説明

ウインドウ表示制御方法

【課題】
解決しようとする問題点は、従来の技術では、一つの処理に関連する複数のウインドウを、一連の処理に対応付けて表示制御することができない点である。
【解決手段】
一つのディスプレイ上に複数のウインドウを重ねて表示するウインドウ表示制御方法において、最上位での表示が指定されたウインドウに予め関連付けられたウインドウを抽出し、この抽出したウインドウを、最上位での表示が指定されたウインドウに関連しないウインドウよりも上位に表示すると共に、抽出したウインドウが複数有る場合には、予め各々のウインドウに設定された優先度に基づき、各々重ねて表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一つのディスプレイ上に複数のアプリケーション画面(マルチウインドウ)をオーバラッピングして(重ねて)表示するウインドウ表示技術に係り、特に、複数の操作用ウインドウを表示切替して一連の処理を行なうのに好適なウインドウ表示制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オーバラッピング方式のウインドウ表示に係る従来技術としては、例えば、特開平5−189184号公報に記載のものがある。この技術では、データ等の入力対象となっているアクティブウインドウを、常に、画面の一番上に表示することにより、オペレータの負担を軽減し、操作性を向上させている。
【0003】
しかし、この技術では、入力対象のウインドウを画面の最上位に表示させる場合、および、当該ウインドウのみを対象としている。すなわち、この技術は、入力対象のウインドウを画面の最上位に表示させるものであるが、対象ウインドウが入力用ウインドウでない場合や、対象ウインドウと関連した他のウインドウの移動に関しての配慮がなされておらず、例えば、最上位に表示したウインドウとは別に、入力や参照が必要なウインドウ(対象ウインドウ)がある場合、この対象ウインドウを、重なり合ったその他のウインドウの中からトップレベル(最上位)に移動する操作を、人手により行なわなければならない。
【0004】
【特許文献1】特開平5−189184号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、従来の技術では、一つの処理に関連する複数のウインドウを、一連の処理に対応付けて表示制御することができない点である。
【0006】
本発明の目的は、これら従来技術の課題を解決し、一連の処理の操作において用いる入力操作用ウインドウや参照用ウインドウなどの表示切替を高効率化し、ウインドウ切替に係る操作者の負荷を軽減すると共に、関連しない他ウインドウへの誤入力を防ぎ、ウインドウ表示を行なう装置の操作性の向上を可能とするウインドウ表示制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のウインドウ表示システムは、最上位での表示が指定されたウインドウに予め関連付けられたウインドウを抽出し、抽出したウインドウを、最上位での表示が指定されたウインドウに関連しないウインドウよりも上位に表示すると共に、抽出したウインドウが複数有る場合には、予め各々のウインドウに設定された優先度に基づき、各々重ねて表示することを特徴とする。
【0008】
本発明では、例えば、取引等の単位で複数のウインドウをグループ分けして管理し、あるウインドウを画面の最上位に表示する際、同一グループの関連するウインドウが有る場合には、それらのウインドウもあわせて上位に移動する。さらに、この時、同一グループ内の各ウインドウも、予め定められた順序に重ねた位置に移動する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、一つの処理に関連する複数のウインドウを、一連の処理に対応付けて表示制御することにより、一連の処理の操作において用いる入力操作用ウインドウや参照用ウインドウなどの自動表示切替を高効率化でき、ウインドウ切替に係る操作者の負荷を軽減できると共に、関連しない他ウインドウへの誤入力を防ぐことができ、ウインドウ表示を行なう装置の操作性を向上させることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施例を、図面により詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明のウインドウ表示制御方法の一実施例を示すフローチャートであり、図2は、図1におけるウインドウ表示制御を行なうシステムの構成例を示すブロック図である。
【0012】
図2において、1はCRT(Cathode Ray Tube、陰極線管)等からなる表示装置、2はキーボードやマウス等からなる入力装置、3はCPU(Central Processing Unit)やメモリ等を有して蓄積プログラム方式による種々の処理を行なう情報処理装置(図中、CPUと記載)である。
【0013】
情報処理装置3は、本発明に係るウインドウの表示制御を行なう表示制御部4を有し、この表示制御部4は、複数の取引別の重ね合わせ順をアクティブ度(稼動状況に基づく優先度)に基づき管理する取引別アクティブ度管理テーブル5と、一つの取引内の複数ウインドウの重ね合わせ順を管理するウインドウ重ね順管理テーブル6を有し、各ウインドウを取引単位でグループ分けして管理する。取引別アクティブ度管理テーブル5においては、「取引B」、「取引A」、「取引C」の順に、アクティブ度が設定されている。アクティブな取引ほど、表示の重ね合わせの上の方に存在する。ウインドウ重ね順管理テーブル6においては、「エラー出力ウインドウ」、「コードガイドウインドウ」、「内訳金額入力ウインドウ」、「取引入力ウインドウ」の順で重ね合わせの順が設定されている。
【0014】
以下、図1に従って、表示制御部4の本発明に係るウインドウ表示制御動作の説明を行なう。
【0015】
図2の表示制御部4は、任意に指定されたウインドウを、図2の表示装置1の画面の最上位に表示する際、まず、このウインドウの取引グループを判別した後、図2の取引別アクティブ度管理テーブル5を参照して、このウインドウの属する取引グループのアクティブ度を判別する(ステップ101)。アクティブ度が「1」であれば、この取引グループの各ウインドウは、既に、他の取引グループの各ウインドウの上位に有るので、そのまま、指定されたウインドウを最上位に表示し(ステップ102)、図2のウインドウ重ね順管理テーブル6における重ね合わせ順を更新して(ステップ103)、処理を終了する。
【0016】
ステップ101においてアクティブ度が「1」以外であれば、指定されたウインドウの属する取引グループの各ウインドウを、図2のウインドウ重ね順管理テーブル6に示される重ね合わせ順に表示する(ステップ104)。そして、同一取引グループ内の各ウインドウの表示が全て終了すれば(ステップ105)、指定されたウインドウを最上位に表示し(ステップ102)、図2の取引別アクティブ度管理テーブル5におけるアクティブ度、および、図2のウインドウ重ね順管理テーブル6における重ね合わせ順をそれぞれ更新して(ステップ103)、処理を終了する。
【0017】
以下、具体的な例を用いて、このような図2の表示制御部4によるウインドウ表示制御動作の説明を行なう。
【0018】
図3は、図2におけるウインドウ表示制御システムにより表示される一取引単位の各ウインドウの構成例を示す説明図であり、図4は、図2における情報処理装置による取引処理例を示す説明図である。
【0019】
図3において、10〜14は、各々同一の取引グループに属するウインドウであり、取引入力ウインドウ10は、オペレータが口座番号、氏名、取引科目、入出金合計金額等を入力するウインドウであり、図2の情報処理装置3は、このウインドウへの入力を元にセンタに取引の送信を行う。また、コードガイドウインドウ11は、取引入力ウインドウ10に入力する項目の内、コードで指定する場合の参照にオペレータが使用する。内訳金額入力ウインドウ12は、取引の入出金金額の現金内訳および小切手の内訳の入力にオペレータが使用する。取引出力ウインドウ13は、センタからの回答により表示され、口座照会等で使用される。エラー出力ウインドウ14は、センタからのエラー回答を表示し、取引の送信項目に対して誤り等がある場合、オペレータに通知する。
【0020】
図4は、A取引とB取引がオーバラップして行なわれる際の手順を示し、各工程20〜24の順に取引は進められる。
【0021】
工程20では、A取引に関して、オペレータの入力後、センタに問合せ送信する。工程21では、センタからの回答を待つ間、A取引にオーバラップさせて、次の取引(B取引)の入力を先に行っておく。工程22は、工程20での問合せに対してセンタからエラー回答が返ってきた場合である。工程23では、オペレータは入力項目に誤りがある場合、工程20で入力した取引入力ウインドウの入力項目を修正し、再度センタに問合せ送信を行う。工程24では、工程21と同様、B取引の取引入力ウインドウに入力を行う。この工程24中に、A取引に対するセンタからの正常回答があれば、A取引に対する出金指示や伝票/通帳への印字が行われるが、表示はB取引のままである。
【0022】
この図4における各工程20〜24に沿って、図3に示す各ウインドウ10〜14を用いて、本発明に係るウインドウ表示制御手順を具体的に説明する。
【0023】
先ず、工程21では、工程20におけるA取引で入力した取引入力ウインドウ10とコードガイドウインドウ11および内訳金額入力ウインドウ12の上に、B取引で入力を行っている取引入力ウインドウ10とコードガイドウインドウ11および内訳金額入力ウインドウ12が、かぶさった状態で、表示される。その後の工程22において、工程20におけるA取引に対してエラー回答が返ってくると、A取引に対するエラー出力ウインドウ14の表示を行う。
【0024】
その際、本発明のウインドウ表示制御により、エラー出力ウインドウ14と連動して、B取引に係る各ウインドウの上に、A取引に係る各ウインドウを移動する。
【0025】
オペレータは、エラー出力ウインドウ14の表示内容に基づき、A取引の取引入力ウインドウ10や内訳金額ウインドウ14の入力項目の修正、およびコードガイドウインドウ11の参照を行なうが、上述のように、エラーウインドウと連動して、A取引に係る各ウインドウが移動されてきており、オペレータは、ウインドウの切替操作を行なうことなく、修正操作ができる。
【0026】
もし、本発明のウインドウ表示制御を用いなければ、単にA取引のエラー出力ウインドウ14をB取引の各ウインドウの上に表示した場合、A取引をアクセスするためには、オペレータは、B取引の各ウインドウを消去する必要がある。また、A取引とB取引が同様の取引であった場合、B取引のウインドウの入力項目に対して、誤入力することが考えられる。
【0027】
以上、図1〜図4を用いて説明したように、本実施例のウインドウ表示制御方法では、一連の取引等で使用する複数のウインドウを、取引単位でグループ分けして管理する。そして、あるウインドウを画面の最上位に表示する際、同一グループの他のウインドウが有る場合には、それらのウインドウも、上位の位置に移動する。この時、同一グループ内の各ウインドウに関しても、予め設定された順序に基づき移動する。このことにより、オペレータは、関連するウインドウへの入力/参照を、関連しないウインドウを削除することなく行なうことができ、関連するウインドウへの入力/参照が容易になり、操作性が向上するとともに、関連しない他ウインドウへの誤入力を防ぐことができる。
【0028】
尚、本発明は、図1〜図4を用いて説明した実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。例えば、図1においては、ステップ102、104、105で、同一取引のウインドウを重ね合わせ度の大きい順での表示、および、指定されたウインドウの最上位での表示を行なった後に、ステップ103での図2の取引別アクティブ度管理テーブル5とウインドウ重ね順管理テーブル6の更新を行なっているが、先にテーブル更新を行なった後に、表示制御する手順でも良い。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明のウインドウ表示制御方法の一実施例を示すフローチャートである。
【図2】図1におけるウインドウ表示制御を行なうシステムの構成例を示すブロック図である。
【図3】図2におけるウインドウ表示制御システムにより表示される一取引単位の各ウインドウの構成例を示す説明図である。
【図4】図2における情報処理装置による取引処理例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0030】
1:表示装置、2:入力装置、3:情報処理装置、4:表示制御部、5:取引別アクティブ度管理テーブル、6:ウインドウ重ね順管理テーブル、10:取引入力ウインドウ、11:コードガイドウインドウ、12:内訳金額入力ウインドウ、13:取引出力ウインドウ、14:エラー出力ウインドウ、20〜24:工程


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つのディスプレイ上に複数のウインドウを重ねて表示するウインドウ表示制御方法において、最上位での表示が指定されたウインドウに予め関連付けられたウインドウを抽出し、該抽出したウインドウを、上記最上位での表示が指定されたウインドウに関連しないウインドウよりも上位に表示すると共に、上記抽出したウインドウが複数有る場合には、予め各々のウインドウに設定された優先度に基づき、各々重ねて表示することを特徴とするウインドウ表示制御方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置のウインドウを制御するウインドウ表示制御システムであって、
回線を介して第1の取引に対するエラー回答を受信する手段と、
当該第1の取引のウインドウを他の取引のウインドウよりも上位に表示し、かつ、前記エラー回答に対応するエラー出力ウインドウを当該第1の取引のウインドウよりも上位に表示する手段とを有することを特徴とするウインドウ表示制御システム。
【請求項2】
表示装置のウインドウを制御するウインドウ表示制御システムであって、
回線を介して第1の取引に対するエラー回答を受信する手段と、
前記第1の取引のウインドウがアクテイブかを判別する手段と、
前記第1の取引のウインドウがアクテイブなとき、前記エラー回答に対応するエラー出力ウインドウを当該第1の取引のウインドウよりも上位に表示する手段と、
前記第1の取引のウインドウがアクテイブでないとき、当該第1の取引のウインドウを他の取引のウインドウよりも上位に表示し、かつ、前記エラー回答に対応するエラー出力ウインドウを当該第1の取引のウインドウよりも上位に表示する手段とを有することを特徴とするウインドウ表示制御システム。
【請求項3】
請求項1または2記載のウインドウ表示制御システムであって、
前記第1の取引のウインドウは、取引入力ウインドウと、コードガイドウインドウと、内訳金額入力ウインドウと、取引出力ウインドウとのうち、少なくとも一つを含むことを特徴とするウインドウ表示制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−139779(P2006−139779A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−321687(P2005−321687)
【出願日】平成17年11月7日(2005.11.7)
【分割の表示】特願平7−18963の分割
【原出願日】平成7年2月7日(1995.2.7)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【出願人】(391002409)株式会社 日立システムアンドサービス (205)
【Fターム(参考)】