説明

インクリボンカセット

【課題】本発明は、インクリボンカセットにおいて、インクリボンカセットをプリンタから取り外す際に、インクリボンの弛みを防止して、インクリボンカセットの取り外す際の作業性を向上させるインクリボンカセットを提供することを目的とする。
【解決手段】
プリンタにおいて印字に用いられるインクリボン33がカセットケース本体40に装填されたインクリボンカセットであって、未使用のインクリボンを供給するインクリボン供給軸31と、使用済みのインクリボンを巻き取るインクリボン巻取り軸32と、カセットケース本体40に複数の転向ピン37,38,39が配置され、インクリボン供給軸31からインクリボン巻取り軸32に至るインクリボン33の移送路の一部を変位するようにしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印字を行う際に用いられる各色のインクリボンが装填されたインクリボンカセットを用いて複数の色で印字を行うカラープリンタのインクリボンカセットに関する。
【背景技術】
【0002】
台紙に仮着されたラベル等の被印字媒体(以下、「用紙」ともいう)に印字を行うプリンタとして、サーマルヘッドを用いてインクリボンのインクを用紙に転写することにより印字を行うサーマル転写式プリンタが用いられている。
サーマル転写式プリンタにおいては、用紙とインクリボンとを同一方向に同一速度で搬送しながら、サーマルヘッドの発熱体が発生する熱によってインクリボンのインクを用紙に転写することにより印字が行われる。
【0003】
サーマル転写式プリンタにおいて、複数の色で印字を行うためには、複数色のインクリボンが必要となるので、一般的に、各色のインクリボンが装填されたインクリボンカセットが用いられる。
インクリボンカセットは、インクリボン供給軸にロール状に巻回された状態で支持された未使用のインクリボンを複数の転向を介してインクリボン巻取り軸に巻き取られた状態でインクリボンをセットし、このインクリボンをセットしたインクリボンカセットをカラープリンタに装着する。各色のインクリボンカセットを装着した後に、所定の操作により印字発行を行う。
【0004】
しかしながら、インクリボンカセットをカラープリンタから取り外す際に、インクリボン供給軸とインクリボン巻取り軸との間でインクリボンが緩み、カラープリンタの印字部に配置した部品や突起部材にインクリボンが引っ掛かり、インクリボンカセットを引きだすことが困難になるという問題がある。
【0005】
また、インクリボンカセットを引き出す際に、インクリボンを部品や突起部材を回避しながらインクリボンカセットを引きだすことになり、インクリボンカセットを引きだす操作が煩雑になるので作業性が低下する問題がある。
またインクリボンカセットを装填する際に、インクリボンを部品や突起部材を回避しながらインクリボンカセットを装填しなければならないので、操作が煩雑になり作業性が低下する問題がある。
【0006】
特許文献1には、リボンカセットのカセットケースの上面に、カセットケースの内部から外部に突出して、インクリボンのうちラインサーマルプリンタにおけるサーマルヘッドに当接する一部分を、カセットケースの外部に退避させるためのリボンガイドが設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−66847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、上記の点に鑑み、本発明は、インクリボンカセットにおいて、簡単な機構で、インクリボンカセットをカラープリンタから取り外す際に、インクリボンの弛みを防止して、インクリボンカセットの取り外す際の作業性を向上させるインクリボンカセットを提供することを目的とする。
またインクリボンカセットにおいて、簡単な機構で、インクリボンカセットをカラープリンタに装着する際に、インクリボンの弛みを防止して、インクリボンカセットの装着する際の作業性を向上させるインクリボンカセットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の課題を解決するため、請求項1の発明の要旨は、プリンタにおいて印字に用いられるインクリボンがカセットケース本体に装填されたインクリボンカセットであって、未使用のインクリボンを供給するために前記カセットケース本体に回転可能に支持されたインクリボン供給軸と、使用済みのインクリボンを巻き取るために前記カセットケース本体に回転可能に支持されたインクリボン巻取り軸と、前記カセットケース本体に複数の転向ピンが配置され、前記インクリボン供給軸から前記インクリボン巻取り軸に至るインクリボンの移送路と、前記インクリボンの移送路の一部を変位する変位手段と、を具備することを特徴とするインクリボンカセットにある。
また請求項2の発明の要旨は、前記変位手段は、前記カセットケース本体に設けられ、印字後の前記インクリボンの移送路を変位するようにしたことを特徴とする請求項1記載のインクリボンカセットにある。
また請求項3の発明の要旨は、前記変位手段は、弾性部材と、前記弾性部材に設けられ前記インクリボンを転向するスライド軸と、を設け、前記スライド軸を前記リボン巻取り軸方方向に付勢されていることを特徴とする請求項1又は2記載のインクリボンカセットにある。
【発明の効果】
【0010】
本願のインクリボンカセットは、インクリボンカセットをプリンタから取り外す時、サーマルヘッドがプラテンローラから離間する動作に伴って、スライド軸が追従して上方に移動することでき、スライド軸に係合するインクリボンの移送路を変位するので、インクリボンカセットを容易に引き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のカラープリンタにインクリボンカセットが装着された状態を示すカラープリンタの概略構成図である。
【図2】同上、イエローのインクリボンを装着されたインクリボンカセットのフレームを切り欠いた状態を示す断面図である。
【図3】同上、インクリボンカセットの用紙の搬送方向の下流側からのインクリボン変位機構の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
図1は、本発明のインクリボンカセットが装着されたカラープリンタを示す概略構成図である。このカラープリンタは、台紙に仮着されたラベル、又は、タグ製造用の帯状のシート等の被印字媒体(用紙)に印字を行うためのプリンタであって、サーマルヘッドを用いてインクリボンのインクを用紙に転写することにより印字を行う。以下においては、4色のインクリボンがそれぞれ装填された4種類のインクリボンカセットを用いて用紙に印字を行う場合を例にとって説明する。
【0013】
図1に示すように、用紙1が、ロール状に巻回されたロール紙2として、プリンタ10の筐体に設けられた用紙供給軸11に回転可能に支持されている。
なお、用紙供給軸11には、装填したロール紙2の幅方向を規制するガイド部材(図示せず)が設けられている。
用紙供給軸11から引き出された用紙1は、筐体内に設けられたモータによって駆動されて回転する駆動ローラ12と、駆動ローラ12の回転に伴って回転する従動ローラ13との間に供給され、駆動ローラ12と従動ローラ13とによって挟持搬送される。
【0014】
また、カラープリンタ10の筐体のフレーム14には、用紙1の搬送方向上流側(図中右側)から搬送方向下流側(図中左側)に向けて、4種類のインクリボンカセット30a〜30dが装着されている。
例えば、インクリボンカセット30aには、イエロー(黄色)のインクリボンが装填されており、インクリボンカセット30bには、マゼンタのインクリボンが装填されており、インクリボンカセット30cには、シアンのインクリボンが装填されており、インクリボンカセット30dには、ブラック(黒色)のインクリボンが装填されている。
【0015】
インクリボンカセット30a〜30dの各々において、インクリボン33が、インクリボン供給軸31とインクリボン巻取り軸32との間に架け渡されている。インクリボン巻取り軸32は、筐体内に設けられたモータ(図示せず)によって駆動されて回転する。
【0016】
カラープリンタ10は、4種類のインクリボンカセット30a〜30dに対応して、4つのプラテンローラ15a〜15dと、4つのサーマルヘッド16a〜16dとを有し、各々印字部を形成している。サーマルヘッド16a〜16dは、インクリボンカセット30a〜30dの内部にそれぞれ挿入され、プラテンローラ15a〜15dにそれぞれ対向して配置される。
【0017】
インクリボンカセット30aのインクリボン供給軸31にロール状に巻回された状態で支持された未使用のインクリボン33は、プラテンローラ15aとサーマルヘッド16aとの間に用紙1と共に供給され、転写後のインクリボン33は、インクリボン巻取り軸32によって巻き取られる。
【0018】
プラテンローラ15aは、筐体内に設けられたモータ(図示せず)によって駆動されて回転することにより、用紙1及びインクリボン33を同一方向に同一速度で搬送する。サーマルヘッド16aは、電流を流すことによって発熱する複数の微細な発熱体を幅方向に有している。これらの発熱体に電圧を印加して電流を流すことにより発熱体を発熱させ、インクリボン33のインクを用紙1に転写することにより、インクリボンカセット30aに装填されたイエローのインクリボンを用いた印字が行われる。
【0019】
プラテンローラ15b〜15dもプラテンローラ15aと同様に構成され、サーマルヘッド16b〜16dもサーマルヘッド16aと同様に構成されている。プラテンローラ15aの位置を通過した用紙1は、プラテンローラ15b〜15dの位置を順次通過し、サーマルヘッド16b〜16dによって、インクリボンカセット30b〜30dにそれぞれ装填されたマゼンタ、シアン、ブラックのインクリボンを用いた印字が順次行われる。印字が完了した用紙1は、用紙排出口から排出される(図1中、右側)。
【0020】
入力部50は、複数の操作キー、及び/又は、外部のホストコンピュータ(図示せず)に接続されるインタフェースを含んでおり、カラープリンタ10を操作するために用いられ、後述の制御部60に電気的に接続されている。
制御部60は、例えば、CPUとソフトウェアを含んでおり、カラープリンタ10の各部の動作を制御する。表示部70は、エラーメッセージ等を表示するためのLCD(液晶表示)パネル又は複数のLED(発光ダイオード)を含んでおり、制御部60から供給される信号に基づいて各種の表示を行う。電源部80は、カラープリンタ10の制御部60を含む、各部に電力を供給する。
【0021】
図2は、イエローのインクリボンを装着されたインクリボンカセットのフレームを切り欠いた状態を示す断面図である。
尚、この実施の形態では、インクリボンカセット30aについて説明するが、インクリボンカセット30b、30c、30dも同様の構造なので説明を省略する。
印字部17には、サーマルヘッド16aを適正な位置にプラテンローラ15aに押圧することができるように位置決め部材19がカラープリンタ10側に設けられている。
位置決め部材19は、位置決め部材19の上部に位置決め軸20が突出して設けられている。一方、サーマルヘッド16aは、ヘッドブラケット18に設けられ、このヘッドブラケット18に側壁21が設けられている。
【0022】
側壁21には、半円の切欠き部が形成されることで、サーマルヘッド16aをプラテンローラ15aに向けて閉じたときに、位置決め部材19の位置決め軸20に側壁21の切欠き部が係合されてサーマルヘッド16aが位置決めされる。
尚、一点鎖線で示したサーマルヘッド16aを含むヘッドブラケット18の位置は、サーマルヘッドがプラテンローラから離間した開放位置として示し側壁21を省略している。また、実線で示したサーマルヘッド16aを含むヘッドブラケット18の位置は、サーマルヘッドがプラテンローラに押圧した印字可能な印字位置として示している。
尚、サーマルヘッド16aは、支点軸22を中心に回動可能に設けられている。
【0023】
このようなインクリボンカセットを用いるカラープリンタ10においては、インクリボンカセット30a〜30dをカラープリンタ10に装着する際、あるいはインクリボンカセット30a〜30dをカラープリンタ10から取り外す際に、インクリボン33が位置決め部材19などに当接することがある。
即ち、インクリボン33は、カラープリンタ10側に配置されたインクリボンカセット30aの内方に位置する位置決め部材19や図示しない突起部材に接触し、インクリボンカセット30aの着脱の作業性が低下したり、あるいはインクリボン33を損傷することがある。
【0024】
そこで、本発明においては、インクリボンカセット30a〜30dの着脱に際し、インクリボン変位機構9を設けて、このインクリボン変位機構9によりインクリボン33を上下方向に変位させることによりインクリボン33の移送経路を変位させるように構成されている。
【0025】
次に、図2及び図3に基づいてインクリボンカセット30aについて説明する。
インクリボンカセット30aのカセットケース40には、鉛直方向に設けた印字部側支柱41と、供給側支柱42が設けられている。
印字部側支柱41は、印字部17の用紙1の搬送方向の下流側に位置して、第一フレーム34と第二フレーム35から構成される。
第一フレーム34と第二フレーム35は、所定の間隔で配置されている。また第一フレーム34は、インクリボンカセット30aを装填する際の手前側に位置し、第二フレーム35は、インクリボンカセット30aを装填する際の奥側(プリンタの筐体側)に位置するように設けられている。
【0026】
また、第一フレーム34と第二フレーム35との間に仮想線で示した中間プレート36が配置され、この中間プレート36により第一フレーム34と第二フレーム35の間隔を保持している。
供給側支柱42は、印字部17の用紙1の搬送方向の上流側(用紙供給側)に位置して、第三フレーム43と第四フレーム44から構成される。
第三フレーム43と第四フレーム44の間には、図示しないが中間フレームが設けられ所定の間隔で配置されている。また第三フレーム43は、インクリボンカセット30aを装填する際の手前側に位置し、第四フレーム44は、インクリボンカセット30aを装填する際の奥側(プリンタの筐体側)に位置するように設けられている。
【0027】
また、インクリボンカセット30aには、インクリボン供給軸31とインクリボン巻取軸32を回転可能に支持する支持プレート(図示せず)が第一フレーム34と第三フレーム43との間に設けられている。
【0028】
カラープリンタ10の筐体のフレーム14には、インクリボン供給軸31に嵌合する回転可能なボスと、インクリボン巻取り軸32に嵌合する回転可能なボス(何れも図示せず)とが設けられている。
【0029】
またカラープリンタ10には、インクリボンカセット30aの全体をガイドするためのガイドピン(図示せず)が複数設けられ、このガイドピンによりインクリボンカセット30aを筐体のフレーム14の鉛直面に対峙して水平に移動するように設けられ、インクリボンカセット30aの第二フレーム35と第四フレーム44とがカラープリンタ10の筐体のフレーム14の鉛直面に当接または近接することによりインクリボンカセット30aが位置決めされる。
【0030】
なお、インクリボンカセット30aの第二フレーム35と第四フレーム44との間には、インクリボンカセット30aをカラープリンタ10から着脱する際に、カラープリンタ10側に設けられたプラテンローラ15a、サーマルヘッド16a、位置決め部材19などに当接しないように空間部が形成されている。
【0031】
インクリボンカセット30aには、上流側転向ピン37,38が設けられ、インクリボン供給軸31から印字部17に向けてインクリボン33が移送することができるように配置されている。
上流側転向ピン37は、第三フレーム43と第四フレーム44とに介在して設けられ、インクリボン供給軸31から繰り出されたインクリボン33を上流側転向ピン38に向けて案内することができる。また上流側転向ピン38も同様に第三フレーム43と第四フレーム44に介在して設けられ、インクリボン33を印字部17に向けて案内することができる。
印字部17に移送されたインクリボン33は、サーマルヘッド16aとプラテンローラ15aの協働作用により、用紙1にインクを転写して文字や画像を形成することができる。また、上流側転向ピン37,38は、各々回転するように設けることができる。
【0032】
印字部17で用紙1にインクを転写したインクリボン33は、印字部17からインクリボン巻取軸32に移送することができるように、リボン変位機構9と下流側転向ピン39がインクリボンカセット30aに配置されている。
このように、インクリボン供給軸31と、インクリボン巻取り軸32とに至るインクリボン33の移送路が形成されている。
【0033】
リボン変位機構9は、印字部17のインクリボン33の移送方向の下流側の印字側支柱41に設けられている。
またインクリボンカセット30aをカラープリンタ10に装着した時のリボン変位機構9は、サーマルヘッド16a近傍に位置することができる。
【0034】
リボン変位機構9は主に、コイルスプリング4、4と、スライド軸5と、突片6と、が設けられている。
【0035】
一方、第一フレーム34と第二フレーム35の対峙する面に、各々鉛直方向に向けた長溝7が形成され、この長溝7,7に各々コイルスプリング4が配置されている。
スライド軸5は、支持片8,8を介してコイルスプリング7,7の一端部に架設するように配置されている。また、スライド軸5は、長溝7,7に沿って略平行移動可能に設けられている。
これによりスライド軸5は、コイルスプリング4,4の付勢方向または付勢方向に抗する方向に長溝7,7に沿って上方または下方に変位することができる。
【0036】
スライド軸5は、円柱状の軸を断面略Dカット状に形成され、サーマルヘッド16aに設けた押圧片3に当接可能な突片6を設けることができる。突片6は、インクリボンカセット30a内方に位置し、インクリボン33の幅方向と同方向に沿った横長プレートから形成されている。また突片6は、スライド軸5の断面略Dカットの平面部に沿って固定され、またスライド軸5の外周曲面にインクリボン33が移送されるようにすることができる。
【0037】
突片6は、サーマルヘッド16aの開閉に伴って、ヘッドブラケット18に設けた押圧片3に当接可能に設けられている。押圧片3は、ヘッドブラケット18の先端側(用紙1の移送方向側)に設けられ、ヘッドブラケット18から用紙1の搬送方向(リボン変位機構9側)に延出するように配置されている。
サーマルヘッド16aがプラテンローラ15aに圧接した印字位置では、押圧片3が突片6に当接して下方に押し下げるので、コイルスプリング4、4の付勢に抗してスライド軸5が長溝7,7に沿って押し下げられる。
【0038】
なお、サーマルヘッド16aがプラテンローラ15aに向けて閉じる時に、リボン供給軸31にインクリボン33を巻き戻す方向に回転力が発生しインクリボン33が巻き戻されるので、インクリボン33にテンションが加わるので、シワなどの発生を防止することができる。
【0039】
サーマルヘッド16aがプラテンローラ15aから離間した開放位置では、突片6が押圧片3から開放されるので押圧力が解放され、コイルスプリング4、4の付勢により、スライド軸5が長溝7,7に沿って上方に向けて変位(移動)することができる。
【0040】
なお、サーマルヘッド16aがプラテンローラ15aから離間する方向に移動する時に、リボン巻取軸32にインクリボン33を巻き取る回転力が加わりインクリボン33を巻き取られるので、インクリボン33にテンションが加わるので、シワなどの発生を防止することができる。
スライド軸5が上方の移動に伴ってインクリボン33も上方に移動するので、リボン変位機構9とインクリボン供給軸31との間に張力が発生する。また、サーマルヘッド16aの開放位置では、押圧片3と突片6が離間した位置にとすることができる。
【0041】
このように、インクリボン33の移送路にインクリボン33の移送路の一部を変位するリボン変位機構9を設けたので、サーマルヘッド16aの開放位置(図2中、仮想線)と印字位置(図2中、実線)との間で、インクリボン33の移送路を変位することができる。
【0042】
サーマルヘッド16aが開放位置に位置する際は、サーマルヘッド16aが支点軸を起点といて左上方に向けて(図2中)傾斜する位置と、ほぼ同様の傾斜する角度でテンションが加わることになり、位置決め部材19などを回避した位置にインクリボン33の移送路を形成しているので、インクリボン33意識することなく容易にリボンカセット30aを取り外すことができる。
よって、リボンカセット30aの着脱する作業を容易に行うことができる。
【0043】
上記のように構成したインクリボンカセット30aを装着する時に、サーマルヘッド16aが開放位置にある。また、インクリボンカセット30a側のスライド軸5は、コイルスプリング4,4の付勢により、長溝7,7の上方に位置(着脱位置)している。
この時に、スライド5軸と上流側転向ピン38の間に位置するインクリボン33は、
サーマルヘッド16aの下方においてサーマルヘッド16aの傾斜角度とほぼ同様の角度を有することができる。
この状態で、インクリボンカセットをカラープリンタ側に設けたガイドピンに沿って装着することにより、インクリボン33は、位置決め部材19などを回避してインクリボンカセット30aを装着することができ、インクリボン33の損傷や皺の発生を防止することができる。また、インクリボンカセット30aの装着の操作性および作業性を向上させることができる。
【0044】
インクリボンカセット30aを装着した後に、サーマルヘッド16aを開放位置から印字位置に閉じることにより、突片6を押圧片3が押し下げる作用によりガイド軸5が長溝7,7に沿って下方に変位することができる。サーマルヘッドが印字位置でロックされるとガイド軸5は、サーマルヘッド16aの先端に位置するので、インクリボン33をサーマルヘッド16aの先端でインクリボン33を転向することができる(転写位置)。
【0045】
またインクリボンカセット30aを取り外す時は、ロックを解除してサーマルヘッド16aを印字位置から開放位置に開くことができる。サーマルヘッド16aが上方に開くことにより、スライド軸5が追従して上方に移動することでき、スライド軸5に係合するインクリボン33が上方に移動するので、装着時と同様に位置決め部材などを回避してインクリボンカセット30aを引き出すことができる。
【0046】
本実施の形態の突片は、薄板上のプレートで説明したが、このプレートの上面の押圧片の当接する部分に薄板状のゴム部材などの弾性体を設けることができる。弾性部材を設けることにより、突片および押圧片の損傷を防止することができる。
また本実施の形態では、弾性部材としてガイド軸を付勢する部材としてコイルスプリングで説明したがZ状に板ばね、スポンジ、発泡材など設けることができる。
さらに本実施の形態では、4色のカラープリンタで説明したが、単色のリボンカセットを有するプリンタあるいは2色以上のリボンカセットを有するカラープリンタに適用することができる。
【0047】
この実施の形態では、各構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施するうえで好適な数、位置、形状等にすることができる。本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。
【符号の説明】
【0048】
1 用紙
2 ロール紙
3 押圧片
4 コイルスプリング
5 スライド軸
6 突片
7 長溝
8 支持片
9 リボン変位機構(変位手段)
10 プリンタ
11 用紙供給軸
14 筐体のフレーム
15a〜15d プラテンローラ
16a〜16d サーマルヘッド
17 印字部
19 位置決め部材
30a〜30d インクリボンカセット
31 インクリボン供給軸
32 インクリボン巻取り軸
33 インクリボン
34 第一フレーム
35 第二フレーム
37 上流側転向ピン
38 上流側転向ピン
39 下流側転向ピン
40 カセットケース本体
41 印字側支柱
42 供給側支柱
50 入力部
60 制御部
70 表示部
80 電源部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタにおいて印字に用いられるインクリボンがカセットケース本体に装填されたインクリボンカセットであって、
未使用のインクリボンを供給するために前記カセットケース本体に回転可能に支持されたインクリボン供給軸と、
使用済みのインクリボンを巻き取るために前記カセットケース本体に回転可能に支持されたインクリボン巻取り軸と、
前記カセットケース本体に複数の転向ピンが配置され、前記インクリボン供給軸から前記インクリボン巻取り軸に至るインクリボンの移送路と、
前記インクリボンの移送路の一部を変位する変位手段と、
を具備することを特徴とするインクリボンカセット。
【請求項2】
前記変位手段は、
前記カセットケース本体に設けられ、印字後の前記インクリボンの移送路を変位するようにしたことを特徴とする請求項1記載のインクリボンカセット。
【請求項3】
前記変位手段は、
弾性部材と、前記弾性部材に設けられ前記インクリボンを転向するスライド軸と、を設け、
前記スライド軸を前記リボン巻取り軸方方向に付勢されていることを特徴とする請求項1又は2記載のインクリボンカセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−95019(P2013−95019A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238607(P2011−238607)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)サトーホールディングス株式会社 (1,153)
【Fターム(参考)】