インクジェット記録装置及び画像形成方法
【課題】活性光線の照射制御により所望の光沢感を有する画像を形成しうる、インクジェット記録装置及び画像形成方法を提供する。
【解決手段】複数のノズル群に分割されたノズル列(61)を具備する画像形成部(23)を主走査方向に走査させながらノズル群ごとにインクを吐出させ、記録媒体と画像形成部とを副走査方向に沿って相対的に移動させるシリアル方式の画像形成において、画像形成部の走査方向下流側に設けられ、ノズル群に対応した複数の照射部に分割された仮硬化光源(32)を画像形成部とともに走査方向に走査させながら、記録媒体上のインクに紫外線を照射させてインクを仮硬化させる際に、照射光量が照射部ごとに設定され、設定された照射光量に基づいて照射部ごとに仮硬化光源の照射が制御される。
【解決手段】複数のノズル群に分割されたノズル列(61)を具備する画像形成部(23)を主走査方向に走査させながらノズル群ごとにインクを吐出させ、記録媒体と画像形成部とを副走査方向に沿って相対的に移動させるシリアル方式の画像形成において、画像形成部の走査方向下流側に設けられ、ノズル群に対応した複数の照射部に分割された仮硬化光源(32)を画像形成部とともに走査方向に走査させながら、記録媒体上のインクに紫外線を照射させてインクを仮硬化させる際に、照射光量が照射部ごとに設定され、設定された照射光量に基づいて照射部ごとに仮硬化光源の照射が制御される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェット記録装置及び画像形成方法に係り、特に紫外線硬化型インクを用いた画像形成技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、汎用の画像形成装置として、インクジェットヘッドからカラーインクを吐出させて、記録媒体上に所望の画像を形成するインクジェット記録装置が知られている。近年、紙などの浸透性を有する媒体だけでなく、樹脂フィルムなどの非浸透性(難浸透性)媒体が使用されるようになり、媒体上に着弾したインクに活性光線として紫外線を照射して硬化させる装置が提案されている。
【0003】
紫外線硬化型インクが適用されるインクジェット記録装置では、インクジェットヘッドが搭載されるキャリッジに紫外線照射用の光源を搭載し、紫外線光源をインクジェットヘッドに追従して走査させ、媒体に着弾した直後のインク液滴に紫外線を照射して、インク液滴の位置ずれや着弾干渉を回避している構成が知られている。
【0004】
また、カラー画像の光沢感を改善するために、カラー画像上にクリアインク(透明インク)の層を形成する手法が知られている。クリアインクの硬化状態が光沢感に影響を与えるために様々な工夫がなされている。
【0005】
特許文献1は、着色インク用記録ヘッドから着色インクを吐出させ、光照射装置により着色インクに光を照射させた後に透明インク用記録ヘッドにより透明インクを吐出させ、一定時間経過後に光照射装置から光を照射させるように構成し、透明インクの記録媒体への着弾から光照射までの時間が一定になることで、透明インク用記録ヘッドの移動方向によらずドット径が均一になり、光沢むらが防止されるインクジェット記録装置を開示している。
【0006】
特許文献2は、シリアル方式の画像形成において、記録媒体上にカラーインクを吐出させながら紫外線を照射してカラー画像を印刷し、カラー画像が印刷された後に記録媒体を印刷開始位置まで引き戻し、カラー画像が印刷された記録媒体上に紫外線ランプを消灯させた状態でクリアインクを吐出させ、その後、記録媒体上に吐出されたクリアインクに対して紫外線を照射するように構成して、記録媒体上に落下したクリアインクが平滑になる前に硬化することを防止し、光沢感がなくなるという問題を解決しているインクジェットプリンタを開示している。
【0007】
特許文献3は、記録媒体上に着弾したインクを硬化させる紫外線の強度を可変させて、画像の光沢度を変えることができるように構成されたインクジェット記録装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−289722号公報
【特許文献2】特開2010−149516号公報
【特許文献3】特開2009−51095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示されたインクジェット記録装置は、クリアインクが記録媒体に着弾してから紫外線が照射されるまで時間を調整する旨の開示はあるものの、具体的な紫外線の照射条件は開示されていない。
【0010】
また、特許文献2及び特許文献3は、紫外線の照射条件を変えると画像の光沢感が変わることを開示しているものの、具体的な紫外線の照射条件は開示されていない。
【0011】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、活性光線の照射制御により所望の光沢感を有する画像を形成しうる、インクジェット記録装置及び画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明に係るインクジェット記録装置は、活性光線の照射によって硬化するインクを記録媒体へ吐出させる複数のノズルが並べられ、複数のノズル群に分割されたノズル列を具備する画像形成手段と、前記画像形成手段を前記ノズル列のノズル配列方向と直交する方向に沿って走査させる走査手段と、前記記録媒体と前記画像形成手段とを前記ノズル列のノズル配列方向に沿って相対的に移動させる相対移動手段と、前記画像形成手段の前記走査方向下流側に設けられ、前記画像形成手段とともに前記走査方向に走査しながら前記記録媒体上のインクに活性光線を照射して前記インクを仮硬化させ、前記ノズル群に対応した複数の照射部に分割された第1の活性光線照射手段と、前記画像形成手段の前記相対移動方向の下流側に設けられ、前記記録媒体に着弾したインクを完全に硬化させる照射光量を有する活性光線を照射して、前記記録媒体上のインクを完全に硬化させる第2の活性光線照射手段と、前記ノズル群ごとに前記ノズル列のインク吐出を制御する吐出制御手段と、前記第1の活性光線照射手段の活性光線の照射光量が前記照射部ごとに設定され、前記設定された照射光量に基づいて前記照射部ごとに前記第1の活性光線照射手段における活性光線の照射を制御する照射制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、インクを吐出させる複数のノズルが並べられたノズル列が記録媒体と画像形成手段(ノズル列)との相対移動方向について分割され、該ノズル列から吐出させて記録媒体に着弾させたインクに活性光線を照射させて仮硬化させる第1の活性光線照射手段がノズル列に対応して分割され、ノズル列の分割単位であるノズル群ごとにインクを吐出させて、第1の活性光線照射手段の分割単位である照射部ごとに活性光線の照射光量が設定されるので、あるノズル群から吐出させたインクは該ノズル群に後続する照射部から照射される活性光線により仮硬化させ、該照射部の照射光量に応じたインクの仮硬化状態が得られる。したがって、照射部ごと(ノズル群)ごとにインクの仮硬化状態を制御することができ、インクの仮硬化状態に応じた画像の光沢性の再現領域を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置の外観斜視図
【図2】図1に示すインクジェット記録装置の用紙搬送路を模式的に示す説明図
【図3】図1に示すインクジェットヘッド及び紫外線照射部の配置構成を示す平面透視図
【図4】図1に示すインクジェットヘッドのインク供給系の概略構成を示すブロック図
【図5】図1に示すインクジェットヘッドの制御系の概略構成を示すブロック図
【図6】本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置により形成される画像を模式的に図示した説明図
【図7】紫外線照射光量の違いによるインクのドット展開の違いを説明する図
【図8】本発明の第2実施形態に係るインクジェット記録装置のインクジェットヘッド及び紫外線照射部の配置構成を示す平面透視図
【図9】本発明の第2実施形態に係るインクジェット記録装置により形成される画像を模式的に図示した説明図
【図10】第2実施形態の変形例に係るインクジェット記録装置のインクジェットヘッド及び紫外線照射部の配置構成を示す平面透視図
【図11】1層のカラー画像を形成するためのインクジェットヘッド及び紫外線照射部の配置構成を示す平面透視図
【図12】1層のカラー画像を模式的に図示した説明図
【図13】紫外線照射部の変形例を示す透視斜視図
【図14】光拡散板のMie散乱特性を示すグラフ
【図15】仮硬化光源から照射される紫外線の照度分布(X方向)を示すグラフ
【図16】仮硬化光源から照射される紫外線の照度分布(Y方向)を示すグラフ
【図17】仮硬化光源の他の構成例を示す斜視図
【図18】図17で説明した仮硬化光源の照度分布(X方向)を示したグラフ
【図19】図17で説明した仮硬化光源の照度分布(Y方向)を示したグラフ
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
【0016】
〔第1実施形態〕
まず、本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置及び画像形成方法について詳細に説明する。
【0017】
(インクジェット記録装置の全体構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置の外観斜視図である。同図に示すインクジェット記録装置10は、紫外線の照射により硬化する紫外線硬化型インク(UV硬化インク)を用いて記録媒体12上にカラー画像を形成するワイドフォーマットプリンタである。
【0018】
ワイドフォーマットプリンタは、大型ポスターや商業用壁面広告など、広い描画範囲を記録するのに好適な装置である。ここでは、A3ノビ以上に対応するものを「ワイドフォーマット」とよぶ。
【0019】
インクジェット記録装置10は、装置本体20と、この装置本体20を支持する支持脚22とを備えている。装置本体20には、記録媒体(メディア)12に向けてインクを吐出するドロップオンデマンド型のインクジェットヘッド(図1中不図示、図3に符号24を付して図示)を備えた画像形成部23と、記録媒体12を支持するプラテン26と、ヘッド移動手段(走査手段)としてのガイド機構28及びキャリッジ30が設けられている。
【0020】
ガイド機構28は、プラテン26の上方において、記録媒体12の搬送方向(X方向)に直交し且つプラテン26の媒体支持面と平行な走査方向(Y方向)に沿って延在するように配置されている。キャリッジ30は、ガイド機構28に沿ってY方向に往復移動可能に支持されている。
【0021】
また、キャリッジ30は、画像形成部23が搭載されるとともに、記録媒体12上のインクに紫外線を照射する仮硬化光源(ピニング光源)32A,32B、及び本硬化光源(キュアリング光源)34A,34Bが搭載されている。
【0022】
仮硬化光源32A,32Bは、画像形成部23とともにY方向について走査しながら、画像形成部23から吐出させ、記録媒体12に着弾したインクに対して、該インクの上に仮硬化光源32A,32Bが達したタイミングから、該インクの上を仮硬化光源32A,32Bが通過している期間において、活性光線である紫外線を照射させる光源である。
【0023】
仮硬化光源32A,32Bから紫外線が照射されたインクは、着弾干渉を回避するものの、ドット展開がされる(十分に広がることができる)程度に仮硬化する。
【0024】
本硬化光源34A,34Bは、記録媒体12上のインクに仮硬化光源32A,32Bから紫外線を照射した後の追加露光を行い、最終的にインクを完全に硬化(本硬化)させるための紫外線を照射する光源である。
【0025】
キャリッジ30上に配置された画像形成部23、仮硬化光源32A,32B及び本硬化光源34A,34Bは、ガイド機構28に沿ってキャリッジ30とともに一体的に(一緒に)移動する。
【0026】
キャリッジ30の往復移動方向(Y方向)を「主走査方向」又は「画像形成部23の走査方向」、記録媒体12の搬送方向(X方向)を「副走査方向」又は「画像形成部23と記録媒体12との相対移動方向」と呼ぶことがある。
【0027】
記録媒体12には、紙、不織布、塩化ビニル、合成化学繊維、ポリエチレン、ポリエステル、ターポリンなど、材質を問わず、また、浸透性媒体、非浸透性媒体を問わず、様々な媒体を用いることができる。
【0028】
記録媒体12は、装置の背面側からロール紙状態(図2参照)で給紙され、印字後は装置正面側の巻き取りローラ(図1中不図示、図2に符号44を付して図示)で巻き取られる。プラテン26上に搬送された記録媒体12に対して、画像形成部23からインク滴が吐出され、記録媒体12上に付着したインク滴に対して仮硬化光源32A,32B、本硬化光源34A,34Bから紫外線が照射される。
【0029】
図1において、装置本体20の正面に向かって左側の前面に、インクカートリッジ36の取り付け部38が設けられている。インクカートリッジ36は、紫外線硬化型インクを貯留する交換自在なインク供給源(インクタンク)である。
【0030】
インクカートリッジ36は、本例のインクジェット記録装置10で使用される各色インクに対応して設けられている。色別の各インクカートリッジ36は、それぞれ独立に形成された不図示のインク供給経路によって画像形成部23の各色に対応するインクジェットヘッドに接続される。
【0031】
インクカートリッジ36内のインク残量が少なくなるとその旨が報知される。インク残量が少なくなったインクカートリッジ36は、装置本体20から取り外して、新しいインクカートリッジ36と交換することができる。
【0032】
図示は省略するが、装置本体20の正面に向かって右側には、画像形成部23のインクジェットヘッドのメンテナンス部が設けられている。該メンテナンス部は、非印字時におけるインクジェットヘッドを保湿するためのキャップと、インクジェットヘッドのノズル面(インク吐出面)を清掃するための払拭部材(ブレード、ウエブ等)が設けられている。インクジェットヘッドのノズル面をキャッピングするキャップは、メンテナンスのためにノズルから吐出されたインク滴を受けるためのインク受けが設けられている。
【0033】
(記録媒体搬送路の説明)
図2は、インクジェット記録装置10における記録媒体搬送路を模式的に示す説明図である。同図に示すように、プラテン26は逆樋状に形成され、その上面が記録媒体12の支持面(媒体支持面)となる。
【0034】
プラテン26の近傍における記録媒体12の搬送方向(X方向)の上流側には、記録媒体12を間欠搬送するための記録媒体搬送手段である一対のニップローラ40が配設される。このニップローラ40は記録媒体12をプラテン26上で記録媒体搬送方向へ移動させる。
【0035】
ロール・ツー・ロール方式の記録媒体搬送手段を構成する供給側のロール(送り出し供給ロール)42から送り出された記録媒体12は、画像形成領域の入り口(プラテン26の記録媒体搬送方向の上流側)に設けられた一対のニップローラ40によって、記録媒体12の搬送方向に間欠搬送される。
【0036】
画像形成部23の直下の画像形成領域に到達した記録媒体12は、画像形成部23により印字が実行され、印字後に巻き取りロール44に巻き取られる。画像形成領域の記録媒体搬送方向の下流側には、記録媒体12のガイド46が設けられている。
【0037】
画像形成領域においてインクジェットヘッド24と対向する位置にあるプラテン26の裏面(記録媒体12を支持する面と反対側)には、画像形成中の記録媒体12の温度を調整するための温度調整部50が設けられている。
【0038】
画像形成時の記録媒体12が所定の温度となるように調整されると、記録媒体12に着弾したインク液滴の粘度や、表面張力等の物性値が所望の値になり、所望のドット径を得ることが可能となる。なお、必要に応じて、温度調整部50の上流側にプレ温度調整部52を設けてもよいし、温度調整部50の下流側にアフター温度調整部54を設けてもよい。
【0039】
(画像形成部、仮硬化光源、本硬化光源の説明)
図3は、キャリッジ30(図1参照)上に配置される画像形成部23、仮硬化光源32A,32B、及び本硬化光源34A,34Bの配置例を示す平面透視図である。
【0040】
同図に示す画像形成部23は、インクジェット方式のインクジェットヘッド24Y,24M,24C,24K,24LC,24LMを具備している。インクジェットヘッド24Y,24M,24C,24K,24LC,24LMは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、ライトシアン(LC)、ライトマゼンタ(LM)の各色のインクに対応している。
【0041】
インクジェットヘッド24Y,24M,24C,24K,24LC,24LMは、それぞれインクを吐出するための複数のノズルが並べられたノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LMが設けられている。
【0042】
図3ではノズル列を実線により図示し、ノズルの個別の図示は省略されている。なお、以下の説明では、インクジェットヘッド24Y,24M,24C,24K,24LC,24LMを総称して「インクジェットヘッド24」と呼ぶことがあり、ノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LMを総称して「ノズル列61」と呼ぶことがある。
【0043】
図3に示すように、インクジェットヘッド24Y,24M,24C,24K,24LC,24LM(ノズル列、61Y,61M,61C,61K,61LC,61LM)は、主走査方向に沿って等間隔に配置されている。
【0044】
また、インクジェットヘッド24Y,24M,24C,24K,24LC,24LMのそれぞれに具備されるノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LMは、記録媒体12の搬送方向について二分割されている。
【0045】
同図では、記録媒体12の搬送方向の上流側のノズル群(分割単位)に符号61Y‐1,61M‐1,61C‐1,61K‐1,61LC‐1,61LM‐1が付され、記録媒体12の搬送方向の下流側のノズル群に符号61Y‐2,61M‐2,61C‐2,61K‐2,61LC‐2,61LM‐2が付されている。
【0046】
同図に示す上流側のノズル群61Y‐1,61M‐1,61C‐1,61K‐1,61LC‐1,61LM‐1と下流側のノズル群61Y‐2,61M‐2,61C‐2,61K‐2,61LC‐2,61LM‐2は同一の長さを有し、その長さはノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LMの全長の1/2となっている。
【0047】
さらに、図3に示すインクジェットヘッド24Y,24M,24C,24K,24LC,24LMは、ノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LMの上流側のノズル群61Y‐1,61M‐1,61C‐1,61K‐1,61LC‐1,61LM‐1、及びノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LMの下流側のノズル群61Y‐2,61M‐2,61C‐2,61K‐2,61LC‐2,61LM‐2は、それぞれ独立してインク吐出を制御することが可能となっている。
【0048】
図3に示すように、画像形成部23の一方の端部(図中左端)のインクジェットヘッド24Yの外側に、仮硬化光源32Aが配置されるとともに、画像形成部23の他方の端部(図中右端)インクジェットヘッド24LMの外側に、仮硬化光源32Bが配置されている。
【0049】
仮硬化光源32A,32Bは、ノズル列61の分割に対応して記録媒体12の搬送方向について二分割されている。記録媒体12の搬送方向上流側の照射部(分割単位)は符号32A‐1,32B‐1が付され、記録媒体12の搬送方向下流側の照射部は符号32A‐2,32B‐2が付されている。
【0050】
仮硬化光源32Aの上流側の照射部32A‐1及び仮硬化光源32Bの上流側の照射部32B‐1の照射領域は、ノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LMの上流側のノズル群61Y‐1,61M‐1,61C‐1,61K‐1,61LC‐1,61LM‐1のインク吐出領域(画像形成可能領域)に対応している。
【0051】
また、仮硬化光源32Aの下流側の照射部32A‐2及び仮硬化光源32Bの下流側の照射部32B‐2の照射領域は、ノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LMの下流側のノズル群61Y‐2,61M‐2,61C‐2,61K‐2,61LC‐2,61LM‐2のインク吐出領域(画像形成可能領域)に対応している。
【0052】
仮硬化光源32A,32Bは、照射部ごとに照射光量を制御可能に構成されており、ノズル列61のノズル群ごとにインクの硬化条件を異ならせることが可能である。
【0053】
仮硬化光源32A,32Bは、複数の紫外線LED素子(UV‐LED素子)35が具備されている。図3に示す態様では、仮硬化光源32A,32Bは8つの紫外線LED素子35が記録媒体12の搬送方向に沿って一列に並べられている。
【0054】
また、仮硬化光源32A,32Bにおいて、記録媒体12の搬送方向上流側に配置された4つの紫外線LED素子35は、仮硬化光源32A,32Bの上流側の照射部32A‐1,32B‐1に属し、記録媒体12の搬送方向下流側に配置された4つの紫外線LED素子35は、仮硬化光源32A,32Bの下流側の照射部32A‐2,32B‐2に属している。
【0055】
仮硬化光源32A,32Bの照射部32A‐1,32A‐2,32B‐1,32B‐2ごとに各紫外線LED素子35の照射光量を調整することで、上流側の照射部32A‐1,32B‐1、及び下流側の照射部32A‐2,32B‐2ごとに紫外線の照射光量を可変させることできる。
【0056】
本硬化光源34A,34Bは、仮硬化光源32A,32Bと同様に複数の紫外線LED素子35が具備されている。図3に示す態様では、本硬化光源34A,34Bの紫外線LED素子35は、インクジェットヘッド24の走査方向に沿って一列に並べられている。
【0057】
なお、紫外線LED素子35の配置や数は図3に示す態様に限定されない。例えば、紫外線LED素子35をインクジェットヘッド24の走査方向及び記録媒体12の搬送方向に沿って二次元状に並べる形態も可能である。
【0058】
インク色の種類(色数)や色の組合せについては本実施形態に限定されない。例えば、LC、LMのノズル列を省略する形態、クリアインク(CL)やホワイトインク(W)のノズル列を追加する形態、メタルインクのノズル列を追加する形態、Wのノズル列に代わりメタルインクのノズル列を具備する形態、特別色のインクを吐出するノズル列を追加する形態などが可能である。また、色別のノズル列の配置順序も特に限定はない。
【0059】
図3では、色ごとにインクジェットヘッド24Y,24M,24C,24K,24LC,24LMが具備され画像形成部23を示したが、1つのインクジェットヘッド24に色ごとのノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LMが具備される態様も可能である。
【0060】
例えば、一つのインクジェットヘッド24に主走査方向に沿って等間隔に配置される複数のノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LMが具備される形態がありうる。
【0061】
本例のインクジェットヘッド24は、各ノズル列61を構成するノズルの配置ピッチ(ノズルピッチ)が254μm(100dpi)、1列のノズル列61を構成するノズルの数は256ノズル、ノズル列61の全長Lw(ノズル列の全長)は約65mm(254μm×255=64.8mm)である。また、吐出周波数は15kHzであり、駆動波形の変更によって10pl、20pl、30plの3種類の吐出液滴量を打ち分けることができる。
【0062】
インクジェットヘッド24のインク吐出方式としては、圧電素子(ピエゾアクチュエータ)の変形によってインク滴を飛ばす方式(ピエゾジェット方式)が採用されている。吐出エネルギー発生素子として、静電アクチュエータを用いる形態(静電アクチュエータ方式)の他、ヒータなどの発熱体(加熱素子)を用いてインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばす形態(サーマルジェット方式)を採用することも可能である。
【0063】
ただし、紫外線硬化型インクは、一般に溶剤インクと比べて高粘度であるため、紫外線硬化型インクを使用する場合には、吐出力が比較的大きなピエゾジェット方式を採用することが好ましい。
【0064】
(作画モードの説明)
本例に示すインクジェット記録装置10は、マルチパス方式の描画制御が適用され、印字パス数の変更によって印字解像度を変更することが可能である。例えば、高生産モード、標準モード、高画質モードの3種類の作画モードが用意され、各モードでそれぞれ印字解像度が異なる。印刷目的や用途に応じて作画モードが選択される。
【0065】
高生産モードでは、600dpi(主走査方向)×400dpi(副走査方向)の解像度で印字が実行される。高生産モードの場合、主走査方向は2パス(2回の走査)によって600dpiの解像度が実現される。
【0066】
1回目の走査(キャリッジ30の往路)では300dpiの解像度でドットが形成される。2回目の走査(復路)では1回目の走査(往路)で形成されたドットの中間を300dpiで補間するようにドットが形成され、主走査方向について600dpiの解像度が得られる。
【0067】
一方、副走査方向については、ノズルピッチが100dpiであり、1回の主走査(1パス)により副走査方向に100dpiの解像度でドットが形成される。したがって、4パス印字(4回の走査)により補間印字を行うことで400dpiの解像度が実現される。
【0068】
標準モードでは、600dpi×800dpiの解像度で印字が実行され、主走査方向は2パス印字、副走査は8パス印字により600dpi×800dpiの解像度を得ている。
【0069】
高画質モードでは、1200×1200dpiの解像度で印字が実行され、主走査方向は4パス、副走査方向が12パスにより1200dpi×1200dpiの解像度を得ている。なお、高生産モードのキャリッジ30の主走査速度は、1270mm/secである。
【0070】
(インク供給系の説明)
図4は、インクジェット記録装置10のインク供給系の構成を示すブロック図である。同図に示すように、インクカートリッジ36に収容されているインクは、供給ポンプ70によって吸引され、サブタンク72を介してインクジェットヘッド24に送られる。
【0071】
サブタンク72には、内部のインクの圧力を調整するための圧力調整部74が設けられている。
【0072】
圧力調整部74は、バルブ76を介してサブタンク72と連通される加減圧用ポンプ77と、バルブ76と加減圧用ポンプ77との間に設けられる圧力計78と、を具備している。
【0073】
通常の印字時は、加減圧用ポンプ77がサブタンク72内のインクを吸引する方向に動作し、サブタンク72の内部圧力及びインクジェットヘッド24の内部圧力が負圧に維持される。一方、インクジェットヘッド24のメンテナンス時は、加減圧用ポンプ77がサブタンク72内のインクを加圧する方向に動作し、サブタンク72の内部及びインクジェットヘッド24の内部が強制的に加圧され、インクジェットヘッド24内のインクがノズルを介して排出される。インクジェットヘッド24から強制的に排出されたインクは、上述したキャップ(図示せず)のインク受けに収容される。
【0074】
(制御系の説明)
図5は、インクジェット記録装置10の制御系の概略構成を示すブロック図である。同図に示すように、インクジェット記録装置10は、装置全体を統括的に制御する手段としての制御部(制御装置)102が設けられている。
【0075】
制御部102としては、例えば、中央演算処理装置(CPU)を備えたコンピュータ等を用いることができる。制御部102は、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置10の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置としても機能する。
【0076】
制御部102には、記録媒体搬送制御部104、キャリッジ駆動制御部106、光源制御部108、画像処理部110、吐出制御部112が含まれる。これらの各部は、ハードウエア回路又はソフトウエア、若しくはこれらの組合せによって実現される。
【0077】
記録媒体搬送制御部104は、記録媒体12(図1参照)の搬送を行うための搬送駆動部114を制御する。搬送駆動部114は、図2に示すニップローラ40を駆動する駆動用モータ、及びその駆動回路が含まれる。
【0078】
プラテン26(図1参照)上に搬送された記録媒体12は、インクジェットヘッド24による主走査方向の往復走査(印刷パスの動き)に合わせて、スワス幅単位で副走査方向へ間欠送りされる。
【0079】
図5に示すキャリッジ駆動制御部106は、キャリッジ30(図1参照)を主走査方向に移動させるための主走査駆動部116を制御する。主走査駆動部116は、キャリッジ30の移動機構に連結される駆動用モータ、及びその制御回路が含まれる。
【0080】
光源制御部108は、光源駆動回路118を介して仮硬化光源32A,32Bの紫外線LED素子35(図3参照)の発光を制御するとともに、光源駆動回路119を介して本硬化光源34A,34Bの紫外線LED素子35の発光を制御する。
【0081】
光源制御部108による紫外線LED素子35の発光制御として、紫外線LED素子35に供給される電流値を可変させる電流値制御、紫外線LED素子35に印加される電圧(パルス電圧)のデューティを変えるパルス幅変調制御、紫外線LED素子35のオンオフ制御などが挙げられる。
【0082】
仮硬化光源32A,32B及び本硬化光源34A,34Bの発光素子として、紫外線LED素子35(図3参照)以外にも、メタルハライドランプ等のUVランプを適用することができる。
【0083】
制御部102は、操作パネル等の入力装置122、表示装置120が接続されている。入力装置122は、手動による外部操作信号を制御部102へ入力する手段であり、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、操作ボタンなど各種形態を採用しうる。
【0084】
表示装置120には、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、CRTなど、各種形態を採用し得る。オペレータは、入力装置122を操作することにより、作画モードの選択、印刷条件の入力や付属情報の入力・編集などを行うことができ、入力内容や検索結果等の各種情報は、表示装置120の表示を通じて確認することができる。
【0085】
また、インクジェット記録装置10には、各種情報を格納しておく情報記憶部124と、印刷用の画像データを取り込むための画像入力インターフェース126が設けられている。画像入力インターフェースには、シリアルインターフェースを適用してもよいし、パラレルインターフェースを適用してもよい。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。
【0086】
画像入力インターフェース126を介して入力された画像データは、画像処理部110にて印刷用のデータ(ドットデータ)に変換される。ドットデータは、一般に、多階調の画像データに対して色変換処理、ハーフトーン処理を行って生成される。
【0087】
色変換処理は、sRGBなどで表現された画像データ(例えば、RGB各色について8ビットの画像データ)をインクジェット記録装置100で使用するインク各色の色データに変換する処理である。
【0088】
ハーフトーン処理は、色変換処理により生成された各色の色データに対して、誤差拡散法や閾値マトリクス等の処理で各色のドットデータに変換する処理である。ハーフトーン処理の手段としては、誤差拡散法、ディザ法、閾値マトリクス法、濃度パターン法など、各種公知の手段を適用できる。
【0089】
ハーフトーン処理は、一般に三以上の階調値を有する階調画像データを元の階調値未満の階調値を有する階調画像データに変換する。最も簡単な例では、二値(ドットのオンオフ)のドット画像データに変換するが、ハーフトーン処理において、ドットサイズの種類(例えば、大ドット、中ドット、小ドットなどの三種類)に対応した多値の量子化を行うことも可能である。
【0090】
こうして得られた二値又は多値の画像データ(ドットデータ)は、各ノズルの駆動(オン)/非駆動(オフ)、さらに、多値の場合には液滴量(ドットサイズ)を制御するインク吐出データ(打滴制御データ)として利用される。
【0091】
吐出制御部112は、画像処理部110において生成されたドットデータに基づいて、ヘッド駆動回路128に対して吐出制御信号を生成する。また、吐出制御部112は、不図示の駆動波形生成部を備えている。
【0092】
駆動波形生成部は、インクジェットヘッド24の各ノズルに対応した吐出エネルギー発生素子(本例では、ピエゾ素子)を駆動するための駆動電圧信号を生成する手段である。駆動電圧信号の波形データは、予め情報記憶部124に格納されており、必要に応じて使用する波形データが出力される。
【0093】
駆動波形生成部から出力された信号(駆動波形)は、ヘッド駆動回路128に供給される。なお、駆動波形生成部から出力される信号はデジタル波形データであってもよいし、アナログ電圧信号であってもよい。
【0094】
ヘッド駆動回路128を介してインクジェットヘッド24の各吐出エネルギー発生素子に対して、共通の駆動電圧信号が印加され、各ノズルの吐出タイミングに応じて各エネルギー発生素子の個別電極に接続されたスイッチ素子(不図示)のオンオフを切り換えることで、対応するノズルからインクが吐出される。
【0095】
情報記憶部124は、制御部102のCPUが実行するプログラム、及び制御に必要な各種データなどが格納されている。情報記憶部124は、作画モードに応じた解像度の設定情報、パス数(スキャンの繰り返し数)、仮硬化光源32A,32B及び本硬化光源34A,34Bの制御情報などが格納されている。
【0096】
エンコーダ130は、主走査駆動部116の駆動用モータ、及び搬送駆動部114の駆動用モータに取り付けられており、該駆動モータの回転量及び回転速度に応じたパルス信号を出力し、該パルス信号は制御部102に送られる。エンコーダ130から出力されたパルス信号に基づいて、キャリッジ30の位置、及び記録媒体12の位置が把握される。
【0097】
センサ132は、装置各部の設けられた位置検出センサ、温度センサ、圧力センサなどのセンサ類が含まれる。例えば、キャリッジ30に取り付けられた記録媒体12の幅や位置を把握するセンサや、プラテン26(図1参照)の温度を検出する温度センサなどが挙げられる。
【0098】
なお、図示は省略するが、インクジェット記録装置10は、図4の供給ポンプ70、加減圧用ポンプ77等のポンプの動作を制御するポンプ制御部と、バルブ76等のバルブの動作を制御するバルブ制御部と、を備えている。
【0099】
ポンプ制御部は、制御部102から送出される制御信号に基づいて、供給ポンプ70、加減圧用ポンプ77のオンオフ、回転数、回転方向を示す指令信号を送出する。
【0100】
また、バブル制御部は、制御部102から送出される制御信号に基づいて、バルブ76のオンオフを示す指令信号を送出する。
【0101】
(画像形成方法の説明)
次に、本例に示すインクジェット記録装置10に適用される画像形成方法について説明する。図6は、本例に示すインクジェット記録装置10により形成された画像200を模式的に図示した説明図である。
【0102】
本例に示すインクジェット記録装置10は、仮硬化光源32A,32Bから照射される照射光量を照射部32A‐1,32A‐2,32B‐1,32B‐2ごとに可変させて、該照射部32A‐1,32A‐2,32B‐1,32B‐2に対応する照射領域ごとにインクの硬化状態を異ならせている。
【0103】
図6に示す画像200は、略中央部のマット調テクスチャ202と周辺部のグロス調テクスチャ204とを含んでいる。ノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LMの上流側のノズル群61Y‐1,61M‐1,61C‐1,61K‐1,61LC‐1,61LM‐1からマット調テクスチャ202が形成される部分に吐出させた各色インクは、仮硬化光源32A,32Bの上流側の照射部32A‐1、32B‐1から高光量の紫外線が照射される。
【0104】
高光量の紫外線が照射されたインクは、着弾干渉が防止されつつ、ドット展開がされにくいゲル状に硬化する。すなわち、記録媒体12に着弾した直後からインクに対して高光量の紫外線が照射されると、該インク(ドット)は十分に広げられる前に仮硬化する。
【0105】
また、ノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LMの下流側のノズル群61Y‐2,61M‐2,61C‐2,61K‐2,61LC‐2,61LM‐2からグロス調テクスチャ204が形成される部分に吐出させたインクは、仮硬化光源32A,32Bの下流側の照射部32A‐2、32B‐2から低光量の紫外線が照射される。
【0106】
低光量の紫外線が照射されたインクは、着弾干渉が防止されつつもドット展開が可能なゲル状に硬化する。すなわち、記録媒体12に着弾した直後からインクに対して低光量の紫外線が照射されると、該インク(ドット)は十分に広げられて仮硬化する。
【0107】
図7(a)は、高光量の紫外線が照射されて硬化したインク(ドット)206を模式的に図示した説明図である。同図に示すインク206は、十分にドット展開がされずにパイルハイトが立った状態で硬化している。
【0108】
かかる状態のインク206により構成される画像(図6のマット調テクスチャ202)は、いわゆるマット調と呼ばれる光沢感が少ない(表面の粗さが粗い)テクスチャとなる。
【0109】
図7(b)は、低光量の紫外線が照射されて硬化したインク(ドット)208を模式的に図示した説明図である。同図に示すインク208は、十分にドット展開がされてパイルハイトが低減化された状態で硬化している。
【0110】
かかる状態のインク208により構成される画像(図6のグロス調テクスチャ204)は、いわゆるグロス調と呼ばれる光沢感が大きい(表面の粗さが細かい)テクスチャとなる。
【0111】
本例に示すインクジェット記録装置10は、図3に示すように、ノズル列61及び仮硬化光源32A,32Bが記録媒体12の搬送方向について分割され、上流側の照射部はマット調の画像を形成し、下流側の照射部はグロス調の画像を形成する。
【0112】
上述した画像形成方法は、以下のステップ1からステップ3を含んでいる。
【0113】
<ステップ1>
記録媒体12におけるマット調テクスチャ202が形成される領域が、インクジェットヘッド24Y,24M,24C,24K,24LC,24LM(ノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LM)の上流側のノズル群61Y‐1,61M‐1,61C‐1,61K‐1,61LC‐1,61LM‐1の直下に到達すると、上流側のノズル群61Y‐1,61M‐1,61C‐1,61K‐1,61LC‐1,61LM‐1からカラーインクが吐出され、記録媒体12に着弾した直後からカラーインクに対して仮硬化光源32A,32Bの上流側の照射部32A‐1,32B‐1から高光量の紫外線が照射され、マット調テクスチャ202が形成される。
【0114】
<ステップ2>
また、記録媒体12におけるグロス調テクスチャ204が形成される領域が、インクジェットヘッド24Y,24M,24C,24K,24LC,24LM(ノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LM)の下流側のノズル群61Y‐2,61M‐2,61C‐2,61K‐2,61LC‐2,61LM‐2の直下に到達すると、下流側のノズル群61Y‐2,61M‐2,61C‐2,61K‐2,61LC‐2,61LM‐2からカラーインクが吐出され、記録媒体12に着弾した直後から該インクに対して仮硬化光源32A,32Bの下流側の照射部32A‐2,32B‐2から高光量の紫外線が照射され、グロス調テクスチャ204が形成される。
【0115】
<ステップ3>
画像形成部23の画像形成領域を抜け出した記録媒体12は、記録媒体12の搬送方向下流側に設けられた本硬化光源34A,34Bから、仮硬化光源32A,32Bの下流側の照射部32A‐2,32B‐2よりもさらに高光量の紫外線が照射され、ドットの広がりを停止させるとともに、膜質を硬化させる完全硬化処理が施される。
【0116】
このようにして、上記ステップ1からステップ3の各工程を経て、記録媒体12を逆方向へ戻すことなく、シングルパス方式により一つの画像の中にマット調テクスチャ202とグロス調テクスチャ204とを混在させた画像200が形成される。
【0117】
ここで、仮硬化処理における低光量とは、2ミリジュール毎平方センチメートル以上、4ミリジュール毎平方センチメートル以下であり、仮硬化処理における高光量とは、8ミリジュール毎平方センチメートル以上、10ミリジュール毎平方センチメートル以下である。
【0118】
換言すると、仮硬化における低光量に対する高光量の比は、2倍以上5倍以下であることが好ましい。
【0119】
さらに、本硬化処理における照射光量は、150ミリジュール毎平方センチメートル以上300ミリジュール毎平方センチメートル以下であり、仮硬化処理の高光量に対して15倍以上150倍以下である。なお、紫外線の照射光量は使用されるインクの組成に応じて適宜変更される。
【0120】
上記の如く構成されたインクジェット記録装置によれば、記録媒体12を一方向に搬送しながら逆方向に戻すことなく画像形成を行うシングルパス方式により、マット調テクスチャ202及びグロス調テクスチャ204を同一の画像200内に形成することができるので、グロス調とマット調の再現領域が拡大される。
【0121】
また、記録媒体12を巻き戻さないために、マット調テクスチャとグロス調テクスチャが混在する画像を形成する場合にも画像形成時間を短縮させることができ、さらに、マット調テクスチャ202とグロス調テクスチャ204との間に位置ずれが発生しない。
【0122】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係るインクジェット記録装置及び画像形成方法について説明する。なお、以下の説明において、先に説明した第1実施形態と同一又は類似する部分には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0123】
(印字部の構成)
図8は、本例に示すインクジェット記録装置の印字部223の概略構成を示す平面透視図である。同図に示す印字部223は、図3に図示した画像形成部23に対して、クリアインク(CL)に対応するインクジェットヘッド24CLが追加されている。
【0124】
なお、図8に示すように、ホワイトインク(W)に対応するインクジェットヘッド24Wを追加してもよい。
【0125】
インクジェットヘッド24CLは、ライトマゼンタ(LM)に対応するインクジェットヘッド24LMの外側に配置される。また、インクジェットヘッド24Wを追加する態様では、インクジェットヘッド24Wはインクジェットヘッド24CLのさらに外側に配置される。
【0126】
インクジェットヘッド24Y,24M,24C,24K,24LC,24LMのノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LMは記録媒体12の搬送方向について二分割されており、同方向上流側の端からノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LMの全長の1/3の長さを有する上流側のノズル群61Y‐1,61M‐1,61C‐1,61K‐1,61LC‐1,61LM‐1と、同方向下流側の端からノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LMの全長の2/3の長さを有する下流側のノズル群61Y‐2,61M‐2,61C‐2,61K‐2,61LC‐2,61LM‐2に分割されている。
【0127】
また、インクジェットヘッド24CLは、記録媒体12の搬送方向について三分割されている。すなわち、インクジェットヘッド24CLに具備されるノズル列61CLは、同方向上流側の端からノズル列61CLの全長の1/3を有する上流側のノズル群61CL‐1と、同方向に中央部を含みノズル列61CLの全長の1/3を有する中間のノズル群61CL‐2と、同方向下流側の端からノズル列61CLの全長の1/3を有する下流側のノズル群61CL‐3と、を有している。
【0128】
カラーインクに対応するノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LMの上流側のノズル群61Y‐1,61M‐1,61C‐1,61K‐1,61LC‐1,61LM‐1はカラー画像を形成するノズル列として機能する。
【0129】
また、クリアインクに対応するノズル列61CLの中間のノズル群61CL‐2及び下流側のノズル群61CL‐3は、カラー画像に積層されたクリアインク層を形成するノズル列として機能する。
【0130】
さらに、クリアインクに対応するノズル列61CLの中間のノズル群61CL‐2は、クリアインクによるマット調テクスチャを形成し、下流側のノズル群61CL‐3は、グロス調テクスチャを形成する。
【0131】
ホワイトインクに対応するノズル列61Wは、カラー画像の下地層(ホワイト層)を形成するノズル列として機能する。例えば、透明や半透明の媒体が用いられる場合にホワイトインクからなる下地層が形成される。
【0132】
仮硬化光源232A,232Bは、クリアインクのノズル列61CLに対応して記録媒体12の搬送方向について三分割され、各照射部の照射領域の同方向における長さは、同一(仮硬化光源232A,232Bの照射領域の同方向における長さの1/3)となっている。
【0133】
すなわち、仮硬化光源232A,232Bは、上流側のノズル群232A‐1,232B‐1、中間のノズル群232A‐2,232B‐2、下流側のノズル群232A‐3,232B‐3を有している。
【0134】
仮硬化光源232A,232Bは、照射部ごとに紫外線の照射光量が制御され、上流側のノズル群232A‐1,232B‐1は、カラーインクにより形成された画像に低光量の紫外線を照射する紫外線光源として機能する。
【0135】
また、中間のノズル群232A‐2,232B‐2は、クリアインクのマット調テクスチャを形成する際に、該クリアインクに高光量の紫外線を照射する紫外線光源として機能し、下流側のノズル群232A‐3,232B‐3は、クリアインクのグロス調テクスチャを形成する際に、該クリアインクに低光量の紫外線を照射する紫外線光源として機能する。
【0136】
(画像形成方法の説明)
図9は、図8に図示した印字部223を用いて形成されたカラー画像を模式的に図示した説明図である。同図に示すカラー画像240は、カラー画像層242にクリアインク層244が積層された構造を有し、さらに、クリアインク層244はマット調テクスチャ246とグロス調テクスチャ248とを含んでいる。
【0137】
図9に示すカラー画像240は、以下に説明するステップ11からステップ14を経て形成される。
【0138】
<ステップ11>
インクジェットヘッド24Y,24M,24C,24K,24LC,24LMのそれぞれに具備されるノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LMのうち、上流側のノズル群61Y‐1,61M‐1,61C‐1,61K‐1,61LC‐1,61LM‐1から各色のインクを吐出させる。
【0139】
記録媒体12に着弾したカラーインクは、着弾直後から仮硬化光源232A,232Bの上流側のノズル群232A‐1,232B‐1から低光量(例えば、2ミリジュール毎平方センチメートル以上4ミリジュール毎平方センチメートル以下)の紫外線が照射され、着弾干渉を回避しうるゲル状態に硬化させる。
【0140】
<ステップ12>
次に、インクジェットヘッド24CLに具備されるノズル列61CLの中間のノズル群61CL‐2からマット調テクスチャ付与エリアに対してクリアインクを吐出させる。記録媒体12に着弾したマット調テクスチャ用のクリアインクは、着弾直後から仮硬化光源232A,232Bの中間のノズル群232A‐2,232B‐2から高光量(例えば、8ミリジュール毎平方センチメートル以上10ミリジュール毎平方センチメートル以下)の紫外線が照射され、クリアインクが十分に広がる前に硬化させる。
【0141】
<ステップ13>
インクジェットヘッド24CLに具備されるノズル列61CLの下流側のノズル群61CL‐3からグロス調テクスチャ付与エリアに対してクリアインクを吐出させる。記録媒体12に着弾したグロス調テクスチャ用のクリアインクは、着弾直後から仮硬化光源232A,232Bの下流側のノズル群232A‐3,232B‐3から低光量(例えば、2ミリジュール毎平方センチメートル以上4ミリジュール毎平方センチメートル以下)の紫外線が照射され、十分に広がる状態(パイルハイトが低減化される状態)に硬化させる。
【0142】
なお、ハイグロステクスチャを形成する場合は、仮硬化光源232A,232Bの下流側のノズル群232A‐3,232B‐3をオフして、記録媒体12に着弾したハイグロス調テクスチャ用のクリアインクには紫外線が照射されない。
【0143】
<ステップ14>
ノズル列61CLの下流側のノズル群61CL‐3から吐出されたクリアインクが十分に広げられた後に、印字部223の記録媒体12の搬送方向下流側に配置された本硬化光源34A,34Bから高光量(例えば、150ミリジュール毎平方センチメートル以上300ミリジュール毎平方センチメートル以下)の紫外線が照射され、カラー画像層242及びクリアインク層244を完全に硬化させる。
【0144】
上記のステップ11からステップ14を経て、図9に示す光沢再現領域が拡大されたカラー画像240が形成される。
【0145】
上記の如く構成されたインクジェット記録装置及び画像形成方法によれば、カラー画像層242の上にクリアインク層244が積層され、クリアインク層244にマット調テクスチャ246及びグロス調テクスチャ248が形成されることで、カラー画像240の光沢性を制御しうる。
【0146】
(変形例)
次に、第2実施形態に係るインクジェット記録装置の変形例について説明する。図10は、本変形例に係る印字部223’の概略構成を示す平面透視図である。
【0147】
同図に示す印字部223’は、カラーインクに対応するインクジェットヘッド24Y,24M,24C,24K,24LC,24LMに具備されるノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LMは、記録媒体12の搬送方向について分割されていない。
【0148】
一方、クリアインクに対応するインクジェットヘッド24CLに具備されるノズル列61CLは、同方向について二分割されている。インクジェットヘッド24CLは、上流側のノズル群61CL‐1と下流側のノズル群61CL‐2は個別にインク吐出が制御される。
【0149】
仮硬化光源232A,232Bは、インクジェットヘッド24CLのノズル列61CLに対応して、記録媒体12の搬送方向について二分割されており、上流側のノズル群232A‐1,232B‐1と下流側のノズル群232A‐1,232B‐1は、個別に紫外線の照射光量を制御することができる。
【0150】
図10に示す印字部223’は、上述したステップ12,ステップ13に代わり以下のステップ12’,ステップ13’を適用することで、図9に図示したカラー画像240を形成することができる。
【0151】
<ステップ12’>
カラー画像層242が形成された記録媒体12は、クリアインクに対応するインクジェットヘッド24CLの吐出開始位置まで戻され、再度、記録媒体12の搬送方向へ搬送される。
【0152】
クリアインクに対応するノズル列61CLの上流側のノズル群61CL‐1から吐出させたクリアインクは、記録媒体12に着弾した直後から仮硬化光源232A,232Bの上流側のノズル群232A‐1,232B‐1により高光量(例えば、8ミリジュール毎平方センチメートル以上10ミリジュール毎平方センチメートル以下)の紫外線が照射され、該クリアインクが十分に広がる前に硬化させる。
【0153】
<ステップ13’>
クリアインクに対応するノズル列61CLの下流側のノズル群61CL‐2から吐出させたクリアインクは、記録媒体12に着弾した直後から仮硬化光源232A,232Bの下流側のノズル群232A‐2,232B‐2により低光量(例えば、2ミリジュール毎平方センチメートル以上4ミリジュール毎平方センチメートル以下)の紫外線が照射され、該クリアインクが十分に広がる前に硬化させる。
【0154】
上記のように、ステップ11、ステップ12’、ステップ13’ステップ14を経て、図9に示す光沢再現領域が拡大されたカラー画像240を形成することが可能である。
【0155】
かかる変形例によれば、カラーインクに対応するノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LMは分割されていないので、図8に図示された態様と比較して、一回の印字部223’の走査により画像を形成することができる領域が3倍に拡大されるとともに吐出周波数を上げることができるので、トータルの画像形成時間が短縮される。
【0156】
(参考例)
本参考例では、シリアル方式のインクジェットヘッドが具備されるインクジェット記録装置における、一般的な画像形成方法について説明する。
【0157】
図11は、本参考例に係る画像形成部23’の概略構成を示す平面透視図である。同図に示す画像形成部23’は、ノズル列61及び仮硬化光源32A,32Bが、記録媒体12の搬送方向について分割されていない。
【0158】
すなわち、カラーインクに対応するインクジェットヘッド24Y,24M,24C,24K,24LC,24LMに具備されるノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LMから、各色のインクが吐出されてカラー画像が形成される。
【0159】
また、記録媒体12に着弾したカラーインクは、仮硬化光源32A,32Bから低光量(例えば、2ミリジュール毎平方センチメートル以上4ミリジュール毎平方センチメートル以下)の紫外線が照射され、着弾干渉を回避可能なゲル状態に硬化させる。
【0160】
その後、本硬化までの時間を十分にとり、記録媒体への浸透、ドットの広がり (パイルハイトの低減化)を促進し、光沢性の改善、記録媒体12へのカラーインクの密着性が改善される。
【0161】
ドットが十分に広げられた後に、画像形成部23’の記録媒体12の搬送方向下流側に位置する本硬化光源34A,34Bから高光量(例えば、150ミリジュール毎平方センチメートル以上300ミリジュール毎平方センチメートル以下)の紫外線が照射され、該ドットを本硬化させる。
【0162】
かかる本硬化処理によって、光沢性及びカラーインクの記録媒体12への密着性改善と膜質硬化との両立がされる。
【0163】
図12は、図11に示す画像形成部23’を用いて形成されたカラー画像300を模式的に図示した説明図である。
【0164】
〔仮硬化光源の変形例〕
(構成例1)
図13は、仮硬化光源410の構成例(変形例)を示す斜視図である。同図に示すように、本例の仮硬化光源410は、略直方体の箱形状を成す。仮硬化光源410は、アルミ製のハウジング(囲い)412の中に、紫外線LED素子414が納められ、該ハウジング412の底面部に透過型の光拡散板416が配置された構造を有する。紫外線LED素子414が実装された配線基板420は、LED実装面を光拡散板416の方に向けた状態でハウジング412の上部に配置される。
【0165】
配線基板420に実装される紫外線LED素子414の個数については、必要なUV照射幅とコストの観点から、なるべく少ない数とすることが好ましい。本例では、配線基板420上に2個の紫外線LED素子414が配置されている。図3で説明したインクジェットヘッド24の記録媒体12の搬送方向に沿ったノズル列61の全長Lwに対して一度にUV照射を行うことができるUV照射幅を得るために、2個の紫外線LED素子414は、記録媒体搬送方向に並んで配置されている。
【0166】
これら複数個(ここでは2個)の紫外線LED素子414がX方向に並んだLED素子列の長さ(LED素子列の幅)Luは、インクジェットヘッド24のノズル列61の全長Lwよりも短いものとなっている(Lu<Lw)。
【0167】
配線基板420には放熱性・耐熱性が強化されたメタル基板が用いられている。メタル基板の詳細な構造は図示しないが、アルミや銅などのメタル板の上に絶縁層が形成され、該絶縁層の上に紫外線LED素子414及びLED駆動用の配線回路(アノード配線、カソード配線)等が形成されている。なお、ベースメタル上に回路が形成されたメタルベース基板を用いてもよいし、基板内部にメタル板が埋め込まれたメタルコア基板を用いてもよい。
【0168】
また、配線基板420におけるLED実装面の紫外線LED素子414の周囲には、UV耐性のある高反射率の白色レジスト処理が施されている。この白色レジスト層(不図示)により、配線基板420の表面で紫外線を反射・散乱させることができ、紫外線LED素子414が発生する光を効率良く仮硬化用のUV照射に利用することができる。
【0169】
光拡散板416は、紫外線LED素子414から発せられた光を透過しつつ拡散させる光学材料で形成された乳白色板である。例えば、光拡散板416は、白色顔料(光拡散性物質)を分散した白色アクリル板が用いられる。
【0170】
白色アクリル板に限らず、ガラスなど透明な材料中に光拡散用の微粒子を分散混入させて形成した光学部材を使用することもできる。光拡散物質(白色顔料等)の含有量を変えることによって透過率や拡散特性が異なる光拡散板が得られる。
【0171】
なお、透過型の光拡散板として、光を拡散させる手段は、このアクリル樹脂にシリカ粉体を分散させる手段に限らず、溶融石英からなる基板の表面をフロスト処理、曇りガラス処理、スリガラス処理することによっても容易に実現することができる。
【0172】
図14のような拡散特性を持つ光拡散板416は、配線基板420のLED実装面に対向して、ハウジング412の下部に配置される。図13において光拡散板416の下面は、記録媒体に対面する光出射面417である。光拡散板416で拡散させた光は、光出射面417から記録媒体の上にインクジェットヘッド24のノズル列幅Lw以上の光照射幅で照射される。
【0173】
光拡散板416の上面、すなわち、光拡散板416の光出射面417と反対側の面(紫外線LED素子414に対面する側の面)は、当該光拡散板416への光入射面418となっている。光拡散板416の光入射面418には、紫外線LED素子414と対向する位置に、紫外線LED素子414の直射光を反射散乱させるためのミラー432(反射部)がコートされている。
【0174】
紫外線LED素子414とミラー432は、ハウジング412内で互いに向かい合うように、対応する位置関係で配置される。
【0175】
仮硬化光源410のハウジング412は、アルミの板金(処理無し)で構成されており、当該ハウジング412の内周面は、側面反射板として機能する。なお、ハウジング412の内周面に反射率を高める研磨処理や白色塗装などを施してもよい。
【0176】
このような構成からなる仮硬化光源410によれば、紫外線LED素子414から発せられた光は、光拡散板416のミラー432で反射・散乱し、ミラー432及びハウジング412の内周面(側面反射板)並びに配線基板420の白色レジスト層等で反射・散乱しながら、光拡散板416に進入する。
【0177】
光拡散板416の光入射面418から進入した光は、光拡散板416を通って拡散され、光出射面417から記録媒体に向けて照射される。
【0178】
図15及び図16は、仮硬化光源410から照射される紫外線の照度分布を示すグラフである。図15は記録媒体上におけるX方向の照度分布を示し、図16は記録媒体上におけるY方向の照度分布を示す。
【0179】
本実施形態に係る仮硬化光源410の光出射面417は、X方向の幅が約70mm、Y方向の幅が約12mmである。図15、図16に示したように、光拡散板416を通過した光は概ね一様な照度分布に拡散されて照射される。
【0180】
本例の仮硬化光源410によれば、少ない個数(ここでは2個)の紫外線LED素子414を用いた構成(Lu<Lw)でありながら、ノズル列61の全長Lw以上の長さの光照射幅が実現されている。
【0181】
本実施形態によれば、少ない個数のUV‐LED素子を用いて、仮硬化に好適なノズル列幅以上の光照射幅を持つ照度分布を効率よく生成することができる。
【0182】
〔シングリング走査によるスワス幅について〕
ワイドフォーマット機の作画モードでは、解像度設定毎に、それぞれシングリング(インターレス)する作画条件が決定されている。具体的には、インクジェットヘッドの吐出ノズル列の幅Lwをパス数(スキャン繰り返し回数)だけ分割してシングリング作画するので、インクジェットヘッドのノズル列幅、並びに、主走査方向及び副走査方向のパス数(インターレースする分割数)によってスワス幅が異なる。
【0183】
なお、マルチパス方式によるシングリング作画の詳細については、例えば、特開2004−306617号公報に説明されている。
【0184】
一例として、FUJIFILM Dimatix社製のQS-10ヘッドを用いた場合のシングリング作画によるパス数とスワス幅の関係は下表(表1)の様になる。作画によって想定されるスワス幅は使用するノズル列幅を主走査方向パス数と副走査方向パス数の積で分割した値となる。
【0185】
【表1】
【0186】
(構成例2)
既に説明したとおり、シングリング走査でノズル列から打滴しながら、紫外線露光する印字方式の場合、1スワス内に積算露光回数の多いインク滴と少ないインク滴とが存在する。露光回数の違いによる総露光量のばらつきを改善する観点から、仮硬化光源の照度分布を改良し、メディア搬送方向に対して、ノズル列の下流側ほど照度が高くなるような照度分布を付けることが好ましい。
【0187】
図17は、そのような照度分布を実現する仮硬化光源450の構成例である。図17において、先に説明した仮硬化光源410の構成と同一又は類似する要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0188】
図17に示した仮硬化光源450は、光拡散板416の光出射面417に、帯状の反射部(反射ミラー)452がミラーコートにより形成されている。反射ミラー452の帯は、メディア搬送方向の下流側ほど、照度が高まるような分布で配置されている。
【0189】
反射ミラー452の帯は、メディア搬送方向の上流側ほど幅(X方向幅)が広く、下流側に行くにつれて次第に細くなっている。反射ミラー452の部分は光が透過せず、反射ミラー452の無い部分(符号454)から光が照射される。
【0190】
すなわち、光拡散板416の光出射面417に到達した光のうち、反射ミラー452の部分に到達した光は、当該反射ミラー452によって反射され光拡散板416の中に戻る。一方、光拡散板416の光出射面417に到達した光のうち、反射ミラー452が無い部分(反射ミラー452の帯と帯の間の光通過部454)に到達した光は、その光通過部454から光拡散板416の外へ抜けてくる。
【0191】
光拡散板416の光出射面417における反射ミラー452の帯は、目的の照度分布が得られるように、ある多項式に基づいて、帯幅の変化のさせ方が設計される。反射ミラー452がコートされていない光通過部454の幅(X方向幅)は、メディア搬送方向の下流側ほど広くなっており、下流側ほど照度が増す照度分布が実現される。
【0192】
図18は、図17で説明した仮硬化光源450の記録媒体12の搬送方向(X方向)についての照度分布を示したグラフであり、図19は、画像形成部23の走査方向(Y方向)についての照射分布断面を示す。これらは、メディア面上の照射領域の中心線(Y方向中心線、X方向中心線)上での分布を示すものである。図18に示すように、メディア搬送方向の下流側ほど照度が増す分布となっている。
【0193】
このような仮硬化光源の光量調整、照度分布調整を可能にするため、仮硬化光源の光拡散板416を交換可能な構成とする。拡散透過率や光出射面417における反射ミラー452の分布を異ならせた複数種類の光拡散板416を予め準備しておき、使用する記録媒体や作画モードに応じて、光拡散板416を差し替える。
【0194】
例えば、使用する記録媒体の表面反射率が高いものほど、透過率の低い光拡散板が用いられる。また、作画モードごとに、適切な照度分布を実現する反射ミラー452の分布が設けられた光拡散板が予め用意されており、印刷時の作画モードに応じてオペレータ(プリンタ操作者)が、対応する光拡散板に差し替える作業を行う。
【0195】
光拡散板416の付け替え作業を容易にするために、ハウジング412の下部に光拡散板416を着脱自在に取り付ける取付構造が設けられる。具体的には、例えば、ハウジング412の光拡散板取付部に、光拡散板416の縁部を支持する溝を形成しておき、その溝に沿って光拡散板416を挿入して光拡散板416をセットする。
【0196】
光拡散板416を交換する場合には、セットされている光拡散板416を引き抜いて、別の光拡散板を再挿入する。このような抜き差し式の取付構造に限らず、爪の係合を利用して着脱する構造や、凹凸の嵌合を利用して着脱する構造など、様々な取付構造を採用し得る。
【0197】
また、光拡散板のみを差し替える構成に代えて、光拡散板を含む仮硬化光源ごと付け替える構成も可能である。この場合、使用する記録媒体や作画モードに応じた複数種類の仮硬化光源が予め用意されており、使用する記録媒体の種類や印刷時の作画モードに応じてオペレータ(プリンタ操作者)が、対応する仮硬化光源に付け替える作業を行う。
【0198】
光拡散板、又はこれを含んだ仮硬化光源を取り替えることによって、仮硬化の光量分布を調整して、紫外線に対する感度が低く硬化の遅いインクの吐出領域のみに、高光量の紫外線を照射することが可能となる。
【0199】
本例では、インクを硬化させる活性光線として紫外線を例示したが、紫外線以外の波長帯域を有する光線を活性光線として用いることも可能である。すなわち、インクを硬化させる活性光線は、インクを硬化させるために必要なエネルギーを照射させることができる波長帯域の光線を適用可能である。また、本硬化光源と仮硬化光源とは異なる波長帯域の光線の活性光線として用いることができる。
【0200】
例えば、仮硬化光源はインクの移動を抑制させる程度にインクを硬化させるエネルギー量を照射できればよく、本硬化光源よりも低い活性化エネルギーを発生させる光線を適用することができる。一方、本硬化光源は、仮硬化光源よりも高い活性化エネルギーを発生させる光線が適用される。
【0201】
以上、本発明に適用されるインクジェット記録装置及び画像形成方法について詳細に説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、適宜変更が可能である。
【0202】
〔付記〕
上記に詳述した実施形態についての記載から把握されるとおり、本明細書では以下に示す発明を含む多様な技術思想の開示を含んでいる。
【0203】
(発明1):活性光線の照射によって硬化するインクを記録媒体へ吐出させる複数のノズルが並べられ、複数のノズル群に分割されたノズル列を具備する画像形成手段と、前記画像形成手段を前記ノズル列のノズル配列方向と直交する方向に沿って走査させる走査手段と、前記記録媒体と前記画像形成手段とを前記ノズル列のノズル配列方向に沿って相対的に移動させる相対移動手段と、前記画像形成手段の前記走査方向下流側に設けられ、前記画像形成手段とともに前記走査方向に走査しながら前記記録媒体上のインクに活性光線を照射して前記インクを仮硬化させ、前記ノズル群に対応した複数の照射部に分割された第1の活性光線照射手段と、前記画像形成手段の前記相対移動方向の下流側に設けられ、前記記録媒体に着弾したインクを完全に硬化させる照射光量を有する活性光線を照射して、前記記録媒体上のインクを完全に硬化させる第2の活性光線照射手段と、前記ノズル群ごとに前記ノズル列のインク吐出を制御する吐出制御手段と、前記第1の活性光線照射手段の活性光線の照射光量が前記照射部ごとに設定され、前記設定された照射光量に基づいて前記照射部ごとに前記第1の活性光線照射手段における活性光線の照射を制御する照射制御手段と、を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【0204】
本発明によれば、インクを吐出させる複数のノズルが並べられたノズル列が記録媒体と画像形成手段(ノズル列)との相対移動方向について分割され、該ノズル列から吐出させて記録媒体に着弾させたインクに活性光線を照射させて仮硬化させる第1の活性光線照射手段がノズル列に対応して分割され、ノズル列の分割単位であるノズル群ごとにインクを吐出させて、第1の活性光線照射手段の分割単位である照射部ごとに活性光線の照射光量が設定されるので、あるノズル群から吐出させたインクは該ノズル群に後続する照射部から照射される活性光線により仮硬化させ、該照射部の照射光量に応じたインクの仮硬化状態が得られる。したがって、照射部(ノズル群)ごとにインクの仮硬化状態を制御することができ、インクの仮硬化状態に応じた画像の光沢性の再現領域を拡大することができる。
【0205】
本発明における「活性光線」として、紫外線が挙げられる。
【0206】
本発明における「仮硬化状態」とは、記録媒体上におけるインクの移動が起きない程度にインク液滴を硬化させた状態である。
【0207】
(発明2):発明1に記載のインクジェット記録装置において、前記ノズル列は、前記相対移動方向上流側の第1のノズル群及び前記相対移動方向下流側の第2のノズル群を含むように前記相対移動方向について分割されるとともに、前記第1の活性光線照射手段は、前記相対移動方向上流側の第1の照射部及び前記相対移動方向下流側の第2の照射部を含むように前記相対移動方向について分割され、前記照射制御手段は、前記第1のノズル群から吐出させたインクを着弾干渉が防止されつつ所定のサイズまで広がらない状態に仮硬化させて、前記第1のノズル群から吐出させたインクがマット調テクスチャを形成するように前記第1の照射部の照射光量を制御し、前記第2のノズル群から吐出させたインクを着弾干渉が防止されつつ所定のサイズに広がる状態に仮硬化させて、前記第2のノズル群から吐出させたインクがグロス調テクスチャを形成するように前記第2の照射部の照射光量を制御すること特徴とする。
【0208】
かかる態様によれば、一つの画像内に光沢性が異なるマット調テクスチャとグロス調テクスチャを形成することができる。また、第1の照射部の(上流側の)照射光量を高光量、第2の照射部の(下流側の)照射光量を低光量とすることで、カラー画像形成時におけるインクジェットヘッドの上流側で発生するスワスエッジの着弾干渉を回避することができ、バンディングを低減化しうる。
【0209】
(発明3):発明1又は2に記載のインクジェット記録装置において、前記画像形成手段は、カラーインクを吐出させるカラーインクノズル列を含むことを特徴とする。
【0210】
かかる態様によれば、光沢性の異なる複数の画像(領域)が含まれるカラー画像を形成することができる。
【0211】
かかる態様における「カラーインク」として、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の色材を含有するインクが挙げられる。また、ライトマゼンタ、ライトシアンなど、標準色よりも濃度が低いライト系インクを含んでいてもよい。
【0212】
(発明4):発明1から3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置において、前記照射制御手段は、前記第2の照射部の照射光量が前記第1の照射部の照射光量の2倍以上5倍以下となるように、前記第1の照射部及び前記第2の照射部の照射光量を設定することを特徴とする。
【0213】
かかる態様において、第1の照射部の照射光量を2ミリジュール毎平方センチメートル以上4ミリジュール毎平方センチメートル以下とすることができる。また、第2の照射部の照射光量を8ミリジュール毎平方センチメートル以上10ミリジュール毎平方センチメートル以下とすることができる。
【0214】
(発明5):発明1又は2に記載のインクジェット記録装置において、前記照射制御手段は、前記第2の照射部をオフさせることを特徴とする。
【0215】
かかる態様によれば、第2の照射部から活性光線を照射させないことで、ハイグロス調テクスチャを形成しうる。
【0216】
(発明6):発明1に記載のインクジェット記録装置において、前記画像形成手段は、カラーインクを吐出させるカラーインクノズル列及びクリアインクを吐出させるクリアインクノズル列を含み、前記カラーインクノズル列及び前記クリアインクノズル列は前記走査方向に沿って並べられるとともに、前記相対移動方向の最上流側の第1のノズル群、前記第1のノズル群の前記相対移動方向の下流側の第2のノズル群、及び前記第2のノズル群の前記相対移動方向の下流側の第3のノズル群を含むように前記相対移動方向について分割され、前記第1の活性光線照射手段は、前記カラーインクノズル列及び前記クリアインクノズル列の第1のノズル群、第2のノズル群及び第3のノズル群に対応する第1の照射部、第2の照射部及び第3の照射部を含むように前記相対移動方向について分割され、前記吐出制御手段は、前記カラーインクノズル列の第1のノズル群からカラーインクを吐出させるとともに、前記クリアインクノズル列の第2のノズル群及び第3のノズル群からクリアインクを吐出させるようにインク吐出を制御し、前記照射制御手段は、前記クリアインクノズル列の第2のノズル群から吐出させたクリアインクを着弾干渉が防止されつつ所定のサイズまで広がらない状態に仮硬化させて、前記第2のノズル群から吐出させたクリアインクがマット調テクスチャを形成するように前記第2の照射部の照射光量を制御し、前記クリアインクノズル列の第3のノズル群から吐出させたクリアインクを着弾干渉が防止されつつ所定のサイズに広がる状態に仮硬化させて、前記第3のノズル群から吐出させたクリアインクがグロス調テクスチャを形成するように前記第3の照射部の照射光量を制御すること特徴とする。
【0217】
かかる態様によれば、クリアインクに照射される活性光線の照射光量を変えてクリアインク層の仮硬化状態を変えることで、光沢性が低いマット調テクスチャと光沢性が高いグロス調テクスチャを形成しうる。
【0218】
かかる態様における「クリアインク」として、色材を含有しない透明なインクや、色が視認されない程度に微量の色材を含むインクなどが挙げられる。
【0219】
(発明7):発明6に記載のインクジェット記録装置において、前記カラーインクノズル列の第1のノズル群の前記相対搬送方向の長さは、前記カラーインクノズル列の全長の1/3であり、前記クリアインクノズル列の第1のノズル群、第2のノズル群及び第3のノズル群の前記相対搬送方向の長さは、前記クリアインクノズル列の全長の1/3であることを特徴とする。
【0220】
(発明8):発明6又は7に記載のインクジェット記録装置において、前記吐出制御手段は、前記カラーインクノズル列から吐出させたカラーインクによって形成されるカラー画像層の上に、前記クリアインクノズル列から吐出させたクリアインクによって形成されるクリアインク層が積層されるように、前記カラーインクノズル列及び前記クリアインクノズル列の吐出を制御することを特徴とする。
【0221】
かかる態様によれば、カラーインクにより形成されたカラー画像層の上に、クリアインクによるクリアインク層が形成されることで、クリアインクの仮硬化状態のみを変えることで、光沢性が異なる領域が混在するカラー画像を形成しうる。
【0222】
(発明9):発明6から8のいずれかに記載のインクジェット記録装置において、前記照射制御手段は、前記第3の照射部の照射光量が前記第2の照射部の照射光量の2倍以上5倍以下となるように、前記第2の照射部及び前記第3の照射部の照射光量を設定することを特徴とする。
【0223】
(発明10):発明6から8のいずれかに記載のインクジェット記録装置において、前記照射制御手段は、前記第3の照射部をオフさせることを特徴とする。
【0224】
(発明11):発明1から10のいずれかに記載のインクジェット記録装置において、前記相対移動手段は、前記記録媒体と前記画像形成手段とを相対的に一方向に移動させることを特徴とする。
【0225】
かかる態様によれば、記録媒体と画像形成手段とを一方向のみに相対移動させてカラー画像層の上にクリアインク層を形成することができるので、カラー画像層とクリアインク層との位置ずれを防止することでき、記録媒体の搬送異常を回避しうる。
【0226】
(発明12):発明1に記載のインクジェット記録装置において、前記画像形成手段は、カラーインクを吐出させるカラーインクノズル列及びクリアインクを吐出させるクリアインクノズル列を含み、前記クリアインクノズル列は前記相対移動方向上流側の第1のノズル群及び前記相対移動方向下流側の第2のノズル群を含むように前記相対移動方向について分割され、前記第1の活性光線照射手段は、前記クリアインクノズル列の第1のノズル群及び第2のノズル群に対応する第1の照射部及び第2の照射部を含むように前記相対移動方向について分割され、前記相対移動手段は、前記カラーインクノズル列から記録媒体へカラーインクを吐出させた後に、前記記録媒体を前記クリアインクノズルの吐出開始位置へ戻し、さらに、前記記録媒体を前記相対移動方向へ移動させ、前記吐出制御手段は、前記カラーインクノズル列から記録媒体へカラーインクを吐出させ、前記相対移動手段により前記記録媒体を前記クリアインクノズルの吐出開始位置へ戻した後に、前記相対移動方向へ移動している前記記録媒体に対して前記クリアインクを吐出させるようにインク吐出を制御し、前記照射制御手段は、前記クリアインクノズル列の第1のノズル群から吐出させたクリアインクを着弾干渉が防止されつつ所定のサイズまで広がらない状態に仮硬化させて、前記第1のノズル群から吐出させたクリアインクがマット調テクスチャを形成するように前記第1の照射部の照射光量を制御し、前記クリアインクノズル列の第2のノズル群から吐出させたクリアインクを着弾干渉が防止されつつ所定のサイズに広がる状態に仮硬化させて、前記第2のノズル群から吐出させたクリアインクがグロス調テクスチャを形成するように前記第2の照射部の照射光量を制御すること特徴とする。
【0227】
(発明13):発明12に記載のインクジェット記録装置において、前記照射制御手段は、前記第2の照射部の照射光量が前記第1の照射部の照射光量の2倍以上5倍以下となるように、前記第1の照射部及び前記第2の照射部の照射光量を設定することを特徴とする。
【0228】
(発明14):発明12に記載のインクジェット記録装置において、前記照射制御手段は、前記第2の照射部をオフさせることを特徴とする。
【0229】
(発明15):発明1から14のいずれかに記載のインクジェット記録装置において、前記照射制御手段は、前記第2の活性光線照射手段の照射光量が前記第1の活性光線照射手段の照射光量の15倍以上150倍以下となるように前記第2の活性光線照射手段の照射光量を設定することを特徴とする。
【0230】
かかる態様において、第2の活性光線照射手段の照射光量を150ミリジュール毎平方センチメートル以上300ミリジュール毎平方センチメートル以下とすることができる。
【0231】
(発明16):発明1から15のいずれかに記載のインクジェット記録装置において、前記照射制御手段は、電流値制御、パルス幅変調制御、オンオフ制御のいずれかにより前記活性光線照射手段から照射される活性光線の照射光量を可変させることを特徴とする。
【0232】
かかる態様によれば、紫外線LED素子は個別に発光制御が可能であり、インクの硬化特性に応じて、各インクの吐出位置に最適な活性光線の照射が可能となる。
【0233】
(発明17):発明1から16のいずれかに記載のインクジェット記録装置において、前記第1の活性光線照射手段は、前記ノズル列の分割単位に対応して前記相対移動方向と平行方向に複数の紫外LED素子を並べた構造を有することを特徴とする。
【0234】
かかる態様において、相対移動方向と平行方向に複数の紫外LED素子が並べられた素子列が走査方向について複数並べられる態様も可能である。
【0235】
(発明18):発明1から17のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置において、前記第1の活性光線照射手段の分割された各照射部は、前記相対移動方向と平行方向における前記ノズル列の全長を当該ノズル列に含まれるノズル群の数で除算した値以下であることを特徴とする。
【0236】
かかる態様によれば、不要な領域への活性光線の照射が防止される。
【0237】
かかる態様において、ノズル列の相対搬送方向における全長をLw、ノズル列の分割数をNとすると、第1の活性光線照射手段の相対搬送方向における照射範囲は、Lw/N以下となる。
【0238】
(発明19):発明1から18のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置において、前記相対移動手段は、前記ノズル列に含まれるノズル群の前記相対移動方向における長さを、前記走査方向の前記複数のノズル列の配置ピッチを前記走査方向における最小ドット間隔で除算した値と、前記相対移動方向の前記ノズルの配置ピッチを前記相対移動方向の最小ドット間隔で除算した値とを乗算した値として定義されるマルチパス数で除算した長さを一回の搬送における搬送量として、前記画像形成手段と前記記録媒体とを間欠的に一方向に相対搬送することを特徴とする。
【0239】
かかる態様によれば、記録媒体と画像形成手段とを往復移動させることなく、複数の層を積層させた画像を形成しうる。
【0240】
(発明20):発明1から19のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置において、前記画像形成手段は、複数のインクに対応するノズル列を具備するインクジェットヘッドを備えたことを特徴とする。
【0241】
(発明21):発明1から19のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置において、前記画像形成手段は、ノズル列を具備するインクジェットヘッドをインクごとに備えたことを特徴とする。
【0242】
(発明22):活性光線の照射によって硬化するインクを記録媒体へ吐出させる複数のノズルが並べられ、複数のノズル群に分割されたノズル列を具備する画像形成手段を前記ノズル列のノズル配列方向と直交する方向に沿って走査させながら、前記ノズル列のノズル群ごとにインクを吐出させるインク吐出工程と、前記記録媒体と前記画像形成手段とを前記ノズル列のノズル配列方向に沿って相対的に移動させる相対移動工程と、前記画像形成手段の前記走査方向下流側に設けられ、前記ノズル群に対応した複数の照射部に分割された第1の活性光線照射手段を前記画像形成手段とともに前記走査方向に走査させながら、前記第1の活性光線照射手段から前記記録媒体上のインクに活性光線を照射させて前記インクを仮硬化させる仮硬化工程と、前記画像形成手段の前記相対移動方向の下流側に設けられる第2の活性光線照射手段から、前記記録媒体に着弾したインクを完全に硬化させる照射光量を有する活性光線を照射して、前記記録媒体上のインクを完全に硬化させる本硬化工程と、を含み、前記仮硬化工程は、前記第1の活性光線照射手段の活性光線の照射光量が前記照射部ごとに設定され、前記設定された照射光量に基づいて前記照射部ごとに前記第1の活性光線照射手段における活性光線の照射が制御されることを特徴とする画像形成方法。
【符号の説明】
【0243】
10…インクジェット記録装置、12…記録媒体、24,24C,24M,24Y,24K,24CL,24W…インクジェットヘッド、32A,32B,232A,232B,410…仮硬化光源、32A‐1,32A‐2,32B‐1,32B‐2…照射部、34A,34,234A,234B,334…本硬化光源、61,61C,61M,61Y,61K,61LC,61LM、61CL,61W…ノズル列、61C‐1,61M‐1,61Y‐1,61K‐1,61LC‐1,61LM‐1,61CL‐1,61C‐2,61M‐2,61Y‐2,61K‐2,61LC‐2,61LM‐2,61CL‐2,61CL‐3…ノズル群、102…制御装置、108…光源制御部、114…搬送駆動部、116…主走査駆動部、118,119…光源駆動回路,128…吐出制御部、35,414…紫外線LED素子
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェット記録装置及び画像形成方法に係り、特に紫外線硬化型インクを用いた画像形成技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、汎用の画像形成装置として、インクジェットヘッドからカラーインクを吐出させて、記録媒体上に所望の画像を形成するインクジェット記録装置が知られている。近年、紙などの浸透性を有する媒体だけでなく、樹脂フィルムなどの非浸透性(難浸透性)媒体が使用されるようになり、媒体上に着弾したインクに活性光線として紫外線を照射して硬化させる装置が提案されている。
【0003】
紫外線硬化型インクが適用されるインクジェット記録装置では、インクジェットヘッドが搭載されるキャリッジに紫外線照射用の光源を搭載し、紫外線光源をインクジェットヘッドに追従して走査させ、媒体に着弾した直後のインク液滴に紫外線を照射して、インク液滴の位置ずれや着弾干渉を回避している構成が知られている。
【0004】
また、カラー画像の光沢感を改善するために、カラー画像上にクリアインク(透明インク)の層を形成する手法が知られている。クリアインクの硬化状態が光沢感に影響を与えるために様々な工夫がなされている。
【0005】
特許文献1は、着色インク用記録ヘッドから着色インクを吐出させ、光照射装置により着色インクに光を照射させた後に透明インク用記録ヘッドにより透明インクを吐出させ、一定時間経過後に光照射装置から光を照射させるように構成し、透明インクの記録媒体への着弾から光照射までの時間が一定になることで、透明インク用記録ヘッドの移動方向によらずドット径が均一になり、光沢むらが防止されるインクジェット記録装置を開示している。
【0006】
特許文献2は、シリアル方式の画像形成において、記録媒体上にカラーインクを吐出させながら紫外線を照射してカラー画像を印刷し、カラー画像が印刷された後に記録媒体を印刷開始位置まで引き戻し、カラー画像が印刷された記録媒体上に紫外線ランプを消灯させた状態でクリアインクを吐出させ、その後、記録媒体上に吐出されたクリアインクに対して紫外線を照射するように構成して、記録媒体上に落下したクリアインクが平滑になる前に硬化することを防止し、光沢感がなくなるという問題を解決しているインクジェットプリンタを開示している。
【0007】
特許文献3は、記録媒体上に着弾したインクを硬化させる紫外線の強度を可変させて、画像の光沢度を変えることができるように構成されたインクジェット記録装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−289722号公報
【特許文献2】特開2010−149516号公報
【特許文献3】特開2009−51095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示されたインクジェット記録装置は、クリアインクが記録媒体に着弾してから紫外線が照射されるまで時間を調整する旨の開示はあるものの、具体的な紫外線の照射条件は開示されていない。
【0010】
また、特許文献2及び特許文献3は、紫外線の照射条件を変えると画像の光沢感が変わることを開示しているものの、具体的な紫外線の照射条件は開示されていない。
【0011】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、活性光線の照射制御により所望の光沢感を有する画像を形成しうる、インクジェット記録装置及び画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明に係るインクジェット記録装置は、活性光線の照射によって硬化するインクを記録媒体へ吐出させる複数のノズルが並べられ、複数のノズル群に分割されたノズル列を具備する画像形成手段と、前記画像形成手段を前記ノズル列のノズル配列方向と直交する方向に沿って走査させる走査手段と、前記記録媒体と前記画像形成手段とを前記ノズル列のノズル配列方向に沿って相対的に移動させる相対移動手段と、前記画像形成手段の前記走査方向下流側に設けられ、前記画像形成手段とともに前記走査方向に走査しながら前記記録媒体上のインクに活性光線を照射して前記インクを仮硬化させ、前記ノズル群に対応した複数の照射部に分割された第1の活性光線照射手段と、前記画像形成手段の前記相対移動方向の下流側に設けられ、前記記録媒体に着弾したインクを完全に硬化させる照射光量を有する活性光線を照射して、前記記録媒体上のインクを完全に硬化させる第2の活性光線照射手段と、前記ノズル群ごとに前記ノズル列のインク吐出を制御する吐出制御手段と、前記第1の活性光線照射手段の活性光線の照射光量が前記照射部ごとに設定され、前記設定された照射光量に基づいて前記照射部ごとに前記第1の活性光線照射手段における活性光線の照射を制御する照射制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、インクを吐出させる複数のノズルが並べられたノズル列が記録媒体と画像形成手段(ノズル列)との相対移動方向について分割され、該ノズル列から吐出させて記録媒体に着弾させたインクに活性光線を照射させて仮硬化させる第1の活性光線照射手段がノズル列に対応して分割され、ノズル列の分割単位であるノズル群ごとにインクを吐出させて、第1の活性光線照射手段の分割単位である照射部ごとに活性光線の照射光量が設定されるので、あるノズル群から吐出させたインクは該ノズル群に後続する照射部から照射される活性光線により仮硬化させ、該照射部の照射光量に応じたインクの仮硬化状態が得られる。したがって、照射部ごと(ノズル群)ごとにインクの仮硬化状態を制御することができ、インクの仮硬化状態に応じた画像の光沢性の再現領域を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置の外観斜視図
【図2】図1に示すインクジェット記録装置の用紙搬送路を模式的に示す説明図
【図3】図1に示すインクジェットヘッド及び紫外線照射部の配置構成を示す平面透視図
【図4】図1に示すインクジェットヘッドのインク供給系の概略構成を示すブロック図
【図5】図1に示すインクジェットヘッドの制御系の概略構成を示すブロック図
【図6】本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置により形成される画像を模式的に図示した説明図
【図7】紫外線照射光量の違いによるインクのドット展開の違いを説明する図
【図8】本発明の第2実施形態に係るインクジェット記録装置のインクジェットヘッド及び紫外線照射部の配置構成を示す平面透視図
【図9】本発明の第2実施形態に係るインクジェット記録装置により形成される画像を模式的に図示した説明図
【図10】第2実施形態の変形例に係るインクジェット記録装置のインクジェットヘッド及び紫外線照射部の配置構成を示す平面透視図
【図11】1層のカラー画像を形成するためのインクジェットヘッド及び紫外線照射部の配置構成を示す平面透視図
【図12】1層のカラー画像を模式的に図示した説明図
【図13】紫外線照射部の変形例を示す透視斜視図
【図14】光拡散板のMie散乱特性を示すグラフ
【図15】仮硬化光源から照射される紫外線の照度分布(X方向)を示すグラフ
【図16】仮硬化光源から照射される紫外線の照度分布(Y方向)を示すグラフ
【図17】仮硬化光源の他の構成例を示す斜視図
【図18】図17で説明した仮硬化光源の照度分布(X方向)を示したグラフ
【図19】図17で説明した仮硬化光源の照度分布(Y方向)を示したグラフ
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
【0016】
〔第1実施形態〕
まず、本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置及び画像形成方法について詳細に説明する。
【0017】
(インクジェット記録装置の全体構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置の外観斜視図である。同図に示すインクジェット記録装置10は、紫外線の照射により硬化する紫外線硬化型インク(UV硬化インク)を用いて記録媒体12上にカラー画像を形成するワイドフォーマットプリンタである。
【0018】
ワイドフォーマットプリンタは、大型ポスターや商業用壁面広告など、広い描画範囲を記録するのに好適な装置である。ここでは、A3ノビ以上に対応するものを「ワイドフォーマット」とよぶ。
【0019】
インクジェット記録装置10は、装置本体20と、この装置本体20を支持する支持脚22とを備えている。装置本体20には、記録媒体(メディア)12に向けてインクを吐出するドロップオンデマンド型のインクジェットヘッド(図1中不図示、図3に符号24を付して図示)を備えた画像形成部23と、記録媒体12を支持するプラテン26と、ヘッド移動手段(走査手段)としてのガイド機構28及びキャリッジ30が設けられている。
【0020】
ガイド機構28は、プラテン26の上方において、記録媒体12の搬送方向(X方向)に直交し且つプラテン26の媒体支持面と平行な走査方向(Y方向)に沿って延在するように配置されている。キャリッジ30は、ガイド機構28に沿ってY方向に往復移動可能に支持されている。
【0021】
また、キャリッジ30は、画像形成部23が搭載されるとともに、記録媒体12上のインクに紫外線を照射する仮硬化光源(ピニング光源)32A,32B、及び本硬化光源(キュアリング光源)34A,34Bが搭載されている。
【0022】
仮硬化光源32A,32Bは、画像形成部23とともにY方向について走査しながら、画像形成部23から吐出させ、記録媒体12に着弾したインクに対して、該インクの上に仮硬化光源32A,32Bが達したタイミングから、該インクの上を仮硬化光源32A,32Bが通過している期間において、活性光線である紫外線を照射させる光源である。
【0023】
仮硬化光源32A,32Bから紫外線が照射されたインクは、着弾干渉を回避するものの、ドット展開がされる(十分に広がることができる)程度に仮硬化する。
【0024】
本硬化光源34A,34Bは、記録媒体12上のインクに仮硬化光源32A,32Bから紫外線を照射した後の追加露光を行い、最終的にインクを完全に硬化(本硬化)させるための紫外線を照射する光源である。
【0025】
キャリッジ30上に配置された画像形成部23、仮硬化光源32A,32B及び本硬化光源34A,34Bは、ガイド機構28に沿ってキャリッジ30とともに一体的に(一緒に)移動する。
【0026】
キャリッジ30の往復移動方向(Y方向)を「主走査方向」又は「画像形成部23の走査方向」、記録媒体12の搬送方向(X方向)を「副走査方向」又は「画像形成部23と記録媒体12との相対移動方向」と呼ぶことがある。
【0027】
記録媒体12には、紙、不織布、塩化ビニル、合成化学繊維、ポリエチレン、ポリエステル、ターポリンなど、材質を問わず、また、浸透性媒体、非浸透性媒体を問わず、様々な媒体を用いることができる。
【0028】
記録媒体12は、装置の背面側からロール紙状態(図2参照)で給紙され、印字後は装置正面側の巻き取りローラ(図1中不図示、図2に符号44を付して図示)で巻き取られる。プラテン26上に搬送された記録媒体12に対して、画像形成部23からインク滴が吐出され、記録媒体12上に付着したインク滴に対して仮硬化光源32A,32B、本硬化光源34A,34Bから紫外線が照射される。
【0029】
図1において、装置本体20の正面に向かって左側の前面に、インクカートリッジ36の取り付け部38が設けられている。インクカートリッジ36は、紫外線硬化型インクを貯留する交換自在なインク供給源(インクタンク)である。
【0030】
インクカートリッジ36は、本例のインクジェット記録装置10で使用される各色インクに対応して設けられている。色別の各インクカートリッジ36は、それぞれ独立に形成された不図示のインク供給経路によって画像形成部23の各色に対応するインクジェットヘッドに接続される。
【0031】
インクカートリッジ36内のインク残量が少なくなるとその旨が報知される。インク残量が少なくなったインクカートリッジ36は、装置本体20から取り外して、新しいインクカートリッジ36と交換することができる。
【0032】
図示は省略するが、装置本体20の正面に向かって右側には、画像形成部23のインクジェットヘッドのメンテナンス部が設けられている。該メンテナンス部は、非印字時におけるインクジェットヘッドを保湿するためのキャップと、インクジェットヘッドのノズル面(インク吐出面)を清掃するための払拭部材(ブレード、ウエブ等)が設けられている。インクジェットヘッドのノズル面をキャッピングするキャップは、メンテナンスのためにノズルから吐出されたインク滴を受けるためのインク受けが設けられている。
【0033】
(記録媒体搬送路の説明)
図2は、インクジェット記録装置10における記録媒体搬送路を模式的に示す説明図である。同図に示すように、プラテン26は逆樋状に形成され、その上面が記録媒体12の支持面(媒体支持面)となる。
【0034】
プラテン26の近傍における記録媒体12の搬送方向(X方向)の上流側には、記録媒体12を間欠搬送するための記録媒体搬送手段である一対のニップローラ40が配設される。このニップローラ40は記録媒体12をプラテン26上で記録媒体搬送方向へ移動させる。
【0035】
ロール・ツー・ロール方式の記録媒体搬送手段を構成する供給側のロール(送り出し供給ロール)42から送り出された記録媒体12は、画像形成領域の入り口(プラテン26の記録媒体搬送方向の上流側)に設けられた一対のニップローラ40によって、記録媒体12の搬送方向に間欠搬送される。
【0036】
画像形成部23の直下の画像形成領域に到達した記録媒体12は、画像形成部23により印字が実行され、印字後に巻き取りロール44に巻き取られる。画像形成領域の記録媒体搬送方向の下流側には、記録媒体12のガイド46が設けられている。
【0037】
画像形成領域においてインクジェットヘッド24と対向する位置にあるプラテン26の裏面(記録媒体12を支持する面と反対側)には、画像形成中の記録媒体12の温度を調整するための温度調整部50が設けられている。
【0038】
画像形成時の記録媒体12が所定の温度となるように調整されると、記録媒体12に着弾したインク液滴の粘度や、表面張力等の物性値が所望の値になり、所望のドット径を得ることが可能となる。なお、必要に応じて、温度調整部50の上流側にプレ温度調整部52を設けてもよいし、温度調整部50の下流側にアフター温度調整部54を設けてもよい。
【0039】
(画像形成部、仮硬化光源、本硬化光源の説明)
図3は、キャリッジ30(図1参照)上に配置される画像形成部23、仮硬化光源32A,32B、及び本硬化光源34A,34Bの配置例を示す平面透視図である。
【0040】
同図に示す画像形成部23は、インクジェット方式のインクジェットヘッド24Y,24M,24C,24K,24LC,24LMを具備している。インクジェットヘッド24Y,24M,24C,24K,24LC,24LMは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、ライトシアン(LC)、ライトマゼンタ(LM)の各色のインクに対応している。
【0041】
インクジェットヘッド24Y,24M,24C,24K,24LC,24LMは、それぞれインクを吐出するための複数のノズルが並べられたノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LMが設けられている。
【0042】
図3ではノズル列を実線により図示し、ノズルの個別の図示は省略されている。なお、以下の説明では、インクジェットヘッド24Y,24M,24C,24K,24LC,24LMを総称して「インクジェットヘッド24」と呼ぶことがあり、ノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LMを総称して「ノズル列61」と呼ぶことがある。
【0043】
図3に示すように、インクジェットヘッド24Y,24M,24C,24K,24LC,24LM(ノズル列、61Y,61M,61C,61K,61LC,61LM)は、主走査方向に沿って等間隔に配置されている。
【0044】
また、インクジェットヘッド24Y,24M,24C,24K,24LC,24LMのそれぞれに具備されるノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LMは、記録媒体12の搬送方向について二分割されている。
【0045】
同図では、記録媒体12の搬送方向の上流側のノズル群(分割単位)に符号61Y‐1,61M‐1,61C‐1,61K‐1,61LC‐1,61LM‐1が付され、記録媒体12の搬送方向の下流側のノズル群に符号61Y‐2,61M‐2,61C‐2,61K‐2,61LC‐2,61LM‐2が付されている。
【0046】
同図に示す上流側のノズル群61Y‐1,61M‐1,61C‐1,61K‐1,61LC‐1,61LM‐1と下流側のノズル群61Y‐2,61M‐2,61C‐2,61K‐2,61LC‐2,61LM‐2は同一の長さを有し、その長さはノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LMの全長の1/2となっている。
【0047】
さらに、図3に示すインクジェットヘッド24Y,24M,24C,24K,24LC,24LMは、ノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LMの上流側のノズル群61Y‐1,61M‐1,61C‐1,61K‐1,61LC‐1,61LM‐1、及びノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LMの下流側のノズル群61Y‐2,61M‐2,61C‐2,61K‐2,61LC‐2,61LM‐2は、それぞれ独立してインク吐出を制御することが可能となっている。
【0048】
図3に示すように、画像形成部23の一方の端部(図中左端)のインクジェットヘッド24Yの外側に、仮硬化光源32Aが配置されるとともに、画像形成部23の他方の端部(図中右端)インクジェットヘッド24LMの外側に、仮硬化光源32Bが配置されている。
【0049】
仮硬化光源32A,32Bは、ノズル列61の分割に対応して記録媒体12の搬送方向について二分割されている。記録媒体12の搬送方向上流側の照射部(分割単位)は符号32A‐1,32B‐1が付され、記録媒体12の搬送方向下流側の照射部は符号32A‐2,32B‐2が付されている。
【0050】
仮硬化光源32Aの上流側の照射部32A‐1及び仮硬化光源32Bの上流側の照射部32B‐1の照射領域は、ノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LMの上流側のノズル群61Y‐1,61M‐1,61C‐1,61K‐1,61LC‐1,61LM‐1のインク吐出領域(画像形成可能領域)に対応している。
【0051】
また、仮硬化光源32Aの下流側の照射部32A‐2及び仮硬化光源32Bの下流側の照射部32B‐2の照射領域は、ノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LMの下流側のノズル群61Y‐2,61M‐2,61C‐2,61K‐2,61LC‐2,61LM‐2のインク吐出領域(画像形成可能領域)に対応している。
【0052】
仮硬化光源32A,32Bは、照射部ごとに照射光量を制御可能に構成されており、ノズル列61のノズル群ごとにインクの硬化条件を異ならせることが可能である。
【0053】
仮硬化光源32A,32Bは、複数の紫外線LED素子(UV‐LED素子)35が具備されている。図3に示す態様では、仮硬化光源32A,32Bは8つの紫外線LED素子35が記録媒体12の搬送方向に沿って一列に並べられている。
【0054】
また、仮硬化光源32A,32Bにおいて、記録媒体12の搬送方向上流側に配置された4つの紫外線LED素子35は、仮硬化光源32A,32Bの上流側の照射部32A‐1,32B‐1に属し、記録媒体12の搬送方向下流側に配置された4つの紫外線LED素子35は、仮硬化光源32A,32Bの下流側の照射部32A‐2,32B‐2に属している。
【0055】
仮硬化光源32A,32Bの照射部32A‐1,32A‐2,32B‐1,32B‐2ごとに各紫外線LED素子35の照射光量を調整することで、上流側の照射部32A‐1,32B‐1、及び下流側の照射部32A‐2,32B‐2ごとに紫外線の照射光量を可変させることできる。
【0056】
本硬化光源34A,34Bは、仮硬化光源32A,32Bと同様に複数の紫外線LED素子35が具備されている。図3に示す態様では、本硬化光源34A,34Bの紫外線LED素子35は、インクジェットヘッド24の走査方向に沿って一列に並べられている。
【0057】
なお、紫外線LED素子35の配置や数は図3に示す態様に限定されない。例えば、紫外線LED素子35をインクジェットヘッド24の走査方向及び記録媒体12の搬送方向に沿って二次元状に並べる形態も可能である。
【0058】
インク色の種類(色数)や色の組合せについては本実施形態に限定されない。例えば、LC、LMのノズル列を省略する形態、クリアインク(CL)やホワイトインク(W)のノズル列を追加する形態、メタルインクのノズル列を追加する形態、Wのノズル列に代わりメタルインクのノズル列を具備する形態、特別色のインクを吐出するノズル列を追加する形態などが可能である。また、色別のノズル列の配置順序も特に限定はない。
【0059】
図3では、色ごとにインクジェットヘッド24Y,24M,24C,24K,24LC,24LMが具備され画像形成部23を示したが、1つのインクジェットヘッド24に色ごとのノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LMが具備される態様も可能である。
【0060】
例えば、一つのインクジェットヘッド24に主走査方向に沿って等間隔に配置される複数のノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LMが具備される形態がありうる。
【0061】
本例のインクジェットヘッド24は、各ノズル列61を構成するノズルの配置ピッチ(ノズルピッチ)が254μm(100dpi)、1列のノズル列61を構成するノズルの数は256ノズル、ノズル列61の全長Lw(ノズル列の全長)は約65mm(254μm×255=64.8mm)である。また、吐出周波数は15kHzであり、駆動波形の変更によって10pl、20pl、30plの3種類の吐出液滴量を打ち分けることができる。
【0062】
インクジェットヘッド24のインク吐出方式としては、圧電素子(ピエゾアクチュエータ)の変形によってインク滴を飛ばす方式(ピエゾジェット方式)が採用されている。吐出エネルギー発生素子として、静電アクチュエータを用いる形態(静電アクチュエータ方式)の他、ヒータなどの発熱体(加熱素子)を用いてインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばす形態(サーマルジェット方式)を採用することも可能である。
【0063】
ただし、紫外線硬化型インクは、一般に溶剤インクと比べて高粘度であるため、紫外線硬化型インクを使用する場合には、吐出力が比較的大きなピエゾジェット方式を採用することが好ましい。
【0064】
(作画モードの説明)
本例に示すインクジェット記録装置10は、マルチパス方式の描画制御が適用され、印字パス数の変更によって印字解像度を変更することが可能である。例えば、高生産モード、標準モード、高画質モードの3種類の作画モードが用意され、各モードでそれぞれ印字解像度が異なる。印刷目的や用途に応じて作画モードが選択される。
【0065】
高生産モードでは、600dpi(主走査方向)×400dpi(副走査方向)の解像度で印字が実行される。高生産モードの場合、主走査方向は2パス(2回の走査)によって600dpiの解像度が実現される。
【0066】
1回目の走査(キャリッジ30の往路)では300dpiの解像度でドットが形成される。2回目の走査(復路)では1回目の走査(往路)で形成されたドットの中間を300dpiで補間するようにドットが形成され、主走査方向について600dpiの解像度が得られる。
【0067】
一方、副走査方向については、ノズルピッチが100dpiであり、1回の主走査(1パス)により副走査方向に100dpiの解像度でドットが形成される。したがって、4パス印字(4回の走査)により補間印字を行うことで400dpiの解像度が実現される。
【0068】
標準モードでは、600dpi×800dpiの解像度で印字が実行され、主走査方向は2パス印字、副走査は8パス印字により600dpi×800dpiの解像度を得ている。
【0069】
高画質モードでは、1200×1200dpiの解像度で印字が実行され、主走査方向は4パス、副走査方向が12パスにより1200dpi×1200dpiの解像度を得ている。なお、高生産モードのキャリッジ30の主走査速度は、1270mm/secである。
【0070】
(インク供給系の説明)
図4は、インクジェット記録装置10のインク供給系の構成を示すブロック図である。同図に示すように、インクカートリッジ36に収容されているインクは、供給ポンプ70によって吸引され、サブタンク72を介してインクジェットヘッド24に送られる。
【0071】
サブタンク72には、内部のインクの圧力を調整するための圧力調整部74が設けられている。
【0072】
圧力調整部74は、バルブ76を介してサブタンク72と連通される加減圧用ポンプ77と、バルブ76と加減圧用ポンプ77との間に設けられる圧力計78と、を具備している。
【0073】
通常の印字時は、加減圧用ポンプ77がサブタンク72内のインクを吸引する方向に動作し、サブタンク72の内部圧力及びインクジェットヘッド24の内部圧力が負圧に維持される。一方、インクジェットヘッド24のメンテナンス時は、加減圧用ポンプ77がサブタンク72内のインクを加圧する方向に動作し、サブタンク72の内部及びインクジェットヘッド24の内部が強制的に加圧され、インクジェットヘッド24内のインクがノズルを介して排出される。インクジェットヘッド24から強制的に排出されたインクは、上述したキャップ(図示せず)のインク受けに収容される。
【0074】
(制御系の説明)
図5は、インクジェット記録装置10の制御系の概略構成を示すブロック図である。同図に示すように、インクジェット記録装置10は、装置全体を統括的に制御する手段としての制御部(制御装置)102が設けられている。
【0075】
制御部102としては、例えば、中央演算処理装置(CPU)を備えたコンピュータ等を用いることができる。制御部102は、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置10の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置としても機能する。
【0076】
制御部102には、記録媒体搬送制御部104、キャリッジ駆動制御部106、光源制御部108、画像処理部110、吐出制御部112が含まれる。これらの各部は、ハードウエア回路又はソフトウエア、若しくはこれらの組合せによって実現される。
【0077】
記録媒体搬送制御部104は、記録媒体12(図1参照)の搬送を行うための搬送駆動部114を制御する。搬送駆動部114は、図2に示すニップローラ40を駆動する駆動用モータ、及びその駆動回路が含まれる。
【0078】
プラテン26(図1参照)上に搬送された記録媒体12は、インクジェットヘッド24による主走査方向の往復走査(印刷パスの動き)に合わせて、スワス幅単位で副走査方向へ間欠送りされる。
【0079】
図5に示すキャリッジ駆動制御部106は、キャリッジ30(図1参照)を主走査方向に移動させるための主走査駆動部116を制御する。主走査駆動部116は、キャリッジ30の移動機構に連結される駆動用モータ、及びその制御回路が含まれる。
【0080】
光源制御部108は、光源駆動回路118を介して仮硬化光源32A,32Bの紫外線LED素子35(図3参照)の発光を制御するとともに、光源駆動回路119を介して本硬化光源34A,34Bの紫外線LED素子35の発光を制御する。
【0081】
光源制御部108による紫外線LED素子35の発光制御として、紫外線LED素子35に供給される電流値を可変させる電流値制御、紫外線LED素子35に印加される電圧(パルス電圧)のデューティを変えるパルス幅変調制御、紫外線LED素子35のオンオフ制御などが挙げられる。
【0082】
仮硬化光源32A,32B及び本硬化光源34A,34Bの発光素子として、紫外線LED素子35(図3参照)以外にも、メタルハライドランプ等のUVランプを適用することができる。
【0083】
制御部102は、操作パネル等の入力装置122、表示装置120が接続されている。入力装置122は、手動による外部操作信号を制御部102へ入力する手段であり、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、操作ボタンなど各種形態を採用しうる。
【0084】
表示装置120には、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、CRTなど、各種形態を採用し得る。オペレータは、入力装置122を操作することにより、作画モードの選択、印刷条件の入力や付属情報の入力・編集などを行うことができ、入力内容や検索結果等の各種情報は、表示装置120の表示を通じて確認することができる。
【0085】
また、インクジェット記録装置10には、各種情報を格納しておく情報記憶部124と、印刷用の画像データを取り込むための画像入力インターフェース126が設けられている。画像入力インターフェースには、シリアルインターフェースを適用してもよいし、パラレルインターフェースを適用してもよい。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。
【0086】
画像入力インターフェース126を介して入力された画像データは、画像処理部110にて印刷用のデータ(ドットデータ)に変換される。ドットデータは、一般に、多階調の画像データに対して色変換処理、ハーフトーン処理を行って生成される。
【0087】
色変換処理は、sRGBなどで表現された画像データ(例えば、RGB各色について8ビットの画像データ)をインクジェット記録装置100で使用するインク各色の色データに変換する処理である。
【0088】
ハーフトーン処理は、色変換処理により生成された各色の色データに対して、誤差拡散法や閾値マトリクス等の処理で各色のドットデータに変換する処理である。ハーフトーン処理の手段としては、誤差拡散法、ディザ法、閾値マトリクス法、濃度パターン法など、各種公知の手段を適用できる。
【0089】
ハーフトーン処理は、一般に三以上の階調値を有する階調画像データを元の階調値未満の階調値を有する階調画像データに変換する。最も簡単な例では、二値(ドットのオンオフ)のドット画像データに変換するが、ハーフトーン処理において、ドットサイズの種類(例えば、大ドット、中ドット、小ドットなどの三種類)に対応した多値の量子化を行うことも可能である。
【0090】
こうして得られた二値又は多値の画像データ(ドットデータ)は、各ノズルの駆動(オン)/非駆動(オフ)、さらに、多値の場合には液滴量(ドットサイズ)を制御するインク吐出データ(打滴制御データ)として利用される。
【0091】
吐出制御部112は、画像処理部110において生成されたドットデータに基づいて、ヘッド駆動回路128に対して吐出制御信号を生成する。また、吐出制御部112は、不図示の駆動波形生成部を備えている。
【0092】
駆動波形生成部は、インクジェットヘッド24の各ノズルに対応した吐出エネルギー発生素子(本例では、ピエゾ素子)を駆動するための駆動電圧信号を生成する手段である。駆動電圧信号の波形データは、予め情報記憶部124に格納されており、必要に応じて使用する波形データが出力される。
【0093】
駆動波形生成部から出力された信号(駆動波形)は、ヘッド駆動回路128に供給される。なお、駆動波形生成部から出力される信号はデジタル波形データであってもよいし、アナログ電圧信号であってもよい。
【0094】
ヘッド駆動回路128を介してインクジェットヘッド24の各吐出エネルギー発生素子に対して、共通の駆動電圧信号が印加され、各ノズルの吐出タイミングに応じて各エネルギー発生素子の個別電極に接続されたスイッチ素子(不図示)のオンオフを切り換えることで、対応するノズルからインクが吐出される。
【0095】
情報記憶部124は、制御部102のCPUが実行するプログラム、及び制御に必要な各種データなどが格納されている。情報記憶部124は、作画モードに応じた解像度の設定情報、パス数(スキャンの繰り返し数)、仮硬化光源32A,32B及び本硬化光源34A,34Bの制御情報などが格納されている。
【0096】
エンコーダ130は、主走査駆動部116の駆動用モータ、及び搬送駆動部114の駆動用モータに取り付けられており、該駆動モータの回転量及び回転速度に応じたパルス信号を出力し、該パルス信号は制御部102に送られる。エンコーダ130から出力されたパルス信号に基づいて、キャリッジ30の位置、及び記録媒体12の位置が把握される。
【0097】
センサ132は、装置各部の設けられた位置検出センサ、温度センサ、圧力センサなどのセンサ類が含まれる。例えば、キャリッジ30に取り付けられた記録媒体12の幅や位置を把握するセンサや、プラテン26(図1参照)の温度を検出する温度センサなどが挙げられる。
【0098】
なお、図示は省略するが、インクジェット記録装置10は、図4の供給ポンプ70、加減圧用ポンプ77等のポンプの動作を制御するポンプ制御部と、バルブ76等のバルブの動作を制御するバルブ制御部と、を備えている。
【0099】
ポンプ制御部は、制御部102から送出される制御信号に基づいて、供給ポンプ70、加減圧用ポンプ77のオンオフ、回転数、回転方向を示す指令信号を送出する。
【0100】
また、バブル制御部は、制御部102から送出される制御信号に基づいて、バルブ76のオンオフを示す指令信号を送出する。
【0101】
(画像形成方法の説明)
次に、本例に示すインクジェット記録装置10に適用される画像形成方法について説明する。図6は、本例に示すインクジェット記録装置10により形成された画像200を模式的に図示した説明図である。
【0102】
本例に示すインクジェット記録装置10は、仮硬化光源32A,32Bから照射される照射光量を照射部32A‐1,32A‐2,32B‐1,32B‐2ごとに可変させて、該照射部32A‐1,32A‐2,32B‐1,32B‐2に対応する照射領域ごとにインクの硬化状態を異ならせている。
【0103】
図6に示す画像200は、略中央部のマット調テクスチャ202と周辺部のグロス調テクスチャ204とを含んでいる。ノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LMの上流側のノズル群61Y‐1,61M‐1,61C‐1,61K‐1,61LC‐1,61LM‐1からマット調テクスチャ202が形成される部分に吐出させた各色インクは、仮硬化光源32A,32Bの上流側の照射部32A‐1、32B‐1から高光量の紫外線が照射される。
【0104】
高光量の紫外線が照射されたインクは、着弾干渉が防止されつつ、ドット展開がされにくいゲル状に硬化する。すなわち、記録媒体12に着弾した直後からインクに対して高光量の紫外線が照射されると、該インク(ドット)は十分に広げられる前に仮硬化する。
【0105】
また、ノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LMの下流側のノズル群61Y‐2,61M‐2,61C‐2,61K‐2,61LC‐2,61LM‐2からグロス調テクスチャ204が形成される部分に吐出させたインクは、仮硬化光源32A,32Bの下流側の照射部32A‐2、32B‐2から低光量の紫外線が照射される。
【0106】
低光量の紫外線が照射されたインクは、着弾干渉が防止されつつもドット展開が可能なゲル状に硬化する。すなわち、記録媒体12に着弾した直後からインクに対して低光量の紫外線が照射されると、該インク(ドット)は十分に広げられて仮硬化する。
【0107】
図7(a)は、高光量の紫外線が照射されて硬化したインク(ドット)206を模式的に図示した説明図である。同図に示すインク206は、十分にドット展開がされずにパイルハイトが立った状態で硬化している。
【0108】
かかる状態のインク206により構成される画像(図6のマット調テクスチャ202)は、いわゆるマット調と呼ばれる光沢感が少ない(表面の粗さが粗い)テクスチャとなる。
【0109】
図7(b)は、低光量の紫外線が照射されて硬化したインク(ドット)208を模式的に図示した説明図である。同図に示すインク208は、十分にドット展開がされてパイルハイトが低減化された状態で硬化している。
【0110】
かかる状態のインク208により構成される画像(図6のグロス調テクスチャ204)は、いわゆるグロス調と呼ばれる光沢感が大きい(表面の粗さが細かい)テクスチャとなる。
【0111】
本例に示すインクジェット記録装置10は、図3に示すように、ノズル列61及び仮硬化光源32A,32Bが記録媒体12の搬送方向について分割され、上流側の照射部はマット調の画像を形成し、下流側の照射部はグロス調の画像を形成する。
【0112】
上述した画像形成方法は、以下のステップ1からステップ3を含んでいる。
【0113】
<ステップ1>
記録媒体12におけるマット調テクスチャ202が形成される領域が、インクジェットヘッド24Y,24M,24C,24K,24LC,24LM(ノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LM)の上流側のノズル群61Y‐1,61M‐1,61C‐1,61K‐1,61LC‐1,61LM‐1の直下に到達すると、上流側のノズル群61Y‐1,61M‐1,61C‐1,61K‐1,61LC‐1,61LM‐1からカラーインクが吐出され、記録媒体12に着弾した直後からカラーインクに対して仮硬化光源32A,32Bの上流側の照射部32A‐1,32B‐1から高光量の紫外線が照射され、マット調テクスチャ202が形成される。
【0114】
<ステップ2>
また、記録媒体12におけるグロス調テクスチャ204が形成される領域が、インクジェットヘッド24Y,24M,24C,24K,24LC,24LM(ノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LM)の下流側のノズル群61Y‐2,61M‐2,61C‐2,61K‐2,61LC‐2,61LM‐2の直下に到達すると、下流側のノズル群61Y‐2,61M‐2,61C‐2,61K‐2,61LC‐2,61LM‐2からカラーインクが吐出され、記録媒体12に着弾した直後から該インクに対して仮硬化光源32A,32Bの下流側の照射部32A‐2,32B‐2から高光量の紫外線が照射され、グロス調テクスチャ204が形成される。
【0115】
<ステップ3>
画像形成部23の画像形成領域を抜け出した記録媒体12は、記録媒体12の搬送方向下流側に設けられた本硬化光源34A,34Bから、仮硬化光源32A,32Bの下流側の照射部32A‐2,32B‐2よりもさらに高光量の紫外線が照射され、ドットの広がりを停止させるとともに、膜質を硬化させる完全硬化処理が施される。
【0116】
このようにして、上記ステップ1からステップ3の各工程を経て、記録媒体12を逆方向へ戻すことなく、シングルパス方式により一つの画像の中にマット調テクスチャ202とグロス調テクスチャ204とを混在させた画像200が形成される。
【0117】
ここで、仮硬化処理における低光量とは、2ミリジュール毎平方センチメートル以上、4ミリジュール毎平方センチメートル以下であり、仮硬化処理における高光量とは、8ミリジュール毎平方センチメートル以上、10ミリジュール毎平方センチメートル以下である。
【0118】
換言すると、仮硬化における低光量に対する高光量の比は、2倍以上5倍以下であることが好ましい。
【0119】
さらに、本硬化処理における照射光量は、150ミリジュール毎平方センチメートル以上300ミリジュール毎平方センチメートル以下であり、仮硬化処理の高光量に対して15倍以上150倍以下である。なお、紫外線の照射光量は使用されるインクの組成に応じて適宜変更される。
【0120】
上記の如く構成されたインクジェット記録装置によれば、記録媒体12を一方向に搬送しながら逆方向に戻すことなく画像形成を行うシングルパス方式により、マット調テクスチャ202及びグロス調テクスチャ204を同一の画像200内に形成することができるので、グロス調とマット調の再現領域が拡大される。
【0121】
また、記録媒体12を巻き戻さないために、マット調テクスチャとグロス調テクスチャが混在する画像を形成する場合にも画像形成時間を短縮させることができ、さらに、マット調テクスチャ202とグロス調テクスチャ204との間に位置ずれが発生しない。
【0122】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係るインクジェット記録装置及び画像形成方法について説明する。なお、以下の説明において、先に説明した第1実施形態と同一又は類似する部分には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0123】
(印字部の構成)
図8は、本例に示すインクジェット記録装置の印字部223の概略構成を示す平面透視図である。同図に示す印字部223は、図3に図示した画像形成部23に対して、クリアインク(CL)に対応するインクジェットヘッド24CLが追加されている。
【0124】
なお、図8に示すように、ホワイトインク(W)に対応するインクジェットヘッド24Wを追加してもよい。
【0125】
インクジェットヘッド24CLは、ライトマゼンタ(LM)に対応するインクジェットヘッド24LMの外側に配置される。また、インクジェットヘッド24Wを追加する態様では、インクジェットヘッド24Wはインクジェットヘッド24CLのさらに外側に配置される。
【0126】
インクジェットヘッド24Y,24M,24C,24K,24LC,24LMのノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LMは記録媒体12の搬送方向について二分割されており、同方向上流側の端からノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LMの全長の1/3の長さを有する上流側のノズル群61Y‐1,61M‐1,61C‐1,61K‐1,61LC‐1,61LM‐1と、同方向下流側の端からノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LMの全長の2/3の長さを有する下流側のノズル群61Y‐2,61M‐2,61C‐2,61K‐2,61LC‐2,61LM‐2に分割されている。
【0127】
また、インクジェットヘッド24CLは、記録媒体12の搬送方向について三分割されている。すなわち、インクジェットヘッド24CLに具備されるノズル列61CLは、同方向上流側の端からノズル列61CLの全長の1/3を有する上流側のノズル群61CL‐1と、同方向に中央部を含みノズル列61CLの全長の1/3を有する中間のノズル群61CL‐2と、同方向下流側の端からノズル列61CLの全長の1/3を有する下流側のノズル群61CL‐3と、を有している。
【0128】
カラーインクに対応するノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LMの上流側のノズル群61Y‐1,61M‐1,61C‐1,61K‐1,61LC‐1,61LM‐1はカラー画像を形成するノズル列として機能する。
【0129】
また、クリアインクに対応するノズル列61CLの中間のノズル群61CL‐2及び下流側のノズル群61CL‐3は、カラー画像に積層されたクリアインク層を形成するノズル列として機能する。
【0130】
さらに、クリアインクに対応するノズル列61CLの中間のノズル群61CL‐2は、クリアインクによるマット調テクスチャを形成し、下流側のノズル群61CL‐3は、グロス調テクスチャを形成する。
【0131】
ホワイトインクに対応するノズル列61Wは、カラー画像の下地層(ホワイト層)を形成するノズル列として機能する。例えば、透明や半透明の媒体が用いられる場合にホワイトインクからなる下地層が形成される。
【0132】
仮硬化光源232A,232Bは、クリアインクのノズル列61CLに対応して記録媒体12の搬送方向について三分割され、各照射部の照射領域の同方向における長さは、同一(仮硬化光源232A,232Bの照射領域の同方向における長さの1/3)となっている。
【0133】
すなわち、仮硬化光源232A,232Bは、上流側のノズル群232A‐1,232B‐1、中間のノズル群232A‐2,232B‐2、下流側のノズル群232A‐3,232B‐3を有している。
【0134】
仮硬化光源232A,232Bは、照射部ごとに紫外線の照射光量が制御され、上流側のノズル群232A‐1,232B‐1は、カラーインクにより形成された画像に低光量の紫外線を照射する紫外線光源として機能する。
【0135】
また、中間のノズル群232A‐2,232B‐2は、クリアインクのマット調テクスチャを形成する際に、該クリアインクに高光量の紫外線を照射する紫外線光源として機能し、下流側のノズル群232A‐3,232B‐3は、クリアインクのグロス調テクスチャを形成する際に、該クリアインクに低光量の紫外線を照射する紫外線光源として機能する。
【0136】
(画像形成方法の説明)
図9は、図8に図示した印字部223を用いて形成されたカラー画像を模式的に図示した説明図である。同図に示すカラー画像240は、カラー画像層242にクリアインク層244が積層された構造を有し、さらに、クリアインク層244はマット調テクスチャ246とグロス調テクスチャ248とを含んでいる。
【0137】
図9に示すカラー画像240は、以下に説明するステップ11からステップ14を経て形成される。
【0138】
<ステップ11>
インクジェットヘッド24Y,24M,24C,24K,24LC,24LMのそれぞれに具備されるノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LMのうち、上流側のノズル群61Y‐1,61M‐1,61C‐1,61K‐1,61LC‐1,61LM‐1から各色のインクを吐出させる。
【0139】
記録媒体12に着弾したカラーインクは、着弾直後から仮硬化光源232A,232Bの上流側のノズル群232A‐1,232B‐1から低光量(例えば、2ミリジュール毎平方センチメートル以上4ミリジュール毎平方センチメートル以下)の紫外線が照射され、着弾干渉を回避しうるゲル状態に硬化させる。
【0140】
<ステップ12>
次に、インクジェットヘッド24CLに具備されるノズル列61CLの中間のノズル群61CL‐2からマット調テクスチャ付与エリアに対してクリアインクを吐出させる。記録媒体12に着弾したマット調テクスチャ用のクリアインクは、着弾直後から仮硬化光源232A,232Bの中間のノズル群232A‐2,232B‐2から高光量(例えば、8ミリジュール毎平方センチメートル以上10ミリジュール毎平方センチメートル以下)の紫外線が照射され、クリアインクが十分に広がる前に硬化させる。
【0141】
<ステップ13>
インクジェットヘッド24CLに具備されるノズル列61CLの下流側のノズル群61CL‐3からグロス調テクスチャ付与エリアに対してクリアインクを吐出させる。記録媒体12に着弾したグロス調テクスチャ用のクリアインクは、着弾直後から仮硬化光源232A,232Bの下流側のノズル群232A‐3,232B‐3から低光量(例えば、2ミリジュール毎平方センチメートル以上4ミリジュール毎平方センチメートル以下)の紫外線が照射され、十分に広がる状態(パイルハイトが低減化される状態)に硬化させる。
【0142】
なお、ハイグロステクスチャを形成する場合は、仮硬化光源232A,232Bの下流側のノズル群232A‐3,232B‐3をオフして、記録媒体12に着弾したハイグロス調テクスチャ用のクリアインクには紫外線が照射されない。
【0143】
<ステップ14>
ノズル列61CLの下流側のノズル群61CL‐3から吐出されたクリアインクが十分に広げられた後に、印字部223の記録媒体12の搬送方向下流側に配置された本硬化光源34A,34Bから高光量(例えば、150ミリジュール毎平方センチメートル以上300ミリジュール毎平方センチメートル以下)の紫外線が照射され、カラー画像層242及びクリアインク層244を完全に硬化させる。
【0144】
上記のステップ11からステップ14を経て、図9に示す光沢再現領域が拡大されたカラー画像240が形成される。
【0145】
上記の如く構成されたインクジェット記録装置及び画像形成方法によれば、カラー画像層242の上にクリアインク層244が積層され、クリアインク層244にマット調テクスチャ246及びグロス調テクスチャ248が形成されることで、カラー画像240の光沢性を制御しうる。
【0146】
(変形例)
次に、第2実施形態に係るインクジェット記録装置の変形例について説明する。図10は、本変形例に係る印字部223’の概略構成を示す平面透視図である。
【0147】
同図に示す印字部223’は、カラーインクに対応するインクジェットヘッド24Y,24M,24C,24K,24LC,24LMに具備されるノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LMは、記録媒体12の搬送方向について分割されていない。
【0148】
一方、クリアインクに対応するインクジェットヘッド24CLに具備されるノズル列61CLは、同方向について二分割されている。インクジェットヘッド24CLは、上流側のノズル群61CL‐1と下流側のノズル群61CL‐2は個別にインク吐出が制御される。
【0149】
仮硬化光源232A,232Bは、インクジェットヘッド24CLのノズル列61CLに対応して、記録媒体12の搬送方向について二分割されており、上流側のノズル群232A‐1,232B‐1と下流側のノズル群232A‐1,232B‐1は、個別に紫外線の照射光量を制御することができる。
【0150】
図10に示す印字部223’は、上述したステップ12,ステップ13に代わり以下のステップ12’,ステップ13’を適用することで、図9に図示したカラー画像240を形成することができる。
【0151】
<ステップ12’>
カラー画像層242が形成された記録媒体12は、クリアインクに対応するインクジェットヘッド24CLの吐出開始位置まで戻され、再度、記録媒体12の搬送方向へ搬送される。
【0152】
クリアインクに対応するノズル列61CLの上流側のノズル群61CL‐1から吐出させたクリアインクは、記録媒体12に着弾した直後から仮硬化光源232A,232Bの上流側のノズル群232A‐1,232B‐1により高光量(例えば、8ミリジュール毎平方センチメートル以上10ミリジュール毎平方センチメートル以下)の紫外線が照射され、該クリアインクが十分に広がる前に硬化させる。
【0153】
<ステップ13’>
クリアインクに対応するノズル列61CLの下流側のノズル群61CL‐2から吐出させたクリアインクは、記録媒体12に着弾した直後から仮硬化光源232A,232Bの下流側のノズル群232A‐2,232B‐2により低光量(例えば、2ミリジュール毎平方センチメートル以上4ミリジュール毎平方センチメートル以下)の紫外線が照射され、該クリアインクが十分に広がる前に硬化させる。
【0154】
上記のように、ステップ11、ステップ12’、ステップ13’ステップ14を経て、図9に示す光沢再現領域が拡大されたカラー画像240を形成することが可能である。
【0155】
かかる変形例によれば、カラーインクに対応するノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LMは分割されていないので、図8に図示された態様と比較して、一回の印字部223’の走査により画像を形成することができる領域が3倍に拡大されるとともに吐出周波数を上げることができるので、トータルの画像形成時間が短縮される。
【0156】
(参考例)
本参考例では、シリアル方式のインクジェットヘッドが具備されるインクジェット記録装置における、一般的な画像形成方法について説明する。
【0157】
図11は、本参考例に係る画像形成部23’の概略構成を示す平面透視図である。同図に示す画像形成部23’は、ノズル列61及び仮硬化光源32A,32Bが、記録媒体12の搬送方向について分割されていない。
【0158】
すなわち、カラーインクに対応するインクジェットヘッド24Y,24M,24C,24K,24LC,24LMに具備されるノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LMから、各色のインクが吐出されてカラー画像が形成される。
【0159】
また、記録媒体12に着弾したカラーインクは、仮硬化光源32A,32Bから低光量(例えば、2ミリジュール毎平方センチメートル以上4ミリジュール毎平方センチメートル以下)の紫外線が照射され、着弾干渉を回避可能なゲル状態に硬化させる。
【0160】
その後、本硬化までの時間を十分にとり、記録媒体への浸透、ドットの広がり (パイルハイトの低減化)を促進し、光沢性の改善、記録媒体12へのカラーインクの密着性が改善される。
【0161】
ドットが十分に広げられた後に、画像形成部23’の記録媒体12の搬送方向下流側に位置する本硬化光源34A,34Bから高光量(例えば、150ミリジュール毎平方センチメートル以上300ミリジュール毎平方センチメートル以下)の紫外線が照射され、該ドットを本硬化させる。
【0162】
かかる本硬化処理によって、光沢性及びカラーインクの記録媒体12への密着性改善と膜質硬化との両立がされる。
【0163】
図12は、図11に示す画像形成部23’を用いて形成されたカラー画像300を模式的に図示した説明図である。
【0164】
〔仮硬化光源の変形例〕
(構成例1)
図13は、仮硬化光源410の構成例(変形例)を示す斜視図である。同図に示すように、本例の仮硬化光源410は、略直方体の箱形状を成す。仮硬化光源410は、アルミ製のハウジング(囲い)412の中に、紫外線LED素子414が納められ、該ハウジング412の底面部に透過型の光拡散板416が配置された構造を有する。紫外線LED素子414が実装された配線基板420は、LED実装面を光拡散板416の方に向けた状態でハウジング412の上部に配置される。
【0165】
配線基板420に実装される紫外線LED素子414の個数については、必要なUV照射幅とコストの観点から、なるべく少ない数とすることが好ましい。本例では、配線基板420上に2個の紫外線LED素子414が配置されている。図3で説明したインクジェットヘッド24の記録媒体12の搬送方向に沿ったノズル列61の全長Lwに対して一度にUV照射を行うことができるUV照射幅を得るために、2個の紫外線LED素子414は、記録媒体搬送方向に並んで配置されている。
【0166】
これら複数個(ここでは2個)の紫外線LED素子414がX方向に並んだLED素子列の長さ(LED素子列の幅)Luは、インクジェットヘッド24のノズル列61の全長Lwよりも短いものとなっている(Lu<Lw)。
【0167】
配線基板420には放熱性・耐熱性が強化されたメタル基板が用いられている。メタル基板の詳細な構造は図示しないが、アルミや銅などのメタル板の上に絶縁層が形成され、該絶縁層の上に紫外線LED素子414及びLED駆動用の配線回路(アノード配線、カソード配線)等が形成されている。なお、ベースメタル上に回路が形成されたメタルベース基板を用いてもよいし、基板内部にメタル板が埋め込まれたメタルコア基板を用いてもよい。
【0168】
また、配線基板420におけるLED実装面の紫外線LED素子414の周囲には、UV耐性のある高反射率の白色レジスト処理が施されている。この白色レジスト層(不図示)により、配線基板420の表面で紫外線を反射・散乱させることができ、紫外線LED素子414が発生する光を効率良く仮硬化用のUV照射に利用することができる。
【0169】
光拡散板416は、紫外線LED素子414から発せられた光を透過しつつ拡散させる光学材料で形成された乳白色板である。例えば、光拡散板416は、白色顔料(光拡散性物質)を分散した白色アクリル板が用いられる。
【0170】
白色アクリル板に限らず、ガラスなど透明な材料中に光拡散用の微粒子を分散混入させて形成した光学部材を使用することもできる。光拡散物質(白色顔料等)の含有量を変えることによって透過率や拡散特性が異なる光拡散板が得られる。
【0171】
なお、透過型の光拡散板として、光を拡散させる手段は、このアクリル樹脂にシリカ粉体を分散させる手段に限らず、溶融石英からなる基板の表面をフロスト処理、曇りガラス処理、スリガラス処理することによっても容易に実現することができる。
【0172】
図14のような拡散特性を持つ光拡散板416は、配線基板420のLED実装面に対向して、ハウジング412の下部に配置される。図13において光拡散板416の下面は、記録媒体に対面する光出射面417である。光拡散板416で拡散させた光は、光出射面417から記録媒体の上にインクジェットヘッド24のノズル列幅Lw以上の光照射幅で照射される。
【0173】
光拡散板416の上面、すなわち、光拡散板416の光出射面417と反対側の面(紫外線LED素子414に対面する側の面)は、当該光拡散板416への光入射面418となっている。光拡散板416の光入射面418には、紫外線LED素子414と対向する位置に、紫外線LED素子414の直射光を反射散乱させるためのミラー432(反射部)がコートされている。
【0174】
紫外線LED素子414とミラー432は、ハウジング412内で互いに向かい合うように、対応する位置関係で配置される。
【0175】
仮硬化光源410のハウジング412は、アルミの板金(処理無し)で構成されており、当該ハウジング412の内周面は、側面反射板として機能する。なお、ハウジング412の内周面に反射率を高める研磨処理や白色塗装などを施してもよい。
【0176】
このような構成からなる仮硬化光源410によれば、紫外線LED素子414から発せられた光は、光拡散板416のミラー432で反射・散乱し、ミラー432及びハウジング412の内周面(側面反射板)並びに配線基板420の白色レジスト層等で反射・散乱しながら、光拡散板416に進入する。
【0177】
光拡散板416の光入射面418から進入した光は、光拡散板416を通って拡散され、光出射面417から記録媒体に向けて照射される。
【0178】
図15及び図16は、仮硬化光源410から照射される紫外線の照度分布を示すグラフである。図15は記録媒体上におけるX方向の照度分布を示し、図16は記録媒体上におけるY方向の照度分布を示す。
【0179】
本実施形態に係る仮硬化光源410の光出射面417は、X方向の幅が約70mm、Y方向の幅が約12mmである。図15、図16に示したように、光拡散板416を通過した光は概ね一様な照度分布に拡散されて照射される。
【0180】
本例の仮硬化光源410によれば、少ない個数(ここでは2個)の紫外線LED素子414を用いた構成(Lu<Lw)でありながら、ノズル列61の全長Lw以上の長さの光照射幅が実現されている。
【0181】
本実施形態によれば、少ない個数のUV‐LED素子を用いて、仮硬化に好適なノズル列幅以上の光照射幅を持つ照度分布を効率よく生成することができる。
【0182】
〔シングリング走査によるスワス幅について〕
ワイドフォーマット機の作画モードでは、解像度設定毎に、それぞれシングリング(インターレス)する作画条件が決定されている。具体的には、インクジェットヘッドの吐出ノズル列の幅Lwをパス数(スキャン繰り返し回数)だけ分割してシングリング作画するので、インクジェットヘッドのノズル列幅、並びに、主走査方向及び副走査方向のパス数(インターレースする分割数)によってスワス幅が異なる。
【0183】
なお、マルチパス方式によるシングリング作画の詳細については、例えば、特開2004−306617号公報に説明されている。
【0184】
一例として、FUJIFILM Dimatix社製のQS-10ヘッドを用いた場合のシングリング作画によるパス数とスワス幅の関係は下表(表1)の様になる。作画によって想定されるスワス幅は使用するノズル列幅を主走査方向パス数と副走査方向パス数の積で分割した値となる。
【0185】
【表1】
【0186】
(構成例2)
既に説明したとおり、シングリング走査でノズル列から打滴しながら、紫外線露光する印字方式の場合、1スワス内に積算露光回数の多いインク滴と少ないインク滴とが存在する。露光回数の違いによる総露光量のばらつきを改善する観点から、仮硬化光源の照度分布を改良し、メディア搬送方向に対して、ノズル列の下流側ほど照度が高くなるような照度分布を付けることが好ましい。
【0187】
図17は、そのような照度分布を実現する仮硬化光源450の構成例である。図17において、先に説明した仮硬化光源410の構成と同一又は類似する要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0188】
図17に示した仮硬化光源450は、光拡散板416の光出射面417に、帯状の反射部(反射ミラー)452がミラーコートにより形成されている。反射ミラー452の帯は、メディア搬送方向の下流側ほど、照度が高まるような分布で配置されている。
【0189】
反射ミラー452の帯は、メディア搬送方向の上流側ほど幅(X方向幅)が広く、下流側に行くにつれて次第に細くなっている。反射ミラー452の部分は光が透過せず、反射ミラー452の無い部分(符号454)から光が照射される。
【0190】
すなわち、光拡散板416の光出射面417に到達した光のうち、反射ミラー452の部分に到達した光は、当該反射ミラー452によって反射され光拡散板416の中に戻る。一方、光拡散板416の光出射面417に到達した光のうち、反射ミラー452が無い部分(反射ミラー452の帯と帯の間の光通過部454)に到達した光は、その光通過部454から光拡散板416の外へ抜けてくる。
【0191】
光拡散板416の光出射面417における反射ミラー452の帯は、目的の照度分布が得られるように、ある多項式に基づいて、帯幅の変化のさせ方が設計される。反射ミラー452がコートされていない光通過部454の幅(X方向幅)は、メディア搬送方向の下流側ほど広くなっており、下流側ほど照度が増す照度分布が実現される。
【0192】
図18は、図17で説明した仮硬化光源450の記録媒体12の搬送方向(X方向)についての照度分布を示したグラフであり、図19は、画像形成部23の走査方向(Y方向)についての照射分布断面を示す。これらは、メディア面上の照射領域の中心線(Y方向中心線、X方向中心線)上での分布を示すものである。図18に示すように、メディア搬送方向の下流側ほど照度が増す分布となっている。
【0193】
このような仮硬化光源の光量調整、照度分布調整を可能にするため、仮硬化光源の光拡散板416を交換可能な構成とする。拡散透過率や光出射面417における反射ミラー452の分布を異ならせた複数種類の光拡散板416を予め準備しておき、使用する記録媒体や作画モードに応じて、光拡散板416を差し替える。
【0194】
例えば、使用する記録媒体の表面反射率が高いものほど、透過率の低い光拡散板が用いられる。また、作画モードごとに、適切な照度分布を実現する反射ミラー452の分布が設けられた光拡散板が予め用意されており、印刷時の作画モードに応じてオペレータ(プリンタ操作者)が、対応する光拡散板に差し替える作業を行う。
【0195】
光拡散板416の付け替え作業を容易にするために、ハウジング412の下部に光拡散板416を着脱自在に取り付ける取付構造が設けられる。具体的には、例えば、ハウジング412の光拡散板取付部に、光拡散板416の縁部を支持する溝を形成しておき、その溝に沿って光拡散板416を挿入して光拡散板416をセットする。
【0196】
光拡散板416を交換する場合には、セットされている光拡散板416を引き抜いて、別の光拡散板を再挿入する。このような抜き差し式の取付構造に限らず、爪の係合を利用して着脱する構造や、凹凸の嵌合を利用して着脱する構造など、様々な取付構造を採用し得る。
【0197】
また、光拡散板のみを差し替える構成に代えて、光拡散板を含む仮硬化光源ごと付け替える構成も可能である。この場合、使用する記録媒体や作画モードに応じた複数種類の仮硬化光源が予め用意されており、使用する記録媒体の種類や印刷時の作画モードに応じてオペレータ(プリンタ操作者)が、対応する仮硬化光源に付け替える作業を行う。
【0198】
光拡散板、又はこれを含んだ仮硬化光源を取り替えることによって、仮硬化の光量分布を調整して、紫外線に対する感度が低く硬化の遅いインクの吐出領域のみに、高光量の紫外線を照射することが可能となる。
【0199】
本例では、インクを硬化させる活性光線として紫外線を例示したが、紫外線以外の波長帯域を有する光線を活性光線として用いることも可能である。すなわち、インクを硬化させる活性光線は、インクを硬化させるために必要なエネルギーを照射させることができる波長帯域の光線を適用可能である。また、本硬化光源と仮硬化光源とは異なる波長帯域の光線の活性光線として用いることができる。
【0200】
例えば、仮硬化光源はインクの移動を抑制させる程度にインクを硬化させるエネルギー量を照射できればよく、本硬化光源よりも低い活性化エネルギーを発生させる光線を適用することができる。一方、本硬化光源は、仮硬化光源よりも高い活性化エネルギーを発生させる光線が適用される。
【0201】
以上、本発明に適用されるインクジェット記録装置及び画像形成方法について詳細に説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、適宜変更が可能である。
【0202】
〔付記〕
上記に詳述した実施形態についての記載から把握されるとおり、本明細書では以下に示す発明を含む多様な技術思想の開示を含んでいる。
【0203】
(発明1):活性光線の照射によって硬化するインクを記録媒体へ吐出させる複数のノズルが並べられ、複数のノズル群に分割されたノズル列を具備する画像形成手段と、前記画像形成手段を前記ノズル列のノズル配列方向と直交する方向に沿って走査させる走査手段と、前記記録媒体と前記画像形成手段とを前記ノズル列のノズル配列方向に沿って相対的に移動させる相対移動手段と、前記画像形成手段の前記走査方向下流側に設けられ、前記画像形成手段とともに前記走査方向に走査しながら前記記録媒体上のインクに活性光線を照射して前記インクを仮硬化させ、前記ノズル群に対応した複数の照射部に分割された第1の活性光線照射手段と、前記画像形成手段の前記相対移動方向の下流側に設けられ、前記記録媒体に着弾したインクを完全に硬化させる照射光量を有する活性光線を照射して、前記記録媒体上のインクを完全に硬化させる第2の活性光線照射手段と、前記ノズル群ごとに前記ノズル列のインク吐出を制御する吐出制御手段と、前記第1の活性光線照射手段の活性光線の照射光量が前記照射部ごとに設定され、前記設定された照射光量に基づいて前記照射部ごとに前記第1の活性光線照射手段における活性光線の照射を制御する照射制御手段と、を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【0204】
本発明によれば、インクを吐出させる複数のノズルが並べられたノズル列が記録媒体と画像形成手段(ノズル列)との相対移動方向について分割され、該ノズル列から吐出させて記録媒体に着弾させたインクに活性光線を照射させて仮硬化させる第1の活性光線照射手段がノズル列に対応して分割され、ノズル列の分割単位であるノズル群ごとにインクを吐出させて、第1の活性光線照射手段の分割単位である照射部ごとに活性光線の照射光量が設定されるので、あるノズル群から吐出させたインクは該ノズル群に後続する照射部から照射される活性光線により仮硬化させ、該照射部の照射光量に応じたインクの仮硬化状態が得られる。したがって、照射部(ノズル群)ごとにインクの仮硬化状態を制御することができ、インクの仮硬化状態に応じた画像の光沢性の再現領域を拡大することができる。
【0205】
本発明における「活性光線」として、紫外線が挙げられる。
【0206】
本発明における「仮硬化状態」とは、記録媒体上におけるインクの移動が起きない程度にインク液滴を硬化させた状態である。
【0207】
(発明2):発明1に記載のインクジェット記録装置において、前記ノズル列は、前記相対移動方向上流側の第1のノズル群及び前記相対移動方向下流側の第2のノズル群を含むように前記相対移動方向について分割されるとともに、前記第1の活性光線照射手段は、前記相対移動方向上流側の第1の照射部及び前記相対移動方向下流側の第2の照射部を含むように前記相対移動方向について分割され、前記照射制御手段は、前記第1のノズル群から吐出させたインクを着弾干渉が防止されつつ所定のサイズまで広がらない状態に仮硬化させて、前記第1のノズル群から吐出させたインクがマット調テクスチャを形成するように前記第1の照射部の照射光量を制御し、前記第2のノズル群から吐出させたインクを着弾干渉が防止されつつ所定のサイズに広がる状態に仮硬化させて、前記第2のノズル群から吐出させたインクがグロス調テクスチャを形成するように前記第2の照射部の照射光量を制御すること特徴とする。
【0208】
かかる態様によれば、一つの画像内に光沢性が異なるマット調テクスチャとグロス調テクスチャを形成することができる。また、第1の照射部の(上流側の)照射光量を高光量、第2の照射部の(下流側の)照射光量を低光量とすることで、カラー画像形成時におけるインクジェットヘッドの上流側で発生するスワスエッジの着弾干渉を回避することができ、バンディングを低減化しうる。
【0209】
(発明3):発明1又は2に記載のインクジェット記録装置において、前記画像形成手段は、カラーインクを吐出させるカラーインクノズル列を含むことを特徴とする。
【0210】
かかる態様によれば、光沢性の異なる複数の画像(領域)が含まれるカラー画像を形成することができる。
【0211】
かかる態様における「カラーインク」として、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の色材を含有するインクが挙げられる。また、ライトマゼンタ、ライトシアンなど、標準色よりも濃度が低いライト系インクを含んでいてもよい。
【0212】
(発明4):発明1から3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置において、前記照射制御手段は、前記第2の照射部の照射光量が前記第1の照射部の照射光量の2倍以上5倍以下となるように、前記第1の照射部及び前記第2の照射部の照射光量を設定することを特徴とする。
【0213】
かかる態様において、第1の照射部の照射光量を2ミリジュール毎平方センチメートル以上4ミリジュール毎平方センチメートル以下とすることができる。また、第2の照射部の照射光量を8ミリジュール毎平方センチメートル以上10ミリジュール毎平方センチメートル以下とすることができる。
【0214】
(発明5):発明1又は2に記載のインクジェット記録装置において、前記照射制御手段は、前記第2の照射部をオフさせることを特徴とする。
【0215】
かかる態様によれば、第2の照射部から活性光線を照射させないことで、ハイグロス調テクスチャを形成しうる。
【0216】
(発明6):発明1に記載のインクジェット記録装置において、前記画像形成手段は、カラーインクを吐出させるカラーインクノズル列及びクリアインクを吐出させるクリアインクノズル列を含み、前記カラーインクノズル列及び前記クリアインクノズル列は前記走査方向に沿って並べられるとともに、前記相対移動方向の最上流側の第1のノズル群、前記第1のノズル群の前記相対移動方向の下流側の第2のノズル群、及び前記第2のノズル群の前記相対移動方向の下流側の第3のノズル群を含むように前記相対移動方向について分割され、前記第1の活性光線照射手段は、前記カラーインクノズル列及び前記クリアインクノズル列の第1のノズル群、第2のノズル群及び第3のノズル群に対応する第1の照射部、第2の照射部及び第3の照射部を含むように前記相対移動方向について分割され、前記吐出制御手段は、前記カラーインクノズル列の第1のノズル群からカラーインクを吐出させるとともに、前記クリアインクノズル列の第2のノズル群及び第3のノズル群からクリアインクを吐出させるようにインク吐出を制御し、前記照射制御手段は、前記クリアインクノズル列の第2のノズル群から吐出させたクリアインクを着弾干渉が防止されつつ所定のサイズまで広がらない状態に仮硬化させて、前記第2のノズル群から吐出させたクリアインクがマット調テクスチャを形成するように前記第2の照射部の照射光量を制御し、前記クリアインクノズル列の第3のノズル群から吐出させたクリアインクを着弾干渉が防止されつつ所定のサイズに広がる状態に仮硬化させて、前記第3のノズル群から吐出させたクリアインクがグロス調テクスチャを形成するように前記第3の照射部の照射光量を制御すること特徴とする。
【0217】
かかる態様によれば、クリアインクに照射される活性光線の照射光量を変えてクリアインク層の仮硬化状態を変えることで、光沢性が低いマット調テクスチャと光沢性が高いグロス調テクスチャを形成しうる。
【0218】
かかる態様における「クリアインク」として、色材を含有しない透明なインクや、色が視認されない程度に微量の色材を含むインクなどが挙げられる。
【0219】
(発明7):発明6に記載のインクジェット記録装置において、前記カラーインクノズル列の第1のノズル群の前記相対搬送方向の長さは、前記カラーインクノズル列の全長の1/3であり、前記クリアインクノズル列の第1のノズル群、第2のノズル群及び第3のノズル群の前記相対搬送方向の長さは、前記クリアインクノズル列の全長の1/3であることを特徴とする。
【0220】
(発明8):発明6又は7に記載のインクジェット記録装置において、前記吐出制御手段は、前記カラーインクノズル列から吐出させたカラーインクによって形成されるカラー画像層の上に、前記クリアインクノズル列から吐出させたクリアインクによって形成されるクリアインク層が積層されるように、前記カラーインクノズル列及び前記クリアインクノズル列の吐出を制御することを特徴とする。
【0221】
かかる態様によれば、カラーインクにより形成されたカラー画像層の上に、クリアインクによるクリアインク層が形成されることで、クリアインクの仮硬化状態のみを変えることで、光沢性が異なる領域が混在するカラー画像を形成しうる。
【0222】
(発明9):発明6から8のいずれかに記載のインクジェット記録装置において、前記照射制御手段は、前記第3の照射部の照射光量が前記第2の照射部の照射光量の2倍以上5倍以下となるように、前記第2の照射部及び前記第3の照射部の照射光量を設定することを特徴とする。
【0223】
(発明10):発明6から8のいずれかに記載のインクジェット記録装置において、前記照射制御手段は、前記第3の照射部をオフさせることを特徴とする。
【0224】
(発明11):発明1から10のいずれかに記載のインクジェット記録装置において、前記相対移動手段は、前記記録媒体と前記画像形成手段とを相対的に一方向に移動させることを特徴とする。
【0225】
かかる態様によれば、記録媒体と画像形成手段とを一方向のみに相対移動させてカラー画像層の上にクリアインク層を形成することができるので、カラー画像層とクリアインク層との位置ずれを防止することでき、記録媒体の搬送異常を回避しうる。
【0226】
(発明12):発明1に記載のインクジェット記録装置において、前記画像形成手段は、カラーインクを吐出させるカラーインクノズル列及びクリアインクを吐出させるクリアインクノズル列を含み、前記クリアインクノズル列は前記相対移動方向上流側の第1のノズル群及び前記相対移動方向下流側の第2のノズル群を含むように前記相対移動方向について分割され、前記第1の活性光線照射手段は、前記クリアインクノズル列の第1のノズル群及び第2のノズル群に対応する第1の照射部及び第2の照射部を含むように前記相対移動方向について分割され、前記相対移動手段は、前記カラーインクノズル列から記録媒体へカラーインクを吐出させた後に、前記記録媒体を前記クリアインクノズルの吐出開始位置へ戻し、さらに、前記記録媒体を前記相対移動方向へ移動させ、前記吐出制御手段は、前記カラーインクノズル列から記録媒体へカラーインクを吐出させ、前記相対移動手段により前記記録媒体を前記クリアインクノズルの吐出開始位置へ戻した後に、前記相対移動方向へ移動している前記記録媒体に対して前記クリアインクを吐出させるようにインク吐出を制御し、前記照射制御手段は、前記クリアインクノズル列の第1のノズル群から吐出させたクリアインクを着弾干渉が防止されつつ所定のサイズまで広がらない状態に仮硬化させて、前記第1のノズル群から吐出させたクリアインクがマット調テクスチャを形成するように前記第1の照射部の照射光量を制御し、前記クリアインクノズル列の第2のノズル群から吐出させたクリアインクを着弾干渉が防止されつつ所定のサイズに広がる状態に仮硬化させて、前記第2のノズル群から吐出させたクリアインクがグロス調テクスチャを形成するように前記第2の照射部の照射光量を制御すること特徴とする。
【0227】
(発明13):発明12に記載のインクジェット記録装置において、前記照射制御手段は、前記第2の照射部の照射光量が前記第1の照射部の照射光量の2倍以上5倍以下となるように、前記第1の照射部及び前記第2の照射部の照射光量を設定することを特徴とする。
【0228】
(発明14):発明12に記載のインクジェット記録装置において、前記照射制御手段は、前記第2の照射部をオフさせることを特徴とする。
【0229】
(発明15):発明1から14のいずれかに記載のインクジェット記録装置において、前記照射制御手段は、前記第2の活性光線照射手段の照射光量が前記第1の活性光線照射手段の照射光量の15倍以上150倍以下となるように前記第2の活性光線照射手段の照射光量を設定することを特徴とする。
【0230】
かかる態様において、第2の活性光線照射手段の照射光量を150ミリジュール毎平方センチメートル以上300ミリジュール毎平方センチメートル以下とすることができる。
【0231】
(発明16):発明1から15のいずれかに記載のインクジェット記録装置において、前記照射制御手段は、電流値制御、パルス幅変調制御、オンオフ制御のいずれかにより前記活性光線照射手段から照射される活性光線の照射光量を可変させることを特徴とする。
【0232】
かかる態様によれば、紫外線LED素子は個別に発光制御が可能であり、インクの硬化特性に応じて、各インクの吐出位置に最適な活性光線の照射が可能となる。
【0233】
(発明17):発明1から16のいずれかに記載のインクジェット記録装置において、前記第1の活性光線照射手段は、前記ノズル列の分割単位に対応して前記相対移動方向と平行方向に複数の紫外LED素子を並べた構造を有することを特徴とする。
【0234】
かかる態様において、相対移動方向と平行方向に複数の紫外LED素子が並べられた素子列が走査方向について複数並べられる態様も可能である。
【0235】
(発明18):発明1から17のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置において、前記第1の活性光線照射手段の分割された各照射部は、前記相対移動方向と平行方向における前記ノズル列の全長を当該ノズル列に含まれるノズル群の数で除算した値以下であることを特徴とする。
【0236】
かかる態様によれば、不要な領域への活性光線の照射が防止される。
【0237】
かかる態様において、ノズル列の相対搬送方向における全長をLw、ノズル列の分割数をNとすると、第1の活性光線照射手段の相対搬送方向における照射範囲は、Lw/N以下となる。
【0238】
(発明19):発明1から18のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置において、前記相対移動手段は、前記ノズル列に含まれるノズル群の前記相対移動方向における長さを、前記走査方向の前記複数のノズル列の配置ピッチを前記走査方向における最小ドット間隔で除算した値と、前記相対移動方向の前記ノズルの配置ピッチを前記相対移動方向の最小ドット間隔で除算した値とを乗算した値として定義されるマルチパス数で除算した長さを一回の搬送における搬送量として、前記画像形成手段と前記記録媒体とを間欠的に一方向に相対搬送することを特徴とする。
【0239】
かかる態様によれば、記録媒体と画像形成手段とを往復移動させることなく、複数の層を積層させた画像を形成しうる。
【0240】
(発明20):発明1から19のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置において、前記画像形成手段は、複数のインクに対応するノズル列を具備するインクジェットヘッドを備えたことを特徴とする。
【0241】
(発明21):発明1から19のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置において、前記画像形成手段は、ノズル列を具備するインクジェットヘッドをインクごとに備えたことを特徴とする。
【0242】
(発明22):活性光線の照射によって硬化するインクを記録媒体へ吐出させる複数のノズルが並べられ、複数のノズル群に分割されたノズル列を具備する画像形成手段を前記ノズル列のノズル配列方向と直交する方向に沿って走査させながら、前記ノズル列のノズル群ごとにインクを吐出させるインク吐出工程と、前記記録媒体と前記画像形成手段とを前記ノズル列のノズル配列方向に沿って相対的に移動させる相対移動工程と、前記画像形成手段の前記走査方向下流側に設けられ、前記ノズル群に対応した複数の照射部に分割された第1の活性光線照射手段を前記画像形成手段とともに前記走査方向に走査させながら、前記第1の活性光線照射手段から前記記録媒体上のインクに活性光線を照射させて前記インクを仮硬化させる仮硬化工程と、前記画像形成手段の前記相対移動方向の下流側に設けられる第2の活性光線照射手段から、前記記録媒体に着弾したインクを完全に硬化させる照射光量を有する活性光線を照射して、前記記録媒体上のインクを完全に硬化させる本硬化工程と、を含み、前記仮硬化工程は、前記第1の活性光線照射手段の活性光線の照射光量が前記照射部ごとに設定され、前記設定された照射光量に基づいて前記照射部ごとに前記第1の活性光線照射手段における活性光線の照射が制御されることを特徴とする画像形成方法。
【符号の説明】
【0243】
10…インクジェット記録装置、12…記録媒体、24,24C,24M,24Y,24K,24CL,24W…インクジェットヘッド、32A,32B,232A,232B,410…仮硬化光源、32A‐1,32A‐2,32B‐1,32B‐2…照射部、34A,34,234A,234B,334…本硬化光源、61,61C,61M,61Y,61K,61LC,61LM、61CL,61W…ノズル列、61C‐1,61M‐1,61Y‐1,61K‐1,61LC‐1,61LM‐1,61CL‐1,61C‐2,61M‐2,61Y‐2,61K‐2,61LC‐2,61LM‐2,61CL‐2,61CL‐3…ノズル群、102…制御装置、108…光源制御部、114…搬送駆動部、116…主走査駆動部、118,119…光源駆動回路,128…吐出制御部、35,414…紫外線LED素子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性光線の照射によって硬化するインクを記録媒体へ吐出させる複数のノズルが並べられ、複数のノズル群に分割されたノズル列を具備する画像形成手段と、
前記画像形成手段を前記ノズル列のノズル配列方向と直交する方向に沿って走査させる走査手段と、
前記記録媒体と前記画像形成手段とを前記ノズル列のノズル配列方向に沿って相対的に移動させる相対移動手段と、
前記画像形成手段の前記走査方向下流側に設けられ、前記画像形成手段とともに前記走査方向に走査しながら前記記録媒体上のインクに活性光線を照射して前記インクを仮硬化させ、前記ノズル群に対応した複数の照射部に分割された第1の活性光線照射手段と、
前記画像形成手段の前記相対移動方向の下流側に設けられ、前記記録媒体に着弾したインクを完全に硬化させる照射光量を有する活性光線を照射して、前記記録媒体上のインクを完全に硬化させる第2の活性光線照射手段と、
前記ノズル群ごとに前記ノズル列のインク吐出を制御する吐出制御手段と、
前記第1の活性光線照射手段の活性光線の照射光量が前記照射部ごとに設定され、前記設定された照射光量に基づいて前記照射部ごとに前記第1の活性光線照射手段における活性光線の照射を制御する照射制御手段と、
を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記ノズル列は、前記相対移動方向上流側の第1のノズル群及び前記相対移動方向下流側の第2のノズル群を含むように前記相対移動方向について分割されるとともに、
前記第1の活性光線照射手段は、前記相対移動方向上流側の第1の照射部及び前記相対移動方向下流側の第2の照射部を含むように前記相対移動方向について分割され、
前記照射制御手段は、前記第1のノズル群から吐出させたインクを着弾干渉が防止されつつ所定のサイズまで広がらない状態に仮硬化させて、前記第1のノズル群から吐出させたインクがマット調テクスチャを形成するように前記第1の照射部の照射光量を制御し、前記第2のノズル群から吐出させたインクを着弾干渉が防止されつつ所定のサイズに広がる状態に仮硬化させて、前記第2のノズル群から吐出させたインクがグロス調テクスチャを形成するように前記第2の照射部の照射光量を制御すること特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記画像形成手段は、カラーインクを吐出させるカラーインクノズル列を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記照射制御手段は、前記第2の照射部の照射光量が前記第1の照射部の照射光量の2倍以上5倍以下となるように、前記第1の照射部及び前記第2の照射部の照射光量を設定することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記照射制御手段は、前記第2の照射部をオフさせることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記画像形成手段は、カラーインクを吐出させるカラーインクノズル列及びクリアインクを吐出させるクリアインクノズル列を含み、前記カラーインクノズル列及び前記クリアインクノズル列は前記走査方向に沿って並べられるとともに、前記相対移動方向の最上流側の第1のノズル群、前記第1のノズル群の前記相対移動方向の下流側の第2のノズル群、及び前記第2のノズル群の前記相対移動方向の下流側の第3のノズル群を含むように前記相対移動方向について分割され、
前記第1の活性光線照射手段は、前記カラーインクノズル列及び前記クリアインクノズル列の第1のノズル群、第2のノズル群及び第3のノズル群に対応する第1の照射部、第2の照射部及び第3の照射部を含むように前記相対移動方向について分割され、
前記吐出制御手段は、前記カラーインクノズル列の第1のノズル群からカラーインクを吐出させるとともに、前記クリアインクノズル列の第2のノズル群及び第3のノズル群からクリアインクを吐出させるようにインク吐出を制御し、
前記照射制御手段は、前記クリアインクノズル列の第2のノズル群から吐出させたクリアインクを着弾干渉が防止されつつ所定のサイズまで広がらない状態に仮硬化させて、前記第2のノズル群から吐出させたクリアインクがマット調テクスチャを形成するように前記第2の照射部の照射光量を制御し、前記クリアインクノズル列の第3のノズル群から吐出させたクリアインクを着弾干渉が防止されつつ所定のサイズに広がる状態に仮硬化させて、前記第3のノズル群から吐出させたクリアインクがグロス調テクスチャを形成するように前記第3の照射部の照射光量を制御すること特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記カラーインクノズル列の第1のノズル群の前記相対搬送方向の長さは、前記カラーインクノズル列の全長の1/3であり、
前記クリアインクノズル列の第1のノズル群、第2のノズル群及び第3のノズル群の前記相対搬送方向の長さは、前記クリアインクノズル列の全長の1/3であることを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記吐出制御手段は、前記カラーインクノズル列から吐出させたカラーインクによって形成されるカラー画像層の上に、前記クリアインクノズル列から吐出させたクリアインクによって形成されるクリアインク層が積層されるように、前記カラーインクノズル列及び前記クリアインクノズル列の吐出を制御することを特徴とする請求項6又は7に記載のインクジェット記録装置。
【請求項9】
前記照射制御手段は、前記第3の照射部の照射光量が前記第2の照射部の照射光量の2倍以上5倍以下となるように、前記第2の照射部及び前記第3の照射部の照射光量を設定することを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項10】
前記照射制御手段は、前記第3の照射部をオフさせることを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項11】
前記相対移動手段は、前記記録媒体と前記画像形成手段とを相対的に一方向に移動させることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項12】
前記画像形成手段は、カラーインクを吐出させるカラーインクノズル列及びクリアインクを吐出させるクリアインクノズル列を含み、前記クリアインクノズル列は前記相対移動方向上流側の第1のノズル群及び前記相対移動方向下流側の第2のノズル群を含むように前記相対移動方向について分割され、
前記第1の活性光線照射手段は、前記クリアインクノズル列の第1のノズル群及び第2のノズル群に対応する第1の照射部及び第2の照射部を含むように前記相対移動方向について分割され、
前記相対移動手段は、前記カラーインクノズル列から記録媒体へカラーインクを吐出させた後に、前記記録媒体を前記クリアインクノズルの吐出開始位置へ戻し、さらに、前記記録媒体を前記相対移動方向へ移動させ、
前記吐出制御手段は、前記カラーインクノズル列から記録媒体へカラーインクを吐出させ、前記相対移動手段により前記記録媒体を前記クリアインクノズルの吐出開始位置へ戻した後に、前記相対移動方向へ移動している前記記録媒体に対して前記クリアインクを吐出させるようにインク吐出を制御し、
前記照射制御手段は、前記クリアインクノズル列の第1のノズル群から吐出させたクリアインクを着弾干渉が防止されつつ所定のサイズまで広がらない状態に仮硬化させて、前記第1のノズル群から吐出させたクリアインクがマット調テクスチャを形成するように前記第1の照射部の照射光量を制御し、前記クリアインクノズル列の第2のノズル群から吐出させたクリアインクを着弾干渉が防止されつつ所定のサイズに広がる状態に仮硬化させて、前記第2のノズル群から吐出させたクリアインクがグロス調テクスチャを形成するように前記第2の照射部の照射光量を制御すること特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項13】
前記照射制御手段は、前記第2の照射部の照射光量が前記第1の照射部の照射光量の2倍以上5倍以下となるように、前記第1の照射部及び前記第2の照射部の照射光量を設定することを特徴とする請求項12に記載のインクジェット記録装置。
【請求項14】
前記照射制御手段は、前記第2の照射部をオフさせることを特徴とする請求項12に記載のインクジェット記録装置。
【請求項15】
前記照射制御手段は、前記第2の活性光線照射手段の照射光量が前記第1の活性光線照射手段の照射光量の15倍以上150倍以下となるように前記第2の活性光線照射手段の照射光量を設定することを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項16】
前記照射制御手段は、電流値制御、パルス幅変調制御、オンオフ制御のいずれかにより前記活性光線照射手段から照射される活性光線の照射光量を可変させることを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項17】
前記第1の活性光線照射手段は、前記ノズル列の分割単位に対応して前記相対移動方向と平行方向に複数の紫外LED素子を並べた構造を有することを特徴とする請求項1から16のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項18】
前記第1の活性光線照射手段の分割された各照射部は、前記相対移動方向と平行方向における前記ノズル列の全長を当該ノズル列に含まれるノズル群の数で除算した値以下であることを特徴とする請求項1から17のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項19】
前記相対移動手段は、前記ノズル列に含まれるノズル群の前記相対移動方向における長さを、前記走査方向の前記複数のノズル列の配置ピッチを前記走査方向における最小ドット間隔で除算した値と、前記相対移動方向の前記ノズルの配置ピッチを前記相対移動方向の最小ドット間隔で除算した値とを乗算した値として定義されるマルチパス数で除算した長さを一回の搬送における搬送量として、前記画像形成手段と前記記録媒体とを間欠的に一方向に相対搬送することを特徴とする請求項1から18のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項20】
前記画像形成手段は、複数のインクに対応するノズル列を具備するインクジェットヘッドを備えたことを特徴とする請求項1から19のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項21】
前記画像形成手段は、ノズル列を具備するインクジェットヘッドをインクごとに備えたことを特徴とする請求項1から19のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項22】
活性光線の照射によって硬化するインクを記録媒体へ吐出させる複数のノズルが並べられ、複数のノズル群に分割されたノズル列を具備する画像形成手段を前記ノズル列のノズル配列方向と直交する方向に沿って走査させながら、前記ノズル列のノズル群ごとにインクを吐出させるインク吐出工程と、
前記記録媒体と前記画像形成手段とを前記ノズル列のノズル配列方向に沿って相対的に移動させる相対移動工程と、
前記画像形成手段の前記走査方向下流側に設けられ、前記ノズル群に対応した複数の照射部に分割された第1の活性光線照射手段を前記画像形成手段とともに前記走査方向に走査させながら、前記第1の活性光線照射手段から前記記録媒体上のインクに活性光線を照射させて前記インクを仮硬化させる仮硬化工程と、
前記画像形成手段の前記相対移動方向の下流側に設けられる第2の活性光線照射手段から、前記記録媒体に着弾したインクを完全に硬化させる照射光量を有する活性光線を照射して、前記記録媒体上のインクを完全に硬化させる本硬化工程と、
を含み、
前記仮硬化工程は、前記第1の活性光線照射手段の活性光線の照射光量が前記照射部ごとに設定され、前記設定された照射光量に基づいて前記照射部ごとに前記第1の活性光線照射手段における活性光線の照射が制御されることを特徴とする画像形成方法。
【請求項1】
活性光線の照射によって硬化するインクを記録媒体へ吐出させる複数のノズルが並べられ、複数のノズル群に分割されたノズル列を具備する画像形成手段と、
前記画像形成手段を前記ノズル列のノズル配列方向と直交する方向に沿って走査させる走査手段と、
前記記録媒体と前記画像形成手段とを前記ノズル列のノズル配列方向に沿って相対的に移動させる相対移動手段と、
前記画像形成手段の前記走査方向下流側に設けられ、前記画像形成手段とともに前記走査方向に走査しながら前記記録媒体上のインクに活性光線を照射して前記インクを仮硬化させ、前記ノズル群に対応した複数の照射部に分割された第1の活性光線照射手段と、
前記画像形成手段の前記相対移動方向の下流側に設けられ、前記記録媒体に着弾したインクを完全に硬化させる照射光量を有する活性光線を照射して、前記記録媒体上のインクを完全に硬化させる第2の活性光線照射手段と、
前記ノズル群ごとに前記ノズル列のインク吐出を制御する吐出制御手段と、
前記第1の活性光線照射手段の活性光線の照射光量が前記照射部ごとに設定され、前記設定された照射光量に基づいて前記照射部ごとに前記第1の活性光線照射手段における活性光線の照射を制御する照射制御手段と、
を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記ノズル列は、前記相対移動方向上流側の第1のノズル群及び前記相対移動方向下流側の第2のノズル群を含むように前記相対移動方向について分割されるとともに、
前記第1の活性光線照射手段は、前記相対移動方向上流側の第1の照射部及び前記相対移動方向下流側の第2の照射部を含むように前記相対移動方向について分割され、
前記照射制御手段は、前記第1のノズル群から吐出させたインクを着弾干渉が防止されつつ所定のサイズまで広がらない状態に仮硬化させて、前記第1のノズル群から吐出させたインクがマット調テクスチャを形成するように前記第1の照射部の照射光量を制御し、前記第2のノズル群から吐出させたインクを着弾干渉が防止されつつ所定のサイズに広がる状態に仮硬化させて、前記第2のノズル群から吐出させたインクがグロス調テクスチャを形成するように前記第2の照射部の照射光量を制御すること特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記画像形成手段は、カラーインクを吐出させるカラーインクノズル列を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記照射制御手段は、前記第2の照射部の照射光量が前記第1の照射部の照射光量の2倍以上5倍以下となるように、前記第1の照射部及び前記第2の照射部の照射光量を設定することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記照射制御手段は、前記第2の照射部をオフさせることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記画像形成手段は、カラーインクを吐出させるカラーインクノズル列及びクリアインクを吐出させるクリアインクノズル列を含み、前記カラーインクノズル列及び前記クリアインクノズル列は前記走査方向に沿って並べられるとともに、前記相対移動方向の最上流側の第1のノズル群、前記第1のノズル群の前記相対移動方向の下流側の第2のノズル群、及び前記第2のノズル群の前記相対移動方向の下流側の第3のノズル群を含むように前記相対移動方向について分割され、
前記第1の活性光線照射手段は、前記カラーインクノズル列及び前記クリアインクノズル列の第1のノズル群、第2のノズル群及び第3のノズル群に対応する第1の照射部、第2の照射部及び第3の照射部を含むように前記相対移動方向について分割され、
前記吐出制御手段は、前記カラーインクノズル列の第1のノズル群からカラーインクを吐出させるとともに、前記クリアインクノズル列の第2のノズル群及び第3のノズル群からクリアインクを吐出させるようにインク吐出を制御し、
前記照射制御手段は、前記クリアインクノズル列の第2のノズル群から吐出させたクリアインクを着弾干渉が防止されつつ所定のサイズまで広がらない状態に仮硬化させて、前記第2のノズル群から吐出させたクリアインクがマット調テクスチャを形成するように前記第2の照射部の照射光量を制御し、前記クリアインクノズル列の第3のノズル群から吐出させたクリアインクを着弾干渉が防止されつつ所定のサイズに広がる状態に仮硬化させて、前記第3のノズル群から吐出させたクリアインクがグロス調テクスチャを形成するように前記第3の照射部の照射光量を制御すること特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記カラーインクノズル列の第1のノズル群の前記相対搬送方向の長さは、前記カラーインクノズル列の全長の1/3であり、
前記クリアインクノズル列の第1のノズル群、第2のノズル群及び第3のノズル群の前記相対搬送方向の長さは、前記クリアインクノズル列の全長の1/3であることを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記吐出制御手段は、前記カラーインクノズル列から吐出させたカラーインクによって形成されるカラー画像層の上に、前記クリアインクノズル列から吐出させたクリアインクによって形成されるクリアインク層が積層されるように、前記カラーインクノズル列及び前記クリアインクノズル列の吐出を制御することを特徴とする請求項6又は7に記載のインクジェット記録装置。
【請求項9】
前記照射制御手段は、前記第3の照射部の照射光量が前記第2の照射部の照射光量の2倍以上5倍以下となるように、前記第2の照射部及び前記第3の照射部の照射光量を設定することを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項10】
前記照射制御手段は、前記第3の照射部をオフさせることを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項11】
前記相対移動手段は、前記記録媒体と前記画像形成手段とを相対的に一方向に移動させることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項12】
前記画像形成手段は、カラーインクを吐出させるカラーインクノズル列及びクリアインクを吐出させるクリアインクノズル列を含み、前記クリアインクノズル列は前記相対移動方向上流側の第1のノズル群及び前記相対移動方向下流側の第2のノズル群を含むように前記相対移動方向について分割され、
前記第1の活性光線照射手段は、前記クリアインクノズル列の第1のノズル群及び第2のノズル群に対応する第1の照射部及び第2の照射部を含むように前記相対移動方向について分割され、
前記相対移動手段は、前記カラーインクノズル列から記録媒体へカラーインクを吐出させた後に、前記記録媒体を前記クリアインクノズルの吐出開始位置へ戻し、さらに、前記記録媒体を前記相対移動方向へ移動させ、
前記吐出制御手段は、前記カラーインクノズル列から記録媒体へカラーインクを吐出させ、前記相対移動手段により前記記録媒体を前記クリアインクノズルの吐出開始位置へ戻した後に、前記相対移動方向へ移動している前記記録媒体に対して前記クリアインクを吐出させるようにインク吐出を制御し、
前記照射制御手段は、前記クリアインクノズル列の第1のノズル群から吐出させたクリアインクを着弾干渉が防止されつつ所定のサイズまで広がらない状態に仮硬化させて、前記第1のノズル群から吐出させたクリアインクがマット調テクスチャを形成するように前記第1の照射部の照射光量を制御し、前記クリアインクノズル列の第2のノズル群から吐出させたクリアインクを着弾干渉が防止されつつ所定のサイズに広がる状態に仮硬化させて、前記第2のノズル群から吐出させたクリアインクがグロス調テクスチャを形成するように前記第2の照射部の照射光量を制御すること特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項13】
前記照射制御手段は、前記第2の照射部の照射光量が前記第1の照射部の照射光量の2倍以上5倍以下となるように、前記第1の照射部及び前記第2の照射部の照射光量を設定することを特徴とする請求項12に記載のインクジェット記録装置。
【請求項14】
前記照射制御手段は、前記第2の照射部をオフさせることを特徴とする請求項12に記載のインクジェット記録装置。
【請求項15】
前記照射制御手段は、前記第2の活性光線照射手段の照射光量が前記第1の活性光線照射手段の照射光量の15倍以上150倍以下となるように前記第2の活性光線照射手段の照射光量を設定することを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項16】
前記照射制御手段は、電流値制御、パルス幅変調制御、オンオフ制御のいずれかにより前記活性光線照射手段から照射される活性光線の照射光量を可変させることを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項17】
前記第1の活性光線照射手段は、前記ノズル列の分割単位に対応して前記相対移動方向と平行方向に複数の紫外LED素子を並べた構造を有することを特徴とする請求項1から16のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項18】
前記第1の活性光線照射手段の分割された各照射部は、前記相対移動方向と平行方向における前記ノズル列の全長を当該ノズル列に含まれるノズル群の数で除算した値以下であることを特徴とする請求項1から17のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項19】
前記相対移動手段は、前記ノズル列に含まれるノズル群の前記相対移動方向における長さを、前記走査方向の前記複数のノズル列の配置ピッチを前記走査方向における最小ドット間隔で除算した値と、前記相対移動方向の前記ノズルの配置ピッチを前記相対移動方向の最小ドット間隔で除算した値とを乗算した値として定義されるマルチパス数で除算した長さを一回の搬送における搬送量として、前記画像形成手段と前記記録媒体とを間欠的に一方向に相対搬送することを特徴とする請求項1から18のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項20】
前記画像形成手段は、複数のインクに対応するノズル列を具備するインクジェットヘッドを備えたことを特徴とする請求項1から19のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項21】
前記画像形成手段は、ノズル列を具備するインクジェットヘッドをインクごとに備えたことを特徴とする請求項1から19のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項22】
活性光線の照射によって硬化するインクを記録媒体へ吐出させる複数のノズルが並べられ、複数のノズル群に分割されたノズル列を具備する画像形成手段を前記ノズル列のノズル配列方向と直交する方向に沿って走査させながら、前記ノズル列のノズル群ごとにインクを吐出させるインク吐出工程と、
前記記録媒体と前記画像形成手段とを前記ノズル列のノズル配列方向に沿って相対的に移動させる相対移動工程と、
前記画像形成手段の前記走査方向下流側に設けられ、前記ノズル群に対応した複数の照射部に分割された第1の活性光線照射手段を前記画像形成手段とともに前記走査方向に走査させながら、前記第1の活性光線照射手段から前記記録媒体上のインクに活性光線を照射させて前記インクを仮硬化させる仮硬化工程と、
前記画像形成手段の前記相対移動方向の下流側に設けられる第2の活性光線照射手段から、前記記録媒体に着弾したインクを完全に硬化させる照射光量を有する活性光線を照射して、前記記録媒体上のインクを完全に硬化させる本硬化工程と、
を含み、
前記仮硬化工程は、前記第1の活性光線照射手段の活性光線の照射光量が前記照射部ごとに設定され、前記設定された照射光量に基づいて前記照射部ごとに前記第1の活性光線照射手段における活性光線の照射が制御されることを特徴とする画像形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−232529(P2012−232529A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103660(P2011−103660)
【出願日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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