説明

インクジェット記録装置

【課題】
インクジェット記録装置で記録しようとする際、消色トナーの樹脂を検知した場合に、当該記録面に記録をせずに、記録媒体を排紙するインクジェット記録装置を提供することである。
【解決手段】
実施形態のインクジェット記録装置は、記録媒体上にインクを吐出するインクジェットヘッドと、インクジェットヘッドへ記録媒体を搬送する搬送モータと、記録媒体の記録面側にある異物を検知する媒体記録面センサと、追記モードを無効とするモードでかつ媒体表面センサからの出力に基づいて異物を検知した場合にインクジェットヘッドからのインクを吐出することなく排出モータによって記録媒体を排出させ、追記モードを有効とするモードの場合にインクジェットヘッドからの吐出を実行させてから排出モータによって記録媒体を排出させるコントローラと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、インクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスなどにおいて、異なるメカニズムを用いた記録装置が配置されている。代表的な装置は、電子写真のメカニズムを用いた記録装置とインクジェットのメカニズムを用いた記録装置である。インクジェット記録装置では、ノズルより吐出されたインクは、記録媒体の表面に付着する。記録媒体に付着したインクは、記録媒体の表面で拡散するとともにその厚さ方向にも浸透する。その後、記録媒体に付着したインクは、乾燥することで記録媒体に定着する。インクジェット記録装置は、インクの浸透、乾燥、定着のメカニズムによって記録媒体に画像を記録する。
【0003】
一方、近年、省資源化の観点から、記録媒体を再利用して記録する記録装置がある。このような記録装置は、消色可能なトナーで記録された部分のトナーを消色して、その記録媒体に再び電子写真のメカニズムを用いて記録をする。
【0004】
しかしながら、消色可能なトナーで記録された電子写真のメカニズムで形成されたものは、消色した後でも記録媒体の表面(記録面)は樹脂である透明樹脂が残っている。そのためインクジェット記録装置が、一度消色した記録媒体の記録面に対して画像を形成する場合、記録媒体の記録面に付着したインクは透明樹脂の影響を受けて画像を乱し、記録媒体上に形成された画像の画質は劣化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−136811公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、インクジェット記録装置で記録しようとする際、消色トナーの樹脂を検知した場合に、当該記録面に記録をせずに、記録媒体を排紙するインクジェット記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するために、実施形態のインクジェット記録装置は、記録媒体上にインクを吐出するインクジェットヘッドと、このインクジェットヘッドへ記録媒体を搬送する搬送モータと、記録媒体を排出する排出モータと、前記インクジェットヘッドよりも記録媒体の搬送方向上流側に設けられ、記録媒体の記録面側にある異物を検知する媒体記録面センサと、追記モードを無効とするモードでかつ前記媒体表面センサからの出力に基づいて前記異物を検知した場合に前記インクジェットヘッドからのインクを吐出することなく前記排出モータによって記録媒体を排出させ、前記追記モードを有効とするモードの場合
に前記インクジェットヘッドからの吐出を実行させてから前記排出モータによって記録媒体を排出させるコントローラとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施の形態に係るインクジェット記録装置の縦断面図である。
【図2】実施の形態に係る媒体記録面センサユニットの構成を示す図である。
【図3】実施の形態に係るインクジェット記録装置のブロック図である。
【図4】第1の実施の形態に係るフローチャートである。
【図5】第2の実施の形態に係るフローチャートである。
【図6】第2の実施の形態に係るサブフローチャートである。
【図7】第3の実施の形態に係るフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施の形態)
以下、図1乃至図4を用いて、第1の実施の形態について説明をする。図1は第1の実施の形態に係るインクジェット記録装置1の縦断面図である。インクジェット記録装置1は、給紙部110、搬送部120、画像記録部130、排出部150、表示部160などを備えている。
【0010】
給紙部110は、第1の記録媒体(用紙)カセット111、第2の記録媒体(用紙)カセット112、第1の給紙ローラ113、第2の給紙ローラ114などを備えている。第1の用紙カセット111は、複数の用紙を収納している。第1の給紙ローラ113は第1の用紙カセット111に収納された最上層の用紙の表面に接しており、第1の用紙カセット111から用紙を1枚ずつ給紙される。第2の用紙カセット112は、第1の用紙カセット111と異なるサイズの用紙を収納している。第2の給紙ローラ114は第2の用紙カセット112に収納された最上層の用紙の表面に接しており、第2の用紙カセット112から用紙を1枚ずつ給紙される。
【0011】
搬送部120は、第1の用紙カセット111や第2の用紙カセット112から給紙された用紙を搬送するための搬送ガイド対121、搬送ガイド対121に沿って配置されている複数の搬送ローラ対122乃至124、搬送ガイド対121上に設けられたレジストローラ対125、用紙の記録面の異物である透明樹脂をセンス(検知)する媒体記録面センサ(用紙センサ)126などを備える。レジストローラ対125は、第1の給紙ローラ113によって繰出された用紙の搬送ガイドと第2の給紙ローラ114によって給紙された用紙の搬送ガイドが合流した部位より、搬送方向下流側に位置している。用紙センサ126は、レジストローラ対125より搬送方向下流側の近傍に配置されている。
【0012】
画像記録部130は、データに応じて用紙にインクを吐出する複数のインクジェットヘッド131、複数のインクジェットヘッド131に対応するインクカードリッジ132、搬送ベルト141、搬送ベルト内部に設けられた複数のローラ142、143、144、搬送ベルト内部に設けられた負圧チャンバ145、ファン146、負圧チャンバ145とファン146との間を連結しているダクト147などが設けられている。
【0013】
複数のインクジェットヘッド131は、シアンインクを吐出するインクジェットヘッド131C、マゼンダインクを吐出するインクジェットヘッド131M、イエローインクを吐出するインクジェットヘッド131Y、ブラックインクを吐出するインクジェットヘッド131Bである。これらのインクジェットヘッド131は、搬送方向と直交する方向にインクを吐出するノズルが所定の解像度でライン上に配置されている。すなわち、インクジェットヘッド131は、用紙の幅方向にわたってノズルが配置されている。また、インクジェットヘッド131は、搬送方向上流側から、インクジェットヘッド131C、インクジェットヘッド131M、インクジェットヘッド131Y、インクジェットヘッド131Bの順番に配置されている。インクジェットヘッド131Cは、シアン色のインクを充填しているインクカードリッジ132Cと接続し、インクジェットヘッド131Mは、マゼンダ色のインクを充填しているインクカードリッジ132Mと接続し、インクジェットヘッド131Yは、イエロー色のインクを充填しているインクカードリッジ132Yと接続し、インクジェットヘッド131Bは、黒色のインクを充填しているインクカードリッジ132Bと接続している。
【0014】
インクジェットヘッド131と用紙センサ126は、搬送ガイド対121に対して同じ側に配置されている。このため、用紙センサ126は、搬送された先のインクジェットヘッド131で記録をおこなう記録面側の用紙状態をセンス(検知)する。また、インクジェットヘッド131Cと用紙センサ126の間隔は、第1の給紙カセット111及び第2の給紙カセット112の給紙方向の長さより長い間隔に配置されている。このため、用紙カセット111(112)に設定されている搬送方向の媒体長は、インクジェットヘッド131Cと用紙センサ126の間隔より短い。したがって、第1の給紙カセット111及び第2の給紙カセット112にどのようなサイズの用紙が収納されていても、用紙センサ126の用紙1枚分の記録面の状態のセンス後に、搬送方向最上流側にあるインクジェットヘッド131Cに用紙の先端が届くことになる。
【0015】
搬送ベルト141は、駆動ローラ142と2つの従動ローラ143、144によってエンドレスに掛け渡されている。駆動ローラ142は、搬送ベルトによって搬送部120から搬送されて来た用紙を排出部150に搬送する。搬送ベルト141は、駆動ローラ142と従動ローラ143と144とによって張力が与えられる。搬送ベルト141の表面には所定の間隔で孔が開いている。搬送ベルト141の内側には、用紙を搬送ベルトに吸着させるためにファン146に連結された負圧チャンバ145が配置されている。インクジェットヘッド115と搬送ベルト141の間隔は、負圧チャンバ145によって一定に保たれている。
【0016】
排出部150は、排出ガイド対151と、排出ガイド対151に沿って配置されている複数の排出ローラ対152乃至154などが備えている。インクジェット記録装置1は、排出ローラ対152乃至154によって用紙をフェースダウンの状態で排紙する構造になっている。用紙の排出はフェースダウンの状態で排出されるに限らず、フェースアップの状態で排出されるようにしてもよい。
【0017】
表示部160は、インクジェット記録装置1の上部に設けられている。表示部160は、インクジェット記録装置1の状態及びユーザに対する各種メッセージを表示する表示器161とユーザからの入力を可能とするタッチパネルであるオペレーションパネル(オペパネ)162の機能を有している。例えば表示器161は記録中などの表示をするとともに、各種のエラーメッセージを表示する。また、オペパネ162はモードを指定するボタン162を持っている。オペパネ162は後述する追記モードを有効や無効(設定や未設定)にするボタンを有していてもよい。
【0018】
次に、図2を用いて用紙センサ126の説明をする。用紙センサ126は、記録対象となる記録面にインクジェット用のインク以外の異物(色剤)Rなどで記録されているかをセンスするものである。例えば、異物は、電子写真方装置やサーマルプリンタで用いる樹脂である。用紙は、一度電子写真方式などで記録された後に消色装置の熱作用によって色剤の色が消えて樹脂が無色で残っている場合がある。また、用紙センサ126は、種類、特に黒色トナーとカラートナーといった光反射特性の異なるトナーも検出可能である。
【0019】
用紙センサ126は、反射型のセンサを用いている。用紙センサ126は光源126a、第1の受光素子126b、第2の受光素子126cなどを有している。光源126aはLEDである。第1の受光素子126bは、記録面で拡散反射された光である拡散反射光を受光するもので、フォトカプラである。第2の受光素子126cは、記録面による鏡面反射光及び拡散反射光を受光する。光源126a、第1の受光素子126b、第2の受光素子126cは図面に対して奥方向にそれぞれ複数個ライン上に隙間無く配置されている。すなわち用紙の搬送方向に対して直交方向に隙間無く配置されている。
【0020】
次に図3を用いて実施例に係るインクジェット記録装置1の制御に係るブロック図を説明する。インクジェット記録装置1は、コントローラであるCPU(中央制御装置)201と、各種のプログラムなどを記憶しているROM(リードオンリーメモリ)202と、各種の可変データや画像データなどを一時的に記憶しているRAM(ランダムアクセスメモリ)203と、外部からのデータを入力したり、外部へデータを出力したりする、インターフェース(I/F)204を有する。また、インクジェット記録装置1は、第1の給紙ローラ113と第2の給紙ローラ114に連結している給紙ローラモータ211を制御する給紙ローラモータ制御駆動回路212と、複数の搬送ローラ対122乃至124及びレジストローラ対125に連結している搬送ローラモータ213を制御する搬送ローラモータ制御駆動回路214と、駆動ローラ142に連結しているベルト駆動モータ215を駆動するベルト駆動モータ制御駆動回路216と、複数の排出ローラ対152乃至154に連結している排出ローラモータ217を制御する排出ローラモータ制御駆動回路218を有する。
【0021】
なお、給紙ローラモータ211と搬送ローラモータ213とベルト駆動モータ215と排出ローラモータ217は一つの共通モータでおこなってもよい。また、インクジェット記録装置1は、インクジェットヘッド131C、インクジェットヘッド131Mとインクジェットヘッド131Yとインクジェットヘッド131Bを制御するインクジェットヘッド制御駆動回路230と、用紙センサ126やその他センサ239を制御する用紙センサ駆動制御回路240と、ファン146を制御するファン制御駆動回路250と、表示器161を制御する表示器制御駆動回路260と、オペパネ162を制御するオペパネ制御駆動回路270を有する。CPU201はバスを介して、ROM202、RAM203、I/F204、給紙ローラモータ制御駆動回路212、搬送ローラモータ制御駆動回路214、ベルト駆動モータ制御駆動回路216、インクジェットヘッド制御駆動回路230、用紙センサ駆動制御回路240、ファン駆動制御回路250、表示器制御駆動回路260及びオペパネ制御駆動回路270が接続している。インクジェットヘッド131C、インクジェットヘッド131Mとインクジェットヘッド131Yとインクジェットヘッド131Bは、インクジェットヘッド制御駆動回路230からの信号に基づき、用紙上にノズルからインクを吐出する。
【0022】
次に、用紙センサ駆動制御回路240の用紙センサ126に関係する部分について詳細に説明をする。用紙センサ駆動制御回路240は、用紙センサ126を制御するための差動回路を含んでいる。差動回路は、第1の受光素子126bおよび第2の受光素子126cのそれぞれの出力に基づいて、用紙の記録面にインクジェット用のインク以外の異物(透明樹脂)が残っているかを検知する。また、インク以外の色剤で記録されている跡があるか否かを検知する。すなわち、差動回路は、第1の受光素子126bの出力に基づいて、用紙にカラートナーで記録されているか否かを検知する。また、差動回路は、第2の受光素子126cの出力に基づいて、用紙に黒色トナーで記録されているか否かを検知する。したがって、用紙センサ126は、黒色トナーとカラートナーといった光反射特性の異なるトナーで記録が用紙にされているか否も検知できる。ここでは、記録面に透明樹脂が残っている場合や、記録面にインクジェット用のインク以外の色剤で記録されている場合を記録済み用紙と定義する。記録面に透明樹脂が残っていない場合や、記録面にインクジェット用のインク以外の色剤で記録されていない場合を未記録用紙と定義する。
【0023】
次に図4のフローチャートを用いて、第1の実施の形態の作用を説明する。
【0024】
CPU201は、パーソナルコンピュータなど外部からの送信を受けたならば、図4のフローチャートの制御を開始する。CPU201は、外部から送られてきたデータの中から追記モードが有効であるかを判断する(A101)。追記モードの有効無効は、例えば、外部のパーソナルコンピュータのドライバで有効か無効かの指示が可能になっている。CPU201は、追記モードを行う旨の指示があったと判断したならば、すなわち追記モードが有効ならば(A101のY)、CPU201は、給紙ローラモータ制御駆動回路212に給紙ローラモータ211を駆動させるように指示をする(A102)。CPU201は、搬送ローラモータ制御駆動回路214に搬送ローラモータ213を駆動させるように指示をするとともに、ベルト駆動モータ制御駆動回路216にベルト駆動モータ215を駆動させるように指示をする。
【0025】
CPU201は、給紙ローラモータ制御駆動回路212に搬送指示をしてから所定のタイミング後に、インクジェットヘッド制御駆動回路230に外部から送られてきたデータに基づいてインクジェットヘッド131C、131M、131Y、131Bを駆動させるように指示をする(A105)。このときCPU201は、用紙センサ126からの出力を無視する。CPU201は、インクジェットヘッド制御駆動回路230のデータに基づいて出力指示をする。また、CPU201は、排出ローラモータ制御駆動回路218に排出ローラモータ217を駆動させるように指示をする(A106)。CPU201は、外部から送られてきたデータ総て記録指示をしたか否かを判断する(A107)。CPU201は、外部から送られてきたデータ総て記録指示をしたと判断したならば(A107のY)、この処理を終了する。CPU201は、外部から送られてきたデータ総てについて記録指示をしていないと判断したならば(A107のN)、A102に戻る。
【0026】
CPU201は、追記モードを行う旨の指示がなかったと判断したならば、すなわち追記モードが無効ならば(A101のN)、給紙ローラモータ制御駆動回路212に給紙ローラモータ211を駆動させるように指示をする(A131)。このとき、外部から送られてきたデータの中に、追記モードに関するデータが含まれていなければ、CPU201は、追記モードを無効として処理をする。またA131において、CPU201は、搬送ローラモータ制御駆動回路214に搬送ローラモータ213を駆動させるように指示をするとともに、ベルト駆動モータ制御駆動回路216にベルト駆動モータ215を駆動させるように指示をする。CPU201は、搬送ローラモータ制御駆動回路214に搬送ローラモータ213を駆動させるように指示してから所定タイミングのあとに、用紙センサ駆動制御回路240に用紙センサ126を起動させるように指示をする(A132)。用紙センサ駆動制御回路240は、CPU201から起動の指示を受けると、用紙の先端から後端までの時間、媒体記録面センサ126を起動させ、用紙の記録面側の状態をセンスさせる。
【0027】
CPU201は、用紙の一つの記録面全体のセンスが終わったならば、その用紙が未記録用紙であるか否かを判断する(A133)。CPU201は、その用紙が未記録用紙であると判断したならば(A133のY)、CPU201はA141の作用に進む。A141の作用の内容はA105の内容と同様であるので説明を省略する。また、CPU201は、排出ローラモータ制御駆動回路218に排出ローラモータ217を駆動させるように指示をする(A145)。CPU201は、外部から送られてきたデータ総ての記録指示をしたか否かを判断する(A146)。CPU201は、外部から送られてきたデータ総ての記録指示をしたと判断したならば(A146のY)、この処理を終了する。CPU201は、外部から送られてきたデータ総ての記録指示をしていないと判断したならば(A146のN)、A131の作用に戻る。
【0028】
CPU201が、その用紙が未記録でない、すなわちその記録面上に透明樹脂などの異物を検知した場合(A133のN)、CPU201は、排出ローラモータ制御駆動回路218に排出ローラモータ217を駆動させるように指示をする(A151)。CPU201がA151で排紙指示をする場合には、CPU201は、インクジェットヘッド制御駆動回路230に記録指示を出さない。すなわち、その用紙は記録面に記録されることなく、そのまま排出される。CPU201は、記録済みである旨のメッセージをI/F204を介してデータを送信してきた外部装置に送信する(A152)。なお、CPU201は、表示器制御駆動回路260に表示器161に記録済みである旨のメッセージを表示させるように指示をさせてもよい。
【0029】
第1の実施の形態において、上記で説明した場合に限らず以下の作用で行ってもよい。CPU201は、A101の判断の際に、送られてきた記録するデータがテキストデータのみであるならば、追記モードを有効にさせるようにしてもよい。また、送られてきた記録するデータが罫線などの定型フォームのみであるならば、追記モードを有効にさせるようにしてもよい。
【0030】
CPU201は、A141で記録指示をしてから、次の用紙の給紙動作に入るので、第1の用紙カセット111または第2の用紙カセット112に収納された用紙の中に1枚のみ記録済み用紙が混じっていても、次の用紙に記録されるので、複数枚一括して記録する場合でも、記録が抜けることがない。CPU201は、A145の作用とA146の作用の順番を入れ替えて行ってもよい。記録するデータは外部から送られてきたデータをプリントする場合で説明をしたが、インクジェット記録装置がコピー機である場合はコピー動作で実現させてもよい。
【0031】
第1の実施の形態によれば、CPU201は、追記モードを無効とするモードでかつ媒体表面センサからの出力に基づいて用紙に付着した異物を検知した場合にインクジェットヘッド131からのインクを吐出することなく排出モータによって用紙を排出させる。また、CPU201は、追記モードを有効とするモードの場合にインクジェットヘッド131からの吐出を実行させてから排出モータ217によって記録媒体を排出させる。このため、インクジェット記録装置以外で記録された記録面に対して、インクジェットを使って追記をすることが出来る。
【0032】
(第2の実施の形態)
次に図5および図6のフローチャートを用いて、第2の実施の形態の作用を説明する。
【0033】
A201及びA202の作用は、A101とA102の作用と同様のため、説明を省略する。CPU201は、搬送される用紙の追記領域確認を行う(A203)。
【0034】
搬送される用紙の追記領域確認の詳細は図6に示す。CPU201は、用紙の先端を検知したか否かを判断する(A211)。CPU201は、用紙の先端を検知したと判断したならば(A211のY)、外部から送られてきたデータについて用紙へ追記記録する記録領域の情報を得る(A212)。CPU201は、A212で取得した追記領域に用紙が達したか否かを判断する(A213)。CPU201は、用紙の追加領域が用紙センサ216に達したと判断したならば(A213のY)、用紙センサ駆動制御回路240に用紙センサ126を起動させるように指示をする(A214)。用紙センサ駆動制御回路240すなわち差動回路は、記録面の状態をセンスする。CPU201は、A212で取得した追記領域から外れたかを判断する(A215)。一つの記録面に対して複数の領域に追記領域があるならば、CPU201は、最初の記憶領域から外れたか否かを判断する。CPU201は、追記領域から外れたかを判断したならば、用紙センサ126にセンスを停止するように指示する(A216)。
【0035】
CPU201は、総ての追記領域について記録面の確認が終了したか否かを判断する(A217)。CPU201は、総ての追記領域について記録面の確認が終了したと判断したならば(A217のY)、このサブフローを終了する。CPU201は、総ての追記領域について記録面の確認が終了していないと判断したならば(A217N)、A211の処理に戻る。CPU201は、用紙の片方の記録面に対してn箇所の追記領域が予定され、n箇所総ての追記領域の確認が終わる前に(例えばn−2箇所目)、追記領域内に透明樹脂などの異物を検知した場合には、残りの領域があっても、総ての領域を確認したとしてサブフローを終了させてもよい。これは、1箇所でも追加領域に透明樹脂などの異物があると、その後の領域が異物を検知できなくとも、印字済み用紙と判断されるためである。
【0036】
図5に戻って、説明を続ける。CPU201は、搬送される用紙の追記領域確認A203が終了したならば、確認をした用紙が未記録であるか否かを判断する(A204)。CPU201は、確認をした用紙が未記録であると判断したならば(A204Y)、記録指示をする(A205)。第2の実施の形態において作用A205乃至A207は、第1の実施の形態の作用A105乃至A107と同様のため説明を省略する。CPU201は、確認をした用紙が未記録でない、すなわち記録済みと判断したならば(A204N)、CPU201は、排出ローラモータ制御駆動回路218に排出ローラモータ217を駆動させるように指示をする(A251)。CPU201がA251で排紙指示をする場合には、CPU201は、インクジェットヘッド制御駆動回路230に記録指示を出さない。すなわち、その用紙は記録面に記録されることなく、そのまま排出される。CPU201は、記録済みである旨のメッセージをI/F204にデータを送信してきた外部装置に送信するように指示をする(A252)。このように例え、追記モードが有効であってもセンスした領域に異物があると、CPU201は記録済み用紙と判断して印字を行わない。
【0037】
第2の実施の形態において、作用A231乃至A246の作用は、第1の実施の形態の作用A131乃至A146と同様のため説明を省略する。
【0038】
変形例として、インクジェット記録装置上のオペパネから追記モードの選択をする場合について説明をする。この変形例では図1に示したインクジェット記録装置の上方に用紙上の画像を読取る図示しないスキャナが設けられている。インクジェット記録装置のコントローラはオペパネから追記モードが設定されているか判断をする。追記モードが有効である(追記モードが設定されている)と判断をした場合には、コントローラは、スキャナに用紙を読み取るように指示をする。このときどの領域が追記領域になるかを示す判定シートがスキャナによって読みととられる。判定シートは、その用紙のどの部分が該当する追記領域かを示している。例えば追記する領域が黒色で塗りつぶされていたり、矩形で囲まれていたり、ハッチングされていたりしている。コントローラは読取られた情報に基づいて追記領域の情報を記憶する。その後の作用はA202乃至A207と同一であるので、説明を省略する。
【0039】
第2の実施の形態によれば、追記領域のみの記録面のセンスを行うので、追記領域以外に透明樹脂などの異物があったとしても追記自体には問題がないので、用紙を無駄にすることなく追記が出来る効果がある。
【0040】
(第3の実施の形態)
次に図7のフローチャートを用いて、第3の実施の形態を説明する。第3の実施の形態では、一つの用紙の両面に対して確認をする点が第1及び第2の実施形態と異なる。第3のインクジェット記録装置においては、用紙センサ126が搬送ガイド対121を挟んで反対側に対向して設けられている。また、周知の用紙の反転機構が設けられているが、どのような反転機構であってもよい。
【0041】
第3の実施の形態において作用A301乃至A332は、第1の実施の形態の作用A101乃至A132と同様のため説明を省略する。CPU201はA311の作用の後で、用紙センサ駆動制御回路240に用紙センサを駆動させるように指示を出す。このとき、CPU201は、搬送ガイド対121の両側にある複数の用紙センサを駆動するように指示を出す。1枚分の用紙が用紙センサを通過した時間後に、CPU201は、一方の面が未記録であるか否かを判断する(A334)。CPU201は、一方の面が未記録であると判断した場合は(A334のY)、他方の面が未記録であるか否かを判断する(A335)。第3の実施の形態では、一方の面を第1面と定義し、他方の面を第2面と定義する。CPU201は、第2面の面が未記録であると判断した場合は(A335のY)、インクジェットヘッド制御駆動回路230に両面の記録指示を出す(A341)。
【0042】
第3の実施の形態のA341乃至A346は第1の実施の形態のA141乃至A146と同様であるため、説明を省略する。CPU201は、第1面が未記録でないと判断した場合(A334のN)、または第2面が未記録でないと判断した場合(A335のN)、記録の指示をすることなく排紙ローラモータ制御駆動回路218に排紙ローラモータ217を駆動させるように指示をする。また、CPU201は、記録済みである旨のメッセージをI/F204にデータを送信してきた外部装置に送信するように指示をする(A352)。
【0043】
第3の実施の形態においては、搬送ガイド対121の両側に用紙センサ126を設けたが、搬送部120と画像記録部130の間に用紙反転機構を設け、一つの用紙センサ126で両方の記録面の状態をセンスさせるようにしてもよい、また、用紙反転機構は、用紙センサ用と両面画像記録用の共通の反転機構を設けてもよい。
【0044】
第3の実施の形態によれば、CPU201は、記録をする前に1枚の用紙の両方の記録面について、未記録用紙であるか否かを確認している。CPU201は、未記録の場合のみ記録を許可しているので、他方の記録面のみ異物が付着していてもその用紙を強制的に排紙する。一方を記録した後に、他方に異物が付着のための強制的な排紙した場合の無駄を省くことができる。
【0045】
各実施の形態において、用紙センサ126はラインセンサで説明をしたが、センサを用紙の搬送方向に対して、直交する方向に駆動させる構造でもよい。また、インクジェットヘッドも固定タイプ、すなわちラインヘッドで説明をしたが、インクジェットヘッドを搬送方向に対して、直交する方向に駆動させる構造でもよい。このとき、インクジェットヘッドが搭載されているキャリッジに用紙センサを搭載してもよい。ただし、このときは印字途中で用紙の表面に異物があった場合には、1枚の途中で印字が中断される。
【0046】
この発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
110・・・給紙部
111・・・用紙カセット
120・・・搬送部
130・・・画像記録部
150・・・排出部
160・・・表示部
126・・・媒体記録面センサ
131・・・インクジェットヘッド
201・・・CPU(コントローラ)
213・・・搬送ローラモータ
217・・・排出ローラモータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体上にインクを吐出するインクジェットヘッドと、
このインクジェットヘッドへ記録媒体を搬送する搬送モータと、
記録媒体を排出する排出モータと、
前記インクジェットヘッドよりも記録媒体の搬送方向上流側に設けられ、記録媒体の記録面側にある異物を検知する媒体記録面センサと、
追記モードを無効とするモードでかつ前記媒体表面センサからの出力に基づいて前記異物を検知した場合に前記インクジェットヘッドからのインクを吐出することなく前記排出モータによって記録媒体を排出させ、前記追記モードを有効とするモードの場合に前記インクジェットヘッドからの吐出を実行させてから前記排出モータによって記録媒体を排出
させるコントローラと、
を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
記録媒体を収納する収納カセットをさらに備え、
前記媒体記録面センサと前記インクジェットヘッドとの間が、前記収納カセットに設定されている搬送方向の媒体長より長いことを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
媒体記録面センサはその記録媒体に前記インクジェットヘッドでインクを吐出する領域のみ、前記媒体記録面センサをセンスすることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
コントローラは、定型フォームのみを記録する場合に前記追記モードを有効とすることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
コントローラは、テキストデータのみを記録する場合に前記追記モードを有効とすることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
コントローラは、前記追記モードを無効とするモードでかつ前記媒体表面センサからの出力に基づいて前記異物を検知した場合に警告指示をすることを特徴とする請求項1から5いずれか一記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記コントローラは、前記、追記モードが有効な場合、一つの媒体の第1面と第2面の両方に異物がないことを確認してから印字処理を指示することを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
インクジェットヘッドへ記録媒体を搬送し、
記録媒体の記録面側にある異物を検知し、
追記モードを無効とするモードでかつ前記媒体表面センサからの出力に基づいて異物を検知した場合に前記インクジェットヘッドからのインクを吐出することなく記録媒体を排出し、追記モードを有効とするモードの場合に前記インクジェットヘッドからの吐出を実行させてから記録媒体を排出することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項9】
異物は透明樹脂であることを特徴とする請求項1乃至8いずれか一記載のインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−158165(P2012−158165A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117881(P2011−117881)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】