説明

インナーニードル

【課題】関節鏡視下の膝半月板修復術および前十字靭帯、後十字靭帯縫合術、肩における腱板修復術および肩関節脱臼の関節縫着術の縫合を行う際、従来の針を使用せずに縫合糸を関節内外に誘導し、かつ縫合針を術中離脱する。
【解決手段】半月板6等、他関節内組織を貫通するためインナーニードル先端1を鋭にし、後端には生理食塩水等を注入する注射器用接続穴4と縫合糸挿入口3を設け、またインナーニードル本体2は筒もしくは半筒状である。縫合糸9を縫合糸挿入口3に設置し、注射器用接続穴4から生理食塩水等を注入するとその水圧(水流)を利用して縫合糸9はインナーニードル本体2の形状に沿って流れていく。これにより縫合糸9を半月板6に刺入、貫通させたインナーニードル本体2内を生理食塩水等の水圧(水流)により針を使用せずに関節内外へ誘導できる。また縫合糸9を引き抜き後、インナーニードルは容易に離脱可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は損傷を受けた関節内組織を関節鏡視下において縫合する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
関節鏡視下での半月板修復術は現在、糸付き針を関節内から関節外に引き抜き縫合する方法、関節外から糸を引き抜く方法、また関節内のみの操作で縫合する3種類の方法がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
1つめの方法は、操作は比較的容易であるが神経血管を保護して糸付き針を通す必要がある。2つめの方法および3つめの方法は操作が非常に困難である。またどの方法も糸を通すニードルホルダーが筒状になっており縫合終了までニードルホルダーを外す事が出来ない。本発明は関節鏡視下の膝半月板修復術および前十字靭帯、後十字靭帯縫合術、肩における腱板修復術および肩関節脱臼の関節縫着術において縫合を行う際、従来の針を使用せずに縫合糸を関節内外に誘導することを目的としている。また使用する縫合針の術中離脱可能を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決するための本発明は、従来の針と従来のニードルホルダーの機能を併せ持つ縫合針内に水圧(水流)にて縫合糸を誘導することにより、関節内外へ縫合糸を従来の針を使用せずに容易に誘導しかつ、術中に容易に離脱できるために筒もしくは半筒状にしたことを特徴とする関節鏡視下用縫合針である。これにより神経血管を損傷する恐れのある従来の針を使用せずに縫合することができ、また術中煩雑になっていた従来のニードルホルダーを必要とせず、手技を円滑に行うことができる。
【発明の効果】
【0005】
本発明により、以下に記載されるような効果を奏する。
【0006】
従来の針を用いないので神経血管への損傷を意識せずに手技を行うことができる。
【0007】
断裂部の整復を行いながら縫合糸の関節内外への誘導を容易に行うことができる。
【0008】
インナーニードルを自由に離脱できることにより、縫合糸を切断する必要がなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は従来の針と従来のニードルホルダーの機能を併せ持つ縫合針内に水圧(水流)にて縫合糸を誘導することにより、関節内外へ縫合糸を従来の針を使用せずに容易に誘導しかつ、術中に容易に離脱できるために筒もしくは半筒状にしたことを特徴とする関節鏡視下用縫合針の正面図である。
【0010】
図2は従来の針と従来のニードルホルダーの機能を併せ持つ縫合針内に水圧(水流)にて縫合糸を誘導することにより、関節内外へ縫合糸を従来の針を使用せずに容易に誘導しかつ、術中に容易に離脱できるために筒もしくは半筒状にしたことを特徴とする関節鏡視下用縫合針の側面図である。
【0011】
図1および2に示すように、先端1を刺入しやすい鋭にし、後端は生理食塩水等を注入する注射器を接続するための注射器接続用穴4となっている。またインナーニードル本体2は、筒もしくは半筒状にし縫合糸9がその湾曲に沿って進むようになっている。まず、外側膝蓋下から膝関節に関節鏡を挿入し、半月板6の断裂部5を確認する。内側膝蓋下より挿入したインナーニードルの先端1で断裂部5を押して断裂部5の整復を行う。次に図3に示すように、整復位置を保持したままインナーニードルを半月板6に刺入し、インナーニードル先端1が対側に突出するまで貫通させる。生理食塩水等入り注射器をインナーニードル後端の注射器接続用穴4に接続し、縫合糸9をインナーニードルの糸挿入口3に設置する。注射器を操作し、生理食塩水等を注入することにより縫合糸9がインナーニードル本体2に沿って進み対側へ導き出される。縫合糸9の対側への引き抜きを終えるとインナーニードルを離脱させる。再び半月板6上方にインナーニードルを刺入、断裂部5をかけて貫通させ縫合糸9をインナーニードル糸挿入口3に設置し生理食塩水等と共に対側へ導き出す。縫合糸9の両端を皮膚8上まで導き縫合し、皮下に埋没する。この行程を数回繰り返し行うことにより断裂部5はしっかり縫合される。
【0012】
図4に示す実施例では関節内にて縫合が可能である。関節鏡視下にインナーニードルで断裂部5の整復を行った後、インナーニードルの先端1を半月板6に刺入し断裂部5内を通過させた後、インナーニードル刺入側へ貫通させる。生理食塩水等入り注射器をインナーニードル後端の注射器接続用穴4に接続し、縫合糸9をインナーニードルの糸挿入口3に設置する。注射器を操作し、生理食塩水等を注入することにより縫合糸9がインナーニードル本体2に沿って断裂部5内を通過し再度、縫合糸9挿入側に導き出される。縫合糸9の引き抜きを終えるとインナーニードルを離脱させる。これにより断裂部5はしっかり関節内で縫合される。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明に係るインナーニードルは関節鏡視下における半月板修復術および前十字靭帯、後十字靭帯縫合術、肩における腱板修復術および肩関節脱臼の関節縫着術にて使用することができるため、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来の糸付き針を使用せずに縫合するインナーニードルの正面図である。
【0015】
【図2】従来の糸付き針を使用せずに縫合するインナーニードルの側面図である。
【0016】
【図3】インナーニードルを用いた半月板修復術の説明図である。
【0017】
【図4】インナーニードルを用いた関節内での半月板修復術の説明図である。
【符号の説明】
【0018】
1 インナーニードル先端
2 インナーニードル本体
3 縫合糸挿入口
4 注射器接続用穴
5 断裂部
6 半月板
7 関節包
8 皮膚
9 縫合糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
関節鏡視下の半月板縫合術に用いられる従来の針と従来のニードルホルダーの機能を併せ持つ縫合針内に水圧(水流)にて縫合糸を誘導することにより、関節内外へ縫合糸を従来の針を使用せずに容易に誘導しかつ、術中に容易に離脱できるために筒もしくは半筒状にしたことを特徴とする関節鏡視下用縫合針。
【請求項2】
関節鏡視下手術において損傷した組織の縫合に用いられ従来の針と従来のニードルホルダーの機能を併せ持つ縫合針内に水圧(水流)にて縫合糸を誘導することにより、関節内外へ縫合糸を従来の針を使用せずに容易に誘導しかつ、術中に容易に離脱できるために筒もしくは半筒状にしたことを特徴とする関節鏡視下用縫合針。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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