説明

インクジェット記録用水性インク、インクカートリッジ、インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置

【課題】 アンキャップ状態のヘッドに放置したときの吐出安定性、紙面乾燥性に優れ、かつ、インクジェット記録装置内のゴム部材等に由来する化合物の水性インク中への溶出が抑制されたインクジェット記録用水性インクを提供する。
【解決手段】 着色剤、水、浸透剤及び湿潤剤を含むインクジェット記録用水性インクであって、浸透剤は、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル及びペンタエチレングリコールモノブチルエーテルを含み、水性インクにおけるテトラエチレングリコールモノブチルエーテル(X)及びペンタエチレングリコールモノブチルエーテル(Y)の重量比(X:Y)が、X:Y=50:50〜90:10、合計配合量(X+Y)が、X+Y=1重量%〜10重量%であり、湿潤剤が、グリセリンと、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールからなる群から選択される少なくとも一つのアルキレングリコール類とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録用水性インク、インクカートリッジ、インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、記録媒体上での乾燥速度を調整する浸透剤として、トリエチレングリコールモノブチルエーテルを配合したインクジェット記録用水性インクが汎用されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−7458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記水性インクは、アンキャップ状態のヘッドに放置したときの吐出安定性、紙面乾燥性に優れる。アンキャップ状態のヘッドに放置したときの吐出安定性に問題があると、アンキャップ状態でヘッドを放置した場合において、できるだけ長時間吐出の安定性を維持したいところ、所望の維持時間よりも短時間で水性インクが増粘して吐出特性が悪化してしまう。また、前記紙面乾燥性とは、水性インクを記録媒体上に吐出させたときの乾燥のしやすさを意味する。しかし、前記水性インクでは、インクジェット記録装置を形成する材料に由来する化合物が、前記水性インク中に溶出することがある。前記インクジェット記録装置を形成する材料としては、例えば、ゴム部材及びゴム材料以外の有機材料部材があげられる。前記ゴム部材としては、例えば、ワイパ及びキャップがあげられる。前記ワイパは、例えば、インクジェットヘッドのノズル面を払拭するものである。前記キャップは、例えば、前記ノズル面と外界とを遮断するものである。前記ゴム部材等に由来する化合物が前記水性インク中へ溶出すると、前記水性インク中に前記化合物が析出する場合がある。前記化合物が析出すると、例えば、前記インクジェットヘッドのノズルが目詰まりするおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、アンキャップ状態のヘッドに放置したときの吐出安定性、紙面乾燥性に優れ、かつ、インクジェット記録装置内のゴム部材等に由来する化合物の水性インク中への溶出が抑制されたインクジェット記録用水性インクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明のインクジェット記録用水性インクは、着色剤、水、浸透剤及び湿潤剤を含むインクジェット記録用水性インクであって、
前記浸透剤は、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル(tetra−PB)及びペンタエチレングリコールモノブチルエーテル(penta−PB)を含み、
前記水性インクにおけるtetra−PB(X)及びpenta−PB(Y)の重量比(X:Y)が、X:Y=50:50〜90:10であり、
前記水性インク全量に対するtetra−PB(X)及びpenta−PB(Y)の合計配合量(X+Y)が、X+Y=1重量%〜10重量%であり、
前記湿潤剤が、グリセリンと、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールからなる群から選択される少なくとも一つのアルキレングリコール類(以下、「アルキレングリコール類」と言うことがある。)とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のインクジェット記録用水性インクは、浸透剤として、tetra−PB及びpenta−PBを、前記特定の重量比で、かつ、前記水性インク全量に対し前記特定の割合で用いているため、アンキャップ状態のヘッドに放置したときの吐出安定性、紙面乾燥性に優れ、かつ、インクジェット記録装置内のゴム部材等に由来する化合物の水性インク中への溶出も抑制され、特に、アンキャップ状態のヘッドに放置したときの吐出安定性が更に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明のインクジェット記録装置の構成の一例を示す模式図である。
【図2】図2は、本発明の実施例におけるメニスカス耐圧の評価方法を説明する摸式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明において、「メニスカス耐圧」とは、不吐出時にインクジェットヘッドのノズルに圧力をかけたとき、ノズルから水性インクが漏れることのない圧力の最高値を意味する。メニスカス耐圧が高い程、ノズルからの水性インクの漏出が抑制され、記録媒体及びインクジェット記録装置内部を水性インクで汚すことがなく、好ましい。
【0010】
本発明において、「フラッシング回復性」は、不吐出が一定期間(例えば、24時間以上)継続した後に、正常な吐出状態まで回復させるのに必要なフラッシングにより吐出される水性インクの吐出量で評価され、前記吐出量が少ないほど、フラッシング回復性に優れていると言える。
【0011】
前述のとおり、本発明のインクジェット記録用水性インク(以下、「水性インク」又は「インク」と言うことがある。)は、着色剤、水、浸透剤及び湿潤剤を含む。本発明の水性インクは、着色剤、水、浸透剤及び湿潤剤以外のその他の成分を含んでもよい。
【0012】
前記着色剤は、顔料又は染料のいずれであってもよい。また、前記着色剤として、顔料及び染料を混合して用いてもよい。
【0013】
前記顔料は、例えば、カーボンブラック、無機顔料及び有機顔料等があげられる。前記カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等があげられる。前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄系無機顔料及びカーボンブラック系無機顔料等をあげることができる。前記有機顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料;フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料;塩基性染料型レーキ顔料、酸性染料型レーキ顔料等の染料レーキ顔料;ニトロ顔料;ニトロソ顔料;アニリンブラック昼光蛍光顔料;等があげられる。また、その他の顔料であっても水相に分散可能なものであれば使用できる。これらの顔料の具体例としては、例えば、C.I.ピグメントブラック1、6及び7;C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14、15、16、17、55、78、150、151、154、180、185及び194;C.I.ピグメントオレンジ31及び43;C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、12、15、16、48、48:1、53:1、57、57:1、112、122、123、139、144、146、149、166、168、175、176、177、178、184、185、190、202、221、222、224及び238;C.I.ピグメントバイオレット196;C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、22及び60;C.I.ピグメントグリーン7及び36等があげられる。
【0014】
前記顔料は、自己分散型顔料であってもよい。前記自己分散型顔料は、例えば、顔料粒子にカルボニル基、ヒドロキシル基、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基等の親水性官能基及びそれらの塩の少なくとも一種が、直接又は他の基を介して化学結合により導入されていることによって、分散剤を使用しなくても水に分散可能なものである。前記自己分散型顔料は、例えば、特開平8−3498号公報、特表2000−513396号公報、特表2008−524400号公報、特表2009−515007号公報等に記載の方法によって顔料が処理されたものを用いることができる。前記自己分散型顔料の原料としては、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。また、前記処理を行うのに適した顔料としては、例えば、三菱化学(株)製の「MA8」及び「MA100」、デグサ社製の「カラーブラックFW200」等のカーボンブラックがあげられる。前記自己分散型顔料は、例えば、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ社製の「CAB−O−JET(登録商標)200」、「CAB−O−JET(登録商標)250C」、「CAB−O−JET(登録商標)260M」、「CAB−O−JET(登録商標)270Y」、「CAB−O−JET(登録商標)300」、「CAB−O−JET(登録商標)400」、「CAB−O−JET(登録商標)450C」、「CAB−O−JET(登録商標)465M」及び「CAB−O−JET(登録商標)470Y」;オリエント化学工業(株)製の「BONJET(登録商標)BLACK CW−2」及び「BONJET(登録商標)BLACK CW−3」;東洋インキ製造(株)製の「LIOJET(登録商標)WD BLACK 002C」;等があげられる。
【0015】
前記水性インク全量に対する前記顔料の固形分配合量(顔料固形分量)は、特に限定されず、例えば、所望の光学濃度又は色彩等により、適宜決定できる。前記顔料固形分量は、例えば、0.1重量%〜20重量%であり、好ましくは、1重量%〜10重量%であり、より好ましくは、2重量%〜8重量%である。
【0016】
前記染料は、特に限定されず、例えば、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料等があげられる。前記染料の具体例としては、例えば、C.I.ダイレクトブラック、C.I.ダイレクトブルー、C.I.ダイレクトレッド、C.I.ダイレクトイエロー、C.I.ダイレクトオレンジ、C.I.ダイレクトバイオレット、C.I.ダイレクトブラウン、C.I.ダイレクトグリーン、C.I.アシッドブラック、C.I.アシッドブルー、C.I.アシッドレッド、C.I.アシッドイエロー、C.I.アシッドオレンジ、C.I.アシッドバイオレット、C.I.ベーシックブラック、C.I.ベーシックブルー、C.I.ベーシックレッド、C.I.ベーシックバイオレット及びC.I.フードブラック等があげられる。前記C.I.ダイレクトブラックとしては、例えば、C.I.ダイレクトブラック17、19、32、51、71、108、146、154及び168等があげられる。前記C.I.ダイレクトブルーとしては、例えば、C.I.ダイレクトブルー6、22、25、71、86、90、106及び199等があげられる。前記C.I.ダイレクトレッドとしては、例えば、C.I.ダイレクトレッド1、4、17、28、83及び227等があげられる。前記C.I.ダイレクトイエローとしては、例えば、C.I.ダイレクトイエロー12、24、26、86、98、132、142及び173等があげられる。前記C.I.ダイレクトオレンジとしては、例えば、C.I.ダイレクトオレンジ34、39、44、46及び60等があげられる。前記C.I.ダイレクトバイオレットとしては、例えば、C.I.ダイレクトバイオレット47及び48等があげられる。前記C.I.ダイレクトブラウンとしては、例えば、C.I.ダイレクトブラウン109等があげられる。前記C.I.ダイレクトグリーンとしては、例えば、C.I.ダイレクトグリーン59等があげられる。前記C.I.アシッドブラックとしては、例えば、C.I.アシッドブラック2、7、24、26、31、52、63、112及び118等があげられる。前記C.I.アシッドブルーとしては、例えば、C.I.アシッブルー9、22、40、59、93、102、104、117、120、167、229及び234等があげられる。前記C.I.アシッドレッドとしては、例えば、C.I.アシッドレッド1、6、32、37、51、52、80、85、87、92、94、115、180、256、289、315及び317等があげられる。前記C.I.アシッドイエローとしては、例えば、C.I.アシッドイエロー11、17、23、25、29、42、61及び71等があげられる。前記C.I.アシッドオレンジとしては、例えば、C.I.アシッドオレンジ7及び19等があげられる。前記C.I.アシッドバイオレットとしては、例えば、C.I.アシッドバイオレット49等があげられる。前記C.I.ベーシックブラックとしては、例えば、C.I.ベーシックブラック2等があげられる。前記C.I.ベーシックブルーとしては、例えば、C.I.ベーシックブルー1、3、5、7、9、24、25、26、28及び29等があげられる。前記C.I.ベーシックレッドとしては、例えば、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14及び37等があげられる。前記C.I.ベーシックバイオレットとしては、例えば、C.I.ベーシックバイオレット7、14及び27等があげられる。前記C.I.フードブラックとしては、例えば、C.I.フードブラック1及び2等があげられる。
【0017】
前記水性インク全量に対する前記染料の配合量は、特に限定されず、例えば、0.1重量%〜20重量%であり、好ましくは、0.3重量%〜10重量%である。
【0018】
前記着色剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0019】
前記水は、イオン交換水又は純水であることが好ましい。前記水性インク全量に対する前記水の配合量(水割合)は、例えば、10重量%〜90重量%であり、好ましくは、40重量%〜80重量%である。前記水割合は、例えば、他の成分の残部としてもよい。
【0020】
前記浸透剤は、tetra−PB及びpenta−PBを含む。前記水性インクにおけるtetra−PB(X)及びpenta−PB(Y)の重量比(X:Y)は、X:Y=50:50〜90:10であり、前記水性インク全量に対するtetra−PB及びpenta−PBの合計配合量(X+Y)は、X+Y=1重量%〜10重量%である。このように、浸透剤として、tetra−PB及びpenta−PBを前記特定の重量比で、かつ、前記水性インク全量に対し前記特定の割合で用いた本発明の水性インクは、アンキャップ状態のヘッドに放置したときの吐出安定性、紙面乾燥性に優れ、かつ、インクジェット記録装置内のゴム部材等に由来する化合物の水性インク中への溶出も抑制される。さらに、本発明の水性インクでは、インクジェットヘッドのノズルにおけるメニスカス耐圧も向上する。前記重量比(X:Y)は、好ましくは、X:Y=70:30〜85:15であり、より好ましくは、X:Y=75:25〜80:20である。前記合計配合量(X+Y)は、好ましくは、X+Y=2重量%〜8重量%であり、より好ましくは、X+Y=2重量%〜5重量%である。
【0021】
本発明の水性インクは、tetra−PB及びpenta−PB以外の浸透剤を含んでもよい。
【0022】
前記湿潤剤は、グリセリンと、前記アルキレングリコール類とを含む。グリセリンを含む本発明の水性インクは、インクジェットヘッドのノズルにおけるフラッシング回復性に優れる。また、グリセリンと、前記アルキレングリコール類とを含む本発明の水性インクは、これらを含まない水性インクと比較して、アンキャップ状態のヘッドに放置したときの吐出安定性により優れる。前記水性インク全量に対するグリセリンの配合量は、特に限定されないが、例えば、1重量%〜40重量%であり、好ましくは、2重量%〜30重量%であり、より好ましくは、4重量%〜26重量%である。前記水性インク全量に対する前記アルキレングリコール類の配合量は、特に限定されないが、例えば、1重量%〜40重量%であり、好ましくは、1重量%〜30重量%であり、より好ましくは、2重量%〜20重量%である。前記水性インク全量に対するグリセリン及び前記アルキレングリコール類の合計配合量は、特に限定されないが、例えば、1重量%〜50重量%であり、好ましくは、10重量%〜40重量%であり、より好ましくは、20重量%〜30重量%である。
【0023】
本発明の水性インクは、グリセリン及び前記アルキレングリコール類以外の湿潤剤を含んでもよい。このような湿潤剤としては、例えば、テトラエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール等があげられる。
【0024】
本発明の水性インクは、揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds:VOC)の含有量が少ないため、一般的な水性インクと比べて環境負荷が低減され、ユーザに対する安全性がより高い。
【0025】
前記水性インクは、必要に応じて、さらに、従来公知の添加剤を含んでもよい。前記添加剤としては、例えば、界面活性剤、pH調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、防黴剤等があげられる。前記粘度調整剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性樹脂等があげられる。
【0026】
前記水性インクは、例えば、着色剤、水、tetra−PB、penta−PB、グリセリン及び前記アルキレングリコール類と、必要に応じて他の添加成分とを、従来公知の方法で均一に混合し、フィルタ等で不溶解物を除去することにより調製できる。
【0027】
つぎに、本発明のインクカートリッジについて説明する。本発明のインクカートリッジは、インクジェット記録用水性インクを含むインクカートリッジであって、前記水性インクが、本発明のインクジェット記録用水性インクであることを特徴とする。前記インクカートリッジの本体としては、例えば、従来公知のものを使用できる。
【0028】
つぎに、本発明のインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置について説明する。
【0029】
本発明のインクジェット記録方法は、記録媒体に水性インクをインクジェット方式により吐出して記録するインクジェット記録方法であって、前記水性インクとして、本発明のインクジェット記録用水性インクを用いることを特徴とする。
【0030】
本発明のインクジェット記録装置は、インク収容部及びインク吐出手段を含み、前記インク収容部に収容されたインクを前記インク吐出手段によって吐出するインクジェット記録装置であって、前記インク収容部に、本発明のインクジェット記録用水性インクが収容されていることを特徴とする。
【0031】
本発明のインクジェット記録方法は、例えば、本発明のインクジェット記録装置を用いて実施可能である。前記記録は、印字、印画、印刷等を含む。
【0032】
本発明のインクジェット記録装置は、例えば、ライン型インクジェットヘッドが搭載されたライン型インクジェット記録装置であってもよいし、シリアル型インクジェットヘッドが搭載されたシリアル型インクジェット記録装置であってもよい。前記ライン型インクジェット記録装置とは、記録媒体の幅以上の記録幅を持つライン型インクジェットヘッドを用い、前記ライン型インクジェットヘッドを固定した状態で前記記録媒体の幅方向の記録を一括して行うことができるインクジェット記録装置である。これに対し、前記シリアル型インクジェット記録装置では、シリアル型インクジェットヘッド自体が前記記録媒体の記録面の幅方向に移動しながら記録を行う。前記ライン型インクジェット記録装置は、前記シリアル型インクジェット記録装置と比較して、格段に記録速度が速い。本発明の水性インクは、アンキャップ状態のヘッドに放置したときの吐出安定性、紙面乾燥性に優れ、かつ、インクジェットヘッドのノズルにおけるメニスカス耐圧及びフラッシング回復性も向上し、VOCの含有量も少ないものなので、前記ライン型インクジェット記録装置による高速記録に適用することが好ましい。
【0033】
図1の模式図に、本発明のインクジェット記録装置の構成の一例を示す。本例のインクジェット記録装置101は、ライン型インクジェットヘッド2が搭載されたライン型インクジェット記録装置である。図示のとおり、このライン型インクジェット記録装置101は、4つのインクカートリッジ1と、4つのインク吐出手段(ライン型インクジェットヘッド)2と、給紙部11と、排紙部12と、ベルト搬送機構13と、ライン型インクジェット記録装置101全体を制御する制御装置16とを主要な構成要素として含む。給紙部11は、ベルト搬送機構13の一方の側(図1においては左側)に配置されている。排紙部12は、ベルト搬送機構13の他方の側(図1においては右側)に配置されている。
【0034】
ライン型インクジェット記録装置101の内部には、給紙部11からベルト搬送機構13を介し、排紙部12に向かって記録用紙Pを搬送する用紙搬送経路が形成されている。この記録用紙Pが搬送される方向を、用紙搬送方向Xとする。給紙部11は、用紙ストッカ11aと、ピックアップローラ11cとを含む。用紙ストッカ11aは、その内部に記録用紙Pを積層した状態で収容するものであり、その上面に開口部が形成されている。用紙ストッカ11aは、用紙搬送方向Xの下流側(図1においては右側、以下、「下流側」と言う。)に向かって傾斜した状態で配置されている。用紙ストッカ11a内には、底面から上方開口部に向かって、バネ11dにより付勢された支持板11bが配置されている。この支持板11b上に記録用紙Pが積層されている。ピックアップローラ11cは、載置モータ(図示せず)により駆動されることで、用紙ストッカ11a内に積層された記録用紙Pを上から一枚ずつピックアップする(取り出す)とともに、ピックアップした記録用紙Pを下流側に送り出すものである。給紙部11のすぐ下流側には、用紙検知センサ59が配置されている。用紙検知センサ59は、送り出された記録用紙Pが、ベルト搬送機構13の用紙搬送方向Xのすぐ上流側(図1においては左側)に位置する記録待機位置Aに到達したか否かを検知するためのものであり、記録待機位置Aにある記録用紙Pの下流側の端部を検知することができるように調整されている。送り出された記録用紙Pは、記録待機位置Aを通過して、ベルト搬送機構13に搬送される。
【0035】
ベルト搬送機構13は、2つのベルトローラ6及び7と、搬送ベルト8と、プラテン15と、搬送モータ(図示せず)とを含む。搬送ベルト8は、2つのベルトローラ6及び7の間に掛け渡されるように巻き回されたエンドレスベルトである。搬送ベルト8の外側の面を、外周面8aとする。プラテン15は、搬送ベルト8により囲まれた領域内において、後述の4つのライン型インクジェットヘッド2と対向する位置に配置されている。プラテン15は、4つのライン型インクジェットヘッド2と対向する領域において、搬送ベルト8が下方に撓まないように搬送ベルト8を支持するものである。ベルトローラ7と対向する位置には、ニップローラ4が配置されている。ニップローラ4は、ベルト搬送機構13に搬送された記録用紙Pが、外周面8aに載置されたときに、この記録用紙Pを外周面8aに押さえつけるものである。前記搬送モータが、ベルトローラ6を回転させると、搬送ベルト8が駆動(回転)する。これにより、搬送ベルト8が、押さえつけられた記録用紙Pを粘着保持しつつ、排紙部12に向けて搬送する。搬送ベルト8のすぐ下流側には、剥離機構14が設けられている。剥離機構14は、外周面8aに粘着されている記録用紙Pを、外周面8aから剥離して、排紙部12に向けて送るように構成されている。
【0036】
4つのインクカートリッジ1は、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4色の水性インクを、それぞれ1色ずつ含む。これら4色の水性インクの少なくとも1つが本発明の水性インクであり、全部が本発明の水性インクであってもよい。本発明以外の水性インクは、一般的な水性インクを用いてよい。4つのインクカートリッジ1は、用紙搬送方向Xに沿って、ベルト搬送機構13上に並べて固定されている。4つのインクカートリッジ1それぞれの下端には、ライン型インクジェットヘッド2が配置されている。搬送ベルト8によって搬送される記録用紙Pが、4つのライン型インクジェットヘッド2のすぐ下方を順に通過する際に、記録用紙Pの記録領域に向けて、インク吐出面2aからインク滴が吐出される。これにより、記録用紙Pの記録領域に所望の画像を形成することができる。本発明の水性インクは、アンキャップ状態のヘッドに放置したときの吐出安定性、すなわち、ライン型インクジェットヘッド2からの吐出安定性に優れ、かつ、紙面乾燥性に優れる。また、本発明の水性インクは、インクジェットヘッド2のノズル面を払拭するワイパ、及び前記ノズル面と外界とを遮断するキャップ等に由来する化合物の水性インク中への溶出が抑制される。そして、本発明の水性インクは、ライン型インクジェットヘッド2のノズルにおけるメニスカス耐圧及びフラッシング回復性にも優れる。さらに、本発明の水性インクは、VOCの含有量が少ないため、一般的な水性インクと比べて環境負荷が低減され、ユーザに対する安全性がより高い。
【0037】
図1に示す装置は、ライン型インクジェットヘッドを採用するが、本発明は、これに限定されない。前記インクジェット記録装置は、シリアル型インクジェットヘッドを採用した装置であってもよい。
【実施例】
【0038】
つぎに、本発明の実施例について比較例及び参考例と併せて説明する。なお、本発明は、下記の実施例、比較例及び参考例により限定及び制限されない。
【0039】
[実施例1〜14、比較例1〜14及び参考例1〜11]
水性インク組成(表1〜表3)における、CAB−O−JET(登録商標)300を除く成分を、均一に混合しインク溶媒を得た。つぎに、CAB−O−JET(登録商標)300に前記インク溶媒を加え、均一に混合した。その後、得られた混合物を、東洋濾紙(株)製のセルロースアセテートタイプメンブレンフィルタ(孔径3.00μm)でろ過することで、実施例1〜14、比較例1〜14及び参考例1〜11のインクジェット記録用水性インクを得た。
【0040】
実施例及び比較例の水性インクについて、(a)アンキャップ状態のヘッドに放置したときの吐出安定性評価、(b)紙面乾燥性評価、(c)ゴム浸漬評価、(d)メニスカス耐圧評価、(e)フラッシング回復性評価及び(f)総合評価を、下記の方法により実施した。
【0041】
(a)アンキャップ状態のヘッドに放置したときの吐出安定性評価
図1に示すライン型インクジェットヘッドが搭載されたライン型インクジェット記録装置において、温度40℃、相対湿度20%の環境下で、ライン型インクジェットヘッドをキャップをしない状態で7秒間放置した後、実施例、比較例及び参考例の水性インクの吐出により、XEROX社製の4200紙に1ドットの横罫線を5本記録し、前記放置なしの連続記録で形成した横罫線(リファレンス)との比較により、アンキャップ状態のヘッドに放置したときの吐出安定性を、下記の評価基準に従って評価した。
【0042】
アンキャップ状態のヘッドに放置したときの吐出安定性評価 評価基準
AAA:1本目の横罫線からドットの記録遅れ及び不吐出がなく、リファレンスと同等であった
AA :2本目の横罫線からドットの記録遅れ及び不吐出がなく、リファレンスと同等であった
A :3本目の横罫線からドットの記録遅れ及び不吐出がなく、リファレンスと同等であった
B :4本目の横罫線からドットの記録遅れ及び不吐出がなく、リファレンスと同等であった
C :5本目の横罫線からドットの記録遅れ及び不吐出がなく、リファレンスと同等であった
【0043】
(b)紙面乾燥性評価
図1に示すライン型インクジェットヘッドが搭載されたライン型インクジェット記録装置を用いて、実施例、比較例及び参考例の水性インクの吐出により、XEROX社製の4200紙に、600dpiで100%ベタを記録し、前記ベタ記録後、紙面上から水性インクがなくなるまでの時間を計測し、紙面乾燥性を、下記の評価基準に従って評価した。
【0044】
紙面乾燥性評価 評価基準
AA:3秒以内に、紙面上から水性インクがなくなった
A :3秒を超えて5行以内に、紙面上から水性インクがなくなった
B :5秒を超えて10秒以内に、紙面上から水性インクがなくなった
C :10秒を超えた後、紙面上から水性インクがなくなった
【0045】
(c)ゴム浸漬評価
水性インク1gあたりの接触面積が30mmとなる条件で、実施例、比較例及び参考例の水性インクにゴム片(エチレンプロピレンゴム(EPDM);ゴム硬度(旧JIS K 6301 A型による測定)40°)を浸漬させ、温度70℃の環境下で1週間保存した。前記保存前後での前記ゴム片の重量変化を測定し、下記の評価基準に従って評価した。なお、前記ゴム片の重量が増加した場合には、重量変化率が大きいほど、前記ゴム片が前記水性インク中の浸透剤等の吸収により膨張し、脆くなっており、前記ゴム片に由来する化合物の前記水性インク中への溶出が多くなると判断できる。また、前記ゴム片の重量が減少した場合には、前記ゴム片に由来する化合物が前記水性インク中に溶出していると判断できる。
【0046】
ゴム浸漬評価 評価基準
A:ゴム片の重量変化率が、+3%以内
B:ゴム片の重量変化率が、+3%を超えて+5%以内
C:ゴム片の重量変化率が、+5%を超えた、又はゴム片の重量が減少した
【0047】
(d)メニスカス耐圧評価
図2に示すように、実施例、比較例及び参考例の水性インクを、インクカートリッジ301からライン型インクジェットヘッド30に導入した後、吸引ポンプ322を停止させ、加圧ポンプ321を用いて圧力をかけた。前記圧力を高めていき、ライン型インクジェットヘッド30のノズルから前記水性インクの漏れが生じたときの圧力を求め、メニスカス耐圧を、下記の評価基準に従って評価した。なお、図2において、91及び92はジョイントであり、310及び320はチューブ(水性インクの流路)であり、303は廃液タンクである。
【0048】
メニスカス耐圧評価 評価基準
A:5kPa以上で、水性インクの漏れが生じた
B:4kPa以上5kPa未満で、水性インクの漏れが生じた
C:4kPa未満で、水性インクの漏れが生じた
【0049】
(e)フラッシング回復性評価
図1に示すライン型インクジェットヘッドが搭載されたライン型インクジェット記録装置において、温度25℃、相対湿度50%の環境下で、ライン型インクジェットヘッドをキャップをした状態で24時間放置した。その後、14pLのインク滴を吐出するフラッシングを行ってから、実施例、比較例及び参考例の水性インクの吐出により、XEROX社製の4200紙に1ドットの横罫線を記録した。前記アンキャップ状態のヘッドに放置したときの吐出安定性評価におけるリファレンスと同等の横罫線が記録可能となるまでに必要な前記フラッシングの回数を求め、フラッシング回復性を、下記の評価基準に従って評価した。
【0050】
フラッシング回復性評価 評価基準
AA:ライン型インクジェットヘッドの1ノズルにつき、20nL未満のインク滴の吐出により、前記アンキャップ状態のヘッドに放置したときの吐出安定性評価の評価基準におけるB以上の結果が得られた
A :ライン型インクジェットヘッドの1ノズルにつき、20nL以上100nL未満のインク滴の吐出により、前記アンキャップ状態のヘッドに放置したときの吐出安定性評価の評価基準におけるB以上の結果が得られた
B :ライン型インクジェットヘッドの1ノズルにつき、100nL以上200nL未満のインク滴の吐出により、前記アンキャップ状態のヘッドに放置したときの吐出安定性評価の評価基準におけるB以上の結果が得られた
C :ライン型インクジェットヘッドの1ノズルにつき、200nL以上のインク滴の吐出により、前記アンキャップ状態のヘッドに放置したときの吐出安定性評価の評価基準におけるB以上の結果が得られた
【0051】
(f)総合評価
実施例、比較例及び参考例について、前記(a)〜(e)の結果から、下記の評価基準に従って総合評価を行った。
【0052】
総合評価 評価基準
AA:(a)〜(e)の結果が、全て最高ランクであった
A :(a)〜(e)の結果が、全てA以上であった
B :(a)〜(e)の結果のいずれかに、Bがあった
C :(a)〜(e)の結果のいずれかに、Cがあった
【0053】
実施例1〜14の水性インク組成及び評価結果を、表1に示す。また、比較例1〜14の水性インク組成及び評価結果を、表2に示す。さらに、参考例1〜11の水性インク組成及び評価結果を、表3に示す。
【0054】
【表1】

【0055】
【表2】

【0056】
【表3】

【0057】
表1に示すとおり、実施例1〜14の水性インクでは、アンキャップ状態のヘッドに放置したときの吐出安定性、紙面乾燥性、ゴム浸漬、メニスカス耐圧及びフラッシング回復性の全ての評価結果が良好であった。特に、実施例1〜6及び9〜14の水性インクのアンキャップ状態のヘッドに放置したときの吐出安定性は、前記アルキレングリコール類を用いなかったこと以外は同条件とした参考例1〜6(表3参照)の水性インクのアンキャップ状態のヘッドに放置したときの吐出安定性よりも優れていた。また、前記重量比(X:Y)が、X:Y=70:30〜90:10であり、かつ、湿潤剤の合計配合量が28重量%以下である実施例1、2、5〜7、11及び12の水性インクでは、アンキャップ状態のヘッドに放置したときの吐出安定性の評価結果が極めて良好であった。前記重量比(X:Y)が、X:Y=50:50〜85:15である実施例1〜4、7〜10及び13の水性インクでは、メニスカス耐圧の評価結果が極めて良好であった。特に、前記重量比(X:Y)が、X:Y=70:30〜85:15である実施例1、2、7及び8の水性インクでは、アンキャップ状態のヘッドに放置したときの吐出安定性、紙面乾燥性、ゴム浸漬、メニスカス耐圧及びフラッシング回復性がバランス良く向上していた。
【0058】
一方、表2に示すとおり、浸透剤及び前記アルキレングリコール類を用いていない比較例1及び2の水性インクでは、アンキャップ状態のヘッドに放置したときの吐出安定性評価及び紙面乾燥性評価の結果が悪かった。
【0059】
tetra−PB及び前記アルキレングリコール類を用いていない比較例3の水性インクでは、アンキャップ状態のヘッドに放置したときの吐出安定性評価の結果が悪かった。
【0060】
前記重量比(X:Y)が、X:Y=30:70であり、かつ、前記アルキレングリコール類を用いていない比較例4の水性インクでは、アンキャップ状態のヘッドに放置したときの吐出安定性評価の結果が悪かった。
【0061】
penta−PB及び前記アルキレングリコール類を用いていない比較例5の水性インクでは、ゴム浸漬評価及びメニスカス耐圧評価の結果が悪かった。
【0062】
前記合計配合量(X+Y)を15重量%とし、前記アルキレングリコール類を用いていない比較例6の水性インクでは、アンキャップ状態のヘッドに放置したときの吐出安定性評価及びゴム浸漬評価の結果が悪かった。
【0063】
浸透剤を用いていない比較例7及び10の水性インクでは、アンキャップ状態のヘッドに放置したときの吐出安定性評価及び紙面乾燥性評価の結果が悪かった。
【0064】
penta−PBを用いていない比較例8及び11の水性インクでは、ゴム浸漬評価及びメニスカス耐圧評価の結果が悪かった。
【0065】
前記合計配合量(X+Y)を15重量%とした比較例9及び12の水性インクでは、ゴム浸漬評価の結果が悪かった。
【0066】
浸透剤として、tetra−PB及びpenta−PBに代えて、トリエチレングリコールモノブチルエーテルを用いた比較例13の水性インクでは、ゴム浸漬評価及びメニスカス耐圧評価の結果が悪かった。浸透剤として、tetra−PB及びpenta−PBに代えて、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルを用いた比較例14の水性インクでは、アンキャップ状態のヘッドに放置したときの吐出安定性評価、ゴム浸漬評価及びメニスカス耐圧評価の結果が悪かった。
【0067】
また、前記アルキレングリコール類に代えて、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール又は1,5−ペンタンジオールを用いた参考例7〜11の水性インクでは、アンキャップ状態のヘッドに放置したときの吐出安定性評価の結果が、実施例1〜14の水性インクには及ばなかった。
【産業上の利用可能性】
【0068】
以上のように、本発明の水性インクは、アンキャップ状態のヘッドに放置したときの吐出安定性、紙面乾燥性に優れ、かつ、インクジェット記録装置内のゴム部材等に由来する化合物の水性インク中への溶出が抑制されたものである。本発明の水性インクの用途は、特に限定されず、各種のインクジェット記録に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0069】
1、301 インクカートリッジ
2、30 ライン型インクジェットヘッド
4 ニップローラ
6、7 ベルトローラ
8 搬送ベルト
11 給紙部
11a 用紙ストッカ
11b 支持板
11c ピックアップローラ
11d バネ
12 排紙部
13 ベルト搬送機構
14 剥離手段
15 プラテン
16 制御装置
59 用紙検知センサ
91、92 ジョイント
101 ライン型インクジェット記録装置
303 廃液タンク
310、311 チューブ(水性インクの流路)
321 加圧ポンプ
322 吸引ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤、水、浸透剤及び湿潤剤を含むインクジェット記録用水性インクであって、
前記浸透剤は、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル及びペンタエチレングリコールモノブチルエーテルを含み、
前記水性インクにおけるテトラエチレングリコールモノブチルエーテル(X)及びペンタエチレングリコールモノブチルエーテル(Y)の重量比(X:Y)が、X:Y=50:50〜90:10であり、
前記水性インク全量に対するテトラエチレングリコールモノブチルエーテル(X)及びペンタエチレングリコールモノブチルエーテル(Y)の合計配合量(X+Y)が、X+Y=1重量%〜10重量%であり、
前記湿潤剤が、グリセリンと、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールからなる群から選択される少なくとも一つのアルキレングリコール類とを含むことを特徴とするインクジェット記録用水性インク。
【請求項2】
前記水性インクにおけるテトラエチレングリコールモノブチルエーテル(X)及びペンタエチレングリコールモノブチルエーテル(Y)の重量比(X:Y)が、X:Y=70:30〜85:15であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用水性インク。
【請求項3】
インクジェット記録用水性インクを含むインクカートリッジであって、前記水性インクが、請求項1又は2記載のインクジェット記録用水性インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
【請求項4】
記録媒体に水性インクをインクジェット方式により吐出して記録するインクジェット記録方法であって、
前記水性インクとして、請求項1又は2記載のインクジェット記録用水性インクを用いることを特徴とするインクジェット記録方法。
【請求項5】
インク収容部及びインク吐出手段を含み、前記インク収容部に収容されたインクを前記インク吐出手段によって吐出するインクジェット記録装置であって、
前記インク収容部に、請求項1又は2記載のインクジェット記録用水性インクが収容されていることを特徴とするインクジェット記録装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−214628(P2012−214628A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80929(P2011−80929)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】