説明

インクジェット記録用紙及び記録システム

【課題】軽量であり、裏抜けが少ないインクジェット記録用紙を提供する。
【解決手段】少なくとも顔料と、溶剤と、顔料分散剤を含む非水系インクを用いて記録を行うためのインクジェット記録用紙であって、
無機粒子、アクリル系樹脂、澱粉、並びに、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、及び中性ロジンからなる群より選ばれる少なくとも一種を含み、
JIS P 8122に従い測定されるステキヒトサイズ度が0.1〜4秒である、インクジェット記録用紙。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水系インクジェット印刷用の記録用紙及び記録システムに関し、詳細には、所定の添加剤の組合わせを含み、裏抜けが顕著に改良され、且つ、軽量である記録用紙に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェット記録方式では、各種の水溶性染料を水に溶解させた水溶性染料インクが主流である。水溶性染料インクはインクジェット記録装置のインク吐出ヘッドのメンテナンス性に優れており、また、印字後の発色性、解像力等に優れている。しかし、水性インクを用いたインクジェット記録には、被記録材料の印字部分が、インク中の水を吸収して伸長することによって発生する種々の問題がある。これは、支持体の機械的強度を維持している繊維間の水素結合が、水によって切断されることにより生じる。該伸張は、プリンター内での被記録材料の搬送に悪影響を及ぼすばかりでなく、被記録材料とプリントヘッドの相対的な位置関係の精度を狂わせて、画像の寸法精度を低下したり、ムラが生じるなどの好ましくない現象を引き起こす。
【0003】
これに対して、非水系溶剤中に顔料を分散させた非水系インクによれば、被記録材の伸長が無く、寸法精度が高く、また画像にムラが生じないインクジェット記録を行うことが可能である。また、被記録材の伸長が無いため、水性インクを用いたインクジェット記録と比較して、搬送が容易であり非常に高速なインクジェット記録に適している。
【0004】
しかし、非水系インクを用いた場合、顔料が溶剤と共に紙中に染込み、用紙の裏面から画像が透けて見える「裏抜け」と称する問題が起こる。また、用紙が軽量になるほど画像は透けやすくなるため、「裏抜け」は顕著になる傾向にある。「裏抜け」を解決するために、非水系インク中に所定の樹脂を分散もしくは溶解させると共に、非水系溶剤のブリストー吸収を高くして、紙に速く吸収させ、顔料を樹脂成分と表面に残すことによって裏抜けを防止することが提案されている(特許文献1及び2)。
【0005】
また、ロゼッタ型軽質炭酸カルシウムと、高分子化合物を含有し、ステキヒトサイズ度が5秒以上である普通紙が提案されている(特許文献3)。ステキヒトサイズ度は、所定の水溶液で試験され(JIS P 8122)、該値が小さいほど吸水性に富む。従って、これを所定値以上にすることは、吸水性を制限することであり、逆に、非水系溶剤の吸収は、速やかになる。このように、先行技術はいずれも非水系溶剤の吸収を速めて、顔料を表面に残すという方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−127522号公報
【特許文献2】特開2003−127523号公報
【特許文献3】特開2005−193660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、本発明者らが検討した結果、上記方法では、顔料、分散剤樹脂の種類に拠っては、裏抜けの低減が十分ではなく、却って悪くなる場合があることが見出された。そこで、本発明は、上記先行技術文献とは異なるアプローチによって、裏抜けがより低減され、且つ、軽量な記録用紙を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らが種々検討したところ、意外にも、ステキヒトサイズ度を4秒以下とすることによって、裏抜けがより低減されることが見出された。すなわち、本発明は、
少なくとも顔料と、溶剤と、顔料分散剤を含む非水系インクを用いて記録を行うためのインクジェット記録用紙であって、
無機粒子、アクリル系樹脂、澱粉、並びに、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、及び中性ロジンからなる群より選ばれる少なくとも一種を含み、
JIS P 8122に従い測定されるステキヒトサイズ度が0.1〜4秒である、インクジェット記録用紙である。
【発明の効果】
【0009】
上記本発明のインクジェット記録用紙(以下、「記録用紙」と云う場合がある)は、坪量55g/m以下と軽量であり、ステキヒトサイズ度が小さくても裏抜けが少なく、特に、ウレタン結合部を有する顔料分散樹脂を含むインクと組合わせて使用した場合に、その効果が顕著である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の記録用紙は普通紙である。普通紙とは顔料を含む塗工層を備えていない紙を示す。このため、高速印刷においても紙粉が出難く好適である。さらに、軽量化により運搬時の負荷を軽減することができ、また、環境上も好ましい。
【0011】
本発明の記録用紙において、無機粒子としては、軽質炭酸カルシウム、紡錘形状軽質炭酸カルシウム、該紡錘形状軽質炭酸カルシウムの一次粒子が放射状に凝集したロゼッタ型軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、水酸化アルミニウム、ゼオライト、二酸化チタンを使用することができる。また、必要に応じて有機粒子を併用してもよい。生産コスト、操業性、及び高い不透明度が得られる点で、好ましくは軽質炭酸カルシウムが使用され、より好ましくは紡錘状または針状の形態の軽質炭酸カルシウムが使用される。さらに好ましくは、吸油量が20〜100ml/g(ヒマシ油)であり、及び/又は、レーザー回折により測定される粒径が0.1〜10μmである、軽質炭酸カルシウムが使用される。
【0012】
該無機粒子は、記録用紙の質量に対して、JIS P 8251に規定された灰分が20〜35質量%、好ましくは22〜30質量%となる量で含まれる。灰分が前記下限値未満の紙は、裏抜けが起こり易く、前記上限値を超える紙は、強度が低下し、生産性が悪い。
【0013】
本発明の記録用紙は、所定の添加剤3種の組合わせを含む。該添加剤の第一のものは、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、及び中性ロジンからなる群より選ばれる少なくとも一種であり、なかでもアルキルケテンダイマーが好ましい。
【0014】
第二の添加剤は、アクリル系樹脂である。該アクリル系樹脂としては、ポリアクリルアミド、スチレン・(メタ)アクリル酸系共重合体、(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸エステル系共重合体等が例示され、好ましくはアニオン性アクリル系樹脂、例えば、アニオン性ポリアクリルアミド、アニオン性スチレン・(メタ)アクリル酸系共重合体が使用される。該アニオン性ポリアクリルアミドとしては、荒川化学工業製DQ−10、ポリマセット500、星光PMC製ST500、ハリマ化成製ハリコートG−51、等が例示され、アニオン性スチレン・(メタ)アクリル酸系共重合体としては、荒川化学工業製ポリマロン1383、等が例示される。
【0015】
第三の添加剤は澱粉である。上記特許文献1及び2では、酸化澱粉が紙表面に付着されていることから(例えば特許文献1、段落0063)、澱粉は裏抜けを低減する効果があると考えられる。しかし、予想に反して、その配合量がより少ない方が、裏抜けが少なかった。澱粉としては、酸化澱粉、カチオン化澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉及びリン酸エステル化澱粉などがあるが、このうち酸化澱粉が好ましい。
【0016】
上記各添加剤の量は、本発明の記録用紙のステキヒトサイズ度が達成される範囲で、適宜設定することができる。好ましくは、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、及び中性ロジンからなる群より選ばれる少なくとも一種が、記録用紙の質量に対して、0.05〜0.6質量%、より好ましくは0.1〜0.5質量%で含まれる。該樹脂量が前記下限値未満では抄紙が困難となり、前記上限値を超えると、ステキヒトサイズ度を4秒以下とすることが困難である。
【0017】
アクリル系樹脂は、記録用紙の質量に対して、0.05〜0.5質量%、より好ましくは0.1〜0.4質量%で使用される。該樹脂量が前記下限値未満では、記録用紙が経時で黄変してしまい、前記上限値を超えると、所望の裏抜け抑制効果を得ることが難しい。該黄変の評価法については、実施例で詳述する。
【0018】
澱粉は、記録用紙の質量に対して、好ましくは0.1〜1.5質量%、より好ましくは0.3〜1.0質量%で含まれる。澱粉量が前記下限値未満では、搬送時に用紙と給紙ローラが接触した際に紙表面からパルプや填料が落ちて、機中を浮遊してヘッドノズル表面に付着し、インク吐出不良を起こし得る。前記上限値を超えると、所望の裏抜け抑制効果を得ることが困難である。
【0019】
本発明の記録用紙に使用するパルプとしては、従来抄紙に使用されている任意のものを用いることができ、例えば広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒サルファイトパルプ(LBSP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)等の化学パルプや、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプといった木材パルプや、古紙パルプ(DIP)を挙げることができる。さらには、コットンパルプや麻、バガス、ケナフ、エスパルト、楮、三椏、雁皮等の非木材パルプも用いることができる。好ましくは、使用するパルプの濾水度が、ショッパーリーグラー濾水度で、60〜70°である。60°未満では坪量55g/m以下の薄物で、灰分が上記範囲の紙においては、強度が不十分となる場合があり、70°を超えると濾水性が悪くなるので、抄造が困難となる場合がある。
【0020】
その他、本発明の記録用紙には、本発明の効果を損なわない範囲で、他のサイズ剤、紙力増強剤、消泡剤、pH調整剤、色相を調整するための染料や有色顔料、視覚的白さを向上させるための蛍光染料等の抄紙用内添薬品を配合することができる。
【0021】
本発明の記録用紙を抄造する抄紙機としては、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、ヤンキー抄紙機などの公知の装置を適宣使用することができる。このうち、ツインワイヤー抄紙機は、原料スラリーの上下の両方向より脱水を行うために無機粒子の分布等の紙表裏の差が小さくなるので好ましい。本発明における記録用紙を得るために、抄造条件として、ジェットワイヤー比、プロファイル、プレス、カレンダーなどの調整が行われ、また乾燥条件も抄紙機のドライヤーでの蒸気圧および通気方法が調整される。
【0022】
サイジングの方法は特に制限されず、例えば、上記アルキルケテンダイマーを内部添加剤としてパルプに配合して抄紙し、得られた基紙に、上記アクリル系樹脂及び澱粉を含む塗工液を公知の塗工方法や含浸方法により塗工又は含浸させた後、乾燥することによって行うことができる。含浸は、含浸式サイズプレス装置を用いて行うことができ、塗工は、各種ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、ゲートロールコーター等の公知の塗工装置を用いて行うことができる。特に、サイズプレス装置、ゲートロールコーターをオンマシンコーターとして用いると、生産コストを低減できるので好ましい。
【0023】
前記塗工液には、本発明の効果を損なわない範囲で、保水剤、耐水化剤、pH調整剤、消泡剤、潤滑剤、防腐剤、界面活性剤、導電剤など、一般にインクジェット記録用紙に使用される添加剤を配合してもよい。
【0024】
乾燥方法としては例えば、蒸気加熱ヒーター、ガスヒーター、赤外線ヒーター、電気ヒーター、熱風加熱ヒーター、マイクロウェーブ、シリンダードライヤー等を用いた通常の方法を行うことができる。乾燥後、必要に応じて、後加工であるスーパーカレンダー、ソフトカレンダー等の仕上げ工程を行い、平滑性を付与してもよく、その他の一般的な紙加工手段を使用してもよい。また、必要に応じて、片面に粘着加工やラミネート加工等を行うこともできるし、搬送性や帯電防止性、筆記性等の各種機能を付与するための塗工層を設けることもできる。
【0025】
斯くして得られる記録用紙は、好ましくは、JIS P 8124に従い測定される坪量が55g/m以下であり、より好ましくは40〜52g/mである。該記録用紙は、坪量が60g〜80g/mの紙が一般的であるなかで、軽量化のニーズに十分応えることができる。
【0026】
さらに、本発明の記録用紙は、JIS P 8118に従い測定される密度が、0.60〜0.80g/cmであることが好ましく、0.70〜0.80g/cmであることがより好ましい。密度が前記下限値未満のものは、生産性が悪くなる傾向があり、前記上限値を超えるものは、裏抜けが起こり易い。該密度は、カレンダー処理の際の線圧等によって制御することができる。
【0027】
また、本発明の記録用紙は、JIS P 8122に従い測定されるステキヒトサイズ度が0.1〜4秒、好ましくは0.5〜3秒である。ステキヒトサイズ度が前記上限値を超える紙は、裏抜けが起こり易く、一方、前記下限値未満である紙は生産性が悪い。該ステキヒトサイズ度は、各添加剤量、抄造条件、例えば抄紙速度、脱水法等、を調整することで達成することができる。
【0028】
好ましくは、該記録用紙は、JIS P 8251に従い測定される灰分が、20〜35質量%であり、より好ましくは20〜30質量%である。該灰分は、紙を525±25℃の温度で燃焼させた後の灰分残留物の量を、試料の絶乾質量に対する百分率で表したものである。該灰分は、無機粒子含有量、抄造条件を調整することで達成することができる。
【0029】
本発明の記録用紙は、少なくとも顔料と、溶剤と、顔料分散剤を含む非水系インク(以下「インク」という場合がある)を用いるインクジェット記録に使用される。該インクに用いる顔料としては、無機顔料、有機顔料を問わず、印刷分野で一般に用いられているものを使用することができる。具体的には、例えば、カーボンブラック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムイエロー、カドミウムイエロー、チタンイエロー、酸化クロム、ピリジアン、コバルトグリーン、ウルトラマリンブルー、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料などの従来公知の顔料を特に限定することなく用いることができる。これらの顔料は、単独で用いてもよいし、適宜組み合わせて使用することも可能であるが、インク中に0.01〜20質量%の範囲で含まれることが望ましい。
【0030】
顔料分散剤は、インク中に溶解または分散された状態で存在し、顔料の分散性を向上する。該顔料分散剤としては、使用する着色剤を溶剤中に安定に分散させるものであれば特に制限されることなく使用することができる。例えば、日本ルブリゾール社製「ソルスパース5000(銅フタロシアニン誘導体)、11200、13940(ポリエステルアミン系)、17000、18000(脂肪族アミン系)、22000、24000、28000」(いずれも商品名);Efka CHEMICALS社製「エフカ400、401、402、403、450、451、453(変性ポリアクリレート)、46、47、48、49、4010、4050、4055(変性ポリウレタン)」(いずれも商品名);花王社製「デモールP、EP」、「ポイズ520、521、530」、「ホモゲノールL−18(ポリカルボン酸型高分子界面活性剤)」(いずれも商品名);楠本化成社製「ディスパロンKS−860、KS−873N4(高分子ポリエステルのアミン塩)」(いずれも商品名);第一工業製薬社製「ディスコール202、206、OA−202、OA−600(多鎖型高分子非イオン系)」(いずれも商品名);本願出願人による特願2010−125785に記載のウレタン化油、本願出願人による特願2009―262702号記載の、アルキル(メタ)アクリレート共重合体等を使用することができる。該アルキル(メタ)アクリレート共重合体は、該アルキル基の炭素数が12〜25であり、該共重合体の1〜40質量%のウレタン結合部を備えるものが好ましく使用される。該共重合体は、下記式(1)で表される繰り返し単位を含む主鎖と、下記式(2)で表される繰り返し単位を含む、ウレタン構造の側鎖もしくは架橋部(以下「ウレタン結合部」という)を有する。
【化1】

【化2】

ここで、Rは水素もしくは炭素数1〜3のアルキル基、好ましくはメチル基、Rは炭素数6〜25のアルキル基、Rは炭素数6〜16の2価の炭化水素基、Rは炭素数2〜20のアルキレン基もしくはオキシアルキレン基である。該アルキル(メタ)アクリレート共重合体は、インク中に0.1〜20質量%で含まれることが好ましい。
【0031】
該アルキル(メタ)アクリレート共重合体は、以下の方法で得ることができる。第一段目において、炭素数6〜25のアルキル基を備える(メタ)アクリレートモノマーを、定法に従いラジカル重合させて式(1)のポリアルキル(メタ)アクリレート主鎖を得、その際、コモノマーとしてグリシジル(メタ)アクリレートを用いる。第二段目において、第一段目で得られた、グリシジル基を有するポリアルキル(メタ)アクリレート主鎖と、該グリシジル基と反応性の基及びアルコール性水酸基を有する化合物を反応させて、式(2)のウレタン結合部をポリアルキル(メタ)アクリレート主鎖に結合する連結部分を形成する。該グリシジル基と反応性の基とアルコール性水酸基とを有する化合物としては、アミノアルコール、なかでもジエタノールアミンが好ましい。
【0032】
第三段目では、第二段目で得られたアルコール性水酸基を有するポリアルキル(メタ)アクリレート主鎖に、多価イソシアネートを反応させ、残ったイソシアネート基を多価アルコールと反応させて、ウレタン結合部を構成する。多価アルコールは、第二段目で添加しておいてもよい。該多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びこれらの混合物が挙げられる。多価イソシアネート化合物としては、例えば、1,6−ジイソシアナートへキサン、1,3−ビス(イソシアナートメチル)ベンゼン、1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、1,5−ナフタレンジイソシアネート、及びこれらの混合物が挙げられる。第三段目の反応は、第二段目で得られるアルキル(メタ)アクリレート共重合体溶液に多価イソシアネート化合物等を添加し、定法に従い錫触媒等の存在下で加熱して行うことができる。
【0033】
該ウレタン結合部は、アルキル(メタ)アクリレート共重合体質量に対して、1〜40質量%、好ましくは1〜30質量%で、より好ましくは5〜20質量%で含まれる。該ウレタン結合部の質量は、反応に使用したアミノアルコール、多価アルコール及び多価イソシアネート化合物の合計質量である。
【0034】
該アルキル(メタ)アクリレート共重合体は、GPCで測定される質量平均分子量が5000〜50,000、好ましくは8000〜30,000である。該分子量が前記下限値未満のものを使用すると、インクの貯蔵安定性が悪くなる傾向があり、前記上限値を超えるものを使用すると、インクの粘度が高く、インクジェット吐出安定性が悪くなる傾向がある。
【0035】
インクの溶剤の例には、脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素溶剤等の非極性有機溶剤と、エステル系溶剤、アルコール系溶剤等の極性溶媒が包含される。脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素系溶剤としては、たとえば、日本石油(株)製「テクリーンN−16、テクリーンN−20、テクリーンN−22、日石ナフテゾールL、日石ナフテゾールM、日石ナフテゾールH、0号ソルベントL、0号ソルベントM、0号ソルベントH、日石アイソゾール300、日石アイソゾール400、AF−4、AF−5、AF−6、AF−7」、Exxon社製「Isopar(アイソパー)G、IsoparH、IsoparL、IsoparM、ExxsolD40、ExxsolD80、ExxsolD100、ExxsolD130、ExxsolD140」等を挙げることができる。芳香族炭化水素溶剤としては、日本石油(株)製「日石クリーンソルG」(アルキルベンゼン)、Exxon社製「ソルベッソ200」等を挙げることができる。エステル系溶剤としては、ラウリル酸メチル、ラウリル酸イソプロピル、ラウリル酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソオクチル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、リノール酸メチル、リノール酸イソブチル、リノール酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、大豆油メチル、大豆油イソブチル、トール油メチル、トール油イソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、モノカプリン酸プロピレングリコール、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリルなど;アルコール系溶剤としては、イソミリスチルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコールなどが挙げられる。これらの溶剤の2種以上を混合して用いることができる。好ましくはエステル系溶剤、なかでもパルミチン酸イソオクチル、ラウリル酸ヘキシルが使用される。
【0036】
好ましくは、該インクは、第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩、脂肪酸及び/又はアルキル燐酸エステルとアミン化合物の組合わせ、及びシナジストからなる群より選ばれる少なくとも一種のイオン性物質を含む。
【0037】
第四級アンモニウム塩におけるカチオンとしては、炭素数1〜24の炭化水素基を4つ有するアンモニウム、例えばテトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウムなどが挙げられる。また、アニオンとしては水酸イオン、炭酸イオン、カルボン酸イオン、Cl、Br等のハロゲンイオン、硫酸水素イオン(HSO)、リン酸イオンなどが挙げられる。
【0038】
好ましくは下記式(3)で示される第四級アンモニウム塩が使用される。
【化3】

上式中、R、R、R及びRのうちの2もしくは3個はメチル基で、その他は炭素数12〜24のアルキル基もしくはアリール基である、又は、R、R、R及びRの全てが炭素数3〜5のアルキル基である。アリール基の例としては、フェニル基、ベンジル基などが挙げられる。Xは酢酸イオン、ハロゲンイオン、又は硫酸水素イオンである。
【0039】
上式で示される第四級アンモニウム塩の例としては、ジメチルジパルミチルアンモニウムブロマイド、ジメチルジステアリルアンモニウムブロマイド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ジ硬化牛脂アルキルジメチルアンモニウムアセテート(アルキル基は炭素数14、16及び18のものから選ばれた少なくとも1種)、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、及びベンジルトリブチルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。
【0040】
好ましくは、上式中、R、R、R及びRのうちの2個がメチル基で、その他は炭素数12〜24のアルキル基又はアリール基であるもの、例えば、ジメチルジパルミチルアンモニウムブロマイド、ジメチルジステアリルアンモニウムブロマイド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロライド、及び、R、R、R及びRの全てが炭素数3〜5のアルキル基であるもの、例えばテトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、から選ばれる少なくとも1種が使用される。
【0041】
第四級ホスホニウム塩は、一般式[RP](ここでRはアルキル基又はアリール基であり、Xは上述のとおりである)で表されるものが好ましく使用される。該第四級ホスホニウム塩の例としては、炭素数1〜6のアルキル基を有するテトラアルキルホスホニウムハライド、例えばテトラメチルホスホニウムクロライド、テトラエチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムブロマイド;炭素数6〜10のアリール基を有するテトラフェニルホスホニウムクロライド等のテトラアリールホスホニウムハライドが挙げられ、これらのうちテトラブチルホスホニウムブロマイドがより好ましい。
【0042】
脂肪酸及び/又はアルキル燐酸エステル(以下、まとめて「酸」という場合がある)とアミン化合物の組合わせは、インク内で、アンモニウム塩、又はアンモニウム塩と類似の形態を形成していると考えら、上記第四級アンモニウム塩等と同様の効果が奏される。
【0043】
脂肪酸としては炭素数9以上、好ましくは12〜30、より好ましくは14〜22、のものが使用される。該脂肪酸の例としては、デカン酸、イソミリスチン酸、ヘキサデカン酸、イソパルミチン酸、オレイン酸、イソステアリン酸などが挙げられる。
【0044】
アルキルリン酸エステルとしては、たとえば、下記式(4)で示されるモノアルキルアシッドホスフェート又は下記式(5)で示されるジアルキルホスフェートが挙げられる。
【0045】
【化4】

【化5】

【0046】
上式において、R10及びR11は、炭素数6〜22、好ましくは8〜14、のアルキル基を示す。
【0047】
なかでも、油溶性アルキルリン酸エステルが好ましく使用される。斯かるリン酸エステルの例としては、イソデシルアシッドホスフェート、2‐エチルヘキシルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェートなどが挙げられる。
【0048】
アミン化合物としては、脂肪族アミン、脂環式アミン、芳香族アミンが挙げられ、好ましくは脂肪族アミン、より好ましくはジアルキルアミン、トリアルキルアミンが使用される。最も好ましくは、該アルキル基の炭素数が1〜26、より好ましくは6〜18である。
【0049】
該ジアルキルアミン、及びトリアルキルアミンの例としては、ジオクチルアミン、ジラウリルメチルアミン、トリオクチルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルミリスチルアミン、ジメチルパルミチルアミンなどが挙げられる。
【0050】
脂肪酸及び/又はアルキル燐酸エステルとアミン化合物は、モル当量比率[(脂肪酸及び/又はアルキル燐酸エステル)/アミン化合物]が0.1〜10.0、好ましくは0.3〜3、最も好ましくは0.8〜1.2で配合する。モル当量比率がこの範囲を外れると、本発明の効果が十分発揮されない場合がある。
【0051】
シナジストは、顔料骨格中に、極性基を導入した誘導体である。顔料骨格としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、イソインドリン顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ピランスロン顔料、チオインジゴ顔料、及びキノフタロン顔料等の骨格が挙げられる。極性基としては、アルキルアミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、及びフタルイミド基等が挙げられる。これらのうち、フタロシアニン顔料、特に銅フタロシアニンブルーの骨格に、スルホン酸基、アミノ基等を導入したものが好ましく、例えば銅フタロシアニンスルホネート(ソルスパース5000、ソルスパース12000、ソルスパース22000;いずれも日本ルブリゾール社製)が挙げられる。
【0052】
上記イオン性物質は、インク総質量の0.01〜10質量%、好ましくは0.05〜0.5質量%、配合される。脂肪酸及び/又はアルキル燐酸エステルとアミン化合物の組み合わせとして加える場合には、それらの合計が0.01〜10質量%、好ましくは、0.1〜3質量%、特に好ましくは0.3〜1.0質量%で、配合される。イオン性物質の量が上記下限値未満では、十分な効果が得られず、上記上限値を超えると、印刷濃度が低下するおそれがある。
【0053】
上記各成分に加え、インクは、ノズルの目詰まり防止剤、酸化防止剤、導電率調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、酸素吸収剤など、当該分野で使用されているものを用いることができる。
【0054】
インクの粘度は、インクジェット記録システムの吐出ヘッドのノズル径や吐出環境等によってその適性範囲は異なるが、一般に、23℃において5〜30mPa・sであることが好ましく、5〜15mPa・sであることがより好ましく、約10mPa・s程度であることが、最も好ましい。ここで粘度は、23℃において0.1Pa/sの速度で剪断応力を0Paから増加させたときの10Paにおける値を表す。
【0055】
本発明の記録用紙を使用するインクジェット記録装置は、ピエゾ方式、静電方式、サーマル方式など、いずれの方式のものであってもよい。
【実施例】
【0056】
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の「%」は「質量%」、「部」は「質量部」を示す。
【0057】
[実施例1]
広葉樹晒クラフトパルプと針葉樹晒クラフトパルプを80:20の質量比で混合したパルプをショッパーリーグラー濾水度63°に叩解したパルプ100部に対し、紡錘状軽質炭酸カルシウム(商品名:PCX−850、白石工業(株)製、吸油度40ml/100g、平均粒子径3.5μm(島津製作所製レーザー回折式粒度分布測定器で測定))27部を配合し、アルキルケテンダイマーを紙質量当たり0.16質量%となるように添加して紙料とした。この紙料をオントップツインワイヤーマシンで抄造し、サイズプレスコーターで酸化澱粉を乾燥質量で0.7g/m(紙質量当たり1.42質量%)、アニオン性ポリアクリルアミドを乾燥質量で0.18g/m(紙質量当たり0.37質量%)となるように付着させ、1ニップのマシンカレンダー処理を行って記録用紙1を作成した。
【0058】
[実施例2]
サイズプレスコーターで、酸化澱粉を乾燥質量で0.35g/m(紙質量当たり0.72質量%)、アニオン性ポリアクリルアミドを乾燥質量で0.09g/m(紙質量当たり0.19質量%)となるように付着させた以外は、記録用紙1と同様にして、記録用紙2を作成した。
【0059】
<比較記録用紙3の作成>
酸化澱粉を乾燥質量で1.5g/m(紙質量当たり2.96質量%)、スチレンアクリル系樹脂を乾燥質量で0.36g/m(紙質量当たり0.71質量%)となるように付着させ、ステキヒトサイズ度を8秒としたことを除き、記録用紙1と同様にして、比較用記録用紙3を作成した。
【0060】
<比較記録用紙4の作成>
サイズプレスコーターで、酸化澱粉のみを乾燥質量で0.8g/m(紙質量当たり1.6質量%)となるように付着させた以外は、記録用紙1と同様にして、比較記録用紙4を作成した。
【0061】
[記録用紙の特性]
各記録用紙について、坪量(JIS P 8124)、密度(JIS P 8118)、灰分(JIS P 8251)及びステキヒトサイズ度(JIS P 8122)を測定した。結果を表2に示す。
【0062】
[非水系インクの調製]
(1)アルキル(メタ)アクリレート共重合体の調製
300mlの四つ口フラスコに、AF−4(ナフテン系溶剤;新日本石油(株)製)75gを仕込み、窒素ガスを通気し攪拌しながら、110℃まで昇温した。次いで、温度を110℃に保ちながらベヘニルメタクリレート50質量%、2−エチルヘキシルメタクリレート35質量%及びグリシジルメタクリレート15質量%の混合物にAF−4 16.7g、パーブチル O(t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート;日本油脂(株)製)2gの混合物を3時間かけて滴下した。その後、110℃に保ちながら1時間および2時間後に、パーブチル Oを各0.2g添加した。さらに110℃で1時間熟成を行った後、AF−4 10.6gで希釈して、不揮発分50%の無色透明の主鎖ポリマー溶液を得た。得られたポリマーの重量平均分子量(GPC法、標準ポリスチレン換算)は、20000〜23000であった。
次いで、500mLの四つ口フラスコに、パルミチン酸イソオクチル(IOP、日光ケミカルズ(株)製)81g、上記主鎖ポリマー溶液(AF−4溶剤中固形分50%)200g、プロピレングリコール 4.0g、ジエタノールアミン 2.8gを仕込み、窒素ガスを通気し攪拌しながら、110℃まで昇温し、該温度に1時間保った。その後、ジブチル錫ジラウレートを0.2g添加し、タケネート 600(1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、三井化学ポリウレタン(株)製)10.2gとIOP 99 91.8gとの混合物を1時間かけて滴下した。滴下後、温度を120℃に昇温して6時間反応させ、冷却して、固形分30%の樹脂分散液を得た。得られたポリマー(「分散剤1」とする)の重量平均分子量(GPC法、標準ポリスチレン換算)は、22000〜26000であり、ウレタン結合部量は10質量%であった。
【0063】
(2)下表1に示す処方(質量%)に従い、上記アルキル(メタ)アクリレート共重合体及び顔料等をガラス容器に入れ、これにジルコニアビーズ(φ0.5mm)80gを入れ、ロッキングミル(セイワ技研製 RM05S型)を用いて周波数60Hzで2時間運転し、非水系インク1〜4を調製した。
【表1】

MA−100:カーボンブラック、DBP吸油量100cm/100g、窒素吸着比表面積110m/g、三菱化学社製
ソルスパース5000:銅フタロシアニン誘導体シナジスト、ルブリゾール社製
AF−4:ナフテン系溶剤、新日本石油社製
V216: アルキル化ポリビニルピロリドン(PVP)、ISPジャパン社製
【0064】
[実施例1〜5、比較例1〜2]
表2に示す、記録用紙とインクを用いて、印刷濃度及び裏抜けの度合いを、以下の方法で調べた。インクジェットプリンター「ORHPIS X9050」(商品名:理想科学工業(株)製)に装填し、上記紙に黒単色で300dpiあたり吐出量が30plのベタを印字して、印字物を得た。得られたベタ画像の表面と裏面、及び白紙のOD値を、光学濃度計(RD920、マクベス社製)を用いて測定し、以下の基準で評価した。表面のOD値が高ければ画像濃度が高く、裏面のΔOD、即ち、裏面のOD値から白紙のOD値を差し引いた値、が0.14以下であれば両面印刷しても支障が無く、それぞれ好ましい。

印刷濃度(表OD)

印刷濃度(裏ΔOD)

【0065】
<黄変>
以下の方法で、記録用紙の黄変を評価した。
未記録の各記録用紙の白紙部に4−4’−メチレンビス−2,6−(ジ−tert−ブチルフェノール)1%エタノール溶液を滴下し、23℃50%の環境に100時間放置した。
白紙ブランクと滴下部について、CIE LAB(L)表色系により色差を測定し、Δbを求めた。以下の基準で黄変を評価した。測色計にはX-Rite社製のEye-One iOを用いた。
○:Δb<5であり黄変が認められない。
×:Δb≧5であり黄変が認められる。

【表2】

【0066】
表2に示すように、アクリル系樹脂を欠くものは(比較例2)黄変が著しく、又、ステキヒトサイズ度が高い紙(比較例1)は裏抜けがひどかった。これに対して、本発明の紙は、黄変することもなく、裏抜けも少なかった。特に、所定の分散剤樹脂を含むインク(実施例1〜3)を用いて印刷した場合には、裏抜けが顕著に少なかった。さらに、本発明の紙はいずれも坪量が50g/m未満であり、軽量である。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の記録用紙は、裏抜けが少なく、高速インクジェット印刷に好適な軽量紙である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも顔料と、溶剤と、顔料分散剤を含む非水系インクを用いて記録を行うためのインクジェット記録用紙であって、
無機粒子、アクリル系樹脂、澱粉、並びに、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、及び中性ロジンからなる群より選ばれる少なくとも一種を含み、
JIS P 8122に従い測定されるステキヒトサイズ度が0.1〜4秒である、インクジェット記録用紙。
【請求項2】
JIS P 8251に従い測定される灰分が20〜35質量%である請求項1記載のインクジェット記録用紙。
【請求項3】
JIS P 8124に従い測定される坪量が55g/m以下の普通紙である、請求項1又は2記載のインクジェット記録用紙。
【請求項4】
記録用紙の質量に対し、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、及び中性ロジンからなる群より選ばれる少なくとも一種を0.05〜0.6質量%、澱粉を0.1〜1.5質量%、及びアクリル系樹脂を0.05〜0.5質量%含む、請求項1〜3のいずれか1項記載のインクジェット記録用紙。
【請求項5】
澱粉が酸化澱粉である、請求項1〜4のいずれか1項記載のインクジェット記録用紙。
【請求項6】
無機粒子が、紡錘状軽質炭酸カルシウムである、請求項1〜5のいずれか1項記載のインクジェット記録用紙。
【請求項7】
アクリル系樹脂が、アニオン性アクリル系樹脂である、請求項1〜6のいずれか1項記載のインクジェット記録用紙。
【請求項8】
インクジェット記録用紙と非水系インクを用いるインクジェット記録システムであって、
該記録用紙が、無機粒子、アクリル系樹脂、澱粉、並びに、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、及び中性ロジンからなる群より選ばれる少なくとも一種を含み、JIS P 8122に従い測定されるステキヒトサイズ度が0.1〜4秒であり、
該非水系インクが、少なくとも顔料と、溶剤と、該非水系インクの0.1〜20質量%の顔料分散剤を含み、該顔料分散剤が、アルキル(メタ)アクリレート共重合体であって、該アルキル基の炭素数が12〜25であり、該共重合体の1〜40質量%の、下記式(2)で表される繰り返し単位を含む側鎖もしくは架橋部を備える、インクジェット記録システム。
【化1】

【請求項9】
非水系インクが、該非水系インクの0.01〜10質量%の、第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩、脂肪酸及び/又はアルキル燐酸エステルとアミン化合物の組合わせ、及びシナジストからなる群より選ばれる少なくとも一種のイオン性物質をさらに含む請求項8記載のインクジェット記録システム。
【請求項10】
シナジストが銅フタロシアニン誘導体である、請求項9記載のインクジェット記録システム。
【請求項11】
第四級アンモニウム塩がテトラブチルアンモニウム塩である、請求項9記載のインクジェット記録システム。

【公開番号】特開2012−66542(P2012−66542A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215117(P2010−215117)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】