ウイルスの増殖のための二段階温度プロフィール
本発明は、ウィルスの産生方法を提供する。方法は、ウィルスに感染した宿主細胞を提供するステップと、感染した宿主細胞を二つの異なる温度で培養するステップとを含む。培養ステップにより産生されたウィルスが、その後回収される。二重温度培養プロセスを用いて、高い力価および純度の向上が得られる。多くのウィルスで、二温度プロフィールを用いることにより、培養条件が大幅に改善されうることが分かった。高いほうの温度が、ウィルス増殖の第一段階に適用され、感染性ウィルス粒子の形成を加速する。第二段階においては、低いほうの温度が適用されて、高温増殖期間に得られた最初の高力価が維持され、免疫原性ワクチンのさらなる製造に使用できる安定した抗原の形成が可能となる。本発明の目標は、ワクチン接種目的で生成される抗原の品質に影響しない、改善された増殖条件を提供することである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2007年5月4日に出願された米国仮特許出願第60/927,693号に対する優先権の利益を主張する。米国仮特許出願第60/927,693号の内容は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0002】
本発明は、ウィルス増殖の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
動物細胞培養におけるウィルス増殖が、ウィルスの特性と増殖のための宿主系に依存する温度条件下で、行われる。ある温度が細胞増殖のために(細胞培養または有胚卵育種において)選択された後、ウィルス増殖のための温度が選択される。ほとんどの場合、ウィルス増殖温度は、細胞増殖温度より低い。温度感受性のウィルスの増殖は、昆虫細胞培養(例えばバクロウィルス産生を伴う)で大体20℃周辺の温度範囲内で、および哺乳類細胞培養におけるウィルス産生では最大約37℃の温度で、ウィルス/宿主細胞組み合わせごとに特定の最適条件を伴って、ウィルス増殖速度および抗原の形成に影響を与えることに関する。高温は、感染キネティクスおよびウィルス安定性の両方に影響する。ウィルスを37℃の温度で増殖させると、ウィルス複製後期に、ウィルス力価の低下およびウィルス抗原品質の低下が観察されることが多い。この影響は、ワクチン産生のためのラージスケールのウィルス増殖に有害な結果をもたらしうる。
【0004】
本発明の目標は、ワクチン接種目的で生成される抗原の品質に影響しない、改善された増殖条件を提供することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ウィルスの産生方法を提供し、一つ以上の宿主細胞がウィルスで感染された後、第一温度で培養され(例えば31℃〜37℃の温度で1〜48時間)、その後、第一温度と比較して低下した(例えば1℃〜6℃)第二温度で、培養される。そして、これらの培養ステップにより生成されたウィルスが、回収される。
【0006】
驚くべきことに、インフルエンザ(Ortho−myxoviridae)ロスリバーウィルス(Alphaviridae)および西ナイルウィルス(Flaviviridae)を含む多くのウィルスで、二温度プロフィールを用いることにより、培養条件が大幅に改善されうることが現在分かった。高いほうの温度が、ウィルス増殖の第一段階に適用され、感染性ウィルス粒子の形成を加速する。第二段階においては、低いほうの温度が適用されて、高温増殖期間に得られた最初の高力価が維持され、免疫原性ワクチンのさらなる製造に使用できる安定した抗原の形成が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】ベロ細胞において(A)32℃および(B)36℃で増殖させた、ニューカレドニアウィルスの抗原バンドパターン。
【図2】感染後の様々な時点での、37℃でのロスリバーウィルス感染のNaBrプロット。
【図3】感染後の様々な時点での、35℃でのロスリバーウィルス感染のNaBrプロット。
【図4】感染後の様々な時点での、32℃でのロスリバーウィルス感染のNaBrプロット。
【図5】感染後の様々な時点での、35℃/32℃でのロスリバーウィルス感染のNaBrプロット。
【図6】37℃および35℃/32℃での感染のロスリバーウィルス接種菌のウェスタンブロット。
【図7】顕微鏡画像を伴う、感染後の様々な時点での、35℃での西ナイルウィルス感染のNaBrプロット。
【図8】顕微鏡画像を伴う、感染後の様々な時点での、32℃での西ナイルウィルス感染のNaBrプロット。
【図9】顕微鏡画像を伴う、感染後の様々な時点での、35℃/32℃での西ナイルウィルス感染のNaBrプロット。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一態様は、本明細書に記載の二段階温度プロフィールが、(1)宿主細胞の複数回感染のための活性ウィルスの形成、(2)複製の後段階で得られた高力価の維持、および(3)産生プロセスの後段階における抗原形成の、独立した最適化および制御を可能にするという認識である。
【0009】
本発明の好ましい実施形態においては、当該ウィルスは、オルトミクソウィルス、アルファウィルスまたはフラビウィルスである。
【0010】
ウィルスは、インフルエンザウィルスであるのが好ましく、ある実施形態では、インフルエンザA型およびB型、ロスリバーウィルスおよび西ナイルウィルスからなる群より選択される。本明細書に提供される実施例は、本発明の二温度方法を用いた、これらのウィルスでの改良された抗原産生を示すが、本発明により予定される他のウィルスの非限定的な例には、Reoviridae、Picornaviridae、Caliciviridae、Togaviridae、Arenaviridae、Retroviridae、Flaviviridae、Orthomyxoviridae、Paramyxoviridae、Bunyaviridae、Rhabdoviridae、Filoviridae、Coronaviridae、Astroviridae、またはBornaviridae等のRNAウィルスファミリー、および、Adenoviridae、Papovaviridae、Parvoviridae、Herpesviridae、Poxviridae、またはHepadnaviridae等のDNAウィルスファミリーの群より選択されるウィルスが含まれる。ある実施形態では、ウィルスは、Influenza A/Panama/2007/99、A/New Caledonia/20/99、B/Shangdong/7/97、B/Malaysia/2506/2004、A/Hiroshima/52/2005、およびA/Solomon Islands/3/2006からなる群より選択される。
【0011】
ウィルスは、ウィルス産生に適切な任意の細胞において産生されうる。細胞は、動物細胞培養または細胞系統のものであるのが好ましい。このような細胞は、特定の組織または胚細胞からのものでありうる。動物は、哺乳類または鳥類であるのが好ましい。本発明の様々な実施形態は、イヌ細胞系統、齧歯目細胞系統、鳥類細胞系統または霊長類組織細胞系統を利用しうる。例えば、ある実施形態では、細胞は、MDCK細胞、CHO細胞、perC6細胞、HEK293細胞、またはウィルス増殖において一般に使用される他の細胞でありうる。いくつかの特定の実施形態においては、細胞は、上皮細胞、特に腎臓上皮細胞、例えばアフリカミドリザルのベロ細胞などである。
【0012】
本発明のある実施形態においては、細胞は、動物の血清タンパク質を含まない培地で培養される。このような培地は、例えば、ウシ血清またはその部分、例えば胎児ウシ血清を含まない。このような培地は、「無血清無タンパク質培地」と呼ばれる。ウィルス増殖期間中、トリプシン等、ウィルス増殖に必要とされるプロテアーゼが、培地に加えられうる。いくつかの実施形態においては、このようなプロテアーゼは、バクテリアまたは組換え源のような非動物源に由来し、または動物源に由来しうる。このような添加培地も、本明細書で用いられるところの用語の意義の範囲内の、無血清タンパク質培地であると考えられる。
【0013】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明の方法は、工業規模で実施される。本発明のいくつかの実施形態においては、方法は、50リットル以上の細胞培養、五十〜100リットルの細胞培養、100〜500リットルの細胞培養、500〜1000リットルの細胞培養、または1000リットルを上回る細胞培養(例えば6000リットル、10,000リットル、またはさらに大きなバイオリアクター)で実施される。本発明のいくつかの実施形態においては、本発明の方法は、撹拌槽バイオリアクターで実施される。
【0014】
本発明の好ましい方法においては、第一ウィルス増殖温度は、所与の宿主細胞型のための細胞培養増殖温度より低い。いくつかの実施形態においては、第一温度は、32℃〜37℃の間であり、好ましくは33℃〜36℃の間、より好ましくは34℃〜35.5℃の間、特に35℃である。他の実施態様においては、第一温度は、30℃〜36℃の間であり、好ましくは30℃〜35℃の間、より好ましくは31℃〜35℃の間、より好ましくは31℃〜34℃の間、より好ましくは32℃〜34℃の間、より好ましくは32℃〜33.5℃の間、より好ましくは33℃および34℃の間、最も好ましくは33.5℃であり、または、いくつかの実施形態においては、33℃である。特に、大きな細胞培養体積(1000リットル以上)では、第一温度範囲が低めであるのが好まれうる。第一温度は、少なくとも30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、または36℃、または38℃、37.5℃、37℃、36℃、35.5℃、または35℃未満でありうる。第一温度での細胞培養は、1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28または30時間を上回り、または、60、58、56、54、52、50、48、46、44、42、40、38、36、34、32、30、28、26、24、22、20、18、16、14または12時間未満でありうる。
【0015】
追加的な実施形態においては、第二温度は、第一温度と比較して1.5℃〜5℃低下し、好ましくは2℃〜4℃低下し、より好ましくは2.5℃〜3.5℃、最も好ましくは3℃低下する。低下は、少なくとも1℃、2℃、2.5℃、3℃、または4℃、または6℃、5℃、4℃、3.5℃、3℃、2.5℃、または2℃未満でありうる。
【0016】
他の実施形態においては、第二温度は、29℃〜35℃の範囲であり、好ましくは30℃〜34℃、より好ましくは31℃〜33℃、より好ましくは31.5℃〜32.5℃、最も好ましくは32℃である。第二温度は、28℃、29℃、30℃、または31℃を上回り、または35℃、34℃、33℃、または32℃を下回りうる。
【0017】
この方法は、ウィルス抗原の産生のためにも用いられうる。したがって、さらなる態様では、本発明は、ウィルスまたはウィルス抗原の産生方法を提供し、ウィルスが本明細書に記載のように産生され、ウィルスまたはウィルス抗原が単離される。細胞を分解し、または細胞上清を採取した後、抗原を単離することにより単離し、選択的に精製するための標準的方法(例えば遠心分離またはクロマトグラフィ)を用いて、単離が実行されうる。
【0018】
さらなる実施形態においては、ウィルスが、(例えば国際公開第05/11800号に示される方法に従って)精製の前または後に断片化または不活性化される。さらに、ウィルスのワクチンが調製されうる。ワクチンは、抗原物質の免疫原性組成物であり、抗原物質は、非感染性ウィルス、その外皮、粒子またはその抗原でありうる。ワクチンが投与されると、宿主(例えばヒト等の哺乳類または鳥類)における免疫化が生じる。ワクチン接種はワクチンに対する特異反応および軽微な炎症を引き起こしうるが、一般に、ワクチン接種に対する反応は、完全に成育可能なウィルスによる感染に対する反応と比較して大きく減少される。
【0019】
本発明は、以下の実施例によりさらに説明されるが、それらは単に例示であり、本発明をいかなる形でも制限するものではない。
【実施例】
【0020】
多くのウィルス膜タンパク質は、複製能のあるウィルスを産生するために、翻訳後修飾を必要とする。インフルエンザウィルスにおいては、HA2のアミノ末端領域で融合ドメインを生成する、前駆体ヘマグルチニン(HA)分子(HA0)のHA1およびHA2サブユニットへのタンパク質分解的切断が、細胞へのウィルスの侵入のために必須である。したがって、細胞培養における感染サイクルの開始は、プロテアーゼの添加により触媒されねばならない。ワクチン製造プロセスでは、ブタ起源のγ線を照射したトリプシンが使用される。
【0021】
ベロ細胞等の細胞培養におけるインフルエンザ増殖のための従来の温度プロフィールは、温度が例えば33℃(B−菌種)〜37℃(A−菌種)で一定であるものである。[例えば、Govorkava E A等、Journal of Virology,Vol.70,Nr.8,Aug.1996,p.5519−5524を参照]。本発明の態様は、10Lバイオリアクターシステムにおけるスモールスケール実験による、最初の感染段階中の温度プロフィールの上昇が、インフルエンザ産生プロセスの全体的サイクル時間にプラスの効果を有しうるという認識である。さらに、ベロタンパク質/SRD比として測定される抗原の純度に対するプラスの効果も、得られた。このコンセプトを証明するために、本明細書に記載のように、100Lスケール実験が行われた。
【0022】
(実施例1)
32℃および36℃でのInfluenza A/New Caledonia/20/99産生
32℃および36℃でのバイオリアクター運転のベロ培養を、A/New Caledonia/20/99ウィルスで感染させた。pH、pO2、細胞密度および培養に加えられるトリプシン量の設定パラメータは同等であり、インフルエンザ抗原の製造のためのラージスケール条件を反映した。ウィルス収量およびサイクル時間に対する温度上昇の効果が、表1において比較される。
【0023】
【表1】
2日後に、36℃培養で20%の残留酸素吸収速度が観察され、それは3日目までに5%より下に低下した。36℃でのインフルエンザウィルスの増殖は、32℃条件と比較して高い感染性、したがって全培養時間の減少をもたらした。反対に、32℃培養は、2日目および3日目に、それぞれ80%および50%の、より高い残余OURを生じた。最終的HA力価は、同等だった。しかし、NaBr勾配を用いた超遠心分離による抗原分離実験から、36℃条件下で培養3日目に、抗原バンドパターンのシフトが生じ(図1B)、一方で、UV254nm検出器により測定された溶出プロフィールは、32℃培養で同等に高いが、より相称のピークを生じた(図1A)。したがって、産物収量および特に純度に関しては、36℃条件がいくつかの不都合を有しうる。
【0024】
本産生プロセスでは、蔗糖密度勾配からウィルス抗原が採取される。したがって、36℃実験では、抗原の一部が、低密度画分にシフトしていると結論づけられうる(図1B)。
【0025】
(実施例2)
32℃、33℃、および34℃でのInfluenza A/Panama/2007/99産生
パナマウィルス収量およびサイクル時間に対する培養温度上昇の効果を調査するために、三つの10Lバイオリアクターシステムが同時に、温度をそれぞれ32℃、33℃および34℃に設定して運転された。他の全てのパラメータ設定点は、実施例1の下に記載される実験と同等だった。
【0026】
表2には、三つのバイオリアクターシステムのプロセスサイクル時間が与えられる。20%残留酸素吸収速度(代謝性酸素消費の80%減少)に達した後に培養が終了され、感染サイクルのキネティクスが比較された。34℃実験では、21時間のサイクル時間減少が達成できた。
【0027】
【表2】
培養上清が遠心分離され、標準的プロトコルに従ってBenzonaseおよびホルマリンで処理された。不活性化された採取物(MVH)が、蔗糖密度勾配超遠心分離により精製された(表3を参照)。
【0028】
【表3】
表2から、温度条件上昇により、サイクル時間の減少がもたらされたと結論できる。しかし、表3に示すように、温度条件上昇(例えば33℃および34℃)は、全体的なウィルス抗原収量および精製ウィルスの品質に負の影響を有することが、SRD/タンパク質比率およびベロタンパク質/SRD比率の両方により明らかにされた。したがって、より高温で、ウィルス抗原の純度低下が観察された。
【0029】
(実施例3)
35℃での初期ウィルス増幅を伴うInfluenza A/New Caledonia/20/99産生
本実施例は、インフルエンザウィルス産生プロセスの最初の24時間の温度設定を上昇させた、培養実験に関する。ベロ細胞培養を、100リットルスケールでA/New Caledonia/20/99ウィルスで感染させた。
【0030】
従来の温度プロフィール(すなわち発酵プロセス全体で32℃の温度設定点)と、初期ウィルス増幅を35℃とした改変プロセスとの比較が行われた。この新しいプロセスは、感染後(p.i.)24時間の初期ウィルス複製を35℃で行った後、p.i.91時間まで32℃でインキュベートすることを特徴とする。表4では、100リットルスケール運転からの、蔗糖密度勾配精製ウィルスの、Influenza A/New Caledonia/20/99抗原純度(SRD/タンパク質比率)、およびベロタンパク質不純度の比較が与えられる。
【0031】
【表4】
このデータは、発酵プロセスの最初の24時間を35℃とする温度設定が、SRD/タンパク質比率に対してだけでなく、ベロタンパク質不純度に対してもプラスの効果を有したことをはっきりと示す。同等の感染時間で、不純度プロフィールの大きな改善を伴って、同等の収量が得られた。
【0032】
(実施例4)
初期ウィルス増幅を35℃とするInfluenza A/Panama/2007/99産生
二温度プロセスにつき実施例3で観察された反応を確認するために、同じ温度プロフィールを用いて、100リットルのベロ培養においてInfluenza A/Panama/2007/99ウィルスを増殖させた。他の全ての条件およびパラメータは、実施例3にしたがって設定された。
【0033】
表5において、100リットルスケール運転からの蔗糖密度勾配精製ウィルスのInfluenza A/Panama/2007/99抗原純度(SRD/タンパク質比率)およびベロタンパク質不純度が比較される。
【0034】
【表5】
ウィルス複製の最初の24時間を35℃とした後に、32℃へ温度を低下させた、A/Panama/2007/99ウィルスの産生は、32℃の一定温度での従来のプロセスを上回るいくつかの利点を有する。一般に、SRD/タンパク質およびベロタンパク質/SRDの比率から明らかなように、インフルエンザウィルス抗原の品質が改善されうる。大幅に減少した感染時間で、収量はやや低いが、特にベロ細胞タンパク質の相対量についての不純度プロフィールは、はるかに優良だった。
【0035】
インフルエンザウィルス抗原の純度は、インフルエンザワクチンの製造における要因である。ベロ細胞におけるインフルエンザウィルスの複製では、前駆体ヘマグルチニンの切断のためのタンパク質分解条件および適切な温度条件が、重要な要因の一部であることが一般に認められている。本明細書に提示される例示的な実験においては、ウィルス複製の初期段階の間に高い温度を有する温度プロフィールが、蔗糖密度勾配ステップで抗原の改善をもたらすことが示された。さらに、最初の24時間を35℃とするインフルエンザウィルスの産生は、サイクル時間に関して、より良好なプロセス性能に対応した。Influenza A/Panama/2007/99およびA/New Caledonia/20/99が、モデル系として用いられて、二温度ウィルス増殖の有用性が証明された。したがって、10および100リットルスケールで実行された培養実験からの結果は、ウィルス増殖プロセスの最初の約24時間を、32℃から35℃に変更することによる利益を示す。
【0036】
(実施例5)
初期ウィルス増幅を35℃でp.i.18時間対p.i.36時間行った後、ウィルス増殖終了まで32℃とする、Influenza A/Hiroshima/52/2005産生
本実施例は、Influenza A/Hiroshima/52/2005ウィルスで感染させた50Lベロ培養において、抗原収量、SRD/タンパク質比率、およびベロタンパク質/SRI比率に対する、高温サイクル継続時間の変更による影響を示す。二つの別々の試料で、35℃の温度を、それぞれp.i.18時間およびp.i.36時間維持した後、温度を32℃に低下させた。ウィルスを含む上清が採取され、不活性化され、超遠心分離により精製された。
【0037】
表6において、50リットルスケール運転からの蔗糖密度勾配精製ウィルスのInfluenza A/Hiroshima/52/2005抗原純度(SRD/タンパク質比率)およびベロ−タンパク質不純度が、比較される。
【0038】
【表6】
18時間およびp.i.36時間それぞれの35℃での、Influenza A/Hiroshima/52/2005ウィルスの産生は、同等の収量および純度プロフィールを生じた(表6)。これらの結果から、二重温度プロフィールにおいて、初期ウィルス増殖の間の温度上昇継続時間および採取までの温度低下継続時間が広く変動されうると結論できる。
【0039】
(実施例6)
p.i.18時間の初期ウィルス増幅を異なる温度(34℃、35℃および36℃)で行った後、ウィルス増殖終了まで3℃低下させる(31℃、32℃および33℃へ)、Influenza B/Malaysia/2506/2004産生
本実施例は、Influenza B/Malaysia/2506/2004ウィルスで感染させた32リットル〜80リットルベロ培養における、ウィルス増殖中の異なる二重温度プロフィールの使用に関する。34℃、35℃および36℃の高温をp.i.18時間維持した後、31℃、32℃および33℃に、それぞれ3℃低下させた。ウィルスを含む上清が採取され、不活性化され、超遠心分離により精製された。
【0040】
表7では、32リットル〜80リットルスケール運転からの蔗糖密度勾配精製ウィルスのInfluenza B/Malaysia/2506/2004抗原収量、純度(SRD/タンパク質比率)、およびベロタンパク質不純度が、異なる温度プロフィールにつき比較される。
【0041】
【表7】
p.i.18時間を34℃〜36℃とした後、ウィルス増殖終了まで3℃低下させたInfluenza B/Malaysia/2506/2004ウィルスの産生は、同等収量および純度プロフィールを生じた(表7)。これらの結果から、二重温度プロフィールにおいて、初期ウィルス増殖の間の温度上昇範囲および採取時までの温度低下範囲が広く変動されうると結論できる。
【0042】
(実施例7)
p.i.18時間の初期ウィルス増幅を異なる温度(33.5℃、35℃および36.5℃)で行った後、ウィルス増殖終了まで3℃低下させる(30.5℃、32℃および33.5℃へ)、Influenza A/Solomon Islands/3/2006産生
本実施例は、Influenza A/Solomon Islands/3/2006ウィルスで感染させた32リットル〜50リットルベロ培養における、ウィルス増殖中の異なる温度プロフィールの使用に関する。33.5℃、35℃および36.5℃の高温をp.i.18時間維持した後、30.5℃、32℃および33.5℃に、それぞれ3℃低下させた。ウィルスを含む上清が採取され、不活性化され、超遠心分離により精製された。
【0043】
表8において、32リットル〜50リットルスケール運転からの蔗糖密度勾配精製ウィルスのInfluenza A/Solomon Islands/3/2006抗原収量、純度(SRD/タンパク質比率)、およびベロタンパク質不純度が比較される。
【0044】
【表8】
p.i.18時間を33.5℃、35℃および36.5℃とした後、ウィルス増殖終了までそれぞれ3℃低下させたInfluenza A/Solomon Islands/3/2006ウィルスの産生は、同等の収量および純度プロフィールを生じた(表8)。高温でのより高い収量は、純度低下ももたらしたが、これらの不純度は、ウィルス増殖終了時に3℃の低下によって比較的低いレベルにとどまる。温度低下(例えば33.5℃/30.5℃)を有する二重温度プロフィールにより、同等の収量が達成できるが、これらの同等の収量に達するために、より長いウィルス増殖のサイクル時間(なお70時間より短い)が必要である。特に宿主細胞特異的ベロタンパク質の、純度プロフィールは、3℃の温度シフトを含む低い温度範囲により、典型的に改善される(34℃/31℃でのB/マレーシアの表7も参照)。これらの結果から、インフルエンザA型およびB型菌種の両方で、二重温度プロフィールにおいて、初期ウィルス増殖の間の温度上昇範囲および採取時までの温度低下範囲が広く変動されうると結論できる。
【0045】
(実施例8)
ロスリバーウィルスの産生
ロスリバーウィルス(「RRV」)が、2Lリアクターで、異なる温度で産生された。調査温度は、30時間37℃、35℃、32℃および35℃とした後、30時間以降はp.i.90時間の感染終了まで32℃とした。動力学的パラメータが決定され、試料が以下の時間間隔で集められた(時間)I−18、I−42、I−42、I−54、I−66、I−76およびI−90。NaBr分析のための試料が、1.85%の20μL/mLホルマリンで処置され、37℃で48時間インキュベートされた。感染細胞の代謝活性をモニタするために、ウィルス増殖の間に残留酸素吸収速度(OUR)が測定された。細胞剥離率が、微粒子担体培養の顕微鏡画像により定量された。TCID50(50%組織培養感染用量)も、決定された。
【0046】
条件は、pH7.1のPBSおよび20%pO2、感染前グルコース1.0g/Lであった。I−18で1.0g/Lグルコースが加えられ、灌流が停止された。I−42以降は、グルコースが1.0g/L未満に減少した場合には、グルコースが加えられた。結果が表9に示される。
【0047】
遠心分離条件:I−18: 5000g
I−42〜I−66: 10000g
I−78〜I−90: 15000g
【0048】
【表9−1】
【0049】
【表9−2】
四つ全てのインキュベーションのNaBrプロットが、4つの間隔(A:54h、B:66h、C:78h、D:90h)で図2〜5に与えられる。
【0050】
ウェスタンブロットが、以下の抗体で実行された:(1)RR(ATCCVR373)、Hyperimmune Ascites Fluid、Mouse;N.I.H.(1:1000)、および(2)抗マウスIgG、Sigma、Cat#:A−4656、Lot#:63H8830(1:5000)。結果は、表10のとおりに図6に与えられる。
【0051】
【表10】
両方の高温接種(37℃および35℃)で、感染キネティクスが相当に増加し、細胞剥離率は42時間後に100%であり、53時間後の残留O2が約50%であった。より低い温度(32℃および35℃/32℃)でのアプローチは、比較的遅かった。これは、I−18での力価分析でも明白である。しかし、I−42の後、全てのアプローチが、約1E09 TCID50/mLに達した。より低い温度でのアプローチは、感染終了付近で、より安定した力価を示した(I−76まで>1E09 TCID50/mL)。I−76まで、両方のアプローチにおいて20%の残留OURが測定できた。全ての実験でI−53の後に、NaBr勾配において最大ピーク高さに達したが、35℃接種の全てのI−66試料ならびにI−90で、より低いピークが測定された。温度上昇のために、グルコースレベルが、37℃および35℃実験の間に、より速く下落した。感染キネティクスの増加のために、その後は代謝活性が測定できない。全ての実験において、グルコースレベルは最終的に同様だった。
【0052】
二相温度実験(I−30まで35℃、その後32℃)の間だけ、開始時の速やかなウィルス増殖、および感染終了までの安定した力価が確立された。これらの条件下では、NaBr勾配実験において、I−78まで安定した、最大ピークが測定された。ウェスタンブロットでも、35℃/32℃実験において、より安定したバンドが検出された。
【0053】
(実施例9)
西ナイルウィルス実験
2Lリアクターにおいて、異なる温度で西ナイルウィルスが産生された。調査温度は、30時間35℃、32℃および35℃とした後、30時間以降感染終了まで32℃とした。90hの動力学的パラメータが、集められた。以下の時間的間隔で試料が集められた(時間)I−18、I−30、I−42、I−42、I−52、I−66、I−74およびI−90。NaBr分析のための試料は、1.85%の20μL/mLホルマリンで処置され、37℃で48時間インキュベートされた。条件は、pH7.1、20%pO2、および感染前グルコース1.0g/Lであった。I−18で、1.0g/Lのグルコースが加えられ、灌流が停止された。結果は表11に与えられ、図7〜9は、NaBrプロットおよび顕微鏡画像を示す。微粒子担体培養のこれらの顕微鏡画像により、細胞剥離率が定量された。
【0054】
【表11−1】
【0055】
【表11−2】
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【技術分野】
【0001】
本願は、2007年5月4日に出願された米国仮特許出願第60/927,693号に対する優先権の利益を主張する。米国仮特許出願第60/927,693号の内容は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0002】
本発明は、ウィルス増殖の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
動物細胞培養におけるウィルス増殖が、ウィルスの特性と増殖のための宿主系に依存する温度条件下で、行われる。ある温度が細胞増殖のために(細胞培養または有胚卵育種において)選択された後、ウィルス増殖のための温度が選択される。ほとんどの場合、ウィルス増殖温度は、細胞増殖温度より低い。温度感受性のウィルスの増殖は、昆虫細胞培養(例えばバクロウィルス産生を伴う)で大体20℃周辺の温度範囲内で、および哺乳類細胞培養におけるウィルス産生では最大約37℃の温度で、ウィルス/宿主細胞組み合わせごとに特定の最適条件を伴って、ウィルス増殖速度および抗原の形成に影響を与えることに関する。高温は、感染キネティクスおよびウィルス安定性の両方に影響する。ウィルスを37℃の温度で増殖させると、ウィルス複製後期に、ウィルス力価の低下およびウィルス抗原品質の低下が観察されることが多い。この影響は、ワクチン産生のためのラージスケールのウィルス増殖に有害な結果をもたらしうる。
【0004】
本発明の目標は、ワクチン接種目的で生成される抗原の品質に影響しない、改善された増殖条件を提供することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ウィルスの産生方法を提供し、一つ以上の宿主細胞がウィルスで感染された後、第一温度で培養され(例えば31℃〜37℃の温度で1〜48時間)、その後、第一温度と比較して低下した(例えば1℃〜6℃)第二温度で、培養される。そして、これらの培養ステップにより生成されたウィルスが、回収される。
【0006】
驚くべきことに、インフルエンザ(Ortho−myxoviridae)ロスリバーウィルス(Alphaviridae)および西ナイルウィルス(Flaviviridae)を含む多くのウィルスで、二温度プロフィールを用いることにより、培養条件が大幅に改善されうることが現在分かった。高いほうの温度が、ウィルス増殖の第一段階に適用され、感染性ウィルス粒子の形成を加速する。第二段階においては、低いほうの温度が適用されて、高温増殖期間に得られた最初の高力価が維持され、免疫原性ワクチンのさらなる製造に使用できる安定した抗原の形成が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】ベロ細胞において(A)32℃および(B)36℃で増殖させた、ニューカレドニアウィルスの抗原バンドパターン。
【図2】感染後の様々な時点での、37℃でのロスリバーウィルス感染のNaBrプロット。
【図3】感染後の様々な時点での、35℃でのロスリバーウィルス感染のNaBrプロット。
【図4】感染後の様々な時点での、32℃でのロスリバーウィルス感染のNaBrプロット。
【図5】感染後の様々な時点での、35℃/32℃でのロスリバーウィルス感染のNaBrプロット。
【図6】37℃および35℃/32℃での感染のロスリバーウィルス接種菌のウェスタンブロット。
【図7】顕微鏡画像を伴う、感染後の様々な時点での、35℃での西ナイルウィルス感染のNaBrプロット。
【図8】顕微鏡画像を伴う、感染後の様々な時点での、32℃での西ナイルウィルス感染のNaBrプロット。
【図9】顕微鏡画像を伴う、感染後の様々な時点での、35℃/32℃での西ナイルウィルス感染のNaBrプロット。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一態様は、本明細書に記載の二段階温度プロフィールが、(1)宿主細胞の複数回感染のための活性ウィルスの形成、(2)複製の後段階で得られた高力価の維持、および(3)産生プロセスの後段階における抗原形成の、独立した最適化および制御を可能にするという認識である。
【0009】
本発明の好ましい実施形態においては、当該ウィルスは、オルトミクソウィルス、アルファウィルスまたはフラビウィルスである。
【0010】
ウィルスは、インフルエンザウィルスであるのが好ましく、ある実施形態では、インフルエンザA型およびB型、ロスリバーウィルスおよび西ナイルウィルスからなる群より選択される。本明細書に提供される実施例は、本発明の二温度方法を用いた、これらのウィルスでの改良された抗原産生を示すが、本発明により予定される他のウィルスの非限定的な例には、Reoviridae、Picornaviridae、Caliciviridae、Togaviridae、Arenaviridae、Retroviridae、Flaviviridae、Orthomyxoviridae、Paramyxoviridae、Bunyaviridae、Rhabdoviridae、Filoviridae、Coronaviridae、Astroviridae、またはBornaviridae等のRNAウィルスファミリー、および、Adenoviridae、Papovaviridae、Parvoviridae、Herpesviridae、Poxviridae、またはHepadnaviridae等のDNAウィルスファミリーの群より選択されるウィルスが含まれる。ある実施形態では、ウィルスは、Influenza A/Panama/2007/99、A/New Caledonia/20/99、B/Shangdong/7/97、B/Malaysia/2506/2004、A/Hiroshima/52/2005、およびA/Solomon Islands/3/2006からなる群より選択される。
【0011】
ウィルスは、ウィルス産生に適切な任意の細胞において産生されうる。細胞は、動物細胞培養または細胞系統のものであるのが好ましい。このような細胞は、特定の組織または胚細胞からのものでありうる。動物は、哺乳類または鳥類であるのが好ましい。本発明の様々な実施形態は、イヌ細胞系統、齧歯目細胞系統、鳥類細胞系統または霊長類組織細胞系統を利用しうる。例えば、ある実施形態では、細胞は、MDCK細胞、CHO細胞、perC6細胞、HEK293細胞、またはウィルス増殖において一般に使用される他の細胞でありうる。いくつかの特定の実施形態においては、細胞は、上皮細胞、特に腎臓上皮細胞、例えばアフリカミドリザルのベロ細胞などである。
【0012】
本発明のある実施形態においては、細胞は、動物の血清タンパク質を含まない培地で培養される。このような培地は、例えば、ウシ血清またはその部分、例えば胎児ウシ血清を含まない。このような培地は、「無血清無タンパク質培地」と呼ばれる。ウィルス増殖期間中、トリプシン等、ウィルス増殖に必要とされるプロテアーゼが、培地に加えられうる。いくつかの実施形態においては、このようなプロテアーゼは、バクテリアまたは組換え源のような非動物源に由来し、または動物源に由来しうる。このような添加培地も、本明細書で用いられるところの用語の意義の範囲内の、無血清タンパク質培地であると考えられる。
【0013】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明の方法は、工業規模で実施される。本発明のいくつかの実施形態においては、方法は、50リットル以上の細胞培養、五十〜100リットルの細胞培養、100〜500リットルの細胞培養、500〜1000リットルの細胞培養、または1000リットルを上回る細胞培養(例えば6000リットル、10,000リットル、またはさらに大きなバイオリアクター)で実施される。本発明のいくつかの実施形態においては、本発明の方法は、撹拌槽バイオリアクターで実施される。
【0014】
本発明の好ましい方法においては、第一ウィルス増殖温度は、所与の宿主細胞型のための細胞培養増殖温度より低い。いくつかの実施形態においては、第一温度は、32℃〜37℃の間であり、好ましくは33℃〜36℃の間、より好ましくは34℃〜35.5℃の間、特に35℃である。他の実施態様においては、第一温度は、30℃〜36℃の間であり、好ましくは30℃〜35℃の間、より好ましくは31℃〜35℃の間、より好ましくは31℃〜34℃の間、より好ましくは32℃〜34℃の間、より好ましくは32℃〜33.5℃の間、より好ましくは33℃および34℃の間、最も好ましくは33.5℃であり、または、いくつかの実施形態においては、33℃である。特に、大きな細胞培養体積(1000リットル以上)では、第一温度範囲が低めであるのが好まれうる。第一温度は、少なくとも30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、または36℃、または38℃、37.5℃、37℃、36℃、35.5℃、または35℃未満でありうる。第一温度での細胞培養は、1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28または30時間を上回り、または、60、58、56、54、52、50、48、46、44、42、40、38、36、34、32、30、28、26、24、22、20、18、16、14または12時間未満でありうる。
【0015】
追加的な実施形態においては、第二温度は、第一温度と比較して1.5℃〜5℃低下し、好ましくは2℃〜4℃低下し、より好ましくは2.5℃〜3.5℃、最も好ましくは3℃低下する。低下は、少なくとも1℃、2℃、2.5℃、3℃、または4℃、または6℃、5℃、4℃、3.5℃、3℃、2.5℃、または2℃未満でありうる。
【0016】
他の実施形態においては、第二温度は、29℃〜35℃の範囲であり、好ましくは30℃〜34℃、より好ましくは31℃〜33℃、より好ましくは31.5℃〜32.5℃、最も好ましくは32℃である。第二温度は、28℃、29℃、30℃、または31℃を上回り、または35℃、34℃、33℃、または32℃を下回りうる。
【0017】
この方法は、ウィルス抗原の産生のためにも用いられうる。したがって、さらなる態様では、本発明は、ウィルスまたはウィルス抗原の産生方法を提供し、ウィルスが本明細書に記載のように産生され、ウィルスまたはウィルス抗原が単離される。細胞を分解し、または細胞上清を採取した後、抗原を単離することにより単離し、選択的に精製するための標準的方法(例えば遠心分離またはクロマトグラフィ)を用いて、単離が実行されうる。
【0018】
さらなる実施形態においては、ウィルスが、(例えば国際公開第05/11800号に示される方法に従って)精製の前または後に断片化または不活性化される。さらに、ウィルスのワクチンが調製されうる。ワクチンは、抗原物質の免疫原性組成物であり、抗原物質は、非感染性ウィルス、その外皮、粒子またはその抗原でありうる。ワクチンが投与されると、宿主(例えばヒト等の哺乳類または鳥類)における免疫化が生じる。ワクチン接種はワクチンに対する特異反応および軽微な炎症を引き起こしうるが、一般に、ワクチン接種に対する反応は、完全に成育可能なウィルスによる感染に対する反応と比較して大きく減少される。
【0019】
本発明は、以下の実施例によりさらに説明されるが、それらは単に例示であり、本発明をいかなる形でも制限するものではない。
【実施例】
【0020】
多くのウィルス膜タンパク質は、複製能のあるウィルスを産生するために、翻訳後修飾を必要とする。インフルエンザウィルスにおいては、HA2のアミノ末端領域で融合ドメインを生成する、前駆体ヘマグルチニン(HA)分子(HA0)のHA1およびHA2サブユニットへのタンパク質分解的切断が、細胞へのウィルスの侵入のために必須である。したがって、細胞培養における感染サイクルの開始は、プロテアーゼの添加により触媒されねばならない。ワクチン製造プロセスでは、ブタ起源のγ線を照射したトリプシンが使用される。
【0021】
ベロ細胞等の細胞培養におけるインフルエンザ増殖のための従来の温度プロフィールは、温度が例えば33℃(B−菌種)〜37℃(A−菌種)で一定であるものである。[例えば、Govorkava E A等、Journal of Virology,Vol.70,Nr.8,Aug.1996,p.5519−5524を参照]。本発明の態様は、10Lバイオリアクターシステムにおけるスモールスケール実験による、最初の感染段階中の温度プロフィールの上昇が、インフルエンザ産生プロセスの全体的サイクル時間にプラスの効果を有しうるという認識である。さらに、ベロタンパク質/SRD比として測定される抗原の純度に対するプラスの効果も、得られた。このコンセプトを証明するために、本明細書に記載のように、100Lスケール実験が行われた。
【0022】
(実施例1)
32℃および36℃でのInfluenza A/New Caledonia/20/99産生
32℃および36℃でのバイオリアクター運転のベロ培養を、A/New Caledonia/20/99ウィルスで感染させた。pH、pO2、細胞密度および培養に加えられるトリプシン量の設定パラメータは同等であり、インフルエンザ抗原の製造のためのラージスケール条件を反映した。ウィルス収量およびサイクル時間に対する温度上昇の効果が、表1において比較される。
【0023】
【表1】
2日後に、36℃培養で20%の残留酸素吸収速度が観察され、それは3日目までに5%より下に低下した。36℃でのインフルエンザウィルスの増殖は、32℃条件と比較して高い感染性、したがって全培養時間の減少をもたらした。反対に、32℃培養は、2日目および3日目に、それぞれ80%および50%の、より高い残余OURを生じた。最終的HA力価は、同等だった。しかし、NaBr勾配を用いた超遠心分離による抗原分離実験から、36℃条件下で培養3日目に、抗原バンドパターンのシフトが生じ(図1B)、一方で、UV254nm検出器により測定された溶出プロフィールは、32℃培養で同等に高いが、より相称のピークを生じた(図1A)。したがって、産物収量および特に純度に関しては、36℃条件がいくつかの不都合を有しうる。
【0024】
本産生プロセスでは、蔗糖密度勾配からウィルス抗原が採取される。したがって、36℃実験では、抗原の一部が、低密度画分にシフトしていると結論づけられうる(図1B)。
【0025】
(実施例2)
32℃、33℃、および34℃でのInfluenza A/Panama/2007/99産生
パナマウィルス収量およびサイクル時間に対する培養温度上昇の効果を調査するために、三つの10Lバイオリアクターシステムが同時に、温度をそれぞれ32℃、33℃および34℃に設定して運転された。他の全てのパラメータ設定点は、実施例1の下に記載される実験と同等だった。
【0026】
表2には、三つのバイオリアクターシステムのプロセスサイクル時間が与えられる。20%残留酸素吸収速度(代謝性酸素消費の80%減少)に達した後に培養が終了され、感染サイクルのキネティクスが比較された。34℃実験では、21時間のサイクル時間減少が達成できた。
【0027】
【表2】
培養上清が遠心分離され、標準的プロトコルに従ってBenzonaseおよびホルマリンで処理された。不活性化された採取物(MVH)が、蔗糖密度勾配超遠心分離により精製された(表3を参照)。
【0028】
【表3】
表2から、温度条件上昇により、サイクル時間の減少がもたらされたと結論できる。しかし、表3に示すように、温度条件上昇(例えば33℃および34℃)は、全体的なウィルス抗原収量および精製ウィルスの品質に負の影響を有することが、SRD/タンパク質比率およびベロタンパク質/SRD比率の両方により明らかにされた。したがって、より高温で、ウィルス抗原の純度低下が観察された。
【0029】
(実施例3)
35℃での初期ウィルス増幅を伴うInfluenza A/New Caledonia/20/99産生
本実施例は、インフルエンザウィルス産生プロセスの最初の24時間の温度設定を上昇させた、培養実験に関する。ベロ細胞培養を、100リットルスケールでA/New Caledonia/20/99ウィルスで感染させた。
【0030】
従来の温度プロフィール(すなわち発酵プロセス全体で32℃の温度設定点)と、初期ウィルス増幅を35℃とした改変プロセスとの比較が行われた。この新しいプロセスは、感染後(p.i.)24時間の初期ウィルス複製を35℃で行った後、p.i.91時間まで32℃でインキュベートすることを特徴とする。表4では、100リットルスケール運転からの、蔗糖密度勾配精製ウィルスの、Influenza A/New Caledonia/20/99抗原純度(SRD/タンパク質比率)、およびベロタンパク質不純度の比較が与えられる。
【0031】
【表4】
このデータは、発酵プロセスの最初の24時間を35℃とする温度設定が、SRD/タンパク質比率に対してだけでなく、ベロタンパク質不純度に対してもプラスの効果を有したことをはっきりと示す。同等の感染時間で、不純度プロフィールの大きな改善を伴って、同等の収量が得られた。
【0032】
(実施例4)
初期ウィルス増幅を35℃とするInfluenza A/Panama/2007/99産生
二温度プロセスにつき実施例3で観察された反応を確認するために、同じ温度プロフィールを用いて、100リットルのベロ培養においてInfluenza A/Panama/2007/99ウィルスを増殖させた。他の全ての条件およびパラメータは、実施例3にしたがって設定された。
【0033】
表5において、100リットルスケール運転からの蔗糖密度勾配精製ウィルスのInfluenza A/Panama/2007/99抗原純度(SRD/タンパク質比率)およびベロタンパク質不純度が比較される。
【0034】
【表5】
ウィルス複製の最初の24時間を35℃とした後に、32℃へ温度を低下させた、A/Panama/2007/99ウィルスの産生は、32℃の一定温度での従来のプロセスを上回るいくつかの利点を有する。一般に、SRD/タンパク質およびベロタンパク質/SRDの比率から明らかなように、インフルエンザウィルス抗原の品質が改善されうる。大幅に減少した感染時間で、収量はやや低いが、特にベロ細胞タンパク質の相対量についての不純度プロフィールは、はるかに優良だった。
【0035】
インフルエンザウィルス抗原の純度は、インフルエンザワクチンの製造における要因である。ベロ細胞におけるインフルエンザウィルスの複製では、前駆体ヘマグルチニンの切断のためのタンパク質分解条件および適切な温度条件が、重要な要因の一部であることが一般に認められている。本明細書に提示される例示的な実験においては、ウィルス複製の初期段階の間に高い温度を有する温度プロフィールが、蔗糖密度勾配ステップで抗原の改善をもたらすことが示された。さらに、最初の24時間を35℃とするインフルエンザウィルスの産生は、サイクル時間に関して、より良好なプロセス性能に対応した。Influenza A/Panama/2007/99およびA/New Caledonia/20/99が、モデル系として用いられて、二温度ウィルス増殖の有用性が証明された。したがって、10および100リットルスケールで実行された培養実験からの結果は、ウィルス増殖プロセスの最初の約24時間を、32℃から35℃に変更することによる利益を示す。
【0036】
(実施例5)
初期ウィルス増幅を35℃でp.i.18時間対p.i.36時間行った後、ウィルス増殖終了まで32℃とする、Influenza A/Hiroshima/52/2005産生
本実施例は、Influenza A/Hiroshima/52/2005ウィルスで感染させた50Lベロ培養において、抗原収量、SRD/タンパク質比率、およびベロタンパク質/SRI比率に対する、高温サイクル継続時間の変更による影響を示す。二つの別々の試料で、35℃の温度を、それぞれp.i.18時間およびp.i.36時間維持した後、温度を32℃に低下させた。ウィルスを含む上清が採取され、不活性化され、超遠心分離により精製された。
【0037】
表6において、50リットルスケール運転からの蔗糖密度勾配精製ウィルスのInfluenza A/Hiroshima/52/2005抗原純度(SRD/タンパク質比率)およびベロ−タンパク質不純度が、比較される。
【0038】
【表6】
18時間およびp.i.36時間それぞれの35℃での、Influenza A/Hiroshima/52/2005ウィルスの産生は、同等の収量および純度プロフィールを生じた(表6)。これらの結果から、二重温度プロフィールにおいて、初期ウィルス増殖の間の温度上昇継続時間および採取までの温度低下継続時間が広く変動されうると結論できる。
【0039】
(実施例6)
p.i.18時間の初期ウィルス増幅を異なる温度(34℃、35℃および36℃)で行った後、ウィルス増殖終了まで3℃低下させる(31℃、32℃および33℃へ)、Influenza B/Malaysia/2506/2004産生
本実施例は、Influenza B/Malaysia/2506/2004ウィルスで感染させた32リットル〜80リットルベロ培養における、ウィルス増殖中の異なる二重温度プロフィールの使用に関する。34℃、35℃および36℃の高温をp.i.18時間維持した後、31℃、32℃および33℃に、それぞれ3℃低下させた。ウィルスを含む上清が採取され、不活性化され、超遠心分離により精製された。
【0040】
表7では、32リットル〜80リットルスケール運転からの蔗糖密度勾配精製ウィルスのInfluenza B/Malaysia/2506/2004抗原収量、純度(SRD/タンパク質比率)、およびベロタンパク質不純度が、異なる温度プロフィールにつき比較される。
【0041】
【表7】
p.i.18時間を34℃〜36℃とした後、ウィルス増殖終了まで3℃低下させたInfluenza B/Malaysia/2506/2004ウィルスの産生は、同等収量および純度プロフィールを生じた(表7)。これらの結果から、二重温度プロフィールにおいて、初期ウィルス増殖の間の温度上昇範囲および採取時までの温度低下範囲が広く変動されうると結論できる。
【0042】
(実施例7)
p.i.18時間の初期ウィルス増幅を異なる温度(33.5℃、35℃および36.5℃)で行った後、ウィルス増殖終了まで3℃低下させる(30.5℃、32℃および33.5℃へ)、Influenza A/Solomon Islands/3/2006産生
本実施例は、Influenza A/Solomon Islands/3/2006ウィルスで感染させた32リットル〜50リットルベロ培養における、ウィルス増殖中の異なる温度プロフィールの使用に関する。33.5℃、35℃および36.5℃の高温をp.i.18時間維持した後、30.5℃、32℃および33.5℃に、それぞれ3℃低下させた。ウィルスを含む上清が採取され、不活性化され、超遠心分離により精製された。
【0043】
表8において、32リットル〜50リットルスケール運転からの蔗糖密度勾配精製ウィルスのInfluenza A/Solomon Islands/3/2006抗原収量、純度(SRD/タンパク質比率)、およびベロタンパク質不純度が比較される。
【0044】
【表8】
p.i.18時間を33.5℃、35℃および36.5℃とした後、ウィルス増殖終了までそれぞれ3℃低下させたInfluenza A/Solomon Islands/3/2006ウィルスの産生は、同等の収量および純度プロフィールを生じた(表8)。高温でのより高い収量は、純度低下ももたらしたが、これらの不純度は、ウィルス増殖終了時に3℃の低下によって比較的低いレベルにとどまる。温度低下(例えば33.5℃/30.5℃)を有する二重温度プロフィールにより、同等の収量が達成できるが、これらの同等の収量に達するために、より長いウィルス増殖のサイクル時間(なお70時間より短い)が必要である。特に宿主細胞特異的ベロタンパク質の、純度プロフィールは、3℃の温度シフトを含む低い温度範囲により、典型的に改善される(34℃/31℃でのB/マレーシアの表7も参照)。これらの結果から、インフルエンザA型およびB型菌種の両方で、二重温度プロフィールにおいて、初期ウィルス増殖の間の温度上昇範囲および採取時までの温度低下範囲が広く変動されうると結論できる。
【0045】
(実施例8)
ロスリバーウィルスの産生
ロスリバーウィルス(「RRV」)が、2Lリアクターで、異なる温度で産生された。調査温度は、30時間37℃、35℃、32℃および35℃とした後、30時間以降はp.i.90時間の感染終了まで32℃とした。動力学的パラメータが決定され、試料が以下の時間間隔で集められた(時間)I−18、I−42、I−42、I−54、I−66、I−76およびI−90。NaBr分析のための試料が、1.85%の20μL/mLホルマリンで処置され、37℃で48時間インキュベートされた。感染細胞の代謝活性をモニタするために、ウィルス増殖の間に残留酸素吸収速度(OUR)が測定された。細胞剥離率が、微粒子担体培養の顕微鏡画像により定量された。TCID50(50%組織培養感染用量)も、決定された。
【0046】
条件は、pH7.1のPBSおよび20%pO2、感染前グルコース1.0g/Lであった。I−18で1.0g/Lグルコースが加えられ、灌流が停止された。I−42以降は、グルコースが1.0g/L未満に減少した場合には、グルコースが加えられた。結果が表9に示される。
【0047】
遠心分離条件:I−18: 5000g
I−42〜I−66: 10000g
I−78〜I−90: 15000g
【0048】
【表9−1】
【0049】
【表9−2】
四つ全てのインキュベーションのNaBrプロットが、4つの間隔(A:54h、B:66h、C:78h、D:90h)で図2〜5に与えられる。
【0050】
ウェスタンブロットが、以下の抗体で実行された:(1)RR(ATCCVR373)、Hyperimmune Ascites Fluid、Mouse;N.I.H.(1:1000)、および(2)抗マウスIgG、Sigma、Cat#:A−4656、Lot#:63H8830(1:5000)。結果は、表10のとおりに図6に与えられる。
【0051】
【表10】
両方の高温接種(37℃および35℃)で、感染キネティクスが相当に増加し、細胞剥離率は42時間後に100%であり、53時間後の残留O2が約50%であった。より低い温度(32℃および35℃/32℃)でのアプローチは、比較的遅かった。これは、I−18での力価分析でも明白である。しかし、I−42の後、全てのアプローチが、約1E09 TCID50/mLに達した。より低い温度でのアプローチは、感染終了付近で、より安定した力価を示した(I−76まで>1E09 TCID50/mL)。I−76まで、両方のアプローチにおいて20%の残留OURが測定できた。全ての実験でI−53の後に、NaBr勾配において最大ピーク高さに達したが、35℃接種の全てのI−66試料ならびにI−90で、より低いピークが測定された。温度上昇のために、グルコースレベルが、37℃および35℃実験の間に、より速く下落した。感染キネティクスの増加のために、その後は代謝活性が測定できない。全ての実験において、グルコースレベルは最終的に同様だった。
【0052】
二相温度実験(I−30まで35℃、その後32℃)の間だけ、開始時の速やかなウィルス増殖、および感染終了までの安定した力価が確立された。これらの条件下では、NaBr勾配実験において、I−78まで安定した、最大ピークが測定された。ウェスタンブロットでも、35℃/32℃実験において、より安定したバンドが検出された。
【0053】
(実施例9)
西ナイルウィルス実験
2Lリアクターにおいて、異なる温度で西ナイルウィルスが産生された。調査温度は、30時間35℃、32℃および35℃とした後、30時間以降感染終了まで32℃とした。90hの動力学的パラメータが、集められた。以下の時間的間隔で試料が集められた(時間)I−18、I−30、I−42、I−42、I−52、I−66、I−74およびI−90。NaBr分析のための試料は、1.85%の20μL/mLホルマリンで処置され、37℃で48時間インキュベートされた。条件は、pH7.1、20%pO2、および感染前グルコース1.0g/Lであった。I−18で、1.0g/Lのグルコースが加えられ、灌流が停止された。結果は表11に与えられ、図7〜9は、NaBrプロットおよび顕微鏡画像を示す。微粒子担体培養のこれらの顕微鏡画像により、細胞剥離率が定量された。
【0054】
【表11−1】
【0055】
【表11−2】
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウィルスの産生方法であり、前記方法が、
前記ウィルスに感染させた宿主細胞を提供するステップと、
前記感染した宿主細胞を、31℃〜37℃の範囲の第一温度で、1〜48時間培養するステップと、
その後、前記感染した宿主細胞を、前記第一温度より1℃〜6℃低い第二温度で培養するステップと、
前記培養ステップにより生成される前記ウィルスの複製を集めるステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記ウィルスが、オルトミクソウィルス、アルファウィルスまたはフラビウィルスである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ウィルスが、インフルエンザウィルスである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ウィルスが、インフルエンザA型およびB型より選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ウィルスが、ロスリバーウィルスである、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記ウィルスが、西ナイルウィルスである、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記宿主細胞が、動物細胞培養または細胞系統である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記宿主細胞が、上皮細胞である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記宿主細胞が、腎臓上皮細胞である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記宿主細胞が、ベロ細胞である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第一温度が、32℃〜37℃の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第一温度が、33℃〜36℃の範囲である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第一温度が、34℃〜35.5℃の範囲である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第二温度が、前記第一温度と比較して1.5℃〜5℃低下される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記第二温度が、前記第一温度に対して2℃〜4℃低下される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第二温度が、29℃〜35℃の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第二温度が、30℃〜34℃の範囲である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第二温度が、31℃〜33℃の範囲である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記宿主細胞が、接種後直接培養される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
ウィルスまたはウィルス抗原の産生方法であり、前記生成されたウィルスまたはウィルス抗原が、請求項1により産生されるウィルスから得られ、前記生成されたウィルスまたはウィルス抗原が、単離される、方法。
【請求項21】
前記ウィルスが、断片化される、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記ウィルスが、不活性化される、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記ウィルスのワクチンを調製するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記第一温度での培養が、少なくとも二時間である、請求項1に記載の方法。
【請求項1】
ウィルスの産生方法であり、前記方法が、
前記ウィルスに感染させた宿主細胞を提供するステップと、
前記感染した宿主細胞を、31℃〜37℃の範囲の第一温度で、1〜48時間培養するステップと、
その後、前記感染した宿主細胞を、前記第一温度より1℃〜6℃低い第二温度で培養するステップと、
前記培養ステップにより生成される前記ウィルスの複製を集めるステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記ウィルスが、オルトミクソウィルス、アルファウィルスまたはフラビウィルスである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ウィルスが、インフルエンザウィルスである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ウィルスが、インフルエンザA型およびB型より選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ウィルスが、ロスリバーウィルスである、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記ウィルスが、西ナイルウィルスである、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記宿主細胞が、動物細胞培養または細胞系統である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記宿主細胞が、上皮細胞である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記宿主細胞が、腎臓上皮細胞である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記宿主細胞が、ベロ細胞である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第一温度が、32℃〜37℃の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第一温度が、33℃〜36℃の範囲である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第一温度が、34℃〜35.5℃の範囲である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第二温度が、前記第一温度と比較して1.5℃〜5℃低下される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記第二温度が、前記第一温度に対して2℃〜4℃低下される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第二温度が、29℃〜35℃の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第二温度が、30℃〜34℃の範囲である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第二温度が、31℃〜33℃の範囲である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記宿主細胞が、接種後直接培養される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
ウィルスまたはウィルス抗原の産生方法であり、前記生成されたウィルスまたはウィルス抗原が、請求項1により産生されるウィルスから得られ、前記生成されたウィルスまたはウィルス抗原が、単離される、方法。
【請求項21】
前記ウィルスが、断片化される、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記ウィルスが、不活性化される、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記ウィルスのワクチンを調製するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記第一温度での培養が、少なくとも二時間である、請求項1に記載の方法。
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【公表番号】特表2010−525799(P2010−525799A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504578(P2010−504578)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【国際出願番号】PCT/EP2008/003532
【国際公開番号】WO2008/135230
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【出願人】(501453189)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (289)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【国際出願番号】PCT/EP2008/003532
【国際公開番号】WO2008/135230
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【出願人】(501453189)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (289)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
【Fターム(参考)】
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