説明

インク供給装置およびインクジェット記録装置

【課題】インクチューブの追従変形に対し、インクチューブを安定して保持することができる。
【解決手段】キャリッジ41の外部に設けられ、ヘッドユニット42にインクを供給するインクタンク51と、インクタンク51とヘッドユニット42とを接続すると共に、キャリッジ41の往復動に伴って追従変形する4本のインクチューブ52と、4本のインクチューブ52を、その追従変形の可動側端部で湾曲させてヘッドユニット42に導くガイドユニット114と、を備え、ガイドユニット114は、キャリッジ42に設けられ、4本のインクチューブ52を同一平面内において湾曲させるガイド溝127を有するガイド本体128と、4本のインクチューブ52を押えるチューブ押え手段129、130と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、往復動するキャリッジに搭載されたヘッドユニットに対し、インクを供給するインク供給装置およびインクジェット記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のインク供給装置として、キャリッジの外部に配置されたインクタンクと、キャリッジの往復動に伴って追従変形するインクチューブと、キャリッジ上に且つインクチューブの配管経路におけるコーナーに設けられ、インクチューブを保持するガイドユニットと、を備えたものが知られている(特許文献1参照)。このガイドユニットは、上記コーナーに沿って平面視略湾曲形状に形成したユニット本体と、ユニット本体の上面に形成され、インクチューブを上記コーナーに沿った曲げ状態で保持するチューブ保持溝と、を有している。これによって、インクチューブの断面変形を抑制しつつ、チューブをコーナーに沿って曲げた状態に保持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−112138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このようなインク供給装置では、追従変形するインクチューブの可動端部を、ガイドユニットによって支持・固定する構成となるが、かかる際、インクチューブの追従変形に伴って、インクチューブがチューブ保持溝から浮き上がり外れてしまう。すなわち、上記の構成では、インクチューブの追従変形に対し、インクチューブを安定して保持することができないという問題もあった。
【0005】
本発明は、インクチューブの追従変形に対し、インクチューブを安定して保持することができるインク供給装置およびインクジェット記録装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のインク供給装置は、キャリッジを介して往復動するヘッドユニットに対し、インクを供給するインク供給装置であって、キャリッジの外部に設けられ、前記ヘッドユニットに前記インクを供給するインクタンクと、前記インクタンクと前記ヘッドユニットとを接続すると共に、前記キャリッジの往復動に伴って追従変形する複数本のインクチューブと、前記複数本のインクチューブを、その追従変形の可動側端部において所定の角度に湾曲させて前記ヘッドユニットに導くガイドユニットと、を備え、前記ガイドユニットは、前記キャリッジに設けられ、前記複数本のインクチューブを同一平面内において湾曲させるガイド溝を有するガイド本体と、前記ガイド本体を受けとして前記複数本のインクチューブを押えるチューブ押え手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、ガイド本体を受けとして複数本のインクチューブを押えるチューブ押え手段を設けることで、追従変形したインクチューブの浮き上がりを抑制し、インクチューブがガイド本体から外れることを防止することができる。ゆえに、インクチューブを安定して保持することができる。
【0008】
この場合、前記ガイド溝は、隣接する2本のインクチューブ当り1つの個別ガイド溝を有していることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、2本のインクチューブ当り1つの個別ガイド溝を有することで、単一の個別ガイド溝で2本のインクチューブをガイドすることができるため、ガイドユニットを簡単な構成にすることができる。また、2本のインクチューブに対し1つの個別ガイド溝を割り当てる構成であれば、個別ガイド溝のいずれかの側壁が必ず各インクチューブに接触するため、十分なガイド機能を得ることができる。
【0010】
この場合、前記チューブ押え手段は、前記ガイド本体の下流側に設けられ、前記個別ガイド溝の両側壁上端から内側に延びる一対の押え片を有していることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、ガイド本体の下流側でインクチューブを押え、固定することができるため、インクチューブを介してヘッドユニットの流入継手に無用な力が加わるのを抑制することができる。
【0012】
この場合、前記一対の押え片は、前記個別ガイド溝と一体に成形されると共に、前記個別ガイド溝の延在方向に対し相互に位置ズレして配設されていることが好ましい。
【0013】
一対の押え片を個別ガイド溝の延在方向の同位置に配設すると、一対の押え片間の間隙が狭くなり、個別ガイド溝にインクチューブを組み込むことが困難に成ってしまう。
これに対し、一対の押え片を個別ガイド溝の延在方向に対し相互に位置ズレして配設することにより、一対の押え片間の間隙が広くなり、個別ガイド溝にインクチューブを、容易に組み込むことができる。よって、組立性が向上する。また、個別ガイド溝と一対の押え片とを一体成形する際、一対の押え片同士を離間させることができるため、成形しやすいものとなる。
【0014】
この場合、チューブ押え手段は、前記ガイド溝の開放面を覆う板状の押え部材を、有することが好ましい。
【0015】
この構成によれば、ガイド溝の開放面でインクチューブを押えることができるため、インクチューブの浮き上りを更に抑制することができる。
【0016】
この場合、追従変形する前記複数本のインクチューブの外側に添設され、前記複数本のインクチューブと共に前記キャリッジの往復動に伴って追従変形する可撓性の保護プレートを、更に備え、前記押え部材は、前記保護プレートの前記可動側端部で構成されていることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、押え部材を、保護プレートの可動側端部で構成することにより、部品点数を削減することができるため、インク供給装置を簡単な構成にすることができる。
【0018】
この場合、前記ガイドユニットは、前記ガイド本体の上流側近傍において前記キャリッジに設けられ、前記複数本のインクチューブを前記同一平面内において保持するチューブ保持部材を、更に有することが好ましい。
【0019】
この構成によれば、ガイド本体の上流側近傍にチューブ保持部材を設けることで、インクチューブの浮き上りを更に抑制することができる。
【0020】
この場合、前記キャリッジと前記ガイド本体とは、一体に成形されていることが好ましい。
【0021】
この構成によれば、部品点数を削減することができるため、インク供給装置を簡単な構成にすることができる。
【0022】
本発明のインクジェット記録装置は、上記のインク供給装置と、インクジェット方式の前記ヘッドユニットを前記キャリッジに搭載したキャリッジユニットと、を備えたことを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、インクチューブを安定して保持することができるインク供給装置を用いることで、インク供給における安定性の高いインクジェット記録装置を提供することができる。
【0024】
この場合、記録装置本体と、前記記録装置本体に着脱自在に装着したタンクユニットと、から成り、前記インクタンクが、前記タンクユニットに搭載されていることが好ましい。
【0025】
この構成によれば、記録装置本体とは別体のタンクユニットを用いる方式のインクジェット記録装置においても、インク供給において高い安定性を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施形態に係るインクジェット記録装置を示した斜視図である。
【図2】インクジェット記録装置のチューブ用開口部を示した斜視図である。
【図3】インクジェット記録装置の内部構造を示した斜視図である。
【図4】インクジェット記録装置を示した断面図である。
【図5】インク供給部周りを示した斜視図である。
【図6】タンクユニットを示した断面図である。
【図7】タンクユニットを示した底面図である。
【図8】バルブユニット周りを示した分解斜視図である。
【図9】摩擦接触面が接触したインクチューブに、引張り力が発生した際の作用を示した説明図である。
【図10】中間継手を示した斜視図である。
【図11】ガイドユニット周りを示した斜視図である。
【図12】(a)は、チューブ保持部材を示した斜視図であり、(b)および(c)は、チューブ保持部材を示した断面図である。
【図13】チューブ保持部材へのインクチューブの組込作業を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付した図面を参照して、本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置について説明する。このインクジェット記録装置は、記録装置本体とは別体のタンクユニットを用いる方式のインクジェットプリンターであり、キャリッジに搭載されたインクジェットヘッドを左右方向に主走査すると共に、印刷用紙(記録媒体)を該左右方向に交差する前後方向に副走査して、印刷用紙に画像データを印刷するものである。
【0028】
図1は、インクジェット記録装置1を示した斜視図である。同図では、タンクユニット3を記録装置本体2に装着した状態のインクジェット記録装置1を図示する。また、図2は、インクジェット記録装置1において、タンクユニット3からのインクチューブ52を記録装置本体2に導入するためのチューブ用開口部15aを示した斜視図である。同図では、タンクユニット3を記録装置本体2から分離した状態のインクジェット記録装置1を図示する。さらに、図3は、インクジェット記録装置1の内部構造を示した斜視図である。同図では、外装カバー15を省略したインクジェット記録装置1を図示する。ここでは、図1ないし図3の奥・手前方向をX軸方向とし、X軸方向に直交する図1ないし図3の左右方向をY軸方向として説明する。
図1ないし図3に示すように、インクジェット記録装置1は、記録装置本体2と、記録装置本体2に着脱自在に連結されたタンクユニット3とから成り、記録装置本体2およびタンクユニット3には、インクジェット記録装置1の各構成要素が搭載されている。具体的には、記録装置本体2は、印刷用紙(単票紙)をX軸方向(搬送方向)に搬送する搬送部11と、搬送される印刷用紙の上側に配置され、当該印刷用紙に印刷処理を行うインクジェットヘッド43を含む印刷部12と、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック各色のインクを供給する本体側インク供給部13aと、を備えている。一方、タンクユニット3は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック各色のインクタンク51を有し本体側インク供給部13aに接続されたタンク側インク供給部13bを備えている。記録装置本体2の本体側インク供給部13aと、タンクユニット3のタンク側インク供給部13bとにより、インクジェット記録装置1のインク供給部(インク供給装置)13が構成されている。
【0029】
タンクユニット3に貯留されているイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック各色のインクは、後述するインクチューブ52を介して印刷部12のインクジェットヘッド43に自然水頭で送られ、インクジェットヘッド43のインク吐出を伴う主走査と、印刷用紙の副走査(間欠送り)により、印刷用紙に印刷画像を形成する。
【0030】
記録装置本体2は、箱型の外装カバー15によって外郭を成し、その左側の側壁にはタンクユニット3を装着するための前後一対の被係合部15bが形成されている。一方、タンクユニット3は、箱型のユニットケース17によって外郭を成し、その右側の側壁に被係合部15bに係合する前後一対の係合部17aが形成されている。すなわち、当該係合部17aを被係合部15bに上側から係合させて、タンクユニット3を記録装置本体2に着脱自在に装着するようになっている。これにより、インクチューブ52を接続したまま、タンクユニット3を、記録装置本体2に対し着脱自在に連結する。また、外装カバー15の左側の側壁には、タンクユニット3からのインクチューブ52を外装カバー15内に導入するためのチューブ用開口部15aが形成されている。なお、タンクユニット3は、インク供給時には縦置き姿勢で記録装置本体2に装着されており(図1参照)、インクタンク51へのインク補充時には記録装置本体2から離脱させ横置き姿勢にする(図2参照)。
【0031】
図3および図4に示すように、搬送部11は、印刷用紙を右揃えでセットする用紙トレイ21と、用紙トレイ21から印刷用紙を1枚ずつ分離して送り出す分離ローラー22と、分離ローラー22の下流側に位置し、印刷用紙を搬送経路Rに沿って印刷部12に送り込む給紙ローラー23a、および給紙従動ローラー23bと、給紙ローラー23aおよび給紙従動ローラー23bの下流側に位置し、インクジェトヘッド43に対向するプラテン24と、プラテン24の下流側に位置し印刷用紙を上側からガイドするガイドローラー25と、ガイドローラー25の下流側に位置し、印刷用紙を排紙口15cから排紙する排紙ローラー26aおよび排紙従動ローラー26bと、ガイドローラー25および排紙従動ローラー26bを支持する排紙フレーム27と、を備えている。
【0032】
この場合、給紙ローラー23aおよび給紙従動ローラー23bは、印刷用紙の送りを制御するメインローラーとして機能し、排紙ローラー26aおよび排紙従動ローラー26bはプラテン24の上側に送られた印刷用紙に張力(tension)を付与するテンションローラーとして機能する。また、ガイドローラー25は、送られる印刷用紙の先端を押さえ、ジャミングを防止する。分離ローラー22によって用紙トレイ21から導入された印刷用紙は、給紙ローラー23aおよび排紙従動ローラー23b、ガイドローラー25、並びに排紙ローラー26aおよび排紙従動ローラー26bにより、搬送経路Rに沿ってX軸方向に搬送され、印刷された後、排紙口15cから排紙される。
【0033】
印刷部12は、装置フレーム16に支持されると共にY軸方向に幅一杯に延在するガイドフレーム31と、ガイドフレーム31に往復動自在に支持されたキャリッジユニット32と、キャリッジユニット32をガイドフレーム31に沿って往復動させるキャリッジ移動機構(図示省略)と、を備えている。そして、このキャリッジユニット32に、インクジェットヘッド43が搭載されている。
【0034】
ガイドフレーム31は、断面「C」字状に形成されており、係合スライダー部41aは、ガイドフレーム31に掛け止めされるようにして片持ちで且つ延在方向(Y軸方向)に往復動自在に、すなわちスライド自在に支持されている。キャリッジ移動機構は、ガイドフレーム31に沿って延在するタイミングベルトと、タイミングベルトを架け渡した主動プーリおよび従動プーリと、タイミングベルトとキャリッジユニット32(キャリッジ41)とを連結する連結固定部と、主動プーリを駆動するキャリッジモーターと、を備えている(いずれも図示省略)。キャリッジモーターが正逆回転すると、タイミングベルトを介してキャリッジユニット32がY軸方向(左右方向に往復動する。この往復動に伴って、キャリッジユニット32のインクジェットヘッド43が吐出駆動することにより、いわゆる主走査が行われる。
【0035】
キャリッジユニット32は、係合スライダー部41aを介してガイドフレーム31に往復動自在に支持された箱状のキャリッジ41と、キャリッジ41に組み込まれたヘッドユニット42と、を備えている。ヘッドユニット42は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のインク滴を吐出する4連のノズル列を有するインクジェットヘッド43と、インクジェットヘッド43に上側から直接接続されると共に、インクチューブ52の下流端部が接続されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック各色の接続アダプター44と、を有している。インクジェットヘッド43は、相互に並行に且つX軸方向に延在したイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック4つのノズル列(図示省略)を有し、搬送される印刷用紙に対し所定のペーパーギャップを有して下向きに配設されている。各接続アダプター44は、インクバッファやインクフィルター等を内蔵し、その上部には、インクチューブ52を接続するための流入継手44aを有している。
【0036】
印刷処理では、搬送部11によって印刷用紙を搬送して印刷用紙をインクジェットヘッド43の下側に送ると共に、インクジェットヘッド43を駆動しつつ、キャリッジ移動機構によって、キャリッジユニット32を往復させて、印刷用紙に画像データを印刷する。
【0037】
図3および図5に示すように、インク供給部13は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック各色のインクタンク51と、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック各色に対応した各インクタンク51と、ヘッドユニット42(各接続アダプター44の流入継手44a)とを接続する4本のインクチューブ52と、4本のインクチューブ52の経路をガイドするガイド機構53と、を備えている。また、インク供給部13は、タンクユニット3の下部に内蔵され、4本のインクチューブ52の上流端部において流路を開閉する手動のバルブユニット54と、タンクユニット3の下部に添設され、インクタンク51側の流出継手51bの抜止めを行うタンク側抜止め部材55と、記録装置本体2内の下部に内蔵され、記録装置本体2側の中間継手57の抜止めを行う本体側抜止め部材56と、記録装置本体2内に設けられ、記録装置本体2側の接続継手として4本のインクチューブに介設された中間継手57と、を備えている。
【0038】
図6はタンクユニット3を示した断面図であり、図7はタンクユニット3を示した底面図である。図6および図7に示すように、各インクタンク51は、それぞれ対応する色のインクを貯留し、X軸方向に並列して配設されている。各インクタンク51は、タンク本体51aと、タンク本体51aの下部に形成され、Y軸方向に突出する流出継手51bと、を有している。そして、各流出継手51bに、各インクチューブ52の上流端部が差込み接合されている。
【0039】
図3および図5に示すように、4本のインクチューブ52は、シリコンゴム製であり、水平方向に並列に配管されている。また、4本のインクチューブ52は、ガイド機構53にガイドされて、各インクタンク51からヘッドユニット42まで引き回されている。さらに、4本のインクチューブ52には、延在方向の複数箇所に、4本のインクチューブ52を並列に連結する連結体60が設けられており、並列の整列配置した状態で配管されている。
【0040】
各インクチューブ52は、タンク側インク供給部13bに属するインクタンク側のタンク側チューブ52aと、本体側インク供給部13aに属するインクジェットヘッド43側のヘッド側チューブ52bと、を備えている。タンク側チューブ52aは、両基端部側をそれぞれ上記のタンク側抜止め部材55および本体側抜止め部材56に支持されると共に、上流端部が流出継手51bを介して各インクタンク51に接続されタンクユニット3から上方に大きく湾曲して記録装置本体2に渡っている。ヘッド側チューブ52bは、中間継手57から、記録装置本体2内を横断するように配管され、記録装置本体2内の右部で上方に湾曲して延在し、更に奥側にターンしてその下流端部が流入継手44aを介して各接続アダプター44に接続されている。タンク側チューブ52aは、その一部として、タンクユニット3から記録装置本体2に架け渡された架設チューブ部61を有している。また、ヘッド側チューブ52bは、記録装置本体2内を横断すると共に、記録装置本体2内の右部で上方に折り返すように湾曲したチューブ湾曲部62と、チューブ湾曲部62の上流側において、奥側にターンするチューブターン部63と、を有している。
【0041】
架設チューブ部61は、上流側をタンク側抜止め部材55に、下流側を本体側抜止め部材56に支持されており、タンクユニット3から記録装置本体2に上方に逆U字状に架設されている。タンク側チューブ52aの、架設チューブ部61より上流側の位置には、上記のバルブユニット54が配設されている。また、タンク側チューブ52aは、架設チューブ部61より下流側において、本体側抜止め部材56の直近の下流側で中間継手57に接続されている。
【0042】
一方、チューブ湾曲部62は、キャリッジユニット32の往復動領域の前方のエリア、すなわち上記の排紙フレーム27の直上エリアにおいて、横Uターン形状に配管されている。この場合、チューブ湾曲部62は、中間継手57側を固定側とし、キャリッジ41側を可動側として、下方から上方に折り返すように湾曲しながら引き回され、キャリッジ41の往復動に伴って追従変形するようになっている。すなわち、チューブ湾曲部62は、キャリッジユニット32の往復動軌跡と並行に配管されており、Uターン形状のまま、キャリッジユニット32の往復動作に従動する。
【0043】
チューブターン部63は、チューブ湾曲部62から延在し、水平面内に垂直に湾曲して引き回された後、下流端部が流入継手44aを介して各接続アダプター44に接続されている。そして、チューブ湾曲部62とチューブターン部63との境界部分には、ヘッド側チューブ52bをキャリッジ41に固定するチューブ保持部材122(詳細は、後述する)が配設されている。
【0044】
なお、インクチューブ52(タンク側チューブ52aおよびヘッド側チューブ52b)の周面には、周方向の1の位置に延在方向に連続する線状のマーク(図示省略)が設けられている。当該マークは、各チューブ部61、62、63を組み付ける際に、視認によりインクチューブ52の捩れの有無を判別するためのものであり、例えば架設チューブ部61、チューブ湾曲部62およびチューブターン部63は、湾曲の内側に、それぞれ当該マークがくるように配管されている。これにより、インクチューブ52を捩れないように延在させることができ、引き回しの際のインクチューブ52の暴れが抑制される。
【0045】
図8は、バルブユニット54周りを示した分割斜視図である。図6ないし図8に示すように、バルブユニット54は、タンクユニット3の底部に内蔵されており、4本のインクチューブ52(タンク側チューブ52a)の上流端部に配設されている。バルブユニット54は、4本のインクチューブ52を位置規制して横並びに整列させる位置規制部66と、位置規制した4本のインクチューブ52に臨み、当該4本のインクチューブ52を同時に押し潰して(ピンチ)全流路を閉塞するバルブ本体67(図6参照)と、バルブ本体67による流路の開閉(バルブ本体67の進退)を操作するためのカムを有する操作レバー68と、これらを支持する略方形のバルブフレーム69と、を備えている。このバルブユニット54は、インク供給部13に液漏れ等の不具合が生じる虞があるとき、例えばインクの補充時に、ユーザーの操作によって流路を強制的に閉塞するものである。
【0046】
タンク側抜止め部材55は、バルブフレーム69の側壁に添設されており、架設チューブ部61のタンクユニット3側基部において、4本のインクチューブ52をバルブフレーム69の側壁に沿って上方に引き回しつつ、S字形状に湾曲させた状態で支持している。具体的には、各インクチューブ52のS字形状の上流側湾曲部分61aを湾曲状態に支持する下チューブ支持体71と、4本のインクチューブ52を覆うように、下チューブ支持体71とは逆側から、且つインクチューブ52のS字形状の下流側湾曲部分61bを湾曲状態に支持する上チューブ支持体72と、上チューブ支持体72と一体に形成され、下チューブ支持体71に対峙する受け部材73と、を有している。すなわち、下チューブ支持体71の支持位置(インクチューブ52との接触位置)と上チューブ支持体72の支持位置(インクチューブ52との接触位置)とは、インクチューブ52の延在方向(上下方向)に位置ズレして配設されている。なお、上チューブ支持体72に対峙する受けは、上記のユニットケース17の一部が兼ねている。
【0047】
下チューブ支持体71は、バルブユニット54から水平に突出したインクチューブ52の経路を上方に導くと共に、インクチューブ52の延在方向からの引張り力が作用したときに、インクチューブ52を延在方向にズレ止め状態に支持する。具体的には、4本のインクチューブ52が湾曲状態で接触し、4本のインクチューブ52との間に引張り力に抗する摩擦力を発生させる摩擦接触面81aを有した摩擦接触部81と、当該摩擦接触面81aから突出し、受け部材73との間のスペーサを兼ねると共に、4本のインクチューブ52を整列配置するための複数の隔板部82と、摩擦接触部81をバルブフレーム69の側壁に固定するための固定部83と、で一体に形成されている。
【0048】
一方、受け部材73は、下チューブ支持体71に対向し、4本のインクチューブ52を下チューブ支持体71との間で位置規制する位置規制板部84と、バルブフレーム69の側壁に形成された被係合部69aに係合する前後一対の係合部85と、を有している。なお、下チューブ支持体71の隔板部82は、4本のインクチューブ52を幅規制すると共に、受け部材73への当てとなる。このため、取付け状態の受け部材73により、4本のインクチューブ52が潰れることはない。
【0049】
上チューブ支持体72は、下チューブ支持体71と同様に、インクチューブ52の延在方向からの引張り力が作用したときに、インクチューブ52を延在方向にズレ止め状態に支持する。具体的には、上チューブ支持体72は、4本のインクチューブ52が湾曲状態で接触し、4本のインクチューブとの間に引張り力に抗する摩擦力を発生させる摩擦接触面91aを有した摩擦接触部91と、当該摩擦接触面91aから突出し、インクチューブ52を避けてユニットケース17の側壁に当接する前後一対の当接ピン(図示省略)と、摩擦接触部91をユニットケース17に固定するための前後一対の支持体固定ネジ93、93と、を備えている。すなわち、ユニットケース17の側壁が、4本のインクチューブ52を上チューブ支持体72との間で位置規制する。また、上チューブ支持体72の一対の当接ピンにより、4本のインクチューブ52が潰れることはない。
【0050】
このように構成された下チューブ支持体71および上チューブ支持体72(および受け部材73)は、下チューブ支持体71が、バルブフレーム69の側壁に突設した位置決め用の複数突起により位置決めされ、上チューブ支持体72がその係合部85でバルブフレーム69の被係合部69aに掛け止めされ、更に上部で支持体固定ネジ93により、ユニットケース17にねじ止めされることで、インクチューブ52と共にタンクユニット3に固定されている。
【0051】
下チューブ支持体71および上チューブ支持体72の摩擦接触面81a、91aは、4本のインクチューブ52の並列方向に延在し、4本のインクチューブ52に同時に接触する。また、摩擦接触面81a、91aは、インクチューブ52の延在方向から引張り力が作用したときに、摩擦力を発生させる湾曲形状を有している。例えば、図9(a)に示すように、インクチューブ52が湾曲状態で摩擦接触面81a、91aに接触している際、下流側から引張り力が発生すると、引張り力に伴って、摩擦接触面81a側に接触力となる分力を生じさせる。この接触力が強固な摩擦力を発生させ、延在方向に対する強固な位置規制となる。インクチューブ52は、各支持位置からの上流側および下流側において、所定の角度範囲A内に規制されているため、当該角度範囲Aからの任意の引張り力に対し、上記摩擦力を発生させる湾曲形状に形成されている(図9(b)および(c)参照)。具体的には、インクチューブ52は、下チューブ支持体71の支持位置からは、上流側がバルブユニット54の位置規制部66に位置規制され、下流側が上チューブ支持体72およびユニットケース17の側壁に位置規制されている。上チューブ支持体72の支持位置からは、上流側が下チューブ支持体71および受け部材73に位置規制され、下流側が記録装置本体2側に逆U字状に引き回されているため、記録装置本体側上方に位置規制されている。各摩擦接触面81a、91aは、これらの位置規制による延在方向の角度範囲Aに対応して形成されている。
【0052】
このように、下チューブ支持体71および受け部材73と、上チューブ支持体72およびユニットケース17の側壁と、によって、2連で延在方向のズレ止め(位置規制)を行い、その結果、タンク側チューブ52aの流出継手51bの抜止めとして機能する。
【0053】
図3および図5に示すように、本体側抜止め部材56は、装置フレーム16のタンクユニット3側の側壁と後述のチューブガイド111との間に配設されたチューブ支持体106を有している。チューブ支持体106は、延在方向からの引張り力が作用したときに、架設チューブ部61の記録装置本体2側基部を延在方向にズレ止め状態に支持する。具体的には、4本のインクチューブ52が湾曲状態で下側から接触し、4本のインクチューブ52との間に引張り力に抗する摩擦力を発生させる摩擦接触面107aを有した板状の摩擦接触部107と、4本のインクチューブ52に左右側方から臨み、4本のインクチューブ52の幅規制を行うと共に、摩擦接触部107のサイドプレートを兼ねる板状の左右一対の幅規制板部108、108と、を備えている。当該摩擦接触部107および一対の幅規制板部108、108は、一体に形成されている。
【0054】
チューブ支持体106の摩擦接触面107aは、4本のインクチューブ52の並列方向に延在し、4本のインクチューブ52に同時に接触する。また、摩擦接触面107aは、下チューブ支持体71および上チューブ支持体72と同様、インクチューブ52の延在方向となる所定の角度範囲Aからの任意の引張り力に対し、接触力となる分力を発生させる湾曲形状に形成されている。具体的には、インクチューブ52は、チューブ支持体106の支持位置からは、上流側がタンクユニット3側に逆U字状に引き回されているため、タンクユニット3側上方に位置規制され、下流側が中間継手57(各流入側ポート101)に位置規制されている。当該摩擦接触面107aは、これらの位置規制による延在方向の角度範囲Aに対応して形成されている。
【0055】
図10に示すように、中間継手57は、チューブ湾曲部62の固定側で、タンク側チューブ52aとヘッド側チューブ52bとの間に介設されている。中間継手57は、4本のインクチューブに対応した4個の流入側ポート101と、これに対応した4個の流出側ポート102と、4個の流入側ポート101および4個の流入ポートを連結する板状の連結部103と、連結部103に形成され、後述のチューブガイド111の突起に係合する係合溝104と、連結部103の両側に設けた係止突起105と、を有している。
【0056】
中間継手57は、係止突起105の部分でチューブガイド111にスナップインで係止され、チューブガイド111から脱落しないようになっている。また、係合溝104により、上下を誤ってチューブガイド111に装着されるのを防止している。そして、各流入側ポート101には、各タンク側チューブ52aの下流端部が差込み接合され、各流出側ポート102には、各ヘッド側チューブ52b(チューブ湾曲部62)の上流端部が差込み接合されている。このように構成された中間継手57により、タンク側チューブ52aとヘッド側チューブ52bとを別々に交換できるようになっている。
【0057】
図3および図5に示すように、ガイド機構53は、キャリッジ41の往復動軌跡に並行(Y軸方向)に延在し、チューブ湾曲部62を下側から受けるチューブガイド111と、固定側おいてチューブ湾曲部62をチューブガイド111に固定する固定部材112と、チューブ湾曲部62に添設した可撓性の保護プレート113と、チューブ湾曲部62の可動端部をキャリッジユニット32上に保持すると共に、チューブターン部63の湾曲形状をガイドするガイドユニット114と、を備えている。
【0058】
チューブガイド111は、一体の板金で形成されており、Y軸方向(キャリッジユニット32の往復動方向)に延在して、4本のインクチューブ52を下側から受ける構造となっている。具体的には、チューブガイド111は、Y軸方向に延在し4本のインクチューブ52を受ける底板部116と、底板部116の両側端部から立ち上がる左右一対のリブ板部117、117と、を有している。また、図4にも示すように底板部116は、所定の間隙を有して、排紙フレーム27の上方に配設されている。
【0059】
また、チューブガイド111には、そのタンクユニット3側端部に中間継手57が取り付けられている。このため、チューブガイド111のこの部分(リブ板部117)には、中間継手57を上側からスナップインで装着するための一対のコ字状ガイド120、120が取り付けられている。また、チューブガイド111の底板部116には、中間継手57の係合溝104が係合する突起が設けられている。
【0060】
固定部材112は、チューブガイド111を受けとして4本のインクチューブ52を押さえるように固定する押圧固定部118と、押圧固定部118をチューブガイド111にネジ固定する締結ネジ119と、を備えている。固定部材112は、4本のインクチューブ52を、チューブ湾曲部62の固定側で、チューブガイド111に固定している。具体的には、チューブ湾曲部62の非可動領域の上流端部で、4本のインクチューブ52を固定している。これによって、インクチューブ52の変形を安定させることができると共に、中間継手57におけるチューブ湾曲部62の抜けを防止している。
【0061】
保護プレート113は、一端をチューブガイド111に固定され、他端をキャリッジ41上に保持されており、キャリッジユニット32の往復動に伴って、4本のインクチューブ52(チューブ湾曲部62)と一緒に追従変形する。また、保護プレート113は、チューブ湾曲部62のR部分に外側から沿設し、チューブ湾曲部62が、図3中右側や上側の他の構成部材(例えば、外装カバー15の側壁や天壁)に接触することを防止している。すなわち、保護プレート113は、チューブ担持体の機能を有している。また、図示では省略したが、保護プレート113には、適宜箇所にチューブ湾曲部62を縛る紐が設けられている。
【0062】
図11に示すように、ガイドユニット114は、チューブターン部63を同一平面内において直角に湾曲させてヘッドユニット42に導くガイド部材121と、ガイド部材121の上流側近傍に設けられ、チューブ湾曲部62の可動端部を上記同一平面内において保持するチューブ保持部材122と、を備えている。ガイド部材121およびチューブ保持部材122は、キャリッジ41に固定されている。
【0063】
ガイド部材121は、キャリッジ41に設けられ、インクチューブ52を2本ずつガイドする2個の個別ガイド溝126、126から成るガイド溝127を有したガイド本体128と、2個の個別ガイド溝126、126にそれぞれ形成され、ガイド本体128を受けとして各インクチューブ52を押える各一対の押え片129、129と、2個の個別ガイド溝126、126の開放面全域を覆い、ガイド本体128を受けとして各インクチューブ52を押える板状の押えプレート(押え部材)130と、を備えている。また、請求項にいうチューブ押え手段は、一対の押え片129、129および押えプレート130により、構成されている。
【0064】
ガイド溝127は、横並びの4本のインクチューブ52を水平面且つ同一平面内において湾曲させるものであり、隣接する2本のインクチューブ52宛て1つの個別ガイド溝126(すなわち、2個の個別ガイド溝126、126)を有している。各個別ガイド溝126は、断面角型に凹設され且つガイドする湾曲形状に沿って延在形成されており、横並びにした2本のインクチューブ52の幅より若干幅狭に形成されている。すなわち、各個別ガイド溝126は、それぞれ2本のインクチューブ52を横並びに嵌入する形で、2本のインクチューブ52を支持しガイドする。
【0065】
各一対の押え片129、129は、各個別ガイド溝126の下流端部(延在方向前端部:ガイド本体128の下流側)に形成されており、各個別ガイド溝126の両側壁上端から内側に延びて形成されている。すなわち、両側壁上端から内側に延びた一対の押え片129、129が、各インクチューブ52の上面に接触して、各インクチューブ52を下側に押えている。そして、一対の押え片129、129は、個別ガイド溝126の延在方向に対し相互に位置ズレして配設されている。なお、図中の符号128aは、一対の押え片129、129を成形する際の金型の抜き孔である。
【0066】
押えプレート130は、2個の個別ガイド溝126、126の開放口全域を覆うものであり、具体的には、ガイド本体128の上面全域を覆う平面形状に形成されている。すなわち、開放面全域を覆う押えプレート130が、各インクチューブ52の上面に接触して、各インクチューブ52を下側に押えている。押えプレート130は、保護プレート113の可動端部と一体形成されており(言い換えると、保護プレート113の延長部分)、チューブ保持部材122と、ガイド本体128上に形成された係止片128bとによって、ガイド本体128の上面に係止されている。なお、押えプレート130は、ガイド本体128およびチューブターン部63を保護する保護カバーとしても機能している。
【0067】
図11および図12に示すように、チューブ保持部材122は、キャリッジ41に固定された支持ベース131と、支持ベース131に固定され、4本のインクチューブ52を横並びに保持すると共に保護プレート113の可動端部を保持するチューブホルダ132と、チューブホルダ132を支持ベース131に固定する固定ネジ140と、を備えている。すなわち、支持ベース131は、チューブホルダ132を介して、4本のインクチューブ52と保護プレート113とを支持している。
【0068】
チューブホルダ132は、4本のインクチューブ52を受けるチューブ受け面136を有したチューブ受け部材137と、チューブ受け部材137に対しスナップイン形式で装着され、横並びの4本のインクチューブ52をチューブ受け面136との間に押えるチューブ押え部材138と、を備えている。なお、チューブホルダ132を支持ベース131に固定する際には、チューブホルダ132を上下反転させて固定される。すなわち、チューブ受け部材137を上としチューブ押え部材138を下として、支持ベース131に固定される。
【0069】
チューブ受け部材137は、横並びの4本のインクチューブ52と保護プレート113とを受けるチューブ受け面136と、チューブ受け面136の両側端部に位置し、横並びの4本のインクチューブ52を幅規制により整列する左右一対の整列壁部139、139と、一対の整列壁部139の外側に位置し、チューブ押え部材138の被係合部151、151に係合する左右一対の係合部152、152と、を有している。具体的には、保護プレート113を下とし、4本のインクチューブ52を上として、チューブ受け面136上に載置される。また、一対の整列壁部139、139は、横並びの4本のインクチューブ52の側面(右端部のインクチューブ52の右側面および左端部のインクチューブ52の左側面)に当接して、4本のインクチューブ52を幅規制する。
【0070】
チューブ押え部材138は、チューブ受け面136を受けとして、横並びの4本のインクチューブを押えるチューブ押え面153と、チューブ押え面153の両側端部に位置し、チューブ受け部材137の一対の係合部152、152にスナップイン形式で係合する左右一対の被係合部151、151と、を有している。
【0071】
固定ネジ140は、チューブホルダ132を支持ベース131に締結すると共に、チューブ受け部材137に装着されたチューブ押え部材138を不動に締結する。すなわち、固定ネジ140は、チューブ押え部材138とチューブホルダ132とを共締めにより、支持ベース131にネジ止めしている。
【0072】
ここで、図13を参照して、チューブ保持部材122へのインクチューブ52の組込作業について説明する。図13に示すように、まず、チューブ受け部材137に、水平に引き回した保護プレート113を載置し、その上に水平に引き回した4本のインクチューブ52を横並びに整列して載置する(図13(a))。4本のインクチューブ52を載置したら、4本のインクチューブ52を位置決めする。具体的には、各インクチューブ52において、延在方向の位置決めをし、且つ幅方向の位置決めをすると共に、上記線状のマークに基づきインクチューブ52の捩れを修正する。その後、チューブ押え部材138をチューブ受け部材137にスナップイン方式で装着して仮固定する(図13(b))。4本のインクチューブ52を仮固定したら、チューブホルダ132に可動端部が保持された保護プレート113および4本のインクチューブ52を、チューブホルダ132を介してUターン状に引き回すと共に、チューブホルダ132を上下反転させて支持ベース131に載置する。その後、固定ネジ140によって、チューブホルダ132を支持ベース131に締結する(図13(c))。これによって、インクチューブ52(チューブ湾曲部62)の可動端部が、チューブ保持部材122を介してキャリッジ41に保持される。
【0073】
以上のような構成によれば、ガイドユニット144(ガイド部材121)において、ガイド本体128を受けとして4本のインクチューブ52を押えるチューブ押え手段(押え片129および押えプレート130)を設けることで、追従変形したインクチューブ52の浮き上がりを抑制し、インクチューブ52がガイド本体128から外れることを防止することができる。ゆえに、インクチューブ52を安定して保持することができる。
【0074】
また、2本のインクチューブ当り1つの個別ガイド溝126を有することで、単一の個別ガイド溝126で2本のインクチューブ52をガイドすることができるため、ガイドユニット144を簡単な構成にすることができる。また、2本のインクチューブ52に対し1つの個別ガイド溝126を割り当てる構成であれば、個別ガイド溝126のいずれかの側壁が必ず各インクチューブ52に接触するため、十分なガイド機能を得ることができる。
【0075】
さらに、ガイド本体128に下流側に一対の押え片129、129を配設することで、ガイド本体128の下流側でインクチューブ52を押え、固定することができるため、インクチューブ52を介してヘッドユニット42の流入継手44aに無用な力が加わるのを抑制することができる。
【0076】
またさらに、一対の押え片129、129を個別ガイド溝126の延在方向に対し相互に位置ズレして配設することにより、一対の押え片129、129間の間隙が広くなり、個別ガイド溝126にインクチューブ52を、上側から組み込む際、容易に組み込むことができる。よって、組立性が向上する。また、個別ガイド溝126と一対の押え片129、129とを一体成形する際、一対の押え片129、129同士を離間させることができるため、成形しやすいものとなる。
【0077】
また、押えプレート130を配設することで、ガイド溝127の開放面でインクチューブ52を押えることができるため、インクチューブ52の浮き上りを更に抑制することができる。
【0078】
さらに、押えプレート130を、保護プレート113の可動側端部で構成することにより、部品点数を削減することができるため、インク供給部13を簡単な構成にすることができる。
【0079】
またさらに、ガイド本体128の上流側近傍にチューブ保持部材122を設けることで、インクチューブ52の浮き上りを更に抑制することができる。
【0080】
なお、上記実施形態においては、キャリッジ41とガイド本体128とは、別体として成形されている構成であったが、キャリッジ41とガイド本体128とは、一体に成形されている構成であっても良い。かかる場合、部品点数を削減することができるため、インク供給部13を簡単な構成にすることができる。
【0081】
なお、上記実施形態において、インクタンク51は外装ケース15の外側に設けたが、キャリッジ41の外部であれば外装ケース15の内側の空いているスペースに設けても良い。
【符号の説明】
【0082】
1:インクジェット記録装置、 2:記録装置本体、 3:タンクユニット、
13:インク供給部、 32:キャリッジユニット、 41:キャリッジ、 42:ヘッドユニット、 51:インクタンク、 52:インクチューブ、 114:ガイドユニット、 113:保護プレート、 122:チューブ保持部材、 126:個別ガイド溝、 127:ガイド溝、 128:ガイド本体、 129:押え片、 130:押えプレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリッジを介して往復動するヘッドユニットに対し、インクを供給するインク供給装置であって、
前記キャリッジの外部に設けられ、前記ヘッドユニットに前記インクを供給するインクタンクと、
前記インクタンクと前記ヘッドユニットとを接続すると共に、前記キャリッジの往復動に伴って追従変形する複数本のインクチューブと、
前記複数本のインクチューブを、その追従変形の可動側端部において所定の角度に湾曲させて前記ヘッドユニットに導くガイドユニットと、を備え、
前記ガイドユニットは、
前記キャリッジに設けられ、前記複数本のインクチューブを同一平面内において湾曲させるガイド溝を有するガイド本体と、
前記ガイド本体を受けとして前記複数本のインクチューブを押えるチューブ押え手段と、を有することを特徴とするインク供給装置。
【請求項2】
前記ガイド溝は、隣接する2本のインクチューブ当り1つの個別ガイド溝を有していることを特徴とする請求項1に記載のインク供給装置。
【請求項3】
前記チューブ押え手段は、前記ガイド本体の下流側に設けられ、前記個別ガイド溝の両側壁上端から内側に延びる一対の押え片を有していることを特徴とする請求項2に記載のインク供給装置。
【請求項4】
前記一対の押え片は、前記個別ガイド溝と一体に成形されると共に、前記個別ガイド溝の延在方向に対し相互に位置ズレして配設されていることを特徴とする請求項3に記載のインク供給装置。
【請求項5】
前記チューブ押え手段は、前記ガイド溝の開放面を覆う板状の押え部材を、有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のインク供給装置。
【請求項6】
追従変形する前記複数本のインクチューブの外側に添設され、前記複数本のインクチューブと共に前記キャリッジの往復動に伴って追従変形する可撓性の保護プレートを、更に備え、
前記押え部材は、前記保護プレートの前記可動側端部で構成されていることを特徴とする請求項5に記載のインク供給装置。
【請求項7】
前記ガイドユニットは、
前記ガイド本体の上流側近傍において前記キャリッジに設けられ、前記複数本のインクチューブを前記同一平面内において保持するチューブ保持部材を、更に有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のインク供給装置。
【請求項8】
前記キャリッジと前記ガイド本体とは、一体に成形されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のインク供給装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載のインク供給装置と、
インクジェット方式の前記ヘッドユニットを前記キャリッジに搭載したキャリッジユニットと、を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項10】
記録装置本体と、
前記記録装置本体に着脱自在に装着したタンクユニットと、から成り、
前記インクタンクが、前記タンクユニットに搭載されていることを特徴とする請求項9に記載のインクジェット記録装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−76224(P2012−76224A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206019(P2010−206019)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】