説明

インクジェット記録装置

【課題】ノズルから吐出される液滴が毎回どの方向に曲がるか予想できない場合でも、液滴の曲がりを修正し、液滴の着弾精度を確保することのできるインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】記録用インクが供給される少なくとも1つの主液滴用ノズルAと、該主液滴用ノズルに隣接して、着弾修正用インクが供給される複数の副液滴用ノズルBとを有するノズル面と、主液滴用ノズルAから主液滴を吐出させ、副液滴用ノズルBから着弾修正用の副液滴を吐出させる液滴吐出手段と、主液滴及び副液滴を同極に帯電させる液滴帯電手段と、主液滴と副液滴とが、インクジェットヘッドと着弾対象物との間で同時に飛翔して存在し得るように、液滴吐出手段を制御する吐出制御手段とを備え、ノズル面における主液滴用ノズルAの中心は、複数の副液滴用ノズルBに対して所定の条件を満たす点P上又はその近傍に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェット記録装置に関し、詳しくは、ノズルから吐出された液滴の曲がりを制御することにより、液滴の曲がりが予想できない場合でも精度の良い記録を可能とするインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置は、インクジェットヘッドに供給されるインクをノズルから微小な液滴として吐出し、記録紙等の着弾対象物に着弾させることによって各種の記録を行う。従って、液滴の着弾精度が記録品質に大きな影響を与えることになる。液滴の着弾精度が悪くなるパターンとしては、液滴体積を1pl(ピコリットル)以下に小さくする場合や、ボールスペーサーを含むインクのようにある程度大きな固形物を含むインクを使用する場合がある。
【0003】
従来、着弾精度を向上させる方法としては、インクを帯電させて静電吸引する方法が知られている(特許文献1、2)。この静電吸引方式は、図15に示すように、インクジェットヘッドのノズルから吐出された液滴を静電気力によってY方向(着弾対象物方向)に引っ張ることにより、X方向成分(曲がり方向成分)を相対的に小さくし、着弾精度を向上させる手法である。
【特許文献1】特開2004−114370号公報
【特許文献2】特開2005−136151号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インクジェットヘッドの着弾に関しては、次の2つのパターンが存在する。すなわち、毎回同じ方向に曲がる場合(パターン1)と、どの方向に曲がるか予想できない場合(パターン2)である。
【0005】
パターン1の場合は、液滴は毎回同じ位置に着弾することになるので、比較的いろいろな方法によって、許容できる程度の着弾精度を確保することが可能である。しかし、パターン2の場合は、液滴の着弾位置が吐出毎に異なってくるため、着弾精度を確保することが困難となる。特にボールスペーサーを含むインクのような大きな固形物を含む液滴を吐出する場合には、静電吸引方式を採用しても十分に曲がりを修正することができず、満足のいく着弾精度を得ることができない問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、ノズルから吐出される液滴が毎回どの方向に曲がるか予想できない場合でも、液滴の曲がりを修正し、液滴の着弾精度を確保することのできるインクジェット記録装置を提供することを課題とする。
【0007】
本発明の他の課題は、以下の記載により明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0009】
請求項1記載の発明は、記録用インクが供給される少なくとも1つの主液滴用ノズルと、該主液滴用ノズルに隣接して、着弾修正用インクが供給される複数の副液滴用ノズルとを有するノズル面と、前記主液滴用ノズルから主液滴を吐出させると共に前記副液滴用ノズルから前記主液滴の着弾修正用の副液滴を吐出させる液滴吐出手段と、前記主液滴及び前記副液滴をそれぞれ同極に帯電させる液滴帯電手段と、前記主液滴と前記副液滴とが、前記インクジェットヘッドと着弾対象物との間で同時に飛翔して存在し得るように、前記液滴吐出手段を制御する吐出制御手段とを備えており、前記ノズル面における前記主液滴用ノズルの中心は、複数の前記副液滴用ノズルに対して下記条件式(1)を満たす点P上又はその近傍に配置されていることを特徴とするインクジェット記録装置である。
条件式(1)
【数2】

但し、
:点Pと副液滴用ノズルの中心との間の距離
N:副液滴用ノズルの数
ε:真空の誘電率
:副液滴の帯電量(但し、ΣQ≠0)
【0010】
請求項2記載の発明は、1つの前記主液滴用ノズルに対して、前記副液滴用ノズルが該主液滴用ノズルを間に挟むように2つ配置されており、前記点P及び前記主液滴用ノズルの中心は、前記ノズル面において2つの前記副液滴用ノズルの中心を結ぶ直線上に共に配置されていることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置である。
【0011】
請求項3記載の発明は、1つの前記主液滴用ノズルに対して、前記副液滴用ノズルが該主液滴用ノズルの周囲に3つ以上配置されており、前記点P及び前記主液滴用ノズルの中心は、前記ノズル面において前記副液滴用ノズルの中心を結ぶ領域の外周縁よりも内側に共に存在していることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置である。
【0012】
請求項4記載の発明は、前記ノズル面における前記主液滴用ノズルの中心と前記点Pとの間の離間距離は、10μm以下であることを特徴とする請求項1、2又は3記載のインクジェット記録装置である。
【0013】
請求項5記載の発明は、前記吐出制御手段は、下記条件式(2)を満たすように前記液滴吐出手段を制御することを特徴とする請求項4記載のインクジェット記録装置である。
条件式(2)
−T-revise×0.03≦{T-land−(T-revise/2)×n}≦T-revise×0.03
但し、
-land:主液滴が着弾対象物に着弾するまでの時間
-revise:主液滴が修正される固有周期
n:1以上の整数
【0014】
請求項6記載の発明は、前記主液滴の液滴量は1pl以上であることを特徴とする請求項5記載のインクジェット記録装置である。
【0015】
請求項7記載の発明は、前記液滴帯電手段は、前記ノズル面と該ノズル面に対向して配置される対向電極との間に電界を形成することにより、前記主液滴及び前記副液滴をそれぞれ帯電させ、前記主液滴及び前記副液滴を前記対向電極に向けて静電吸引するものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェット記録装置である。
【0016】
請求項8記載の発明は、前記副液滴の液滴量が、前記主液滴の液滴量よりも大きいことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のインクジェット記録装置である。
【0017】
請求項9記載の発明は、前記副液滴用ノズルの径は、前記主液滴用ノズルの径よりも大きいことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のインクジェット記録装置である。
【0018】
請求項10記載の発明は、前記吐出制御手段は、前記主液滴用ノズル及び前記副液滴用ノズルからの吐出をそれぞれ個別に制御可能であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のインクジェット記録装置である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ノズルから吐出される液滴が毎回どの方向に曲がるか予想できない場合でも、液滴の曲がりを修正し、液滴の着弾精度を確保することのできるインクジェット記録装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0021】
図1は、本発明に係るインクジェット記録装置のインクジェットヘッドのノズル構成を説明する図であり、ノズル面の平面図を示している。
【0022】
ノズル面には主液滴用ノズルA及び副液滴用ノズルBとが配列される。主液滴用ノズルAは、吐出したインク滴(以下、主液滴という。)によって画像等の記録を行うためのノズルであり、例えばY、M、C、K等のような各色を発色させるための各種色材を含んだ記録用インクが供給される。通常、ノズル面には、多数の主液滴用ノズルAが配列されるが、ここでは説明の便宜上、1つの主液滴用ノズルAのみを示す。
【0023】
副液滴用ノズルBは、少なくとも1つの主液滴用ノズルAに隣接して複数配置される。副液滴用ノズルBは、主液滴用ノズルAから吐出される主液滴の着弾修正を行うことを目的としたインク滴(以下、副液滴という。)を吐出するノズルであり、主液滴用ノズルAとは独立に吐出制御される。この副液滴用ノズルBには、例えば透明インク等の着弾修正用インクが供給される。従って、そこから吐出された副液滴が着弾対象物上に着弾しても画像等の記録に寄与しない。この着弾修正用インクには揮発性を有するインクを用いることも好ましい。
【0024】
ここでは1つの主液滴用ノズルAに対してその周囲に4つの副液滴用ノズルB1〜B4を配置した例を示しているが、副液滴用ノズルBは1つの主液滴用ノズルAに対して2つ以上配置される。
【0025】
これら主液滴用ノズルA、副液滴用ノズルB1〜B4からは、図示しない吐出制御手段によって液滴吐出手段が駆動制御されることによってそれぞれ主液滴及び副液滴を吐出する。主液滴及び副液滴を吐出するための具体的な液滴吐出手段の態様は本発明において特に問わない。例えばインク室を隣接するインク室と区画している隔壁に、電気−機械変換素子である圧電素子を使用し、圧電素子をせん断変形させることによってインク室内のインクに吐出圧力を付与する態様、ピエゾ素子を用いてインク室に臨む振動板を動作させることによってインクに吐出圧力を付与する態様、静電気力を利用してインク室に臨む振動板を動作させることによってインクに吐出圧力を付与する態様、インク室内に設けられたヒータへの通電によってインク中に発生させた気泡の破裂作用を利用して吐出圧力を付与する態様等が挙げられる。
【0026】
図2は、かかるノズルの配置構成を有するインクジェットヘッドの一例を模式的に示している。ここでは液滴吐出手段は図示省略している。
【0027】
インクジェットヘッド1は、内部に主液滴を吐出するためのインク室10A及び副液滴を吐出するためのインク室10Bを備えている。インク室は図面の左右方向及び垂直方向にマトリックス状に多数並設される。
【0028】
インク室10Aにはインクタンク2Aから記録用インクが供給され、インク室10Bにはインクタンク2Bから着弾修正用インクが供給される。従って、液滴吐出手段の駆動により、ノズル面11に形成された主液滴用ノズルA及び副液滴用ノズルBから、それぞれ主液滴a、副液滴bを、対向配置される着弾対象物である記録メディアMに向けて吐出する。
【0029】
本発明において主液滴用ノズルA、副液滴用ノズルBからそれぞれ吐出される主液滴a、副液滴bの吐出速度、吐出タイミングは、吐出制御手段によって個別に制御可能とされる。吐出速度は、吐出制御手段によって例えば駆動電圧の値や駆動波形の形状を適宜調整することによって制御される。また、吐出タイミングは、吐出制御手段によって例えば駆動電圧を印加するタイミングを適宜調整することによって制御される。
【0030】
かかるインクジェットヘッド1において、各インク室10A、10Bの内部には、記録用インク及び着弾修正用インクを帯電させるための帯電用電極3が個別に配設されている。各帯電用電極3には帯電制御部4によって所定の電圧が印加される。
【0031】
また、ノズル面11の対向面側には、記録メディアMを間に挟んで対向電極5が配置されている。この対向電極5と帯電用電極3に電圧が印加されることによって、インクジェットヘッド1と対向電極5との間に電界が発生し、この電界によって記録用インク及び着弾修正用インクが同極に帯電し、吐出される主液滴a、副液滴bを対向電極5に向けて加速吸引する静電吸引方式のインクジェット記録装置を構成しており、本発明において好ましい態様を示している。
【0032】
本発明においては、記録メディアMに向けて吐出された1滴の主液滴aに対して、該主液滴aの着弾修正を行うための複数の副液滴bが、インクジェットヘッド1と記録メディアMとの間で同時に飛翔して存在し得るように、吐出制御手段が液滴吐出手段の駆動を制御することによって、主液滴用ノズルA及び副液滴用ノズルBからの吐出が制御される。ここで、同時に飛翔して存在し得るとは、着弾修正対象である主液滴aとその着弾修正用の複数の副液滴bとの全てが、ノズル面11から離れて飛翔しており、且つ、記録メディアMに着弾していない時間を有していることである。
【0033】
すなわち、図2に示すように、主液滴用ノズルAから1滴の主液滴aを吐出する場合、この主液滴用ノズルAに隣接する副液滴用ノズルB、Bからもそれぞれ副液滴b、bを、インクジェットヘッド1と記録メディアMとの間で、この主液滴aと副液滴b、bとが同時に飛翔して存在し得るように吐出する。吐出された主液滴a及び副液滴b、bは、好ましくは対向電極5によってY方向に吸引されながら記録メディアMに着弾することになるが、主液滴a及び副液滴b、bは同極に帯電しているため、共に飛翔している間、主液滴aと副液滴b、bとの間で互いに干渉し合う。これにより主液滴aは、常に着弾修正用の副液滴b、bの影響を受けながら飛翔して記録メディアMに着弾することになる。
【0034】
着弾修正対象となる主液滴aと着弾修正用の複数の副液滴bとは、以上のように、インクジェットヘッド1と記録メディアMとの間で同時に飛翔して存在し得るように、それぞれ吐出制御手段によって吐出が制御されればよいが、主液滴aと複数の副液滴bとの吐出を同時に行うことが好ましい。主液滴aの吐出開始時点から着弾修正用の副液滴bの影響を受けることができ、また、吐出制御も容易となるからである。吐出を同時に行うとは、主液滴用ノズルAと複数の副液滴用ノズルBに対する駆動電圧の印加タイミングを同時にすることである。なお、複数の副液滴bの吐出は、主液滴aに対する吐出タイミングに関わらず全て同時である。
【0035】
このようにして主液滴aが副液滴b、bの影響を受けながら飛翔して記録メディアMに着弾するようにするため、図1に示すように、ノズル面における主液滴用ノズルAの中心は、複数の副液滴用ノズルBに対して下記条件式(1)を満たす点P上又はその近傍に配置されていることが重要である。
【0036】
条件式(1)
【数3】

【0037】
ここで、
:点Pと副液滴用ノズルの中心との間の距離
N:副液滴用ノズルの数
ε:真空の誘電率
:副液滴の帯電量(但し、ΣQ≠0)
である。
【0038】
上記条件式(1)は、ノズル面11上の点Pから記録媒体Mに向けて下した垂線が、複数の副液滴用ノズルBから吐出される副液滴bからのクーロン力による反発力を均等に受ける、すなわち、同時に飛翔する複数の副液滴bが形成する静電ポテンシャル場の底に位置する条件を示している。図1は、この条件式(1)を満たす最も好ましいノズル配置態様を示しており、点Pと主液滴用ノズルAとが一致する態様である。
【0039】
主液滴用ノズルAから吐出される主液滴aは、その周囲の副液滴用ノズルB1〜B4からそれぞれ同時に吐出される4つの副液滴bからクーロン力の作用を受けることになり、4つの副液滴bが形成する静電ポテンシャル場の底を中心として減衰振動しながら記録メディアMに向かうことになる。よって、主液滴aの曲がり方向成分が静電ポテンシャル場の底に向けて修正され、主液滴aの着弾位置のばらつきを抑えることができる。これにより、どの方向に曲がるか予測ができない場合でも、着弾のばらつきを抑えることができる。
【0040】
副液滴用ノズルBから吐出される副液滴bの帯電量Qは、副液滴bの大きさ(液滴量)によって調整することができる。特に、着弾修正用の副液滴bは、主液滴aの曲がり方向成分を良好に減衰させる上では、それ自体の曲がり方向成分が小さいものであることが好ましく、このためには、クーロン力の影響を受けないために副液滴bを大きく(液滴量を大きく)することが好ましい。これにより液滴体積が増えるので帯電量Qも大きくなる。すなわち、着弾修正用となる副液滴bの安定化と主液滴aの修正のためには、副液滴bの大きさ(液滴量)を主液滴aよりも大きくして、帯電量Qを主液滴aの帯電量よりも大きくすることが好ましい。
【0041】
液滴の大きさ(液滴量)は、一般にはノズル径によって規定することができる。従って、同様に、主液滴aの曲がり方向成分を良好に減衰させ、それ自体の曲がり方向成分を小さくする上で、副液滴用ノズルBのノズル径を主液滴用ノズルAのノズル径よりも大きくすることが好ましい。
【0042】
ところで、上記条件式(1)を満たす点Pと主液滴用ノズルAの中心とは必ずしも一致していなくてもよく、例えば図3に示すように、主液滴用ノズルAの中心と点Pとは位置がずれて配置されていてもよい。すなわち、主液滴用ノズルAは点Pの近傍に配置される態様でもよい。
【0043】
この近傍について更に説明すれば、図1及び図3にそれぞれ示しているように、1つの主液滴用ノズルAに対して3つ以上の副液滴用ノズルBが配置される場合、副液滴用ノズルBの中心を結ぶ直線によってその内側に領域が形成される。従って、副液滴用ノズルBが3つ以上配置される場合において点Pの近傍に配置されるとは、上記領域の外周縁100よりも内側に、主液滴用ノズルAの中心と上記条件式(1)を満たす点Pとが共に存在していることである。「よりも内側」とは、外周縁100の直上は含まないことである。この外周縁100よりも内側に主液滴用ノズルAの中心と点Pとが共に存在していれば、主液滴aの曲がり方向成分は複数の副液滴bからの反発力を受けて減衰され、主液滴aの着弾位置のばらつきを抑えることができる。
【0044】
より好ましくは、主液滴用ノズルAの中心と点Pとの間の離間距離Dが10μm以下であることである。
【0045】
図4に示すように、1つの主液滴用ノズルAに対して2つの副液滴用ノズルB1、B2が配置される場合は、それら2つの副液滴用ノズルB1、B2は主液滴用ノズルAを間に挟むように配置される。上記条件式(1)を満たす点Pは、各副液滴用ノズルB1、B2の中心間を結ぶ直線101上に位置するが、主液滴用ノズルAの中心は、同様に点P上又はその近傍の直線101上に位置するように配置される。好ましくは、主液滴用ノズルAの中心が直線101上で、点Pとの離間距離Dが10μm以下であることである。
【0046】
主液滴用ノズルAの中心が領域の外周縁100上又はそれよりも外側に位置する場合や、主液滴用ノズルAの中心が2つの副液滴用ノズルBの中心を結ぶ直線101上に配置されない場合は、主液滴aは複数の副液滴bによって形成される静電ポテンシャル場の底から遠ざかるように力が働くようになり、本発明の効果が得難くなる。
【0047】
なお、主液滴用ノズルAが上記条件式(1)を満たす点P上又はその近傍に配置されているか否かは、ノズル径、駆動波形を全て共通とすれば、同重量、同帯電量の液滴が吐出されるので、ノズル位置を確認すればわかる。ノズル径を異ならせた場合は、駆動波形を共通とすれば、ノズル径に応じた重量、それに応じた帯電量の液滴が吐出されるので、同様にノズル位置によって確認できる。また、吐出された液滴の軌跡(位置、速度)を見ることによっても確認することができる。
【0048】
ところで、上記の通り、周囲の複数の副液滴bから反発力を受けながら飛翔する主液滴aは、図5に示すような軌跡をたどることになる。同図は、1つの主液滴用ノズルAから吐出した主液滴aを間に挟むようにして、その両側にそれぞれ副液滴bを同時に吐出した場合の主液滴aの軌跡を一定時間毎にドットで表示している。吐出された主液滴aは次第に速度が遅くなるので、距離が離れる(下に行く)に従ってドット間隔が小さく表示されている。
【0049】
飛翔した主液滴aの周囲には帯電した副液滴bが存在することになるので、同図に示すように、主液滴aが主液滴用ノズルAから図中矢印で示す方向に曲がって吐出されても、その方向に副液滴bが存在する場合、飛翔中に副液滴bからの反発力を受けて押し戻され、今度はその反対側に存在する副液滴bに跳ね返されるという動きを繰り返し、ある周期で振動しながら最終的に記録メディアMに着弾することになる。ここでは、この振動の周期を主液滴aが修正される固有周期という。この固有周期は、主液滴a、副液滴bの帯電量とその距離及び主液滴aの重量・体積によってのみ決まり、主液滴aの初速度や曲がりの大きさに左右されない。
【0050】
また、この振動の間、空気による減衰の影響を受けるので、十分に減衰すると振動の中心に収束する。空気による減衰の影響は主液滴aが小さいほど大きくなり、収束する振動の中心は、通常であれば主液滴用ノズルAの直下位置となる。
【0051】
しかし、主液滴aの液滴量が1pl以上となると十分に減衰させることが難しくなる場合がある。この場合は、主液滴aが吐出から着弾までの間に振動する過程で、振動の中心地点に戻ってきた時に記録メディアMに着弾するようにすれば、最も好ましい着弾位置への着弾精度を確保することができる。
【0052】
このため、主液滴aを十分に減衰させることができるようにする上で、下記条件式(2)を満たすように吐出制御手段が液滴吐出手段を制御することが好ましい。これは、上記のように、主液滴aの液滴量が1pl以上となるような場合に特に顕著な効果が得られる。
【0053】
条件式(2)
−T-revise×0.03≦{T-land−(T-revise/2)×n}≦T-revise×0.03
【0054】
但し、T-landは主液滴が着弾対象物に着弾するまでの時間、T-reviseは主液滴が修正される固有周期であり、n=1、2、3・・・である。
【0055】
この条件式(2)は、主液滴aが図5中の斜線で示す領域で着弾する条件を示している。最上段の斜線領域(n=1の場合)について見ると、主液滴aが吐出されてから着弾するまでの時間と主液滴aが修正される固有周期の1/2との差が、主液滴aが修正される固有周期のおよそ±3%の範囲にあれば、主液滴aのずれ量α2は、最も大きいずれ量α1に対しておよそ1/10になり、ほぼ主液滴用ノズルAの直下位置に着弾でき、好ましい着弾精度を確保することができる。これは他の斜線領域(n=2、3・・・)においても同様である。
【0056】
これらの斜線領域において、主液滴aは振動の中心付近、すなわち主液滴用ノズルAの直下付近にある。このように主液滴aが振動の中心地点に戻ってきたときに着弾させるには、ノズル面11において、主液滴用ノズルAの中心と点Pとの離間距離Dが10μm以下の条件を満たしていることがより好ましい。すなわち、主液滴aの液滴量が1pl以上であると、記録メディアMに着弾したドット径はおよそ20μm以上となるので、着弾誤差は10μm以内でないと線も書けないことになり、使い物にならない。主液滴用ノズルAの中心と点Pとの離間距離Dが大きく離れていると、上記条件式(2)で許容したずれ量に加えて、離間距離Dのずれ量を許容してしまうことになる。上記条件式(1)を満足する点Pの位置=主液滴用ノズルAの位置で上記条件式(2)を満たしているときに、主液滴aの着弾が半径1μm以内に収まるとすると、離間距離Dが1μmになれば、着弾はおおよそ半径2μm以内に収まる。従って、離間距離Dが10μmであれば、主液滴aの着弾はおおよそ半径11μm以内に収まるということになる。
【0057】
よって、主液滴aの液滴量が1pl以上となる場合には、上記条件式(2)を満たすことが好ましく、着弾のずれ量は10μm+α以内(αは一番ずれ量が大きいときの1/10であるが、通常0.1μm以下である)になる。
【0058】
以上の説明では、1つの主液滴用ノズルAとそれのみに対応する複数の副液滴用ノズルBとを例示した。このように副液滴用ノズルBは1つの主液滴用ノズルAに対して専用とすることもできるが、実際のインクジェットヘッド1のノズル面11には、多数の主液滴用ノズルA及び多数の副液滴用ノズルBが、ライン状又はマトリックス状に配置されるため、図6〜図9に示す各態様のように、1つの主液滴用ノズルAと複数の副液滴用ノズルBを含むノズル群Gによって、当該1つの主液滴用ノズルAから吐出される主液滴aの着弾修正を行うグループとし、このノズル群G中の1又は複数の副液滴用ノズルBを、それに隣接する他のノズル群G中の主液滴用ノズルAから吐出される主液滴aの着弾修正用に兼用させることもできる。
【実施例】
【0059】
1.ヘッド構造
表面に駆動電極が形成された圧電素子によって構成される駆動壁とキャビティとが交互に配列されたシェアモード構造のヘッド構造を用いた。キャビティは、インクが供給されることにより液滴吐出を行う吐出キャビティとインクが供給されないダミーキャビティとが交互に配置される構造とした。各部の構成は以下の通りである。
【0060】
吐出キャビティ
幅:80μm
深さ:200μm
ダミーキャビティ
幅:80μm
深さ:200μm
駆動壁
幅:80μm
駆動電極
使用金属:Al
厚さ:5μm
ノズル板
材質:ポリイミド
厚さ:80μm
【0061】
使用する記録メディアは、0.5mm厚のガラス基板とし、ノズル面とのギャップを1mmとした。
【0062】
液滴帯電手段として、記録メディアの下に対向電極を配置し、ノズル面と対向電極とのギャップを1.5mmに設定した。
【0063】
2.評価方法
主液滴を記録メディアに着弾させ、着弾ドットの位置を測定し、ドットの位置の標準偏差(着弾のばらつき)を評価の指標とした。
【0064】
標準偏差の測定は、記録メディアに着弾した主液滴のドット位置を計測することによって行い、その20回分の測定によるものである。
【0065】
着弾位置のずれ量の評価は、着弾ずれ量と着弾修正率で評価した。着弾修正率=(副液滴未使用時の着弾ずれ量−副液滴使用時の着弾ずれ量)/副液滴未使用時の着弾ずれ量×100である。
【0066】
3.固有周期の算出方法
主液滴の軌跡をカメラを用いて観察して計測し、その20回分の平均値を算出値とした。
【0067】
<実施例1>
ノズル面の主液滴用ノズルAと副液滴用ノズルBの配置を図10に示す態様とし、副液滴を使用して主液滴を吐出したNo.1〜6を、副液滴を使用しない場合と比較して本発明の効果を検証した。
【0068】
副液滴を使用する場合の液滴吐出は、主液滴と各副液滴とを同時の吐出タイミングとした。
【0069】
使用インクは以下の通りである。
【0070】
主液滴用インク:固形物としてφ10μm以下の樹脂粒子を含む導電性インク(比重:1.09g/cm
副液滴用インク:固形物を含まない導電性インク(比重:1.1g/cm
【0071】
各ノズル構成は以下の通りである。
【0072】
X1=X2=Y1=Y2=282μm
主液滴用ノズル径:φ20μm(4pl)
主液滴帯電量:1.8×10−13(C)
副液滴用ノズル径:φ40μm(40pl)
副液滴帯電量:3.8×10−12(C)
主液滴が修正される固有周期:398μsec
【0073】
主液滴、副液滴の各帯電量は、カメラにより測定した液滴速度の変化により測定した。
【0074】
ここでは、条件式(1)を満たす点Pと主液滴用ノズルAの中心とは一致している。
【0075】
上記ヘッドを用いて、主液滴用ノズル及び副液滴用ノズルに対し、全て同一の駆動波形を印加することにより主液滴及び各副液滴を吐出した。
【0076】
その結果を表1にまとめて示す。
【0077】
なお、上記ノズル構成において、着弾標準偏差(副液滴未使用時)は6.3μmであった。従って、着弾標準偏差の値がこれを上回る場合、本発明の効果が得られていることが確認できる。
【0078】
【表1】

【0079】
表1に示すように、No.1〜6のいずれの場合も着弾標準偏差は6.3μmを上回っており、副液滴による主液滴の着弾修正効果が確認された。中でも、条件式(2)をも満足するNo.3〜5では、特に好ましい結果が得られている。
【0080】
<実施例2>
ノズル面の主液滴用ノズルAと副液滴用ノズルBの配置として、ノズル配置構成を異ならせたNo.7(図10の態様)、No.8(図11の態様)、No.9(図12の態様)、No.10(図13の態様)に示す態様のインクジェットヘッドを用意し、本発明の効果を検証した。主液滴の使用インク、主液滴用ノズルのノズル径、液滴帯電量はいずれも実施例1と同一であり、全ての態様において副液滴を使用し、液滴吐出は全て同時の吐出タイミングとした。
【0081】
No.7
X1=X2=Y1=Y2=282μm
主液滴が修正される固有周期:398μsec
着弾標準偏差(副液滴未使用時):6.3μm
液滴速度:3.4m/sec
【0082】
No.8
X1=X2=X3=282μm
主液滴が修正される固有周期:407μsec
着弾標準偏差(副液滴未使用時):7.3μm
液滴速度:3.3m/sec
【0083】
No.9
X1=X2=282μm
主液滴が修正される固有周期:396μsec
着弾標準偏差(副液滴未使用時):7.1μm
液滴速度:3.4m/sec
【0084】
No.10
X1=Y1=282μm
主液滴が修正される固有周期:390μsec
着弾標準偏差(副液滴未使用時):6.7μm
液滴速度:3.4m/sec
【0085】
各態様では、条件式(1)を満たす点Pと主液滴用ノズルAの中心とは一致している。
【0086】
上記ヘッドを用いて、主液滴用ノズル及び副液滴用ノズルに対し、全て同一の駆動波形を印加することにより主液滴及び各副液滴を吐出した。
【0087】
その結果を表2にまとめて示す。
【0088】
【表2】

【0089】
表2に示すように、No.7〜10のいずれも、着弾標準偏差は副液滴未使用時を上回っており、副液滴用ノズルの配置が異なっても、条件式(1)を満たす点P上に主液滴用ノズルが配置されていることにより、副液滴による主液滴の着弾修正効果が確認された。
【0090】
<実施例3>
主液滴用ノズル径を変化させたインクジェットヘッドの各態様(No.11〜15)において、副液滴を使用した場合としない場合とについて本発明の効果を検証した。
【0091】
ノズル配置構成は図10の態様とし、副液滴を使用する場合の液滴吐出は、主液滴と各副液滴とを同時の吐出タイミング(液滴速度:5m/sec)とした。
【0092】
使用インクは以下の通りである。
【0093】
主液滴用インク:銀ナノペーストインク(導電性)(比重:1.08g/cm
副液滴用インク:ダミーインク(導電性)(比重:1.1g/cm
【0094】
副液滴用ノズルの構成は以下の通りである。
ノズル径:φ40μm(40pl)
副液滴帯電量:3.8×10−12(C)
【0095】
No.11
ノズル径:φ20μm(4pl)
着弾標準偏差(副液滴未使用時):1.7μm
着弾ずれ量(副液滴未使用時):6.9μm
主液滴帯電量:8.0×10−14(C)
【0096】
No.12
ノズル径:φ10μm(1pl)
着弾標準偏差(副液滴未使用時):1.6μm
着弾ずれ量(副液滴未使用時):12.7μm
主液滴帯電量:8.0×10−14(C)
【0097】
No.13
ノズル径:φ6μm(0.5pl)
着弾標準偏差(副液滴未使用時):1.4μm
着弾ずれ量(副液滴未使用時):10.1μm
主液滴帯電量:4.3×10−14(C)
【0098】
No.14
ノズル径:φ4μm(0.1pl)
着弾標準偏差(副液滴未使用時):1.8μm
着弾ずれ量(副液滴未使用時):9.6μm
主液滴帯電量:8.3×10−15(C)
【0099】
No.15
ノズル径:φ3μm(0.05pl)
着弾標準偏差(副液滴未使用時):2.1μm
着弾ずれ量(副液滴未使用時):6.4μm
主液滴帯電量:5.2×10−15(C)
【0100】
各態様では、条件式(1)を満たす点Pと主液滴用ノズルAの中心とは一致している。
【0101】
上記ヘッドを用いて、主液滴用ノズル及び副液滴用ノズルに対し、全て同一の駆動波形を印加することにより主液滴及び各副液滴を吐出した。
【0102】
その結果を表3にまとめて示す。
【0103】
【表3】

【0104】
表3に示すように、No.11〜15のいずれも副液滴使用時の着弾標準偏差は上回っている。しかも、着弾のずれ量(ノズルの位置からどれだけずれて着弾しているか)も改善されている。
【0105】
<実施例4>
ノズル面において条件式(1)を満たす点Pに対する主液滴用ノズルAの配置を異ならせたNo.16〜20の各態様について、副液滴を使用した場合の本発明の効果を検証した。
【0106】
ノズル面の副液滴用ノズルBの配置は、図14のように4つの副液滴用ノズルBが左右上下対称に配置された態様とし、No.16〜20の各々で条件式(1)を満たす点Pに対する主液滴用ノズルAの配置構成(X、Y)を異ならせ、全ての態様において液滴吐出は全て同時の吐出タイミング(液滴速度:5m/sec)とした。
【0107】
使用インクは実施例3同様とした。
【0108】
各ノズル構成は以下の通りである。
主液滴用ノズル径:φ4μm(0.1pl)
主液滴帯電量:8.3×10−15(C)
副液滴用ノズル径:φ40μm(40pl)
副液滴帯電量:3.8×10−12(C)
【0109】
No.16
X1=X2=Y1=Y2=282μm
主液滴用ノズルの座標:X=0μm、Y=0μm
着弾標準偏差(副液滴使用時):2.4μm
着弾標準偏差(副液滴未使用時):9.6μm
【0110】
No.17
X1=X2=Y1=Y2=282μm
主液滴用ノズルの座標:X=0μm、Y=10μm
着弾標準偏差(副液滴使用時):4.2μm
着弾標準偏差(副液滴未使用時):10.6μm
【0111】
No.18
X1=X2=Y1=Y2=282μm
主液滴用ノズルの座標:X=0μm、Y=100μm
着弾標準偏差(副液滴使用時):5.2μm
着弾標準偏差(副液滴未使用時):9.5μm
【0112】
No.19
X1=X2=Y1=Y2=282μm
主液滴用ノズルの座標:X=0μm、Y=280μm
着弾標準偏差(副液滴使用時):5.1μm
着弾標準偏差(副液滴未使用時):9.6μm
【0113】
No.20
X1=X2=Y1=Y2=282μm
主液滴用ノズルの座標:X=0μm、Y=290μm
着弾標準偏差(副液滴使用時):9.9μm
着弾標準偏差(副液滴未使用時):9.4μm
【0114】
上記ヘッドを用いて、主液滴用ノズル及び副液滴用ノズルに対し、全て同一の駆動波形を印加することにより主液滴及び各副液滴を吐出した。
【0115】
その結果を表4にまとめて示す。
【0116】
【表4】

【0117】
表4に示すように、条件式(1)を満たす点Pと主液滴用ノズルとが一致していなくても、近傍に配置されていることにより、副液滴による主液滴の着弾修正効果が確認された。
【0118】
No.20に示すように、主液滴用ノズルの中心が副液滴用ノズルBの中心を結ぶ領域の外周縁よりも外側にある場合は、着弾修正効果は認められなかった。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】インクジェットヘッドのノズル構成を説明するノズル面の平面図
【図2】インクジェット記録装置の概略構成を説明する模式図
【図3】ノズル構成の他の態様を説明するノズル面の平面図
【図4】ノズル構成の他の態様を説明するノズル面の平面図
【図5】主液滴の着弾修正の様子を説明するグラフ
【図6】主液滴用ノズルと副液滴用ノズルの配置態様を説明する図
【図7】主液滴用ノズルと副液滴用ノズルの他の配置態様を説明する図
【図8】主液滴用ノズルと副液滴用ノズルの他の配置態様を説明する図
【図9】主液滴用ノズルと副液滴用ノズルの他の配置態様を説明する図
【図10】ノズルの配置構成を示す図
【図11】ノズルの配置構成を示す図
【図12】ノズルの配置構成を示す図
【図13】ノズルの配置構成を示す図
【図14】ノズルの配置構成を示す図
【図15】静電吸引方式において吐出された液滴の作用を説明する図
【符号の説明】
【0120】
1:インクジェットヘッド
10A、10B:インク室
11:ノズル面
2A、2B:インクタンク
3:帯電用電極
4:帯電制御部
5:対向電極
A:主液滴用ノズル
a:主液滴
B:副液滴用ノズル
b:副液滴
G:ノズル群
M:記録メディア
P:点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録用インクが供給される少なくとも1つの主液滴用ノズルと、該主液滴用ノズルに隣接して、着弾修正用インクが供給される複数の副液滴用ノズルとを有するノズル面と、
前記主液滴用ノズルから主液滴を吐出させると共に前記副液滴用ノズルから前記主液滴の着弾修正用の副液滴を吐出させる液滴吐出手段と、
前記主液滴及び前記副液滴をそれぞれ同極に帯電させる液滴帯電手段と、
前記主液滴と前記副液滴とが、前記インクジェットヘッドと着弾対象物との間で同時に飛翔して存在し得るように、前記液滴吐出手段を制御する吐出制御手段とを備えており、
前記ノズル面における前記主液滴用ノズルの中心は、複数の前記副液滴用ノズルに対して下記条件式(1)を満たす点P上又はその近傍に配置されていることを特徴とするインクジェット記録装置。
条件式(1)
【数1】

但し、
:点Pと副液滴用ノズルの中心との間の距離
N:副液滴用ノズルの数
ε:真空の誘電率
:副液滴の帯電量(但し、ΣQ≠0)
【請求項2】
1つの前記主液滴用ノズルに対して、前記副液滴用ノズルが該主液滴用ノズルを間に挟むように2つ配置されており、
前記点P及び前記主液滴用ノズルの中心は、前記ノズル面において2つの前記副液滴用ノズルの中心を結ぶ直線上に共に配置されていることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
1つの前記主液滴用ノズルに対して、前記副液滴用ノズルが該主液滴用ノズルの周囲に3つ以上配置されており、
前記点P及び前記主液滴用ノズルの中心は、前記ノズル面において前記副液滴用ノズルの中心を結ぶ領域の外周縁よりも内側に共に存在していることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記ノズル面における前記主液滴用ノズルの中心と前記点Pとの間の離間距離は、10μm以下であることを特徴とする請求項1、2又は3記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記吐出制御手段は、下記条件式(2)を満たすように前記液滴吐出手段を制御することを特徴とする請求項4記載のインクジェット記録装置。
条件式(2)
−T-revise×0.03≦{T-land−(T-revise/2)×n}≦T-revise×0.03
但し、
-land:主液滴が着弾対象物に着弾するまでの時間
-revise:主液滴が修正される固有周期
n:1以上の整数
【請求項6】
前記主液滴の液滴量は1pl以上であることを特徴とする請求項5記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記液滴帯電手段は、前記ノズル面と該ノズル面に対向して配置される対向電極との間に電界を形成することにより、前記主液滴及び前記副液滴をそれぞれ帯電させ、前記主液滴及び前記副液滴を前記対向電極に向けて静電吸引するものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記副液滴の液滴量が、前記主液滴の液滴量よりも大きいことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項9】
前記副液滴用ノズルの径は、前記主液滴用ノズルの径よりも大きいことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項10】
前記吐出制御手段は、前記主液滴用ノズル及び前記副液滴用ノズルからの吐出をそれぞれ個別に制御可能であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−241460(P2009−241460A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−91743(P2008−91743)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】