説明

インラインスクリュー式成形機の不良発生防止装置

【課題】 窒素ガスを供給する窒素ガス供給フランジがホッパーの下部に位置させていた為に、ホッパー下部の材料供給口より金型に至る間に窒素ガスを供給することやその間に滞留している空気や水蒸気及びガスを排出することが非常に困難であり、窒素ガスがホッパーから一部排出していた。 加えて、空気に含まれたまた樹脂に付着した水滴からの水蒸気によって、樹脂が溶融に際して発生したガスによって樹脂を劣化させていた。
【解決手段】 先端からメルトゾーンzとコンプレッションゾーンyとフィードゾーンxを形成したスクリュー12を加熱筒11内に収納し、フィードゾーンxに樹脂wを送り込むことが出来るように加熱筒11の後部にホッパー14を配設したインラインスクリュー式成形機に於いて、スクリュー12に形成されたメルトゾーンzの何れかの位置に窒素ガスを注入することが出来るように加熱筒11に窒素ガス供給配管101を接続した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インラインスクリュー式成形機の不良発生防止装置に関する技術であって、更に詳細に述べると、射出成形機や中空成形機の成形をするのに際して使用する原料の樹脂であるペレットや粉末を溶融し成形するのに際して、空気中の酸素により樹脂が酸化することで劣化し、空気に含まれたまた樹脂に付着した水滴を加熱することで発生した水蒸気によって更に発生したガスによって樹脂の劣化や成形品が変色を起こすのを、窒素ガスを注入することによって防止する技術について述べたものである。
【背景技術】
【0002】
従来、インラインスクリュー式成形機の不良発生防止装置に関する技術としては、窒素ガス発生装置からの窒素ガス供給配管をホッパー下部の窒素ガス供給フランジに接続して加熱筒内に窒素ガスを注入していた。
【0003】
以下、従来のインラインスクリュー式成形機の不良発生防止装置について概略を説明する。
【0004】
インラインスクリュー式成形機としては、射出成形機や中空成形機等があるが、射出成形機の場合は、高温の溶融樹脂に圧力をかけて金型に強制的に溶融樹脂を注入する装置である。 従来の射出成形機としては、図6に示すようなものがある。 これに示されるインラインスクリュー式の射出成形機10は、加熱筒11Gと、加熱筒ヘッド26と、これに回転可能かつ軸方向に対して移動可能にはめ合わされたスクリュー12と、加熱筒11Gの後部に取付ボルト29によって固定されたホッパー14と、加熱筒11Gの先端に設けられたノズル15と、スクリュー12の先端側にそれぞれ設けられたスクリューヘッド16、逆流防止リング18、及び押し金17と、加熱筒11の外周部に設けられた複数のヒータ19とを有している。
【0005】
この場合、可塑化工程においては、加熱を目的として配設されたヒータ19に通電するとともに、スクリュー12がスクリュー駆動装置(図示せず)の回転駆動部によって回転駆動されることにより、ホッパー14内の成形樹脂は、加熱筒11Gの材料供給口11aを通り、スクリュー12の螺旋溝12aに沿って前方のノズル15側に移送され、加熱及びせん断作用によって溶融・混錬され、スクリューヘッド16の前側の溶融樹脂貯留部に順次貯留される。 この間、貯留部の溶融樹脂の圧力によりスクリュー12は後退させられる。 所定量の溶融樹脂が貯留されると、スクリュー12の回転が停止して、可塑化工程が終了する。
【0006】
次に、射出工程が行なわれる。 すなわち、スクリュー駆動装置(図示せず)の軸方向駆動部によってスクリュー12が前進することにより、貯留された溶融樹脂がノズル15を通り、金型60のキャビテイ60a内に射出される。 このとき逆流防止リング18は、押し金17の前端部に押し付けられることにより、貯留中の溶融樹脂がホッパー14側に逆流するのを防止している。 従って、加熱筒11G内の逆流防止リング18より前方は高圧になるが、逆流防止リング18より後方はそれほど高圧にならない。 また、逆流防止リング18より後方は、材料供給口11aに近づくほど未溶融樹脂の割合が増加し、材料供給口11aの近傍は未溶融樹脂だけになり、未溶融樹脂が容易に分散移動し易い状態になっている。
【0007】
ところで、所定の保圧・冷却工程に続いて型開が行なわれている間に、次の可塑化工程が開始される。 一方、金型60からは成形品が取り出され、再び型閉じが行われて射出成形品が繰り返し成形される。
【0008】
この様に各工程を実施している中で、窒素ガス発生装置70からの窒素ガス供給配管102をホッパー14下部の窒素ガス供給フランジ50に接続して窒素ガスを加熱筒11G内に注入することで空気や水蒸気や発生したガスを加熱筒11Gの後部に追いやり、樹脂が溶融し成形するのに際して、空気中の酸素により樹脂が酸化して劣化するのを、空気に含まれたまた樹脂に付着した水滴を加熱することで発生した水蒸気によって更に樹脂の溶融によって発生したガスによって樹脂の劣化や成形品が変色を起こすのを防止していたのである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このような従来の、インラインスクリュー式成形機の不良発生防止装置に関しては、以下に示すような課題があった。
【0010】
先ず、窒素ガスを供給する窒素ガス供給フランジがホッパーの下部に位置させていた為に、ホッパー下部の材料供給口より金型に至る間に窒素ガスを供給することやその間に滞留している空気や水蒸気及びガスを排出することが非常に困難であった。 従って、樹脂であるペレットや粉末が溶融し成形するのに際して、空気中の酸素によって樹脂を酸化して劣化させ、空気に含まれたまた樹脂に付着した水滴を加熱することで発生した水蒸気によって更に樹脂の溶融によって発生したガスによって樹脂を劣化させ成形品を変色させていた。
【0011】
また、窒素ガスを供給する窒素ガス供給フランジがホッパーの下部に位置させていた為に、窒素ガスがホッパーから一部排出していた。 加えて、空気に含まれたまた樹脂に付着した水滴を加熱することで発生した水蒸気を樹脂に付着させ、樹脂が溶融に際して発生したガスによって樹脂を劣化させていた。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、先端からメルトゾーンzとコンプレッションゾーンyとフィードゾーンxを形成したスクリュー12を加熱筒11内に収納し、前記フィードゾーンxに樹脂wを送り込むことが出来るように前記加熱筒11の後部にホッパー14を配設したインラインスクリュー式成形機に於いて、前記スクリュー12に形成された前記メルトゾーンzの何れかの位置に窒素ガスを注入することが出来るように前記加熱筒11に窒素ガス供給配管101を接続したことを特徴とし、更には、先端からメルトゾーンzとコンプレッションゾーンyとフィードゾーンxを形成したスクリュー12を加熱筒11内に収納し、前記フィードゾーンxに樹脂wを送り込むことが出来るように前記加熱筒11の後部にホッパー14を配設したインラインスクリュー式成形機に於いて、前記スクリュー12に形成された前記コンプレッションゾーンyの何れかの位置に窒素ガスを注入することが出来るように前記加熱筒11に窒素ガス供給配管101を接続したことを特徴とし、更には、前記加熱筒11内に注入された窒素ガスが前記ホッパー14から流出しないように、また水蒸気や前記樹脂wが溶融するのに際して発生したガスが前記樹脂wに付着したり付着することで前記樹脂wと反応して不純物を作り出さないように、前記ホッパー14と前記加熱筒11の間にシール装置40A、40B、40C、40Dを配設したことを特徴とし、更には、前記シール装置40Aは、回転中心軸44を中心に回動可能なダンパー41の一端とシリンダー42のロッドを接続して第二ホッパー43内で作動するようにしたものであり、前記シリンダー42のロッドを縮めることで前記ダンパー41を開いて前記樹脂wを落下させ、前記シリンダー42のロッドを伸ばすことで前記ダンパー41を閉じて前記樹脂wを前記ホッパー14内に保持する構成であることを特徴とし、更には、前記シール装置40Bは、揺動モータ48に接続したボールバルブ46をバルブ取付部47に収納したものであり、前記揺動モータ48の回転で前記ボールバルブ46を開閉し、それによって前記ホッパー14内の前記樹脂wを落下させたり保持する構成であることを特徴とし、更には、前記シール装置40Cは、フィードモータ33に接続した平行歯型フィーダー31をフィードシリンダー32に収納したものであり、前記平行歯型フィーダー31には、前記フィードモータ33の回転中心と平行に溝31aと山31bを形成し、前記山31bによって前記ホッパー14との間を断続的に遮断する構成であることを特徴とし、更には、前記シール装置40Dは、フィードモータ38に接続したスクリュー型フィーダー36をフィードシリンダー37に収納したものであり、前記スクリュー型フィーダー36には、螺旋状の溝36a及び螺旋状と前記フィードモータ38の回転中心と平行な山36bを形成し、前記山36bによって前記ホッパー14との間を断続的に遮断する構成であることを特徴とすることによって、上記課題を解決したのである。
【発明の効果】
【0013】
以上の説明から明らかなように、本発明によって、以下に示すような効果をあげることが出来る。
【0014】
第一に、スクリューを形成しているメルトゾーンまたはコンプレッションゾーンの何れかの位置に窒素ガスを注入することが出来るように窒素ガス発生装置からの窒素ガス供給配管を加熱筒に接続したことで、ホッパー下部の材料供給口より金型に至る間に滞留している空気や水蒸気や発生したガスの排出も容易になった。 従って、樹脂であるペレットや粉末が溶融し成形するのに際して、空気中の酸素によって樹脂を酸化して劣化するのを防止し、空気に含まれたまた樹脂に付着した水滴を加熱することで発生した水蒸気によって更に樹脂の溶融によって発生したガスによって樹脂を劣化させ成形品を変色するのを防止した。
【0015】
第二に、ホッパーにシール装置を配設したことで、ホッパーからの窒素ガスの排出をかなり防止することが可能となった。 加えて、空気に含まれたまた樹脂に付着した水滴を加熱することで発生した水蒸気を樹脂に付着させ、樹脂が溶融に際して発生したガスによって樹脂が劣化するのをかなり防止出来るようになった。
【0016】
第三に、シール装置として、シリンダーのロッドとダンパーを接続して伸縮したり、ボールバルブを揺動モータで回転したりして、ホッパーを開閉することで、ホッパーからの窒素ガスの排出をかなり防止することが可能となった。
【0017】
第四に、シール装置として、フィードシリンダーに収納した平行歯型フィーダーやスクリュー型フィーダーをフィードモータで回転している中で、フィーダーを形成している山によって断続的に遮断することで、ホッパーからの窒素ガスの排出をかなり防止することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明のインラインスクリュー式成形機の不良発生防止装置の実施の形態を図面と共に詳細に説明する。
ここで、図1は、本発明の全体図であり、図2は、本発明のシール装置の第一実施例を示した図であり、図3は、本発明のシール装置の第二実施例を示した図であり、図4は、本発明のシール装置の第三実施例を示した図であり、図5は、本発明のシール装置の第四実施例を示した図である。
【0019】
図1において、10A、10B、10C、10Dは射出成形機でインラインスクリュー式であり、内部が中空となっている加熱筒11、この加熱筒11の内側に回転可能かつ軸方向に対して移動可能にはめ合わされたスクリュー12、加熱筒11の後部にシール装置40A、40B、40C、40Dを介して取付ボルト29で固定されたホッパー14、加熱筒11の先端に設けられたノズル15、スクリュー12の先端側にそれぞれ設けられたスクリューヘッド16、押し金17、及び逆流防止リング18、加熱筒11の外周部に加熱を目的として設けられた複数のヒータ19、加熱筒11とノズル15との間に配置された加熱筒ヘッド26等を有している。 尚、スクリュー12はこれに連結されたスクリュー駆動装置(図示せず)によって回転させられ、また軸方向に駆動されるようになっているのである。
【0020】
ここで、スクリュー12に関してもう少し詳細に記載すると、一般的にスクリュー12は、金型60側を先端と称し、先端側から螺旋溝12aが浅いメルトゾーンzと螺旋溝12aが除々に深く傾斜しているコンプレッションゾーンyと螺旋溝12aが深いフィードゾーンxを形成している。 そして、フィードゾーンxでは、ペレットや粉末の樹脂wを予熱しながら先端に送り、コンプレッションゾーンyでは、予熱された樹脂は螺旋溝12aが徐々に浅くなる中で剪断作用を受けながら外部加熱により溶融し、メルトゾーンzでは、溶融した樹脂に混錬を加え均質にしている。
【0021】
そして、図1に見られる様に、スクリュー12に形成されたメルトゾーンzとコンプレッションゾーンyの間に窒素ガスを注入することが出来るように加熱筒11に窒素ガス発生装置70からの窒素ガス供給配管101を接続している。 この場合、加熱筒11には窒素ガスを注入する孔が貫通してあって、加熱筒11には継手を配設し、その継手に窒素ガス供給配管101を接続している。 尚、窒素ガス供給配管101に関しては、分離膜方式によるものでも、PSA方式によるものでも、窒素ガスボンベによるものでも、その他の方式によるものでも構わない。
【0022】
但し、窒素ガス供給配管101を接続する位置としては、前記の位置に限定する必要は全くなく、メルトゾーンzとコンプレッションゾーンyの何れかの位置であれば構わない。更には、一番加熱と溶融がされている位置が、最も酸化され易く排ガスが発生し易いという実態から考えて、メルトゾーンzに窒素ガス供給配管101を接続するのが、更にはメルトゾーンzの最先端が最も理想的な位置とも言えるが、コンプレッションゾーンyでも良いし、場合によってはフィードゾーンxでも従来に較べると格段に改善されているということは言える。
【0023】
所で、窒素ガス供給配管101を接続する位置の数に関しては何等記載していないが、一箇所に限定する必要は無く、先端方向に位置を変えて複数箇所配設しても、先端方向の同じ位置に円周方向で均等に複数箇所配設しても、先端方向に位置を変えて複数箇所を更に同じ位置に円周方向で均等に複数箇所配設しても構わない。
【0024】
特に、先端方向に位置を変えて複数箇所配設することは、射出成形機に於いてはスクリュー12が前後方向に移動するため非常に有効であり、スクリュー12が移動する位置に合わせて不用な方の窒素ガスの注入を一時停止すると更に有効と考えられる。 例えば、可塑化工程でスクリューヘッド16の前側に位置している溶融樹脂貯留部に溶融樹脂が貯留されることで、スクリュー12が後退する時点では同時に逆流防止リング18も後退するが、少なくとも、逆流防止リング18が通過している最中または通過した後の位置に於いては窒素ガスの供給が不要となることは明白である。
【0025】
尚、本体に関しては、射出成形機10A、10B、10C、10Dに限定する必要は無く、インライン式の中空成形機でも構わない。
【0026】
一方、シール装置40A、40B、40C、40Dに関しては、以下に示す各実施例に構成を含めその内容を具体的に示す。
【0027】
(第一実施例)
図2は、本発明のシール装置の第一実施例を示した図で、40Aはシール装置であり、ホッパー14内の樹脂wを保持したり落下させる為に回転中心軸44を中心に回動することが出来るダンパー41と、ダンパー41とロッドが移動軸42bを介して移動軸42bそのものがダンパー41と共に回動可能に接続している中でロッドを構成し自身も回動するシリンダー42と、回転中心軸44を固定している第二ホッパー43より構成されていて、シリンダー42のロットを縮めることでダンパー41を開いてペレットや粉末の樹脂wを落下させ、シリンダー42のロッドを伸ばすことでダンパー41を閉じるようになっている。
【0028】
この場合、シリンダー42のロッド側と反対側の端部には、例えばホッパー14等に固定した(具体的に図示せず)固定軸42aによってシリンダー42が回動可能となっている。 また、シリンダー42のロッド側と反対側の端部をホッパー14に固定する意味としては、ホッパー14に直接固定するものでも、ホッパー14に間接的に固定する(例えば、何等かの部材を介している)ものでも構わない。 ここで、シリンダー42は空圧で作動するのが一般的であるが、電動モータと歯車を組み合わせてダンパー41を開閉させることでも可能である。 尚、射出成形機10Aは、シール装置40Aを構成したものである。
【0029】
本発明による、インラインスクリュー式成形機の不良発生防止装置は前述したように構成されており、以下に、その動作について説明する。
【0030】
射出成形作業時には、射出成形機10Aが駆動されて可塑化工程が開始される。即ち、加熱を目的として配設されたヒータ19が通電され、スクリュー12が回転させられることにより、ホッパー14内の成形樹脂wは、加熱筒11の材料供給口11aを通り、スクリュー12の螺旋溝12aに沿って前方のノズル15側に移送され、加熱及びせん断作用によって溶融・混錬され、スクリューヘッド16の前側の溶融樹脂貯留部に順次貯留される。 この間、貯留部の溶融樹脂の圧力によりスクリュー12は後退させられる。 ここで、所定の溶融樹脂が貯留されると、スクリュー12の回転が停止して、可塑化工程が終了する。
【0031】
次に、スクリュー駆動装置(図示せず)の軸方向駆動部でスクリュー12に前進方向の力が加えられることにより、貯留された溶融樹脂がノズル15を通り、金型60のキャビテイ60a内に射出され、射出工程が行われる。 このとき、逆流防止リング18は、押し金17の前端部に押し付けられることにより、貯留中の溶融樹脂がホッパー14側に逆流するのを防止しているのである。 従って、加熱筒11内の逆流防止リング18より前方は高圧になるが、逆流防止リング18より後方はそれほど高圧にはならない。 また、逆流防止リング18より後方では、材料供給口11aに近づくほど未溶融樹脂の割合が増加し、材料供給口11aの近傍では未溶融樹脂だけになっているのである。 特に、材料供給口11aの近傍では加熱筒11に送り込まれた樹脂wは、空隙の多い状態になっているのである。
【0032】
ここで、加熱筒11内の成形樹脂wが加熱され、フィードゾーンxでペレットや粉末の樹脂wを予熱しながら先端に送り、コンプレッションゾーンyで予熱された樹脂wは螺旋溝12aが徐々に浅くなる中で剪断作用を受けながら外部加熱により溶融し、メルトゾーンzで溶融した樹脂に混錬を加え均質にしている中で、窒素ガス発生装置70から窒素ガス供給配管101を経由して、図1の場合には、コンプレッションゾーンyとメルトゾーンzの間に窒素ガスを供給している。
【0033】
この様にして、窒素ガスを供給することによって、射出成形に際して使用する原料の樹脂wであるペレットや粉末を溶融し成形するのに際して、空気や溶融に際して発生したガスや水蒸気と窒素ガスを入れ替えることによって、空気中の酸素により溶融樹脂が酸化して劣化するのを防止し、空気中に含まれたまた樹脂に付着した水滴を加熱することで発生した水蒸気によって更に樹脂の溶融によって発生したガスによって溶融樹脂が劣化し成形品が変色するのを防止しているのである。
【0034】
所で、ホッパー14からの成形樹脂wに関して述べれば、加熱筒11の材料供給口11aを通過して、スクリュー12の螺旋溝12aに沿って前方のノズル15側に移送されるが、ホッパー14と加熱筒11の材料供給口11aの間にはシール装置40Aを設けている。
【0035】
この場合、シール装置40Aの目的とするところは、窒素ガス発生装置70からの窒素ガス供給配管101を加熱筒11に接続して加熱筒11内に窒素ガスを供給することで、加熱筒11とスクリュー12の間に滞留している空気や溶融に際して発生するガスや水蒸気が加熱筒11の後部に移動させられ、加熱筒11後部のスクリュー12との間やホッパー14から排出可能になっているのである。
【0036】
ここで、加熱筒11の内部から材料供給口11aを経由して溶融に際して発生したガスや水蒸気が排出すると、ホッパー14内の樹脂wに水滴が付着する可能性が有り、その場合には樹脂wが溶融した際に再度水蒸気を発生して不良を発生させる原因となる可能性があるし、ホッパー14内の樹脂wに発生したガスが反応して不純物を作り出す可能性が有り、その場合には樹脂wが溶融した際には不純物を含んだり変色した成形品作り出す原因となる可能性がある。
【0037】
そこで、ホッパー14の下部に気体の流入を少しの間でも遮断する目的でシール装置40Aを設けた訳であり、シリンダー42を構成しているロッドが移動軸42bを介してダンパー41と接続し、ダンパー41は第二ホッパー43に固定している回転中心軸44を中心に移動軸42bと共に回動可能にし、シリンダー42のロッドと反対側を固定軸42aを介してホッパー14に固定することでシリンダー42を回動可能にし、シリンダー42を伸ばすとダンパー41がホッパー14の下部を塞いでホッパー14内に樹脂wを保持し、同時にガスや水蒸気のホッパー14からの排出を防止し、シリンダー42を縮めるとダンパー41がホッパー14の下部を開放してホッパー14内の樹脂wを第二ホッパー43に落下させているのである。
【0038】
(第二実施例)
図3は、本発明のシール装置の第二実施例を示した図で、40Bはシール装置であり、ホッパー14内の樹脂wを保持したり落下させる為に、揺動モータ48に接続したボールバルブ46をバルブ取付部47の内部に収納したものであり、揺動モータ48の回転でボールバルブ46を開閉し、それによってホッパー14内の樹脂wを落下させたり保持するように構成しているのである。 尚、射出成形機10Bは、シール装置40Bを構成したものである。
【0039】
本発明による、インラインスクリュー式成形機の不良発生防止装置は前述したように構成されており、以下に、その動作について説明する。
【0040】
ここで、射出成形機10Bの可塑化工程や射出工程等の各工程の内容に関しては、第一実施例と同一であるので省略する。 また、窒素ガス供給の方法や効果に関しても第一実施例と同一であるので省略する。
【0041】
所で、ホッパー14からの成形樹脂wに関して述べれば、加熱筒11の材料供給口11aを通過して、スクリュー12の螺旋溝12aに沿って前方のノズル15側に移送されるが、ホッパー14と加熱筒11の材料供給口11aの間にはシール装置40Bを設けている。
【0042】
この場合、シール装置40Bの目的とするところは、第一実施例と同一であるので省略する。
【0043】
そこで、ホッパー14の下部に気体の流入を少しの間でも遮断する目的でシール装置40Bを設けた訳であり、揺動モータ48に接続したボールバルブ46をバルブ取付部47の内部に収納したものであり、揺動モータ48の回転でボールバルブ46を開閉し、それによってホッパー14内の樹脂wを落下させたり保持する構成となっているのである。尚、ボールバルブ46を開閉する時間の間隔や開放する時間に関しては、揺動モータ48の回転速度を変更することも含め、また歯車と組合わせることも含めて、自由に設定可能と考えて良い。
【0044】
(第三実施例)
図4は、本発明のシール装置の第三実施例を示した図で、40Cはシール装置であり、ホッパー14内の樹脂wを保持したり落下させる為に、フィードモータ33に接続した平行歯型フィーダー31をフィードシリンダー32の内部に収納したものであり、平行歯型フィーダー31には、フィードモータ33の回転中心と平行に溝31aと山31bを形成していて、山31bによってホッパー14との間を断続的に遮断する構成しているのである。 また、平行歯型フィーダー31の両端には、樹脂wが平行歯型フィーダー31よりはみ出さないように溝31aを形成しないシール部31cを形成している。 尚、射出成形機10Cは、シール装置40Cを構成したものである。
【0045】
本発明による、インラインスクリュー式成形機の不良発生防止装置は前述したように構成されており、以下に、その動作について説明する。
【0046】
ここで、射出成形機10Cの可塑化工程や射出工程等の各工程の内容に関しては、第一実施例と同一であるので省略する。 また、窒素ガス供給の方法や効果に関しても第一実施例と同一であるので省略する。
【0047】
所で、ホッパー14からの成形樹脂wに関して述べれば、加熱筒11の材料供給口11aを通過して、スクリュー12の螺旋溝12aに沿って前方のノズル15側に移送されるが、ホッパー14と加熱筒11の材料供給口11aの間にはシール装置40Cを設けている。
【0048】
この場合、シール装置40Cの目的とするところは、第一実施例と同一であるので省略する。
【0049】
そこで、ホッパー14の下部に気体の流入を少しの間でも遮断する目的でシール装置40Cを設けた訳であり、フィードモータ33に接続した平行歯型フィーダー31をフィードシリンダー32の内部に収納したものであり、平行歯型フィーダー31には、フィードモータ33の回転中心と平行に溝31aと山31bを形成していて、山31bによってホッパー14との間を断続的に遮断する構成となっているのである。
【0050】
尚、ホッパー14内の樹脂wは、平行歯型フィーダー31が回転するのに際して、溝31aが上向きに位置した時には溝31aの中に樹脂wを嵌め込み、溝31aが下向きに位置した時に溝31aの中の樹脂wを材料供給口11aに落下させているのであり、樹脂wの供給量に関しては、溝31aの深さ、溝31aと山31bの幅の大きさによって、またフィードモータ33の速度を調整することによって変更することは可能である。
【0051】
(第四実施例)
図5は、本発明のシール装置の第四実施例を示した図で、40Dはシール装置であり、ホッパー14内の樹脂wを保持したり落下させる為に、フィードモータ38に接続したスクリュー型フィーダー36をフィードシリンダー37の内部に収納したものであり、スクリュー型フィーダー36には、螺旋状の溝36a及び螺旋状とフィードモータ38の回転中心と平行な山36bの両方を形成していて、山36bによってホッパー14との間を断続的に遮断する構成となっているのである。 また、スクリュー型フィーダー36の両端には、樹脂wがスクリュー型フィーダー36よりはみ出さないように溝36aを形成しないシール部36cを形成している。 尚、射出成形機10Dは、シール装置40Dを構成したものである。
【0052】
本発明による、インラインスクリュー式成形機の不良発生防止装置は前述したように構成されており、以下に、その動作について説明する。
【0053】
ここで、射出成形機10Dの可塑化工程や射出工程等の各工程の内容に関しては、第一実施例と同一であるので省略する。 また、窒素ガス供給の方法や効果に関しても第一実施例と同一であるので省略する。
【0054】
所で、ホッパー14からの成形樹脂wに関して述べれば、加熱筒11の材料供給口11aを通過して、スクリュー12の螺旋溝12aに沿って前方のノズル15側に移送されるが、ホッパー14と加熱筒11の材料供給口11aの間にはシール装置40Dを設けている。
【0055】
この場合、シール装置40Dの目的とするところは、第一実施例と同一であるので省略する。
【0056】
そこで、ホッパー14の下部に気体の流入を少しの間でも遮断する目的でシール装置40Dを設けた訳であり、フィードモータ38に接続したスクリュー型フィーダー36をフィードシリンダー37の内部に収納したものであり、スクリュー型フィーダー36には、螺旋状の溝36a及び螺旋状とフィードモータ38の回転中心と平行な山36bを形成していて、山36bによってホッパー14との間を断続的に遮断する構成となっているのである。
【0057】
尚、ホッパー14内の樹脂wは、スクリュー型フィーダー36が回転するのに際して、溝36aが上向きに位置した時には溝36aの中に樹脂wを嵌め込み、溝36aが下向きに位置した時にまた螺旋の送りによって溝36aの中の樹脂wを材料供給口11aに落下させているのであり、樹脂wの供給量に関しては、溝36aの深さ、溝36aと山36bの幅の大きさによって、またフィードモータ38の速度を調整することによって変更することは可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】 本発明の全体図
【図2】 本発明のシール装置の第一実施例を示した図
【図3】 本発明のシール装置の第二実施例を示した図
【図4】 本発明のシール装置の第三実施例を示した図
【図5】 本発明のシール装置の第四実施例を示した図
【図6】 従来の全体図
【符号の説明】
【0059】
10・・・・・・射出成形機
10A・・・・・射出成形機
10B・・・・・射出成形機
10C・・・・・射出成形機
10D・・・・・射出成形機
11・・・・・・加熱筒
11G・・・・・加熱筒
11a・・・・・材料供給口
12・・・・・・スクリュー
12a・・・・・螺旋溝
14・・・・・・ホッパー
15・・・・・・ノズル
16・・・・・・スクリューヘッド
17・・・・・・押し金
18・・・・・・逆流防止リング
19・・・・・・ヒータ
26・・・・・・加熱筒ヘッド
29・・・・・・取付ボルト
31・・・・・・平行歯型フィーダー
31a・・・・・溝
31b・・・・・山
31c・・・・・シール部
32・・・・・・フィードシリンダー
33・・・・・・フィードモータ
36・・・・・・スクリュー型フィーダー
36a・・・・・溝
36b・・・・・山
36c・・・・・シール部
37・・・・・・フィードシリンダー
38・・・・・・フィードモータ
40A・・・・・シール装置
40B・・・・・シール装置
40C・・・・・シール装置
40D・・・・・シール装置
41・・・・・・ダンパー
42・・・・・・シリンダー
42a・・・・・固定軸
42b・・・・・移動軸
43・・・・・・第二ホッパー
44・・・・・・回転中心軸
45・・・・・・取付ボルト
46・・・・・・ボールバルブ
47・・・・・・バルブ取付部
48・・・・・・揺動モータ
50・・・・・・窒素ガス供給フランジ
60・・・・・・金型
60a・・・・・キャビティ
70・・・・・・窒素ガス発生装置
101・・・・・窒素ガス供給配管
102・・・・・窒素ガス供給配管
w・・・・・・・樹脂
x・・・・・・・フィードゾーン
y・・・・・・・コンプレッションゾーン
z・・・・・・・メルトゾーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端からメルトゾーン(z)とコンプレッションゾーン(y)とフィードゾーン(x)を形成したスクリュー(12)を加熱筒(11)内に収納し、前記フィードゾーン(x)に樹脂(w)を送り込むことが出来るように前記加熱筒(11)の後部にホッパー(14)を配設したインラインスクリュー式成形機に於いて、前記スクリュー(12)に形成された前記メルトゾーン(z)の何れかの位置に窒素ガスを注入することが出来るように前記加熱筒(11)に窒素ガス供給配管(101)を接続したことを特徴とするインラインスクリュー式成形機の不良発生防止装置。
【請求項2】
先端からメルトゾーン(z)とコンプレッションゾーン(y)とフィードゾーン(x)を形成したスクリュー(12)を加熱筒(11)内に収納し、前記フィードゾーン(x)に樹脂(w)を送り込むことが出来るように前記加熱筒(11)の後部にホッパー(14)を配設したインラインスクリュー式成形機に於いて、前記スクリュー(12)に形成された前記コンプレッションゾーン(y)の何れかの位置に窒素ガスを注入することが出来るように前記加熱筒(11)に窒素ガス供給配管(101)を接続したことを特徴とするインラインスクリュー式成形機の不良発生防止装置。
【請求項3】
前記加熱筒(11)内に注入された窒素ガスが前記ホッパー(14)から流出しないように、また水蒸気や前記樹脂(w)が溶融するのに際して発生したガスが前記樹脂(w)に付着したり付着することで前記樹脂(w)と反応して不純物を作り出さないように、前記ホッパー(14)と前記加熱筒(11)の間にシール装置(40A、40B、40C、40D)を配設したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインラインスクリュー式成形機の不良発生防止装置。
【請求項4】
前記シール装置(40A)は、回転中心軸(44)を中心に回動可能なダンパー(41)の一端とシリンダー(42)のロッドを接続して第二ホッパー(43)内で作動するようにしたものであり、前記シリンダー(42)のロッドを縮めることで前記ダンパー(41)を開いて前記樹脂(w)を落下させ、前記シリンダー(42)のロッドを伸ばすことで前記ダンパー(41)を閉じて前記樹脂(w)を前記ホッパー(14)内に保持する構成であることを特徴とする請求項3に記載のインラインスクリュー式成形機の不良発生防止装置。
【請求項5】
前記シール装置(40B)は、揺動モータ(48)に接続したボールバルブ(46)をバルブ取付部(47)に収納したものであり、前記揺動モータ(48)の回転で前記ボールバルブ(46)を開閉し、それによって前記ホッパー(14)内の前記樹脂(w)を落下させたり保持する構成であることを特徴とする請求項3に記載のインラインスクリュー式成形機の不良発生防止装置。
【請求項6】
前記シール装置(40C)は、フィードモータ(33)に接続した平行歯型フィーダー(31)をフィードシリンダー(32)に収納したものであり、前記平行歯型フィーダー(31)には、前記フィードモータ(33)の回転中心と平行に溝(31a)と山(31b)を形成し、前記山(31b)によって前記ホッパー(14)との間を断続的に遮断する構成であることを特徴とする請求項3に記載のインラインスクリュー式成形機の不良発生防止装置。
【請求項7】
前記シール装置(40D)は、フィードモータ(38)に接続したスクリュー型フィーダー(36)をフィードシリンダー(37)に収納したものであり、前記スクリュー型フィーダー(36)には、螺旋状の溝(36a)及び螺旋状と前記フィードモータ(38)の回転中心と平行な山(36b)を形成し、前記山(36b)によって前記ホッパー(14)との間を断続的に遮断する構成であることを特徴とする請求項3に記載のインラインスクリュー式成形機の不良発生防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−103295(P2006−103295A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−319850(P2004−319850)
【出願日】平成16年10月6日(2004.10.6)
【出願人】(000154521)株式会社フクハラ (87)
【Fターム(参考)】