説明

インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法

【課題】記録速度などの記録条件の変化に拘わらず、高品位の画像を記録することができるインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法を提供すること。
【解決手段】インクの主滴Dmと副滴Dsとを異なる方向に吐出する記録ヘッド110を用いて、記録媒体W上に画像を記録する。主滴Dmと副滴Dsの着弾位置のずれが所定の許容範囲に収まる記録条件のときは、主滴Dmと副滴Dsを記録媒体Wに着弾させる。主滴D1と副滴Dsの着弾位置のずれが所定の許容範囲に収まらない記録条件のときは、回収機構の回収部21によって、副滴Dsを記録媒体Wに着弾させずに、主滴Dmのみを記録媒体Wに着弾させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクの主滴と副滴を異なる方向に吐出する記録ヘッドを用いるインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置には、電気熱変換体(ヒーター)やピエゾ素子などを用いて、インクを吐出可能な記録ヘッドが用いられている。図14(a)のように、電気熱変換体101を用いた記録ヘッドHの場合には、その電気熱変換体101の発熱により流路102内のインクを発泡させる(図13(b),(c)参照)。そして、そのときに生じる気泡Bの発泡エネルギーを利用して、吐出口103からインクを吐出させることができる。気泡Bは、図14(d),(e)のように消泡する。また本例のヘッドHには、気泡Bの発泡エネルギーを吐出口103の方向に効果的に作用させるために、流路102内に可動板104が備えられている。この可動板104は、インク中における気泡Bの成長方向を規制することになる。インクジェット記録装置は、このようなヘッドHの吐出口103から吐出したインクを記録媒体上に付着させることにより、記録媒体上に画像を記録するものであり、近年、記録速度の高速化の要求が高まってきている。
【0003】
このような記録ヘッドHにおいては、記録速度の高速化に伴い、新たな問題が顕在化してきている。
【0004】
すなわち、図14(d)のように、吐出口103から押し出されたインクの液柱を分断してインク滴(主滴)を形成する際に、図14(e)のように、主滴Dmと共に、サテライトと称される副滴Dsも形成される。それらの主滴Dmと副滴Dsが記録媒体上にずれて着弾した場合には、記録画像の画質が低下するおそれがある。図15(a)のように、副滴Dsは主滴Dmよりも吐出タイミングが遅く、また副滴Dsの吐出速度Vsは、主滴Dmの吐出速度Vmよりも低い。したがって、記録ヘッドHと記録媒体Wとの相対的な移動速度Vfが高になるにつれて、主滴Dmと副滴Dsの着弾位置のずれdは増大する(図15(b),(c)参照)。図15(a),(b),(c)においては、記録ヘッドHに対して記録媒体Wが移動するものとして表されている。D1は、主滴Dmによって記録媒体W上に形成されるドット、D2は、副滴Dsによって記録媒体W上に形成されるドットである。
【0005】
従来は、このような主滴と副滴の着弾位置のずれを小さく抑えるために、記録ヘッドの吐出口形成面(吐出口が形成される面)と記録媒体との間の距離h(図15参照)を短くしたり、あるいはインクの吐出速度を高めたりしていた。
【0006】
また特許文献1には、インクの主滴と副滴の吐出方向を角度5°程度ずらし、吐出口の前方に位置する捕集部材によって主滴を捕らえて、副滴のみを記録媒体に着弾させる構成が記載されている。したがって、副滴のみによって記録媒体上に画像が記録されることになる。
【0007】
また特許文献2には、インクの主滴と副滴の吐出方向を一致させるための構成が記載されている。この特許文献2に記載の構成は、吐出口と流路を含むノズル部分の形成材料が異なる場合に、それら材質間の表面エネルギーの差、つまりインクに対する濡れ性の差によって、主滴と副滴の吐出方向にずれが生じることに着目してなされたものである。すなわち、表面エネルギーの大きい材料が位置する側の流路部分よりも、表面エネルギーが小さい材料が位置する側の流路部分を短くするように、吐出口面を傾斜させることによって、主滴と副滴の吐出方向を一致させる構成となっている。
【0008】
また特許文献3には、インクの主滴と副滴の吐出方向を積極的にずらす構成が記載されている。これは、インクの主滴と副滴の吐出方向が一致していた場合に、記録動作時における記録ヘッドと記録媒体の相対移動によって、記録媒体上における主滴と副滴の着弾位置にずれが生じることに着目したものである。すなわち、記録ヘッドと記録媒体の相対移動の方向と、その相対移動の速度と、に関連して、主滴と副滴の吐出方向を所定の角度ずらすことにより、結果的に、主滴と副滴の着弾位置を一致させる構成となっている。この特許文献3においては、主滴と副滴の吐出方向を積極的にずらすために、インクの吐出口が形成される記録ヘッドの吐出口面を所定の角度傾斜させている。
【0009】
【特許文献1】特開平9−109399号公報
【特許文献2】特開2000−263788号公報
【特許文献3】特開2007−283720号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述したように、インクの主滴と副滴の着弾位置のずれを小さく抑えるべく、記録ヘッドの吐出口面と記録媒体との間の距離h(図15参照)を短くする場合、その距離hの短縮化には限界がある。すなわち、その距離hが短すぎた場合には、インクが付与される記録媒体に生じるコックリングによって、その記録媒体が記録ヘッドの吐出口面に接触するおそれがある。また、記録媒体の表面から跳ね返ったインクやミスト状のインクが吐出口面に付着して、インクの吐出不良をもたらすおそれがある。
【0011】
また、主滴と副滴の着弾位置のずれを小さく抑えるべく、インクの吐出速度を高める場合、その高速化にも限界がある。すなわち、インクの吐出速度を高めるためには、それに伴って、吐出口からインクを吐出した後に、記録ヘッドの流路内にインクの素早くリフィルしなければならず、このようなインクの供給性能を高めることにも限界がある。
【0012】
このように、記録ヘッドの吐出口面と記録媒体との間の距離hを短くしたり、インクの吐出速度を高めたりするだけでは、記録速度の更なる高速化に対応すべく、主滴と副滴の着弾位置のずれをより小さく抑えることは難しい。
【0013】
一方、特許文献1のようにインクの主滴を捕集し、インクの副滴のみによって画像を記録する場合には、記録媒体上に画像記録するために必要なインク滴の大きさが確保できなくなるおそれがある。また、特にベタ記録の際には、副滴の着弾位置の間隔が大きくなって記録品位の低下を招くおそれがある。また、吐出口面の近くにインクの捕集部材が取り付けられているため、記録ヘッドの回復動作のためのワイピング機構やインク吸引機構の設置が難しくなり、設計上の制約が多くなる。
【0014】
また特許文献2のように、単に、インクの主滴と副滴の吐出方向を一致させるだけでは、記録速度の高速化(速度Vfの増大化)に伴って生じる主滴と副滴の着弾位置のずれが増大化(図15参照)を抑えることはできない。
【0015】
また特許文献3は、主滴と副滴の吐出方向を所定の角度ずらすことによって、記録ヘッドと記録媒体との相対的な移動速度(以下、「記録速度」という)が所定の範囲においては、主滴と副滴の着弾位置を一致させることができる。しかし、その記録速度が所定の範囲を外れた場合には、その外れる程度が大きくなる程、主滴と副滴の着弾位置に大きなずれが生じてしまう。そのため、記録速度を調整可能な記録装置においては、主滴と副滴の着弾位置が一致するときの記録速度のときは問題ないものの、その記録速度を外れたときには、画像の記録品位が損なわれるおそれがある。
【0016】
このように従来においては、記録速度が高速と低速の両方において、主滴と副滴の着弾位置のずれを充分に抑えることができなかった。特に、産業用のインクジェット記録装置において求められている項目、つまり記録速度の高速化と、記録速度の広い調整範囲における記録画像の高質化と、に応えることが難しかった。
【0017】
また、産業用のインクジェット記録装置において、例えばバーコード記録する場合には、主滴と副滴の着弾位置のずれは致命的となる。バーコードは、太さの異なる黒いバーや白いスペースの組み合わせによる記録情報である。主滴と副滴の着弾位置のずれが増大した場合には、それらのバーやスペースの大きさや位置が読み取り可能な規格から外れて、バーコードの読み取りができなくなるおそれがある。
【0018】
図16、図17は、いわゆるフルラインタイプのインクジェット記録装置において、主滴と副滴の着弾位置がずれた場合のバーコードの記録結果の説明図である。
【0019】
フルラインタイプのインクジェット記録装置においては、図16(a)のように、記録ヘッドHを固定したまま、記録媒体Wを矢印Y1方向に連続的に搬送させつつ、記録ヘッドHからインクを吐出させることによって、記録媒体W上に連続的に画像を記録する。ドットD2は、ドットD1の中心よりも、記録媒体Wの搬送方向(矢印Y1方向)とは逆の方向(矢印Y2)にずれて形成される。その矢印Y2方向は、記録媒体Wに対するヘッドHの相対的な移動方向である。記録媒体Wの搬送速度(記録速度)が比較的低いときに、図16(a)のようにドットD1内にドットD2が形成される場合に、記録媒体Wの搬送速度が高くなったときには、図16(b)のように、ドットD1の外にドットD2が形成されてしまう。そのため、バーコードを高速記録した場合に、そのバーコードの読み取りができなくなるおそれがある。一方、記録媒体Wの搬送速度(記録速度)が比較的高いときに、図17(a)のようにドットD1内にドットD2が形成される場合、記録媒体Wの搬送速度が低くなったときには、図17(b)のように、ドットD1の外にドットD2が形成されてしまう。そのため、バーコードを低速記録した場合に、そのバーコードの読み取りができなくなるおそれがある。
【0020】
本発明の目的は、記録速度などの記録条件の変化に拘わらず、高品位の画像を記録することができるインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明のインクジェット記録装置は、記録ヘッドと記録媒体とを相対移動させつつ、前記記録ヘッドの吐出口からインクの主滴と副滴を異なる方向に吐出することによって、前記記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置において、前記インクの主滴と副滴を前記記録媒体に着弾させるように、前記主滴と前記副滴の飛翔軌跡上から外れる退避位置と、前記主滴を前記記録媒体に着弾させかつ前記副滴を前記記録媒体に着弾させないように、前記副滴の飛翔軌跡上に位置して当該副滴を回収する回収位置と、の間を移動可能な回収機構を備えることを特徴とする。
【0022】
本発明のインクジェット記録方法は、記録ヘッドと記録媒体とを相対移動させつつ、前記記録ヘッドの吐出口からインクの主滴と副滴を異なる方向に吐出することによって、前記記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法において、前記主滴と前記副滴の着弾位置のずれが所定の許容範囲に収まる記録条件のときは、前記インクの主滴と副滴を前記記録媒体に着弾させるように、前記主滴と前記副滴の飛翔軌跡上から回収機構の位置を外し、前記主滴と前記副滴の着弾位置のずれが所定の許容範囲に収まらない記録条件のときは、前記主滴を前記記録媒体に着弾させかつ前記副滴を前記記録媒体に着弾させないように、前記副滴の飛翔軌跡上に前記回収機構を位置させて当該副滴を回収することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、インクの主滴と副滴とを異なる方向に吐出する記録ヘッドを用いて画像を記録する場合に、移動可能な回収機構を用いることにより、主滴と副滴を記録媒体に着弾させる形態と、副滴のみを記録媒体に着弾させる形態と、を選択することができる。この結果、主滴と副滴の着弾位置のずれが所定の許容範囲に収まる記録条件のときは、主滴と副滴を記録媒体に着弾させることにより、高品位の画像を記録することができる。一方、主滴と副滴の着弾位置のずれが所定の許容範囲に収まらない記録条件のときは、副滴を記録媒体に着弾させずに、主滴のみを記録媒体に着弾させることにより、記録画像の高品位を維持することができる。例えば、高速記録時および低速記録時のいずれにおいても高品位の画像を記録することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
(第1の実施形態)
図1は、記録ヘッド110を用いて画像を記録可能なフルラインタイプのインクジェット記録装置120の概略正面図である。記録装置120には、紙等の記録媒体Wを矢印Y1の搬送方向に搬送するための搬送部121、その搬送部121に記録媒体を供給するための給送部122が備えられている。また、本例の記録装置120には、6つの記録ヘッド110が交換可能に装着され、それらは対応するインクカートリッジ123からイエロー(Y),淡マゼンタ(LM),マゼンタ(M),淡シアン(LC),シアン(C),ブラック(K)のインクが供給される。6つの記録ヘッド110は記録媒体Wの搬送方向にずれて配備され、また、それぞれの記録ヘッド110におけるノズル列は、記録媒体Wの搬送方向に対して交差する方向(本例においては、直交する方向)に延在する。
【0026】
124は、記録ヘッド110のインクの吐出状態を良好に維持するための回復処理を行う回復ユニットである。その回復処理として、画像の記録に寄与しないインクを吐出口から吸引排出または加圧排出させる処理、画像の記録に寄与しないインクを吐出口から吐出させるための処理(予備吐出)、および記録ヘッド110の吐出口面のワイピング処理などを含むことができる。125は、記録装置12を操作するためのオペレーションパネル部である。
【0027】
図2は、記録ヘッド110の分解斜視図である。
【0028】
111は、後述する電気熱変換素子(ヒータ)、共通液室、流路、吐出口などを備えた吐出エレメントであり、112は、後述する電気配線基板が配置されたセラミックプレートである。吐出エレメント111内の共通液室は、流路形成部材220の内部に設けられた複数の流路に接続され、また流路形成部材220のインク導入口130Aには不図示のインクタンクからインクが供給される。吐出エレメント111の左右両側面部および上面部を覆う流路形成部材220、流路、吐出口、および電気熱変換素子などによって、複数のノズルが列状に形成される。インク導入口130Aから共通液室内に供給されたインクは、それぞれのノズルの吐出口から吐出可能である。また記録ヘッド110は、図3に示すように、個々の電気熱変換素子に電流を供給するために金属ワイヤーによって制御基盤113と結合される。記録ヘッド110には、それにインクを供給するためのユニット150が取り付けられる。
【0029】
図4は、記録ヘッド110におけるノズル近傍部分の一部切欠き斜視図である。
【0030】
ヒータボード1には、インクを加熱発泡させるためのヒータ(電気熱変換素子)2が複数配置されている。ヒータ2としてはチッ化タンタル等の抵抗体が用いられ、例えば、その厚さは0.01〜0.5μm、そのシート抵抗値は単位正方形当たり10〜300Ωである。ヒータ2には、通電のためのアルミニウム等の電極(図示せず)が接続されており、その電極の一方には、ヒータ2に対する通電を制御するためのスイッチングトランジスタ(図示せず)が接続されている。スイッチトランジスタは、制御用のゲート素子等の回路からなるICによって駆動制御され、記録装置からの信号に応じてヒータ2を制御する。
【0031】
ヒータ2は、複数の流路3のそれぞれに対して形成されている。それぞれの流路3の一端は対応する吐出口4に連通され、それぞれの流路3の他端は共通液室5に連通されている。流路3は、ヒータボード1、ノズル壁6、厚さ5〜10μm程度のノズル土手、および厚さ2μm程度の天板ノズル8によって囲まれて管状を成している。本例において、ノズル壁6、ノズル土手7、および天板ノズル8は、感光性エポキシ樹脂により形成されている。
【0032】
流路3内には可動板9が備えられており、その自由端9Aは吐出口4側に位置し、その基端は共通液室5側に位置している。可動板9の基端側の支点は支持部材10に取り付けられ、その支持部材10は台座11(図6参照)によってヒータボード1に取り付けられている。天板ノズル8は、Si(シリコン)等によって形成される天板12に貼り付けられている。天板12には、異方性エッチング等によって不図示のインク供給口が形成されている。そのインク供給口を通して、外部から液体のインクが共通液室5内に供給され、さらに、その共通液室5内のインクは、それぞれの流路3内に供給される。
【0033】
吐出口4が位置する吐出口面Fは、次のような所定の角度θの傾きをもつ。
【0034】
図5のように、吐出口面Fは流路3の軸線(ノズルの軸線)L1に対して直交せず、その法線L2と軸線L1とが角度θをもって傾斜する。その吐出口面Fは、記録媒体Wの搬送方向Y1と反対の方向(矢印Y2方向)、つまり記録媒体Wを基準としたときの記録ヘッド110の相対移動方向を向くように傾斜する。したがって吐出口面Fは、軸線L1と直交する面F0を記録ヘッド110の相対移動方向(矢印Y2方向)に向かって角度θだけ傾けた面でもある。角度θの大きさは、後述するように、記録媒体Wと記録ヘッド110の相対移動速度などを考慮して設定する。
【0035】
図6は、吐出口4からのインクの液滴の吐出過程の説明図である。図6において、21は、後述する回収機構20における回収部である。
【0036】
図6(a)は、ヒータ2が通電されず、流路3内のインクが加熱される前の状態である。吐出口4付近のインクはメニスカスMを形成している。
【0037】
図6(b)および図6(c)は、ヒータ2が通電され、その発熱によりインクが加熱されることによって、インクの膜沸騰を伴って発泡Bが生じた状態である。このとき、気泡Bの発生に基づく圧力の伝播方向は、可動体9が台座11側を支点として変位することにより、インクの吐出方向に導かれる。流路3内のインクは、発泡によって生じた圧力によって吐出口4から押し出され、気泡Bの成長に伴って図6(c)のような液柱を形成する。
【0038】
図6(d)および図6(e)は、ヒータ2によるインクの加熱が終了して、気泡Bが収縮過程にある状態である。吐出口4付近のインクは、気泡Bの収縮に伴って流路3に引き込まれる。液柱の先端部分には吐出方向への慣性力が働いているため、その液柱は、流路3内のインクから切り離される。その切り離された液柱は、インクの表面張力によって主滴Dmと副滴(サテライト)Dsを形成し、記録媒体に向かって飛翔する。このとき、後述するように、回収機構20の回収部22によって副滴Dsが回収され、主滴Dmのみが記録媒体に到達する。
【0039】
このような主滴Dmと副滴Dsの吐出方向は、吐出口面Fが所定の角度θの傾きをもっているため、次のように異なる方向となる。
【0040】
すなわち、図6(b)および図6(c)のように、発泡によって生じた圧力の伝播に伴ってメニスカスMが吐出方向に前進し始めると、吐出口4付近のインクは、図7のように、吐出口4から押し出される。その際、吐出口4付近のインクは、吐出口面F上のノズル土手7と天板ノズル8に対して等しい接触角αを保ちながら押し出される。このとき、インクが押し出される方向A1と、流路3の軸線L1との成す角度は、図5のように吐出口面Fの傾き角度θとなる。つまり吐出口4付近のインクは、図6(b)および図6(c)のように、吐出口面Fと直交する法線L2に沿うように、矢印A1方向に押し出されることになる。一方、図6(b)および図6(c)のように、ヒータ2の近傍に位置するインクは、流路3の軸線L1方向に沿って矢印A2方向に押し出される。
【0041】
その後、図6(d)のように気泡Bが収縮過程に入ると、吐出口4付近のインクが流路3内に引き込まれて、図6(e)のように主滴Dmと副滴Dsが形成される。主滴Dmと副滴Dsは、発泡よって押し出された方向が異なるため、図6(e)のように、主滴Dmは、軸線L1と角度θを成す矢印A1方向(法線L2方向)へ飛翔し、副滴Dsは矢印A2方向(軸線L1方向)に飛翔する。
【0042】
吐出口面Fの角度θ、つまり主滴Dmの吐出角度θは、記録ヘッド110を搭載する記録装置120の構成や制御条件に応じて設定する。以下に、角度θの設定方法の一例を図8に基づいて説明する。
【0043】
ここで、主滴Dmの吐出速度をVm、副滴Dsの吐出速度をVs、記録媒体Wの搬送速度をVf、吐出口4と記録媒体Wとの間の距離をhとする。図14のように吐出口面が傾いていない従来の記録ヘッドHは、主滴Dmと副滴Dsの着弾位置のずれ量dは、下式によって表される。
d={(1/Vs)−(1/Vm)}×h×Vf
【0044】
この場合には、インクの吐出速度Vm,Vs、距離h、搬送速度Vfに応じた大きさのずれ量dが発生し、主滴Dmと副滴Dsは異なる位置に着弾する。
【0045】
この場合には、インクの吐出速度Vm,Vs、距離h、搬送速度Vfに応じた大きさのずれ量dが発生し、主滴Dmと副滴Dsの着弾位置を一致させることはできない。
【0046】
これに対して、本例の記録ヘッド110においては、下式の条件を満たすように角度θを設定することにより、図8のように、主滴Dmと副滴Dsの着弾位置を一致させることができる。
【0047】
[(1/Vs)−{1/(Vm・cosθ)}]×h×Vf=h・tanθ
上式を整理すると下式となる。
(1/Vs)−{1/(Vm・cosθ)}=tanθ/Vf
【0048】
このような式を満たすように角度θを設定することにより、記録媒体W上における主滴Dmと副滴Dsの着弾位置を一致させて、高品位の画像を記録することができる。つまり、上式のように、インクの吐出速度Vm,Vsと搬送速度Vfに関連して角度θを設定することにより、主滴Dmと副滴Dsの着弾位置を一致させることができる。
【0049】
しかし、搬送速度Vfが上式を満たす速度よりも低速に設定された場合には、上式が満たされなくなって、主滴Dmと副滴Dsの着弾位置がずれてしまう。このような場合には、図9のように回収機構20の回収部21を用いて、副滴Dsを記録媒体Wに到達する前に回収することにより、主滴Dmのみによって画像を記録する。すなわち、搬送速度Vfが上式を満たす速度よりも遅い速度Vf(L)に設定されて、主滴Dmと副滴Dsの着弾位置のずれが所定量以上となる場合には、記録ヘッド110と記録媒体Wとの間に回収機構20の回収部21を位置させて、副滴Dsを回収する。その際には、吐出速度Vm,Vsと角度θに応じて、吐出口面Fから回収部21までの間の距離h1と、主滴Dmが通過する軌道と回収部21との間の距離Zと、を最適に設定する。すなわち図9のように、主滴Dmが回収部21に接触せずに記録媒体Wに到達し、かつ副滴Dsが回収部21によって回収されるように、それらの距離h1,Zを最適に設定する。図9(a)において、rは主滴Dmの半径であり、xは副滴Dsの直径である。
【0050】
図10および図11は、回収機構20についての説明図である。
【0051】
回収機構20は、副滴Dsを受けて回収する回収部21と、その回収部21の矢印Y1,Y2方向に位置調整する調整部22と、を含む。調整部22には、記録媒体Wの搬送路の両側に位置する左右のスライダ23が備えられており、それらのスライダ23に設けられた支持部24の間に、回収部21が取付けられている。スライダ23は、記録速度、つまり記録媒体Wの搬送速度に応じて、不図示のモータによりストッパ25,26との間にて矢印Y1,Y2方向にスライドされる。したがって、記録媒体Wの搬送速度に応じて、回収部21の位置が矢印Y1,Y2方向に調整されることになる。
【0052】
記録速度が高速のとき、つまり記録媒体Wの搬送速度が高速のときは、図8のように、回収部21が副滴Dsの飛翔軌跡上から離れることにより、主滴Dmと副滴Dsが記録媒体W上の同じ位置に着弾して画像を記録する。一方、記録速度が低速のとき、つまり記録媒体Wの搬送速度が低速のときは、図9のように、その搬送速度に応じて回収部21の位置を調整して、その回収部21を副滴Dsの飛翔軌跡上に移動させる。これにより、その副滴Dsを回収して、主滴Dmのみによって画像を記録する。
【0053】
このように、主滴Dmと副滴Dsが同じ位置に着弾する高速記録時には、図8のように、それらの主滴Dmと副滴Dsによって画像を記録する。一方、主滴Dmと副滴Dsが同じ位置に着弾しない低速記録時には、図9のように、回収部21によって副滴Dsを回収し、主滴Dmのみによって画像を記録する。この結果、高速記録時と低速記録時のいずれにおいても高品位な画像を記録することができる。
【0054】
回収部21は、許容量の副滴Dsを回収した後に、交換が容易なカートリッジ式であることが望ましい。また回収部21は、副滴Dsを飛散させることなく確実に捕獲するために、副滴Dsをすばやく吸収できるような材質であることが望ましい。例えば、その材質としては、他孔質な構造をもつプラスチックや繊維質の吸収媒体を挙げることができる。
【0055】
また本例の記録装置には、図11のような回復ユニット30が備えられており、記録ヘッド110のインクの吐出状態を良好に維持するための回復処理として、予備吐出とワイピングを行なう。回復ユニット30には、インク吸収体21を収容する回復桶22と、その回復桶22の上側開口部に位置するキャップ23およびワイパ24と、吸収体21を覆うためにキャップ23に装着されるカバー25と、が備えられている。
【0056】
回復処理を実行しないときには、図11(a)のように、キャップ23にカバー25が装着されている。回復処理を実行するときには、図11(b)のように記録ヘッド110が上昇してから、図11(c)のように回復桶22が矢印B2方向に移動することにより、その回復桶22が記録ヘッド110の下に位置する。回復桶22の矢印B2方向の移動と同様に、カバー25がキャップ23から外される。その後、記録ヘッド110の吐出口面Fにキャップ23をできるだけ近づけてから、記録ヘッド110の吐出口から、画像の記録に寄与しないインクを吐出(予備吐出)させる。回復桶24内に吐出されたインクは吸収体21によって吸収されてから、チューブ26を通して排出される。その後、回復桶22が矢印B1方向に移動することにより、ワイパ24が吐出口面Fをワイピングする。本例において、矢印B1,B2方向は、矢印Y1,Y2方向と同じ方向である。
【0057】
以上のように本実施形態においては、主滴Dmと副滴Dsが同じ位置に着弾しない低速記録時、つまり搬送速度Vfが上式を満たす速度よりも遅い速度Vf(L)のときは、図9のように、回収部21が移動して副滴Dsを回収する。これにより、図12(a)のように、主滴Dmのみを記録媒体Wに着弾させて、高品位の画像を記録することができる。その際には、前述したように、吐出速度Vm,Vsと角度θに応じて、吐出口面Fから回収部21までの間の距離h1と、主滴Dmが通過する軌道と回収部21との間の距離Zと、を最適に設定する。すなわち図9のように、主滴Dmが回収部21に接触せずに記録媒体Wに到達し、かつ副滴Dsが回収部21によって回収されるように、それらの距離h1,Zを最適に設定する。本例においては、回収部21を矢印Y1,Y2方向に移動させることにより、距離Zを調整する。しかし、距離h1を調整するように、回収部21を上下方向に移動させることもできる。
【0058】
また、主滴Dmと副滴Dsが同じ位置に着弾する高速記録時、つまり搬送速度Vfが上式を満たす速度のときは、図8のように、回収部21が副滴Dsの飛翔位置から外れる。これにより、図12(b)のように、主滴Dmと副滴Dsが同じ位置に着弾させて、高品位の画像を記録することができる。
【0059】
(第2の実施形態)
前述した第1の実施形態における記録ヘッド110は、いわゆるエッジシュータタイプであり、インクの吐出方向と、ノズル内へのインクの供給方向と、がほぼ一致する。しかし本発明は、いわゆるサイドシュータタイプの記録ヘッドに対しても適用することができる。そのサイドシュータタイプの記録ヘッドにおいては、インクの吐出方向と、ノズル内へのインクの供給方向とが異なる。
【0060】
図13(a)から(e)は、本発明を適用したサイドシュータタイプの記録ヘッドの要部の断面図であり、前述した実施形態と同様の部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0061】
吐出口4は、ヒータ2と対向する天板12の位置に形成され、ノズルは、ヒータ2、ヒータ2と吐出口4との間の流路、および吐出口4などによって形成されている。吐出口5が形成される吐出口面Fは、前述した実施形態と同様に、ノズルの軸線L1に対して所定の角度θ傾斜している。共通液室5内のインクは、図13(e)中の矢印C方向からノズル内に供給される。そして吐出口4の前方に、前述した実施形態と同様に回収機構20が配備されている。
【0062】
本例の記録ヘッドは、前述した実施形態の記録ヘッドと同様に、ヒータ2の熱エネルギーを利用してインクを吐出させることができる。すなわち、図13(a)から(e)のように、ヒータ2の発熱によってノズル内のインクを発泡させ、そのときの気泡Bの発泡エネルギーを利用して、吐出口4からインクの液滴を吐出することができる。その際、吐出口4から吐出される主滴Dmと副滴Dsは、吐出口面Fが角度θの傾きをもっているため、前述した実施形態と同様の方向に吐出される。すなわち、主滴Dmは、軸線L1と角度θを成す矢印A1方向(吐出口面の法線方向)へ飛翔し、副滴Dsは矢印A2方向(軸線L1方向)に飛翔する。
【0063】
前述した第1の実施形態と同様に、記録速度が高速のとき、つまり記録媒体Wの搬送速度が高速のときは、回収部21が副滴Dsの飛翔軌跡上から離れる。これにより、図12(b)のように、主滴Dmと副滴Dsが記録媒体W上の同じ位置に着弾して画像を記録する。一方、記録速度が低速のとき、つまり記録媒体Wの搬送速度が低速のときは、図13のように、その搬送速度に応じて回収部21の位置を調整して、その回収部21を副滴Dsの飛翔軌跡上に移動させる。これにより、その副滴Dsを回収して、図12(a)のように主滴Dmのみによって画像を記録する。
【0064】
したがって、第1の実施形態と同様に、高速記録時および低速記録時のいずれにおいても高品位の画像を記録することができる。
【0065】
(他の実施形態)
本発明は、記録ヘッドと記録媒体とを相対移動させつつ、前記記録ヘッドの吐出口からインクの主滴と副滴を異なる方向に吐出することによって、前記記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置に対して、広く適用することができる。したがって本発明は、上述したようなフルラインタイプの記録装置の他、記録ヘッドの記録走査と記録媒体の搬送とを伴って画像を記録するシリアルスキャンタイプの記録装置にも適用することができる。また記録ヘッドは、インクを吐出するための吐出エネルギーの発生素子として電気熱変換素子(ヒータ)を用いる他、ピエゾ素子などを用いてもよい。
【0066】
また記録ヘッドは、インクの主滴と副滴の吐出方向を異ならせるために、吐出口が位置する吐出口面を傾斜させる他、吐出口の周縁部分の形成材料を異ならせてもよい。その場合には、それらの形成材料の物理的特性として、少なくともインクに対する濡れ性、または表面粗さの一方を異ならせることにより、主滴と副滴の吐出方向を異ならせることができる。つまり、吐出速度が比較的高い主滴と、吐出速度が比較的低い主滴に対して、それらの形成材料の物理的特性の影響の程度が異なることを利用して、それらの主滴と副滴の吐出方向を異ならせることができる。このように、主滴と副滴の吐出方向を積極的に異ならせる理由は、所定の記録条件(速度Vfおよび/または距離hを含む)において、それらの主滴と副滴の着弾位置を所定の許容範囲内に収めるためである。その所定の許容範囲は、例えば、主滴の着弾位置内に副滴の着弾位置が収まる範囲である。
【0067】
また本発明は、退避位置と回収位置との間を移動可能な回収機構を備えればよい。退避位置は、主滴と副滴を記録媒体に着弾させるように、主滴と副滴の飛翔軌跡上から外れる位置であり、一方、回収位置は、主滴を記録媒体に着弾させかつ副滴を記録媒体に着弾させないように、副滴の飛翔軌跡上に位置して、その副滴を回収する位置である。回収機構は、主滴と副滴の着弾位置のずれが所定の許容範囲に収まる記録条件(速度Vfおよび/または距離hを含む)のときに退避位置に移動し、主滴と副滴の着弾位置のずれが所定の許容範囲に収まらない記録条件のときに回収位置に移動する。例えば、速度Vfが所定範囲の速度以下および/または以上のときに、主滴と副滴の着弾位置のずれが所定の許容範囲に収まらないと場合には、回収機構が回収位置に移動することになる。退避位置と回収位置との間における回収機構の移動は、速度Vfなどの記録条件に応じて自動的に行うことができる。
【0068】
また、前述した実施形態においては、吐出口の周面を形成するノズル壁6、ノズル土手7、天板ノズル8を同一材料として、それらの物理的特性を同一とした。しかし、それらの周面の内、少なくとも、矢印Y1方向側の天板ノズル8と、矢印Y2方向側のノズル土手7と、を同一材料によって形成してもよい。それらの物理的特性としては、少なくとも液体に対する濡れ性、または表面粗さの一方を含むことができ、また、それらの物理的特性が等しければ、吐出口の周縁部分の形成材料を異ならせてもよい。また、液体流路の開口部に、吐出口が形成されたオリフィスプレートを取り付けてもよい。さらに、吐出口の周縁部の形成材料は、物理的特性(液体に対する濡れ性を含む)が異なるものであってもよい。その場合には、それらの物理的特性に起因する主滴と液滴の吐出方向の差をも考慮して、吐出口面の傾斜角度と回収機構の位置を最適に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるインクジェット記録装置の概略正面図である。
【図2】図1における記録ヘッドの要部の斜視図である。
【図3】図1における記録ヘッドの要部の分解斜視図である。
【図4】図1における記録ヘッドのノズル部分の一部切欠き斜視図である。
【図5】図4におけるノズル部分の拡大断面図である。
【図6】(a)から(e)は、図4におけるノズル部分からのインクの吐出状態の説明図である。
【図7】図4におけるノズル部分の拡大断面図である。
【図8】(a)から(c)は、図1の記録装置の高速記録時におけるインクの着弾位置の説明図である。
【図9】(a)から(c)は、図1の記録装置の低速記録時におけるインクの着弾位置の説明図である。
【図10】(a)は、図1の記録装置に備わる回収機構の要部の斜視図、(b)は、その回収機構の分解斜視図である。
【図11】(a)から(c)は、図1の記録装置に備わる回復ユニットの動作の説明図である。
【図12】(a)は、図1の記録装置の低速記録時におけるインクの着弾位置の説明図、(b)は、図1の記録装置の高速記録時におけるインクの着弾位置の説明図である。
【図13】(a)から(e)は、本発明の第2の実施形態における記録ヘッドのインクの吐出状態の説明図である。
【図14】(a)から(e)は、従来の記録ヘッドからのインクの吐出状態の説明図である。
【図15】(a)から(c)は、図14の記録ヘッドから吐出されるインクの着弾位置の説明図である。
【図16】(a)は、従来の記録装置の低速記録時におけるインクの着弾位置の説明図、(b)は、その記録装置の高速記録時におけるインクの着弾位置の説明図である。
【図17】(a)は、従来の他の記録装置の高速記録時におけるインクの着弾位置の説明図、(b)は、その記録装置の低速記録時におけるインクの着弾位置の説明図である。
【符号の説明】
【0070】
2 電気熱変換素子(ヒータ)
4 吐出口
9 可動板
20 回収機構
21 回収部
23 調整部
110 記録ヘッド
F 吐出口面
Dm 主滴
Ds 副滴
B 気泡
Y1 搬送方向
W 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録ヘッドと記録媒体とを相対移動させつつ、前記記録ヘッドの吐出口からインクの主滴と副滴を異なる方向に吐出することによって、前記記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置において、
前記インクの主滴と副滴を前記記録媒体に着弾させるように、前記主滴と前記副滴の飛翔軌跡上から外れる退避位置と、前記主滴を前記記録媒体に着弾させかつ前記副滴を前記記録媒体に着弾させないように、前記副滴の飛翔軌跡上に位置して当該副滴を回収する回収位置と、の間を移動可能な回収機構を備える
ことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記回収機構は、前記主滴と前記副滴の着弾位置のずれが所定の許容範囲に収まる記録条件のときは前記退避位置に移動し、前記主滴と前記副滴の着弾位置のずれが所定の許容範囲に収まらない記録条件のときは前記回収位置に移動する
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記所定の許容範囲は、前記主滴の着弾位置内に前記副滴の着弾位置が収まる範囲であることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記記録条件は、前記相対移動の速度であることを特徴とする請求項2または3に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記記録ヘッドは、前記インクの主滴と副滴を異なる方向に吐出するように、前記吐出口が位置する吐出口面が前記相対移動の方向に傾斜することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記記録ヘッドは、前記吐出口の周縁部分の形成材料が同一であることを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記記録ヘッドは、前記インクの主滴と副滴を異なる方向に吐出するように、前記吐出口の周縁部分の形成材料が異なることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記記録ヘッドは、インクを吐出するための吐出エネルギーの発生素子として電気熱変換素子を備えることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項9】
前記記録ヘッドは、前記電気熱変換素子の発熱によって生じるインク中の気泡の成長方向を規制する可動板を備えることを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録装置。
【請求項10】
記録ヘッドと記録媒体とを相対移動させつつ、前記記録ヘッドの吐出口からインクの主滴と副滴を異なる方向に吐出することによって、前記記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法において、
前記主滴と前記副滴の着弾位置のずれが所定の許容範囲に収まる記録条件のときは、前記インクの主滴と副滴を前記記録媒体に着弾させるように、前記主滴と前記副滴の飛翔軌跡上から回収機構の位置を外し、
前記主滴と前記副滴の着弾位置のずれが所定の許容範囲に収まらない記録条件のときは、前記主滴を前記記録媒体に着弾させかつ前記副滴を前記記録媒体に着弾させないように、前記副滴の飛翔軌跡上に前記回収機構を位置させて当該副滴を回収する
ことを特徴とするインクジェット記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−255369(P2009−255369A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−106556(P2008−106556)
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】