説明

インターホンシステム

【課題】 モニタを備えていなくとも、訪問者を確認できるようにしたインターホンシステムを提供する。
【解決手段】 呼出釦11を有するドアホン10と、ドアホン10からの呼出を検出し、通話回路22を介して通話を行うインターホン親機20とからなるインターホンシステムにおいて、ドアホン10は、呼出釦11が操作されると、操作者の名前を名乗らせるメッセージを出力するメッセージ出力部13を備え、インターホン親機20は、ドアホン10側からの呼出信号を検出する呼出検出部29と、呼出検出部29による呼出信号の検出により動作し、ドアホン10側からインターホン親機20側への片方向の通信のみを可能にし、ドアホン10側から出力された音声信号を取り込む片側通話回路24とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼出釦を有する玄関機と、玄関機からの呼出を検出して通話回路を介して通話を行うインターホン親機とからなるインターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
マンションなどの集合住宅において、集合玄関には集合玄関機が設けられ、住戸の玄関には玄関子機(ドアホン)が設けられている。この集合玄関機はカメラを内蔵しており、居住者を呼び出す時には、訪問者の映像が住戸内に設置された住宅情報盤のモニタに表示されるようになっている(例えば特許文献1)。このシステムでは、モニタの映像を確認してから通話を行えるので、押し売り等、訪ねて来た相手と話したくない場合には、通話をしなくて済む(通話をしない状態が続くと所定時間後に、呼出が解除するようになっている)。
【特許文献1】特開平10−150499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、カメラを内蔵していない集合玄関機が設置されたマンションにおいては、居住者側はモニタによる映像確認を行えず通話をしてみないと来訪者の確認が行えないという問題点がある。また、集合玄関機が設置されていないマンションにおいては、来訪者は玄関子機(ドアホン)から呼び出しを行うが、前述と同様に通話をしてみないと来訪者の確認が行えないという問題点がある。
【0004】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、モニタを備えていなくとも、訪問者を確認できるようにしたインターホンシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るインターホンシステムは、呼出釦を有する玄関機と、該玄関機からの呼出を検出し、通話回路を介して通話を行うインターホン親機とからなるインターホンシステムにおいて、前記呼出釦が操作されると、操作者の名前又は用件を尋ねるメッセージを出力するメッセージ出力部とを備えたものである。
また、本発明に係るインターホンシステムにおいて、前記インターホン親機は、前記玄関機側からの呼出信号を検出する呼出検出部と、該呼出検出部による前記呼出信号の検出により動作し、前記玄関機側から前記インターホン親機側への片方向の通信のみを可能にし、前記玄関機側から出力された音声信号を取り込む片側通話回路とを備えたものである。
また、本発明に係るインターホンシステムにおいて、前記インターホン親機は、前記呼出釦が操作された後、前記訪問者の音声信号を前記片側通話回路を介して取り込んで記憶する音声記憶部と、前記音声記憶部に記憶された音声信号を出力する音声出力部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明においては、呼出釦が操作されると、操作者の名前又は要件を尋ねるメッセージを自動的に出力するようにしたので、モニタを備えていなくとも、訪問者を確認することが可能になっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は本発明の実施形態に係るインターホンシステムの構成を示すブロック図である。インターホンシステムは、住戸の玄関等の外側に取付られるドアホン10と、住戸内に取付られるインターホン親機20とから構成されており、両者は通話線Tを介して接続されている。ドアホン10は、呼出釦11、呼出し部12、メッセージ出力部13、スピーカ14、マイクロフォン15、及び通話回路16を備えている。ドアホン10のメッセージ出力部13は記憶装置(図示せず)が内蔵されている。その記憶装置には操作者に名前を名乗らせるメッセージ例えば「名前をお知らせ下さい。」というような音声信号が記憶されており、呼出釦11が操作されると、その音声信号をスピーカ14に出力する。また、インターホン親機20は、通話手段21、通話回路22、スイッチ切換部23、片側通話回路24、音声記憶部25、音声出力部26、スピーカ27、制御部28及び呼出検出部29を備えている。片側通話回路24は、呼出検出部29による呼出信号の検出により動作し、ドアホン10側からインターホン親機20側への片方向の通話のみを可能にするもので、この片側通話回路24を設けることで、ドアホン10側の音声をモニタすることが可能になる。
【0008】
図1のインターホンシステムにおいて、訪問者がドアホン10の呼出釦11を操作して押すと、呼出し部12が呼出信号を通話回線Tを介してインターホン親機20側に出力する。インターホン親機20では、呼出検出部29がその呼出信号を検出して制御部28に検出信号を出力する。制御部28はその検出信号が入力されると、スイッチ切換部23を端子b側に切り換えて、通話回線Tを片側通話回路24側に接続する。また、呼出検出部29は呼出信号を検出すると、訪問者が来ていることを知らせるためにスピーカ27から呼び出し音(例えばチャイム音)を出力させる。これにより、居住者は訪問者が玄関に来ていることを認識することができる。
【0009】
また、ドアホン10側では、呼出釦11の操作に伴って、メッセージ出力部13が例えば予め記憶してある音声信号例えば「名前をお知らせ下さい。」というようなメッセージをスピーカ14に出力し、訪問者に名前を尋ねて名乗るように案内する。このメッセージ出力部13による案内については、表示器(図示せず)に表示させるようにしてもよい。ここで訪問者が自分の名前を例えば「永田です」と名乗ると、その音声はマイクロフォン15により音声信号に変換され、通話回路16及び通話線Tを介してインターホン親機20側に送信される。インターホン親機20側では、ドアホン10からの音声信号がスイッチ切換部23の端子b及び片側通話回路24を経由して音声記憶部25に取り込まれて記憶される(例えば10数秒間記憶する)。なお、音声記憶部25は、呼出検出部29からの検出信号により起動するものとする。音声出力部26は、図示しないタイマを内蔵しており、チャイム音信号と音声記憶部25に記憶された音声信号とを例えば数秒毎に交互に出力し、スピーカ27からはチャイム音信号と「永田です」という音声とが交互に出力されることになる。なお、このとき、インターホン親機20とドアホン10とは片側通話回路24を介して接続されており、インターホン親機20側からの音声信号等がドアホン10側に送信されることはないので、ドアホン10側の訪問者に居住者の存在等を知られることにはならない。
【0010】
上述のように、スピーカ27からはチャイム音と「永田です」という音声とが交互に出力されるので、居住者がインターホン親機20から離れていて、訪問者の第一声を聞き逃しても、誰が来たかを知ることができる。このように、本実施形態では、通話を開始する前に、訪問者が誰であるのかを知ることができるので、押し売り等の相手をしないで済む。
【0011】
居住者は、訪問者が友人などで通話をしたい場合には、例えばハンドセット等から構成される通話手段21を取り上げる。これにより制御部28がそれを検出して、スイッチ切換部23のスイッチを端子a側に切換えて、通話回路22を通話線Tに接続する。こうして、インターホン親機20とドアホン10では、それぞれの通話回路22,16を介して通話を行うことができる。
【0012】
なお、上述の説明においては、メッセージ出力部13をドアホン10側に設けた例について説明したが、インターホン親機20側に設けて、呼出検出部29の呼び出し信号の検出により動作して、メッセージをドアホン10側に送信して訪問者に名前を名乗るように案内させるようにしてもよい。また、上記の説明においては、玄関機としてドアホンの例について説明したが、本発明おいてはマンション等に設置されるに集合玄関機を玄関機の一例として使用したインターホンシステムにも同様に適用される。
【0013】
なお、メッセージ出力部13から「名前をお知らせ下さい。そして、その後に呼出釦を押して下さい」と出力させるようにしてもよい。この場合には、音声記憶部25による音声の記憶は初めの呼出釦の操作で録音を開始し、名乗った後の2回目の呼出釦の操作で録音を停止するようにし、その音声をチャイム音と交互に出力すると、音声のない無駄な時間をなくすことができる。また、メッセージ出力部13は、操作者の名前を名乗らせるメッセージを出力させるようにしたが、例えば「御用は何でしょうか?」のように用件を尋ねるメッセージを出力させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係るインターホンシステムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0015】
10 ドアホン、11 呼出釦、12 呼出し部、13 メッセージ出力部、14 スピーカ、15 マイクロフォン、16 通話回路、20 インターホン親機、21 通話手段、22 通話回路、23 スイッチ切換部、24 片側通話回路、25 音声記憶部、26 音声出力部、27 スピーカ、28 制御部、29 呼出検出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼出釦を有する玄関機と、
該玄関機からの呼出を検出し、通話回路を介して通話を行うインターホン親機と
からなるインターホンシステムにおいて、
前記呼出釦が操作されると、操作者の名前又は用件を尋ねるメッセージを出力するメッセージ出力部と
を備えたことを特徴とするインターホンシステム。
【請求項2】
前記インターホン親機は、
前記玄関機側からの呼出信号を検出する呼出検出部と、
該呼出検出部による前記呼出信号の検出により動作し、前記玄関機側から前記インターホン親機側への片方向の通信のみを可能にし、前記玄関機側から出力された音声信号を取り込む片側通話回路と
を備えたことを特徴とする請求項1記載のインターホンシステム。
【請求項3】
前記インターホン親機は、
前記呼出釦が操作された後、前記訪問者の音声信号を前記片側通話回路を介して取り込んで記憶する音声記憶部と、
前記音声記憶部に記憶された音声信号を出力する音声出力部と
を備えたことを特徴とする請求項2記載のインターホンシステム。

【図1】
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【公開番号】特開2006−270271(P2006−270271A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−82738(P2005−82738)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】