説明

インクリボン

【課題】 印刷後のインクリボンに残ったネガ状の印刷内容から印刷情報が漏洩することを抑止する。
【解決手段】 本発明は、土台層に少なくともインク層が積層されたインクリボンに関する。そして、本発明のインクリボンにおいて、上記土台層は、印刷装置によって上記インク層が媒体に付着した領域の一部又は全部が、上記インク層と同一又は近似する色となること、又は、上記土台層の一部又は全部が、上記インク層と同一又は近似する色に着色されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクリボン、インクリボンカートリッジ及び印刷装置に関し、例えば、機密情報を印刷する印刷装置に適用することができる。
【背景技術】
【0002】
従来の熱転写式の印刷装置(例えば、特許文献2に記載の印字装置)におけるインクリボン(例えば、特許文献1に記載のインクリボン)では、土台層(以下、「支持体」とも言う)に積層されたインク層を媒体に付着させることにより印刷しているが、媒体への印刷終了後に、インクリボンに媒体に印刷された内容がネガ状に残ってしまい、使用済のインクリボンが第三者の手に渡ると、当該第三者が媒体に印刷した情報(印刷情報)を把握することができてしまうという問題がある。なお、以下の説明において、印刷後のインクリボンに残ったネガ状の印刷内容を「印刷残像」というものとする。
【0003】
このような、印刷済のインクリボンから印刷残像により印刷情報が漏洩してしまうという問題を解決する従来技術としては、特許文献3〜5の記載技術がある。
【0004】
特許文献3に記載された熱転写記録装置では、印刷終了後に、インクリボンの印刷された部分を巻戻して全黒を印刷するように印刷用のサーマルヘッドを発熱させることによりインクリボン上の印刷残像を抹消している。
【0005】
特許文献4に記載されたプリンタでは、インクリボンを有するリボンカセットのロック機構を備え、いったんリボンカセットが当該プリンタに搭載されると、上記ロック機構を所定の認証手段により認証受けて解除しなければ取り出せないようにして、印刷済のインクリボンの印刷残像が第三者の目に触れないようにしている。
【0006】
特許文献5に記載されたインクリボンでは、カラー印刷に用いられるインクリボンであり、リボン色検出用のブラックマーク部に熱可塑性接着剤を混入することにより、印刷済のインクリボンが巻き取られた際に、使用済みインクリボン同士が接着するため、印刷残像を見難くしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−246158号公報
【特許文献2】特開平6−122264号公報
【特許文献3】特開平10−086424号公報
【特許文献4】特開平6−293173号公報
【特許文献5】特開2007−168083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献3、4の記載技術では、導入するには印刷装置(プリンタ)を置き換える必要があり、導入コストが大きくなる。特に、特許文献4の記載技術では、印刷残像はそのまま残る上、認証手段により認証を受けなければインクリボンカセットを取り出すことができない等、煩雑な操作が必要となる。
【0009】
また、特許文献5の記載技術では、使用済みインクリボン同士が接着されているだけで、印刷残像はそのままインクリボンに残っているため、接着部分を破断して、つなぎなおしたり、接着剤を剥離することにより印刷残像を見ることができ、機密情報の漏洩防止としては不十分なものとなってしまうという問題がある。また、特許文献5の記載技術では、リボン色検出用のブラックマーク部に熱可塑性接着剤を混入するためカラー印刷用のインクリボンでなければ導入できず、単色のインクリボンには適用できないという問題もある。
【0010】
そのため、印刷後のインクリボンに残ったネガ状の印刷内容から印刷情報が漏洩することを、現状の印刷装置やインクリボンが納められたカートリッジの構造を従来と変更しなくても防止することができる、新規なインクリボン、インクリボンカートリッジ及び印刷装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の本発明のインクリボンは、(1)土台層に少なくともインク層が積層されたインクリボンにおいて、(2)上記土台層は、印刷装置によって上記インク層が媒体に付着した領域の一部又は全部が、上記インク層と同一又は近似する色となることを特徴とする。
【0012】
第2の本発明のインクリボンは、(1)土台層に少なくともインク層が積層されたインクリボンであって、(2)上記土台層の一部又は全部が、上記インク層と同一又は近似する色に着色されていることを特徴とする。
【0013】
第3の本発明の印刷装置は、(1)インクリボンを備える印刷装置において、(2)上記インクリボンとして第1又は第2の本発明のインクリボンを適用したことを特徴とする印刷装置。
【0014】
第4の本発明のインクリボンカートリッジは、(1)印刷装置の印刷に用いられるインクリボンを収納して、上記印刷装置に着脱自在に装着されるインクリボンカートリッジにおいて、(2)上記インクリボンとして第1又は第2の本発明のインクリボンを適用したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
印刷後のインクリボンに残ったネガ状の印刷内容から印刷情報が漏洩することを抑止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施形態に係るインクリボンの印刷後の状態を示した説明図である。
【図2】第1の実施形態に係るインクリボンの構成について示した断面図である。
【図3】第1の実施形態に係るインクリボンカートリッジの構成例を示す構成図である。
【図4】第1の実施形態に係るインクリボンカートリッジを収納した印刷装置の外観構成を示す構成図である。
【図5】第1の実施形態に係るインクリボンを用いて媒体に印刷した際の、インクリボン及び媒体の状態について示した断面図である。
【図6】第2の実施形態に係るインクリボンの印刷後の状態を示した説明図である。
【図7】第3の実施形態に係るインクリボンの印刷後の状態を示した説明図である。
【図8】第4の実施形態に係るインクリボンの土台層の構成を説明する説明図である。
【図9】第5の実施形態に係るインクリボンの構成について示した断面図である。
【図10】第5の実施形態に係る印刷装置の内部構成を示す内部構成図である。
【図11】第5の実施形態に係る印刷装置における熱印加設定処理を説明するフローチャートである。
【図12】第5の実施形態に係る印加設定テーブルの構成例を示す構成図である。
【図13】第5の実施形態に係るインクリボンの印刷後のインク層及び土台層の状態を説明する断面図である。
【図14】第5の実施形態に係るインクリボンの印刷後の状態を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(A)第1の実施形態
以下、本発明によるインクリボン、インクリボンカートリッジ及び印刷装置の第1の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0018】
(A−1)第1の実施形態の構成
図2は、第1の実施形態のインクリボン10の構成を示した断面図である。
【0019】
図3は、第1の実施形態のインクリボンカートリッジ20の構成例について示した簡略平面図である。
【0020】
図4は、第1の実施形態の印刷装置30の構成例について示した簡略平面図である。
【0021】
なお、図2〜図4における括弧内の符号は、後述する第2又は第3の実施形態で用いる符号である。
【0022】
インクリボン10は、熱転写式のリボンである。インクリボン10は、図3、図4に示す印刷装置30に着脱自在に装着されるインクリボンカートリッジ20に納められ、インクカートリッジ20が印刷装置30に搭載されることによって印刷装置30に装着される。
【0023】
図3に示すように、インクリボンカートリッジ20は、印刷前の(印刷に未だ用いられていない)インクリボン10がインクリボンコア21に巻き付けられ、印字用のテープ(媒体)23への印刷に用いられた使用済のインクリボン10がインクリボンコア22に巻き取られる構造が採用される。
【0024】
媒体23は、媒体コア24に巻き付けられ、プラテン25の位置においてインクリボン10と当接可能とされ、開口部26から外部に排出される。
【0025】
インクリボンカートリッジ20は、サーマルヘッド導入穴部27が設けられ、図4に示す印刷装置30におけるカートリッジ収納位置に収納されると、印刷装置30のサーマルヘッドがサーマルヘッド導入穴部27に挿入され、プラテン25側にインクリボン10及び媒体23を押しつけ、印字データに応じてインクリボン10に所定の熱を印加することでインクリボン10が媒体23に転写される。この印刷動作にあわせてインクリボン10及び媒体23を搬送することで媒体23に印字データが印刷される。
【0026】
インクリボンカートリッジ20のその他の構成や印刷装置30の印刷機構・処理などは従来の構成・処理などを適宜採用すればよいため詳しい説明を省略する。
【0027】
次に、インクリボン10の詳細構成について説明する。
【0028】
図2に示すように、インクリボン10では、土台層11の上にインク層12が積層されている。
【0029】
図5は、インクリボン10を用いて媒体に印刷した際の、インクリボン及び媒体の状態について示した断面図である。
【0030】
上記の通り、図5に示すように、印刷装置30は、サーマルヘッドにより印刷データに応じた熱をインクリボン10へ印加することで、当該熱が印加された領域のインク層12が土台層11から離れて媒体23に付着する。これにより媒体23に印刷データが印刷される。従って、印刷後のインクリボン10は、印刷層12から視認した際、インク層12が剥離した部分、すなわち印刷に使われた部分だけ土台層11が視認可能な状態になる。
なお、インク層12が剥離した部分の形状は印刷データに対してネガの関係にあるため、従来のインクリボンでは印刷データを使用済みインクリボンから視認することが可能となっていた。
【0031】
インク層12としては、既存の熱転写式プリンタにおけるインクリボンのインク層を用いることができる。第1の実施形態においては、インク層12は黒色一色である形態を示す。
【0032】
土台層11は、インク層12が媒体23と当接した状態においてインク層12が積層された側とは反対側からサーマルヘッドによって熱が加えられた場合にインク層12が媒体23に付着して土台層11には残らない程度の結合力にてインク層12を積層保持するリボンである。本実施形態における土台層11は、インク層12と同一又は近似する色、すなわち黒色若しくは黒に近い色に着色されている。これにより、印刷後のインクリボン10は、インク層12が抜けている部分を視認できなくなるので/視認しにくくなるので、印刷データを確認できなくなる/目視で印刷データを認識することが極めて困難となる。
なお、インク層12と近似する色とは、このように印刷後のインクリボン(リンク層12が媒体23に転写された後のインクリボン)を目視で確認した際、インク層12がない部分とある部分との差が分からない/確認しづらい色であればよい。
【0033】
土台層11を着色する方法は、特に限定されないが、例えば、土台層11にインク層12と同一又は近似する色の顔料や着色剤を練りこんだり、インク層12と同一又は近似する色の塗料でコーティングを施したり、上記色の層を別途設けたり(例えば、ラミネート加工で着色層を設けたり)することで実現できる。当然、当初からインク層12と同一または近似する色に成形される材料にて土台層11を作成することでも実現できる(以下、この場合も含めて「土台層を着色する」と記載する。)。
【0034】
次に、印刷した後の、インクリボン10の状態について説明する。
【0035】
図1は、インクリボン10の印刷後の状態を示した正面図である。
【0036】
図1(a)は、印刷後のインク層12の状態を示している。図1に示すインクリボンは、図1(a)に示すように、「GFEDCBA」からなる文字列(印刷データ)が媒体23に印刷されたため、インク層12から当該印刷データに対応する部分が剥離しており、白紙の上に当該インク層12を配置すると図に示すように白色で上記印刷データのネガの情報を視認することができる。すなわち、図中白色の部分は印刷によりインク層12が土台層11から剥離した部分であり、黒色の部分は印刷後もインク層12が土台層11に残存している部分である。
【0037】
図1(b)は、土台層11を示しており、全面に渡りインク層12と同じ黒色に着色されている。
【0038】
そして、図1(c)は、印刷後のインクリボン全体の状態、すなわち図1(a)のインク層12と図1(b)の土台層11を重ね合わせた状態を示している。
【0039】
図1(c)に示すように、インクリボン10では、土台層11の色と、インク層12の色は同一(黒色一色)であり、印刷後でも区別が付かない状態/区別がつきにくい状態である(黒色一色となって/ほぼ黒色一色に見える。)。
【0040】
(A−2)第1の実施形態の効果
第1の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0041】
インクリボン10において、土台層11をインク層12と同一又は近似する色に着色したため、印刷後において、土台層11側、インク層12側のいずれから目視しても、インク層12が残存した部分の色と剥離した部分の色の差がないため、図1(c)に示すように両者を区別することができない/極めて困難になる。従って、印刷残像から印刷内容を認識し難いものにできる。
【0042】
上記の通り、本実施形態は土台層11さえインク層と同一・近似の色に着色すれば印刷データ漏洩を防止できるため、印刷装置30及びインクリボンカートリッジ20のその他の構成は、既存の規格を変更することなく採用することもできる。従って、上記作用・効果を低コストで実現することも可能である。
【0043】
なお、上記実施形態においてはインクリボン10をインクリボンカートリッジ20に収納した構成を示すが、印刷装置にインクリボン10を直接搭載・収納した構成としても良い。
【0044】
上記実施形態において、インクリボンカートリッジ20は、媒体23も搭載しているが、媒体は別個のカートリッジから供給されるようにしたり本体に直接装填されるようにして、インクリボンカートリッジにはインクリボン10のみが搭載されている構成にすることも当然に可能である。
【0045】
媒体23は、上記機構においてインク層12が転写・固定可能なものであればよい。インク層12の材料・製法も、採用される媒体23の性能や土台層11の性能に応じて適宜選択される。
【0046】
上記では単色印刷の構成を用いて説明したが、一枚のインクリボン10でカラー印刷を行うべくインクリボン10の場所によって異なる色のインク層12を土台層11に積層する場合、土台層11は、積層されているインク層12の色に対応した色に着色される。
【0047】
上記実施形態においては、土台層11を全面に渡って同一の色(黒色)に着色したが、必ずしも全面に渡って同一の色又は近似する色に着色する必要はない。印刷装置の制約で印刷できない領域はそもそも着色不要であり、また、印刷可能な領域であっても一部着色しなくても全体としては印刷残像が視認困難/視認できる部分から印刷データを解読することが困難(不可能)となるからである。土台層の着色には、このように、全面に渡った着色のみならず、本発明の作用・効果を十分に発揮する着色も含まれる。
【0048】
(B)第2の実施形態
以下、本発明によるインクリボン、インクリボンカートリッジ及び印刷装置の第2の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0049】
(B−1)第2の実施形態の構成
第2の実施形態では、土台層11に印刷装置30のサーマルヘッドにより印刷時に加えられる熱によりインク層12と同一又は近似する色に変色する。
【0050】
第2の実施形態のインクリボン、インクリボンカートリッジ、印刷装置の構成は、それぞれ図2、図3、図4に示す構成に対応するため、第2の実施形態でも同じ図を用いて説明する。第1の実施形態に対応する構成要素の符号には、末尾にそれぞれAを付す。
【0051】
なお、第2の実施形態は、土台層11A以外は第1の実施形態と同様であるので、土台層11A以外の構成については詳しい説明を省略する。
【0052】
印刷装置30Aは熱転写式であり、印刷する際、図示しないサーマルヘッドにより土台層11Aにおけるインク層12Aが積層された側とは反対側の面からプラテン25方向に印刷データに対応した熱を加えることで、媒体23に印刷データに応じたインク層12Aが移る。すなわち、土台層11Aのうちインク層12が剥離する領域においては、土台層11Aにもサーマルヘッドにより加熱される。
【0053】
そこで、本実施形態においては、土台層11Aに、サーマルヘッドによって印刷時に加えられる熱によってインク層12Aの色と同一若しくは近似する色に熱変色するものを用いている。これにより、インク層12が剥離した領域は、インク層12Aと同一若しくは近似する色に変色することになる。
【0054】
土台層11Aを熱変色させる方法としては公知の種々の方法を採用でき、例えば、土台層11Aに、熱変色する着色剤や顔料(熱変色性含量)などを錬りこんだり、着色された層(熱変色層)を設けたり(例えば、ラミネート加工により熱変色層を設けたり)しても良い。熱変色する材料で土台層11Aを作成してもよい。
【0055】
なお、第2の実施形態においてもインク層12は黒色とし、土台層11Aが変色した後の色も黒色とする。
【0056】
図6は、第2の実施形態におけるインクリボン10Aの印刷後の状態を示した説明図である。
【0057】
図6(a)は、印刷後のインクリボン10Aにおけるインク層12の状態を示している。この状態は図1(a)と同じである。
【0058】
図6(b)は、印刷後の土台層11Aの状態を示している。図6(b)に示すように、サーマルヘッドによって印刷データ「GFEDCBA」に対応する熱が加えられた部分は黒色に変色しており、その他の部分は変色していない(図では白色で示している。)。
【0059】
そして、図6(c)は、印刷後のインクリボン10A全体の状態、すなわち図6(a)のインク層と図6(b)の土台層11Aを重ね合わせた状態を示している。
【0060】
図6(c)に示すように、インクリボン10Aは、土台層11Aにおいて、インク層12が剥離した部分と土台層11Aにおいて加熱により変色した部分が一致し、土台層11Aの変色部分の色は土台層11Aに残存したインク層12の色と同じであるため、全体として黒色一色と視認されることになる。
【0061】
(B−2)第2の実施形態の効果
インクリボン10Aは、土台層11Aがサーマルヘッドから印刷時に加えられる熱によりインク層12と同一又は近似する色に変色するため、印刷後にインク層12Aが残存する部分と媒体23Aに転写された部分とを視覚によって区別することを困難とし、印刷残像から印刷内容を認識することを困難としている。すなわち、第2の実施形態でも、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0062】
なお、上記実施形態においてはインク層が全面に渡って同一の熱変色性能を備える形態を示したが、印刷機構の制約により印刷不能な領域は当該性能を具備している必要はない。また、当該性能を具備している領域においても、全ての部分が同一の性能を備えず、例えば一部が他の部分と異なる色に変色するようにしてもよい。このように変色したインクリボンは、上記の通り印刷残像を視覚にて認識困難なだけでなく、当該一部内における熱変色した部分のみが他の部分と色が異なるため、看者の注意は当該変色部分に向くので、印刷残像の知覚も困難にできる。
【0063】
(C)第3の実施形態
以下、本発明によるインクリボン、インクリボンカートリッジ及び印刷装置の第3の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0064】
(C−1)第3の実施形態の構成
第3の実施形態では、土台層11の一部だけをインク層12と同一又は近似する色に着色している。
【0065】
第3の実施形態のインクリボン、インクリボンカートリッジ、印刷装置の構成は、それぞれ図2、図3、図4に示す構成に対応するため、第2の実施形態でも同じ図を用いて説明し、各構成の符号の末尾にBを付す。また、土台層以外の構成については第1の実施形態と同様であるので詳しい説明を省略する。
【0066】
土台層11Bは、印刷後に、印刷残像を認識し難い模様が付される(当該模様に対応する場所が着色される。)。印刷後に、印刷残像を認識し難くする模様としては、例えば、主として文字が印刷される場合には、その印刷される文字と同程度の大きさの文字を組み合わせた模様などが挙げられる。
【0067】
土台層11Bの一部を着色する方法としては、第1の実施の形態と同等の方法において上記模様を表示できるようにすればよいが、当該模様を土台層11Bに付す必要があるため、一般には模様を土台に印刷した後にインク層12を積層してインクリボンが作成される。
【0068】
第3の実施形態では、土台層11Bには、インク層12と同一の黒色で、印刷する文字と同程度の大きさの文字を組み合わせた模様が付されている。
【0069】
次に、第3の実施形態において、媒体に印刷した後のインクリボン10Bの状態について説明する。
【0070】
図7は、インクリボン10Bの印刷後の状態を示した説明図である。
【0071】
図7(a)は、印刷後のインクリボン10Bにおけるインク層12の状態を示している。図7(a)において白色の部分は、印刷によりインク層12が剥離した部分であり、光を透視し、黒色の部分は、印刷後もインク層12が残存した部分であり、光を透視しない。
【0072】
図7(b)は、土台層11Bを示しており、黒色の部分はインク層12と同一の色で着色されており、白色の部分は特に着色されていない(白色である。)。
【0073】
図7(b)に示すように、土台層11Bには、図7(a)に示すネガ状に残存した印刷残像の「GFEDCBA」という文字列の文字(印刷データ)と、同程度の大きさの文字の文字列「12345678」の組み合わせの模様が予め印刷されている。
【0074】
そして、図7(c)は、印刷後のインクリボン10B全体の状態、すなわち図7(a)のインク層と図7(b)の土台層を重ね合わせた状態を示している。
【0075】
図7(c)に示すように、インクリボン10Bは、インク層12の色と土台層11Bにおいて着色された模様の色とが同一(若しくは近似)であるため、印刷後において、印刷残像と土台層11Bの模様とが重ね合わされた状態となる。
【0076】
(C−2)第3の実施形態の効果
インクリボン10Bにおいては、土台層11にインク層12と同一又は近似する色の模様が予め付されているため、印刷後のインクリボン10Bにおける印刷残像の内容を認識し難くしている。すなわち、印刷残像と土台層11の模様の内容が重畳してしまい、印刷残像(印刷データ)の内容を知覚することが困難となり、結果として印刷情報の漏洩を抑止することができる。
【0077】
なお、上記実施形態においては通常印刷されるデータ(文字)と同程度の大きさの模様(文字、記号を含む。)が土台層11Bを付した例を示したが、例えば通常印刷されるデータに比して十分に小さい模様(文字)を付してもよい。これにより、インクリボン10Bにおいてインク層12Bが抜けた部分において多数の文字が表示されることとなり、看者の注意を土台層11Bの表示に引きつけることができ、印刷残像を知覚しにくくすることができる。
【0078】
また、図7(b)では意味のない文字列を土台層11Bに付したが、意味のある文字列を付すことで、看者は土台層11Bの文字列に注目するため、結果として印刷残像を知覚しにくくすることができる。
【0079】
さらに、土台層11Bに模様を付していない部分において第1の実施形態若しくは第2の実施形態の構成を採用することで、印刷残像の一部が他の部分と区別できなくなる/極めて区別しにくくなり、かつ、土台層11Bの文字列に看者の注意を引きつけるため、看者による印刷残像の把握を極めて困難なものにできる。
【0080】
(D)第4の実施形態
次に、本発明のインクリボン、インクリボンカートリッジ及び印刷装置の第4の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0081】
第1〜第3の実施形態では、インク層12の色が一色の場合を想定して説明した。しかし、インクリボン10には、例えば、赤色、青色、黒色、緑色、白色などいろいろな色がある。そのため、印刷情報の漏洩を防止するためには、それぞれのインク層12の色に応じて、着色した又は変色可能な土台層11を作製することが必要となる。つまり、それぞれの色に応じた土台層12を持つインクリボン10を作製することが必要となってしまう。そうすると、インクリボン10の生産コストが高くなったり、生産上、柔軟性な対応がとれない場合が生じ得る。そこで、第4の実施形態では、インク層12の色に関わらず、複数のインク層12の場合にも対応可能なインクリボン10を作製できるようにする実施形態を例示する。
【0082】
(D−1)第4の実施形態の構成
図8は、第4の実施形態のインクリボン10の土台層11の構成を説明する説明図である。
【0083】
第4の実施形態のインクリボン、インクリボンカートリッジ、印刷装置の構成は、それぞれ図2、図3、図4に示す構成に対応するため、第4の実施形態でも同じ図を用いて説明し、各構成の符号の末尾にCを付す。また、土台層以外の構成については第1の実施形態と同様であるので詳しい説明を省略する。
【0084】
図8に例示する土台層11Cは、図7(b)で例示した場合と同様に、複数の文字列が重なるように、模様が予め印刷されている。図8に例示する土台層11Cが、図7(b)と異なる点は、それぞれの文字列が行毎に異なる色で印刷されている点である。
【0085】
例えば、図8の例示する土台層11Cには、5行の複数の文字列が重なるように印刷されている場合を例示するが、第1行目であるL1の文字列は「黒色」で印刷されており、第2行目のL2の文字列は「赤色」、第3行目のL3の文字列は「黒色」、第4行目のL4の文字列は「青色」、第5行目のL5の文字列は「黒色」で印刷されている。土台層11Cにおける文字列L1〜L5が印刷されていない領域は、この実施形態では透明である。
【0086】
従って、土台層11Cに積層されるインク層12の色が赤色、黒色、青色のいずれであっても上記土台層11Cだけで対応できる(すなわち、1つの土台層11Cを用いて複数の印字色のインクリボン10Cを作製することができる)。
【0087】
土台層11Cに印刷されている文字の色がそれぞれ異なり、更にこれら文字が重なるように印刷されているから、印刷後の印刷残像は、土台層11Cの文字の色と重畳することになり、第3の実施形態と同様に、印刷情報の漏洩を抑止できる。
【0088】
また、印刷後の印刷残像(図7(a)に示すような印刷した部分だけが抜けたインク層)における印刷に供された部分(インクが抜けている部分)は、インク層12と同色の文字列L1〜L5の文字が重なっている箇所によって当該部分の外観を認識困難となり、それ以外の部分は、他の色の文字列L1〜L5の文字若しくは土台層11Cの色(この実施形態では透明であるため11Cを介して視認される色)が呈される。すなわち、同色の文字列L1〜L5の文字によって、外観上印刷された情報の解読が困難な状態で、さらに残りの部分が他の色若しくは土台層11Cの色のいずれかが他に比べて強く認識され、全体として印刷された情報の判別が極めて困難となる。
【0089】
印刷装置30で通常印刷される文字サイズ(例えば12ポイント)よりも十分に小さな文字サイズ(例えば2〜3ポイント)のサイズの文字列L1〜L5を設ければ、印刷に供された部分(インクが抜けている部分)を介してこれらの文字列が表示されるため、印刷に供された部分の外観形状の判別が困難になるが、この実施形態では、複数の色の文字列L1〜L5が存在するため、インク層12との比較で視認されやすい色の文字列L1〜L5が特に注目されるなど、土台層11Cに形成する画像を全て同色とした場合とは異なる印刷に供された部分の視認のしにくさを実現できる。
【0090】
なお、図8では、各行の文字列の色が異なる場合を例示したが、この実施形態に限定されるものではなく、例えば各行の文字毎に異なる色で印刷するようにしてもよい。例えば、各行について、赤色、青色、黒色、赤色、青色、…のように文字の色を変えるようにしてもよい。
【0091】
また、図8に例示する土台層11Cは、各行が数字からなる文字列を例示したが、これは模様の一例であり、その他に、ひらがな、カタカナ、英字、記号、絵文字、キャラクタ等又はこれらを組み合わせたものとしてもよい。また、図8では、土台層11Cに印刷する文字列を5行とする場合を例示したが、その行数は特に限定されるものではない。さらに、土台層11Cに印刷する文字の大きさも、特に限定されるものではなく、印刷されるデータより大きくしてもよいし、小さくしてもよい。
【0092】
(C−2)第4の実施形態の効果
以上のように、第4の実施形態によれば、土台層11Cに、複数の色からなる文字列を印刷することで、インクリボン10のインク層12の色に関わらず、印刷残像と土台層11Cの模様の内容が重畳することで、印刷残像(印刷データ)の内容を知覚することが困難となり、結果として印刷情報の漏洩を抑止することができる。
【0093】
また、第4の実施形態によれば、土台層11Cに複数の色からなる模様を印刷することで、いろいろな色のインク層12にも対応することができる。そのため、インクリボンの全ての色に応じて土台層を作製する場合に比べて、インクリボン10Cの生産コストを抑えることができ、かつ、柔軟な対応ができる。
【0094】
(E)第5の実施形態
次に、本発明のインクリボン、インクリボンカートリッジ及び印刷装置の第5の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0095】
第5の実施形態も、第4の実施形態と同様に、インク層12の色に関わらず印刷情報の漏洩を抑止できるものである。第5の実施形態は、印刷時に、印刷装置30のサーマルヘッドから印加される熱の印加方法の違いにより、土台層11が異なる色に変色する実施形態を例示する。
【0096】
(E−1)第5の実施形態の構成
第5の実施形態のインクリボン、インクリボンカートリッジ、印刷装置の構成は、それぞれ図2、図3、図4に示す構成に対応するため、第5の実施形態でも同じ図を用いて説明し、各構成の符号の末尾にDを付す。
【0097】
(E−1−1)インクリボンの構成
図9は、第5の実施形態のリンクリボン10Dの構成を説明する断面図である。図9において、第5の実施形態のインクリボン10Dは、印刷装置30Dのサーマルヘッドから印加される熱の印加時間、印加温度のいずれか又は両方が違うことにより、異なる色に変色するものである。
【0098】
図9に示すように、第5の実施形態のインクリボン10Dは、土台層11Dとインク層12とを有する。さらに、土台層12Dは、基台111の上に、黒色発色層112、青色発色層113、赤色発色層114が積層されて構成される。
【0099】
図9に例示する黒色発色層112、青色発色層113、赤色発色層114は、それぞれ熱の加え方によって発色する色が異なるものである。ここで、黒色発色層112、青色発色層113、赤色発色層114は、それぞれ温度によって発色するものであれば、特に限定されるものではない。
【0100】
例えば、黒色発色層112は、熱が印加されていない場合には、無色透明であるが、ある温度の熱が印加されると黒色又はこれに近似する色に変色する熱変色性材料からなるものである。これにより、インク層12が黒色の場合、インク層12が剥離した部分と、熱の印加により黒色に変色した土台層12Dとが重畳するので、印刷残像を視認することができなくなる。青色発色層113及び赤色発色層114についても、同様に、熱印加前は無色透明であるが、ある温度の熱が印加されると青色又は赤色等に変色するものである。
【0101】
なお、基台111上に積層する発色層112〜114の順序は特に限定されるものではないが、例えば、発色させる温度が低い発色層を基台111に近い側に積層するようにしてもよい。また、図9では、土台層11Dが3色の発色層を有する場合を例示したが、発色層の積層数は特に限定されるものではない。
【0102】
また、土台層11Dが温度によって異なる色に変色することができれば、複数の発色層を積層しなくてもよい。例えば、印加する温度を変えることにより、熱分解等の化学変化を起こし異なる色に変色する多色変化を行なう顔料を、基台111上に塗ったり又は土台層11Dの材料として練り込むようにしてもよい。これにより、複数の層を積層しなくてもよくなる。
【0103】
(E−1−2)印刷装置の構成
次に、インクリボン10Dの土台層11Dを複数の色に発色させるための第5の実施形態の印刷装置30Dの構成を、図面を参照しながら説明する。
【0104】
図10は、第5の実施形態の印刷装置30Dの内部構成を示す内部構成図である。図10において、第5の実施形態の印刷装置30Dは、大きくは、入力部40、制御部50、出力部60から構成されている。
【0105】
入力部40は、ユーザが操作する操作キー(やダイヤルキー)を備えたキー入力部41、印字色検出センサ42を有する。入力部40は、種々の方法により、媒体23に印字する色(すなわちインク層12の色)を入力又は検知して制御部50に与えることができる。例えば、キー入力部41が、印字する色を指定する操作キー41aを備えるようにしてもよいし、又は、印字色検出センサ42がインクカートリッジ20Dの色(すなわち、インク層12の色)を検出するようにする方法を適用することができる。
【0106】
例えば、キー入力部41は、操作キー41aを備える場合、ユーザが操作キー41aを操作して印字する色を指定することにより、キー入力部41は、ユーザが希望する印字色を示す操作キー信号を制御部50に与える。これにより、制御部50は、これを受けてどの色で印字するかを検知することができ、その印字色に応じて土台層11Dの発色を調整することができる。
【0107】
また、印字色検出センサ42が、インクカートリッジ20Dの色を検出する場合には、次のような方法を取ることができる。例えば、インクリボンカートリッジ20Dが有する印字色を識別するための物理的な識別要素(例えば印字色の情報が記された二次元バーコード等)を有する。そして、印刷装置30Dにインクカートリッジ20Dが収納されると、印字色検出センサ42が物理的な識別要素を検出し(例えば、上記の二次元バーコードを光学的に読み取り、当該二次元バーコードから印字色の情報を取り出し)、その検出した色を示すセンサ信号を制御部50に与える。これにより、制御部50は、これを受けてどの色で印字するかを検知することができ、その印字色に応じて土台層11Dの発色を調整することができる。
【0108】
出力部60は、印刷構成と表示構成とからなる。ここで、印刷構成は、媒体23に対して通常の印刷を行う構成であり、表示構成は、媒体23に印刷させる印刷データや操作情報を表示する構成である。サーマルヘッド62は、制御部50の制御下で、ヘッド駆動回路64によって駆動される。制御部50によるサーマルヘッド62の熱の印加調整については、動作の項で説明するが、印字色に応じて発色させる土台層11Dの色を決定し、その土台層11Dを発色させる色に応じて、熱の印加温度及び又は印加時間を調整する。
【0109】
また、テープリボン・走行機構61及び液晶ディスプレイ65は、制御部50の制御下で、走行駆動回路63及びディスプレイ駆動回路66によって駆動される。なお、印刷された媒体23の切断は、例えば、ユーザからの外力やモータ等によって駆動されるカッタ(図示しない)によって行なわれる。
【0110】
制御部50は、例えば、マイクロコンピュータによって構成されており、CPU51、ROM52、RAM53、キャラクタジェネレーションROM(CG−ROM)54、入力インタフェース55及び出力インタフェース56がシステムバス57を介して接続されて構成されている。ROM52は、1又は複数のROMチップでなり、ROM52には、各種の処理プログラムや固有のデータ等が格納されている。例えば、サーマルヘッド62の熱印加設定の実行プログラム52a(以下、熱印加設定プログラムともいう)が格納されている。
【0111】
(E−2)第5の実施形態の動作
次に、印刷時に、印字する色に応じてインクリボン10Dの土台層11Dが複数の色に発色させる動作を、図面を参照しながら説明する。
【0112】
図11は、印刷装置30Dにおいてサーマルヘッド62がインクリボン10Dに印加する熱の印加調整を行なうフローチャートである。
【0113】
まず、印刷装置30Dは、収納するインクカートリッジ20Dの色を検知する(ステップS101)。このインクカートリッジ20Dの色の検知方法は、上述したように、例えば操作キー41aによるユーザ操作を受けて印字色の入力を受けたり、また例えば印字色検出センサ42によるインクカートリッジ20Dの色検出をしたりする方法を適用できる。
【0114】
印刷装置30Dの制御部50が、入力部40からインクカートリッジ20Dの色を示す信号を受けると、その色に応じてインクリボン10Dの土台層11を発色させる色を決定し、その発色させる色に応じた熱の印加設定を行ない(ステップS102)、制御部50は印刷処理を制御する(ステップS103)。
【0115】
ここで、熱の印加設定の方法は、種々の方法を広く適用することができるが、例えば、次のような方法を適用することができる。例えば、熱印加設定プログラム52aは、図12に例示するような印加設定テーブルを有し、この印加設定テーブルを参照しながら熱の印加設定を行なう方法を適用できる。
【0116】
図12に例示するように、印加設定テーブルは、「印字する色」、「発色層」、「印加温度」、「印加時間」を項目として有する。例えば、印字する色が「赤色」の場合、発色層は「赤色発色層」とし、この赤色発色層114を発色させるためには、サーマルヘッド62が印加する印加温度は「A」であり、印加時間は「D」であることを示す。つまり、制御部50では、CPU51が熱印加設定プログラム52aを実行し、インクカートリッジ20Dの色に基づいて印加設定テーブルを参照して、サーマルヘッド62が印加する熱の印加温度、印加時間を設定する。
【0117】
図13は、第5の実施形態のインクリボン10Dの印刷後のインク層12及び土台層11Dの状態を説明する断面図である。例えば、インクカートリッジ20Dの色(すなわちインク層12の色)が「赤色」の場合、制御部50の制御下で、サーマルヘッド62は、赤色発色層114を発色できる印加温度、印加時間の熱をインクリボン10Dに印加する。これにより、インクリボン10Dでは、熱が印加された部分(図12の(A))のインク層12は剥離する。また、熱が印加された部分(図12の(A))の赤色発色層114は赤色に変色する。
【0118】
図14は、第5の実施形態におけるインクリボン10Dの印刷後の状態を示した説明図である。
【0119】
図14(a)は、印刷後のインクリボン10Dにおけるインク層12の状態を示している。この状態は図1(a)と同じである。
【0120】
図14(b)は、印刷後の土台層11Dの状態を示している。図14(b)に示すように、サーマルヘッド62によって印刷データ「GFEDCBA」に対応する熱が加えられた部分は、印字する色に応じた色に変色しており、その他の部分は変色していない(図では白色で示している。)。
【0121】
そして、図14(c)は、印刷後のインクリボン10D全体の状態、すなわち図14(a)のインク層12と図14(b)の土台層11Dを重ね合わせた状態を示している。
【0122】
図14(c)に示すように、インクリボン10Dは、土台層11Dにおいて、インク層12が剥離した部分と土台層11Dにおいて加熱により変色した部分が一致し、土台層11Dの変色部分の色は土台層11Dに残存したインク層12の色と同じであるため、全体としてインク層12の色と同じ色と視認されることになる。
【0123】
(E−3)第5の実施形態の効果
以上のように、第5の実施形態によれば、インクリボン10Dは、土台層11Dがサーマルヘッド62からの熱の印加温度や印加時間の違いにより、それぞれ異なる色に変色するため、インク層12の色が異なる場合でも、そのインク層12の色と同一又は近似する色に変色することができる。そのため、印刷後にインク層12が残存する部分と媒体23に転写された部分とを視覚によって区別することが困難となり、印刷残像から印刷内容を認識することを困難としている。すなわち、第5の実施形態でも、第1の実施形態と同様の効果を奏している。
【符号の説明】
【0124】
10、10A、10B、10C、10D…インクリボン、11、11A、11B、11C、11D…土台層、12…インク層、21…インク、20、20A、20B、20C、20D…インクリボンカートリッジ、24…媒体、30、30A、30B、30C、30D…印刷装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土台層に少なくともインク層が積層されたインクリボンにおいて、
上記土台層は、印刷装置によって上記インク層が媒体に付着した領域の一部又は全部が、上記インク層と同一又は近似する色となる
ことを特徴とするインクリボン。
【請求項2】
上記インク層は、上記印刷装置のサーマルヘッドから印加された熱によって上記媒体に付着し、
上記土台層は、サーマルヘッドにより熱が加えられた領域が、上記インク層と同一又は近似する色に変色するものである
ことを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載のインクリボン。
【請求項3】
土台層に少なくともインク層が積層されたインクリボンであって、
上記土台層の一部又は全部が、上記インク層と同一又は近似する色に着色されている
ことを特徴とするインクリボン。
【請求項4】
上記土台層に、上記インク層と同一又は近似する色の模様が付されている
ことを特徴とする請求項3に記載のインクリボン。
【請求項5】
上記土台層は、サーマルヘッドにより加えられる熱の加え方により複数の色に変色するものであり、熱が加えられた領域が、上記インク層と同一又は近似する色に変色する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のインクリボン。
【請求項6】
上記土台層に、上記インク層と同一又は近似する色を含む複数の色の模様が付されていることを特徴とする請求項3に記載のインクリボン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−11537(P2011−11537A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−53623(P2010−53623)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000129437)株式会社キングジム (241)
【Fターム(参考)】