説明

インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置

【課題】インクと処理液とを用いて優れた記録品位を得ることができると共に、記録直後の画像定着性の向上および記録媒体のカールや記録面の凹凸を低減可能とするインクジェット記録方法を提供する。
【解決手段】記録ヘッドからは、画像を記録するためのインクと、このインクによる記録特性を向上させるための処理液とが画像データに基づいて記録媒体上に吐出される。記録ヘッドから吐出される処理液は複数種類(S1,S2,S3,S4)あり、その複数種類の処理液の中から記録すべき画像のオブジェクト属性に応じた処理液が選択される。この選択された処理液は記録媒体上に吐出されるインクとの接触位置に吐出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクと処理液とを記録媒体に対して吐出し、文字や画像を形成するインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方式のプリンターは、個人用途だけでなく、公告やポスター、グラフィックプリントなどの商業用印刷用途に幅広く用いられるため、様々な種類の記録媒体に対する記録適性が必要である。この記録適性としては、画像品位、記録物品位、および画像堅牢性などがある。画像品位は発色性、均質性、エッジ部分のシャープネス度合、ブリーディングなどを評価要素とし、記録物品位はインク付与によって記録媒体に生じるカールや記録面の凹凸などを評価要素とし、画像堅牢性は耐擦過性や耐水性或いは耐候性などを評価要素とする。
【0003】
ここで、ブリーディングとは、色の境界部分で異なる色が相互に滲み不均一な状態となる境界部の画像ムラのことである。耐擦過性とは、画像に対する摩擦物(画像に重ねられる他の記録紙の裏面、ラインマーカーなど)との接触により生じる画像の耐汚れ性を意味する。耐水性とは、水や雨、人からの汗など、記録物に接触する可能性のある全般的な液体に対する画像の耐性を意味する。耐候性とは、長期間の保存により空気や光に曝された際の耐画像変色性を意味する。
【0004】
一般に、インクジェット用の水系インクは、色材として染料を使用した染料インクと顔料を使用した顔料インクとに大別される。また、色材以外の成分としては、乾燥や目詰まり防止等の目的で使用される、水を主成分とした水系有機溶剤溶剤や、機能性樹脂や界面活性剤添加剤などにより構成される添加剤がある。
【0005】
顔料インクは、耐水性や耐候性などの画像堅牢性において、染料インクに比べて優れた性質を有している。その一方で、顔料インクは、染料インクに比べて発色性などの画像品位の点で劣っている場合が多く、記録媒体の種類により発色性が影響を受けやすい性質も課題の一つとなっている。
【0006】
顔料インクの画像品位を改善する技術として、特許文献1には塩を含有するカラーインクと、この塩との作用により増粘または凝集するブラック顔料インクとを組合せて使用する2液系の記録方法が提案されている。特許文献2には顔料と樹脂エマルジョンとを含有する顔料インクと多価金属塩を含んだ処理液とを反応させることにより、発色性やブリーディングを改善する2液系の記録方法が開示されている。この特許文献2には、顔料インクの発色性が良好でない普通紙などの記録媒体に対して、記録媒体表面上に顔料インクを凝集させることにより、発色性を主とした画像品位を改善する技術が紹介されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平06−106735号公報
【特許文献2】特開平09−207424号公報
【特許文献3】特開2004−209759公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような2液系のインクジェット記録装置では、画像形成用のインクの他に、処理液や処理液を兼ねるインクが記録媒体に付与されることから、記録媒体に付与される水や溶剤の量がインクのみを使用する場合に比べて多くなる傾向にある。このため2液系の装置では、インクの定着時間が増大し、記録物との接触による画像の劣化や汚れが発生し易くなると共に、記録物のカールや記録面の撓み(凹凸)の発生が顕著になって記録物品位が低下するという課題が生じている。
【0009】
特に、近年のインクジェット記録装置の記録動作は一段と高速化しており、これに伴って記録直後の画像定着性が極めて重要になっている。この画像定着を阻害する主な要因は、インク中に含まれる水や有機溶剤がインク中に残存していることにある。すなわち、記録直後はこれらの溶剤成分がインクドット中に残留してインクが十分に固着していないため、摩擦物の接触により容易に画像の乱れや汚れが生じる。また、排紙後すぐにラインマーカー引きなどを行う場合もあるため、記録後の数分間における画像定着性を高めることも求められている。つまり、ラインマーカー引きでは、記録画像にマーカー液を付着させながらペン先に摺擦されるため、記録直後では尾引きなどの画像乱れが極めて発生しやすい。このような不都合は、先に挙げた反応系のインクシステムにおいても同様に発生する。つまり、凝集した顔料インク成分が記録媒体の表面に十分に定着していないためマーカーペンの接触による画像汚れが発生する。従って、記録直後の画像定着性の向上が従来の2液系のインクジェット記録方式における課題の一つとなっている。
【0010】
本発明は、インクと処理液とを用いて優れた記録品位を得ることができると共に、記録直後の画像定着性の向上および記録媒体のカールや記録面の凹凸を低減可能とするインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は以下の構成を有する。
【0012】
すなわち、本発明の第1の形態は、画像を記録するためのインクと該インクによる記録特性を向上させるための処理液とを、画像データに基づいて記録ヘッドから記録媒体上に吐出させ、前記インクと前記処理液とを前記記録媒体上で接触させるようにしたインクジェット記録方法であって、前記記録ヘッドは複数種類の処理液を吐出可能であり、
記録すべき画像のオブジェクト属性に応じた処理液を前記複数種類の処理液の中から選択し、当該選択した処理液を前記記録媒体上に吐出されるインクとの接触位置に吐出させること特徴とする。
【0013】
また、本発明の第2の形態は、画像を記録するためのインクと該インクによる記録特性を向上させるための処理液とを、画像データに基づいて記録ヘッドから記録媒体上に吐出させ、前記インクと前記処理液とを前記記録媒体上で接触させるようにしたインクジェット記録装置であって、前記記録ヘッドは複数種類の処理液を吐出可能に構成されると共に、
前記記録すべき画像のオブジェクト属性に応じた処理液を前記複数種類の処理液の中から選択する選択手段と、前記選択した処理液を前記記録媒体上に吐出されるインクとの接触位置に吐出させるよう記録ヘッドの吐出動作を制御する制御手段と、が備えられていること特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、インクと処理液とを用いて優れた記録品位を得ることができると共に、記録直後の画像定着性の向上などの画像堅牢性、および記録媒体のカールや記録面の凹凸の発生の低減などの記録物品位を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】記録媒体上において処理液と顔料インクとが接触し、インクドットが定着する状態を模式的に表した概念図である。
【図2】本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置の要部を示す斜視図である。
【図3】記録ヘッドを吐出口側から見た模式図である。
【図4】本実施形態のインクジェット記録装置に備えられる制御系の概略構成を示すブロック図である。
【図5】本実施形態における画像処理部の構成を示す説明図である。
【図6】本実施形態において実施される処理液の2値記録データの生成手順を示すフローチャートである。
【図7】本実施形態における評価用画像の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0017】
本実施形態におけるインクジェット記録方法は、処理液とインクとにより画像形成を行う、いわゆる2液系のインクジェット記録装置を用いた記録方法である。ここで、本発明における処理液とは、先に述べた画像品位や記録物品位、画像堅牢性などの記録適性を向上させるために記録媒体に吐出する液体を指す。
本実施形態では、インクの記録特性を改善する複数種類の処理液を用い、その処理液の中から、入力画像データを構成する画像のオブジェクト属性に応じた処理液を選択し、その選択した処理液を記録媒体上に吐出されるインクとの接触位置に吐出する。ここで、画像のオブジェクト属性とは、記録すべき画像の画像データの種類を表し、文字や線などの細線オブジェクトと、写真やグラフィックなどのイメージオブジェクトを表す。
【0018】
本実施形態における処理液は、記録適性を向上するために、記録媒体上でのインクとの接触によりインクを凝集あるいは増粘(ゲル化)させる特性を有する。以下に、2液系のインクジェット記録装置において、画像のオブジェクト属性に応じて処理液を使い分けることによる効果を説明する。
【0019】
図1は、記録媒体上において処理液と顔料インクとが接触し、インクドットが定着する状態を模式的に表した概念図である。ここで、処理液101には、インクと反応する反応成分114と、水及び溶剤成分103aとが含まれている。また、インクは、色材の顔料粒子111と水及び溶剤103bとを含有している。
【0020】
図1(a)は、記録媒体100の上面に処理液101が着滴した状態を示しており、この段階では、顔料インク102が処理液の上に着滴しておらず、処理液にインクが接触する前の状態を表している。
図1(b)は、記録媒体の上面で処理液101と顔料インク102が接触した直後の状態を表しており、予め処理液を付与してある記録媒体に、顔料インクを付与させて処理液と接触した瞬間を示している。なお、処理液とインクとが接触した瞬間に、処理液に含まれる反応性分114によって顔料インクには分散破壊が誘発され、色材が凝集した粗大粒子111bが発生した状態となっている。
図1(c)は、粗大粒子111bが記録媒体の表層付近に定着111cし、同時に処理液と顔料インクに含まれる溶剤成分103cが固液分離して記録媒体の内部へ浸透している状態を示している。
【0021】
図1に示されるように、記録媒体に着弾した後のインク滴は、処理液とインクとから付与された水と溶剤成分とが残存している状態にある。この水と溶剤成分が、記録媒体内へと吸収されると共に、空気中へと蒸発することにより、インクドットの定着(画像定着)が進行する。インクドットの定着速度が遅くなるほど、記録直後のマーカー引きによる画像汚れは顕著になる。
【0022】
インクと同様に処理液にも水や溶剤成分は多量に含まれるため、処理液を構成する材料成分によってインクの定着速度は変化する。本実施形態では、処理液の水分量や溶剤種による、インクの定着速度について鋭意検討した結果、処理液に含まれる水分量が多いほど定着速度は速くなり、記録直後のマーカー引きによる画像乱れは良化する傾向を見出した。また、処理液に含まれる溶剤成分は、高沸点の水系溶剤を用いるほど定着速度は遅くなることを確認した。
【0023】
次に、記録媒体への水系インクの記録による記録物のカールや記録面の凹凸の発生原理について、インクジェット用の記録媒体として多く用いられる普通紙を例に採り説明する。一般的に普通紙は、紙の主成分であるパルプ繊維が紙表面に剥き出しになっている。吐出されたインク滴はパルプ繊維上に着滴し、インク中の水や溶剤成分はパルプ繊維内部へ直接吸収される。パルプ繊維は水を吸収して膨張し、その後、吸収した水分が蒸発することでパルプ繊維は収縮する。画像が記録される面と反対側の面では、水分の吸収量が異なり伸縮量に差が生じるため、紙のカールや記録面の凹凸が発生する。ここで、紙のカールや記録面の凹凸の大きさは、付与される水分量に大きく影響を受け、水分量が多くなるほどカールや記録面の凹凸は増大する。したがって、インクを多量に記録する写真やグラフィックなどのイメージ画像領域においては記録面の凹凸は増大し、また紙全体に占めるイメージ画像領域が増加するとカールは増大することになる。また、インクの記録量が同じ場合は、インク中に含まれる水分量が多くなるほどカールや記録面の凹凸は増大する。
【0024】
上述のように、処理液には水と溶剤成分が含まれるため、2液系のインクジェット記録方法では、処理液中の水分量が多くなるほどカールや記録面の凹凸は増大する。また、後述する処理液の具体的材料成分に含まれる、カール抑制効果のある水系溶剤を用い、処理液中の水分量を少なくすることで、カールや記録面の凹凸を効率的に抑制することが可能となる。
【0025】
以上の点から、本実施形態における2液系のインクジェット記録方法では、記録直後の画像定着性と、カールや記録面の凹凸などの記録物品位とを同時に向上させるために、異なる種類の処理液を用いる。すなわち、高い耐マーカー性が必要となる文字部や線部については、水分量の多い処理液を用いて画像の記録を行い、また高い耐カール性が必要となるイメージ画像領域については、水分量が少ない処理液を用いる。
【0026】
次に、上記のようなインクジェット記録方法を実現可能なインクジェット記録装置を説明する。なお、本実施形態におけるインクジェット記録装置では、インクとしてブラック、シアン、マゼンダ、イエローの4種類の顔料インクと、前記のインクと反応する処理液として性質の異なる2種類の処理液と、を吐出する場合を例に採り説明する。
【0027】
(インクジェット記録装置の全体構成)
図2は、インクジェット記録装置における要部を示す斜視図である。このインクジェット記録装置は、各色インクの記録ヘッドが一体となった記録ヘッド21を着脱可能に搭載するキャリッジ11を備える。キャリッジ11は、ガイドシャフト6に沿って主走査方向(X方向)に往復移動させるキャリッジモータ12と、キャリッジモータ12の駆動力をキャリッジ11に伝えるベルト5aと、キャリッジ11の位置を光学的に読取るエンコーダセンサ13とを有する。
【0028】
記録ヘッド21は、複数色のインクを吐出可能なインク吐出部21Inと、複数種類の処理液を吐出可能な処理液用吐出部21Sとを有する。各吐出部21In,21Sには、インクおよび処理液を吐出するためのノズルの開口部(吐出口)23が図3に示すように配列されており、各吐出口23から記録媒体1に対してインクや処理液が吐出されることによって記録媒体への画像の記録が行われる。なお、吐出口23の配列については、図3を用いて後に説明する。
【0029】
記録ヘッド21の各吐出部から吐出させるインク及び各処理液は、種類ごとに設けられたインクタンク(不図示)に貯蔵され、それらは、記録ヘッド21内に各インクおよび処理液に対応して設けられた液室に供給チューブ25を介して供給される。なお、液室内に供給されたインクまたは処理液は、液路を構成するノズルを介してその端部に位置する吐出口から吐出される。
【0030】
この他、インクジェット記録装置には、記録ヘッドの吐出性能を維持するために回復装置141が設けられている。この回復装置141には、記録ヘッドの吐出口が形成される吐出口面を覆うことが可能な不図示のキャップと、吐出口面に付着したインクを払拭するブレード143などを備える。なお、キャリッジ11は、記録を行わないときにはキャップ141が設けられているホームポジションに戻って待機し、キャップは吐出口面を覆う。
【0031】
次に、本実施形態に使用する記録ヘッドの構成を説明する。
図3(a)は、記録ヘッド21を吐出口側から見た図である。この記録ヘッド22には、主走査方向(X方向)に沿って複数の吐出口列が配列されている。各吐出口列は、使用するインク数および処理液の種類に対応して設けられている。本実施形態では、インクを吐出する吐出口部21Inが、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエムローインクのそれぞれに対応した4つの吐出口列21K,21C,21M,21Yが設けられている。また、処理液を吐出する処理液吐出部21Sとして、前記インク吐出部21Inの主走査方向における両側方にそれぞれ2列ずつ、合計4列の処理液用ノズル列21S1,21S2,21S3,21S4が並設されている。これら4列の処理液用ノズル列には、それぞれ異なる種類の処理液(S1,S2,S3,S4)が供給される。
【0032】
各吐出口列には、1280個の吐出口23が1200dpiの記録密度に対応する間隔でY方向に沿って配列されている。ノズル内には、供給されたインクを吐出するインク吐出手段として熱エネルギーを発生する不図示の電気熱変換素子(発熱体)と、これに電力を供給するための不図示の電極配線とが設けられている。これら、発熱体や電極配線は、シリコン等からなる基板上に成膜技術によって形成される。各吐出口23から吐出されるインクの吐出量は約4ngである。ここで、インク吐出手段として電気熱変換素子を用いた例を示したが、これに限定されるものではなく、例えば、電気機械変換素子である圧電素子を使用したものでもよい。またその他の手段でもよく、インクジェット方式による記録を実施可能な全てのインク吐出手段を用いることができる。
【0033】
インクジェット記録装置の記録動作の一例について図1を参照しつつ説明する。記録媒体1が給紙ローラ(不図示)によって一枚ずつ記録動作領域まで供給される。記録動作領域では、記録ヘッド21とプラテン(不図示)との間を記録媒体1が搬送ローラ対により搬送される。一方、記録ヘッド21は図1のX方向(主走査方向)に移動しながら出力画像データに応じて記録媒体1に記録を行う。この記録は、処理液、ブラックインク・シアンインク・マゼンタインク・イエローインクの順に記録媒体上に処理液及びインク液滴を付与することによって行われる。1走査分の記録が終了すると、片方向記録の場合には記録ヘッド21がホームポジションに戻り、再びX1方向へと記録ヘッド21を移動させ、処理液・ブラックインク・シアンインク・マゼンタインク・イエローインクの順に記録媒体上に吐出を行い、記録を行う。
【0034】
一方向に向かう1回の記録動作(1走査)が終了してから次回の記録動作が開始される前に、搬送ローラ対が駆動されて記録媒体がY方向(副走査方向)に所定量だけ搬送される。このように1走査分の記録動作と所定量の搬送動作とを繰り返すことによって、記録媒体には所定幅ずつ記録が行われる。
【0035】
本実施形態では、インクと処理液の付与順が常に一定となる片方向記録モードと、インクと処理液の付与順が走査毎に逆転する双方向記録モードも実行可能であり、これら両記録モードにおいて後述する効果を得ることができる。
【0036】
また、本実施形態に用いる処理液は、記録媒体上で顔料インクと接触して顔料を凝集させる処理液をより効果的に用いるためには、インクに先行して処理液を記録媒体上へ吐出させることが望ましい。従って、図3(b)に示すように、処理液用ノズル列21S1,21S2とインク用ノズル列21K,21G,21M,21Yとを副走査方向にずらして配置した記録ヘッドを用いるようにしても良い。これによれば、片方向記録、双方向記録のいずれにおいても、常にインクに先行して処理液を記録媒体に付与することが可能になる。また、図3(a)に示す記録ヘッドにおいても、2種類の処理液のみを使用する場合には、インク吐出部の一方と他方に同一の2種類の処理液を供給するようにしても良い。これによれば、図3(a)に示す記録ヘッドと同様に、片方向記録、両方向記録のいずれにおいてもインクに先行して処理液を付与することができる。
【0037】
(制御系の概要)
図4は、図2に示したインクジェット記録装置の制御系回路の概略構成を示すブロック図である。図4において、300は記録動作を制御する記録制御部であり、この記録制御部300には、インターフェース303を介して画像入力部302が接続されている。この画像入力部302は、記録制御部300に対して記録すべき画像情報を転送するものであり、ホストコンピュータ(ホストPC)あるいはイメージリーダなどによって構成される。
【0038】
インターフェース303は、画像入力部302からの記録信号や記録に関連する制御信号を記録制御部300へ入力する。記録制御部300は、MPU(Micro Processing Unit)306、ROM(Read Only Memory)307、ゲートアレイ304、DRAM(Dynamic Random Access Memory)305などから構成される。MPU401では、演算、判別、制御などの各種の処理を、ROMに格納されている制御プログラムに従って実行するものであり、本発明の選択手段、制御手段としての機能を持つ。ゲートアレイ304は、記録ヘッド22に対する記録データの供給制御を行うものであり、インターフェース400、MPU401、DRAM403間のデータの転送制御も行う。DRAM305は記録ヘッド22に供給される記録信号、記録のための制御信号、および記録ドット数や記録ヘッドの交換回数等の各種データを保存しておくダイナミック型のRAMである。
【0039】
記録制御部300は各種ドライバー307、308、309を通じて、記録ヘッドの吐出動作や、主走査方向に記録ヘッド22を駆動させるためのキャリッジ動作および記録媒体を副走査方向に搬送するための搬送動作などを制御する。
【0040】
(記録データの生成処理)
次に、以上の構成において実行される記録データの生成処理を説明する。
本実施形態においては、文字、線、およびイメージといったオブジェクト情報に基づき、使用する処理液の種類を選択する。インクジェット記録装置において、記録直後の画像の定着性と記録物品位を両立して向上することが可能となる。
【0041】
図5は、入力画像データ1011をインクジェット記録装置にて記録可能な記録データへと変換するデータ変換処理を示すブロック図である。図5に示す記録装置1100に記載されている各処理は、図4に示した記録制御部300において実行される。また、ホストPCは、図4における画像入力部302に相当し、インターフェース303を介して記録装置1100とデータの授受を行う。
【0042】
ホストPC1010では、まず、アプリケーションから受け取った入力RGBデータ(入力画像データ)1011に対し600dpiの解像度でレンダリング処理1012が行われる。これによって、多値(本実施形態では、256値)の記録用多値RGBデータ1013が生成される。
【0043】
一方、入力画像データ1011に基づき、記録すべき画像内に含まれる複数種の画像構成要素である文字/線のオブジェクト及びイメージ(ビットマップデータ等)のオブジェクトの判別処理1014を行う。続いて文字/線のオブジェクトデータに対してレンダリング処理を行い、解像度600dpiの2値の文字/線のオブジェクトデータ1015(文字と線のオブジェクトデータを合成したデータ)が生成され、記録装置に転送される。
【0044】
記録装置1100では、記録用多値RGBデータ1101に対して輝度濃度変換および色処理による補正を行った後、記録装置で用いる各色のインク(ブラック、シアン、マゼンタ、イエローのインク)に対応した多値データへの色変換処理1101を行う。
【0045】
変換された各色の多値データは、所定の量子化方法でN値の階調値に量子化する量子化処理1102が施される。量子化の方法は、一般的な多値誤差拡散処理などを用いることが可能である。例えば、入力解像度600dpi、出力解像度1200dpiのときは、1画素8ビットの入力画像データに対して、出力データのドットは2×2の4ドットで1ブロックとなる。その1ブロックで表現可能な階調数は5値となる。従って、量子化処理からは、“0”、“64”、“128”、“192”、“255”の5値に量子化された量子化値が出力される。それぞれの量子化値は、階調値“0”、“1”、“2”、“3”、“4”に対応する。本実施形態では、誤差拡散法によって解像度600dpiの5値のデータに量子化される。
【0046】
量子化された5値の各色データは、インデックス展開処理1012によって、各記録ヘッドによって記録可能な1200dpiの2値データ1104にインデックス展開される。このインデックス展開処理1013は、各色の5値データそれぞれの値に対応してマトリックス形態のドット配列データを用い、5値データの値に応じてドット配列パターンを出力するものである。本実施形態では、5値データが2×2のドットマトリクスに展開される。
【0047】
各色の2値データ1104と2値の文字/線オブジェクトデータ1015に基づき、以下に説明する処理液のデータ生成処理1105において、本実施形態では2種類の処理液に対応した2値データ1106を生成する。これらの2値データを基に、記録データ生成処理1107が実施される。
【0048】
図6に処理液のデータ生成処理1105の処理手順を表したフローチャートを示す。データ合成処理により、各色インクの2値記録データ1104に対して論理和処理が施される(ステップ1201)。これにより、インクの記録領域を示す2値の中間データが生成され、処理液の記録領域に対応する1次データが得られる。ステップ1202では、ステップ1201で生成された中間データに対して所定量のデータ領域を拡張するボールド処理が施される。また、ホストPC1010において予め処理された2値の文字/線オブジェクトデータ1015に対しても同様のボールド処理が施される。実際の記録動作においては、インクの着滴位置と処理液の着滴位置とにズレが生じ、そのズレ量が大きくなると処理液の効果が出ずに画像ムラやスジなどが発生する場合がある。こうした着滴位置ズレの影響をボールド処理により緩和することが可能である。
【0049】
ボールド処理が施されたインクの記録領域を示す中間データに対して、ボールド処理された文字/線オブジェクトデータに基いてデータ分割処理が行われる(ステップ1203)。このデータ分割処理では、複数の処理液(本実施形態では2種類の処理液)のそれぞれに対応する中間データms1,ms2を生成するための分割処理を行う。本実施形態では、文字/線オブジェクト画像に対応する領域とイメージ画像に対応する領域とで使用する処理液を変更する。このため、インクの記録領域を示す2値の中間データと(処理液の記録領域に対応する1次データ)と、2値の文字/線オブジェクトデータ1015との論理積手段により文字/線領域で使用する処理液データms1を得ることができる。さらに、前記中間データと処理液データms1との論理差処理により、その他の領域で使用する処理液データms2を生成する。この処理液データms1とms2とに対して所定の間引き処理を施し(ステップ1204)、これによって各処理液の2値記録データ1106が生成される。ここで、間引きパターンは、処理液を記憶するドット数を所定の割合で減少させるためのパターンである。また、画像オブジェクトの種類に応じて、記録媒体への処理液の付与量を変更しても良く、これは間引きパターンの種類を変更することで実現可能である。
【0050】
また、上記実施形態において、インクの種類ごとに記録媒体への処理液の付与量を変化させても良く、これはインクの種類に応じて処理液と接触した際の効果が異なる場合に有効である。この処理は、各色インクの2値記録データに対して、インク毎の間引き処理を行うことで、インク種に応じて記録媒体への処理液の付与量を変化させることが可能である。
【0051】
また、上記実施形態では、2種類の処理液を使用する場合を例に採り説明したが、本発明は、画像のオブジェクト属性に応じて3種類以上の処理液(図2では4種類の処理液S1〜S4)を使い分けるようにすることも可能である。例えば、図3(a)に示す記録ヘッドにおいて、処理液用のノズル列21S1〜21S4のそれぞれに異なる処理液を供給し、画像のオブジェクト属性や記録媒体の種類、あるいはインクの種類などの記録条件に適した処理液を選択的に吐出させるようにしても良い。
【0052】
さらに、以上の説明では、記録する画像の中に、イメージ画像を記録する領域と、文字/線を記録する領域とが混在する場合を例に挙げた。しかし、上記構成を有する実施形態によれば、記録する画像が、イメージ画像と文字/線の画像のいずれか一方のみからなる場合にも、各画像のオブジェクトに従って適正な処理液の選択・吐出が行われることは言うまでもない。
【0053】
なお、上記実施形態では、画像データの処理をホストPC1010と記録装置1210とに割り振る構成としたが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、記録装置1210において図5に示した処理の全てを実行するようにしても良い。
【0054】
なお、上記実施形態では、各色の2値出力画像データに対してデータ処理を行うことによって処理液の2値出力データを生成するようにしたが、各色インク多値データを基にして処理液の2値出力データを生成することも可能である。また、処理液の2値記録データの生成方法については、これらの方法を組み合わせて行うこともでき、上記に限定されるものではなく適宜選定可能である。
【0055】
以下、上記実施形態に使用する処理液およびインクの構成を説明する。
【0056】
(処理液)
本実施形態に使用する処理液の具体的な構成を以下に示す。なお、以下の記載において、「部」又は「%」とあるものは特に断わらない限り質量基準である。
本実施形態における処理液は、記録品位を向上させるために、記録媒体上でインクと処理液との接触によりインクを凝集或いは増粘させる機能を有する。
処理液は、インクと接触した際にインクを凝集、あるいは増粘させるための反応成分と、溶剤成分とから構成される。
【0057】
反応成分としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、鉄(II)、銅(II)、亜鉛、鉄(III)及びアルミニウム等の多価金属塩を用いることができる。さらに反応成分としては、インクとの接触時にpHショックを誘引する酸バッファーあるいはアルカリバッファー、インク中の成分と反対の電荷を持つ樹脂などを用いることもできる。例えば、インクとしてアニオン性の顔料インクを使用した場合、反応成分としての多価金属塩により、インクとの接触時にインクの分散破壊を誘引することができる。
【0058】
溶剤成分としては、水、有機溶剤、界面活性剤などの添加剤が用いられる。有機溶剤としては、水との溶解性に優れ、沸点の高い材料が好適である。アルコール系溶剤、グリセリンなどの多価アルコール系溶剤、エーテル系溶剤などを用いることができる。
【0059】
また、記録物のカールや凹凸を抑制するためには、溶剤成分としてポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、糖類、糖アルコール類、等のカール抑制機能を有する材料(カール抑制剤)を用いることが好適である。これらのカール抑制機能を有する溶剤成分は、特許文献3に記載された公知の材料を用いることができる。
【0060】
本実施形態で用いる2種類の処理液は、上記の有機溶剤の含有量を調整することで作製することができる。文字/線オブジェクトの画像領域で用いる処理液では、有機溶剤の含有量を下げ、水分量の高い処理液S1を用いる。また、イメージオブジェクトの画像領域で使用する処理液では、カール抑制溶剤の含有量の高い処理液S2を用いる。
【0061】
ここで、処理液S1と処理液S2の材料構成例を以下に示す。
〔処理液S1の作製〕
・硝酸カルシウム4水和物 10.0部
・ジエチレングリコール 10.0部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製) 0.2部
・イオン交換水 79.8部
【0062】
上記の成分を混合溶解した後、さらにポアサイズが1.2μmのメンブレンフィルター(MILLIPORE社製)にて加圧濾過し反応液S1を得た。得られた反応液の表面張力は36mN/mであった。
【0063】
〔処理液S2の作製〕
・硝酸カルシウム4水和物 10.0部
・トリメチロールプロパン 30.0部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル株式会社製) 0.2部
・イオン交換水 残部
【0064】
上記の成分を混合溶解した後、さらにポアサイズが1.2μmのメンブレンフィルター(MILLIPORE社製)にて加圧濾過し反応液S2を得た。得られた反応液の表面張力は38mN/mであった。
【0065】
(インクの構成)
本実施形態におけるインクの具体的な構成例を以下に示す。
【0066】
[ブラックインクの作製]
[合成例1(ブラック顔料分散液の作製)]
・スチレン−アクリル酸−アクリル酸エチルからなるランダム共重合体
(酸価200、重量平均分子量9,000) 1.4部
・モノエタノールアミン 1.0部
・ジエチレングリコール 5.0部
・イオン交換水 81.6部
【0067】
上記成分を混合し、ウォーターバスで70℃に加温し、樹脂分を溶解させる。この溶液にカーボンブラック(FW18、デグサ社製)10部、イソプロピルアルコール1部を加え、30分間プレミキシングを行った後、下記の条件で分散処理を行った。
・分散機:サンドグラインダー(五十嵐機械製)・粉砕メディア:ジルコニウムビーズ、1mm径・粉砕メディアの充填率:50%(体積比)
・粉砕時間:3時間
【0068】
上記分散処理を行った後、さらに遠心分離処理(12,000rpm.、20分間)を行い、粗大粒子を除去してブラック(K)顔料分散液を作製した。
【0069】
〔調整例1(ブラックインクの調整)〕
上記処理で得たブラック顔料分散液を使用して、下記の組成比に従って顔料を含有するインクを作製して顔料インクK1とした。得られた顔料インクの表面張力は38mN/mであった。
・合成例1の顔料分散液 30.0部
・グリセリン 10.0部
・エチレングリコール 5.0部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製) 1.0部
・イオン交換水 54.0部
【0070】
[シアンインクの作製]
顔料としてC.I.ピグメントブルー15:3を用いた以外は、合成例1と同様にしてシアン顔料分散体を得た。ここで得たシアン顔料分散液を用い、調整例1と同様の処方にて、シアンインクを調製した。得られた顔料インクの表面張力は37mN/mであった。
【0071】
[マゼンダインクの作製]
顔料としてC.I.ピグメントレッド7を用いた以外は、合成例1と同様にしてマゼンダ顔料分散体を得た。ここで得たマゼンダ顔料分散液を用い、調整例1と同様の処方にて、マゼンダインクを調製した。得られた顔料インクの表面張力は36mN/mであった。
【0072】
[イエローインクの作製]
顔料としてC.I.ピグメントイエロー74を用いた以外は、合成例1と同様にしてイエロー顔料分散体を得た。ここで得たイエロー顔料分散液を用い、調整例1と同様の処方にて、イエローインクを調製した。得られた顔料インクの表面張力は37mN/mであった。
【0073】
(記録物の作製と評価)
上記の処理液とインクを用い、前記に述べた記録方法により記録物を作製し、その効果を検証した。記録画像は、図7の模式図に示すようにA4の上半分が10ポイントの黒文字からなり、下半分がベタのイメージ画像からなる評価用画像を入力画像データとした。黒文字は、ブラックインクで形成し、記録デューティーは100%とした。プロセスブラックの記録デューティーは100%とし、シアン、マゼンダ、イエローにより等分割して記録を行った。文字部に対しては、処理液S1を用い、その記録デューティーは30%とした。ベタ領域に対しては処理液S2を用い、その記録デューティーは50%とした。なお、ここで言う100%記録デューティーとは、600dpiの画像単位領域対して、1,200dpi解像度で4インクドットを記録した状態に相当する。同じパスにおける処理液とインクの記録順序は、処理液、インクの順番になるようにして記録を行った。
【0074】
上記のようにして得られた記録物に対し、記録直後のマーカー引き試験と放置によるカール性試験を実施した。マーカー引き試験は、黄色のラインマーカーにより記録後の5分経過した文字部に対して、人の手でマーカー引きを行い、文字の汚れ状態を主観評価した。また、カール性試験については、記録物を温度25℃、湿度50%の環境に放置し、1日後の記録媒体の浮き状態を観察し評価を行った。本実施形態に基づく上記記録によって得られた記録物との比較のため、文字部とイメージ画像領域とで、処理液の種類を変更せずに処理液S1あるいは処理液S2のみで画像を記録し同様の評価を行った。その結果、表1に示す通り、1種類の処理液のみで画像を記録した記録物BあるいはCに比べて、画像領域に応じて処理液の種類を使い分けた記録物Aでは耐マーカー性および耐カール性を共に改善することができた。
【0075】
【表1】

【0076】
[耐マーカー性の評価基準]
○ : 画像の乱れはあるが、文字の判別が可能な状態。
【0077】
△ : 画像の乱れにより、文字が正確に判別できない状態。
【0078】
[耐カール性の評価基準]
○ : 記録物の最大の浮き高さが、3cm以下。
【0079】
△ : 記録物が最大の浮き高さが、5cm以上。
【符号の説明】
【0080】
1 記録媒体
21 記録ヘッド
21In インク吐出部
21S 処理液吐出部
23 吐出口
101 処理液
102 インク
111 顔料粒子
300 記録制御部
305 RAM
306 MPU
307 ROM
310 画像処理部
1014 オブジェクト判別処理
1105 処理液のデータの生成処理
1107 記録データ生成処理
1100 記録装置
S1,S2 処理液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を記録するためのインクと該インクによる記録特性を向上させるための処理液とを、画像データに基づいて記録ヘッドから記録媒体上に吐出させ、前記インクと前記処理液とを前記記録媒体上で接触させるようにしたインクジェット記録方法であって、
前記記録ヘッドは複数種類の処理液を吐出可能であり、
記録すべき画像のオブジェクト属性に応じた処理液を前記複数種類の処理液の中から選択し、当該選択した処理液を前記記録媒体上に吐出されるインクとの接触位置に吐出させること特徴とするインクジェット記録方法。
【請求項2】
前記記録すべき画像の中に異なるオブジェクト属性を有する画像領域を含み、前記各画像領域のオブジェクト属性に応じた処理液を選択することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
【請求項3】
前記記録すべき画像のオブジェクト属性がイメージである場合と、文字あるいは線である場合とで異なる種類の処理液を選択することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録方法。
【請求項4】
前記複数種の処理液は、記録物のカール抑制効果が異なる複数の処理液であり、前記オブジェクト属性がイメージ画像である場合には当該画像に対してカール抑制効果の高い処理液を用い、前記オブジェクト属性が文字あるいは線である場合には、当該画像に対してカール抑制効果の低い処理液を用いることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
【請求項5】
前記処理液のカール抑制効果は、カール抑制剤の含有量により調整されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
【請求項6】
前記記録媒体における単位領域あたりの前記処理液の付与量を、前記オブジェクト属性に応じて変更することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
【請求項7】
前記記録媒体上におけるインクと処理液との接触は、前記記録媒体上に処理液を吐出する工程(A)と、インクを記録媒体上に吐出する工程(B)とを実施することにより行い、工程(A)が工程(B)に先行して実施されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
【請求項8】
前記処理液は、前記記録媒体上で前記インクと接触した場合に、該インクを凝集又はゲル化させる特性を有していることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
【請求項9】
画像を記録するためのインクと該インクによる記録特性を向上させるための処理液とを、画像データに基づいて記録ヘッドから記録媒体上に吐出させ、前記インクと前記処理液とを前記記録媒体上で接触させるようにしたインクジェット記録装置であって、
前記記録ヘッドは複数種類の処理液を吐出可能に構成されると共に、
前記記録すべき画像のオブジェクト属性に応じた処理液を前記複数種類の処理液の中から選択する選択手段と、
前記選択した処理液を前記記録媒体上に吐出されるインクとの接触位置に吐出させるよう記録ヘッドの吐出動作を制御する制御手段と、が備えられていること特徴とするインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−121315(P2011−121315A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281956(P2009−281956)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】