インクタンク、インクタンクの装着装置およびインクジェット記録装置

【課題】 インクジェット記録装置におけるインクタンクの装着に際して、光路を用いた構成によってインクタンクがその装着装置に確実に装着されたことを個々のインクタンクについて独立して表示することを可能とする。
【解決手段】 装着動作が行われる際には予めLED126を発光するように制御する。この状態で装着動作が行われ、ラッチレバー103とホルダ121の第2係止部との位置関係が未だ完全な係合上体でないときは((a)、(b))、LED126が発光しているにもかかわらず、表示部108は点灯しない。これに対し、同図に示す装着完了の状態((c))、すなわち、インクタンクの第2係合部105とホルダの第2係止部の相互の端面が接触して係合が確実となると同時に、表示部108が点灯する。これにより、ユーザーは、インクタンク101ごとにそれが正しい位置に確実に装着されたことを判断できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に対しインク等を吐出させて記録を行うインクジェット記録装置において用いられるインクタンク、そのインクタンクの装着装置およびインクジェット記録装置に関し、詳しくは、インクタンクの装着を検出するための構成に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタは、パーソナルコンピュータを介して使用されるのが一般的であるが、最近のインクジェット記録分野では、例えば、デジタルカメラとインクジェットプリンタを直接接続するといった、パーソナルコンピュータを介さず使用できるプリンタ(以下、NonPCインクジェットプリンタともいう)も普及して来ている。前者のインクジェットプリンタでは、例えば、インクタンクの装着状態やインク残量などの個々のインクタンクの情報は、パーソナルコンピュータのモニターによってユーザーに報知することが多い。これに対し、NonPCインクジェットプリンタでは、プリンタ自身にディスプレイを設け、タンク装着状態などの情報を表示する。しかし、このようなディスプレイを設ける構成は、コストアップやプリンタサイズの拡大、プリンタのデザイン等を制約するといった問題を派生する。
【0003】
また、カラー記録を行うインクジェットプリンタでは、写真プリントなど高画質記録や色再現域の拡大などを実現させるべく、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色のインク以外のインクを使用することが一般的になりつつある。例えば、階調性を向上させるための、グレー、淡色のマゼンタやシアン、色域を拡張させるための、レッド、グリーン、ブルー等のインクが追加されて用いられている。しかし、このように比較的多くのインクタンクを用いる構成では、ユーザーは、パーソナルコンピュータのモニターやプリンタに設けられたディスプレイで表示される対象のインクタンクが、実際に装着されているインクタンクのうちどれなのかを判別するのが困難なことが多い。これは、インクタンクの形状が色ごとに異なることなく同じものである場合には特に顕著となる。
【0004】
以上のような問題を解決する構成として、特許文献1、特許文献2、特許文献3には、インクタンクごとに、その装着やインク量などの状態を知らせるための構成として発光による表示を行うものが記載されている。
【0005】
特許文献1では、インクジェットヘッドとインクタンクを一体化したインクカートリッジにインクジェットヘッドのインク吐出に伴う通電回数をカウントし、そのカウント値に基づいてインク残量を報知することが記載されている。そして、この報知は、カウント値の累積値がインク無しに近いニアエンド判定値に達すると点灯するニアエンド表示用LEDと、インク無しに相当するインクエンド判定値に達すると点灯するインクエンドLEDを用いて行われている。
【0006】
特許文献2では、インクタンク内に外部からのエネルギーを異なる種類のエネルギーに変換するエネルギー変換手段と、変換されたエネルギーにより発光する発光手段とを有する半導体素子が記載されている。これにより、インクタンク内のインク中に浮いた発光素子を発光させ、インク中を透過した光を受光素子により検知することができる。インクの種類によって吸光スペクトルが異なるため、インクタンクの種類とインクタンクのホルダへの搭載位置を知ることができる。この検知は、一般にはセンサによって行うことができるが、ユーザーは上記透過した光を観察してインク量を確認することもできる(同文献の8頁右欄42〜50行)。
【0007】
特許文献3では、インクジェット記録ヘッドとインクタンクを搭載するキャリッジまたはインクタンクに、インク残量を検知しインクが無くなった場合に点灯する警告ランプが設けられることが記載されている。
【0008】
以上のように、上記文献のいずれも、インクタンクの何らかの状態をパーソナルコンピュータのモニタなどを介することなく個々のインクタンクに対応して表示するものである。しかし、インクタンクが確実に装着されているか否かを個々のインクタンクに対応して表示することは開示していない。特許文献2には、それぞれのインクタンクが所定の位置に装着されていることを検知できる旨記載されているが、これは、インクタンクの装着構造との関係でその構造に適合して確実に装着されているか否かを検知することを開示するものではない。
【0009】
これに対し、特許文献4には、複数のインクタンクそれぞれに光路を設け、それぞれの光路の構成をこれらのインクタンクがそれぞれの正しい位置に確実に装着されたときにこれらタンク全体で一つの光路を形成するようなものとすることが開示されている。これにより、光源からの光がこの形成された光路を通って検出されたとき、それぞれのインクタンクが正しい位置に確実に装着されていることを検知することができる。
【0010】
【特許文献1】特開平4−275156号公報
【特許文献2】特開2002−5818号公報
【特許文献3】特開2002−301829号公報
【特許文献4】特開平10−109429号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献4に開示される構成は、複数のインクタンクが組となって初めてインクタンクの装着が確実になされているか否かがわかるものである。すなわち、個々のインクタンクについて独立にその装着が確実になされているかを知る構成のものではない。また、インクの種類ごとに光路に関してインクタンク構造を異ならせる必要があり、インクタンクのコストなどの問題がある。さらに、このようにインクの種類ごとにタンク構造を異ならせる必要があることから、前述したように、淡インクなど用いるインクの種類が増えたときにこれに対して容易に対応できないという問題がある。これは、単に、インクの種類ごとに異なる構造のタンクを増すということに留まらず、インク種類の組合せごとにそれぞれのインクタンクの光路の構造を変える必要がある点で大きな問題となる。例えば、4種類のインクを用いる場合と6種類のインクを用いる場合とでは、同じシアンインクでもそれぞれのタンクの光路の構造を異ならせる必要がある。なお、同文献の図11に示す例は、インクタンクの組合せによらず個々の確実な装着を検知することができるものであるが、光パイプ要素など検知のための新たな要素を必要とするとともに、構成がより煩雑になる例を示している。
【0012】
さらに、特許文献4に記載のインクタンク装着状態を検知する構成では、個々のインクタンクに形成された光路を繋いだ光路を通る光を検知するため、インクタンクとインクタンクの間の光路には、隙間、すなわち、空気が存在する。インクタンクの光路から空気中に出た光は拡散するため光量は減衰する。このため、受光素子で確実に検知を行うためには、比較的発光光度が高い光源が必要となり、コストが高くなるおそれがある。
【0013】
また、個々のインクタンクにおける光路の形成精度、個々のインクタンクのホルダへの取付け精度、それぞれの相対位置精度等を考慮すると、受光素子に入る光量は、比較的大きなばらつきを持つ可能性もある。これに対処すべく、光路の断面積が比較的大きなものを採用すると、受光素子に入る光量のばらつきはある程度抑制することはできるものの、インクタンクの装着位置が正規の位置からずれていて、装着不良となっている状態でも、その状態と適切な位置に装着されている状態とを判別できなくなるおそれがある。
【0014】
さらに、特許文献4では、印刷装置の左奥(同文献の図1)である、ユーザーがインクタンクに触れることができない位置にまでインクタンクおよび記録ヘッドを搭載したキャリッジを移動し、その場所で光学センサーによる検知を行う。そして装着不良であった場合には、インクタンク交換位置までキャリッジを戻し、ユーザーによるタンクの着脱を可能にする。このため、ユーザーがインクタンクを装着した時点で、即座にインクタンクの装着が確実になされているかどうかを表示することはできない。
【0015】
本発明は、上述した問題を解消するためになされたものであり、その目的とするところは、光路を用いた構成によってインクタンクがその装着装置に確実に装着されたことを個々のインクタンクについて独立して表示することを可能とするインクタンク、インクタンクの装着装置およびインクジェット記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
そのために本発明では、光源を備えた装着装置に装着されて用いられるインクタンクにおいて、装着装置に対する装着状態で当該係止部と係合する係合部であって、該係合のときに装着装置の係止部との間で光路を形成する係合部と、該係合部による係合によって形成された光路を介して装着装置の光源から導かれた光を表示する表示部と、を具えたことを特徴とする。
【0017】
また、インクタンクを装着するための装着装置において、光源と、インクタンクを装着した状態でインクタンクの係合部と係合する係止部とであって、該係合のときにインクタンクの係合部との間で光路を形成し、該形成された光路を介して前記光源からの光をインクタンクの係合部に導く係止部と、を具えたことを特徴とする。
【0018】
さらに、インクを吐出する記録ヘッドに供給するインクを収容したインクタンクと該インクタンクを装着する装着装置を用いて記録を行うインクジェット記録装置において、前記装着装置は光源を備え、前記インクタンクは、前記装着装置に対する装着状態で当該係止部と係合する係合部であって、該係合のときに装着装置の係止部との間で光路を形成する係合部と、該係合部による係合によって形成された光路を介して装着装置の光源から導かれた光を表示する表示部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
以上の構成によれば、インクタンクの装着に際して、その係合部とホルダなど装着装置の係止部とが確実に係合するとき、すなわち、インクタンクの装着装置に対する装着が完了状態にあるとき、光路が形成されて表示部において発光することが可能となる。また、この発光は、一連の装着動作において、上記係合部と係止部との係合と同時に、すなわち、インクタンクの装着が完了すると同時に行うことが可能となる。
【0020】
これにより、光路を用いた構成によってインクタンクがその装着装置に確実に装着されたことを個々のインクタンクについて独立して表示することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0022】
(実施形態1)
図1は、本発明の一実施形態に係わるインクタンクをタンクホルダに装着された状態で示す図であり、タンクホルダの全体およびインクタンクにおけるラッチレバーの一部を断面で示している。また、図2(a)、(b)および(c)は、図1に示したインクタンクのそれぞれ正面図、底面図および右側面図である。
【0023】
図1、図2(a)〜(c)において、インクタンク101は、装着装置としてのタンクホルダ121に着脱自在に装着される。そして、この装着が確実なされることによってタンクホルダ121からインクタンクに至る光路Aが形成され、インクタンク101におけるラッチレバーの一部108が発光する。これにより、ユーザーは、確実な装着がされたことをそのインクタンク自身の発光によって知ることができる。
【0024】
すなわち、これらの図に示すように、インクをその内部に貯留したインクタンク101は、底面にインク供給口102、左側面に第1係合部104、右側面にラッチレバー103を備えている。ラッチレバー103には、第2係合部105と、インクタンク101をホルダ121から外す際に操作する操作部107が設けられている。また、ラッチレバー103は、弾性変形可能でかつ光透過性の高い樹脂(例えば、ポリプロピレン)によって形成されている。
【0025】
一方、タンクホルダ121には、インクタンクの装着の際に、インクタンク101の第1係合部104と係合する第1係止部123、同じく第2係合部105と係合する第2係止部124、インク供給口102と接続するインク導入口122が設けられている。
【0026】
それぞれの係合部と係止部が確実に係合すると、インクタンク101はタンクホルダ121に正しい位置で確実に装着された状態となる。そして、インク供給口102とインク導入口122が接続されて、インクタンク101からタンクホルダ121に一体に設けられた記録ヘッド141へインク(不図示)を供給可能となる。
【0027】
図3(a)〜(d)は、インクタンク101のホルダ121への装着の詳細を説明する図である。
【0028】
装着動作では、ユーザは、先ず、インクタンク101の第1係合部104を、ホルダ121の第1係止部123に係合させる。(図3(a)参照)そして、図3(b)に示すように、上記係合した第1係合部104を中心として、インクタンク101を図中下方に回転させる。通常は、インクタンク101の上面を同図の矢印の方向に押すことによって回転動作を生じさせる。この回転により、ラッチレバー103は、図3(c)に示すように、ホルダ121との当接によって弾性変形してインクタンク101の内側に向かう方向に変位する。そして、図3(d)に示すように、インクタンク101の第2係合部105の端面がホルダ121の第2係止部124の端面と同一高さになったとき、ラッチレバー103は、自らの弾性復元力によって、上記とは逆にインクタンク101の外側に向かう方向に変位する。これにより、第2係合部105は第2係止部124と係合する。すなわち、第2係合部105の端面と第2係止部124の端面とが面で接触することにより係合が行われる。また、このとき、インクタンク101のインク供給口102とホルダ121のインク導入口122との接続がなされる。
【0029】
このように、本実施形態のインクタンクは、それを装着する装着装置としてのタンクホルダに対して、インクタンクの第1係合部、第2係合部およびインク供給口と、これらに対応するホルダにおける係止部等との、3箇所の係合が行われることにより、インクタンクの装着が確実になされることになる。
【0030】
図4は、この装着が確実なされたときの、ラッチレバー103の近傍を拡大して示す図である。
【0031】
図4に示すように、ホルダ121にはその第2係止部124の近傍にLED126が設けられる。詳細には、LED126は、第2係止部124の端面に開口する穴部132を介して連通するホルダの内部に設けられる。一方、インクタンク101のラッチレバー103には、穴部132を介してLED26の発光部に対向するように反射板106が、例えばラッチレバー103に埋め込まれるように設けられる。これにより、図4の矢印Aで示すように、LED126から発光された光は、第2穴部132を介して光透過性部材であるラッチレバー103の中を通り、反射板106にて反射され、さらにラッチレバー103内のポイントPにて反射し、表示部108を構成する操作部107に向かう。
【0032】
ここで、ポリプロピレンから空気に対する臨界屈折角は、本実施形態で採用するポリプロピレンの屈折率が1.49であり、空気の屈折率が1.00であることから、スネルの法則である、
n1sinθ1=n2sinθ2
より、約43°である。
【0033】
これに対し、図4のポイントPにおける入射角θiを60°となるよう、上記のLED126、反射板106などを設計していることから、基本的に、ポイントPに入射した光はポリプロピレン内で全反射し、図4の矢印Aに示すような光路となる。本実施形態では光源にLEDを採用しておりこれが発散光であることから、実際には光源からの光がポイントPで100%全反射するわけではない。また、表示部108を構成する操作部107の表面は、操作性向上のためのローレット加工が施されているため、表示部108に入射する光は乱反射しながら空気中へ出て行き、さらに、上述したようにLED126は発散光であるため、表示部108は面全体で発光をする。
【0034】
図5は、タンクホルダ121を示す斜視図である。タンクホルダ121は、本実施形態で用いる、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4種類のインクそれぞれのインクタンク101を装着するための4箇所の装着部を備えている。それぞれの装着部には、上述した第1係止部123(図5では不図示)および第2係止部124が設けられる。
【0035】
それぞれの第2係止部124の内部に設けられたLED126(図5では不図示)は、タンクホルダ121が搭載されるプリンタとの通信を行うための基板128と配線127により結線されており、これにより、プリンタが供給する電源によりLED126は発光することができ、また、プリンタの制御部によってその発光が制御される。
【0036】
図6は、4つのインクタンク101を装着したホルダ121を搭載したプリンタ161のカバー162を開いた状態を示す斜視図である。ホルダ121は、図6において左右方向に移動できるキャリッジ163に着脱自在に装着される。記録を行う際は、キャリッジ163の上記移動によって、ホルダ121に一体に設けられた各色インクに対応した記録ヘッドは記録用紙などの記録媒体に対して走査し、インクを吐出して記録を行うことができる。
【0037】
図6に示すように、インクタンク101をホルダ121に装着するとき、キャリッジ163はプリンタのほぼ中央に移動し、ユーザーはこの位置でインクタンクの装着または取り外しをおこなうことができる。インクタンク101をキャリッジに搭載されるホルダ121に確実に装着すると、上述したように装着するインクタンクに対応した表示部108が発光する。これにより、ユーザーはインクタンクの装着状態を目視によって確認することができる。
【0038】
図7(a)〜(c)は、インクタンクの装着状態に応じた発光の有無を説明する図である。
【0039】
装着動作が図3(a)〜(d)にて前述したように行われると、それに伴い、インクタンク101のラッチレバー103とホルダ121の第2係止部との位置関係は、図7(a)、(b)の順で変化し、最終的に同図(c)に示す装着完了の状態となる。
【0040】
この場合に、装着動作が行われる際には予めLED126を発光するように制御する。例えば、キャリッジ163が装着位置に移動する指令があったときは、それに応じてLED126を発光させる。この状態で装着動作が行われ、上述のようにラッチレバー103とホルダ121の第2係止部との位置関係が、図7(a)、(b)の状態にあるときは、LED126が発光しているにもかかわらず、表示部108は点灯しない。これに対し、同図(c)に示す装着完了の状態、すなわち、インクタンクの第2係合部105とホルダの第2係止部の相互の端面が接触して係合が確実となると同時に、表示部108が点灯する。
【0041】
このように、図7(a)や図7(b)の状態では、表示部108までの光路が形成されていないため、表示部108は点灯しない。すなわち、インクタンク101の装着状態が不完全であるときには、表示部108は点灯せず、装着完了状態となって初めて光路(矢印A)が形成され、表示部108が点灯する。これにより、ユーザーは、インクタンク101が正しい位置に確実に装着されたことを判断でき、また、ユーザーに対して装着完了と同時にその装着判断情報を示すことができる。
【0042】
なお、装着動作が完了すると、キャリッジ163がタンク着脱位置である中央の位置からホームポジションなどに移動すると、これに応じてLED126の発光を停止する制御を行う。
【0043】
また、図6で示したように、同形状もしくは類似形状のインクタンクが複数並んでプリンタに搭載されていても、表示部108を利用し、例えば、インクの残量が少なくなったときに、そのタンクのLEDを発光させ、表示部108を点灯するようにすれば、ユーザーにインクの少ないインクタンクがどれであるかを視覚的に且つ直感的に表示することができる。
【0044】
さらに、上記の実施形態では、インクタンク101の装着状態の判断結果をユーザーに対し視覚的のみ表示する構成を採用したが、図8に示すように、表示部108に対応するホルダ121の位置に受光センサー129を設けて、光学的検知を追加しても良い。また、この受光センサー129を、ホルダ121を搭載するプリンタにおける、例えばホームポジションの近傍に設けてもよい。これらの光学的検知構成により、例えば、インクタンクが正しく装着されていないにもかかわらず、ユーザがそのこと(すなわち、表示部が点灯していないこと)を見逃し、そのままの状態で記録動作を開始しようとしたときに、受光センサが光を検知していないことによって、インクタンクの不完全な装着をユーザーに知らせることができる。
【0045】
(実施形態2)
図9は、本発明の第2の実施形態に係わり、インクタンクがホルダに装着された状態を示す図である。
【0046】
図9に示すように、本実施形態のインクタンク201は、底面にインク供給口202、左側面にラッチレバーである第1ラッチアーム209、右側面に第2ラッチアーム210が設けられている。第1ラッチアーム209と第2ラッチアーム210には、第1係合部204と第2係合部205それぞれが設けられている。また、ラッチアーム209、210は、弾性変形可能で、また、光透過性の高い樹脂(ポリプロピレン)にて形成されている。
【0047】
インクタンク201を装着する装着装置としてのホルダ221には、インクタンクの第1係合部204と係合する第1係止部223、同様に第2係合部205と係合する第2係止部224、インク供給口202と接続するインク導入口222が設けられている。それぞれの係合部と係止部が係合した際に、上述の第1の実施形態と同様、光路が形成されて表示が可能となる。また、インク供給口202とインク導入口222が確実に接続され、インクタンク201からインクジェット記録ヘッド241へインク(不図示)が供給される。
【0048】
図10(a)〜(d)は、ホルダ221へのインクタンク201の装着動作を説明する図である。装着動作として、先ず、図10(a)に示すように、インクタンク201をホルダ241に対し垂直にセットする。そして、図10(b)に示すように、矢印の方向にインクタンク201を押す。インクタンク201を押すことによって、図10(c)に示すように、それぞれのラッチアーム204、205は、インクタンク201の内側に向けて弾性変形し、インクタンクはこの弾性変形を伴いながらホルダに装着される。そして、図10(d)に示すように、それぞれの係合部204、205が係止部223、224のホルダ221の内側方向へ突出した頂点を超えると、ラッチアーム204、205は、自らの弾性復元力によってインクタンク201の外側方向に戻る。これにより、係合部204、205はそれぞれ係止部223、224と、互いの係合面が接するように係合する。
【0049】
図11は、右側のラッチアーム210において、装着に伴う光路形成を説明する図である。図11に示すように、ホルダ221の第2係止部224の端面に形成された穴部232によって連通する内部には、LED226が第2係止部224に向かい発光可能な位置に設けられている。図11の矢印Bのように、LED226から発光された光は穴部232を介して光透過性部材であるラッチアーム210の中に入射し、ポイントP1及びポイントP2で2回反射し、表示部208に向かう。
【0050】
実施形態1と同様に、ラッチアーム210はポリプロピレンを採用しているため臨界屈折角は、約43°である。本実施形態では、図11のポイントP1及びP2における入射角θii及びθiiiが45°となるように設計していることから、ポリプロピレン内で全反射し、図11の矢印Bに示すような光路となる。但し、本実施例では光源にLEDを採用しており発散光であることより、実際には光源からの光がポイントP1およびP2で100%全反射するわけではない。また、表示部208への入射角は90°であるため空気へと透過する。この際上述したように、LED226は発散光であるため、図11のように表示部208は面発光をする。
【0051】
ホルダ221に対するLED226へ電源供給を行うための配線の構成、及びホルダ221を搭載するプリンタの構成は、実施形態1と同様であるため、その説明を省略する。
【0052】
図12(a)〜(c)は、図10(a)〜(d)で示した、ホルダ221に対するインクタンク201の装着動作時における光路形性のための係合状態の詳細を説明する図である。装着動作に伴い、図12(a)、(b)、(c)の順で係合状態が変化する。最終的に、同図(c)の状態、すなわち、完全な装着が行われると、上述したように、LED226から発光した光は、第2係合部205に入りラッチアーム210内を反射して表示部208が点灯する。よって、上述した実施形態1と同様に、図12(a)や図12(b)の係合状態では、表示部208までの光路が形成されていないため、表示部208は点灯しない。即ち、インクタンク201の装着状態が不完全であるときには、表示部208は点灯せず、装着完了状態となって初めて光路(矢印B)が形成され、表示部208が点灯する。これにより、インクタンク201の装着状態を確実に判定し、且つユーザーに装着完了と同時に、装着判定情報を表示することができる。
【0053】
本実施形態では、インクタンク201の装着状態の判断結果をユーザーに対し視覚的のみ表示する構成を採用したが、実施例1の図8の形態と同様、図13に示すように、表示部208に対応するホルダ221の位置に受光センサー229を設けて、電気的検知を追加しても良い。また、受光センサー229は、ホルダ221を搭載するプリンタに設けても良い。さらに、よりユーザーに認識し易くするため、表示部208の拡大や適正配置等をすべく、図13のように、表示部208から発光する光を第2導光性部材230に導光させても良い。
【0054】
(実施形態3)
図14は、本発明の第3の実施形態に係わり、インクタンクがホルダに搭載された状態を示す図である。また、図15(a)、(b)および(c)は、図14に示すインクタンクのそれぞれ正面図、左側面図、上面図である。
【0055】
図14、図15(a)〜(c)に示すように、インクタンク301は、底面に3つのインク供給口302、上面に係合部311、左側面に表示部308が設けられている。係合部311には光を導入する光導入口313が設けられるとともに、インクタンク301の内部には、光導入口313から導入した光を表示部308にまで導光する導光性部材312が設けられている。導光性部材312としては、光透過性の高いポリカーボネイトを採用している。
【0056】
一方、ホルダ321には、係合部311と係合する係止部331が設けられ、これらの係合が確実になされたとき、インク供給口302とインク導入口322が接続され、インクタンク301からインクジェット記録ヘッド341へインク(不図示)が供給される。
【0057】
図16(a)〜(c)は、ホルダ321に対するインクタンク301の装着動作を説明する図である。装着動作は、先ず、図16(a)に示すように、インクタンク301を、ホルダ341に対してインク供給口302が設けられた底面側から斜めにセットする。そして、図16(b)に示すように、同図の矢印の方向にインクタンク301を押す。インクタンク301を押すことにより、係合部311が係止部331の形状に沿って装着され、それぞれの面が完全に当接すると装着完了状態となる。(図16(c))
光の導光は、図14に示すように、ホルダ321の係止部331の内部に設けられたLED326から発光された光は、同図の矢印Cに示すように、穴部325を介して光導入口313に入り、導光性部材312を通って表示部308に導光される。
【0058】
図17は、本実施形態のインクタンク301を装着したホルダ363を搭載したプリンタ361のカバー362を開いた状態を示す斜視図である。ホルダ321は、記録を行う際に図17の左右方向に往復動作を行うキャリッジ363に搭載される。図17に示すように、インクタンク301をホルダ321に装着した際には、上述したように、その装着に係る表示部308が発光するため、ユーザーは装着状態の判断結果を目視することができる。
【0059】
実施形態1、2と同様、本実施形態によれば、図16に示すように、インクタンク301装着状態が不完全であるときには、穴部325と光導入口313が一致しないためLED326から発光した光はインクタンク301側には受け渡しされない。これに対し、装着完了状態(図16(c))となって初めて光路(矢印C)が形成され、表示部308が点灯する。これにより、インクタンク301の装着状態を確実に判定し、かつユーザーに装着完了と同時に、装着判定情報を表示することができる。
【0060】
また、実施形態1、2と同様に、表示部308に対応する位置に受光センサーを設けて、電気的検知を追加しても良い。
【0061】
(実施形態4)
図18は、本発明の第4の実施形態に係わり、インクタンクがホルダに搭載された状態を示す図である。また、図19(a)、(b)および(c)は、図18に示したインクタンクのそれぞれ正面図、左側面図、上面図である。
【0062】
図18、図19(a)〜(c)に示すように、インクタンク401は、底面にインクジェット記録ヘッド441、左側面に表示部408、底面を挟む両側面に第1係合部404、上面に第2係合部405が設けられている。第2係合部405には、光を導入する光導入口413が設けられ、また、インクタンク401の内部には、光導入口413から導入した光を表示部408にまで導光する導光性部材412が設けられている。導光性部材412としては、実施形態3と同様の光透過性の高いポリカーボネイトを採用している。
【0063】
一方、ホルダ421には、第1係合部404と係合する第1係止部423、第2係合部405と係合する第2係止部424が設けられており、それぞれの係合部と係止部が係合した際に、インクジェット記録ヘッド441へ供給される電源や記録信号の電気接点(不図示:図18のインクタンク401の右側面とホルダ421の左側面)が接合される。
【0064】
図20(a)〜(c)は、ホルダ421に対するインクタンク401の装着動作を説明する図である。装着動作は、先ず、図20(a)に示すように、インクタンク401を、ホルダ441に対してインクジェット記録ヘッド441が設けられた底面側から斜めにした状態で第1係合部404を第1係止部423にセットする。そして、図20(b)に示すように、矢印の方向にインクタンク401を押す。インクタンク401を押すことにより、第2係合部405が第2係止部424の形状に沿って装着され、それぞれの面が完全に当接すると装着完了状態となる(図20(c))。
【0065】
光の導光は、図18に示すように、ホルダ421の第2係止部424近傍に設けられたLED426から発光された光は、同図の矢印Dに示すように穴部425から光導入口413に入り、導光性部材412により表示部408に導光される。
【0066】
インクタンク401を装着したホルダ421を搭載したプリンタなどの構成は、実施形態3と同様であるため、それらの説明は省略する。
【0067】
実施形態1〜3と同様、本実施形態によれば、図20に示すように、インクタンク401装着状態が不完全であるときには、穴部425と光導入口413が一致しないためLED426から発光した光はインクタンク401側には受け渡しされない。これに対し、装着完了状態(図20(c))となって初めて光路(矢印D)が形成され、表示部408が点灯する。これにより、インクタンク401の装着状態を確実に判定し、且つユーザーに装着完了と同時に、装着判定情報を表示することができる。
【0068】
なお、実施形態1から3と同様に、表示部408に対応する位置に受光センサーを設けて、電気的検知を追加しても良い。
【0069】
上述の各実施例では、プリンタに設けられたキャリッジに対し、ホルダを装着する形態を採用したが、ホルダとキャリッジが一体化されていて、それに対し、記録ヘッドとインクタンクが一体の形態のものまたは記録ヘッドとインクタンクを別体のものを装着する形態であってもよい。あるいは、記録ヘッドがキャリッジに固定され、それに対してインクタンクを装着する形態であってもよい。
【0070】
また、実施形態1、2では、ラッチレバー103やラッチアーム209、210の材質として、弾性変形性と導光性を両立させるためにポリプロピレンを採用したが、弾性変形部と導光性部を別部品の構成とし、それぞれに適した材料、例えば、導光性部としてポリカーボネイト、アクリル、エポキシ等を選択しても良い。光源についてもユーザーに対し表示可能であれば、すなわち、可視光を発光するものであれば適宜選択可能である。また、実施形態3、4においても、導光性部材312、412としてポリカーボネイトを採用したが、アクリル、エポキシ、ポリプロピレン等を選択しても良い。
【0071】
さらに、実施形態1から4では、ホルダの係止部の光源近傍に穴部(132、232、325、425)を設け光路を形成したが、穴部の替わりに上述したような導光性部材を設けてもよい。
【0072】
さらに、実施形態1から4では、表示部の表示する情報として、ホルダに対するインクタンクの装着状態を対象としたが、インク残量等の他の情報も表示として追加してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の第1の実施形態に係わる、インクタンクがホルダに装着された状態を示す図である。
【図2】(a)〜(c)は、上記第1実施形態のインクタンクを示すそれぞれ正面図、底面図および右側面図である。
【図3】(a)〜(d)は、上記第1の実施形態のインクタンクのホルダに対する装着動作を説明する図である。
【図4】上記第1実施形態のインクタンクがホルダに装着されたときの光路形成を説明する図である。
【図5】上記第1実施形態のホルダを示す斜視図である。
【図6】上記第1実施形態に係るインクタンクが搭載されたプリンタを示す斜視図である。
【図7】(a)〜(c)は、上記第1実施形態のインクタンクのホルダに対する装着状態と光路形成に伴う表示を説明する図である。
【図8】上記第1実施形態の変形例に係る光検出を説明する図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る、インクタンクがホルダに装着された状態を説明する図である。
【図10】(a)〜(d)は、上記第2実施形態に係る、インクタンクのホルダに対する装着動作を説明する図である。
【図11】上記第2実施形態に係わるインクタンクがホルダに装着されたときの光路形成を説明する図である。
【図12】(a)〜(c)は、上記第2実施形態のインクタンクのホルダに対する装着状態と光路形成に伴う表示を説明する図である。
【図13】上記第2実施形態の変形例に係る光検出を説明する図である。
【図14】本発明の第3の実施形態に係る、インクタンクがホルダに装着された状態を説明する図である。
【図15】(a)〜(c)は、上記第3実施形態のインクタンクを示すそれぞれ正面図、左側面図および上面図である。
【図16】(a)〜(c)は、上記第3実施形態に係わるインクタンクのホルダに対する装着動作を説明する図である。
【図17】上記第3実施形態のインクタンクが搭載されたプリンタを示す斜視図である。
【図18】本発明の第4の実施形態に係るインクタンクがホルダに装着された状態を説明する図である。
【図19】(a)〜(c)は、上記第4実施形態のインクタンクを示すそれぞれ正面図、左側面図および上面図である。
【図20】(a)〜(c)は、上記第4実施形態のインクタンクのホルダに対する装着動作を説明する図である。
【符号の説明】
【0074】
101,201,301,401 インクタンク
102,202,302 インク供給口
103 ラッチレバー
104,204,404 第1係合部
105,205,405 第2係合部
106 反射板
107 操作部
108,208,308,408 表示部
209 第1ラッチアーム
210 第2ラッチアーム
311 係合部
312,412 導光性部材
313,413 光導入口
121,221,321,421 ホルダ
122,222,322 インク導入口
123,223,423 第1係止部
124,224,424 第2係止部
125,225,325,425 穴部
126,226,326,426 LED
127 配線
128 基板
129,229 受光センサー
230 第2導光性部材
331 係止部
132,232 第2穴部
141,241,341,441 インクジェット記録ヘッド
161,361 プリンタ
162,362 カバー
163,363 キャリッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源を備えた装着装置に装着されて用いられるインクタンクにおいて、
装着装置に対する装着状態で当該係止部と係合する係合部であって、該係合のときに装着装置の係止部との間で光路を形成する係合部と、
該係合部による係合によって形成された光路を介して装着装置の光源から導かれた光を表示する表示部と、
を具えたことを特徴とするインクタンク。
【請求項2】
前記係合部は当該面と装着装置の係止部の面が接することによって係合し、前記2つの面が接することによって光路が形成されることを特徴とする請求項1に記載のインクタンク。
【請求項3】
前記係合部は、当該装着動作に伴って変位し操作部を備えたラッチレバーに設けられ、前記操作部は前記表示部を構成することを特徴とする請求項1または2に記載のインクタンク。
【請求項4】
前記インクタンクは該インクタンクから供給されるインクを吐出する記録ヘッドを備えた装着装置に対して装着されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のインクタンク。
【請求項5】
前記インクタンクは該インクタンクから供給されるインクを吐出する記録ヘッドを備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のインクタンク。
【請求項6】
前記インクタンクはインクを収納していることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のインクタンク。
【請求項7】
インクタンクを装着するための装着装置において、
光源と、
インクタンクを装着した状態でインクタンクの係合部と係合する係止部とであって、該係合のときにインクタンクの係合部との間で光路を形成し、該形成された光路を介して前記光源からの光をインクタンクの係合部に導く係止部と、
を具えたことを特徴とするインクタンクの装着装置。
【請求項8】
前記係止部は当該面とインクタンクの係合部の面が接することによって係合し、前記2つの面が接することによって光路が形成されることを特徴とする請求項7に記載のインクタンクの装着装置。
【請求項9】
インクを吐出する記録ヘッドに供給するインクを収容したインクタンクと該インクタンクを装着する装着装置を用いて記録を行うインクジェット記録装置において、
前記装着装置は光源を備え、
前記インクタンクは、前記装着装置に対する装着状態で当該係止部と係合する係合部であって、該係合のときに装着装置の係止部との間で光路を形成する係合部と、該係合部による係合によって形成された光路を介して装着装置の光源から導かれた光を表示する表示部と、を備えた
ことを特徴とするインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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