説明

インターロックアクチュエータ

【課題】インターロックシャフトのフランジに対してカム機構の係合突起を係合させ、カム機構を用いて容易にインターロックシャフトのロック解除を行うことを目的とする。
【解決手段】インターロックアクチュエータのカム機構13の係合突起27がインターロックシャフトのフランジと係合している状態で、ソレノイドを作動させて係合棒15をC方向に回転させ、第1カム10をD方向に回転させると、第1カム10の突起が第2カム11の凹部に係合して、第2カム11をD方向に回転させ、第2カム11のテーパ突起が第3カム12のテーパ凹部から抜け出て、第3カム12をフリーとするので、第3カム12の係合突起27によるロックが解除されてインターロックシャフトのロックが解除される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターロックアクチュエータに関し、特に、インターロックシャフトのフランジと係合する係合突起を有するカム機構を用い、このカム機構をソレノイドで作動させることにより係合突起とフランジとの係合を解除し、リニア動作のインターロックシャフトをカム機構のロータリー動作で簡単にロック/ロック解除するための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたインターロックアクチュエータとしては、例えば、回転及び直動するリニアアクチュエータとして特許文献1に示される構成があるが、インターロックシャフトをロッキングするインターロックアクチュエータとしては、図6で示される構成が社内製作されていた。
【0003】
図6において、符号1で示されるものは全体形状が箱形をなすケーシングであり、このケーシング1には、その一対の側壁1a,1b間に長手棒状をなしフランジ3を有するインターロックシャフト2がその長手方向に沿って移動可能に構成されている。
【0004】
前記ケーシング1内には、リニア型のソレノイド4が設けられ、このソレノイド4の作動棒5が出入自在に設けられ、この作動棒5の先端が前記フランジ3と係合することにより、前記インターロックシャフト2の一時的な拘束を行うことができるように構成されている。
【0005】
【特許文献1】特開2000−340407号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のインターロックアクチュエータは、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、インターロックシャフトに極めて大きい荷重が付加された時に、この荷重によってフランジと作動棒とが強固に係合し、ソレノイドの引き力では作動棒を引込めることが難しく、インターロックシャフトの拘束解除が不可能となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるインターロックアクチュエータは、ケーシングに直動自在に設けられフランジを有するインターロックシャフトと、前記インターロックシャフトの近傍に配設され第1、第2、第3カムからなるカム機構と、前記カム機構の近傍に配設されたソレノイドと、前記第1カムに突出して設けられ前記ソレノイドと係合する係合棒と、前記第3カムに突出して設けられ前記フランジと係合可能な係合突起とを備え、前記係合突起が前記フランジと係合して前記インターロックシャフトが外部から荷重を受け前記第2、第3カムが拘束されている状態で、前記ソレノイドにより前記係合棒を介して前記第1カムを回転させると、前記第2カムの拘束が解除されると共に前記第3カムが自由回転可能となり、前記フランジと前記係合突起との係合が解除されるようにした構成であり、また、前記第1カムの一面に形成された第1カム突起と、前記第2カムの一面に形成され前記第1カム突起と係合する第2カム凹部と、前記第2カムの他面にテーパ形状に形成された第2カムテーパ突起と、前記第3カムの一面にテーパ形状に形成され前記第2カムテーパ突起と係合する第3カムテーパ凹部とを備えた構成であり、また、前記各カムは、第1、第2、第3中心孔を有する輪状形状よりなり、前記各中心孔を直列状に貫通するねじ軸が設けられ、前記各カムは前記ねじ軸により前記ケーシングに取付けられている構成である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によるインターロックアクチュエータは、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、インターロックシャフトのフランジと係合する係合突起を、3個のカムからなるカム機構に設け、ソレノイドによって係合突起を有する1個のカムをフリー状態とするため、拘束されている係合突起を直接ソレノイドで作動させるのではなく、他のカムをソレノイドで回転させることにより係合突起を有するカムをフリーとするため、確実に拘束解除を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、インターロックシャフトのフランジと係合する係合突起を有するカム機構を用い、このカム機構をソレノイドで作動させることにより係合突起とフランジとの係合を解除し、リニア動作のインターロックシャフトをカム機構のロータリー動作で簡単にロック/ロック解除するようにしたインターロックアクチュエータを提供することを目的とする。
【実施例】
【0010】
以下、図面と共に本発明によるインターロックアクチュエータの好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分には同一符号を付して説明する。
図1において、符号1で示されるものは、全体形状が箱形をなすケーシングであり、このケーシング1には、その一対の側壁1a,1b間に長手棒状をなしフランジ3を有するインターロックシャフト2がその長手方向に沿って移動可能に構成されている。
【0011】
前記ケーシング1内には、リニア型のソレノイド4が設けられ、このソレノイド4の作動棒5は、前記インターロックシャフト2の長手方向Bと平行な方向に沿って出入りできるように構成されている。
【0012】
前記インターロックシャフト2とソレノイド4との間には、第1、第2、第3カム10〜12からなるカム機構13が配設されており、このカム機構13は、図3から図5で示されるように構成されている。
【0013】
図3において、第1カム10は第1中心孔14により輪状をなし、その外周には径方向に延設された係合棒15が設けられ、その一面16には第1カム突起17が設けられている。
【0014】
前記第1カム10の下段に位置する第2カム11は、第2中心孔18により輪状に形成され、その一面19には第2カム凹部20が形成されると共に、その他面21にはテーパ形状の第2カムテーパ突起22が形成されている。
尚、この第2カム11の外周には、径方向に突出する回り止め体23が設けられ、この回り止め体23は前記ケーシング1に固定されている。
【0015】
前記第2カム11の下段に位置する第3カム12は、第3中心孔24により輪状に形成され、その一面25にはテーパ形状の第3カムテーパ凹部26が設けられ、その側部には径方向に延びると共に前記係合棒15の延設方向とは180度異なる係合突起27が対向配置で構成されている。尚、各中心孔14,18,24を貫通するねじ軸30により各カム10〜12が回転可能に構成されている。
【0016】
前述の構成において、図1のようにカム機構13が配設されている状態で、前記係合棒15が前記作動棒5に係合され、前記インターロックシャフト2に大きい荷重が付加され、フランジ3が係合突起27に強力に係合(ロック)した状態で、カム機構13は図4のロック状態となり、この状態でソレノイド4が作動される。
【0017】
前記ソレノイド4の作動により、第1カム10の係合棒15が図4の矢印Cの方向(反時計方向)に回転されると、第1カム突起17が第2カム凹部20と係合して第2カム11を矢印Dの方向に回転させるため、第2カムテーパ突起22が第3カムテーパ凹部26から抜け出る図5のロック解除状態となる。
【0018】
前述の状態(図5)で、第3カム12は係止されないフリーの状態となるため、前記フランジ3の係合突起27との係合は、フランジ3に付勢されて係合突起27がフリー回転することにより解除される。
【0019】
前述の図5のようにロック解除された後のカム機構13は、インターロックシャフト2を元の位置に戻し、かつ、ソレノイド4の作動棒5を元に戻すことにより、前記カム機構13は図4のロック状態へ戻り、インターロックシャフト2の係合突起27による係合を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明によるインターロックアクチュエータを示す構成図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1の要部を示す分解斜視図である。
【図4】図3のロック状態を示す斜視図である。
【図5】図4のロック解除状態を示す斜視図である。
【図6】従来構成の構成図である。
【符号の説明】
【0021】
1 ケーシング
2 インターロックシャフト
3 フランジ
4 ソレノイド
5 作動棒
10〜12 第1、第2、第3カム
13 カム機構
14,18,24 第1、第2、第3中心孔
15 係合棒
16,19,25 一面
17 第1カム突起
20 第2カム凹部
21 他面
22 第2カムテーパ突起
26 第3カムテーパ凹部
27 係合突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング(1)に直動自在に設けられフランジ(3)を有するインターロックシャフト(2)と、前記インターロックシャフト(2)の近傍に配設され第1、第2、第3カム(10,11,12)からなるカム機構(13)と、前記カム機構(13)の近傍に配設されたソレノイド(4)と、前記第1カム(10)に突出して設けられ前記ソレノイド(4)と係合する係合棒(15)と、前記第3カム(12)に突出して設けられ前記フランジ(3)と係合可能な係合突起(27)とを備え、
前記係合突起(27)が前記フランジ(3)と係合して前記インターロックシャフト(2)が外部から荷重を受け前記第2、第3カム(11,12)が拘束されている状態で、前記ソレノイド(4)により前記係合棒(15)を介して前記第1カム(10)を回転させると、前記第2カム(11)の拘束が解除されると共に前記第3カム(12)が自由回転可能となり、前記フランジ(3)と前記係合突起(27)との係合が解除されるように構成したことを特徴とするインターロックアクチュエータ。
【請求項2】
前記第1カム(10)の一面(16)に形成された第1カム突起(17)と、前記第2カム(11)の一面(19)に形成され前記第1カム突起(10)と係合する第2カム凹部(20)と、前記第2カム(11)の他面(21)にテーパ形状に形成された第2カムテーパ突起(22)と、前記第3カム(12)の一面(25)にテーパ形状に形成され前記第2カムテーパ突起(22)と係合する第3カムテーパ凹部(26)とを備えたことを特徴とする請求項1記載のインターロックアクチュエータ。
【請求項3】
前記各カム(10〜12)は、第1、第2、第3中心孔(14,18,24)を有する輪状形状よりなり、前記各中心孔(14,18,24)を直列状に貫通するねじ軸(30)が設けられ、前記各カム(10〜12)は前記ねじ軸(30)により前記ケーシング(1)に取付けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のインターロックアクチュエータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−218358(P2007−218358A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−39686(P2006−39686)
【出願日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(000203634)多摩川精機株式会社 (669)
【Fターム(参考)】