の一端を圧着するときには、駆動回路部材109が傾いてしまうことがない。
【0046】
さらに、配線回路部材68にはプリント回路基板を使用したことで、配線部材113の圧着時にかかる圧着力に耐えるように形成されている。このため、圧着時に配線回路部材68が変形することもない。
【0047】
したがって、駆動回路部材109に配線部材113を十分に圧着することができ、シェア強度の低下が抑えられる。よって、本実施の形態のインクジェット記録ヘッド61は、圧電素子110の駆動回路部材109を小型化しても駆動回路部材109に信頼性の高い配線を行うことができる。また、インクジェット記録装置10(図1参照)は、このようなインクジェット記録ヘッド61を具備することにより製造コストを抑えつつインクジェット吐出機能の低下を抑えることができる。
【0048】
さらに、本実施の形態のインクジェット記録ヘッド61では、第1の実施の形態や第2の実施の形態のように補強プレートを使用せずに駆動回路部材109に信頼性の高い配線を行うことができるので、製造コストの低減化を図ることができる。これにより、インクジェット記録装置10の製造コストの低減化も図ることができる。
【0049】
また、ハウジング53は、第2の実施の形態で説明したように、天井壁53aの内側に隔壁53c、53cが設けられているので、天井壁53aおよび隔壁53c、53cとヘッド本体62とによって内部空間Sが形成され、この内部空間Sに封止材200が充填される。よって、本実施の形態のインクジェット記録ヘッド61は、第1の実施の形態のインクジェット記録ヘッド1に比べて封止材200の使用量を減らすことができる。
【0050】
以上、本発明にかかる実施の形態を例示したが、これらの実施の形態は本発明の内容を限定するものではない。また、本発明の請求項の範囲を逸脱しない範囲であれば、各種の変更等は可能である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上説明したように本発明のインクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置は、圧電素子を駆動する駆動回路部材を小型化しても、駆動回路部材に信頼性の高い配線を行うことができる。したがって、本発明は、インクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置の技術分野で十分に利用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 インクジェット記録ヘッド
4 補強プレート
10 インクジェット記録装置
51 インクジェット記録ヘッド
54 補強プレート
61 インクジェット記録ヘッド
68 配線回路部材
105 共通液室基板
105a 共通液室
105c 貫通穴
106 ダンパー
107 ダンパーフレーム
107a 可動空間
107c 貫通穴
108 配線回路部材
109 駆動回路部材
110 圧電素子
113 配線部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0053】
【特許文献1】特開2009−255444号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通液室基板の上面に、当該共通液室基板の上面に形成された複数の貫通穴を塞いで当該共通液室基板内に複数の共通液室を形成するダンパーが配置され、このダンパーの上面に、各共通液室と対応する貫通穴を有するダンパーフレームが配置され、このダンパーフレームの上面に、当該ダンパーフレームの複数の貫通穴を塞いで当該ダンパーフレーム内に各ダンパーの可動空間を形成する補強プレートが配置され、この補強プレートの上面に配線回路部材を介して駆動回路部材が配置され、この駆動回路部材の上面に、インクを吐出する圧電素子に接続する配線部材の一端が圧着されるインクジェット記録ヘッドであって、
前記補強プレートは、前記ダンパーフレームに全体的に支持され、且つ、前記配線部材の一端が前記駆動回路部材に圧着されるときにかかる圧着力に耐えるように形成されていることを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
【請求項2】
共通液室基板の上面に、当該共通液室基板の上面に形成された複数の貫通穴を塞いで当該共通液室基板内に複数の共通液室を形成するダンパーが配置され、このダンパーの上面に、各共通液室と対応する貫通穴を有するダンパーフレームが配置され、このダンパーフレームの上面に、当該ダンパーフレームの複数の貫通穴を塞いで当該ダンパーフレーム内に各ダンパーの可動空間を形成するプリント回路基板が配置され、このプリント回路基板の上面に駆動回路部材が実装され、この駆動回路部材の上面に、インクを吐出する圧電素子に接続する配線部材の一端が圧着されるインクジェット記録ヘッドであって、
前記プリント回路基板は、前記ダンパーフレームに全体的に支持され、且つ、前記配線部材の一端が前記駆動回路部材に圧着されるときにかかる圧着力に耐えるように形成されていることを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のインクジェット記録ヘッドを具備することを特徴とするインクジェット記録装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−125959(P2012−125959A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277571(P2010−277571)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】