説明

インクリボンカセット

【課題】 インクリボンの走行を補助するリボンガイドユニットのキャリッジへの装着を低コストで、かつ、特別な技巧を必要とせず容易に行うことができるインクリボンカセットを提供する。
【解決手段】 プリンタに着脱自在に装着されるインクリボンカセットにおいて、インクリボンの走行を補助するためのリボンガイドユニット16は、印字ヘッドで印字を行うときに印字媒体に対して不必要なインクの付着を防止するリボンンマスク18と、印字ヘッドを有するキャリッジ15に予め設けられたガイドロック溝19,20に嵌合するためのリボンガイドロック21,22とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに装着されるインクリボンカセットに関する。
【背景技術】
【0002】
通帳等の冊子へ印字を行うシリアルプリンタ等は、印字ヘッドにインクを供給するためのインクリボンを収納したインクリボンカセットを装着するようになっている。インクリボンカセットに収納されたインクリボンは、リボン供給部から供給されたインクリボンがインクリボンカセットから露出した外部の移動経路を通過してリボン巻取部からインクリボンカセット内に巻き取られるエンドレスのリボンである。このインクリボンは移動経路を通過する際には、リボンガイドユニットを通過するようになっている。このリボンガイドユニットは印字ヘッドに対するインクリボンの走行を補助するために設けられている。
【0003】
このようなプリンタでは、リボンガイドを通過しているインクリボンは、印字部分以外のインクリボンからの汚れが冊子に付着しないようにリボンマスクを取付ける必要がある。このリボンマスクを取付けるときはリボンマスクと印字ヘッドとの間にインクリボンを通す必要があるため、リボンマスクは例えば所定のギャップを有するようにねじ止めされてキャリッジに固定される。
【0004】
なお、カセット載置台が下降するときにリボンカセットの供給リールあるいは巻取りリールの係合部が供給ボビンあるいは巻取りボビンの係合部材と衝突すると、供給ボビンの係合部材あるいは巻取りボビンの係合部材が付勢部材の付勢力に抗して下降するので、リボンカセットはカセット載置台の下降にともないキャリッジ上に搭載され、その後、ボビンが少しでも回転されることにより下降された係合部材とリールの係合部との位置合わせが行われ、ボビン側の係合部材がリールの係合部と係合し、上昇することにより、キャリッジ上へのリボンカセットの搭載を良好に行う技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−72371号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のようにリボンマスクをキャリッジにねじ止めする構成だと、リボンマスクを固定するときにリボンマスクとキャリッジとの間を通過するインクリボンのためのギャップを調整する必要があり、そのギャップの調整には作業者の技巧を必要とする。
【0006】
また、インクリボンは消耗品であるため一定量の印字が行われると交換する必要がある。このときにリボンマスクがキャリッジにねじ止めされている場合には、ギャップを通過しているインクリボンを外し、新たなインクリボンに交換した後、再度インクリボンが通過するギャップの調整等を行う必要が生じる。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、インクリボンの走行を補助するリボンガイドユニットのキャリッジへの装着を低コストで、かつ、特別な技巧を必要とせず容易に行うことができるインクリボンカセットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、インクリボンを収納する収納部と、収納部に収納されたインクリボンを印字ヘッド供給する供給部と、印字ヘッドに供給されたインクリボンを巻取る巻取部と、供給部から巻取部の間のインクリボンの移動経路に印字ヘッドを有するキャリッジに装着され、インクリボンの走行を補助するリボンガイドユニットとを設け、プリンタに着脱自在に装着されるインクリボンカセットにおいて、印字ヘッドで印字を行うときに印字媒体に対して不必要なインクの付着を防止するリボンガイドユニットに取付けられたリボンマスクと、キャリッジに予め設けられた例えばガイドロック溝である孔部に嵌合するためのリボンガイドユニットに設けられた例えばリボンガイドロックである突起部とを有するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、インクリボンの走行を補助するリボンガイドユニットのキャリッジへの装着を低コストで、かつ、特別な技巧を必要とせず容易に行うことができるインクリボンカセットを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、通帳等の冊子に印字を行うシリアルプリンタ等に着脱自在に装着されるインクリボンカセットを示す斜視図である。なお、インクリボンカセットが冊子に印字を行うプリンタに着脱自在に装着される構成については従来よりあるものと同様であるため説明を省略し、本発明に係るインクリボンカセットについて以下図面を参照して説明する。
【0011】
インクリボンカセット1は、インクリボン(図示しない。)を収納する収納部11と、収納部11に収納されたインクリボンを印字ヘッドに供給する供給部12と、印字ヘッドに供給されたインクリボンを巻取る巻取部13と、供給部12から巻取部13の間のインクリボンカセット1から露出したインクリボンが移動する移動経路14と、この移動経路14に印字ヘッドを有するキャリッジ15に取付けられ、印字ヘッドへ供給するインクリボンの走行を補助するリボンガイドユニット16とを有してなる。なお、キャリッジ15には、キャリッジ15が印字方向へ移動するときにガイドするためのキャリッジガイド15aが設けられている。
【0012】
収納部11には、供給部12へ未使用のインクリボンを供給する未使用インクリボン収納部(図示しない。)と、巻取部13で巻取った使用したインクリボンを収納する使用済インクリボン収納部(図示しない。)とを有している。すなわち、未使用インクリボン収納部に収納されたインクリボンは、供給部12、移動経路14、巻取部13を介して使用済インクリボン収納部で巻き取られるようになっている。
【0013】
インクリボンの移動経路14に配置されるリボンガイドユニット16には、インクリボンカセット1がプリンタに装着されて印字ヘッドで印字を行うときに冊子に対して不必要なインクの付着を防止するリボンマスク18が取付けられている。リボンガイドユニット16は、リボンガイドユニット16を構成する略点対象な2つのリボンガイド部材16a、16bでインクリボンを挟み込むとともに、冊子に対してインクリボンを覆うようにリボンマスク18がリボンガイド部材16a、16bにはめ込まれて組み立てられる。なお、リボンマスク18には、印字ヘッドで冊子に印字を行うための印字孔18aが設けられている。リボンガイドユニット16の断面の形状についての詳細は図4を参照して後述する。
【0014】
続いて、リボンガイドユニット16及びそのリボンガイドユニット16をキャリッジ15に嵌合するための構成について詳細に説明する。図2はリボンガイドユニット16とキャリッジ15とを示す図である。同図中上側に配置された印字ヘッド15bを有するキャリッジ15に対し、下側に配置されたリボンガイドユニット16を上側に移動させ嵌合させる。
【0015】
図3はリボンガイドユニット16のキャリッジ15への装着側の外観斜視図であり、図4はリボンガイドユニット16がキャリッジ15へ嵌合される様子を説明するための図であり、図3におけるA−A断面図及びキャリッジ15の一部の断面図を示している。
【0016】
図3に示すように、リボンガイドユニット16のキャリッジ15への装着側には、図4に示すキャリッジ15に設けられた孔部であるガイドロック溝19,20に嵌合させるために突起部であるリボンガイドロック21,22が設けられている。そのリボンガイドロック21,22は、具体的には図4に示すように、リボンガイド部材16a,16bに1つずつ連接されるとともに所定の高さを有しており、その先端部21a,22aがキャリッジ15のガイドロック溝19,20に沿った形状をしている。また、リボンガイドロック21,22の先端部21a,22aにはキャリッジ15側、かつ、外側にキャリッジ15に対して斜面となる斜面部21b,22bが設けられている。この斜面部21b,22bは、キャリッジ15のガイドロック溝19,20よりリボンガイドユニット16側に設けられた斜面部19a,20bと対向する位置となるように設けられている。
【0017】
リボンマスク18は、断面が図4に示すように段々とした形状となっている。このリボンマスク18はリボンガイドユニット16を組み立てるときにはめ込まれ、位置ずれ及び落下等をしないように固定される。
【0018】
インクリボンは、リボンガイドユニット16の両端部に配置されたリボンガイドローラ17a,17b及びリボンマスク18の内側を通過するようになっている。したがって、インクリボンカセット1を装着したプリンタで印字を行うときに冊子にリボンガイドユニット16は押し付けられるが、リボンマスク18があるため上述した印字孔18aを介した部分でしか、インクリボンは冊子に接触しないようになっている。
【0019】
次に、このように構成されるインクリボンカセット1において、リボンガイドユニット16を取り付けるときの作用について説明する。
【0020】
作業者は、インクリボンカセット1内にインクリボンを挿入する(又はカセット内に収納されたインクリボンを取替える)と、上述したように、露出したインクリボンを挟み込むようにしてリボンガイド部材16a,16bとリボンマスク18を取り付け組み立てる。このようにリボンガイドユニット16を組み立てた後、リボンガイドユニット16をキャリッジ15に取り付けるために押し付ける。このとき、リボンガイドロック21,22の斜面部21b,22bが、キャリッジ15のガイドロック溝19,20よりリボンガイドユニット16側に設けられた斜面部19a,20aと当接する。そして、作業者によりリボンガイドユニット16が押し込められると、リボンガイド部材16a,16bにそれぞれ連接されたリボンガイドロック21,22が、若干内側に曲げられる。これにより、リボンガイドロック21,22の先端部21a,22aが挿入される。そして、リボンガイドロック21,22がキャリッジ15内の奥まで挿入されると、若干内側に曲げられていたリボンガイドロック21,22が反発力により元の状態に戻るとともに、リボンガイドロック21,22の先端部21a,22aは、ガイドロック溝19,20に沿って収納される。これにより、リボンガイドユニット16は、キャリッジ15に嵌合されて固定される。
【0021】
なお、図4はキャリッジ15の断面を説明するための図であり、図5は図4で示すキャリッジ15の断面にリボンガイドユニット16を装着したとき状態を示す図である。図4で示したキャリッジ15ガイドロック溝19,20に、図5ではリボンガイドロック21,22が嵌合されて固定されている。
【0022】
この実施の形態によると、インクリボンをインクリボンカセット1に収納した後に、インクリボンカセット1から露出したインクリボンを通すようにリボンガイド部材16a,16bとリボンマスク18とからリボンガイドユニット16を組み立て、そのリボンガイドユニット16のリボンガイドロック21,22をキャリッジ15のガイドロック溝19,20に嵌合させることにより、容易にインクリボンカセット1を組み立てることができる。このようにリボンマスク18をリボンガイドユニット16に取付けるため、インクリボンカセット1を組み立てるときに、インクリボンを通過させるためのギャップを調整する等の工程を省くことができるとともにギャップ調整のための特別な技巧を必要としない。
【0023】
また、リボンガイドユニット16の部品はシンプルな構造であり、シンプルな構造が故に安価なものとすることができる。
【0024】
さらに、インクリボンカセット1をプリンタに設置して印字を行うときに、リボンマスク18により不必要なインクの付着を防止することができる。
【0025】
なお、本発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態におけるインクリボンカセットを示す図。
【図2】同実施の形態におけるキャリッジとリボンガイドを示す図。
【図3】同実施の形態におけるリボンガイドユニットのキャリッジへの装着側の外観斜視図。
【図4】同実施の形態におけるリボンガイドユニットがキャリッジへ嵌合される様子を説明するための図。
【図5】同実施の形態におけるキャリッジの断面を示す図。
【図6】図5におけるキャリッジの断面にリボンガイドを装着したときの状態を示す図。
【符号の説明】
【0027】
1…インクリボンカセット,11…収納部,12…供給部,13…巻取部,14…移動経路,15…キャリッジ,16…リボンガイドユニット,16a,16b…リボンガイド部材,18…リボンマスク,18a…印字孔,19,20…ガイドロック溝,21,22…リボンガイドロック,21a,22a…リボンガイドロックの先端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクリボンを収納する収納部と、
前記収納部に収納されたインクリボンを印字ヘッド供給する供給部と、
前記印字ヘッドに供給されたインクリボンを巻取る巻取部と、
前記供給部から前記巻取部の間のインクリボンの移動経路に前記印字ヘッドを有するキャリッジに装着され、前記インクリボンの走行を補助するリボンガイドユニットとを設け、
プリンタに着脱自在に装着されるインクリボンカセットにおいて、
前記印字ヘッドで印字を行うときに印字媒体に対して不必要なインクの付着を防止する前記リボンガイドユニットに取付けられたリボンマスクと、
前記キャリッジに予め設けられた孔部に嵌合するための前記リボンガイドユニットに設けられた突起部と、
を有することを特徴とするインクリボンカセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−248095(P2006−248095A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−69588(P2005−69588)
【出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】