説明

インターロイキン‐8に対する高親和性の完全ヒトモノクローナル抗体、およびそのような抗体のエピトープ

本実施形態は、IL-8に対する高親和性抗体、そのような抗体を作成し特徴付ける方法、およびそのような抗体の使用に関する。重鎖および軽鎖免疫グロブリン分子をコードする単離されたポリヌクレオチド配列、およびそれを含むアミノ酸配列、特に、フレームワーク領域(FR)を橋を架けている近接する重鎖および軽鎖配列、ならびに/または相補性決定領域(CDR)に対応する配列を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全文が本明細書に参照として組み入れられる、2005年4月20日出願の米国仮特許出願第60/673,452号の米国特許法119条(e)に基づく優先権の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、概して、インターロイキン-8(IL-8)に対する新規な抗体に関する。より詳しくは、本発明は、インターロイキン-8に対して高親和性の完全なヒトモノクローナル抗体、およびそのような抗体が結合するエピトープに関する。
【背景技術】
【0003】
インターロイキン-8(IL-8)は、C-X-Cケモカインファミリーのメンバーであり、主に好中球に対する化学誘引物質として働く。IL-8は、多くの炎症性疾患に関係付けられている。好中球の補充および活性化は通常の炎症反応において重要であるが、過剰な、または継続的な好中球の補充により、しばしば急性炎症がもたらされる(Matsumotoら、J. Leukoc. Biol.、62巻(5)、581〜7頁(1997年))。さらに、IL-8は内皮細胞に対する有力な血管新生因子であり、腫瘍の血管新生に関係付けられている。
【0004】
抗IL-8抗体は、細菌性肺炎(米国特許第5,686,070号)、喘息(米国特許第5,874,080号)、および潰瘍性大腸炎(米国特許第5,707,622号)を処置するために開発され、用いられてきた。さらに、抗IL-8抗体は、最も一般的な慢性状態の1つであり、米国における4番目の死因である、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の処置に提唱されてきた。COPDは、患者が呼出する能力を制限するいくつかの関連する障害を含んでいる。したがって、患者は、頻繁に、呼吸困難、または息切れを経験する。呼吸困難は、典型的には患者に不快感をもたらし、患者が身体活動に関与する能力を制限し、酸素の供給が減少することによりさらなる健康の有害作用を引き起こし得る。COPDに関連する最も一般的な2つの障害は、慢性気管支炎および肺気腫であるが、COPDに罹患している患者は、慢性喘息、気管支拡張症、免疫グロブリン欠損症、および嚢胞性線維症も有することがある。
【0005】
最近では、IL-8が、胃腸疾患などの急性炎症に関与する疾患の処置に対する新規な標的であり得ることが提唱されている(Ajueborら、Immunology、105巻(2)、137〜43頁(2002年))。IL-8は、メラノーマなど、癌および腫瘍(Singhら、Histol. Histopathol、15巻(3)、843〜9頁(2000年)、ならびに全身性炎症反応症候群(SIRS)(Dinarelloら、JAMA、269巻(14)、1829〜35頁(1993年))の処置のための標的でもあり得る。
【0006】
IL-8に関連する他の疾患には、ARDSなどの炎症性疾患(Matsumotoら、J. Leukoc. Biol.、62巻(5)、581〜7頁(1997年))、糸球体腎炎、アルコール性肝炎、再還流傷害、乾癬(Jiangら、Int J Dermatol、40巻(11)、699〜703頁(2001年))、関節リウマチ(Kraanら、J Invest Dermatol、116巻(2)、319〜29頁(2001年))、および炎症性腸疾患(Imadaら、Scand J Gastroenterol、36巻(8)、854〜64頁(2001年))、特発性肺線維症などの肺障害(Lynchら、Am Rev Respir Dis.、145巻(6)、1433〜9頁(1992年))、腫瘍の進行(Xieら、Cytokine Growth Factor Rev.、12巻(4)、375〜91頁(2001年))、ならびに、一般に、悪性メラノーマ、頭部および頚部の癌、乳癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、および脳腫瘍などの癌および腫瘍が含まれる。
【0007】
XenoMouse(登録商標)技術で産生された完全なヒトモノクローナル抗体である、ABX-IL-8は、インターロイキン-8の活性を阻止することが示されている(プレスリリース、Abgenix, Inc.、2002年1月3日)。ABX-IL-8は、強力な抗炎症活性を有することが示されている。ABX-IL-8は、IL-8に高親和性で結合し、IL-8の好中球への結合を阻止し、好中球の活性化および遊走を阻害する(Yangら、J. Leukoc. Biol.、66巻(3)、401〜410頁(1999年))。IL-8に対するヒト抗体、およびそれを作成する方法についてのさらなる記載は、その全文が参照として組み入れられる、米国特許第6,150,584号(Kucherlapatiら)、および米国特許第6,713,610号に見ることができる。
【0008】
IL-8に対する高親和性抗体が望ましいことがある。しかし、生理学的条件下では、in vivoではあらゆる抗原に対する抗原の親和性成熟に対して上限が存在し、この上限は約100pMであることが提唱されている(一般的には、Foote, J. & Eisen、H.N., PNAS USA、92巻、1254〜6頁(1995年);Batista, F.D. & Neuberger、M.S., Immunity、8巻、751〜9頁(1998年);およびWatts, C. & Davidson、H.W., EMBO J.、7巻、1937〜45頁(1998年)を参照されたい)。さらに、最適化された抗体、例えば、in vitroで、ファージ、酵母菌、またはリボソームディスプレイによって親和性成熟されたものなどでさえ、10pMを超える制限された親和性を有すると思われる(その全文が参照として組み入れられる、「Demonstration of an in vivo generated sub-picomolar affinity fully human monoclonal antibody to interleukin-8」、Rathanaswamiら、Biochem. Biophys. Res. Commun.、334巻、1004〜13頁(2005年)を参照されたい)。
【特許文献1】米国特許第5,686,070号
【特許文献2】米国特許第5,874,080号
【特許文献3】米国特許第5,707,622号
【特許文献4】米国特許第6,150,584号
【特許文献5】米国特許第6,713,610号
【特許文献6】米国特許第4,683,195号
【特許文献7】米国特許第4,816,567号
【特許文献8】米国特許第5,627,052号
【特許文献9】米国特許第5,500,362号
【特許文献10】米国特許第5,821,337号
【特許文献11】米国特許申請第08/759,620号
【特許文献12】米国特許出願第07/466,008号
【特許文献13】米国特許出願第07/610,515号
【特許文献14】米国特許出願第07/919,297号
【特許文献15】米国特許出願第07/922,649号
【特許文献16】米国特許出願第08/031,801号
【特許文献17】米国特許出願第08/112,848号
【特許文献18】米国特許出願第08/234,145号
【特許文献19】米国特許出願第08/376,279号
【特許文献20】米国特許出願第08/430, 938号
【特許文献21】米国特許出願第08/464,584号
【特許文献22】米国特許出願第08/464,582号
【特許文献23】米国特許出願第08/463,191号
【特許文献24】米国特許出願第08/462,837号
【特許文献25】米国特許出願第08/486,853号
【特許文献26】米国特許出願第08/486,857号
【特許文献27】米国特許出願第08/486,859号
【特許文献28】米国特許出願第08/462,513号
【特許文献29】米国特許出願第08/724,752号
【特許文献30】米国特許第6,162,963号
【特許文献31】米国特許第6,114,598号
【特許文献32】米国特許第6,075,181号
【特許文献33】米国特許第5,939,598号
【特許文献34】日本国特許第3 068 180 B2号
【特許文献35】日本国特許第3 068 506 B2号
【特許文献36】日本国特許第3 068 507 B2号
【特許文献37】欧州特許第EP 0 463 151 B1号
【特許文献38】国際特許出願第WO 94/02602号
【特許文献39】国際特許第WO 96/34096号
【特許文献40】国際公開第WO 98/24893号
【特許文献41】国際公開第WO 00/76310号
【特許文献42】国際公開第WO 03/47336号
【特許文献43】米国特許第5,151,510号
【特許文献44】米国特許第5,545,807号
【特許文献45】米国特許第5,545,806号
【特許文献46】米国特許第5,625,825号
【特許文献47】米国特許第5,625,126号
【特許文献48】米国特許第5,633,425号
【特許文献49】米国特許第5,661,016号
【特許文献50】米国特許第5,770,429号
【特許文献51】米国特許第5,789,650号
【特許文献52】米国特許第5,814,318号
【特許文献53】米国特許第5,877,397号
【特許文献54】米国特許第5,874,299号
【特許文献55】米国特許第6,255,458号
【特許文献56】米国特許第5,591,669号
【特許文献57】米国特許第6,023,010号
【特許文献58】米国特許第5,612,205号
【特許文献59】米国特許第5,721,367号
【特許文献60】米国特許第5,789,215号
【特許文献61】米国特許第5,643,763号
【特許文献62】米国特許出願第07/574,748号
【特許文献63】米国特許出願第07/575,962号
【特許文献64】米国特許出願第07/810,279号
【特許文献65】米国特許出願第07/853,408号
【特許文献66】米国特許出願第07/904,068号
【特許文献67】米国特許出願第07/990,860号
【特許文献68】米国特許出願第08/053,131号
【特許文献69】米国特許出願第08/096,762号
【特許文献70】米国特許出願第08/155,301号
【特許文献71】米国特許出願第08/161,739号
【特許文献72】米国特許出願第08/165,699号
【特許文献73】米国特許出願第08/209,741号
【特許文献74】欧州特許第0 546 073 B1号
【特許文献75】国際特許公開第WO 92/03918号
【特許文献76】国際特許公開第WO 92/22645号
【特許文献77】国際特許公開第WO 92/22647号
【特許文献78】国際特許公開第WO 92/22670号
【特許文献79】国際特許公開第WO 93/12227号
【特許文献80】国際特許公開第WO 94/00569号
【特許文献81】国際特許公開第WO 94/25585号
【特許文献82】国際特許公開第WO 96/14436号
【特許文献83】国際特許公開第WO 97/13852号
【特許文献84】国際特許公開第WO 98/24884号
【特許文献85】米国特許第5,981,175号
【特許文献86】欧州特許出願第773 288号
【特許文献87】欧州特許出願第843 961号
【特許文献88】米国特許第4,399,216号
【特許文献89】米国特許第4,912,040号
【特許文献90】米国特許第4,740,461号
【特許文献91】米国特許第4,959,455号
【特許文献92】米国特許第4,816,397号
【特許文献93】米国特許第5,916,771号
【特許文献94】米国特許第6,207,418号
【特許文献95】米国特許第3,773,919号
【特許文献96】欧州特許第EP 58,481号
【特許文献97】欧州特許第EP 133,988号
【特許文献98】米国特許第DE 3,218,121号
【特許文献99】欧州特許第EP 52,322号
【特許文献100】欧州特許第EP 36,676号
【特許文献101】欧州特許第EP 88,046号
【特許文献102】欧州特許第EP 143,949号
【特許文献103】欧州特許第142,641号
【特許文献104】日本国特許出願第83-118008号
【特許文献105】米国特許第4,485,045号
【特許文献106】米国特許第4,544,545号
【特許文献107】米国特許第EP 102,324号
【特許文献108】米国特許公開第20030232048号
【特許文献109】国際公開第W0/03048730A2号
【非特許文献1】Matsumotoら、J. Leukoc. Biol.、62巻(5)、581〜7頁(1997年)
【非特許文献2】Ajueborら、Immunology、105巻(2)、137〜43頁(2002年)
【非特許文献3】Singhら、Histol. Histopathol、15巻(3)、843〜9頁(2000年)
【非特許文献4】Dinarelloら、JAMA、269巻(14)、1829〜35頁(1993年)
【非特許文献5】Jiangら、Int J Dermatol、40巻(11)、699〜703頁(2001年)
【非特許文献6】Kraanら、J Invest Dermatol、116巻(2)、319〜29頁(2001年)
【非特許文献7】Imadaら、Scand J Gastroenterol、36巻(8)、854〜64頁、(2001年)
【非特許文献8】Lynchら、Am Rev Respir Dis.、145巻(6)、1433〜9頁(1992年)
【非特許文献9】Xieら、Cytokine Growth Factor Rev.、12巻(4)、375〜91頁(2001年)
【非特許文献10】プレスリリース、Abgenix, Inc.、2002年1月3日
【非特許文献11】Yangら、J. Leukoc. Biol.、66巻(3)、401〜410頁(1999年)
【非特許文献12】Foote, J. & Eisen、H.N., PNAS USA、92巻、1254〜6頁(1995年)
【非特許文献13】Batista, F.D. & Neuberger、M.S., Immunity、8巻、751〜9頁(1998年)
【非特許文献14】Watts, C. & Davidson、H.W., EMBO J.、7巻、1937〜45頁(1998年)
【非特許文献15】「Demonstration of an in vivo generated sub-picomolar affinity fully human monoclonal antibody to interleukin-8」、Rathanaswamiら、Biochem. Biophys. Res. Commun.、334巻、1004〜13頁(2005年)
【非特許文献16】Singletonら、Dictionary of Microbiology and Molecular Biology、第2版、J. Wiley & Sons(New York、ニューヨーク州、1994年)
【非特許文献17】Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、(第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989年))
【非特許文献18】Mullisら、Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol.、51巻、263頁(1987年)
【非特許文献19】Erlich編集、PCR Technology (Stockton Pres、NY、1989年)
【非特許文献20】Chothiaら、J. Mol. Biol.、186巻、651頁(1985年)
【非特許文献21】Novotny and Haber、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.、82巻、4592頁(1985年)
【非特許文献22】Chothiaら、Nature、342巻、877〜883頁(1989年)
【非特許文献23】Kohlerら、Nature、256巻、495頁(1975年)
【非特許文献24】Clacksonら、Nature、352巻、624〜628頁(1991年)
【非特許文献25】Marksら、J. Mol.Biol、222巻、581〜597頁(1991年)
【非特許文献26】Ravetch and Kinet、Annu. Rev. Immunol、9巻、457〜92頁(1991年)、464頁、表3
【非特許文献27】Clynesら、PNAS (USA)、95巻、652〜656頁(1988年)
【非特許文献28】Kabatら、Sequences of Proteins of Ihnmunological Interest、第5版、Public Health Service、National Institutes of Health, Bethesda, MD、(1991年)
【非特許文献29】Chothia and Lesk J.、Mol. Biol.、196巻、901〜917頁(1987年)
【非特許文献30】Bruce Albertsら、Molecular Biology of the Cell、Garland Publishing, Inc.、New York(第3版、1994年)
【非特許文献31】「Selected Lymphocyte Antibody Method」(Babcookら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、i93巻、7843〜7848頁(1996年)
【非特許文献32】Greenら(Nature Genetics、7巻、13〜21頁(1994年))
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【非特許文献34】Green and Jakobovits、J. Exp. Med.、188巻、483〜495頁(1998年)
【非特許文献35】LaPlancheら、Nucl. Acids Res、14巻、9081頁(1986年)
【非特許文献36】Stecら、J. Am. Chem. Soc.、106巻、6077頁(1984年)
【非特許文献37】Steinら、Nucl. Acids Res.、16巻、3209頁(1988年)
【非特許文献38】Zonら、Anti-Cancer Drug Design、6巻、539頁(1991年)
【非特許文献39】Zonら、Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach、87〜108頁(F. Eckstein編集、Oxford University Press、Oxford、英国(1991年))
【非特許文献40】Uhlmann and Peyman、Chemical Reviews、90巻、543頁(1990年)
【非特許文献41】Dayhoff, M.O.、「Atlas of Protein Sequence and Structure」、101〜110頁(第5巻、National Biomedical Research Foundation(1972年))、およびこの巻に対する第2補完1〜10頁
【非特許文献42】Smith and Waterman Adv. Appl. Math.、2巻、482頁(1981年)
【非特許文献43】Needleman and Wunsch、J Mol. Biol.、48巻、443頁(1970年)
【非特許文献44】Pearson and Lipman、Proc. Natl. Acad. Sci.(U.S.A.)、85巻、2444頁(1988年)
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【非特許文献47】Proteins, Structures and Molecular Principles (Creighton編集、W. H. Freeman and Company、New York、(1984年))
【非特許文献48】Introduction to Protein Structure (C. Branden and J. Tooze編集、Garland Publishing, New York、ニューヨーク州(1991年))
【非特許文献49】Thorntonら、Nature、354巻、105頁(1991年)
【非特許文献50】The McGraw-Hill Dictionary of Chemical Terms (Parker, S.編集、McGraw-Hill, SanFrancisco(1985年))
【非特許文献51】Fundamental Immunology第7章(Paul, W.編集、第2版、Raven Press, N.Y. (1989年))
【非特許文献52】Kabat、Sequences of Proteins of Immunological Interest (National Institutes of Health、Bethesda、メリーランド州(1987年および1991年))
【非特許文献53】Chothiaら、Nature、342巻、878〜883頁(1989年)
【非特許文献54】Songsivilai & Lachmann Clin.、Exp. Imniunol.、79巻、315〜321頁(1990年)
【非特許文献55】Kostelnyら、J. Imnzunol.、148巻、1547〜1553頁(1992年)
【非特許文献56】Remington: The Science and Practice of Pharmacy(第20版、Lippincott Williams & Wilkens Publishers(2003年))
【非特許文献57】Langerら、J. Biomed Mater. Res.(1981年)15巻、167〜277頁
【非特許文献58】Langer, Chem. Tech.(1982年)12巻98〜105頁
【非特許文献59】Sidmanら、Biopolymers、(1983年)22巻、547〜556頁
【非特許文献60】Epsteinら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA(1985年)82巻、3688〜3692頁
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【非特許文献62】Baldrick P.、「Pharmaceutical excipient development: the need for preclinical guidance.」Regul. Toxicol. Pharmacol.、32巻(2)、210〜8頁(2000年)
【非特許文献63】Wang W.「Lyophilization and development of solid protein pharmaceuticals.」Int. J. Pharm.、203巻(1〜2)、1〜60頁(2000年)
【非特許文献64】Charman WN「Lipids, lipophilic drugs, and oral drug delivery-some emerging concepts.」J Pharm Sci.、89巻(8)、967〜78頁(2000年)
【非特許文献65】Powellら、「Compendium of excipients for parenteral formulations」PDA JPharm Sci Technol.、52巻、238〜311頁(1998年)
【非特許文献66】Goding、Monoclonal Antibodies: Principles and Practice、59〜103頁、Academic Press、1996年
【非特許文献67】Kozbor、J Immunol.、133巻、3001頁(1984年)
【非特許文献68】Brodeurら、Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications、51〜63頁、Marcel Dekker, Inc.、New York(1987年)
【非特許文献69】Munsonら、Anal. Biochem.、107巻、220頁(1980年)
【非特許文献70】Ohmuraら、Anal. Chem.、73巻、3392頁、2001年
【非特許文献71】Blakeら、Anal. Biochem.、272巻、123頁、1999年
【非特許文献72】Jonesら、Bioconjug Chem、13巻、408頁、2002年
【非特許文献73】Ferrante, A. & Thong, Y.H.、A Rapid One-step Procedure for Purification of Mononuclear and Polymorphonuclear Leukocytes from Human Blood Using a Modification of the Hypaque-Ficoll Technique、J. Immunol. Methods、24巻、389〜393頁(1978年)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様では、本発明は、IL-8に対する高親和性抗体に関する。IL-8に対する抗体のKdは、好ましくは10pM未満であり、より好ましくは1pM未満であり、さらにより好ましくは100fM未満であり、なおより好ましくは10fM未満である。抗体は、好ましくはヒトモノクローナル抗体であり、立体配座のエピトープまたは直線状のエピトープに結合することができる。好ましい実施形態では、抗体は、IL-8受容体に結合する能力など、少なくとも1つのIL-8の生物学的活性を中和する。
【0010】
いくつかの態様では、本発明は、ペプチドに結合する抗体またはその抗原結合部分に関し、ペプチドはELRCQCIKTYSK(配列番号79)である。いくつかの態様では、本発明は、ペプチドに結合する抗体またはその抗原結合部分に関し、ペプチドはELRCQCIKTYSK(配列番号79)である。いくつかの態様では、本発明は、ペプチドに結合する抗体またはその抗原結合部分に関し、ペプチドは、LRCQCIKTYSKPFHPKFIKE(配列番号62)またはELRCQCIKTYSK(配列番号79)である。
【0011】
いくつかの態様では、本発明は、対象に有効量の抗IL-8抗体を投与することを含む、疾患を処置するための方法に関し、前記抗IL-8抗体は、連続した配列であるELRCQCIKTYSK(配列番号79)を有するペプチドに結合する。
【0012】
いくつかの態様では、本発明は、対象に有効量の抗IL-8抗体を投与することを含む、疾患を処置するための方法に関し、前記抗IL-8抗体はペプチドに結合し、前記ペプチドはELRCQCIKTYSK(配列番号79)である。
【0013】
いくつかの態様では、本発明は、対象に有効量の抗IL-8抗体を投与することを含む、疾患を処置するための方法に関し、前記抗IL-8抗体は、IL-8に約10pM未満のKdで結合する。
【0014】
いくつかの態様では、本発明は、IL-8エピトープと免疫反応する抗体を含む治療用組成物に関し、前記IL-8エピトープはアミノ酸ELRCQCIKTYSK(配列番号79)であり、前記抗体は炎症を予防し、抗体のKdは約10pM未満である。
【0015】
いくつかの態様では、本発明は、IL-8に関連する障害を処置するための薬物の製造における、IL-8に対するヒトモノクローナル抗体の使用に関し、IL-8に関連する障害は、IL-8悪性メラノーマ、肺障害、炎症状態;慢性閉塞性肺疾患(COPD)、特発性肺線維症、乾癬、関節リウマチ、および炎症性腸疾患からなる群から選択され、ヒトモノクローナル抗体のIL-8に対するKdは約10pM未満である。
【0016】
いくつかの態様では、本発明は、本明細書に記載する抗体またはその抗原結合部分の、IL-8に関連する障害を処置するための薬物の製造における使用に関し、IL-8に関連する障害は、IL-8悪性メラノーマ、肺障害、炎症状態;慢性閉塞性肺疾患(COPD)、特発性肺線維症、乾癬、関節リウマチ、および炎症性腸疾患からなる群から選択される。
【0017】
別の一態様では、本発明は、以下に開示する抗体番号:33、142、203、215、469、809、837、861、928、1064、1080、および1093からなる群から選択される抗体に関する。特定の実施形態では、抗体は抗体番号809、837、861、928、および1064からなる群から選択される。
【0018】
いくつかの実施形態では、高親和性の抗IL-8抗体は、配列番号3に少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域アミノ酸配列、および配列番号1に少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。他の実施形態では、抗体は、配列番号7および5、11および9、15および13、19および17、23および21、27および25、31および29、35および33、39および37、43および41、ならびに47および45にそれぞれ、少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖および軽鎖可変領域を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、IL-8に対する高親和性抗体の重鎖可変領域は、配列番号3、7、11、15、19、23、27、31、35、39、43、および47からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。軽鎖可変領域は、配列番号1、5、9、13、17、21、25、29、33、37、41、および45からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むことが好ましい。
【0020】
他の実施形態では、高親和性の抗IL-8抗体は、配列番号4および2、8および6、12および10、16および14、20および18、24および22、28および26、32および30、36および34、40および38、44および42、ならびに48および46に、それぞれ、少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸によってコードされる重鎖および軽鎖可変領域を含む。
【0021】
特定の実施形態では、配列番号35に少なくとも90%同一であり、より好ましくは少なくとも95%同一である重鎖アミノ酸配列を含む、IL-8に特異的に結合する抗体を提供する。抗体は、配列番号33に少なくとも90%同一であり、より好ましくは配列番号33に少なくとも95%同一である軽鎖を含むことが好ましい。一実施形態では、抗体は抗体番号928であることが好ましい。
【0022】
別の特定の一実施形態では、IL-8に抗親和性で特異的に結合するモノクローナル抗体は、配列番号35を含むアミノ酸残基1〜66を含む重鎖アミノ酸配列、および配列番号33を含む軽鎖アミノ酸配列を含む。抗体の親和性は、1pMより良好であることが好ましい。
【0023】
高親和性でIL-8に特異的に結合する抗体も提供され、この場合、重鎖アミノ酸配列はCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、CDR1配列は、配列番号7、11、19、15、23、35、39、31、47、3、27、および43のアミノ酸残基26〜35からなる群から独立に選択され、CDR2配列は、配列番号7、11、19、15、23、35、および39のアミノ酸残基50〜66、ならびに配列番号31、47、3、27、または43のアミノ酸残基50〜65からなる群から独立に選択され、CDR3配列は、配列番号7および11のアミノ酸残基99〜113、配列番号19のアミノ酸残基99〜112、配列番号15、23、35、および39のアミノ酸残基99〜106、ならびに配列番号31、47、3、27、または43のアミノ酸残基98〜106からなる群から独立に選択される。
【0024】
他の実施形態では、高親和性でIL-8に特異的に結合する抗体が提供され、軽鎖アミノ酸配列はCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、CDR1配列は、配列番号5、9、13、21、33、37、29、および17のアミノ酸残基24〜34、ならびに配列番号1、25、41、および45のアミノ酸残基24〜40からなる群から独立に選択され、CDR2配列は、配列番号5、9、13、21、33、37、29、および17のアミノ酸残基50〜56、ならびに配列番号1、25、41、および45のアミノ酸残基56〜62からなる群から独立に選択され、CDR3配列は、配列番号5、29、および17のアミノ酸残基89〜97、配列番号9のアミノ酸残基89〜98、配列番号13、21、33、および37のアミノ酸残基89〜96、配列番号1、25、および41のアミノ酸残基95〜103、ならびに配列番号45のアミノ酸残基95〜102からなる群から独立に選択される。一実施形態では、抗体のIL-8に対する結合親和性は少なくとも約10pMであるのが好ましい。
【0025】
特定の一実施形態では、高親和性でIL-8に特異的に結合するモノクローナル抗体は、配列番号33のアミノ酸残基24〜34、50〜56、89〜96を含む、軽鎖のCDR1配列、CDR2配列、およびCDR3配列を含む。
【0026】
別の一態様では、本発明は、配列番号35を含む重鎖アミノ酸配列、および配列番号33を含む軽鎖アミノ酸配列を含む抗体と同じIL-8上のエピトープに結合する抗体に関する。
【0027】
別の一態様では、本発明は、高親和性の抗IL-8抗体を薬学的に許容できる担体と組み合わせて含む、治療用組成物を提供する。いくつかの実施形態では、抗体は、放射性同位体または毒素と連結していることがある。
【0028】
別の一態様では、本発明は、患者に有効量の高親和性抗IL-8抗体を投与することを含む、疾患または障害を処置するための方法を提供する。患者は、好ましくは哺乳動物の患者であり、より好ましくはヒトの患者である。一実施形態では、患者は炎症性障害に罹患している。他の実施形態では、処置する疾患は、悪性メラノーマなどの癌である。特定の実施形態では、1つまたは複数の高親和性抗IL-8抗体を用いて、細菌性肺炎、喘息、潰瘍性大腸炎、COPD、慢性気管支炎、肺気腫、気管支拡張症、免疫グロブリン欠損症、および嚢胞性線維症からなる群から選択される疾患または障害を処置する。
【0029】
他の実施形態は、哺乳動物の組織、体液、または細胞においてIL-8を検出するためのシステムを提供する。このアッセイは、細菌性肺炎、喘息、潰瘍性大腸炎、COPD、慢性気管支炎、肺気腫、気管支拡張症、免疫グロブリン欠損症、嚢胞性線維症、あるいはIL-8のレベルおよび/または活性における変化に関連している他の疾患など、IL-8のレベルにおける変化に関連している疾患または障害について患者をスクリーニングするのに用いることができる。このシステムは、少なくとも1つのアッセイを行うのに十分な量の、高親和性の抗IL-8抗体を含んでいる組成物を含む容器を含むことが好ましい。この抗体組成物は、例えば、溶液で、または固相のマトリックスに付着していることができる。このシステムは、患者からのサンプルが抗体組成物と接触する際に形成する、あらゆる免疫反応生成物における抗体分子の存在を示すための、検出可能な標識も含んでいる。
【0030】
本発明は、「発明を実施するための最良の形態」、および添付の図面から、より良好に理解されるが、これらは例示を意図するものであって、本発明を限定しようとするものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
mAbの親和性における改善により、効力における改善がもたらされ得る。したがって、IL-8を高親和性(低い「Kd」)で認識する抗体を同定することが望ましい。このような抗体の創造を本明細書に記載する。いくつかの実施形態では、これらの抗体またはそのフラグメントの結合は、IL-8の、他の分子、例えばIL-8受容体との相互作用を妨げ、それによってIL-8の生物学的活性を低減する。その結果、抗体を用いて、IL-8活性に関連する疾患または障害を処置することができる。これらは、例えば、対象におけるIL-8のレベルにおける変化を同定するのにもやはり用いることができ、したがって、そのような変化に関連する障害を診断するのに用いることができる。いくつかの実施形態では、対象の抗体は、10pM未満、好ましくは1pM未満、より好ましくは500fM未満のKdでIL-8に結合することができるものである。これらの抗体は、特にIL-8に高親和性を有することができる。
【0032】
本明細書に開示する高親和性IL-8抗体で処置し、かつ/または診断することができる、IL-8に関連する疾患には、制限なく、細菌性肺炎、喘息、潰瘍性大腸炎、COPD、慢性気管支炎、肺気腫、気管支拡張症、免疫グロブリン欠損症、乾癬、および嚢胞性線維症が含まれる。このような診断および/または処置に関連して、本明細書に記載する抗IL-8抗体を含む製品も提供される。
【0033】
抗体が結合するIL-8の特定のエピトープも、同定される。例えば、アミノ酸配列LRCQCIKTYSKPFHPKFIKE(配列番号62)、およびそのサブパートを含むエピトープは、以下に記載するIL-8抗体のいくつかにより認識される。これらのエピトープに対するさらなる抗体も創造することができ、IL-8に関連する疾患および障害を診断および処置するのに用いられる。例えば、いくつかの実施形態では、対象の抗体は、開示されているペプチドフラグメントまたは「抗原性フラグメント」、例えば、LRCQCIKTYSKPFHPKFIKE(配列番号62)、KPXPXF(配列番号63)、および/またはKPFHPKF(配列番号64)の1つにより、IL-8に結合する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のこれらのフラグメントに結合する抗体は、IL-8に対しても高い親和性を有する。これらの抗体は、10pM、1pM、0.5pM、および0.1pM未満のKdを有し得る。
【0034】
定義
別段の定義がなされなければ、本発明に関連して用いられる化学技術用語は、当業者であれば通常理解する意味を有する。さらに、文脈上別段に必要とされなければ、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含む。一般的に、本明細書に記載される、細胞および組織培養、分子生物学、ならびにタンパク質およびオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの化学、ならびにハイブリダイゼーションに関連して利用される学術用語、およびそれらの技術は、当技術分野ではよく知られており、一般的に用いられているものである。組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、ならびに組織培養および形質転換(例えば、電気穿孔、リポフェクション)では、標準の技術が用いられる。酵素反応および精製技術は、製造者の仕様書に従って、または当技術分野で一般的に行われる通りに、または本明細書に記載する通りに行われる。例えば、本明細書に参照として組み入れられる、Singletonら、Dictionary of Microbiology and Molecular Biology、第2版、J. Wiley & Sons(New York、ニューヨーク州、1994年);Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、(第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989年)) を参照されたい。本明細書に記載される分析化学、有機合成化学、ならびに医薬品化学および製薬化学に関して利用される学術用語、ならびにこれらの実験室の手順および技術は、よく知られており、当技術分野で一般的に用いられるものである。標準の技術を、化学合成、化学分析、製薬上の調製、配合、および送達、ならびに患者の処置に用いる。
【0035】
本明細書で用いられる語である「IL-8」および「IL8」の語は、ヒトインターロイキン-8を意味し、これは当技術分野では、好中球活性化タンパク質、好中球走化性因子(NCF)、およびT細胞走化性因子としても知られている。
【0036】
「ABX-IL-8抗体」の語は、カリフォルニア州Fremontの、Abgenix, Inc.が開発した、特定のヒト抗IL-8抗体を意味する。特に、これは、2002年1月3日にAbgenix, Inc.からのプレスリリースで論じられ、Yangら、J. Leukoc. Biol.、66巻(3)、401〜410頁(1999年)でさらに論じられている、XenoMouse(登録商標)技術で産生される、完全なヒトモノクローナル抗体である。「ABXha-IL-8抗体」は、本明細書に記載する「高親和性の」抗IL-8抗体を意味する。
【0037】
「ABXha-IL-8エピトープ」の語は、本明細書で用いられる場合は、ABXha-IL-8抗体に特異的に結合することができるIL-8抗原上のエピトープを意味する。「ABXha-IL-8エピトープ」は、好ましくはIL-8のアミノ酸ポジション16にプロリンを、より好ましくは、IL-8のアミノ酸残基15から21に対応するアミノ酸配列KPXPXF(配列番号63)を、最も好ましくはアミノ酸配列「LRCQCIKTYSKPFHPKFIKE(配列番号62)」を含んでいる。エピトープは直線状でも、または立体配座でもよい。以下に言及するようにさらなるエピトープも適切である。
【0038】
本明細書で用いられる「高親和性」抗体は、IL-8に対するKdが、100pM未満の、さらにより好ましくは10pM未満の、なおより好ましくは1pM未満の、またより好ましくは100fM未満の、さらにより好ましくは10fM未満である抗体である。
【0039】
本明細書に記載する特定の抗体の多くは、IL-8に対して高い親和性を有する。例えば、抗体809のKdは約2.23pMであり、抗体837のKdは約10.9pMであり、抗体861のKdは約2.89pMであり、抗体928のKdは約0.06pMである。これらは親和性成熟を経験しなかった高親和性抗体である。
【0040】
「Kdの低い」抗体は、抗原に高親和性で結合する抗体である。
【0041】
「ポリメラーゼ連鎖反応」すなわち「PCR」は、核酸、RNA、および/またはDNAの、特定の部分の微小量が、例えば、米国特許第4,683,195号に記載されたように増幅される手順または技術を意味する。オリゴヌクレオチドのプライマーをデザインすることができ、このプライマーは、増幅すべきテンプレートの反対側の鎖の部分に対する配列において同一または類似である。2つのプライマーの5'末端のヌクレオチドは、増幅される材料の終末に一致し得る。PCRは、特定のRNA配列、全体のゲノムDNAからの特定のDNA配列、および全体の細胞のRNA、バクテリオファージ、またはプラスミド配列などから転写されたcDNAを増幅するのに用いることができる。一般的には、Mullisら、Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol.、51巻、263頁(1987年); Erlich編集、PCR Technology (Stockton Pres、NY、1989年)を参照されたい。本明細書で用いられるPCRは、知られている核酸をプライマーとして用い、特定の核酸の小片を増幅または産生するために核酸のポリメラーゼを用いることを含む、核酸の試験サンプルを増幅するための核酸のポリメラーゼ反応方法の一例であるが、唯一の例ではないと考えられている。
【0042】
「抗体(Abs)」および「免疫グロブリン(Igs)」は、構造上の特徴が同じである糖タンパク質である。抗体は特定の抗原に結合特異性を示し、免疫グロブリンは抗原特異性を欠く抗体および他の抗原様分子の両方を含む。後者の種類のポリペプチドは、例えば、リンパ系によって低レベルで生成され、ミエローマによって高レベルで生成される。
【0043】
「天然の抗体および免疫グロブリン」は、通常、約150,000ダルトンのヘテロ四量体の糖タンパク質であり、2本の同一の軽鎖(L)、および2本の同一の重鎖(H)からなる。各軽鎖は、1つの共有性のジスルフィド結合によって重鎖に連結しており、ジスルフィド結合の数は、異なる免疫グロブリンのアイソタイプの重鎖間で変動する。各重鎖および軽鎖には、規則正しい間隔の鎖間ジスルフィド架橋がある。各重鎖の一端には可変ドメイン(VH)があり、その後に数々の定常ドメインが続く。各軽鎖の一端には可変ドメイン(VL)があり、その他端には定常ドメインがある。軽鎖の定常ドメインは重鎖の第1の定常ドメインと一直線に並び、軽鎖の可変ドメインは重鎖の可変ドメインと一直線に並んでいる。特定のアミノ酸残基が、軽鎖と重鎖との可変ドメインの間の接合面を形成すると考えられている(Chothiaら、J. Mol. Biol.、186巻、651頁(1985年);Novotny and Haber、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.、82巻、4592頁(1985年); Chothiaら、Nature、342巻、877〜883頁(1989年))。
【0044】
「抗体」の語は、本明細書では最も広範な意味で用いられており、望ましい生物学的活性および抗体配列の変異を示す限り、制限なく、完全なモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つの完全な抗体から形成された多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、FabおよびF(ab)'2を含む抗体フラグメントを包含する。あらゆる脊椎動物種からの抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、κおよびλと呼ばれる、2つの明らかに異なるタイプの1つに割り当てることができる。抗体の結合フラグメントを組換えDNA技術により、または完全な抗体の酵素的もしくは化学的な切断により生成することができる。結合フラグメントには、Fab、Fab'、F(ab')2、Fvおよび単鎖抗体が含まれる。「二重特異性」または「二機能性」抗体以外の抗体は、その各々の結合部位が同一であるものと理解される。抗体は、過剰の抗体が、少なくとも約20%、40%、60%、または80%、およびより通常には約85%を超えてカウンターレセプターに結合している受容体の量を低減する場合(in vitroの競合的結合アッセイで測定して)、受容体のカウンターレセプターへの接着を実質的に阻害する。
【0045】
その重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、完全な抗体を様々な「クラス」に割り当てることができる。完全な抗体には5つの大きなクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMが存在し、これらのいくつかは「サブクラス」(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2にさらに分けることができる。様々なクラスの抗体に対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γ、およびμと呼ばれる。様々なクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造、および3次元の立体配座はよく知られている。
【0046】
「mAb」の語は、モノクローナル抗体を意味する。本明細書で用いられる「モノクローナル抗体」の語は、実質的に均一の抗体の一集団から得られた抗体を意味し、すなわち、集団を構成する個々の抗体は少量で存在することがある天然に存在する可能な突然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一の抗原部位を認識する。さらに、様々な決定要因(エピトープ)を認識する様々な抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定要因を認識する。その特異性の他に、モノクローナル抗体は、他の抗体によって汚染されないで合成することができるという点で有利である。修飾語である「モノクローナル」は、抗体の特徴が実質的に均一な抗体集団から得られることを示し、任意の特定の方法による抗体の生成を必要とするものと解釈すべきではない。例えば、本発明に従って用いられるモノクローナル抗体は、Kohlerら、Nature、256巻、495頁(1975年)によって最初に記載されたハイブリドーマ方法によって作成することができ、または組換えDNA方法によって作成することができる(例えば、米国特許第4,816,567号、および米国特許第5,627,052号を参照されたい)。「モノクローナル抗体」は、ファージ抗体ライブラリーから、例えば、Clacksonら、Nature、352巻、624〜628頁(1991年)、およびMarksら、J. Mol.Biol.、222巻、581〜597頁(1991年)に記載された技術を用いて単離することもできる。
【0047】
「単離された」抗体は、その天然の環境の成分から、同定され、分離され、かつ/または回収された抗体である。その天然の環境の汚染成分は、抗体の診断上または治療上の使用を妨害する材料であり、酵素、ホルモン、および他のタンパク質性の、または非タンパク質性の溶質を含み得る。好ましい一実施形態では、抗体は、(1)Lowry法、およびスピニングカップシークエネーター(spinning cup sequenator)の使用により末端もしくは内部のアミノ酸配列により決定して95重量%の抗体を超えて、または(3)クーマシーブルー、もしくは好ましくは銀染色を用いて、還元もしくは非還元の条件下でSDS-PAGEによる均一性に精製する。抗体の天然の環境の少なくとも1つの成分は存在しないので、単離された抗体は、組換え細胞内にin situで抗体を含む。しかし、通常は、単離された抗体は、少なくとも1つの精製ステップにより調製される。
【0048】
「中和抗体」は、それに対して結合する標的の抗原の生物学的活性を除去し、または著しく低減することができる抗体分子である。したがって、「中和」IL-8抗体は、IL-8活性を除去し、または著しく低減することができる。例えば、中和IL-8抗体は、IL-8受容体に対する結合を低減し、または除去することができる。別の一例では、中和IL-8抗体は、IL-8に結合することにより、およびIL-8を炎症部位からなくすことにより、走化性を低減しまたは防ぐことができる。
【0049】
「抗体依存性細胞媒介細胞傷害」、および「ADCC」は、IgFc受容体(FcR)を発現する非特異的な細胞傷害性の細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、およびマクロファージ)が、標的細胞上の結合した抗体を認識し、引き続き標的細胞の溶解を引き起こす、細胞媒介性の反応を意味する。ADCCを媒介するための主要な細胞であるNK細胞は、FcγRIIIだけを発現し、一方、単球はFcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIを発現する。造血細胞上のFcRの発現は、Ravetch and Kinet、Annu. Rev. Immunol、9巻、457〜92頁(1991年)の464頁、表3にまとめてある。対象の分子のADCC活性を評価するために、米国特許第5,500,362号、または第5,821,337号に記載されているものなどのin vitroのADCCアッセイを行うことができる。このようなアッセイに有用なエフェクター細胞には、末梢血単核球(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。あるいは、または、さらに、対象の分子のADCC活性は、例えば、Clynesら、PNAS (USA)、95巻、652〜656頁(1988年)に発表されているものなど、例えば、動物モデルなどで、in vivoで評価することができる。
【0050】
「可変」の語は、可変ドメインのある部分は抗体間の配列において大きく異なり、その特定の抗原に対する特定の各抗体の結合および特異性において用いられる。しかし、可変性は、抗体の可変ドメインにわたって均等に分配されない。それは、Ig軽鎖および重鎖可変ドメインの両方における、相補性決定領域(CDR)または超可変領域と呼ばれる3つのセグメントに集中している。可変ドメインの、より高度に保存されている部分は、フレームワーク(FR)と呼ばれる。天然の重鎖および軽鎖の可変ドメインは各々、4つのFR領域を含み、主にβ-シートの立体配座をとり、3つのCDRにより接続し、3つのCDRはβ-シート構造を接続し、場合によってはβ-シート構造の部分を形成するループを形成する。各鎖におけるCDRは、FR領域により緊密に近接してまとめられ、他の鎖からのCDRとともに抗体の抗原結合部分の形成を担っている(Kabatら(1991年)を参照されたい)。定常ドメインは、抗体の抗原に対する結合に直接関与しないが、抗体の抗体依存性細胞傷害における関与など、様々なエフェクター機能を示す。
【0051】
酵素パパインで抗体を消化すると、「Fab」フラグメント、および抗原結合活性がないが結晶化する能力を有す「Fc」フラグメントとしても知られる2つの同一の抗原結合フラグメントがもたらされる。酵素ペプシンで抗体を消化すると、抗体分子の2本のアームは連結したまま、2つの抗原結合部分を含むF(ab')2フラグメントがもたらされる。F(ab')2フラグメントは、抗原に架橋結合する能力を有する。
【0052】
「Fab」は、本明細書で用いられる場合は、軽鎖の定常ドメイン、および重鎖のCH1ドメインを含む抗体のフラグメントを意味する。
【0053】
「Fv」は、本明細書で用いられる場合は、抗原認識部位および抗原結合部分の両方を保持する、抗体の最小のフラグメントを意味する。2本鎖Fv種では、この領域は、密接な、非共有の関係の、1本の重鎖および1本の軽鎖の可変ドメインのダイマーからなる。単鎖Fv種では、1本の重鎖および1本の軽鎖の可変ドメインが、柔軟なペプチドリンカーによって共有性に連結することができ、したがって軽鎖および重鎖が2本鎖のFv種においてそれに類似している「ダイマーの」構造で関連することができる。各可変ドメインの3つのCDRが相互作用して、VH-VLダイマーの表面上に抗原結合部分を規定するのは、この立体配座においてである。まとめると、6つのCDRが、抗体に抗原結合性の特異性を付与している。しかし、単一の可変ドメイン(または、抗原に特異的な3つのCDRだけを含む、半分のFv)でも、全体の結合部位よりも低い親和性ではあるが、抗原を認識し、結合する能力を有している。
【0054】
「超可変領域」は、本明細書で用いられる場合は、抗原結合性を担う、抗体のアミノ酸残基を意味する。超可変領域は、一般的に「相補性決定領域」すなわち「CDR」からのアミノ酸残基(例えば、軽鎖可変ドメインにおける残基24〜34(L1)、50〜62(L2)、および89〜97(L3)、ならびに重鎖可変ドメインにおける31〜55(H1)、50〜65(H2)、および95〜102(H3);Kabatら、Sequences of Proteins of Ihnmunological Interest、第5版、Public Health Service、National Institutes of Health, Bethesda, MD、(1991年))、ならびに/または「超可変ループ」からの残基(例えば、軽鎖可変ドメインにおける残基26〜32(L1)、50〜52(L2)、および91〜96(L3)、ならびに重鎖可変ドメインにおける26〜32(H1)、53〜55(H2)、および96〜101(H3);Chothia and Lesk J.、Mol. Biol.、196巻、901〜917頁(1987年))を含む。「フレームワーク領域」すなわち「FR」残基は、本明細書で定義した超可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。
【0055】
「相補性決定領域」すなわち「CDR」は、特異的なリガンドと接触しその特異性を決定する、免疫学的受容体、例えば抗体の部分である。免疫学的受容体のCDRは、受容体タンパク質の最も可変性の部分であり、受容体に多様性を与え、受容体の可変ドメインの遠位終端に6つのループを保持し、3つのループは受容体の2つの可変ドメインの各々に由来する。
【0056】
「エピトープ」は、タンパク質の抗原上の、免疫学的受容体、特に抗体に対する結合部位を意味するために用いられる。エピトープの決定因子は、通常、アミノ酸または糖の側鎖などの分子の、化学的に活性な分子の表面のグループ化からなり、通常、特異的な3次元の構造上の特徴、および特異的な電荷の特徴を有する。抗体は、特異的または優先的な標的に結合するその能力が別の分子に結合するその能力を超える場合は、特異的であり、特異的に結合し、優先的に結合し、またはそのような語に類似するといわれる。
【0057】
「抗原性フラグメント」の語はタンパク質のフラグメントを意味し、この場合は、アミノ酸8個から20個の長さの、より好ましくはアミノ酸10個から16個の、最も好ましくはアミノ酸12個のIL-8タンパク質フラグメントを意味する。本明細書に開示する抗原フラグメントは、IL-8に対して非常に小さいKDの抗体を開発するのに特に有用であり得る。
【0058】
本明細書で用いられる「アミノ酸」または「アミノ酸残基」の語は、さらに以下に変異体に関して記載する、天然に存在するLアミノ酸またはDアミノ酸を意味する。一般に用いられるもの、およびアミノ酸に対する3文字略語が、本明細書では用いられる(Bruce Albertsら、Molecular Biology of the Cell、Garland Publishing, Inc.、New York(第3版、1994年))。
【0059】
「XENOMAX(登録商標)」は、XENOMOUSE(登録商標)動物と組み合わせて用いる場合は、「Selected Lymphocyte Antibody Method」(Babcookら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、i93巻、7843〜7848頁(1996年)、および以下の実施例で論じる)の使用を意味する。最初のXenoMouseマウス系統の産生は、Greenら(Nature Genetics、7巻、13〜21頁(1994年))に記載された。XenoMouse系統は、それぞれ245kbおよび190kbサイズのヒト重鎖遺伝子座およびκ軽鎖遺伝子座の生殖系列立体配座フラグメントを含む酵母菌人工染色体(YAC)で操作され、コアの可変領域および定常領域の配列を含んでいた。前述と同じ。ヒトIg含有YACは、抗体の再構成および発現の両方のためのマウスのシステムと適合性であることが証明され、不活性化されたマウスIg遺伝子に置き換わることができた。これは、B細胞の発生を誘発し、完全なヒト抗体の成人様ヒトレパートリーを生成し、抗原特異的なヒトmAbを産生する、その能力により実証された。これらの結果は、より多数のV遺伝子を含むヒトIg遺伝子座のより大きな部分、さらなる調節エレメント、およびヒトIg定常領域を導入することは、感染および免疫化に対するヒトの体液の反応の特徴である完全なレパートリーを実質的に反復し得ることも示唆していた。Greenらの研究は、メガベースサイズの、ヒト重鎖遺伝子座およびκ軽鎖遺伝子座のそれぞれの生殖系列の立体配座のYACフラグメントの導入により、ヒト抗体レパートリーの約80%を超えた導入に、最近拡張された。(Mendezら、Nature Genetics、15巻、146〜156頁(1997年)、およびその開示が本明細書に参照として組み入れられる1996年12月3日出願の米国特許出願第08/759,620号を参照されたい。)
【0060】
XenoMouseマウスの生成は、1990年1月12日出願の米国特許出願第07/466,008号、1990年11月8日出願の第07/610,515号、1992年7月24日出願の第07/919,297号、1992年7月30日出願の第07/922,649号、1993年3月15日出願の第08/031,801号、1993年8月27日出願の第08/112,848号、1994年4月28日出願の第08/234,145号、1995年1月20日出願の第08/376,279号、1995年4月27日出願の第08/430,938号、1995年6月5日出願の第08/464,584号、1995年6月5日出願の第08/464,582号、1995年6月5日出願の第08/463,191号、1995年6月5日出願の第08/462,837号、1995年6月5日出願の第08/486,853号、1995年6月5日出願の第08/486,857号、1995年6月5日出願の第08/486,859号、1995年6月5日出願の第08/462,513号、1996年10月2日出願の第08/724,752号、ならびに1996年12月3日出願の第08/759,620号、ならびに米国特許第6,162,963号、第6,150,584号、第6,114,598号、第6,075,181号、および第5,939,598号、ならびに日本国特許第3 068 180 B2号、第3 068 506 B2号、および第3 068 507 B2号、また、Mendezら、Nature Genetics、15巻、146〜156頁(1997年)、およびGreen and Jakobovits、J. Exp. Med.、188巻、483〜495頁(1998年)も参照されたい。また、1996年6月12日認可出願の欧州特許第EP 0 463 151 B1号、1994年2月3日公開の国際特許出願第WO 94/02602号、1996年10月31日公開の国際特許第WO 96/34096号、1998年6月11日公開の第WO 98/24893号、2000年12月21日公開の第WO 00/76310号、第WO 03/47336号にさらに論じられ、示されている。上記に引用した特許、出願、および参考文献の開示の各々は、その全文が参照により本明細書に組み入れられる。
【0061】
「SC」の語は単一の細胞を意味し、特定のXENOMAX(登録商標)由来の抗体は3桁の数字の続くSC、または3桁の数字だけに言及することができ、本明細書でそれに抗体が由来する単一の細胞の数字を意味する。
【0062】
「SLAM(登録商標)」の語は、「選択リンパ球抗体法(Selected Lymphocyte Antibody Method)」を意味し(Babcookら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、i93巻、7843〜7848頁(1996年)、およびSchrader、米国特許第5,627,052号)、その両方ともその全文が参照として組み入れられる。SLAMを、以下により詳しく記載する。簡潔に述べると、SLAMは、特異的な抗体を生成するために選択された単一のリンパ球から産生された免疫グロブリン可変領域cDNAの分子クローニングおよび発現に基づいた、モノクローナル抗体を産生するための取組みである。抗原特異的な溶血プラークアッセイを用いて、単一の細胞を選択することができる。次に、重鎖および軽鎖の可変領域のcDNAを、逆転写-PCRにより単一の細胞からレスキューし、ヒト免疫グロブリン定常領域の状況で発現させる。これらの組換えモノクローナル抗体は、オリジナルの抗体形成細胞の標的の特異性を複製する。
【0063】
「疾患状態」の語は、細胞の、または身体の機能、系統、または器官の、妨害、休止、または障害が生じた細胞の、または哺乳動物全体の生理学的状態を意味する。
【0064】
「症状」の語は、一般的にそれがその障害に特徴的であっても、そうでなくても、障害の、あらゆる身体的または観察可能な徴候を意味する。「症状」の語は、このような徴候全て、またはそれらのあらゆるサブセットを意味し得る。
【0065】
本明細書で用いられる「炎症」は、身体の傷害、感染、または局所の免疫反応により開始する、体液、血漿タンパク質、および白血球の局所の蓄積に対する一般的な語である。多くの様々な形態の炎症が、様々な疾患に関連している。「炎症に関連する」疾患には、例えば、乾癬、関節リウマチ、および炎症性腸疾患が含まれる。他の炎症に関連する疾患が、本明細書で論じられる。
【0066】
本明細書で用いられる「腫瘍」は、正常な組織に生じる速度および構造両方における異常な増殖を意味するが、明らかな機能をもたらさない。
【0067】
本明細書で用いられる「癌」は、非制御の増殖および異常な細胞の広がりを特徴とする、哺乳動物における状態を意味する。「癌」の例には、悪性メラノーマ、頭部および頚部の癌、乳癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、および脳腫瘍が含まれる。
【0068】
本明細書で用いられる「障害」または「疾患」は、1つまたは複数の身体の過程に影響を及ぼす異常状態を意味する。このような、「疾患」または「障害」は、処置で予防することができ、またはその重症度を低減することができる。開示する抗体を用いて処置することができる障害または疾患のいくつかの例には、無制限に、腫瘍、特に悪性腫瘍、悪性メラノーマ、腎細胞癌(RCC)、頭部および頚部の癌、乳癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、および脳腫瘍、および食道腫瘍;炎症性疾患、特に乾癬、関節リウマチ、および炎症性腸疾患、および肺障害、例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、および特発性肺線維症、および急性炎症性疾患、例えば、胃腸疾患が含まれる。これらは、「IL-8関連疾患」または障害の例である。「IL-8関連障害」または疾患は、IL-8の過剰発現、および/またはIL-8もしくはIL-8の受容体の活性の増大に起因する障害または疾患である。
【0069】
本明細書で用いられる「抗悪性腫瘍薬」は、ヒトにおける新生物、特に悪性の(癌性の)病変、例えば、メラノーマ、癌腫、肉腫、リンパ腫、または白血病の発生または進行を阻害する機能上の性質を有する物質を意味する。抗悪性腫瘍薬の性質は、しばしば転移の阻害である。
【0070】
「処置する」および「処置」の語は、両方とも治療的処置、および予防的または防止的措置を意味し、目的は、癌または炎症性疾患の発症または伝播など、望ましくない生理学的変化または障害を、防止し、または速度を緩める(低減する)ことである。いくつかの実施形態では、有益な、または望ましい臨床上の結果には、それだけには限定されないが、症状の軽減、疾患の程度の低減、疾患の状態の安定化(すなわち、悪化ではない)、疾患の進行の遅延または減速、疾患状態の回復または緩和、および、(部分的でも全身的でも、)検出可能でも検出不可能でも、寛解が含まれる。「処置」は、処置を受けなかった場合に予想される生存に比べて生存が延長することも意味し得る。処置を必要とするものには、すでに状態または疾患を有するもの、および状態もしくは障害を有する傾向があるもの、または状態もしくは障害が防止されるべきものが含まれる。
【0071】
「患者」の語には、ヒト、哺乳動物、および獣医学的対象が含まれる。
【0072】
「体液」の語は、ある時点において体液である、または身体内にあったあらゆる液体を含む。これには、例えば、制限なく、血液、胆汁、胃酸、粘液、尿、および脳脊髄液が含まれ得る。
【0073】
処置の目的で「投与する」は、患者に送達することを意味する。このような送達は、あらゆる知られた手段、例えば、静脈内、腹腔内、吸入、筋肉内、皮下、経口、局所、経皮、または外科的によることができる。
【0074】
処置の目的で「治療上有効な量」は、患者の状態および/または症状における観察可能な変化が、単独で、または他の処置と組み合わせて、その投与に起因し得るような量を意味する。
【0075】
処置の目的で「薬学的に許容できる」担体は、患者に投与することができる物理的な実体である。薬学的に許容できる担体、またはビヒクルは、それだけには限定されないが、丸剤、カプセル剤、カプレット剤、錠剤、経口投与される液剤、注入可能な液剤、スプレー剤、エアロゾル剤、トローチ剤、機能性食品、クリーム剤、ローション剤、油剤、溶液剤、パスタ剤、粉末剤、吸入剤、または液剤であり得る。薬学的に許容できるビヒクルの一例は、リン酸緩衝食塩水(PBS)などの緩衝等張液である。
【0076】
処置の目的で「中和する」ことは、化学的および/または生物学的活性を、部分的に、または完全に抑制することを意味する。
【0077】
処置の目的で「下方制御する」ことは、特定の標的組成物のレベルを低減することを意味する。
【0078】
「ポリペプチド」の語は、本明細書では、天然のタンパク質、フラグメント、またはポリペプチド配列の類似物質を意味する総称として用いられる。したがって、天然のタンパク質、フラグメント、および類似物質は、ポリペプチド属の種である。好ましいポリペプチドは、図1A、1B、1C、4A、および4Bに表すヒト重鎖免疫グロブリン分子、図1A、1B、1C、4A、および4B(例えば、配列番号1〜47の奇数)によって表されるヒトκ軽鎖免疫グロブリン分子、ならびに、重鎖免疫グロブリン分子を、κ軽鎖免疫グロブリン分子などの軽鎖免疫グロブリン分子とともに含む組合せによって形成される抗体分子、およびその逆、ならびにこれらの変異体、フラグメント、および類似物質を含む。
【0079】
本明細書で用いられる「単離されているタンパク質」の語は、cDNAのタンパク質、組換えRNA、または合成の起源、またはそれらのいくつかの組合せを意味し、その起源、派生の起源によって、「単離されているタンパク質」は、(1)天然に見出されるタンパク質と関連しておらず、(2)同じ起源からの1つもしくは複数の他のタンパク質から分離されており、例えば、ネズミ科動物のタンパク質を含まず、(3)異なる種からの細胞によって発現され、または(4)天然に存在しない。
【0080】
「オリゴヌクレオチド」の語は、本明細書では、天然に存在し、かつ天然に存在する、または天然に存在しないオリゴヌクレオチド連結によって一緒に連結されている修飾されたヌクレオチドを含むことを意味する。オリゴヌクレオチドは、200塩基またはそれより少ない長さを一般に含むポリヌクレオチドのサブセットである。好ましくは、オリゴヌクレオチドは、長さ10から60塩基であり、最も好ましくは、長さ12、13、14、15、16、17、18、19、または20から40塩基である。オリゴヌクレオチドは、例えばプローブでは、通常、1本鎖であるが、遺伝子の突然変異体の構築において使用するには、2本鎖であってよい。オリゴヌクレオチドは、センスでもまたはアンチセンスのオリゴヌクレオチドであってもよい。
【0081】
「天然に存在するヌクレオチド」と本明細書で呼ばれる語は、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含む。「修飾されたヌクレオチド」の語は、本明細書では、修飾された、または置換された糖の群などを有するヌクレオチドを含む。「オリゴヌクレオチド連結」と本明細書で呼ばれる語は、例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート、ホスホラニラデート(phosphoraniladate)、ホスホロアミデートなどのオリゴヌクレオチド連結を含む。例えば、その開示が本明細書に参照として組み入れられる、LaPlancheら、Nucl. Acids Res、14巻、9081頁(1986年); Stecら、J. Am. Chem. Soc.、106巻、6077頁(1984年);Steinら、Nucl. Acids Res.、16巻、3209頁(1988年);Zonら、Anti-Cancer Drug Design、6巻、539頁(1991年);Zonら、Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach、87〜108頁(F. Eckstein編集、Oxford University Press、Oxford、英国(1991年));Stecら、米国特許第5,151,510号;Uhlmann and Peyman、Chemical Reviews、90巻、543頁(1990年)を参照されたい。オリゴヌクレオチドは、所望により、検出のための標識を含むことができる。
【0082】
「ポリヌクレオチド」と本明細書で呼ばれる語は、リボヌクレオチド、またはデオキシヌクレオチド、またはいずれのタイプのヌクレオチドの修飾された形態で、少なくとも長さ10塩基のポリマーの形態のヌクレオチドを意味する。この語は、DNAの1本鎖および2本鎖の形態を含む。
【0083】
本明細書に記載する核酸、ならびにそのフラグメントおよび変異体は、非制限的な例として、(a)組換えまたは異種性の遺伝子生成物として、対応するコードされたタンパク質、ポリペプチド、フラグメント、および変異体の生合成を指示するために、(b)本明細書に開示する核酸の検出および定量のためのプローブとして、(c)アンチセンスの分子を調製するための配列のテンプレートとして、などに用いることができる。このような使用を、以下により完全に記載する。
【0084】
本明細書で用いられる「天然に存在する」の語は、対象物を天然に見出し得る事実を意味する。例えば、天然における供給源から単離することができ、実験室またはその他の方法で、人によって意図的に修飾されなかったポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列は、天然に存在するものである。
【0085】
本明細書で用いられる「単離されたポリヌクレオチド」の語は、ゲノムのcDNAのポリヌクレオチド、または合成の起源、またはそのいくつかの組合せを意味し、(1)それにおいて「単離されたポリヌクレオチド」が天然で見出され、またはそれとともに天然において関連する、1つまたは複数のポリヌクレオチドの全てまたは部分と関連しておらず、(2)天然において連結していないポリヌクレオチドに操作可能に連結しており、または(3)天然に存在しない。
【0086】
本明細書で用いられる「操作可能に連結している」の語は、それらがその意図された様式において機能できる関係であるように記載されている成分の位置を意味する。例えば、コード配列に「操作可能に連結している」コントロール配列は、コード配列の発現が、コントロール配列と適合性の条件下で実現される方法で接続されている。
【0087】
本明細書で言及される「選択的にハイブリダイズする」の語は、検出可能に、かつ特異的に結合することを意味する。ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、およびそれらのフラグメントは、非特異的な核酸に検出可能に結合する感知できる量を最小にする、ハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件下で核酸の鎖に選択的にハイブリダイズする。高い厳密性の条件を用いて、当技術分野では周知であり、本明細書で論じられる選択的なハイブリダイゼーション条件を実現することができる。一般的に、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、または抗体フラグメントと、対象の核酸配列との間の核酸配列の相同性は少なくとも80%であり、より典型的には少なくとも85%、90%、95%、99%、および100%の相同性の増大が好ましい。
【0088】
その配列間に部分的または完全な同一性が存在する場合は、2つのアミノ酸配列は「相同」である。例えば85%の相同性は、2つの配列を最大にマッチングするようにアラインした場合に85%のアミノ酸が同一であることを意味する。(2つの配列のいずれかがマッチする場合の)ギャップは、最大のマッチングにおいて許され、5またはそれより少ないギャップ長が好ましく、2またはそれより少ないとより好ましい。あるいは、かつ、好ましくは、突然変異データマトリックス、および6またはそれを超えるギャップペナルティーでALIGNプログラムを用いて5を超える(標準偏差単位において)アラインメントスコアを有する場合は、2つのタンパク質配列(または、少なくとも長さ約30個のアミノ酸の、それに由来するポリペプチド配列)は、本明細書で用いられる語のように、相同である。Dayhoff, M.O.、「Atlas of Protein Sequence and Structure」、101〜110頁(第5巻、National Biomedical Research Foundation(1972年))、およびこの巻に対する第2補完1〜10頁を参照されたい。ALIGNプログラムを用いて最適にアラインした場合に、それらのアミノ酸の相同性が50%またはそれを超える場合、2つの配列またはその部分は相同であるのがより好ましい。
【0089】
「に対応する」の語は、本明細書では、ポリヌクレオチド配列が参照のポリヌクレオチド配列の全てまたは一部分に相同である(すなわち、厳密に進化的に関連せずに、同一である)ことを意味し、あるいはポリペプチド配列が参照のポリペプチド配列の全てまたは一部分に同一であることを意味するために用いられる。
【0090】
それと比較対比して、「に相補的である」の語は、本明細書では、相補的な配列が、参照のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の全てまたは一部分に相同であることを意味するために用いられる。例示として、ヌクレオチド配列「TATAC」は、参照配列である「TATAC」に対応し、参照配列である「GTATA」に相補的である。
【0091】
以下の語は、2つまたはそれを超えるポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列間の配列の関係を記載するために用いられる:「参照配列」、「比較ウインドウ」、「配列同一性」、「配列同一性のパーセント値」、および「実質的に同一である」。「参照配列」は、配列比較の基準として用いられる規定された配列である。参照配列は、例えば、配列リストで与えられ、または完全なcDNAもしくは遺伝子配列を含むことができる、全長のcDNAのセグメントまたは遺伝子配列として、より大型の配列のサブセットであることができる。一般的には、参照配列は、少なくとも18個のヌクレオチドまたは6個のアミノ酸の長さであり、頻繁には少なくとも24個のヌクレオチドまたは8個のアミノ酸の長さであり、しばしば少なくとも48個のヌクレオチドまたは16個のアミノ酸の長さである。2つのポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列は、各々(1)2つの分子間で類似している配列(すなわち、完全なポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列の一部分)を含み、(2)2つのポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列間で多岐にわたる配列をさらに含むことができ、2つの(またはそれを超える)分子間での配列の比較は、「比較ウインドウ」にわたって2つの分子の配列を比較して配列の類似性の局所の領域を同定し比較することにより典型的に行われる。本明細書で用いられる「比較ウインドウ」は、少なくとも約18個の近接するヌクレオチドポジションまたは約6個のアミノ酸の概念的なセグメントを意味し、この場合、ポリヌクレオチド配列またはアミノ酸配列を少なくとも18個の近接するヌクレオチドまたは6個のアミノ酸配列の参照配列と比較し、比較ウインドウにおけるポリヌクレオチド配列の部分は、2つの配列の最適のアラインメントに対し、参照配列(付加または欠失を含まない)に比べて20パーセントまたはそれより少ない付加、欠失、置換など(すなわちギャップ)を含むことができる。比較ウインドウにアラインするための最適の配列のアラインメントは、Smith and Waterman Adv. Appl. Math.、2巻、482頁(1981年)のローカルホモロジーアルゴリズムにより、Needleman and Wunsch、J Mol. Biol.、48巻、443頁(1970年)によるホモロジーアラインメントアルゴリズムにより、Pearson and Lipman、Proc. Natl. Acad. Sci.(U.S.A.)、85巻、2444頁(1988年)の類似性の方法のための検索により、これらのアルゴリズムをコンピュータ化して実行することにより(Wisconsin Genetics Software Package Release 7.0におけるGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA (Genetics Computer Group、575 Science Dr., Madison, Wis.)、GENEWORKS(商標)、またはMACVECTOR(登録商標)ソフトウエアパッケージにより、または検査により実行することができ、ならびに、様々な方法により生成される最善のアラインメント(すなわち、比較ウインドウにわたって最高のパーセント値の同一性をもたらす)が選択される。
【0092】
「近接する」は、部分(例えば、個々のアミノ酸、核酸、またはCDRおよびFRなどの抗体セグメント)は、その関連において著しく阻止し、または妨害するあらゆるものなしに、相互にすぐ隣接することを意味する。
【0093】
本明細書で用いられる「コントロール配列」の語は、それらが接続しているコード配列の発現およびプロセシングをもたらすのに必要であるポリヌクレオチド配列を意味する。このようなコントロール配列の性質は、宿主の生物体に応じて異なり、原核生物では、そのようなコントロール配列は、一般的に、プロモーターの、リボソームの結合部位、および転写終結配列を含み、真核生物では、一般的に、そのようなコントロール配列はプロモーターおよび転写終結配列を含む。「コントロール配列」の語は、最低限、その存在が発現およびプロセッシングに不可欠である全ての成分を含むことを意図し、その存在が、例えば、リーダー配列および融合パートナーの配列に有利であるさらなる成分も含むことができる。
【0094】
本明細書で用いられる、20個の従来のアミノ酸、およびそれらの略語は、従来の用い方にしたがう。本明細書に参照として組み入れられる、Immunology-A Synthesis(第2版、E. S. Golub and D. R. Gren編集、Sinauer Associates、Sunderland、マサチューセッツ州(1991年))を参照されたい。20個の従来のアミノ酸の立体異性体(例えば、Dアミノ酸)、非天然のアミノ酸、例えば、α-、α-ジ置換アミノ酸、N-アルキルアミノ酸、乳酸、および他の非通常のアミノ酸も、いくつかの実施形態ではポリペプチドに適する成分である。非通常性のアミノ酸の例には、制限なしに、4-ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタミン酸、ε-N,N,N-トリメチルリジン、ε-N-アセチルリジン、O-ホスホセリン、N-アセチルセリン、N-ホルミルメチオニン、3-メチルヒスチジン、5-ヒドロキシリジン、σ-N-メチルアルギニン、ならびに他の類似のアミノ酸およびイミノ酸(例えば、4-ヒドロキシプロリン)が含まれる。本明細書で用いられるポリペプチドの表示法では、標準の使用法および慣習に従って、左手方向がアミノ酸末端方向であり、右手方向がカルボキシ末端方向である。
【0095】
「配列同一性」の語は、2つのポリヌクレオチドまたはアミノ酸の配列が、比較ウインドウにわたって同一である(すなわち、ヌクレオチドごとまたは残基ごとで)ことを意味する。「配列同一性のパーセント値」の語は、2つの最適にアラインした配列を比較のウインドウにわたって比較することにより計算し、同一の核酸塩基(例えば、A、T、C、G、U、もしくはI)、またはアミノ酸残基が両配列に生じて、数々のポジションの一致をもたらすポジションの数を決定し、マッチしたポジションを比較ウインドウにおけるポジションの総数(すなわち、ウインドウサイズ)で除し、結果に100を乗じて配列同一性のパーセント値を得る。
【0096】
本明細書で用いられる「実質的な同一性」の語は、ポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列の特徴を意味し、この場合ポリヌクレオチドまたはアミノ酸は、少なくとも18個のヌクレオチド(アミノ酸6個)のポジションの比較ウインドウにわたって、頻繁には少なくとも24〜48個のヌクレオチド(アミノ酸8〜16個)のポジションのウインドウにわたって参照配列と比較して、少なくとも85パーセントの配列同一性、好ましくは少なくとも90から95パーセントの配列同一性、より好ましくは少なくとも99パーセントの配列同一性を有する配列を含み、この場合、配列同一性のパーセント値は、比較ウインドウにわたって参照配列の全部で20パーセントまたはそれより少ない欠失または付加を含むことができる配列と、参照配列を比較することにより計算される。参照配列は、より大型の配列のサブセットであることができる。好ましくは、同一ではない残基の位置は、保存的なアミノ酸置換によって様々である。好ましい抗体の変異体は、本明細書に開示したものに実質的に同一であるアミノ酸配列を含んでいる。
【0097】
同様に、別段に特定されなければ、1本鎖ポリヌクレオチド配列の左手方向の終端は5'終端であり、2本鎖ポリヌクレオチド配列の左手方向は5'方向と呼ばれる。新生のRNA転写の5'から3'付加の方向は、転写方向と呼ばれ、RNAと同じ配列を有し5'からRNA転写物の5'終末であるDNA鎖上の配列の領域は「上流配列」と呼ばれ、RNAと同じ配列を有し3'からRNA転写物の3'終末であるDNA鎖上の配列の領域は「下流配列」と呼ばれる。
【0098】
抗体または免疫グロブリン分子のアミノ酸配列における変異を含む、抗体の「変異体」は、本発明の実施形態に包含されることが企図される。アミノ酸配列における変異は、天然に存在する配列に比較して、少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、90%、95%、最も好ましくは99%配列同一性を維持している。特に、保存的アミノ酸置換が企図される。保存的置換は、その側鎖で関連するアミノ酸のファミリー内で起こるものである。遺伝的にコードされたアミノ酸は、一般的に、:(1)酸性=アスパラギン酸、グルタミン酸、(2)塩基性=リジン、アルギニン、ヒスチジン、(3)非極性=アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン、および(4)非電荷の極性=グリシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、セリン、スレオニン、チロシンのファミリーに分けられる。より好ましいファミリーは以下の通りである:セリンおよびスレオニンは脂肪族ヒドロキシファミリーであり、アスパラギン酸およびグルタミン酸はアミド含有ファミリーであり、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロシンは脂肪族ファミリーであり、かつフェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシンは芳香族ファミリーである。例えば、特に置換がフレームワーク部位内のアミノ酸を伴わない場合は特に、ロイシンをイソロイシンまたはバリンで、アスパラギン酸をグルタミン酸で、スレオニンをセリンで単独置換し、あるいは構造的に関連するアミノ酸でアミノ酸を同様に置換することは、得られる分子の結合または性質に大きな効果を有さないと予測するのが理にかなっている。アミノ酸の変化が機能的なペプチドをもたらすか否かを、ポリペプチド誘導体の特異的な活性をアッセイすることにより容易に決定することができる。アッセイは、本明細書に詳しく記載してある。抗体または免疫グロブリン分子のフラグメントまたは類似物質は、当業者であれば容易に調製することができる。フラグメントまたは類似物質の、好ましいアミノ末端およびカルボキシ末端は、機能上のドメインの境界付近に生じる。構造上および機能上のドメインを、ヌクレオチドおよび/またはアミノ酸の配列のデータを、公共のまたは専売の配列のデータベースと比較することにより同定することができる。好ましくは、構造および/または機能の知られている他のタンパク質に生じる配列モチーフまたは予想されたタンパク質の立体配座ドメインを同定するために、コンピュータ化した比較方法を用いる。知られている3次元構造に折りたたまれるタンパク質配列を同定するための方法は知られている。Bowieら、Science、253巻、164頁(1991年)。当業者であれば、構造上および機能上のドメインを規定するのに用いることができる、配列モチーフおよび構造上の立体配座を認識することができる。
【0099】
好ましいアミノ酸置換は:(1)タンパク質分解に対する感受性を低減し、(2)酸化に対する感受性を低減し、(3)タンパク質複合体を形成するための結合親和性を変更し、(4)結合親和性を変更し、(5)このような類似物質の他の物理化学的または機能的な性質を与え、または修飾するものである。類似物質には、天然に存在するペプチド配列以外のさまざまな配列の突然変異タンパク質が含まれ得る。例えば、単一の、または複数のアミノ酸置換(好ましくは保存的アミノ酸置換)は、天然に存在する配列においてなされ得る。いくつかの実施形態では、これらの置換は、分子間の接触を形成するドメインの外側のポリペプチドの部分におけるのが好ましい。保存的アミノ酸置換は、親配列の構造上の特徴を実質的に変えてはならない(例えば、アミノ酸の置き換えは、親配列に生じるらせんを切断する傾向があってはならず、または親配列を特徴付ける他のタイプの2次構造を破壊してはならない)。技術分野で認められたポリペプチドの2次および3次構造の例は、各々が本明細書に参照として各々組み入れられる、Proteins, Structures and Molecular Principles (Creighton編集、W. H. Freeman and Company、New York、(1984年)); Introduction to Protein Structure (C. Branden and J. Tooze編集、Garland Publishing, New York、ニューヨーク州(1991年));およびThorntonら、Nature、354巻、105頁(1991年)に記載されている。
【0100】
本明細書で用いられる「ポリペプチドフラグメント」の語は、アミノ末端および/またはカルボキシ末端の欠失を有するポリペプチドを意味するが、この場合、残りのアミノ酸配列は、例えば、全長のcDNA配列から推定された、天然に存在する配列における対応するポジションに同一である。フラグメントは、典型的には、少なくともアミノ酸5、6、8、または10個の長さ、好ましくは少なくともアミノ酸14個の長さ、より好ましくは少なくとも20個のアミノ酸の長さ、通常は少なくともアミノ酸50個の長さ、さらにより好ましくは少なくともアミノ酸70個の長さである。
【0101】
本明細書で用いられる「標識」または「標識されている」の語は、例えば、放射標識したアミノ酸の組入れ、またはマークを付けたアビジン(例えば、肉眼または比色の方法によって検出することができる蛍光マーカーまたは酵素活性を含むストレプトアビジン)によって検出することができるビオチン部分のポリペプチドへの付着により、検出可能なマーカーを組み入れることを意味する。ある場合では、標識またはマーカーも、治療用であり得る。ポリペプチドおよび糖タンパク質を標識する様々な方法が、当技術分野では知られており、用いることができる。ポリペプチドに対する標識の例には、それだけには限定されないが、以下のものが含まれる:放射性同位体または放射性核種(例えば、3H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I)、蛍光標識(例えば、FITC、ローダミン、リン光体ランタニド)、酵素標識(例えば、西洋わさびのペルオキシダーゼ、βガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、化学発光のビオチニル基、第2のレポーターによって認識される予め決定されたポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパー対配列、2次抗体に対する結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)が含まれる。いくつかの実施形態では、可能な立体障害を低減するために、標識は様々な長さのスペーサーアームによって付着している。
【0102】
本明細書で用いられる「薬剤物質または薬物」の語は、患者に適切に投与した場合に望ましい治療効果を誘発することができる化合物または組成物を意味する。本明細書における他の化学用語は、本明細書に参照として組み入れられる、The McGraw-Hill Dictionary of Chemical Terms (Parker, S.編集、McGraw-Hill, SanFrancisco(1985年))によって例示されるように、当技術分野における従来の使用に従って用いられる。
【0103】
本明細書で用いられる「実質的に純粋な」は、対象の種が、存在する優勢な種であり(すなわち、モルベースで、それが組成物におけるあらゆる他の個々の種よりも豊富であり)、好ましくは実質的に精製された分画が、存在する全巨大分子種の少なくとも約50パーセント(モルベースで)を対象の種が構成する組成物であることを意味する。一般的には、実質的に純粋な組成物は、組成物に存在する全巨大分子種の約80パーセントを超え、より好ましくは約85%、90%、95%、および99%を超えて構成する。最も好ましくは、対象の種は、実質的な均一性に精製され(従来の検出方法により組成物に汚染種を検出することができない)、この場合組成物は単一な巨大分子種から本質的に成る。
【0104】
抗体の構造
基本の抗体の構造上の単位は、4量体から構成されることが知られている。各々の4量体は、2対の同一のポリペプチド鎖からなり、各対には、1本の「軽」鎖(約25kDa)、および1本の「重」鎖(約50〜70kDa)を有する。各鎖のアミノ末端部分には、抗原の認識を主に担う、約100から110、またはそれを超えるアミノ酸の可変領域が含まれる。各鎖のカルボキシ末端部分は、エフェクター機能を主に担う定常領域を規定している。ヒトの軽鎖は、κおよびλ軽鎖と分類される。重鎖は、μ、δ、γ、α、またはεに分類され、抗体のアイソタイプを、それぞれIgM、IgD、IgG、IgA、およびIgEと規定している。軽鎖および重鎖内では、アミノ酸約12個またはそれを超える「J」領域により可変領域および定常領域が連結されており、重鎖はアミノ酸約10個またはそれを超える「D」領域も含んでいる。一般的には、Fundamental Immunology第7章(Paul, W.編集、第2版、Raven Press, N.Y. (1989年))(その全文が参照として組み入れられる)を参照されたい。各軽鎖/重鎖対の可変領域は、抗体結合部位を形成する。
【0105】
したがって、完全な抗体には2つの結合部位がある。二機能性のまたは二重特異性の抗体以外では、2つの結合部位は同じである。
【0106】
鎖は全て、相補性決定領域、すなわちCDRとも呼ばれる、3つの超可変領域によって結合された比較的保存されたフレームワーク領域(FR)の同じ一般構造を示す。各対の2本の鎖からのCDRは、フレームワーク領域によって一直線上に並べられ、特異的なエピトープに結合できるようになっている。N末端からC末端まで、軽鎖および重鎖の両方は、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4のドメインを含む。アミノ酸を各ドメインに割り当てることは、Kabat Sequences of Proteins of Immunological Interest (National Institutes of Health、Bethesda、メリーランド州(1987年および1991年))、またはChothia & Lesk、J. Mol. Biol.、196巻、901〜917頁(1987年); Chothiaら、Nature、342巻、878〜883頁(1989年)の定義にしたがう。
【0107】
二重特異性または二機能性の抗体は、2つの異なる重鎖/軽鎖対および2つの異なる結合部位を有する、人工的なハイブリッドの抗体である。二重特異性抗体は、ハイブリドーマの融合、またはFab'フラグメントの連結を含む様々な方法により生成することができる。例えば、Songsivilai & Lachmann Clin.、Exp. Immunol.、79巻、315〜321頁(1990年)、Kostelnyら、J. Immunol.、148巻、1547〜1553頁(1992年)を参照されたい。二重特異性抗体の生成は、従来の抗体の生成に比べて比較的労働集約型な過程であることがあり、収率および純度の程度は、二重特異性抗体に対しては一般的により低い。二重特異性抗体は、単一の結合部位を有するフラグメントの形態で存在しない(例えば、Fab、Fab'、およびFv)。
【0108】
ヒト抗体および抗体のヒト化
ヒト抗体は、ネズミ科動物またはラットの可変領域および/または定常領域を所有する抗体に関連するいくつかの問題を回避する。このようなネズミ科動物またはラットに由来するタンパク質が存在すると、抗体の迅速な排除がもたらされることがあり、または患者による抗体に対する免疫反応の生成がもたらされることがある。ネズミ科動物またはラットに由来する抗体の利用を避けるために、齧歯動物中にヒト抗体機能を導入し、その結果齧歯動物が完全なヒト抗体を生成することにより完全なヒト抗体を産生することができる。
【0109】
完全なヒト抗体を産生するための一方法は、ヒト重鎖遺伝子座およびκ軽鎖遺伝子座の245kbおよび190kbサイズの生殖系列立体配座フラグメントを含むように操作されたXENOMOUSE(登録商標)系統のマウスの使用による。Greenら、Nature Genetics、7巻、13〜21頁(1994年)を参照されたい。XENOMOUSE(登録商標)系統は、Abgenix, Inc.(Fremont、カリフォルニア州)から入手できる。
【0110】
XENOMOUSE(登録商標)の生成については、1990年1月12日出願の米国特許出願第07/466,008号、1990年11月8日出願の第07/610,515号、1992年7月24日出願の第07/919,297号、1992年7月30日出願の第07/922,649号、1993年3月15日出願の第08/031,801号、1993年8月27日出願の第08/112,848号、1994年4月28日出願の第08/234,145号、1995年1月20日出願の第08/376,279号、1995年4月27日出願の第08/430,938号、1995年6月5日出願の第08/464,584号、1995年6月5日出願の第08/464,582号、1995年6月5日出願の第08/1463,191号、1995年6月5日出願の第08/462,837号、1995年6月5日出願の第08/486,853号、1995年6月5日出願の第08/486,857号、1995年6月5日出願の第08/486,859号、1995年6月5日出願の第08/462,513号、1996年10月2日出願の第08/724,752号、および1996年12月3日出願の第08/759,620号、および米国特許第6,162,963号、第6,150,584号、第6,114,598号、第6,075,181号、および第5,939,598号、ならびに日本国特許第3 068 180 B2号、第3 068 506 B2号、および第3 068 507 B2号にさらに論じられ、詳述されている。また、Mendezら、Nature Genetics、15巻、146〜156頁(1997年)、およびGreen and Jakobovits、J. Exp. Med.、188巻、483〜495頁(1998年)も参照されたい。また、1996年6月12日認可出願の欧州特許第EP 0 463 151 B1号、1994年2月3日公開の国際特許出願第WO 94/02602号、1996年10月31日公開の国際特許出願第WO 96/34096号、1998年6月11日公開の第WO98/24893号、2000年12月21日公開の第WO00/76310号にさらに論じられ、示されている。上記に引用した特許、出願、および参考文献の公開の各々は、その全文が参照により本明細書に組み入れられる。
【0111】
代替の取組みでは、GenPharm International, Inc.を含む他者は「ミニ遺伝子座」の取組みを利用している。ミニ遺伝子座の取組みでは、外来性のIg遺伝子座は、Ig遺伝子座からの小片(個々の遺伝子)の含有により擬される。したがって、1つまたは複数のVH遺伝子、1つまたは複数のDH遺伝子、1つまたは複数のJH遺伝子、ミュー定常領域、および第2の定常領域(好ましくはγ定常領域)を、動物中に挿入するための構築物中に形成する。この取組みは、その全文が参照として本明細書に組み入れられる、Suraniらへの米国特許第5,545,807号、ならびに各々LonbergおよびKayへの米国特許第5,545,806号、第5,625,825号、第5,625,126号、第5,633,425号、第5,661,016号、第5,770,429号、第5,789,650号、第5,814,318号、第5,877,397号、第5,874,299号、第6,255,458号、KrimpenfortおよびBernsへの米国特許第5,591,669号、および第6,023,010号、Bernsらへの米国特許第5,612,205号、第5,721,367号、第5,789,215号、ならびにChoi およびDunnおよびGenPharm Internationalへの米国特許第5,643,763号、1990年8月29日出願の米国特許出願第07/574,748号、1990年8月31日出願の第07/575,962号、1991年12月17日出願の第07/810,279号、1992年3月18日出願の第07/853,408号、1992年6月23日出願の第07/904,068号、1992年12月16日出願の第07/990,860号、1993年4月26日出願の第08/053,131号、1993年7月22日出願の第08/096,762号、1993年11月18日出願の第08/155,301号、1993年12月3日出願の第08/161,739号、1993年12月10日出願の第08/165,699号、1994年3月9日出願の第08/209,741号に記載されている。また、その開示が全文参照として本明細書に組み入れられる、欧州特許第0 546 073 B1号、国際特許公開第WO 92/03918号、第WO 92/22645号、第WO 92/22647号、第WO 92/22670号、第WO 93/12227号、第WO 94/00569号、第WO 94/25585号、第WO 96/14436号、第WO 97/13852号、および第WO 98/24884号、ならびに米国特許第5,981,175号も参照されたい。さらに、その開示の全文が参照として本明細書に組み入れられる、Taylorら、1992年、Chenら、1993年、Tuaillonら、1993年、Choiら、1993年、Lonbergら(1994年)、Taylor ら(1994年)、およびTuaillonら(1995年)、Fishwildら(1996年)を参照されたい。
【0112】
Kirinは、また、微小核体融合物により染色体の大型片、または染色体全体が導入される、マウスからのヒト抗体の産生を示した。その開示の全文が参照として本明細書に組み入れられる、欧州特許出願第773 288号、および第843 961号を参照されたい。
【0113】
ヒト抗マウス抗体(HAMA)の反応により、産業界は、キメラまたはその他の方法でヒト化した抗体も調製するようになった。キメラの抗体はヒトの定常領域およびネズミ科動物の可変領域を有するが、ある種のヒト抗キメラ抗体(HACA)反応が、特に、抗体の慢性的な、または複数投与量の利用において観察されることが予想される。
【0114】
抗体の調製
完全なヒトの、IL-8に対する高親和性モノクローナル抗体を、XENOMOUSE(登録商標)技術(Abgenix Inc, Freemont、カリフォルニア州)を用いて調製することができる。このようなマウスは、ヒト免疫グロブリン分子および抗体を生成することができ、ネズミ科動物の免疫グロブリン分子および抗体の生成において欠損がある。基本的には、XENOMOUSE(登録商標)系統のマウスを、対象の抗原(例えば、IL-8)で免疫化する。抗原は、例えば、および制限なく、全長のIL-8またはIL-8のフラグメントである。他の実施形態では、抗原は、少なくともIL-8の一部分を含む融合タンパク質である。免疫化は、所望により複数回繰り返すことができる。免疫化の後、リンパ性の細胞(B細胞など)を、抗体を発現するマウスから回収し、回収した細胞系をミエロイド型の細胞系と融合して不死性のハイブリドーマ細胞系を調製する。これらのハイブリドーマ細胞系をスクリーニングし、選択して、対象の抗原に特異的な抗体を生成し、望ましい性質を有するハイブリドーマの細胞系を同定する。
【0115】
他の実施形態では、ミエローマ細胞に融合してハイブリドーマを産生する代わりに、免疫化したXENOMOUSE(登録商標)系のマウスから単離した細胞を、初期の抗原、好ましくはIL-8に対して反応性である抗体に対してさらにスクリーニングする。このようなスクリーニングには、例えば、IL-8でのELISA、IL-8に結合する既知の抗体での競合アッセイ、およびIL-8を中和する能力のin vitro検査が含まれ得る。
【0116】
対象の抗体を分泌する単一のB細胞を、次いで、例えば、IL-8特異的な溶血プラークアッセイを用いることにより、単離することができる(例えば、「SLAM」を記載してある、Babcookら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、i93巻、7843〜7848頁(1996年)を参照されたい)。溶解の目標とされる細胞は、好ましくは、IL-8抗原でコーティングしたヒツジ赤血球(SRBC)である。
【0117】
対象の免疫グロブリンおよび補体を分泌するB細胞培養物の存在下で、プラークが形成すれば、特異的なIL-8が媒介する標的の細胞の溶解を示している。プラークの中心における単一の抗原に特異的な形質細胞を単離することができ、抗体の特異性をコードする遺伝情報を単一の形質細胞から単離する。逆転写PCRを用いて、分泌された抗体の可変領域をコードするDNAをクローニングすることができる。このようにクローニングしたDNAを、次いで、pcDNA(Invitrogen)などの適切な発現ベクター中に、より好ましくは、免疫グロブリンの重鎖および軽鎖の定常ドメインを含むベクター中に挿入することができる。産生されたベクターを、次いで、CHO細胞などの宿主細胞中に形質移入することができる。
【0118】
その最初の供給源に関係なく、抗IL-8抗体を、ハイブリドーマ細胞系以外の細胞系で生成することができる。好ましくはベクターにおける、特定の抗体をコードする配列を、適切な哺乳動物の宿主細胞の形質転換に用いることができる。形質転換は、例えば、ポリヌクレオチドのウィルスにおける(または、ウィルスのベクター中への)パッケージング、およびウィルス(またはベクター)での宿主細胞の形質導入を含む、宿主細胞中にポリヌクレオチドを導入するためのあらゆる知られた方法により、あるいは米国特許第4,399,216号、第4,912,040号、第4,740,461号、および第4,959,455号(参照として本明細書に組み入れられる)によって例示される、当技術分野では知られている形質移入手順によることができる。用いられる形質転換の手順は、形質転換される宿主による。異種性のポリヌクレオチドを哺乳動物の細胞中に導入するための方法は、当技術分野ではよく知られており、デキストラン媒介性形質移入、リン酸カルシウム沈降、ポリブレン媒介性形質移入、プロトプラスト融合、電気穿孔、ポリヌクレオチドのリポソームにおけるカプセル化、およびDNAの核中への直接マイクロインジェクションを含む。
【0119】
発現のための宿主として利用可能な哺乳動物の細胞系は、当技術分野ではよく知られており、それだけには限定されないが、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓細胞(COS)、ヒト肝細胞癌細胞(例えば、Hep G2)、ヒト胎児腎臓細胞(HEK)、および当技術分野では知られている他の細胞系を含む、アメリカ培養細胞系統保存機関(ATCC)から入手可能の不死化した細胞系の多くを含んでいる。
【0120】
形質転換した宿主細胞を、好適な栄養培地で培養して望ましい抗体を生成し、抗体を従来の技術を用いて培地から精製することができる。当業者であれば、特定の環境に応じて栄養培地および精製技術を選択することができる。さらに、当業者であれば理解するように、培地は、プロモーターを含み、形質転換体を選択し、または望ましい配列をコードする遺伝子を増幅するのに好適であるように修飾することができる。
【0121】
本明細書に開示する抗IL-8抗体は、それに望ましい性質をもたらすように切り替えられたアイソタイプであることができる。例えば、いくつかの実施形態では、特に治療用抗体の状況では、抗IL-8抗体は、補体を固定することができ、補体依存性細胞傷害(CDC)に関与することができることが好ましい。制限なく、ネズミ科動物IgM、ネズミ科動物IgG2a、ネズミ科動物IgG2b、ネズミ科動物IgG3、ヒトIgM、ヒトIgG1、およびヒトIgG3を含む、数々のアイソタイプの抗体が、補体を固定することができる。他の実施形態では、アイソタイプを、半減期を延長し、クリアランスの速度を緩めるなどの特徴をもたらすように切り替えることができる。
【0122】
所望により、IL-8に対して望ましい親和性を有するヒト抗体は、依然として同じ可変領域も有しながら、ヒトIgM、ヒトIgG1、またはヒトIgG3のアイソタイプを産生するように切り替えられたアイソタイプであることが容易であり得る。このような抗体は、次いで、補体を固定し、CDCに関与することができる。
【0123】
したがって、産生された抗IL-8抗体は、望ましいアイソタイプを最初に有している必要はないが、当技術分野ではよく知られている従来の技術を用いて切り替えられたアイソタイプであることができる。このような技術には、数ある中で、制限なく、直接組換え技術(例えば、米国特許第4,816,397号を参照されたい)、細胞-細胞融合技術(例えば、米国特許第5,916,771号、および第6,207,418号を参照されたい)の使用が含まれる。これらの技術は、当技術分野ではよく知られている。
【0124】
簡潔に述べると、細胞-細胞融合技術では、望ましいアイソタイプの重鎖を有するミエローマまたは他の細胞系を調製し、軽鎖を有する別のミエローマまたは他の細胞系を調製する。このような細胞を融合し、望ましいアイソタイプの完全な抗体を発現する細胞系を単離することができる。
【0125】
したがって、望ましい「構造上の」属性を満たす抗体の候補を産生し、これらには所望によりアイソタイプの切り替えによりある「機能上の」属性がもたらされ得る。
【0126】
配列リスト
以下の実施例に記載するように同定される、代表的なヒト抗IL-8抗体の重鎖および軽鎖可変領域のヌクレオチド、ならびにアミノ酸配列を添付の配列リストで提供し、その内容を表1に要約してある。配列自体は、図1A〜2Eに示してある。
【0127】
【表1】

【0128】
上記の軽鎖および重鎖の配列は、表に示したmAb識別番号とともに上記で抗体に示したように組み合わされる。例えば、配列番号35および配列番号33は一緒に、抗体#928の重鎖および軽鎖可変領域を構成する。しかし、他の実施形態では、軽鎖および重鎖を、混合し、または様々に組み合わせて様々な特徴を有する抗体を産生することができる。
【0129】
上記の抗体に対して実質的に相同である変異体を含む変異体も、企図される。いくつかの実施形態では、抗体の変異体は、生殖系列の配列において、開示されている抗体と異なる。このような変異体を同定する一方法は、図4Aおよび図4Bに示すような様々な抗体配列と一直線上に並べることによる。この図では、様々な生殖系列の配列を、現在同定されている配列と比較する。一実施形態では、抗体の変異体は、生殖系列に少なくとも1つの突然変異を有し、このため、抗体は現在発表されている抗体の他のものの1つに、より類似するようになる。例えば、配列番号50のポジション34に「I」があると、今度は配列番号11により類似する配列番号50の変異体となる。
【0130】
変異体を作り出すための非生殖系列抗体の変更も、企図される。したがって、発表されている非生殖系列の抗体に50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、90〜95、95〜99、および99〜100%同一である変異体も、企図される。好ましくは、変異の抗体はIL-8に高親和性を有し、いくらかの程度の選択性を有する。したがって、親和性を増強し、または親和性を著しく低減しない、上記の非生殖系列の配列に対する変更が企図される。
【0131】
抗体療法
本明細書に記載した抗体は、IL-8の活性に起因する症状および状態の処置に、治療効果を有することが予想される。特定の実施形態では、本明細書の抗体および方法は、細菌性肺炎、喘息、潰瘍性大腸炎、COPD、慢性気管支炎、肺気腫、気管支拡張症、免疫グロブリン欠損症、乾癬、または嚢胞性線維症の処置に関連する。
【0132】
抗IL-8は、IL-8活性に起因する症状および状態を処置するのに治療効果を有する。さらに、高親和性抗体を用いて、身体におけるIL-8のレベルにおける変化に関連する疾患または障害を同定することができる。
【0133】
好ましい実施形態では、1つまたは複数の高親和性抗IL-8抗体を用いて、炎症性疾患を処置する。特定の実施形態では、本明細書の抗体および方法を、急性炎症、ARDS、糸球体腎炎、アルコール性肝炎、乾癬、再還流傷害、関節リウマチ、炎症性腸疾患、細菌性肺炎、喘息、潰瘍性大腸炎、COPD、慢性気管支炎、肺気腫、気管支拡張症、免疫グロブリン欠損症、または嚢胞性線維症からなる群から選択される、1つまたは複数の疾患または障害の処置に用いる。他の実施形態では、抗体を用いて悪性メラノーマ、頭部および頚部の癌、乳癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、ならびに脳腫瘍からなる群から選択される癌などの癌を処置する。
【0134】
治療的投与および製剤
高親和性でIL-8に結合する抗体を、治療的に用いて、IL-8の活性を低減することにより疾患または障害を処置することができる。抗IL-8抗体は、望ましい投与量で治療効果を有するのに十分な、IL-8活性を抑制するのに十分な親和性を有するのが好ましい。好ましくは、治療用に用いるための抗体は、以下により詳しく論じるように、滅菌の薬剤調製物である。
【0135】
In vivoの投与で用いる場合は、抗体製剤は滅菌であることが好ましい。これは、例えば、任意の凍結乾燥および再構成の前に、またはその後に、滅菌ろ過メンブレンを通してろ過することにより行うことが容易である。抗体は、通常、凍結乾燥した形態または溶液で貯蔵される。治療用の抗体組成物は、一般的に、滅菌のアクセスポートを有する容器中に、例えば、静脈内溶液バッグ、または製剤の回復を可能にするアダプター(例えば、皮下注射針による貫通が可能なストッパー)を有するバイアルに配置される。
【0136】
本明細書に記載する抗体は、薬学的に許容できる担体との混合物で調製することができる。この治療用組成物は、液体または粉末のエアロゾル(凍結乾燥品)として、静脈内投与することができる。組成物は、所望により、非経口的に、または皮下に投与することもできる。全身的に投与する場合は、治療用組成物は滅菌で、パイロジェンフリーでなければならず、非経口的に許容できる溶液では、pH、等張性、および安定性は当然考慮されている。これらの条件は、当業者であれば知っている。簡潔に述べると、本明細書に記載する化合物の投与製剤を、望ましい程度の純度を有する化合物を、生理学的に許容できる担体、賦形剤、または安定化剤と混合することにより、貯蔵または投与するために調製する。これらの材料は使用される投与量および濃度では受容者にとって非毒性であり、TRIS、HCl、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、および他の有機酸塩などのバッファー;アスコルビン酸などの抗酸化剤;ポリアルギニンなどの低分子量(残基約10個未満)のペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリジノンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、またはアルギニンなどのアミノ酸;セルロースまたはその誘導体、グルコース、マンノース、またはデキストリンを含む、単糖類、二糖類、および他の炭水化物;EDTAなどのキレート化剤;マンニトールまたはソルビトールなどの糖アルコール;ナトリウムなどの対イオンおよび/または、TWEEN、PLURONICS、もしくはポリエチレングリコールなどの非イオン性界面活性剤を含む。
【0137】
注射用の滅菌組成物は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy(第20版、Lippincott Williams & Wilkens Publishers(2003年))に記載されているような従来の製薬上の慣行に従って配合することができる。例えば、水、または天然に存在する植物油(例えば、ゴマ油、ラッカセイ油、または綿実油など)のビヒクル、または合成の脂肪ビヒクル(オレイン酸エチルなど)に、有効化合物を溶解または懸濁することが望ましいことがある。バッファー、保存剤、抗酸化剤などを、許容された製薬上の慣行に従って組み入れることができる。
【0138】
抗体を、また、徐放性製剤で投与し、徐放性製剤から徐々に放出することもできる。徐放性製剤の適切な例には、抗体を含む固体の疎水性ポリマーの半透性のマトリックスが含まれ、このマトリックスは、成形された品物、フィルム、またはマイクロカプセルの形態である。徐放性マトリックスの例には、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、例えばLangerら、J. Biomed Mater. Res.(1981年)15巻、167〜277頁、およびLanger, Chem. Tech.(1982年)12巻98〜105頁によって記載されているポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール)、ポリ乳酸(米国特許第3,773,919号、欧州特許第EP 58,481号)、Lグルタミン酸およびγエチル-L-グルタメートの共重合体(Sidmanら、Biopolymers、(1983年)22巻、547〜556頁)、非分解性のエチレン酢酸ビニル(Langerら、上述)、LUPRON Depot(登録商標)(乳酸-グリコール酸共重合体および酢酸ロイプロリドからなる注射可能の微粒子)などの分解性の乳酸-グリコール酸共重合体、ならびにポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸(欧州特許第EP 133,988号)が含まれる。
【0139】
エチレン酢酸ビニルおよび乳酸-グリコール酸などのポリマーは、分子を100日にわたって放出できるようにするが、ある種のヒドロゲルはより短い期間タンパク質を放出する。カプセル化したタンパク質が身体に長時間留まる場合、これらは37℃で湿気に曝される結果、変性し、または凝集することがあり、生物学的活性の喪失、および免疫原性における可能な変化がもたらされる。関与するメカニズムに応じて、タンパク質を安定化するために、合理的な戦略を考案することができる。例えば、凝集のメカニズムがジスルフィド交換による分子間S-S結合の形成であることが見出された場合、スルフヒドリル残基を修飾し、酸性溶液から凍結乾燥し、好適な添加剤を用いて水分含量を制御し、特定のポリマーマトリックス組成物を開発することにより安定化を実現することができる。
【0140】
徐放性組成物は、懸濁液で結晶を維持することができる適切な製剤に懸濁された抗体の結晶の調製物も含む。これらの調製物を皮下または腹腔内に注射した場合、徐放性の効果をもたらし得る。他の組成物には、リポソームに捕捉された抗体も含まれる。このような抗体を含むリポソームは、例えば、米国特許第DE 3,218,121号; Epsteinら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA(1985年)82巻、3688〜3692頁;Hwangら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA(1980年)77巻、4030〜4034頁;欧州特許第EP 52,322号;第EP 36,676号;第EP 88,046号;第EP 143,949号;第142,641号; 日本国特許出願第83-118008号;米国特許第4,485,045号、および第4,544,545号;ならびに第EP 102,324号に記載されているように知られている方法により調製される。
【0141】
抗体を投与する経路は、例えば、制限なしに、静脈内、腹腔内、脳内、筋肉内、眼内、動脈内、くも膜下腔内による注射もしくは注入、吸入もしくは病巣内の経路、または以下に記載するような徐放性のシステムによることができる。抗体は、注入により、またはボーラス注射により、継続的に投与することが好ましい。
【0142】
所与の患者に対する抗体製剤の投与量は、担当の医師が、疾患の重症度およびタイプ、体重、性別、食事、投与時間および経路、他の薬物治療、ならびに他の関連する臨床上の要因を含めた、薬物の作用を修飾することが知られている様々な要因を考慮に入れることにより決定することができる。治療上有効な投与量は、in vitroまたはin vivoの方法のいずれかにより決定することができる。
【0143】
本明細書に記載する、治療上用いられる抗体の有効量は、例えば、治療上の目的、投与経路、および患者の状態によることができる。したがって、治療専門家は、最適の治療効果を得るのに要求されるように、投与量を滴定し、投与経路を修飾することが好ましい。典型的な毎日の投与量は、例えば、上記に述べた要因を含めた特定の状況に応じて、約0.001mg/kgから100mg/kgまでまたはそれを超える範囲、より好ましくは約1mg/kgから約10mg/kgの範囲であり得る。典型的には、臨床医は、治療用抗体を、望ましい効果を実現する投与量に到達するまで投与する。この治療の経過は、従来のアッセイにより、または本明細書に記載する通りに容易にモニターされる。抗体を単一の投与量で投与してもよい。しかし、抗体を、長期間にわたって1日1回または複数回投与するのが好ましい。投与量レジメンには、最終の定期的な投与量の後、ある時間で追加投与することも含まれることがある。
【0144】
治療用抗体を、適切な担体、賦形剤、および伝達、送達、耐性などの改善をもたらすために製剤中に組み入れられる他の物質とともに投与することが好ましい。これらの製剤には、例えば、粉末剤、パスタ剤、軟膏剤、ゼリー剤、ワックス剤、油剤、脂質、小胞を含む脂質(陽イオン性または陰イオン性)(例えば、Lipofectin(商標))、DNA複合体、無水の吸収パスタ剤、水中油型および油中水型の乳剤、エマルジョンカーボワックス(様々な分子量のポリエチレングリコール)、半流動性ゲル、ならびにカーボワックスを含む半流動性混合物が含まれる。製剤における有効成分が製剤によって不活性化されず、製剤が投与経路に生理学的に適合性であり耐容性であれば、前述の混合物のあらゆるものが、いくつかの実施形態にしたがった処置および治療法に好適であり得る。Baldrick P.、「Pharmaceutical excipient development: the need for preclinical guidance.」Regul. Toxicol. Pharmacol.、32巻(2)、210〜8頁(2000年)、Wang W.「Lyophilization and development of solid protein pharmaceuticals.」Int. J. Pharm.、203巻(1〜2)、1〜60頁(2000年)、Charman WN「Lipids, lipophilic drugs, and oral drug delivery-some emerging concepts.」J Pharm Sci.、89巻(8)、967〜78頁(2000年)、Powellら、「Compendium of excipients for parenteral formulations」PDA JPharm Sci Technol.、52巻、238〜311頁(1998年)、および製薬の化学者によく知られている製剤、賦形剤、および担体に関するさらなる情報のためのそれらの中の引用も参照されたい。
【0145】
抗IL-8抗体は、個別に投与することができる。しかし、いくつかの実施形態では、1つを超える抗体を投与することが好ましい。抗体は、同時に、または逐次に投与することができる。例えば、2つまたはそれを超える高親和性抗IL-8抗体を、単一の製剤で患者に投与することができる。他の実施形態では、抗体を別の治療と一緒に投与する。他の治療には、制限なく、異なる標的に対する抗体、化学療法剤、および疾患または障害の処置に有益であることが知られている他の組成物が含まれる。
【0146】
上記に述べたように、処置間の周期的な時間に、患者をモニターして処置の有効性を決定し、必要であれば投与量を調節する。特定の投薬レジメンの有効性を決定する方法は、当業者であれば知っている。例えば、乾癬の処置における高親和性抗IL-8抗体の有効性を、乾癬面積と重症度の指標(PASI)、総体表面積(BSA)、医師のグローバルアセスメント(PGA)、およびプラークの写真により測定することができる。PASI分析は、広く認められた、乾癬患者における薬物の反応の尺度である。抗IL-8抗体で処置した乾癬患者は、抗IL-8抗体で処置しない乾癬患者に比べてPASIスコアが改善する。
【0147】
関節リウマチの処置として抗IL-8抗体を使用する有効性は、患者の関節リウマチにおける20%の最小の改善とも呼ばれる、アメリカリウマチ学会20%反応基準(ACR20)によって測定することができる。ACR20反応は、腫脹関節数において20%を超える低減、圧痛関節数において20%を超える低減、および以下の5つのうち3つにおいて20%を超える改善を必要とする:痛みの患者の評価、疾患活動の患者の評価、疾患活動の調査者の評価、急性期反応物(CRP)、および機能上の状態の患者の評価(HAQスコア)。抗IL-8抗体で処置する関節リウマチの患者はACR20反応を有し、抗IL-8抗体で処置しない関節リウマチ患者はACR20反応を経験しない。
【0148】
抗IL-8抗体での癌の処置では、有効性は腫瘍の増殖、血管新生、および転移のレベルにより測定することができる。さらに、アポトーシスを経験する細胞の数における増大を、抗IL-8抗体を投与した腫瘍患者における有効性の尺度として用いることができる。
【0149】
特定の一実施形態では、COPDに罹患している患者を同定する。投与量約5mg/kgの高親和性抗IL-8抗体を、患者に静脈注射により投与する。3週間後、およびその後3週間ごとに追加投与を与える。炎症を起こした呼吸器の組織では、抗体は、好中球の走化性の部分的または完全な阻害をもたらす。この好中球の走化性の阻害により、肺および気道に対する組織の損傷の重症度が低減される。IL-8関連障害(例えば、COPD)を処置する方法に関する、さらなる記載およびガイダンスは、2003年3月18日出願のYangらへの米国特許公開第20030232048号に見ることができる(その全文が参照として組み入れられる)。細菌性肺炎(米国特許第5,686,070号)、喘息(米国特許第5,874,080号) および潰瘍性大腸炎(米国特許第5,707,622号)の処置に関してさらなる情報およびガイダンスを見出すことができ、全てその全文が参照として組み入れられる。
【0150】
当業者であれば理解されるが、製剤は、関連のあるIL-8関連または依存性障害の処置のための薬物の製造に用いることができる。
【0151】
IL-8診断
IL-8に対する高親和性抗体を、哺乳動物の組織、体液、または細胞におけるIL-8の検出のためのアッセイで用いることができる。アッセイは、例えば、IL-8のレベルにおける変化に関連する疾患または障害(例えば、細菌性肺炎、喘息、潰瘍性大腸炎、COPD、慢性気管支炎、肺気腫、気管支拡張症、免疫グロブリン欠損症、および嚢胞性線維症)について患者をスクリーニングするために用いることができる。アッセイシステムは、少なくとも1つのアッセイを行うのに十分な量の、高親和性抗IL-8抗体を含む組成物を含むパッケージを含むのが好ましい。この抗体組成物は、例えば、液体の溶液であり、または固相のマトリックスに付着していることができる。このシステムは、また、患者からのサンプルを抗体組成物と接触させたときに形成するあらゆる免疫反応生成物において、抗体分子の存在を示すための検出可能な標識を含むのが好ましい。サンプルで同定されたIL-8のレベルを、コントロールのサンプルと比較して、IL-8レベルの上昇が存在するか否かを決定することができる。
【0152】
抗IL-8抗体が結合しているエピトープの同定
以下の考察は、特定の抗体が結合しているIL-8上のエピトープを同定し、特徴付けるためのいくつかの例示の方法について記載する。用いることができる他の方法は、当業者であれば明らかである。
【0153】
IL-8をSDS-PAGEにかけ、望ましい抗IL-8抗体との免疫ブロットにより分析することができる。SDS-PAGEは、還元剤の非存在下または存在下のいずれかで行うことができる。したがって、IL-8に対する抗体がIL-8上の線状のエピトープに結合するのか、または立体配座のエピトープに結合するのかを決定するのが可能である。
【0154】
エピトープのマッピングを表面増強レーザー脱離/イオン化(SELDI)を用いて行うこともできる。SELDI ProteiChip(登録商標)アレイ(Ciphergen Biosystems、Fremont、カリフォルニア州)を用いて、タンパク質-タンパク質相互作用の部位を規定する。簡潔に述べると、最初のインキュベーションおよび洗浄により、Protein Chipアレイ表面上に共有結合性に固定化されている抗体上に、抗原を特異的に捕獲する。結合した抗原を、レーザーが誘発する脱離プロセスにより検出し、直接分析してその質量を決定することができる。結合する抗原のフラグメントを用いて、抗体が結合しているエピトープを同定する。
【0155】
抗IL-8抗体が結合したエピトープを、ファージディスプレイにより決定することもできる。ファージディスプレイは、ペプチドがバクテリオファージのコートタンパク質との融合として発現され、ビリオンの表面上の融合タンパク質のディスプレイをもたらす、選択技術を記載するものである。標的でコーティングしたプレートまたはチューブでファージをディスプレイするペプチドのライブラリーをインキュベートすることによりパニングを行い、非結合のファージを洗い流し、特異的に結合しているファージを溶出する。溶出されたファージを、次いで、増幅し、さらなる結合および増幅サイクルにより取り出して、結合性の配列に有利なようにプールを濃縮する。3または4ラウンド後、個々のクローンの結合を、抗体をコーティングしたウェル上で行ったファージELISAアッセイにより結合に対してさらに試験し、陽性のクローンの特異的なDNA配列決定により特徴付ける。
【0156】
抗体に対してこのようなパニングを複数ラウンド行った後、結合しているファージを溶出し、結合しているペプチドを同定し特徴付けるためのさらなる試験にかけることができる。
【0157】
いくつかの場合では、IL-8の特定のエピトープに結合する追加の抗体を生成することが望ましいことがある。例えば、ある抗体が特に望ましい属性を有する場合、そのエピトープに対して作製した追加の抗体は、そうした特徴を維持してもよいが、より高い親和性などの他の特徴を有してもよい。このような抗体を産生するために用いられる抗原は、望ましいエピトープを含む。いくつかの実施形態では、抗原は望ましいエピトープの配列を有するペプチドからなることがある。他の実施形態では、抗原は、融合タンパク質など、エピトープの配列を含むペプチドであることがある。
【0158】
特定のエピトープに対するヒト抗体を、本明細書に記載するようにXenomouse技術を用いて、または、完全なヒトモノクローナル抗体を産生するための他の知られている方法を用いて産生することができる。ヒトの抗体は、治療上の適用に好ましいが、他の場合ではヒト抗体の使用は必要とされない。したがって、いくつかの実施形態では、モノクローナル抗体を、例えば、Kohlerら、Nature、256巻、495頁(1975年)によって最初に記載されたハイブリドーマ方法など、他の方法を用いて産生することができ、または、その全文が参照として組み入れられる米国特許第4,816,567号に記載された組換えDNAの方法により作成することができる。
【0159】
ハイブリドーマの方法では、マウス、または他の好適な宿主動物、例えば、ハムスターもしくはマカクザルを、本明細書の上記に記載したように免疫化して、免疫化に用いられるタンパク質に特異的に結合する抗体を生成し、または生成することができるリンパ球を誘発する。あるいは、リンパ球をin vitroで免疫化することができる。リンパ球、またはより好ましくはB細胞について濃縮したリンパ球を、次いで、エレクトロセル(electrocell)融合プロセスにより、または適切な融合剤、例えばポリエチレングリコールを用いてミエローマ細胞と融合して、ハイブリドーマ細胞を形成させる(Goding、Monoclonal Antibodies: Principles and Practice、59〜103頁、Academic Press、1996年)。
【0160】
このように調製したハイブリドーマ細胞を、接種し、好ましくは、非融合の親のミエローマ細胞の増殖または生存を阻害する1つまたは複数の物質を含む、適切な培地で増殖させる。例えば、親のミエローマ細胞が、酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠く場合、ハイブリドーマのための培地は、典型的には、ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジンを含み(HAT培地)、これらの物質はHGPRT欠損細胞の増殖を阻止する。
【0161】
好ましいミエローマ細胞は、効率的に融合し、選択された抗体生成細胞によって安定した高レベルの抗体の生成を支持し、HAT培地などの培地に感受性である。これらの中で好ましいミエローマ細胞系は、ネズミ科動物ミエローマ系であり、例えば、Salk Institute Cell Distribution Center、San Diego、カリフォルニア州、米国から入手可能なMOP-21およびMC-11マウス腫瘍、ならびにアメリカ培養細胞系統保存機関、Rockville、メリーランド州、米国から入手可能なSP-2またはX63-Ag8-653細胞に由来するものである。ヒトミエローマ細胞系およびマウス-ヒトへテロミエローマ細胞系は、また、ヒトモノクローナル抗体の生成に記載されている(Kozbor、J. Immunol.、133巻、3001頁(1984年);Brodeurら、Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications、51〜63頁、Marcel Dekker, Inc.、New York(1987年))。
【0162】
ハイブリドーマ細胞が増殖する培地を、抗原を認識するモノクローナル抗体の生成についてアッセイする。好ましくは、ハイブリドーマ細胞によって生成されたモノクローナル抗体の結合特異性を、免疫沈降により、または、ラジオイムノアッセイ(RIA)もしくは酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)などのin vitroの結合アッセイにより決定する。
【0163】
モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、Munsonら、Anal. Biochem.、107巻、220頁(1980年)のScatchard分析により決定する。
【0164】
ハイブリドーマ細胞が、望ましい特異性、親和性、および/または活性の抗体を生成することを同定した後、細胞を限界希釈手順によりサブクローンし、標準法により増殖させることができる(Goding、Monoclonal Antibodies: Principles and Practice、59〜103頁、Academic Press、1996年)。この目的に適する培地には、例えば、DMEM、またはRPMI-1640培地が含まれる。さらに、ハイブリドーマ細胞を、動物における腹水の腫瘍としてin vivoで増殖させることができる。
【0165】
サブクローンにより分泌されたモノクローナル抗体は、培地、腹水、または血清から、例えば、タンパク質A-セファロース、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、または親和性クロマトグラフィーなど、従来の免疫グロブリン精製手順により、適切に分離される。
【0166】
モノクローナル抗体をコードするDNAを、容易に単離し、従来の手順を用いて(例えば、モノクローナル抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子と特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを用いることにより)配列決定する。ハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの好ましい供給源として働く。単離した後、DNAを、発現ベクター中に配置することができ、次にこれを大腸菌(E.coli)細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または、その他の方法では免疫グロブリンタンパク質を生成しないミエローマ細胞などの宿主細胞中に形質移入して、組換え宿主細胞におけるモノクローナル抗体の合成を得る。DNAは、また、例えば、免疫グロブリンコード配列に、非免疫グロブリンポリペプチドに対するコード配列の全てまたは部分を共有結合性に結合することにより、修飾することができる。そのやり方で、本明細書の抗IL-8モノクローナル抗体の結合特異性を有する「キメラの」または「ハイブリッドの」抗体を調製する。
【0167】
典型的には、このような非免疫グロブリンポリペプチドは、本発明の抗体の定常領域に置換し、または本発明の抗体の1つの抗原結合部位の可変領域に置換して、IL-8に特異性を有する1つの抗原結合部位と、異なる抗原に特異性を有する別の抗原結合部位とを含むキメラの2価の抗体を作り出す。
【0168】
キメラまたはハイブリッドの抗体は、また、架橋物質を伴うものを含めて、合成タンパク質化学における知られている方法を用いてin vitroで調製することができる。例えば、ジスルフィド交換反応を用いて、またはチオエーテル結合を形成することにより、免疫毒素を構築することができる。この目的に適する試薬の例には、イミノチオレート(iminothiolate)およびメチル-4-メルカプトブチルイミデート(mercaptobutyrimidate)が含まれる。
【0169】
抗体が、望ましいエピトープと特異的に免疫反応することを確認するために、抗体がエピトープに突然変異のあるIL-8に結合する能力を試験することができる。エピトープに突然変異があると、エピトープに対する抗体がIL-8へ結合できない結果となることが予想される。このような抗体のIL-8への結合は、突然変異のIL-8をSDS-PAGEゲル電気泳動に曝し、その後免疫ブロット分析をすることにより検出することができる。
【実施例】
【0170】
遂行された実験および達成された結果を含めて、以下の実施例は、例示の目的で提供するにすぎず、限定的なものと解釈すべきではない。
【0171】
別段の指摘がある以外は、プロトコールは従来的に行い、市販の試薬を製造元の指示に従って用いた。
【0172】
(実施例1:抗体の産生)
[免疫化]
ヒトIL-8に対するヒトモノクローナル抗体を、XENOMOUSE(登録商標)マウスを逐次的に免疫化することにより開発した(XenoMouse(登録商標)XMG2、Abgenix, Inc.、Fremont、カリフォルニア州)。
【0173】
XMG2 XENOMOUSE(登録商標)マウスの同齢集団を、組換えヒトインターロイキン-8(rhIL-8)で免疫化した。最初のBIP(皮下注射および腹膜内(intraperitoneum)による尻尾の根元)の免疫化は、マウス1匹あたり、50μgのrhIL-8をフロイント完全アジュバンド(CFA)と1:1v/vで混合したもので行った。引き続き、マウス1匹あたり、50μgのrhIL-8をフロイント不完全アジュバンド(IFA)と1:1v/vで混合したもので追加免疫を行った。動物を、0、14、28、および42日目に免疫化した。次いで、何匹かのマウスに対して、Titermax goldアジュバンド中50μgのrhIL-8 ipで(146、160、および181日目)、次いで、205日目に10μgのrhIL-8のPBS ip溶液で免疫化を続けた。最終の追加免疫を、226日目(マウス2匹に対して)および234日目(マウス2匹に対して)に、10μgのrhIL-8のPBS溶液ipで行った。最後の追加免疫の直前に血清を回収し、抗hIL-8の力価をELISAにより決定した。
【0174】
[収集用の動物の選択]
抗IL-8抗体の力価をELISAにより決定した。ELISAでは、ビオチン化したヒトIL-8を、ストレプトアビジンプレートに、96ウェルプレート上0.25μg/mLで、室温で1時間結合させた。各プレートをdH2Oで5回洗浄し、その後、アジ化ナトリウム0.05%を含む1%ミルクのPBS溶液90μLをプレートに加えた。IL-8で免疫化した動物またはナイーブのXENOMOUSE(登録商標)動物いずれかからのXENOMOUSE(登録商標)の血清を、1:100の最初の希釈から2重に1:2希釈した1%ミルク/PBSでタイターを求めた。最後のウェルはブランクに残しておいた。室温で1時間後、プレートをdH2Oで5回再び洗浄した。ヤギ抗ヒトIgG Fc特異的な西洋わさびのペルオキシダーゼ(HRP、Pierce、Rockford、イリノイ州)に複合した抗体を、最終濃度1μg/mLで、室温で1時間加えた。プレートをdH2Oで5回洗浄した。TMB色素生産性基質(Gaithersburg、メリーランド州)を30分間加えてプレートを発色させ、1Mリン酸を加えることによりELISAを停止した。個々のXENOMOUSE(登録商標)動物の特異的な抗体の力価を、450nmの光学密度から決定し、1:32000と1:256000との間の範囲であった。力価は血清の逆数希釈を表し、したがって数が大きくなるほど、IL-8に対する体液の免疫反応も大きい。
【0175】
抗IL-8力価が高いXENOMOUSE(登録商標)動物を、回収用およびモノクローナル抗体の産生用に選択した。
【0176】
(実施例2:抗ヒトIL-8抗体)
[B細胞の培養および選択]
動物からのB細胞を回収し、プレートで培養した。上記に記載したように、ウェルをELISAによりスクリーニングして、IL-8に特異的な抗体を生成するB細胞を同定し、1063ウェルがIL-8結合に陽性であると同定された。
【0177】
[制限抗原アッセイ]
次いで、IL-8に特異的な抗体を、以前に記載されているように制限抗原アッセイにより親和性ランク付けした(例えば、2003年6月12日公開の「IDENTIFICATION OF HIGH AFFINITY MOLECULES BY LIMITED DILUTION SCREENING」というタイトルのPCT公開第W0/03048730A2号を参照されたい)。
【0178】
[溶血プラークアッセイによるIL-8特異的B細胞の単離]
次いで、対象の抗体を分泌する単一のB細胞を、rhIL-8抗原でコーティングしたヒツジ赤血球(SRBC)を用いて、rhIL-8特異的溶血プラークアッセイ(Babcook ら、Proc. Natl. Acad. Sci, USA、93巻、7843〜7848頁、1996年)を用いて単離した。対象の免疫グロブリンを分泌するB細胞を、補体の存在下で、特異的な抗rhIL-8が媒介するSRBCの溶解により同定した。プラークの中心における、単一のhIL-8特異的な形質細胞を、顕微操作により単離した。
【0179】
[組換え抗IL-8抗体の発現]
単一の形質細胞を単離した後、mRNAを抽出し、逆転写PCRを行って、可変の重鎖および軽鎖をコードするcDNAを産生した。ヒト可変重鎖領域を、IgG2発現ベクター中にクローンした。ヒトIgG2の定常ドメインをpcDNA3.1+/Hygro(Invitrogen、Burlington、ON)の複数のクローニング部位中にクローニングすることにより、このベクターを産生した。ヒト可変軽鎖領域をIgK発現ベクター中にクローニングした。これらのベクターを、ヒトIgKの定常ドメインをpcDNA3.1+/Neo(Invitrogen、Burlington、ON)の複数のクローニング部位中にクローニングすることにより産生した。重鎖および軽鎖の発現ベクターを、次いで、70%コンフルエントのヒト胎児性腎臓293細胞の60mmディッシュ中にコリポフェクションし、形質移入した細胞に、オリジナルの形質細胞と特異性が同一の組換え抗体を24〜72時間分泌させた。上清をHEK293細胞から回収し、ヒトIgGを特異的に検出するサンドイッチELISAで、完全な抗体の分泌が示された。上記に記載したようにELISAを用いて、組換え抗体のrhIL-8への結合により特異性を評価した。
【0180】
[組換え抗IL-8抗体の精製]
より大規模に生成するために、重鎖および軽鎖の発現ベクター(各鎖/ディッシュ2.5μg)を、HEK293細胞で70%コンフルエントにした100mmディッシュ10個中にリポフェクションした。形質移入した細胞を、37℃で4日間インキュベートし、上清(6mL)を回収し、新鮮な培地6mLで置換した。7日目に上清を除去し、最初の回収物とともにプールした(10個のプレートから全部で120mL)。各抗体を、タンパク質-Aセファロース(Amersham Biosciences、Piscateway、ニュージャージー州)の親和性クロマトグラフィー(1mL)を用いて上清から精製した。抗体を、タンパク質-Aカラムから、0.1MグリシンpH2.5 500mcLで溶出した。溶出物を、PBS pH7.4で透析し、ろ過滅菌した。抗体を、非還元性SDS-PAGEにより分析して純度および収率を評価した。OD280におけるUV分析、およびELISAにより濃度も測定した。
【0181】
(実施例3:kinetic分析)
抗IL-8抗体のkinetic分析を、KinExA(登録商標)方法を用いて行った。この方法により、平衡時の正式の親和性の溶液ベースの測定がもたらされる。
【0182】
[抗原でコーティングしたビーズの調製]
50μgのrhIL-8をCNBr活性化したセファロース4Bに連結した。あるいは、25μg/mlまたは100μg/mlのrhIL-8を、NHSで活性化したセファロースに連結した。ビーズ上の残りの活性基を、製造元が推奨する通りに阻止した。次いで、ビーズを、BSA10mg/mlの1M Tris溶液で最終的に阻止し、ブロッキング溶液中に貯蔵した。
【0183】
[KinExA結合平衡アッセイ]
rhIL-8連結したビーズが固相として働く、自動流動免疫アッセイシステムであるKinExA3000(Ohmuraら、Anal. Chem.、73巻、3392頁、2001年)を用いて、KinExAでの実験を行った。活性の結合部位濃度0.67と5000pMの間の一定量の抗体を、サンプルバッファー(0.1%BSAを含むPBS)中100nMで開始したタイター濃度のrhIL-8抗原とインキュベートして、非特異的な結合を低減させた。抗原/抗体複合体を、室温で36時間から144時間インキュベートして平衡に到達させた。混合液をrhIL-8連結したビーズを通して引いて、非結合の抗体を蓄積させた。捕獲された抗hIL-8mAbは、残りのフリーの結合部位に直接比例し、Cy5複合した抗ヒト2次抗体のサンプルバッファー溶液を含む溶液を用いて検出された。2次抗体溶液の濃度、体積、および流速を変化させて、各実験におけるシグナル対ノイズ比を最適化した。結合しているシグナルは、rhIL-8の非存在下でのコントロールの割合として相対的な値に変換された。ソフトウエア内に含まれていた一部位均一結合モデルを用いてデータの非線形の回帰分析から、平衡解離定数(Kd)を得た(Blakeら、Anal. Biochem.、272巻、123頁、1999年; Jonesら、Bioconjug Chem、13巻、408頁、2002年)。このソフトウエアはKdを計算し、データポイントを理論上のKd曲線に適合することにより95%信頼区間を決定するものである。95%信頼区間は、低Kdおよび高Kdとして与えられる。
【0184】
表3でKdデータを決定するために、段階希釈のrhIL-8を、それぞれ抗hIL-8mAbと混合し、36時間平衡に到達させた。平衡混合液に存在する比例量の遊離のmAbを、0.25mlから3mlのサンプルを、CNBr-活性化したセファロースビーズに連結したrhIL-8上に流すことにより測定し、1.7μg/mlのCy5-標識したヤギ抗ヒトIgG Fcγフラグメント特異的な2次抗体1.0mlを用いて検出した。各サンプルを、3回ずつ試験した。KdをKinExAソフトウエアにより計算した。95%信頼区間はKd範囲として与えられる。
【0185】
【表2】

【0186】
[シグナルの決定]
KinExAによって、正確なKdの測定を行うために、活性の抗体結合部位の濃度は、実際のKdの付近またはそれを下回らなければならない。非常に親和性の高い(非常にKdSの低い)抗体を測定するために、低いピコモル濃度の抗体結合部位で試験する必要がある。これらの低い抗体濃度では、アッセイの感度をさらに最適化する必要がある。遊離の抗体の検出感度を上げるために、ビーズコーティング濃度、サンプリングのパラメーター、および様々な標識を試験した。
【0187】
[ビーズコーティングおよび標識した2次抗体の調節]
ある種の抗原をビーズに固定化すると、受動的なコーティングまたは側鎖の反応性の連結によるエピトープの破壊による立体障害により、抗原が抗体に結合する能力を変えることがある。ビーズパックにおけるシグナルを増大するために、IL-8をNHS-セファロースビーズに連結し、記載されているようにビーズの飽和を試験した(Ohmuraら、Anal. Chem.、73巻、3392〜9頁(2001年))。抗原の連結濃度100μg/mlを超える信号利得は存在しないことが決定した。抗原25μg/mlでは、最大シグナル約70%が観察された。低い抗体濃度の(Kdを制御した)実験では、ビーズは100μg/mlのrhIL-8と連結した。NHS-セファロースビーズは、高濃度のmAbの実験および抗原を保存するためのkinetic実験では、25μg/mlのrhIL-8と連結した。
【0188】
様々なCy5-標識した抗ヒト2次抗体を調査して、最高のシグナル対ノイズ比を与えるものを同定した。様々な2次標識(ヤギ抗ヒトIgG(H+L)特異的、Fcγフラグメント特異的、またはマウス抗ヒトFab特異的)を含む抗-hIL-8mAbの100pM溶液を試験した。Fcγ特異的標識を用いると、最高のシグナル対ノイズ比が産生された(バックグラウンドより9.9倍高かった)。その後の平衡およびkinetic測定には、Fcγフラグメント特異的ヤギ抗ヒト2次抗体を用いた。
【0189】
[サンプル体積および流速の決定]
少数の抗hIL-8mAbの最初の平衡分析では、低いピコモルからピコモル以下のKdSと幅広い95%信頼区間が示されたので(表3、mAb809、837、861、928)、次いで、サンプル体積および流速を操作した。0.25ml/分で0.5mlまたは1.5ml/分で3.0ml、120秒間流して、100pMの抗hIL-8mAb928をシグナル試験した。サンプル体積および流速を増大すると、シグナルが約20%増大することが決定した。次いで、抗hIL-8mAb928の濃度を2pMに低減し、1200秒間1.5ml/分で30ml流すことによりシグナル試験を行った。良好なシグナルが得られた。
【0190】
[平衡に到達する時間およびサンプルの生存度]
ピコモル以下までの低いmAbのKdを測定するために、抗体結合部位濃度を1pMに低減した。この非常に低い抗体濃度では、サンプルは平衡に到達するのにより長い時間を必要とする。低濃度のmAbで得られたKd曲線、およびkinetic実験から測定されたKonを用いると、平衡に到達するのに必要とされる最小の時間は、Sapidyne Instruments Inc.からのkinetic理論曲線ソフトウエアを用いて、6日と推定された。そうでなければ、平衡が達成された場合に3重の測定の間に一定したままでなければならない、溶液に残った遊離のmAbを測定することにより、抗原-抗体混合物が平衡に到達したか否かを実験的に決定することができる。次いで、インキュベーション時間0、3、および6日に生存度1pMの抗hIL-8mAb928を調査し、室温ではこの時間の間に抗体の活性が低減しなかったことが見出された。引き続き、全ての平衡反応を、6日間行わせた。
【0191】
[低ピコモルの親和性を有するmAbの平衡測定]
KdSが20pM未満であり95%信頼区間が広く、ビーズのカップリング、サンプル体積、流速、および2次抗体標識に対するパラメーターが改善されたmAbについて、KinExAを用いてKd測定を繰り返した。表4におけるKdデータを決定するために、段階希釈したrhIL-8を、表4に示した結合部位濃度でそれぞれの抗hIL-8と混合し、各mAbの高濃度の結合部位では36時間、各mAbの低濃度の結合部位では144時間、平衡に到達させた。平衡混合物中に存在する比例量の遊離mAbを、最適化した条件下でKinExAで測定した。例えば、低濃度のmAbを含む混合物では、サンプル18〜36mlを、NHS活性化したセファロースビーズと連結したrhIL-8を通して流し、Cy5標識したヤギ抗ヒトIgGFcγフラグメント特異的な2次抗体2.0μg/mlを1〜2ml用いて検出した。KinExAソフトウエアを用い、「n曲線分析」選択を用いて、Kdを計算した。この「n曲線分析」選択により、与えられた曲線全てを、同時に単一のKd値に適合することにより、正確なKd値(表4)を得ることができ、95%信頼区間はKd範囲として与えられる。N曲線分析により、正確なKd値がもたらされた。
【0192】
【表3】

【0193】
mAb928のn曲線分析について、数々の実験を行った。これらの実験では、Kd濃度付近またはKdよりも約15〜20倍高い濃度でmAb928を用いた。N曲線分析により、mAb928のKdは613fMであることが決定し(高Kd=935fM、および低Kd=380fM)、単一の曲線で分析した低濃度mAb実験により決定したKdと非常に接近している(590±220fM)。MAb928の個々の測定のKd分布を図3に示す。
【0194】
[KinExA 結合平衡アッセイ]
KinExAを用いて会合速度定数を測定するために、同じrhIL-8連結したビーズをプローブとして用い、「Kinetics、Direct」方法を用いた。KinExAによる「Kinetics、Direct」実験は、ビーズカラム高さ、抗体の捕獲、抗体濃度、および抗体検出の点では、KinExA平衡アッセイと同じである。簡潔に述べると、mAbを、平衡実験において約80%のmAbと結合する量の抗原と混合し、サンプル中に存在する遊離の抗体を繰り返し、前平衡過程でプローブさせた。結合シグナルは溶液における遊離の抗体の濃度に比例するので、溶液が平衡になるまでシグナルは徐々に低減する。抗原-mAb混合物およびCy5標識した2次抗体の体積および流速は、試験したmAbに応じて変化した。KinExA3000機器に付随するKinExA分析ソフトウエアを利用してデータを分析した。このソフトウエアは、経時の結合シグナルの低減をグラフィックに表し、収集したデータポイントを結合に対するkinetic微分方程式の正確な解答に適合させる。この曲線から、Konに最適な溶液を決定する。Koffは、KonおよびKdに対する解答から間接的に計算される。
【0195】
[高親和性mAbの結合速度測定]
KinExAによる結合速度測定は、実験で用いられるmAb濃度によって制限されない。したがって、非常に高い親和性の抗体に対するKonの測定では、さらなる最適化を必要としなかった。測定したKonおよび計算したKoffを表5に示す。結合速度実験に用いられたmAb濃度は、平衡結合性実験で用いられたものと同じであった。平衡結合性実験で80%のmAbに結合する量のIL-8をmAbと混合した。混合物に残った遊離のmAbの量を、KinExAで測定した。混合物1mlをNHS活性化したセファロースビーズに連結したrhIL-8を通して繰り返し流し、2.0μg/mlのCy5標識したヤギ抗ヒトIgGFcγフラグメント特異的な2次抗体1mlを用いて検出した。KinExAソフトウエアを用いて、「Kinetic、Direct」法によりKonを測定した。95%信頼区間はKon範囲として与えられる。MAbに対するKoffを、測定したKonおよびそれぞれのmAbのKdから計算した。
【0196】
【表4】

【0197】
(実施例4:抗体の構造分析)
上記表3に示した抗体に対する可変重鎖および可変軽鎖を配列決定して、それらのDNA配列を決定した。ヌクレオチドおよびアミノ酸配列を含めた、これらの抗IL-8抗体に対する完全な配列情報を、本明細書とともに提示する配列リストに示す。
【0198】
図4Aは、様々なXENOMAX(登録商標)由来の抗体重鎖領域を、特定の生殖系列重鎖領域に比べて示したものである。図4Bは、様々なXENOMAX(登録商標)由来の抗体軽鎖領域を、特定の生殖系列重鎖領域に比べて示したものである。
【0199】
(実施例5:ABX-IL-8が結合したエピトープの同定)
[ファージディスプレイ]
ABX-IL-8が結合するエピトープ決定するために、IL-8タンパク質からの12塩基長のランダムペプチドのコンビナトリアルライブラリーを、繊維状のファージ上にディスプレイした。
【0200】
イムノチューブ(Nuncカタログ番号470319)でパニングを行った。ABX-IL-8(10μg/ml)抗体をELISAコーティングバッファーに懸濁したものを用いて、4℃で一夜穏やかに振盪してイムノチューブをコーティングした。次いで、チューブを1時間TBS、2%スキムミルクでブロックし、ファージ2×1012(New England Biolabs, IncからのPh.D-12Pharge Display Peptide Libraryキット)を、2%スキムミルクを含む全体積3mlのTBS中でパニングし、室温で1時間穏やかにゆすった。非結合のファージを、TBS、0.1%Tween-20を含む20回の洗浄で除去した。ABX-IL-8抗体がコーティングするイムノチューブに結合しているファージを、0.1Mグリシン-HCLバッファー(pH2.2)1mlで溶出した。さらに、溶出物を、1Mtris-HCl(pH9.1)150mlで中性化し、ファージをさらに増幅するために大腸菌(E.coli)ER2738細胞に感染させるために用いた。3ラウンドの選択的パニングの後、エピトープをディスプレイするファージの、クローンのABXIL-8抗体に対する特異的結合を、抗体でコーティングしたウェル上で行ったファージELISAアッセイにより確認した。自動化DNA配列決定を行って、ABX-IL-8でコーティングしたチューブと相互作用するポジティブのクローンのアミノ酸配列を同定した。次いで、配列を、IL-8タンパク質の残基15から21にアラインした。同定されたこれらの配列の中の、コンセンサスアミノ酸配列は、KPXPXF(図5、配列番号63)であった。図5におけるダッシュは、保存されている配列を意味するものではなく、単にアミノ酸の非存在を示すものである。
【0201】
[質量分析法]
さらに、固定化したABX-IL-8抗体に結合することができるIL-8抗原のフラグメントに対して、質量分析法を行った。
【0202】
ABX-IL-8抗体を固定化するために、ABX-IL-8抗体3μgをPS2チップ(Ciphergen Biosystems、Fermont、カリフォルニア州)上にスポットし、4℃の振盪湿潤箱で一夜インキュベートした。次いで、残りの活性部位を、1MエタノールアミンpH8.0でブロックした。チップを、室温で5分間、0.5%Triton-X100を含むPBSで2回洗浄した。洗浄したチップを、0.1Mtris、pH8.0で30分間インキュベートした。チップを0.5MNaClのPBS溶液で5分間さらにインキュベートし、PBSを含めて3回さらに洗浄した。
【0203】
質量分析のためのIL-8タンパク質の調製には、Glu-Cによるタンパク質の最適な消化を確実にするために、数々のステップが含まれていた。IL-8タンパク質に、変性、還元、およびタンパク質のシステイン残基間のジスルフィド結合の形成を防ぐメチル化を受けさせる。それに応じて、IL-8タンパク質を、10μgのIL-8(1μg/μl)を8MのHClグアニジンと混合することにより変性し、IL-8混合物に20mM DTTを加えることにより還元する。試薬を適切に混合するために、次いで、混合物を37℃、75RPMで30分間振盪した。IL-8をメチル化するために、ヨード酢酸の12.5%NaOH溶液を、IL-8混合物に加えた。混合物を穏やかにボルテックスし、75RPMのシェーカー中、37℃暗所で30分間インキュベートした。反応物を100mM DTTでクエンチし、穏やかにボルテックスした。変性、還元、およびメチル化の試薬を除去するために、IL-8混合物を、ミニダイアライザー(minidialyzer)MWCO3500中3〜4時間、50mM炭酸水素アンモニウム、pH7.8に対して透析した。変性し、還元し、メチル化したIL-8をGlu-C対タンパク質の比1:10の500ngGlu-Cで消化した。0.1μg/μlGlu-C10μLを、最終体積60μlにおけるIL-8タンパク質5μgに加えた。混合物を25℃水浴中、50RPMで穏やかに振盪しながら一夜インキュベートした。混合物を55℃で10分間インキュベートすることにより、酵素の消化反応を停止した。
【0204】
消化し、メチル化したIL-8を、次いで、ABX-IL-8を固定化したPS2チップ上にスポットした。結合には、メチル化および消化したIL-8タンパク質5μlを、チップ上にスポットし、振盪している湿潤箱で、室温で3〜4時間インキュベートした。全体のペプチドマップを得るために、スポットは洗浄せず、いくつかのスポットは0.16%Triton-X100を含むPBSで洗浄し、その後ABX-IL-8抗体に特異的に結合するフラグメントの配列を同定するためにHPLC洗浄液で洗浄した。チップ上に固定化した後、IL-8抗原を、アミノ酸残基のグルタミン酸(E)のカルボキシ末端側上でペプチド結合を特異的に切断するエンドプロテアーゼである、Glu-Cで消化した。チップをPBSTで3回洗浄してあらゆる非結合の生成物を除去した。さらに、結合しているIL-8フラグメントを分析し、その分子量に基づいてSELDIにより同定した。
【0205】
[固定化したABX-IL-8抗体に結合しているIL-8のSELDIベースの分析]
IL-8フラグメントを、ABX-IL-8結合したPS2チップでインキュベートした後、スポットは洗浄せず、または0.16%Triton-X100のPBS溶液で洗浄し、その後HPLC水で洗浄した。洗浄しなかったスポットを、IL-8フラグメントの全体のペプチドマップを同定するのに用いた。洗浄したスポットを、IL-8フラグメントまたはABX-IL-8抗体と特異的に相互作用するエピトープを同定するのに用いた。さらに、エネルギー吸収分子-1(EAM-1)5mgを、TFA0.5%を含む50% CH3CN 0.25mlに溶解した。1:25希釈のEAM-1溶液を、0.5%TFAを含む10%CH3CNに作成し、希釈したEAM-1溶液0.5μLを、IL-8スポット上にスポットし、乾燥させた。IL-8ペプチドフラグメントを、強度190および200で質量分析法により分析した。
【0206】
分子量2466.315、配列「LRCQCIKTYSKPFHPKFIKE」(配列番号62)の、IL-8タンパク質の残基5から24に位置する、20個のアミノ酸配列を、ABX-IL-8抗体に最も緊密に結合しているフラグメントと同定した。このフラグメントの質量分析を図6に示す。別の関連のフラグメントである、KPFHPKFIKELR(配列番号84)も、配列番号62と共通のいくつかのアミノ酸を含み、ABX-IL-8抗体に結合することが、やはり見出された。
【0207】
[IL-8の部位特異的突然変異]
IL-8タンパク質の特定のアミノ酸が、IL-8とABX-IL-8抗体との間の相互作用に必要であるか否かを決定するために、部位特異的突然変異によりIL-8を突然変異させ、ABX-IL-8抗体に結合する能力について、免疫ブロットによりさらに分析した。例えば、IL-8のアミノ酸ポジション16のプロリンが、ABX-IL-8抗体がIL-8に結合するのに必要であることが見出された。
【0208】
アミノ酸ポジション16で突然変異したIL-8を含む、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)融合物を産生した。野生型のIL-8を含むGST融合物も産生し、結合実験の陽性コントロールとして用いた。融合物は、各々、大腸菌で発現された。GST融合物を発現する大腸菌細胞を溶解し、GST融合物をグルタチオン-セファロースで親和性精製し、さらに、SDS-PAGEおよび免疫ブロッティングにかけた。IL-8を検出するのに用いた1次抗体は、抗GST抗体、またはABX-IL-8抗体のいずれかであり、用いた2次抗体は西洋わさびのペルオキシダーゼと連結していた。
【0209】
免疫ブロッティングからの結果は(図7)、IL-8のアミノ酸ポジション16のプロリンの突然変異により、ABX-IL-8抗体のIL-8への結合が消失したことを示している。α-GSTで検出すると、野生型およびプロリン突然変異両方に対するバンドがもたらされた。しかし、ABX-IL-8で検出すると、野生型IL-8に対してのみバンドがもたらされ、IL-8プロリン突然変異ではポジション16にバンドはもたらされなかった。GST抗体のGST-IL-8融合物への結合は、プロリンの突然変異による影響を受けなかった。したがって、ABX-IL-8抗体に対するエピトープは、IL-8のアミノ酸ポジション16にプロリンを含むと思われる。
【0210】
(実施例6:いくつかのABXha-IL-8抗体が結合したエピトープの同定)
いくつかのABXha-IL-8に対するエピトープも決定した。結果を、以下の表6に示す。簡潔に述べると、以前のペプチドに対する各々2個のアミノ酸C末端であった(図8に示す通り)重複しているIL-8ペプチドを、調製し、膜に付着させた。次いで、抗体を加え、ペプチドに結合させた。
【0211】
【表5】

【0212】
表6における結果から見ることができるように、抗体809、837、および928は、実施例5に記載した抗体とは異なるエピトープ(または配列番号84内に含まれるエピトープ)に結合した。したがって、代替のエピトープが存在し、ペプチド配列ELRCQCIKTYSK(配列番号79)は特に高親和性のエピトープを有すると思われる。
【0213】
ABX-IL-8抗体およびABXha-IL-8抗体は、比較的異なるペプチドに、したがってエピトープに結合することを決定した他に、様々な抗体は相互に競合するか否かも決定した。mAb837は、K221と競合し、mAb809および928はABX-IL-8と競合することが決定した。したがって、これらのペプチドの中では、これらの抗体に対して、数々の、比較的違いの明確な結合性のエピトープが存在する。
【0214】
特定の抗体(928および809)に結合しているペプチドには、ABX-IL-8も結合するか否かを決定することにより、2つの抗体の特異性および特有性をさらに試験した。mAb809および928(ABXha-IL-8)が結合することができるが、ABX-IL-8が結合することができないペプチドは数々存在することが決定した。図9は、Ab809が結合することができ、IL-8が阻害するが、ABX-IL-8が結合しないいくつかのペプチドを示している。図10は、Ab928が結合することができ、IL-8が阻害するが、ABX-IL-8が結合しない2つのペプチド(およびコンセンサス配列)を示している。このように、ABZ-IL-8とABXha-IL-8との間のエピトープは、比較的明確であると思われる。
【0215】
(実施例7:野生型IL-8および突然変異のIL-8に対するABXha-IL-8抗体の結合)
上記の実施例に加えて、様々なエピトープの位置を代替の様式で試験することができる。例えば、アミノ酸を変更し、それが様々な抗体の結合にどのように影響を与えるかを見ると、アミノ酸がエピトープに関与するか否かだけではなく、様々な抗体が同じエピトープを共有するか否かを示し得る。928および809の抗体は、プロリンの突然変異に対して非常に感受性であるようであるが(エピトープにおける可能な立体配座の変化により)、プロリンが欠失したIL-8でも、いくらかの少量の結合能力を保持し得ると考えられている。しかし、837抗体は、さらにABX-IL-8エピトープからの別のエピトープに結合すると考えられているので、プロリンの突然変異による影響は少ないはずであると考えられている。
【0216】
(実施例8:抗IL-8抗体による、COPD患者の痰における好中球の走化性活性の阻害)
この実施例は、抗体が、COPDを有する患者からの痰において、好中球の走化性の阻害において作用することを示している。COPDを有する患者から、痰サンプルを得る。次いで、以前に確立された方法を用いて、正常のドナーの末梢血から好中球を単離する(Ferrante, A. & Thong, Y.H.、A Rapid One-step Procedure for Purification of Mononuclear and Polymorphonuclear Leukocytes from Human Blood Using a Modification of the Hypaque-Ficoll Technique、J. Immunol. Methods、24巻、389〜393頁(1978年)を参照されたい)。簡潔に述べると、ヘパリン中に血液を回収し、Ficoll上に層積する。好中球を単離し、4回洗浄してから使用する。次いで、細胞を、0.5%ウシ血清アルブミンを含むRPMI培地に、4×106/mlで再懸濁する。
【0217】
痰中の好中球の走化性活性を、Boydenチャンバーを用いて決定する。2希釈の痰(1:10および1:100)を利用し、低部チャンバー中に(3重に)配置する。好中球4×106/mlの懸濁液50μLを、上部チャンバー中に配置する。各希釈の痰を、単独で、およびヒト抗IL-8抗体25μg/mlの存在下で試験し、IL-8 10nMで産生された化学走性活性の>90%を中和する量を決定する(他のIL-8抗体に対して)。孔サイズ5μlのポリカーボネートフィルターを用いてチャンバーを分ける。
【0218】
37℃で45分後、フィルターの上部表面から非遊走性の細胞を掻き取ることにより除去し、フィルターの下面をDiff-Quick(登録商標)染色で染色する。光学顕微鏡により遊走性の細胞の数を計数する。痰を少しも含まないウェルから、観察されるあらゆるランダムな遊走を差し引くことにより、絶対的な遊走を決定する。
【0219】
結果は、様々な濃度のIL-8(1nMから10nM)に対して、抗体の濃度の関数として(μg/mL)好中球の走化性を示すデータを提供している。
【0220】
(実施例9:IL-8抗体のin vivo投与による肺の炎症の阻害)
COPDの処置として、IL-8抗体(すなわち「抗IL-8抗体」)の全身的投与の潜在的な有用性を評価するために、IL-8誘発性の肺の炎症のラットモデルを、ヒトIL-8の気管内(i.t.)投与により確立することができる。ラットに、ビヒクルのコントロール(PBS+0.1%低外毒素ウシ血清アルブミン)、ヒトIL-8 0.3マイクログラム、ヒトIL-8 1マイクログラム、およびヒトIL-8 3マイクログラムを気管内投与する。i.t.注入4時間後、3×5mLのアリコートの食塩水を用いて、気管支肺胞洗浄(BAL)を行う。BAL溶液を、全体および微分の白血球数に関して分析する。ヒトIL-8(0.3、1、および3マイクログラム)の気管内投与により、ラットがIL-8を発現しなくても、ラットの気道中に容量依存性の好中球の遊走が誘発される。この投与量は肺の中へ最高レベルの好中球の遊走をもたらすので、これらの結果に基づいて、後の試験のためのヒトIL-8の投与量を選択する。IL-8抗体5mg/kgを静脈内投与すると、IL-8誘発性の気道の好中球の遊走および蓄積の著しい阻害がもたらされ、これはIL-8抗体に全身的に曝露すると気道のIL-8を中和し、肺および気道の炎症を阻害することを示している。
【0221】
(実施例10:ヒトにおけるCOPDの処置)
COPDに罹患している患者を同定する。5mg/kgの投与量の抗IL-8抗体を、静脈内注射により患者に投与する。3週間後、およびその後3週間ごとに追加投与を与える。抗IL-8抗体は、炎症を起こした呼吸組織における好中球の走化性の部分的または完全な阻害をもたらす。この好中球の走化性の阻害により、患者の免疫反応によって引き起こされる肺および気道への組織損傷の重症度が低減される。
【0222】
(実施例11:ヒトにおける慢性気管支炎の処置)
慢性気管支炎を特徴とするCOPDに罹患している患者を同定する。5mg/kgの投与量の抗IL-8抗体を、静脈内注射により患者に投与する。3週間後、およびその後3週間ごとに追加投与を与える。抗IL-8抗体は、炎症を起こした呼吸組織における好中球の走化性の部分的または完全な阻害をもたらす。この好中球の走化性の阻害により、患者の免疫反応によって引き起こされる肺および気道への組織損傷の重症度が低減される。
【0223】
(実施例12:ヒトにおける肺気腫の処置)
肺気腫を特徴とするCOPDに罹患している患者を同定する。5mg/kgの投与量の抗IL-8抗体を、静脈内注射により患者に投与する。3週間後、およびその後3週間ごとに追加投与を与える。抗IL-8抗体は、炎症を起こした呼吸組織における好中球の走化性の部分的または完全な阻害をもたらす。この好中球の走化性の阻害により、患者の免疫反応によって引き起こされる肺および気道への組織損傷の重症度が低減される。
【0224】
(実施例13:ヒトにおける「不可逆性の」喘息の処置)
後期の、または「不可逆性の」喘息を特徴とするCOPDに罹患している患者を同定する。5mg/kgの投与量の抗IL-8抗体を、静脈内注射により患者に投与する。3週間後、およびその後3週間ごとに追加投与を与える。抗IL-8抗体は、炎症を起こした呼吸組織における好中球の走化性の部分的または完全な阻害をもたらす。この好中球の走化性の阻害により、患者の免疫反応によって引き起こされる肺および気道への組織損傷の重症度が低減される。
【0225】
(実施例14:細菌性肺炎の処置)
好中球は、肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumoniae)による感染を含む様々な刺激に反応して、肺の中に遊走する。本発明の抗IL-8抗体が、このような好中球の遊走を阻害し、それによって肺における炎症を改善することができるか否かを決定するために、ウサギ肺炎モデルを用いることができる。簡潔に述べると、麻酔したニュージーランド白ウサギに、総体積0.5mlの、IL-8抗体またはコントロールのIgG(最終濃度0.5mg/ml)のいずれか、およびコロイド状カーボン(5%)と組み合わせた、肺炎レンサ球菌、大腸菌、または緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(生物体3×109個/ml)の気管支内注入を与えることができる。
【0226】
3時間および50分後、ウサギに、放射標識した微粒子の静脈内注射を与えて、肺の血流を測定することができる。4時間後、心臓および肺を除去することができ、肺を分離することができる。肺の領域(通常、左下葉)、および反対側の肺における対応する領域を、リン酸緩衝食塩水を用いて洗浄することができる。洗浄液に対して血球計数器を用いて、全白血球数を得ることができ、ライト染色したサイトスピン標本に対して微分計数を行うことができる。
【0227】
抗IL-8抗体(例えば、IL-8抗体)で処置すると、アイソタイプのコントロールのマウスIgGで処置し得る動物に比べて、BAL液に存在する好中球の数を大幅に低減することができる。このように、抗IL-8抗体は、肺炎の肺における好中球の遊出を効果的に低減することができる。
【0228】
先に記載した明細書は、当業者が本発明を実践するのを可能にするのに十分であると考えられる。先の記載および実施例は、本発明のある好ましい実施形態を詳述し、本発明者らが企図する最善の様式を記載するものである。しかし、前述が本文においていかに詳述され得ようと、本発明は、多くの方法において実践することができ、本発明は、添付の特許請求の範囲およびあらゆるその同等物によるものと解釈されるべきである。
【0229】
本明細書に引用した全ての参照は、特許、特許出願、文書、教科書、その他、および本明細書に引用する参考文献を含めて、それらがすでにそうではない程度まで、その全文が参照として本明細書に組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【0230】
【図1A】IL-8に対する特定の抗体の軽鎖および重鎖アミノ酸配列の例の配列リストを示す図である。
【図1B】IL-8に対する特定の抗体の軽鎖および重鎖アミノ酸配列の例の配列リストの続きを示す図である。
【図1C】IL-8に対する特定の抗体の軽鎖および重鎖アミノ酸配列の例の配列リストの続きを示す図である。
【図2A】IL-8に対する特定の抗体をコードする軽鎖および重鎖核酸配列の例の配列リストを示す図である。
【図2B】IL-8に対する特定の抗体をコードする軽鎖および重鎖核酸配列の例の配列リストの続きを示す図である。
【図2C】IL-8に対する特定の抗体をコードする軽鎖および重鎖核酸配列の例の配列リストの続きを示す図である。
【図2D】IL-8に対する特定の抗体をコードする軽鎖および重鎖核酸配列の例の配列リストの続きを示す図である。
【図2E】IL-8に対する特定の抗体をコードする軽鎖および重鎖核酸配列の例の配列リストの続きを示す図である。
【図3】mAb928のIL-8に対する親和性を試験する様々な実験についてのKdの分布を示すグラフである。
【図4A−1】いくつかの抗IL-8抗体の重鎖のアミノ酸配列のアラインメントを示す図である。
【図4A−2】図4A-1参照。
【図4B−1】いくつかの抗IL-8抗体の軽鎖のアミノ酸配列のアラインメントを示す図である。
【図4B−2】図4B-1参照。
【図5】繊維状のファージディスプレイペプチドのIL-8エピトープとのアラインメント、およびこれらのペプチド間のおよびコンセンサス配列を示す図である。
【図6】PS2チップ上に固定化した、ABXha-IL-8抗体と特異的に結合するIL-8フラグメントの質量分析を示す図である。
【図7】アミノ酸ポジション16のプロリンに突然変異を有するIL-8抗原に対してABXha-IL-8抗体の結合が喪失したことを示すゲルを示す図である。
【図8】IL-8の様々なペプチド、ならびにABXha-IL-8およびABX-IL-8に結合しているペプチドの同定を示す図である。
【図9】809ABXha-IL-8が結合するが、ABX-IL-8が結合しない配列を示す図である。
【図10】928ABXha-IL-8が結合するが、ABX-IL-8が結合しない配列を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
10pM未満のKdで結合する、インターロイキン-8に特異的に結合するヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
【請求項2】
1pM未満のKdで結合する、請求項1に記載のモノクローナル抗体または抗原結合部分。
【請求項3】
500fM未満のKdで結合する、請求項1に記載のモノクローナル抗体または抗原結合部分。
【請求項4】
KinExA平衡アッセイにより決定した場合に、10fM未満のKdで結合する、請求項1に記載のモノクローナル抗体または抗原結合部分。
【請求項5】
ポリペプチドのエピトープに結合し、エピトープがアミノ酸配列ELRCQCIKTYSK(配列番号79)を含む、抗体またはその抗原結合部分。
【請求項6】
抗体が前記エピトープに約1pM未満のKdで結合する、請求項5に記載の抗体またはその抗原結合部分。
【請求項7】
抗体が前記エピトープに約500fM未満のKdで結合することができる、請求項6に記載の抗体またはその抗原結合部分。
【請求項8】
ポリペプチドに結合し、ポリペプチドがアミノ酸配列ELRCQCIKTYSK(配列番号79)からなる、抗体またはその抗原結合部分。
【請求項9】
抗体がヒトインターロイキン-8の生物学的活性を中和する、請求項8に記載の抗体。
【請求項10】
対象に有効量の抗インターロイキン-8抗体を投与する段階を含み、前記抗インターロイキン-8抗体がポリペプチドのエピトープに結合し、エピトープがアミノ酸配列ELRCQCIKTYSK(配列番号79)を含む、疾患を処置するための方法。
【請求項11】
対象に有効量の抗インターロイキン-8抗体を投与する段階を含み、前記抗インターロイキン-8抗体がインターロイキン-8に約10pM未満のKdで結合する、疾患を処置するための方法。
【請求項12】
Kdが約1pM未満である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
Kdが約0.5pM未満である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
Kdが約0.1pM未満である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
疾患が炎症に関連している、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
対象がヒトである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
疾患が、インターロイキン-8悪性メラノーマ、肺障害、および炎症状態に関連する疾患からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
疾患が、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および特発性肺線維症からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
疾患が、乾癬、関節リウマチ、および炎症性腸疾患からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
インターロイキン-8エピトープと免疫反応する抗体を含む治療用組成物であって、前記インターロイキン-8エピトープがアミノ酸配列ELRCQCIKTYSK(配列番号79)を含み、前記抗体が炎症を予防し、抗体のKdが約10pM未満である組成物。
【請求項21】
インターロイキン-8関連障害の処置のための薬物の製造におけるインターロイキン-8に対するヒトモノクローナル抗体の使用であって、前記インターロイキン-8関連障害が、インターロイキン-8悪性メラノーマ、肺障害、炎症状態;慢性閉塞性肺疾患(COPD)、特発性肺線維症、乾癬、関節リウマチ、および炎症性腸疾患からなる群から選択され、ヒトのモノクローナル抗体のインターロイキン-8に対するKdが約10pM未満である使用。
【請求項22】
抗体のKdが約1pM未満である、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
インターロイキン-8関連障害を処置するための薬物の製造における、請求項5に記載の抗体またはその抗原結合部分の使用であって、前記インターロイキン-8関連障害が、インターロイキン-8悪性メラノーマ、肺障害、炎症状態;慢性閉塞性肺疾患(COPD)、特発性肺線維症、乾癬、関節リウマチ、および炎症性腸疾患からなる群から選択される使用。
【請求項24】
インターロイキン-8関連障害を処置するための薬物の製造における、請求項8に記載の抗体またはその抗原結合部分の使用であって、前記インターロイキン-8関連障害が、インターロイキン-8悪性メラノーマ、肺障害、炎症状態;慢性閉塞性肺疾患(COPD)、特発性肺線維症、乾癬、関節リウマチ、および炎症性腸疾患からなる群から選択される使用。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3】
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【図4A−1】
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【図4A−2】
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【図4B−1】
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【図4B−2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−536517(P2008−536517A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−507780(P2008−507780)
【出願日】平成18年4月18日(2006.4.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/014440
【国際公開番号】WO2006/113643
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(507268020)アムゲン・フレモント・インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】