説明

インクジェット記録装置

【課題】インクの増粘、乾燥を防止するためのノズルの密閉、印字の再開時のインクの予備吐出及びノズル面の清掃を、簡単な構成で行う。
【解決手段】インクジェットヘッドH1〜H12のそれぞれに対応して、メンテナンスユニット13を設ける。メンテナンスユニット13は、移動手段14のねじ部材54に螺合されたナット部材に係合する移動ベース43と、これに搭載された清掃部材44及びキャップ部材45を有している。メンテナンスユニット13は、印字時には待機位置に配置され、非印字時には作動位置Fに配置されてさらに搬送ユニット11に押し上げられてキャップ部材45がノズルを密閉し、印字の再開時には、密閉を解除されたキャップ部材45がノズルから予備吐出されたインクを受け止め、ノズル面に付着したインクを清掃部材44が払拭する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のインクジェットヘッドのノズルから、被記録媒体(例えば、シート)に向けてインクを吹き付けることで印字を行うインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ライン方式のインクジェット記録装置において、不使用状態が長く続くと、インクが増粘したり乾燥したりして良好な印字ができなくなる。そこで、種々のメンテナンスが必要となる。
【0003】
例えば、特許文献1に示すインクジェット記録装置には、メンテナンスユニットとして、インク受け皿とインク除去部材が記載されている。インク受け皿は、インクジェットヘッドを長時間の不使用後に再使用する際に、ノズルから予備吐出されたインクを受けるものであり、また、インク除去部材は、予備吐出後にノズル面に付着しているインクを払拭するものである。これらインク受け皿やインク除去部材は、印字が行われる際には、邪魔になるので、印字部の外部に退避され、一方、予備吐出やその後のインクの除去を行う場合には、インクジェットヘッドの下方に配置される。このため、これらの部材を移動させるための機構も必要となる。
【特許文献1】特開2004−262108号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1において、良好な印字を行うためには、さらに、インクジェットヘッドの不使用時にインクが増粘したり乾燥したりすることを防止するために、ノズルを密閉することが必要となり、このためにキャップ部材やこれを移動させる移動機構が必要となる。このため、構成が複雑になるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、簡単な構成で、予備吐出、ノズル面の清掃、及びノズルの密閉を行うことができるようにしたインクジェット記録装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、被記録媒体を搬送する搬送ユニットと、前記搬送ユニットと対面する位置に配置され、前記搬送ユニットによって搬送される被記録媒体にインクを吐出することによって画像を形成するインクジェットヘッドとを備えるインクジェット記録装置に関する。この発明に係るインクジェット記録装置は、画像形成位置と退避位置の間で搬送ユニットを昇降させる昇降機構と、前記印字部の外側の待機位置と、前記搬送ユニットが退避位置に移動した後に前記インクジェットヘッドと対面する作動位置と、を移動可能なメンテナンスユニットと、前記メンテナンスユニットを前記待機位置と前記作動位置との間で移動させる移動機構と、を備え、前記メンテナンスユニットは、前記移動機構によって前記待機位置と前記作動位置との間を移動される移動ベースと、前記移動ベースに搭載されて前記インクジェットヘッドのノズル面に摺擦される清掃部材と、前記移動ベースに搭載されて前記ノズル面に密着されて前記ノズルを密閉するキャップ位置と前記ノズル面から離間されて前記ノズルから吐出されたインクを受け止める受け止め位置とをとるキャップ部材と、を有する、ことを特徴としている。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に係るインクジェット記録装置において、前記キャップ部材は、前記移動ベースが前記作動配置された状態において前記受け止め位置をとり、前記昇降機構の上昇によって押し上げられて前記キャップ位置をとり、前記清掃部材は、前記移動機構によって前記移動ベースが移動される際に前記ノズル面に摺擦される、ことを特徴としている。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項2に係るインクジェット記録装置において、前記キャップ位置は、前記画像形成位置と前記退避位置の間にある、ことを特徴としている。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項3に係るインクジェット記録装置において、前記移動機構は、前記移動ベースに係合されたナット部材と、前記通紙幅方向に配設されるとともに前記ナット部材に螺合するねじ部材と、前記ねじ部材を正逆回転させる移動モータと、を有する、ことを特徴としている。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に係るインクジェット記録装置において、前記昇降機構は、前記搬送ユニットに下方から当接された偏心カムと、前記偏心カムを正逆回転させる昇降モータと、を有する、ことを特徴としている。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に係るインクジェット記録装置において、それぞれ異なる色の印字を行う複数の前記インクジェットヘッドが前記被記録媒体搬送方向に複数配設され、前記複数のインクジェットヘッドのそれぞれに対応するように前記メンテナンスユニットが複数設けられている、ことを特徴としている。
【0012】
請求項7に係る発明は、請求項6に係るインクジェット記録装置において、各色の前記インクジェットヘッドが、前記通紙幅方向に複数に分割されていて、これらインクジェットヘッドが前記被記録媒体搬送方向の異なる位置に配置され、それぞれの前記インクジェットヘッドに対して、前記メンテナンスユニットが設けられている、ことを特徴としている。
【0013】
請求項8に係る発明は、請求項7に係るインクジェット記録装置において、前記複数のメンテナンスユニットのうち、各色の前記被記録媒体搬送方向に垂直な位置が同じ位置に配置された前記インクジェットヘッドに対応する前記メンテナンスユニットは、それぞれ同一の駆動部材によって駆動される、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、メンテナンスユニットは、移動機構により待機位置と作動位置との間を移動され、印字時には待機位置に退避されるので印字の邪魔になるようなことはない。また、メンテナンスユニットは、清掃部材とキャップ部材とが移動ベースに搭載されているので、清掃部材によるノズル面のインクの払拭と、キャップ部材による(予備吐出時の)インクの受け止めと、同じくキャップ部材によるノズルの密閉と、を簡単な構成で行うことができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、キャップ部材は、キャップ位置に配置されてノズルを密閉し、受け止め位置に配置されて(予備吐出時の)インクを受け止め、また、清掃部材は、ノズル面に摺擦されることで、ノズル面に付着しているインクを払拭することができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、キャップ部材は、画像形成位置と退避位置との間に設定されたキャップ位置に配置されることで、ノズル面に密着されてノズルを密閉することができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、移動機構は、移動モータを正逆回転させることで、ねじ部材、ナット部材を介して、移動ベースを通紙幅方向に移動させることができる。
【0018】
請求項5の発明によれば、昇降機構は、昇降モータを正逆回転させることで、偏心カムを介して搬送ユニットを昇降させることができる。
【0019】
請求項6の発明によれば、インクの色ごとにインクジェットヘッド及びメンテナンスユニットを有しており、複数のインクジェットヘッドは、シート搬送方向に配列されている。
【0020】
請求項7の発明によれば、各色のインクジェットヘッドが、通紙幅方向に複数に分割されているので、各色のインクジェットヘッドが1つで構成されている場合と比較して、1つ1つのインクジェットヘッドの通紙幅方向の幅を狭くすることが可能である。このため、インクジェットヘッドを待機位置に退避させた場合に、インクジェットヘッドが占める占有領域における通紙幅方向の長さを短くすることができる。また、各インクジェットヘッドは、被記録媒体搬送方向の異なる位置に配置されているので、各インクジェットヘッドを作動位置と待機位置との間で移動させる際に、他のインクジェットヘッドが邪魔になるようなことがない。
【0021】
請求項8の発明によれば、駆動部材の数を減らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の最良の実施形態を図面に基づき詳述する。なお、各図面において、同じ符号を付した部材等は、同じ構成のものであり、これらについての重複説明は適宜省略するものとする。また、各図面においては、説明に不要な部材等は適宜、図示を省略している。
【0023】
<実施形態1>
図1〜図6を参照して、本発明に係るインクジェット記録装置10について説明する。このうち、図1は、インクジェット記録装置10全体を、正面側(前側)から見て模式的に示す図である。ここで、正面側とは、インクジェット記録装置10を操作者(ユーザ、サービスマン等)が操作する際に位置する(立つ)側をいう。同図において、被記録媒体としてのシートSは搬送ユニット11によって右から左に搬送される。つまり、シート搬送方向は同図中の左右方向となっている。図2は、インクジェット記録装置10を前側左斜め上方から見た斜視図であり、搬送ユニット11が退避位置Bに配置され、メンテナンスユニット13が待機位置Eに配置された状態を示している。図3は、図2に示す状態からメンテナンスユニット13が後方に移動されて作動位置Fに配置された状態を示している。図4は、図3に示すインクジェットヘッドH近傍の拡大図である。図5は、移動機構14を前側右斜め上方から見た斜視図である。図6(a)〜(d)は、インクジェット記録装置10を、図2,図3とほぼ同方向から見た図であり、(a)は搬送ユニット11が印字位置Aに配置され、また、メンテナンスユニット13が待機位置Eに配置された状態を示している。(b)は、(a)の状態から搬送ユニット11が退避位置Bに配置された状態を示している。(c)は、(b)の状態からメンテナンスユニット13が作動位置Fに配置された状態を示している。(d)は、(c)に示す状態から搬送ユニット11が上昇されて押圧位置Cに配置され、キャップ部材45がキャップ位置Iに配置されてノズル面Nに密着された状態を示している。
【0024】
インクジェット記録装置10は、図1に示すシートSを搬送する搬送ユニット11と、この搬送ユニット11によって搬送されるシートSに印字を行う複数のインクジェットヘッドH(H1〜H12)と、搬送ユニット11を昇降させる昇降機構12と、インクジェットヘッドHのメンテナンスを行うメンテナンスユニット13と、このメンテナンスユニット13を移動させる移動機構14とを備えている。なお、以下の説明において、個々のインクジェットヘッドH1〜H12を特に区別する必要がない場合、及びインクジェットヘッドを総称して呼ぶ場合には、単に、「インクジェットヘッドH」というものとする。
【0025】
搬送ユニット11は、シートSを担持して搬送する搬送ベルト20を有している。搬送ベルト20は、駆動ローラ21と従動ローラ22とテンションローラ23とに無端状に張架されており、そのベルト幅(通紙幅方向の寸法)は、印字に供される通紙幅が最大のシートS(例えば、A3サイズ)のその通紙幅よりも大きく設定されている。搬送ベルト20は、駆動ローラ21がモータ24によって矢印R21方向に回転されることにより、矢印R20方向に回転する。搬送ベルト20における従動ローラ22の下流側で、かつ駆動ローラ21の上流側に位置する部分の表面側は、シートSを担持して搬送するシート担持面20aとなっている。搬送ベルト20におけるシート担持面の裏面側には、平板状の搬送ガイド25が配設されている。搬送ベルト20は、回転駆動される際、シート担持面20aの裏面20bを搬送ガイド25に摺擦させながら回転される。これにより、シート担持面20aに担持されて搬送されるシートSと後述するインクジェットヘッドHのノズルnとの間隔が高い精度で保持されて、高品位の印字が行えるようになっている。上述の搬送ベルト20、駆動ローラ21、従動ローラ22、テンションローラ23、モータ24、搬送ガイド25は、搬送フレーム26(図1中の二点鎖線で図示)によって一体的に保持されており、全体として搬送ユニット11を構成している。搬送ユニット11は、昇降ガイド(不図示)によって上下方向移動可能にガイドされており、後述する昇降機構12によって、それぞれ上下方向の位置が異なる3つの位置、すなわち図1,図6(a)に示す印字位置A、図2,図3,図6(b),(c)に示す退避位置B、図6(d)に示す押圧位置Cに配置される。ここで、印字位置Aは、シートSに印字が行われる際の位置である。また、退避位置Bは、下降してインクジェットヘッドHのノズル面Nとの間に、メンテナンスユニット挿入空間Dを構成して、メンテナンスユニット13の挿入を可能とする位置である。また、押圧位置Cは、メンテナンスユニット13を押し上げて、後述するキャップ部材45でノズルnを密閉する位置である。
【0026】
図1に示すように、搬送ユニット11の下方には、給紙カセット30が配設されている。給紙カセット30には、印字に供されるシートSが積層状態で収納されている。給紙カセット30内の最上位のシートSは、給紙ローラ31の矢印方向の回転によって給紙され、給送ローラ32、リタードローラ33によって1枚だけ分離されて下流側に配送される。さらに、搬送ガイド34に沿って搬送され、レジストローラ対35によって斜行が防止された後、搬送ベルト20に供給される。シートSは、この際、帯電バイアスが印加された吸着ローラ36によって電荷が付与され、搬送ベルト20のシート担持面20aに静電的に吸着される。吸着されたシートSは、搬送ベルト20の回転よって、順次、インクジェットヘッドHの下方を通過する際に、インクジェットヘッドHのノズルnからインクが吹き付けられて印字が行われる。シート搬送方向に沿っての搬送ユニット11の下流側には、印字が終了したシートSが排出される排出トレイ37が配設されている。
【0027】
インクジェットヘッドH全体は、本実施形態では、図1〜図3に示すように、12個のインクジェットヘッドH1〜H12によって構成されている。これは、インクジェット記録装置10が4色フルカラーであり、各色ごとに3個のインクジェットヘッドHを設けたことによる。各インクジェットヘッドHは、同じ構造を有していて、通紙幅方向(前後方向)に長い直方体状に形成されている。各インクジェットヘッドHは、上述の搬送ベルト20のシート担持面20aに対面する平面状のノズル面Nを有していて、このノズル面Nには、インクを吐出するための多数のノズルnが通紙幅方向に沿ってライン状に整列されている。ノズルnは、例えばインクジェット記録装置10の解像度が600dpi(ドット/インチ:1インチ当たりのドット数)である場合には、その直径が20μm程度であり、隣接する2つのノズルn,n間のピッチが40μm程度となる。なお、ライン状に整列されたノズルnとしては、通紙幅方向に1列に直線状に整列されたものであっても、また、通紙幅方向に千鳥状に整列されたものであってもよい。
【0028】
図1に示すように、12個のインクジェットヘッドH1〜H12は、シート搬送方向(左右方向)に沿って、オーバーラップすることなく、上流側から順に、ブラックKのインクジェットヘッドH1,H2,H3、シアンCのインクジェットヘッドH4,H5,H6、マゼンタMのインクジェットヘッドH7,H8,H9、イエローYのインクジェットヘッドH10,H11,H12の順に配設されている。また、各色ごとの3個のインクジェットヘッドHは、それぞれの色において最も上流側に配置されるインクジェットヘッドH1,H4,H7,H10が通紙幅方向の最も後部(奥側)に配置され、次に上流側に配置されるインクジェットヘッドH2,H5,H8,H11が中間部に配置され、最も下流側に配置されるインクジェットヘッドH3,H6,H9,H12が最も前部(手前側)に配置されている。通紙幅方向については、各色ごとの3個のインクジェットヘッドHは、中間部に位置するインクジェットヘッドHの後端及び前端が、後部に位置するインクジェットヘッドHの前端、及び前部に位置するインクジェットヘッドHの後端とオーバーラップするように配置されている。ただし、各色の3個のインクジェットヘッドHのノズルnは、オーバーラップすることなく、配設されている。すなわち、各色について3個のインクジェットヘッドHの複数のノズルnは、印字部Pの前端から後端まで、すべて等間隔で配置されている。なお、インクジェットヘッドH全体は、保持フレーム40(図1中の二点鎖線参照)を介してインクジェット記録装置本体(不図示)によって支持されている。ここで、印字部Pとは、インクジェットヘッドHによってシートSに対して印字が行われる領域のことをいうものとする。印字部Pは、具体的には、シート搬送方向(左右方向)については、図1に示すように、最も上流側のインクジェットヘッドH1の上流側の端部から、最も下流側のインクジェットヘッドH12の下流側の端部までの範囲であり、通紙幅方向(前後方向)については、図2に示すインクジェットヘッドH1の後端からインクジェットヘッドH3の前端までの範囲である。
【0029】
昇降機構12は、図1に示すように、搬送ユニット11全体を昇降させるものである。昇降機構12は、搬送ユニット11の搬送フレーム26の下面の4隅に当接された複数の偏心カム41と、昇降モータ42と、昇降モータ42の回転を複数の偏心カム41に同期して伝達する伝達機構(不図示)とを有している。昇降機構12は、昇降モータ42を正回転させることにより、搬送ユニット11を徐々に下降させ、また、逆に昇降モータ42を逆回転させることにより、搬送ユニット11を徐々に上昇させることができる。これにより、搬送ユニット11を印字時には図6(a)に示す印字位置Aに配置し、また、予備吐出及び清掃部材44によるインクの払拭時には、図6(b),(c)に示す退避位置Bに配置し、また、ノズルnの密閉時には、図6(d)に示す押圧位置Cにキャップ部材45を押し上げてキャップ部材45によるノズルnの密閉を行うことができる。
【0030】
メンテナンスユニット13は、図2〜図4に示すように、本実施形態では各インクジェットヘッドH1〜H12に対応して1つのメンテナンスユニット13が配設され、合計12個のメンテナンスユニット13が設けられている。各メンテナンスユニット13は、各インクジェットヘッドHが同形であるのに対応して、同形に形成されている。図4に示すように、各メンテナンスユニット13は、後述する移動機構14によって通紙幅方向に移動される移動ベース43と、移動ベース43に搭載された清掃部材44及びキャップ部材45とを備えている。
【0031】
移動ベース43は、図4に示すように、通紙幅方向の寸法が、インクジェットヘッドHのそれよりも長く、シート搬送方向の寸法が、インクジェットヘッドHのそれとほぼ同じに形成されている。移動ベース43は、上方に向けて開口された容器状に形成されていて、通紙幅方向の前端側には、昇降ガイド47が形成されている。また、中間部にはキャップ部材収納部48が、後端部には、清掃部材収納部50及びモータ収納部51が設けられている。昇降ガイド47は、移動ベース43の前端側において、左右方向に相互に対面する一対の壁状部材47a,47bによって形成されていて、相互に対面する内面には、それぞれ上下方向に凸状ガイド47cが形成されている。ただし、図3,図4では、左側の凸状ガイ47cドのみを図示している。キャップ部材収納部48は、メンテナンスユニット13が図4に示す作動位置Fに配置された際に、ノズル面Nの下方に対応する位置に設けてあり、ここには後述するキャップ部材45が収納される。清掃部材収納部50には、後述する清掃部材44の回転中心となる左右方向の軸44aを回転自在に支持する軸受部(不図示)が設けてある。清掃部材収納部50の後側には、伝達機構(不図示)を介して清掃部材44を揺動させるモータ52が収納されている。
【0032】
キャップ部材45は、底部(不図示)及び4つの側壁45a,45b,45c,45dを有する、上方に開口された直方体状に形成されている。4つの側壁45a〜45dの上端縁45eは、額縁状に形成されていて、これらの内側には、開口部45fが形成されている。キャップ部材45の開口部45fの大きさは、上端縁45eがノズル面Nよりも少し小さく形成されていて、上端縁45eをノズル面Nに当接させたときに、ノズル面Nの複数のノズルnが上端縁45eの内側に収まるようになっている。キャップ部材45は、印字時には、メンテナンスユニット13が図2,図6(a)に示す待機位置Eに配置されるのに伴って退避する。また、予備吐出時には、メンテナンスユニット13が図3,図6(c)に示す作動位置Fに配置されるのに伴って、インクジェットヘッドHの下方の受け止め位置Gに位置する。また、キャップ時には、図6(d)に示すように、メンテナンスユニット13が搬送ユニット11によって上昇されることにより、ノズル面Nに密着されるキャップ位置Iに配置される。
【0033】
清掃部材44は、移動ベース43に搭載されるとともに、メンテナンスユニット13が、図3,図4に示す作動位置Fに配置された状態において、インクジェットヘッドH及びキャップ部材45よりも後側に位置するようになっている。清掃部材44は、弾性を有する板状の部材によって形成されていて、シート搬送方向(左右方向)に向いた軸44aを有していて、後方に配置されたモータ52によって伝達機構(不図示)を介して軸44aを中心に揺動されるようになっている。清掃部材44は、キャップ部材45がノズル面Nに密着されるキャップ位置Iに配置された際には、ほぼ水平又は水平に対して少し傾斜した倒伏姿勢をとる。キャップ部材45は、この倒伏姿勢において、先端がノズル面Nに接触しないようになっている。一方、清掃部材44は、ノズル面Nの清掃時には、モータ52の回転によって、図4に示すように、少し傾斜した起立姿勢をとり、清掃部材44の先端がノズル面Nを清掃するのに適正な位置となる。キャップ部材44は、ノズル面Nの清掃が終了すると、モータ52の回転により、上述の倒伏姿勢に戻される。これにより、ノズル面Nに付着しているインクが払拭される。以上説明した移動ベース43、清掃部材44、キャップ部材45等を有するメンテナンスユニット13は、次に説明する移動機構14によって、図2に示す待機位置Eと、図3に示す作動位置Fとに配置される。待機位置Eは、搬送ベルト20の前端から外れて前側に設定されており、作動位置Fは、各インクジェットヘッドH1〜H12の下方に設定されている。
【0034】
移動機構14は、図2,図3に示すように、各移動ベース43に係合されたナット部材53と、通紙幅方向に配設されるとともに各ナット部材53に螺合するねじ部材54と、ねじ部材54を正逆回転させる移動モータ55,56,57とを有している。本実施形態では、ナット部材53としてのボールねじナットと、ねじ部材としてのボールねじ軸とによって、ボールねじを構成している。
【0035】
ナット部材は、図4に示すように、ブロック状に形成されていて、左側面と右側面とには、上下方向に向けて、溝状の凹状ガイド53a,53bが形成されている。この凹状ガイド53a,53bには、上述の移動ベース43の凸状ガイド47c等が係合されていて、上下方向にスライドできるようになっている。これにより、メンテナンスユニット13全体が、上下方向に移動可能にガイドされている。つまり、ナット部材53は、メンテナンスユニット13の上下方向の移動をガイドするガイド部材としても作用する。ナット部材53の下面とメンテナンスユニット13の前端側の上面との間には、ばね部材(圧縮ばね)58が介装されている。ばね部材58は、ナット部材53からメンテナンスユニット13が脱落するのを防止するとともに、ナット部材53に対してメンテナンスユニット13が離れる方向に付勢している。これにより、メンテナンスユニット13は、図3,図4に示す作動位置Fに配置された際に、インクジェットヘッドHのノズル面Nからキャップ部材45の上端縁45eを離間させるようになっている。ナット部材53の上端近傍には、前後方向に向けてガイド孔53cが穿設され、これよりも少し下方にはこれと平行にねじ孔53dが穿設されている。ガイド孔53cには、前後方向に向けたガイドシャフト59が貫通されていて、ガイドシャフト59の後端は、インクジェットヘッドHの前面に取り付けられた受け部材60に固定されている。上述のように、各色ごとの3個のインクジェットヘッドHが、通紙幅方向に沿っての後部、中間部、前部に配置されていて、各色の3本のガイドシャフト59は、その後端が、インクジェットヘッドHの前面の受け部材60まで延長されている。なお、各ガイドシャフト59の前端は、通紙幅方向の同じ位置に配置されていて、インクジェット記録装置本体(不図示)の一部によって支持されている。ナット部材53は、ガイドシャフト59にガイドされて前後方向に移動できるようになっている。上述のねじ孔53dには、ねじ部材54が螺合されていて、ナット部材53は、後述する移動モータ55,56,57の回転によるねじ部材54の回転より、図3に示す位置に移動してメンテナンスユニット13を作動位置Fに配置し、また、図4に示す位置に移動してメンテナンスユニット13を待機位置Eに配置するようになっている。
【0036】
ねじ部材54は、図2に示すように、上述のガイドシャフト59の下方においてこれと平行に配設されている。ねじ部材54は、その後端が、上述のインクジェットヘッドHの前面の受け部材60によって回転自在に支持され、前端側が、軸受(不図示)によって回転自在に支持されるとともに、中間部に上述のナット部材53が螺合されている。ねじ部材54の前端側には、後述する従動プーリが取り付けられている。
【0037】
図2,図3,図5に示すように、本実施形態では、12個のメンテナンスユニット13を移動させるために3個の移動モータ55,56,57が配設されている。上述のように、12個のインクジェットヘッドH1〜H12は、シート搬送方向(左右方向)の位置については、上流側から下流側にかけて順に配置されている。また、通紙幅方向(前後方向)の位置については、インクジェットヘッドH1,H4,H7,H10が後部(奥側)に配置され、インクジェットヘッドH2,H5,H8,H11が中間部に配置され、インクジェットヘッドH3,H6,H9,H12が前部(前側)に配置されている。そして、図3に示すように、メンテナンスユニット13は、これらインクジェットヘッドH1〜H12のそれぞれに対応して設けられており、作動位置Fが各インクジェットヘッドH1〜H12の下方となるように設定され、待機位置Eが搬送ベルト20の前端から外れた位置に設定されている。この待機位置Eについては、通紙幅方向の位置が、12個のメンテナンスユニット13のすべてが同じ位置になるように設定されている。したがって、待機位置Eと作動位置Fとの間で移動するメンテナンスユニット13は、後部に位置するインクジェットヘッドH1,H4,H7,H10に対応するメンテナンスユニット13の移動距離が長く、中間部に位置するインクジェットヘッドH2,H5,H8,H11に対応するメンテナンスユニット13の移動距離が中くらいで、前部に位置するインクジェットヘッドH3,H6,H9,H12に対応するメンテナンスユニット13の移動距離が短くなるように構成されている。これら3種類の移動距離に応じて、3個の移動モータ55,56,57が使い分けられている。
【0038】
図5に示すように、3個の移動モータ55,56,57のうち、最も上流側(同図中の右側)に配設された移動モータ55の出力軸(不図示)には駆動プーリ55aが固定されていて、この駆動プーリ55aと2個の中間プーリ55b,55cとの間には、タイミングベルト55dが張架されている。2個の中間プーリ55b,55cのうち、中間プーリ55bと2個の従動プーリ55e,55fとの間にはタイミングベルト55gが張架されている。一方、中間プーリ55cと2個の従動プーリ55h,55iとの間にはタイミングベルト55jが張架されている。これにより、移動モータ55が回転すると、従動プーリ55e,55f,55h,55iが固定されている4本のねじ部材54が回転される。これら4本のねじ部材54は、上流側から順に、インクジェットヘッドH1,H4,H7,H10のそれぞれ対応する4つのメンテナンスユニット13を通紙幅方向(前後方向)に移動させるものである。これらのメンテナンスユニット13は、待機位置Eから作動位置F間での移動距離が最も長くなる。
【0039】
3個の移動モータ55,56,57のうち、次に上流側に配設された移動モータ56の出力軸(不図示)には駆動プーリ56aが固定されていて、この駆動プーリ56aと2個の中間プーリ56b,56cとの間には、タイミングベルト56dが張架されている。2個の中間プーリ56b,56cのうち、中間プーリ56bと2個の従動プーリ56e,56fとの間にはタイミングベルト56gが張架されている。一方、中間プーリ56cと2個の従動プーリ56h,56iとの間にはタイミングベルト56jが張架されている。これにより、移動モータ56が回転すると、従動プーリ56e,56f,56h,56iが固定されている4本のねじ部材54が回転される。これら4本のねじ部材54は、上流側から順に、インクジェットヘッドH2,H5,H8,H11のそれぞれ対応する4つのメンテナンスユニット13を通紙幅方向(前後方向)に移動させるものである。これらのメンテナンスユニット13は、待機位置Eから作動位置F間での移動距離が中程度となる。
【0040】
3個の移動モータ55,56,57のうち、最も下流側(同図中の左側)に配設された移動モータ57の出力軸(不図示)には駆動プーリ57aが固定されていて、この駆動プーリ57aと2個の中間プーリ57b,57cとの間には、タイミングベルト57dが張架されている。2個の中間プーリ57b,57cのうち、中間プーリ57bと2個の従動プーリ57e,57fとの間にはタイミングベルト57gが張架されている。一方、中間プーリ57cと2個の従動プーリ57h,57iとの間にはタイミングベルト57jが張架されている。これにより、移動モータ57が回転すると、従動プーリ57e,57f,57h,57iが固定されている4本のねじ部材54が回転される。これら4本のねじ部材54は、上流側から順に、インクジェットヘッドH3,H6,H9,h12のそれぞれ対応する4つのメンテナンスユニット13を通紙幅方向(前後方向)に移動させるものである。これらのメンテナンスユニット13は、待機位置Eから作動位置F間での移動距離が最も短くなる。
【0041】
上述構成のインクジェット記録装置10において、印字時には、図1,図6(a)に示すように、搬送ユニット11は、昇降機構12により印字位置Aに配置され、搬送ベルト20とインクジェットヘッドHとの間には、印字部Pが構成される。また、図6(a)に示すように、12個のメンテナンスユニット13は、印字部Pの前側の待機位置Eに配置される。この際、各メンテナンスユニット13は、搬送ベルト20の前端近傍から前側に突出されることになるが、各色のインクジェットヘッドHが、通紙幅方向に長い1個のインクジェットヘッドHで形成されているのではなく、各色のインクジェットヘッドHが3分割されていて、1個のインクジェットヘッドHの通紙幅方向(前後方向)の長さ寸法が短く設定されているので、これに対応して、メンテナンスユニット13の通紙幅方向の長さ寸法を短く抑えることができる。これにより、インクジェット記録装置10の通紙幅方向(前後方向)の長さ寸法を抑制することができる。
【0042】
上述のように、メンテナンスユニット13が退避位置Eに配置され、搬送ユニット11が印字位置Aに配置された状態で、シートSに対する印字が行われる。給紙カセット30から供給されたシートSは、搬送ベルト20のシート担持面20aに担持されて搬送される。シートSは、搬送されながら、インクジェットヘッドH1〜H3のノズルnからブラック(K)のインクが吹き付けられる。さらに、インクジェットヘッドH4〜H6のノズルnからシアン(C)のインク、インクジェットヘッドH7〜H9のノズルnからマゼンタ(M)のインク、インクジェットヘッドH10〜H12からイエロー(Y)のインクが吹き付けられて、4色フルカラーの印字が行われる。印字が終了したシートSは、排紙トレイ37上に排出される。以上の動作が繰り返されて、所定枚数の印字が行われる。
【0043】
印字が終了すると、インクの増粘、乾燥を防止するため、インクジェットヘッドHのノズル面Nにキャップ部材45が取り付けられる。まず、図1に示す昇降機構12の昇降モータ42が回転することにより、偏心カム41が回転し、印字位置Aにあった搬送ユニット11が下降して、図2,図6(b)に示す退避位置Bに配置される。これにより、搬送ベルト20のシート担持面20aとインクジェットヘッドHのノズル面Nとの間が離間されて、メンテナンスユニット挿入空間Dが構成される。
【0044】
つづいて、移動機構12の移動モータ55,56,57が回転し、タイミングベルト55d,56d,57d等を介して、12個の従動プーリ55e,55f,55h,55i,56e,56f,56h,56i,57e,57f,57h,57iが回転し、これらが固定されている12本のねじ部材54が回転される。これにより、12個のメンテナンスユニット13の移動が開始される。これらメンテナンスユニット13のうち、待機位置Eから作動位置Fまでの移動距離の少ない4個のメンテナンスユニット13が、それぞれインクジェットヘッドH3,H6,H9,H12の下方の作動位置Fに配置され、移動モータ57の回転が停止される。次に、移動距離が中くらいの4個のメンテナンスユニット13が、それぞれインクジェットヘッドH2,H5,H8,H11の下方の作動位置Fに配置され、移動モータ56の回転が停止される。そして、最後に、移動距離が一番長い4個のメンテナンスユニット13が、それぞれインクジェットヘッドH1,H4,H7,H10の下方の作動位置Fに配置され、移動モータ55の回転が停止される。以上で、12個のメンテナンスユニット13がそれぞれインクジェットヘッドH1〜H12の下方の作動位置Fに配置される。
【0045】
つづいて、図1に示す昇降機構12の昇降モータ42が回転され、偏心カム12が回転されて、搬送ユニット11が図6(d)に示す押圧位置Cに押し上げられる。これにより、キャップ部材45押し上げられて、上端縁45eがインクジェットヘッドHのノズル面Nに密着され、ノズルnが密閉される。このようにノズルnが密閉されるため、インクの増粘や乾燥を防止することができる。このキャップ部材45によるノズルnの密閉は、印字動作が再開されるまで続けられる。
【0046】
印字が再開される際には、予備吐出が行われる。まず、図6(d)の押圧位置Cにあった搬送ユニット11は、昇降機構委12により、図6(c)に示す退避位置B間で下げられる。これにより、インクジェットヘッドHのノズル面Nに密着されていたキャップ部材45が下降されて密着が解除される。この状態で、各インクジェットヘッドHのノズルnからインクを吐出させて、キャップ部材45で受け止める。これにより、増粘、乾燥していたインクがインクともにはき出されてキャップ部材45内に回収される。
【0047】
以上の予備吐出が終了したら、昇降機構12によって搬送ユニット11を少し上昇させ、モータ52を回転させて、清掃部材44を起立させ、メンテナンスユニット13を待機位置Eに向けて移動させた際に、清掃部材44の先端がノズル面Nに接触するようにする。この状態で、移動モータ55,56,57を回転させて、各メンテナンスユニット13を作動位置Fから待機位置Eに向けて移動させる。これにより、予備吐出時にノズル面Nに付着したインクを清掃部材44によって払拭することができる。メンテナンスユニット13が待機位置Eに到達したら、移動モータ55,56,57を停止させる。そして、昇降機構12により、搬送ユニット12を印字位置Aに上昇させる。以上で、印字の準備が終了する。
【0048】
以上説明したインクジェット記録装置10によると、簡単な構成で、予備吐出、ノズル面Nの清掃、ノズルnの密閉を行うことができる。すなわち、予備吐出及びノズルnの密閉に使用されるキャップ部材45と、清掃部材44は、移動ベース43に搭載されてメンテナンスユニット13を構成しており、このメンテナンスユニット13を、移動機構により通紙幅方向(前後方向)に移動させ、また、昇降機構12によって上下方向に移動させることで、上述の予備吐出、ノズル面Nの清掃、ノズルnの密閉を行うことができる。
【0049】
上述の実施形態においては、待機位置Eと作用位置Fとの間の移動距離が等しい4個のメンテナンスユニット13を1つの移動モータで移動させ、合計12個のメンテナンスユニット13を合計3個のモータ55,56,57で移動させているので、モータの配設個数を低減することができるのに加え、メンテナンスユニット13を待機位置Eと作用位置Fとの間で移動させる際の移動モータ55,56,57の回転制御を簡略化することができる。
【0050】
上述では、昇降機構12として、偏心カム41を利用した機構を採用しているが、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば、リンク機構(不図示)を使用して、搬送ユニット11を昇降させるようにしてもよい。
【0051】
なお、以上の実施形態では、1色について3個のインクジェットヘッドHを有する場合について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、1色について1個のインクジェットヘッドHを有する場合、あるいは上述の3個を含む、2個以上のインクジェットヘッドHを有する場合についても適用することができ、適用した場合にはほぼ同等の効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、インクジェット記録装置に限定されず、予備吐出、ノズル面の清掃、ノズルの密閉等が必要な一般的な装置に対しても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】インクジェット記録装置全体を、正面側(前側)から見て模式的に示す図である。
【図2】インクジェット記録装置を前側左斜め上方から見た斜視図であり、搬送ユニットが退避位置Cに配置され、メンテナンスユニットが待機位置Eに配置された状態を示している。
【図3】図2に示す状態からメンテナンスユニットが後方に移動されて作動位置Fに配置された状態を示している。
【図4】図3に示すインクジェットヘッド近傍の拡大図である。
【図5】移動機構を前側右斜め上方から見た斜視図である。
【図6】(a)〜(d)は、インクジェット記録装置を、図2,図3とほぼ同方向から見た図であり、(a)は搬送ユニットが印字位置Aに配置され、また、メンテナンスユニットが待機位置Eに配置された状態を示し、(b)は、(a)の状態から搬送ユニットが退避位置Bに配置された状態を示し、(c)は、(b)の状態からメンテナンスユニットが作動位置Fに配置された状態を示し、(d)は、(c)に示す状態から搬送ユニットが上昇されて押圧位置Cに配置され、キャップ部材がキャップ位置Iに配置されてノズル面に密着された状態を示している。
【符号の説明】
【0054】
10……インクジェット記録装置、11……搬送ユニット、12……昇降機構、13……メンテナンスユニット、14……移動機構、41……偏心カム、42……昇降モータ、43……移動ベース、44……清掃部材、45……キャップ部材、53……ナット部材、54……ねじ部材、55,56,57……移動モータ、A……印字位置、B……退避位置、C……押圧位置、Dメンテナンスユニット挿入空間、E……待機位置、F……作動位置、G……受け止め位置、H,H1〜H12……インクジェットヘッド、I……キャップ位置、N……ノズル面、n……ノズル、P……印字部、S……シート(被記録媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体を搬送する搬送ユニットと、前記搬送ユニットと対面する位置に配置され、前記搬送ユニットによって搬送される被記録媒体にインクを吐出することによって画像を形成するインクジェットヘッドとを備えるインクジェット記録装置において、
画像形成位置と退避位置の間で搬送ユニットを昇降させる昇降機構と、
前記印字部の外側の待機位置と、前記搬送ユニットが退避位置に移動した後に前記インクジェットヘッドと対面する作動位置と、を移動可能なメンテナンスユニットと、
前記メンテナンスユニットを前記待機位置と前記作動位置との間で移動させる移動機構と、を備え、
前記メンテナンスユニットは、
前記移動機構によって前記待機位置と前記作動位置との間を移動される移動ベースと、前記移動ベースに搭載されて前記インクジェットヘッドのノズル面に摺擦される清掃部材と、前記移動ベースに搭載されて前記ノズル面に密着されて前記ノズルを密閉するキャップ位置と前記ノズル面から離間されて前記ノズルから吐出されたインクを受け止める受け止め位置とをとるキャップ部材と、を有する、
ことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記キャップ部材は、前記移動ベースが前記作動配置された状態において前記受け止め位置をとり、前記昇降機構の上昇によって押し上げられて前記キャップ位置をとり、
前記清掃部材は、前記移動機構によって前記移動ベースが移動される際に前記ノズル面に摺擦される、
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記キャップ位置は、前記画像形成位置と前記退避位置の間にある、
ことを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記移動機構は、前記移動ベースに係合されたナット部材と、前記通紙幅方向に配設されるとともに前記ナット部材に螺合するねじ部材と、前記ねじ部材を正逆回転させる移動モータと、を有する、
ことを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記昇降機構は、前記搬送ユニットに下方から当接された偏心カムと、前記偏心カムを正逆回転させる昇降モータと、を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
それぞれ異なる色の印字を行う複数の前記インクジェットヘッドが前記被記録媒体搬送方向に複数配設され、
前記複数のインクジェットヘッドのそれぞれに対応するように前記メンテナンスユニットが複数設けられている、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
各色の前記インクジェットヘッドが、前記通紙幅方向に複数に分割されていて、これらインクジェットヘッドが前記被記録媒体搬送方向の異なる位置に配置され、それぞれの前記インクジェットヘッドに対して、前記メンテナンスユニットが設けられている、
ことを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記複数のメンテナンスユニットのうち、各色の前記被記録媒体搬送方向に垂直な位置が同じ位置に配置された前記インクジェットヘッドに対応する前記メンテナンスユニットは、それぞれ同一の駆動部材によって駆動される、
ことを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−107221(P2009−107221A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−281883(P2007−281883)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】