説明

インクジェット記録装置

【課題】ワイパー部材に付着したインクの増粘を抑制でき、インクが付着した状態のワイパー部材を用いて記録ヘッドのノズル面のクリーニングを行っても、インクの噴射不良が発生しにくいインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】インク噴射用ノズルが形成されたノズル面31を有する記録ヘッド30と、ワイパー収容部及びワイパー開口部を有するワイパーケース40と、前記ワイパー収容部に収容され、前記ワイパー開口部を介して前記ワイパー収容部の外部に突出可能であり、記録ヘッド30に対して相対的に移動して記録ヘッド30のノズル面31のクリーニングを行うワイパー部材41とを有するクリーニングユニット4と、ワイパーケース40のワイパー開口部43を塞ぐワイパーキャップ部材6と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルからインクを噴射して、用紙などの記録媒体上に記録を行うインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置における記録ヘッドは、インクを噴射する複数のノズルが形成されたノズル面を有する。このノズル面においては、ノズル付近に付着したインクや塵埃等の異物によりインクの噴射が不可になったり、インクの噴射方向が変化したりすることを防止するために、クリーニングを行う必要がある。
【0003】
ノズル面のクリーニングに関して、ワイパー部材によりノズル面のクリーニング(拭き掃除)を行い、ノズル面に付着したインクを除去する技術が知られている。この技術によれば、ノズル面のクリーニングの後、ワイパー部材にはインクが付着している。インクが付着した状態でワイパー部材を放置すると、インクが増粘する(粘度が増加する)。増粘したインクが付着した状態で、ワイパー部材によりノズル面のクリーニングを再度行うと、ワイパー部材に付着した増粘したインクが記録ヘッドに付着し、インクの噴射が不良となりやすい。
【0004】
前述のようなインクの増粘に起因する不良を防止するために、ワイパー部材に付着したインクを除去することが一般に行われている。
しかしながら、ワイパー部材からインクを完全に除去することは困難であり、少量のインクが膜状となってワイパー部材に残存し、その残存した少量のインクが更に増粘し、乾燥する。このようなインクの増粘や乾燥が繰り返し発生することで、ワイパー部材には、増粘し乾燥したインクが多く付着した状態になり、最終的には、記録ヘッドのノズル面のクリーニングの際、記録ヘッドに悪影響を及ぼすことがある。
特許文献1には、記録ヘッドに取り付けたインク吸収体により、増粘したインクを記録ヘッドから除去する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−216496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、インク吸収体には吸収量の限界があるため、特許文献1に記載の技術においては、インク吸収体を繰り返し使用すると、増粘したインクを記録ヘッドから除去する効果が喪失しやすい。
【0007】
従って、本発明は、ワイパー部材に付着したインクの増粘を抑制でき、インクが付着した状態のワイパー部材を用いて記録ヘッドのノズル面のクリーニングを行っても、インクの噴射不良が発生しにくいインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、インク噴射用ノズルが形成されたノズル面を有する記録ヘッドと、ワイパー収容部及びワイパー開口部を有するワイパーケースと、前記ワイパー収容部に収容されると共に前記ワイパー開口部を介して前記ワイパー収容部の外部に突出可能であり且つ前記記録ヘッドに対して相対的に移動して前記記録ヘッドのクリーニングを行うワイパー部材と、を有するクリーニングユニットと、前記ワイパーケースの前記ワイパー開口部を塞ぐワイパーキャップ部材と、を備えるインクジェット記録装置に関する。
【0009】
また、前記ワイパーキャップ部材は、前記クリーニングユニットが前記記録ヘッドのクリーニングを行わないときに前記ワイパー開口部を塞ぐことが好ましい。
【0010】
また、前記クリーニングユニットは、前記ワイパー部材を前記ワイパー開口部に向けて回動するように付勢する付勢部材を備え、前記ワイパー部材は、前記ワイパーキャップ部材が前記ワイパー開口部を塞ぐ過程において前記ワイパーキャップ部材により押圧されて、前記ワイパー開口部から離れる方向に回動するように構成されることが好ましい。
【0011】
また、前記ワイパーキャップ部材は、その内側に、前記ワイパーキャップ部材が前記ワイパー開口部に接近する方向と直交する平面に対して傾斜すると共に前記ワイパーキャップ部材が前記ワイパー開口部を塞ぐ過程において前記ワイパー部材を押圧する押圧傾斜面を有することが好ましい。
【0012】
また、前記記録ヘッドの前記ノズル面に対向し且つ該ノズル面に対して相対的に接近又は離間可能な搬送面を有し、該搬送面に位置する記録媒体を搬送する搬送ユニットと、前記記録ヘッドの前記ノズル面を覆うノズルキャップ部材と、を更に備え、記クリーニングユニットは、前記ノズル面から前記搬送面が離間した離間状態において、第1方向へ移動し、前記ノズル面と前記搬送面との間の搬送空間に配置可能に構成され、前記ノズルキャップ部材は、前記離間状態において、前記搬送面に対して前記第1方向とは反対の第2方向へ移動し、前記搬送空間に配置可能に構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ワイパー部材に付着したインクの増粘を抑制でき、インクが付着した状態のワイパー部材を用いて記録ヘッドのノズル面のクリーニングを行っても、インクの噴射不良が発生しにくいインクジェット記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態のインクジェット記録装置1の概要を模式的に示す平面図である。
【図2】第1実施形態のインクジェット記録装置1の概要を模式的に示す右側面図である。
【図3】第1実施形態のインクジェット記録装置1による記録時の状態の概要を模式的に示す正面図である。
【図4A】第1実施形態におけるキャップユニット5を示す平面図である。
【図4B】第1実施形態におけるキャップユニット5を示す右側面図である。
【図4C】第1実施形態におけるキャップユニット5を示す正面図である。
【図5A】第1実施形態におけるクリーニングユニット4のワイパー開口部43をワイパーキャップ部材6が塞いだ状態を示す縦断面図である。
【図5B】図5Aに示す状態におけるワイパー部材41及びワイパーキャップ部材6を、第1方向Y1に視た部分断面図である。
【図6A】第1実施形態におけるクリーニングユニット4のワイパー開口部43からワイパーキャップ部材6が少し離れた状態を説明する縦断面図である。
【図6B】図6Aに示す状態におけるワイパー部材41及びワイパーキャップ部材6を、第1方向Y1に視た部分断面図である。
【図7A】第1実施形態におけるクリーニングユニット4のワイパー開口部43からワイパーキャップ部材6が完全に離れた状態を示す縦断面図である。
【図7B】図7Aに示す状態におけるワイパー部材41及びワイパーキャップ部材6を、第1方向Y1に視た部分断面図である。
【図8】第1実施形態におけるクリーニングユニット4の移動範囲を示す平面図である。
【図9】第1実施形態におけるクリーニングユニット4の移動範囲を示す右側面図である。
【図10】第1実施形態におけるクリーニングユニット4が第1方向Y1へ往行移動して記録ヘッド30のノズル面31をクリーニングする過程を説明する右側面図である。
【図11】第1実施形態におけるクリーニングユニット4が第2方向Y2へ復行移動して記録ヘッド30のノズル面31をクリーニングする過程を説明する右側面図である。
【図12】第1実施形態におけるキャップユニット5の移動範囲を示す平面図である。
【図13】第1実施形態におけるキャップユニット5の移動範囲を示す右側面図である。
【図14】第1実施形態におけるノズルキャップ部材50が記録ヘッド30のノズル面31を覆った状態を示す正面図である。
【図15】第2実施形態におけるクリーニングユニット4のワイパー開口部43をワイパーキャップ部材6Aが塞いだ状態を示す縦断面図である。
【図16A】第2実施形態におけるワイパーキャップ部材6Aを搬送方向Xに視た縦断面図である。
【図16B】第2実施形態におけるクリーニングユニット4Aを搬送方向Xに視た縦断面図である。
【図16C】第2実施形態におけるクリーニングユニット4Aの第2方向Y2に視た縦断側図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態>
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1から図4Cにより、本発明の第1実施形態のインクジェット記録装置1における全体構造の概要を説明する。図1は、第1実施形態のインクジェット記録装置1の概要を模式的に示す平面図である。図2は、第1実施形態のインクジェット記録装置1の概要を模式的に示す右側面図である。図3は、第1実施形態のインクジェット記録装置1による記録時の状態の概要を模式的に示す正面図である。図4Aは、第1実施形態におけるキャップユニット5を示す平面図である。図4Bは、第1実施形態におけるキャップユニット5を示す右側面図である。図4Cは、第1実施形態におけるキャップユニット5を示す正面図である。
【0016】
図1から図3に示すように、インクジェット記録装置1は、搬送ユニット2と、ノズルユニット3と、クリーニングユニット4と、キャップユニット5と、ワイパーキャップ部材6とを、備える。
【0017】
図1から図3に示すように、搬送ユニット2は、駆動ローラ20と、従動ローラ21と、駆動ローラ20及び従動ローラ21に掛け渡される搬送ベルト22と、搬送ベルト22のテンションを調整するテンションローラ23と、吸引ユニット24とを有する。搬送ベルト22には、吸引用の貫通孔(図示せず)が多数設けられている。搬送ベルト22の上面部分は、搬送面22Aを形成する。搬送ベルト22の搬送面22Aは、駆動ローラ20により、水平面内のX方向の一方から他方に向けて水平移動される。なお、X方向を「搬送方向X」ともいう。吸引ユニット24は、搬送ベルト22の搬送面22Aの下側(反対側)に配置される。
【0018】
そして、図3に示すように、所定の記録時には、記録媒体としての記録用紙Tは、搬送ベルト22の搬送面22Aの上に、搬送方向Xの一方側から導入される。搬送面22Aには、吸引ユニット24の動作に伴って、前記吸引用の貫通孔(図示せず)を介して搬送ベルト22に作用する吸引力が生じている。搬送ベルト22の搬送面22A上に導入された記録用紙Tは、前記吸引力により搬送面22Aに吸着されて、搬送方向Xの他方側に向けて搬送される。このように搬送ベルト22の搬送面22Aに吸着された状態で搬送される記録用紙Tに向けて、後述するノズルユニット3のインク噴射用の記録ヘッド30から、インクが吐出されることにより、記録用紙Tに画像等が記録される(印刷される)。
【0019】
図1から図3に示すように、ノズルユニット3は、ノズルユニットベース部材32と、記録ヘッド30とを有する。
ノズルユニットベース部材32は、記録ヘッド30を支持するベース部材である。
記録ヘッド30は、ノズルユニットベース部材32に支持され、搬送方向Xに等間隔をあけて互いに平行な列状に、複数(本実施形態では4個)設けられる。記録ヘッド30は、水平面内で、搬送方向Xと直交する方向Y(以下「横方向」ともいう)に延びている。
【0020】
記録ヘッド30は、その下端部にノズル面31を有する。ノズル面31は、搬送ベルト22の搬送面22Aに対向する。ノズル面31には、インク噴射用ノズル(図示せず)の噴射口(図示せず)が形成される。また、インク噴射用ノズルは、ノズル面31における横方向Yの略全域に亘って設けられている。なお、インク噴射用ノズルは、ノズル面31の周縁部には設けられていない。
【0021】
搬送ユニット2は、第1昇降機構(図示せず)により、ノズルユニット3に対して水平面に垂直な方向Z(以下「上下方向Z」ともいう)に昇降(移動)可能に構成されている。この上下方向Zへの搬送ユニット2の移動により、搬送ベルト22の搬送面22Aは、搬送面22Aに対向する記録ヘッド30のノズル面31に対して相対的に接近又は離間可能とされている。
【0022】
図2及び図4Aから図4Cに示すように、キャップユニット5は、ノズルキャップ部材50と、軸部材51と、ノズルキャップベース部材52と、ストッパー53と、コイルバネ54と、を備える。
ノズルキャップベース部材52は、軸部材51などを介して、ノズルキャップ部材50を支持する板状のベース部材である。
ノズルキャップベース部材52は、軸部材51に対応する位置に、貫通孔52Aを備える。ノズルキャップ部材50は、ノズルユニット3における記録ヘッド30のノズル面31を覆う部材であり、記録ヘッド30と同数(本実施形態では4個)設けられる。ノズルキャップ部材50は、横方向Yに延びている。
【0023】
軸部材51は、各ノズルキャップ部材50における横方向Yの両端部近傍の下側に、にそれぞれ(計2個)固定されて連結される。軸部材51は、ノズルキャップベース部材52の貫通孔52Aに挿通されていると共に、ストッパー53を備える。
ストッパー53は、軸部材51の下端部(ノズルキャップベース部材52側の端部)に連結され、貫通孔52Aの直径より大きい外径を有する。
【0024】
コイルバネ54は、軸部材51の外周を取り巻く状態で、ノズルキャップ部材50とノズルキャップベース部材52との間に配置される。これにより、ノズルキャップ部材50は、ノズルキャップベース部材52に対してコイルバネ54の弾性力を介して上下方向Zの上向きに付勢され、記録ヘッド30のノズル面31を覆うときに、ノズル面31に弾性的に密着する。
【0025】
キャップユニット5は、搬送ユニット2及びノズルユニット3に対して横方向Yの一方の側(図1において上側及び図2において右側)に配置される。この状態のキャップユニット5から搬送ユニット2及びノズルユニット3に向かう向きを「第2方向Y2」ともいう。キャップユニット5は、搬送ユニット2が上下方向Zの下方へ移動し、搬送面22Aがノズルユニット3のノズル面31から十分に離間した離間状態(図13参照)において、第2水平移動機構(図示せず)により、第2方向Y2へ移動し、ノズル面31と搬送面22Aとの間の搬送空間A(図13参照)に配置可能に構成される。この第2水平移動機構の動作により、キャップユニット5は、図1及び図2の実線並びに図12及び図13の仮想線に示す待機位置P1と、図12及び図13の実線に示すノズルキャップ位置P2との間を、移動可能に構成されている。
【0026】
次に、図面を参照して、第1実施形態のインクジェット記録装置1における特徴部分に係る構成について説明する。図5Aは、第1実施形態におけるクリーニングユニット4のワイパー開口部43をワイパーキャップ部材6が塞いだ状態を示す縦断面図である。図5Bは、図5Aに示す状態におけるワイパー部材41及びワイパーキャップ部材6を、第1方向Y1に視た部分断面図である。
【0027】
図6Aは、第1実施形態におけるクリーニングユニット4のワイパー開口部43からワイパーキャップ部材6が少し離れた状態を説明する縦断面図である。図6Bは、図6Aに示す状態におけるワイパー部材41及びワイパーキャップ部材6を、第1方向Y1に視た部分断面図である。図7Aは、第1実施形態におけるクリーニングユニット4のワイパー開口部43からワイパーキャップ部材6が完全に離れた状態を示す縦断面図である。図7Bは、図7Aに示す状態におけるワイパー部材41及びワイパーキャップ部材6を、第1方向Y1に視た部分断面図である。
【0028】
図5Aから図7Bに示すように、クリーニングユニット4は、ワイパーケース40と、ワイパー部材41と、クリーニングユニットベース部材44と、軸部材46と、バネ47と、を備える。
クリーニングユニットベース部材44は、ワイパーケース40を支持するベース部材である。ワイパーケース40は、ワイパー収容部42及びワイパー開口部43を有する。ワイパー収容部42は、ワイパー部材41を収容可能な部位である。ワイパー開口部43は、ワイパーケース40の上部に位置する開口部である。図1に示すように、ワイパーケース40は、記録ヘッド30のノズル面31と同数(本実施形態では4個)設けられる。ワイパーケース40は、ノズルキャップ部材50と同様に、搬送方向Xに等間隔をあけて配置され、クリーニングユニットベース部材44上に固定される。
【0029】
ワイパーケース40の底壁部40Aには、クリーニングユニットベース部材44を貫通して上下方向Zの下向きに開口する排出口40Cが形成されている。この排出口40Cは、ワイパー部材41によりノズル面31からクリーニングされたインクを、ワイパー収容部42の外部に排出する。
また、ワイパーケース40の側壁部40Bの内側には、ストッパー部40Sが設けられる。ストッパー部40Sは、後述するワイパー部材41の支持部材41Bに当接して、ワイパー部材41の回動を制限する。
【0030】
図5Aから図7Bに示すように、ワイパー部材41は、拭き部分41Aと、この拭き部分41Aを支持する支持部材41Bと、突出部64の押圧傾斜面63(後述)に押圧される被押圧部分41Cと、を有する。
拭き部分41Aは、例えば、ウレタンゴムやEPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)等のゴムから構成される。
【0031】
軸部材46は、支持部材41Bから搬送方向Xの両側それぞれに突出する。ワイパー部材41は、ワイパーケース40のワイパー収容部42に収容され、且つ、軸部材46を介してワイパーケース40に回動可能に支持される。これによって、ワイパー部材41は、支持部材41Bが軸部材46を支点として回動することにより、拭き部分41Aがワイパー開口部43を介してワイパー収容部42の外部に突出可能に構成されている。
被押圧部分41Cは、支持部材41Bから搬送方向Xの片側に突出する。被押圧部分41Cは、軸部材46の軸方向と直交してワイパー部材41が延びる方向に、軸部材46から離間する位置に設けられる。
【0032】
バネ47は、ワイパー部材41とワイパーケース40の底壁部40Aとの間に配置される。バネ47は、ねじりコイルバネから形成される。バネ47は、ワイパー部材41をワイパー開口部43側に向けて回動させるように付勢する付勢部材として機能する。このバネ47の付勢力によりワイパー部材41が回動して、図7Aに示すような略垂直な状態に起立したとき、支持部材41Bは、ストッパー部40Sに当接して回動が制限される。これにより、ワイパー部材41は略垂直に起立した状態に保持される。
【0033】
クリーニングユニット4は、搬送ユニット2及びノズルユニット3に対して横方向Yの他方の側(図1において下側及び図2において左側)に配置される。この状態のクリーニングユニット4から搬送ユニット2及びノズルユニット3に向かう向きを「第1方向Y1」ともいう。クリーニングユニット4は、搬送ユニット2が上下方向Zの下方に移動して、搬送面22Aがノズルユニット3のノズル面31から十分に離間した離間状態(図9参照)において、第1水平移動機構(図示せず)により、第1方向Y1へ移動し、ノズル面31と搬送面22Aとの間の搬送空間A(図9参照)に配置可能に構成される。この第1水平移動機構の動作により、クリーニングユニット4は、図1及び図2の実線並びに図8及び図9の仮想線に示す待機位置P3と、図8及び図9の実線に示す折り返し位置P4との間を、移動可能に構成されている。
【0034】
図5Aから図7Bに示すように、ワイパーキャップ部材6は、内側部61と、フランジ部62と、押圧傾斜面63を有する突出部64と、を備える。
内側部61は、ワイパーケース40のワイパー収容部42に嵌合してワイパー開口部43を塞ぐ部位である。
フランジ部62は、内側部61がワイパー収容部42に嵌合したときに、ワイパーケース40の側壁部40Bの上端縁40Eに当接する部位である。
突出部64は、内側部61の下面側に突出する板状の部位であり、押圧傾斜面63を有する。押圧傾斜面63は、ワイパーキャップ部材6がワイパー開口部43に接近する方向(上下方向Z)と直交する平面(XY平面)に対して傾斜する面である。
【0035】
ワイパーキャップ部材6は、クリーニングユニット4の待機位置P3の上下方向Zの上方に配置され、第2昇降機構(図示せず)を介して、上下方向Zに昇降(移動)可能に構成される。この第2昇降機構の昇降により、ワイパーキャップ部材6は、図5Aに示すワイパーケース40のワイパー開口部43を塞ぐ閉塞位置P5と、図7Aに示す待機位置P6との間を、移動可能に構成されている。
【0036】
図7A及び図7B、図6A及び図6B、図5A及び図5Bの順で示すように、ワイパーキャップ部材6が待機位置P6から閉塞位置P5へ向かって上下方向Zの下向きに移動してワイパー開口部43を塞ぐ過程において、ワイパー部材41の被押圧部分41Cは、ワイパーキャップ部材6の押圧傾斜面63により押圧される。これにより、ワイパー部材41は、バネ47の付勢力に抗してワイパー開口部43から離れる方向に回動される。そして、図5Aに示すように、ワイパーキャップ部材6が閉塞位置P5まで下降されたとき、ワイパー部材41は、ワイパーケース40のワイパー収容部42に完全に収容される。
【0037】
次に、図8から図14を参照して、第1実施形態のインクジェット記録装置1の動作について説明する。図8は、第1実施形態におけるクリーニングユニット4の移動範囲を示す平面図である。図9は、第1実施形態におけるクリーニングユニット4の移動範囲を示す右側面図である。図10は、第1実施形態におけるクリーニングユニット4が第1方向Y1へ往行移動して記録ヘッド30のノズル面31をクリーニングする過程を説明する右側面図である。図11は、第1実施形態におけるクリーニングユニット4が第2方向Y2へ復行移動して記録ヘッド30のノズル面31をクリーニングする過程を説明する右側面図である。
【0038】
図1から図3に示す状態において、駆動ローラ20を介して搬送ベルト22の搬送面22A上に導入された記録用紙Tは、吸引ユニット24の動作に伴って搬送ベルト22に作用する吸引力により搬送面22Aに吸着されて、搬送方向Xの一方から他方に向けて搬送される。この搬送面22Aを搬送される記録用紙Tに向けて、ノズルユニット3の記録ヘッド30からインクが吐出され、これにより、記録用紙Tに所定の画像等が記録される(印刷される)。
この記録時において、図1及び図2に示すように、キャップユニット5は待機位置P1に待機し、クリーニングユニット4は待機位置P3に待機している。また、ワイパーキャップ部材6は、閉塞位置P5に配置されており、クリーニングユニット4におけるワイパーケース40のワイパー開口部43を塞いでいる。
【0039】
所定の画像等の記録が終了した後、前記第1昇降機構が動作する。この第1昇降機構の動作によって、搬送ユニット2は、上下方向Zの下方へ向けて移動する。この搬送ユニット2の移動により、図9から図11に示すように、搬送ベルト22の搬送面22Aが記録ヘッド30のノズル面31に対して十分に離間された状態となり、搬送面22Aとノズル面31との間に搬送空間Aが形成される。
【0040】
次に、前記第2昇降機構が動作する。この第2昇降機構の動作により、図9から図11に示すように、ワイパーキャップ部材6が上下方向Zの上方へ移動し、待機位置P6に配置される。このワイパーキャップ部材6の移動に伴い、図5A、図5B、図6A及び図6Bに示すように、押圧傾斜面63によるワイパー部材41の被押圧部分41Cの押圧は、徐々に解除される。そして、クリーニングユニット4におけるワイパー部材41は、バネ47の付勢力により軸部材46を支点として回動する。その後、ワイパー部材41が回動して略垂直な状態まで起立したとき、図7Aに示すように、支持部材41Bがストッパー部40Sに当接し、ワイパー部材41の回動が制限され、ワイパー部材41は、略垂直に起立した状態に保持される。
【0041】
続いて、第1水平移動機構が動作する。この第1水平移動機構の動作により、図10に示すように、クリーニングユニット4は、第1方向Y1へ移動し、搬送空間Aに配置される。即ち、図1及び図2の実線及び図8及び図9の仮想線に示す待機位置P3から、図8及び図9の実線に示す折り返し位置P4に向けて第1方向Y1に往行移動する。このクリーニングユニット4の往行移動時において、ワイパー部材41は、ストッパー部40Sにより回動が制限されて略垂直に起立した状態に保持されるため、掃き部分41Aの弾性に抗して撓み、拭き部分41Aの先端が記録ヘッド30のノズル面31に弾性的に接触する。この状態で、ワイパー部材41が第1方向Y1に往行移動することにより、記録ヘッド30のノズル面31がクリーニング(拭き掃除)される。
【0042】
そして、クリーニングユニット4が折り返し位置P4まで移動し、停止した後、第1水平移動機構は、逆転動作する。この第2水平移動機構の逆転動作により、図11に示すように、クリーニングユニット4は、折り返し位置P4から待機位置P3に向けて第2方向Y2に復行移動する。このクリーニングユニット4の復行移動時においては、ワイパー部材41は、ストッパー部40Sによる回動の制限がされないため、軸部材46を中心として、ワイパーケース40の底壁部40Aの側に回動する。
【0043】
この回動により、ワイパー部材41は、拭き部分41Aの先端側が移動方向とは反対方向の第1方向Y1に位置するように傾斜した状態となる。このように傾斜した状態となったワイパー部材41は、ほとんど撓むことなく、拭き部分41Aの先端は、バネ47の弾性力により記録ヘッド30のノズル面31に弾性的に接触する。この状態で、ワイパー部材41が第2方向Y2に復行移動することによって、記録ヘッド30のノズル面31がクリーニングされる。
【0044】
上述のように、クリーニングユニット4のワイパー部材41は、クリーニングユニット4の往復移動時(第1方向Y1及び第2方向Y2の移動時)のいずれにおいても、記録ヘッド30のノズル面31のクリーニングを行う。そして、クリーニングが終わったクリーニングユニット4が待機位置P3まで移動すると、次に、第2昇降機構が逆転動作する。この第2昇降機構の逆転動作により、待機位置P6に位置していたワイパーキャップ部材6は、上下方向Zの下方に移動して、閉塞位置P5(図13参照)に配置される。閉塞位置P5に配置されるワイパーキャップ部材6により、ワイパーケース40のワイパー開口部43が塞がれる。
【0045】
ワイパーキャップ部材6の上下方向Zの下向きの移動によりワイパー開口部43を塞ぐ過程において、図7A、図7B、図6A、図6B、図5A及び図5Bに示すように、ワイパー部材41の被押圧部分41Cは、ワイパーキャップ部材6の押圧傾斜面63により押圧される。これにより、ワイパー部材41は、軸部材46を中心に、バネ47の付勢力に抗してワイパー開口部43から離れる方向に回動される。そして、ワイパーキャップ部材6が閉塞位置P5にまで下降されたとき、ワイパー部材41は、ワイパーケース40のワイパー収容部42に収容される。
【0046】
上述した通り、閉塞位置P5に配置されるワイパーキャップ部材6により、ワイパーケース40のワイパー開口部43が塞がれるため、ノズル面31をクリーニングした後のワイパー部材41は、拭き部分41Aの先端付近にインクが付着した状態のままで、ワイパーケース40のワイパー収容部42に封止された状態で収容される。
なお、この状態において、ワイパー部材41における被押圧部分41C以外の部分と、ワイパーキャップ部材6とは接触しない。そのため、ワイパー部材41の拭き部分41Aなどが損傷しにくい。
【0047】
次に、記録ヘッド30のノズル面31のクリーニングユニット4によるクリーニングが完了した後において、キャップユニット5のノズルキャップ部材50が記録ヘッド30のノズル面31を覆う動作について説明する。図12は、第1実施形態におけるキャップユニット5の移動範囲を示す平面図である。図13は、第1実施形態におけるキャップユニット5の移動範囲を示す右側面図である。図14は、第1実施形態におけるノズルキャップ部材50が記録ヘッド30のノズル面31を覆った状態を示す正面図である。
【0048】
図12から図14に示すように、クリーニングユニット4によるクリーニングが完了した状態においても、搬送ユニット2は、上下方向Zの下方に配置した状態に保持されている。従って、図13及び図14に示すように、搬送ベルト22の搬送面22Aは、記録ヘッド30のノズル面31に対して十分に離間した状態であり、搬送面22Aとノズル面31との間には、搬送空間Aが形成されている。
【0049】
この状態で、第2水平移動機構が動作する。この第2駆動移動機構の動作により、キャップユニット5は、図12から図14に示すように、第2方向Y2へ移動し、搬送空間Aに配置される。即ち、キャップユニット5は、図1及び図2の実線並びに図12及び図13の仮想線に示す待機位置P1から、図12から図14の実線に示すノズルキャップ位置P2に向けて、第2方向Y2に移動する。
【0050】
キャップユニット5がノズルキャップ位置P2まで移動すると、ノズルキャップ部材50は、上下方向Zの上方へ移動し、記録ヘッド30のノズル面31に弾性的に密着する。これにより、記録ヘッド30のインク噴射用ノズルが閉塞され、インクの流れ落ちが抑制されると共に、浮遊塵埃や紙屑等がノズル面31に付着することが抑制される。
【0051】
以上の動作によって、画像等の記録、ノズル面31のクリーニング及びノズル面31のキャッピングという一連の動作が終了する。そして、次に、画像等の記録を行なう場合には、以下に示す動作を行う。即ち、第2水平移動機構により、ノズルキャップ部材50を記録ヘッド30のノズル面31から離間させるように、キャップユニット5を第1方向Y1へ移動させ、待機位置P1に配置させる。次に、第1昇降機構により、搬送ユニット2を上昇させて搬送ベルト22の搬送面22Aを記録ヘッド30のノズル面31に接近させる。これにより、図1から図3に示す初期状態に復元し、次の画像等の記録を行うことができる。
【0052】
第1実施形態のインクジェット記録装置1によれば、次の効果が奏される。
第1実施形態のインクジェット記録装置1は、ワイパーケース40のワイパー開口部43を塞ぐワイパーキャップ部材6を備える。そのため、記録ヘッド30のノズル面31をクリーニングした後のワイパー部材41をそのまま開放した状態に放置するのではなく、ワイパー開口部43をワイパーキャップ部材6により閉塞し、ワイパー部材41をワイパー収容部42に封止した状態で収容することができる。
【0053】
そのため、次回以降のクリーニングの際、ワイパー部材41に付着したインクが増粘したり乾燥したりすることを抑制できる。したがって、インクが付着した状態のワイパー部材41を用いて記録ヘッド30のノズル面31のクリーニングを再び行っても、増粘したインクが記録ヘッド30に転移し、付着することを抑制できる。その結果、所定の記録時にインクの噴射不良が発生しにくく、鮮明で且つ高品位な記録を行なうことができる。
【0054】
また、第1実施形態においては、クリーニングユニット4におけるワイパー部材41によりクリーニングされた後の記録ヘッド30のノズル面31を、ノズルキャップ部材50で覆うようにしている。
そのため、クリーニングされたノズル面31に浮遊塵埃や紙屑などが付着することを抑制することが可能である。また、ノズルキャップ部材50により記録ヘッド30のインク噴射用ノズルを閉塞して、記録ヘッド30からのインクの流れ落ちも抑制することが可能である。したがって、所定の記録時におけるインクの噴射不良の発生を一層抑制することができる。
【0055】
また、第1実施形態においては、クリーニングユニット4は、ワイパー部材41をワイパーケース40のワイパー開口部43に向けて回動するように付勢するバネ47を備えている。
そのため、ワイパーキャップ部材6をワイパー開口部43に対して直線的に接近又は離間させるといった単純な動作や操作を行うだけで、クリーニング後のワイパー部材41を、ワイパー収容部42に収容される状態とクリーニングを行なう起立させた状態とに機械的に且つ自動的に切り替えることができる。
【0056】
また、ワイパーキャップ部材6は、ワイパーキャップ部材6をワイパーケース40のワイパー開口部43に接近させてワイパー開口部43を塞ぐ過程においてワイパー部材41を押圧する押圧傾斜面63を有する。そのため、ワイパー部材41をスムーズに回動させることができる。
【0057】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。他の実施形態については、主として、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同様な構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。他の実施形態において、特に説明しない点は、第1実施形態についての説明が適宜適用される。また、他の実施形態においても、第1実施形態と同様な効果が奏される。
【0058】
<第2実施形態>
次に、図15から図16Cにより、第2実施形態について説明する。図15は、第2実施形態におけるクリーニングユニット4のワイパー開口部43をワイパーキャップ部材6Aが塞いだ状態を示す縦断面図である。図16Aは、第2実施形態におけるワイパーキャップ部材6Aを搬送方向Xに視た縦断面図である。図16Bは、第2実施形態におけるクリーニングユニット4Aを搬送方向Xに視た縦断面図である。図16Cは、第2実施形態におけるクリーニングユニット4Aを第2方向Y2に視た縦断側図である。
【0059】
図15、図16B及び図16Cに示すように、第2実施形態におけるクリーニングユニット4Aは、ワイパーケース40と、ワイパー部材41と、軸部材46Aと、ワイパー回動駆動機構45とを、備える。
ワイパーケース40は、ストッパー部40Sが設けられていない点で第1実施形態と異なり、その他の構成については第1実施形態と同様である。
【0060】
ワイパー部材41は、第1実施形態と同様に、拭き部分41Aと、この拭き部分41Aを支持する支持部材41Bとを有する。
軸部材46Aは、支持部材41Bを貫通し、ワイパーケース40に回動可能に支持される。軸部材46Aの一端部は、ワイパーケース40の外面から突出している。
【0061】
図16B及び図16Cに示すように、ワイパー回動駆動機構45は、大径歯車48Aと、小径歯車48Bと、駆動モータ49と、から構成される。大径歯車48Aは、軸部材46Aにおけるワイパーケース40の外面から突出した部分に取り付けられる歯車である。小径歯車48Bは、大径歯車48Aに噛合する歯車である。駆動モータ49は、その回転軸に小径歯車48Bが取り付けられるモータである。
【0062】
このワイパー回動駆動機構45によって、軸部材46Aを支点としてワイパー部材41を正方向又は逆方向に回動させることにより、ワイパー部材41は、ワイパー収容部42に収容される状態と、ワイパー開口部43を介してワイパー収容部42の外部に突出して起立する状態とに、切り換え可能に構成されている。その他の構成は第1実施形態と同様である。
なお、ワイパー回動駆動機構45の回動駆動量を変更することで、ワイパー部材41の回動角度を調整することが可能である。
【0063】
図15及び図16Aに示すように、第2実施形態におけるワイパーキャップ部材6Aは、内側部61と、フランジ部62と、を備える。内側部61は、ワイパーケース40のワイパー収容部42に嵌合してワイパー開口部43を塞ぐ部位である。フランジ部62は、内側部61がワイパー収容部42に嵌合したときに、ワイパーケース40の側壁部40Bの上端縁40Eに当接する部位である。
このワイパーキャップ部材6Aは、押圧傾斜面63を有する突出部64を備えていない点で第1実施形態と異なり、その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0064】
以上の通り、第2実施形態は、ワイパー部材41を、ワイパー収容部42に収容した状態と、ワイパー収容部42の外部に突出させてクリーニングを行なう起立した状態と、に切換えるワイパー回動駆動機構45を備えている。そのため、例えば、ワイパー部材41を繰り返し使用したことによりワイパー部材41の拭き部分41Aが摩耗や変形をした場合には、ワイパー回動駆動機構45によるワイパー部材41の回動角度を調整することにより、拭き部分41Aの先端を記録ヘッド30のノズル面31に適正な力で弾性的に接触させることが可能である。したがって、ワイパー部材41を繰り返し使用した場合においても、クリーニングを好適に行なうことができる。
【0065】
また、第2実施形態では、クリーニングを行っているときに、ワイパー回動駆動機構45によりワイパー部材41の回動角度の調整を任意に変更することが可能である。例えば、ノズル面31のうち、インク噴射用ノズルが配置されていない領域に対しては、ワイパー部材41をノズル面31に対して接触させず、一方、インク噴射用ノズルが配置されている領域に対しては、ワイパー部材41をノズル面31に接触させるように調整することが可能である。これによって、拭き部分41Aの消耗を最小限に抑えることができる。
【0066】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
例えば、上述の各実施形態では、ワイパーキャップ部材6を、第2昇降機構を介して待機位置P6と閉塞位置P5との間で機械的に且つ自動的に移動させるようにしたが、これに制限されない。例えば、ワイパーキャップ部材6を、人手による操作により、ワイパーケース40に対して開閉するようにしてもよい。
【0067】
また、上述の各実施形態では、クリーニングユニット4とキャップユニット5とを、搬送ユニット2及びノズルユニット3を挟んで横方向Yの両側に配置すると共に、クリーニングユニット4及びキャップユニット5を、それぞれ第1水平移動機構及び第2水平移動機構により独立して移動させるようにしているが、これに制限されない。例えば、クリーニングユニット4及びキャップユニット5を一体化し、搬送ユニット2及びノズルユニット3に対して横方向Yの一方の側に配置し、その一体化されたクリーニングユニット4及びキャップユニット5を、1つの水平移動機構により移動させるようにしてもよい。
【0068】
また、上述の各実施形態では、キャップユニット5を設けているが、本発明においては、キャップユニット5は必須ではない。
【0069】
また、上述の各実施形態では、ノズルユニット3に対して搬送ユニット2を移動させることで、搬送面22Aと記録ヘッド30のノズル面31とを相対的に接近又は離間可能にしているが、これに制限されない。例えば、搬送ユニット2を移動させずにノズルユニット3を移動させることで、記録ヘッド30のノズル面31と搬送面22Aとを相対的に接近又は離間可能にしてもよい。また、搬送ユニット2及びノズルユニット3の両方を互いに移動させることで、搬送面22Aと記録ヘッド30のノズル面31とを相対的に接近又は離間可能にしてもよい。
【0070】
さらに、上述の各実施形態では説明を省略したが、本発明のインクジェット記録装置においては、画像等の記録、ノズル面31のクリーニング及びノズル面31のキャッピングという一連の動作を、予め設定された順序で全て自動的に行う制御プログラムを記憶させたメモリを有する制御装置、例えばコンピュータを用いることが好ましい。
【0071】
また、ワイパーキャップ部材6を固定して配置すると共に、クリーニングユニット4のワイパーケース40をクリーニングユニットベース部材44に対して上下方向Zにモータ等の駆動力により移動可能に構成することができる。このように構成することで、クリーニングの終了後に、前記モータ等の駆動力により、ワイパーケース40を上下方向Zの上方向に移動させて、ワイパーケース40をワイパーキャップ部材6に当接させることができる(ワイパーケース40のワイパー開口部43をワイパーキャップ部材6により塞ぐことができる)。
【符号の説明】
【0072】
1……インクジェット記録装置、2……搬送ユニット、3……ノズルユニット、4……クリーニングユニット、5……キャップユニット、6……ワイパーキャップ部材、22……搬送ベルト、22A……搬送面、30……記録ヘッド、31……ノズル面、40……ワイパーケース、41……ワイパー部材、42……ワイパー収容部、43……ワイパー開口部、47……バネ(付勢部材)、50……ノズルキャップ部材、61……内側部、63……押圧傾斜面、A……搬送空間、X……搬送方向、Y……横方向、Y1……第1方向、Y2……第2方向、T……記録用紙(記録媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク噴射用ノズルが形成されたノズル面を有する記録ヘッドと、
ワイパー収容部及びワイパー開口部を有するワイパーケースと、前記ワイパー収容部に収容されると共に前記ワイパー開口部を介して前記ワイパー収容部の外部に突出可能であり且つ前記記録ヘッドに対して相対的に移動して前記記録ヘッドのクリーニングを行うワイパー部材と、を有するクリーニングユニットと、
前記ワイパーケースの前記ワイパー開口部を塞ぐワイパーキャップ部材と、を備える
インクジェット記録装置。
【請求項2】
前記ワイパーキャップ部材は、前記クリーニングユニットが前記記録ヘッドのクリーニングを行わないときに前記ワイパー開口部を塞ぐ
請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記クリーニングユニットは、前記ワイパー部材を前記ワイパー開口部に向けて回動するように付勢する付勢部材を備え、
前記ワイパー部材は、前記ワイパーキャップ部材が前記ワイパー開口部を塞ぐ過程において前記ワイパーキャップ部材により押圧されて、前記ワイパー開口部から離れる方向に回動するように構成される
請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記ワイパーキャップ部材は、その内側に、前記ワイパーキャップ部材が前記ワイパー開口部に接近する方向と直交する平面に対して傾斜すると共に前記ワイパーキャップ部材が前記ワイパー開口部を塞ぐ過程において前記ワイパー部材を押圧する押圧傾斜面を有する
請求項1から3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記記録ヘッドの前記ノズル面に対向し且つ該ノズル面に対して相対的に接近又は離間可能な搬送面を有し、該搬送面に位置する記録媒体を搬送する搬送ユニットと、
前記記録ヘッドの前記ノズル面を覆うノズルキャップ部材と、を更に備え、
前記クリーニングユニットは、前記ノズル面から前記搬送面が離間した離間状態において、第1方向へ移動し、前記ノズル面と前記搬送面との間の搬送空間に配置可能に構成され、
前記ノズルキャップ部材は、前記離間状態において、前記搬送面に対して前記第1方向とは反対の第2方向へ移動し、前記搬送空間に配置可能に構成される
請求項1に記載のインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【公開番号】特開2010−269452(P2010−269452A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−120766(P2009−120766)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】