説明

インクジェット記録装置、およびインク供給方法

【課題】輸送時に廃棄されるインクを減らすことが可能なインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】メインタンク1と、サブタンク2と、記録ヘッド7と、空気供給路4と、インク供給路3と、弁10と、駆動機構20と、履歴データを格納した記憶部と、制御部と、を有し、制御部は、インクジェット記録装置の輸送日の入力を受け付けた後記録ヘッド7がインクを吐出したときに、その都度、インクの吐出量を計測するとともに、インクの吐出日から輸送日までに記録ヘッド7から吐出されるインクの総量を履歴データから予測し、弁10が開いている場合には、計測した吐出量Xが、X>Y−Z(ただし、Y:予測したインクの総量、Z:インクの液面が空気供給路4の下端に位置している状態でのサブタンク2内のインク量)となったとき、駆動機構20に弁10を閉じさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メインタンクとサブタンクを有するインクジェット記録装置、および該インクジェット記録装置で行われるインク供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置では、記録動作を中断しないでインクタンクを交換するためにメインタンクと記録ヘッドとの間にサブタンクを配置した構成が知られている。この構成では、メインタンクからサブタンクへのインク供給方法の一つに、チキンフィード方式(鳥の水呑器タイプ)が知られている(特許文献1参照)。チキンフィード方式では、サブタンクは、メインタンクの下方に位置し、大気と連通する大気連通口を備え、空気供給路およびインク供給路でメインタンクに連通している。記録ヘッドの記録動作によりサブタンク内のインクの液面が空気供給路よりも低くなると、大気連通口から入り込んだ空気が空気供給路を通ってメインタンクに逆流し、その空気の体積分のインクがメインタンクからインク供給路を通じて補給される。インクの液面が空気供給路に達すると、インクの供給は停止する。このようにして、サブタンク内のインクの液面が一定に維持される。すなわち、サブタンク内に一定量のインクが収容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−313830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
チキンフィード方式に対応したサブタンクは、上述したように、メインタンクからのインクの補給によって、一定量のインクを常に収容している。そのため、装置の輸送時にサブタンクが傾くとインクが大気連通口から外部に漏れる可能性がある。このインク漏れを防ぐため、従来は、装置の輸送前にサブタンク内のインクを全て廃棄していた。チキンフィード方式では、一般的に、サブタンク内はインクで満杯になっているので、輸送のために多くのインクが廃棄されることになる。
【0005】
本発明は、輸送時に廃棄されるインクを減らすことが可能なインクジェット記録装置、およびインク供給方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のインクジェット記録装置は、インクを収容可能なメインタンクと、前記メインタンクの下方に配置され、大気連通口が上部に形成されたサブタンクと、前記メインタンクから前記サブタンクを経由して供給されたインクを吐出する記録ヘッドと、上端が前記メインタンク内に位置し、下端が前記サブタンク内に位置し、前記大気連通口から入り込んだ空気を前記メインタンク内に送り込む空気供給路と、上端が前記メインタンク内に位置し、下端が前記サブタンク内における前記空気供給路の前記下端よりも下側に位置し、空気が前記メインタンク内に送り込まれると前記メインタンクから前記サブタンクへインクを供給し、前記サブタンク内のインクの液面が前記空気供給路の前記下端に達するとインクの供給を停止するインク供給路と、前記空気供給路または前記インク供給路の少なくとも一方に設けられた弁と、前記弁を開閉する駆動機構と、前記記録ヘッドがインクを吐出した当日前の吐出量を吐出日毎に示した履歴データを格納している記憶部と、前記記録ヘッド、前記駆動機構、および前記記憶部に接続された制御部と、を有し、前記制御部は、インクジェット記録装置の輸送日の入力を受け付けた後前記記録ヘッドがインクを吐出したときに、その都度、該インクの吐出量を計測するとともに該インクの吐出日から前記輸送日までに前記記録ヘッドから吐出されるインクの総量を前記履歴データから予測し、前記弁が開いている場合には、計測した前記吐出量Xが、X>Y−Z(ただし、Y:予測したインクの総量、Z:インクの液面が空気供給路の下端に位置している状態でのサブタンク内のインク量)となったとき、前記駆動機構に前記弁を閉じさせる。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のインク供給方法は、インクを収容可能なメインタンクと、前記メインタンクの下方に配置され、大気連通口が上部に形成されたサブタンクと、前記メインタンクから前記サブタンクを経由して供給された前記インクを吐出する記録ヘッドと、上端が前記メインタンク内に位置し、下端が前記サブタンク内に位置し、前記大気連通口から入り込んだ空気を前記メインタンク内に送り込む空気供給路と、上端が前記メインタンク内に位置し、下端が前記サブタンク内における前記空気供給路の前記下端よりも下側に位置し、前記空気が前記メインタンク内に送り込まれると前記メインタンク内の前記インクを前記サブタンク内に供給し、前記サブタンク内のインクの液面が前記空気供給路の前記下端に達すると前記インクの供給を停止するインク供給路と、前記空気供給路または前記インク供給路の少なくとも一方に設けられた弁と、を有するインクジェット記録装置で行われるインク供給方法において、前記インクジェット記録装置の輸送日の入力を受け付ける第1のステップと、前記輸送日の入力を受け付けた後前記記録ヘッドが前記インクを吐出したときに、その都度、該インクの吐出量を計測するとともに、該インクの吐出日から前記輸送日までに前記記録ヘッドから吐出されるインクの総量を、前記記録ヘッドが前記インクを吐出した当日前の吐出量を吐出日毎に示した履歴データから予測する第2のステップと、前記弁が開いている場合には、前記第2のステップで計測した前記吐出量Xが、X>Y−Z(ただし、Y:予測したインクの総量、Z:インクの液面が空気供給路の下端に位置している状態でのサブタンク内のインク量)となったとき、前記弁を閉じる第3のステップと、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、輸送日の入力を受け付けた後に計測した吐出量Xが、上述したX>Y−Zとなったとき、弁を閉じる。この式を満たす場合、サブタンク内のインク量(Z)で、輸送日までに必要と考えられるインク量(Y−X)を賄えることを意味している。そして、弁を閉じると、メインタンクからサブタンクへのインク供給が停止するので、記録ヘッドがインクを吐出するたびにサブタンク内のインクが減少していく。そのため、輸送前にインクがサブタンク内で満杯になっている従来の構成に比べ、輸送時に廃棄されるインクを減らすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のインクジェット記録装置の一実施形態を示す図である。
【図2】図1に示すインクジェット記録装置の電気的な制御構成を示すブロック図である。
【図3】インクジェット記録装置の輸送日の設定動作手順を示すフローチャートである。
【図4】履歴データの構成を示す図である。
【図5】輸送日までに記録ヘッドがインクを吐出したときの動作手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明のインクジェット記録装置の一実施形態を示す図である。本実施形態のインクジェット記録装置には、図1に示すように、インクを収容可能で、かつ着脱可能なメインタンク1が設けられている。メインタンク1の下部には、インクタンク不揮発性記録素子9が設けられている。インクタンク不揮発性記録素子9には、インク消費量などのデータが書き込まれている。
【0011】
メインタンク1の下方には、大気連通口5が上部に形成されたサブタンク2が配置されている。サブタンク2は、インク供給路3および空気供給路4を通じてメインタンク1に連通している。さらに、サブタンク2は、チューブ6を通じて記録ヘッド7に連通している。記録ヘッド7は、メインタンク1からサブタンク2、チューブ6を経由して供給されたインクを記録媒体8に吐出する。本実施形態のインクジェット記録装置では、メインタンク1から記録ヘッド7に至るインク供給系は、予め定められた複数の色に対応付けて設けられているが、図1では、1色分の構成を示している。
【0012】
インク供給路3は、導電性のインク供給針3aと、インク供給針3aが取り付けられたチューブ3bと、を有する。空気供給路4は、導電性のインク供給針4aと、チューブ4bと、インク供給針4aとチューブ4bの間に位置する空気供給溝4と、を有する。空気供給路4の上端(インク供給針4aの先端)はメインタンク内に位置し、空気供給路4の下端(チューブ4bの下端開口)はサブタンク内に位置している。一方、インク供給路3の上端(インク供給針3aの先端)はメインタンク内に位置し、インク供給路3の下端(チューブ3bの下端開口)はサブタンク内における空気供給路4の下端よりも下側に位置している(図1参照)。
【0013】
空気供給路4には、弁10が取り付けられている。弁10は、駆動機構20によって開閉される。図1は、弁10が開いている状態を示す。駆動機構20は、弁10が取り付けられたレバー21と、レバー21に取り付けられたバネ23と、レバー21を挟んでバネ23と対向したカム22と、を有する。弁10が開いているとき、カム22は、レバー21を押し下げている。このとき、バネ23は、カム22がレバー21を押し下げる力によって収縮している。この力がカム22の回転によって弱まると、バネ23が弾性変形してレバー21を押し上げることによって、弁10は空気供給路4を閉じる。
【0014】
弁10が開いているとき、記録ヘッド7のインクの吐出に伴ってサブタンク2内のインクの液面が、空気供給路4の下端よりも低くなると、大気連通口5から入り込んだ空気が空気供給路4を通じてメインタンク1内に送り込まれる。すると、メインタンク1からインク供給路3を通じてサブタンク2にインクが供給される。そして、サブタンク2内のインクの液面が空気供給路4の下端に達すると、インクの供給は停止する。
【0015】
図2は、図1に示すインクジェット記録装置の電気的な制御構成を示すブロック図である。
【0016】
本実施形態のインクジェット記録装置は、インターフェース106を介して外部のホストコンピュータ107と相互に接続されている。インクジェット記録装置内では、制御バス101を通じて記憶部11と接続されている制御部12が、記憶部11に格納されている種々のデータ、プログラム等に基づいて制御動作を行う。制御部12は、操作制御部105と、記録素子制御部111と、CPU(Central Processer Unit)100と、を有する。記憶部11は、不揮発性メモリー110と、RAM(Random Access Memory)102と、ROM(Read Only Memory)103と、を有する。
【0017】
操作制御部105は、入力操作を行うための操作部104を制御する。操作部104は、操作部104は、操作用のキー、および表示パネルなどを備えている。記録素子制御部111は、インクタンク不揮発性記録素子9にデータを書き込む。CPU100は、ROM103に記憶されているプログラムに従って、記録ヘッド7、駆動機構20(カム22)やモータドライバー108などを制御する。モータドライバー108は、キャリッジモーター(不図示)、紙送りモーター、および回復モーター(不図示)等を制御する。キャリッジモーターは、記録ヘッド7が搭載されたキャリッジを、記録媒体8の上方で往復移動させるときに駆動する。紙送りモーターは、記録媒体8を搬送するときに駆動する。回復モーターは、インクを吸引する回復動作を行うときに駆動する。
【0018】
インク残量検知部109は、インク供給針3aとインク供給針4bとに通電したときにこれらが電気的に接続されているか否か検知することによって、メインタンク1にインクが残っているか否か検出する。インク供給針3aとインク供給針4bが電気的に接続されているときには、サブタンク2内は、インクが満杯状態(インクの液面が空気供給路4の下端に位置している状態)である。反対に、インク供給針3aとインク供給針4bが電気的に接続されていないということは、メインタンク1内のインクが無くなり、サブタンク2内のインクの液面が空気供給路4の下端に接していないことを意味する。
【0019】
次に、インクジェット記録装置の輸送日の設定動作について説明する。図3は、インクジェット記録装置の輸送日の設定動作手順を示すフローチャートである。
【0020】
ユーザが、操作部104を操作してインクジェット記録装置の輸送日を入力すると、操作制御部105が、輸送日の入力を受け付ける(ステップS11)。次に、CPU100が、輸送日の入力を受け付けた受付日から輸送日までに記録ヘッド7から吐出されるインクの総量(インクの消費量)を予測する(ステップS12)。本実施形態では、図4に示すように、記録ヘッド7がインクを吐出した当日前のインクの吐出量を吐出日毎に示した履歴データ200が不揮発性メモリー110に格納されている。CPU100は、履歴データ200から過去数日間の一日当たりの吐出量の平均値を算出し、この平均値に、受付日から輸送日までの日数を乗じた量を、予測したインクの総量とする。インクの吐出量は、CPU100は、記録ヘッド7から吐出されたインクのドット数をカウントすることによって、インクの吐出量を計測する。さらに、CPU100は、インクの吐出量を計測する度に履歴データ200を更新する。
【0021】
CPU100は、インクの総量を予測した後、吐出量計測用のカウンタをリセットする(ステップS13)。最後に、CPU100は、上述したステップS12、13の動作が全色分完了したか否か判断する(ステップS14)。ステップS12、13の動作が終了していない色が存在する場合は、その色に対してこれらの動作を行う。このようにして、ステップS12、13の動作が全色分行われると、輸送日の設定動作は終了する。
【0022】
次に、輸送日までに記録ヘッド7がインクを吐出したときの動作について説明する。図4は、輸送日までに記録ヘッド7がインクを吐出したときの動作手順のフローチャートである。
【0023】
記録動作等で記録ヘッド7がインクを吐出すると、CPU100は、インクの吐出量Xを計測する(ステップS21)。続いて、CPU100は、インク残量検知部109の検知結果に基づいてメインタンク1にインクが残っているか否か判定する(ステップS22)。メインタンク1内にインクが残っている場合には、CPU100は、弁10が閉じているか否か判定する。本実施形態では、カム23の回転位置に応じて弁10の開閉状態を示すフラグがプログラミングされており、CPU100は、このフラグにより弁10が閉じているか否か判定する。
【0024】
弁10が開いている場合には、CPU100は、インクの吐出日から輸送日までに記録ヘッド7から吐出されるインクの総量Yを、履歴データ200から予測する(ステップS24)。具体的には、CPU100は、ステップS12と同様に、履歴データ200から過去数日間の1日当たりの吐出量の平均値を算出し、この平均値に、吐出日から輸送日までの日数を乗じた量を、予測したインクの総量Yとする。予測したインクの総量Yには、ステップS21で計測した吐出量Xが含まれていることになる。
【0025】
続いて、CPU100は、ステップS21で計測した吐出量Xが、X>Y−Z(ただし、Y:予測したインクの総量、Z:インクの液面が空気供給路4の下端に位置している状態のサブタンク内のインク量)になっているか否か判定する(ステップS25)。
【0026】
上記の式を満たしている場合、CPU100は、駆動機構20に弁10を閉じさせる(ステップS26)。その後、CPU100は、上述したステップS21からステップS26までの動作が全色分完了したか否か判定する(ステップS27)。ステップS21からステップ26までの動作が終了していない色が存在する場合は、その色に対してこれらの動作を行う。
【0027】
ステップS26の動作でX>Y−Zを満たしていない場合、またはステップS23の動作で弁10が閉じていると判定された場合、ステップS27の動作に移行する。
【0028】
ステップS22の動作でメインタンク1内にインクが残っていないと判定された場合、CPU100は、メインタンク1の交換を警告する(ステップS30)。本実施形態では、CPU100は、インターフェース106を通じてホストコンピュータ107に、メインタンク1の交換を促す表示を行わせる。メインタンク1が交換されると、メインタンク1のインクが、サブタンク2へ再び充填される。このとき、CPU100は、インク残量検知部109の検知結果に基づいてサブタンク2内のインクの液面が空気供給路4の下端に達したか否か判定する。続いて、CPU100は、ステップS24の動作と同様にして、メインタンク1の交換日から輸送日までに記録ヘッド1から吐出されるインクの総量を予測する(ステップS31)。続いて、CPU100は、ステップS13の動作と同様に、吐出量計測用のカウンタをリセットする(ステップS32)。その後、上述したステップS28の動作を行う。
【0029】
次に、インクジェット記録装置を輸送する際の動作について説明する。ユーザが、メインタンク1を抜き取って、操作部104を通じて所定の操作を行うと、記録ヘッド7の下方に配置された吸引ポンプ(不図示)が、サブタンク2およびチューブ6に滞留しているインクを抜き取る回復動作を行なう。回復動作後、ユーザが、操作部104を通じて電源をオフする操作を行うと、装置を輸送可能な状態となる。
【0030】
本実施形態では、ステップS26の動作で弁10が閉じられると、メインタンク1からサブタンク2へのインク供給が停止する。その結果、記録ヘッド7がインクを吐出したとき、その都度、サブタンク2内のインクが減少していく。そのため、輸送日までに必要と考えられるインク量(予測したインクの総量Y−計測した吐出量X)が、サブタンク2内のインク量Zに一致していれば、輸送日にサブタンク2は空状態になっている。そのため、輸送時に廃棄されるインクは、チューブ6内に滞留しているインクだけになる。一致していなかった場合(Z>Y−X)には、サブタンク2にインクが残っている。しかし、輸送前にインクがサブタンク内で満杯状態になっている従来に比べ、廃棄されるインクを減らすことが可能となる。
【0031】
本実施形態では、弁10が空気供給路4に設けられた構成であったが、弁10は、インク供給路3に設けられた構成、あるいは、空気供給路4およびインク供給路3の両方に設けられた構成であってもよい。このような構成であっても、弁10を閉じることによりメインタンク1からサブタンク2へのインク供給を停止することができるからである。
【符号の説明】
【0032】
1 メインタンク
2 サブタンク
3 インク供給路
4 空気供給路
5 大気連通口
7 記録ヘッド
10 弁
20 駆動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを収容可能なメインタンクと、前記メインタンクの下方に配置され、大気連通口が上部に形成されたサブタンクと、前記メインタンクから前記サブタンクを経由して供給されたインクを吐出する記録ヘッドと、上端が前記メインタンク内に位置し、下端が前記サブタンク内に位置し、前記大気連通口から入り込んだ空気を前記メインタンク内に送り込む空気供給路と、上端が前記メインタンク内に位置し、下端が前記サブタンク内における前記空気供給路の前記下端よりも下側に位置し、空気が前記メインタンク内に送り込まれると前記メインタンクから前記サブタンクへインクを供給し、前記サブタンク内のインクの液面が前記空気供給路の前記下端に達するとインクの供給を停止するインク供給路と、前記空気供給路または前記インク供給路の少なくとも一方に設けられた弁と、前記弁を開閉する駆動機構と、前記記録ヘッドがインクを吐出した当日前の吐出量を吐出日毎に示した履歴データを格納している記憶部と、前記記録ヘッド、前記駆動機構、および前記記憶部に接続された制御部と、を有し、
前記制御部は、インクジェット記録装置の輸送日の入力を受け付けた後前記記録ヘッドがインクを吐出したときに、その都度、該インクの吐出量を計測するとともに該インクの吐出日から前記輸送日までに前記記録ヘッドから吐出されるインクの総量を前記履歴データから予測し、前記弁が開いている場合には、計測した前記吐出量Xが、X>Y−Z(ただし、Y:予測したインクの総量、Z:インクの液面が空気供給路の下端に位置している状態でのサブタンク内のインク量)となったとき、前記駆動機構に前記弁を閉じさせる、インクジェット記録装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記記録ヘッドの1日当たりの吐出量の平均値を前記履歴データから算出し、前記平均値に、前記インクの吐出日から前記輸送日までの日数を乗じた値を前記予測したインクの総量とする、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記駆動機構は、前記弁に取り付けられたレバーと、前記制御部の制御に従って回転し、前記レバーを押し下げることによって前記弁を開かせるカムと、前記レバーを挟んで前記カムと対向し、前記弁が開いているときに前記カムが前記レバーを押し下げる力により収縮し、前記カムの回転により前記力が弱まると弾性変形して前記レバーを押し上げることによって前記弁を閉じさせるバネと、を有する、請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
インクを収容可能なメインタンクと、前記メインタンクの下方に配置され、大気連通口が上部に形成されたサブタンクと、前記メインタンクから前記サブタンクを経由して供給されたインクを吐出する記録ヘッドと、上端が前記メインタンク内に位置し、下端が前記サブタンク内に位置し、前記大気連通口から入り込んだ空気を前記メインタンク内に送り込む空気供給路と、上端が前記メインタンク内に位置し、下端が前記サブタンク内における前記空気供給路の前記下端よりも下側に位置し、空気が前記メインタンク内に送り込まれると前記メインタンクから前記サブタンクへインクを供給し、前記サブタンク内のインクの液面が前記空気供給路の前記下端に達するとインクの供給を停止するインク供給路と、前記空気供給路または前記インク供給路の少なくとも一方に設けられた弁と、を有するインクジェット記録装置で行われるインク供給方法において、
前記インクジェット記録装置の輸送日の入力を受け付ける第1のステップと、
前記輸送日の入力を受け付けた後前記記録ヘッドがインクを吐出したときに、その都度、該インクの吐出量を計測するとともに、該インクの吐出日から前記輸送日までに前記記録ヘッドから吐出されるインクの総量を、前記記録ヘッドがインクを吐出した当日前の吐出量を吐出日毎に示した履歴データから予測する第2のステップと、
前記弁が開いている場合には、前記第2のステップで計測した前記吐出量Xが、X>Y−Z(ただし、Y:予測したインクの総量、Z:インクの液面が空気供給路の下端に位置している状態でのサブタンク内のインク量)となったとき、前記弁を閉じる第3のステップと、
を有することを特徴とするインク供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−1068(P2013−1068A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137473(P2011−137473)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】