説明

インターフェース装置

【課題】超高精細映像信号を10Gb級で伝送する動画用インターフェース装置を提供する。
【解決手段】水平ワード数は20の倍数であり、垂直ライン数は4の倍数であり、フレームフォーマットの開始直後8カラム分領域に第1の同期コードを挿入し、フレームフォーマットの有効画素期間開始直前の8カラム分領域に第2の同期コードを挿入し、第1の同期コードと第2の同期コードの間の少なくとも10カラム分に第3の同期コードを挿入するための領域を確保する。さらに、該同期コード挿入後のフレームフォーマットを順次カラムごとに10分割し、10のサブフレームを生成する第1サブフレーム生成部と、第1サブフレームを8ビット幅のストリームに変換して8B/10B符号化し、第3の同期コードを挿入するための領域に8B/10B符号化に必要な制御コードを挿入する8B/10B符号化部と、並列−直列変換部と、信号送出部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はテレビジョンなどの動画映像を伝送する機器間信号のインターフェース装置に関するものであり、特に100Gbイーサーネット(登録商標)用に開発された通信系デバイスを用いた超高精細映像インターフェースに関わる。
【背景技術】
【0002】
従来、ビデオカメラなどで撮影された映像信号を、機器間またはスタジオ間、あるいは離れたビルの間等で伝送する場合には、映像フォーマット毎に専用のインターフェースを開発する必要があった。これらインターフェースで必要とされるビットレートは伝送する映像フォーマットに依存しているからである。
【0003】
例えば、ハイビジョン用に開発されたHD−SDI規格は、30フレーム/秒の動画像を伝送する用途に開発されたものであり、映像の伝送レートは入力映像と同じ約1.485Gビット/秒の伝送容量を持つインターフェースである。この例では、ハイビジョン映像のフォーマット(水平2200画素×垂直1125ライン、60フィールド/インターレース方式)から、画素数(2200×1125)×フレームレート(60/2)×1画素のビット数(10ビット)×輝度・色差信号帯域比(1+0.5+0.5)という要件によって、必要データレートが1.485Gビット/秒であると定まる。
【0004】
また、動画用の実時間インターフェースは、映像信号を1フレームまたは1フィールド単位で伝迭する方式が主流であり、よって、伝送レートはフレーム周波数(またはフィールド周波数)60Hzの整数倍でなければいけない。
【0005】
一方、通信系の技術分野においては、電話交換機の技術をベースとするSONET/SDHでは9.95Gbps、誤り訂正符号を用いるITU−TG.975では10.66Gbps、OTNでは10.7Gbpsなど、伝送レートが異なる幾つかの方式が独自に発展してきている。インターネットなどに用いられるローカルエリアネットワークの分野では、約10Mビットの伝送容量をもつイーサーネット(登録商標)(10MbE)からスタートし、世代の進展とともにその10倍のデータレートを持つ通信デバイスが開発されてきた。さらに近年では10.3Gbpsの伝送速度を持つ10GbEや、10GbEを10本束ねた100GbEが開発されつつある。
【0006】
これら通信系のインターフェースはパーソナルコンピュータなどに代表されるようにネットワークに接続される機器には必ず装備されるため、プロ用から民生用機器まで幅広い分野での需要が見込まれ、インターフェースに使用する専用ICチップなどの単価を抑えることができる。特にイーサーネット(登録商標)用に開発された通信用部品はパーソナルコンピュータのマザーボードにあらかじめ組み込まれて設計されるなど、小型・低価格化が著しい。また、広帯域ネットワークの開発に伴い、小型・安価で且つ高速伝送能力のあるインターフェースデバイスが開発されている。
【0007】
よって、上記のように幅広く用いられる通信用インターフェースデバイスを映像用途にも用いることができれば、小型で低コストの映像インターフェースを開発することができると考えられる。しかしながら、これら通信用イーサーネット(登録商標)用部品は、通信系に固有の伝送周波数やプロトコルを利用するものであり、そのままでは実時間映像用のインターフェースには使用できない。例えば、フレーム単位でデータ転送する動画用実時間インターフェースでは伝送レートが60Hzの整数倍になる必要があり、さらに映像フォーマットの水平ライン周波数に同期した伝送が行われる必要があるが、上記の通信系の伝送レートではこれらの条件を満たさないからである。
【0008】
例えば、通信分野の技術を映像分野に応用した動画用実時間インターフェースの例として、周波数帯(9.95Gbps〜11.1Gbps)を動作範囲とする光トランシーバーを用いた10.692Gbpsインターフェースが報告されている(例えば非特許文献1を参照)。この方式は、通信系に開発された光モジュール及びそのドライバー部分を用い、上記周波数範囲で実時間動画用インターフェースに適した周波数で駆動したものである。
【0009】
しかしながら、上記技術では、伝送するデータが独自プロトコルであり、動作周波数も異なることから、先に挙げた10GbE用に開発された通信デバイスを用いることが出来ない。つまり、上記技術を用いても、既存のLAN用インターフェースを活用することができない。従って、通信系、特に幅広く普及が見込まれるLAN用10GbEのインターフェースとの互換性を高めた実時間動画用インターフェースを開発するためには、通信系インターフェースのプロトコルを採用し、さらに10GbEのインターフェースの内部信号処理を考慮した映像フォーマットを採用する必要がある。
【0010】
また、動画用映像システムでは解像度の向上やダイナミックレンジの拡大などにより、実時間インターフェースに求められるデータレートが増大し、次世代テレビ方式として開発が進められているスーパーハイビジョンでは約80Gbpsのデータレートが必要となる。このことから、通信分野で開発されている100Gbイーサーネット(登録商標)の技術を超高精細映像の伝送に応用できれば、小型で安価な映像用インターフェースが開発できると考えられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】SMPTE規格 S435−1,2,3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記のように、通信分野で開発された伝送システムで映像信号を伝送することには多くの利点があるにも拘らず、十分に要件を満たすシステムは存在していなかった。よって本発明では、次世代のテレビ方式として開発が進められている超高精細映像信号を、通信系のプロトコルである10GbE(10ギガビットイーサーネット)(登録商標)用に開発されたデバイスを用い、且つ従来のHD−SDI規格とも互換性の高い動画用インターフェース装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による、水平ワード数および垂直ライン数からなる映像フレームフォーマットの映像信号を入力して、伝送信号を出力するインターフェース装置は、水平ワード数は20の倍数であり、垂直ライン数は4の倍数であり、フレームフォーマットの開始直後8カラム分領域に第1の同期コードを挿入し、フレームフォーマットの有効画素期間開始直前の8カラム分領域に第2の同期コードを挿入し、第1の同期コードの領域と第2の同期コードの領域との間の少なくとも10カラム分領域に第3の同期コードを挿入するための領域を確保する、同期コード挿入部と、同期コード挿入部から出力されるフレームフォーマットを順次カラムごと10分割し、10個のサブフレームを生成する第1サブフレーム生成部と、第1サブフレームを8ビット幅のストリームに変換して8B/10B符号化し、第3の同期コードを挿入するための領域に8B/10B符号化に必要な制御コードを挿入する8B/10B符号化部と、8B/10B符号化部の出力を並列−直列変換する並列−直列変換部と、並列−直列変換部の出力を規定の通信信号に変換して送出する通信信号送出部とを備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明による、水平ワード数および垂直ライン数からなる映像フレームフォーマットの映像信号を入力して、伝送信号を出力するインターフェース装置は、水平ワード数は20の倍数であり、垂直ライン数は4の倍数であり、フレームフォーマットの開始直後8カラム分領域に第1の同期コードを挿入し、フレームフォーマットの有効画素期間開始直前の8カラム分領域に第2の同期コードを挿入し、第1の同期コードの領域と第2の同期コードの領域との間の少なくとも10カラム分領域に第3の同期コードを挿入するための領域を確保する、同期コード挿入部と、同期コード挿入部から出力されるフレームフォーマットを順次カラムごと4分割し、且つ、順次ラインごと4分割し、16のサブフレームを生成する第2サブフレーム生成部と、第2サブフレーム生成部の出力から、第1の同期コードと第2の同期コードとに基づいて有効画素領域を検出し、第2サブフレーム生成部の出力をHD−SDI規格のフレームフォーマットにデータマッピングするデータマッピング部と、データマッピング部の出力をHD−SDI規格の映像信号に変換して送出するハイビジョン信号送出部とを備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明のインターフェース装置において、水平ワード数は8680であり、垂直ライン数は4400であり、フレームフォーマットは7680画素×4320ライン、または8192画素×4320ラインの有効画素領域を含むことを特徴とする。
【0016】
また、本発明のインターフェース装置において、水平ワード数は8480であり、垂直ライン数は4504であり、フレームフォーマットは7680画素×4320ライン、または8192画素×4320ラインの有効画素領域を含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明による、水平ワード数および垂直ライン数からなる映像フレームフォーマットの映像信号を入力して、伝送信号を出力するインターフェース装置は、水平ワード数は10の倍数であり、垂直ライン数は2の倍数であり、フレームフォーマットの開始直後4カラム分領域に第1の同期コードを挿入し、フレームフォーマットの有効画素期間開始直前の4カラム分領域に第2の同期コードを挿入し、第1の同期コードの領域と第2の同期コードの領域との間の少なくと5カラム分領域に第3の同期コードを挿入するための領域を確保する、同期コード挿入部と、同期コード挿入部から出力されるフレームフォーマットを順次カラムごと5分割し、5個のサブフレームを生成する第1サブフレーム生成部と、第1サブフレームを8ビット幅のストリームに変換して8B/10B符号化し、第3の同期コードを挿入するための領域に8B/10B符号化に必要な制御コードを挿入する8B/10B符号化部と、8B/10B符号化部の出力を並列−直列変換する並列−直列変換部と、並列−直列変換部の出力を規定の通信信号に変換して送出する通信信号送出部とを備えることを特徴とする。
【0018】
また、本発明による、水平ワード数および垂直ライン数からなる映像フレームフォーマットの映像信号を入力して、伝送信号を出力するインターフェース装置は、水平ワード数は10の倍数であり、垂直ライン数は2の倍数であり、フレームフォーマットの開始直後4カラム分領域に第1の同期コードを挿入し、フレームフォーマットの有効画素期間開始直前の4カラム分領域に第2の同期コードを挿入し、第1の同期コードの領域と第2の同期コードの領域との間の少なくとも5カラム分領域に第3の同期コードを挿入するための領域を確保する、同期コード挿入部と、同期コード挿入部から出力されるフレームフォーマットを順次カラムごと2分割し、且つ、順次ラインごと2分割し、4つのサブフレームを生成する第2サブフレーム生成部と、第2サブフレーム生成部の出力から、第1の同期コードと第2の同期コードとに基づいて有効画素領域を検出し、第2サブフレーム生成部の出力をHD−SDI規格のフレームフォーマットにデータマッピングするデータマッピング部と、データマッピング部の出力をHD−SDI規格の映像信号に変換して送出するハイビジョン信号送出部とを備えることを特徴とする。
【0019】
また、本発明のインターフェース装置において、水平ワード数は4340であり、垂直ライン数は2200であり、フレームフォーマットは3840画素×2160ライン、または4096画素×2160ラインの有効画素領域を含むことを特徴とする。
【0020】
また、本発明のインターフェース装置において、水平ワード数は4240であり、垂直ライン数は2252であり、フレームフォーマットは3840画素×2160ライン、または4096画素×2160ラインの有効画素領域を含むことを特徴とする。
【0021】
また、本発明による、伝送信号を入力して、水平ワード数および垂直ライン数からなる映像フレームフォーマットの映像信号を出力するインターフェース装置は、前記伝送信号を並列変換する直列/並列変換部と、前記直列/並列変換部の出力を8B/10B復号する8B/10B復号部と、前記8B/10B復号部の出力から上記第3の同期コードを復号して同期コードとして検出する同期コード検出部と、前記同期コードに基づいて、前記同期コード検出部の異なる10系統、または5系統の出力を合成して、前記映像信号を再生する信号合成部とを備え、前記同期コードは、合成された前記映像フレームフォーマットにて、第11カラムから10カラム分、または第6カラムから5カラム分の領域に割り当てられていることを特徴とする。すなわち、受信側のインターフェースでは、送信側インターフェースで挿入された第1の同期コード、第2の同期コードおよび第3の同期コードのうち第3の同期コードを用いて各サブフレームの信号同期をとり、その後、信号の合成を行う構成とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、次世代のテレビ方式として開発が進められている超高精細映像信号を、通信系のプロトコルである10GbE(10ギガビットイーサーネット)(登録商標)用に開発されたデバイスを用い、且つ従来のHD−SDI規格とも互換性の高い動画用インターフェース装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明による一実施例のインターフェース装置の概略図である。
【図2】本発明による一実施例の同期コードの挿入方法を説明する図である。
【図3】本発明による一実施例のフレームフォーマット信号を10サブフレームに分割する方法を説明する図である。
【図4】本発明による一実施例の12ビット赤、緑、青の3チャンネル信号から8ビットストリームを作成する方法を説明する図である。
【図5】本発明による一実施例の8B/10B符号化方法および並列−直列変換を説明する図である。
【図6】本発明による一実施例のインターフェース装置の概略図である。
【図7】本発明による一実施例のフレームフォーマット信号を16サブフレームに分割する方法を説明する図である。
【図8】本発明による16サブフレーム内の有効映像領域の信号をハイビジョンのフレームフォーマットにマッピングする方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[実施例1]
図1は、本発明の実施に係るインターフェース装置の基本ブロック図を示す。図1に記載の各部における信号処理の詳細な説明は後段にするものとして、以下では、本願発明の基本的処理の流れを説明する。
【0025】
本実施例の送信側のインターフェース装置1は、同期コード挿入部2と信号分割部3と8B/10B符号化部4と並列−直列変換5と信号伝送部6とを備える。同期コード挿入部2は、入力されたフレームフォーマット信号に同期コードを挿入し、信号分割部3は、同期コード挿入部2の出力信号を10個のサブフレームに分割し、8B/10B符号化部4は、分割されたサブフレーム信号の第3の同期信号を挿入する領域に同期コードを挿入し、バイトストリームを8B/10B符号化処理し、並列−直列変換5は、10ビットデータストリームをシリアルデータに変換し、信号伝送部6は、例えば光信号または電気信号の形式で信号を伝送する。
【0026】
本実施例の受信側のインターフェース装置7は、信号受信部8と直列−並列変換部9と8B/10B復号部10と同期コード検出部11と信号合成部12とを備える。信号受信部8は、シリアルデータの信号を受信し、直列−並列変換部9により、これを直列−並列変換する。8B/10B復号部10により、8B/10B復号し、同期コード検出部11により同期コードを検出し、これに基づいて、信号合成部12はフレームフォーマットの映像信号を合成する。すなわち、受信側のインターフェース装置7では、送信側のインターフェース装置1における信号処理をほぼ反対に実行することによって、フレームフォーマット信号を再生する。
【0027】
次に、図2から図5を参照して、インターフェース装置1の各部における信号処理の詳細な説明を行う。なお、本実施例では、有効画素数として7680画素×4320ライン、60フレーム/秒で各画素のビット深さが12ビットのものを前提とする。
【0028】
図2に示すように、インターフェース装置1に対する入力信号は、上記有効画素数を内包する(20×m)画素×(4×n)ラインのフレームフォーマットとする(m,nは整数)。特に本実施例では水平・垂直の画素数が8680画素×4400ライン((m,n)の値が(434,1100))の場合を考える。また、このフレームフォーマットを毎秒60フレーム伝送するための画素クロックは2.29152Ghz (8680×4400×60)である。
【0029】
次に、上記フレームフォーマットに同期コードを挿入する。(なお、この処理を行うのは図1における同期コード挿入部である。)図2に示される左上から右下に走査するフレームフォーマットにおいて、第1カラムから8カラム目までの映像信号ブランキング領域に映像有効期間の終了を示す第1の同期コード(EAVコード)を挿入し、さらに、有効画素領域開始前の8カラムに水平方向のブランキング期間終了を示す第2の同期コード(SAVコード)を挿入する。
【0030】
本実施例では1画素のビット深さを12ビットと仮定しているので、例えば、16〜4079までを映像データに割り当て、0〜15、4080〜4095までを同期コードに割り当てる符号化ビットとする。EAVコード及びSAVコードは、HD−SDI規格に用いられるEAVコード及びSAVコードと同様の機能を持つものとして、例えば16進表現のFFFと予め決められた映像タイミング基準コード(図中ではXYZ及びX’Y’Z’と表す)とで構成することができる。このようにEAVコード及びSAVコードを挿入することにより、HD−SDI規格と同様にフレーム期間のスタート、ライン期間のスタート、及び有効画素データが送られている有効映像期間を示すことができる。なお、本実施例では2ワードのデータでEAVコード及びSAVコードを表しているが、HD−SDI規格と同様に4ワードでEAVコード及びSAVコードを表すことも可能である。
【0031】
またこの時点で第11カラム目から10カラム分、または第6カラムから5カラム分を、後段で第3の同期コードに割り当てるためのスペースとして確保する。
【0032】
次に図3に示すように、上記フレームフォーマットを複数のサブ領域に分割する。本実施例では、フレームフォーマットのカラムを順次10領域に分割し、分割されたサブフレームを10リンクで伝送することを想定する。上述のように、本実施例のフレームフォーマットでは(20×m)画素×(4×n)ラインのフレームフォーマットを取り扱うため、(2×m)画素×(4×n)ラインのサイズを持つ10のサブフレームに分割される。これらの分割を、カラー映像として赤、緑、青の3チャンネルのフレームフォーマットについて行う。
【0033】
なお、10個のサブフレームに分割したフレーム信号は、上述したフレームフォーマット入力信号における画素クロックの1/10のクロックで処理される。すなわち、本段階での基本クロックは229.152MHzである。
【0034】
図4は、12ビット幅の赤、緑、青の3チャンネルに対して上記のように分割されたサブフレームの信号を、8B/10B符号化のために1ワードが8ビットとなるよう変換する方法を示す。
【0035】
まず、赤、緑、青の3チャンネル、各画素12ビット幅のデータを2画素分用い、72ビット幅のデータを作成する。この72ビットデータを上位から8ビット毎に分割することによって、8ビット幅をもつデータ列を9ワード作成する。このときの8ビット幅のデータストリームの基本クロックは1.031184GHz(= 229.152MHz/2x9)となる。上記の変換を繰り返すことによって、12ビット幅の赤、緑、青の3チャンネルデータから8ビット幅のデータストリームを生成することができる。
【0036】
このとき、第3の同期コードのためのスペースは、赤、緑、青の3チャンネル間で同期して伝送されているため、全部で36ビットのデータ幅となる。これを上記のように変換をした場合、8ビット幅のデータストリームの中で連続した4ワード+4ビット領域(36=4×8+4)となる。この第3の同期コード領域は各サブフレームの第2カラムに対応するため、上記のような変換をした場合、8ビット幅のデータストリーム上では、必ず毎ラインの開始から5ワード目の4ビット分と6から9ワード目の領域に対応する。
【0037】
図5は、8ビットのデータストリームを8B/10B符号化し、さらにシリアルデータストリームに変換するまでの信号処理を説明する図である。なお、本信号処理は、図1における8B/10B符号化4および並列−直列変換部5によって行う。
【0038】
本発明に用いる8B/10B符号化は、規定された一般的なものであり、8ビットのデータを3ビットと5ビットとに分け、それぞれに1ビットを付加しての6ビットと4ビットとに変換するものである。この8B/10B符号化によって、シリアルデータにした場合に、1または0のランレングス長が規定長以下に維持される。
【0039】
上記のように、本発明の実施例では、フレームフォーマットの第11カラム目から10カラム分を第3の同期コードに割り当てるためのスペースとして確保している。その結果、上記符号化後の10ビット幅のデータストリームの中でライン開始から6〜9ワード目の連続した4ワードの領域を、第3の同期コードのために割り当てることができる。この第3の同期コードとして8B/10B符号化で用いられる制御コード(Kコード)を用いる。すると、8B/10B符号化における制御コードが一定周期で挿入されることになり、安定した符号化および復号が行える。また、フレーム開始を識別するため、上記第3の同期コードとして他のラインと異なる制御コード(Kコード)を第1ラインに挿入すれば、フレーム同期を検出できる。
【0040】
次に、符号化によって得られた10ビットデータストリームは、規定の処理によりシリアルデータに変換され、電気信号、または光信号の形で受信側に伝送される。このときの1本のシリアルデータのデータレートは10.31184Gbps (1.031184GHz×10)となり、イーサーネット(登録商標)規格で規定されているデータレート(10.3125Gbps)の許容範囲内(±100ppm)に入る伝送レートとなる。
【0041】
なお、上記10ビットデータストリームの伝送方法は、本実施例の処理中に10のサブフレームに分割して生成した10個のデータストリームを、並列に10系統のデータリンクを通して伝送することができる。または光信号に変換して光波長多重技術を用いて1本の光ファイバーを通して伝送することも可能である。
【0042】
受信側のインターフェース装置7では、送信側のインターフェース装置1での処理を逆に行っていくことにより、元のフレームフォーマットの再構成を行うことができる。先の送信側の信号処理の中で、映像信号に同期して挿入した第1及び第2の同期信号を検出することにより、複数の並列したリンクを通して伝送した場合の各リンクの伝送遅延を補償し、受信した映像信号のタイミングを調整することが可能となる。
【0043】
上記の実施例では、水平・垂直の画素数が8680画素×4400ライン((m,n)の値が(434,1100))場合を記したが、水平・垂直の画素数が8480画素×4504ライン((m,n)の値が(424,1126))の場合においても、一部動作クロックは異なるが、同様な効果を有するインターフェース装置を実現することができる。
【0044】
[実施例2]
次に、フレームフォーマットを16のサブフレームに分割し、既存のHD−SDI規格のフレームフォーマットにデータマッピングを行う実施例について説明する。
【0045】
図6に示されるように、本実施例の送信側のインターフェース装置1は、同期コード挿入部2と信号分割部3とマッピング部13とを備える。同期コード挿入部2は、入力されたフレームフォーマット信号に同期コードを挿入し、信号分割部3は、同期コード挿入部2の出力信号を16個のサブフレームに分割し、マッピング部13は、分割された各サブフレームを既存のHD−SDI規格のフレームフォーマットの4つにマッピングする(合計で64分割されている)。すなわち、本実施例のインターフェース装置1の出力は、HD−SDI規格に準拠した既存の伝送装置等に用いることができる。
【0046】
本実施例で用いるフレームフォーマットも、実施例1と同様に、有効画素数として7680画素×4320ライン、60フレーム/秒で各画素のビット深さが12ビットのものを前提とする。インターフェース装置1に対する入力信号は、上記有効画素数を内包する(20×m)画素×(4×n)ラインのフレームフォーマットとする(m,nは整数)。特に本実施例では水平・垂直の画素数が8680画素×4400ライン((m,n)の値が(434,1100))の場合を考える。また、このフレームフォーマットを毎秒60フレーム伝送するための画素クロックは2.29152GHz (8680×4400×60)である。
【0047】
次に、上記フレームフォーマットに同期コードを挿入する。なお、この処理を行うのは図6における同期コード挿入部2である。図7に示されるように、第1カラムから8カラム目までの映像信号ブランキング領域に映像有効期間の終了を示す第1の同期コード(EAVコード)を挿入し、さらに、有効画素領域開始前の8カラムに水平方向のブランキング期間が終了することを示す第2の同期コード(SAVコード)を挿入する。また、第1の同期コードにおいて、最初の4カラムに同期コードを示す16進コードのFFF値を割り当て、次の4カラムにタイミングフラグとなる予め決められた値(ここでは16進コードのXYZとする)を割り当てる。また、第2の同期コードにおいて、最初の4カラムに同期コードを示す16進コードのFFF値を割り当て、次の4カラムにタイミングフラグとなる予め決められた値(ここでは16進コードのX’Y’Z’とする)を割り当てる。
【0048】
このフレームフォーマットを図7に示すように4画素×4ライン単位のブロックに分割し、各ブロックの左上の画素から1画素ごとに領域1〜16に分割する。すると、縦nラインかつ横5×m画素からなる16のサブフレームが生成される。特に本実施例では水平8680画素かつ垂直4400ラインとしているので、その分割されたサブフレームの中は、水平2170画素かつ垂直1100ラインとなる。また、このサブフレームには1920画素×1080ラインの有効画素領域のデータが含まれている。
【0049】
図7に、このサブフレームフォーマットとハイビジョンのフレームフォーマット(1080ライン、60フレーム/秒モード)との関係を示す。図7からわかるように、有効画素領域において両フレームフォーマットは対応する。よって、同期コード挿入部2で挿入された第1の同期コードと第2の同期コードと検出し、本実施例におけるサブフレームフォーマットの有効映像領域のデータをハイビジョン映像信号におけるフレームフォーマットの有効映像領域にマッピングすることにより、本実施例のサブフレーム信号をハイビジョン映像信号として伝送することができる。
【0050】
このとき、本実施例のサブフレームフォーマットのライン数は、ハイビジョンのフレームフォーマットのライン数と非常に近いので、データをマッピングする際、ラインメモリ等の容量を少なくすることができる。
【0051】
上記の実施例では、水平・垂直の画素数が8680画素×4400ライン((m,n)の値が(434,1100))場合を記したが、水平・垂直の画素数が8480画素×4584ライン((m,n)の値が(424,1126))の場合においても、上記実施例と同様に第1の同期コードと第2の同期コードとから、有効画像領域を検出することによりハイビジョンのフレームフォーマットにデータをマッピングすることができる。
【0052】
また、上記の実施例では、有効画素数として7680画素×4320ラインのもの(フレームフォーマットが8680画素×4400ライン)、及び有効画素数として8192画素×4320ライン(フレームフォーマットが8480画素×4504ライン)のものを説明したが、同様の技術思想により、有効画素数として3840画素×2160ラインのもの(フレームフォーマットが4340画素×2200ライン)、及び有効画素数として4096画素×2160ライン(フレームフォーマットが4240画素×2252ライン)のためのインターフェース装置を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明によれば、上記有効画素数およびフレームフォーマットの何れの組合せにおいても、次世代のテレビ方式として開発が進められている超高精細映像信号を、通信系のインターフェースであるイーサーネット(登録商標)に対応した通信系デバイスを使用でき、かつ従来のHD−SDI規格の伝送方式とも高い互換性を保つ用途に有用である。
【符号の説明】
【0054】
1 送信側インターフェース装置
2 同期コード挿入部
3 信号分割部
4 8B/10B符号化部
5 並列−直列変換
6 信号伝送部
7 受信側インターフェース装置
8 信号受信部
9 直列−並列変換部
10 8B/10B復号部
11 同期コード検出部
12 信号合成部
13 マッピング部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平ワード数および垂直ライン数からなる映像フレームフォーマットの映像信号を入力して、伝送信号を出力するインターフェース装置であって、
前記水平ワード数は20の倍数であり、
前記垂直ライン数は4の倍数であり、
前記フレームフォーマットの開始直後8カラム分領域に第1の同期コードを挿入し、前記フレームフォーマットの有効画素期間開始直前の8カラム分領域に第2の同期コードを挿入し、前記第1の同期コードの領域と前記第2の同期コードの領域との間の少なくとも10カラム分領域に第3の同期コードを挿入するための領域を確保する、同期コード挿入部と、
前記同期コード挿入部から出力されるフレームフォーマットを順次カラムごと10分割し、10個のサブフレームを生成する第1サブフレーム生成部と、
前記第1サブフレームを8ビット幅のストリームに変換して8B/10B符号化し、前記第3の同期コードを挿入するための領域に該8B/10B符号化に必要な制御コードを挿入する8B/10B符号化部と、
前記8B/10B符号化部の出力を並列−直列変換する並列−直列変換部と、
前記並列−直列変換部の出力を規定の信号に変換して送出する通信信号送出部とを備えることを特徴とするインターフェース装置。
【請求項2】
前記第1サブフレーム生成部と前記8B/10B符号化部と前記並列−直列変換部と前記通信信号送出部の代わりに、第2サブフレーム生成部とデータマッピング部とハイビジョン信号送出部とを備え、
前記第2サブフレーム生成部は、前記同期コード挿入部から出力されるフレームフォーマットを順次カラムごと4分割し、且つ、順次ラインごと4分割し、16個のサブフレームを生成し、
前記データマッピング部は、前記第2サブフレーム生成部の出力から、前記第1の同期コードと前記第2の同期コードとに基づいて前記有効画素領域を検出し、該第2サブフレーム生成部の出力をHD−SDI規格のフレームフォーマットにデータマッピングし、
前記ハイビジョン信号送出部は、前記データマッピング部の出力をHD−SDI規格の映像信号に変換して送出することを特徴とする、請求項1に記載のインターフェース装置。
【請求項3】
前記水平ワード数は8680であり、
前記垂直ライン数は4400であり、
前記フレームフォーマットは7680画素×4320ライン、または8192画素×4320ラインの有効画素領域を含むことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のインターフェース装置。
【請求項4】
前記水平ワード数は8480であり、
前記垂直ライン数は4504であり、
前記フレームフォーマットは7680画素×4320ライン、または8192画素×4320ラインの有効画素領域を含むことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のインターフェース装置。
【請求項5】
水平ワード数および垂直ライン数からなる映像フレームフォーマットの映像信号を入力して、伝送信号を出力するインターフェース装置であって、
前記水平ワード数は10の倍数であり、
前記垂直ライン数は2の倍数であり、
前記フレームフォーマットの開始直後4カラム分領域に第1の同期コードを挿入し、前記フレームフォーマットの有効画素期間開始直前の4カラム分領域に第2の同期コードを挿入し、前記第1の同期コードの領域と前記第2の同期コードの領域との間の少なくと5カラム分領域に第3の同期コードを挿入するための領域を確保する、同期コード挿入部と、
前記同期コード挿入部から出力されるフレームフォーマットを順次カラムごと5分割し、5個のサブフレームを生成する第1サブフレーム生成部と、
前記第1サブフレームを8ビット幅のストリームに変換して8B/10B符号化し、前記第3の同期コードを挿入するための領域に該8B/10B符号化に必要な制御コードを挿入する8B/10B符号化部と、
前記8B/10B符号化部の出力を並列−直列変換する並列−直列変換部と、
前記並列−直列変換部の出力を規定の通信信号に変換して通信送出する信号送出部とを備えることを特徴とするインターフェース装置。
【請求項6】
前記第1サブフレーム生成部と前記8B/10B符号化部と前記並列−直列変換部と前記通信信号送出部の代わりに、第2サブフレーム生成部とデータマッピング部とハイビジョン信号送出部とを備え、
前記第2サブフレーム生成部は、前記同期コード挿入部から出力されるフレームフォーマットを順次カラムごと2分割し、且つ、順次ラインごと2分割し、4個のサブフレームを生成し、
前記データマッピング部は、前記第2サブフレーム生成部の出力から、前記第1の同期コードと前記第2の同期コードとに基づいて前記有効画素領域を検出し、該第2サブフレーム生成部の出力をHD−SDI規格のフレームフォーマットにデータマッピングし、
前記ハイビジョン信号送出部は、前記データマッピング部の出力をHD−SDI規格の映像信号に変換して送出することを特徴とする、請求項5に記載のインターフェース装置。
【請求項7】
前記水平ワード数は4340であり、
前記垂直ライン数は2200であり、
前記フレームフォーマットは3840画素×2160ライン、または4096画素×2160ラインの有効画素領域を含むことを特徴とする、請求項5または請求項6に記載のインターフェース装置。
【請求項8】
前記水平ワード数は4240であり、
前記垂直ライン数は2252であり、
前記フレームフォーマットは3840画素×2160ライン、または4096画素×2160ラインの有効画素領域を含むことを特徴とする、請求項5または請求項6に記載のインターフェース装置。
【請求項9】
伝送信号を入力して、水平ワード数および垂直ライン数からなる映像フレームフォーマットの映像信号を出力するインターフェース装置であって、
前記伝送信号を並列変換する直列/並列変換部と、
前記直列/並列変換部の出力を8B/10B復号する8B/10B復号部と、
前記8B/10B復号部の出力から同期コードを検出する同期コード検出部と、
前記同期コードに基づいて、前記同期コード検出部の異なる10系統、または5系統の出力を合成して、前記映像信号を再生する信号合成部とを備え、
前記同期コードは、合成された前記映像フレームフォーマットにて、第11カラムから10カラム分、または第6カラムから5カラム分の領域に割り当てられていることを特徴とするインターフェース装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−146816(P2011−146816A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−4387(P2010−4387)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】