インダクタ
【課題】磁気誘導によって通信を行う際により高速なデータ伝送を可能とする。
【解決手段】無線通信用のインダクタであって、並列接続されると共に、それぞれの中心部において発生する磁界がそれぞれ同一方向となるように平面上に配置される、それぞれが略閉曲線の形状を有する線状導体A、B、C、Dと、線状導体A、B、C、Dに電気的に接触しないように重ねて配置され、略閉曲線の形状を有し、中心部で発生する磁界が線状導体A、B、C、Dのそれぞれの中心部において発生する磁界と同一方向となるように線状導体A、B、C、Dに対してさらに並列接続される他の線状導体Eと、を備える。
【解決手段】無線通信用のインダクタであって、並列接続されると共に、それぞれの中心部において発生する磁界がそれぞれ同一方向となるように平面上に配置される、それぞれが略閉曲線の形状を有する線状導体A、B、C、Dと、線状導体A、B、C、Dに電気的に接触しないように重ねて配置され、略閉曲線の形状を有し、中心部で発生する磁界が線状導体A、B、C、Dのそれぞれの中心部において発生する磁界と同一方向となるように線状導体A、B、C、Dに対してさらに並列接続される他の線状導体Eと、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インダクタに係り、特に、複数の線状導体からなるインダクタに係る。
【背景技術】
【0002】
近年、部品間あるいは装置間の信号伝送に関し、数cm以下の極近距離で通信する無線方式が検討されている。これらの方式は、低電力で高速な通信を実現するために、誘導結合を用いた通信を行なっている場合が多い。誘導結合にはトランスとして機能する対となるインダクタが必要であり、このトランスにおける伝送効率を高めることが求められる。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1には、インダクタ結合を用いて信号伝送を行う半導体装置が開示されている。ここには、1つの送信コイルと複数の受信コイルとからなる送受信コイル対を1つ以上配置した態様、複数の送信コイルと1つの受信コイルとからなる送受信コイル対を1つ以上配置した態様、複数の送信コイルと複数の受信コイルとからなる送受信コイル対を1つ以上配置した態様によって、チップ実装後に信号受信器が持つ演算装置の演算方法を制御し、または、信号送信器が持つ演算装置の演算方法を制御し、またはそれらの両方を行うことで、チップ実装の際による位置ずれや、半導体デバイス製造時のばらつきによるオフセットや、外乱の影響を取り除き、高品位の信号伝送が可能になることが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、磁気誘導により他の機器と非接触通信可能な複数のコイルを有し、複数のコイルは、相互に電気的に並列に接続される、ループアンテナが開示されている。具体的な例として、図13に示すように、ループアンテナ200は、4つのコイル10a〜10dを有する。各コイル10a〜10dは、電気的に並列に接続され、各コイルのコイル面が相互に重畳しないように同一平面上に並べられる。この際、コイル10a〜10dの巻き方向は、全て同一の方向になるように設定される。つまり、端子A,Bから送信信号を入力した場合、コイル10a〜10dで発生する磁界の向きは、全て同じ(例えば紙面前方又は後方にむかう向き)になるように、コイル10a〜10dは形成される。
【0005】
このような構成によれば、電気的に並列に接続されたコイル10a〜10dが、1つのアンテナとして動作する。この際、コイル10a〜10dのインダクタンスの合計値は、コイルが1つの場合と比べて減少させることができる。従って、通信相手のアンテナとの相互インダクタンスを減少させることができる。また、例えば、各コイルの開口面積(コイル面の面積)や各コイルの巻き数は任意であるため、コミュニケーションの成立に必要な振幅やエネルギーを伝達できるように、開口面積や巻き数を設定できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2008/102814号パンフレット
【特許文献2】特開2010−50844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以下の分析は本発明において与えられる。
【0008】
ここで2つの円形のインダクタを対向させて構成したトランスの特性について考察する。図14のように、2つの円形のインダクタ101、102を対向させたトランスの場合、両者の間の相互インダクタンスMは、次式で与えられる。
ここで、μは透磁率、Dはインダクタの半径、Lはインダクタ間の距離である。
【0009】
(1)式より、距離Lが十分大きいときには、相互インダクタンスは、距離Lの3乗で減衰することが示される。ここで、インダクタ間の相互インダクタンスは、インダクタ101で発生する磁束のうち、インダクタ102を貫くものが多いほど大きくなる。このため、インダクタ配線によって囲う面積を極力大きくする方が望ましい。つまり、(1)式で半径Dを大きくするほど相互インダクタンスMは大きくなる。今、2つのインダクタ101、102のインダクタンスがL1で等しいとすると、1次側に入力する電圧と2次側で取り出される電圧との比は、k=M/L1で与えられる。ここで、kは結合係数である。つまり結合係数を大きくすると、よりレベルの大きな信号を伝送することができる。
【0010】
今、インダクタのインダクタンスをL1、寄生容量をC1とすると、インダクタがインダクタとして機能する最大の周波数つまり自己共振周波数foは、(2)式で与えられる。
【0011】
相互インダクタンスMを大きくするには、インダクタの半径Dが大きい方が良いことは、(1)式より示される。しかし、半径Dの大きいインダクタは、インダクタンスL1が大きくなると同時に寄生容量C1も大きくなるので、(2)式により自己共振周波数foが低下することが示される。
【0012】
以上のように、同心円状のスパイラル形状のインダクタは、インダクタ間の距離を離すと結合係数が低下して伝送効率が低下する。そこで、結合係数を大きくするようにインダクタの半径を大きくすると、自己共振周波数が低下してしまう。伝送できるデータの速度は、使用可能な最大周波数が高いほど高速となるので、2つのインダクタではインダクタ間の距離を離しつつ高速なデータ伝送を行うと伝送効率が低下してしまう。
【0013】
そこで、伝送効率の向上のためには、特許文献1、2に記載されるような複数のコイルによるインダクタが有効となる。しかしながら、特許文献1に記載のインダクタは、複数のコイルの信号に対して演算を行う演算装置が必要であり、演算装置を制御しなければならない。したがって、装置として極めて複雑になってしまう。
【0014】
一方、特許文献2に記載のインダクタは、複数のコイルを電気的に並列に接続するので、装置としては簡単な構成である。ところで、図13において、コイル10a〜10dで発生する磁界の向きは、全て同じになるように、形成されるので、aとb’、bとc’、cとd’、dとa’の各部において、それぞれ互いに電流の向きが逆となる。したがって、互いが発生する磁界を打ち消し合って磁界の弱い部分が生じてしまう。このような複数のコイルを対向して配置した場合、結合係数が減少し、この分、信号の伝送効率が低下してしまう虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の1つのアスペクト(側面)に係るインダクタは、無線通信用のインダクタであって、並列接続されると共に、それぞれの中心部において発生する磁界がそれぞれ同一方向となるように平面上に配置される、それぞれが略閉曲線の形状を有する複数の線状導体と、複数の線状導体に電気的に接触しないように重ねて配置され、略閉曲線の形状を有し、中心部で発生する磁界が複数の線状導体のそれぞれの中心部において発生する磁界と同一方向となるように複数の線状導体に対してさらに並列接続される他の線状導体と、を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、磁気誘導によって通信を行う際により高速なデータ伝送が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施例に係るインダクタの構成を示す図である。
【図2】従来のインダクタが発生する電界の強度を表す図である。
【図3】本発明の第1の実施例に係るインダクタが発生する電界の強度を表す図である。
【図4】本発明の第2の実施例に係るインダクタの構成例を示す図である。
【図5】本発明の第3の実施例に係るインダクタの構成例を示す図である。
【図6】本発明の第4の実施例に係るインダクタの構成の例を示す図である。
【図7】本発明の第4の実施例に係るインダクタの構成の他の例を示す図である。
【図8】本発明の第4の実施例に係るインダクタの構成のさらに他の例を示す図である。
【図9】本発明の第5の実施例に係るインダクタの構成例を示す図である。
【図10】本発明の第6の実施例に係る半導体装置の構成例を示す図である。
【図11】本発明の第7の実施例に係る通信装置の構成例を示す図である。
【図12】本発明の第7の実施例に係る電子装置の構成例を示す図である。
【図13】従来のループアンテナの構成を示す図である。
【図14】2つの円形のインダクタを対向させた場合を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について、概説する。なお、以下の概説に付記した図面参照符号は、専ら理解を助けるための例示であり、図示の態様に限定することを意図するものではない。
【0019】
本発明の一実施形態に係るインダクタは、無線通信用のインダクタであって、並列接続されると共に、それぞれの中心部において発生する磁界がそれぞれ同一方向となるように平面上に配置される、それぞれが略閉曲線の形状を有する複数の線状導体(図1のA、B、C、D)と、複数の線状導体に電気的に接触しないように重ねて配置され、略閉曲線の形状を有し、中心部で発生する磁界が複数の線状導体のそれぞれの中心部において発生する磁界と同一方向となるように複数の線状導体に対してさらに並列接続される他の線状導体(図1のE)と、を備える。
【0020】
ここで略閉曲線とは、一端及び他端(図1の●、○が相当)が送受信回路の接続のために狭い間隔で開放された、概ね凸形状をなす曲線であって、中心部(例えば重心)が曲線の外側に位置する凹型のような曲線を除く。
【0021】
以上のようなインダクタによれば、他の線状導体は、複数の線状導体による磁界の弱い部分を埋めるように配置され、インダクタ2つを対向させてトランスとして機能させるときの結合を強めることが出来る。また、複数の線状導体および他の線状導体は、それぞれ1つずつのインダクタンスが小さく、さらに並列接続されるので、よりインダクタンスが下がる。したがって、より高い自己共振周波数を有し、磁気誘導によって通信を行う際により高速なデータ伝送が可能となる。
【0022】
他の線状導体の形状である略閉曲線は、平面上に射影した場合、複数の線状導体の包絡線内に含まれると共に複数の線状導体の形状であるそれぞれの略閉曲線外となる領域の少なくとも一部を含むことが好ましい。
【0023】
他の線状導体の形状である略閉曲線は、平面上に射影した場合、複数の線状導体のそれぞれに所定の電流を流した際にそれぞれの中心部において発生する磁界とは逆方向になる磁界の強さが平面上において所定の値以上となる領域の少なくとも一部を含むことが好ましい。
【0024】
複数の線状導体および他の線状導体は、全体で回転対称な形状を有することが好ましい。
【0025】
複数の線状導体は、全て同一形状の略閉曲線をなすことが好ましい。
【0026】
複数の線状導体は、全体の中心を囲む線状導体が存在する場合、該線状導体を除く残りの全てにおいて同一形状の略閉曲線をなすことが好ましい。
【0027】
複数の線状導体において、それぞれの略閉曲線が略多角形をなすことが好ましい。
【0028】
複数の線状導体において、それぞれの略閉曲線が略円形をなすことが好ましい。
【0029】
他の線状導体において、略閉曲線が略多角形をなすことが好ましい。
【0030】
他の線状導体において、略閉曲線が略円形をなすことが好ましい。
【0031】
複数の線状導体の少なくとも一部が一の配線層に配設され、他の線状導体は、他の配線層に配設されることが好ましい。
【0032】
複数の線状導体のそれぞれの一端と他の線状導体の一端とが接続され、複数の線状導体のそれぞれの他端と他の線状導体の他端とが接続されることが好ましい。
【0033】
それぞれの略閉曲線の一部が開放とされ、開放された線状導体の両端に、通信機能に係る回路を搭載したチップのバンプ(図9の◎)がそれぞれ接続されることが好ましい。
【0034】
それぞれの略閉曲線の一部が開放とされ、開放された線状導体の両端のそれぞれに対し通信機能に係る回路が2本の平行導体(図1のK1、K2に相当)を介して接続されることが好ましい。
【0035】
半導体装置が、上記のインダクタを備えて磁気誘導によって通信を行うようにしてもよい。
【0036】
半導体装置が、上記のインダクタを送受それぞれに対向して備え、磁気誘導によって通信を行うようにしてもよい。
【0037】
電子機器が、上記の半導体装置を備えるようにしてもよい。
【0038】
以下、実施例に即し、図面を参照して詳しく説明する。
【実施例1】
【0039】
図1は、本発明の第1の実施例に係るインダクタの構成を示す図である。図1において、インダクタは、それぞれが同じ大きさの正方形である4つの線状導体A、B、C、Dを備え、4つの線状導体A、B、C、Dは、並列接続されると共に、4つの線状導体A、B、C、Dのそれぞれの中心部において発生する磁界がそれぞれ同一方向となるように平面上に配置される。
【0040】
さらに、線状導体A、B、C、Dに対して45°回転させた、一辺が√2倍となる正方形の線状導体Eを備える。破線で示される線状導体Eは、線状導体A、B、C、Dに電気的に接触しないように重ねて配置され、中心部で発生する磁界が線状導体A、B、C、Dのそれぞれの中心部において発生する磁界と同一方向となるように線状導体A、B、C、Dに対してさらに並列接続される。
【0041】
図1(a)において、線状導体A、B、C、D、Eに関し、○印の端子を共通に接続し、●印の端子を共通に接続する。この時、並列接続された4つの線状導体A、B、C、Dの発生する磁界の向きは同一となる。ここで、線状導体A、B、C、Dにおける隣接する線状導体の組である、aとb’、bとc’、cとd’、dとa’は、それぞれ互いに電流の向きが逆となるので、互いが発生する磁界を打ち消し合う。すなわち、線状導体A、B、C、Dのそれぞれに所定の電流を流した際に、線状導体A、B、C、Dが存在する平面上において、線状導体A、B、C、Dのそれぞれの間隙では、線状導体A、B、C、Dのそれぞれの中心で発生する磁界とは逆方向になる磁界が生じる。この結果、実質的には全体の外周となる線状導体のみが概ねインダクタとして働くことになる。
【0042】
さらに、それぞれインダクタンスが打ち消し合って生じる磁界の弱い部分に対し、この磁界の弱い部分を覆うように線状導体Eを配置する。線状導体Eを配置することで、隙間部分の磁界を正方向に強めるので、対向して配置した場合、より大きな結合係数を有するようになる。また、線状導体Eも他の4つの線状導体A、B、C、Dに並列接続となっているので、インダクタンスが低下し、全体としての自己共振周波数をより高くすることが出来る。
【0043】
ここで、隣接する線状導体の組である、aとb’、bとc’、cとd’、dとa’において、それぞれ互いのインダクタンスが打ち消されるが、直列抵抗分は打ち消されない。したがって、インダクタが持つQ値(インダクタンスと抵抗の比率)は、単一の線状導体のインダクタが持つQ値よりも低くなる。しかし、インダクタをデータ伝送に用いる場合には、Q値の低下による電力の損失は、無視できる程度であり、問題とはならない。
【0044】
図1(b)は、線状導体A、B、C、D、Eの配置配線の例を示す図である。ここでは、線状導体A、B、C、Dは、実線で示される第1配線層(メタル層)で配線される第1層配線であり、線状導体Eは、破線で示される第2配線層(メタル層)で配線される第2層配線である。線状導体A、B、C、Dに関し、●印の端子のそれぞれは、第1層配線によって共通に接続されるように配線される。また、○印の端子のそれぞれは、それぞれ◆印で示されるビアなどの接続部を介して破線で示される、第2配線層(メタル層)で配線される第2層配線によって共通に接続されるように配線される。さらに、線状導体Eに関し、●印の端子は、◆印で示されるビアなどの接続部を介して第1層配線によって共通に接続されるように配線される。また、○印の端子は、第2層配線によって共通に接続されるように配線される。
【0045】
さらに、○印の端子に係る第2層配線は、第2配線層の配線K1に接続される。また、●印の端子に係る第1層配線は、◆印で示されるビアなどの接続部を介して第2配線層の配線K2に接続される。そして、配線K1、K2は、平行する配線として外側に引き出され、図示されない回路に接続される。なお、配線K1、K2は、線状導体Eを過る箇所において、◆印で示されるビアなどの接続部を介し第1層配線を迂回して配線されている。
【0046】
このようなインダクタによれば、線状導体A、B、C、D、Eは、それぞれ1つずつのインダクタンスが小さく、さらに並列接続されるので、よりインダクタンスが下がる。すなわち、高い自己共振周波数を有する。また、線状導体A、B、C、Dにおける磁界の弱い部分を覆うように線状導体Eを配置する。これにより、隙間部分の磁界が強められるので、対向して配置した場合、より大きな結合係数を持つことができる。したがって、磁気誘導によって通信を行う際により高速なデータ伝送が可能となる。
【0047】
図2、図3は、それぞれ従来および本実施例のインダクタが発生する電界の強度を表す図である。これらは、電磁界シミュレータMOMENTUMでシミュレーションした場合のインダクタが発するインダクタに直交する面での磁界の強度を示す。図2(a)は、1個の正方形の線状導体からなるインダクタによるものであり、図2(b)は、4個の正方形の線状導体(図1のA、B、C、D)からなるインダクタによるものであり、図3は、本実施例におけるインダクタによるものである。
【0048】
図2に示すように、(a)従来型1がほぼ等方的な磁界を発生させるのに対して、(b)従来型2では90°おきに強度の弱い部分がある。この強度の弱い部分は、図1で2本の配線が隣接して磁界を打ち消す部分(aとb’、bとc’、cとd’、dとa’)に相当する。これに対し、図3では、45°回転させた線状導体Eを配置したことで、従来型1と同様に、ほぼ等方的な磁界が発生することが示される。
【0049】
表1は、電磁界シミュレータMOMENTUMでシミュレーションしたトランスの特性を表す。ここで、(a)従来型1、(b)従来型2、本実施例のトランスのインダクタは、共に外径を10mm角(図1のA、B、C、Dは、それぞれ約5mm角に相当)とし、2つの同じ形状のインダクタを10mm離して対向させる。この時の自己インダクタンス、結合係数、自己共振周波数を示す。
【0050】
[表1]各トランスの特性
【0051】
表1によれば、従来型1に比べて、従来型2のインダクタ、本実施例のインダクタは、自己共振周波数をより高くすることができる。さらに、本実施例のインダクタは、従来型2に比べると、同程度の自己共振周波数を有し、より大きな結合係数を持つことが示される。
【実施例2】
【0052】
図4は、本発明の第2の実施例に係るインダクタの構成例を示す図である。図4では、16個の正方形である線状導体A1〜A16を並列接続する例である。図4において、○印の端子を全て共通に接続し、●印の端子を全て共通に接続すると、並列接続された16個の線状導体A1〜A16が発生する磁界の向きは同一となる。したがって、16個の線状導体A1〜A16は、1つのインダクタと同じ働きをする。ここで、図4に示すインダクタにおいても、図1のインダクタと同様に、隣接する配線を流れる電流は逆向きとなるので、この部分ではお互いの磁界を打ち消しあう。
【0053】
ここで、実線で示される16個の線状導体A1〜A16に対して、さらに45°回転させた破線で示される5つの正方形である線状導体A21〜A25を配置し、それぞれ並列接続する。このような構成によれば、合計21個の線状導体が並列接続されて一体として働くことで、高い自己共振周波数と大きな結合係数を得ることが出来る。
【実施例3】
【0054】
図5は、本発明の第3の実施例に係るインダクタの構成例を示す図である。図5において、同じ大きさの円形の4つの線状導体B1〜B4を配置する。図5で○印の端子を全て共通に接続し、●印の端子を全て共通に接続すると、並列接続された線状導体B1〜B4の発生する磁界の向きは同一となる。この場合、隣接する線状導体同士が近づく箇所は、図5のe、f、g、h点のみに限られるので、図1の正方形の線状導体同士の場合に比べると互いの磁界を打ち消す程度は小さい。ただし、線状導体B1〜B4で囲まれる中心点Xでは線状導体B1〜B4の磁界が打ち消しあうので磁界の弱い部分となる。
【0055】
そこで、このような磁界の弱い部分に重なるような破線で示される円形の線状導体B5を配置する。線状導体B5を線状導体B1〜B4と並列接続することで、実施例1、2と同様に、磁界の弱い部分を補い、高い自己共振周波数と大きな結合係数を得ることが出来る。
【実施例4】
【0056】
次に、複数のインダクタのそれぞれを形成する閉曲線の形状の例について説明する。図6は、本発明の第4の実施例に係るインダクタの構成の例を示す図である。なお、ここでは、実線が第1配線層に配置され、破線が第2配線層に配置される点、図示されない●印および○印の端子を全て共通に並列接続する点、に関し、上記実施例1〜3と同様であって、ここでは、これらの説明を省き、線状導体の形状と配置についてのみ説明する。
【0057】
図6(a)は、実線で示される3個の菱形の線状導体と、3個の菱形の線状導体の中心に破線で示される正三角形の線状導体とが電気的に接触しないように重ねて配置され、それぞれの中心部において発生する磁界が同一方向となるように並列接続される。
【0058】
図6(b)は、実線で示される3個の正六角形の線状導体と、3個の正六角形の線状導体の中心に破線で示される正六角形の線状導体とが電気的に接触しないように重ねて配置され、それぞれの中心部において発生する磁界が同一方向となるように並列接続される。
【0059】
図6(c)は、実線で示される3個の五角形の線状導体と、3個の五角形の線状導体の中心に破線で示される正三角形の線状導体とが電気的に接触しないように重ねて配置され、それぞれの中心部において発生する磁界が同一方向となるように並列接続される。
【0060】
図6(a)〜(c)は、全体として120度回転対称の形状を有する。
【0061】
図6(d)は、実線で示される2個の長方形の線状導体と、2個の長方形の線状導体の中心に破線で示される長方形の線状導体とが電気的に接触しないように重ねて配置され、それぞれの中心部において発生する磁界が同一方向となるように並列接続される。図6(d)は、全体として180度回転対称の形状を有する。
【0062】
図6(e)は、実線で示される4個の長方形の線状導体と、4個の長方形の中心に配置される実線で示される1個の正方形の線状導体と、1個の正方形の線状導体の中心に対し、破線で示される正方形の線状導体とが電気的に接触しないように重ねて配置され、それぞれの中心部において発生する磁界が同一方向となるように並列接続される。
【0063】
図6(f)は、実線で示される4個の五角形の線状導体と、4個の五角形の中心に配置される実線で示される1個の正方形の線状導体と、1個の正方形の線状導体の中心に対し、破線で示される正方形の線状導体とが電気的に接触しないように重ねて配置され、それぞれの中心部において発生する磁界が同一方向となるように並列接続される。
【0064】
図7は、本発明の第4の実施例に係るインダクタの構成の他の例を示す図である。
【0065】
図7(a)は、実線で示される4個の五角形の線状導体と、4個の五角形の中心に配置される実線で示される1個の正方形の線状導体と、1個の正方形の線状導体の中心に対し、破線で示される正方形の線状導体とが電気的に接触しないように重ねて配置され、それぞれの中心部において発生する磁界が同一方向となるように並列接続される。
【0066】
図6(e)、図6(f)、図7(a)は、全体として90度回転対称の形状を有する。
【0067】
図7(b)は、実線で示される8個の楕円の線状導体と、8個の楕円の中心に配置される実線で示される1個の円形の線状導体と、1個の円形の線状導体の中心に対し、破線で示される円形の線状導体とが電気的に接触しないように重ねて配置され、それぞれの中心部において発生する磁界が同一方向となるように並列接続される。図7(b)は、全体として45度回転対称の形状を有する。
【0068】
図7(c)は、実線で示される6個の円形の線状導体と、6個の円形の中心に配置される実線で示される1個の円形の線状導体と、6個の円形における隣接する2個のそれぞれに対して中間位置に配置される、破線で示される6個の円形の線状導体とが電気的に接触しないように重ねて配置され、それぞれの中心部において発生する磁界が同一方向となるように並列接続される。図7(c)は、全体として60度回転対称の形状を有する。
【0069】
図7(d)は、図6(d)における実線で示される2個の長方形の角を丸めた形状とし、破線で示される長方形を楕円として構成したものである。この例で示すように、本発明において、線状導体が多角形である場合、厳密に多角形であることを意味する訳ではなく、角が丸められ、楕円(円を含む)に近づく形状(これを略多角形、略円形と称する)を有するようにしてもよい。
【0070】
以上、線状導体に関し、いくつかの例を挙げたが、これらの例に限らず、インダクタの全体としての形状は、無線通信用のインダクタとして用いる場合、死角を減らす意味から等方的に磁界を発生するものであることが好ましく、この点から回転対称であることが好ましい。
【0071】
図7(e)は、線状導体が略多角形、略円形である変形例を示す図である。図7(e)では、線状導体は一部に凹部P1を有し、一部に凸部P2を有する。これらの例で示すように、線状導体は、全体として概ね凸形状をなす閉曲線であればよく、図7(f)に示すような中心部P3(例えば重心)が曲線の外側に位置する凹型のような閉曲線を除くものとする。すなわち、略閉曲線である線状導体の中心部に発生しうる磁界の強度にほとんど影響を与えない限りにおいて、実装上、種々の変形が可能である。線状導体が例えこのような変形された形状であっても、本発明では、線状導体が略多角形、略円形であると称する。
【0072】
次に、複数の線状導体の配置位置について説明する。図8は、包絡線P0に内接する、第2の多角形に相当する実線で示される6個の円形の線状導体C1〜C6と、6個の円形の線状導体C1〜C6の中心に配置される、第2の多角形に相当する実線で示される1個の円形の線状導体C7と、第1の多角形に相当する破線で示されるそれぞれ6個の円形の線状導体C11〜C16とを配置する。ここで、基板に近い側の第1配線層に形成される線状導体C11〜C16は、第2配線層に形成される線状導体C1〜C7における磁界の弱い部分を覆うように、すなわち、第1の多角形の中心が第2の多角形の領域外となるように配置される。例えば、7個の円形の線状導体C1〜C7中の隣接する3個の円形の中心に、それぞれ6個の円形の線状導体C11〜C16の中心が一致するように配置する。さらに、線状導体同士が電気的に接触しないように重ねて配置し、それぞれの中心部において発生する磁界が同一方向となるように並列接続する。すなわち、3個の円形の線状導体Cn(n=1〜6)、Cn+1(ただし、n=6の場合にはn=0と見なす)、C7の中心に円形の線状導体C1nの中心が一致するように配置される。
【0073】
図8の各多角形を半導体基板に形成するとき、線状導体C1〜C7はインダクタ配線によって囲う面積が大きい。線状導体C1〜C7を半導体基板上で、通信する相手側のインダクタ配線に最も近い配線層で形成し、線状導体C11〜C16はそれより遠い配線層で形成する。
【0074】
以上のような各例に示すように、第1の配線層に配置される、隣接する複数の略多角形あるいは略円形である線状導体群の中心と、第2の配線層に配置される、略多角形あるいは略円形である線状導体の中心とが一致するように、複数の線状導体を配置することが好ましい。すなわち、第2の配線層に配置される線状導体の形状である略閉曲線は、平面上に射影した場合、第1の配線層に配置される複数の線状導体の包絡線内に含まれると共に複数の線状導体の形状であるそれぞれの略閉曲線外となる領域の少なくとも一部を含むことが好ましい。あるいは、第2の配線層に配置される他の線状導体の形状である略閉曲線は、平面上に射影した場合、第1の配線層に配置される複数の線状導体のそれぞれに所定の電流を流した際にそれぞれの中心部において発生する磁界とは逆方向になる磁界の強さが平面上において所定の値以上となる領域の少なくとも一部を含むことが好ましい。言い換えれば、第1の配線層に配置される線状導体における磁界の弱い部分を覆うように、第2の配線層に配置される線状導体を配置するように構成する。このような線状導体の配置によれば、第2の配線層の線状導体が第1の配線層の線状導体における隙間部分の磁界を強めるので、対向して配置した場合、より大きな結合係数を持つことができる。
【実施例5】
【0075】
次に、複数のインダクタの実装例について説明する。図9は、本発明の第5の実施例に係るインダクタの構成例を示す図である。なお、図9(a)は、図1(b)と同一である。
【0076】
図9(b)において、図1(a)の●印の端子のそれぞれが共通に接続される第1層配線は、◎印で示されるバンプなどの接続部を介して制御チップに接続される。また、図9(b)において、図1(a)の○印の端子のそれぞれが共通に接続される第2層配線は、◎印で示されるバンプなどの接続部を介して制御チップに接続される。
【0077】
以上のような実装方法によれば、インダクタと制御チップとが極めて短い距離で接続されるので、インダクタと制御チップ間の抵抗、インダクタンスおよび浮遊容量の影響を低減することができる。
【実施例6】
【0078】
次に、複数のインダクタが適用される装置の例について説明する。図10は、本発明の第6の実施例に係る半導体装置の構成例を示す図である。図10(a)において、半導体チップ11は、基板13に接続され、基板13側に向いたチップ表面側にインダクタ14を有する。また、半導体チップ12は、基板13を挟んで半導体チップ11と対向して配置され、基板13に接続され、基板13側に向いたチップ表面側にインダクタ15を有する。インダクタ14、15は、実施例1〜5に示したインダクタであって、対向して配置される。
【0079】
このような構成の半導体装置によれば、半導体チップ11と半導体チップ12とがインダクタ14、15を介して信号伝送可能とされ高品位で伝送することができる。
【0080】
図10(b)において、半導体チップ11aは、基板13aに接続され、基板13a側に向いたチップ表面側にインダクタ14aを有し、インダクタ14aに接続される送信回路17を有する。また、半導体チップ12aは、基板13aに接続され、基板13a側に向いたチップ表面側にインダクタ15aを有し、インダクタ15aに接続される受信回路18を有する。基板13aは、インダクタ14aに対向した位置にインダクタ16aを備え、インダクタ15aに対向した位置にインダクタ16bを備える。ここでインダクタ14a、15a、16a、16bは、実施例1〜5に示したインダクタである。
【0081】
このような構成の半導体装置によれば、半導体チップ11aと半導体チップ12aとがインダクタ14a、16a、16b、15aを介して信号伝送可能とされ、送信回路17から受信回路18に向けて信号を高品位で伝送することができる。
【実施例7】
【0082】
図11は、本発明の第7の実施例に係る通信装置の構成例を示す図である。図11において、送受信回路21aは、送受信用インダクタ22aを接続する。送受信回路21bは、送受信用インダクタ22bを接続する。送受信用インダクタ22a、22bは、実施例1〜5に示したインダクタであって、対向して配置され、相互インダクタンスによって信号の伝達を行う。
【0083】
送受信回路21aは、入力データに応じた信号を送受信用インダクタ22aに送出し、送受信用インダクタ22bは、送受信用インダクタ22aから相互インダクタンスで誘導される信号を受信して送受信回路21bに出力する。送受信回路21bは、送受信回路21aにおける入力データに応じた出力データを出力する。
【0084】
また、逆方向にも同様に、送受信回路21bは、入力データに応じた信号を送受信用インダクタ22bに送出し、送受信用インダクタ22aは、送受信用インダクタ22bから相互インダクタンスで誘導される信号を受信して送受信回路21aに出力する。送受信回路21aは、送受信回路21bにおける入力データに応じた出力データを出力する。
【0085】
次に、このような構成の通信装置を電子機器に適用した例について説明する。図12は、本発明の第7の実施例に係る電子装置の構成例を示す図である。図12において、パーソナルコンピュータなどの端末である親機31は、送受信回路21a、送受信用インダクタ22aを備え、デジタルカメラなどの携帯機器である子機32は、送受信回路21b、送受信用インダクタ22bを備える。
【0086】
送受信用インダクタ22a、22bは、図11で示すように相互インダクタンスで誘導される信号を伝達可能とするように対向して配置される。なお、送受信用インダクタ22a、22bが正しく対向して配置されるように、親機31と子機32とは、クレードルなどによって設置位置が固定されるように構成されることが好ましい。
【0087】
このような構成の電子機器によれば、親機31と子機32とは、送受信用インダクタ22a、22bを介して相互に信号伝送可能とされデータを高品位で伝送することができる。
【0088】
なお、以上のような構成のインダクタに関し、略閉曲線の形状を有する線状導体が単一巻き線である場合について例示して説明したが、これに限定されるものではなく多重巻き線であってもよいことはいうまでもない。また、無線通信用のインダクタとして用いる場合、送信側と受信側とで同一形状であることに限定されない。例えば、受信側が単一の略閉曲線の形状を有する線状導体であってもよい。また、例えば、受信側における線状導体が多重巻き線で構成されてもよい。この場合、送信側と受信側とで信号の振幅比を異ならせることが可能である。
【0089】
なお、前述の特許文献等の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0090】
11、11a、12、12a 半導体チップ
13、13a 基板
14、14a、15、15a、16a、16b インダクタ
17 送信回路
18 受信回路
21a、21b 送受信回路
22a、22b 送受信用インダクタ
31 親機
32 子機
A、B、C、D、E、A1〜A16、A21〜A25、B1〜B5、C1〜C7、C11〜C16 線状導体
K1、K2 配線
P0 包絡線
【技術分野】
【0001】
本発明は、インダクタに係り、特に、複数の線状導体からなるインダクタに係る。
【背景技術】
【0002】
近年、部品間あるいは装置間の信号伝送に関し、数cm以下の極近距離で通信する無線方式が検討されている。これらの方式は、低電力で高速な通信を実現するために、誘導結合を用いた通信を行なっている場合が多い。誘導結合にはトランスとして機能する対となるインダクタが必要であり、このトランスにおける伝送効率を高めることが求められる。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1には、インダクタ結合を用いて信号伝送を行う半導体装置が開示されている。ここには、1つの送信コイルと複数の受信コイルとからなる送受信コイル対を1つ以上配置した態様、複数の送信コイルと1つの受信コイルとからなる送受信コイル対を1つ以上配置した態様、複数の送信コイルと複数の受信コイルとからなる送受信コイル対を1つ以上配置した態様によって、チップ実装後に信号受信器が持つ演算装置の演算方法を制御し、または、信号送信器が持つ演算装置の演算方法を制御し、またはそれらの両方を行うことで、チップ実装の際による位置ずれや、半導体デバイス製造時のばらつきによるオフセットや、外乱の影響を取り除き、高品位の信号伝送が可能になることが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、磁気誘導により他の機器と非接触通信可能な複数のコイルを有し、複数のコイルは、相互に電気的に並列に接続される、ループアンテナが開示されている。具体的な例として、図13に示すように、ループアンテナ200は、4つのコイル10a〜10dを有する。各コイル10a〜10dは、電気的に並列に接続され、各コイルのコイル面が相互に重畳しないように同一平面上に並べられる。この際、コイル10a〜10dの巻き方向は、全て同一の方向になるように設定される。つまり、端子A,Bから送信信号を入力した場合、コイル10a〜10dで発生する磁界の向きは、全て同じ(例えば紙面前方又は後方にむかう向き)になるように、コイル10a〜10dは形成される。
【0005】
このような構成によれば、電気的に並列に接続されたコイル10a〜10dが、1つのアンテナとして動作する。この際、コイル10a〜10dのインダクタンスの合計値は、コイルが1つの場合と比べて減少させることができる。従って、通信相手のアンテナとの相互インダクタンスを減少させることができる。また、例えば、各コイルの開口面積(コイル面の面積)や各コイルの巻き数は任意であるため、コミュニケーションの成立に必要な振幅やエネルギーを伝達できるように、開口面積や巻き数を設定できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2008/102814号パンフレット
【特許文献2】特開2010−50844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以下の分析は本発明において与えられる。
【0008】
ここで2つの円形のインダクタを対向させて構成したトランスの特性について考察する。図14のように、2つの円形のインダクタ101、102を対向させたトランスの場合、両者の間の相互インダクタンスMは、次式で与えられる。
ここで、μは透磁率、Dはインダクタの半径、Lはインダクタ間の距離である。
【0009】
(1)式より、距離Lが十分大きいときには、相互インダクタンスは、距離Lの3乗で減衰することが示される。ここで、インダクタ間の相互インダクタンスは、インダクタ101で発生する磁束のうち、インダクタ102を貫くものが多いほど大きくなる。このため、インダクタ配線によって囲う面積を極力大きくする方が望ましい。つまり、(1)式で半径Dを大きくするほど相互インダクタンスMは大きくなる。今、2つのインダクタ101、102のインダクタンスがL1で等しいとすると、1次側に入力する電圧と2次側で取り出される電圧との比は、k=M/L1で与えられる。ここで、kは結合係数である。つまり結合係数を大きくすると、よりレベルの大きな信号を伝送することができる。
【0010】
今、インダクタのインダクタンスをL1、寄生容量をC1とすると、インダクタがインダクタとして機能する最大の周波数つまり自己共振周波数foは、(2)式で与えられる。
【0011】
相互インダクタンスMを大きくするには、インダクタの半径Dが大きい方が良いことは、(1)式より示される。しかし、半径Dの大きいインダクタは、インダクタンスL1が大きくなると同時に寄生容量C1も大きくなるので、(2)式により自己共振周波数foが低下することが示される。
【0012】
以上のように、同心円状のスパイラル形状のインダクタは、インダクタ間の距離を離すと結合係数が低下して伝送効率が低下する。そこで、結合係数を大きくするようにインダクタの半径を大きくすると、自己共振周波数が低下してしまう。伝送できるデータの速度は、使用可能な最大周波数が高いほど高速となるので、2つのインダクタではインダクタ間の距離を離しつつ高速なデータ伝送を行うと伝送効率が低下してしまう。
【0013】
そこで、伝送効率の向上のためには、特許文献1、2に記載されるような複数のコイルによるインダクタが有効となる。しかしながら、特許文献1に記載のインダクタは、複数のコイルの信号に対して演算を行う演算装置が必要であり、演算装置を制御しなければならない。したがって、装置として極めて複雑になってしまう。
【0014】
一方、特許文献2に記載のインダクタは、複数のコイルを電気的に並列に接続するので、装置としては簡単な構成である。ところで、図13において、コイル10a〜10dで発生する磁界の向きは、全て同じになるように、形成されるので、aとb’、bとc’、cとd’、dとa’の各部において、それぞれ互いに電流の向きが逆となる。したがって、互いが発生する磁界を打ち消し合って磁界の弱い部分が生じてしまう。このような複数のコイルを対向して配置した場合、結合係数が減少し、この分、信号の伝送効率が低下してしまう虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の1つのアスペクト(側面)に係るインダクタは、無線通信用のインダクタであって、並列接続されると共に、それぞれの中心部において発生する磁界がそれぞれ同一方向となるように平面上に配置される、それぞれが略閉曲線の形状を有する複数の線状導体と、複数の線状導体に電気的に接触しないように重ねて配置され、略閉曲線の形状を有し、中心部で発生する磁界が複数の線状導体のそれぞれの中心部において発生する磁界と同一方向となるように複数の線状導体に対してさらに並列接続される他の線状導体と、を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、磁気誘導によって通信を行う際により高速なデータ伝送が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施例に係るインダクタの構成を示す図である。
【図2】従来のインダクタが発生する電界の強度を表す図である。
【図3】本発明の第1の実施例に係るインダクタが発生する電界の強度を表す図である。
【図4】本発明の第2の実施例に係るインダクタの構成例を示す図である。
【図5】本発明の第3の実施例に係るインダクタの構成例を示す図である。
【図6】本発明の第4の実施例に係るインダクタの構成の例を示す図である。
【図7】本発明の第4の実施例に係るインダクタの構成の他の例を示す図である。
【図8】本発明の第4の実施例に係るインダクタの構成のさらに他の例を示す図である。
【図9】本発明の第5の実施例に係るインダクタの構成例を示す図である。
【図10】本発明の第6の実施例に係る半導体装置の構成例を示す図である。
【図11】本発明の第7の実施例に係る通信装置の構成例を示す図である。
【図12】本発明の第7の実施例に係る電子装置の構成例を示す図である。
【図13】従来のループアンテナの構成を示す図である。
【図14】2つの円形のインダクタを対向させた場合を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について、概説する。なお、以下の概説に付記した図面参照符号は、専ら理解を助けるための例示であり、図示の態様に限定することを意図するものではない。
【0019】
本発明の一実施形態に係るインダクタは、無線通信用のインダクタであって、並列接続されると共に、それぞれの中心部において発生する磁界がそれぞれ同一方向となるように平面上に配置される、それぞれが略閉曲線の形状を有する複数の線状導体(図1のA、B、C、D)と、複数の線状導体に電気的に接触しないように重ねて配置され、略閉曲線の形状を有し、中心部で発生する磁界が複数の線状導体のそれぞれの中心部において発生する磁界と同一方向となるように複数の線状導体に対してさらに並列接続される他の線状導体(図1のE)と、を備える。
【0020】
ここで略閉曲線とは、一端及び他端(図1の●、○が相当)が送受信回路の接続のために狭い間隔で開放された、概ね凸形状をなす曲線であって、中心部(例えば重心)が曲線の外側に位置する凹型のような曲線を除く。
【0021】
以上のようなインダクタによれば、他の線状導体は、複数の線状導体による磁界の弱い部分を埋めるように配置され、インダクタ2つを対向させてトランスとして機能させるときの結合を強めることが出来る。また、複数の線状導体および他の線状導体は、それぞれ1つずつのインダクタンスが小さく、さらに並列接続されるので、よりインダクタンスが下がる。したがって、より高い自己共振周波数を有し、磁気誘導によって通信を行う際により高速なデータ伝送が可能となる。
【0022】
他の線状導体の形状である略閉曲線は、平面上に射影した場合、複数の線状導体の包絡線内に含まれると共に複数の線状導体の形状であるそれぞれの略閉曲線外となる領域の少なくとも一部を含むことが好ましい。
【0023】
他の線状導体の形状である略閉曲線は、平面上に射影した場合、複数の線状導体のそれぞれに所定の電流を流した際にそれぞれの中心部において発生する磁界とは逆方向になる磁界の強さが平面上において所定の値以上となる領域の少なくとも一部を含むことが好ましい。
【0024】
複数の線状導体および他の線状導体は、全体で回転対称な形状を有することが好ましい。
【0025】
複数の線状導体は、全て同一形状の略閉曲線をなすことが好ましい。
【0026】
複数の線状導体は、全体の中心を囲む線状導体が存在する場合、該線状導体を除く残りの全てにおいて同一形状の略閉曲線をなすことが好ましい。
【0027】
複数の線状導体において、それぞれの略閉曲線が略多角形をなすことが好ましい。
【0028】
複数の線状導体において、それぞれの略閉曲線が略円形をなすことが好ましい。
【0029】
他の線状導体において、略閉曲線が略多角形をなすことが好ましい。
【0030】
他の線状導体において、略閉曲線が略円形をなすことが好ましい。
【0031】
複数の線状導体の少なくとも一部が一の配線層に配設され、他の線状導体は、他の配線層に配設されることが好ましい。
【0032】
複数の線状導体のそれぞれの一端と他の線状導体の一端とが接続され、複数の線状導体のそれぞれの他端と他の線状導体の他端とが接続されることが好ましい。
【0033】
それぞれの略閉曲線の一部が開放とされ、開放された線状導体の両端に、通信機能に係る回路を搭載したチップのバンプ(図9の◎)がそれぞれ接続されることが好ましい。
【0034】
それぞれの略閉曲線の一部が開放とされ、開放された線状導体の両端のそれぞれに対し通信機能に係る回路が2本の平行導体(図1のK1、K2に相当)を介して接続されることが好ましい。
【0035】
半導体装置が、上記のインダクタを備えて磁気誘導によって通信を行うようにしてもよい。
【0036】
半導体装置が、上記のインダクタを送受それぞれに対向して備え、磁気誘導によって通信を行うようにしてもよい。
【0037】
電子機器が、上記の半導体装置を備えるようにしてもよい。
【0038】
以下、実施例に即し、図面を参照して詳しく説明する。
【実施例1】
【0039】
図1は、本発明の第1の実施例に係るインダクタの構成を示す図である。図1において、インダクタは、それぞれが同じ大きさの正方形である4つの線状導体A、B、C、Dを備え、4つの線状導体A、B、C、Dは、並列接続されると共に、4つの線状導体A、B、C、Dのそれぞれの中心部において発生する磁界がそれぞれ同一方向となるように平面上に配置される。
【0040】
さらに、線状導体A、B、C、Dに対して45°回転させた、一辺が√2倍となる正方形の線状導体Eを備える。破線で示される線状導体Eは、線状導体A、B、C、Dに電気的に接触しないように重ねて配置され、中心部で発生する磁界が線状導体A、B、C、Dのそれぞれの中心部において発生する磁界と同一方向となるように線状導体A、B、C、Dに対してさらに並列接続される。
【0041】
図1(a)において、線状導体A、B、C、D、Eに関し、○印の端子を共通に接続し、●印の端子を共通に接続する。この時、並列接続された4つの線状導体A、B、C、Dの発生する磁界の向きは同一となる。ここで、線状導体A、B、C、Dにおける隣接する線状導体の組である、aとb’、bとc’、cとd’、dとa’は、それぞれ互いに電流の向きが逆となるので、互いが発生する磁界を打ち消し合う。すなわち、線状導体A、B、C、Dのそれぞれに所定の電流を流した際に、線状導体A、B、C、Dが存在する平面上において、線状導体A、B、C、Dのそれぞれの間隙では、線状導体A、B、C、Dのそれぞれの中心で発生する磁界とは逆方向になる磁界が生じる。この結果、実質的には全体の外周となる線状導体のみが概ねインダクタとして働くことになる。
【0042】
さらに、それぞれインダクタンスが打ち消し合って生じる磁界の弱い部分に対し、この磁界の弱い部分を覆うように線状導体Eを配置する。線状導体Eを配置することで、隙間部分の磁界を正方向に強めるので、対向して配置した場合、より大きな結合係数を有するようになる。また、線状導体Eも他の4つの線状導体A、B、C、Dに並列接続となっているので、インダクタンスが低下し、全体としての自己共振周波数をより高くすることが出来る。
【0043】
ここで、隣接する線状導体の組である、aとb’、bとc’、cとd’、dとa’において、それぞれ互いのインダクタンスが打ち消されるが、直列抵抗分は打ち消されない。したがって、インダクタが持つQ値(インダクタンスと抵抗の比率)は、単一の線状導体のインダクタが持つQ値よりも低くなる。しかし、インダクタをデータ伝送に用いる場合には、Q値の低下による電力の損失は、無視できる程度であり、問題とはならない。
【0044】
図1(b)は、線状導体A、B、C、D、Eの配置配線の例を示す図である。ここでは、線状導体A、B、C、Dは、実線で示される第1配線層(メタル層)で配線される第1層配線であり、線状導体Eは、破線で示される第2配線層(メタル層)で配線される第2層配線である。線状導体A、B、C、Dに関し、●印の端子のそれぞれは、第1層配線によって共通に接続されるように配線される。また、○印の端子のそれぞれは、それぞれ◆印で示されるビアなどの接続部を介して破線で示される、第2配線層(メタル層)で配線される第2層配線によって共通に接続されるように配線される。さらに、線状導体Eに関し、●印の端子は、◆印で示されるビアなどの接続部を介して第1層配線によって共通に接続されるように配線される。また、○印の端子は、第2層配線によって共通に接続されるように配線される。
【0045】
さらに、○印の端子に係る第2層配線は、第2配線層の配線K1に接続される。また、●印の端子に係る第1層配線は、◆印で示されるビアなどの接続部を介して第2配線層の配線K2に接続される。そして、配線K1、K2は、平行する配線として外側に引き出され、図示されない回路に接続される。なお、配線K1、K2は、線状導体Eを過る箇所において、◆印で示されるビアなどの接続部を介し第1層配線を迂回して配線されている。
【0046】
このようなインダクタによれば、線状導体A、B、C、D、Eは、それぞれ1つずつのインダクタンスが小さく、さらに並列接続されるので、よりインダクタンスが下がる。すなわち、高い自己共振周波数を有する。また、線状導体A、B、C、Dにおける磁界の弱い部分を覆うように線状導体Eを配置する。これにより、隙間部分の磁界が強められるので、対向して配置した場合、より大きな結合係数を持つことができる。したがって、磁気誘導によって通信を行う際により高速なデータ伝送が可能となる。
【0047】
図2、図3は、それぞれ従来および本実施例のインダクタが発生する電界の強度を表す図である。これらは、電磁界シミュレータMOMENTUMでシミュレーションした場合のインダクタが発するインダクタに直交する面での磁界の強度を示す。図2(a)は、1個の正方形の線状導体からなるインダクタによるものであり、図2(b)は、4個の正方形の線状導体(図1のA、B、C、D)からなるインダクタによるものであり、図3は、本実施例におけるインダクタによるものである。
【0048】
図2に示すように、(a)従来型1がほぼ等方的な磁界を発生させるのに対して、(b)従来型2では90°おきに強度の弱い部分がある。この強度の弱い部分は、図1で2本の配線が隣接して磁界を打ち消す部分(aとb’、bとc’、cとd’、dとa’)に相当する。これに対し、図3では、45°回転させた線状導体Eを配置したことで、従来型1と同様に、ほぼ等方的な磁界が発生することが示される。
【0049】
表1は、電磁界シミュレータMOMENTUMでシミュレーションしたトランスの特性を表す。ここで、(a)従来型1、(b)従来型2、本実施例のトランスのインダクタは、共に外径を10mm角(図1のA、B、C、Dは、それぞれ約5mm角に相当)とし、2つの同じ形状のインダクタを10mm離して対向させる。この時の自己インダクタンス、結合係数、自己共振周波数を示す。
【0050】
[表1]各トランスの特性
【0051】
表1によれば、従来型1に比べて、従来型2のインダクタ、本実施例のインダクタは、自己共振周波数をより高くすることができる。さらに、本実施例のインダクタは、従来型2に比べると、同程度の自己共振周波数を有し、より大きな結合係数を持つことが示される。
【実施例2】
【0052】
図4は、本発明の第2の実施例に係るインダクタの構成例を示す図である。図4では、16個の正方形である線状導体A1〜A16を並列接続する例である。図4において、○印の端子を全て共通に接続し、●印の端子を全て共通に接続すると、並列接続された16個の線状導体A1〜A16が発生する磁界の向きは同一となる。したがって、16個の線状導体A1〜A16は、1つのインダクタと同じ働きをする。ここで、図4に示すインダクタにおいても、図1のインダクタと同様に、隣接する配線を流れる電流は逆向きとなるので、この部分ではお互いの磁界を打ち消しあう。
【0053】
ここで、実線で示される16個の線状導体A1〜A16に対して、さらに45°回転させた破線で示される5つの正方形である線状導体A21〜A25を配置し、それぞれ並列接続する。このような構成によれば、合計21個の線状導体が並列接続されて一体として働くことで、高い自己共振周波数と大きな結合係数を得ることが出来る。
【実施例3】
【0054】
図5は、本発明の第3の実施例に係るインダクタの構成例を示す図である。図5において、同じ大きさの円形の4つの線状導体B1〜B4を配置する。図5で○印の端子を全て共通に接続し、●印の端子を全て共通に接続すると、並列接続された線状導体B1〜B4の発生する磁界の向きは同一となる。この場合、隣接する線状導体同士が近づく箇所は、図5のe、f、g、h点のみに限られるので、図1の正方形の線状導体同士の場合に比べると互いの磁界を打ち消す程度は小さい。ただし、線状導体B1〜B4で囲まれる中心点Xでは線状導体B1〜B4の磁界が打ち消しあうので磁界の弱い部分となる。
【0055】
そこで、このような磁界の弱い部分に重なるような破線で示される円形の線状導体B5を配置する。線状導体B5を線状導体B1〜B4と並列接続することで、実施例1、2と同様に、磁界の弱い部分を補い、高い自己共振周波数と大きな結合係数を得ることが出来る。
【実施例4】
【0056】
次に、複数のインダクタのそれぞれを形成する閉曲線の形状の例について説明する。図6は、本発明の第4の実施例に係るインダクタの構成の例を示す図である。なお、ここでは、実線が第1配線層に配置され、破線が第2配線層に配置される点、図示されない●印および○印の端子を全て共通に並列接続する点、に関し、上記実施例1〜3と同様であって、ここでは、これらの説明を省き、線状導体の形状と配置についてのみ説明する。
【0057】
図6(a)は、実線で示される3個の菱形の線状導体と、3個の菱形の線状導体の中心に破線で示される正三角形の線状導体とが電気的に接触しないように重ねて配置され、それぞれの中心部において発生する磁界が同一方向となるように並列接続される。
【0058】
図6(b)は、実線で示される3個の正六角形の線状導体と、3個の正六角形の線状導体の中心に破線で示される正六角形の線状導体とが電気的に接触しないように重ねて配置され、それぞれの中心部において発生する磁界が同一方向となるように並列接続される。
【0059】
図6(c)は、実線で示される3個の五角形の線状導体と、3個の五角形の線状導体の中心に破線で示される正三角形の線状導体とが電気的に接触しないように重ねて配置され、それぞれの中心部において発生する磁界が同一方向となるように並列接続される。
【0060】
図6(a)〜(c)は、全体として120度回転対称の形状を有する。
【0061】
図6(d)は、実線で示される2個の長方形の線状導体と、2個の長方形の線状導体の中心に破線で示される長方形の線状導体とが電気的に接触しないように重ねて配置され、それぞれの中心部において発生する磁界が同一方向となるように並列接続される。図6(d)は、全体として180度回転対称の形状を有する。
【0062】
図6(e)は、実線で示される4個の長方形の線状導体と、4個の長方形の中心に配置される実線で示される1個の正方形の線状導体と、1個の正方形の線状導体の中心に対し、破線で示される正方形の線状導体とが電気的に接触しないように重ねて配置され、それぞれの中心部において発生する磁界が同一方向となるように並列接続される。
【0063】
図6(f)は、実線で示される4個の五角形の線状導体と、4個の五角形の中心に配置される実線で示される1個の正方形の線状導体と、1個の正方形の線状導体の中心に対し、破線で示される正方形の線状導体とが電気的に接触しないように重ねて配置され、それぞれの中心部において発生する磁界が同一方向となるように並列接続される。
【0064】
図7は、本発明の第4の実施例に係るインダクタの構成の他の例を示す図である。
【0065】
図7(a)は、実線で示される4個の五角形の線状導体と、4個の五角形の中心に配置される実線で示される1個の正方形の線状導体と、1個の正方形の線状導体の中心に対し、破線で示される正方形の線状導体とが電気的に接触しないように重ねて配置され、それぞれの中心部において発生する磁界が同一方向となるように並列接続される。
【0066】
図6(e)、図6(f)、図7(a)は、全体として90度回転対称の形状を有する。
【0067】
図7(b)は、実線で示される8個の楕円の線状導体と、8個の楕円の中心に配置される実線で示される1個の円形の線状導体と、1個の円形の線状導体の中心に対し、破線で示される円形の線状導体とが電気的に接触しないように重ねて配置され、それぞれの中心部において発生する磁界が同一方向となるように並列接続される。図7(b)は、全体として45度回転対称の形状を有する。
【0068】
図7(c)は、実線で示される6個の円形の線状導体と、6個の円形の中心に配置される実線で示される1個の円形の線状導体と、6個の円形における隣接する2個のそれぞれに対して中間位置に配置される、破線で示される6個の円形の線状導体とが電気的に接触しないように重ねて配置され、それぞれの中心部において発生する磁界が同一方向となるように並列接続される。図7(c)は、全体として60度回転対称の形状を有する。
【0069】
図7(d)は、図6(d)における実線で示される2個の長方形の角を丸めた形状とし、破線で示される長方形を楕円として構成したものである。この例で示すように、本発明において、線状導体が多角形である場合、厳密に多角形であることを意味する訳ではなく、角が丸められ、楕円(円を含む)に近づく形状(これを略多角形、略円形と称する)を有するようにしてもよい。
【0070】
以上、線状導体に関し、いくつかの例を挙げたが、これらの例に限らず、インダクタの全体としての形状は、無線通信用のインダクタとして用いる場合、死角を減らす意味から等方的に磁界を発生するものであることが好ましく、この点から回転対称であることが好ましい。
【0071】
図7(e)は、線状導体が略多角形、略円形である変形例を示す図である。図7(e)では、線状導体は一部に凹部P1を有し、一部に凸部P2を有する。これらの例で示すように、線状導体は、全体として概ね凸形状をなす閉曲線であればよく、図7(f)に示すような中心部P3(例えば重心)が曲線の外側に位置する凹型のような閉曲線を除くものとする。すなわち、略閉曲線である線状導体の中心部に発生しうる磁界の強度にほとんど影響を与えない限りにおいて、実装上、種々の変形が可能である。線状導体が例えこのような変形された形状であっても、本発明では、線状導体が略多角形、略円形であると称する。
【0072】
次に、複数の線状導体の配置位置について説明する。図8は、包絡線P0に内接する、第2の多角形に相当する実線で示される6個の円形の線状導体C1〜C6と、6個の円形の線状導体C1〜C6の中心に配置される、第2の多角形に相当する実線で示される1個の円形の線状導体C7と、第1の多角形に相当する破線で示されるそれぞれ6個の円形の線状導体C11〜C16とを配置する。ここで、基板に近い側の第1配線層に形成される線状導体C11〜C16は、第2配線層に形成される線状導体C1〜C7における磁界の弱い部分を覆うように、すなわち、第1の多角形の中心が第2の多角形の領域外となるように配置される。例えば、7個の円形の線状導体C1〜C7中の隣接する3個の円形の中心に、それぞれ6個の円形の線状導体C11〜C16の中心が一致するように配置する。さらに、線状導体同士が電気的に接触しないように重ねて配置し、それぞれの中心部において発生する磁界が同一方向となるように並列接続する。すなわち、3個の円形の線状導体Cn(n=1〜6)、Cn+1(ただし、n=6の場合にはn=0と見なす)、C7の中心に円形の線状導体C1nの中心が一致するように配置される。
【0073】
図8の各多角形を半導体基板に形成するとき、線状導体C1〜C7はインダクタ配線によって囲う面積が大きい。線状導体C1〜C7を半導体基板上で、通信する相手側のインダクタ配線に最も近い配線層で形成し、線状導体C11〜C16はそれより遠い配線層で形成する。
【0074】
以上のような各例に示すように、第1の配線層に配置される、隣接する複数の略多角形あるいは略円形である線状導体群の中心と、第2の配線層に配置される、略多角形あるいは略円形である線状導体の中心とが一致するように、複数の線状導体を配置することが好ましい。すなわち、第2の配線層に配置される線状導体の形状である略閉曲線は、平面上に射影した場合、第1の配線層に配置される複数の線状導体の包絡線内に含まれると共に複数の線状導体の形状であるそれぞれの略閉曲線外となる領域の少なくとも一部を含むことが好ましい。あるいは、第2の配線層に配置される他の線状導体の形状である略閉曲線は、平面上に射影した場合、第1の配線層に配置される複数の線状導体のそれぞれに所定の電流を流した際にそれぞれの中心部において発生する磁界とは逆方向になる磁界の強さが平面上において所定の値以上となる領域の少なくとも一部を含むことが好ましい。言い換えれば、第1の配線層に配置される線状導体における磁界の弱い部分を覆うように、第2の配線層に配置される線状導体を配置するように構成する。このような線状導体の配置によれば、第2の配線層の線状導体が第1の配線層の線状導体における隙間部分の磁界を強めるので、対向して配置した場合、より大きな結合係数を持つことができる。
【実施例5】
【0075】
次に、複数のインダクタの実装例について説明する。図9は、本発明の第5の実施例に係るインダクタの構成例を示す図である。なお、図9(a)は、図1(b)と同一である。
【0076】
図9(b)において、図1(a)の●印の端子のそれぞれが共通に接続される第1層配線は、◎印で示されるバンプなどの接続部を介して制御チップに接続される。また、図9(b)において、図1(a)の○印の端子のそれぞれが共通に接続される第2層配線は、◎印で示されるバンプなどの接続部を介して制御チップに接続される。
【0077】
以上のような実装方法によれば、インダクタと制御チップとが極めて短い距離で接続されるので、インダクタと制御チップ間の抵抗、インダクタンスおよび浮遊容量の影響を低減することができる。
【実施例6】
【0078】
次に、複数のインダクタが適用される装置の例について説明する。図10は、本発明の第6の実施例に係る半導体装置の構成例を示す図である。図10(a)において、半導体チップ11は、基板13に接続され、基板13側に向いたチップ表面側にインダクタ14を有する。また、半導体チップ12は、基板13を挟んで半導体チップ11と対向して配置され、基板13に接続され、基板13側に向いたチップ表面側にインダクタ15を有する。インダクタ14、15は、実施例1〜5に示したインダクタであって、対向して配置される。
【0079】
このような構成の半導体装置によれば、半導体チップ11と半導体チップ12とがインダクタ14、15を介して信号伝送可能とされ高品位で伝送することができる。
【0080】
図10(b)において、半導体チップ11aは、基板13aに接続され、基板13a側に向いたチップ表面側にインダクタ14aを有し、インダクタ14aに接続される送信回路17を有する。また、半導体チップ12aは、基板13aに接続され、基板13a側に向いたチップ表面側にインダクタ15aを有し、インダクタ15aに接続される受信回路18を有する。基板13aは、インダクタ14aに対向した位置にインダクタ16aを備え、インダクタ15aに対向した位置にインダクタ16bを備える。ここでインダクタ14a、15a、16a、16bは、実施例1〜5に示したインダクタである。
【0081】
このような構成の半導体装置によれば、半導体チップ11aと半導体チップ12aとがインダクタ14a、16a、16b、15aを介して信号伝送可能とされ、送信回路17から受信回路18に向けて信号を高品位で伝送することができる。
【実施例7】
【0082】
図11は、本発明の第7の実施例に係る通信装置の構成例を示す図である。図11において、送受信回路21aは、送受信用インダクタ22aを接続する。送受信回路21bは、送受信用インダクタ22bを接続する。送受信用インダクタ22a、22bは、実施例1〜5に示したインダクタであって、対向して配置され、相互インダクタンスによって信号の伝達を行う。
【0083】
送受信回路21aは、入力データに応じた信号を送受信用インダクタ22aに送出し、送受信用インダクタ22bは、送受信用インダクタ22aから相互インダクタンスで誘導される信号を受信して送受信回路21bに出力する。送受信回路21bは、送受信回路21aにおける入力データに応じた出力データを出力する。
【0084】
また、逆方向にも同様に、送受信回路21bは、入力データに応じた信号を送受信用インダクタ22bに送出し、送受信用インダクタ22aは、送受信用インダクタ22bから相互インダクタンスで誘導される信号を受信して送受信回路21aに出力する。送受信回路21aは、送受信回路21bにおける入力データに応じた出力データを出力する。
【0085】
次に、このような構成の通信装置を電子機器に適用した例について説明する。図12は、本発明の第7の実施例に係る電子装置の構成例を示す図である。図12において、パーソナルコンピュータなどの端末である親機31は、送受信回路21a、送受信用インダクタ22aを備え、デジタルカメラなどの携帯機器である子機32は、送受信回路21b、送受信用インダクタ22bを備える。
【0086】
送受信用インダクタ22a、22bは、図11で示すように相互インダクタンスで誘導される信号を伝達可能とするように対向して配置される。なお、送受信用インダクタ22a、22bが正しく対向して配置されるように、親機31と子機32とは、クレードルなどによって設置位置が固定されるように構成されることが好ましい。
【0087】
このような構成の電子機器によれば、親機31と子機32とは、送受信用インダクタ22a、22bを介して相互に信号伝送可能とされデータを高品位で伝送することができる。
【0088】
なお、以上のような構成のインダクタに関し、略閉曲線の形状を有する線状導体が単一巻き線である場合について例示して説明したが、これに限定されるものではなく多重巻き線であってもよいことはいうまでもない。また、無線通信用のインダクタとして用いる場合、送信側と受信側とで同一形状であることに限定されない。例えば、受信側が単一の略閉曲線の形状を有する線状導体であってもよい。また、例えば、受信側における線状導体が多重巻き線で構成されてもよい。この場合、送信側と受信側とで信号の振幅比を異ならせることが可能である。
【0089】
なお、前述の特許文献等の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0090】
11、11a、12、12a 半導体チップ
13、13a 基板
14、14a、15、15a、16a、16b インダクタ
17 送信回路
18 受信回路
21a、21b 送受信回路
22a、22b 送受信用インダクタ
31 親機
32 子機
A、B、C、D、E、A1〜A16、A21〜A25、B1〜B5、C1〜C7、C11〜C16 線状導体
K1、K2 配線
P0 包絡線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信用のインダクタであって、
並列接続されると共に、それぞれの中心部において発生する磁界がそれぞれ同一方向となるように平面上に配置される、それぞれが略閉曲線の形状を有する複数の線状導体と、
前記複数の線状導体に電気的に接触しないように重ねて配置され、略閉曲線の形状を有し、中心部で発生する磁界が前記複数の線状導体のそれぞれの中心部において発生する磁界と同一方向となるように前記複数の線状導体に対してさらに並列接続される他の線状導体と、
を備えることを特徴とするインダクタ。
【請求項2】
前記他の線状導体の形状である略閉曲線は、前記平面上に射影した場合、前記複数の線状導体の包絡線内に含まれると共に前記複数の線状導体の形状であるそれぞれの略閉曲線外となる領域の少なくとも一部を含むことを特徴とする請求項1記載のインダクタ。
【請求項3】
前記他の線状導体の形状である略閉曲線は、前記平面上に射影した場合、前記複数の線状導体のそれぞれに所定の電流を流した際にそれぞれの中心部において発生する磁界とは逆方向になる磁界の強さが前記平面上において所定の値以上となる領域の少なくとも一部を含むことを特徴とする請求項1記載のインダクタ。
【請求項4】
前記複数の線状導体および前記他の線状導体は、全体で回転対称な形状を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載のインダクタ。
【請求項5】
前記複数の線状導体は、全て同一形状の略閉曲線をなすことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載のインダクタ。
【請求項6】
前記複数の線状導体は、全体の中心を囲む線状導体が存在する場合、該線状導体を除く残りの全てにおいて同一形状の略閉曲線をなすことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載のインダクタ。
【請求項7】
前記複数の線状導体において、それぞれの略閉曲線が略多角形をなすことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載のインダクタ。
【請求項8】
前記複数の線状導体において、それぞれの略閉曲線が略円形をなすことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載のインダクタ。
【請求項9】
前記他の線状導体において、略閉曲線が略多角形をなすことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載のインダクタ。
【請求項10】
前記他の線状導体において、略閉曲線が略円形をなすことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載のインダクタ。
【請求項11】
前記複数の線状導体の少なくとも一部が一の配線層に配設され、前記他の線状導体は、他の配線層に配設されることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一に記載のインダクタ。
【請求項12】
前記複数の線状導体のそれぞれの一端と前記他の線状導体の一端とが接続され、前記複数の線状導体のそれぞれの他端と前記他の線状導体の他端とが接続される請求項1乃至11のいずれか一に記載のインダクタ。
【請求項13】
前記それぞれの略閉曲線の一部が開放とされ、開放された線状導体の両端に、通信機能に係る回路を搭載したチップのバンプがそれぞれ接続されることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一に記載のインダクタ。
【請求項14】
前記それぞれの略閉曲線の一部が開放とされ、開放された線状導体の両端のそれぞれに対し通信機能に係る回路が2本の平行導体を介して接続されることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一に記載のインダクタ。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか一に記載のインダクタを備えて磁気誘導によって通信を行うことを特徴とする半導体装置。
【請求項16】
請求項1乃至14のいずれか一に記載のインダクタを送受それぞれに対向して備え、磁気誘導によって通信を行うことを特徴とする半導体装置。
【請求項17】
請求項15または16に記載の半導体装置を備える電子機器。
【請求項1】
無線通信用のインダクタであって、
並列接続されると共に、それぞれの中心部において発生する磁界がそれぞれ同一方向となるように平面上に配置される、それぞれが略閉曲線の形状を有する複数の線状導体と、
前記複数の線状導体に電気的に接触しないように重ねて配置され、略閉曲線の形状を有し、中心部で発生する磁界が前記複数の線状導体のそれぞれの中心部において発生する磁界と同一方向となるように前記複数の線状導体に対してさらに並列接続される他の線状導体と、
を備えることを特徴とするインダクタ。
【請求項2】
前記他の線状導体の形状である略閉曲線は、前記平面上に射影した場合、前記複数の線状導体の包絡線内に含まれると共に前記複数の線状導体の形状であるそれぞれの略閉曲線外となる領域の少なくとも一部を含むことを特徴とする請求項1記載のインダクタ。
【請求項3】
前記他の線状導体の形状である略閉曲線は、前記平面上に射影した場合、前記複数の線状導体のそれぞれに所定の電流を流した際にそれぞれの中心部において発生する磁界とは逆方向になる磁界の強さが前記平面上において所定の値以上となる領域の少なくとも一部を含むことを特徴とする請求項1記載のインダクタ。
【請求項4】
前記複数の線状導体および前記他の線状導体は、全体で回転対称な形状を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載のインダクタ。
【請求項5】
前記複数の線状導体は、全て同一形状の略閉曲線をなすことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載のインダクタ。
【請求項6】
前記複数の線状導体は、全体の中心を囲む線状導体が存在する場合、該線状導体を除く残りの全てにおいて同一形状の略閉曲線をなすことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載のインダクタ。
【請求項7】
前記複数の線状導体において、それぞれの略閉曲線が略多角形をなすことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載のインダクタ。
【請求項8】
前記複数の線状導体において、それぞれの略閉曲線が略円形をなすことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載のインダクタ。
【請求項9】
前記他の線状導体において、略閉曲線が略多角形をなすことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載のインダクタ。
【請求項10】
前記他の線状導体において、略閉曲線が略円形をなすことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載のインダクタ。
【請求項11】
前記複数の線状導体の少なくとも一部が一の配線層に配設され、前記他の線状導体は、他の配線層に配設されることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一に記載のインダクタ。
【請求項12】
前記複数の線状導体のそれぞれの一端と前記他の線状導体の一端とが接続され、前記複数の線状導体のそれぞれの他端と前記他の線状導体の他端とが接続される請求項1乃至11のいずれか一に記載のインダクタ。
【請求項13】
前記それぞれの略閉曲線の一部が開放とされ、開放された線状導体の両端に、通信機能に係る回路を搭載したチップのバンプがそれぞれ接続されることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一に記載のインダクタ。
【請求項14】
前記それぞれの略閉曲線の一部が開放とされ、開放された線状導体の両端のそれぞれに対し通信機能に係る回路が2本の平行導体を介して接続されることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一に記載のインダクタ。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか一に記載のインダクタを備えて磁気誘導によって通信を行うことを特徴とする半導体装置。
【請求項16】
請求項1乃至14のいずれか一に記載のインダクタを送受それぞれに対向して備え、磁気誘導によって通信を行うことを特徴とする半導体装置。
【請求項17】
請求項15または16に記載の半導体装置を備える電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−21245(P2013−21245A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155340(P2011−155340)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
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