インク滴サイズ置換装置、インク滴サイズ置換方法、プログラム、及び画像形成装置
【課題】写真部分でのテクスチャや文字部分でのがたつきを抑止する。
【解決手段】用紙に印字する画像情報の種類に応じて、予め定められたインク滴サイズを置換するインク滴サイズ置換装置であって、画像情報を印字するヘッドのインク使用量を算出する手段と、画像情報を印字すると仮定したときの基準ヘッドのインク仮使用量を算出する手段と、インク使用量とインク仮使用量とを比較する手段と、画像情報が複数種類のヘッドによって印字されるか否かを判断する手段と、インク使用量とインク仮使用量とを比較した結果、インク使用量とインク仮使用量とが不一致であり、かつ、画像情報が複数種類のヘッドによって印字されると判断されたとき、予め定められたインク滴サイズを、異なるインク滴サイズに置換する手段と、を含む。
【解決手段】用紙に印字する画像情報の種類に応じて、予め定められたインク滴サイズを置換するインク滴サイズ置換装置であって、画像情報を印字するヘッドのインク使用量を算出する手段と、画像情報を印字すると仮定したときの基準ヘッドのインク仮使用量を算出する手段と、インク使用量とインク仮使用量とを比較する手段と、画像情報が複数種類のヘッドによって印字されるか否かを判断する手段と、インク使用量とインク仮使用量とを比較した結果、インク使用量とインク仮使用量とが不一致であり、かつ、画像情報が複数種類のヘッドによって印字されると判断されたとき、予め定められたインク滴サイズを、異なるインク滴サイズに置換する手段と、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク滴サイズ置換装置、インク滴サイズ置換方法、プログラム、及び画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェット方式の画像形成装置において、ラインヘッド方式と呼ばれる、インクジェットヘッドを主走査方向に複数配置し、主走査サイズを確保することによって、インクジェットヘッドを固定して、被印字媒体である用紙を搬送し動作させ画像を形成することにより、高速に画像形成を行う技術が既に知られている。
【0003】
そして、このようなラインヘッド方式を採用したインクジェット方式の画像形成装置として、特許文献1には、階調表現を適切に表現する目的で、複数の画像データに基づき、インクの滴の大きさを変更する技術が開示されている。これは、画像濃度の高低によってインクの滴サイズを変更することにより、階調(画像の濃淡)を適切に表現することを目的としている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従前のインク滴サイズの置き換え方法で画像の明度差補正を行った場合、置き換え方法が定まっていないため、画像の写真部分でテクスチャ(きめの粗さ)が目立つことや、文字部分でエイリアス(がたつき)が発生してしまうという問題があった。
【0005】
また、特許文献1に記載された、複数の画像データに基づき、インクの滴サイズを変更することにより階調表現を適切に表現したとしても、インクの滴サイズの置き換え方法で明度差補正を行った場合、写真部分でテクスチャ(きめの粗さ)が目立つことや、文字部分でエイリアス(がたつき)が発生してしまうというという問題は依然として解消されていない。
【0006】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、インクの滴サイズの置き換え方法で明度差補正を行う場合に発生してしまう、写真部分でのテクスチャ(きめの粗い)画像や文字部分でのエイリアス(がたつき)を抑止することができるインク滴サイズ置換装置、インク滴サイズ置換方法、プログラム、及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明におけるインク滴サイズ置換装置は、用紙に印字する画像情報の種類に応じて、予め定められたインク滴サイズを置換するインク滴サイズ置換装置であって、前記画像情報を印字するヘッドのインク使用量を算出するインク使用量算出手段と、前記画像情報を印字すると仮定したときの予め定められたヘッドである基準ヘッドのインク仮使用量を算出するインク仮使用量算出手段と、前記インク使用量と前記インク仮使用量とを比較するインク使用量比較手段と、前記画像情報が複数種類のヘッドによって印字されるか否かを判断するヘッド種類判断手段と、前記インク使用量比較手段により比較された結果、前記インク使用量と前記インク仮使用量とが不一致であり、かつ、前記ヘッド種類判断手段により前記画像情報が前記複数種類のヘッドによって印字されると判断されたとき、前記予め定められたインク滴サイズを、前記予め定められたインク滴サイズとは異なるインク滴サイズに置換するインク滴サイズ置換手段と、を含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明におけるインク滴サイズ置換装置は、請求項1に記載のインク滴サイズ置換装置において、前記画像情報は、写真画像と文字画像とを含むことを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明におけるインク滴サイズ置換装置は、請求項1又は2に記載のインク滴サイズ置換装置において、前記画像情報が写真画像であるか、文字画像であるかを識別する画像情報識別手段をさらに含み、前記画像情報識別手段によって識別された結果に応じて、前記画像情報に対応するインク滴サイズに置換することを特徴とする。
【0010】
また、本発明におけるインク滴サイズ置換装置は、請求項1から3の何れか1項に記載のインク滴サイズ置換装置において、前記インク滴サイズ置換手段は、前記インク使用量と前記インク仮使用量とが不一致であっても、前記画像情報の種類によっては、前記予め定められたインク滴サイズを置換しないことを特徴とする。
【0011】
そして、本発明におけるインク滴サイズ置換装置は、請求項1から4の何れか1項に記載のインク滴サイズ置換装置において、前記インク滴サイズ置換手段は、前記画像情報識別手段により前記画像情報が写真画像であると識別されたとき、前記用紙に印字される領域における単位面積当たりの前記インク滴サイズの置換率が均一となるよう前記インク滴サイズを置換することを特徴とする。
【0012】
また、本発明におけるインク滴サイズ置換装置は、請求項5に記載のインク滴サイズ置換装置において、インク滴サイズ置換手段は、前記画像情報識別手段により前記画像情報が写真画像であると識別されたとき、前記領域において、前記インク滴サイズが置換される以前に前記用紙に印字の無い領域には、新たなインク滴サイズを置換しないことを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明におけるインク滴サイズ置換装置は、請求項5に記載のインク滴サイズ置換装置において、前記インク滴置換手段は、前記画像情報識別手段により前記画像情報が文字画像であると識別されたとき、前記領域において、前記インク滴サイズが置換される以前のインク滴サイズがより大なるインク滴サイズが適用されている領域の近傍から優先的に前記インク滴サイズを置換することを特徴とする。
【0014】
また、本発明における画像形成装置は、請求項1から7の何れか1項に記載のインク滴サイズ置換装置を備えたことを特徴とする。
【0015】
そして、上記課題を解決するため、請求項9に記載の本発明におけるインク滴サイズ置換方法は、用紙に印字する画像情報の種類に応じて、予め定められたインク滴サイズを置換するインク滴サイズ置換方法であって、インク使用量算出手段が、前記画像情報を印字するヘッドのインク使用量を算出する工程と、インク仮使用量算出手段が、前記画像情報を印字すると仮定したときの予め定められたヘッドである基準ヘッドのインク仮使用量を算出する工程と、インク使用量比較手段が、前記インク使用量と前記インク仮使用量とを比較する工程と、ヘッド種類判断手段が、前記画像情報が複数種類のヘッドによって印字されるか否かを判断する工程と、インク滴サイズ置換手段が、前記比較する工程により比較された結果、前記インク使用量と前記インク仮使用量とが不一致であり、かつ、前記判断する工程により前記画像情報が前記複数種類のヘッドによって印字されると判断されたとき、前記予め定められたインク滴サイズを、前記予め定められたインク滴サイズとは異なるインク滴サイズに置換する工程と、を含むことを特徴とする。
【0016】
また、上記課題を解決するため、請求項10に記載の本発明におけるプログラムは、用紙に印字する画像情報の種類に応じて、予め定められたインク滴サイズを置換するインク滴サイズ置換装置の制御プログラムであって、インク使用量算出手段が、前記画像情報を印字するヘッドのインク使用量を算出する処理と、インク仮使用量算出手段が、前記画像情報を印字すると仮定したときの予め定められたヘッドである基準ヘッドのインク仮使用量を算出する処理と、インク使用量比較手段が、前記インク使用量と前記インク仮使用量とを比較する処理と、ヘッド種類判断手段が、前記画像情報が複数種類のヘッドによって印字されるか否かを判断する処理と、インク滴サイズ置換手段が、前記比較する処理により比較された結果、前記インク使用量と前記インク仮使用量とが不一致であり、かつ、前記判断する処理により前記画像情報が前記複数種類のヘッドによって印字されると判断されたとき、前記予め定められたインク滴サイズを、前記予め定められたインク滴サイズとは異なるインク滴サイズに置換する処理と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、インクの滴サイズの置換を行うインクジェット方式の画像形成装置において、インクの滴サイズを変更する際、入力画像の画像情報(写真部分/文字部分等の領域)に応じた適切なインク滴サイズの置換方法を規定しているので、写真部分でのテクスチャ(きめの粗さ)や文字部分のエイリアス(がたつき)を発生させることなく、異なるインクジェットヘッド間の明度差を軽減することができるインク滴サイズ置換装置、インク滴サイズ置換方法、プログラム、及び画像形成装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態におけるラインヘッド型画像形成装置のインクジェットヘッドの配置を示した図である。
【図2】本発明の実施形態における画像処理装置の画像処理の動作を示すフロー図である。
【図3】本発明の実施形態におけるインク滴サイズ置換装置の吐出滴情報変換手段の動作を示すフロー図である。
【図4】本発明の実施形態におけるインク滴サイズ置換装置の吐出滴情報変換手段の動作を示すフロー図である。
【図5】本発明の実施形態におけるインク滴サイズ置換装置のインク滴の大きさを説明する図である。
【図6】本発明の実施形態におけるインク滴サイズ置換装置を備えた画像処理装置の(a)写真部分、(b)文字部分におけるインク滴サイズの置換方法について説明する図である。
【図7】本発明の実施形態におけるインク滴サイズ置換装値を備えた画像処理装置の文字部分のインク滴サイズの置換方法について説明する図である。
【図8】本発明の実施形態におけるインク滴サイズ置換装値を備えた画像処理装置の斜線部分のインク滴サイズの置換方法について説明する図である。
【図9】本発明の実施形態におけるインク滴サイズ置換装値を備えた画像処理装置のインク滴サイズの混在について説明する図である。
【図10】本発明の実施形態におけるインク滴サイズ置換装値を備えた画像処理装置のインク滴サイズの違いによる濃度差を検知する方法について説明する図である。
【図11】本発明の実施形態におけるインク滴サイズ置換装値を備えた画像処理装置のインク滴サイズ置換の決定方法を説明する図である。
【図12】本発明の実施形態におけるインク滴サイズ置換装値を備えた画像処理装置の基準ヘッドと吐出ヘッドAの濃度が一致しない場合の対応策について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化乃至省略する。本発明は、インクの滴サイズの置換を行うインクジェット方式の画像形成装置において、インクの滴サイズを変更する際、入力画像の画像情報(写真部分/文字部分等の領域)に応じたインク滴サイズの置換方法を規定しているので、写真部分や文字部分等のそれぞれの領域毎にそれぞれ異なる規定に基づいた適切なインク滴サイズへの置換が行われ、インクジェットヘッド間に発生する濃度の補正が行われることが特徴になっている。
【0020】
本発明の実施の形態を、図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施形態におけるラインヘッド型画像形成装置のインクジェットヘッドの配置を示した図である。図1のように、印刷用紙の主走査方向(図1中の矢印方向)に対して垂直方向にインクジェットヘッドを複数個配置する。インクジェットヘッドの位置は固定されており、印刷用紙が搬送されると、インクジェットヘッドからインクが吐出され、印刷用紙に画像が形成される。
【0021】
図1では、シアン(Cyan:C1〜C5)、マゼンタ(Magenta:M1〜M5)、イエロー(Yellow:Y1〜Y5)、ブラック(Black:K1〜K5)、それぞれのインクジェットヘッドのインク滴量、濃度等のデータを予め保持しておき、基準となるヘッド(以下、「基準ヘッド」ともいう。)を決定し、基準ヘッドとの差異データとインクジェットヘッドそれぞれのデータとから、明度差の補正を行うようにする。
【0022】
例えばC1、M1、Y1、K1を基準ヘッドとした場合、C1とC2〜C5、M1とM2〜M5、Y1とY2〜Y5、K1とK2〜K5との間のそれぞれのインク吐出量(濃度)の差を求め、そのデータを保持しておき、その差分データと、C1〜C5、M1〜M5、Y1〜Y5、K1〜K5それぞれのヘッドの適量とから、明度差を補正できるようなインク滴サイズの変更を行うようにする。
【0023】
図1においては、便宜上C1、M1、Y1、K1を基準ヘッドとしたが、基準ヘッドは、C1〜C5、M1〜M5、Y1〜Y5、K1〜K5の何れでも良いことは勿論である。また、基準ヘッドを定めずに、予めインクジェットヘッドの目標値を定めておき、そのヘッドの目標値と、C1〜C5、M1〜M5、Y1〜Y5、K1〜K5それぞれの差分を求める方法であっても構わない。
【0024】
次に、本発明の実施形態におけるインクジェット画像形成装置の画像処理の動作について説明する。図2は、本発明の実施形態における画像処理装置の画像処理の動作を示すフロー図である。図2において、スキャナによって写真、文字等の画像情報が取り込まれると(ステップ(以下、「S」という。)20)、分離処理、フィルタ処理、色補正、γ変換等の画像処理が行われるのであが(S21)、この画像処理において行われる分離処理において、写真部分と文字部分との画像データが分離データとして分離され、S24の処理に移行する。S24の処理については図3、図4において説明する。
【0025】
S21による画像処理の後、階調処理が行われ(S22)、その後、レンダリング(画像生成)処理が行われ(S23)、S24において、レンダリング処理された画像データ、及びS21の画像処理において分離された分離データに対して吐出滴情報変換処理がなされる。すなわち、本発明の特徴として、レンダリング(画像生成)が行われた後に吐出滴情報変換処理(S24)が行われるのであるが、このS24の処理において、S21の処理から分離データが入力され、写真部分や文字部分のそれぞれの領域において、それぞれ異なる規定に基づいた適切なインク滴サイズへの置換が行われ、インクジェットヘッド間に発生する濃度の補正が行われる。この吐出滴情報変換処理(S24)の具体的な動作に関して図3、図4において説明する。
【0026】
次に、図3及び図4を用いて図2の吐出滴情報変換処理(S24)について詳細に説明する。図3及び図4は、本発明の実施形態におけるインク滴サイズ置換装置の吐出滴情報変換手段の動作を示すフロー図である。図3において、まず、基準ヘッドと基準ヘッド以外の印字ヘッドのと間のインク量の差異の有無を確認する。すなわち、S30において印字ヘッドでのインク量Aを算出し、S31において基準ヘッドでの仮想インク量Bを算出し、S32において、印字ヘッドでのインク量Aと、基準ヘッドでの仮想インク量Bとを比較し、両者の間に差異があるか否かを判断する(S33)。両者の間に差異がない場合(S33:NO)は、S39へ移行し、インク滴サイズの置換を行わずに本フローを終了する。
【0027】
印字ヘッドでのインク量Aと、基準ヘッドでの仮想インク量Bとを比較し、両者の間に差異がある場合(S33:YES)は、印字すべき繋がりのある画像データが、1つのインクジェットヘッドのみで印刷可能か否か、すなわち、画像データが複数ヘッドに跨るデータであるか否かが判断される(S34)。画像データが1つのインクジェットヘッドのみで印刷可能である場合、すなわち、画像データが複数ヘッドに跨るデータでない場合(S34:NO)は、S39へ移行し、インク滴サイズの置換を行わずに本フローを終了する。
【0028】
画像データが複数のヘッドに跨るデータである場合(S34:YES)、データの置換を実施する(S35)のであるが、置換前に、対象となる画像データが写真部分であるのか否かが判断される(S36)。対象となる画像データが写真部分である場合には(S36:YES)、写真部分用のインク滴置換処理を実施し(S37)、対象となる画像データが文字部分である場合には(S36:NO)、文字部分用のインク滴置換処理を実施し(S38)、処理を終了する。なお、S37、S38における写真部分及び文字部分のインク滴サイズの置換方法に関しては後述する図5において具体的に説明する。
【0029】
図4も基本的には図3のフローと同じであり、S40からS46までの処理は、図3におけるS30からS36までの処理と同様であるので、詳細な説明は省略する。図4では、置換前の、対象となる画像データが写真部分であるのか否かの判断において(S46)、対象となる画像データが写真部分である場合に(S46:YES)、写真部分用のインク滴置換処理を実施する(S47)ことは同じであるが、対象となる画像データが文字部分である場合には(S46:NO)、文字部分用のインク滴置換処理を実施せず(S48)、処理を終了する。これは、インク滴サイズ置換部分が文字部分で合った場合、文字部分に関しては明度差による濃度の差は目立ちにくいため、インク滴サイズの置換は行わないフローとなっている。
【0030】
本発明の実施形態として、インク滴の大きさは、大滴、中滴、及び小滴の3種類が混在し、これら置換される前のインク滴に対して置換後のインク滴として、置換された大滴、置換された中滴、及び置換された小滴の3種類が混在するものとして以下の説明を行う。図5は、本発明の実施形態におけるインク滴サイズ置換装置のインク滴の大きさを説明する図である。黒丸印が置換前のインク滴、斜線が付された丸印が置換されたインク滴である。
【0031】
次に、インク滴サイズの置換方法に関して図6、図7を用いて具体的に説明する。図6は、本発明の実施形態におけるインク滴サイズ置換装置を備えた画像処理装置の(a)写真部分、(b)文字部分におけるインク滴サイズの置換方法について説明する図であり、図7は、本発明の実施形態におけるインク滴サイズ置換装値を備えた画像処理装置の文字部分のインク滴サイズの置換方法について説明する図である。
【0032】
図6(a)では、インクジェットヘッドで打つ画像データとして、写真部分におけるインク滴サイズ変更前の画像データ(上図)と、インク滴サイズ変更後の画像データ(下図)との関係を示している。図6(a)を用いて写真部分の置換方法に関して説明すると、写真部分の画像データにおいて、単位面積当たりのインク滴サイズを特定箇所に固めるような置換を行うと、印刷画像全体を見たときに、濃度の高い部分と低い部分とが視認し易くなってしまい、結果的にテクスチャ(きめの粗さ)が発生してしまう。これを防止するために、図6(a)下図のように、置換箇所を単位面積内において均等な間隔になるようにインク滴サイズの置換を実施する。すなわち、単位面積内における置換率を均一とする。また、本実施形態では、写真部分のインク滴サイズ変換については、基準ヘッドの濃度と合わせるため、インク滴サイズ変更前の画像データにおいて、インク滴が吐出されていない箇所には、追加的にインク滴を吐出することは行わないものとする。
【0033】
図6(b)では、インクジェットヘッドで打つ画像データとして、文字部分におけるインク滴サイズ変更前の画像データ(上図)と、インク滴サイズ変更後の画像データ(下図)との関係を示している。図6(b)を用いて文字部分の置換方法に関して説明すると、文字部分においては、写真部分と同様に、単位面積当たりで均等にインク滴サイズの置換を行った場合、文字や線の周辺に間隔が開いた状態でインク滴が目立って存在してしまうことにより、文字や線の周辺部に角のような突起が発生してしまい、結果的に文字や線にエイリアス(がたつき)が発生してしまう。このような状態を避けるため、文字部分では、大きいサイズのインク滴の周辺から優先して置換するようにする。文字部分に関するインク滴サイズの置換については図7を用いてもう少し詳細に説明する。
【0034】
図7(a)に示すように、写真部分と同様に、インク滴サイズを等間隔で置換した場合、横線の上下の箇所でインク滴サイズを置換した部分が角のような突起となってしまい、結果的に、線や文字にエイリアス(がたつき)が目立つ状態になる。そのため、図7(b)に示すように、文字部分に関しては、インク滴サイズの置換を、大きいサイズのインク滴サイズの周辺であって、かつ連続的にインク滴サイズの置換を行うことによって、文字や線にエイリアス(がたつき)が発生しないようにする。
【0035】
図8は、本発明の実施形態におけるインク滴サイズ置換装値を備えた画像処理装置の斜線部分のインク滴サイズの置換方法について説明する図である。図8(a)に示すように、斜線のインクの点(ドット)のサイズを大きくするようなインク滴サイズの置換を行うと、インク滴同士が滑らかに繋がらず、結果的に斜線にエイリアス(がたつき)が発生してしまう。そのため、図8(b)に示すように、斜線の濃度を濃くする場合に限り、元データ(斜線)に存在する点(ドット)と点(ドット)の間に、新たなインク滴の点(ドット)を追加することにより、斜線が滑らかに再現できるようになる。
【0036】
図9は、本発明の実施形態におけるインク滴サイズ置換装値を備えた画像処理装置のインク滴サイズの混在について説明する図である。インク滴サイズを置換する際、図9(a)に示すように、大滴と小滴のようにサイズが連続していないインク滴が混在している場合、均等にインク滴サイズを置換したとしても、用紙に印刷された際には、インク滴サイズの大小による濃度差が大きいため、結果的にテクスチャ(きめの粗さ)が発生してしまう。これを避けるため、図9(b)に示すように、インク滴サイズの置換箇所は増えてしまうが、サイズの連続していない滴(若しくはインク滴の量が離れている滴)の混在を避けるよう制御する。
【0037】
次に、インク滴サイズの違いによる濃度差を検知する方法について説明する。図10は、本発明の実施形態におけるインク滴サイズ置換装値を備えた画像処理装置のインク滴サイズの違いによる濃度差を検知する方法について説明する図である。まず、各色、各ヘッド毎に各インク滴サイズ(小滴/中滴/大滴)のみを用いて、網点面積率50%の画像を印刷する。次に、印刷された画像をスキャナで読み取り、印字箇所の読み取りデータと白地部の読み取りデータとより、図10に記載された演算式を用いることにより、各滴サイズ(小滴/中滴/大滴)1滴当たりの読み取りデータを求める。
【0038】
次に、図11を用いてインク滴サイズ置換の決定方法について具体例を用いて説明する。図11は、本発明の実施形態におけるインク滴サイズ置換装値を備えた画像処理装置のインク滴サイズ置換の決定方法を説明する図である。滴情報保持部(図示せず)には、基準ヘッドの各滴サイズのデータ、及び基準ヘッド以外の吐出ヘッドの各滴サイズのデータが予め保持されている。これらの情報に基づいて、実際に印字するデータについて、実際にインクを吐出するヘッドAで印字した場合に得られる濃度を算出する。続いて、同じ画像データを基準ヘッドで印字する場合に得られる濃度を算出する。この2つデータを比較し、基準ヘッドで得られた濃度と実際に画像を印字する吐出ヘッドAで得られた濃度との差分から、どのインク滴を如何なるサイズについて幾ら変更すれば吐出ヘッドAの濃度が基準ヘッドの濃度と一致するのかを求める。そして、求められた置換数分だけ、インクヘッドのデータを置換し、用紙上へ印字する。このようにして、各吐出ヘッドと基準ヘッドとの濃度の差異を補正する。
【0039】
図11を例にとれば、滴情報保持部(図示せず)には、基準ヘッドのデータとして、小滴1滴の濃度データは0.02、中滴1滴の濃度データは0.05、大滴1滴の濃度データは0.10が、吐出ヘッドAのデータとして、小滴1滴の濃度データは0.01、中滴1滴の濃度データは0.04、大滴1滴の濃度データは0.08がそれぞれ保持されている。そして、実際に印字するデータとして、小滴が12個、中滴が9個、及び大滴が0個であった場合について、吐出ヘッドAで印字した場合の濃度は、0.01×12+0.04×9+0.08×0=0.48、他方、基準ヘッドで印字した場合の濃度は、0.02×12+0.05×9+0.10×0=0.69であるから、両者の濃度差は0.21である。ここで、吐出ヘッドAで印字した場合の濃度を、基準ヘッドで印字した場合の濃度に合わせるために、吐出ヘッドAのインク滴サイズを小滴から中滴に変更することによって濃度が0.03上昇するため、インク滴サイズの置換として、小滴7個を中滴に置換することにより、0.03×7=0.21となり、基準ヘッドで印字した場合の濃度と、吐出ヘッドAで印字した場合の濃度とが一致することになる。
【0040】
次に、基準ヘッドで印字した場合の濃度と、吐出ヘッドAで印字した場合の濃度とが一致しない場合の対応策について図12を用いて説明する。図12は、本発明の実施形態におけるインク滴サイズ置換装値を備えた画像処理装置の基準ヘッドと吐出ヘッドAの濃度が一致しない場合の対応策について説明する図である。図12において、(ア)〜(ケ)の印字領域では、次の各ヘッドで画像が形成される。すなわち、領域(ア)は基準ヘッドのみ、領域(イ)は基準ヘッドと吐出ヘッドA、領域(ウ)は吐出ヘッドAのみ、領域(エ)は吐出ヘッドAと吐出ヘッドB、領域(オ)は吐出ヘッドBのみ、領域(カ)は吐出ヘッドBと吐出ヘッドC、領域(キ)は吐出ヘッドCのみ、領域(ク)は吐出ヘッドCと吐出ヘッドD、領域(ケ)は吐出ヘッドDのみ、である。
【0041】
ここで、区間αを印字するケースを考える。区間αの印字データは、写真部分を吐出ヘッドBと吐出ヘッドCとを用いて印字することになる。ここで、基準ヘッドと吐出ヘッドB、及び基準ヘッドと吐出ヘッドCに関して、それぞれインク滴サイズの置換が必要か否かを判断する。いま、基準ヘッドの濃度と吐出ヘッドBの濃度との比較結果より、調整した予測濃度が一致せずに、吐出ヘッドBの濃度が基準ヘッドの濃度よりやや濃くなってしまったと仮定する。また、基準ヘッドの濃度と吐出ヘッドCの濃度との比較結果でも、調整した予測濃度が一致せずに、基準ヘッドの濃度より吐出ヘッドCの濃度がやや薄くなってしまったと仮定する。
【0042】
このような仮定において、図12における写真部分を印刷した場合、結果的に吐出ヘッドBと吐出ヘッドCとの間の濃度差が目立ってしまうことになる。このような事態を回避するため、同一連続画像内(図12の写真部分の領域内)では、印字に使用する吐出ヘッドと基準ヘッドとの濃淡関係が同一になるように調整を行う。本仮定の場合、すなわち、基準ヘッドと吐出ヘッドBの比較結果において、調整した予測濃度が一致せずに、基準ヘッドよりやや濃くなってしまい、基準ヘッドと吐出ヘッドCの比較結果において、調整した予測濃度が一致せずに、基準ヘッドよりやや薄くなってしまう場合、基準ヘッドと吐出ヘッドCの予測濃度の関係を、意図的に基準ヘッドよりも吐出ヘッドCの方を濃くするようなインク滴サイズの置換を実施することにより、基準ヘッドと吐出ヘッドBとの間の予測濃度の関係と一致させることによって、濃度差が発生することを防止するようにする。
【0043】
なお、上記実施形態において説明してきた各動作をそれぞれ実行するために、インク滴サイズ置換装置を構成する各部の動作を制御する図示しない制御部が、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等から構成される図示しないメモリに格納されたコンピュータにより読み取り可能なプログラムに基づいて実行するように構成されていることはいうまでもない。
【0044】
以上説明してきたように、本発明によれば、インク滴サイズの置換を行うインクジェット方式の画像形成装置において、インクの滴サイズを変更する際、入力画像の画像情報(写真部分/文字部分等の領域)に応じた適切なインク滴サイズの置換方法を規定しているので、写真部分でのテクスチャ(きめの粗さ)や文字部分のエイリアス(がたつき)を発生させることなく、異なるインクジェットヘッド間の明度差を軽減することができるインク滴サイズ置換装置、インク滴サイズ置換方法、プログラム、及び画像形成装置を得ることができるのである。
【0045】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範囲な趣旨及び範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正及び変更が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0046】
【特許文献1】特開2007−021729号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク滴サイズ置換装置、インク滴サイズ置換方法、プログラム、及び画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェット方式の画像形成装置において、ラインヘッド方式と呼ばれる、インクジェットヘッドを主走査方向に複数配置し、主走査サイズを確保することによって、インクジェットヘッドを固定して、被印字媒体である用紙を搬送し動作させ画像を形成することにより、高速に画像形成を行う技術が既に知られている。
【0003】
そして、このようなラインヘッド方式を採用したインクジェット方式の画像形成装置として、特許文献1には、階調表現を適切に表現する目的で、複数の画像データに基づき、インクの滴の大きさを変更する技術が開示されている。これは、画像濃度の高低によってインクの滴サイズを変更することにより、階調(画像の濃淡)を適切に表現することを目的としている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従前のインク滴サイズの置き換え方法で画像の明度差補正を行った場合、置き換え方法が定まっていないため、画像の写真部分でテクスチャ(きめの粗さ)が目立つことや、文字部分でエイリアス(がたつき)が発生してしまうという問題があった。
【0005】
また、特許文献1に記載された、複数の画像データに基づき、インクの滴サイズを変更することにより階調表現を適切に表現したとしても、インクの滴サイズの置き換え方法で明度差補正を行った場合、写真部分でテクスチャ(きめの粗さ)が目立つことや、文字部分でエイリアス(がたつき)が発生してしまうというという問題は依然として解消されていない。
【0006】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、インクの滴サイズの置き換え方法で明度差補正を行う場合に発生してしまう、写真部分でのテクスチャ(きめの粗い)画像や文字部分でのエイリアス(がたつき)を抑止することができるインク滴サイズ置換装置、インク滴サイズ置換方法、プログラム、及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明におけるインク滴サイズ置換装置は、用紙に印字する画像情報の種類に応じて、予め定められたインク滴サイズを置換するインク滴サイズ置換装置であって、前記画像情報を印字するヘッドのインク使用量を算出するインク使用量算出手段と、前記画像情報を印字すると仮定したときの予め定められたヘッドである基準ヘッドのインク仮使用量を算出するインク仮使用量算出手段と、前記インク使用量と前記インク仮使用量とを比較するインク使用量比較手段と、前記画像情報が複数種類のヘッドによって印字されるか否かを判断するヘッド種類判断手段と、前記インク使用量比較手段により比較された結果、前記インク使用量と前記インク仮使用量とが不一致であり、かつ、前記ヘッド種類判断手段により前記画像情報が前記複数種類のヘッドによって印字されると判断されたとき、前記予め定められたインク滴サイズを、前記予め定められたインク滴サイズとは異なるインク滴サイズに置換するインク滴サイズ置換手段と、を含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明におけるインク滴サイズ置換装置は、請求項1に記載のインク滴サイズ置換装置において、前記画像情報は、写真画像と文字画像とを含むことを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明におけるインク滴サイズ置換装置は、請求項1又は2に記載のインク滴サイズ置換装置において、前記画像情報が写真画像であるか、文字画像であるかを識別する画像情報識別手段をさらに含み、前記画像情報識別手段によって識別された結果に応じて、前記画像情報に対応するインク滴サイズに置換することを特徴とする。
【0010】
また、本発明におけるインク滴サイズ置換装置は、請求項1から3の何れか1項に記載のインク滴サイズ置換装置において、前記インク滴サイズ置換手段は、前記インク使用量と前記インク仮使用量とが不一致であっても、前記画像情報の種類によっては、前記予め定められたインク滴サイズを置換しないことを特徴とする。
【0011】
そして、本発明におけるインク滴サイズ置換装置は、請求項1から4の何れか1項に記載のインク滴サイズ置換装置において、前記インク滴サイズ置換手段は、前記画像情報識別手段により前記画像情報が写真画像であると識別されたとき、前記用紙に印字される領域における単位面積当たりの前記インク滴サイズの置換率が均一となるよう前記インク滴サイズを置換することを特徴とする。
【0012】
また、本発明におけるインク滴サイズ置換装置は、請求項5に記載のインク滴サイズ置換装置において、インク滴サイズ置換手段は、前記画像情報識別手段により前記画像情報が写真画像であると識別されたとき、前記領域において、前記インク滴サイズが置換される以前に前記用紙に印字の無い領域には、新たなインク滴サイズを置換しないことを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明におけるインク滴サイズ置換装置は、請求項5に記載のインク滴サイズ置換装置において、前記インク滴置換手段は、前記画像情報識別手段により前記画像情報が文字画像であると識別されたとき、前記領域において、前記インク滴サイズが置換される以前のインク滴サイズがより大なるインク滴サイズが適用されている領域の近傍から優先的に前記インク滴サイズを置換することを特徴とする。
【0014】
また、本発明における画像形成装置は、請求項1から7の何れか1項に記載のインク滴サイズ置換装置を備えたことを特徴とする。
【0015】
そして、上記課題を解決するため、請求項9に記載の本発明におけるインク滴サイズ置換方法は、用紙に印字する画像情報の種類に応じて、予め定められたインク滴サイズを置換するインク滴サイズ置換方法であって、インク使用量算出手段が、前記画像情報を印字するヘッドのインク使用量を算出する工程と、インク仮使用量算出手段が、前記画像情報を印字すると仮定したときの予め定められたヘッドである基準ヘッドのインク仮使用量を算出する工程と、インク使用量比較手段が、前記インク使用量と前記インク仮使用量とを比較する工程と、ヘッド種類判断手段が、前記画像情報が複数種類のヘッドによって印字されるか否かを判断する工程と、インク滴サイズ置換手段が、前記比較する工程により比較された結果、前記インク使用量と前記インク仮使用量とが不一致であり、かつ、前記判断する工程により前記画像情報が前記複数種類のヘッドによって印字されると判断されたとき、前記予め定められたインク滴サイズを、前記予め定められたインク滴サイズとは異なるインク滴サイズに置換する工程と、を含むことを特徴とする。
【0016】
また、上記課題を解決するため、請求項10に記載の本発明におけるプログラムは、用紙に印字する画像情報の種類に応じて、予め定められたインク滴サイズを置換するインク滴サイズ置換装置の制御プログラムであって、インク使用量算出手段が、前記画像情報を印字するヘッドのインク使用量を算出する処理と、インク仮使用量算出手段が、前記画像情報を印字すると仮定したときの予め定められたヘッドである基準ヘッドのインク仮使用量を算出する処理と、インク使用量比較手段が、前記インク使用量と前記インク仮使用量とを比較する処理と、ヘッド種類判断手段が、前記画像情報が複数種類のヘッドによって印字されるか否かを判断する処理と、インク滴サイズ置換手段が、前記比較する処理により比較された結果、前記インク使用量と前記インク仮使用量とが不一致であり、かつ、前記判断する処理により前記画像情報が前記複数種類のヘッドによって印字されると判断されたとき、前記予め定められたインク滴サイズを、前記予め定められたインク滴サイズとは異なるインク滴サイズに置換する処理と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、インクの滴サイズの置換を行うインクジェット方式の画像形成装置において、インクの滴サイズを変更する際、入力画像の画像情報(写真部分/文字部分等の領域)に応じた適切なインク滴サイズの置換方法を規定しているので、写真部分でのテクスチャ(きめの粗さ)や文字部分のエイリアス(がたつき)を発生させることなく、異なるインクジェットヘッド間の明度差を軽減することができるインク滴サイズ置換装置、インク滴サイズ置換方法、プログラム、及び画像形成装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態におけるラインヘッド型画像形成装置のインクジェットヘッドの配置を示した図である。
【図2】本発明の実施形態における画像処理装置の画像処理の動作を示すフロー図である。
【図3】本発明の実施形態におけるインク滴サイズ置換装置の吐出滴情報変換手段の動作を示すフロー図である。
【図4】本発明の実施形態におけるインク滴サイズ置換装置の吐出滴情報変換手段の動作を示すフロー図である。
【図5】本発明の実施形態におけるインク滴サイズ置換装置のインク滴の大きさを説明する図である。
【図6】本発明の実施形態におけるインク滴サイズ置換装置を備えた画像処理装置の(a)写真部分、(b)文字部分におけるインク滴サイズの置換方法について説明する図である。
【図7】本発明の実施形態におけるインク滴サイズ置換装値を備えた画像処理装置の文字部分のインク滴サイズの置換方法について説明する図である。
【図8】本発明の実施形態におけるインク滴サイズ置換装値を備えた画像処理装置の斜線部分のインク滴サイズの置換方法について説明する図である。
【図9】本発明の実施形態におけるインク滴サイズ置換装値を備えた画像処理装置のインク滴サイズの混在について説明する図である。
【図10】本発明の実施形態におけるインク滴サイズ置換装値を備えた画像処理装置のインク滴サイズの違いによる濃度差を検知する方法について説明する図である。
【図11】本発明の実施形態におけるインク滴サイズ置換装値を備えた画像処理装置のインク滴サイズ置換の決定方法を説明する図である。
【図12】本発明の実施形態におけるインク滴サイズ置換装値を備えた画像処理装置の基準ヘッドと吐出ヘッドAの濃度が一致しない場合の対応策について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化乃至省略する。本発明は、インクの滴サイズの置換を行うインクジェット方式の画像形成装置において、インクの滴サイズを変更する際、入力画像の画像情報(写真部分/文字部分等の領域)に応じたインク滴サイズの置換方法を規定しているので、写真部分や文字部分等のそれぞれの領域毎にそれぞれ異なる規定に基づいた適切なインク滴サイズへの置換が行われ、インクジェットヘッド間に発生する濃度の補正が行われることが特徴になっている。
【0020】
本発明の実施の形態を、図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施形態におけるラインヘッド型画像形成装置のインクジェットヘッドの配置を示した図である。図1のように、印刷用紙の主走査方向(図1中の矢印方向)に対して垂直方向にインクジェットヘッドを複数個配置する。インクジェットヘッドの位置は固定されており、印刷用紙が搬送されると、インクジェットヘッドからインクが吐出され、印刷用紙に画像が形成される。
【0021】
図1では、シアン(Cyan:C1〜C5)、マゼンタ(Magenta:M1〜M5)、イエロー(Yellow:Y1〜Y5)、ブラック(Black:K1〜K5)、それぞれのインクジェットヘッドのインク滴量、濃度等のデータを予め保持しておき、基準となるヘッド(以下、「基準ヘッド」ともいう。)を決定し、基準ヘッドとの差異データとインクジェットヘッドそれぞれのデータとから、明度差の補正を行うようにする。
【0022】
例えばC1、M1、Y1、K1を基準ヘッドとした場合、C1とC2〜C5、M1とM2〜M5、Y1とY2〜Y5、K1とK2〜K5との間のそれぞれのインク吐出量(濃度)の差を求め、そのデータを保持しておき、その差分データと、C1〜C5、M1〜M5、Y1〜Y5、K1〜K5それぞれのヘッドの適量とから、明度差を補正できるようなインク滴サイズの変更を行うようにする。
【0023】
図1においては、便宜上C1、M1、Y1、K1を基準ヘッドとしたが、基準ヘッドは、C1〜C5、M1〜M5、Y1〜Y5、K1〜K5の何れでも良いことは勿論である。また、基準ヘッドを定めずに、予めインクジェットヘッドの目標値を定めておき、そのヘッドの目標値と、C1〜C5、M1〜M5、Y1〜Y5、K1〜K5それぞれの差分を求める方法であっても構わない。
【0024】
次に、本発明の実施形態におけるインクジェット画像形成装置の画像処理の動作について説明する。図2は、本発明の実施形態における画像処理装置の画像処理の動作を示すフロー図である。図2において、スキャナによって写真、文字等の画像情報が取り込まれると(ステップ(以下、「S」という。)20)、分離処理、フィルタ処理、色補正、γ変換等の画像処理が行われるのであが(S21)、この画像処理において行われる分離処理において、写真部分と文字部分との画像データが分離データとして分離され、S24の処理に移行する。S24の処理については図3、図4において説明する。
【0025】
S21による画像処理の後、階調処理が行われ(S22)、その後、レンダリング(画像生成)処理が行われ(S23)、S24において、レンダリング処理された画像データ、及びS21の画像処理において分離された分離データに対して吐出滴情報変換処理がなされる。すなわち、本発明の特徴として、レンダリング(画像生成)が行われた後に吐出滴情報変換処理(S24)が行われるのであるが、このS24の処理において、S21の処理から分離データが入力され、写真部分や文字部分のそれぞれの領域において、それぞれ異なる規定に基づいた適切なインク滴サイズへの置換が行われ、インクジェットヘッド間に発生する濃度の補正が行われる。この吐出滴情報変換処理(S24)の具体的な動作に関して図3、図4において説明する。
【0026】
次に、図3及び図4を用いて図2の吐出滴情報変換処理(S24)について詳細に説明する。図3及び図4は、本発明の実施形態におけるインク滴サイズ置換装置の吐出滴情報変換手段の動作を示すフロー図である。図3において、まず、基準ヘッドと基準ヘッド以外の印字ヘッドのと間のインク量の差異の有無を確認する。すなわち、S30において印字ヘッドでのインク量Aを算出し、S31において基準ヘッドでの仮想インク量Bを算出し、S32において、印字ヘッドでのインク量Aと、基準ヘッドでの仮想インク量Bとを比較し、両者の間に差異があるか否かを判断する(S33)。両者の間に差異がない場合(S33:NO)は、S39へ移行し、インク滴サイズの置換を行わずに本フローを終了する。
【0027】
印字ヘッドでのインク量Aと、基準ヘッドでの仮想インク量Bとを比較し、両者の間に差異がある場合(S33:YES)は、印字すべき繋がりのある画像データが、1つのインクジェットヘッドのみで印刷可能か否か、すなわち、画像データが複数ヘッドに跨るデータであるか否かが判断される(S34)。画像データが1つのインクジェットヘッドのみで印刷可能である場合、すなわち、画像データが複数ヘッドに跨るデータでない場合(S34:NO)は、S39へ移行し、インク滴サイズの置換を行わずに本フローを終了する。
【0028】
画像データが複数のヘッドに跨るデータである場合(S34:YES)、データの置換を実施する(S35)のであるが、置換前に、対象となる画像データが写真部分であるのか否かが判断される(S36)。対象となる画像データが写真部分である場合には(S36:YES)、写真部分用のインク滴置換処理を実施し(S37)、対象となる画像データが文字部分である場合には(S36:NO)、文字部分用のインク滴置換処理を実施し(S38)、処理を終了する。なお、S37、S38における写真部分及び文字部分のインク滴サイズの置換方法に関しては後述する図5において具体的に説明する。
【0029】
図4も基本的には図3のフローと同じであり、S40からS46までの処理は、図3におけるS30からS36までの処理と同様であるので、詳細な説明は省略する。図4では、置換前の、対象となる画像データが写真部分であるのか否かの判断において(S46)、対象となる画像データが写真部分である場合に(S46:YES)、写真部分用のインク滴置換処理を実施する(S47)ことは同じであるが、対象となる画像データが文字部分である場合には(S46:NO)、文字部分用のインク滴置換処理を実施せず(S48)、処理を終了する。これは、インク滴サイズ置換部分が文字部分で合った場合、文字部分に関しては明度差による濃度の差は目立ちにくいため、インク滴サイズの置換は行わないフローとなっている。
【0030】
本発明の実施形態として、インク滴の大きさは、大滴、中滴、及び小滴の3種類が混在し、これら置換される前のインク滴に対して置換後のインク滴として、置換された大滴、置換された中滴、及び置換された小滴の3種類が混在するものとして以下の説明を行う。図5は、本発明の実施形態におけるインク滴サイズ置換装置のインク滴の大きさを説明する図である。黒丸印が置換前のインク滴、斜線が付された丸印が置換されたインク滴である。
【0031】
次に、インク滴サイズの置換方法に関して図6、図7を用いて具体的に説明する。図6は、本発明の実施形態におけるインク滴サイズ置換装置を備えた画像処理装置の(a)写真部分、(b)文字部分におけるインク滴サイズの置換方法について説明する図であり、図7は、本発明の実施形態におけるインク滴サイズ置換装値を備えた画像処理装置の文字部分のインク滴サイズの置換方法について説明する図である。
【0032】
図6(a)では、インクジェットヘッドで打つ画像データとして、写真部分におけるインク滴サイズ変更前の画像データ(上図)と、インク滴サイズ変更後の画像データ(下図)との関係を示している。図6(a)を用いて写真部分の置換方法に関して説明すると、写真部分の画像データにおいて、単位面積当たりのインク滴サイズを特定箇所に固めるような置換を行うと、印刷画像全体を見たときに、濃度の高い部分と低い部分とが視認し易くなってしまい、結果的にテクスチャ(きめの粗さ)が発生してしまう。これを防止するために、図6(a)下図のように、置換箇所を単位面積内において均等な間隔になるようにインク滴サイズの置換を実施する。すなわち、単位面積内における置換率を均一とする。また、本実施形態では、写真部分のインク滴サイズ変換については、基準ヘッドの濃度と合わせるため、インク滴サイズ変更前の画像データにおいて、インク滴が吐出されていない箇所には、追加的にインク滴を吐出することは行わないものとする。
【0033】
図6(b)では、インクジェットヘッドで打つ画像データとして、文字部分におけるインク滴サイズ変更前の画像データ(上図)と、インク滴サイズ変更後の画像データ(下図)との関係を示している。図6(b)を用いて文字部分の置換方法に関して説明すると、文字部分においては、写真部分と同様に、単位面積当たりで均等にインク滴サイズの置換を行った場合、文字や線の周辺に間隔が開いた状態でインク滴が目立って存在してしまうことにより、文字や線の周辺部に角のような突起が発生してしまい、結果的に文字や線にエイリアス(がたつき)が発生してしまう。このような状態を避けるため、文字部分では、大きいサイズのインク滴の周辺から優先して置換するようにする。文字部分に関するインク滴サイズの置換については図7を用いてもう少し詳細に説明する。
【0034】
図7(a)に示すように、写真部分と同様に、インク滴サイズを等間隔で置換した場合、横線の上下の箇所でインク滴サイズを置換した部分が角のような突起となってしまい、結果的に、線や文字にエイリアス(がたつき)が目立つ状態になる。そのため、図7(b)に示すように、文字部分に関しては、インク滴サイズの置換を、大きいサイズのインク滴サイズの周辺であって、かつ連続的にインク滴サイズの置換を行うことによって、文字や線にエイリアス(がたつき)が発生しないようにする。
【0035】
図8は、本発明の実施形態におけるインク滴サイズ置換装値を備えた画像処理装置の斜線部分のインク滴サイズの置換方法について説明する図である。図8(a)に示すように、斜線のインクの点(ドット)のサイズを大きくするようなインク滴サイズの置換を行うと、インク滴同士が滑らかに繋がらず、結果的に斜線にエイリアス(がたつき)が発生してしまう。そのため、図8(b)に示すように、斜線の濃度を濃くする場合に限り、元データ(斜線)に存在する点(ドット)と点(ドット)の間に、新たなインク滴の点(ドット)を追加することにより、斜線が滑らかに再現できるようになる。
【0036】
図9は、本発明の実施形態におけるインク滴サイズ置換装値を備えた画像処理装置のインク滴サイズの混在について説明する図である。インク滴サイズを置換する際、図9(a)に示すように、大滴と小滴のようにサイズが連続していないインク滴が混在している場合、均等にインク滴サイズを置換したとしても、用紙に印刷された際には、インク滴サイズの大小による濃度差が大きいため、結果的にテクスチャ(きめの粗さ)が発生してしまう。これを避けるため、図9(b)に示すように、インク滴サイズの置換箇所は増えてしまうが、サイズの連続していない滴(若しくはインク滴の量が離れている滴)の混在を避けるよう制御する。
【0037】
次に、インク滴サイズの違いによる濃度差を検知する方法について説明する。図10は、本発明の実施形態におけるインク滴サイズ置換装値を備えた画像処理装置のインク滴サイズの違いによる濃度差を検知する方法について説明する図である。まず、各色、各ヘッド毎に各インク滴サイズ(小滴/中滴/大滴)のみを用いて、網点面積率50%の画像を印刷する。次に、印刷された画像をスキャナで読み取り、印字箇所の読み取りデータと白地部の読み取りデータとより、図10に記載された演算式を用いることにより、各滴サイズ(小滴/中滴/大滴)1滴当たりの読み取りデータを求める。
【0038】
次に、図11を用いてインク滴サイズ置換の決定方法について具体例を用いて説明する。図11は、本発明の実施形態におけるインク滴サイズ置換装値を備えた画像処理装置のインク滴サイズ置換の決定方法を説明する図である。滴情報保持部(図示せず)には、基準ヘッドの各滴サイズのデータ、及び基準ヘッド以外の吐出ヘッドの各滴サイズのデータが予め保持されている。これらの情報に基づいて、実際に印字するデータについて、実際にインクを吐出するヘッドAで印字した場合に得られる濃度を算出する。続いて、同じ画像データを基準ヘッドで印字する場合に得られる濃度を算出する。この2つデータを比較し、基準ヘッドで得られた濃度と実際に画像を印字する吐出ヘッドAで得られた濃度との差分から、どのインク滴を如何なるサイズについて幾ら変更すれば吐出ヘッドAの濃度が基準ヘッドの濃度と一致するのかを求める。そして、求められた置換数分だけ、インクヘッドのデータを置換し、用紙上へ印字する。このようにして、各吐出ヘッドと基準ヘッドとの濃度の差異を補正する。
【0039】
図11を例にとれば、滴情報保持部(図示せず)には、基準ヘッドのデータとして、小滴1滴の濃度データは0.02、中滴1滴の濃度データは0.05、大滴1滴の濃度データは0.10が、吐出ヘッドAのデータとして、小滴1滴の濃度データは0.01、中滴1滴の濃度データは0.04、大滴1滴の濃度データは0.08がそれぞれ保持されている。そして、実際に印字するデータとして、小滴が12個、中滴が9個、及び大滴が0個であった場合について、吐出ヘッドAで印字した場合の濃度は、0.01×12+0.04×9+0.08×0=0.48、他方、基準ヘッドで印字した場合の濃度は、0.02×12+0.05×9+0.10×0=0.69であるから、両者の濃度差は0.21である。ここで、吐出ヘッドAで印字した場合の濃度を、基準ヘッドで印字した場合の濃度に合わせるために、吐出ヘッドAのインク滴サイズを小滴から中滴に変更することによって濃度が0.03上昇するため、インク滴サイズの置換として、小滴7個を中滴に置換することにより、0.03×7=0.21となり、基準ヘッドで印字した場合の濃度と、吐出ヘッドAで印字した場合の濃度とが一致することになる。
【0040】
次に、基準ヘッドで印字した場合の濃度と、吐出ヘッドAで印字した場合の濃度とが一致しない場合の対応策について図12を用いて説明する。図12は、本発明の実施形態におけるインク滴サイズ置換装値を備えた画像処理装置の基準ヘッドと吐出ヘッドAの濃度が一致しない場合の対応策について説明する図である。図12において、(ア)〜(ケ)の印字領域では、次の各ヘッドで画像が形成される。すなわち、領域(ア)は基準ヘッドのみ、領域(イ)は基準ヘッドと吐出ヘッドA、領域(ウ)は吐出ヘッドAのみ、領域(エ)は吐出ヘッドAと吐出ヘッドB、領域(オ)は吐出ヘッドBのみ、領域(カ)は吐出ヘッドBと吐出ヘッドC、領域(キ)は吐出ヘッドCのみ、領域(ク)は吐出ヘッドCと吐出ヘッドD、領域(ケ)は吐出ヘッドDのみ、である。
【0041】
ここで、区間αを印字するケースを考える。区間αの印字データは、写真部分を吐出ヘッドBと吐出ヘッドCとを用いて印字することになる。ここで、基準ヘッドと吐出ヘッドB、及び基準ヘッドと吐出ヘッドCに関して、それぞれインク滴サイズの置換が必要か否かを判断する。いま、基準ヘッドの濃度と吐出ヘッドBの濃度との比較結果より、調整した予測濃度が一致せずに、吐出ヘッドBの濃度が基準ヘッドの濃度よりやや濃くなってしまったと仮定する。また、基準ヘッドの濃度と吐出ヘッドCの濃度との比較結果でも、調整した予測濃度が一致せずに、基準ヘッドの濃度より吐出ヘッドCの濃度がやや薄くなってしまったと仮定する。
【0042】
このような仮定において、図12における写真部分を印刷した場合、結果的に吐出ヘッドBと吐出ヘッドCとの間の濃度差が目立ってしまうことになる。このような事態を回避するため、同一連続画像内(図12の写真部分の領域内)では、印字に使用する吐出ヘッドと基準ヘッドとの濃淡関係が同一になるように調整を行う。本仮定の場合、すなわち、基準ヘッドと吐出ヘッドBの比較結果において、調整した予測濃度が一致せずに、基準ヘッドよりやや濃くなってしまい、基準ヘッドと吐出ヘッドCの比較結果において、調整した予測濃度が一致せずに、基準ヘッドよりやや薄くなってしまう場合、基準ヘッドと吐出ヘッドCの予測濃度の関係を、意図的に基準ヘッドよりも吐出ヘッドCの方を濃くするようなインク滴サイズの置換を実施することにより、基準ヘッドと吐出ヘッドBとの間の予測濃度の関係と一致させることによって、濃度差が発生することを防止するようにする。
【0043】
なお、上記実施形態において説明してきた各動作をそれぞれ実行するために、インク滴サイズ置換装置を構成する各部の動作を制御する図示しない制御部が、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等から構成される図示しないメモリに格納されたコンピュータにより読み取り可能なプログラムに基づいて実行するように構成されていることはいうまでもない。
【0044】
以上説明してきたように、本発明によれば、インク滴サイズの置換を行うインクジェット方式の画像形成装置において、インクの滴サイズを変更する際、入力画像の画像情報(写真部分/文字部分等の領域)に応じた適切なインク滴サイズの置換方法を規定しているので、写真部分でのテクスチャ(きめの粗さ)や文字部分のエイリアス(がたつき)を発生させることなく、異なるインクジェットヘッド間の明度差を軽減することができるインク滴サイズ置換装置、インク滴サイズ置換方法、プログラム、及び画像形成装置を得ることができるのである。
【0045】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範囲な趣旨及び範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正及び変更が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0046】
【特許文献1】特開2007−021729号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に印字する画像情報の種類に応じて、予め定められたインク滴サイズを置換するインク滴サイズ置換装置であって、
前記画像情報を印字するヘッドのインク使用量を算出するインク使用量算出手段と、
前記画像情報を印字すると仮定したときの予め定められたヘッドである基準ヘッドのインク仮使用量を算出するインク仮使用量算出手段と、
前記インク使用量と前記インク仮使用量とを比較するインク使用量比較手段と、
前記画像情報が複数種類のヘッドによって印字されるか否かを判断するヘッド種類判断手段と、
前記インク使用量比較手段により比較された結果、前記インク使用量と前記インク仮使用量とが不一致であり、かつ、前記ヘッド種類判断手段により前記画像情報が前記複数種類のヘッドによって印字されると判断されたとき、前記予め定められたインク滴サイズを、前記予め定められたインク滴サイズとは異なるインク滴サイズに置換するインク滴サイズ置換手段と、
を含むことを特徴とするインク滴サイズ置換装置。
【請求項2】
前記画像情報は、写真画像と文字画像とを含むことを特徴とする請求項1記載のインク滴サイズ置換装置。
【請求項3】
前記画像情報が写真画像であるか、文字画像であるかを識別する画像情報識別手段をさらに含み、前記画像情報識別手段によって識別された結果に応じて、前記画像情報に対応するインク滴サイズに置換することを特徴とする請求項1又は2記載のインク滴サイズ置換装置。
【請求項4】
前記インク滴サイズ置換手段は、前記インク使用量と前記インク仮使用量とが不一致であっても、前記画像情報の種類によっては、前記予め定められたインク滴サイズを置換しないことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のインク滴サイズ置換装置。
【請求項5】
前記インク滴サイズ置換手段は、前記画像情報識別手段により前記画像情報が写真画像であると識別されたとき、前記用紙に印字される領域における単位面積当たりの前記インク滴サイズの置換率が均一となるよう前記インク滴サイズを置換することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のインク滴サイズ置換装置。
【請求項6】
前記インク滴サイズ置換手段は、前記画像情報識別手段により前記画像情報が写真画像であると識別されたとき、前記領域において、前記インク滴サイズが置換される以前に前記用紙に印字の無い領域には、新たなインク滴サイズを置換しないことを特徴とする請求項5に記載のインク滴サイズ置換装置。
【請求項7】
前記インク滴置換手段は、前記画像情報識別手段により前記画像情報が文字画像であると識別されたとき、前記領域において、前記インク滴サイズが置換される以前のインク滴サイズがより大なるインク滴サイズが適用されている領域の近傍から優先的に前記インク滴サイズを置換することを特徴とする請求項5項に記載のインク滴サイズ置換装置。
【請求項8】
請求項1から7の何れか1項に記載のインク滴サイズ置換装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
用紙に印字する画像情報の種類に応じて、予め定められたインク滴サイズを置換するインク滴サイズ置換方法であって、
インク使用量算出手段が、前記画像情報を印字するヘッドのインク使用量を算出する工程と、
インク仮使用量算出手段が、前記画像情報を印字すると仮定したときの予め定められたヘッドである基準ヘッドのインク仮使用量を算出する工程と、
インク使用量比較手段が、前記インク使用量と前記インク仮使用量とを比較する工程と、
ヘッド種類判断手段が、前記画像情報が複数種類のヘッドによって印字されるか否かを判断する工程と、
インク滴サイズ置換手段が、前記比較する工程により比較された結果、前記インク使用量と前記インク仮使用量とが不一致であり、かつ、前記判断する工程により前記画像情報が前記複数種類のヘッドによって印字されると判断されたとき、前記予め定められたインク滴サイズを、前記予め定められたインク滴サイズとは異なるインク滴サイズに置換する工程と、
を含むことを特徴とするインク滴サイズ置換方法。
【請求項10】
用紙に印字する画像情報の種類に応じて、予め定められたインク滴サイズを置換するインク滴サイズ置換装置の制御プログラムであって、
インク使用量算出手段が、前記画像情報を印字するヘッドのインク使用量を算出する処理と、
インク仮使用量算出手段が、前記画像情報を印字すると仮定したときの予め定められたヘッドである基準ヘッドのインク仮使用量を算出する処理と、
インク使用量比較手段が、前記インク使用量と前記インク仮使用量とを比較する処理と、
ヘッド種類判断手段が、前記画像情報が複数種類のヘッドによって印字されるか否かを判断する処理と、
インク滴サイズ置換手段が、前記比較する処理により比較された結果、前記インク使用量と前記インク仮使用量とが不一致であり、かつ、前記判断する処理により前記画像情報が前記複数種類のヘッドによって印字されると判断されたとき、前記予め定められたインク滴サイズを、前記予め定められたインク滴サイズとは異なるインク滴サイズに置換する処理と、
を含むことを特徴とするプログラム。
【請求項1】
用紙に印字する画像情報の種類に応じて、予め定められたインク滴サイズを置換するインク滴サイズ置換装置であって、
前記画像情報を印字するヘッドのインク使用量を算出するインク使用量算出手段と、
前記画像情報を印字すると仮定したときの予め定められたヘッドである基準ヘッドのインク仮使用量を算出するインク仮使用量算出手段と、
前記インク使用量と前記インク仮使用量とを比較するインク使用量比較手段と、
前記画像情報が複数種類のヘッドによって印字されるか否かを判断するヘッド種類判断手段と、
前記インク使用量比較手段により比較された結果、前記インク使用量と前記インク仮使用量とが不一致であり、かつ、前記ヘッド種類判断手段により前記画像情報が前記複数種類のヘッドによって印字されると判断されたとき、前記予め定められたインク滴サイズを、前記予め定められたインク滴サイズとは異なるインク滴サイズに置換するインク滴サイズ置換手段と、
を含むことを特徴とするインク滴サイズ置換装置。
【請求項2】
前記画像情報は、写真画像と文字画像とを含むことを特徴とする請求項1記載のインク滴サイズ置換装置。
【請求項3】
前記画像情報が写真画像であるか、文字画像であるかを識別する画像情報識別手段をさらに含み、前記画像情報識別手段によって識別された結果に応じて、前記画像情報に対応するインク滴サイズに置換することを特徴とする請求項1又は2記載のインク滴サイズ置換装置。
【請求項4】
前記インク滴サイズ置換手段は、前記インク使用量と前記インク仮使用量とが不一致であっても、前記画像情報の種類によっては、前記予め定められたインク滴サイズを置換しないことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のインク滴サイズ置換装置。
【請求項5】
前記インク滴サイズ置換手段は、前記画像情報識別手段により前記画像情報が写真画像であると識別されたとき、前記用紙に印字される領域における単位面積当たりの前記インク滴サイズの置換率が均一となるよう前記インク滴サイズを置換することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のインク滴サイズ置換装置。
【請求項6】
前記インク滴サイズ置換手段は、前記画像情報識別手段により前記画像情報が写真画像であると識別されたとき、前記領域において、前記インク滴サイズが置換される以前に前記用紙に印字の無い領域には、新たなインク滴サイズを置換しないことを特徴とする請求項5に記載のインク滴サイズ置換装置。
【請求項7】
前記インク滴置換手段は、前記画像情報識別手段により前記画像情報が文字画像であると識別されたとき、前記領域において、前記インク滴サイズが置換される以前のインク滴サイズがより大なるインク滴サイズが適用されている領域の近傍から優先的に前記インク滴サイズを置換することを特徴とする請求項5項に記載のインク滴サイズ置換装置。
【請求項8】
請求項1から7の何れか1項に記載のインク滴サイズ置換装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
用紙に印字する画像情報の種類に応じて、予め定められたインク滴サイズを置換するインク滴サイズ置換方法であって、
インク使用量算出手段が、前記画像情報を印字するヘッドのインク使用量を算出する工程と、
インク仮使用量算出手段が、前記画像情報を印字すると仮定したときの予め定められたヘッドである基準ヘッドのインク仮使用量を算出する工程と、
インク使用量比較手段が、前記インク使用量と前記インク仮使用量とを比較する工程と、
ヘッド種類判断手段が、前記画像情報が複数種類のヘッドによって印字されるか否かを判断する工程と、
インク滴サイズ置換手段が、前記比較する工程により比較された結果、前記インク使用量と前記インク仮使用量とが不一致であり、かつ、前記判断する工程により前記画像情報が前記複数種類のヘッドによって印字されると判断されたとき、前記予め定められたインク滴サイズを、前記予め定められたインク滴サイズとは異なるインク滴サイズに置換する工程と、
を含むことを特徴とするインク滴サイズ置換方法。
【請求項10】
用紙に印字する画像情報の種類に応じて、予め定められたインク滴サイズを置換するインク滴サイズ置換装置の制御プログラムであって、
インク使用量算出手段が、前記画像情報を印字するヘッドのインク使用量を算出する処理と、
インク仮使用量算出手段が、前記画像情報を印字すると仮定したときの予め定められたヘッドである基準ヘッドのインク仮使用量を算出する処理と、
インク使用量比較手段が、前記インク使用量と前記インク仮使用量とを比較する処理と、
ヘッド種類判断手段が、前記画像情報が複数種類のヘッドによって印字されるか否かを判断する処理と、
インク滴サイズ置換手段が、前記比較する処理により比較された結果、前記インク使用量と前記インク仮使用量とが不一致であり、かつ、前記判断する処理により前記画像情報が前記複数種類のヘッドによって印字されると判断されたとき、前記予め定められたインク滴サイズを、前記予め定められたインク滴サイズとは異なるインク滴サイズに置換する処理と、
を含むことを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−218346(P2012−218346A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88006(P2011−88006)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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