説明

インターロイキン−17関連哺乳動物サイトカイン、それをコードするポリヌクレオチド、使用

【課題】造血細胞を含む種々の細胞型の、細胞生理機能、発達、分化、または機能を調節する、核酸、タンパク質、抗体、および模倣物を提供する。
【解決手段】哺乳動物に由来するCTLA−8関連抗原。精製されたタンパク質、特定の抗原、およびその抗原をコードする核酸を含む、哺乳動物に由来するCTLA−8関連抗原に関連する試薬。その試薬および診断キット(特定の塩基配列の成熟コード部分に由来するポリペプチド、検出のための結合化合物の使用についての説明書またはこのキットの結合化合物もしくは他の試薬の処分についての説明書を含む)、およびその使用方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、哺乳動物細胞(例えば、哺乳動物の免疫系の細胞)の生理機能、発達、および分化の制御において機能するタンパク質に関する組成物に関する。特に、本発明は、造血細胞を含む種々の細胞型の、細胞生理機能、発達、分化、または機能を調節する、核酸、タンパク質、抗体、および模倣物を提供する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
脊椎動物の免疫系は、多くの器官およびいくつかの異なる細胞型から構成される。2つの主な細胞型には、脊髄系統およびリンパ系統が挙げられる。リンパ系細胞系統には、胎児の肝臓または成体の骨髄において分化することで本来特徴付けられるB細胞、および胸腺において分化することで本来特徴付けられるT細胞がある。例えば、非特許文献1を参照のこと。
【0003】
免疫応答の発達または細胞分化の多くの局面において、サイトカインとして公知の可溶性タンパク質は、細胞の相互作用の調節において重大な役割を果たす。これらのサイトカインは、明らかに、細胞活性を様々に媒介する。多くの場合において、これらは、造血幹細胞の、免疫応答を担う系統を構成する莫大な量の前駆体への増殖(proliferation、growth)、および分化を調節することが示された。
【0004】
しかし、これらの成熟経路において、細胞の異なる発達段階で発現される細胞分子は、まだ完全には同定されていない。さらに、これらの細胞の種々の生理的段階、発達段階、または増殖段階を誘導、維持、または調節するシグナル伝達分子の作用の役割および機構は、十分には理解されていない。明らかに、この免疫系および種々のストレスへのその応答(例えば、感染性の疾患、癌に関連する応答、および処置、アレルギー性拒絶反応および移植拒絶応答)は、薬物と関係があった。例えば、非特許文献2を参照のこと。
【0005】
医学は、環境要因に対する不十分または不適切な生理的応答に関する治療をもたらす際に、免疫系の適切な補充または抑制に、大きく頼っている。しかし、免疫系がどのようにして調節されるかまたは分化するのかについての理解の欠如が、生物学的チャレンジに対する正常な防御機構を有利に調節する能力を阻止してきた。従って、関連する細胞の発達または生理機能の異常な調節または不適切な調節によって特徴付けられる医学的状態は、御しがたいままである。特定のサイトカインの発見および特徴付けは、免疫系、造血細胞、ならびに他の細胞型に影響する広範な範囲の変性状態または他の状態の治療の開発に貢献する。本発明は、これらのいくつかおよび多くの他の問題の解決法を提供する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Paul(1998年編)、Fundamental Immunology(第4版),Raven Press,New York
【非特許文献2】Thornら、Harrison’s Principles of Internal Medicine McGraw/Hill,New York
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明は、CTLA−8と指定されたサイトカインに有意な配列類似性を示す、種々のサイトカイン様タンパク質をコードするcDNAクローンの発見に、ある程度基づく。
【0008】
本発明は、本発明のタンパク質をコードする単離された遺伝子、コードされたタンパク質の改変体(例えば、天然の配列変異(ムテイン)、種改変体および対立遺伝子改変体)、融合タンパク質、化学的模倣物、抗体、および他の構造アナログまたは機能アナログを含む。これらの異なる核酸組成物またはタンパク質組成物の種々の使用もまた、提供される。
【0009】
特定の核酸の実施形態において、本発明は、以下由来の配列を含む単離されたポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチドを提供する:a)哺乳動物のIL−173(これは:配列番号6、8、10、または12の少なくとも8個の連続したアミノ酸をコードするか;配列番号6、8、10、または12の少なくとも5個の連続したアミノ酸の、少なくとも2つの異なるセグメントをコードするか;あるいは配列番号5、7、9、または11の少なくとも21個の連続したヌクレオチドの、1つ以上のセグメントを含む);b)哺乳動物のIL−174(これは:配列番号14、16、または18の少なくとも8個の連続したアミノ酸をコードするか;配列番号14、16、または18の少なくとも5個の連続したアミノ酸の、少なくとも2つの異なるセグメントをコードするか;あるいは配列番号14、16、または18の少なくとも21個の連続したヌクレオチドの、1つ以上のセグメントを含む);c)哺乳動物のIL−176(これは:配列番号28の少なくとも8個の連続したアミノ酸をコードするか;配列番号28の少なくとも5個の連続したアミノ酸の、少なくとも2つの異なるセグメントをコードするか;あるいは配列番号27の少なくとも21個の連続したヌクレオチドの、1つ以上のセグメントを含む);d)哺乳動物のIL−177(これは:配列番号30の少なくとも8個の連続したアミノ酸をコードするか;配列番号30の少なくとも5個の連続したアミノ酸の、少なくとも2つの異なるセグメントをコードするか;あるいは配列番号29の少なくとも21個の連続したヌクレオチドの、1つ以上のセグメントを含む)。他の実施形態は、発現ベクターにこのようなポリヌクレオチドを含み、以下の配列を含む:a)(IL−173)(これは:配列番号6、8、10、または12の少なくとも12個の連続したアミノ酸をコードするか;配列番号6、8、10、または12の少なくとも7個および10個の連続したアミノ酸の、少なくとも2つの異なるセグメントをコードするか;あるいは配列番号5、7、9、11の少なくとも27個の連続したヌクレオチドを含む);b)(IL−174)(これは:配列番号14、16、または18の少なくとも12個の連続したアミノ酸をコードするか;配列番号14、16、または18の少なくとも7個および10個の連続したアミノ酸の、少なくとも2つの異なるセグメントをコードするか;あるいは配列番号13、15、または17の少なくとも27個の連続したヌクレオチドを含む);c)(IL−176)(これは:配列番号28の少なくとも12個の連続したアミノ酸をコードするか;配列番号28の少なくとも7個および10個の連続したアミノ酸の、少なくとも2つの異なるセグメントをコードするか;あるいは配列番号27の少なくとも27個の連続したヌクレオチドを含む);あるいはd)(IL−177)(これは:配列番号30の少なくとも12個の連続したアミノ酸をコードするか;配列番号30の少なくとも7個および10個の連続したアミノ酸の、少なくとも2つの異なるセグメントをコードするか;あるいは配列番号29の少なくとも27個の連続したヌクレオチドを含む)。特定の実施形態は、これらのポリヌクレオチドを含む:a)(IL−173)(これは:配列番号6、8、10、または12の少なくとも16個の連続したアミノ酸残基をコードするか;配列番号6、8、10、または12の少なくとも10個および13個の連続したアミノ酸残基の、少なくとも2つの異なるセグメントをコードするか;配列番号5、7、9、または11の少なくとも33個の連続したヌクレオチドを含むか;あるいは配列番号5、7、9、または11の成熟したコード部分の全体を含む);b)(IL−174)(これは:配列番号14、16、または18の少なくとも16個の連続したアミノ酸残基をコードするか;配列番号14、16、または18の少なくとも10個および13個の連続したアミノ酸残基の、少なくとも2つの異なるセグメントをコードするか;配列番号13、15、または17の少なくとも33個の連続したヌクレオチドを含むか;あるいは配列番号13、15、または17の成熟したコード部分の全体を含む);c)(IL−176)(これは:配列番号28の少なくとも16個の連続したアミノ酸をコードするか;配列番号28の少なくとも10個および14個の連続したアミノ酸残基の、少なくとも2つの異なるセグメントをコードするか;配列番号27の少なくとも33個の連続したヌクレオチドを含むか;あるいは配列番号27の成熟したコード部分の全体を含む);あるいはd)(IL−177)(これは:配列番号30の少なくとも16個の連続したアミノ酸をコードするか;配列番号30の少なくとも10個および14個の連続したアミノ酸残基の、少なくとも2つの異なるセグメントをコードするか;配列番号29の少なくとも33個の連続したヌクレオチドを含むか;あるいは配列番号29の成熟したコード部分の全体を含む)。
【0010】
例えば、以下を含む、種々の方法が提供される:a)記載の発現ベクターを発現させ、それによってこのポリペプチドを産生する工程を包含する、ポリペプチドを作製する方法;b)記載のポリヌクレオチドを、相補的な核酸と接触させ、それによって二重鎖核酸の産生を生じる工程を包含する、二重鎖核酸を作製する方法;またはc)PCR法を使用して増幅する工程を包含する、記載のポリヌクレオチドを作製する方法。
【0011】
あるいは、本発明は、少なくとも55℃および400mM未満の塩であるストリンジェントな洗浄条件下で以下とハイブリダイズする、単離されたポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチドを提供する:a)配列番号5、7、9、または11のコード部分からなる、記載の(IL−173)ポリヌクレオチド;b)配列番号13、15、または17のコード部分からなる、記載の(IL−174)ポリヌクレオチド;配列番号27のコード部分からなる、記載の(IL−176)ポリヌクレオチド;あるいはd)配列番号29のコード部分からなる、記載の(IL−177)ポリヌクレオチド。他の実施形態は、このような記載のポリヌクレオチドを含む:a)洗浄条件が、少なくとも65℃であり、300mM未満の塩である;あるいはb)配列番号5、7、9、または11(IL−173);配列番号13、15、または17(IL−174);配列番号27(IL−176);あるいは配列番号29(IL−177)のコード部分の、少なくとも50個の連続したヌクレオチドを含む。
【0012】
特定のキット、例えば、記載のポリヌクレオチドおよび以下を含むキットが提供される:a)検出のためにこのポリヌクレオチドを使用するための使用説明書;b)このキットのポリヌクレオチドまたは他の試薬の処分のための使用説明書;あるいはc)aおよびbの両方。
【0013】
種々の細胞もまた提供される。例えば、記載の発現ベクターを含む細胞であって、ここで、この細胞は、以下である:原核生物細胞;真核生物細胞;細菌細胞;酵母細胞;昆虫細胞;哺乳動物細胞;マウス細胞;霊長類細胞;またはヒト細胞。
【0014】
ポリペプチドの実施形態は、例えば、単離された抗原性ポリペプチドまたは組換え抗原性ポリペプチドである以下を含む:a)少なくとも以下を含む(IL−173):i)配列番号6、8、10、または12からの8個の同一の連続したアミノ酸の1つのセグメント;あるいはii)配列番号6、8、10、または12からの少なくとも5個の連続したアミノ酸の、2つの異なるセグメント;b)少なくとも以下を含む(IL−174):i)配列番号14、16、または18からの8個の同一の連続したアミノ酸の1つのセグメント;あるいはii)配列番号14、16、または18からの少なくとも5個の連続したアミノ酸の、2つの異なるセグメント;c)少なくとも以下を含む(IL−176):i)配列番号28からの8個の同一の連続したアミノ酸の1つのセグメント;あるいはii)配列番号28からの少なくとも5個の連続したアミノ酸の、2つの異なるセグメント;あるいはd)少なくとも以下を含む(IL−177):i)配列番号30からの8個の同一の連続したアミノ酸の1つのセグメント;あるいはii)配列番号30からの少なくとも5個の連続したアミノ酸の、2つの異なるセグメント。さらなる実施形態は、このような記載のポリペプチドを含み、ここで:a)8個の同一の連続したアミノ酸のセグメントは、少なくとも14個の連続したアミノ酸であるか;またはb)少なくとも5個の連続したアミノ酸のセグメントの1つが、少なくとも7個の連続したアミノ酸を含む。他の実施形態は、記載のポリペプチドを含み、ここで:A)(IL−173)(このポリペプチドは:a)配列番号6、8、10、または12の成熟配列を含むか;b)成熟した配列番号6、8、10、または12の免疫原に対して産生されるポリクローナル抗体に、選択性を伴って結合するか;c)配列番号6、8、10、または12の10個の連続したアミノ酸の、複数の異なるポリペプチドセグメントを含むか;d)配列番号6、8、10、または12の天然の対立遺伝子改変体であるか;e)少なくとも30アミノ酸の長さを有するか;あるいはf)成熟した配列番号6、8、10、または12に関して選択的な、少なくとも2つの重複していないエピトープを示す);B)(IL−174)(このポリペプチドは:a)成熟した配列番号14、16、または18を含むか;b)成熟した配列番号14、16、または18の免疫原に対して産生されるポリクローナル抗体に、選択性を伴って結合するか;c)配列番号14、16、または18の10個の連続したアミノ酸の、複数の異なるポリペプチドセグメントを含むか;d)少なくとも30アミノ酸の長さを有するか;あるいはe)成熟した配列番号14、16、または18に関して選択的な、少なくとも2つの重複していないエピトープを示す);あるいはC)(IL−176)(このポリペプチドは:a)配列番号28を含むか;b)配列番号28の免疫原に対して産生されるポリクローナル抗体に、選択性を伴って結合するか;c)配列番号28の10個の連続したアミノ酸の、複数の異なるポリペプチドセグメントを含むか;d)少なくとも30アミノ酸の長さを有するか;あるいはe)配列番号28の霊長類タンパク質に関して選択的な、少なくとも2つの重複していないエピトープを示す);あるいはD)(IL−177)(このポリペプチドは:a)配列番号30を含むか;b)配列番号30の免疫原に対して産生されるポリクローナル抗体に、選択性を伴って結合するか;c)配列番号30の10個の連続したアミノ酸の、複数の異なるポリペプチドセグメントを含むか;d)少なくとも30アミノ酸の長さを有するか;あるいはe)配列番号30の霊長類タンパク質に関して選択的な、少なくとも2つの重複していないエピトープを示す)。種々の他の実施形態は、このような記載のポリペプチドを含み、このポリペプチドは:a)無菌組成物の中にあるか;b)グリコシル化されていいないか;c)変性されているか;d)合成ポリペプチドであるか;e)固体基体に連結されているか;f)検出タグまたは精製タグとの融合タンパク質であるか;g)天然の配列からの5倍以下の置換であるか;あるいはh)天然の配列由来の、欠失改変体または挿入改変体である。
【0015】
記載されたポリペプチドを使用する方法もまた、例えば、:a)ポリペプチドを標識する(この方法は、放射性標識を用いてポリペプチドを標識する工程を包含する)ため;b)混合物においてポリペプチドを別のポリペプチドから分離する(この方法は、クロマトグラフィーマトリックス上において混合物を泳動し、それによってポリペプチドを分離させる工程を包含する)ため;c)ポリペプチドに選択的に結合する化合物を同定する(この方法は、適切な条件下で化合物をポリペプチドとインキュベートし、それによってその化合物をポリペプチドに結合させる工程を包含する)ため;またはd)ポリペプチドをマトリックスに結合体化する(この方法は、反応性試薬でポリペプチドを誘導体化し、そしてそのポリペプチドをマトリックスに結合体化する工程を包含する)ために提供される。
【0016】
このような記載されたポリペプチドと選択的に結合する抗体由来の抗原結合部分を含む結合化合物を含む抗体もまた、提供される。ここでこのポリペプチドは:a)配列番号6、8、10または12の成熟ポリペプチドを含む、(IL−173)か;b)配列番号14、16または18を含む、(IL−174)か;c)配列番号28を含む、(IL−176)か;あるいはd)配列番号30を含む、(IL−177)である。特定の実施形態はこのような結合化合物を採用する。ここで抗体は:a)(IL−173)配列番号:6、8、10または12;b)(IL−174)配列番号:14、16または18;c)(IL−176)配列番号:28;あるいはd)(IL−177)配列番号:30のポリペプチドに対して惹起されるポリクロナール抗体である。他の実施形態はこのような記載された結合化合物を含む。ここで:a)抗体は:i)免疫選択されるか;ii)変性タンパク質に結合するか;またはiii)少なくとも30mMのポリペプチドのKdを示す;あるいはb)結合化合物は:i)ビーズまたはプラスチックメンブランを含む固体物質に付着されるか;ii)滅菌組成物中にあるか;またはiii)放射性標識または蛍光標識を含む検出可能に標識されている。
【0017】
以下の方法が提供される:例えば、複合体を形成し得る条件下で、配列番号:6、8、10、12、14、16、18、28または30由来の配列を含むポリペプチドを記載された結合化合物と接触させる工程を包含する、抗原:抗体複合体を生成する方法。好ましくは、結合化合物は抗体であり、そしてポリペプチドは生物学的サンプル中にある。
【0018】
以下のキットが提供される:例えば、記載された結合化合物および:a)配列番号6、8、10、12、14、16、18、28または30のポリペプチド;b)検出のための結合化合物の使用のための指示書;あるいはc)結合化合物またはキットの他の試薬の廃棄のための指示書を含むキット。
【0019】
そして、記載される抗体をタンパク質および他のサイトカインに接触させる工程;ならびにタンパク質およびサイトカインに対する抗体の結合を比較する工程を包含する、配列番号6、8、10、12、14、16、18、28または30のタンパク質に対する抗体の結合の選択性を評価する方法が提供される。
【0020】
本発明は、例えば以下を提供する。
(項目1) 単離されたポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチドであって、以下:
a)哺乳動物IL−173配列であって、以下;
i)成熟配列番号6、8、10、または12の少なくとも8個の連続するアミノ酸をコードするか;
ii)成熟配列番号6、8、10、または12の少なくとも5個の連続するアミノ酸の少なくとも2つの異なるセグメントをコードするか;または
iii)配列番号5、7、9、または11の少なくとも21個の連続するヌクレオチドの一つ以上のセグメントを含む、
哺乳動物IL−173配列;
b)哺乳動物IL−174配列であって、以下;
i)成熟配列番号14、16、または18の少なくとも8個の連続するアミノ酸をコードするか;
ii)成熟配列番号14、16、または18の少なくとも5個の連続するアミノ酸の少なくとも2つの異なるセグメントをコードするか;または
iii)配列番号14、16、または18の少なくとも21個の連続するヌクレオチドの一つ以上のセグメントを含む、
哺乳動物IL−174配列;
c)哺乳動物IL−176配列であって、以下;
i)成熟配列番号28の少なくとも8個の連続するアミノ酸をコードするか;
ii)成熟配列番号28の少なくとも5個の連続するアミノ酸の少なくとも2つの異なるセグメントをコードするか;または
iii)配列番号27の少なくとも21個の連続するヌクレオチドの一つ以上のセグメントを含む、
哺乳動物IL−176配列;および
d)哺乳動物IL−177配列であって、以下;
i)成熟配列番号30の少なくとも8個の連続するアミノ酸をコードするか;
ii)成熟配列番号30の少なくとも5個の連続するアミノ酸の少なくとも2つの異なるセグメントをコードするか;または
iii)配列番号29の少なくとも21個の連続するヌクレオチドの一つ以上のセグメントを含む、
哺乳動物IL−177配列;
からなる群より選択される配列を含む、単離されたポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチド。
(項目2) 発現ベクター中の項目1に記載のポリヌクレオチドであって、以下:
a)IL−173配列であって、以下;
i)配列番号6、8、10、または12の少なくとも12個の連続するアミノ酸をコードするか;
ii)配列番号6、8、10、または12の少なくとも7個の連続するアミノ酸の少なくとも2つの異なるセグメントをコードするか;または
iii)配列番号5、7、9、または11の少なくとも27個の連続するヌクレオチドの一つ以上のセグメントを含む、
IL−173配列;
b)IL−174配列であって、以下;
i)配列番号14、16、または18の少なくとも12個の連続するアミノ酸をコードするか;
ii)配列番号14、16、または18の少なくとも7個および10個の連続するアミノ酸の少なくとも2つの異なるセグメントをコードするか;または
iii)配列番号13、15、または17の少なくとも27個の連続するヌクレオチドの一つ以上のセグメントを含む、
IL−174配列;
c)IL−176配列であって、以下;
i)配列番号28の少なくとも12個の連続するアミノ酸をコードするか;
ii)配列番号28の少なくとも7個および10個の連続するアミノ酸の少なくとも2つの異なるセグメントをコードするか;または
iii)配列番号27の少なくとも27個の連続するヌクレオチドの一つ以上のセグメントを含む、
IL−176配列;および
d)IL−177配列であって、以下;
i)配列番号30の少なくとも12個の連続するアミノ酸をコードするか;
ii)配列番号30の少なくとも7個および10個の連続するアミノ酸の少なくとも2つの異なるセグメントをコードするか;または
iii)配列番号29の少なくとも27個の連続するヌクレオチドの一つ以上のセグメントを含む、
IL−177配列;
からなる群より選択される配列を含む、ポリヌクレオチド。
(項目3) 項目2に記載のポリヌクレオチドであって、以下:
a)IL−173配列であって、以下;
i)成熟配列番号6、8、10、または12の少なくとも16個の連続するアミノ酸残基をコードするか;
ii)成熟配列番号6、8、10、または12の少なくとも10個および13個の連続するアミノ酸残基の少なくとも2つの異なるセグメントをコードするか;
iii)配列番号5、7、9、または11の少なくとも33個の連続するヌクレオチドを含むか;または
iv)配列番号5、7、9、または11の成熟コード部分全体を含む、
IL−173配列;
b)IL−174配列であって、以下;
i)成熟配列番号14、16、または18の少なくとも16個の連続するアミノ酸残基をコードするか;
ii)成熟配列番号14、16、または18の少なくとも10個および13個の連続するアミノ酸残基の少なくとも2つの異なるセグメントをコードするか;または
iii)配列番号13、15、または17の少なくとも33個の連続するヌクレオチドを含むか;または
iv)配列番号13、15、または17の成熟コード部分全体を含む、
IL−174配列;
c)IL−176配列であって、以下;
i)成熟配列番号28の少なくとも16個の連続するアミノ酸をコードするか;
ii)成熟配列番号28の少なくとも10個および14個の連続するアミノ酸残基の少なくとも2つの異なるセグメントをコードするか;
iii)配列番号27の少なくとも33個の連続するヌクレオチドを含むか;または
iv)配列番号27の成熟コード部分全体を含む、
IL−176配列;および
d)IL−177配列であって、以下;
i)成熟配列番号30の少なくとも16個の連続するアミノ酸をコードするか;
ii)成熟配列番号30の少なくとも10個および14個の連続するアミノ酸残基の少なくとも2つの異なるセグメントをコードするか;
iii)配列番号29の少なくとも33個の連続するヌクレオチドを含むか;または
iv)配列番号29の成熟コード部分全体を含む、
IL−177配列;
からなる群より選択される配列を含む、ポリヌクレオチド。
(項目4) 以下の方法:
a)ポリペプチドを作製する方法であって、項目2に記載の前記発現ベクターを発現させて、それにより該ポリペプチドを産生する工程を包含する方法;
b)二重鎖核酸を作製する方法であって、項目2に記載のポリヌクレオチドを、相補的核酸と接触させて、それにより該二重鎖核酸の産生を生じる工程を包含する方法;または
c)項目2に記載のポリヌクレオチドを作製する方法であって、PCR方法を使用して増幅する工程を包含する方法。
(項目5) 少なくとも55℃および400mM未満の塩であるストリンジェントな洗浄条件下で以下:
a)配列番号5、7、9、または11の成熟コード部分からなる項目3に記載の(IL−173)ポリヌクレオチド;
b)配列番号13、15、または17の成熟コード部分からなる項目3に記載の(IL−174)ポリヌクレオチド;または
c)配列番号27の成熟コード部分からなる項目3に記載の(IL−176)ポリヌクレオチド;または
d)配列番号29の成熟コード部分からなる項目3に記載の(IL−177)ポリヌクレオチド、
とハイブリダイズする、単離されたポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチド。
(項目6) 項目5に記載のポリヌクレオチドであって、
a)前記洗浄条件が、少なくとも65℃および300mM未満の塩であるか;または
b)以下:
i)配列番号5、7、9、または11(IL−173);
ii)配列番号13、15、、または17(IL−174);
iii)配列番号27(IL−176);または
iv)配列番号29(IL−177)
の成熟コード部分の少なくとも50個の連続するヌクレオチドを含む、
ポリヌクレオチド。
(項目7) 項目6に記載のポリヌクレオチド、および、以下:
a)検出のための該ポリヌクレオチドの使用についての説明書;
b)キットの該ポリヌクレオチドもしくは他の試薬の処分についての説明書;または
c)aおよびbの両方、
を含む、キット。
(項目8) 項目3に記載の発現ベクターを含む細胞であって、ここで、該細胞は以下:
a)原核生物細胞;
b)真核生物細胞;
c)細菌細胞;
d)酵母細胞;
e)昆虫細胞;
f)哺乳動物細胞;
g)マウス細胞;
h)霊長類細胞;または
i)ヒト細胞、
である、細胞。
(項目9) 単離された抗原性ポリペプチドまたは組換え抗原性ポリペプチドであって、以下:
a)少なくとも、以下:
i)配列番号6、8、10、または12の成熟コード部分に由来する8個の同一の連続するアミノ酸の1つのセグメント;または
ii)配列番号6、8、10、または12の成熟コード部分に由来する少なくとも5個の連続するアミノ酸の2つの異なるセグメント、
を含む、(IL−173);および
b)少なくとも、以下:
i)配列番号14、16、または18の成熟コード部分に由来する8個の同一の連続するアミノ酸の1つのセグメント;または
ii)配列番号14、16、または18の成熟コード部分に由来する少なくとも5個の連続するアミノ酸の2つの異なるセグメント、
を含む、(IL−174)、
c)少なくとも、以下:
i)配列番号28の成熟コード部分に由来する8個の同一の連続するアミノ酸の1つのセグメント;または
ii)配列番号28の成熟コード部分に由来する少なくとも5個の連続するアミノ酸の2つの異なるセグメント、
を含む、(IL−176)、
d)少なくとも、以下:
i)配列番号30の成熟コード部分に由来する8個の同一の連続するアミノ酸の1つのセグメント;または
ii)配列番号30の成熟コード部分に由来する少なくとも5個の連続するアミノ酸の2つの異なるセグメント、
を含む、(IL−177)、
である単離された抗原性ポリペプチドまたは組換え抗原性ポリペプチド。
(項目10) 項目9に記載のポリペプチドであって、ここで:
a)前記8個の同一の連続するアミノ酸は、少なくとも14個の連続するアミノ酸であるか;または
b)前記少なくとも5個の連続するアミノ酸は、少なくとも7個の連続するアミノ酸を含む、
ポリペプチド。
(項目11) 項目9に記載のポリペプチドであって、ここで:
A)(IL−173)前記ポリペプチドは:
a)配列番号6、8、10、または12を含むか;
b)成熟配列番号6、8、10、もしくは12の免疫原に対して生成されるポリクローナル抗体に選択的に結合するか;
c)成熟配列番号6、8、10、もしくは12の10個の連続するアミノ酸の複数の異なるポリペプチドセグメントを含むか;
d)配列番号8または12の天然の対立遺伝子改変体であるか;
e)少なくとも30アミノ酸の長さを有するか;
f)成熟配列番号6、8、10もしくは12に対して、選択的である、少なくとも2つの非重複エピトープを示す、
ポリペプチドであるか、
B)(IL−174)前記ポリペプチドは:
a)成熟配列番号14、16、または18を含むか;
b)成熟配列番号14、16、もしくは18の免疫原に対して生成されるポリクローナル抗体に選択的に結合するか;
c)成熟配列番号14、16、もしくは18の10個の連続するアミノ酸の複数の異なるポリペプチドセグメントを含むか;
d)配列番号14または18の天然の対立遺伝子改変体であるか;
e)少なくとも30アミノ酸の長さを有するか;
f)成熟配列番号14、16、もしくは18の霊長類タンパク質に関して選択的な、少なくとも2つの重複していないエピトープを示す、
ポリペプチドであるか、
C)(IL−176)前記ポリペプチドは:
a)成熟配列番号28を含むか;
b)成熟配列番号28の免疫原に対して生成されるポリクローナル抗体に選択的に結合するか;
c)成熟配列番号28の10個の連続するアミノ酸の複数の異なるポリペプチドセグメントを含むか;
d)配列番号28の天然の対立遺伝子改変体であるか;
e)少なくとも30アミノ酸の長さを有するか;
f)成熟配列番号28に対して、選択的である、少なくとも2つの非重複エピトープを示す、
ポリペプチドであるか;または
D)(IL−177)前記ポリペプチドは:
a)成熟配列番号30を含むか;
b)成熟配列番号30の免疫原に対して生成されるポリクローナル抗体に選択的に結合するか;
c)成熟配列番号30の10個の連続するアミノ酸の複数の異なるポリペプチドセグメントを含むか;
d)配列番号30の天然の対立遺伝子改変体であるか;
e)少なくとも30アミノ酸の長さを有するか;
f)成熟配列番号30に対して、選択的である、少なくとも2つの非重複エピトープを示す、
ポリペプチドである。
(項目12) 項目11に記載のポリペプチドであって、該ポリペプチドは、以下:
a)滅菌組成物内にあるか;
b)グリコシル化されていないか;
c)変性しているか;
d)合成ポリペプチドであるか;
e)固体基板に付着しているか;
f)検出タグもしくは精製タグを有する融合タンパク質であるか;
g)天然配列から5倍以下の置換であるか;または
h)天然配列由来の欠失改変体または挿入改変体である、
ポリペプチド。
(項目13) 以下の、項目9に記載のポリペプチドを使用する方法:
a)放射性標識で該ポリペプチドを標識する工程を包含する、該ポリペプチドを標識する方法;
b)クロマトグラフィーマトリックスに混合物を通して、それによって該ポリペプチドを分離する工程を包含する、混合物中の別のポリペプチドから該ポリペプチドを分離する方法;
c)適切な条件下で該ポリペプチドと化合物とをインキュベートして;それにより該化合物を該ポリペプチドに結合させる工程を包含する、該ポリペプチドに選択的に結合する該化合物を同定する方法;または
d)反応性試薬で該ポリペプチドを誘導体化する工程およびマトリックスに該ポリペプチドを結合させる工程を包含する、該マトリックスに該ポリペプチドを結合させる方法。
(項目14) 項目11に記載のポリペプチドに選択的に結合する抗体に由来する抗原結合部分を含む結合化合物であって、ここで:
a)該ポリペプチド(IL−173)が成熟配列番号6、8、10または12を含むか;あるいは
b)該ポリペプチド(IL−174)が成熟配列番号14、16、または18を含むか、
c)該ポリペプチド(IL−176)が成熟配列番号28を含むか;あるいは
d)該ポリペプチド(IL−177)が成熟配列番号30を含む、
結合化合物。
(項目15) 項目14に記載の結合化合物であって、ここで前記抗体が以下:
a)(IL−173)配列番号6、8、10、または12;あるいは
b)(IL−174)配列番号14、16、または18;
c)(IL−176)配列番号28;あるいは
d)(IL−177)配列番号30、
に対して惹起されるポリクローナル抗体である、結合化合物。
(項目16) 項目14に記載の結合化合物であって、以下:
a)前記抗体が、以下:
i)免疫選択されるか;
ii)変性タンパク質に結合するか;または
iii)前記ポリペプチドに対して、少なくとも30mMのKdを示すか;あるいは
b)該結合化合物が、以下:
i)ビーズもしくはプラスチック膜を含む固体基板に付着されるか;
ii)滅菌組成物中にあるか;または
iii)放射性標識もしくは蛍光標識を含むように、検出可能に標識される、
結合化合物。
(項目17) 抗原:抗体複合体を産生する方法であって、該方法は、配列番号6、8、10、12、14、16、18、28、または30に由来するポリペプチドを、該複合体を形成させる条件下で、項目14に記載の結合化合物に接触させる工程を包含する、方法。
(項目18) 前記結合化合物が、抗体であり、そして前記ポリペプチドが、生物学的サンプル内にある、項目17に記載の方法。
(項目19) 項目14に記載の結合化合物を含むキットであって、該キットは、以下:
a)成熟配列番号6、8、10、12、14、16、18、28もしくは30のポリペプチド;
b)検出のための該結合化合物の使用についての説明書;または
c)該キットの該結合化合物もしくは他の試薬の処分についての説明書、
を含む、キット。
(項目20) 成熟配列番号6、8、10、12、14、16、18、28または30のタンパク質に対する抗体の結合の選択性を評価する方法であって、該抗体を該タンパク質ならびに別のサイトカインに接触させる工程;および該抗体および該サイトカインへの該抗体の結合を比較する工程を含む、方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
(I.概要)
本発明は、サイトカインに特有の構造的特性を示す、種々の哺乳動物タンパク質をコードするDNA配列(特にCTLA−8(IL−17ともいわれる)と命名されたサイトカインに関する)を提供する。ラット、マウス、ヒト形態およびCTLA−8のウィルスホモログは記載されており、そしてそれらの配列はGenBankから利用可能である。Rouvierら(1993)J.Immunol.150:5445−5456;Yaoら(1995)Immunity 3:811−821;Yaoら(1995)J.Immunol.155:5483−5486;およびKennedyら(1996)J.Interferon and Cytokine Res.16:611−617を参照のこと。CTLA−8は関節炎、腎臓移植片拒絶、腫瘍形成能、ウィルス−宿主相互作用、および先天性免疫に関係した活性を有し;そしてIL−6に類似した特定の調節機能を示すようである。PubMed(IL−17に関する検索);Chabaudら(1998)J.Immunol.63:139−148;Aminら(1998)Curr.Opin.Rheumatol.10:263−268;Van Kootenら(1998)J.Am.Soc.Nephrol.9:1526−1534;Fossiezら(1998)Int.Rev.Immunol.16:541−551;Knappeら(1998)J.Virol.72:5797−5801;Seow(1998)Vet.Immuno.Immunopathol.63:139−48;およびTeunissenら(1998)J.Invest.Dermatol.111:645−649を参照のこと。NFκB転写因子を通してのシグナル伝達における報告は、先天性免疫において用いられるシグナル経路に関係する。Shalom−Barakら(1998)J.Biol.Chem.273:27467−27473。
【0022】
新しく提示されたcDNA配列はサイトカイン、増殖因子および癌遺伝子をコードするmRNAの特徴である、種々の特性を示す。IL−17は、TGF−βに関係するサイトカインの新しく認識されたファミリーの第1のメンバーであるので、出願人らは、新しいメンバーIL−172、IL−173、IL−174、IL−176、IL−177;ならびにIL−171およびIL−175を有するファミリーIL−170と命名した。このファミリーについての折り畳みはサイトカインのTGF−βファミリーの折り畳みであることが予想される。サイトカインのTGF−βファミリーおよびIL−170ファミリーは、システイン残基の特定の間隔により特徴付けられるシスチンノット(cystine knot)モチーフの共通の特性を共有する。例えばSunおよびDavies(1995)Ann.Rev.Biophys.Biomolec.Struct.24:269−291;McDonaldら(1993)Cell 73:421−424;ならびにIsaacs(1995)Curr.Op.Struct.Biol.5:391−395を参照のこと。詳細には、その構造は、多くの保存されたシステインを示唆する。これらの保存されたシステインは、ヒトIL−172(配列番号2)における、101、103、143、156および158のシステインに対応し、かつ番号を付けられる。第1のシステインは、表7におけるヒトIL−172(配列番号2)va119の位置に対応する。第4のシステインは、マウスIL−172(配列番号4)cys141;ヒトIL−173(配列番号6)cys119;マウスIL−174(配列番号16)cys104;およびヒトIL−171(配列番号21)cys50のシステインに対応する。ジスルフィド結合は、システイン2とシステイン5;およびシステイン3とシステイン6;およびシステイン1とシステイン4である。折り畳み類似性の機能的有意性は、IL−170ファミリーに関する二量体の形成を示唆する。結果として、IL−170二量体は2つの細胞表面レセプターを接触させて、これによりシグナル伝達が生じる。
【0023】
これらの新しいタンパク質を、CTLA−8関連(すなわち、一般的にIL−170)タンパク質と命名した。天然のタンパク質は、標的細胞における生物学的応答または生理学的応答(例えば、サイトカインシグナル伝達に特有な応答)を導く種々の生理学的応答を媒介することが可能である。初期の研究は、このタンパク質コードするメッセージを造血細胞の種々の細胞株へ局在化させた。本来のCTLA−8(IL−17)抗原をコードする遺伝子は、マウス染色体1Aおよびヒト染色体2q31に位置付けされた。マウス(murine)CTLA−8は、本来、Rouvierら(1993)J.Immunol.150:5445−5456によってクローンされた。ヒトIL−173は染色体13q11に位置付けられた。他の哺乳動物種におけるタンパク質に関する類似の配列もまた、利用可能である。
【0024】
滑膜細胞を用いて培養される場合、精製されたCTLA−8はこれらの細胞からIL−6の分泌を誘導し得る。この誘導は、ヒトCTLA−8に対して惹起された中和抗体の添加の際に逆転される。内皮細胞、上皮細胞、線維芽細胞および癌腫細胞はまたCTLA−8を用いる処理に対する応答を示す。このデータは、CTLA−8が炎症性線維症(例えば、乾癬、強皮症、肺線維症、または肝硬変)に関与し得ることを示唆する。CTLA−8はまた、IL−6がしばしばこのような細胞に関する増殖因子として作用する限り、癌腫または他の癌細胞の増殖を引き起こし得る。例えば、新しく発見された他の関連ファミリーメンバーは類似のまたは関連の生物学的活性を有するようである。
【0025】
以下の記載は、例示の目的のために、マウス(murine)またはヒトのIL−170タンパク質に関するが、しかし他の種由来の関連した実施形態に同様に適用可能である。
【0026】
(II.核酸)
表1−6は種々の新しいIL−170ファミリーメンバー配列のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を開示する。記載されたヌクレオチド配列および関係する試薬は、全長配列決定または隣接配列決定のために2つの方向において、クローンを伸長するために有用なDNAクローンを構築するか、IL−170ポリペプチドを発現するか、または、例えば、別の天然の供給源から相同遺伝子を単離するのに有用である。代表的には、その配列は、マウスから他の遺伝子(例えば、対立遺伝子改変体)を単離するのに有用であり、そして類似の手順が他の種(例えば、温血動物、例えば鳥類および哺乳動物)から遺伝子を単離するために適用される。交差ハイブリダイゼーションは、他の種からの遺伝子の単離を可能にする。多くの異なるアプローチは、他の供給源から適切な核酸クローンを首尾よく単離するために利用可能である。
【0027】
【化1】

特に興味のあるセグメントとしては、例えば、gln1;val19;pro20;pro22;lys34;pro35;leu78;ser79;glu98;ala99;phe110;thr111;cys143またはarg144で、始まるかまたは終わるセグメントが挙げられる。
【0028】
げっ歯類(例えば、マウス)IL−172ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列および予想アミノ酸配列。また、相補核酸配列が多くの目的のために用いられ得る。予想シグナル切断部位(但し、いずれかの側に少数の残基があってもよい)が示される;推定のグリコシル化部位は残基53−55にある。配列番号3および配列番号4。
【0029】
【化2】

特に興味深いセグメントとしては、例えば、以下で始まるかまたは終わるセグメントが挙げられる:arg1;ala17;pro18;pro20;his21;lys32;pro33;leu76;ser77;glu96;ala97;phe108;thr109;cys141;またはarg142。
【0030】
【化3】

霊長類(例えば、ヒト)IL−173ポリペプチドをコードする補足のヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列。多くの目的のために、相補的な核酸配列もまた使用され得る。配列番号7および8。
【0031】
【化4】


重要な推定モチーフとしては、例えば、以下が挙げられる:50〜53、66〜69、72〜75、および113〜116のcAMP PK;82〜84および166〜168のCa Phos;57〜61および164〜166のミリストイル(myristoly)部位;50、53、72、75、80、82、113および116のリン酸化部位。
【0032】
げっ歯類(例えば、ラット)IL−173ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列。多くの目的のために、相補的な核酸配列もまた使用され得る。配列番号9および10。
【0033】
【化5】

げっ歯類(例えば、マウス)IL−173ポリペプチドをコードする補足のヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列。多くの目的のために、相補的な核酸配列もまた使用され得る。配列番号11および12。
【0034】
【化6】


重要な推定モチーフとしては、例えば、以下が挙げられる:50〜53、66〜69、72〜75、および113〜116のcAMP PK部位;82〜84、159〜161、および166〜168のCaリン酸化部位;57〜61および101〜105のミリストイル(myristoly)部位;51〜53および164〜166のN−グリコシル部位;50、53、72、75、80、82、113、および116のリン酸化部位;ならびに4〜6のPKCリン酸化部位。
【0035】
【化7】

重要な推定モチーフとしては、例えば、以下が挙げられる:21〜24、53〜56、および95〜98のcAMP PK部位;15〜17、16〜18、および45〜47のCaリン酸化部位;12〜16、115〜119、および118〜122のミリストイル(myristoly)部位;104〜107のN−グリコシル部位;21、23、43、53、56、95、98、および131のリン酸化部位;41〜43および119〜121のPKCリン酸化部位;ならびに95〜102のチロシンキナーゼ部位。
【0036】
げっ歯類(例えば、マウス)IL−174ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列。多くの目的のために、相補的な核酸配列もまた使用され得る。配列番号15および16。
【0037】
【化8】

げっ歯類(例えば、マウス)IL−174ポリペプチドをコードする補足のヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列。多くの目的のために、相補的な核酸配列もまた使用され得る。配列番号17および18。
【0038】
【化9】

重要な予測されるモチーフとしては、例えば、cAMP PK部位(29〜32および61〜64);Caリン酸化部位(18〜20、53〜55、および67〜69;ミリストイル部位(123〜127);N−グリコシル化部位(112〜114);およびリン酸化部位(29、31、51、53、61、64、139および141);およびPKCリン酸化部位(2〜4、49〜51、および127〜129)。
【0039】
【化10】

配列番号20および21は、PATENTIN翻訳可能なcDNAおよびポリペプチド配列である。
【0040】
【化11】

霊長類(例えば、ヒト)のIL−171をコードする補充ヌクレオチド配列。多くの目的のために相補的な核酸配列も使用し得る。配列番号22および23。
【0041】
【化12】


【0042】
【化13】

配列番号25および26は、PATENTIN翻訳可能なcDNAおよびポリペプチド配列。予測されるシグナル切断部位が示されるが、いずれかの側において少しの残基があり得る(残基53〜55で推定グリコシル化部位)。
【0043】
【化14】

特に、目的のセグメントとしては、例えば、arg1;cys17;pro18;pro19;val20;thr49;ser50;arg69;pro70;および利用可能な配列の末端で開始するか終結するセグメントが挙げられる。
【0044】
【化15】

霊長類(例えば、ヒト)のIL−177をコードするヌクレオチド配列。多くの目的のために、相補的核酸配列も使用し得る。配列番号29および30。
【0045】
【化16】

【0046】
【化17】

特に、目的のセグメントとしては、例えば、他のファミリーメンバーと共に上記のIL−172またはIL−175のセグメントに対応するセグメントが挙げられる。
【0047】
精製されたタンパク質またはポリぺプチドは、上記のような、標準的な方法により抗体を生成するために有用である。合成ペプチドまたは精製されたタンパク質が、特異的結合組成物(例えば、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体)を生成するように免疫系に提示され得る。例えば、Coligan(1991)Current Protocols in Immunology,Wiley/Greene;ならびにHarlowおよびLane(1989)Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Pressを参照のこと。
【0048】
例えば、特異的結合組成物は、IL−170タンパク質を発現する細胞株から作製される発現ライブラリーのスクリーニングのために使用され得る。このスクリーニングは、表面発現タンパク質の標準的染色であり得、またはパニングによってであり得る。細胞内発現のスクリーニングはまた、種々の染色または免疫蛍光手順により行なわれ得る。この結合組成物は、タンパク質を発現する細胞をアフィニティー精製するかまたはえり分けるために使用され得る。
【0049】
本発明は、生物学的に活性な対応するIL−170タンパク質またはポリぺプチドをコードする単離されたDNAまたはフラグメントの使用を包含する。さらに、本発明は、単離されたDNAまたは組換えDNAを包含し、このDNAは、生物学的に活性なタンパク質またはポリぺプチドをコードし、そして適切な条件下で本明細書中に記載されるDNA配列とハイブリダイズし得る。この生物学的に活性なタンパク質またはポリぺプチドは、インタクトな抗原、またはフラグメントであり得、そして表1〜6において開示されるアミノ酸配列を有する。さらに、本発明は、単離されたDNAもしくは組換えDNA、またはそのフラグメントの使用を包含し、このフラグメントは、IL−170タンパク質に対して相同なタンパク質、またはプローブとしてIL−170タンパク質をコードするcDNAを使用して単離されたタンパク質をコードする。単離されたDNAは、5’および3’に隣接してそれぞれ調節配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、ポリ−A付加シグナルなど)を有し得る。
【0050】
「単離された」核酸は、ネイティブの配列に本来伴う他の成分(例えば、その始めの種由来のリボソーム、ポリメラーゼ、および隣接ゲノム配列)から実質的に分離される核酸(例えば、RNA、DNA、または混合ポリマー)である。この用語は、天然に存在する環境から取り出された核酸配列を包含し、そして組換えDNAもしくはクローニングされたDNAの単離物および化学的に合成されたアナログもしくは異種系により生物学的に合成されたアナログを含む。実質的に純粋な分子は、この分子の単離された形態を含む。あるいは、精製された種は、組換え発現系由来の宿主成分から分離され得る。このような核酸の相同性のサイズは、代表的には大きいベクターより小さく、例えば、数十kB未満、代表的には数kB未満、そして好ましくは2〜6kBの範囲である。
【0051】
単離された核酸は、通常均一な組成の分子であるが、いくつかの実施形態では、少量の不均一性を含む。この不均一性は、代表的には所望の生物学的機能または活性に重要でないポリマー末端または部分で見出される。
【0052】
「組換え」核酸は、その産生の方法またはその構造のいずれかにより定義される。その産生の方法(例えば、あるプロセスにより作製される産物)に関しては、このプロセスは、組換え核酸技術(例えば、ヌクレオチド配列における人の介入(代表的には選択または産生)を含む)を使用する。あるいは、組換え核酸は、天然には互いに連続的でない2つのフラグメントの融合を含む配列を生成することにより作製される核酸であり得るが、天然の産物(例えば天然に存在する変異体)を排除することを意味する。従って、例えば、任意の天然に存在しないベクターを用いて細胞を形質転換することにより作製される産物は、任意の合成オリゴヌクレオチドプロセスを使用して誘導される配列を含む核酸であるため、包含される。このようなことが、しばしばなされ、あるコドンを、同じアミノ酸または保存的アミノ酸をコードする重複コドンで置き換えると同時に、代表的には配列認識部位を導入または除去する。あるいは、所望の機能の核酸セグメントの連結を行ない、一般に入手可能な天然の形態では見出されない機能の所望の組み合わせを含む単一遺伝子統一体を生成する。制限酵素認識部位は、しばしばこのような人工的な操作の標的であるが、他の部位特異的標的(例えば、プロモーター、DNA複製部位、調節配列、制御配列、または他の有用な特徴)が、設計により組み込まれ得る。類似の考え方が、組換え体、例えば、融合ポリぺプチドについて意図される。詳細には、遺伝子コードの重複によりこれらの抗原のフラグメントに類似のポリぺプチドをコードする合成核酸、および種々の異なる種の改変体由来の配列融合物が、含まれる。
【0053】
核酸の文脈において有意な「フラグメント」は、少なくとも約17ヌクレオチド、一般的には少なくとも20ヌクレオチド、より一般的には少なくとも23ヌクレオチド、普通は少なくとも26ヌクレオチド、より普通には少なくとも29ヌクレオチド、度々少なくとも32ヌクレオチド、より度々には少なくとも35ヌクレオチド、代表的には少なくとも38ヌクレオチド、より代表的には少なくとも41ヌクレオチド、通常は少なくとも44ヌクレオチド、より通常には少なくとも47ヌクレオチド、好ましくは少なくとも50ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも53ヌクレオチドの連続的なセグメントであり、そして特に好ましい実施形態では、少なくとも56以上のヌクレオチドの連続的なセグメントである。上記のフラグメントは、任意の位置に末端を有し得るが、特に構造ドメインの間の境界に有し得る。
【0054】
他の実施形態では、本発明は、指定した長さの複数の明確な(例えば、重複していない)セグメントを含むポリヌクレオチド(またはポリぺプチド)を提供する。代表的には、この複数は、少なくとも2、より通常には少なくとも3、そして好ましくは5、7、またはそれ以上ですらある。長さの最小値が与えられるが、より長い長さの種々のサイズ(例えば、1つ目の長さが7で、2つ目の長さが12)が、適切であり得る。
【0055】
IL−170タンパク質をコードするDNAは、関連するタンパク質または相同なタンパク質をコードする遺伝子、mRNA、およびcDNA種、ならびに異なる種由来の相同なタンパク質をコードするDNAを同定するために特に有用である。おそらく他の種(霊長類を含む)においてホモログが存在する。種々のCTLA−8タンパク質は、相同であり、そして本明細書中に含まれる。しかし、抗原に対してより遠い進化の関係を有するタンパク質でさえ、それらが十分に相同である場合、これらの配列を使用して適切な条件下で容易に単離され得る。霊長類CTLA−8タンパク質は、特に興味深い。
【0056】
本発明は、本明細書中に記載される単離されたDNAと同一であるかまたは高度に相同なDNA配列を有する、組換えDNA分子およびフラグメントをさらに包含する。特にこれらの配列は、転写、翻訳、およびDNA複製を制御するDNAセグメントに、しばしば作動可能に連結される。あるいは、ゲノム配列(例えば、イントロンを含む)由来の組換えクローンは、トランスジェニック研究(例えばトランスジェニック細胞およびトランスジェニック生物を含む)および遺伝子治療に有用である。例えば、Goodnow(1992)「Transgenic Animals」Roitt(編)Encyclopedia of Immunology,Academic Press,San Diego、1502−1504頁;Travis(1992)Science 256:1392−1394;Kuhnら、(1991)Science 254:707−710;Capecchi(1989)Science 244:1288;Robertson(1987年編)Teratocarcinomas and
Embryonic Stem Cells:A Practical Approach,IRL Press,Oxford;Rosenberg(1992)J.Clinical Oncology 10:180−199;ならびにCournoyerおよびCaskey(1993)Ann.Rev.Immunol.11:297−329を参照のこと。
【0057】
相同な核酸配列は、比較された場合、有意な類似性を示す。核酸における相同性の基準は、配列の比較による当該分野で一般的に使用される相同性の測定か、またはハイブリダイゼーション条件に基づく測定かのいずれかである。ハイブリダイゼーション条件は、以下にさらに詳細に記載される。
【0058】
核酸配列比較の文脈において、実質的な相同性は、セグメントまたはそれらの相補鎖のいずれかが、比較される場合に、適切なヌクレオチド挿入またはヌクレオチド欠失と、最適に整列される場合、少なくとも約50%のヌクレオチド、一般的には少なくとも56%、より一般的には少なくとも59%、普通は少なくとも62%、より普通には少なくとも65%、度々すくなくとも68%、より度々には少なくとも71%、代表的には少なくとも74%、より代表的には少なくとも77%、通常は少なくとも80%、より通常には少なくとも約85%、好ましくは少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約95〜98%以上、そして特定の実施形態では、約99%以上ものヌクレオチドが、同一である、ということを意味する。あるいは、セグメントが、選択的なハイブリダイゼーション条件下で、ストランドまたはその相補鎖に、代表的には表2、3、または6由来の配列を使用してハイブリダイズする場合、実質的な相同性が存在する。代表的には、選択的なハイブリダイゼーションは、少なくとも約14ヌクレオチドの範囲にわたって、少なくとも約55%の相同性、好ましくは少なくとも約65%、より好ましくは少なくとも約75%、そして最も好ましくは少なくとも約90%の相同性が存在する場合に生じる。Kanehisa(1984)Nuc.Acids Res.12:203−213を参照のこと。上記のように、相同性比較の長さは、より長い範囲にわたり得、特定の実施形態では、少なくとも約17ヌクレオチド、通常少なくとも約20ヌクレオチド、より通常は少なくとも約24ヌクレオチド、代表的には少なくとも約28ヌクレオチド、より代表的には少なくとも約40ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約50ヌクレオチド、そしてより好ましくは少なくとも約75〜100以上のヌクレオチドの範囲にわたる。
【0059】
ハイブリダイゼーションの文脈における相同性に関して、ストリンジェントな条件は、塩、温度、有機溶媒、および他のパラメーターのストリンジェントな組合せた条件であり、代表的にはこれらは、ハイブリダイゼーション反応において制御される。ストリンジェントな温度条件は、通常約30℃を超え、より通常には約37℃を超え、代表的には約45℃を超え、より代表的には約55℃を超え、好ましくは約65℃を超え、そしてより好ましくは約70℃を超える温度を含む。ストリンジェントな塩条件は、普通約1000mM未満、通常約500mM未満、より通常は約400mM未満、代表的には約300mM未満、好ましくは約200mM未満、そしてより好ましくは約150mM未満である。しかしパラメーターの組合せは、任意の単一のパラメーターの測定より、非常に重要である。例えば、WetmurおよびDavidson(1968)J.Mol.Biol.31:349−370を参照のこと。ストリンジェントな条件下のハイブリダイゼーションは、バックグラウンドに対して少なくとも2倍、好ましくは少なくとも3〜5倍以上のバックグラウンドを与える。
【0060】
あるいは、配列比較のために、代表的には、1つの配列は、参照配列として作用し、試験配列が、これと比較される。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験配列および参照配列は、コンピューターにインプットされ、続きの座標が示され(必要であれば)そして配列アルゴリズムプログラムパラメーターが示される。次いで、配列比較アルゴリズムは、試験配列を参照配列と比較して、示されたプログラムパラメーターに基づいて、パーセント配列同一性を計算する。
【0061】
比較のための最適な配列の整列は、例えば、SmithおよびWaterman(1981)Adv.Appl.Math.2:482の局所的相同性アルゴリズムにより、NeedlemanおよびWunsch(1970)J.Mol.Biol.48:443の相同性整列アルゴリズムにより、PearsonおよびLipman(1988)Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 85:2444の類似性検索方法により、これらのアルゴリズムのコンピューターによる実行(GAP,BESTFIT,FASTA,およびTFASTA、Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science
Dr.,Madison,WI)により、または視覚的検分(該してAusubelら、前出、を参照のこと)により、行なわれ得る。
【0062】
有用なアルゴリズムの1つの例は、PILEUPである。PILEUPは、連続的な、対の整列を使用して、関連する配列のグループから多重配列整列を作製し、関係およびパーセント配列同一性を示す。その整列を作製するために使用されたクラスター(clustering)関係を示す系図または樹状図(dendogram)もまたプロットされる。PILEUPは、FengおよびDoolittle(1987)J.Mol.Evol.35:351−360の連続的整列方法の簡略化を使用する。使用された方法は、HigginsおよびSharp(1989)CABIOS 5:151−153に記載される方法に類似する。このプログラムは、300までの配列(それぞれ最長5,000のヌクレオチドまたはアミノ酸)を整列し得る。多重整列手順は、2つの最も類似する配列の対の整列から始まり、2つの整列された配列のクラスターを作製する。次いで、このクラスターは、次の最も関連する配列または整列された配列のクラスターと、整列される。2つの配列のクラスターは、2つの個々の配列の対の整列の単純な伸長により整列される。最終整列は、一連の連続的な対の整列により達成される。このプログラムは、特異的配列、および配列比較の領域のそれらのアミノ酸座標またはヌクレオチド座標を示すことにより、そしてプログラムパラメーターを示すことにより実行される。例えば、参照配列は、他の試験配列と比較され、以下のようなパラメーターを使用してパーセント配列同一性の関係を決定し得る:デフォルトギャップ重み(3.00)、デフォルトギャップ長重み(0.10)、および重み付けエンドギャップ。
【0063】
配列同一性パーセントおよび配列類似性パーセントを決定するために適切であるアルゴリズムの別の例は、BLASTアルゴリズムであり、これはAltschulら(1990)J.Mol.Biol.215:403−410に記載される。BLAST分析を行うためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Infomation(http:www.ncbi.nlm.nih.gov/)を通して公に利用可能である。このアルゴリズムは、データベース配列中の同じ長さのワードと整列した場合に、いくつかの正の閾値スコアTに一致するかまたはそれを満たすかのいずれかである、問い合わせ配列中の長さWの短いワード(word)を同定することによって、高スコア配列対(HSP)を最初に同定する工程を包含する。Tは、隣接ワードスコア閾値といわれる(Altschulら、前出)。これらの最初の隣接ワードヒットは、それらを含むより長いHSPを見出すための検索を開始するための種として作用する。次いで、このワードヒットは、累積整列スコアが増加され得る限り、各配列に沿って両方向に伸長される。各方向でのワードヒットの伸長は、以下の場合に停止される:累積整列スコアが、その最大達成値から量Xだけ減少する場合;累積スコアが、1つ以上の負のスコアリング残基整列の蓄積に起因して0以下に達する場合;または、いずれかの配列の末端に達する場合。BLASTアルゴリズムパラメーターW、T、およびXは、整列の感度および速さを決定する。BLASTプログラムは、デフォルトとして、11のワード長(W)、50のBLOSUM62スコアリングマトリックス(HenikoffおよびHenikoff(1989)Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 89:10915を参照のこと)整列(B)、10の期待値(E)、M=5、N=4、および両鎖の比較を用いる。
【0064】
配列同一性パーセントを算出することに加えて、BLASTアルゴリズムはまた、2つの配列の間の類似性の統計的分析を行う(例えば、KarlinおよびAltschul(1993)Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 90:5873−5787を参照のこと)。BLASTアルゴリズムによって提供された類似性の1つの基準は、最小合計確率(P(N))であり、これは2つのヌクレオチド配列またはアミノ酸配列の間で偶然に一致が生じる確率の指標を提供する。例えば、核酸は、試験核酸の参照核酸との比較における最小合計確率が約0.1より少ない、より好ましくは約0.01より少ない、そして最も好ましくは約0.001より少ない場合、参照配列に類似であると考えられる。
【0065】
ポリペプチドの2つの核酸配列が実質的に同一であるというさらなる指標は、以下に記載するように、第1の核酸によってコードされるポリペプチドが、第2の核酸によってコードされるポリペプチドと免疫学的に交差反応性であるということである。従って、ポリペプチドは、代表的に、第2のポリペプチドに実質的に同一である(例えば、2つのペプチドが保存的置換によってのみ異なる)。2つの核酸配列が実質的に同一であるという別の指標は、以下に記載するように、ストリンジェントな条件下で2つの分子が互いにハイブリダイズするということである。
【0066】
他の哺乳動物種由来のCTLA−8様タンパク質は、表1〜7に開示されるように、近縁種(例えば、ヒト)の交差種ハイブリダイゼーションによってクローニングされ、そして単離され得る。相同性は、遠縁種の間では比較的低くあり得、従って比較的近縁種のハイブリダイゼーションが賢明である。あるいは、より少ない種特異性を示す抗体調製物の調製は、発現クローニングのアプローチにおいて有用であり得る。
【0067】
(III.精製されたIL−170タンパク質)
霊長類(例えば、ヒト)および齧歯類(例えば、マウス)の推定配列、IL−173ポリペプチド配列が、表2に示される。同様に、表3において、霊長類(例えば、ヒト)、IL−174配列が提供され、そして配列番号:14を割り当てられる。齧歯類(例えば、ネズミ)、IL−174がまた、表3において記載される。このペプチド配列は、ペプチドの調製を可能にし、このようなセグメントを認識するための抗体を産生する。
【0068】
本明細書中において使用される場合、用語「霊長類IL−170タンパク質」および「齧歯類IL−170タンパク質」は、タンパク質の文脈において使用される場合、表1〜7に示される指定されたアミノ酸配列を有するタンパク質、またはこのようなタンパク質の重要なフラグメントを含む。それはまた、同様の生物学的機能を示すか、またはIL−170タンパク質特異的結合成分と相互作用する、霊長類由来または齧歯類由来のポリペプチドをいう。これらの結合成分(例えば、抗体)は、代表的に、IL−170タンパク質に高い親和性(例えば、少なくとも約100nM、通常は約30nMより良好に、好ましくは約10nMより良好に、そしてより好ましくは約3nMより良好に)で結合する。相同タンパク質は、ラットまたはヒト以外の哺乳動物種(例えば、マウス、霊長類)、および疱疹ウイルスゲノム(例えば、ORF13)において見出される。非哺乳動物種はまた、構造的にまたは機能的に関連した遺伝子およびタンパク質を保有する。
【0069】
用語「ポリペプチド」は、本明細書中において使用される場合、重要なフラグメントまたはセグメントを含み、そして少なくとも約8アミノ酸、一般的には少なくとも10アミノ酸、より一般的には少なくとも12アミノ酸、頻繁には少なくとも14アミノ酸、より頻繁には少なくとも16アミノ酸、代表的には少なくとも18アミノ酸、より代表的には少なくとも20アミノ酸、通常は少なくとも22アミノ酸、より通常には少なくとも24アミノ酸、好ましくは少なくとも26アミノ酸、より好ましくは少なくとも28アミノ酸、そして特に好ましい実施形態においては、少なくとも約30以上のアミノ酸のアミノ酸残基のストレッチを含む。このようなセグメントの特異的な末端は、タンパク質内での任意の組み合わせであり、好ましくは構造的ドメインを含む。
【0070】
用語「結合組成物」とは、IL−170タンパク質に対する特異性(例えば、リガンド−レセプター型様式、抗体−抗原相互作用における)で結合する分子、または化合物(例えば、IL−170タンパク質と(例えば、天然の生理学的に関連するタンパク質−タンパク質相互作用(共有結合性か非共有結合性のいずれか)において)特異的に結合するタンパク質)をいう。分子は、ポリマーまたは化学試薬であり得る。IL−170タンパク質が、リガンド−レセプター相互作用のリガンドまたはレセプターのいずれかであるかどうかに関する意味は、その相互作用が同様の特異性(例えば、特異的親和性)を示すこと以外、示されない。機能的アナログは、構造上の改変を有するタンパク質であってもよいし、または全く無関係な分子(例えば、適切な結合因子と相互作用する分子形状を有する)であってもよい。タンパク質は、レセプターのアゴニストまたはアンタゴニストとして作用し得る(例えば、Goodmanら、(編、1990)Goodman & Gilman’s:The Pharmacological Bases of Therapeutics(第8版)、Pergamon Pressを参照のこと。
【0071】
ポリペプチドまたはフラグメントの溶解度は、環境およびそのポリペプチドに依存する。以下に挙げる多くのパラメーターが、ポリペプチドの溶解度に影響する:温度、電解質の環境、ポリペプチドの大きさおよび分子特性、ならびに溶媒の性質。代表的に、ポリペプチドが用いられる温度は、約4℃〜約65℃の範囲である。通常、使用時の温度は約18℃より高く、そしてより通常には約22℃より高い。診断目的のために、この温度は通常、およそ室温かまたはより温かいが、アッセイにおける成分の変性温度より低い。治療目的のためには、この温度は、インサイチュまたはインビトロで温度が上昇または低下され得る特定の状況下であるが、通常、体温(代表的には、ヒトについて約37℃)である。
【0072】
電解質は通常、インサイチュでの生理学的条件に近いが、より高いかまたは低い有利なイオン強度に改変され得る。実際のイオンは、例えば、生理学的な文脈または分析的な文脈で使用される標準緩衝液に従うように改変され得る。
【0073】
ポリペプチドの大きさおよび構造は、一般に、実質的に安定な状態にあるべきであり、そして通常、変性された状態にあるべきではない。ポリペプチドは、例えば溶解度を与えるために、四次構造において他のポリペプチドと結合され得るか、または天然の脂質二重層の相互作用に近付く様式で、脂質または界面活性剤と結合され得る。
【0074】
溶媒は、通常、生物学的活性の保持のために用いられる型の、生物学的に適合性な緩衝液であり、そして通常は生理学的な溶媒に近い。通常、溶媒は中性のpH(代表的には、約5と10との間、そして好ましくは約7.5)を有する。いくつかの場合では、界面活性剤、代表的には、穏やかな非変性界面活性剤(例えば、CHSまたはCHAPS)、あるいは抗原の構造的特性または生理学的特性の有意な崩壊を回避するのに十分低い濃度の界面活性剤が、添加される。
【0075】
溶解度は、特定の条件下での分子の沈降速度の基準であるSvedberg単位で測定される沈降に反映される。沈降速度の決定は、分析用超遠心分離機で古典的に行われたが、今では、代表的に標準超遠心分離機で行われる。Freifelder(1982)Physical Biochemistry(第2版)、W.H.Freeman;およびCantorおよびSchimmel(1980)Biophysical Chemistry、第1〜3部、W.H.Freeman & Co.、San Franciscoを参照のこと。大まかな決定として、推定上可溶なポリペプチドを含むサンプルは、標準的な普通サイズの超遠心分離機で、約10分間、約50K rpmで回転させ、そして可溶性分子は上清に残る。可溶性粒子またはポリペプチドは、代表的には約30Sより少なく、より代表的には約15Sより少なく、通常は約10Sより少なく、より通常には約6Sより少なく、そして特定の実施形態においては、好ましくは約4Sより少なく、そしてより好ましくは約3Sより少ない。
【0076】
(IV.IL−170タンパク質の作製;模倣)
IL−170タンパク質またはそのフラグメントをコードするDNAは、化学合成、cDNAライブラリースクリーニング、または広範な種々の細胞株または組織サンプルから調製されたゲノムライブラリーのスクリーニングによって得られ得る。
【0077】
このDNAは、全長タンパク質またはフラグメントの合成のために広範な種々の宿主細胞において発現され得、次にこれが、例えば、結合の研究のために;改変された分子の構築および発現のために;ならびに構造/機能の研究のために使用されて、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体を生成し得る。各抗原またはそのフラグメントは、適切な発現ベクターで形質転換されるかまたはトランスフェクトされる宿主細胞中で発現され得る。これらの分子は、実質的に精製されて、組換え宿主由来のもの以外でタンパク質または細胞夾雑物を含有し得ず、従って、薬学的に受容可能なキャリアおよび/または希釈剤と組み合わされる場合に、薬学的組成物において特に有用である。抗原、またはその部分は、他のタンパク質との融合物として発現され得る。
【0078】
発現ベクターは、代表的に、適切な宿主細胞中で認識される適切な遺伝子制御エレメントに、通常、作動可能に連結した、所望の抗原遺伝子またはそのフラグメントを含む、自己複製DNAまたはRNA構築物である。これらの制御エレメントは、適切な宿主内での発現をもたらすことが可能である。発現をもたらすために必要な特定の型の制御エレメントは、用いられる最後の宿主細胞に依存する。一般に、遺伝子制御エレメントとしては、原核生物のプロモーター系または真核生物のプロモーター発現制御系が挙げられ得、そして代表的には、転写プロモーター、転写の始まりを制御する任意のオペレーター、mRNA発現のレベルを高めるための転写エンハンサー、適切なリボソーム結合部位をコードする配列、ならびに転写および翻訳を終止する配列が挙げられ得る。発現ベクターはまた、通常、ベクターが独立して宿主細胞を複製することを可能にする複製起点を含む。ベクターのコピー数を増幅するための方法はまた、公知である。例えば、Kaufmanら(1985)Molec.and Cell.Biol.5:1750〜1759を参照のこと。
【0079】
本発明のベクターは、IL−170タンパク質をコードするDNA、またはそのフラグメントを含み、代表的には、生物学的に活性なポリペプチドをコードする。DNAはウイルスプロモーターの制御下であり得、そして選択マーカーをコードし得る。本発明は、原核生物宿主または真核生物宿主においてIL−170タンパク質をコードする真核生物cDNAを発現することが可能な、このような発現ベクターの使用をさらに意図し、ここで、このベクターは宿主と適合性であり、そしてここで、抗原をコードする真核生物cDNAがこのベクターに挿入されて、その結果、このベクターを含む宿主の増殖が該当のcDNAを発現する。通常、発現ベクターは、それらの宿主細胞における適切な複製のために、または細胞当たりの望ましい遺伝子のコピーの総数を大いに増加させるための増幅のために設計される。発現ベクターが宿主細胞中で複製することは、必ずしも常に必要であるとは限らず、例えば、種々の宿主において、宿主細胞により認識される複製起点を含まないベクターを用いて、抗原またはそのフラグメントの一過性の発現をもたらすことが可能である。IL−170タンパク質遺伝子またはそのフラグメントの、宿主DNAへの、組換えによる組込みを引き起こすベクターを使用すること、または内因性遺伝子の発現を制御するプロモーターを組込むこともまた可能である。
【0080】
ベクターは、本明細書中で使用される場合、プラスミド、ウイルス、バクテリオファージ、組込み可能なDNAフラグメント、および、DNAフラグメントの、宿主のゲノムへの組込みを可能にする、他のビヒクルを含む。発現ベクターは、作動可能に結合した遺伝子の発現をもたらす遺伝子制御エレメントを含む、専門のベクターである。プラスミドは、最も一般に使用される形態のベクターであるが、等価の機能を果たし、そして当該分野において公知である(または公知になる)他の全ての形態のベクターが、本明細書中での使用に適切である。例えば、Pouwelら(1985および補遺)Cloning Vectors:A
Laboratory Manual、Elsevier、N.Y.、およびRodriquezら(編 1988)Vectors:A Survey of Molecular Cloning Vectors and Their Uses、Buttersworth、Boston、MAを参照のこと。
【0081】
形質転換された細胞としては、細胞(好ましくは、哺乳動物)が挙げられる。それらは、IL−170遺伝子を含むベクターを用いて形質転換されるか、またはトランスフェクトされており、代表的に組換えDNA技術を使用して構築される。形質転換された宿主細胞は、通常、抗原またはそのフラグメントを発現するが、そのDNAのクローニング、増幅および操作の目的のために、タンパク質を発現する必要はない。本発明は、形質転換された細胞を栄養培地中で培養し、次いでタンパク質が培養物中に蓄積することを許容することをさらに意図する。タンパク質を、培養物または培養培地のいずれかから回収し得る。
【0082】
本発明の目的のために、DNA配列が機能的に互いに関連する場合に、DNA配列を作動可能に連結する。例えば、細胞膜に対してポリペプチドを指向する際、またはポリペプチドの分泌の際に、プレタンパク質または関与物(participate)として発現される場合、プレ配列または分泌リーダーについてのDNAは、ポリペプチドに作動可能に連結される。プロモーターは、コード配列がポリペプチドの転写を制御する場合に、コード配列に作動可能に連結される;リボソーム結合部位は、リボソーム結合部位が翻訳を許容するために位置する場合に、コード配列に作動可能にコード配列に連結される。通常、作動可能に連結するとは、連続することおよびリーディングフレーム中にあることを意味するが、しかし特定の遺伝的エレメント(例えば、リプレッサー遺伝子)は、連続しては連結されないが、次に発現を制御するオペレーター配列になお結合する。
【0083】
適した宿主細胞としては、原核生物、下等真核生物および高等真核生物が挙げれる。原核生物としては、グラム陰性生物およびグラム陽性生物(例えば、E.coliおよびB.subtilis)の両方が挙げられる。下等真核生物としては、酵母(例えば、S.cerevisiaeおよびPichia)、ならびにDictyostelium属の種が挙げられる。高等真核生物としては、非哺乳動物起源(例えば、昆虫細胞および鳥類)、および哺乳動物起源(例えば、ヒト、霊長類およびげっ歯類)の両方の動物細胞由来の樹立された組織培養細胞株が挙げられる。
【0084】
原核生物宿主−ベクター系は、多くの異なる種に対する広範な種々のベクターを含む。本明細書中で使用される場合、E.coliおよびそのベクターは、一般的に他の原核生物において使用される相当するベクターを含むように使用される。DNAの増幅のための代表的なベクターは、pBR322または多くのその誘導体である。IL−170タンパク質またはそのフラグメントを発現するために使用され得るベクターとしては、以下を含むベクターのようなベクターが挙げられるが、これらに限定はされない:lacプロモーター(pUC−series);trpプロモーター(pBR322−trp);Ippプロモーター(pIN−series);λ−pPプロモーターまたはλ−pRプロモーター(pOTS);あるいはハイブリッドプロモーター(例えばptac(pDR540))。Brosius,ら(1988)「Expression Vectors Employing Lambda−,trp−,lac−,and Ipp−derived Promoters」、RodriguezおよびDenhardt(編)、Vectors:A Survey of Molecular Cloning Vector and Their Uses,Buttersworth,Boston,Chapter 10、205〜236頁を参照のこと。
【0085】
下等真核生物(例えば、酵母およびDictyostelium)は、IL−170タンパク質をコードするベクターを用いて、形質転換され得る。本発明の目的のために、最も共通の下等真核生物宿主は、パン酵母、Sccharomyces cerevisiaeである。それは、一般的に、下等真核動物を表すために使用されるが、多くの他の株および種もまた利用可能である。酵母ベクターは、代表的に複製起点(統合型でなければ)、選択遺伝子、プロモーター、所望のタンパク質またはそのフラグメントをコードするDNA、ならびに翻訳終結、ポリアデニル化および転写終結のための配列からなる。酵母についての適した発現ベクターとしては、3−ホスホグリセレートキナーゼおよび種々の他の解糖酵素遺伝子プロモーターのような構成性プロモーター、またはアルコールデヒドロゲナーゼ2プロモーターまたはメタロチオニン(metallothionine)プロモーターのような誘導性プロモーターが挙げられる。適したベクターとしては、以下の型の誘導体が挙げられる:自己複製低コピー数(例えば、YRp−series)、自己複製高コピー数(例えば、YEp−series);統合型(例えば、YIp−series)またはミニ染色体(例えば、YCP−series)。
【0086】
高等真核生物組織培養細胞は、機能的に活性なIL−170タンパク質の発現のための好ましい宿主細胞である。原則的には、多くの高等真核生物組織培養細胞株(例えば、無脊椎動物供給源または脊椎動物供給源由来のいずれかの昆虫バキュロウイルス発現系)は、実行可能である。しかし、共翻訳のプロセシングおよび翻訳後のプロセシングの両方において哺乳動物細胞が好ましい。そのような細胞の形質転換またはトランスフェクションおよび増殖は、慣用的な手順となった。有用な細胞株の例としては、HeLa細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、新生児ラット腎臓(BRK)細胞株、昆虫細胞株、鳥類細胞株およびサル(COS)細胞株が挙げられる。このような細胞株についての発現ベクターは、通常、複製起点、プロモーター、翻訳開始部位、RNAスプライス部位(ゲノムDNAが使用される場合)、ポリアデニル化部位および転写終結部位を含む。これらのベクターはまた、通常、選択遺伝子または増幅遺伝子を含む。適した発現ベクターは、例えばアデノウイルス、SV40、パルボウイルス、ワクシニアウイルスまたはサイトメガロウイルスのような供給源由来のプロモーターを保有する、プラスミド、ウイルスまたはレトロウイルスであり得る。適した発現ベクターの代表的な例としては、pCDNA1;pCD(Okaymaら、(1985)Mol.Cell Biol.5:1136−1142を参照のこと);pMC1neo Poly−A(Thomasら、(1987)Cell
51:503−512を参照のこと);およびpAC 373またはpAC 610のようなバキュロウイルスベクター(O’Reillyら、(1992)Baculovirus Expression Vectors:A Laboratory Manual、Freeman and Co.,CRC Press,Boca Raton,Flaを参照のこと)が挙げられる。
【0087】
特異的なグリコシル化パターンまたは規定されたグリコシル化パターンを提供する系において、IL−170タンパク質ポリペプチドを発現することが、しばしば所望される。この場合、通常のパターンは、発現系によって自然に提供される。しかし、そのパターンは、ポリペプチド(例えば、グリコシル化されていない形態)を曝露することによって、非相同的発現系に導入される適切なグリコシル化タンパク質に変更可能である。例えば、IL−170タンパク質遺伝子は、哺乳動物または他のグリコシル化酵素をコードする1つ以上の遺伝子と共に同時形質転換され得る。このアプローチを使用して、特定の哺乳動物グリコシル化パターンは原核生物または他の細胞において達成されるか、または見積られる。
【0088】
IL−170タンパク質またはそのフラグメントは、細胞膜に結合したホスファチジルイノシトール(PI)であるように操作され得るが、しかしホスファチジルイノシトール切断酵素(例えば、ホスファチジルイノシトールホスホリパーゼC)を用いた処理によって膜から除去され得る。これは、生物学的に活性な形態で抗原を放出し、そしてタンパク質化学の標準的な手順による精製を可能にする(例えば、Low(1989)Biochim.Biophys.Acta 988:427−454;Tseら、(1985)Science 230:1003−1008;およびBrunnerら、(1991)J.Cell Biol.114:1275−1283を参照のこと)。
【0089】
現在、IL−170タンパク質は特徴づけられているので、そのフラグメントまたは誘導体は、ペプチドを合成するために従来の手順によって調製され得る。これらは、例えば、StewartおよびYoung(1984)Solid Phase Peptide Synthesis,Pierce Chemical Co.,Rockford,IL;BodanszkyおよびBodanszky(1984)The Practice of Peptide Synthesis,Springer−Verlag,New York;およびBodanszky(1984)The Principles of Peptide Synthesis,Springer−Verlag,New Yorkに記載されるプロセスを含む。例えば、アジドプロセス、酸塩化物プロセス、酸無水物プロセス、混合無水物プロセス、活性エステル(例えば、p−ニトロフェノールエステル、N−ヒドロキシスクシンイミドエステルまたはシアノメチルエステル)プロセス、カルボジイミダゾールプロセス、酸化−還元プロセス、またはジシクロヘキシルカルボジイミド(DCCD)/添加プロセスが使用され得る。固相合成および液層合成は、共に上記のプロセスに適応可能である。
【0090】
IL−170タンパク質、フラグメントまたは誘導体は、ペプチド合成において代表的に使用される上記のプロセスに従って適切に調製される。ペプチド合成は一般的に、アミノ酸を順番に1つずつ最終アミノ酸にまで縮合する工程を含む段階的プロセスと呼ばれる合成か、または最終アミノ酸にペプチドフラグメントを結合することによる合成のいずれかによる。結合反応に使用されないアミノ基は、代表的に不正確な位置で結合することを防ぐために保護される。
【0091】
固相合成が適用される場合、C末端アミノ酸は、不溶性キャリアに結合されるか、またはそのカルボキシル基を介して支持する。その不溶性キャリアは、反応性のカルボキシル基への結合能を有する限りは特に限定されない。このような不溶性キャリアの例としては、ハロメチルレジン(例えば、クロロメチルレジンまたはブロモメチルレジン)、ヒドロキシメチルレジン、フェノールレジン、tert−アルキルオキシカルボニル−ヒドラジド化レジンなどが挙げられる。
【0092】
アミノ基保護アミノ酸は、その活性化カルボキシ基と前に形成されたペプチドまたは鎖の反応性アミノ基との縮合を介して順番に結合され、漸次にペプチドが合成される。完全な配列の合成後、そのペプチドを、ペプチドを産生するための不溶性キャリアから分離する。この固相アプローチは、一般的にMerrifieldら、(1963)J.Am.Chem.Soc.85:2149−2156によって記載される。
【0093】
調製されたタンパク質およびそのフラグメントは、ペプチド分離の手段(例えば、抽出、沈澱、電気泳動および種々の形態のクロマトグラフィーなど)によって、反応混合物から単離され、そして精製され得る。本発明のIL−170タンパク質は、その所望の使用に依存して種々の精製の程度で得られ得る。精製は、本明細書中に開示されるタンパク質精製技術の使用によってか、または免疫吸着アフィニティークロマトグラフィーにおいて本明細書に記載される抗体の使用によって達成され得る。この免疫吸着アフィニティークロマトグラフィーは、初めに抗体を固体支持体に結合させる工程、次いで結合した抗体を適切な細胞供給源の可溶化された溶解物、タンパク質を発現する他の細胞の溶解物、またはDNA技術の結果(下記参照)としてIL−170タンパク質を産生する細胞の溶解物もしくは上清と接触させる工程によって行われる。
【0094】
(V.物理的改変体)
本発明はまた、IL−170タンパク質のアミノ酸配列との実質的なアミノ酸配列相同性を有するタンパク質またはペプチドを含む。これらの改変体は、種改変体または対立遺伝子改変体を含む。
【0095】
アミノ酸配列相同性または配列同一性は、残基の一致を最適化することによって(必要である場合、必要とされるギャップを導入することによって)決定される。これは、一致として保存的な置換を考慮する場合に変化する。保存的な置換としては、代表的に、以下の基の置換が挙げられる:グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸;アスパラギン、グルタミン;セリン、スレオニン;リジン、アルギニン;およびフェニルアラニン、チロシン。相同アミノ酸配列は、代表的にそれぞれ、各々のタンパク質配列に天然の対立遺伝子および種間の改変を含むことを意図する。典型的な相同タンパク質またはペプチドは、IL−170タンパク質のアミノ酸配列と(ギャップが導入され得る場合)25〜100%の相同性から、(保存的な置換が含まれる場合)50〜100%の相同性を有する。相同性の基準は、少なくとも約35%、一般的には少なくとも40%、より一般的には少なくとも45%、頻繁には少なくとも50%、より頻繁には少なくとも55%、代表的には少なくとも60%、より代表的には少なくとも65%、通常には少なくとも70%、より通常にはすくなくとも75%、好ましくは少なくとも80%、そしてより好ましくは少なくとも80%、そして特に好ましい実施形態においては、少なくとも85%以上である。Needlehamら、(1970)J.Mol.Biol.48:443−453;Sankoffら、(1983)Chapter One in
Time Warps,String Edits,and Macromolecules:The Theory and Practice of Sequence Comparison,Addison−Wesley,Reading,MA;およびIntelliGenetics,Mountain
View,CAのソフトウェアパッケージ;ならびにUniversity of Wisconsin Genetics Computer Group,Madison,WIもまた参照のこと。
【0096】
IL−170タンパク質をコードする単離されたDNAは、ヌクレオチドの置換、ヌクレオチドの欠失、ヌクレオチドの挿入およびヌクレオチドストレッチの反転によって容易に変更され得る。これらの変更は、これらの抗原、それらの誘導体、または類似の生理的活性、免疫原性活性または抗原性活性を有するタンパク質をコードする新規のDNA配列を生じる。これらの変更された配列は、変異型抗原を産生するためか、または発現を増強するために使用され得る。増強された発現は、遺伝子の増幅、増加した転写、増加した翻訳および他の機構に関与し得る。このような変異型IL−170タンパク質誘導体としては、代表的なタンパク質またはそのフラグメントの予定された変異または部位特異的な変異が挙げられる。「変異型IL−170タンパク質」は、そうでなけばマウスIL−170の相同性の定義に分類されるポリペプチドまたは上記のヒトIL−170タンパク質を含むが、欠失、置換または挿入のいずれかによって自然に見い出されるIL−170タンパク質のアミノ酸配列とは異なる、アミノ酸配列を有する。特に、「部位特異的な変異型IL−170タンパク質」としては、一般的に、表1〜6からの配列を有する対応するタンパク質との有意な相同性を有するタンパク質が挙げられる。そして、部位特異的な変異型IL−170タンパク質は、これらの配列との種々の生物学的活性(例えば、抗原性または免疫原性)を共有する場合、および好ましい実施形態において、開示された配列のほとんどを含む。同様の概念は、異なるIL−170タンパク質(特に、種々の温血動物(例えば、哺乳動物および鳥類)において見い出されるIL−170タンパク質)に適用する。前に記載したように、記述は一般的に全てのIL−170タンパク質を含むことを意味し、具体的に議論されたマウスの実施形態に限定されないことを意図することが強調される。
【0097】
部位特異的変異部位は、予め決定されるが、変異は、部位特異的である必要性はない。IL−170タンパク質変異誘発は、アミノ酸の挿入または欠失を作製することにより、行われ得る。置換、欠失、挿入または任意の組み合わせを、引き起こして、最終構築物に達し得る。挿入は、アミノ末端またはカルボキシ末端の融合を含む。ランダム変異誘発は、標的コドンで行われ得、次いで発現された変異体は、所望の活性について、スクリーニングされ得る。既知の配列を有するDNA中の所定の部位での置換変異を作製するための方法は、当該分野において周知である(例えば、M13プライマー変異誘発技術またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術による)。Sambrookら(1989)およびAusubelら(1987および補遺)もまた参照のこと。
【0098】
DNA中の変異は、通常、読み枠の外のコード配列で行うべきではなく、そして好ましくは、mRNAの二次構造(例えば、ループまたはヘアピン)を生じるようにハイブリダイズし得る相補領域を作成しない。
【0099】
本発明はまた、組換えタンパク質(例えば、これらのタンパク質由来のセグメントを用いる異種融合タンパク質)を提供する。異種融合タンパク質は、同様の様式において、天然であるが正常ではなく融合されるタンパク質またはセグメントの融合である。従って、免疫グロブリンとIL−170ポリペプチドの融合産物は、代表的なペプチド結合において融合される配列を有する連続的なタンパク質分子であり、代表的には、1つの翻訳産物として作製され、そして各々の起源のペプチド由来の特性を示す。同様の概念を、異種核酸配列に適用する。
【0100】
さらに、新しい構築物は、他のタンパク質由来の類似の機能的ドメインを結合することで作製され得る。例えば、抗原結合セグメントまたは他のセグメントは、異なる新しい融合ポリペプチドまたはフラグメント間で「交換」され得る。例えば、Cunninghamら(1989)Science 243:1330−1336;およびO’Dowdら(1988)J.Biol.Chem.263:15985−15992を参照のこと。従って、特異性の新しい組み合わせを示す新しいキメラポリペプチドは、生物学的に関連するドメインと他の機能的ドメインとの機能的結合から生じる。
【0101】
BeaucageおよびCarruthers(1981)Tetra.Letts.22:1859−1862により記載されるホスホラミダイト法は、適切な合成DNAフラグメントを産生する。二重鎖フラグメントはしばしば、相補鎖を合成して、そして適切な条件下で互いの鎖をアニールすることによるか、またはDNAポリメラーゼを用いて、相補鎖を適切なプライマー配列に付加することによる(例えば、PCR技術)かのいずれかにより得られる。
【0102】
(VI.機能的改変体)
IL−170タンパク質に対する生理学的な応答をブロックすることは、IL−170タンパク質の天然の結合パートナーへの抗原の結合の阻害から生じ得る(例えば、競合阻害を通じて)。従って、本発明のインビトロアッセイは、しばしば単離されたタンパク質、組換え膜結合型IL−170タンパク質を発現する細胞由来の膜、結合セグメントを含む可溶性フラグメント、または固相基質に結合したフラグメントを用いる。これらのアッセイはまた、結合セグメントの変異および修飾、またはタンパク質の変異および修飾(例えば、アナログ)のいずれかの効果の診断決定を許容する。
【0103】
この発明はまた、競合薬物スクリーニングアッセイの使用を考慮する(例えば、ここで抗原に対する中和抗体または結合パートナーフラグメントは、このタンパク質に結合する試験化合物と競合する)。この様式において、この抗体を用いて、タンパク質の1つ以上の抗原結合部位を共有する任意のポリペプチドの存在を検出し得、そしてまた結合パートナーと別の方法で相互作用するかも知れないこのタンパク質の結合部位を占有し得る。
【0104】
さらに、IL−170タンパク質に対する中和抗体および高親和性レセプター結合部位を含む抗原の可溶性フラグメントを用いて、組織(例えば、異常な生理機能が起っている組織)において抗原の機能を阻害し得る。
【0105】
IL−170抗原の「誘導体」としては、アミノ酸配列変異体、グリコシル化改変体、および他の化学部分との共有結合体または凝集結合体が挙げられる。共有結合性誘導体は、当該分野において周知の手段によりIL−170アミノ酸側鎖においてか、またはN末端もしくはC末端で見出される基への機能性の結合により調製され得る。これらの誘導体としては、カルボキシ末端の、またはカルボキシ側鎖を含む残基の脂肪酸エステルまたはアミド、水酸基含有残基のO−アシル誘導体、およびアミノ末端アミノ酸またはアミノ基含有残基(例えば、リジンまたはアルギニン)のN−アシル誘導体が挙げられ得るが、限定はない。アシル基は、C3〜C18の通常のアルキルを含むアルキル部分の群より選択され、これによりアルカノイルアロイル種を形成する。キャリアタンパク質への共有結合は、免疫原部分がハプテンである場合、重要であり得る。
【0106】
詳細には、グリコシル化の改変は、例えば、ポリペプチドの合成およびプロセシング中の、またはさらなるプロセシング工程におけるポリペプチドのグリコシル化パターンを修飾することによる作製を含む。これを達成するための特に好ましい手段は、このようなプロセシングを正常に提供する、細胞由来のグリコシル化する酵素(例えば、哺乳動物グリコシル化酵素)にポリペプチドを曝露することによる。脱グリコシル化酵素はまた、考慮される。リン酸化アミノ酸残基(例えば、ホスホチロシン、ホスホセリン、またはホスホスレオニン)を含む他の小さな修飾を有する同一のアミノ酸の一次配列のバージョンもまた、包含される。
【0107】
誘導体の主な群は、IL−170タンパク質またはそのフラグメントと他のタンパク質またはポリペプチドの共有結合体である。これらの誘導体は、組換えカルチャー(例えば、N末端またはC末端の融合)においてか、または反応性側鎖基を介する架橋タンパク質におけるそれらの有用性に対する当該分野において公知の試薬の使用により合成され得る。架橋剤を有する好ましい抗原誘導体部位は、遊離アミノ基、糖質部分、およびシステイン残基である。
【0108】
IL−170タンパク質と他の相同タンパク質または異種タンパク質との間の融合ポリペプチドはまた、提供される。相同ポリペプチドは、異なる表面マーカーとの間で融合され得、例えば、レセプター結合特異性を示すハイブリッドタンパク質を生じる。同様に、異種融合体は、誘導体タンパク質の特性または活性の組み合わせを示すように構築され得る。代表的な例は、レセプターポリペプチド(例えば、ルシフェラーゼ)と抗原のセグメントまたはドメイン(例えば、レセプター結合セグメント)との融合であり、その結果、融合された抗原の存在または位置を容易に決定し得る。例えば、Dullら、米国特許第4,859,609号を参照のこと。他の遺伝子融合パートナーとしては、細菌βガラクトシダーゼ、trpE、プロテインA、βラクタマーゼ、αアミラーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、および酵母α交配因子が挙げられる。例えば、Godowskiら(1988)Science 241:812−816を参照のこと。
【0109】
BeaucageおよびCarruthers(1981)Tetra.Letts.22:1859−1862により記載されるホスホラミダイト法は、適切な合成DNAフラグメントを産生する。二重鎖フラグメントはしばしば、相補鎖を合成して、そして適切な条件下で互いの鎖をアニールすることよるか、またはDNAポリメラーゼを用いて、相補鎖を適切なプライマー配列に付加することによるかのいずれかにより得られる。
【0110】
このようなポリペプチドはまた、リン酸化、スルホン化、ビオチニル化、または他の部分、特にリン酸基に類似の分子形状を有する部分の付加または除去により化学的に修飾されているアミノ酸残基を有し得る。いくつかの実施形態において、修飾は、有用な標識試薬であるか、または精製標的(例えば、アフィニティーリガンド)として役立つ。
【0111】
融合タンパク質は、代表的に組換え核酸法か、または合成ペプチド法のいずれかにより、作製される。核酸操作および発現に関する技術は、例えば、Sambrookら(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版)、第1〜3巻、Cold Spring Harbor Laboratoryに一般的に記載される。ポリペプチドの合成に関する技術は、例えば、Merrifield(1963)J.Amer.Chem.Soc.85:2149−2156;Merrifield(1986)Science 232:341−347;およびAthertonら(1989)Solid Phase Peptide Synthesis:A Practical Approach,IRL press,Oxfordに記載される。
【0112】
本発明はまた、アミノ酸配列またはグリコシル化において、改変体とは異なるIL−170タンパク質の誘導体の使用を意図する。そのような誘導体は、化学部分との共有結合性の会合または集合性の会合を含み得る。これらの誘導体は、一般的に3つのクラスに分類される:(1)塩、(2)側鎖および末端残基の共有結合改変、および(3)吸着複合体(例えば、細胞膜を伴う)。そのような共有結合性誘導体または集合性誘導体は、免疫原として、イムノアッセイにおける試薬として、または精製方法(例えば、抗原または他の結合タンパク質のアフィニティー精製)において、有用である。例えば、IL−170抗原は、抗−IL−170タンパク質抗体もしくはそのレセプターまたは他の結合パートナーのアッセイまたは精製における使用のために、当該分野において周知の方法により、固体支持体(例えば、臭化シアン活性化Sepharose)に共有結合によって固定化され得るか、またはグルタルアルデヒド架橋を伴うかまたは伴わずにポリオレフィン表面上に吸着され得る。IL−170抗原はまた、診断的アッセイにおける使用のために、検出基で標識され得る(例えば、クロラミンT手順による放射ヨウ素標識、希土類キレートへの共有結合、または別の蛍光部分への結合体化)。IL−170タンパク質の精製は、固定化された抗体または結合パートナーによって、もたらされ得る。
【0113】
本発明の可溶化されたIL−170抗原またはフラグメントは、タンパク質またはそのフラグメントに対して特異的な抗血清または抗体の産生のために、免疫原として使用され得る。精製された抗原を使用して、タンパク質を含む不純な調製物の種々の形態を用いて免疫化することによって調製されるモノクローナル抗体または結合フラグメントをスクリーニングし得る。詳細には、用語「抗体」とはまた、天然の抗体の抗原結合フラグメントを含む。精製されたIL−170タンパク質はまた、抗原を含むタンパク質または細胞フラグメントの増強されたレベルの存在に応答して生成される任意の抗体を検出する試薬として使用され得、その両者は、異常性または特定の生理学的状態もしくは疾患状態の診断となり得る。さらに、抗原フラグメントはまた、すぐ下に記載されるように、本発明の抗体を産生するための免疫原として役に立ち得る。例えば、本発明は、表1−6に示されるヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列またはそれらを含むタンパク質のフラグメントに対して、惹起される抗体を意図する。詳細には、本発明は、脂質二重層の外側に位置することが予期される特定のフラグメントに対する結合親和性を有するか、またはそのフラグメントに対して惹起される抗体を意図する。
【0114】
本発明は、さらに密接に関連する種改変体の単離を意図する。サザンブロット分析は、類似の遺伝子実体が、他の哺乳動物(例えば、ラットおよびヒト)に存在することを確立した。おそらく、IL−170タンパク質は、種改変体(例えば、げっ歯動物、ウサギ、肉食動物、偶蹄目、奇蹄類、霊長類)に広く存在する。
【0115】
本発明はまた、構造、発現、および機能において明確さおよび類似性の両方を示す関連抗原の群を単離する方法を提供する。この抗原の多くの生理学的効果の解明は、異なる種改変体の単離および特徴付けによって、大いに促進される。詳細には、本発明は、異なる種において、さらなる相同な遺伝子実体を同定するための有用なプローブを提供する。
【0116】
単離された遺伝子は、対応するIL−170タンパク質の発現を欠損している細胞(例えば、対応する抗原を欠損しており、そしてネガティブバックグランド活性を示すはずである種型または種細胞のいずれか)の形質転換を可能にする。形質転換された遺伝子の発現は、規定された種改変体または単一種改変体を伴う、抗原性において純粋な細胞株の単離を可能にする。このアプローチは、IL−170タンパク質の生理学的効果のより感度の高い検出および識別を可能にする。細胞下フラグメント(例えば、細胞質体または膜フラグメント)が単離され、そして使用され得る。
【0117】
そのタンパク質によって提供される、種々の生理学的機能または分化機能をもたらす重要な構造エレメントの詳細な分析が、現代の分子生物学の標準的技術を使用すると、可能である(特に関連するクラスのメンバーを比較する際)。例えば、Cunninghamら(1989)Science 243:1339−1336において記載される、ホモログスキャニング変異誘発技術;およびO’Dowd、ら(1988)J.Biol.Chem.263:15985−15992において使用されるアプローチ;およびLechleiter、ら(1990)EMBO J.9:4381−4390を参照のこと。
【0118】
詳細には、機能的ドメインまたは機能的セグメントは、種改変体の間で置換されて、どのような構造的特徴が、結合パートナーの親和性および特異性の両方ならびにシグナル伝達において重要であるのかを決定し得る。異なる改変体のアレイが、結合パートナーの異なる種改変体との相互作用の組み合わせた特性を示す分子についてスクリーニングするために使用される。
【0119】
抗原内在化は、特定の状況下において生じ得、そして細胞内成分と相互作用に関与するタンパク質の「細胞外」セグメントとの相互作用が生じ得る。他の細胞内成分と相互作用するIL−170タンパク質の特定のセグメントは、変異原性または直接的な生化学的方法(例えば、架橋方法または親和性方法)によって、同定され得る。結晶学的方法または他の物理的方法による構造分析もまた、適用可能である。生物学的機能の機構のさらなる調査は、親和性方法または遺伝的手段(例えば、変異体の相補性分析)によって単離可能であり得る関連成分の研究を含む。
【0120】
IL−170タンパク質の発現および制御のさらなる研究が、探求される。抗原と会合する制御エレメントは、差次的発生的発現パターン、組織特異的発現パターン、または他の発現パターンを示し得る。上流遺伝子領域または下流遺伝子領域(例えば、制御エレメント)が目的のものである。
【0121】
抗原の構造研究は、新たな改変体、特に、結合パートナーに対してアゴニスト特性またはアンタゴニスト特性を示すアナログの設計に導く。これは、所望の活性スペクトルを示す改変体を単離するための、以前に記載されたスクリーニング法と組み合わせられ得る。
【0122】
他の細胞型における発現はしばしば、特定の抗原において、グリコシル化の差異を生じる。種々の種改変体は、アミノ酸配列以外の構造の差異に基づく異なる機能を示し得る。差次的改変は、差次的機能の原因となり得、そしてその効果の解明は現在、可能である。
【0123】
従って、本発明は、抗原−結合パートナー相互作用に関連する重要な試薬を提供する。前述の説明は、主にマウスIL−170およびヒトIL−170タンパク質に対して焦点を合わせてきたが、当業者は、本発明は、他の抗原(例えば、マウスおよび他の哺乳動物種または対立遺伝子改変体、ならびにそれらの改変体)を含むことをすぐに認識する。
【0124】
(VII.抗体)
抗体は、タンパク質の天然に存在する形態および組換え形態の両方において、種々のIL−170タンパク質(種改変体または対立遺伝子改変体およびそれらのフラグメントを含む)に対して惹起され得る。さらに、抗体は、その活性形態または不活性形態のいずれかにおいて、IL−170タンパク質に対して惹起される。抗イディオタイプ抗体もまた、意図される。
【0125】
抗原の予め決定されたフラグメントに対する抗体(結合フラグメントおよび一本鎖バージョンを含む)は、免疫原性タンパク質を有するフラグメントの結合体で動物を免疫化することによって、惹起され得る。モノクローナル抗体が、所望の抗体を分泌する細胞から調製される。これらの抗体は、正常なIL−170タンパク質または欠損IL−170タンパク質との結合についてスクリーニングされ得るか、またはアゴニスト活性もしくはアンタゴニスト活性(例えば、結合パートナーを通して媒介される)についてスクリーニングされ得る。これらのモノクローナル抗体は、通常は、少なくとも約1mMのKD、より一般的には、少なくとも約300μMのKD、代表的には少なくとも約10μMのKD、より代表的には少なくとも約30μMのKD、好ましくは、少なくとも約10μMのKD、およびより好ましくは少なくとも約3μMのKDまたはより良いKDで結合する。
【0126】
抗体(例えば、ポリクローナル抗体(規定された免疫原(例えば、配列番号8の成熟アミノ酸配列もしくはそのフラグメントまたは配列番号7の核酸から生成されるポリペプチドからなる免疫原)に対して生成される)と特異的に結合するか、または抗体に対して特異的に免疫反応性である、IL−170ポリペプチドは、代表的にイムノアッセイにおいて、決定される。本明細書中に記載されるそれらの核酸配列(本明細書中に構造的および機能的に定義されるようなプロトタイプのIL−173ポリペプチド、IL−174ポリペプチド、IL−176ポリペプチドまたはIL−177ポリペプチドに対して生成されるポリクローナル抗体を選択的に結合するポリペプチドをコードする機能的改変体を含む)は、本発明の境界または限界内に含まれる。イムノアッセイは、例えば、配列番号8のタンパク質に対して惹起されたポリクローナル抗血清を代表的に使用する。この抗血清は、適切な他のIL−170ファミリーメンバー(好ましくは、同じ種に由来する)に対して低い交叉反応性を有するように選択され、そして任意のそのような交叉反応性は、イムノアッセイにおける使用の前に、免疫吸着によって除去される。適切な選択的血清調整物が、単離され、そして特徴付けられ得る。
【0127】
イムノアッセイにおける使用のための抗血清を生成するために、タンパク質(例えば、配列番号8のタンパク質)が、本明細書中に記載されるように単離される。例えば、組換えタンパク質は、哺乳動物細胞株において産生され得る。適切な宿主(例えば、マウスの近交系(例えば、Balb/c)を標準的なアジュバンド(例えば、フロイントアジュバンド)および標準的なマウス免疫化プロトコル(HarlowおよびLaneを参照のこと)を使用して、配列番号8のタンパク質で免疫化される。あるいは、本明細書中で開示される配列に由来する実質的に全長の合成ペプチドが、免疫原として使用され得る。ポリクローナル血清は収集されて、イムノアッセイ(例えば、固体支持体上に固定化された免疫原を有する固相イムノアッセイ)における免疫原タンパク質に対して滴定される。104またはそれより大きな力価を有するポリクローナル抗血清が選択されて、そして競合的結合イムノアッセイ(例えば、HarlowおよびLane、前出、570−573頁に記載されるもの)を使用して、他のIL−170ファミリーメンバー(例えば、IL−171、IL−172、またはIL−175)に対する交叉反応性について試験される。好ましくは、少なくとも、2つのIL−170ファミリーメンバーが、標的と共に、この決定の際に使用される。これらのIL−170ファミリーメンバーは、組換えタンパク質として生成され得、そして本明細書中に記載される標準的な分子生物学的技術およびタンパク質化学技術を使用して、単離される。従って、IL−170ファミリーメンバーのサブセットに対する所望の選択性または特異性を有する抗体調製物が同定され得るか、または産生され得る。
【0128】
競合的結合形式におけるイムノアッセイは、交叉反応性決定のために使用され得る。例えば、成熟した配列番号8のタンパク質は、固体支持体に固定化され得る。このアッセイに添加されたタンパク質は、固定化された抗原に対する抗血清の結合と競合する。固定化されたタンパク質に対する抗血清の結合と競合する上記タンパク質の能力は、配列番号8のタンパク質と比較される。上記タンパク質についてのパーセント交叉反応性が、標準的な計算を使用して算出される。上記に列挙された各タンパク質について、10%未満の交叉反応性を有するそれらの抗血清が選択されて、そしてプールされた。次いで交叉反応抗体は、上記に列挙されたタンパク質で免疫吸着することによって、プールされた抗血清から除去される。
【0129】
次いで、免疫吸着およびプールされた抗血清は、上記のように、第2タンパク質と免疫原タンパク質とを比較するために、競合的結合イムノアッセイにおいて使用される。この比較を行うために、2つのタンパク質が、広範な濃度においてそれぞれアッセイされ、固定化されたタンパク質に対する、抗血清の結合を50%阻害するのに必要とされる各タンパク質の量が決定される。もし必要とされる第2のタンパク質の量が、必要とされるタンパク質(例えば配列番号8のタンパク質)の量の2倍よりも少なければ、第2のタンパク質は、免疫原に対して生成された抗体に特異的に結合したことになる。
【0130】
本発明の抗体(抗原結合フラグメントを含む)は、有意な診断的価値または治療的価値を有し得る。抗体は、結合パートナーを結合し、そして抗原結合を阻害するか、または生物学的応答を誘発する抗原の能力を阻害する強力なアンタゴニストであり得る。抗体はまた、非中和抗体としても有用であり得、そして毒素または放射性核種と結合され得、その結果、抗体が抗原に結合した場合に、それを発現する細胞(例えば、その表面に)は、抹殺される。さらに、これらの抗体は、リンカーによって、直接的または関節的にのいずれかで、薬物または他の治療剤と結合体化され得、そして薬物ターゲッティングをもたらし得る。
【0131】
本発明の抗体はまた、診断的適用において有用であり得る。捕捉抗体または非中和抗体のように、抗体は、パートナーによる結合を阻害せずに抗原を結合する能力についてスクリーニングされ得る。中和抗体のように、抗体は、競合的結合アッセイにおいて有用であり得る。抗体はまた、IL−170タンパク質またはその結合パートナーを検出または定量する際に有用である。例えば、Chan編(1987)Immunoassay:A Practical Guide Academic Press、Orland、Fla.;Ngo編(1988)Nonisotopic Immunoassay Plenum Press、NY;ならびにPriceおよびNewman編(1991)Principles and Practice of Immunoassay Stockton Press、NYを参照のこと。
【0132】
抗原フラグメントは、他の物質(特に、ポリペプチド)に結合され得る(免疫原として使用されるように、ポリペプチドと融合され得るか、または共有結合され得る)。抗原およびそのフラグメントは、種々の免疫原(例えば、キーホールリンペットヘモシアニン、ウシ血清アルブミン、破傷風毒素など)と融合され得るか、または共有結合され得る。ポリクローナル抗血清を調製する方法の説明のために、Microbiology、Hoeber Medical Division、HarperおよびRow、1969;Landsteiner(1962)Specificity of Serological Reactions、Dover Publications、New York、およびWilliamsら、(1967)Method in Immunology
and Immunochemistry、第1巻、Academic Press、New Yorkを参照のこと。代表的な方法は、抗原を用いて、動物を超免疫化する工程を包含する。反復して免疫化した直後に、次いで動物の血液は、採取され、そしてγグロブリンが単離される。
【0133】
いくつかの例において、種々の哺乳動物宿主(例えば、マウス、齧歯類、霊長類、ヒトなど)由来のモノクローナル抗体を調製することが望ましい。このようなモノクローナル抗体を調製するための技術の説明は、例えば、Stitesら(編)Basic and Clinical Immunology(第4版)、Lange Medical Publications、Los Altos、CA、およびその中で引用される参考文献;HarlowおよびLane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual、CSH Press;Goding(1986)Monoclonal Antibodies:Principles and Practice(第2版)Academic Press、New York;ならびに特に、KohlerおよびMilstein(1975)Nature 256:495−497において見出され得、これは、モノクローナル抗体を産生する1つの方法を議論する。手短に要約すれば、この方法は、免疫原を用いて動物を注射する工程を包含する。次いで、この動物を屠殺し、そして細胞をその脾臓から取り、次いでこの細胞を、骨髄腫細胞に融合する。結果は、インビトロで再生し得る、ハイブリッド細胞または「ハイブリドーマ」である。次いで、ハイブリドーマの集団を、個々のクローンを単離するためにスクリーニングし、これらの各々は、免疫原に対して単一の抗体種を分泌する。この様式において、得られた個々の抗体種は、免疫原性物質上で認識される特定の部位に応答して産生される、免疫動物由来の不死化されかつクローン化された単一のB細胞の産物である。
【0134】
他の適切な技術は、抗原性のポリペプチド、あるいはファージまたは類似のベクターにおける抗体のライブラリーの選択物へのリンパ球のインビトロでの曝露を含む。Huseら(1989)「Generation of a Large Combinatorial Library of the Immunoglobulin Repertoire in Phage Lambda」Science 246:1275−1281;およびWardら(1989)Nature 341:544−546を参照のこと。本発明のポリペプチドおよび抗体(キメラ抗体またはヒト化抗体を含む)は、改変を加えてか、または加えずに使用され得る。頻繁に、このポリペプチドおよび抗体は、検出可能なシグナルを提供する物質と、共有結合または非共有結合のいずれかで結合することによって標識される。広範な種々の標識および結合体化技術が公知であり、そして科学文献および特許文献の両方において広範に報告される。適切な標識としては、放射性核種、酵素、基質、コファクター、インヒビター、蛍光部分、化学発光部分、磁気性粒子(magnetic particle)などが挙げられる。このような標識の使用を教示する特許としては、米国特許第3,817,837号;同第3,850,752号;同第3,939,350号;同第3,996,345号;同第4,277,437号;同第4,275,149号;および同第4,366,241号が挙げられる。また、組換え免疫グロブリンが産生され得る。Cabilly、米国特許第4,816,567号を参照のこと。
【0135】
本発明の抗体はまた、タンパク質の単離におけるアフィニティクロマトグラフィのために使用され得る。抗体が固体支持体(例えば、アガロース、セファデックスなどのような粒子)に結合されるカラムが調製され得、ここで、細胞溶解物がカラムを通過し得、カラムを洗浄し、その後、穏やかな変性剤の濃度を増加させ、これによって、精製されたIL−170タンパク質が放出される。
【0136】
この抗体はまた、特定の発現産物についての発現ライブラリーをスクリーニングするために使用され得る。通常、このような手順において使用される抗体は、抗体の結合によって、抗原の存在の検出を容易にする部分を用いて標識される。
【0137】
各々のIL−170タンパク質に対して惹起される抗体はまた、抗イディオタイプ抗体を惹起するために有用である。これらは、それぞれの抗原の発現に関連した種々の免疫学的状態の検出または診断に有用である。
【0138】
(VIII.使用)
本発明は、本明細書中の他の場所(例えば、生理学的異常または発生異常についての一般的説明においてか、あるいは以下の診断キットの説明において)で記載されるような診断適用における使用を見出す試薬を提供する。
【0139】
本発明はまた、有意な治療価値を有する試薬を提供する。IL−170タンパク質に対する結合親和性を有すると同定される化合物とともに、IL−170タンパク質(天然に存在するか、または組換え体)、そのフラグメントおよびそれに対する抗体は、異常な生理機能または発達(異常な増殖を含む)に関連する状態(例えば、癌性状態または変性状態)の処置において有用であるはずである。異常な増殖、再生、変性および萎縮症は、本明細書中で提供される組成物を使用する適切な治療処置によって調節され得る。例えば、IL−170抗原による異常な発現または異常なシグナル伝達に関連する疾患または障害は、このタンパク質のアゴニストまたはアンタゴニストについての有望な標的であるはずである。
【0140】
他の異常な発生状態は、ノザンブロット分析によってIL−170抗原のmRNAを有することが示される細胞型において公知である。Berkow(編)The Merck Manual of Diagnosis and Therapy、Merck&Co.、Rahway,N.J.;およびThornら
Harrison’s Principles of Internal Medicine、McGraw−Hill、N.Y.を参照のこと。これらの問題は、本明細書中で提供される組成物を使用して、予防または処置されやすいかもしれない。
【0141】
IL−170に結合する組換え抗体が精製され得、次いで患者に投与される。これらの試薬は、さらなる活性成分または不活性成分(例えば、従来の薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤、例えば、生理学的に無害の安定剤および賦形剤に加えて免疫原性アジュバントにおいて)を用いた治療用途のために組み合わせられ得る。これらの組み合わせは、滅菌濾過され得、そして安定化水性調製物における投薬バイアルまたは貯蔵所における凍結乾燥によるような投薬形態中に置かれる。本発明はまた、抗体またはその結合フラグメント(補体結合ではない形態を含む)の使用を意図する。
【0142】
IL−170抗原に対する結合親和性を有する結合パートナーまたは化合物についての、IL−170を用いるスクリーニングが実施され得る(関連した成分の単離を含む)。次いで、引き続く生物学的アッセイが、この化合物が、内因性の生物学的活性を有し、従って、抗原の活性をブロックする点で、アゴニストまたはアンタゴニストであるか否かを決定するために利用され得る。本発明は、さらにアンタゴニストとして、IL−170タンパク質に対する抗体の治療用途を意図する。このアプローチは、他のIL−170タンパク質種改変体を用いて、特に有用であるはずである。
【0143】
有効な治療について必要な試薬の量は、多くの異なる因子(投与手段、標的部位、患者の生理学的状態および投与される他の薬剤(medicant)を含む)に依存する。従って、処置投薬は、安全性および有効性を最適化するために滴定されるはずである。代表的には、インビトロで用いられる投薬は、これらの試薬のインサイチュ投与に有用な量で、有用なガイダンスを提供し得る。特定の障害の処置のための有効な用量の動物実験は、ヒト投薬のさらなる予測的な指示を提供する。種々の考察が、例えば、Gilmanら(編、1990)GoodmanおよびGilman’s:The Pharmacological Bases of Therapeutics、第8版、Pergamon Press;ならびにRemington’s Pharmaceutical Sciences、第17版(1990) Mack Publishing Co.、Easton、Pennにおいて記載される。投与の方法(例えば、経口投与、静脈内投与、腹腔内投与または筋肉内投与、経皮拡散など)は、これらの中および以下に議論される。Langer(1990)Science 249:1527−1533もまた参照のこと。薬学的に受容可能なキャリアとしては、水、生理食塩水、緩衝液、および例えば、Merck Index、Merck&Co.,Rahway,New Jerseyに記載される他の化合物が挙げられる。投薬範囲は、適切なキャリアを有して、通常、1mM濃度よりも低い量、代表的には、約10μM濃度未満、通常、約100nM未満、好ましくは、約10pM(ピコモル)未満、そして最も好ましくは、約1fM(フェムトモル)未満の量であることが予期される。緩慢な放出処方物または緩慢な放出装置は、しばしば、連続投与に有用である。
【0144】
IL−170タンパク質、そのフラグメントおよびそれに対する抗体、またはそのフラグメント、アンタゴニストおよびアゴニストが、処置されるべき宿主に直接的に投与され得るか、または化合物のサイズに依存して、それらの投与の前に、キャリアタンパク質(例えば、オバルブミンまたは血清アルブミン)をそれらに結合体化させることが望ましくあり得る。治療処方物は、任意の従来の投薬処方物において投与され得る。活性成分は単独で投与され得るが、薬学的処方物として存在することが好ましい。処方物は、代表的には、1つ以上のその受容可能なキャリアと一緒に、上記で定義されたような少なくとも1つの活性成分を含む。各々のキャリアは、他の成分と適合し、そして患者に対して有害ではないという意味で、薬学的に受容可能かつ生理学的に受容可能な両方であるべきである。処方としては、経口投与、直腸投与、鼻投与または非経口投与(皮下、筋肉内、静脈内および皮内を含む)に適した処方が挙げられる。この処方は、簡便に、単位投薬形態において存在し得、そして薬学の分野において周知の任意の方法によって調製され得る。例えば、Gilmanら(編、1990)Goodman
and Gilman’s:The Pharmacological Bases of Therapeutics、第8版、Pergamon Press、Parrytown、NY;Remington’s Pharmaceutical Sciences、第17版(1990)Mack Publishing Co.,Easton,Penn.;Avisら(編、1993)Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications 第2版、Dekker、NY;Liebermanら(編 1990)Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets 第2版、Dekker、NY;およびLiebermanら(編 1990)Pharmaceutical Dosage Forms:Disperse Systems Dekker、NYを参照のこと。本発明の治療は、他の治療(サイトカインを含む)試薬と関連して組み合わせられ得るか、または用いられ得る。
【0145】
本発明のIL−170タンパク質の、天然に存在する形態および組換え形態の両方は、特に、タンパク質に対する結合活性について化合物をスクリーニングし得るキットおよびアッセイ方法に有用である。自動化アッセイのいくつかの方法が、短期間での幾万もの化合物のスクリーニングを可能にするために、近年開発されている。例えば、固体支持体上で合成される複数の限定されたポリマーによる結合親和性を試験するための手段を記載する、Fodorら(1991)Science 251:767−773を参照のこと。適切なアッセイの開発は、本発明によって提供されるような、精製された、可溶性の大量のIL−170タンパク質の有効性によって非常に容易にされ得る。
【0146】
本発明は、特に、任意の種々の薬物スクリーニング技術において、組換え抗原を使用することによる化合物のスクリーニングに有用である。特異的なリガンドのスクリーニングにおいて組換えタンパク質を使用する利点としては、以下が挙げられる:(a)特定の供給源由来の抗原の改善された回復可能な供給源;(b)アッセイにおいてノイズ比に対してより良いシグナルを与える細胞当たりの潜在的により多い数の抗原分子;および(c)種改変体特異性(理論的に、より大きい生物学的特異性および疾患特異性を与える)。この精製されたタンパク質は、多数のアッセイ(代表的には、インビトロアッセイ)において試験され得、このアッセイは、生物学的に関連する応答を評価する。例えば、Coligan Current Protocols in Immunology;Hoodら Immunology Benjamin/Cummings;Paul(編)Fundamental Immunology;およびMethods in Enzymology Academic Pressを参照のこと。
【0147】
薬物のスクリーニングの1つの方法は、IL−170抗原を発現する組換えDNA分子で安定に形質導入される、真核生物宿主細胞または原核生物宿主細胞を利用する。他の機能的に等価な抗原由来の単離において抗原を発現する細胞が、単離され得る。このような細胞(生存形態または固定形態のいずれかにおいて)は、標準的なタンパク質−タンパク質結合アッセイのために使用され得る。細胞性応答を検出するための感度のよい方法を記載する、Parceら(1989)Science 246:243−247;およびOwickiら(1990)Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 87:4007−4011をまた参照のこと。競合アッセイは、細胞(IL−170タンパク質の供給源)を、リガンドに対する既知の結合親和性を有する標識化結合パートナーまたは抗体(例えば、125I−抗体)および結合組成物に対する結合親和性が測定される試験サンプルとともに接触させ、そしてインキュベートする場合に、特に有用である。次いで、結合された、および遊離の標識されていない結合組成物を、抗原結合の程度を評価するために分離する。結合した試験化合物の量は、既知の供給源に対して結合する標識されたレセプターの量に反比例する。多数の技術のうちのいずれかが、結合の程度を評価するために、遊離の抗原から結合物を分離するために使用され得る。この分離工程は、代表的には、洗浄後のフィルターへの接着、洗浄後のプラスチックへの接着、または細胞膜の遠心分離のような手順を含む。生存細胞はまた、IL−170タンパク質媒介性機能(例えば、セカンドメッセンジャーレベル(すなわち、Ca++;細胞増殖;イノシトールリン酸プール変化;など))に対する薬物の効果についてスクリーニングするために使用され得る。いくつかの検出方法は、分離工程(例えば、近接感受性(proximity sensitive)検出系)の除去を可能にする。カルシウム感受性色素は、蛍光計(fluorimeter)または蛍光細胞分類装置を用いたCa++レベルの検出に有用である。
【0148】
別の方法は、IL−170タンパク質の供給源として、形質導入された真核生物宿主細胞または原核生物宿主細胞由来の膜を使用する。これらの細胞は、膜結合IL−170タンパク質の発現(例えば、操作された膜結合形態)を指向するDNAベクターで、安定に形質導入される。本質的に、この膜は、細胞から調製され、そして任意のレセプター/リガンド型結合アッセイ(例えば、上記で示された競合アッセイ)において使用される。
【0149】
さらに別のアプローチは、形質転換された真核生物宿主細胞かあるいは原核生物宿主細胞由来の、可溶化されており精製されていないかまたは可溶化されて精製された、IL−170タンパク質の使用である。これにより、増加した特異性、自動化のための能力および高い薬物試験スループットという利点を有する「分子」結合アッセイが可能になる。
【0150】
薬物スクリーニングに関する別の技術は、IL−170に対する適切な結合親和性を有する化合物についての高スループットスクリーニングを提供するアプローチを含み、そして詳細に、Geysen、欧州特許出願84/03564(1984年9月13日公開)に記載される。第1に、多数の異なる小さいペプチド試験化合物が、固相基板(例えば、プラスチックピンまたは他のいくつかの適切な表面)上で合成される(Fodorら(1991)を参照のこと)。ついで、その全てのピンが、可溶化されており精製されていないかまたは可溶化されて精製された、IL−170結合組成物と反応させられ、そして洗浄される。次の段階は、結合した結合組成物の検出を含む。
【0151】
合理的な薬物設計はまた、IL−170タンパク質および他のエフェクターまたはアナログの分子形状の構造的研究に基づき得る。エフェクターは、抗原結合に応答して他の機能を媒介する他のタンパク質であり得るし、または抗原と通常相互作用する他のタンパク質であり得る。どの部位が特異的な他のタンパク質と相互作用するかを決定するための1つの手段は、物理的構造決定である(例えば、X線結晶学技術または2次元NMR技術)。これらは、どのアミノ酸残基が分子接触領域を形成するかに関しての案内を提供する。タンパク質構造決定の詳細な記述に関しては、例えば、BlundellおよびJohnson(1976)Protein Crystallography、Academic Press、New Yorkを参照のこと。
【0152】
精製されたIL−170タンパク質は、上記の薬物スクリーニング技術における使用のために、直接プレート上にコートされ得る。しかし、これらのリガンドに対する非中和抗体は、それぞれのリガンドを固相上に固定化するための捕獲抗体として使用され得る。
【0153】
(IX.キット)
本発明はまた、結合組成物の存在を検出するための種々の診断キットおよび方法におけるIL−170タンパク質、そのフラグメント、ペプチドおよびそれらの融合産物の使用を意図する。代表的には、そのキットは、規定されたIL−170ペプチドまたはIL−170遺伝子セグメントあるいはIL−170ペプチドもしくはIL−170遺伝子フラグメントを認識する試薬(例えば、抗原フラグメントまたは抗体)のいずれかを含む区画を有する。
【0154】
IL−170タンパク質に対する試験化合物の結合親和性を決定するためのキットは、代表的には、試験化合物;標識化合物(例えば、抗原に対する既知の結合親和性を有する抗体);IL−170タンパク質の供給源(天然に存在するかまたは組換え体);および結合した標識化合物を遊離の標識化合物から分離するための手段(例えば、抗原を固定化するための固相)を含む。一旦化合物がスクリーニングされると、抗原に対する適切な結合親和性を有する化合物が、その化合物が天然の抗原に対して類似の生物学的活性を示すかどうかを決定するための当該分野で周知のような適切な生物学的アッセイにおいて評価され得る。組換えIL−170タンパク質ポリペプチドの有効性はまた、そのようなアッセイを較正するための十分に規定された標準を与える。
【0155】
例えば、サンプル中のIL−170タンパク質の濃度を決定するための好ましいキットは、代表的に、抗原に対して既知の結合親和性を有する標識された化合物(例えば、抗体)、抗原の供給源(天然に存在するかまたは組換え体)および結合した標識化合物を遊離の標識化合物から分離するための手段(例えば、IL−170タンパク質を固定化するための固相)を含む。試薬を含む区画および指示書は、標準的に提供される。
【0156】
サンプル中のIL−170タンパク質の濃度を決定するための1つの方法は、代表的には、以下の工程を包含する:(1)膜結合IL−170タンパク質供給源を含むサンプルから膜を調製する工程;(2)その膜を洗浄し、そしてその膜を緩衝液中で懸濁する工程;(3)適切な界面活性剤が添加された培養培地中でその膜をインキュベートすることによって抗原を可溶化する工程;(4)可溶化されたその抗原の界面活性剤濃度を調節する工程;(5)上記の希釈物を放射性標識された抗体と接触させかつインキュベートし、複合体を形成する工程;(6)例えば、ポリエチレンイミン処理されたフィルターを通じた濾過によって、その複合体を回収する工程;そして(7)回収された複合体の放射能を測定する工程。
【0157】
IL−170タンパク質またはフラグメントに特異的な、抗原結合フラグメントを含む抗体は、上昇したレベルのIL−170タンパク質および/またはそのフラグメントの存在を検出するための診断適用において有用である。そのような診断アッセイは、溶解物、生細胞、固定化された細胞、免疫蛍光、細胞培養物、体液を利用し得、そしてさらに、血清中のタンパク質に関連する抗原の検出などを含み得る。診断アッセイは、(遊離試薬とタンパク質−タンパク質複合体の間の分離工程を伴わない)均一であり得るか、または(分離工程を伴う)不均一であり得る。例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)、酵素免疫法(EIA)、酵素増幅免疫測定法(EMIT)、基質標識蛍光イムノアッセイ(substrate−labeled fluorescent immunoassay)(SLFIA)などの種々の市販されるアッセイが存在する。例えば、非標識抗体は、標識されかつIL−170タンパク質に対するかまたはその特定のフラグメントに対する抗体を認識する2次抗体を用いることによって利用され得る。類似のアッセイはまた、文献中に広範に議論される。例えば、HarlowおよびLane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual、CSHを参照のこと。
【0158】
抗イディオタイプ抗体は、IL−170タンパク質に対する抗体の存在を診断するための類似の用途を有し得、このようにして種々の異常状態の診断に役立ち得る。例えば、IL−170タンパク質の過剰産生は、異常生理的状態(特に、癌または異常分化のような増殖性細胞の状態において)の診断に役立ち得る種々の免疫学的反応の産生を生じ得る。
【0159】
頻繁に、診断アッセイのための試薬は、アッセイの感度を最適化するためにキットで供給される。本発明に関して、アッセイの性質、プロトコール、および標識に依存して、標識抗体または非標識抗体あるいは標識されたIL−170タンパク質のいずれかが提供される。これは、通常、他の添加物(例えば、緩衝液、安定剤、酵素に対する基質のようなシグナル生成のために必要な物質など)と関連する。好ましくはこのキットはまた、適切な使用および使用後の中身の処分に関する指示書を含む。代表的には、このキットは、有用な試薬各々のための区画を有する。望ましくは、試薬は水性の媒体中で再構成され、アッセイの実施に対して適切な濃度の試薬を提供し得る場合、試薬は乾燥させた凍結乾燥粉末として提供される。
【0160】
薬物スクリーニングおよび診断アッセイの任意の上記の構成物は、改変を伴わずに使用され得るか、または種々の方法で改変され得る。例えば、標識は、共有結合的または非共有結合的に、直接的にかまたは間接的に検出可能なシグナルを提供する部分を連結することによって達成され得る。任意のこれらのアッセイにおいて、抗原、試験化合物、IL−170タンパク質またはそれらに対する抗体は、直接的にかまたは間接的かのいずれかで標識され得る。直接標識の可能性としては、以下の標識群が挙げられる:125Iのような放射性標識、ペルオキシダーゼおよびアルカリホスファターゼのような酵素(米国特許第3,645,090号)、ならびに蛍光強度、波長シフトまたは蛍光偏光における変化をモニタリングし得る蛍光標識(米国特許第3,940,475号)。間接的標識の可能性としては、1つの構成成分のビオチン化、続いて上記の標識群の1つに結合したアビジンへの結合が挙げられる。
【0161】
結合した抗原を遊離抗原から分離するか、あるいはその代わりに結合した試験化合物を遊離試験化合物から分離する、多数の方法がまた、存在する。IL−170タンパク質は、種々のマトリックス上に固定化され、続いて洗浄され得る。適切なマトリックスとしては、ELISAプレートのようなプラスチック、フィルターおよびビーズが挙げられる。IL−170タンパク質をマトリックスに固定化する方法としては、プラスチックへの直接な接着、捕獲抗体の使用、化学結合、およびビオチン−アビジンが挙げられるが、これらに限定されない。このアプローチにおける最後の工程には、例えば、ポリエチレングリコールのような有機溶媒または硫酸アンモニウムのような塩を利用する方法を含む任意のいくつかの方法によるタンパク質−タンパク質複合体の沈降を含む。他の適切な分離技術としては、Rattleら、(1984)Clin.Chem.30:1457−1461に記載されるフルオレセイン抗体磁化粒子法(fluorescein antibody magnetizable particle method)、および米国特許第4,659,678に記載のような二重抗体磁粒子の分離(double antibody magnetic particle separation)が挙げられる。
【0162】
タンパク質またはそのフラグメントを種々の標識に連結するための方法は、文献に広範に報告されており、そして本明細書における詳細な議論を必要としない。多くの技術は、カルボジイミドまたは活性化エステルの使用いずれかを介してペプチド結合を形成するための活性化カルボキシル基の使用、連結のための、メルカプト基とクロロアセチルのような活性化ハロゲンまたはマレイミドのような活性化オレフィンとの反応によるチオエステルの形成などを含む。融合タンパク質はまた、これらの適用における用途を見出す。
【0163】
本発明の別の診断局面は、IL−170タンパク質の配列から取得されたオリゴヌクレオチド配列またはポリヌクレオチド配列の使用を含む。これらの配列は、異常な状態(例えば、癌または発生の問題)を有すると疑われた患者由来のサンプルにおける抗原のメッセージのレベルを検出するためのプローブとして使用され得る。RNAヌクレオチド配列およびDNAヌクレオチド配列の両方、配列の標識、ならびに好ましいサイズの配列の調製は、文献において十分な説明および考察を受けている。通常、オリゴヌクレオチドプローブは少なくとも約14ヌクレオチド、通常少なくとも約18ヌクレオチドを有するべきであり、そしてこのポリヌクレオチドプローブは、数キロベースまでであり得る。種々の標識が利用され得、最も一般には放射性核種、好ましくは32Pが利用され得る。しかし、ポリヌクレオチドへの導入のためのビオチン改変されたヌクレオチドの使用のような、他の技術もまた利用され得る。次いで、ビオチンは、放射性核種、蛍光剤、酵素などのような広範な種々の標識で標識され得る、アビジンまたは抗体に結合するための部位としてはたらく。あるいは、DNA二重鎖、RNA二重鎖、DNA−RNAハイブリッド二重鎖またはDNA−タンパク質二重鎖(duplex)を含む特異的二重鎖を認識し得る抗体が利用され得る。次いで抗体が標識され得、そして二重鎖が表面に結合した場合にアッセイが実行され得、その結果、その表面上での二重鎖の形成に基づいてその二重鎖に結合した抗体の存在が検出され得る。新規アンチセンスRNAに対するプローブの使用は、核酸ハイブリダイゼーションおよびプラス−マイナススクリーニング、組換えプロービング(probing)、ハイブリッド解放翻訳(hybrid released translation)(HRT)、およびハイブリッド阻害翻訳(HART)のような任意の従来技術において実施され得る。これはまた、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のような増幅技術を含む。別のアプローチは、例えば、遺伝子的に遺伝子機能を阻害するための二本鎖RNA(dsRNA)の導入を含むアンチセンス核酸(例えば、Misquittaら、(1999)Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 96:1451−1456に記載のような)、および/または特定のIL−70 mRNAの翻訳を阻害するためのリボザイムを利用する。遺伝子のインビトロ翻訳を阻害するためのアンチセンス方法の使用は、当該分野で周知である。Marcus−Sakura(1988)Anal.Biochem.172:289;Akhtar(編、1995)Delivery Strategies for Antisense Oligonucleotide Therapeutics、CRC Press,Inc.。
【0164】
他のマーカーの定性的な存在または定量的な存在に関してもまた試験する診断キットもまた、意図される。診断または予後は、マーカーとして使用される複数の指標の組み合わせに依存し得る。従って、キットは、マーカーの組み合わせについて試験し得る。例えば、Vialletら(1989)Progress in Growth Factor Res.1:89−97を参照のこと。
【0165】
本発明の広範な範囲は、以下の実施例(これらは、特定の実施形態に本発明を制限することを意図しない)を参照して最も理解される。
【実施例】
【0166】
(I.一般的な方法)
いくつかの標準的な方法は、例えば、Maniatisら(1982)Molecular Cloning,A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor Press;Sambrookら(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版)、1〜3巻、CSH Press,NY;Ausubelら、Biology、Greene Publishing Associates、Brooklyn、NY;またはAusubelら(1987および補遺)、Current Protocols in Molecular Biology、Greene/Wiley、New York;Innisら(編、1990)PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications Academic Press,N.Y.;およびKohlerら(1995)、Quantitation of mRNA by
Polymerase Chain Reaction、Springer−Verlag、Berlinに、記載されるかまたは言及される。タンパク質精製に関する方法としては、硫酸アンモニウム沈澱、カラムクロマトグラフィー、電気泳動、遠心分離、結晶化などのような方法が挙げられる。例えば、Ausubelら(1987および定期的な補遺);Deutscher(1990)「Guide to Protein Purification」Methods in Enzymology、182巻およびこのシリーズの他の巻;ならびにタンパク質精製産物の使用に関する製造者(例えば、Pharmacia、Piscataway、N.J.、またはBio−Rad、Richmond、CA)の文献を参照のこと。組換え技術との組み合わせは、適切なセグメント(例えば、FLAG配列またはプロテアーゼ除去可能な配列を介して融合され得る等価体)への融合を可能にする。例えば、Hochuli(1989)Chemische Industrie 12:69−70;Hochuli(1990)「Purification of Recombinant Proteins with Metal Chelate Absorbent」Setlow(編)Genetic Engineering,Principle and Methods 12:87−98、Plenum Press、N.Y.;およびCroweら(1992)QIAexpress:The High Level Expression & Protein Purification System、QUIAGEN,Inc.、Chatsworth、CAを参照のこと。
【0167】
IL−171サイトカインおよびIL−175サイトカインに関する同様の特許出願(これと同じ日に出願された代理人書籍番号DX0918P)をまた、参考として本明細書中に援用する。
【0168】
標準的な免疫学的技術を、例えば以下に記載する:Hertzenbergら(編、1996)Weir’s Handbook of Experimental Immunology 第1巻〜第4巻、Blackwell Science;Coligan(1991)Current Protocols in Immunology Wiley/Greene、NY;およびMethods in Enzymology 第70巻、第73巻、第74巻、第84巻、第92巻、第93巻、第108巻、第116巻、第121巻、第132巻、第150巻、第162巻および第163巻。サイトカインアッセイを、例えば、以下に記載する:Thomson(編、1998)The Cytokine
Handbook(第3版)Academic Press、San Diego;Mire−SluisおよびThorpe(1998)Cytokines Academic Press、San Diego;MetcalfおよびNicola(1995)The Hematopoietic Colony Stimulating Factors Cambridge University Press;およびAggarwalおよびGutterman(1991)Human Cytokines Blackwell Pub。
【0169】
血管生物学的活性についてのアッセイは、当該分野で周知である。それらは、腫瘍または他の組織における脈管形成活性および脈管静止(angiostatic)活性(例えば、動脈平滑筋の増殖(例えば、Koyomaら(1996)Cell 87:1069−1078を参照のこと)、血管上皮に対する単球の接着(McEvoyら、(1997)J.Exp.Med.185:2069−2077を参照のこと)など)を含む。Ross(1993)Nature 362:801−809;RekhterおよびGordon(1995)Am.J.Pathol.147:668−677;Thybergら(1990)Atherosclerosis 10:966−990;およびGumbiner(1996)Cell 84:345−357もまた参照のこと。
【0170】
神経細胞の生物学的活性についてのアッセイを、例えば、以下に記載する:Wouterlood(編、1995)Neuroscience Protocols modules 10,Elsevier;Methods in Neurosciences Academic Press;およびNeuromethods Humana Press、Totowa、NJ。発生系の方法論を、例えば以下に記載する:Meisami(編)Handbook of
Human Growth and Developmental Biology CRC Press;およびChrispeels(編)Molecular Techniques and Approaches in Developmental Biology Interscience。
【0171】
コンピューター配列分析を、例えば、利用可能なソフトウェアプログラム(GCG(U.Wisconsin)およびGenbankソース由来のプログラムを含む)を使用して、実施する。例えば、GenBankおよび他からの公的な配列データベースもまた、使用する。
【0172】
IL−170に適用可能な多くの技術を、これらの新しい実体(entity)に適用し得る(例えば、USSNに記載されるように)(この各々を、全ての目的のために参考として、本明細書中に援用する)。
【0173】
FACS分析を、以下に記載する:Melamedら(1990)Flow Cytometry and Sorting Wiley−Liss,Inc.、New York、NY;Shapiro(1988)Practical
Flow Cytometry Liss、New York、NY;およびRobinsonら(1993)Handbook of Flow Cytometry Methods Wiley−Liss、New York,NY。
【0174】
(II.IL−170タンパク質をコードするDNAクローンの単離)
マウスCTLA−8の単離は、Rouvierら(1993)J.Immunol.150:5445−5456に記載される。類似の方法が、IL−171、IL−172およびIL−175と共にIL−173、IL−174、IL−176、およびIL−177の種対応物を単離するために利用可能である。
【0175】
(IL−170メッセージの供給源)
種々の細胞株を、高レベルのメッセージの発現に適切なプローブを使用してスクリーニングする。適切な細胞株を、適切なIL−170メッセージの発現レベルに基づいて選択する。
【0176】
(IL−170をコードするクローンの単離)
標準PCR技術を使用して、ゲノムライブラリーもしくはcDNAライブラリー、またはmRNA由来のIL−170遺伝子配列を増幅する。ヒトゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリーを入手して、そして適切なcDNAまたは合成プローブを用いてスクリーニングする。PCRプライマーを、調製し得る。適切なプライマーを、例えば提供される配列から選択し、そして全長のクローンを単離する。種々の長さのプライマーの種々の組合せおよび配列の相違により可能なプライマーの種々の組合せが、調製され得る。全長のクローンを、ハイブリダイゼーションプローブとして使用し、ストリジェントなハイブリダイゼーション条件または低いストリジェントな条件を使用して、他の相同性遺伝子についてスクリーニングし得る。
【0177】
別の方法において、オリゴヌクレオチドを使用して、ライブラリーをスクリーニングする。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術と組み合わせて、適切な配向の合成オリゴヌクレオチドをプライマーとして使用して、ライブラリーから正確なクローンを選択する。
【0178】
(III.IL−170タンパク質の生化学的特性)
IL−170タンパク質(例えば、カルボキシ末端にFLAGペプチドを提示するネイティブ形態または組換え形態)を、異種細胞において発現させる。例えば、Croweら、(1992)QIAexpress:The High Level Expression and Protein Purification System QIAGEN,Inc.Chatsworth,CA;およびHoppら、(1988)Bio/Technology 6:1204−1210を参照のこと。これらの2つの形態を、発現ベクター(例えば、pME18SまたはpEE12)に導入し、そして引き続き適切な細胞(例えば、それぞれ、COS−7細胞またはNSO細胞)にトランスフェクトする。エレクトロポレーションした細胞を、例えば、48時間、10%ウシ胎仔血清を補充したRPMI培地中で培養する。次いで、細胞を、細胞性タンパク質を標識するために、35S−Metおよび35S−Cysと共にインキュベートする。SDS−PAGE上での還元条件下でのタンパク質の比較は、全長クローンでトランスフェクトされた細胞が、適切なサイズ(例えば、約15,000ダルトン)のポリペプチドを分泌することを示すはずである。エンドグリコシダーゼによる処理は、Nグリコシル化形態が存在するか否かを示す。
【0179】
(IV.大規模の産生、IL−170の精製)
生物学的アッセイについて、例えば、1%Nutridoma HU(Boehringer Mannheim、Mannheim、Germany)を補充したRPMI培地中で増殖される、トランスフェクトされたCOS−7細胞を用いて、哺乳動物のIL−170を、多量に産生してそして引き続き精製する。精製は、抗体を使用するアフィニティークロマトグラフィー、またはタンパク質精製技術(例えば、分離特性を決定するために、抗体を使用する)を使用し得る。
【0180】
多量のネイティブなタンパク質を産生するために、NSO細胞の安定した形質転換体を、Celltech(Slough、Berkshire、UK;国際特許出願 WO86/05807、WO87/04462、WO89/01036、およびWO89/10404)により開発された方法論に従って、調製し得る。
【0181】
代表的には、ヒトIL−173またはIL−173−FLAGを含む1リットルの上清が、例えば、Chelating Sepharose Fast Flow matrix(Pharmacia,Upsalla、Sweden)に接合される、Zn++イオンの60mlカラム上に通される。10容量の結合緩衝液(His−Bind Buffer kit、Novagen、Madison、WI)による洗浄後、金属イオンにより保持されるタンパク質を、20〜100mMのイミダゾールの勾配により、溶出させる。溶出された画分におけるヒトIL−173−FLAGの含量を、抗FLAGモノクローナル抗体M2(Eastman Kodak、New Haven、CT)を用いたドットブロットにより決定し、一方、ヒトIL−173の含量を、例えば、非還元SDS−PAGEの銀染色により、評価する。次いで、IL−170含有画分を、プールし、そしてPBSに対して透析し、そして生物学的アッセイで使用するか、または例えばDEAEカラム上の陰イオン交換HPLCによりさらに精製するかのいずれかである。ゲル濾過クロマトグラフィーの第3工程を、SUPERDEX G−75 HRD30カラム(Pharmacia Uppsala、Sweden)において実施し得る。精製を、例えば銀染色SDS−PAGEにより評価し得る。
【0182】
(V.IL−173に対する抗体の調製)
近交系Balb/cマウスを、例えば、0日にフロイント完全アジュバント中に、および15日および22日にフロイント完全アジュバント中に、乳化された、1mlの精製ヒトIL−173−FLAGを用いて腹腔内で免疫する。このマウスを、静脈内に投与される、0.5mlの精製ヒトIL−173によりブーストする。
【0183】
ポリクローナル抗血清を回収する。血清を、抗体に対して精製し得る。抗体を、さらに、例えば、Fab、Fab2、Fv、または類似のフラグメントに処理し得る。
【0184】
ハイブリドーマを、例えば、非分泌性黒色腫細胞株SP2/0−Ag8および融合剤としてポリエチレングリコール1000(Sigma、St.Louis,MO)を使用して作製する。ハイブリドーマ細胞を、96ウェルFalcon組織培養プレート(Becton Dickinson、NJ)に置き、そして80μg/mlゲンタマイシン、2mMグルタミン、10%ウマ血清(Gibco、Gaithersburg、MD)、1%ADCM(CRTS、Lyon、France)、10-5Mアザセリン(Sigma、St.Louis、MO)および5×10-5Mのヒポキサンチンを補充したDMEM F12(Gibco、Gaithersburg、MD)により給餌する。ハイブリドーマの上清を、アセトンに固定化したヒトIL−173トランスフェクトCOS細胞を使用する免疫細胞化学(ICC)により、およびコーティング抗原としてCOS−7の上清から精製されるヒトIL−173−FLAGを使用するELISAにより、ヒトIL−173に対する抗体産生について、スクリーニングする。陽性細胞クローンのアリコートを、6日間増殖させ(expanded)、そして低温保存し、ならびに15日前にプリスタンの腹腔内への注入を受けたプリスタン(2,6,10,14−テトラメチルペンタデカン(teramethylpentadecane)、Sigma、St.Louis,MO)処置Balb/cマウス由来の腹水中で、増殖する(propagated)。代表的には、1mlのPBS中の約105個のハイブリドーマ細胞を、腹腔内に提供し、そして10日後、腹水を各々のマウスから回収する。
【0185】
腹水の遠心分離後、抗体画分を硫酸アンモニウム沈澱、および20mMのTris(pH8.0)で平衡化したZephyr−Dシリシウム(silicium)カラム(IBF Sepracor)上のアニオン交換クロマトグラフィーにより単離する。タンパク質をNaCl勾配(0〜1MのNaClの範囲)で溶出する。2mlの画分を収集し、そして抗IL−173抗体の存在についてELISAにより試験する。特定の抗IL−173活性を含む画分をプールし、透析し、そして凍結する。精製したモノクローナル抗体のアリコートをペルオキシダーゼ標識化し得る。
【0186】
抗体(ポリクローナルまたはモノクローナル)の調製を、交叉吸収し、枯渇し、または組み合わせて、所望の組み合わせの選択性および特異性を示す試薬を作製し得る。規定の特異的抗原を、固体マトリックスに固定し得、そして選択的に取り除くか、または所望の結合能力について選択するために使用する。
【0187】
(VI.ヒトIL−173の定量)
IL−173に対して特異的な抗体の中で、適切なクローン単離物を選択し、サンドイッチアッセイを使用してヒトIL-173のレベルを定量する。精製した抗体を、例えば、コーティング(coating)緩衝液(炭酸緩衝液、pH9.6、15mM Na2CO3、35mM NaHCO3)中2μg/mlに希釈する。この希釈した溶液を、一晩、室温にて96ウェルELISAプレート(認可されたImmunoplate Maxisorp F96、NUNC、Denmark)のウェル上にコートする。次いで、このプレートを、例えば、リン酸緩衝化した生理食塩水および0.05%のTween20(Technicon Diagnositics、USA)からなる洗浄緩衝液を用いて手動で洗浄する。各々のウェルに、TBS−B−T緩衝液[20mM Tris、150mM NaCl、1% BSA(Sigma、St.Louis、MO)および0.05% Tween20]中で希釈した110μlの精製されたヒトCTLA−8を添加する。37℃での3時間のインキュベーション後、このプレートを一回洗浄する。各々のウェルに、TBS−B−T緩衝液中で5μg/mlに希釈した100μlのペルオキシダーゼ標識化Abを添加し、そして37℃にて2時間インキュベートする。次いで、このウェルを洗浄緩衝液中で3回洗浄する。各々のウェルに、クエン酸/リン酸緩衝液中で1mg/mlに希釈した100μlのペルオキシダーゼの基質(2,2’−アジノ−ビス(3 エチルベンズチアゾイン(thiazoine)−6−スルホン酸)(ABTS))を添加し、そして405nmで比色反応を読み取る。
【0188】
(VII.IL−107遺伝子の分布)
ヒトIL-173を、てんかん性脳前頭皮質由来のcDNAライブラリー由来の配列から同定した。ラットIL−173を、蝸牛、脳、小脳、眼、肺および腎臓に由来するcDNAライブラリーから得た。その上、この遺伝子は、非常に希であるようであり、これは、発現分布が高度に制限され得ることを示唆する。
【0189】
マウスIL−174を、マウス胚由来のcDNAライブラリーから得られた配列から同定した。この遺伝子は、非常に希であるようであり、これは、発現分布が高度に制限されることを示唆する。
【0190】
ヒトIL−171を、アポトーシスT細胞由来の配列から同定した。この遺伝子は、非常に稀であるようであり、このことは、発現分布が高度に制限されることを示唆する。
【0191】
ヒトIL−172を、ヒト胎児の心臓、肝臓および脾臓、胸腺、胸腺癌ならびに胎仔全体に由来する配列から同定した。マウスIL−172を、マウス、胚、乳腺およびプールされた器官に由来する配列から得た。両方の遺伝子は、非常に稀であるようであり、このことは、これらの発現分布が高度に制限され得ることを示唆する。
【0192】
ヒトIL−175を、12時間チオウリジンにより活性化されたT細胞由来の配列から同定した。この遺伝子は、非常に稀であるようであり、このことは、発現分布が高度に制限されることを示唆する。
【0193】
(VIII.IL−170遺伝子の染色体地図作製)
適切なIL−170遺伝子をコードする、単離されたcDNAを使用する。染色体地図作製は、標準の技術である。例えば、BIOS Laboratories(New Haven、CT)、およびPCRを用いるマウス体細胞ハイブリッドパネルを使用するための方法を参照のこと。
【0194】
ヒトIL−173遺伝子は、ヒト染色体13q11に位置する。
【0195】
(IX.IL−170ホモログの単離)
結合組成物(例えば、抗体)を、IL−170タンパク質を発現する細胞株から作製された発現ライブラリーのスクリーニングのために用いる。標準の染色技術を、細胞内または細胞表面に発現された抗原を検出または分類するために使用するか、または表面発現形質転換細胞をパンニング(panning)によりスクリーニングする。細胞内発現のスクリーニングを種々の染色または免疫蛍光手順により実施する。McMahanら、(1991)EMBO J.10:2821−2832をもまた、参照のこと。
【0196】
類似の方法が、種または対立遺伝子の改変体のいずれかを単離するために適用可能である。種の改変体を、プローブとして、または適切な種として1つの種に由来する全長単離物またはフラグメントに基づく交叉種ハイブリダイゼーション技術を使用して単離する。
【0197】
(X.IL−170に対するレセプターの単離)
潜在的なIL−170レセプターを発現する細胞株から作製される発現ライブラリーのスクリーニングのために、方法が利用可能である。上記のように、標識化IL−170リガンドを生成する。標準の染色技術を、表面に発現されたレセプターの検出または分類するために使用するか、または表面発現形質転換細胞をパニングすることによりスクリーニングする。McMahanら、(1991)EMBO J.10:2821−2832もまた、参照のこと。
【0198】
例えば、0日目に、チャンバーあたり1mlのフィブロネクチン(PBS中、10ng/ml)を有する2−チャンバーパーマノックス(permanox)スライドを、30分間、室温にてプレコートする。PBSで一回リンスする。次いで、1.5mlの増殖培地中で、チャンバーあたり2×105〜3×105細胞になるようにCOS細胞をプレーティングする。一晩37℃にてインキュベートする。
【0199】
一日目に、各々のサンプルについて、無血清DME中の66μg/ml DEME−デキストラン、66μM クロロキン、および4μg DNAの0.5mlの溶液を調製する。各々のセットについて、例えば、1および1/200希釈でhuIL−170FLAG cDNAのポジティブコントロール、およびネガティブモックを調整する。細胞を無血清DMEでリンスする。DNA溶液を添加し、そして5時間、37℃にてインキュベートする。培地を除去し、そして2.5分間、0.5mlのDME中の10%DMSOを添加する。これを除去し、そしてDMEで一回洗浄する。1.5mlの増殖培地を添加し、そして一晩インキュベートする。
【0200】
2日目に、培地を交換する。3日目または4日目に、細胞を固定しそして染色する。細胞をHank’s緩衝化生理食塩水溶液(HBSS)で2回リンスし、そして4%パラホルムアルデヒド(PFA)/グルコースで5分間、固定する。HBSSで3回洗浄する。全ての液体を除去した後、このスライドを−80℃で保存し得る。各々のチャンバー(0.5ml)について、以下のようにインキュベーションを実施する。32μl/mlの1M NaN3を有するHBSS/サポニン(0.1%)を20分間添加する。次いで、細胞をHBSS/サポニンで1回洗浄する。可溶性抗体を細胞に添加し、そして30分間インキュベートする。細胞をHBSS/サポニンで2回洗浄する。第二の抗体を(例えば、Vector抗マウス抗体を1/200希釈で)添加し、そして30分間インキュベーションする。ELISA溶液(例えば、Vector Elite ABCセイヨウワサビペルオキシダーゼ溶液)を調製し、そして30分間プレインキュベートする。例えば、2.5mlのHBSS/サポニンあたり、1滴の溶液A(アビジン)および1滴の溶液B(ビオチン)を使用する。細胞をHBSS/サポニンで2回洗浄する。ABC HPR溶液を添加し、そして30分間インキュベートする。細胞をHBSSで2回洗浄し、2分間二次洗浄し、これは細胞を寄せ集める。次いで、Vectorジアミノ安息香酸(DAB)を5〜10分間添加する。5mlのガラス蒸留水あたり2滴の緩衝液および4滴のDABおよび2滴のH22を使用する。チャンバーを注意深く取り除き、そして水中でスライドをリンスする。数分間風乾し、次いで1滴のCrystal Mountを添加し、そしてカバーガラスを置いた。5分間85〜90℃でベーキングする。
【0201】
あるいは、レセプターを発現する細胞をアフィニティー精製するためか、または選別するために標識化リガンドを使用する。例えば、Sambrookら、またはAusubelらを参照のこと。
【0202】
本明細書中に引用される全ての参考文献は、各々の個々の刊行物または特許出願が参考として援用されるように具体的におよび別々に記載される場合と、同じ範囲で参考として本明細書中で援用される。
【0203】
本発明の多くの改変およびバリエーションは、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、当業者に明らかであるように作成され得る。本明細書中に記載される特定の実施形態は、例示の目的でのみ提供され、そして本発明は、特許請求の範囲が権利化されるような等価物の全範囲に加えて、添付の特許請求の範囲の用語のみから限定されるべきである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離されたポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチド。

【公開番号】特開2010−213702(P2010−213702A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76413(P2010−76413)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【分割の表示】特願2000−593745(P2000−593745)の分割
【原出願日】平成12年1月10日(2000.1.10)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】