説明

インクジェット記録用インクカートリッジ

【課題】容器本体に対する衝撃や慣性力、内外圧変化に対して強く、空気室に溜まった液体が大気流入側の連通口から流出する時間を遅延させることができる良好な液体収容容器を提供する。
【解決手段】インクカートリッジは、容器本体21内に設けられインクを収容するインク収容室23と、インク収容室23に連通するインク供給部25と、インク収容室23内のインクの消費に伴って外部に開口した大気開放孔から大気をインク室23に導入する大気開放流路102と、大気開放流路102の途中に設けられて該大気開放流路102に浸入したインクを貯留可能な空気室31aと、を備える。空気室31aの大気流入側における連通口79が、該空気室31aの内壁面から突出した突起95の先端面に開口されている。且つインクの起泡性がJISK3362に基づいた25℃における5分後の泡の高さが50mm以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内に収容されたインクと、インク収容部と大気開放孔との間に空気室を介装したインクカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタのキャリッジに着脱可能に装着して用いられるインクカートリッジとしては、そのインク室(液体収容部)の内圧を適切な状態に保持するために、インク室を外部に連通して大気開放する為の大気開放流路を備えたものが知られている。そして、この種の大気開放流路では、大気開放孔からのインク漏れを防止する工夫が必要とされる。
【0003】
そこで、従来のインクカートリッジにおける大気開放流路の構成では、インクを収容するインク室と、蛇行状態に形成した連通路部分(ヘビ道)と、浸入したインクを貯留可能な空気室(インクトラップとも云う)と、インク室を外部に連通させて該インク室のインク消費に伴って外部の空気をインク室に導入するための大気開放孔とが順次配設されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
例えば図10に示すように、従来のインクカートリッジにおける大気開放流路の空気室1は、図示しないインク室に連通している大気開放溝2の大気開放孔側の端2aに連通している。空気室1は、ケース蓋(容器本体)3を表面3aから直交する方向に掘り下げた所定深さの円筒状の凹部5で形成されており、上端開口がケース蓋3の表面3aに露出している。この凹部5の円形下端面の中心には小径の連通口7が同軸状態に形成されており、この連通口7の下端が大気開放孔側のインクトラップ9に連通している。
【0005】
ケース蓋3の表面3aにおける凹部5が形成されている部分には、封止ラベル(封止部材)11が貼り付けられている。これにより、凹部5は上端開口が封止され、空気室1として区画形成される。
【0006】
この空気室1は、環境温度の変化等でインク室の空気が熱膨張し、この空気の熱膨張によってインク室のインクが図示しない大気開放孔へ向かって逆流するとき、インクが外部に漏洩することを防止するために設けられている。
【0007】
そこで、毛細管引力により大気開放溝2の隅部を伝わって空気室1に溜まったインクは連通口7に浸入しメニスカスを形成することで、インクトラップ9への浸入が阻止される。
【0008】
【特許文献1】特開2005−22340号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、インクカートリッジの落下、キャリッジからのインクカートリッジの着脱、もしくは運搬や移動時の姿勢変化等の衝撃や振動によってカートリッジ内のインクが泡立ち、空気室1がインクやその泡で満たされ、連通行7にまでインクやその泡が到達することによって、上述のように連通口7に形成されたメニスカスは簡単に壊れてしまう。
【0010】
一方、メニスカス力を強力にするためには、連通口7の穴径を例えば数10μm以下にする必要があり、現実的ではない。
【0011】
従って、本発明の目的は上記課題を解消することに係り、空気室に溜まったインクが大気流入側の連通口から流出する時間を遅延させることができる良好なインクカートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の上記目的は、容器内に収容されたインクと、容器内に設けられインクを収容するインク収容部と、前記インク収容部に連通するインク供給部と、前記インク収容部内のインクの消費に伴って外部に開口した大気開放孔から大気を前記インク収容部に導入する大気開放流路と、前記大気開放流路の途中に設けられ該大気開放流路に浸入したインクを貯留可能な空気室とを備えたインクカートリッジであって、前記空気室の大気流入側における連通口が、該空気室の内壁面から突出した突起の先端面に開口されており、且つ前記容器内収容されたインクの起泡性がJISK3362に基づいた25℃における5分後の泡の高さが50mm以下により達成される。
【0013】
上記構成のインクカートリッジによれば、インク収容部のインクが空気室の大気流出側の連通口を通過して空気室に溜まっても、大気流入側の連通口に液体が到達するまでの時間は突起の高さ分遅くなる。
【0014】
すなわち、大気流入側の連通口が鉛直方向を向いている容器放置状態では、空気室に流入したインクが突起の高さまで溜まった後、突起先端面に開口する大気流入側の連通口から流出する。これにより、大気流入側の連通口からインクが流出するまでの時間が遅延される。
【0015】
また、容器本体の落下、着脱による衝撃や移動時の姿勢変化、キャリッジ動作による慣性力等によって、インクが泡だった場合も、直ぐにその泡が消失する為、やはり突起先端面に開口する大気流入側の連通口にインクが到達し難い為、空気室における大気流入側の連通口からのインクの漏れを安定的に阻止することができる。
【0016】
尚、前記容器内に収容されたインクが、少なくとも、水、着色剤、および水不溶性ポリマー粒子を含有することが好ましく、さらに、水不溶性有機化合物を含有することがより好ましい。
【0017】
尚、上記構成のインクカートリッジにおいて、前記空気室より大気開放孔側における前記大気開放流路の途中に、気体の通過を許容し液体の通過を許容しない気液分離膜が設けられていることが望ましい。
【0018】
このような構成のインクカートリッジによれば、気液分離膜によって液体の外部への漏洩を確実に防止することができる。更に、空気室からの液体の漏れが安定的に阻止されているので、気液分離膜はインクに接触して通気性能が悪化するまでの時間を稼ぐことができ、長期間にわたって安定した通気性能を維持することができる。
【0019】
また、上記構成のインクカートリッジにおいて、前記気液分離膜より大気開放孔側における前記大気開放流路の途中に、蛇行状態に形成した連通路部分が設けられていることが望ましい。
【0020】
このような構成のインクカートリッジによれば、蛇行状態に形成した連通路部分によって液体の外部への漏洩を遅らせる効果が期待できると共に、気液分離膜と大気開放孔との間の空気流通を疎遠にすることで、インクの蒸発を少なくすることができる。
【0021】
また、空気室からのインクの漏れを遅らせると共に、気液分離膜によってインクの外部への漏洩が確実に防止されているので、連通路部分にインクが入り込んでインク供給部に対する動圧を著しく変化させることもない。
【0022】
また、上記構成のインクカートリッジにおいて、前記空気室が複数個設けられ、隣接する各空気室同士が連通されていることが望ましい。
【0023】
このような構成のインクカートリッジによれば、容器本体内の限られたスペースにおいても、インクを貯留する為の空気室全体の容積確保が容易になる。
【0024】
また、それぞれの空気室の大気流入側における連通口が、各空気室の内壁面から突出した突起の先端面に開口されるので、最も大気流入側の連通口からインクが流出するまでの時間を更に遅延させることができる。更に、それぞれの連通口を適宜異なる方向へ開口させることによって、色々な容器放置姿勢への対応が可能となり、空気室からのインクの漏洩を確実に阻止することができる。
【0025】
また、上記構成のインクカートリッジにおいて、前記空気室の大気流出側における連通口が、該空気室の内壁面と同一平面上に開口されていることが望ましい。
【0026】
このような構成のインクカートリッジによれば、空気室における大気流入側の連通口が液体を流出させ難いトラップ構造となっているのに対し、大気流出側の連通口はインクの浸入が容易な構造となる。そこで、空気室に溜まったインクは、浸入の容易な大気流出側の連通口を通過して再びインク収容部へ回収され易くなる。
【0027】
また、上記構成のインクカートリッジにおいて、また、前記水不溶性ポリマー粒子が、塩生成基含有モノマーと、マクロマー及び/又は疎水性モノマーを含むモノマー混合物を共重合させてなる水不溶性ポリマー粒子であることが好ましい。
【0028】
また前記水不溶性有機化合物が、分子中に、エステル又はエーテル結合を2個以上有する、エステル又はエーテル化合物、及び/又は分子中に、エステル又はエーテル結合を1個以上と、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸残基、カルボニル基、エポキシ基及び水酸基からなる群から選ばれる1種以上の官能基を1個以上有する、エステル又はエーテル化合物であることが好ましい。
【0029】
このような構成のインクカートリッジによれば、突起が鉛直方向を向いている容器放置状態では、表面張力により突起の側面を上方へ這い上がったインクが、エッジ部の角によって突起の先端面への回り込みを阻止される。そこで、空気室にインクが溜まっても、突起の突出高さまではインクが大気流入側の連通口に浸入することはない。尚、断面が角とは、突起の先端面と側面とが交わるエッジ部にRや面取りの無いことである。
【0030】
このような構成のインクカートリッジによれば、容器本体の落下、着脱による衝撃や移動時の姿勢変化、キャリッジ動作による慣性力等により空気室にインクが溜まったり、もしくは泡だった場合も、速やかに消泡する為、インクが突起の先端面に接触しにくく、先端面に開口する連通口へはインクが浸入し難くなる。
【0031】
本発明に係るインクカートリッジによれば、インク収容部の液体が空気室の大気流出側の連通口を通過して空気室に溜まっても、大気流入側の連通口に液体が到達するまでの時間を突起の高さ分遅くすることができる。
【0032】
また、本発明に係るインクカートリッジは、容器本体の落下、着脱による衝撃や移動時の姿勢変化、キャリッジ動作による慣性力、更にそのような衝撃等によりインクが泡立ちによって簡単に壊れてしまう従来の連通口に形成されるメニスカスとは違い、空気室における大気流入側の連通口からのインクの漏れを安定的に阻止することができる。
【0033】
従って、容器本体に対する衝撃や慣性力、内外圧変化に対して強く、空気室に溜まったインクが大気流入側の連通口から流出する時間を遅延させることができる良好なインクカートリッジを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明のインクカートリッジに用いるインクは、少なくとも、水、着色剤、水不溶性ポリマー粒子、水不溶性有機化合物を含有するインクである。
【0035】
本発明で用いられる水不溶性有機化合物は、水性インクの泡立ちを抑えることができる。すなわち、水性インクの液性成分水に溶解しにくい為、インク表面での泡の発生を抑え、更に泡が発生しても速やかに消泡することができる。しかも、少なくともその一部がポリマー粒子に含有されることでポリマー粒子の柔軟性を改良する可塑性を付与するという特性も付与できる。水不溶性有機化合物がポリマー粒子に柔軟性を付与することで、インク中のポリマー粒子が、記録紙上でポリマー粒子が相互に融着しやすくなり、得られる印字物の光沢性、写像性が向上するという効果も有する。
【0036】
水不溶性有機化合物は、泡立ちを効果的に抑制する為、しかも印字物の光沢性向上の為に、分子量100〜2,000のものが好ましく、分子量100〜1,000のものがより好ましい。
【0037】
水不溶性有機化合物は、ポリマー粒子に含有させ易くするため、エステル化合物、エーテル化合物、又はスルホン酸アミド化合物であることが好ましく、分子中に、エステル又はエーテル結合を2個以上有する、エステル又はエーテル化合物、及び/又は分子中に、エステル又はエーテル結合を1個以上と、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸残基、カルボニル基、エポキシ基及び水酸基からなる群から選ばれる1種以上の官能基を1個以上有する、エステル又はエーテル化合物がより好ましい。化合物のエステル又はエーテル結合は、2〜3個が好ましい。化合物のエステル又はエーテル結合は、1〜3個が好ましい。官能基数は、1〜3個が好ましい。リン酸残基とは、リン酸の一部がエステル化又はエーテル化された残りのリン酸基のことをいう。
【0038】
これらの中では、1価カルボン酸又はその塩と多価アルコールから得られるエステル、多価酸(多価カルボン酸、リン酸)又はその塩と1価アルコールから得られるエステル、又は多価アルコールのエーテル化合物が好ましく、脂肪族又は芳香族カルボン酸エステル基を2つ又はリン酸エステル基を3つ有することが更に好ましい。塩としては、アルカリ金属塩、アルカノールアミン塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
【0039】
1価カルボン酸としては、炭素数1〜18、好ましくは炭素数2〜10の直鎖又は分岐鎖の脂肪族カルボン酸(例えば、酢酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸等の直鎖脂肪族カルボン酸、ピバリン酸等の分岐脂肪族カルボン酸、アクリル酸、メタクリル酸、のような不飽和脂肪族カルボン酸)、炭素数6〜12の芳香族カルボン酸(例えば、安息香酸)が挙げられ、多価酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等の炭素数2〜12の脂肪族、カルボン酸;フタル酸、トリメリット酸等の炭素数6〜12の芳香族カルボン酸、リン酸等が挙げられる。
【0040】
1価アルコールとしては、炭素数1〜18、好ましくは炭素数2〜10の直鎖又は分岐鎖の脂肪族アルコール(例えば、エチルアルコール、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、デシルアルコール、ドデシルアルコール)、炭素数6〜12の芳香族アルコール(例えば、フェノール)が挙げられ、多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン等の炭素数2〜12の多価アルコールが挙げられる。脂肪酸やアルコールとしては飽和又は不飽和のいずれのものも使用できる。
【0041】
水不溶性有機化合物の具体例としては、脂肪族カルボン酸エステル、芳香族カルボン酸エステル、リン酸エステル、シクロアルカン(ケン)カルボン酸エステル、オキシ酸エステル、グリコールエステル、エポキシ系エステル、スルホンアミド、ポリエステル、グリセリルアルキルエーテル、グリセリルアルキルエステル、グリコールアルキルエーテル、グリコールアルキルエステル、トリメチロールプロパンのエーテル又はエステル、ペンタエリスリトールのエーテル又はエステル等が挙げられる。
【0042】
脂肪族カルボン酸エステルとしては、写像性の観点から脂肪族ジ又はトリカルボン酸エステルが好ましい。
【0043】
脂肪族ジカルボン酸エステルの具体例としては、ジメチルアジペート、ジエチルアジペート、ジブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ビス(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソノニルアジペート、ジイソデシルアジペート、ビス(ブチルジエチレングリコール)アジペート、ジメチルセバケート、ジエチルセバケート、ジブチルセバケート、ビス(2−エチルヘキシル)セバケート、ジエチルサクシネート、ビス(2−エチルヘキシル)アゼレート等の脂肪族二塩基酸エステル等が挙げられる。
【0044】
芳香族カルボン酸エステルの具体例としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ビス(2−エチルヘキシル)フタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、オクチルベンジルフタレート、ノニルベンジルフタレート、ステアリルベンジルフタレート、オクチルデシルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジフェニルフタレート、ビス(ジメチルシクロヘキシル)フタレート、ビス(t−ブチルシクロヘキシル)フタレート、エチルフタリルエチルグリコレート等のフタル酸エステル、ジブチルトリメリテート、ジイソブチルトリメリテート、トリス(2−エチルヘキシル)トリメリテート等のトリメリット酸エステル等が挙げられる。これらの中でも、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート等の炭素数1〜5の脂肪族アルコール残基を有するフタル酸ジエステル、オクチルベンジルフタレート、ノニルベンジルフタレート、ステアリルベンジルフタレート等の炭素数3〜18のアルキル基を有するベンジルフタレート、及びジブチルトリメリテート、ジイソブチルトリメリテート等の炭素数3〜5の脂肪族アルコール残基を有するトリメリット酸ジエステルが特に好ましい。芳香族カルボン酸エステルは、芳香族ジ又はトリカルボン酸エステルが好ましい。
【0045】
リン酸エステルの具体例としては、トリブチルホスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリス(ブトキシエチル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート等が挙げられる。
【0046】
シクロアルカン(ケン)ジカルボン酸エステルの具体例としては、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジブチルエステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル等のシクロヘキサンエステル類、3,4−シクロヘキセンジカルボン酸ジブチルエステル、3,4−シクロヘキセンカルボン酸ジイソノニルエステル等のシクロヘキセンエステル等が挙げられる。
【0047】
オキシ酸エステルの具体例としては、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルリシノール酸メチル等が挙げられる。
【0048】
グリコールエステルの具体例としては、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ(2−エチルヘキソエート)等が挙げられる。
【0049】
エポキシ系エステルの具体例としては、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸オクチル等が挙げられる。
【0050】
スルホンアミドの具体例としては、o−及びp−トルエンスルホンアミド、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等が挙げられる。
【0051】
ポリエステルの具体例としては、ポリ(1,2−ブタンジオールアジペート)、ポリ(1,3−ブタンジオールアジペート)等が挙げられる。
【0052】
グリセリルアルキルエーテルの具体例としては、グリセリルモノエーテル、グリセリルジエーテル、グリセリルトリエーテルが挙げられる。これらの中では、炭素数8〜30の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有するグリセリルモノエーテルが好ましい。アルキル基の炭素数は8〜30であるが、好ましくは8〜22、更に好ましくは8〜14である。
【0053】
グリセリルアルキルエステルの具体例としては、グリセリルモノアルキルエステル、グリセリルジアルキルエステル、グリセリルトリアルキルエステルが挙げられる。
【0054】
グリコールアルキルエーテルの具体例としては、グリコールモノアルキルエーテル、グリコールジアルキルエーテルが挙げられる。
【0055】
グリコールアルキルエステルの具体例としては、グリコールモノアルキルエステル、グリコールジアルキルエステルが挙げられる。
【0056】
上記の水不溶性有機化合物は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0057】
本発明において、水不溶性ポリマー粒子は、水不溶性有機化合物との相互作用により、印字濃度、光沢性、写像性を向上させるために用いられる。
【0058】
このポリマーは、水不溶性有機化合物を含有しやすくするために、水不溶性ポリマーであることが好ましい。
【0059】
水不溶性ポリマーとしては、水不溶性ビニルポリマー、水不溶性エステル系ポリマー、水不溶性ウレタン系ポリマー等が挙げられる。これらの中で、特にビニル単量体(ビニル化合物、ビニリデン化合物、ビニレン化合物)の付加重合により得られる水不溶性ビニルポリマー粒子が好ましい。
【0060】
水不溶性ポリマー粒子として使用する水不溶性ポリマーは、塩生成基含有モノマーと、マクロマー、及び/又は疎水性モノマーとを含むモノマー混合物を共重合させてなる水不溶性ポリマーが好ましい。
【0061】
塩生成基含有モノマーは、得られる分散体の分散安定性を高める観点から用いられる。塩生成基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基、アンモニウム基等が挙げられる。
【0062】
塩生成基含有モノマーとしては、カチオン性モノマー、アニオン性モノマー等が挙げられ、例えば、不飽和アミン含有モノマー、不飽和アンモニウム塩含有モノマー等が挙げられる。
【0063】
アニオン性モノマーの代表例としては、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。
【0064】
不飽和カルボン酸モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。不飽和スルホン酸モノマーとしては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。不飽和リン酸モノマーとしては、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。
【0065】
マクロマーは、特にポリマー粒子が顔料を含有した場合に、ポリマー粒子の分散安定性を高める観点から用いられる。マクロマーとしては、数平均分子量500〜100,000、好ましくは1,000〜10,000の重合可能な不飽和基を有するモノマーであるマクロマーが挙げられる。マクロマーの中では、ポリマー粒子の分散安定性等の観点から、片末端に重合性官能基を有する、スチレン系マクロマー及び芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマーが好ましい。
【0066】
スチレン系マクロマーとしては、スチレン系モノマー単独重合体、又はスチレン系モノマーと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。スチレン系モノマーとしては、スチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ビニルナフタレン、クロロスチレン等が挙げられる。
【0067】
芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマーとしては、芳香族基含有(メタ)アクリレートの単独重合体又はそれと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。
【0068】
疎水性モノマーは、印字濃度、光沢性、写像性の向上の観点から用いられる。疎水性モノマーとしては、アルキル(メタ)アクリレート、芳香族基含有モノマー等が挙げられる。
【0069】
アルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素数1〜22、好ましくは炭素数6〜18のアルキル基を有するものが好ましく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0070】
芳香族基含有モノマーとしては、ヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい、炭素数6〜22、好ましくは炭素数6〜12の芳香族基を有するビニルモノマーが好ましく、例えば、前記のスチレン系モノマー、前記の芳香族基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。ヘテロ原子を含む置換基としては、前記のものが挙げられる。
【0071】
モノマー混合物としては、更に、ノニオン性(メタ)アクリレート系モノマーが含有されても良く、そのの代表例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エチレングリコール・プロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0072】
本発明に使用される着色剤としては、例えば、シアン顔料、イエロー顔料、マゼンタ顔料等を挙げることができる。
【0073】
シアン顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー1、2、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、及びC.I.バットブルー4、60等が挙げられる。これらシアン顔料は、単独でも、2種以上混合して用いることができる。
【0074】
イエロー顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、35、37、42、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、128、138、147、150、153、155、174、180、188、198等が挙げられる。これらイエロー顔料は、単独でも、2種以上混合して用いることができる。
【0075】
マゼンタ顔料としては、C.I.ピグメントレッド、1、3、5、8、9、16、17、19、22、38、57:1、90、112、122、123、127、146、184、202、207、209、及びC.I.ピグメントバイオレット1、3、5:1、16、19、23、38等が挙げられる。これらマゼンタ顔料は、単独でも、2種以上混合して用いることができる。
【0076】
なお、カラーインデックスに記載されていない顔料であっても水に不溶であればいずれも使用できる。
【0077】
本実施形態に係るインク組成物に使用される着色剤の配合量は、発色性と目詰まり回復性の観点から、0.1重量%〜15重量%であることが好ましく、より好ましくは、0.5重量%〜8重量%である。
【0078】
本実施形態に係るインク組成物は、主溶媒としての水を含む。水としては、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水等の純粋又は超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を、紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌処理した水は、長期間に亘ってカビやバクテリアの発生が防止されるので好ましい。
【0079】
本実施形態に係るインク組成物は、記録媒体への濡れ性を高めて有機顔料の浸透性を高める観点から、浸透促進剤を添加することが好ましい。浸透促進剤としては、1,2−アルカンジオール及び/またはグリコールエーテルを含有することが好ましい。1,2−アルカンジオールの具体的な例としては、1,2−オクタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、4−メチル−1,2−ペンタンジオール等が挙げられる。また、グリコールエーテルの具体的な例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル等が挙げられる。これらの溶剤は、1種又は2種以上を用いることができ、適切な浸透性及び乾燥性の確保という観点で、インク組成物中に2重量%〜15重量%含まれることが好ましい。
【0080】
さらに、浸透促進剤のその他の好ましい例としては、表面張力調整剤を挙げることができる。表面張力調整剤としては、アセチレングリコール系界面活性剤やポリエーテル変性シロキサン類が好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤の例としては、サーフィノール420、440、465、485、104、STG(エアープロダクツ社製品)、オルフィンPD−001、SPC、E1004、E1010(日信化学工業(株)製品)、アセチレノールE00、E40、E100、LH(川研ファインケミカル(株)製品)等が挙げられる。またポリエーテル変性シロキサン類としては、BYK−346、347、348、UV3530(ビックケミー社製品)などが挙げられる。これらは、インク組成物中に1種又は2種以上を用いることができ、表面張力20mN/m〜40mN/mに調整されることが好ましく、インク組成物中には0.1重量%〜3.0重量%含まれる。
【0081】
また、本実施形態に係るインク組成物は、インク組成物の乾燥を防いでインクジェットプリンタのヘッドでの目詰りを防止する観点から、湿潤剤を添加することが好ましい。湿潤剤としては、例えば、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレンフリコール、ジプロピレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール等の多価アルコール類、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール(ソルビット)、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等の糖類、糖アルコール類、ヒアルロン酸類、1,2−ジメチル尿素、尿素類、エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、スルホラン等が挙げられる。これらは、インク組成物中に1種又は2種以上を用いることができ、インク組成物の適正な物性値(粘度等)の確保、印刷品質、信頼性の確保という観点で、インク組成物中に10重量%〜50重量%含まれることが好ましい。
【0082】
さらに、本実施形態に係るインク組成物には、pH調整剤、防腐剤、防カビ剤、防錆剤、溶解助剤、酸化防止剤等から選ばれる材料を所望により添加することができる。これらの成分は、各種別に一種又は二種以上を混合して用いることができる。また、添加する必要がなければ添加しなくてもよい。当業者は本発明の効果を損なわない範囲で、選択された好ましい添加剤を好ましい量で用いることができる。
【0083】
pH調整剤としては、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物、アンモニア、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン等のアミン類等を用いることができるが、好ましくは、アルカリ金属の水酸化物、アンモニア、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミンから選択される少なくとも1種類のpH調整剤を含み、pH6〜10に調整されることが好ましい。pHがこの範囲を外れると、インクジェットプリンタを構成する材料等に悪影響を与えたり、目詰まり回復性が劣化する。
【0084】
防腐剤又は防カビ剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、及び1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン(AVECIA社のプロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL−2、及びプロキセルTN(以上商品名)等を例示できるが、これらに限定されない。
【0085】
溶解助剤とは、インク組成物から不溶物が析出する場合に、その不溶物を溶解し、インク組成物を均一な溶液に保つための添加剤である。溶解助剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドンなどのピロリドン類、尿素、チオ尿素、テトラメチル尿素などの尿素類、アロハネート、メチルアロハネート等のアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレットなどのビウレット類などを挙げることができるがこれらに限定されない。
【0086】
酸化防止剤の例としては、L−アスコルビン酸及びその塩類等が例示できるが、これらに限定されない。
【実施例1】
【0087】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0088】
(インクカートリッジの構造例)
次に、図面を参照しながら、本発明によるインクカートリッジの実施形態を説明する。
【0089】
図1は本発明に係るインクカートリッジの外観斜視図、図2は図1に示したインクカートリッジを表面側から見た分解斜視図、図3は図1に示したインクカートリッジを背面側から見た分解斜視図、図4は容器本体の内部を表面側から見た模式図、図5は図4のA−A断面矢視図、図6は容器本体の内部を背面側から見た模式図、図7は大気開放流路の概念図、図8は大気流入側の連通口の拡大断面図、図9は大気流入側の連通口の変形例を表す拡大断面図である。
【0090】
本実施形態に係るインクカートリッジ100は、不図示のインクジェット式プリンタにおいて、液体噴射部である印刷ヘッドが搭載されたキャリッジ上のカートリッジ装着部に装着される液体収容容器である。
【0091】
このインクカートリッジ100は、図1乃至図3に示すように、容器本体21内に設けられインク(液体)を収容するインク室(液体収容部)23と、カートリッジ装着部側の印刷ヘッドに接続されるインク供給部(液体供給部)25と、インク室23に貯留したインクをインク供給部25に誘導するインク誘導路27と、インク室23内のインクの消費に伴って外部に開口した大気開放孔29から大気をインク室23に導入する大気開放流路102と、大気開放流路102の途中に設けられて該大気開放流路102に浸入したインクを貯留可能な複数の空気室31a,31b,31cと、を備える大気開放タイプのインクカートリッジである。
【0092】
更に、本実施形態の大気開放流路102は、空気室31cと大気開放孔29との間に設けられる通気フィルム(気液分離膜)33aを貼設した気液分離部33と、気液分離部33と大気開放孔29との間に蛇行状態に形成した連通路部分であるヘビ道35と、を備える。そこで、大気開放流路102は、インク室23のインクの消費に伴って、大気開放孔29、ヘビ道35、気液分離部33、空気室31a,31b,31cを順次通過させた大気をインク室23へ導入する。
【0093】
図2及び図3に示すように、一体成形された容器本体21の表裏には、隔壁37a,37b,37c,37d・・・等に密接してフィルム(封止部材)39a,39bが貼着され、フィルム39a,39bは容器本体21の表裏開放部を塞いでインク室23、空気室31a,31b,31c、インク誘導路27等を区画形成する。また、フィルム39aに封止された容器本体21の表面には、さらに蓋部材41が係着される。
【0094】
筒状に形成されたインク供給部25は、内部に弁体43が内設され、供給開口45aを有した供給蓋45によって閉鎖される。
【0095】
弁体43はコイルバネ47によって供給蓋45側に付勢されることで、供給開口45aを閉鎖している。この供給蓋45は、封止フィルム49によって供給開口45aが封止されている。
【0096】
なお、本実施形態のインクカートリッジ100は、受圧板収容部61、コイルバネ63及び受圧板65から成る圧力調整手段を有すると共に、キャリッジ上のカートリッジ装着部にインクカートリッジ100を着脱するためのレバー51や、インク消費量等を書き込むための回路基板53や、大気開放孔29を塞ぐ剥離可能な封止フィルム55を有している。回路基板53上には、複数の電極端子53aが形成されており、これら電極端子53aがプリンタに設けられた電極部材(不図示)と接触することにより、インクカートリッジ100が電気的にインクジェットプリンタと接続される。回路基板53は、インクカートリッジ100内に設置されたインクエンドを検出するセンサユニット(不図示)と接続されており、センサユニットとインクとの接触の有無よりインクエンドの信号をプリンタ本体に通知する。
【0097】
例えば、インクが泡立ちしやすい場合には、インクの有無を検出するセンサユニットが泡によって誤動作を起こしてしまう。本発明のインクカートリッジによるインクの起泡性はJISK3362に基づいた25℃における5分後の泡の高さが50mm以下であることにより、このようなセンサユニットの誤動作を低減するという効果も有する。
【0098】
図2及び図3に示した容器本体21に形成される大気開放流路102を模式的に表すと図4〜図6に示す通りとなる。
【0099】
すなわち、インク室23の連通口71は、容器本体21の背面側に設けた連通流路72を介して表面側に設けた連通流路73の連通口75に通じ、連通流路73は連通口77を介して空気室31aに通じる。
【0100】
空気室31aは連通口79を介して背面側の空気室31bに通じ、空気室31bは連通口81を介して表面側の連通流路83に通じる。
【0101】
連通流路83は連通口85を介して背面側の空気室31cに通じ、空気室31cは連通口87を介して表面側の連通流路89に通じる。
【0102】
連通流路89は連通口91を介して背面側の連通流路90に通じ、連通流路90は表面側の連通流路91を介して背面側の気液分離部33に通じる。
【0103】
そして、通気フィルム33aを備えた気液分離部33はヘビ道35に通じ、その末端で大気開放孔29となって大気開放される。
【0104】
このような大気開放流路102を更に概念的に表すと図7の通りとなる。ここで、例えば空気室31a(空気室31b,31cも同様)の大気流入側における連通口79(連通口81,87も同様)は、図8に示すように、空気室31aの内壁面93から突出した円柱状の突起95の先端面95aに開口されている。尚、突起95は円柱状に限るものではなく、先端面が内壁面から適宜離れていれば多角柱状、円錐状或いは多角錐状に形成することもできる。
【0105】
このような構成のインクカートリッジ100によれば、インク室23のインクが空気室31aの大気流出側の連通口77を通過して空気室31aに溜まっても、大気流入側の連通口79にインクが到達するまでの時間は突起95の高さ分遅くなる。
【0106】
即ち、大気流入側の連通口79が鉛直方向を向いている容器放置状態では、空気室31aに流入したインクが突起95の高さhまで溜まった後、突起95の先端面95aに開口する大気流入側の連通口79から流出する。これにより、大気流入側の連通口79からインクが次の空気室31bに流出するまでの時間が遅延される。
【0107】
また、容器本体の落下やカートリッジ装着部への着脱による衝撃、移動時の姿勢変化やキャリッジ動作による慣性力、或いはインク室内の空気膨張などによって簡単に壊れてしまう従来のインクカートリッジの連通口7に形成されるメニスカス(図10参照)とは違い、本実施形態のインクカートリッジ100は空気室31aにおける大気流入側の連通口79からの液体の漏れを安定的に阻止することができる。
【0108】
更に、本実施形態のインクカートリッジ100に係る大気開放流路102においては、複数個の空気室31a,31b,31cが設けられ、隣接する各空気室同士が連通口79,80及び連通流路83により連通されている。
【0109】
そこで、容器本体21内の限られたスペースにおいても、インクを貯留する為の空気室全体の容積確保が容易になる。
【0110】
また、それぞれの空気室31a,31b,31cの大気流入側における連通口79,81,87が、各空気室の内壁面から突出した突起(例えば、図8の突起95参照)の先端面に開口されている。
【0111】
そこで、最も大気流入側の連通口87からインクが流出するまでの時間を更に遅延させることができる。
【0112】
更に、それぞれの連通口79,81,87を適宜異なる方向へ開口させることによって、色々な容器放置姿勢への対応が可能となり、空気室31a,31b,31cからのインクの漏洩を確実に阻止することができる。
【0113】
例えば、本実施形態のインクカートリッジ100のように、容器本体21が偏平な略直方体に形成される薄型カートリッジの場合、ユーザーによって最も置かれる可能性が高い方向というのは、容器本体21の広い面(表裏面のいずれか)を下にした姿勢(すなわち、厚み方向を鉛直方向とする姿勢)であるので、容器本体21内部の突起95が鉛直方向を向く。そこで、容器本体21の厚み方向に突起95を突出させることで、インクのトラップ率を高くすることができる。
【0114】
更に、それぞれの空気室31a,31b,31cの突起95を互い違いの方向に突出させることで、インクカートリッジ100の最も広い表裏面のどちらかが下になるように置かれた際には、いずれかの空気室31a,31b,31cにおける突起95が溜まったインクの液面から突出し、いずれかの先端面95aの連通口79,85,87がインク液面の上に配置されることとなる。これにより、インクのトラップ率を一律に高くすることができる(図5参照)。
【0115】
また、本実施形態の大気開放流路102においては、空気室31a(空気室31b,31cも同様)の大気流出側の連通口77(連通口80,85も同様)が、空気室31a(31b,31c)の内壁面97と同一平面上に開口されている(図8参照)。
【0116】
そこで、空気室31a(31b,31c)における大気流入側の連通口79(81,87)がインクを流出させ難いトラップ構造となっているのに対し、大気流出側の連通口77(80,85)はインクの浸入が容易な構造となり、空気室31a(31b,31c)に溜まったインクは、浸入の容易な大気流出側の連通口77(80,85)を通過して再びインク室23へ回収され易くなる。
【0117】
本実施形態のインクカートリッジ100においては、図3及び図6に示すように、空気室31cより大気開放孔29側における大気開放流路102の途中に、空気の通過を許容しインクの通過を許容しない通気フィルム33aを備えた気液分離部33が設けられ、気液分離部33より大気開放孔29側における大気開放流路102の途中に、蛇行状態に形成した連通路部分であるヘビ道35が設けられている。
【0118】
そこで、万が一空気室31cからインクが漏れだしたとしても、通気フィルム33aによってインクのカートリッジ外部への漏洩を確実に防止することができる。また、ヘビ道35によっても、インクのインクカートリッジ外部への漏洩を遅らせる効果が期待できると共に、通気フィルム33aと大気開放孔29との間の空気流通を疎遠にすることで、インクの蒸発を少なくすることができる。
【0119】
また、空気室からの液体の漏れを遅らせると共に、気液分離膜によって液体の外部への漏洩が確実に防止されているので、連通路部分に液体が入り込んで液体供給部に対する動圧を著しく変化させることもない。
【0120】
更に、各空気室31a(31b,31c)からのインクの漏れは、上述したように安定的に阻止されているので、通気フィルム33aはインクに接触して通気性能が悪化するまでの時間を稼ぐことができ、長期間にわたって安定した通気性能を維持することができる。また、各空気室31a(31b,31c)からのインクの漏れが安定的に阻止されると共に、通気フィルム33aによってインクのカートリッジ外部への漏洩が確実に防止されているので、へび道35にインクが入り込んでインク供給部25に対する動圧を著しく変化させることもない。
【0121】
また、本実施形態のインクカートリッジ100のように、容器本体21が上下金型によって一体成形される場合、上下金型の型開き方向に突起95の突出方向の軸線が平行とされる。これにより、軸線方向任意位置での直交断面形状が同一である突起95は、上金型と下金型の型開き方向と軸線が一致する。そこで、容器本体21を一体成形する際には、突起95を成形する為のスライド金型が必要となることはなく、型抜き性も良好になるので、容器本体21の製造を容易にできる。
【0122】
また、図8に示すように、本実施形態のインクカートリッジ100において、突起95の先端面95aと側面95bとが交わるエッジ部95cは、断面が角になっている。即ち、突起95の先端面95aと側面95bとが交わるエッジ部95cには、Rや面取りが施されていない。
【0123】
そこで、突起95が鉛直方向を向いている容器放置状態では、表面張力により突起95の側面95bを上方へ這い上がったインクが、エッジ部95cの角によって突起95の先端面95aへの回り込みを阻止される。従って、空気室31aにインクが溜まっても、突起95の突出高さhまではインクが大気流入側の連通口79に浸入することはない。
【0124】
更に、図9に示すように、突起95の突出高さhは、インクによるメニスカスが対向内壁面(フィルム39aや内壁面97)との間に生じない間隙tを残す高さとすることもできる。
【0125】
この場合、容器本体21の落下やカートリッジ装着部への着脱による衝撃、移動時の姿勢変化やキャリッジ動作による慣性力等により空気室31aに溜まったインクが突起95の先端面95aに接触しても、インクが毛細管引力によって対向内壁面であるフィルム39aとの間にメニスカスを形成することがなく、先端面95aに開口する連通口79へはインクが浸入し難くなる。
【0126】
したがって、上記のインクカートリッジ100によれば、容器本体21に対する衝撃や慣性力、内外圧変化に対して強く、空気室31a,31b,31cにそれぞれ溜まったインクが大気流入側の連通口79,81,87から流出する時間を遅延させることができる良好なインクカートリッジを提供できる。
【0127】
その結果、本実施形態のインクカートリッジ100を用いたインクジェット式プリンタによれば、インク供給部25に対する動圧変化が抑止され、高品質の印刷を維持し続けることができる。
【0128】
(インク実施例)
以下の製造例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り「重量部」及び「重量%」である。
【0129】
インク実施例1
(1)顔料分散液の製造
反応容器内に、メチルエチルケトン25重量部、重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.04重量部、メタクリル酸(三菱ガス化学株式会社、商品名GE−110(MAA))15重量部、スチレンマクロマー(東亜合成株式会社、商品名AS−6S)15重量部、2−エチルヘキシルメタクリレート(三菱レイヨン株式会社、商品名アクリエステルEH)30重量部、スチレンモノマー(新日鉄化学株式会社、商品名スチレンモノマー)25重量部、及びメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート15重量部のうちのそれぞれ10重量%ずつを入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行い、混合溶液を得た。
【0130】
一方、滴下ロート中に、上記各モノマーの残り90重量%ずつを仕込み、次いで重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.27重量部、メチルエチルケトン60重量部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.2重量部を入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行い、混合溶液を得た。
【0131】
窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら75℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を3時間かけて徐々に反応容器内に滴下した。滴下終了後、その混合溶液の液温を75℃で2時間維持した後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.3重量部をメチルエチルケトン5重量部に溶解した溶液を該混合溶液に加え、更に75℃で2時間、85℃で2時間熟成させ、ポリマー溶液を得た。
【0132】
得られたポリマー溶液の一部を、減圧下、105℃で2時間乾燥させ、溶媒を除去することによって単離した。標準物質としてポリスチレン、溶媒として60mmol/Lのリン酸及び50mmol/Lのリチウムブロマイド含有ジメチルホルムアミドを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより重量平均分子量を求めたところ、121,000であった。
【0133】
得られた共重合体溶液を減圧乾燥させて得られた共重合体30重量部を、メチルエチルケトン75重量部に溶かし、その中にイオン交換水220重量部と水酸化ナトリウム(30%水溶液)を所定量(塩生成基の中和度が65%になる量)加えて共重合体の一部を中和し、更に顔料としてC.I.ピグメントバイオレット19を70重量部を加え、ビーズミルで混練して、本分散させた。
【0134】
得られた分散液に、イオン交換水240重量部を加え、攪拌した後、減圧下60℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去した。
【0135】
得られた顔料含有ポリマー粒子の水分散体40部と水不溶性有機化合物であるジブチルセバケート1部と混合・攪拌することでジブチルセバケートをポリマー粒子中に含有させ、メンブランフィルターで濾過することにより、固形分濃度が20%の水不溶性有機化合物と顔料を水不溶性ポリマー粒子の含有した顔料分散液を得た。
【0136】
(2)インク組成物の製造
実施例1(1)で得られた顔料分散液(固形分濃度20重量%)30重量部、トリエチレングリコールモノブチルエーテル4重量部、1,2−ヘキサンジオール2重量部、オルフィンE1010(日信化学工業化学株式会社製)1重量部、グリセリン15重量部、トリメチロールプロパン3重量部、及びイオン交換水45重量部を混合した。
【0137】
得られた混合液を10μmのメンブランフィルターでろ過して、実施例1のインク組成物とした。
【0138】
(3)インクカートリッジの製造
記実施例1(2)で調製したインクを、前記「インクカートリッジの構造例」で説明したカートリッジ100に注入することで、実施例1のインクカートリッジを得た。
【0139】
インク実施例2
(1)顔料分散液の製造
実施例2では、顔料としてC.I.ピグメントバイオレット19の代わりにC.I.ピグメントブルー15:4を用いたこと、水不溶性有機化合物であるジブチルセバケートを使用しなかったこと以外は実施例1(1)と同様の方法で、固形分濃度が20重量%の顔料を水不溶性ポリマー粒子に含有した顔料分散液を得た。
【0140】
(2)インク組成物の製造
実施例2(1)で得られた顔料分散液(固形分濃度20重量%)を用いた以外は実施例1(2)と同様の組成物および方法で実施例2のインク組成物を得た。
【0141】
(3)インクカートリッジの製造
記実施例2(2)で調製したインクを、前記「インクカートリッジの構造例」で説明したカートリッジ100に注入することで、実施例2のインクカートリッジを得た。
【0142】
(インク比較例)
比較例1
(1)顔料分散液の製造
顔料としてのC.I.ピグメントバイオレット19と、分散剤としてのスチレン−アクリル樹脂(ジョンソンポリマー社製ジョンクリル61J)と、を混合し、サンドミル(安川製作所社製)中でガラスビーズ(直径1.7mm、混合液の1.5倍量(重量))とともに2時間分散させた。分散後、ガラスビーズを取り除き、他の溶剤及び水を加え、常温で30分攪拌し、8μmのメンブレンフィルターでろ過して、固形分濃度が20%の顔料分散液を得た。
【0143】
(2)インク組成物の製造
比較例1(1)で得られた顔料分散液(固形分濃度20重量%)30重量部、トリエチレングリコールモノブチルエーテル4重量部、1,2−ヘキサンジオール2重量部、オルフィンE1010(日信化学工業化学株式会社製)1重量部、グリセリン15重量部、トリメチロールプロパン3重量部、及びイオン交換水45重量部を混合した。
【0144】
得られた混合液を10μmのメンブランフィルターでろ過して、比較例1のインク組成物とした。
【0145】
(3)インクカートリッジの製造
前記比較例1(2)で調製したインクを、前記「インクカートリッジの構造例」で説明したカートリッジ100に注入することで比較例1のインクカートリッジを得た。
【0146】
比較例2
(1)顔料分散液の製造
比較例2では比較例1(1)と同様の顔料分散液を使用した。
【0147】
(2)インク組成物の製造
比較例1(1)で得られた顔料分散液(固形分濃度20重量%)30重量部、水不溶性有機化合物であるジブチルセバケート1部、トリエチレングリコールモノブチルエーテル4重量部、1,2−ヘキサンジオール2重量部、オルフィンE1010(日信化学工業化学株式会社製)1重量部、グリセリン15重量部、トリメチロールプロパン3重量部、及びイオン交換水44重量部を混合した。
【0148】
得られた混合液を10μmのメンブランフィルターでろ過して、比較例2のインク組成物とした。
【0149】
(3)インクカートリッジの製造
前記比較例2(2)で調製したインクを、前記「インクカートリッジの構造例」で説明したカートリッジ100に注入することで比較例2のインクカートリッジを得た。
【0150】
次に実施例、および比較例の各インク組成物、又はインクカートリッジについて、1.JISK3362に基づいた25℃における起泡性評価、2.印字安定性評価、3.保存安定性評価を実施した。
【0151】
(1)JISK3362に基づいた起泡性評価
実施例、および比較例の各インク組成物について、以下の要領により起泡性評価を行った。
【0152】
25℃の環境でインク200mlを900mmの高さから50mlのインクを入れた目盛り管中に30秒間かけて流下させ、そのとき発生した泡の高さを測定した。評価結果を表1に示す。
【0153】
(2)印字安定性評価
実施例、および比較例の各インクカートリッジついて、以下の要領により印字安定性評価を行った。
【0154】
1mの高さから自然落下により5回地上に落下させ、そのまま一日放置した後、インクジェットプリンタPX−A720(セイコーエプソン株式会社製)にセットして、ベタの印字パターンを20枚連続して印字を実施し、その印字安定性を評価した。評価結果を表1に示す。
【0155】
A:20枚の連続印字を通して、全く印字抜けやムラが無い。
B:20枚の連続印字の中で、少なくとも1〜4枚に印字抜けやムラが発生する。
C:20枚の連続印字の中で、少なくとも5枚以上に印字抜けやムラが発生している。
上記の評価方法により、自然落下の衝撃によりインクカートリッジの空気室から泡やインクが漏れ出し、通気フィルム33aに付着すると、その通気性能が悪化することにより吐出が不安定になると推定される。
【0156】
(3)保存安定性評価
実施例、および比較例の各インクカートリッジについて、以下の要領により保存安定性の評価を行った。
【0157】
60℃の環境下で各インクカートリッジを2週間放置した。放置後の異物(浮遊物又は沈降物)の有無を目視観察し、異物の発生がないものについては、更に物性(粘度、表面張力、pH、粒子径)の変化について調べ、下記の基準に基づき保存安定性を評価した。評価結果を表1に示す。
【0158】
A:異物の発生がなく、物性の変化もない。
B:異物の発生はないが、物性が若干変化する。
C:異物が発生するか、物性が著しく変化する。
【0159】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】図1は本発明に係る液体収容容器の外観斜視図。
【図2】図1に示した液体収容容器を表面側から見た分解斜視図。
【図3】図1に示した液体収容容器を背面側から見た分解斜視図。
【図4】容器本体の内部を表面側から見た模式図。
【図5】図4のA−A断面矢視図。
【図6】容器本体の内部を背面側から見た模式図。
【図7】大気開放流路の概念図。
【図8】大気流入側の連通口の拡大断面図。
【図9】大気流入側の連通口の変形例を表す拡大断面図。
【図10】従来の液体収容容器における大気流入側の連通口の拡大断面図。
【符号の説明】
【0161】
21…容器本体、23…インク室(液体収容部)、25…インク供給部(液体供給部)、29…大気開放孔、31a,31b,31c…空気室、33a…通気フィルム(気液分離膜)、35…ヘビ道(蛇行状態に形成した連通路部分)、77,80,85…空気室の大気流出側の連通口、79,81,87…空気室の大気流入側の連通口、93,97…空気室の内壁面、95…突起、95a…先端面、95b…側面、95c…エッジ部、100…インクカートリッジ(液体収容容器)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内に収容されたインクと、容器内に設けられインクを収容するインク収容部と、前記インク収容部に連通するインク供給部と、前記インク収容部内のインクの消費に伴って外部に開口した大気開放孔から大気を前記インク収容部に導入する大気開放流路と、前記大気開放流路の途中に設けられ該大気開放流路に浸入したインクを貯留可能な空気室とを備えたインクカートリッジであって、
前記空気室の大気流入側における連通口が、該空気室の内壁面から突出した突起の先端面に開口されており、
且つ前記容器内収容されたインクの起泡性がJISK3362に基づいた25℃における5分後の泡の高さが50mm以下であることを特徴とするインクジェット記録用インクカートリッジ。
【請求項2】
前記容器内に収容されたインクが、少なくとも、水、着色剤、および水不溶性ポリマー粒子を含有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用インクカートリッジ。
【請求項3】
前記容器内に収容されたインクが、少なくとも、水、着色剤、水不溶性ポリマー粒子、および水不溶性有機化合物を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録用インクカートリッジ。
【請求項4】
前記空気室より大気開放孔側における前記大気開放流路の途中に、気体の通過を許容し液体の通過を許容しない気液分離膜が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インクカートリッジ。
【請求項5】
前記気液分離膜より大気開放孔側における前記大気開放流路の途中に、蛇行状態に形成した連通路部分が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インクカートリッジ。
【請求項6】
前記空気室が複数個設けられ、隣接する各空気室同士が連通されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インクカートリッジ。
【請求項7】
前記空気室の大気流出側における連通口が、該空気室の内壁面と同一平面上に開口されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インクカートリッジ。
【請求項8】
前記水不溶性ポリマー粒子が、塩生成基含有モノマーと、マクロマー及び/又は疎水性モノマーを含むモノマー混合物を共重合させてなる水不溶性ポリマー粒子であることを特徴とする請求項2〜7のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インクカートリッジ。
【請求項9】
前記水不溶性有機化合物が、分子中に、エステル又はエーテル結合を2個以上有する、エステル又はエーテル化合物、及び/又は分子中に、エステル又はエーテル結合を1個以上と、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸残基、カルボニル基、エポキシ基及び水酸基からなる群から選ばれる1種以上の官能基を1個以上有する、エステル又はエーテル化合物でことを特徴とする請求項3〜8のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インクカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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