説明

インドール酸化酵素

【課題】単一のコンポーネントからなるインドール酸化酵素及び該酵素をコードする遺伝子を提供する。
【解決手段】メタゲノムライブラリーから単一のコンポーネントからなるインドール酸化酵素をコードする遺伝子を単離し、同遺伝子を含む組換えベクターで形質転換された微生物の形質転換体を用いて上記インドール酸化酵素を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インドール酸化活性を有するタンパク質、該タンパク質をコードする遺伝子、該タンパク質の製造方法及び該タンパク質を使用したインジゴ関連化合物の生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インジゴ関連化合物は工業的には染料として知られ、古くから織物の染色剤として利用されている。また、食品添加物や顔料、抗菌剤や抗腫瘍剤など薬品の原料としても利用されている。インジゴの製造は古くは植物から採取される天然インジゴが唯一の原料であったが、19世紀にインジゴを化学的に合成する手法が開発された。一方、日本における藍染めの一部には、インジゴを生産する微生物を利用した染色法が現在も利用されている。
【0003】
微生物酵素を用いたインジゴ関連化合物の合成は、環境低負荷型の技術として注目されている。インドールの微生物変換に関わるいくつかの遺伝子・酵素が既に報告されている(非特許文献1〜4参照)。
これまでに図1に示すような経路でのインドールからインジゴ関連化合物の合成が報告されている。これらの反応は微生物の生産するジオキシゲナーゼ、あるいはモノオキシゲナーゼにより進行することが知られている。
【0004】
【非特許文献1】Ensley, B. D. etal., Science 1983. 222: 167-169
【非特許文献2】Keil, H. et al.,J. Bacteriol. 1987. 169: 764-770
【非特許文献3】Hart, S. et al.,J. Gen. Microbiol. 1992. 138: 211-216
【非特許文献4】Doukyu, N. et al.,Appl. Microbiol. Biotechnol. 2002. 58: 543-546
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インドールの物質変換に関わる微生物遺伝子・酵素が既に報告されているが、それら全てが複数のタンパク質(サブユニット)が結合することで機能する酵素(マルチコンポーネント酵素)であり、酵素を製造するには複数の遺伝子を共発現することが必要である。しかし、複数の遺伝子を共発現するためには、高度な技術と多くの労力を要する。例えば、インドールの酸化に関わる遺伝子がオペロンを形成している場合には、オペロンの上流に強力なプロモーターと、全ての遺伝子の上流にmRNAへの転写に必要なリボソームバインディングサイト(以下「RBS」とも示す)を挿入する必要がある。また、インドールの酸化に関わる遺伝子がオペロンを形成していない場合には、複数のベクターを利用して、各遺伝子を宿主へ導入する必要がある。このような微生物を培養する場合に、ベクターを宿主内で安定的に保持するために、複数の抗生物質を添加した選択培地を利用しなければならない。
【0006】
本発明の課題は、このような製法上の欠点を内包しない新規なインドール酸化酵素を見いだすとともに、該酵素をコードする遺伝子を提供して、遺伝子工学的手法によりインドール酸化酵素を効率的に製造する点にあり、さらに、該酵素を用いたインドールの酸化によって有用なインジゴ関連化合物を製造する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、インドール酸化酵素を製造するためには、複数の遺伝子の共発現が必要であるという問題点を解決すべく鋭意検討した結果、本発明者が構築したメタゲノムライブラリーから抽出して得たDNA中に単一のタンパク質で活性を有する新規インドール酸化酵素をコードする遺伝子を見いだすとともに、該遺伝子を発現して新規インドール酸化酵素を得ることに成功し、さらに、該酵素を用いてインジゴ関連化合物を安定して効率的に合成し得ることを確認し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
(1)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるか、あるいは配列番号1に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加された配列からなる、インドール酸化活性を有するタンパク質。
(2)上記(1)に記載のタンパク質をコードする遺伝子。
(3)以下の(a)、(b)または(c)のポリヌクレオチドからなるインドール酸化活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
(a)配列番号2に示される塩基配列または該塩基配列と相補の塩基配列からなるポリヌクレオチド
(b)配列番号2に示される塩基配列または該塩基配列と相補の塩基配列において、1または数個のヌクレオチドが欠失、置換若しくは付加されたポリヌクレオチド
(c)配列番号2に示される塩基配列または該塩基配列と相補の塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド
(4)上記(2)または(3)に記載の遺伝子から選ばれる少なくとも1つの遺伝子を含むベクター。
(5)上記(4)記載のベクターを含む形質転換体。
(6)上記(5)に記載の形質転換体を培養し、得られる培養物からインドール酸化活性を有するタンパク質を採取することを特徴とする、インドール酸化活性を有するタンパク質の製造方法。
(7)上記(5)に記載の形質転換体または上記(1)に記載の酵素とインドール化合物とを接触させることを特徴とする、インジゴ関連化合物の製造方法。
(8)インジゴ関連化合物が、インジゴ、インジルビン、イサチン及びそれらの誘導体からなる群から選択される1またはそれ以上の化合物であることを特徴とする、上記(7)に記載の方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明により新規のインドール酸化活性を有するタンパク質(以下、単にインドール酸化酵素という場合がある。)及び該タンパク質をコードする遺伝子が提供される。本発明のインドール酸化酵素は、単一のコンポーネントでからなることから、該酵素を遺伝子工学的手法で生産する際、該酵素をコードする遺伝子は単一のプロモーターによって遺伝子発現を調節することができる。一方、複数のサブユニットからなる従来のインドール酸化酵素は、その生産において複数のベクターを利用して遺伝子を宿主に導入して共発現しなくてはならず、宿主内での遺伝子の安定性に問題があったが、本発明によれば、このような従来法の問題点が解消され、本発明の上記遺伝子を導入した微生物の培養による酵素の製造はより効率的でかつ容易であり、インジゴ関連化合物を合成する上で極めて有利である。
以下に本発明を詳細に説明する。
【0009】
1. インドール酸化酵素
本発明のインドール酸化酵素はインドールをイサチン、Indoxyl 3-oxindoleを経由してインジゴあるいはインジルビンに変換する反応を触媒するものであり、その推定反応経路は図1に示される。
本発明のインドール酸化酵素は、単一のコンポーネントからなり、そのアミノ酸配列は配列番号1に示される。しかしこれのみではなく、インドール酸化活性を有するものである限り、配列番号1に示されるアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなる変位型インドール酸化酵素も包含する。
【0010】
2.インドール酸化酵素遺伝子
本発明の端緒となったインドール酸化酵素遺伝子はコークス炉廃水処理に用いる活性汚泥から構築されたメタゲノムライブラリーを使用して単離されたものである。
このように単離されたインドール酸化酵素遺伝子の具体的な塩基配列は、配列番号2に示されるが、本発明のインドール酸化酵素遺伝子は、配列番号2に示される塩基配列を有するポリヌクレオチドの他、配列番号2に示される塩基配列と相補の塩基配列、あるいはこれらの塩基配列により導き出されるアミノ酸配列情報から容易に得られるポリヌクレオチドを含む。
これらポリヌクレオチドとしては、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるインドール酸化酵素をコードするポリヌクレオチド、あるいは、該アミノ酸配列において1または数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有する変異型インドール酸化酵素をコードするポリヌクレオチドが挙げられ、さらに、配列番号2に示される塩基配列において、1または数個のヌクレオチドが欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなるものであって、インドール酸化活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドも挙げられる。なお、本発明のポリヌクレオチドとはDNAまたはRNAを意味する。
【0011】
このような変異型遺伝子は、例えば、他のインドール酸化活性を持つ細菌から調製したDNAから、上記遺伝子の塩基配列に基づいて設計したプライマーを用いてPCRを行うことにより調製することができる。
また、部位特異的突然変異誘発法等によって本発明の遺伝子の変異型であって上記機能又は活性を有するものを合成することもできる。遺伝子への変異の導入法は限定されないが、市販の部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(例えばMutan-K(TAKARA社製)やMutan-G(TAKARA社製))などを用いることができる。
【0012】
これらの変異型遺伝子により作製される組換えタンパク質が酵素活性を有するか否かは、変異タンパク質をインドールと反応させることによって、図1の反応生成物を生成する機能乃至活性を測定することにより確認することができる。さらに、上記配列番号2に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドまたは該配列に相補的な配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、それぞれの機能又は活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドも本発明のインドール酸化酵素遺伝子に含まれる。
ストリンジェントな条件とは、特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。例えば、高い相同性(70-80 % 以上)を有するDNAがハイブリダイズする条件をいう。また、本発明において「ストリンジェントな条件」とは、例えば、2 x SSC、0.1 % SDS及び50 % ホルムアミドの溶液中で25℃にて加温した後、0.1 x SSC、0.1 % SDSの溶液中で68℃にて洗浄する条件をいう。但し、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響する要素としては温度や塩濃度など複数の要素が考えられ、これら要素を適宜選択することで同様のストリンジェンシーを実現することが可能である。
【0013】
3.インドール酸化遺伝子を含む組換えベクターと宿主
本発明の組換えベクターは、適当なベクターに、それ自体周知乃至公知の方法により本発明のインドール酸化遺伝子を連結することにより得られる。
本発明で使用するベクターとしては、プラスミド、コスミド、バクテリオファージなど宿主中で複製可能なものであれば特に限定されない。またそのベクターが機能するものであれば大腸菌、放線菌など宿主も限定されない。
ベクター中に導入する遺伝子の方向及び順序は、遺伝子が発現され、発現されたタンパク質が酵素として機能しうるのであれば、任意に配列及び選択してよい。
【0014】
4.本発明のベクターを含む形質転換体:
本発明の形質転換体は、上記ベクターを宿主微生物に導入して形質転換することにより得られるが上記組換えベクターを導入は、エレクトロポレーション法、プロトプラスト法、塩化カルシウム法(スフェロプラスト法)等のそれ自体周知乃至公知の手法により行えばよい。
また、形質転換に使用する宿主微生物としては、本発明の遺伝子を発現できるものであれば特に限定されるものではないが、例えば大腸菌、Pseudomonas 菌、Ralstonia菌、Rhizobium菌等が挙げられる。またベクターや宿主、高発現を誘導する誘導基質やプロモーター、オペレーター、エンハンサーなどの組み合わせを考慮し用いることによって、高いインドール酸化活性を持つ形質転換微生物を作製することが可能である。
【0015】
5. インドール酸化酵素の製造方法
本発明において、目的のインドール酸化酵素は、それをコードする遺伝子を保有する前記微生物を培養し、その培養物から採取することにより得ることができる。「培養物」とは、培養上清、培養菌体、又は菌体の破砕物のいずれをも意味するものである。本発明の微生物を培地で培養する方法は、微生物の培養に用いられる通常の方法に従って行われる。放線菌や細菌等の微生物を培養する培地としては、微生物が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、微生物の培養を効率的に行うことができる培地であれば、天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。
【0016】
例えば、上記で示した組換え大腸菌の場合は当研究分野で通常用いる栄養培地で培養し、必要に応じてIPTGなどの誘導物質を加えることにより、大腸菌が増殖できる栄養培地中での酵素の高発現を行うことができる。通常の培養条件では、適宜、抗生物質を加えたLB培地(1.0 % ペプトン、0.5 % 乾燥酵母エキス、1.0 % NaClから成る)で37℃、8-12時間前培養し、この十分増殖した菌体を種菌として、新しいLB培地に容量比1-5 % 植菌、37℃、2-4時間本培養し、IPTGを加えさらに30℃で2-4時間培養する。
【0017】
培養後、目的の酵素のタンパク質が菌体内に生産される場合には、菌体を破砕することにより当該酵素タンパク質を抽出する。また、目的タンパク質が菌体外に生産される場合には、培養液をそのまま使用するか、遠心分離等により菌体を除去する。その後、タンパク質の単離精製に用いられる一般的な生化学的方法、例えば硫酸アンモニウム沈殿、ゲルクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等を単独でまたは適宜組み合わせて用いることにより、前記培養物中から目的のタンパク質を単離精製することができる。目的のタンパク質が得られたか否かは、SDS-PAGE等により確認することができる。
【0018】
6. インジゴ関連化合物の生産方法:
本発明のインジゴ関連化合物の生産方法は、上記の微生物及び/又は酵素を利用して行うことを特徴とするものであり、具体的には、上記微生物の培養菌体若しくは休止菌体及び/又は上記単離した酵素とインドール類化合物とを接触させる方法である。
本発明において、分解対象となるインドール類化合物としては、限定されるものではないが、例えば、インドール及びその誘導体等が挙げられる。しかし、酵素と反応する基質はその活性を示す限り限定するものではない。
【0019】
培養菌体又は休止菌体を用いる場合は、適当な緩衝液に懸濁して調製した菌懸濁液としてインドール類化合物の酸化反応に供する。緩衝液としては種々の緩衝液を使用でき、また緩衝液の代わりに、水や培地等を使用することもできる。菌懸濁液の濃度は、600ナノメートルの濁度で1-2が好適であり、必要に応じて増減できる。一方、上述のように単離・精製したインドール酸化酵素を使用する場合には、適当な緩衝液、水等に懸濁して調製した酵素懸濁液としてインドール類化合物の酸化反応に供する。
【0020】
これらの酸化反応に好適な条件は、インドール類化合物を基質として本発明のインドール酸化酵素、あるいは該酵素を含有する菌体懸濁液を作用させた後、例えば、インドール類化合物の分解率を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などを使用して測定することにより、選定できる。この測定においては必要に応じて他の分析方法を併せて利用してもよい。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明においては、特にこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0021】
実施例1
コークス炉廃水処理に用いる活性汚泥から複合微生物のDNAを抽出し、メタゲノムライブラリーを構築した。メタゲノムライブラリーは宿主として大腸菌(Escherichia coli)EPI300株とベクターとしてフォスミド(Fosmid)ベクターを利用し、平均約30 kbp の長さのDNAを含むクローンを取得した。
次いで、インドール酸化遺伝子を単離するため、メタゲノムライブラリーを培養したLB(Luria-bertani)寒天培地上にBacillus subtilis を懸濁した0.7 % 寒天を含むLB培地を重層した。メタゲノムクローンの周りにB.subtilis菌の生育阻害による阻止円が形成するクローンを選択分離し、フォスミドDNAを抽出して塩基配列の決定を行った。その中でメタゲノムクローンM103 株から得られたDNAが、Acyl-CoA dehydrogenase遺伝子と相同性がある新規の遺伝子であることが明らかとなり、該遺伝子がインドール酸化酵素をコードする遺伝子と同定し、Indole-catabolizing proteinの略を用い、icpと命名した。
【0022】
実施例2
メタゲノムクローン M103 株より単離した icp 遺伝子を含むベクター DNA であるpM103を鋳型に、下記の様に設計したプライマーセットを用いPCRを行い、icp遺伝子をコードするDNA断片の増幅を試みた。PCR反応は、DNA断片10ngと鋳型として、下記の様に設計したプライマーおよびEX-Taq polymerase(タカラバイオ社製)を用いて、94℃10秒、55℃30秒、72℃60秒、30サイクルのPCRを行った。
【0023】
プライマーセット:
M103F-REC2; 5’-GGAATTCCATATGAACATCCAGAAAGAACCCTTTA(配列番号3)
M103R-REC2; 5’-CGGGATCCTTAGTCGCGTTCGCCCTCGTTGTAT(配列番号4)
【0024】
得られたDNA断片をpCR2.1 TOPO TA クローニングキット(Novagen社製)を利用して、PCR により増幅されたDNA断片の突出末端配列に特異的に結合するTAクローニングベクターであるpCR2.1 TOPO ベクター(Novagen社製)に導入した。pCR2.1 TOPOベクターは開始コドンとするATGとその上流にRBS、さらに上流にLacプロモーターを含むもので、用いる遺伝子をその開始コドンと読み枠に合わせて導入することにより、他菌株からの遺伝子でも効率的な発現が期待できるものである。構築したプラスミドを宿主としてEscherichia coli TOP10株(Novagen社製)へエレクトロポレーション法により形質転換した。
【0025】
実施例3
(1)上記実施例2で得られた組換え大腸菌を3 ml LB培地に植菌し、37℃で一晩振盪して前培養した。次いで、この前培養液を種菌として、新しい1 literのLB培地に1 ml植菌し、37℃で一晩培養した。培養後、菌液を250 ml容量の遠心チューブに入れ6,000 rpmで15分遠心し、集菌した。集菌してペレット化した菌体に40 mlのLB培地を加え、菌該ペレットを溶解し、さらに、80 mlのクロロホルムを加え、10分間手動で撹拌した。
この後、8,000 rpmで15分間遠心分離を行い、クロロホルム層(下層)のみをガラスのバイアルに移し、窒素ガス吹きつけによってガラスバイアル中のクロロホルムを気化した。
残留物に量のクロロホルムに加え溶解した。該溶解液は紺色を呈し、赤色と青色の色素を含有していた。
【0026】
(2)シリカゲルカラムを用いて、上記(1)で得られた溶解液中の赤色と青色の2種類の色素を精製し、以下の条件でTLC分析を行った。
固定相カラム; 内径2.7 mm、長さ15 cm、シリカゲル充填
展開溶媒; クロロホルム:ジエチルエーテル= 4 : 1
TLC分析条件 (Merck社 TLCプレート 20×20 シリカゲル60F254)
展開溶媒; クロロホルム : ジエチルエーテル= 1 : 1
【0027】
TLC分析の結果から、icp遺伝子を発現する組換え大腸菌は2種類の色素を生産し、Rf値(Relative to Front)の計測からそれぞれインジゴ、インジルビンと同定された。
この結果は、大腸菌がその菌体中に産生したインドールが、本発明のインドール酸化酵素により酸化され、インジゴ及びインジルビンに変換されたことを示している(図1)。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】バクテリアによるインドールの推定代謝経路を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるか、あるいは配列番号1に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加された配列からなる、インドール酸化活性を有するタンパク質。
【請求項2】
請求項1に記載のタンパク質をコードする遺伝子。
【請求項3】
以下の(a)、(b)または(c)のポリヌクレオチドからなるインドール酸化活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
(a)配列番号2に示される塩基配列または該塩基配列と相補の塩基配列からなるポリヌクレオチド
(b)配列番号2に示される塩基配列または該塩基配列と相補の塩基配列において、1または数個のヌクレオチドが欠失、置換若しくは付加されたポリヌクレオチド
(c)配列番号2に示される塩基配列または該塩基配列と相補の塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド
【請求項4】
請求項2または3に記載の遺伝子から選ばれる少なくとも1つの遺伝子を含むベクター。
【請求項5】
請求項4記載のベクターを含む形質転換体。
【請求項6】
請求項5に記載の形質転換体を培養し、得られる培養物からインドール酸化活性を有するタンパク質を採取することを特徴とする、インドール酸化活性を有するタンパク質の製造方法。
【請求項7】
請求項5に記載の形質転換体または請求項1に記載の酵素とインドール化合物とを接触させることを特徴とする、インジゴ関連化合物の製造方法。
【請求項8】
インジゴ関連化合物が、インジゴ、インジルビン、イサチン及びそれらの誘導体からなる群から選択される1またはそれ以上の化合物であることを特徴とする、請求項7に記載の方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−95284(P2009−95284A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−270327(P2007−270327)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】