説明

インタラクティブボード用プログラム、インタラクティブボードシステムおよびその制御方法

【課題】インタラクティブボードが大きいことの不便さを解消することが可能なインタラクティブボード用プログラム、インタラクティブボードシステムおよびその制御方法の提供。
【解決手段】インタラクティブボード上にウインドウを表示させるとともにインタラクティブボード上でのポインティングデバイスの操作情報が入力されるインタラクティブボードシステムであって、インタラクティブボード上の低い位置でのポインティングデバイスの操作によるウインドウ表示の変更指示入力を検出するボタン押下検出手段21と、ボタン押下検出手段21による変更指示入力の検出時にウインドウ表示が標準状態の場合には、ウインドウ表示を、ウインドウの上端部位置を下げた縮小状態とする描画手段25とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インタラクティブボードに接続されたコンピュータ上で実行されるインタラクティブボード用プログラム、インタラクティブボードシステムおよびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボード上で電子ペンを移動させて文字や図形等の画像を描くと、この電子ペンの移動した軌跡をパーソナルコンピュータ(以下、「PC」と称す。)に取り込むことが可能なインタラクティブボードが開発されている。この種のインタラクティブボードでは、電子ペンの位置を検出するために、超音波センサを用いたり、タッチセンサを用いたりしている(例えば、特許文献1,2参照。)。そして、PCに取り込んだ文字や図形等の画像は、プロジェクタによってリアルタイムでボード上に表示する。
【0003】
また、近年では、PC上で実行するアプリケーションプログラムの画面をプロジェクタによってインタラクティブボード上に表示し、この表示された画面をインタラクティブボード上で電子ペンによって操作すると、この電子ペンの操作がPCに取り込まれてアプリケーションプログラムに反映されるようにしたものが開発されている。
【特許文献1】特開2000−355188号公報
【特許文献2】特開2002−304252号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、近年、インタラクティブボードは大型化する傾向にあるが、子供の教育現場で使用される場合、インタラクティブボードの上部に子供の手が届かないことがある。この場合、子供は踏み台の上に乗ったり、大人の手を借りたりして、インタラクティブボードの上部を操作することになり、不便である。
【0005】
そこで、本発明においては、インタラクティブボードが大きいことの不便さを解消することが可能なインタラクティブボード用プログラム、インタラクティブボードシステムおよびその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、インタラクティブボード上の低い位置でのポインティングデバイスの操作によるウインドウ表示の変更指示入力を検出すること、変更指示入力の検出時にウインドウ表示が標準状態の場合には、ウインドウ表示を、ウインドウの上端部位置を下げた縮小状態とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、インタラクティブボードが大きく、ウインドウ表示が標準状態では手が届かない場合であっても、インタラクティブボード上の低い位置でポインティングデバイスを操作することによりウインドウ表示の変更指示を行えば、ウインドウ表示が、ウインドウの上端部位置が下がった縮小状態となるので、インタラクティブボード上の低い位置でウインドウ内の操作を行うことが可能となり、インタラクティブボードが大きいことの不便さが解消される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本願の第1の発明は、インタラクティブボードに接続され、インタラクティブボード上にウインドウを表示させるとともにインタラクティブボード上でのポインティングデバイスの操作情報が入力されるコンピュータを動作させるためのインタラクティブボード用プログラムであって、コンピュータを、インタラクティブボード上の低い位置でのポインティングデバイスの操作によるウインドウ表示の変更指示入力を検出する検出手段と、検出手段による変更指示入力の検出時にウインドウ表示が標準状態の場合には、ウインドウ表示を、ウインドウの上端部位置を下げた縮小状態で描画する描画手段として機能させるためのインタラクティブボード用プログラムである。
【0009】
この発明によれば、インタラクティブボード上でポインティングデバイスを操作することによりウインドウ表示の変更指示を行えば、ウインドウ表示が、ウインドウの上端部位置が下がった縮小状態となるので、インタラクティブボード上の低い位置でウインドウ内の操作を行うことが可能となる。つまり、標準状態では手が届かないウインドウ内の場所であっても手が届くようになり、インタラクティブボードが大きいことの不便さが解消される。
【0010】
本願の第2の発明は、上記描画手段が、検出手段による変更指示入力の検出時にウインドウ表示が縮小状態の場合にはウインドウ表示を標準状態に戻すものであることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、上述の縮小状態においてインタラクティブボード上でポインティングデバイスを操作することによりウインドウ表示の変更指示を行えば、ウインドウ表示が元の標準状態となり、標準状態と縮小状態とを容易に切り換えることが可能となる。
【0012】
本願の第3の発明は、上記検出手段が、インタラクティブボードの低い位置に表示された変更指示ボタン画像のポインティングデバイスによるクリック操作を、ウインドウ表示の変更指示入力として検出するものであることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、インタラクティブボードの低い位置に表示された変更指示ボタン画像をクリック操作によって標準状態と縮小状態とを容易に切り換えることが可能となる。また、変更指示ボタン画像の表示位置がインタラクティブボードの低い位置であることから、背の低い子供であってもこの変更指示ボタン画像をインタラクティブボードの低い位置で容易にクリック操作することができる。
【0014】
本願の第4の発明は、上記縮小状態のウインドウ表示が、標準状態のウインドウ表示に対して予め設定された2/3以下の位置に上端部位置を下げるものであることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、インタラクティブボード上でポインティングデバイスを操作することによりウインドウ表示の変更指示を行うだけで、ウインドウが標準状態に対して予め2/3以下の位置に上端部位置が設定された縮小状態へと変更されるので、一操作のみでウインドウ表示を縮小状態へ切り換えることが可能となる。
【0016】
本願の第5の発明は、上記ポインティングデバイスが、電子ペンであることを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、電子ペンの操作のみにより、インタラクティブボード上への文字や図形等の画像の描画とウインドウ表示の切り換えを行うことが可能となる。
【0018】
本願の第6の発明は、インタラクティブボード上にウインドウを表示させるとともにインタラクティブボード上でのポインティングデバイスの操作情報が入力されるインタラクティブボードシステムであって、インタラクティブボード上の低い位置でのポインティングデバイスの操作によるウインドウ表示の変更指示入力を検出する検出手段と、検出手段による変更指示入力の検出時にウインドウ表示が標準状態の場合には、ウインドウ表示を、ウインドウの上端部位置を下げた縮小状態とする描画手段とを有するインタラクティブボードシステムである。
【0019】
この発明によれば、インタラクティブボード上でポインティングデバイスを操作することによりウインドウ表示の変更指示を行えば、ウインドウ表示が、ウインドウの上端部位置が下がった縮小状態となるので、インタラクティブボード上の低い位置でウインドウ内の操作を行うことが可能となる。つまり、標準状態では手が届かないウインドウ内の場所であっても手が届くようになり、インタラクティブボードが大きいことの不便さが解消される。
【0020】
本願の第7の発明は、インタラクティブボード上にウインドウを表示させるとともにインタラクティブボード上でのポインティングデバイスの操作情報が入力されるインタラクティブボードシステムの制御方法であって、インタラクティブボード上の低い位置でのポインティングデバイスの操作によるウインドウ表示の変更指示入力を検出すること、変更指示入力の検出時にウインドウ表示が標準状態の場合には、ウインドウ表示を、ウインドウの上端部位置を下げた縮小状態とすることを含むインタラクティブボードの制御方法である。
【0021】
この発明によれば、インタラクティブボード上でポインティングデバイスを操作することによりウインドウ表示の変更指示を行えば、ウインドウ表示が、ウインドウの上端部位置が下がった縮小状態となるので、インタラクティブボード上の低い位置でウインドウ内の操作を行うことが可能となる。つまり、標準状態では手が届かないウインドウ内の場所であっても手が届くようになり、インタラクティブボードが大きいことの不便さが解消される。
【0022】
(実施の形態)
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0023】
図1は本発明の実施の形態におけるインタラクティブボードシステムの概略構成図、図2は図1のPCにより実現するウインドウ表示変更機能のブロック図、図3はウインドウ表示変更機能を説明する図であって、(a)は標準状態のウインドウ表示を示す図、(b)は縮小状態のウインドウ表示を示す図である。
【0024】
図1において、本発明の実施の形態におけるインタラクティブボードシステムは、インタラクティブボード(以下、単に「ボード」と称す。)1と、ボード1に接続されるPC2と、PC2に接続され、PC2上で実行するアプリケーションプログラムの画面をボード1上に投影表示するプロジェクタ3と、ボード1上で操作するポインティングデバイスとしての電子ペン4とから構成される。
【0025】
電子ペン4は、赤外光と超音波を発信する機能を有するものである。ボード1の上端幅方向の両端部には、赤外光センサ11および超音波センサ12からなる受信センサ10を備えている。ボード1は、電子ペン4から発信される赤外光および超音波を受信し、赤外光と超音波の到達時間差より電子ペン4から受信センサ10までの距離をそれぞれ算出し、算出した距離データをPC2へ転送する。PC2では、三角法により電子ペン4のボード1上での位置を計算し、電子ペン4の操作情報の一つとしての位置情報を取得する。
【0026】
また、電子ペン4の先端には、押しボタンスイッチ(図示せず。)が設けられており、この押しボタンスイッチの動作状態は無線通信によりボード1へ入力され、ボード1からPC2へ転送される。PC2では、この電子ペン4の押しボタンスイッチの動作状態から電子ペン4によるボード1のクリック、ダブルクリックやドラッグ等の操作情報を取得する。
【0027】
PC2上で実行されるアプリケーションプログラムは、プロジェクタ3によりボード1上に投影表示した画面上で電子ペン4を操作した際に、ボード1からPC2へ入力される電子ペン4の操作情報に基づき、この電子ペン4による操作をPC2の画面上での操作として処理するものである。例えば、電子ペン4の先端をボード1上に押し付けて移動させた場合、このアプリケーションプログラムはPC2の画面上のポインタをこの電子ペン4の先端の動きに従って移動させる。このとき、PC2の画面上のポインタの動作はプロジェクタ3によりボード1上へそのまま投影表示されるので、ボード1上では電子ペン4の先端の動きに従ってポインタが移動する。
【0028】
また、本実施の形態におけるアプリケーションプログラムは、PC2を図2に示す各手段として機能させるためのプログラムを含んでいる。図2に示すように、このプログラムは、PC2をウインドウ状態記憶手段20a、標準ウインドウ情報記憶手段20b、標準サブメニュー情報記憶手段20c、描画画像記憶手段20d、ボタン押下検出手段21、ウインドウ描画情報算出手段22、サブメニュー領域情報算出手段23、画像描画領域情報算出手段24および描画手段25として機能させる。
【0029】
ウインドウ状態記憶手段20aは、アプリケーションプログラムによりPC2の画面上に表示する矩形のウインドウが、図3(a)に示すような標準状態のウインドウ表示であるのか、図3(b)に示すような縮小状態のウインドウ表示であるのかを示すウインドウ状態情報を記憶するものである。ここで、標準状態とは、PC2の画面の描画範囲全体、あるいは、ほぼ描画範囲全体にウインドウが表示されている状態をいうが、必ずしも描画範囲全体を占めていることを要しない。また、ウインドウの上端部位置が描画範囲の上方にある状態を含む。
【0030】
一方、縮小状態とは、ウインドウの上端部位置を標準状態よりも下げた状態をいう。つまり、標準状態とは、縮小状態へ変更する前の状態をいう。
【0031】
なお、本実施の形態においては、縮小状態は標準状態のウインドウの上端部位置を2/3の高さまで下げた状態のものとするが、この下げ幅は任意に変更することが可能である。
【0032】
標準ウインドウ情報記憶手段20bは、アプリケーションプログラムによりPC2の画面上に表示する標準状態のウインドウ30の4頂点30a,30b,30c,30dの座標(以下、「標準ウインドウ座標」と称す。)を記憶するものである。
【0033】
なお、本実施の形態におけるアプリケーションプログラムは、このウインドウ30内に、このウインドウ30で実行できるメニューを表示するメニューバー領域31と、このウインドウ30内で実行できる機能をアイコンで表示するツールバー領域32と、メニューバー領域31と同様、このウインドウ30で実行できるメニューを表示するサブメニュー領域33と、ポインティングデバイスを用いて文字や図形等の画像を自由に描画するための画像描画領域34とを形成する。
【0034】
また、このアプリケーションプログラムは、サブメニュー領域33内の低い位置に、ウインドウ表示を標準状態または縮小状態へ変更するための変更指示ボタン画像35を表示する。
【0035】
なお、変更指示ボタン画像35を表示する低い位置とは、ウインドウ30内の下端部近傍が望ましいが、ウインドウ30の中心よりも低い位置とすることも可能である。
【0036】
標準サブメニュー情報記憶手段20cは、サブメニュー領域33の4頂点33a,33b,33c,33dの座標(以下、「標準サブメニュー座標」と称す。)を記憶するものである。
【0037】
描画画像記憶手段20dは、画像描画領域34に描かれた画像を記憶するものである。
【0038】
ボタン押下検出手段21は、サブメニュー領域33内の変更指示ボタン画像35がクリックされることによるウインドウ表示の変更指示入力を検出するものである。
【0039】
なお、PC2の画面に表示されるウインドウ30は、プロジェクタ3によりボード1上へそのまま投影表示されるので、この変更指示ボタン画像35のクリック操作は、前述のようにボード1上で電子ペン4を操作することによって行うことができる。
【0040】
ウインドウ描画情報算出手段22は、ボタン押下検出手段21によるウインドウ表示の変更指示入力の検出時にウインドウ表示が図3(a)に示すような標準状態の場合には、この標準状態のウインドウ30の表示を図3(b)に示すような縮小状態のウインドウ40とするためのウインドウ描画情報を算出するものである。また、ウインドウ描画情報算出手段22は、ボタン押下検出手段21によるウインドウ表示の変更指示入力の検出時にウインドウ表示が図3(b)に示すような縮小状態の場合には、ウインドウ表示を図3(a)に示すような標準表示とするためのウインドウ描画情報を算出する。
【0041】
サブメニュー領域情報算出手段23は、ウインドウ描画情報算出手段22によってウインドウ表示を縮小表示とするためのウインドウ描画情報が算出される場合に、図3(a)に示すような標準状態のサブメニュー領域33を図3(b)に示すような縮小状態のサブメニュー領域43とするためのサブメニュー領域情報を算出するものである。また、ウインドウ描画情報算出手段22によってウインドウ表示を標準状態とするためのウインドウ描画情報が算出される場合に、図3(b)に示すような縮小状態のサブメニュー領域43を図3(a)に示すような標準状態のサブメニュー領域33とするためのサブメニュー領域情報を算出するものである。
【0042】
画像描画領域情報算出手段24は、ウインドウ描画情報算出手段22によってウインドウ表示を縮小表示とするためのウインドウ描画情報が算出される場合に、図3(a)に示すような標準状態の画像描画領域34を図3(b)に示すような縮小状態の画像描画領域44とするための画像描画領域情報を算出するものである。また、ウインドウ描画情報算出手段22によってウインドウ表示を標準状態とするためのウインドウ描画情報が算出される場合に、図3(b)に示すような縮小状態の画像描画領域44を図3(a)に示すような標準状態の画像描画領域34とするための画像描画領域情報を算出するものである。
【0043】
描画手段25は、ウインドウ描画情報算出手段22およびサブメニュー領域情報算出手段23によってそれぞれ算出したウインドウ描画情報およびサブメニュー領域情報に基づき、図3(a)に示すような標準状態のウインドウ30、または図3(b)に示すような縮小状態のウインドウ40をPC2の画面上に描画するものである。なお、前述のように、PC2の画面上に描画されるウインドウ30,40は、プロジェクタ3によりボード1上へも投影表示される。
【0044】
次に、上記構成のインタラクティブボードシステムによるウインドウ表示の切り換え処理について、図3を参照し、図4〜図6のフローチャートに従って説明する。
【0045】
図4〜図6は本実施の形態におけるインタラクティブボードシステムによるウインドウ表示の切り換え処理のフローチャートである。
【0046】
図4において、PC2は、常時、図3の標準状態のウインドウ30の4頂点30a,30b,30c,30dの座標(標準ウインドウ座標)を標準ウインドウ情報記憶手段20bに記憶するとともに、サブメニュー領域33の4頂点33a,33b,33c,33dの座標(標準サブメニュー座標)を標準サブメニュー情報記憶手段20cに記憶している(図4のS101)。また、PC2は、常時、画像描画領域34に描かれた画像を描画画像記憶手段20dに記憶している(S102)。
【0047】
そして、PC2は、ボード1上に投影表示された標準状態のウインドウ30または縮小状態のウインドウ40の変更指示ボタン画像35が、電子ペン4によって押下(クリック操作)されたかどうかをボタン押下検出手段21によって監視し(S103)、押下された場合に、現在のウインドウ表示が標準状態であるか、縮小状態であるかを、ウインドウ状態記憶手段20aを参照することによって判断する(S104)。
【0048】
ここで、現在のウインドウ表示が図3(a)に示す標準状態である場合、図5において、ウインドウ描画情報算出手段22は、ウインドウ30の高さ方向を2/3、すなわちウインドウ30の上端部位置を2/3の高さに下げた場合の縮小状態のウインドウ40の左上および右上の頂点40a,40bの座標を算出する(S201)。
【0049】
なお、ウインドウ描画情報算出手段22は、縮小状態のウインドウ40の左下および右下の頂点40c,40dを標準状態から変更せずに、標準状態のウインドウ30の左下および右下の頂点30c,30dの座標をそのまま採用する。
【0050】
また、サブメニュー領域情報算出手段23は、サブメニュー領域43の左上および右上の頂点43a,43bの座標として、縮小状態のウインドウ40の左上および右上の頂点40a,40bの座標からメニューバー領域31およびツールバー領域32の高さを引いた高さの座標を算出する(S202)。
【0051】
また、画像描画領域情報算出手段24は、縮小状態の画像描画領域44の左上および右上の頂点44a,44bの座標として、縮小状態のウインドウ40の左上および右上の頂点40a,40bの座標からメニューバー領域31とツールバー領域32の高さを引いた高さの座標を算出する(S203)。
【0052】
なお、図3の例ではサブメニュー領域33,43を避けて画像描画領域34,44を形成するため、サブメニュー領域43の右上の頂点43bの座標を頂点44aの座標としている。
【0053】
次に、サブメニュー領域情報算出手段23は、サブメニュー領域43の左下および右下の頂点43c,44dを標準状態から変更せずに、標準状態のサブメニュー領域33の左下および右下の頂点33c,33dの座標をそのまま採用し、左上および右上の頂点43a,43bの座標をS202において算出した新しい座標に置き換えることにより、サブメニュー領域43のサイズと位置を決定する(S204)。
【0054】
また、画像描画領域情報算出手段24は、画像描画領域44の左下および右下の頂点44c,44dを標準状態から変更せずに、標準状態の画像描画領域34の左下および右下の頂点34c,34dの座標をそのまま採用し、左上および右上の頂点44a,44bをS203において算出した新しい座標に置き換えることにより、画像描画領域44のサイズと位置を決定する(S205)。
【0055】
次に、描画手段25は、標準状態のウインドウ30を消去し、縮小状態のウインドウ40の再表示を行う(S206)。
【0056】
また、描画手段25は、ウインドウ40の左上の頂点40aを基準にメニューバー領域31およびツールバー領域32を表示する(S207)。このとき、メニューバー領域31およびツールバー領域32のサイズについては変更しない。
【0057】
また、描画手段25は、S204において決定されたサブメニュー領域43のサイズおよび位置に従って、サブメニュー領域43を表示する(S208)。このとき、描画手段25は、サブメニュー領域43内に変更指示ボタン画像35を表示するが、この変更指示ボタン画像35のサブメニュー領域43の左下の頂点43cに対する相対位置は、標準状態のサブメニュー領域33のときと同じにする。
【0058】
次に、描画手段25は、描画画像記憶手段20dに記憶している描画画像を、S203において決定された画像描画領域44の左上の頂点44aを基準に画像描画領域44に再表示し(S209)、スクロールバー45を表示する(S210)。
【0059】
なお、標準状態の画像描画領域34に対して縮小状態の画像描画領域44は小さいので、描画画像記憶手段20dに記憶している描画画像を同じスケールで表示すると、図3(b)に示すように画像描画領域44内に収まらず、一部のみが画像描画領域44内に表示される。このとき、画像描画領域44内に表示されない部分については、スクロールバー45をインタラクティブボード1上で電子ペン4により操作することで、画像描画領域44内に表示させることが可能である。
【0060】
一方、図4のS104において、現在のウインドウ表示が図3(b)に示す縮小状態である場合には、図5において、画像描画領域情報算出手段24は、標準状態の画像描画領域34の左上および右上の頂点34a,34bとして、標準ウインドウ情報記憶手段20bに記憶している標準状態のウインドウ30の左上および右上の頂点30a,30bからメニューバー領域31とツールバー領域32の高さを引いた高さの座標を算出する(S301)。
【0061】
次に、サブメニュー領域情報算出手段23は、サブメニュー領域33の左上および右上の頂点33a,33bの座標を、標準サブメニュー情報記憶手段20cに記憶している元の座標に置き換えることにより、サブメニュー領域33のサイズと位置を決定する(S302)。
【0062】
また、画像描画領域情報算出手段24は、画像描画領域34の左下および右下の頂点34c,34dを変更せずに、左上および右上の頂点34a,34bをS301において算出した新しい座標に置き換えることにより、画像描画領域34のサイズと位置を決定する(S303)。
【0063】
次に、描画手段25は、縮小状態のウインドウ40を消去し、標準状態のウインドウ30の再表示を行う(S304)。また、描画手段25は、ウインドウ30の左上の頂点30aを基準にメニューバー領域31およびツールバー領域32を表示する(S305)。このとき、前述と同様に、メニューバー領域31およびツールバー領域32のサイズについては変更しない。
【0064】
また、描画手段25は、S302において決定されたサブメニュー領域33のサイズおよび位置に従ってサブメニュー領域33を表示する(S306)。
【0065】
次に、描画手段25は、描画画像記憶手段20dに記憶している描画画像を、S301において決定された画像描画領域34の左上の頂点34aを基準に画像描画領域34に再表示する(S307)。
【0066】
以上のように、本実施の形態におけるインタラクティブボードシステムでは、図3(a)の標準状態のウインドウ30がボード1上に表示されている場合に、ボード1上で電子ペン4を操作して変更指示ボタン画像35をクリックすれば、ウインドウ表示が、図3(b)のウインドウ40のように上端部位置が下がった縮小状態となるので、ボード1上の低い位置でウインドウ40内の操作を行うことが可能となる。
【0067】
図7は、本実施の形態におけるインタラクティブボードシステムの利用例を示す図である。
【0068】
例えば、このインタラクティブボードシステムが子供の教育現場などで利用されるような場合に、図7(a)に示すように、標準状態では子供Cの電子ペン4(図示せず。)を持つ手Hが届かないウインドウ30内の場所(回答記入欄B)であっても、ウインドウ30内の低い位置に表示されている変更指示ボタン画像35を電子ペン4によりクリックすることで、図7(b)に示すように、上端部位置が下がった縮小状態のウインドウ40へと表示変更されるので、この子供Cの手Hが回答記入欄Bに届くようになり、ボード1が大きいことの不便さが解消される。
【0069】
また、本実施の形態におけるインタラクティブボードシステムでは、縮小状態のウインドウ40において変更指示ボタン画像35を電子ペン4によりクリックするだけで元の標準状態のウインドウ30へと切り換えることが可能であり、標準状態と縮小状態とを容易に切り換えることができる。
【0070】
なお、本実施の形態において変更指示ボタン画像35は縮小状態へ切り換える場合と標準状態へ切り換える場合とで共通であるが、別々に設けることも可能である。
【0071】
また、本実施の形態においては、電子ペン4の位置情報の入力を赤外線および超音波を利用することにより行う構成であるが、この構成の他に例えば超音波のみにより行ったり、ボード1上にタッチセンサを配置してペン型のポインティングデバイスによる押圧操作を検出することにより行ったりする構成とすることも可能である。
【0072】
また、操作情報の入力についても電子ペン4の側面に別のサイドスイッチを設けて、このサイドスイッチの動作状態を検出することで行う構成とすることも可能である。
【0073】
また、本実施の形態においては、縮小状態のウインドウ40を標準状態のウインドウ30に対して上端部位置を2/3の高さに下げているが、この高さについては使用状況に応じて任意に設定することが可能である。もっとも、この縮小状態のウインドウ表示が、標準状態のウインドウ表示に対して予め設定された2/3以下の位置に上端部位置を下げるものであることが、操作性からは望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、インタラクティブボードに接続されたコンピュータ上で実行されるインタラクティブボード用プログラム、インタラクティブボードシステムおよびその制御方法として有用であり、特に、インタラクティブボードが大きいことの不便さを解消することが可能なものとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施の形態におけるインタラクティブボードシステムの概略構成図
【図2】図1のPCにより実現するウインドウ表示変更機能のブロック図
【図3】ウインドウ表示変更機能を説明する図
【図4】本実施の形態におけるインタラクティブボードシステムによるウインドウ表示の切り換え処理のフローチャート
【図5】本実施の形態におけるインタラクティブボードシステムによるウインドウ表示の切り換え処理のフローチャート
【図6】本実施の形態におけるインタラクティブボードシステムによるウインドウ表示の切り換え処理のフローチャート
【図7】本実施の形態におけるインタラクティブボードシステムの利用例を示す図
【符号の説明】
【0076】
1 インタラクティブボード(ボード)
2 パーソナルコンピュータ(PC)
3 プロジェクタ
4 電子ペン
10 受信センサ
11 赤外光センサ
12 超音波センサ
20a ウインドウ状態記憶手段
20b 標準ウインドウ情報記憶手段
20c 標準サブメニュー情報記憶手段
20d 描画画像記憶手段
21 ボタン押下検出手段
22 ウインドウ描画情報算出手段
23 サブメニュー領域情報算出手段
24 画像描画領域情報算出手段
25 描画手段
30,40 ウインドウ
31 メニューバー領域
32 ツールバー領域
33,43 サブメニュー領域
34,44 画像描画領域
35 変更指示ボタン画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インタラクティブボードに接続され、インタラクティブボード上にウインドウを表示させるとともに前記インタラクティブボード上でのポインティングデバイスの操作情報が入力されるコンピュータを動作させるためのインタラクティブボード用プログラムであって、
前記コンピュータを、
前記インタラクティブボード上の低い位置での前記ポインティングデバイスの操作によるウインドウ表示の変更指示入力を検出する検出手段と、
前記検出手段による変更指示入力の検出時にウインドウ表示が標準状態の場合には、前記ウインドウ表示を、前記ウインドウの上端部位置を下げた縮小状態で描画する描画手段と
して機能させるためのインタラクティブボード用プログラム。
【請求項2】
前記描画手段は、前記検出手段による変更指示入力の検出時にウインドウ表示が前記縮小状態の場合には前記ウインドウ表示を前記標準状態に戻すものである請求項1記載のインタラクティブボード用プログラム。
【請求項3】
前記検出手段は、前記インタラクティブボードの低い位置に表示された変更指示ボタン画像の前記ポインティングデバイスによるクリック操作を、ウインドウ表示の変更指示入力として検出するものである請求項1または2に記載のインタラクティブボード用プログラム。
【請求項4】
前記縮小状態のウインドウ表示は、前記標準状態のウインドウ表示に対して予め設定された2/3以下の位置に前記上端部位置を下げるものである請求項1から3のいずれかに記載のインタラクティブボード用プログラム。
【請求項5】
前記ポインティングデバイスは、電子ペンである請求項1から4のいずれかに記載のインタラクティブボード用プログラム。
【請求項6】
インタラクティブボード上にウインドウを表示させるとともに前記インタラクティブボード上でのポインティングデバイスの操作情報が入力されるインタラクティブボードシステムであって、
前記インタラクティブボード上の低い位置での前記ポインティングデバイスの操作によるウインドウ表示の変更指示入力を検出する検出手段と、
前記検出手段による変更指示入力の検出時にウインドウ表示が標準状態の場合には、前記ウインドウ表示を、前記ウインドウの上端部位置を下げた縮小状態とする描画手段と
を有するインタラクティブボードシステム。
【請求項7】
インタラクティブボード上にウインドウを表示させるとともに前記インタラクティブボード上でのポインティングデバイスの操作情報が入力されるインタラクティブボードシステムの制御方法であって、
前記インタラクティブボード上の低い位置での前記ポインティングデバイスの操作によるウインドウ表示の変更指示入力を検出すること、
前記変更指示入力の検出時にウインドウ表示が標準状態の場合には、前記ウインドウ表示を、前記ウインドウの上端部位置を下げた縮小状態とすること
を含むインタラクティブボードの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−157559(P2009−157559A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−333788(P2007−333788)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】