説明

インクジェット記録装置および画像形成方法

【課題】光硬化型インク組成物を用いて、混色が少なく、精細度および光沢度が良好な画像を、記録媒体に対して形成することができるインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】本発明にかかるインクジェット記録装置100は、第1方向に移動されるとともに、光硬化型インク組成物の液滴をノズル孔12から吐出して記録媒体に液滴を付着させるヘッド10と、ヘッド10とともに移動され、ヘッド10の第1方向の両端側にそれぞれ配置され、記録媒体に付着された液滴に光を照射する光源20と、を備え、光源20は、第1方向に交差する第2方向の一方側の端に位置するノズル孔12よりも、第2方向の一方側に突出して配置された突出部20Aを有し、ヘッド10を移動させた後、記録媒体を第2方向の一方側へ単位距離だけ移動させ、その後、ヘッド10を第1方向の反対の向きに移動させる動作を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置および画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、紫外線、電子線その他の光によって硬化する光硬化型インク組成物の開発が進められている。このような光硬化型インク組成物は、重合性化合物、重合開始剤、顔料その他の添加剤等から構成されることが一般的である。また、一般に、光硬化型インク組成物を用いて画像を形成する場合には、例えば、インクジェット記録装置によって記録媒体上に付着された後、適宜な光源を用いて、光を照射することにより、該組成物を硬化させて行われる。
【0003】
例えば、特許文献1には、活性光線硬化型インクに対して、2つ以上の照射手段により、活性光線を照射する画像形成方法が開示されている。同公報には第1の活性光線によるインクの硬化度を6〜70%とし、全印字が終了した後、十分な活性光線を照射して完全硬化することで、高精細な画像を形成できる等の記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−216681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、光硬化型インク組成物は、プラスチック、ガラス、コート紙等のインクを吸収しないまたはほとんど吸収しない非吸収性の記録媒体に対する記録に用いられることがある。このような記録においては、光硬化型インク組成物が記録媒体にしみ込むことなく、液滴の形状が長く保たれたまま付着されることになる。そして付着された液滴が流動性を有する場合には、例えば、隣り合う液滴と合一して混色を起こしたり、液滴が濡れ広がって画像の精細度が低下する場合があった。
【0006】
また逆に光硬化型インク組成物を、非吸収性の記録媒体に対して付着させた後ただちに光を十分に照射するなどして硬化度を高くしてしまうと、液滴の流動性が失われるため、付着されたときの液滴の形状のままで画像が形成されることになる。この場合には、例えば、十分に濡れ広がらず、線幅が不足したり、画像の光沢性や質感が悪くなることがあった。
【0007】
このように、非吸収性の記録媒体に対して光硬化型インク組成物を用いて画像を形成することは比較的困難であった。例えば、上述した特許文献1に記載された、インクを完全硬化させる前に、単に硬化度を6〜70%とするような方法では、液滴の流動性が小さくなる結果、画像の高精細化を図ることができるとしても、これに相反して、流動性が不足し、線幅が不足したり、光沢や質感が必ずしも良好とはならないことが懸念される。
【0008】
本発明のいくつかの態様にかかる目的の一つは、光硬化型インク組成物を用いて、混色が少なく、精細度および光沢度が良好な画像を、記録媒体に対して形成することができるインクジェット記録装置、および当該装置を用いた画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
【0010】
[適用例1]
本発明にかかるインクジェット記録装置の一態様は、
第1方向に移動されるとともに、光硬化型インク組成物の液滴をノズル孔から吐出して記録媒体に前記液滴を付着させるヘッドと、
前記ヘッドとともに移動され、前記ヘッドの前記第1方向の両端側にそれぞれ配置され、前記記録媒体に付着された液滴に光を照射する光源と、
を備え、
前記光源は、前記第1方向に交差する第2方向の一方側の端に位置する前記ノズル孔よりも、前記第2方向の一方側に突出して配置された突出部を有し、
前記ヘッドを移動させた後、前記記録媒体を前記第2方向の一方側へ単位距離だけ移動させ、その後、前記ヘッドを前記第1方向の反対の向きに移動させる動作を行うことを特徴とする。
【0011】
本適用例のインクジェット記録装置によれば、光源をヘッドの走査方向の両端に備えることにより、光硬化型インク組成物に対して、予備硬化を行うことができる。さらに、本適用例のインクジェット記録装置によれば、光源が、第2方向に延びる突出部を有するため、当該突出部によって、2回の予備硬化を行うことができる。そのため、記録媒体に形成される画像の混色、精細度および光沢を容易に制御することができる。これにより、例えば、光硬化型インク組成物を用いて、混色が少なく、精細度および光沢度が良好な画像を、記録媒体に対して形成することができる。
【0012】
[適用例2]
適用例1において、
前記突出部の前記第2方向の大きさは、前記記録媒体の前記第2方向の前記単位距離よりも大きくすることができる。
【0013】
本適用例のインクジェット記録装置によれば、光源の突出部から発生される光によって、さらに確実に液滴を予備硬化させることができる。
【0014】
[適用例3]
適用例1または適用例2において、
前記光源は、発光波長が365nm以上410nm以下の発光素子であることができる。
【0015】
本適用例のインクジェット記録装置によれば、光源が小型軽量化されるため、例えば、これらの配置の自由度を高めることができる。
【0016】
[適用例4]
本発明にかかる画像形成方法の一態様は、
適用例1ないし適用例3のいずれか一例に記載されたインクジェット記録装置を用いて、前記記録媒体に光硬化型インク組成物によって画像を形成する画像形成方法であって、
前記光硬化型インク組成物は、前記記録媒体に付着された後、1回目の前記光源の光の照射によって10%以上20%未満の硬化率まで硬化され、2回目の前記光源の光の照射によって20%以上40%未満の硬化率まで硬化されることを特徴とする。
【0017】
本適用例の画像形成方法によれば、光硬化型インク組成物を本硬化させる前に、少なくとも2回の予備硬化を行い、かつ、1回目の予備硬化の硬化率が10%以上20%未満となり、2回目の予備硬化の硬化率が20%以上40%未満となるように光源から光が照射される。これにより、光硬化型インク組成物によって形成される画像の混色を抑制しつつ、精細度および光沢度が良好な画像を形成することができる。
【0018】
[適用例5]
適用例4において、
前記1回目の前記光源の光の照射および前記2回目の前記光源の光の照射の間の時間間隔は、1秒以上10秒以下であることができる。
【0019】
本適用例の画像形成方法によれば、光硬化型インク組成物によって形成される画像の混色を抑制しつつ、精細度および光沢度が良好な画像を高速に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態のインクジェット記録装置を模式的に示す斜視図。
【図2】実施形態のインクジェット記録ヘッドおよび光源の側面を模式的に示す図。
【図3】実施形態のインクジェット記録ヘッドおよび光源の下面を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお以下の実施形態は、本発明の一例を説明するものである。そのため、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲で実施される各種の変形例も含む。なお、以下の実施形態で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0022】
1.インクジェット記録装置
図1は、本発明にかかるインクジェット記録装置の一実施形態であるインクジェット記録装置100を模式的に示す斜視図である。図2は、本実施形態のヘッド10および光源20の側面を模式的に示す図である。図3は、本実施形態のヘッド10および光源20の下面を模式的に示す図である。
【0023】
本実施形態のインクジェット記録装置100は、インクジェット記録ヘッド10と、光源20と、を備える。
【0024】
1.1.インクジェット記録ヘッド
本実施形態にかかるインクジェット記録ヘッド10は、第1方向に移動されるとともに、光硬化型インク組成物の液滴をノズル孔から吐出して記録媒体に前記液滴を付着させることができる。本明細書では、インクジェット記録ヘッド10のことを単にヘッド10と称することがある。
【0025】
ヘッド10は、光硬化型インク組成物の液滴をノズル孔12から吐出して記録媒体Pに前記液滴を付着させることができれば、特に限定されず、どのような方式であってよい。ヘッド10の記録方式としては、例えば、ノズルとノズルの前方に置いた加速電極の間に強電界を印加し、ノズルからインクを液滴状で連続的に噴射させ、インク滴が偏向電極間を飛翔する間に印刷情報信号を偏光電極に与えて記録する方式またはインク滴を偏向することなく印刷情報信号に対応して噴射させる方式(静電吸引方式)、小型ポンプでインク液に圧力を加え、ノズルを水晶振動子等で機械的に振動させることにより、強制的にインク滴を噴射させる方式、インク液に圧電素子で圧力と印刷情報信号を同時に加え、インク滴を噴射・記録させる方式(ピエゾ方式)、インク液を印刷情報信号にしたがって微小電極で加熱発泡させ、インク滴を噴射・記録させる方式(サーマルジェット方式)等が挙げられる。
【0026】
これらのうちピエゾ方式は、さらに分類が可能であり、薄膜型のインクジェット記録ヘッドを備えたものと、積層型のインクジェット記録ヘッドを備えたものに分類することができる。薄膜型のインクジェット記録ヘッドは、いわゆるユニモルフ型の圧電アクチュエーターを含み、当該圧電アクチュエーターの変位によって、インク組成物をノズルから吐出させる態様のものである。一方、積層型のインクジェット記録ヘッドは、積層型の圧電素子のd31モードの駆動により、ノズルに連通する圧力室の壁を押してノズルから吐出させる態様のものである。後者のインクジェット記録ヘッドは、圧電素子が圧力室の壁を押すことから、縦モードのインクジェット記録ヘッドとも称される。
【0027】
上記いずれの方式のインクジェット記録ヘッドであっても本実施形態のヘッド10として使用することができるが、縦モードの方式は、光硬化型インク組成物の吐出力を比較的大きくすることができるため、印字位置のズレや、サテライト等の影響のさらに少ない高品質の画像を高速に形成することができる。他方、薄膜型のインクジェット記録ヘッドを用いる場合には、比較的小型で軽量な構成となるため、高速な動作が可能で、より高精細な高品質の画像を高速に形成することができる。
【0028】
本実施形態のインクジェット記録装置100に使用することができる記録媒体Pとしては、光硬化型インク組成物の液滴が付着したときに、これを硬化するための光が当該液滴に達することができるものである限り特に限定されない。記録媒体Pは、インク滴を吸収しない、または、ほとんど吸収しない印字面を有することが好ましい。このような印字面を有する記録媒体Pとしては、例えば、金属、ガラス、プラスチック等の非吸収性記録媒体などが挙げられる。また、記録媒体Pは、無色透明、半透明、着色透明、有彩色不透明、無彩色不透明等であってもよい。さらに、記録媒体Pは、グロス系、マット系、ダル系のいずれであってもよい。このような記録媒体Pとしては、例えば、塩化ビニルシートやPETフィルム等のプラスチックフィルムなどを挙げることができる。市販の記録媒体としては、光沢塩化ビニルシート(例えば商品名SP−SG−1270C:ローランドディージー株式会社製)、PETフィルム(例えば商品名XEROX FILM<枠無し>:富士ゼロックス株式会社製)などがある。
【0029】
ヘッド10が、第1方向に移動されると、ヘッド10が記録媒体Pに対して位置を移動されて、両者の位置関係が変化する。本実施形態のインクジェット記録装置100は、図1に示すようなシリアル型のインクジェット記録装置であり、キャリッジ50の動作によってヘッド10が、図中走査方向MSに沿って移動する。これにより、記録媒体P上の異なる位置に、光硬化型インク組成物を付着させることができる。ヘッド10が記録媒体Pに対して移動する速度は特に限定されないが、例えば1m/分以上50m/分以下とすることができる。
【0030】
ノズル孔12は、ヘッド10の記録媒体Pと対向する面に形成されている。ヘッド10は、ノズル孔12を介して、光硬化型インク組成物の液滴を吐出することができる。ノズル孔12の数、および配置は、特に限定されない。図3に示すように、本実施形態のヘッド10では、ノズル孔12は、キャリッジ50の移動方向(第1方向:走査方向MS)に対して直交する方向(第2方向:走査方向SSに沿う方向)に整列させて設けられ、当該列が、キャリッジ50の走査方向MSに沿って平行して8列形成されている。
【0031】
1.2.光源
本実施形態のインクジェット記録装置100は、第1光源20を備える。
【0032】
光源20は、上述のヘッド10とともに記録媒体Pに対して第1方向に移動される。光源20の動作の内容は、上述したヘッド10の往復動作の内容と同様であるため説明を省略する。
【0033】
光源20は、上述のヘッド10とともに移動し、ヘッド10の走査方向MSの両端側に配置される。また、光源20は、突出部20Aを有する。
【0034】
光源20の走査方向MS(第1方向)の大きさ、および、光源20と記録媒体Pとの間の距離は、照射する光の強度、照射する期間などを考慮して、任意に設定することができる。
【0035】
光源20から発生させる光としては、例えば、400nmないし200nmの紫外線、可視光、遠紫外線、g線、h線、i線、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光、またはX線等の電磁波が挙げられる。光源20の光発生手段としては、特に限定されない。光源20の具体的な態様としては、例えば、メタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプや、Hランプ、Dランプ、Vランプ(Fusion System社等から入手可能)などの光を、光ガイド、光ファイバー等によって、第1光源21に導くものが挙げられる。また、他の光源20の具体的な態様としては、例えば、紫外線発光ダイオード(紫外線LED)や紫外線発光半導体レーザー等の発光素子を用いることができる。光源20の光の発生手段が、このような発光素子である場合は、例えば、発光波長が365nm以上410nm以下とすることができる。このような波長を選択すると、光硬化型インク組成物中の光重合開始剤の選択が容易になる。また光源20の光の発生手段として、発光素子を選択すると、光源20を小型軽量化することができるとともに、光源20の配置に自由度を高めることができる。例えば、図3の例では、光源20は、紫外線発光ダイオード(紫外線LED)(符号D)をノズル孔12の列に沿って複数配列させた構成を有している。
【0036】
光源20は、記録媒体Pに付着された光硬化型インク組成物の液滴に、光を照射することができる。光源20は、光を発生し続けてもよいし、光を明滅、増減させてもよい。
【0037】
光源20の機能の一つとしては、記録媒体Pに付着した光硬化型インク組成物の液滴の硬化反応を行うことが挙げられる。光硬化型インク組成物の液滴は、記録媒体Pが非吸収性である場合には、未硬化であると、記録媒体P上で必要以上に濡れ広がったり、他の液滴と合一して必要以上に混色したりする場合がある。当該液滴が付着した後、早期にヘッド10と共に移動する光源20からの光が照射されることにより、液滴を構成する光硬化型インク組成物の一部が硬化し、記録媒体P上で必要以上に濡れ広がること、および、他の液滴と合一して必要以上に混色等をすることを抑制することができる。
【0038】
本明細書では、このような光の照射の態様のことを「ピニング」と称することがある。言い換えると光源20の機能の一つとしては、光硬化型インク組成物の液滴をピニングすることが挙げられる。
【0039】
突出部20Aは、第1方向(走査方向MS)に交差する第2方向(走査方向SS)の一方側の端に位置するヘッド10のノズル孔12よりも、第2方向の一方側に突出して配置される。図3に示す例では、突出部20Aは、記録媒体Pの送り方向(図中、走査方向SSの矢印の先端側)に向かって突出している。突出部20Aの機能の一つとしては、記録媒体Pに付着された液滴をピニングすることが挙げられるが、この機能の詳細については、「1.4.インクジェット記録装置の動作」について説明した後詳述する。
【0040】
1.3.その他の構成
1.3.1.補助光源
インクジェット記録装置100は、光源20の他に必要に応じて、補助光源を有してもよい。このような補助光源の一例としては、上述のヘッド10とともに移動し、ヘッド10の、記録媒体Pの走査方向SSの一方の端に配置されるものを挙げることができる。
【0041】
補助光源の形状は、特に限定されない。補助光源は、光源20によってピニングおよび硬化の少なくとも一方の作用を受けた液滴を、さらに硬化させるための光を照射することができる。そのため、ヘッド10に対して、記録媒体Pの移動方向SS側(すなわち光源20の突出部20Aのさらにヘッド10よりも遠い側)に設けられる。換言すると、補助光源は、記録媒体Pの走査方向SSの下流側(光硬化型インク組成物が、記録媒体Pに付着した後に、補助光源の光を照射できる側:図中矢印SSの先端側)の一端に設けられることができる。
【0042】
補助光源から発生させる光としては、上述の光源20と同様である。なお補助光源は、光源20と種類および波長などが互いに異なっていてもよい。補助光源は、光を発生し続けてもよいし、光を明滅、増減させてもよい。補助光源の、記録媒体Pの移動方向(走査方向SS)の大きさは、インクジェット記録装置100を稼働させたときの、記録媒体Pの移動の単位となる距離よりも大きいことが好ましい。このようにすれば、光硬化型インク組成物の液滴に確実に補助光源の光を照射することができる。また、補助光源の移動方向(走査方向MS)の大きさも限定されず、必要な光量や装置の筐体の大きさ等に合わせて設計することができる。
【0043】
補助光源を設けた場合には、光硬化型インク組成物の液滴は、上述の光源20の光によって2回以上のピニングが行われた後に、補助光源の光によって、光硬化型インク組成物を十分に硬化させる(本硬化)ことができる。
【0044】
インクジェット記録装置100に補助光源を設けた場合、補助光源の光は、ヘッド10の走査および記録媒体Pの走査によって、液滴に到達することになる。したがって液滴は、ヘッド10から吐出されて、記録媒体Pに付着し、光源20の光によって、少なくとも2回のピニングを受け、その後、記録媒体Pが走査方向SSに移動してヘッド10(キャリッジ50)が走査方向MSに移動し、当該液滴の位置に到達したときに、補助光源の光が照射されることになる。記録媒体Pの走査方向SSの送り量(移動距離)に依存するが、当該液滴の位置に対して、補助光源の光が複数回照射される態様をとることもできる。このような場合には、ピニング後の液滴に対して、補助光源の光が、複数回にわたって、間欠的に照射されることになる。
【0045】
本実施形態のインクジェット記録装置100に補助光源を設けた場合、補助光源の光が、ピニングされた後の光硬化型インク組成物の液滴に対して、間欠的に照射されることができる。したがって、ピニング後の液滴の硬化反応の進行を、より緩やかとすることができ、例えば、ドット表面がより平滑に近くなる、硬化による収縮が緩和される等の効果が得られる。
【0046】
補助光源を設ける場合の補助光源の光の照射後の硬化の程度は、光源20の光による硬化と合わせた硬化率の通算において、例えば、85%以上100%以下であることが好ましい。補助光源による硬化の程度は、転化率で85%以上であれば、十分な硬化が達成されるが90%以上であることがさらに好ましい。補助光源による本硬化の程度は、補助光源の光量、光量の増減、明滅、走査方向の大きさ、および記録媒体Pとの間の距離、並びに、光硬化型インク組成物中の光重合開始剤の量、および色材の種類などの少なくとも一種を調節することによって、上記範囲に設定することができる。
【0047】
なお、本実施形態では、補助光源を有さなくても、光源20のみよって液滴を本硬化させることができる形態を含むが、その場合でも補助光源を設けることに支障はなく、より高い硬化率を達成するために補助光源を設けてよい。
【0048】
1.3.2.その他の構成
本実施形態のインクジェット記録装置100は、以下の構成を有することができる。
【0049】
本実施形態で例示しているインクジェット記録装置100では、上述のようにヘッド10は、3色以上のインクを噴射するフルカラー印刷用のシリアル型ヘッドであり、各色ごとに多数のノズル孔12が備えられている。かかるヘッド10が搭載されるキャリッジ50には、ヘッド10の他に、ヘッド10に供給される各種の光硬化型インク組成物を収容したインク容器としてのカートリッジ52が複数搭載されている。各カートリッジ52に収容されるインクは、後述する光硬化型インク組成物である。なお、ヘッド10が吐出する光硬化型インク組成物は、1色でも良いし2色以上であっても良い。
【0050】
また、図1に示したインクジェット記録装置100は、記録媒体Pを走査方向SSに送るモーター30と、プラテン40と、ヘッド10を搭載したキャリッジ50と、キャリッジ50を走査方向MSに移動させるキャリッジモーター60と、を備えている。
【0051】
キャリッジ50は、キャリッジモーター60に駆動される牽引ベルト62によって牽引され、ガイドレール64に沿って移動する。ヘッド10は、キャリッジ50に搭載されており、キャリッジ50の走査方向MSへの動作に伴って、走査方向MSに移動する。したがってキャリッジ50によるヘッド10の移動と、プラテン40による記録媒体Pの移動を、それぞれ独立に行うことができる。
【0052】
1.4.インクジェット記録装置の動作
本実施形態のインクジェット記録装置100は、ヘッド10および記録媒体Pは、以下のように動作することができる。
【0053】
上述したように、ヘッド10および光源20は、キャリッジ50に搭載され、第1方向(走査方向MS)に沿って移動される。一方、記録媒体Pは、第1方向に交差する第2方向の一方側(走査方向SS)に移動される。
【0054】
本実施形態のインクジェット記録装置100では、ヘッド10および光源20が移動している間は、記録媒体Pは移動されない。また、記録媒体Pが移動しない状態では、ヘッド10および光源20は、第1方向の一方の向きに移動するだけでもよいし、移動の向きを換えて往復移動してもよい。
【0055】
次に、本実施形態のインクジェット記録装置100では、ヘッド10および光源20の移動が停止させた状態で、記録媒体Pが、第1方向に交差する第2方向の一方の向きに移動され、記録媒体Pの第2方向への移動が停止した後に、再びヘッド10および光源20が、第1方向に沿って移動される。
【0056】
本実施形態のインクジェット記録装置100は、このような態様でヘッド10および光源20、並びに記録媒体Pが移動されて記録媒体Pに画像を形成するものである。
【0057】
ここで、ヘッド10から吐出された液滴は、いずれの場合も、キャリッジ50の当該1回の移動によって、移動方向の後方に配置された光源20によって、1回目のピニングを受ける。本実施形態のインクジェット記録装置100では、上記の光源20は、ヘッド10の第1方向の両端側に配置される。これにより、ヘッド10が第1方向のいずれの向きに移動しながら光硬化型インク組成物を吐出しても、光源20による1回目のピニングを行うことができる。
【0058】
その後、記録媒体Pを移動させない場合には、キャリッジ50が移動の向きを換えて当該液滴を通過することにより、この移動方向の前方に配置された光源20(1回目のピニングに用いられた側の光源20)によって、2回目のピニングを受け、さらに、この移動方向の後方に配置された光源20によって、3回目のピニングを受ける。
【0059】
本実施形態のインクジェット記録装置100では、記録媒体Pを移動させる場合であっても、記録媒体Pの移動後にキャリッジ50が移動の向きを換えて当該液滴を通過することにより、当該光源20によって2回目のピニングをすることができ、当該移動方向の後方に配置された光源20によって3回目のピニングをすることができる。すなわち、本実施形態のインクジェット記録装置100では、光源20が記録媒体Pの移動方向に向かって伸びる突出部20Aを有しているため、記録媒体Pの移動距離が突出部20Aの走査方向SS(第2方向)の長さよりも小さい限り、当該液滴に少なくとも1回は、確実に2回目、3回目のピニングの組を行うことができる。
【0060】
ヘッド10の移動の後に移動されるときの記録媒体Pの移動距離は、インクジェット記録装置100の印字方法により異なる場合がある。すなわち、記録媒体Pの移動距離は、印字方法によって、ノズル孔12の配置における第2方向の両端間の距離の範囲内で大きさが異なる。したがって、印字方法ごとに、1回の記録媒体Pの移動のときの、記録媒体Pの移動距離(これを記録媒体Pの移動における「単位距離」ということがある。)は異なる場合がある。
【0061】
本実施形態のインクジェット記録装置100では、光源20の突出部20Aの第2方向の大きさは、上述した単位距離よりも大きいことがより好ましい。突出部20Aの大きさが、単位距離よりも大きければ、いずれのノズル孔12から吐出された液滴に対しても、2回目のピニングを確実に行うことができる。また、光源20の突出部20Aの第2方向の大きさが、ノズル孔12の配置の第2方向の両端間の距離と等しいかこれよりも大きければ、ノズル孔12の配置の第2方向の両端間の距離が単位距離となるような印字方法においても、確実に2回目、3回目のピニングを行うことができる。
【0062】
なお、単位距離が、ノズル孔12のノズル孔12の配置の第2方向の両端間の距離よりも小さい印字方法である場合には、記録媒体Pに付着された液滴は、さらに、4回以上のピニングを受けることができる。単位距離の大きさと、ノズル孔12の配置の第2方向の両端間の距離と、突出部20Aの第2方向の長さと、に依存するが、4回以上のピニングによって、液滴を構成する光硬化型インク組成物の硬化率を85%以上まで高めることもできる。このようにすれば、必要に応じて含まれる構成として例示した補助光源や、他の硬化用のランプ等を不要とすることができる。
【0063】
1.5.光源によるピニングの態様
光源20によるピニングの程度は、液滴中の光硬化型インク組成物の転化率(硬化率)、すなわち、液滴全体の組成物に対する硬化された組成物の割合によって表現することができ、例えば、転化率(硬化率)で表現する場合、1回目のピニングでは、10%以上20%未満であることが好ましい。光源20による1回目のピニングは、光硬化型インク組成物の液滴が、大幅に濡れ広がることや、顕著に混色することを抑制するために行われ、これらの現象を完全に抑えるものではない。
【0064】
光源20による1回目のピニングの程度は、大きいドットを速く形成させる点では、転化率で10%以上18%未満であることがより好ましく、10%以上15%未満であることがさらに好ましい。
【0065】
光源20による2回目のピニングの程度は、硬化率で表現する場合、20%以上40%未満であることが好ましい。光源20による2回目のピニングは、1回目のピニングと同様に、光硬化型インク組成物の液滴が、大幅に濡れ広がることや、顕著に混色することを抑制するために行われるが、これらの現象を完全に抑えるものであってもよい。
【0066】
なお、光源20による各ピニングの程度は、光源20の光量、光量の増減、明滅、走査方向の大きさ、および記録媒体Pとの間の距離、並びに、光硬化型インク組成物中の光重合開始剤の量、色材の種類などの少なくとも一種を調節することによって、上記範囲に設定することができる。
【0067】
また、1回目のピニングおよび2回目のピニングの間の時間間隔は、1秒以上10秒以下とすることがより好ましい。本実施形態のインクジェット記録装置100では、例えば、キャリッジ50の移動速度を変化させたり、キャリッジ50の待機時間を調節したりすることにより、1回目のピニングおよび2回目のピニングの間の時間間隔の異なる印字モードを備えることができる。本実施形態のインクジェット記録装置100が、このような印字モードを備える場合には、例えば、液滴の濡れ広がりや画像の光沢のバランスをとることができる。
【0068】
1.6.光硬化型インク組成物
本実施形態のインクジェット記録装置100のヘッド10によって吐出される光硬化型インク組成物としては、例えば、少なくとも、重合性化合物と、光重合開始剤とを含有するものが挙げられる。
【0069】
1.6.1.重合性化合物
本実施形態の光硬化型インク組成物は、重合性化合物を含有する。このような重合性化合物としては、光カチオン重合性および光ラジカル重合性の少なくとも一方を有するものが挙げられる。光硬化型インク組成物に含有される重合性化合物は、一分子内に光カチオン重合性の官能基と光ラジカル重合性の官能基を有してもよい。重合性化合物は、単量体であるモノマーと二量体から数量体もしくは分子量が数千程度までのオリゴマーを含む。それらの含有量は、インクジェット用インクとして使用可能な粘度範囲になるように調整される。
【0070】
光ラジカル重合性の基としては、光ラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する基からなるものが挙げられ、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、アリル基、ビニルエーテル基、ビニルチオエーテル基、ビニルアミノ基、ビニル基が挙げられ、光ラジカル重合反応性が特に高いという観点から、より好ましくはアクリロイル基、アクリルアミド基、メタクリロイル基、メタクリルアミド基が挙げられ、さらに好ましくはアクリロイル基とアクリルアミド基が挙げられる。
【0071】
光ラジカル重合性化合物のモノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、及びマレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそのエステル類、スチレン、ビニルトルエン、ジメチルスチレン等のスチレン誘導体、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニル化合物、N−置換マレイミド、アクリロニトリル、アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
【0072】
光ラジカル重合性化合物のオリゴマーの具体例としては、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレート、オリゴアクリレート、アルキドアクリレート、ポリオールアクリレート、ポリエステルメタクリレート、ポリウレタンメタクリレート、エポキシメタクリレート、ポリエーテルメタクリレート、オリゴメタクリレート、アルキドメタクリレート、ポリオールメタクリレート等が挙げられる。
【0073】
これらの中でも、本実施形態の重合性化合物としては、アクリロイル基を有するアクリル酸エステル類、N−ビニル化合物及びアクリロイルモルホリンが、光重合性に優れることから好ましい。
【0074】
また、重合性化合物の具体的な例としては、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、N−ビニル化合物などが挙げられる。
【0075】
単官能(メタ)アクリレートとしては、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、tert−オクチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−n−ブチルシクロへキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、4−ブロモブチル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシメチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、アルコキシメチル(メタ)アクリレート、アルコキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2,2,2−テトラフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシル(メタ)アクリレート、4−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2,4,5−テトラメチルフェニル(メタ)アクリレート、4−クロロフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴプロピレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸、2−メタクリロイロキシヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、EO変性フェノール(メタ)アクリレート、EO変性クレゾール(メタ)アクリレート、EO変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、PO変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、EO変性−2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0076】
多官能(メタ)アクリレートとしては、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(DPGD(M)A)、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(TPGD(M)A)、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチルエチルプロパンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンメタノールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(TEGD(M)A)、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチル−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、オリゴプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチル−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等の2官能の(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0077】
さらに、多官能の(メタ)アクリレートとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスルトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ((メタ)アクリロイルオキシプロピル)エーテル、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート:以上3官能、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート:以上4官能、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート:以上5官能、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート:以上6官能、等が挙げられる。
【0078】
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリンが挙げられる。
【0079】
N−ビニル化合物は、ビニル基が窒素に結合した構造(>N−CH=CH)を有する。N−ビニル化合物の具体例としては、例えば、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロール、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、およびそれらの誘導体が挙げられ、これらの化合物の中でも特にN−ビニルカプロラクタムが好ましい。
【0080】
光カチオン重合性の基としては、エポキシ環、オキセタン環、オキソラン環、ジオキソラン環、およびビニルエーテル基が挙げられる。エポキシ環については、芳香族系および脂環系が硬化速度に優れるという観点から好ましく、特に脂環式エポキシ環が好ましい。
【0081】
カチオン重合性を有する重合性化合物の具体例としては、カチオン重合性化合物としては、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物等が挙げられる。
【0082】
光硬化型インク組成物に含有される重合性化合物の含有量は、光硬化型インク組成物全体に対して5質量%以上95質量以下が適当であり、好ましくは、7質量%以上90質量%以下、さらに好ましくは、10質量%以上80質量%以下の範囲である。
【0083】
1.6.2.光重合開始剤
本実施形態の光硬化型インク組成物は、光重合開始剤を含有する。光重合開始剤としては、光によって、重合性化合物の重合を引き起こす活性種を生じる物質を挙げることができる。
【0084】
光によってラジカルを発生する光重合開始剤(光ラジカル重合開始剤)としては、アリールアルキルケトン、オキシムケトン、チオ安息香酸S−フェニル、チタノセン、芳香族ケトン、チオキサントン、ベンジルとキノン誘導体、ケトクマリン類などの従来公知の開始剤が使用できる。
【0085】
光ラジカル重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ジクロロベンゾフェノン、p,p’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンジルメチルケタール、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}2−メチルプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)ブタン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]2−モルフォリノプロパン−1−オン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、メチルベンゾフィルフォーメート、アゾビスイソブチリロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド等が挙げられる。
【0086】
光ラジカル重合開始剤の市販品としては、例えば、IRGACURE 651(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)、IRGACURE 184(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)、DAROCUR 1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)、IRGACURE 2959(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン)、IRGACURE 127(2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン)、IRGACURE 907(2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン)、IRGACURE 369(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)、IRGACURE 379(2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン)、DAROCUR TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド)、IRGACURE 819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド)、IRGACURE 784(ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム)、IRGACURE OXE 01(1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)])、IRGACURE OXE 02(エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム))、IRGACURE 754(オキシフェニル酢酸、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物)(以上、チバ・ジャパン社(Ciba Japan K.K.)製)、DETX−S(2,4−ジエチルチオキサントン)(日本化薬社(Nippon Kayaku Co., Ltd.)製)、Lucirin TPO、LR8893、LR8970(以上、BASF社製)、及びユベクリルP36(UCB社製)が挙げられる。
【0087】
光によってカチオン(酸)を発生する光重合開始剤(光カチオン重合開始剤)としては、アリールスルホニウム塩やアリールヨードニウム塩等のオニウム塩、o−ニトロベンジルトシレート、アリールスルホン酸p−ニトロベンジルエステル、スルホニウムアセトフェノン誘導体等のスルホン酸を発生する開始剤、鉄−アレン錯体等のアレン−イオン錯体誘導体、ジアゾニウム塩誘導体、トリアジン系開始剤及びその他のハロゲン化物等の酸発生剤が挙げられる。光カチオン重合開始剤の具体例としては、アリールスルホニウム塩誘導体としては、ユニオン・カーバイド社製のサイラキュアUVI−6990、サイラキュアUVI−6974、旭電化工業社製のアデカオプトマーSP−150、アデカオプトマーSP−152、アデカオプトマーSP−170、アデカオプトマーSP−172等が挙げられ、アリールヨードニウム塩誘導体としてはローディア社製のRP−2074等が挙げられ、アレン−イオン錯体誘導体としてはチバガイギー社製のイルガキュア261等が挙げられる。
【0088】
光硬化型インク組成物に含有される重合開始剤の含有量は、光硬化型インク組成物全体に対して、1質量%以上20質量%以下含まれることが好ましく、3質量%以上15質量%以下含まれることがより好ましい。上記範囲とすることにより、硬化後の光硬化型インク組成物の機械的強度を低下させることなく硬化性を保持する効果を奏する。光重合開始剤は、照射される光に感度を有するものを適宜選択して使用することができる。また、光重合開始剤の種類および配合量によって、光硬化型インク組成物の液滴のピニングの程度を調節することができる。例えば、ピニングの程度を小さくしたい場合には、第1光源21および第2光源22の光量を減少させることによってピニングの程度が調節できるが、上記範囲内で、光重合開始剤の配合量を小さくすることによってもこれを行うことができる。
【0089】
重合性化合物と光重合開始剤は、光ラジカル重合性化合物の光重合には光ラジカル重合開始剤を使用し、光カチオン重合性化合物の光重合には光カチオン重合開始剤を使用する。光ラジカル重合性化合物と光カチオン性重合性化合物を併用する場合は、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤を併用する。
【0090】
1.6.3.その他の成分
1.6.3.1.色材および分散剤
本実施形態の光硬化型インク組成物は、色材および分散剤を含有することができる。
【0091】
この場合、色材としては、顔料および染料が挙げられ、通常のインクに使用することのできる色材を特に制限なく用いることができる。
【0092】
本実施形態のインク組成物は、色材をさらに含んでもよい。上記色材は、顔料及び染料から選択されるが、耐光性の観点から顔料を使用することが好ましい。本実施形態において、色材として顔料を用いることにより、インク組成物の耐光性を向上させることができる。顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。インク組成物中に、色材は、1〜10質量%含まれると好ましく、1〜5質量%含まれるとより好ましい。
【0093】
無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。
【0094】
また、有機顔料として、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(たとえば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。上記顔料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0095】
更に詳しくは、ブラック用として使用される無機顔料として、以下のカーボンブラック、例えば、三菱化学製のNo.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、又はNo2200B等;コロンビア社製のRaven5750、Raven5250、Raven5000、Raven3500、Raven1255、又はRaven700等;キャボット社製のRegal 400R、Regal 330R、Regal 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、又はMonarch 1400等;あるいは、デグッサ社製のColor Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color Black S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、又はSpecial Black 4等を挙げることができる。
【0096】
イエロー有機顔料としては、C.I.Pigment Yellow 1, C.I.Pigment Yellow 2, C.I.Pigment Yellow 3, C.I.Pigment Yellow 4, C.I.Pigment Yellow 5, C.I.Pigment Yellow 6, C.I.Pigment Yellow 7, C.I.Pigment Yellow 10, C.I.Pigment Yellow 11, C.I.Pigment Yellow 12, C.I.Pigment Yellow 13, C.I.Pigment Yellow 14, C.I.Pigment Yellow 16, C.I.Pigment Yellow 17, C.I.Pigment Yellow 24, C.I.Pigment Yellow 34, C.I.Pigment Yellow 35, C.I.Pigment Yellow 37, C.I.Pigment Yellow 53, C.I.Pigment Yellow 55, C.I.Pigment Yellow 65, C.I.Pigment Yellow 73, C.I.Pigment Yellow 74, C.I.Pigment Yellow 75, C.I.Pigment Yellow 81, C.I.Pigment Yellow 83, C.I.Pigment Yellow 93, C.I.Pigment Yellow 94, C.I.Pigment Yellow 95, C.I.Pigment Yellow 97, C.I.Pigment Yellow 98, C.I.Pigment Yellow 99, C.I.Pigment Yellow 108, C.I.Pigment Yellow 109, C .I.Pigment Yellow 110, C.I.Pigment Yellow 113, C.I.Pigment Yellow 114, C.I.Pigment Yellow 117, C.I.Pigment Yellow 120, C.I.Pigment Yellow 124, C.I.Pigment Yellow 128, C.I.Pigment Yellow 129, C.I.Pigment Yellow 133, C.I.Pigment Yellow 138, C.I.Pigment Yellow 139, C.I.Pigment Yellow 147, C.I.Pigment Yellow 151, C.I.Pigment Yellow 153, C.I.Pigment Yellow 154, C.I.Pigment Yellow 167, C.I.Pigment Yellow 172, C.I.Pigment Yellow 180等が挙げられる。
【0097】
マゼンタ有機顔料としては、C.I.Pigment Red 1, C.I.Pigment Red 2, C.I.Pigment Red 3, C.I.Pigment Red 4, C.I.Pigment Red 5, C.I.Pigment Red 6, C.I.Pigment Red 7, C.I.Pigment Red 8, C.I.Pigment Red 9, C.I.Pigment Red 10, C.I.Pigment Red 11, C.I.Pigment Red 12, C.I.Pigment Red 14, C.I.Pigment Red 15, C.I.Pigment Red 16, C.I.Pigment Red 17, C.I.Pigment Red 18, C.I.Pigment Red 19, C.I.Pigment Red 21, C.I.Pigment Red 22, C.I.Pigment Red 23, C.I.Pigment Red 30, C.I.Pigment Red 31, C.I.Pigment Red 32, C.I.Pigment Red 37, C.I.Pigment Red 38, C.I.Pigment Red 40, C.I.Pigment Red 41, C.I.Pigment Red 42, C.I.Pigment Red 48(Ca), C.I.Pigment Red 48(Mn), C.I.Pigment Red 57(Ca), C.I.Pigment Red 57:1, C.I.Pigment Red 88, C.I.Pigment Red 112, C.I.Pigment Red 114, C.I.Pigment Red 122, C.I.Pigment Red 123, C.I.Pigment Red 144, C.I.Pigment Red 146, C.I.Pigment Red 149, C.I.Pigment Red 150, C.I.Pigment Red 166, C.I.Pigment Red 168, C.I.Pigment Red 170, C.I.Pigment Red 171, C.I.Pigment Red 175, C.I.Pigment Red 176, C.I.Pigment Red 177, C.I.Pigment Red 178, C.I.Pigment Red 179, C.I.Pigment Red 184, C.I.Pigment Red 185, C.I.Pigment Red 187, C.I.Pigment Red 202, C.I.Pigment Red 209, C.I.Pigment Red 219, C.I.Pigment Red 224, C.I.Pigment Red 245, 又はC.I.Pigment Violet 19, C.I.Pigment Violet 23, C.I.Pigment Violet 32, C.I.Pigment Violet 33, C.I.Pigment Violet 36, C.I.Pigment Violet 38, C.I.Pigment Violet 43, C.I.Pigment Violet 50等が挙げられる。
【0098】
シアン有機顔料としては、C.I.Pigment Blue 1, C.I.Pigment Blue 2, C.I.Pigment Blue 3, C.I.Pigment Blue 15, C.I.Pigment Blue 15:1, C.I.Pigment Blue 15:2, C.I.Pigment Blue 15:3, C.I.Pigment Blue 15:34, C.I.Pigment Blue 15:4, C.I.Pigment Blue 16, C.I.Pigment Blue 18, C.I.Pigment Blue 22, C.I.Pigment Blue 25, C.I.Pigment Blue 60, C.I.Pigment Blue 65, C.I.Pigment Blue 66, C.I.Vat Blue 4, C.I.Vat Blue 60等が挙げられる。
【0099】
また、マゼンタ、シアン及びイエロー以外の有機顔料としては、例えば、C.I.Pigment Green 7, C.I.Pigment Green 10, C.I.Pigment Brawn 3, C.I.Pigment Brawn 5, C.I.Pigment Brawn 25, C.I.Pigment Brawn 26, C.I.Pigment Orange 1, C.I.Pigment Orange 2, C.I.Pigment Orange 5, C.I.Pigment Orange 7, C.I.Pigment Orange 13, C.I.Pigment Orange 14, C.I.Pigment Orange 15, C.I.Pigment Orange 16, C.I.Pigment Orange 24, C.I.Pigment Orange 34, C.I.Pigment Orange 36, C.I.Pigment Orange 38, C.I.Pigment Orange 40, C.I.Pigment Orange 43, C.I.Pigment Orange 63, 等が挙げられる。
【0100】
本実施形態においては、上記に挙げた有機顔料以外にも分散染料や油溶性染料等の水に不溶又は難溶の染料も好適に使用することができる。
【0101】
上記の顔料をインクジェット用記録用インクの色材として使用する場合には、平均粒子径は500nm以下が好ましく、より好ましくは200nm以下であり、さらに50〜100nmが好ましい。芯物質の平均粒子径が斯かる範囲にあると、インクジェット記録用インクは吐出安定性や分散安定性等の信頼性に効果が得られるとともに、高画質の画像を出力することができる。
【0102】
本実施形態の光硬化型インク組成物に色材を含有させる場合は、色材の添加量は、0.1質量%以上25質量%以下程度の範囲が好ましく、より好ましくは0.5質量%以上15質量%以下程度の範囲である。また、色材の種類および配合量によって、光硬化型インク組成物の液滴のピニングの程度を調節することができる。例えば、ピニングの程度を小さくしたい場合には、第1光源21および第2光源22の光量を減少させることによってピニングの程度が調節できるが、上記例示した色材の種類を選択することや、上記範囲内で、色材の配合量を変化させることによってもこれを行うことができる。
【0103】
また、光硬化型インク組成物に顔料を含有させる場合には、分散剤または界面活性剤で媒体中に分散させて得られた顔料分散液を用いることができる。さらに、光硬化型インク組成物に顔料を含有させる際には、これらの顔料と、分散剤または界面活性剤を含有させることができる。好ましい分散剤としては、顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤、例えば高分子分散剤を使用することができる。
【0104】
分散剤としては、通常のインクにおいて用いられている任意の分散剤を用いることができる。分散剤としては市販品を利用することが可能であり、その具体例としてはヒノアクトKF1−M、T−6000、T−7000、T−8000、T−8350P、T−8000EL(武生ファインケミカル株式会社製)等のポリエステル系高分子化合物、solsperse13940、20000、24000、32000、32500、33500、34000、35200、36000(ルーブリゾール株式会社製)、disperbyk−161、162、163、164、166、180、190、191、192(ビック・ケミー社製)、フローレンDOPA−17、22、33、G−700(共栄社化学株式会社製)、アジスパーPB821、PB711(味の素株式会社製)、LP4010、LP4050、LP4055、POLYMER400、401、402、403、450、451、453(EFKAケミカルズ社製)の単独、または混合したものを挙げることができる。
【0105】
光硬化型インク組成物に分散剤を含有させる場合の含有量としては、光硬化型インク組成物中の色材(特には顔料)の含有量に対して、5質量%以上200質量%以下、好ましくは30質量%以上120質量%以下であり、分散すべき色材によって適宜選択するとよい。
【0106】
1.6.3.2.添加剤
本実施形態の光ラジカル重合性化合物からなる光硬化型インク組成物には重合促進剤を含有させても良い。光ラジカル重合の場合には、重合促進剤としては、特に限定されないが、Darocur EHA、EDB(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、EBECRYL 7100(ダイセル・サイテック社製)等が挙げられる。
【0107】
また、光ラジカル重合性化合物からなる光硬化型インク組成物には、熱ラジカル重合禁止剤を含有させてもよい。これにより、光硬化型インク組成物の保存安定性を向上させることができる。熱ラジカル重合禁止剤の具体例としては、メチルエーテルハイドロキノン(MEHQ)(関東化学株式会社製)、tert−ブチル−p−ベンゾキノン、Irgastab UV−10、UV−22(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)等が挙げられる。
【0108】
さらに光硬化型インク組成物には、界面活性剤を含有させることができる。界面活性剤としては、光重合性化合物に溶解することが好ましく、シリコーン系界面活性剤やフッ素系界面活性剤を用いることができる。シリコーン系界面活性剤としては、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いることができる。シリコーン系界面活性剤の具体例としては、BYK−347、BYK−348、BYK−UV3500、3510、3530、3570(ビックケミー・ジャパン株式会社製)、UV−3500(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を挙げることができる。これらの界面活性剤は、スリップ剤としても機能することができる。界面活性剤を配合する場合の好ましい添加量としては、インク組成物中0.5質量%以上4.0質量%以下である。
【0109】
またさらに、本実施形態の光硬化型インク組成物には、必要に応じて、紫外線吸収剤、レベリング剤等を添加することができる。
【0110】
1.7.光硬化型インク組成物の硬化
本実施形態の光硬化型インク組成物は、少なくとも上記重合性化合物および上記重合開始剤を含有する。そのため光硬化型インク組成物は、光源20の光を照射することにより硬化されることができる。
【0111】
光源20の光として紫外線を用いる場合は、光硬化型インク組成物への紫外線の照射量は、10mJ/cm以上、20,000mJ/cm以下であり、また好ましくは50mJ/cm以上、15,000mJ/cm以下の範囲で照射する。紫外線照射量が、最終的に上記範囲内となるようにすれば、十分に重合性化合物の硬化反応を行うことができる。
【0112】
本実施形態のインクジェット記録装置100では、光源20の光によって、光硬化型インク組成物はピニングされる。ピニング時の硬化率は、光硬化型インク組成物の硬化反応がそれ以上生じない時点を100%とすれば、この時点における光の照射量を100%と設定することができる。そして、あらかじめ、使用する光硬化型インク組成物について、光の照射量に対する硬化率の検量線を作成しておけば、光硬化型インク組成物の液滴が、所望の硬化率となるように、光源20の光の照射量を設定することができる。なお、光硬化型インク組成物の転化率は、例えば、FT−IR(フーリエ変換赤外分光光度計)を用いて、特定の吸収スペクトルのピークにおける吸光度の変化値から求めることができる。
【0113】
1.6.作用効果等
本実施形態のインクジェット記録装置100によれば、ヘッド10の第1方向の両側に配置された光源20を備えることにより、光硬化型インク組成物に対して、少なくとも2回の予備硬化(ピニング)を行うことができる。そのため、記録媒体に形成される画像の混色、精細度および光沢を容易に制御することができる。これのより、例えば、光硬化型インク組成物を用いて、混色が少なく、精細度および光沢度が良好な画像を、記録媒体に対して形成することができる。また、本実施形態のインクジェット記録装置100によれば、光源20が突出部20Aを有して配置されるため、上記2回以上のピニングを確実に行うことができる。
【0114】
2.画像形成方法
本実施形態の画像形成方法は、上述のインクジェット記録装置100を用いて、上述の光硬化型インク組成物を吐出させ、記録媒体に付着させることを含む。以下では、インクジェット記録装置100を用いて、記録媒体P上に光硬化型インク組成物を吐出し、記録媒体P上に付着させてドット群を形成する画像形成方法の一例を示す。
【0115】
本実施形態の画像形成方法は、光硬化型インク組成物の液滴を、ヘッド10から吐出させる液滴吐出工程と、光源20からの光を液滴に照射する第1ピニング工程と、光源20からの光を液滴に照射する第2ピニング工程と、を含む。
【0116】
2.1.液滴吐出工程
本工程は、インクジェット記録装置100のヘッド10から、光硬化型インク組成物を液滴として吐出させ、当該液滴を記録媒体P上に付着させる工程である。
【0117】
本実施形態の画像形成方法において、ヘッド10の1つのノズル孔12から吐出される液滴の量は、1pl以上20pl以下であることが好ましい。液滴の量が上記範囲内であることによって、吐出安定性が良好であり、より高画質の画像を得ることができる。図2には、本工程によって記録媒体Pに付着された液滴Iが描かれている。
【0118】
2.2.ピニング工程
2.2.1.第1ピニング工程
本工程は、光を光源20によって、記録媒体Pに付着された液滴に照射する工程である。以下では、図2に示す、ヘッド10の走査方向MSの矢印Aの方向に、ヘッド10が移動する場合を例にとって、本工程を説明する。
【0119】
液滴吐出工程で記録媒体Pに付着された液滴Iは、ヘッド10が図中矢印Aの方向に移動する結果、光源20の一方側の光が照射される位置に移動する。その結果、光源20の光が液滴Iに照射される。本工程により、液滴Iを構成する光硬化型インク組成物の硬化反応が生じ、液滴Iの1回目のピニングが行われる。なお、本実施形態では、光源20は、ヘッド10の走査方向の両側に設けられているため、ヘッド10および記録媒体Pの移動の方向が、上記例示と逆であっても同様の工程となる。第1ピニング工程は、上述のインクジェット記録装置100を用いれば非常に簡単に行うことができる。
【0120】
液滴Iが第1ピニング工程でピニングされる程度は、液滴Iを構成する光硬化型インク組成物の硬化率として、10%以上20%未満となるようにする。このようにすれば、液滴Iが、記録媒体P上で、大幅に濡れ広がることや、顕著に混色することを抑制することができるとともに、制御された濡れ広がりや混色を生じさせることができる。第1ピニング工程における液滴Iのピニングの程度は、硬化率で10%以上18%未満であることがより好ましく、10%以上155%未満であることがさらに好ましい。
【0121】
2.2.2.第2ピニング工程
本工程は、光を光源20によって、記録媒体Pに付着された液滴に照射する工程である。以下では、図2に示す、ヘッド10の走査方向MSの矢印Bの方向に、ヘッド10が移動する場合を例にとって、本工程を説明する。
【0122】
液滴吐出工程で記録媒体Pに付着された液滴Iは、第1ピニング工程でキャリッジ50が矢印Aの方向に移動した後、矢印Bの方向に移動して戻る際に光源20の光が液滴Iに照射される。本工程により、液滴Iを構成する光硬化型インク組成物の硬化反応が生じ、液滴Iの2回目のピニングが行われる。なお、本実施形態では、光源20は、ヘッド10の走査方向の両側に設けられているため、ヘッド10および記録媒体Pの移動の方向が、上記例示と逆であっても同様の工程となる。第2ピニング工程は、上述のインクジェット記録装置100を用いれば非常に簡単に行うことができる。
【0123】
液滴Iが第2ピニング工程でピニングされる程度は、液滴Iを構成する光硬化型インク組成物の硬化率として、第1ピニング工程の硬化率を含めて、20%以上40%未満となるようにする。このようにすれば、例えば、記録媒体P上における液滴Iを、所望の形状としたり、複数の液滴Iがある場合には、それらの混色を所望の程度にすることができる。また、第2ピニング工程によるピニングの程度は、転化率で20%以上35%未満であることがより好ましく、20%以上30%未満であることがさらに好ましい。
【0124】
本実施形態の画像形成方法では、上述のインクジェット記録装置100を用いている。そのため、光源20に突出部20Aが備えられており、第1ピニング工程と第2ピニング工程の間に、記録媒体Pの移動が含まれる場合においても、確実に第2ピニング工程を行うことができる。
【0125】
また、第1ピニング工程および第2ピニング工程の間の時間間隔は、1秒以上10秒以下とすることがより好ましい。本実施形態のインクジェット記録装置100では、例えば、キャリッジ50の移動速度を変化させたり、キャリッジ50の待機時間を調節したりすることにより、1回目のピニングおよび2回目のピニングの間の時間間隔の異なる印字モードを備えることができる。これにより、例えば、液滴の濡れ広がりや画像の光沢のバランスをとることができる。
【0126】
3.実験例
以下、いくつかの実験例を示し、本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0127】
3.1.光硬化型インク組成物
各実験例に共通する光硬化型インク組成物のセットを調製した。
【0128】
重合性化合物として、フェノキシアクリレート(V#192:大阪有機工業株式会社製)を29.5質量%、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート(FA512AS:日立化成工業株式会社製)を19.7質量%、ジシクロペンテニルアクリレート(FA511AS:日立化成工業株式会社製)を15.8質量%、ビニルカプロラクタムを9.8質量%、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート(EBECRYL IRR214K:ダイセル・サイテック株式会社製)を9.8質量%、光重合開始剤として、IRGACURE 819(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を5質量%、DAROCURE TPO(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を4質量%、DETX(日本化薬株式会社製)を1質量%、重合促進剤として、EBECRYL 7100(ダイセル・サイテック株式会社製)を3質量%、スリップ剤として、BYK−UV3500(ビックケミー・ジャパン株式会社製)を0.2質量%、顔料分散剤として、solsperse36000(ルーブリゾール社製)を0.1質量%、および、顔料を2質量%となるように、配合し、混合かつ溶解させ、さらに常温・常圧下30分間マグネチックスターラーにて混合撹拌した。
【0129】
光硬化型インク組成物のセットとしては、上記の顔料として、シアン顔料:IRGALITE BLUE GLVO(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を用いたもの、マゼンタ顔料:ピグメントレッド122を用いたもの、イエロー顔料:ピグメントイエロー180を用いたもの、およびカーボンブラックを用いたものセットとした。
【0130】
なお、光硬化型インク組成物が得られた後、重合禁止剤として、メチルエーテルハイドロキノン(関東化学株式会社製)、およびtert−ブチル−p−ベンゾキノン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)をいずれも2000ppm添加して各実験例に共通するインクセットを作製した。
【0131】
3.2.インクジェット記録装置
各実験例の評価試料は、インクジェット記録装置として、インクジェットプリンターPX−G920(セイコーエプソン株式会社製)を改造したものを用いて作成した。該プリンターの各色のインクカートリッジに、上述の光硬化型インク組成物のセットを導入した。該プリンターは、改造された結果、波長395nmのLEDで構成された光源が上記実施形態で説明したと同様に、ヘッドの走査方向の両側に設けられ、記録媒体Pの移動の単位距離よりも大きい第2方向の大きさを有する突出部を備えている。各実験例において、ヘッドのノズル孔の列の長さは、2.54cmとし、ノズル孔の列にはノズル孔がヘッドの移動方向と直交する方向に並び、ノズル孔の列におけるノズル数は180個とし、ノズル孔の列におけるノズル密度(ヘッドの移動方向と直交する方向の単位距離当たりのノズル数)は(180/2.54)/cmとし、記録媒体の移動方向における突出部の長さは10mmとし、記録媒体の移動の単位距離は、約6.35mmとし、移動方向の記録密度(記録媒体の移動方向の単位距離当たりに付着が可能な液滴の数)はノズル密度の4倍とした。
【0132】
3.3.評価用試料の作製
各実験例の試料は、記録媒体として、A4サイズにカットした塩化ビニルシートを用い、これに、表1に示す硬化率となるように、各光源の光量を設定して作製した。
【0133】
いずれの試料においても、プリンターの設定として、メディア「塩ビ一般1」、印刷品質「きれい」の印字モードにて形成し、各色の1ドットのライン幅およびベタ部位の濃淡を評価できるとともに、カラーブリード(混色)および光沢を評価できるテストパターンとした。また、各実験例における光源の光量は、LEDの光量によって、表1に示したように調節した。また、図示しないが、光硬化型インク組成物の硬化率は、シアンの光硬化型インク組成物の硬化率と光量との関係を示す検量線を作成して求め、その値を表1に記載した。ヘッドの走査速度は、30m/分とした。さらに、第1照射工程と第2照射工程の間の時間間隔は、キャリッジの移動の制御において、記録媒体の一端において停止させる時間を調節することによって、表1に記載する時間間隔となるように設定した。
【0134】
【表1】

【0135】
3.4.評価方法
得られた各実験例の試料につき、カラーブリード、線幅、および光沢を評価した。
【0136】
カラーブリードは、テストパターンをルーペ等を用いて目視することにより評価した。カラーブリードが認められなかったものを「A」、テストパターンの色の境界が不鮮明となっていたものを「B」、テストパターンの色の境界で、混色が生じていたものを「C」とし表1に記載した。
【0137】
線幅は、テストパターンをルーペ等を用いて目視することにより評価した。十分な線幅が得られベタ部位がドットによって埋められたものを「A」、Aに比べて線幅は細いが、ベタ部位がドットによって埋められていたものを「B」、線幅が細く、ベタ部位が埋まらないものを「C」とし表1に記載した。
【0138】
光沢は、テストパターンを目視することにより評価した。高光沢であるものを「A」、光沢があるものを「B」、光沢が不足しているものを「C」とし表1に記載した。
【0139】
3.5.評価結果
表1をみると、各実験例において、第1照射および第2照射における硬化率を変化させることにより、カラーブリード、線幅、および光沢を有意に変化させることが可能であることが判明した。すなわち、実験例で使用したインクジェット記録装置を用いれば、記録媒体に付着される光硬化型インク組成物の液滴の濡れ広がり方、および表面形状を広い範囲で変化させることができることが判明した。
【0140】
また、実験例1ないし実験例6の試料は、カラーブリード、線幅、および光沢のいずれもが良好であることが判明した。すなわち、第1照射の時点での光硬化型インク組成物の転化率が10%以上20%未満であり、かつ、第2照射の時点での光硬化型インク組成物の転化率が20%以上40%未満とした試料であって、かつ、第1照射と第2照射の間の時間間隔を10秒以内とした試料では、カラーブリード、線幅、および光沢のいずれもが良好であることが判明した。
【0141】
実験例7の第1照射と第2照射の間の時間間隔を15秒とした試料では、カラーブリードが認められた。実験例8ないし実験例12の試料は、第1照射の時点での光硬化型インク組成物の転化率が10%未満または20%以上であり、かつ、第2照射の時点での光硬化型インク組成物の転化率が20%未満または40%以上とした試料であって、カラーブリード、線幅、および光沢の少なくとも一種が、実験例1ないし実験例6の試料に比較して劣っていた。
【0142】
以上に述べた実施形態および変形実施形態は、任意の複数の形態を適宜組み合わせることが可能である。これにより、組み合わされた実施形態は、それぞれの実施形態が有する効果または相乗的な効果を奏することができる。
【0143】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0144】
10…インクジェット記録ヘッド(ヘッド)、12…ノズル孔、20…光源、20A…突出部、30…モーター、40…プラテン、50…キャリッジ、52…カートリッジ、60…キャリッジモーター、62…牽引ベルト、64…ガイドレール、80…キャッピング装置、100…インクジェット記録装置、P…記録媒体、I…液滴、MS,SS…走査方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に移動されるとともに、光硬化型インク組成物の液滴をノズル孔から吐出して記録媒体に前記液滴を付着させるヘッドと、
前記ヘッドとともに移動され、前記ヘッドの前記第1方向の両端側にそれぞれ配置され、前記記録媒体に付着された液滴に光を照射する光源と、
を備え、
前記光源は、前記第1方向に交差する第2方向の一方側の端に位置する前記ノズル孔よりも、前記第2方向の一方側に突出して配置された突出部を有し、
前記ヘッドを移動させた後、前記記録媒体を前記第2方向の一方側へ単位距離だけ移動させ、その後、前記ヘッドを前記第1方向の反対の向きに移動させる動作を行うことを特徴とする、インクジェット記録装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記突出部の前記第2方向の大きさは、前記記録媒体の前記第2方向の前記単位距離よりも大きいことを特徴とする、インクジェット記録装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記光源は、発光波長が365nm以上410nm以下の発光素子であることを特徴とする、インクジェット記録装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載されたインクジェット記録装置を用いて、前記記録媒体に光硬化型インク組成物によって画像を形成する画像形成方法であって、
前記光硬化型インク組成物は、前記記録媒体に付着された後、1回目の前記光源の光の照射によって10%以上20%未満の硬化率まで硬化され、2回目の前記光源の光の照射によって20%以上40%未満の硬化率まで硬化されることを特徴とする、画像形成方法。
【請求項5】
請求項4において、
前記1回目の前記光源の光の照射および前記2回目の前記光源の光の照射の間の時間間隔は、1秒以上10秒以下であることを特徴とする、画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−218599(P2011−218599A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87649(P2010−87649)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】