インク吐出ユニット着脱装置、インク吐出装置およびインク吐出ユニット着脱方法
【課題】複数のインク吐出ヘッドを搭載するインク吐出ユニットを着脱する装置において、インク吐出ユニットの移動及び位置決め精度を悪化させず、且つ装置自体のフットプリントを無駄に大きくすることのない、インク吐出ユニット着脱装置及びそれらを備えたインク吐出装置を提供すること。
【解決手段】複数のインク吐出ヘッドを搭載するインク吐出ユニットを着脱する装置であって、該インク吐出ヘッドのメンテナンスを行う移動式メンテナンスユニットの一部として搭載されている、インク吐出ユニットを載置するための架台と、該架台の高さ調整手段と、を有するインク吐出ユニット着脱装置を提供する。
【解決手段】複数のインク吐出ヘッドを搭載するインク吐出ユニットを着脱する装置であって、該インク吐出ヘッドのメンテナンスを行う移動式メンテナンスユニットの一部として搭載されている、インク吐出ユニットを載置するための架台と、該架台の高さ調整手段と、を有するインク吐出ユニット着脱装置を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、例えば、カラーフィルターの色パターンを形成するのに用いるようなインク吐出装置に関する。特に、インク吐出装置に用いられるインク吐出ユニットを、インク吐出装置から着脱する装置および方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
カラーフィルターを例にとって説明する。
液晶ディスプレイなどに用いられるカラーフィルター（以下ＣＦ）の製造方法は、従来からフォトリソグラフィーによる方法（以下フォトリソ方式）が一般的であった。この方式では、感光性レジストを角型のガラス基板に塗工し、露光、現像、乾燥の工程を複数回繰り返すことで、一定の格子状カラーパターンを得ることができる。
しかしながら、近年基板の大型化が進むと共に、パネル価格の下落に伴ってＣＦのコストダウン要求も更に厳しくなっている。従って、次世代の2m角を超えるようなサイズのＣＦ製造ラインをフォトリソ方式で構築する場合、装置自体のコストが現ライン以上に高くなると共に、サイズアップによるフットプリントの拡大によって、建屋にかかるコストも嵩んでしまい、イニシャルコストの大幅なアップが予想される。また、現像される余分なインクの増加や、現像液等の材料使用量の増加により、ランニングコストも更に上がることが容易に予想でき、前述したコストダウン要求を満たすことは困難である。
【０００３】
そこで、フォトリソ方式に代わる新しいCF製造方法の一つとして、インク吐出方式が注目されている。
この方法では、インク吐出ヘッドを用いてBMパターンに直接カラーパターンを複数色同時に塗工していくため、フォトリソ方式で必要であった露光・現像等の工程を削減できるため、フットプリントを大幅に削減することが可能となる。また、塗工材料も必要最小量であり、更にフォトリソ方式で必要であった現像液等が不要となるため、ランニングコストも削減することが可能である。
【０００４】
前述したインク吐出方式において、インクを吐出するためのインク吐出ヘッドは通常一つのインク吐出ユニットに複数個搭載されており、所望のＢＭパターンに精度良くインクを塗工するために、それぞれのインク吐出ヘッドの位置関係は予め所望の位置に整列させておく必要がある。その際、従来は本機上で一つ一つのインク吐出ヘッドを手動により微調整し、所望の位置に整列させていた。
しかしながら、基板の大型化やタクトアップが進むに従って搭載するインク吐出ヘッドの数も増え装置自体も大きくなっていくため、一つ一つのインク吐出ヘッドを本機上で手動で微調整することは非常に困難であり、専用整列装置によりオフラインにて調整を行うことが必須となる。
【０００５】
その際、本機からインク吐出ユニットを取り外し、専用整列装置へ移載させる手段が必要である。しかしながら、インク吐出ユニットの側面には、通常インク吐出ユニット全体の高さを調整し架台に固定するための高さ調整固定機構や、ガラス基板とのギャップを測定するためのセンサ若しくは被測定物等が配置されていることが多い。また、通常吐出装置の片側にインク吐出ヘッドのメンテナンスを行うための移動式のメンテナンスユニットを併設するため、メンテナンスユニットが設置されている側で本機から直接インク吐出ユニットをリフター等に受渡しすることは困難である。
更にまた、本機を挟んでメンテナンスユニットと逆側に、インク吐出ユニットをオーバーハングさせて受渡そうとすると、余分にフットプリントを大きくしてしまう上に、インク吐出ユニットの駆動機構も延長することとなるため、インク吐出ユニットの移動及び位置決め精度を悪化させることとなってしまう。以上の点から考えると、リフター等を用いて本機から直接取り外すことは非常に困難である。
【特許文献１】特開平１１-１５７０９４号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするところは、複数のインク吐出ヘッドを搭載するインク吐出ユニットを着脱する装置において、前記インク吐出ユニットの移動及び位置決め精度を悪化させず、且つ装置自体のフットプリントを無駄に大きくすることのない、インク吐出ユニット着脱装置及びそれらを備えたインク吐出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
請求項１に記載の発明は、
複数のインク吐出ヘッドを搭載するインク吐出ユニットを着脱する装置であって、
該インク吐出ヘッドのメンテナンスを行う移動式メンテナンスユニットの一部として搭載されている、インク吐出ユニットを載置するための架台と、該架台の高さ調整手段と、
を有することを特徴とするインク吐出ユニット着脱装置である。
【０００８】
請求項２に記載の発明は、請求項１に記載のインク吐出ユニット着脱装置を備えることを特徴とするインク吐出装置である。
【０００９】
請求項３に記載の発明は、
複数のインク吐出ヘッドを搭載するインク吐出ユニットを着脱する方法であって、
該インク吐出ヘッドのメンテナンスを行う移動式メンテナンスユニットの上で、前記インク吐出ユニットを着脱することを特徴とするインク吐出ユニット着脱方法である。
【発明の効果】
【００１０】
以上詳細に記述してきたように、本発明に係わるインク吐出ユニット着脱装置及びインク吐出装置及びインク吐出ユニット着脱方法によれば、以下のような効果を得ることができた。
すなわち、複数のインク吐出ヘッドを搭載するインク吐出ユニットを着脱する装置及び方法において、該インク吐出ヘッドのメンテナンスを行う移動式メンテナンス装置の一部として搭載することで、不必要なインク吐出ユニットの駆動機構の延長化を抑えることができ、インク吐出ユニットの位置決め精度を悪化させること無く、且つ不必要なフットプリントの拡大を抑えることができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１１】
本発明の装置を具体的に示す。
図１で示す通り、本発明のインク吐出装置はインク吐出部（３１）とメンテナンス部（３２）より構成されている。
インク吐出部（３１）は、主にガラス基板（１４）を搬送するための精密ステージ（３）とインクをガラス基板（１４）に塗工するためのインク吐出ユニット（２）から構成されている。精密ステージ（３）は架台（４）に設けられた駆動機構（５）により、ガラス基板（１４）を水平移動することができる。インク吐出ユニット（２）は高さ調整固定機構（１７）により架台（１８）に四隅を固定されており、架台（４）上のフレーム（７）に設けられた駆動機構（６）により、精密ステージ（３）の移動方向に対して垂直な方向に移動することが可能である。
またインク吐出ユニット（２）には複数のインク吐出ヘッド（１５）が搭載されている。
メンテナンス部（３２）は、メンテナンスユニット（１６）と、それらを精密ステージ（３）の移動方向と同一方向に移動させるために架台（８）に設けられた駆動機構（９）からなる。メンテナンスユニット（１６）は、インク吐出ヘッドの予備吐出を行うための予備吐出ユニット（１０）、インク吐出ヘッド内部のインクを吸引するための吸引ユニット（１１）、インク吐出ヘッドの先端を清掃するための拭取りユニット（１２）、インク吐出ユニット（２）を着脱するための着脱ユニット（１）より構成されている。
また着脱ユニット（１）によって取り外されたインク吐出ユニット（２）はリフター（１３）によって図示されない専用整列装置に搬送される。
【００１２】
図２で示す通り、着脱ユニット（１）は主に架台（２１）と架台（２１）を昇降させるための油圧昇降機構（架台の高さ調整手段）（２３）から構成されている。架台（２１）の上にはインク吐出ユニットを受取るための受取冶具（２２）が４箇所設けられている。架台（２１）を上昇させる際は上昇ハンドル（２５）を、下降させる際は下降ハンドル（２４）を用いることでそれぞれ昇降させることが可能である。
本例は手動による昇降機構を備えた着脱ユニットであるが、駆動機構を用いて自動で昇降できるようにしても良い。
【実施例１】
【００１３】
本発明のCF用インク吐出装置の実施例として、ブラックマトリックスパターニング基板にレッド、グリーン、ブルーの３色のインクを塗工する場合を説明する。
塗工するインクは市販品を用い、塗工するガラス基板は無アルカリガラスで、サイズは６８０mm×８８０mm×ｔ０．７mmのブラックマトリックパターニング品を用いた。
【００１４】
以下に実際の動作を詳細に示す。
図３の（A）で示す通り、通常待機時はインク吐出ユニット（２）はインク吐出ユニット待機位置X1に、精密ステージ（３）はステージ待機位置Y1に、メンテナンスユニット（１６）は予備吐出位置Z1で待機している。
ガラス基板（１４）が図示されない搬送ロボットによって精密ステージ（３）上に載置されると、ガラス基板（１４）は精密ステージ（３）上で真空吸着される。真空吸着が完了すると、インク吐出ユニット（２）は予備吐出ユニット（１０）上でインクの予備吐出を行う。インクの予備吐出が終わると、図３の（B）で示す通りインク吐出ユニット（２）はインク塗工開始位置X2に水平移動する。移動が終了すると同時に、図３の（C）で示す通り精密ステージ（３）はステージ移動位置Y2へと一定の速度で水平移動し、移動動作に伴ってインク吐出ユニット（２）は搭載されたインク吐出ヘッド（１５）より３色のインクを同時にガラス基板上に塗工していく。
【００１５】
インク吐出ユニットの大きさやガラス基板のブラックマトリックスパターンによっては、一度のステージ移動で全てのパターンに塗工できないため、その場合は精密ステージ（３）がステージ移動位置Y2へ移動した後、インク吐出ユニット（２）が直前に塗工した幅分だけインク吐出ユニット待機位置X1方向に移動し、再度精密ステージ（３）がステージ待機位置Y1に一定の速度で水平移動しつつインクの塗工を行う。この動作をガラス基板（１４）上の全てのブラックマトリックスパターンに３色のインクが塗工できるまで繰り返す。図３の（C）で示す通り、全ての塗工が終了した時、インク吐出ユニット（２）はインク塗工終了位置X3に移動しており、塗工終了と同時にインク吐出ユニット待機位置X1に移動する。精密ステージ（３）は塗工終了時ステージ移動位置Y2にいた際には、塗工終了と同時にステージ待機位置Y１に移動することになる。
【００１６】
図３の（D）で示す通り、メンテナンスユニット（１６）はインク吐出ユニット（２）がインク吐出ユニット待機位置X1に移動完了する前に、予備吐出位置Z1から吸引位置Z2にあらかじめ移動しており、インク吐出ユニット（２）がインク吐出ユニット待機位置X1に移動完了と同時に吸引ユニット（１１）によりインク吸引動作を行い、不要なインクや付着異物を排除する。図３の（E）で示す通り、吸引動作が終了すると、メンテナンスユニット（１６）は拭取り位置Z3に移動し、移動が完了すると同時に拭取りユニット（１２）により拭取り動作を行い、インク吐出ヘッド（１５）の先端を清掃する。拭取りが終了すると、メンテナンスユニット（１６）は再び予備吐出位置Z1に移動する。
一方、精密ステージ（３）はステージ待機位置Y１に移動が完了すると同時に、ガラス基板（１４）の真空吸着を解除し、図示されない搬送ロボットによって搬出され、次のガラス基板が投入されるまで待機する。
以上でガラス基板塗工の１サイクルが終了する。
【００１７】
次にインク吐出ユニットを着脱する際の手順を説明する。
図４の（A）で示す通り、インク吐出ユニット（２）はインク吐出ユニット待機位置X1に、メンテナンスユニット（１６）は着脱位置Z4に移動する。
この状態でインク吐出ユニットの高さ調整固定機構（１７）の固定を緩めて、着脱ユニット（１）の上昇ハンドル（２５）を動作させることにより架台（２１）を上昇させて、インク吐出ユニット（２）を受取冶具（２２）の上に載せる。（図５の（Ａ）、（Ｂ）参照。）
次に図４の（B）で示す通り、着脱ユニット（１）上にインク吐出ユニット（２）を搭載させた状態で、メンテナンスユニット（１６）をリフター取扱い位置Z５まで移動させる。移動が完了したら、図４の（C）で示す通り、リフター（１３）にインク吐出ユニット（２）を載せ換えて、図示されない専用整列装置へ移動する。
ヘッドの整列が完了したら、再びリフター（１３）によりインク吐出ユニット（２）を着脱ユニット（１）上に載せ換え、メンテナンスユニット（１６）を着脱位置Z4に移動させる。移動が完了したら、着脱ユニット（１）の下降ハンドル（２４）を動作させることによりインク吐出ユニット（２）を下降させて高さ調整固定機構の上に載せ換え、高さ調整を行った後で固定する。
以上でインク吐出ユニット着脱の１サイクルが終了する。
【図面の簡単な説明】
【００１８】
【図１】本発明に係わるインク吐出装置を斜視で表した説明図である。
【図２】本発明に係わるインク吐出ユニット着脱装置を斜視で表した説明図である。
【図３】本発明に係わるインク吐出装置の塗工動作を平面で表した説明図である。
【図４】本発明に係わるインク吐出装置のインク吐出ユニット着脱動作を平面で表した説明図である。
【図５】本発明に係わるインク吐出ユニットを架台に固定した状態（Ａ）と、架台から外した状態（Ｂ）とを説明する図である。
【符号の説明】
【００１９】
１・・・着脱ユニット
２・・・インク吐出ユニット
３・・・精密ステージ
４・・・架台
５・・・駆動機構
６・・・駆動機構
７・・・フレーム
８・・・架台
９・・・駆動機構
１０・・・予備吐出ユニット
１１・・・吸引ユニット
１２・・・拭取りユニット
１３・・・リフター
１４・・・ガラス基板
１５・・・インク吐出ヘッド
１６・・・メンテナンスユニット
１７・・・高さ調整固定機構
１８・・・架台
２１・・・架台
２２・・・受取冶具
２３・・・油圧昇降機構
２４・・・下降ハンドル
２５・・・上昇ハンドル
３１・・・インク吐出部
３２・・・メンテナンス部
X１・・・インク吐出ユニット待機位置
X２・・・インク塗工開始位置
X３・・・インク塗工終了位置
Y１・・・ステージ待機位置
Y２・・・ステージ移動位置
Z１・・・予備吐出位置
Z２・・・吸引位置
Z３・・・拭取り位置
Z４・・・着脱位置
Z５・・・リフター取扱い位置
【技術分野】
【０００１】
本発明は、例えば、カラーフィルターの色パターンを形成するのに用いるようなインク吐出装置に関する。特に、インク吐出装置に用いられるインク吐出ユニットを、インク吐出装置から着脱する装置および方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
カラーフィルターを例にとって説明する。
液晶ディスプレイなどに用いられるカラーフィルター（以下ＣＦ）の製造方法は、従来からフォトリソグラフィーによる方法（以下フォトリソ方式）が一般的であった。この方式では、感光性レジストを角型のガラス基板に塗工し、露光、現像、乾燥の工程を複数回繰り返すことで、一定の格子状カラーパターンを得ることができる。
しかしながら、近年基板の大型化が進むと共に、パネル価格の下落に伴ってＣＦのコストダウン要求も更に厳しくなっている。従って、次世代の2m角を超えるようなサイズのＣＦ製造ラインをフォトリソ方式で構築する場合、装置自体のコストが現ライン以上に高くなると共に、サイズアップによるフットプリントの拡大によって、建屋にかかるコストも嵩んでしまい、イニシャルコストの大幅なアップが予想される。また、現像される余分なインクの増加や、現像液等の材料使用量の増加により、ランニングコストも更に上がることが容易に予想でき、前述したコストダウン要求を満たすことは困難である。
【０００３】
そこで、フォトリソ方式に代わる新しいCF製造方法の一つとして、インク吐出方式が注目されている。
この方法では、インク吐出ヘッドを用いてBMパターンに直接カラーパターンを複数色同時に塗工していくため、フォトリソ方式で必要であった露光・現像等の工程を削減できるため、フットプリントを大幅に削減することが可能となる。また、塗工材料も必要最小量であり、更にフォトリソ方式で必要であった現像液等が不要となるため、ランニングコストも削減することが可能である。
【０００４】
前述したインク吐出方式において、インクを吐出するためのインク吐出ヘッドは通常一つのインク吐出ユニットに複数個搭載されており、所望のＢＭパターンに精度良くインクを塗工するために、それぞれのインク吐出ヘッドの位置関係は予め所望の位置に整列させておく必要がある。その際、従来は本機上で一つ一つのインク吐出ヘッドを手動により微調整し、所望の位置に整列させていた。
しかしながら、基板の大型化やタクトアップが進むに従って搭載するインク吐出ヘッドの数も増え装置自体も大きくなっていくため、一つ一つのインク吐出ヘッドを本機上で手動で微調整することは非常に困難であり、専用整列装置によりオフラインにて調整を行うことが必須となる。
【０００５】
その際、本機からインク吐出ユニットを取り外し、専用整列装置へ移載させる手段が必要である。しかしながら、インク吐出ユニットの側面には、通常インク吐出ユニット全体の高さを調整し架台に固定するための高さ調整固定機構や、ガラス基板とのギャップを測定するためのセンサ若しくは被測定物等が配置されていることが多い。また、通常吐出装置の片側にインク吐出ヘッドのメンテナンスを行うための移動式のメンテナンスユニットを併設するため、メンテナンスユニットが設置されている側で本機から直接インク吐出ユニットをリフター等に受渡しすることは困難である。
更にまた、本機を挟んでメンテナンスユニットと逆側に、インク吐出ユニットをオーバーハングさせて受渡そうとすると、余分にフットプリントを大きくしてしまう上に、インク吐出ユニットの駆動機構も延長することとなるため、インク吐出ユニットの移動及び位置決め精度を悪化させることとなってしまう。以上の点から考えると、リフター等を用いて本機から直接取り外すことは非常に困難である。
【特許文献１】特開平１１-１５７０９４号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするところは、複数のインク吐出ヘッドを搭載するインク吐出ユニットを着脱する装置において、前記インク吐出ユニットの移動及び位置決め精度を悪化させず、且つ装置自体のフットプリントを無駄に大きくすることのない、インク吐出ユニット着脱装置及びそれらを備えたインク吐出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
請求項１に記載の発明は、
複数のインク吐出ヘッドを搭載するインク吐出ユニットを着脱する装置であって、
該インク吐出ヘッドのメンテナンスを行う移動式メンテナンスユニットの一部として搭載されている、インク吐出ユニットを載置するための架台と、該架台の高さ調整手段と、
を有することを特徴とするインク吐出ユニット着脱装置である。
【０００８】
請求項２に記載の発明は、請求項１に記載のインク吐出ユニット着脱装置を備えることを特徴とするインク吐出装置である。
【０００９】
請求項３に記載の発明は、
複数のインク吐出ヘッドを搭載するインク吐出ユニットを着脱する方法であって、
該インク吐出ヘッドのメンテナンスを行う移動式メンテナンスユニットの上で、前記インク吐出ユニットを着脱することを特徴とするインク吐出ユニット着脱方法である。
【発明の効果】
【００１０】
以上詳細に記述してきたように、本発明に係わるインク吐出ユニット着脱装置及びインク吐出装置及びインク吐出ユニット着脱方法によれば、以下のような効果を得ることができた。
すなわち、複数のインク吐出ヘッドを搭載するインク吐出ユニットを着脱する装置及び方法において、該インク吐出ヘッドのメンテナンスを行う移動式メンテナンス装置の一部として搭載することで、不必要なインク吐出ユニットの駆動機構の延長化を抑えることができ、インク吐出ユニットの位置決め精度を悪化させること無く、且つ不必要なフットプリントの拡大を抑えることができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１１】
本発明の装置を具体的に示す。
図１で示す通り、本発明のインク吐出装置はインク吐出部（３１）とメンテナンス部（３２）より構成されている。
インク吐出部（３１）は、主にガラス基板（１４）を搬送するための精密ステージ（３）とインクをガラス基板（１４）に塗工するためのインク吐出ユニット（２）から構成されている。精密ステージ（３）は架台（４）に設けられた駆動機構（５）により、ガラス基板（１４）を水平移動することができる。インク吐出ユニット（２）は高さ調整固定機構（１７）により架台（１８）に四隅を固定されており、架台（４）上のフレーム（７）に設けられた駆動機構（６）により、精密ステージ（３）の移動方向に対して垂直な方向に移動することが可能である。
またインク吐出ユニット（２）には複数のインク吐出ヘッド（１５）が搭載されている。
メンテナンス部（３２）は、メンテナンスユニット（１６）と、それらを精密ステージ（３）の移動方向と同一方向に移動させるために架台（８）に設けられた駆動機構（９）からなる。メンテナンスユニット（１６）は、インク吐出ヘッドの予備吐出を行うための予備吐出ユニット（１０）、インク吐出ヘッド内部のインクを吸引するための吸引ユニット（１１）、インク吐出ヘッドの先端を清掃するための拭取りユニット（１２）、インク吐出ユニット（２）を着脱するための着脱ユニット（１）より構成されている。
また着脱ユニット（１）によって取り外されたインク吐出ユニット（２）はリフター（１３）によって図示されない専用整列装置に搬送される。
【００１２】
図２で示す通り、着脱ユニット（１）は主に架台（２１）と架台（２１）を昇降させるための油圧昇降機構（架台の高さ調整手段）（２３）から構成されている。架台（２１）の上にはインク吐出ユニットを受取るための受取冶具（２２）が４箇所設けられている。架台（２１）を上昇させる際は上昇ハンドル（２５）を、下降させる際は下降ハンドル（２４）を用いることでそれぞれ昇降させることが可能である。
本例は手動による昇降機構を備えた着脱ユニットであるが、駆動機構を用いて自動で昇降できるようにしても良い。
【実施例１】
【００１３】
本発明のCF用インク吐出装置の実施例として、ブラックマトリックスパターニング基板にレッド、グリーン、ブルーの３色のインクを塗工する場合を説明する。
塗工するインクは市販品を用い、塗工するガラス基板は無アルカリガラスで、サイズは６８０mm×８８０mm×ｔ０．７mmのブラックマトリックパターニング品を用いた。
【００１４】
以下に実際の動作を詳細に示す。
図３の（A）で示す通り、通常待機時はインク吐出ユニット（２）はインク吐出ユニット待機位置X1に、精密ステージ（３）はステージ待機位置Y1に、メンテナンスユニット（１６）は予備吐出位置Z1で待機している。
ガラス基板（１４）が図示されない搬送ロボットによって精密ステージ（３）上に載置されると、ガラス基板（１４）は精密ステージ（３）上で真空吸着される。真空吸着が完了すると、インク吐出ユニット（２）は予備吐出ユニット（１０）上でインクの予備吐出を行う。インクの予備吐出が終わると、図３の（B）で示す通りインク吐出ユニット（２）はインク塗工開始位置X2に水平移動する。移動が終了すると同時に、図３の（C）で示す通り精密ステージ（３）はステージ移動位置Y2へと一定の速度で水平移動し、移動動作に伴ってインク吐出ユニット（２）は搭載されたインク吐出ヘッド（１５）より３色のインクを同時にガラス基板上に塗工していく。
【００１５】
インク吐出ユニットの大きさやガラス基板のブラックマトリックスパターンによっては、一度のステージ移動で全てのパターンに塗工できないため、その場合は精密ステージ（３）がステージ移動位置Y2へ移動した後、インク吐出ユニット（２）が直前に塗工した幅分だけインク吐出ユニット待機位置X1方向に移動し、再度精密ステージ（３）がステージ待機位置Y1に一定の速度で水平移動しつつインクの塗工を行う。この動作をガラス基板（１４）上の全てのブラックマトリックスパターンに３色のインクが塗工できるまで繰り返す。図３の（C）で示す通り、全ての塗工が終了した時、インク吐出ユニット（２）はインク塗工終了位置X3に移動しており、塗工終了と同時にインク吐出ユニット待機位置X1に移動する。精密ステージ（３）は塗工終了時ステージ移動位置Y2にいた際には、塗工終了と同時にステージ待機位置Y１に移動することになる。
【００１６】
図３の（D）で示す通り、メンテナンスユニット（１６）はインク吐出ユニット（２）がインク吐出ユニット待機位置X1に移動完了する前に、予備吐出位置Z1から吸引位置Z2にあらかじめ移動しており、インク吐出ユニット（２）がインク吐出ユニット待機位置X1に移動完了と同時に吸引ユニット（１１）によりインク吸引動作を行い、不要なインクや付着異物を排除する。図３の（E）で示す通り、吸引動作が終了すると、メンテナンスユニット（１６）は拭取り位置Z3に移動し、移動が完了すると同時に拭取りユニット（１２）により拭取り動作を行い、インク吐出ヘッド（１５）の先端を清掃する。拭取りが終了すると、メンテナンスユニット（１６）は再び予備吐出位置Z1に移動する。
一方、精密ステージ（３）はステージ待機位置Y１に移動が完了すると同時に、ガラス基板（１４）の真空吸着を解除し、図示されない搬送ロボットによって搬出され、次のガラス基板が投入されるまで待機する。
以上でガラス基板塗工の１サイクルが終了する。
【００１７】
次にインク吐出ユニットを着脱する際の手順を説明する。
図４の（A）で示す通り、インク吐出ユニット（２）はインク吐出ユニット待機位置X1に、メンテナンスユニット（１６）は着脱位置Z4に移動する。
この状態でインク吐出ユニットの高さ調整固定機構（１７）の固定を緩めて、着脱ユニット（１）の上昇ハンドル（２５）を動作させることにより架台（２１）を上昇させて、インク吐出ユニット（２）を受取冶具（２２）の上に載せる。（図５の（Ａ）、（Ｂ）参照。）
次に図４の（B）で示す通り、着脱ユニット（１）上にインク吐出ユニット（２）を搭載させた状態で、メンテナンスユニット（１６）をリフター取扱い位置Z５まで移動させる。移動が完了したら、図４の（C）で示す通り、リフター（１３）にインク吐出ユニット（２）を載せ換えて、図示されない専用整列装置へ移動する。
ヘッドの整列が完了したら、再びリフター（１３）によりインク吐出ユニット（２）を着脱ユニット（１）上に載せ換え、メンテナンスユニット（１６）を着脱位置Z4に移動させる。移動が完了したら、着脱ユニット（１）の下降ハンドル（２４）を動作させることによりインク吐出ユニット（２）を下降させて高さ調整固定機構の上に載せ換え、高さ調整を行った後で固定する。
以上でインク吐出ユニット着脱の１サイクルが終了する。
【図面の簡単な説明】
【００１８】
【図１】本発明に係わるインク吐出装置を斜視で表した説明図である。
【図２】本発明に係わるインク吐出ユニット着脱装置を斜視で表した説明図である。
【図３】本発明に係わるインク吐出装置の塗工動作を平面で表した説明図である。
【図４】本発明に係わるインク吐出装置のインク吐出ユニット着脱動作を平面で表した説明図である。
【図５】本発明に係わるインク吐出ユニットを架台に固定した状態（Ａ）と、架台から外した状態（Ｂ）とを説明する図である。
【符号の説明】
【００１９】
１・・・着脱ユニット
２・・・インク吐出ユニット
３・・・精密ステージ
４・・・架台
５・・・駆動機構
６・・・駆動機構
７・・・フレーム
８・・・架台
９・・・駆動機構
１０・・・予備吐出ユニット
１１・・・吸引ユニット
１２・・・拭取りユニット
１３・・・リフター
１４・・・ガラス基板
１５・・・インク吐出ヘッド
１６・・・メンテナンスユニット
１７・・・高さ調整固定機構
１８・・・架台
２１・・・架台
２２・・・受取冶具
２３・・・油圧昇降機構
２４・・・下降ハンドル
２５・・・上昇ハンドル
３１・・・インク吐出部
３２・・・メンテナンス部
X１・・・インク吐出ユニット待機位置
X２・・・インク塗工開始位置
X３・・・インク塗工終了位置
Y１・・・ステージ待機位置
Y２・・・ステージ移動位置
Z１・・・予備吐出位置
Z２・・・吸引位置
Z３・・・拭取り位置
Z４・・・着脱位置
Z５・・・リフター取扱い位置
【特許請求の範囲】
【請求項１】
複数のインク吐出ヘッドを搭載するインク吐出ユニットを着脱する装置であって、
該インク吐出ヘッドのメンテナンスを行う移動式メンテナンスユニットの一部として搭載されている、前記インク吐出ユニットを載置するための架台と、該架台の高さ調整手段と、
を有することを特徴とするインク吐出ユニット着脱装置。
【請求項２】
請求項１に記載のインク吐出ユニット着脱装置を備えることを特徴とするインク吐出装置。
【請求項３】
複数のインク吐出ヘッドを搭載するインク吐出ユニットを着脱する方法であって、
該インク吐出ヘッドのメンテナンスを行う移動式メンテナンスユニットの上で、前記インク吐出ユニットを着脱することを特徴とするインク吐出ユニット着脱方法。
【請求項１】
複数のインク吐出ヘッドを搭載するインク吐出ユニットを着脱する装置であって、
該インク吐出ヘッドのメンテナンスを行う移動式メンテナンスユニットの一部として搭載されている、前記インク吐出ユニットを載置するための架台と、該架台の高さ調整手段と、
を有することを特徴とするインク吐出ユニット着脱装置。
【請求項２】
請求項１に記載のインク吐出ユニット着脱装置を備えることを特徴とするインク吐出装置。
【請求項３】
複数のインク吐出ヘッドを搭載するインク吐出ユニットを着脱する方法であって、
該インク吐出ヘッドのメンテナンスを行う移動式メンテナンスユニットの上で、前記インク吐出ユニットを着脱することを特徴とするインク吐出ユニット着脱方法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【公開番号】特開２００７−２１６６０５（Ｐ２００７−２１６６０５Ａ）
【公開日】平成１９年８月３０日（２００７．８．３０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−４２１３０（Ｐ２００６−４２１３０）
【出願日】平成１８年２月２０日（２００６．２．２０）
【出願人】（０００００３１９３）凸版印刷株式会社 (10,630)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年８月３０日（２００７．８．３０）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年２月２０日（２００６．２．２０）
【出願人】（０００００３１９３）凸版印刷株式会社 (10,630)
【Ｆターム（参考）】
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