インバータ装置
【課題】 制御部と操作部との配置関係を自由にし、メンテナンス時の制御部の点検を容易にすることができるインバータ装置を提供する。
【解決手段】 制御部3と操作部との接続にハーネス17を用いることにより、インバータ装置の種類が変わって制御部3と操作部との位置関係が変わっても、ハーネス17の長さを変更することで制御部3に対する操作部の配置を自由にすることができる。また、操作部を回動可能なケース5に装着したことにより、メンテナンス時の点検を容易にすることができる。
【解決手段】 制御部3と操作部との接続にハーネス17を用いることにより、インバータ装置の種類が変わって制御部3と操作部との位置関係が変わっても、ハーネス17の長さを変更することで制御部3に対する操作部の配置を自由にすることができる。また、操作部を回動可能なケース5に装着したことにより、メンテナンス時の点検を容易にすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータ装置に関し、特に運転、停止、各種設定を行う操作部をあらゆる機種(用途)や容量(外形寸法)のものに対応できるように取り付け構造を改善したインバータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、インバータ装置は、商用電源から必要な電力を出力する機能を有し、電力変換を行う主回路部と、この主回路部の制御を行う制御部と、その制御部に対して各種操作を行う操作部と、これらの要素を収納している筐体とを備えている。
【0003】
主回路部は、一般に、交流を直流に変換する整流器及び平滑コンデンサと直流を交流に変換する半導体スイッチング素子とを備えている(たとえば、特許文献1参照。)。
また、制御部及び操作部は、それぞれのプリント基板にコネクタが設けられていて、これらのコネクタを介して相互に結合されている。このため、操作部は、そのコネクタを介して制御部と機械的に固定されるとともに、電気的にも接続されている(たとえば、特許文献2参照。)。
【0004】
図12は、従来のインバータ装置の内部構成を示した斜視図であり、図13は、従来のインバータ装置での操作部の制御部への取り付け状態を示す斜視図であり、図14は、操作部と制御部との接続関係を示す斜視図である。
【0005】
インバータ装置100は、図12に示したように、筐体104の中の高さ方向の中間位置に主回路部101が配置されており、その図の上方には制御部102が積層状態で配置されている。そして、制御部102の図の上方には、操作部103が配置されている。
【0006】
制御部102は、図14に示したように、制御部102のプリント基板上にコネクタ106が実装されており、図示はしないが、そのコネクタ106に対応するコネクタが操作部103の裏面に設けられている。この操作部103の制御部102への装着は、操作部103のコネクタを制御部102のコネクタ106に結合することによって行われるが、操作部103の装着状態を安定させるためには、図13に示したように、操作部103のケーシングを支持する支持部材が制御部102との間に介挿された状態で操作部103が制御部102に固定されている。このように、操作部103は、基板対基板用コネクタを用いて制御部102に結合するようにしたことで、制御部102に対して機械的に固定され、かつ電気的に接続されるようにしている。
【0007】
上記の構成からなるインバータ装置100においては、主回路部101が商用電源の交流を直流に変換し、さらにその直流を負荷に応じた交流の電力に変換することにより、電力の変換を行う。その主回路部101の電力変換の制御は、制御部102によって行われる。その制御部102に対する運転、停止などの指示は、操作部103の前面に配置されたスイッチを操作し、表示器による確認を通じて行われる。
【特許文献1】特開2000−232288号公報(図1)
【特許文献2】特開2000−175459号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のような構造のインバータ装置では、制御部と操作部とが基板対基板用コネクタにより接続されているため、制御部に操作部を固定する位置が限定されてしまい、制御部に対する操作部の配置に自由度がないという問題点があった。また、メンテナンス時には、操作部直下のプリント基板に対して点検を行おうとすると、操作部を取り外さなければならないため、取り外しに手間がかかり、操作部を取り外してしまうことにより操作部を利用した点検ができないなどメンテナンス性が悪いという問題点があった。
【0009】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、制御部に対する操作部の配置を自由に設計できるとともに、メンテナンスを容易にすることができるインバータ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では上記問題を解決するために、運転、停止、各種設定などを行う操作部と、前記操作部とは電気的に接続された制御部と、前記制御部の制御の基に電力の変換を行う主回路部と、前記操作部、前記制御部及び前記主回路部を収容する筐体とを備えたインバータ装置において、前記操作部を着脱自在に収容することができるケースと、前記ケースに設置されて前記操作部を前記ケースに装着したときに前記操作部と電気的に接続されるとともに前記操作部を前記ケースに固定することができるコネクタと、前記コネクタと前記制御部とを電気的に接続するハーネスと、を備えていることを特徴とするインバータ装置が提供される。
【0011】
このようなインバータ装置によれば、制御部と操作部との接続にハーネスを用いることにより、制御部と操作部との位置関係を自由にすることが可能になる。
また、本発明によれば、操作部が装着されるケースは、筐体に対して回動自在に支持される支持手段を一端に有し、他端には筐体に対して嵌脱自在に固定される固定手段を有している。これにより、操作部によって覆われている制御部の点検の際には、嵌脱自在な固定手段を外し、支持手段を中心としてケースを回動させることにより、容易に操作部を制御部から退避させることができるので、メンテナンス性がよくなる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のインバータ装置は、操作部の機械的な固定をケースで行い、制御部との電気的な接続をハーネスで行うように構成したことにより、外形寸法の異なるインバータ装置間で制御部と操作部との位置関係を自由にすることが可能になるという利点がある。また、操作部は共通であるが仕様の違いなどにより制御部が異なっている場合のように用途の異なるインバータ装置間においても、操作部との接続のためのコネクタを自由に配置することが可能になる。さらに、操作部を固定しているケースの一端を回動可能とし、他端を嵌脱可能な構造にしたことにより、操作部をケースから取り外すことなく制御部を覆っている位置から移動させることができるので、メンテナンス時の作業が容易になるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、インバータ装置の内部構造を示した斜視図であり、図2は、操作部をケースに装着した状態を示した斜視図である。
【0014】
本発明によるインバータ装置1は、端子台を備えた主回路部2と、この主回路部2を制御する制御部3と、この制御部3に対して各種操作を行うための操作部4を装着するケース5とが筐体6の内部に積み重ねられるように配置されている。
【0015】
筐体6の両側面には、図2に示した支持金具7と固定金具8とがそれぞれ固定されていて、その支持金具7には、ケース5の一端が支持され、固定金具8には、ケース5の他端が固定されている。これにより、操作部4を装着したケース5が制御部3を覆い隠すような状態で、筐体6の中に設置されている。
【0016】
図3は、ケースの操作部取り付け面側の構造を示した斜視図であり、図4は、ケースの裏面側の構造を示した斜視図、図5は、ケースと制御部との電気的な接続の状態を示す斜視図である。
【0017】
ケース5は、その前面部に操作部4を収納するための収納部9が操作部4の外形に合わせて凹設されている。その収納部9の底面には、操作部4を装着したときに、その操作部4を機械的に固定し、電気的に接続するモジュラージャック10が設置されている。なお、図示はしないが、操作部4を装着したときに、そのモジュラージャック10に嵌合されるモジュラープラグが操作部4の裏面に設けられている。
【0018】
モジュラージャック10は、図4に示したように、プリント基板に実装され、ケース5の裏面側から取り付けられる。すなわち、収納部9の底面には、取付孔11が開口されていて、その取付孔11にモジュラージャック10が裏面側から挿入され、モジュラージャック10を実装しているプリント基板を取付孔11の周囲に設けられたフックにより掛止することでケース5に固定するようにしている。したがって、操作部4は、これを収納部9に押し込むことでモジュラージャック10に嵌合されてケース5に固定されることになる。
【0019】
モジュラージャック10を実装しているプリント基板は、図5に示したように、ハーネス17の一端がはんだ付けされており、その他端には制御部3に実装されたコネクタ18に嵌合するコネクタが接続されている。
【0020】
このように操作部4と制御部3とがハーネス17によって接続されているため、インバータ装置の機種や種類によって内部構造が変わることによりケース5に装着された操作部4の位置と制御部3の接続位置とが変更されたとしても、ハーネス17の長さを変更するだけで、操作部4と制御部3との位置関係を自由に変更することが可能になる。
【0021】
ケース5は、また、図4に示したように、ケース5を回動自在に支持する側の端面に、筐体6に固定された支持金具7に取り付けるための結合部を有している。この結合部は、ケース5の端面の長手方向両端に近い位置に突設された基部13,14を有し、これらの基部13,14には、端面に平行かつ同一の方向に延出されていて互いに同一軸線上に配置された回転軸15,16をそれぞれ有している。
【0022】
図6は、ケースと支持金具との取り付け構造を示す斜視図であり、図7は、ケースと支持金具とを取り付けた状態を示す斜視図である。
支持金具7は、アングル材の水平部の先端を直角に屈曲して形成された支持片19と、水平部の途中を切り起こして形成された支持片20とを有し、ケース5を回動可能に支持する軸受部を構成している。これら支持片19,20は、ケース5に設けられた基部13,14の設置間隔と同じ距離だけ離間されている。これら支持片19,20の上部近傍には、それぞれ孔21,22が穿設されていて、基部13,14に設けられた回転軸15,16における軸受部の軸孔を構成している。
【0023】
回転軸15,16を支持片19,20の孔21,22に合わせてケース5を回転軸15,16が突設されている方向に移動させることにより、図7に示したように、回転軸15,16がそれぞれ対応する孔21,22に嵌め込まれ、これによって、ケース5は、回転軸15,16を中心にして回動自在に支持金具7に取り付けられることになる。
【0024】
図8は、ケースの回動範囲を規制するストッパ機構及びケースの脱落防止機構を示す斜視図であり、図9は、図8のA部詳細を表す拡大図である。
ケース5は、その支持側の端面に回転軸15,16の基部13,14を長手方向両端の内側に形成されていて、ケース5の回転軸15,16を中心として反時計回り方向に回転したときに、ケース5の支持側の端面が支持片19,20の頂部の当接部23に当接するようにしている。これにより、ケース5は、それ以上回転することができず、ケース5の支持側の端面が支持片19,20の当接部23に当接するまでが回動可能範囲になっている。なお、ケース5の回動可能範囲は90°以上とすることで、メンテナンス時に制御部3等にアクセスする際にケース5を支えることなく、図8に示す状態で停止させておくことができる。また、ハーネス17は、図8の状態で引っ張られない程度の長さに調整しておく。
【0025】
また、回転軸15,16は、支持片19,20の孔21,22に遊嵌されているため、ケース5が回転してその支持側の端面が支持片19,20の当接部23に当接した場合に、ケース5は、その当接部23を中心として反時計回りの方向に回転しようとして、回転軸15,16に荷重がかかり、それによって回転軸15,16が支持片19,20の孔21,22から脱落してしまう恐れがある。
【0026】
そこで、回転軸15には、脱落防止用の突起24を設けるようにしている。図9に示した例では、回転軸15は、十字形状に形成されていて、支持片20の孔22と摺接している4つの摺接部のうち、ケース5が当接部23に当接することによって荷重がかかる回転軸15の摺接部の先端に脱落防止用の突起24を設けている。これにより、ケース5が当接部23に当接することにより回転軸15に荷重がかかった場合に、その突起24が支持片20の孔22に掛止されることになるので、回転軸15,16が支持片19,20から抜け出てしまうことはなくなる。なお、この脱落防止用の突起24は、回転軸15,16の一方にあればよいが、両方にあってもよい。
【0027】
図10は、ケースと固定金具との取り付け構造を示す斜視図であり、図11は、ケースと固定金具とを取り付けた状態を示す斜視図である。
ケース5は、これを支持する側の端面と反対の側に筐体6に対して嵌脱自在に固定するための機構を有している。この機構は、筐体6に固定される固定金具8とケース5に設けられた掛止レバー25とによるスナップフィット構造としている。
【0028】
ケース5は、これの嵌脱時に用いる操作ハンドルを備えた操作突部26が固定金具8と嵌合される形状に形成されている。この操作突部26は、その先端近傍における図の上下方向両端面にばね性を有する掛止レバー25が一体に形成されている。
【0029】
一方、この操作突部26が嵌合される固定金具8は、図の上下方向両端部が屈曲されて操作突部26を図の上下方向から把持する把持片29,30が形成されている。これらの把持片29,30は、操作突部26の受け入れを容易にするため、先端部が外側に傾斜されていて間口を広げるようにしている。把持片29,30には、操作突部26の掛止レバー25が嵌合されて掛止される嵌合孔27,28が穿設されている。
【0030】
したがって、操作突部26が固定金具8に押し込まれることで、掛止レバー25が嵌合孔27,28に嵌合され、さらにその嵌合孔27,28に掛止されることによって、ケース5は、固定金具8に固定されることになる。ケース5を固定金具8から外す場合は、掛止レバー25が内側へ押し込まれることで、嵌合孔27,28との掛止状態を解除することができるので、その状態で、操作突部26が手前に引かれることにより、ケース5は、固定金具8から離脱されて回動可能になる。
【0031】
上記の構造から、図11に示すように、操作部4を装着したケース5は、支持金具7に支持されることにより回動自在になり、固定金具8にスナップフィットすることにより嵌脱可能となる。したがって、メンテナンス時に操作部4が収納されたケース5を回動させることにより、制御部3を点検することができるので、メンテナンス性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】インバータ装置の内部構造を示した斜視図である。
【図2】操作部をケースに装着した状態を示した斜視図である。
【図3】ケースの操作部取り付け面側の構造を示した斜視図である。
【図4】ケースの裏面側の構造を示した斜視図である。
【図5】ケースと制御部との電気的な接続の状態を示す斜視図である。
【図6】ケースと支持金具との取り付け構造を示す斜視図である。
【図7】ケースと支持金具とを取り付けた状態を示す斜視図である。
【図8】ケースの回動範囲を規制するストッパ機構及びケースの脱落防止機構を示す斜視図である。
【図9】図8のA部詳細を表す拡大図である。
【図10】ケースと固定金具との取り付け構造を示す斜視図である。
【図11】ケースと固定金具とを取り付けた状態を示す斜視図である。
【図12】従来のインバータ装置の内部構成を示した斜視図である。
【図13】従来のインバータ装置での操作部の制御部への取り付け状態を示す斜視図である。
【図14】操作部と制御部との接続関係を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0033】
1 インバータ装置
2 主回路部
3 制御部
4 操作部
5 ケース
6 筐体
7 支持金具
8 固定金具
9 収納部
10 モジュラージャック
11 取付孔
13,14 基部
15,16 回転軸
17 ハーネス
18 コネクタ
19,20 支持片
21,22 孔
23 当接部
24 突起
25 掛止レバー
26 操作突部
27,28 嵌合孔
29,30 把持片
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータ装置に関し、特に運転、停止、各種設定を行う操作部をあらゆる機種(用途)や容量(外形寸法)のものに対応できるように取り付け構造を改善したインバータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、インバータ装置は、商用電源から必要な電力を出力する機能を有し、電力変換を行う主回路部と、この主回路部の制御を行う制御部と、その制御部に対して各種操作を行う操作部と、これらの要素を収納している筐体とを備えている。
【0003】
主回路部は、一般に、交流を直流に変換する整流器及び平滑コンデンサと直流を交流に変換する半導体スイッチング素子とを備えている(たとえば、特許文献1参照。)。
また、制御部及び操作部は、それぞれのプリント基板にコネクタが設けられていて、これらのコネクタを介して相互に結合されている。このため、操作部は、そのコネクタを介して制御部と機械的に固定されるとともに、電気的にも接続されている(たとえば、特許文献2参照。)。
【0004】
図12は、従来のインバータ装置の内部構成を示した斜視図であり、図13は、従来のインバータ装置での操作部の制御部への取り付け状態を示す斜視図であり、図14は、操作部と制御部との接続関係を示す斜視図である。
【0005】
インバータ装置100は、図12に示したように、筐体104の中の高さ方向の中間位置に主回路部101が配置されており、その図の上方には制御部102が積層状態で配置されている。そして、制御部102の図の上方には、操作部103が配置されている。
【0006】
制御部102は、図14に示したように、制御部102のプリント基板上にコネクタ106が実装されており、図示はしないが、そのコネクタ106に対応するコネクタが操作部103の裏面に設けられている。この操作部103の制御部102への装着は、操作部103のコネクタを制御部102のコネクタ106に結合することによって行われるが、操作部103の装着状態を安定させるためには、図13に示したように、操作部103のケーシングを支持する支持部材が制御部102との間に介挿された状態で操作部103が制御部102に固定されている。このように、操作部103は、基板対基板用コネクタを用いて制御部102に結合するようにしたことで、制御部102に対して機械的に固定され、かつ電気的に接続されるようにしている。
【0007】
上記の構成からなるインバータ装置100においては、主回路部101が商用電源の交流を直流に変換し、さらにその直流を負荷に応じた交流の電力に変換することにより、電力の変換を行う。その主回路部101の電力変換の制御は、制御部102によって行われる。その制御部102に対する運転、停止などの指示は、操作部103の前面に配置されたスイッチを操作し、表示器による確認を通じて行われる。
【特許文献1】特開2000−232288号公報(図1)
【特許文献2】特開2000−175459号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のような構造のインバータ装置では、制御部と操作部とが基板対基板用コネクタにより接続されているため、制御部に操作部を固定する位置が限定されてしまい、制御部に対する操作部の配置に自由度がないという問題点があった。また、メンテナンス時には、操作部直下のプリント基板に対して点検を行おうとすると、操作部を取り外さなければならないため、取り外しに手間がかかり、操作部を取り外してしまうことにより操作部を利用した点検ができないなどメンテナンス性が悪いという問題点があった。
【0009】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、制御部に対する操作部の配置を自由に設計できるとともに、メンテナンスを容易にすることができるインバータ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では上記問題を解決するために、運転、停止、各種設定などを行う操作部と、前記操作部とは電気的に接続された制御部と、前記制御部の制御の基に電力の変換を行う主回路部と、前記操作部、前記制御部及び前記主回路部を収容する筐体とを備えたインバータ装置において、前記操作部を着脱自在に収容することができるケースと、前記ケースに設置されて前記操作部を前記ケースに装着したときに前記操作部と電気的に接続されるとともに前記操作部を前記ケースに固定することができるコネクタと、前記コネクタと前記制御部とを電気的に接続するハーネスと、を備えていることを特徴とするインバータ装置が提供される。
【0011】
このようなインバータ装置によれば、制御部と操作部との接続にハーネスを用いることにより、制御部と操作部との位置関係を自由にすることが可能になる。
また、本発明によれば、操作部が装着されるケースは、筐体に対して回動自在に支持される支持手段を一端に有し、他端には筐体に対して嵌脱自在に固定される固定手段を有している。これにより、操作部によって覆われている制御部の点検の際には、嵌脱自在な固定手段を外し、支持手段を中心としてケースを回動させることにより、容易に操作部を制御部から退避させることができるので、メンテナンス性がよくなる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のインバータ装置は、操作部の機械的な固定をケースで行い、制御部との電気的な接続をハーネスで行うように構成したことにより、外形寸法の異なるインバータ装置間で制御部と操作部との位置関係を自由にすることが可能になるという利点がある。また、操作部は共通であるが仕様の違いなどにより制御部が異なっている場合のように用途の異なるインバータ装置間においても、操作部との接続のためのコネクタを自由に配置することが可能になる。さらに、操作部を固定しているケースの一端を回動可能とし、他端を嵌脱可能な構造にしたことにより、操作部をケースから取り外すことなく制御部を覆っている位置から移動させることができるので、メンテナンス時の作業が容易になるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、インバータ装置の内部構造を示した斜視図であり、図2は、操作部をケースに装着した状態を示した斜視図である。
【0014】
本発明によるインバータ装置1は、端子台を備えた主回路部2と、この主回路部2を制御する制御部3と、この制御部3に対して各種操作を行うための操作部4を装着するケース5とが筐体6の内部に積み重ねられるように配置されている。
【0015】
筐体6の両側面には、図2に示した支持金具7と固定金具8とがそれぞれ固定されていて、その支持金具7には、ケース5の一端が支持され、固定金具8には、ケース5の他端が固定されている。これにより、操作部4を装着したケース5が制御部3を覆い隠すような状態で、筐体6の中に設置されている。
【0016】
図3は、ケースの操作部取り付け面側の構造を示した斜視図であり、図4は、ケースの裏面側の構造を示した斜視図、図5は、ケースと制御部との電気的な接続の状態を示す斜視図である。
【0017】
ケース5は、その前面部に操作部4を収納するための収納部9が操作部4の外形に合わせて凹設されている。その収納部9の底面には、操作部4を装着したときに、その操作部4を機械的に固定し、電気的に接続するモジュラージャック10が設置されている。なお、図示はしないが、操作部4を装着したときに、そのモジュラージャック10に嵌合されるモジュラープラグが操作部4の裏面に設けられている。
【0018】
モジュラージャック10は、図4に示したように、プリント基板に実装され、ケース5の裏面側から取り付けられる。すなわち、収納部9の底面には、取付孔11が開口されていて、その取付孔11にモジュラージャック10が裏面側から挿入され、モジュラージャック10を実装しているプリント基板を取付孔11の周囲に設けられたフックにより掛止することでケース5に固定するようにしている。したがって、操作部4は、これを収納部9に押し込むことでモジュラージャック10に嵌合されてケース5に固定されることになる。
【0019】
モジュラージャック10を実装しているプリント基板は、図5に示したように、ハーネス17の一端がはんだ付けされており、その他端には制御部3に実装されたコネクタ18に嵌合するコネクタが接続されている。
【0020】
このように操作部4と制御部3とがハーネス17によって接続されているため、インバータ装置の機種や種類によって内部構造が変わることによりケース5に装着された操作部4の位置と制御部3の接続位置とが変更されたとしても、ハーネス17の長さを変更するだけで、操作部4と制御部3との位置関係を自由に変更することが可能になる。
【0021】
ケース5は、また、図4に示したように、ケース5を回動自在に支持する側の端面に、筐体6に固定された支持金具7に取り付けるための結合部を有している。この結合部は、ケース5の端面の長手方向両端に近い位置に突設された基部13,14を有し、これらの基部13,14には、端面に平行かつ同一の方向に延出されていて互いに同一軸線上に配置された回転軸15,16をそれぞれ有している。
【0022】
図6は、ケースと支持金具との取り付け構造を示す斜視図であり、図7は、ケースと支持金具とを取り付けた状態を示す斜視図である。
支持金具7は、アングル材の水平部の先端を直角に屈曲して形成された支持片19と、水平部の途中を切り起こして形成された支持片20とを有し、ケース5を回動可能に支持する軸受部を構成している。これら支持片19,20は、ケース5に設けられた基部13,14の設置間隔と同じ距離だけ離間されている。これら支持片19,20の上部近傍には、それぞれ孔21,22が穿設されていて、基部13,14に設けられた回転軸15,16における軸受部の軸孔を構成している。
【0023】
回転軸15,16を支持片19,20の孔21,22に合わせてケース5を回転軸15,16が突設されている方向に移動させることにより、図7に示したように、回転軸15,16がそれぞれ対応する孔21,22に嵌め込まれ、これによって、ケース5は、回転軸15,16を中心にして回動自在に支持金具7に取り付けられることになる。
【0024】
図8は、ケースの回動範囲を規制するストッパ機構及びケースの脱落防止機構を示す斜視図であり、図9は、図8のA部詳細を表す拡大図である。
ケース5は、その支持側の端面に回転軸15,16の基部13,14を長手方向両端の内側に形成されていて、ケース5の回転軸15,16を中心として反時計回り方向に回転したときに、ケース5の支持側の端面が支持片19,20の頂部の当接部23に当接するようにしている。これにより、ケース5は、それ以上回転することができず、ケース5の支持側の端面が支持片19,20の当接部23に当接するまでが回動可能範囲になっている。なお、ケース5の回動可能範囲は90°以上とすることで、メンテナンス時に制御部3等にアクセスする際にケース5を支えることなく、図8に示す状態で停止させておくことができる。また、ハーネス17は、図8の状態で引っ張られない程度の長さに調整しておく。
【0025】
また、回転軸15,16は、支持片19,20の孔21,22に遊嵌されているため、ケース5が回転してその支持側の端面が支持片19,20の当接部23に当接した場合に、ケース5は、その当接部23を中心として反時計回りの方向に回転しようとして、回転軸15,16に荷重がかかり、それによって回転軸15,16が支持片19,20の孔21,22から脱落してしまう恐れがある。
【0026】
そこで、回転軸15には、脱落防止用の突起24を設けるようにしている。図9に示した例では、回転軸15は、十字形状に形成されていて、支持片20の孔22と摺接している4つの摺接部のうち、ケース5が当接部23に当接することによって荷重がかかる回転軸15の摺接部の先端に脱落防止用の突起24を設けている。これにより、ケース5が当接部23に当接することにより回転軸15に荷重がかかった場合に、その突起24が支持片20の孔22に掛止されることになるので、回転軸15,16が支持片19,20から抜け出てしまうことはなくなる。なお、この脱落防止用の突起24は、回転軸15,16の一方にあればよいが、両方にあってもよい。
【0027】
図10は、ケースと固定金具との取り付け構造を示す斜視図であり、図11は、ケースと固定金具とを取り付けた状態を示す斜視図である。
ケース5は、これを支持する側の端面と反対の側に筐体6に対して嵌脱自在に固定するための機構を有している。この機構は、筐体6に固定される固定金具8とケース5に設けられた掛止レバー25とによるスナップフィット構造としている。
【0028】
ケース5は、これの嵌脱時に用いる操作ハンドルを備えた操作突部26が固定金具8と嵌合される形状に形成されている。この操作突部26は、その先端近傍における図の上下方向両端面にばね性を有する掛止レバー25が一体に形成されている。
【0029】
一方、この操作突部26が嵌合される固定金具8は、図の上下方向両端部が屈曲されて操作突部26を図の上下方向から把持する把持片29,30が形成されている。これらの把持片29,30は、操作突部26の受け入れを容易にするため、先端部が外側に傾斜されていて間口を広げるようにしている。把持片29,30には、操作突部26の掛止レバー25が嵌合されて掛止される嵌合孔27,28が穿設されている。
【0030】
したがって、操作突部26が固定金具8に押し込まれることで、掛止レバー25が嵌合孔27,28に嵌合され、さらにその嵌合孔27,28に掛止されることによって、ケース5は、固定金具8に固定されることになる。ケース5を固定金具8から外す場合は、掛止レバー25が内側へ押し込まれることで、嵌合孔27,28との掛止状態を解除することができるので、その状態で、操作突部26が手前に引かれることにより、ケース5は、固定金具8から離脱されて回動可能になる。
【0031】
上記の構造から、図11に示すように、操作部4を装着したケース5は、支持金具7に支持されることにより回動自在になり、固定金具8にスナップフィットすることにより嵌脱可能となる。したがって、メンテナンス時に操作部4が収納されたケース5を回動させることにより、制御部3を点検することができるので、メンテナンス性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】インバータ装置の内部構造を示した斜視図である。
【図2】操作部をケースに装着した状態を示した斜視図である。
【図3】ケースの操作部取り付け面側の構造を示した斜視図である。
【図4】ケースの裏面側の構造を示した斜視図である。
【図5】ケースと制御部との電気的な接続の状態を示す斜視図である。
【図6】ケースと支持金具との取り付け構造を示す斜視図である。
【図7】ケースと支持金具とを取り付けた状態を示す斜視図である。
【図8】ケースの回動範囲を規制するストッパ機構及びケースの脱落防止機構を示す斜視図である。
【図9】図8のA部詳細を表す拡大図である。
【図10】ケースと固定金具との取り付け構造を示す斜視図である。
【図11】ケースと固定金具とを取り付けた状態を示す斜視図である。
【図12】従来のインバータ装置の内部構成を示した斜視図である。
【図13】従来のインバータ装置での操作部の制御部への取り付け状態を示す斜視図である。
【図14】操作部と制御部との接続関係を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0033】
1 インバータ装置
2 主回路部
3 制御部
4 操作部
5 ケース
6 筐体
7 支持金具
8 固定金具
9 収納部
10 モジュラージャック
11 取付孔
13,14 基部
15,16 回転軸
17 ハーネス
18 コネクタ
19,20 支持片
21,22 孔
23 当接部
24 突起
25 掛止レバー
26 操作突部
27,28 嵌合孔
29,30 把持片
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転、停止、各種設定などを行う操作部と、前記操作部とは電気的に接続された制御部と、前記制御部の制御の基に電力の変換を行う主回路部と、前記操作部、前記制御部及び前記主回路部を収容する筐体とを備えたインバータ装置において、
前記操作部を着脱自在に収容することができるケースと、
前記ケースに設置されて前記操作部を前記ケースに装着したときに前記操作部と電気的に接続されるとともに前記操作部を前記ケースに固定することができるコネクタと、
前記コネクタと前記制御部とを電気的に接続するハーネスと、
を備えていることを特徴とするインバータ装置。
【請求項2】
前記ケースは、前記筐体に対して回動自在に支持される支持手段を一端に有し、他端には前記筐体に対して嵌脱自在に固定される固定手段を有していることを特徴とする請求項1記載のインバータ装置。
【請求項3】
前記支持手段は、前記筐体の側面に対向する前記ケースの端面に前記筐体の側面と平行に延びる回転軸を有し、前記回転軸が前記筐体に固定される軸受部の軸孔に挿通されることにより支持されていることを特徴とする請求項2記載のインバータ装置。
【請求項4】
前記ケースは、開く方向の回転時に前記筐体に固定された前記軸受部に当接されるようにして回動範囲が規制されていることを特徴とする請求項3記載のインバータ装置。
【請求項5】
前記回転軸は、先端に前記軸孔に掛止される脱落防止用の突起を有していることを特徴とする請求項3記載のインバータ装置。
【請求項6】
前記固定手段は、前記筐体に固定された掛止部に嵌脱可能に掛止されるようにしたスナップフィット構造を有していることを特徴とする請求項2記載のインバータ装置。
【請求項1】
運転、停止、各種設定などを行う操作部と、前記操作部とは電気的に接続された制御部と、前記制御部の制御の基に電力の変換を行う主回路部と、前記操作部、前記制御部及び前記主回路部を収容する筐体とを備えたインバータ装置において、
前記操作部を着脱自在に収容することができるケースと、
前記ケースに設置されて前記操作部を前記ケースに装着したときに前記操作部と電気的に接続されるとともに前記操作部を前記ケースに固定することができるコネクタと、
前記コネクタと前記制御部とを電気的に接続するハーネスと、
を備えていることを特徴とするインバータ装置。
【請求項2】
前記ケースは、前記筐体に対して回動自在に支持される支持手段を一端に有し、他端には前記筐体に対して嵌脱自在に固定される固定手段を有していることを特徴とする請求項1記載のインバータ装置。
【請求項3】
前記支持手段は、前記筐体の側面に対向する前記ケースの端面に前記筐体の側面と平行に延びる回転軸を有し、前記回転軸が前記筐体に固定される軸受部の軸孔に挿通されることにより支持されていることを特徴とする請求項2記載のインバータ装置。
【請求項4】
前記ケースは、開く方向の回転時に前記筐体に固定された前記軸受部に当接されるようにして回動範囲が規制されていることを特徴とする請求項3記載のインバータ装置。
【請求項5】
前記回転軸は、先端に前記軸孔に掛止される脱落防止用の突起を有していることを特徴とする請求項3記載のインバータ装置。
【請求項6】
前記固定手段は、前記筐体に固定された掛止部に嵌脱可能に掛止されるようにしたスナップフィット構造を有していることを特徴とする請求項2記載のインバータ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−14476(P2006−14476A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−187643(P2004−187643)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(503361927)富士電機機器制御株式会社 (402)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(503361927)富士電機機器制御株式会社 (402)
【Fターム(参考)】
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